説明

平面無機デバイス

無機構造を製造するための方法であって、(a)光反応性組成物を基材に付与する工程であって、組成物が、反応種と、光開始剤系と、複数の実質的に無機のコロイド粒子であって、粒子の平均粒度が約300nm未満であるコロイド粒子とを含む、工程と、(b)組成物をフォトパターニングして、構造を規定する工程と、(c)反応種を熱分解し、かつ粒子を少なくとも部分的に溶融するのに十分な時間、構造を高温に曝す工程とを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機粒子を含む光硬化性組成物、ならびにミクロンおよびサブミクロン寸法の構造を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面光学デバイス(たとえば、光導波路)などの無機微細構造を準備するための従来の方法は、多数の時間のかかるプロセス工程、および複雑で高価な主要設備を伴う。導波管を製造する最も一般的な方法は、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)または火炎加水分解堆積(flame hydrolysis deposition)(FHD)によって、導波管層を堆積させることからなる。導波管製造のための典型的なプロセスは、光学的に平坦な基材上への低屈折率光学クラッディング層の堆積で始まる。この層をアニールして、強化するか(FHD)、高密度化し安定化することができる(PECVD)。次に、より高い屈折率光学コア層を、下側のクラッディング層の上に堆積させ、それも、典型的にはアニールする。有用なデバイスを製造するために、このコア層を、導波管を形成するリッジにパターニングしなければならない。パターニングは、典型的には、最初に、エッチバリヤとして作用するように、ゆっくりエッチングする材料の薄い層をコア上に堆積させることによって行われる。次に、エッチバリヤをフォトレジストでコーティングし、これは、その後、軟焼成し(soft baked)、マスクアライナで紫外光に曝すことによってイメージングし、化学的に現像し、硬焼成し(hard baked)なければならない。フォトレジストイメージを、第1のエッチ工程によってエッチバリヤに転写し、次に、反応性イオンエッチングなどの方向性エッチングプロセスによって、コア材料に転写する。最後に、導波管リッジを、上側の低屈折率光学クラッディング層で被覆し、これを、堆積後アニールすることができる。蒸着および反応性イオンエッチング技術を用いて、優れた結果を達成することができるが、堆積およびパターニングプロセスは、複雑で、比較的ゆっくりであり(堆積およびエッチング工程は、各々、数時間を必要とすることがある)、設備は高価である(化学蒸着(CVD)および反応性イオンエッチング(RIE)ユニットだけで、各々、数十万ドルかかる)。したがって、特に小量で、非常に低いコストのデバイスを製造することは、困難である。
【0003】
導波管製造のためのゾル−ゲル方法は、潜在的に、FHDまたはPECVDを用いることなく、比較的簡単かつ安価なスピンコーティング設備またはディップコーティング設備を使用する、導波管製造のためのフィルムの堆積を可能にする。さらに、これらの材料を、潜在的に、光増感し、従来のリソグラフィを用いて直接パターニングすることができ、それにより、多くのプロセス工程およびRIE設備の必要をなくすことができる。残念ながら、導波管に適した高品質層のゾル−ゲル製造は、非常に困難なことがわかっている。これは、導波管構造に適切な厚さ(典型的には6〜10ミクロンのオーダ)を有する、均一な、亀裂のないフィルムの製造の困難さのためである。この困難さは、ゾル−ゲルフィルムを乾燥または焼結するときに発生する収縮に大いによる。したがって、シングルモードまたはマルチモード光ファイバへの良好なモード適合に適した寸法を有する無機デバイスの製造ためにゾル−ゲル処理を用いることは、困難なことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安価な溶液処理および従来のフォトパターニングを用いる、平面導波管およびスプリッタなどの無機構造の製造を可能にする。本発明は、均一に分散した非凝集粒子を含む光イメージング可能な樹脂を使用して、散乱による解像度損失がほとんどなく、高解像度特徴(ミクロン)を形成する能力を提供する。無機粒子を反応性組成物に加えることは、組成物の有機成分によってもたらされる速度、容易な処理、および柔軟な化学的性質を維持しながら、複合体の光学特性、熱特性、機械的特性、および誘電特性を調整することを可能にする。イメージング後、完成した構造は、そのまま残すか、加熱して有機成分を熱分解し実質的に無機の多孔性構造を残すか、さらに焼結して実質的に無機の高密度化構造を残すことができる。
【0005】
本発明は、無機微細構造の製造のための他の方法に対して、いくつかの利点をもたらす。まず、反応性組成物は、時間のかかるフォトレジスト工程を必要とするのではなく、スピンコーティングなどの従来の技術を用いて、直接フォトパターニングに適した安定した均一なフィルムに形成することができるように、レオロジー特性を有する。部分的に光反応性組成物の粘性特徴によって、比較的厚い構造を、一工程でコーティングしパターニングすることができる。サブミクロンサイズコロイド粒子を反応性組成物に組入れることは、パターニング工程の光散乱による解像度の損失がほとんどなく、フォトリソグラフィを行うことを可能にする。さらに、光規定され焼結された構造は、サブミクロンコロイド粒子を光反応性組成物に組入れることによる小さい側壁粗さによって特徴づけられ、これは、パターニングされた光導波路を通る光の効率的な透過に必要である。パターニングされた有機/無機ハイブリッド導波管の熱分解は、小さい側壁粗さを維持する多孔性無機導波管をもたらす。粒子はランダムに密に詰められ、サイズがナノメートルである内部空隙をもたらす。多孔性導波管をさらに焼結して、高密度の導波管構造を形成することができる。最後に、本発明のさらなる利益は、必要な主要設備が、従来の方法と比較して安価であることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、無機構造を製造するための方法であって、
(a)光反応性組成物を基材に付与する工程であって、組成物が、
反応種と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド粒子であって、粒子の平均粒度が約300nm未満であるコロイド粒子とを含む、工程と、
(b)組成物をフォトパターニングして、構造を規定する工程と、
(c)反応種を熱分解し、かつ粒子を少なくとも部分的に溶融するのに十分な時間、構造を高温に曝す工程とを含む方法を提供する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、無機構造を製造するための方法であって、
(a)光反応性組成物を基材に付与する工程であって、組成物が、
反応種と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド状シリカ粒子であって、粒子の平均粒度が約300nm未満である粒子とを含む、工程と、
(b)組成物をフォトパターニングして、構造を規定する工程と、
(c)反応種を熱分解し、かつ粒子を少なくとも部分的に溶融するのに十分な時間、構造を高温に曝す工程とを含む方法を提供する。
【0008】
第3の態様において、本発明は、平面光学デバイスを製造するための方法であって、
(a)光反応性組成物を基材に付与する工程であって、組成物が、
反応種と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド粒子であって、粒子の平均粒度が約300nm未満であるコロイド粒子とを含む、工程と、
(b)組成物をフォトパターニングして、基材上に平面光学デバイスを形成する工程とを含む方法を提供する。
【0009】
第4の態様において、本発明は、
有機反応種と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド粒子とを含む光反応性組成物であって、粒子が、平均粒度が約300nm未満であり、かつ約65体積%未満で組成物中に存在し、
組成物の粘度が、室温および1Hzの剪断速度において、15,000センチポアズより大きい、光反応性組成物を提供する。
【0010】
第5の態様において、本発明は、複数の実質的に無機のコロイド粒子を含む平面光学デバイスであって、粒子が、平均粒度が約300nm未満であり、かつ少なくとも部分的に溶融される、平面光学デバイスを提供する。
【0011】
第6の態様において、本発明は、
エポキシ樹脂と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド状シリカ粒子とを含むエポキシ配合物であって、粒子の平均粒度が約300nm未満であり、
配合物の粘度が、室温および1Hzの剪断速度において、15,000センチポアズより大きい、エポキシ配合物を提供する。
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、複数の実質的に無機の粒子を含む光反応性組成物から三次元構造を生成する方法を提供する。三次元構造は、さらに熱分解し焼結することができ、実質的に無機の構造を残すことができる。
【0014】
光反応性組成物は、さまざまな付与方法のいずれかによって基材上に付与することができる。この組成物は、ナイフコーティングもしくはバーコーティングなどのコーティング方法、またはディッピング、浸漬、スプレー、ブラッシング、スピンコーティング、カーテンコーティングなどの付与方法によって付与することができる。あるいは、組成物は、滴状に付与することができる。光反応性組成物は、チキソトロピーであることができるか、無機粒子の特定の表面処理、および有機成分とのそれらの適合性の両方に敏感なレオロジー挙動を示すことができる。したがって、所望の厚さの均一なフィルムを得るために、適切な溶媒含有量および剪断条件を、各特定の組成物およびコーティング方法のために最適化する必要がある。コーティング後、反応性組成物を、任意に、軟焼成して(たとえば、ホットプレート上でまたはオーブン内で)、残留溶媒の一部またはすべてを除去することができる。基材は、特定の用途および用いるべき露光方法によって、任意の適切な材料(たとえば、ガラス、溶融シリカ、シリコン、フッ化カルシウム)から製造することができ、かつ、非常にさまざまなフィルム、シート、ウェーハ、および他の表面から選択することができる。基材は、任意に、基材への光反応性組成物の接着力を高めるために、プライマー(たとえば、シランカップリング剤)で予め処理することができる。
【0015】
光反応性組成物は、接触リソグラフィまたは投影リソグラフィなどの標準フォトリソグラフィ技術を用いてフォトパターニングすることができる(たとえば、ダブリュー・モロー(W.Moreau)、半導体リソグラフィ:原理、実施、および材料(Semiconductor Lithography: Principles, Practices, and Materials)(第3版)、プレナム・プレス(Plenum Press):ニューヨーク(New York)、1991を参照のこと)。光源は、化学線(すなわち、光反応プロセスを開始することができる放射線)を発生するいかなる光源であることもでき、実際には、光反応性組成物に使用される光開始剤または光増感剤に適切な波長において十分な強度をもたらすいかなる光源であることもできる。そのような波長は、一般に、電磁スペクトルの紫外部分または可視部分内であり、約150から約800nm、好ましくは約200から約600nm、より好ましくは約240から約500nmの範囲内であることができる。露光時間は、一般に、イメージ形成(ならびに開口数、光強度空間分布のジオメトリ、および平均光強度などの、その付随する変数)を引起すのに使用される露光システムのタイプ、および露光される光反応性組成物の性質による。
【0016】
放射線は、未露光反応性組成物と異なった可溶性特徴を有する材料を生成する、反応性組成物の反応を誘起する。次に、反応した材料の結果として生じるパターンを、露光領域または未露光領域を適切な溶媒で除去することによって、現像することができる。露光後であるが現像前の、任意の露光後の焼成が、エポキシタイプ反応種を含有する光反応性組成物に必要であることがある。
【0017】
結果として生じる構造は、任意の適切なサイズおよび形状を有することができるが、本発明の方法は、微細構造化物品を形成するのに特によく適している。この構造は、物品の表面上に、または表面上にすでに存在する特徴の上に形成することができる。そのような特徴が物品の表面上に存在する場合、たとえば、凹部、突出部、ポスト、チャネル、または構造の連続パターンまたは不連続パターンを形成することができる。特徴は、微視的であることができ、ここで、「微視的」という用語は、形状を定めるために任意の視覚平面(plane of view)から見るとき裸眼に視覚補助器具を必要とするように十分に小さい寸法の特徴を指す。1つの基準が、現代の光学技術(Modern Optic Engineering)、ダブリュー・ジェイ・スミス(W.J.Smith)著、マグローヒル(McGraw−Hill)、1966、104〜105ページに見出され、視力が、「...認識することができる最小文字の角サイズによって規定され測定される」。通常の視力は、最小の認識できる文字が、網膜上で弧の5分の角高さを限定する(subtends)ときであると考えられる。250mm(10インチ)の典型的な作業距離において、これは、この目的のため、0.36mm(0.0145インチ)の横寸法をもたらす。ここで使用されるように、「微細構造」という用語は、特徴の少なくとも2つの寸法が微視的である特徴の構成を意味する。
【0018】
次に、フォトパターニングされた微細構造を熱分解して、残りの有機成分(より可溶性でない、反応したまたは未反応)を除去することができる。典型的な熱分解条件は、構造を、約500℃から約900℃の温度に約60分から約240分間加熱することを含む。熱分解後、構造は、実質的に無機であり、かつ実質的に密に詰められた球を含み、空隙が粒子のサイズによって規定される。いくつかの用途の場合、構造を多孔性のままにすることが望ましいことがある。他の用途において、多孔性構造をさらに焼結して、実質的に強化された無機構造をもたらすことができる。典型的な焼結条件は、構造を、約900℃から約1400℃の範囲内の温度に約2時間から約48時間加熱することを含む。強化プロセスを助けるために、多孔性の熱分解された構造を、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ砂、およびリン酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない、金属塩または他の融剤などのさまざまな材料でドープすることができる。あるいは、多孔性を低減するおよび/または機能性をデバイスに加えるのを助けるために、テトラエトキシゲルマニウムおよびテトラエトキシシランなどのゾル−ゲル前駆体を、細孔内に吸収する(imbibed)ことができる。これらの多孔性構造の、融剤および/またはゾル−ゲル前駆体でのドーピング、ならびにその後のさらなる焼結は、実質的に強化された無機構造の製造を考慮する。さらに、付加的な特性および/または機能を製造されたデバイスに与えるために、有機金属前駆体などの他の材料を多孔性構造に加えることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、光導波路などの平面光学デバイスを製造する方法を説明する。図1Aを参照すると、光反応性組成物10を、ガラススライドまたはシリコンウェーハなどの基材12に付与することができる。低屈折率バッファ14(たとえば、低屈折率シリカ)を、任意に、光反応性組成物10の付与前に基材12に付与することができる。光反応性組成物10は、マスクを介してストライプ状パターンで露光して、光反応性組成物の一部を選択的に反応させることができる。次に、適切な溶媒での現像によって組成物の可溶性部分を除去して、図1bに示されているように、空間16によって分離された一連のリッジ14をもたらすことができる。屈折率要件が満たされるとすると、反応した材料のリッジが光導波路18を形成する。
【0020】
図1cを参照すると、フォトパターニングされた光導波路18を、熱分解して有機成分を除去し、上述されたように融剤でドープまたは処理し、次に焼結することができる。低屈折率(20)クラッディングを、任意に、露光されたパターニングされた表面の上に付与することができる。したがって、いかなる成形工程またはエンボス加工工程も必要とすることなく、光導波路をすでに製造された基材に加えることができ、ミクロンサイズ寸法を有する構造と関連する離型(de-molding)プロセスの困難さを回避することができる。平面光学デバイスを、たとえば、シングルモードまたはマルチモード光ファイバへの良好なモード適合に適した寸法を有する平面光導波路として使用することができる。一実施形態において、フォトパターニングされた光導波路およびクラッディングを、同じタイプの光反応性組成物から製造することができる。導波(waveguiding)を達成するために、コアを、ドープして屈折率を高めるか、クラッディングより大きい程度に強化することができる。
【0021】
本発明の方法によって製造することができる他の光学デバイスの例としては、スプリッタ、カプラ、およびリング共振器が挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
本発明の方法によって製造することができる他の光学デバイスとしては、センサが挙げられる。これらの用途において、異なった環境において導波特性を変えることができるように、導波管構造を部分的に多孔性のままにすることが望ましいことがある。たとえば、気体に曝されると、導波管のコアおよび/またはクラッディングのナノメートルサイズの細孔内で毛管凝縮が起こることがある。導波管の細孔内への材料の毛管凝縮は、屈折率プロファイルの変化をもたらし、それにより、導波特性に影響を及ぼし、光学デバイスをセンサとして使用することを可能にする。
【0023】
光学デバイスに加えて、この方法を、微小流体工学(microfluidics)またはマイクロエレクトロニクスなどの分野における用途のためのマイクロチャネルなどの他の小さい無機構造の製造に適用できる。
【0024】
反応性組成物
上述された構造を形成するために使用することができる光反応性組成物は、硬化性または非硬化性反応種と、光開始剤系と、複数の実質的に無機のコロイド粒子とを含む。
【0025】
本発明の組成物は、任意に、非反応種をさらに含むことができる。
【0026】
硬化性種としては、付加重合性モノマーおよびオリゴマーおよび付加架橋性ポリマー(たとえば、アクリレート、メタクリレート、およびスチレンなどの特定のビニル化合物を含む、フリーラジカル重合性またはフリーラジカル架橋性エチレン不飽和種など)、ならびにカチオン重合性モノマーおよびオリゴマーおよびカチオン架橋性ポリマー(たとえば、エポキシ、ビニルエーテル、およびシアン酸エステルを含む)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
適切なエチレン不飽和種が、たとえば、米国特許第5,545,676号明細書に記載されており、モノ−、ジ−、およびポリ−アクリレートおよびメタクリレート(たとえば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート(sorbitol hexacrylate)、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリス−ヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、分子量約200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびビス−メタクリレート、米国特許第4,652,274号明細書に記載されているようなアクリレート化モノマーの共重合性混合物、および米国特許第4,642,126号明細書に記載されているようなアクリレート化オリゴマー);不飽和アミド(たとえば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−アクリルアミド、およびベータ−メタクリルアミノエチルメタクリレート);ビニル化合物(たとえば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペート、およびジビニルフタレート)など;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
適切な硬化性反応性ポリマーとしては、たとえば1ポリマー鎖あたり1から約50の(メタ)アクリレート基を有する、ペンダント(メタ)アクリレート基を有するポリマーが挙げられる。そのようなポリマーの例としては、サートマー(Sartomer)から商品名サーボックス(SARBOX)(たとえば、サーボックス400、401、402、404、および405)で入手可能なような芳香族酸(メタ)アクリレートハーフエステル樹脂が挙げられる。フリーラジカル化学によって硬化可能な他の有用なポリマーとしては、米国特許第5,235,015号明細書に記載されているような、フリーラジカル重合性官能基が付着された、ヒドロカルビル(hydrocarbyl)バックボーンおよびペンダントペプチド基を有するポリマーが挙げられる。必要ならば、2つ以上のモノマー、オリゴマー、および/または反応性ポリマーの混合物を使用することができる。好ましいエチレン不飽和種としては、アクリレート、芳香族酸(メタ)アクリレートハーフエステル樹脂、ならびにフリーラジカル重合性官能基が付着された、ヒドロカルビルバックボーンおよびペンダントペプチド基を有するポリマーが挙げられる。
【0029】
適切なカチオン硬化性種が、たとえば、米国特許第5,998,495号明細書および米国特許第6,025,406号明細書に記載されており、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシドと広く呼ばれるそのような材料としては、モノマーエポキシ化合物、およびポリマータイプのエポキシドが挙げられ、脂肪族、脂環式、芳香族、または複素環式であることができる。これらの材料は、一般に、平均して、1分子あたり少なくとも1の重合性エポキシ基(好ましくは、少なくとも約1.5、より好ましくは、少なくとも約2)を有する。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(たとえば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(たとえば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントエポキシ基を有するポリマー(たとえば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純化合物であることができるか、1分子あたり1、2、またはそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であることができる。これらのエポキシ含有材料は、それらのバックボーンおよび置換基の性質が大きく変わることができる。たとえば、バックボーンは、いかなるタイプであることもでき、その上の置換基は、室温でのカチオン硬化を実質的に妨げないいかなる基であることもできる。例示的な許容される置換基としては、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、ホスフェート基などが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、約58から約100,000以上に変わることができる。
【0030】
有用なエポキシ含有材料としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートによって代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキセンオキシド基を含有するものが挙げられる。この性質の有用なエポキシドのより詳細なリストが、米国特許第3,117,099号明細書に記載されている。
【0031】
有用な他のエポキシ含有材料としては、下記式
【化1】

(ここで、R’はアルキルまたはアリールであり、nは1から6の整数である)のグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。例が、多価フェノールをエピクロロヒドリンなどの過剰のクロロヒドリンと反応させることによって得られる多価フェノールのグリシジルエーテル(たとえば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパンのジグリシジルエーテル)である。このタイプのエポキシドのさらなる例が、米国特許第3,018,262号明細書、およびエポキシ樹脂ハンドブック(Handbook of Epoxy Resins)、リー(Lee)およびネビル(Neville)、マグローヒル・ブック・カンパニー(McGraw−Hill Book Co.)、ニューヨーク(New York)(1967)に記載されている。
【0032】
多数の市販のエポキシ樹脂も使用することができる。具体的には、容易に入手可能なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)、旧シェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Co.)から、商品名エポン(EPON)828、エポン825、エポン1004、およびエポン1010で入手可能なもの、ならびにダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)から、商品名DER331、DER332、およびDER334で入手可能なもの)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.)から商品名ERL4206で入手可能な化合物)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから、商品名ERL4221、シラキュア(Cyracure)UVR6110またはUVR6105で入手可能な化合物)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL4201で入手可能な化合物)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL4289で入手可能な化合物)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL0400で入手可能な化合物)、ポリプロピレングリコールから改質された脂肪族エポキシ(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL4050およびERL4052で入手可能なもの)、ジペンテンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL4269で入手可能な化合物)、エポキシド化ポリブタジエン(たとえば、FMCコーポレーション(FMC Corp.)から商品名オキシロン(Oxiron)2001で入手可能な化合物)、エポキシ官能性を含有するシリコーン樹脂、難燃剤エポキシ樹脂(たとえば、商品名DER580で入手可能なもの、ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能な臭素化ビスフェノールタイプエポキシ樹脂)、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(たとえば、ダウ・ケミカル・カンパニーから商品名DEN431およびDEN438で入手可能なもの)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(たとえば、コッパーズ・カンパニー・インコーポレイテッド(Koppers Company, Inc.)から商品名コポキシト(KOPOXITE)で入手可能な化合物)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL4299またはUVR6128で入手可能なもの)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名ERL−4234で入手可能な化合物)、ビニルシクロヘキセンモノオキシド1,2−エポキシヘキサデカン(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーションから商品名UVR−6216で入手可能な化合物)、アルキルC8〜C10グリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツから商品名ヘロキシ・モディファイアー(HELOXY MODIFIER)7で入手可能なもの)、アルキルC12〜C14グリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツから商品名ヘロキシ・モディファイアー8で入手可能なもの)、ブチルグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツから商品名ヘロキシ・モディファイアー61で入手可能なもの)、クレシル(cresyl)グリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー62)、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー(Heloxy Modifier)65)、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどの多官能性グリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー67)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー68)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー107)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー44)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー48)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー84)、ポリグリコールジエポキシド(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツのヘロキシ・モディファイアー32)、ビスフェノールFエポキシド(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツから商品名エポン1138で、またはチバガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.)からGY−281で入手可能なもの)、および9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(たとえば、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツから商品名エポン1079で入手可能なもの)が挙げられる。
【0033】
他の有用なエポキシ樹脂は、グリシドールのアクリル酸エステル(グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートなど)と1つ以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーを含む。そのようなコポリマーの例は、1:1のスチレン−グリシジルメタクリレート、1:1のメチルメタクリレート−グリシジルアクリレート、および62.5:24:13.5のメチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートである。他の有用なエポキシ樹脂は、周知であり、エピクロロヒドリン、アルキレンオキシド(たとえば、プロピレンオキシド)、スチレンオキシド、アルケニルオキシド(たとえば、ブタジエンオキシド)、およびグリシジルエステル(たとえば、エチルグリシデート)などのエポキシドを含有する。
【0034】
有用なエポキシ官能性ポリマーとしては、米国特許第4,279,717号明細書に記載されているようなエポキシ官能性シリコーンが挙げられ、これらは、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(the General Electric Company)から市販されている。これらは、ケイ素原子の1〜20モル%がエポキシアルキル基(好ましくは、米国特許第5,753,346号明細書に記載されているようなエポキシシクロヘキシルエチル)で置換されているポリジメチルシロキサンである。
【0035】
さまざまなエポキシ含有材料のブレンドも使用することができる。そのようなブレンドは、エポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量分布(低分子量(200未満)、中分子量(約200から10,000)、およびより高い分子量(約10,000を超える)など)を含むことができる。あるいは、またはさらに、エポキシ樹脂は、異なった化学的性質(脂肪族および芳香族など)または官能性(極性および非極性など)を有するエポキシ含有材料のブレンドを含有することができる。必要ならば、他のカチオン反応性ポリマー(ビニルエーテルなど)をさらに組入れることができる。
【0036】
好ましいエポキシとしては、芳香族グリシジルエポキシ(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツから入手可能なエポン樹脂など)および脂環式エポキシ(ユニオン・カーバイドから入手可能なERL4221およびERL4299など)が挙げられる。
【0037】
適切なカチオン硬化性種としては、また、ビニルエーテルモノマー、オリゴマー、および反応性ポリマー(たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(たとえば、ニュージャージー州ウェインのインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(International Specialty Products,Wayne,NJ)から商品名ラピ−キュア(RAPI−CURE)DVE−3で入手可能なもの)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル(たとえば、ニュージャージー州マウント・オリーブのBASFコーポレーション(BASF Corp., Mount Olive,NJ)から商品名TMPTVEで入手可能なもの)、およびアライド・シグナル(Allied Signal)から商品名ベクトマー(VECTOMER)ジビニルエーテル樹脂で入手可能なもの(たとえば、ベクトマー2010、ベクトマー2020、ベクトマー4010、およびベクトマー4020、ならびに他の製造業者から入手可能なそれらの均等物))、ならびにそれらの混合物が挙げられる。1つ以上のビニルエーテル樹脂および/または1つ以上のエポキシ樹脂のブレンド(任意の割合で)も使用することができる。ポリヒドロキシ官能性材料(たとえば、米国特許第5,856,373号明細書に記載されたものなど)も、エポキシ官能性材料および/またはビニルエーテル官能性材料と組合せて使用することができる。
【0038】
非硬化性反応種としては、たとえば、酸またはラジカルで誘起された反応時に可溶性を増加させることができる反応性ポリマーが挙げられる。そのような反応性ポリマーとしては、たとえば、光生成された(photogenerated)酸によって水溶性酸基に変えることができるエステル基を有する非水溶性ポリマー(たとえば、ポリ(4−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン)が挙げられる。非硬化性種としては、また、アール・ディー・アレン(R.D.Allen)、ジー・エム・ウォールラフ(G.M.Wallraff)、ダブリュー・ディー・ヒンスバーグ(W.D.Hinsberg)、およびエル・エル・シンプソン(L.L.Simpson)、「化学増幅フォトレジスト用途のための高性能アクリルポリマー(High Performance Acrylic Polymers for Chemically Amplified Photoresist Applications)」、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー(J.Vac.Sci.Technol.)B、9、3357(1991)に記載された化学増幅フォトレジストが挙げられる。化学増幅フォトレジストの概念は、現在、特に0.5ミクロン未満(またはさらには0.2ミクロン未満)の特徴での、マイクロチップ製造に広く用いられる。そのようなフォトレジスト系において、触媒種(典型的には水素イオン)を照射によって生成することができ、これは、化学反応のカスケードを誘起し、それにより反応速度を増幅する。典型的な酸触媒化学増幅フォトレジスト系の例としては、脱保護(たとえば、米国特許第4,491,628号明細書に記載されているようなt−ブトキシカルボニルオキシスチレンレジスト、テトラヒドロピラン(THP)メタクリレートベースの材料、米国特許第3,779,778号明細書に記載されているようなTHP−フェノール材料、アール・ディー・アレン(R.D Allen)ら、プロシーディングス・オブ・SPIE(Proc.SPIE)2438、474(1995)に記載されているようなt−ブチルメタクリレートベースの材料など)、解重合(たとえば、ポリフタルアルデヒドベースの材料)、および転位(たとえば、ピナコール転位に基いた材料)が挙げられる。
【0039】
光開始剤系
光開始剤系は、1成分系、2成分系、または3成分系であることができる。1成分系は、光化学的に効果的な量の、少なくとも1つの光開始剤を含む。そのような化合物の例は、フリーラジカル源を生成する光開始剤、または電磁スペクトルの紫外部分もしくは可視部分の波長を有する放射線に曝されると酸(プロトン酸またはルイス酸を含む)を生成するカチオン光触媒を含む。
【0040】
有用なフリーラジカル光開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アリールグリオキサレート、アシルホスフィンオキシド、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、芳香族スルホニルクロリド、光活性オキシム、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドロゾン、クロロアルキルトリアジン、ビスイミダゾール、トリアシルイミダゾール、ピリリウム化合物、スルホニウム塩およびヨードニウム塩、メルカプト化合物、キノン、アゾ化合物、有機過酸化物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。そのような光開始剤のいくつかの例が、たとえば、米国特許第6,054,007号明細書(ボイド(Boyd)ら)(16欄、58行から17欄、7行を参照のこと)、米国特許第5,235,744号明細書(ウィリアムズ(Williams)ら)(11欄、26行から12欄、65行)、および米国特許第4,735,632号明細書(オックスマン(Oxman)ら)(3欄、26行から47行)に記載されている。
【0041】
有用なカチオン光触媒としては、金属またはメタロイドのオニウムカチオンおよびハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩が挙げられる。他の有用なカチオン光触媒としては、金属またはメタロイドの有機金属錯体カチオンおよびハロゲン含有錯体アニオンを有するメタロセン塩が挙げられる。そのような光触媒が、さらに、たとえば、米国特許第4,751,138号明細書(ツメイ(Tumey)ら)(たとえば、6欄、65行から9欄、45行を参照のこと)、米国特許第6,054,007号明細書(14欄、20行から16欄、13行)、および米国特許第5,238,744号明細書(10欄、12行から11欄、3行を参照のこと)に記載されている。光触媒の混合物も有用である。
【0042】
そのようなフリーラジカル光開始剤およびカチオン光触媒ならびにそれらの調製方法は、当該技術において知られている。多くが市販されている。
【0043】
あるいは、有用な2成分光開始剤系および3成分光開始剤系は、光化学的に効果的な量の(1)少なくとも1つの光増感剤;ならびに(2)(i)光増感剤と異なり、かつ電子を光増感剤の電子励起状態に供与することができる少なくとも1つの電子供与体化合物(好ましくは、ゼロより大きく、かつp−ジメトキシベンゼンの酸化電位以下である酸化電位を有する電子供与体化合物);および(ii)光増感剤の電子励起状態から電子を受容することによって光増感することができ、少なくとも1つのフリーラジカルおよび/または酸の形成をもたらすことができる少なくとも1つの光開始剤(好ましくは、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アジニウム塩、クロロメチル化トリアジン、およびトリアリールイミダゾリルダイマーからなる群から選択される光開始剤)のいずれか一方または両方を含む。
【0044】
光増感剤
光反応性組成物の光開始剤系での使用に適した光増感剤は、好ましくは、約150から約800ナノメートル(より好ましくは約200から約600ナノメートル、より好ましくは約240から約500ナノメートル)の波長の範囲内のどこかで光吸収が可能なものである。
【0045】
好ましくは、光増感剤は、反応種の反応を実質的に妨げ、かつ、反応種に可溶性であるか(反応種が液体である場合)、反応種、および組成物に含まれるいかなるバインダー(以下で説明されるような)とも適合性がある官能基が実質的にない。最も好ましくは、光増感剤は、また、米国特許第3,729,313号明細書に記載されたテスト手順を用いて、光増感剤の単光子吸収スペクトルに重なる波長範囲内の連続照射下で、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを増感することができる。現在入手可能な材料を使用して、そのテストを次の通りに行うことができる。
次の組成物、すなわち、45,000〜55,000の分子量、9.0〜13.0%のヒドロキシル含有量のポリビニルブチラール(ビューツバル(Butvar)B76、モンサント(Monsanto))の、メタノール中の5%(重量対体積(weight by volume))溶液5.0部と、
0.3部のトリメチロールプロパントリメタクリレートと、0.03部の2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンとを有する標準テスト溶液を調製することができる(ブレティン・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ・オブ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Japan)、42、2924〜2930(1969)を参照のこと)。
【0046】
この溶液に、光増感剤としてテストすべき化合物0.01部を加えることができる。次に、結果として生じる溶液を、0.05mmのナイフオリフィスを用いて、0.05mmの透明なポリエステルフィルム上にナイフコーティングすることができ、コーティングを約30分間空気乾燥させることができる。0.05mmの透明なポリエステルカバーフィルムを、空気の閉じ込めを最小にして、乾燥したが軟性かつ粘着性のコーティングの上に注意深く配置することができる。次に、結果として生じるサンドイッチ構造を、可視および紫外範囲の両方の光を提供するタングステン光源(FCH650ワットの石英−ヨウ素ランプ、ゼネラル・エレクトリック(General Electric))からの161,000ルクスの入射光に3分間露光することができる。露光を、構造の露光領域および未露光領域を提供するように、ステンシルを通して行うことができる。露光後、カバーフィルムを取外すことができ、コーティングを、ゼログラフィで従来使用されるタイプのカラートナー粉末などの細かく分けられた着色粉末で処理することができる。テストされた化合物が光増感剤である場合、トリメチロールプロパントリメタクリレートモノマーは、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンからの光生成されたフリーラジカルによって露光領域で重合される。重合された領域が本質的に粘着性がないので、着色粉末は、本質的にコーティングの粘着性未露光領域のみに選択的に接着し、ステンシルに対応する視覚的イメージをもたらす。
【0047】
好ましくは、光増感剤を、貯蔵安定性考慮事項に部分的に基いて選択することもできる。したがって、特定の光増感剤の選択は、ある程度、使用される特定の反応種(ならびに電子供与体化合物および/または光開始剤の選択)によることができる。
【0048】
適切な光増感剤は、次のカテゴリーの化合物、すなわち、ケトン、クマリン染料(たとえば、ケトクマリン)、キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、ポルフィリン、芳香族多環式炭化水素、p−置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリリウム(squarylium)染料、およびピリジニウム染料を含むと考えられる。ケトン(たとえば、モノケトンまたはアルファ−ジケトン)、ケトクマリン、アミノアリールケトン、およびp−置換アミノスチリルケトン化合物が、好ましい光増感剤である。光増感剤の混合物も使用することができる。高感度を必要とする用途(たとえば、グラフィックアート)の場合、ジュロリジニル部分を含有する光増感剤を使用することが、一般に好ましい。好ましい種類のケトン光増感剤は、次の一般式
ACO(X)b
(ここで、XはCOまたはCR12であり、ここで、R1およびR2は、同じまたは異なることができ、かつ、水素、アルキル、アルカリール、またはアラルキルであることができ;bはゼロであり;AおよびBは、同じまたは異なることができ、かつ、置換(1つ以上の妨げない置換基を有する)または非置換アリール基、アルキル基、アルカリール基、またはアラルキル基であることができるか、または、AおよびBはともに、置換または非置換脂環式環、芳香族環、複素環式芳香族環、または縮合芳香環であることができる環状構造を形成することができる)によって表されるものを含む。
【0049】
上記式の適切なケトンとしては、2,2−、4,4−、または2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジ−2−ピリジルケトン、ジ−2−フラニルケトン、ジ−2−チオフェニルケトン、ベンゾイン、フルオレノン、カルコン、ミヒラーケトン、2−フルオロ−9−フルオレノン、2−クロロチオキサントン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−または2−アセトナフトン、9−アセチルアントラセン、2−、3−、または9−アセチルフェナントレン、4−アセチルビフェニル、プロピオフェノン、n−ブチロフェノン、バレロフェノン、2−、3−、または4−アセチルピリジン、3−アセチルクマリンなどのモノケトン(b=0)が挙げられる。適切なジケトンとしては、アントラキノン、フェナントレンキノン、o−、m−、およびp−ジアセチルベンゼン、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、および1,8−ジアセチルナフタレン、1,5−、1,8−、および9,10−ジアセチルアントラセンなどのアラルキルジケトンが挙げられる。適切なアルファ−ジケトン(b=1かつx=CO)としては、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオン、ベンジル、2,2’− 3 3’−および4,4’−ジヒドロキシルベンジル、フリル、ジ−3,3’−インドリルエタンジオン、2,3−ボルナンジオン(カンファーキノン)、ビアセチル、1,2−シクロヘキサンジオン、1,2−ナフタキノン、アセナフタキノンなどが挙げられる。
【0050】
好ましいケトクマリンおよびp−置換アミノスチリルケトン化合物としては、3−(p−ジメチルアミノシンナモイル)−7−ジメチル−アミノクマリン、3−(p−ジメチルアミノシンナモイル)−7−ジメチル−アミノクマリン、3−(p−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジメチル−アミノクマリン、3−(p−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジメチル−アミノクマリン、9’−ジュロリジン−4−ピペリジノアセトフェノン、9’−ジュロリジン−4−ピペリジノアセトフェノン、9−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]キノリジン−10−オン、9−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]キノリジン−10−オン、9−(4−ジシアノエチルアミノシンナモイル)−1,2,4,5−テトラ−ヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]−キノリジン−10−オン、9−(4−ジシアノエチルアミノシンナモイル)−1,2,4,5−テトラ−ヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]−キノリジン−10−オン、2,3−ビス(9’−ジュロリジン)シクロペンタノン、2,3−ビス(9’−ジュロリジン)シクロペンタノン、9−エトキシカルボニル−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]キノリジン−10−オン、9−エトキシカルボニル−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]キノリジン−10−オン、2−(4’−ジエチルアミノベンジリジン)−1−インダノン、2−(4’−ジエチルアミノベンジリジン)−1−インダノン、9−アセチル−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾ−ピラノ[6,7,8−i,j]キノリジン−10−オン、9−アセチル−1,2,4,5−テトラヒドロ−3H,6H,10H[1]ベンゾピラノ[6,7,8−i,j]キノリジン−10−オン、5,10−ジエトキシ−12,16,17−トリクロロビオラントレン、および5,10−ジエトキシ−12,16,17−トリクロロビオラントレンなどが挙げられる。
【0051】
他の有用な光増感剤としては、国際公開第01/96409号パンフレットに記載されたものが挙げられる。
【0052】
特に好ましい光増感剤としては、カンファーキノン、グリオキサール、ビアセチル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、3,3,7,7−テトラメチル−1,2−シクロヘプタンジオン、3,3,8,8−テトラメチル−1,2−シクロオクタンジオン、3,3,18,18−テトラメチル−1,2−シクロオクタデカンジオン、ジピバロイル、ベンジル、フリル、ヒドロキシベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオン、および1,2−シクロヘキサンジオンが挙げられる。これらのうち、カンファーキノンが最も好ましい。露光波長および光増感剤の選択が、必要なリソグラフィ解像度、および波長の関数としての無機粒子からの光散乱の量の両方によって決定されることが当業者には明らかであろう。
【0053】
電子供与体化合物
光反応性組成物の1光子光開始剤系に有用な電子供与体化合物は、電子を光増感剤の電子励起状態に供与することができる化合物(光増感剤自体以外)である。そのような化合物を、任意に、光開始剤系の感光性を増加させ、それにより、光反応性組成物の光反応を行うのに必要な露光を低減するために使用することができる。電子供与体化合物は、好ましくは、ゼロより大きく、かつp−ジメトキシベンゼンの酸化電位以下である酸化電位を有する。好ましくは、酸化電位は、標準飽和カロメル電極(「S.C.E.」)に対して約0.3から1ボルトである。
【0054】
電子供与体化合物は、また、好ましくは、反応種に可溶性であり、貯蔵安定性考慮事項に部分的に基いて選択される(上述されたように)。適切な供与体は、一般に、所望の波長の光に曝されると、硬化の速度、または光反応性組成物のイメージ密度を増加させることができる。
【0055】
カチオン反応種で作業するとき、当業者は、電子供与体化合物が、著しい塩基性度のものである場合、カチオン反応に悪影響を及ぼすことがあることを認識するであろう。(たとえば、米国特許第6,025,406号明細書(オックスマン(Oxman)ら)、7欄、62行から8欄、49行の説明を参照のこと)
【0056】
一般に、特定の光増感剤および光開始剤ともに使用するのに適した電子供与体化合物を、3つの成分の酸化電位および還元電位を比較することによって選択することができる(たとえば、米国特許第4,859,572号明細書(ファリド(Farid)ら)に記載されているように)。そのような電位を、実験的に測定することができるか(たとえば、アール・ジェイ・コックス(R.J.Cox)、写真感度(Photographic Sensitivity)、第15章、アカデミック・プレス(Academic Press)(1973)に記載された方法によって)、エヌ・エル・ワインバーグ(N.L.Weinburg)編集、電気有機合成の技術パートII:化学の技術(Technique of Electroorganic Synthesis Part II: Techniques of Chemistry)、第V巻(1975)、ならびにシー・ケイ・マン(C.K.Mann)およびケイ・ケイ・バーンズ(K.K.Barnes)、非水系の電気化学反応(Electrochemical Reactions in Nonaqueous Systems)(1970)などの参考文献から得ることができる。電位は、相対エネルギー関係を反映し、次のように使用して、電子供与体化合物選択を導くことができる。
【0057】
光増感剤が電子励起状態であるとき、光増感剤の最高被占分子軌道(HOMO)の電子がより高いエネルギーレベルに上げられており(すなわち、光増感剤の最低空分子軌道(LUMO))、空格子点が、最初に占めた分子軌道に残される。特定の相対エネルギー関係が満たされるのであれば、光開始剤は、より高いエネルギー軌道から電子を受容することができ、電子供与体化合物は、電子を供与して、最初に占められた軌道の空格子点を満たすことができる。
【0058】
光開始剤の還元電位が、光増感剤の還元電位より負でない(またはより正である)場合、光増感剤のより高いエネルギー軌道の電子が、光増感剤から、光開始剤の最低空分子軌道(LUMO)に容易に移動され、というのは、これは、発熱プロセスを表すからである。プロセスが、代わりにわずかに吸熱であっても(すなわち、光増感剤の還元電位が、光開始剤の還元電位より0.1ボルトまで負でも)、周囲の熱活性化が、そのような小さいバリヤを容易に克服することができる。
【0059】
類似して、電子供与体化合物の酸化電位が、光増感剤の酸化電位より正でない(またはより負である)場合、電子供与体化合物のHOMOから光増感剤の軌道空格子点に移動する電子が、より高い電位からより低い電位に移動しており、これは、また、発熱プロセスを表す。プロセスがわずかに吸熱であっても(すなわち、光増感剤の酸化電位が、電子供与体化合物の酸化電位より0.1ボルトまで正でも)、周囲の熱活性化が、そのような小さいバリヤを容易に克服することができる。
【0060】
光増感剤の還元電位が、光開始剤の還元電位より0.1ボルトまで負であるか、光増感剤の酸化電位が、電子供与体化合物の酸化電位より0.1ボルトまで正である、わずかに吸熱の反応は、光開始剤または電子供与体化合物が、最初に、励起状態の光増感剤と反応するかに関わらず、あらゆる場合に発生する。光開始剤または電子供与体化合物が、励起状態の光増感剤と反応しているとき、反応が、発熱であるか、ほんのわずかに吸熱であることが好ましい。光開始剤または電子供与体化合物が、光増感剤イオンラジカルと反応しているとき、発熱反応が依然として好ましいが、さらに吸熱の反応が、多くの場合、発生することを期待することができる。したがって、光増感剤の還元電位は、第2の反応すべき光開始剤の還元電位より0.2ボルト(以上)まで負であることができるか、光増感剤の酸化電位は、第2の反応すべき電子供与体化合物の酸化電位より0.2ボルト(以上)まで正であることができる。
【0061】
適切な電子供与体化合物としては、たとえば、ディー・エフ・イートン(D.F.Eaton)、光化学の進歩(Advances in Photochemistry)、ビー・ボーマン(B.Voman)ら編集、第13巻、pp.427〜488、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)(1986);オックスマン(Oxman)ら、米国特許第6,025,406号明細書、7欄、42〜61行;およびパラッツォット(Palazzotto)ら、米国特許第5,545,676号明細書、4欄、14行から5欄、18行に記載されたものが挙げられる。そのような電子供与体化合物としては、アミン(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリフェニルアミン(ならびにそのトリフェニルホスフィンおよびトリフェニルアルシン類似体を含む)、アミノアルデヒド、およびアミノシラン)、アミド(ホスホルアミドを含む)、エーテル(チオエーテルを含む)、尿素(チオ尿素を含む)、スルフィン酸およびそれらの塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサントゲン酸塩の塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、(アルキル)n(アリール)mボレート(n+m=4)の塩(テトラアルキルアンモニウム塩が好ましい)、SnR4化合物(ここで、各Rは、アルキル基、アラルキル(特にベンジル)基、アリール基、およびアルカリール基の中から独立して選択される)(たとえば、n−C37Sn(CH33、(アリル)Sn(CH33、および(ベンジル)Sn(n−C373のような化合物)、フェロセンなどのさまざまな有機金属化合物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。電子供与体化合物は、1つ以上の妨げない置換基と、非置換であることができるか、置換することができる。特に好ましい電子供与体化合物は、電子供与体原子(窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子など)と、電子供与体原子に対してアルファの炭素原子またはケイ素原子に結合された引抜き可能な水素原子とを含有する。
【0062】
好ましいアミン電子供与体化合物としては、アルキル−、アリール−、アルカリール−、およびアラルキル−アミン(たとえば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリエタノールアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、o−、m−、およびp−トルイジン、ベンジルアミン、アミノピリジン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ピペラジン、4,4’−トリメチレンジピペリジン、4,4’−エチレンジピペリジン、p−N,N−ジメチル−アミノフェンエタノール、およびp−N−ジメチルアミノベンゾニトリル);アミノアルデヒド(たとえば、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジエチルアミノベンズアルデヒド、9−ジュロリジンカルボキシアルデヒド、および4−モルホリノベンズアルデヒド);およびアミノシラン(たとえば、トリメチルシリルモルホリン、トリメチルシリルピペリジン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(メチルシリル)アミン、トリス(ジメチルシリル)アミン、ビス(ジメチルシリル)アミン、N,N−ビス(ジメチルシリル)アニリン、N−フェニル−N−ジメチルシリルアニリン、およびN,N−ジメチル−N−ジメチルシリルアミン);ならびにそれらの混合物が挙げられる。第三級芳香族アルキルアミン、特に芳香環上に少なくとも1つの電子求引基を有するものが、特に良好な貯蔵安定性をもたらすことがわかっている。良好な貯蔵安定性は、また、室温で固体であるアミンを使用して得られている。良好な写真速度が、1つ以上のジュロリジニル部分を含有するアミンを使用して得られている。
【0063】
好ましいアミド電子供与体化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−フェニルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサエチルホスホルアミド、ヘキサプロピルホスホルアミド、トリモルホリノホスフィンオキシド、トリピペリジノホスフィンオキシド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
好ましいアルキルアリールボレート塩としては、
Ar3-(n−C49)N+(C254
Ar3-(n−C49)N+(CH34
Ar3-(n−C49)N+(n−C494
Ar3-(n−C49)Li+
Ar3-(n−C49)N+(C6134
Ar3-−(C49)N+(CH33(CH22CO2(CH22CH3
Ar3-−(C49)N+(CH33(CH22OCO(CH22CH3
Ar3-−(sec−C49)N+(CH33(CH22CO2(CH22CH3
Ar3-−(sec−C49)N+(C6134
Ar3-−(C49)N+(C8174
Ar3-−(C49)N+(CH34
(p−CH3O−C643-(n−C49)N+(n−C494
Ar3-−(C49)N+(CH33(CH22OH
ArB-(n−C493+(CH34
ArB-(C253+(CH34
Ar2-(n−C492+(CH34
Ar3-(C49)N+(C494
Ar4-+(C494
ArB-(CH33+(CH34
(n−C494-+(CH34
Ar3-(C49)P+(C494
(ここで、Arは、フェニル基、ナフチル基、置換(好ましくはフルオロ置換)フェニル基、置換ナフチル基、およびより大きい数の縮合芳香環を有する同様の基である)、ならびにテトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレートおよびテトラブチルアンモニウムn−ヘキシル−トリス(3−フルオロフェニル)ボレート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーション(Ciba Specialty Chemicals Corporation)からCGI437およびCGI746として入手可能)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
適切なエーテル電子供与体化合物としては、4,4’−ジメトキシビフェニル、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2,4,5−テトラメトキシベンゼンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。適切な尿素電子供与体化合物としては、N,N’−ジメチル尿素、N,N−ジメチル尿素、N,N’−ジフェニル尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−ブチルチオ尿素、N,N−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジエチルチオ尿素など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
フリーラジカルで誘起された反応のための好ましい電子供与体化合物としては、1つ以上のジュロリジニル部分を含有するアミン、アルキルアリールボレート塩、および芳香族スルフィン酸の塩が挙げられる。しかし、そのような反応の場合、必要ならば(たとえば、光反応性組成物の貯蔵安定性を向上させるため、または解像度、コントラスト、および相反性を修正するため)、電子供与体化合物を省くこともできる。酸で誘起された反応のための好ましい電子供与体化合物としては、4−ジメチルアミノ安息香酸、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、4−ジメチルアミノフェネチルアルコール、および1,2,4−トリメトキシベンゼンが挙げられる。
【0067】
2成分光開始剤系および3成分光開始剤系のための光開始剤
光反応性組成物の反応種のための適切な光開始剤(すなわち、電子受容体化合物)としては、光増感剤の電子励起状態から電子を受容することによって光増感することができ、少なくとも1つのフリーラジカルおよび/または酸の形成をもたらすことができるものが挙げられる。そのような光開始剤としては、ヨードニウム塩(たとえば、ジアリールヨードニウム塩)、クロロメチル化トリアジン(たとえば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、および2−アリール−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン)、ジアゾニウム塩(たとえば、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはニトロなどの基で任意に置換されたフェニルジアゾニウム塩)、スルホニウム塩(たとえば、アルキル基またはアルコキシ基と任意に置換され、かつ隣接したアリール部分を架橋する2,2’オキシ基を任意に有するトリアリールスルホニウム塩)、アジニウム塩(たとえば、N−アルコキシピリジニウム塩)、およびトリアリールイミダゾリルダイマー(好ましくは、アルキル、アルコキシ、またはハロなどの基で任意に置換された、2,2’,4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾールなどの2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマー)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0068】
光開始剤は、好ましくは反応種に可溶性であり、好ましくは貯蔵安定性である(すなわち、光増感剤および電子供与体化合物の存在下で反応種に溶解したとき反応種の反応を自然に促進しない)。したがって、上述されたように、特定の光開始剤の選択は、ある程度、選択された特定の反応種、光増感剤、および電子供与体化合物によることができる。反応種が、酸で開始された化学反応を受けることができる場合、光開始剤は、オニウム塩(たとえば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはジアゾニウム塩)である。
【0069】
適切なヨードニウム塩としては、パラッツォット(Palazzotto)ら、米国特許第5,545,676号明細書、2欄、28から46行に記載されたものが挙げられる。適切なヨードニウム塩が、また、米国特許第3,729,313号明細書、米国特許第3,741,769号明細書、米国特許第3,808,006号明細書、米国特許第4,250,053号明細書、および米国特許第4,394,403号明細書に記載されている。ヨードニウム塩は、単塩(たとえば、Cl-、Br-、I-、またはC45SO3-などのアニオンを含有する)または金属錯体塩(たとえば、SbF6-、PF6-、BF4-、テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、SbF5OH-またはAsF6-を含有する)であることができる。必要ならば、ヨードニウム塩の混合物を使用することができる。
【0070】
有用な芳香族ヨードニウム錯体塩光開始剤の例としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート;ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;およびジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなど;ならびにそれらの混合物が挙げられる。芳香族ヨードニウム錯体塩を、ベルリンガー(Beringer)ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)81、342(1959)の教示に従って、対応する芳香族ヨードニウム単塩(たとえば、ジフェニルヨードニウムビサルフェートなど)のメタセシスによって調製することができる。
【0071】
好ましいヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、およびジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートなど)、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(たとえば、サートマー・カンパニー(Sartomer Company)から入手可能なサーカト(SARCAT)SR1012)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
有用なクロロメチル化トリアジンとしては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−メチル−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを含む、米国特許第3,779,778号明細書(スミス(Smith)ら)、8欄、45〜50行に記載されたもの、ならびに米国特許第3,987,037号明細書および米国特許第3,954,475号明細書(ボナム(Bonham)ら)に開示されたより好ましい発色団置換ビニルハロメチル−s−トリアジンが挙げられる。
【0073】
有用なジアゾニウム塩としては、外部ジアゾニウム基(−N+=N)を有する感光性芳香族部分(たとえば、ピロリジン、モルホリン、アニリン、およびジフェニルアミン)と、それと関連したアニオン(たとえば、塩化物、トリ−イソプロピルナフタレンスルホネート、テトラフルオロボレート、およびビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)メチド)とを含む、米国特許第4,394,433号明細書(ガツケ(Gatzke))に記載されたものが挙げられる。有用なジアゾニウムカチオンの例としては、1−ジアゾ−4−アニリノベンゼン、N−(4−ジアゾ−2,4−ジメトキシフェニル)ピロリジン、1−ジアゾ−2,4−ジエトキシ−4−モルホリノベンゼン、1−ジアゾ−4−ベンゾイルアミノ−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリノ、4−ジアゾ−1−ジメチルアニリン、1−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、1−ジアゾ−4−N−メチル−N−ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
【0074】
有用なスルホニウム塩としては、米国特許第4,250,053号明細書(スミス(Smith))、1欄、66行から4欄、2行に記載されたものが挙げられ、これらは、下記式
【化2】

(ここで、R1、R2、およびR3は、各々、約4から約20の炭素原子を有する芳香族基(たとえば、置換または非置換フェニル、ナフチル、チエニル、およびフラニル、ここで、置換は、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲンなどのような基によることができる)、および1から約20の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択される)によって表すことができる。ここで使用されるように、「アルキル」という用語は、置換アルキル(たとえば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールのような基で置換された)を含む。R1、R2、およびR3の少なくとも1つが、芳香族であり、好ましくは、各々、独立して芳香族である。Zは、共有結合、酸素、硫黄、−S(=O)−、−C(=O)−、−(O=)S(=O)−、および−N(R)−からなる群から選択され、ここで、Rは、アリール(フェニルなどの、約6から約20の炭素の)、アシル(アセチル、ベンゾイルなどの、約2から約20の炭素の)、炭素間結合、または−(R4−)C(−R5)−であり、ここで、R4およびR5は、水素、1から約4の炭素原子を有するアルキル基、および約2から約4の炭素原子を有するアルケニル基からなる群から独立して選択される。X-は、以下で説明されるようにアニオンである。
【0075】
スルホニウム塩のための(および他のタイプの光開始剤のいずれかのための)適切なアニオン、X-としては、たとえば、イミドアニオン、メチドアニオン、ホウ素中心アニオン、リン中心アニオン、アンチモン中心アニオン、ヒ素中心アニオン、およびアルミニウム中心アニオンなどの、さまざまなアニオンタイプが挙げられる。
【0076】
適切なイミドアニオンおよびメチドアニオンの、例示的であるが限定しない例としては、(C25SO22-、(C49SO22-、(C817SO23-、(CF3SO23-、(CF3SO22-、(C49SO23-、(CF3SO22(C49SO2)C-、(CF3SO2)(C49SO2)N-、((CF32NC24SO22-、(CF32NC24SO2-(SO2CF32、(3,5−ビス(CF3)C63)SO2-SO2CF3、C65SO2-(SO2CF32、C65SO2-SO2CF3などが挙げられる。このタイプの好ましいアニオンとしては、式(RfSO23-によって表されるものが挙げられ、ここで、Rfは、1から約4の炭素原子を有するペルフルオロアルキルラジカルである。
【0077】
適切なホウ素中心アニオンの、例示的であるが限定しない例としては、F4-、(3,5−ビス(CF3)C634-、(C654-、(p−CF3644-、(m−CF3644-、(p−FC644-、(C653(CH3)B-、(C653(n−C49)B-、(p−CH3643(C65)B-、(C653FB-、(C653(C65)B-、(CH32(p−CF3642-、(C653(n−C1837O)B-などが挙げられる。好ましいホウ素中心アニオンは、一般に、ホウ素に付着された3以上のハロゲン置換芳香族炭化水素ラジカルを含有し、フッ素が最も好ましいハロゲンである。好ましいアニオンの、例示的であるが限定しない例としては、(3,5−ビス(CF3)C634-、(C654-、(C653(n−C49)B-、(C653FB-、および(C653(CH3)B-が挙げられる。
【0078】
他の金属中心またはメタロイド中心を含有する適切なアニオンとしては、たとえば、(3,5−ビス(CF3)C634Al-、(C654Al-、(C6524-、(C65)F5-、F6-、(C65)F5Sb-、F6Sb-、(HO)F5Sb-、およびF6As-が挙げられる。先のリストは、余すところがないことが意図されず、というのは、他の有用なホウ素中心非求核性塩、および他の金属またはメタロイドを含有する他の有用なアニオンが、当業者には(先の一般式から)容易に明らかであろうからである。
【0079】
好ましくは、アニオン、X-は、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、およびヒドロキシペンタフルオロアンチモネートから選択される(たとえば、エポキシ樹脂などのカチオン反応種とともに使用するために)。
【0080】
適切なスルホニウム塩光開始剤の例としては、
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート
トリトリスルホニウム(tritolysulfonium)ヘキサフルオロホスフェート
アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリ(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート
4−アセトニルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
4−チオメトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
ジ(ニトロフェニル)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
p−(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
10−メチルフェノキサンテニウム(methylphenoxanthenium)ヘキサフルオロホスフェート
5−メチルチアントレニウム(methylthianthrenium)ヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウム(dimethylthioxanthenium)ヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9−オキソチオキサントレニウム(oxothioxanthrenium)テトラフルオロボレート
5−メチル−10−オキソチアントレニウム(oxothianthrenium)テトラフルオロボレート
5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウム(dioxothianthrenium)ヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。
【0081】
好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(たとえば、サートマー・カンパニーから入手可能なサーカトSR1010)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(たとえば、サートマー・カンパニーから入手可能なサーカトSR1011)、およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(たとえば、サートマー・カンパニーから入手可能なサーカトKI85)などのトリアリール置換塩が挙げられる。
【0082】
有用なアジニウム塩としては、米国特許第4,859,572号明細書(ファリド(Farid)ら)、8欄、51行から9欄、46行に記載されたものが挙げられ、これらは、ピリジニウム部分、ジアジニウム部分、またはトリアジニウム部分などのアジニウム部分を含む。アジニウム部分は、アジニウム環と縮合された、1つ以上の芳香環、典型的には炭素環式芳香環(たとえば、キノリニウム部分、イソキノリニウム部分、ベンゾジアジニウム部分、およびナフトジアゾニウム部分)を含むことができる。アジニウム環中の窒素原子の四基化(quaternizing)置換基を、光増感剤の電子励起状態からアジニウム光開始剤への電子移動時にフリーラジカルとして放出することができる。1つの好ましい形態において、四基化置換基はオキシ置換基である。アジニウム部分の環窒素原子を四基化する(quaternizes)オキシ置換基、−O−Tは、さまざまな合成的に好都合なオキシ置換基の中から選択することができる。部分Tは、たとえば、メチル、エチル、ブチルなどのアルキルラジカルであることができる。アルキルラジカルは置換することができる。たとえば、アラルキル(たとえば、ベンジルおよびフェネチル)およびスルホアルキル(たとえば、スルホメチル)ラジカルが有用であることができる。別の形態において、Tは、−OC(O)−T1ラジカルなどのアシルラジカルであることができ、ここで、T1は、上述されたさまざまなアルキルラジカルおよびアラルキルラジカルのいずれかであることができる。さらに、T1は、フェニルまたはナフチルなどのアリールラジカルであることができる。アリールラジカルは置換することができる。たとえば、T1は、トリルラジカルまたはキシリルラジカルであることができる。Tは、典型的には1から約18の炭素原子を含有し、上の各場合におけるアルキル部分は、好ましくは低級アルキル部分であり、各場合におけるアリール部分は、好ましくは約6から約10の炭素原子を含有する。オキシ置換基、−O−Tが、1または2の炭素原子を含有するとき、最大活性レベルが実現されている。アジニウム核は、四基化置換基以外の置換基を含まない必要がある。しかし、他の置換基の存在は、これらの光開始剤の活性に有害ではない。
【0083】
有用なトリアリールイミダゾリルダイマーとしては、米国特許第4,963,471号明細書(トラウト(Trout)ら)、8欄、18〜28行に記載されたものが挙げられる。これらのダイマーとしては、たとえば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−1,1’−ビイミダゾール;2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール;および2,5−ビス(o−クロロフェニル)−4−[3,4−ジメトキシフェニル]−1,1’−ビイミダゾールが挙げられる。
【0084】
好ましい光開始剤としては、ヨードニウム塩(より好ましくは、アリールヨードニウム塩)、クロロメチル化トリアジン、トリアリールイミダゾリルダイマー(より好ましくは、2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマー)、スルホニウム塩、およびジアゾニウム塩が挙げられる。アリールヨードニウム塩、クロロメチル化トリアジン、および2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーが、より好ましい(アリールヨードニウム塩およびトリアジンが最も好ましい)。
【0085】
無機粒子
本発明の組成物での使用に適した粒子は、サイズがサブミクロンであり、化学的組成物中実質的に無機であり、有機/無機ハイブリッド樹脂の光重合に用いられる光の波長において大部分透明である。そのような粒子としては、Al23、ZrO2、TiO2、ZnO、およびSiO2などの金属酸化物、ならびに他の十分に透明な非酸化物セラミック材料が挙げられるが、これらに限定されない。無機粒子を選択する際の付加的な考慮事項が、材料を高密度の無機構造に焼結することができる温度である。好ましくは、粒子はほぼ球状である。
【0086】
コロイドシリカが、本発明での使用に好ましい粒子であるが、他のコロイド金属酸化物(たとえば、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、およびそれらの混合物)も使用することができる。コロイド粒子は、シリカなどの十分な透明性を有する1つの酸化物を本質的に含むことができるか、別のタイプの酸化物、優先的にシリカが上に堆積された、1タイプの酸化物のコア(または金属酸化物以外の材料のコア)を含むことができる。あるいは、それらは、より小さい粒子のクラスターから構成することができる。一般に、粒子またはクラスターは、組成物をフォトパターニングするのに用いられる光の波長より小さく、サイズ(平均粒径)が、約1ナノメートルから約1ミクロン、好ましくは約5ナノメートルから約300ナノメートル、より好ましくは約10ナノメートルから約150ナノメートルであることができる。指定されたサイズ範囲を有するコロイド粒子を光反応性組成物に組入れることは、実質的に透明な、均質な組成物をもたらす。そのような組成物は、フォトパターニングプロセスの間に光の散乱を最小にし、1ミクロン未満の解像度を有する構造の準備を考慮する。透明な無機粒子に加えて、付加的な特性およびまたは機能を製造された構造に与えるために、小量の他のタイプの粒子を組成物に加えることができる。そのような粒子としては、吸収粒子、ならびに磁気特性、圧電特性、生体適合性強誘電性特性、蛍光特性、およびルミネセンス特性を有する粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
コロイド粒子が、サイズが比較的均一であり、かつ実質的に非凝集のままであることが好ましく、というのは、粒子凝集が、沈殿、ゲル化(gellation)、またはゾル粘度の著しい増加をもたらすことがあるからである。実質的に単分散のまたは実質的に二峰性のサイズ分布を有する粒子を含む光反応性組成物が好ましい。したがって、本発明の組成物を調製する際に使用するための特に望ましい種類の粒子としては、ほぼ球状の無機粒子のゾル(たとえば、液体媒体中のほぼ球状の無機粒子のコロイド分散系)、特にアモルファスシリカのゾルが挙げられる。そのようなゾルは、さまざまな技術によって、さまざまな形態で調製することができ、ヒドロゾル(水が液体媒体として働く)、オルガノゾル(有機液体が使用される)、および混合ゾル(液体媒体が水および有機液体の両方を含む)が挙げられる。たとえば、米国特許第2,801,185号明細書(アイラー(Iler))および米国特許第4,522,958号明細書(ダス(Das)ら、ならびにアール・ケイ・アイラー(R.K.Iler)、シリカの化学的性質(The Chemistry of Silica)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク(New York)(1979)に示された技術および形態の記載を参照のこと。
【0088】
それらの表面化学および市販性によって、シリカヒドロゾルが、本発明の組成物を調製する際に使用するのに好ましい。そのようなヒドロゾルは、たとえば、メリーランド州アシュランドのニャコル・プロダクツ・インコーポレイテッド(Nyacol Products, Inc. in Ashland, MD)、イリノイ州オークブルックのナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Company in Oakbrook, IL)、およびデラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. dupont de Nemours and Company in Wilmington, DE)から、さまざまな粒子サイズおよび濃度で入手可能である。水中のシリカ約10から約50重量パーセントの濃度が、一般に有用であり、約30から約50重量パーセントの濃度が好ましい(除去すべき水がより少ないので)。必要ならば、たとえば、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を酸で約8または9のpHに部分的に中和することによって(溶液の結果として生じるナトリウム含有量が、酸化ナトリウムを基準にして約1重量パーセント未満であるように)、シリカヒドロゾルを調製することができる。シリカヒドロゾルを調製する他の方法、たとえば、電気透析、ケイ酸ナトリウムのイオン交換、ケイ素化合物の加水分解、および元素ケイ素の溶解が、上記のアイラー(Iler)によって説明されている。
【0089】
反応性樹脂ゾルの調製は、一般に、樹脂中の粒子の分散性を助けるように、無機粒子の表面の少なくとも一部を改質することを必要とする。この表面改質は、当該技術において知られているさまざまな異なった方法によって行うことができる。(たとえば、米国特許第2,801,185号明細書(アイラー(Iler))および米国特許第4,522,958号明細書(ダス(Das)ら)に記載された表面改質技術を参照のこと)。
【0090】
たとえば、粒子の表面上のシラノール基がヒドロキシル基と化学的に結合して、表面結合されたエステル基を生成するような条件下で、シリカ粒子を、一価アルコール、ポリオール、またはそれらの混合物(好ましくは、飽和第一級アルコール)で処理することができる。シリカ(または他の金属酸化物)粒子の表面を、オルガノシラン、たとえば、アルキルクロロシラン、トリアルコキシアリールシラン、もしくはトリアルコキシアルキルシラン、または、化学結合(共有結合またはイオン)もしくは強い物理的結合によって粒子の表面に付着することができ、かつ選択された樹脂と化学的に適合性がある他の化学化合物、たとえば、オルガノチタネートで処理することもできる。オルガノシランでの処理が一般に好ましい。芳香環含有エポキシ樹脂が使用される場合、また少なくとも1つの芳香環を含有する表面処理剤が、一般に樹脂と適合性があり、したがって、好ましい。同様に、他の金属酸化物を有機酸(たとえば、オレイン酸)で処理することができるか、または、有機酸を分散剤として組成物に組入れることができる。
【0091】
反応性樹脂ゾルを調製する際に、ヒドロゾル(たとえば、シリカヒドロゾル)を、一般に、水混和性有機液体(たとえば、アルコール、エーテル、アミド、ケトン、またはニトリル)と組合せることができ、任意に(アルコールが有機液体として使用される場合)、オルガノシランまたはオルガノチタネートなどの表面処理剤と組合せることができる。アルコールおよび/または表面処理剤は、一般に、粒子の表面の少なくとも一部が、(反応性樹脂と組合されると)安定した反応性樹脂ゾルの形成を可能にするのに十分に改質されるような量で使用することができる。好ましくは、アルコールおよび/または処理剤の量は、少なくとも約50重量パーセントの金属酸化物(たとえば、シリカ)、より好ましくは、少なくとも約75重量パーセントの金属酸化物である粒子を提供するように選択される。(アルコールを、希釈剤および処理剤の両方として働くのに十分な量で加えることができる。)次に、結果として生じる混合物を、加熱して、蒸留または共沸蒸留によって水を除去することができ、次に、たとえば約100℃の温度で、たとえば約24時間の期間維持して、アルコールおよび/または他の表面処理剤と粒子の表面上の化学基との反応(または他の相互作用)を可能にすることができる。これは、表面付着または表面結合された有機基を有する粒子(ここで「実質的に無機の」粒子とも呼ばれる)を含むオルガノゾルを提供する。
【0092】
次に、結果として生じるオルガノゾルを反応性樹脂と組合せることができ、たとえば回転蒸発器を使用することによって、有機液体を除去することができる。好ましくは、有機液体を、真空下で、堅く結合された揮発性成分さえ除去するのに十分な温度に加熱することによって除去する。ストリッピング時間および温度を、一般に、揮発性成分の除去を最大にし、樹脂の進行を最小にするように選択することができる。
【0093】
光反応性組成物の調製
硬化性種および任意に非硬化性種、無機粒子、ならびに光開始剤系の成分を、上述された方法、または当該技術において知られている他の方法によって調製することができる。これらの成分を、「安全光」条件下で、組合せのいかなる順序および態様を用いて(任意に、撹拌またはかき混ぜを伴って)組合せることができるが、(貯蔵寿命および熱安定性の観点から)電子受容体を最後に(および他の成分の溶解を容易にするために任意に用いられるいかなる加熱工程後に)加えることが好ましいことがある。溶媒が組成物の成分とかなり反応しないように選択されるのであれば、必要ならば、溶媒を使用することができる。適切な溶媒としては、たとえば、メチルイソブチルケトン、ジクロロエタン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、アセトニトリル、およびテトラヒドロフランが挙げられるが、これらに限定されない。反応種自体も、時には、他の成分の溶媒として働くことができる.
【0094】
光反応性組成物は、室温において一般に約15,000センチポアズより大きい粘度と、1ヘルツの剪断速度とを有し、基材への組成物の制御された付与を容易にする。
【0095】
光開始剤系の成分は、光化学的に効果的な量(上で規定されたような)で存在する。一般に、光反応性樹脂組成物の有機フラクションは、組成物中の固形分の総重量(すなわち、溶媒以外の成分の総重量)を基準にして、1つ以上の反応種約5重量%から約99.79重量%(好ましくは約10%から約99.79%、より好ましくは約20%から約99.79%)、1つ以上の光増感剤約0.01重量%から約10重量%(好ましくは約0.1%から約5%、より好ましくは約0.2%から約2%)、1つ以上の電子供与体化合物約10重量%まで(好ましくは約0.1%から約10%、より好ましくは約0.1%から約5%)、および1つ以上の電子受容体約0.1重量%から約10重量%(好ましくは約0.1%から約5%)を含有する。シリカの場合、無機粒子は、一般にポリマー組成物の約20重量%から80重量%を表し、好ましくは組成物の約50重量%から70重量%を表し、組成物の65体積%までを構成することができる。ポリマー成分(すなわち、反応種)は、典型的には約30重量%から約50重量%を表す。しかし、これらの範囲内の適切な調整が、密度が変わるにつれて、無機粒子に必要である。
【0096】
光規定された無機構造の所望の最終用途、またはフォトパターニング前の光反応性樹脂の所望の物理特性によって、さまざまな他の材料を光反応性組成物に加えることができる。そのような材料としては、溶媒、希釈剤、染料、有機金属前駆体、およびチキソトロピー剤を挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかのドーパントも、パターニングされた有機/無機ナノコンポジットの熱分解から形成された多孔性無機構造に、構造の空隙体積を充填することによって加えることができる。
【0097】
そのような加えられる材料の量およびタイプ、ならびにそれらが加えられる態様は、当業者には明らかであろう。たとえば、粘度を制御するために、およびフィルム形成特性をもたらすために、非反応性ポリマーバインダーを組成物に含めることは、本発明の範囲内である。そのようなポリマーバインダーは、一般に、反応種と適合性があるように選択することができる。たとえば、反応種に使用される同じ溶媒に可溶性であり、かつ、反応種の反応の過程に悪影響を及ぼすことがある官能基のないポリマーバインダーを使用することができる。バインダーは、所望のフィルム形成特性および溶液レオロジーを達成するのに適した分子量(たとえば、約5,000から1,000,000ダルトン、好ましくは約10,000から500,000ダルトン、より好ましくは約15,000から250,000ダルトンの分子量)のものであることができる。適切なポリマーバインダーとしては、たとえば、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン)−コ−(アクリロニトリル)、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。適切な非反応性ポリマーバインダーが存在する場合、組成物全体の20重量%まで、好ましくは10重量%まで、より好ましくは5重量%まで、組成物に含めることができる。
【実施例】
【0098】
特に明記しない限り、実施例に使用された化学物質は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co., Milwaukee,WI)から市販された。ホウ酸塩(Borate salt)は、ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals, Tarrytown, NY)から商品名CGI7460で市販された。ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート塩は、ペンシルバニア州ウェストチェスターのサートマー・カンパニー(Sartomer Company, West Chester, PA)から商品名CD1012で市販された。
【0099】
調製実施例1
増感染料、ビス−[4−(ジフェニルアミノ)ストリル(stryl)]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼンを、次の通りに調製した。
【化3】

【0100】
1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(1)
4−メトキシフェノール(100.0g、0.8mol)と、乾燥炭酸カリウム(166.7g、1.2mol)と、アセトニトリル(800mL)と、2−エチルヘキシルブロミド(173.8g、0.9mol)との混合物を、4日間還流において機械的に撹拌し加熱した。冷却後、混合物を水(1.5L)で希釈し、次に、有機相を分離した。水性層をヘキサンで抽出し、組合された有機層を、1.0M NaOHおよび水で2回洗浄した。MgSO4での乾燥後、溶媒を減圧下で除去して、橙色油を生じさせた。未加工の生成物を減圧下で蒸留して、透明な油152g(80%)を生じさせた。(0.4mmHgにおけるbp135〜138℃)。
【0101】
2,5−ビス(ブロモメチル)−1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(2)
1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(50.0g、0.21mol)と、パラホルムアルデヒド(30.0g、1mol)と、酢酸(100mL)と、HBr(酢酸中30%、100mL)との混合物を、70℃に加熱した。反応は80℃に発熱し(exothermed)パラホルムアルデヒドは完全に溶解して、橙色溶液を生じた。70℃で4時間後、反応を室温に冷却した。混合物を塩化メチレン(500mL)で希釈し、有機層を水で3回洗浄し、飽和NaHCO3で1回洗浄した。MgSO4で乾燥後、溶媒を真空下で除去した。淡黄色固体が得られ、これを、ヘキサンから再結晶させて、黄色/白色粉末(71.6g、81%)を生じさせた。あるいは、2,5−ビス(コロロメチル(choloromethyl))−1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンを、米国特許第5,189,136号明細書の手順に従って合成することができる。
【0102】
ホスフィン誘導体(3)
2,5−ビス(コロロメチル(choloromethyl))−1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(28.26g、85mmol)と、亜リン酸トリエチル(37.4g、0.23mol)との混合物を、加熱して、6時間還流させた。冷却後、生成物を高真空下で加熱して、残留亜リン酸トリエチルを除去した。濃い油が得られ、これは、数日後ゆっくり結晶化し、さらに精製せずに次の工程で使用された。
【0103】
ビス−[4−(ジフェニルアミノ)ストリル(stryl)]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼン(4)
ホスフィン誘導体(3)(11.60g、21.7mmol)と、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド(12.34g、45.1mmol)と、乾燥テトラヒドロフラン(400mL)との混合物に、カリウムt−ブトキシド(テトラヒドロフラン中1.0M、44mL、44mmol)を滴状に加えた。混合物を3時間室温で撹拌し、次に溶媒を真空(vaccum)下で除去した。水(100mL)を残留物に加え、混合物を塩化メチレンで数回抽出した。組合された有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。未加工の生成物を、カラムクロマトグラフィによってシリカゲル上で30/70の塩化メチレン/ヘキサンを使用して精製して、鮮緑色固体(14.44g、86%)を生じさせた。
【0104】
調製実施例2
さまざまなサイズのコロイドシリカを含有するシリカ−エポキシゾルの調製を説明する。
【0105】
配合物A
ナルコ(NALCO)2327溶液(イリノイ州ベドードパークのオンデオ・ナルコ(Ondeo Nalco, Bedord Park, IL)の水性分散系中の直径約20nmの41%のシリカ)245グラムを、丸底フラスコ内に、中程度のかき混ぜ下に置いた。1−メトキシ−2−プロパノール500グラムとトリメトキシフェニルシラン(シリカ1グラムあたりシラン0.62mモル)12.34グラムとの予め混合された溶液を、5〜10分の期間にわたって加えた。結果として生じる非凝集溶液を、90〜95℃で約22時間加熱し、次に乾燥させて、白色粉末をもたらした。処理されたシリカを脱イオン水に加え(シリカ100グラム対水300グラム)、3〜4時間強力に撹拌し、次に、室温で一晩放置させた。シリカを濾過して分離し、脱イオン水のさらなるすすぎで十分に洗浄し、乾燥させた。
【0106】
処理されたシリカを、5分間3/4速度に設定された高剪断シルバーソン(Silverson)L4Rミキサを使用してアセトン中に分散させた(20〜25%の固形分)。結果として生じる分散系をカバーし、最小2時間放置させた。分散系を、1ミクロンゲルマン・アクロディスク(Gelman acrodisc)25mmガラス繊維シリンジフィルタを通して濾過し、パーセントシリカ固形分を定めた。重量による処理されたシリカ固形分10グラムを含有する上記シリカ/アセトン混合物のサンプルを、ERL4221E(ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(DOW Chemical, Midland, MI))4.87グラムに加え、十分に混合し、回転蒸発器および油浴を使用してゆっくり加熱しながら、真空ストリッピングし、130℃の最終ストリッピング温度で30分間維持した。この混合物14.87グラムを、1,4−ブタンジオール(アルドリッチ・ケミカル・カンパニー)0.26グラムおよび蒸留されたヘロキシ(HELOXY)107(テキサス州ヒューストンのシェル・ケミカル(Shell Chemical, Houston, TX))1.54グラムとともに、20グラムのスピードミックスカップに入れ、10分間3000rpmでフラックテク・インコーポレイテッド(FlackTek Inc.)のDAC150FVZスピードミキサを使用して混合して、60重量%のシリカを含有するシリカ−エポキシゾルを生じさせた。
【0107】
配合物B
ナルコ(Nalco)TX11005(ロットXC1H0202A1)溶液(オンデオ・ナルコの水性分散系中の31%の123nmのシリカ粒子)200グラムを丸底フラスコに入れ、中程度のかき混ぜ下で、1−メトキシ−2−プロパノール400グラムとトリメトキシフェニルシラン(シリカ1グラムあたりシラン0.11mモル)1.35グラムとの予め混合された溶液を、5〜10分にわたって加えた。結果として生じる非凝集溶液を、90〜95℃で約22時間加熱し、次に乾燥させて、白色粉末をもたらした。処理されたシリカを脱イオン水に加え(シリカ100グラム対水300グラム)、3〜4時間強力に撹拌し、次に、室温で一晩放置させた。シリカを濾過して分離し、脱イオン水のさらなるすすぎで十分に洗浄し、乾燥させた。
【0108】
処理されたシリカを、5分間3/4速度に設定された高剪断シルバーソンL4Rミキサを使用してアセトン中に分散させた(20〜25%の固形分)。結果として生じる分散系をカバーし、最小2時間放置させ、その時点で、それを、1ミクロンゲルマン・アクロディスク25mmガラス繊維シリンジフィルタを通して濾過し、パーセントシリカ固形分を定めた。
【0109】
処理されたシリカ固形分10グラムを含有する上記シリカ/アセトン混合物のサンプルを、ERL4221e(ダウ・ケミカル)4.87グラムに加え、十分に混合し、回転蒸発器および油浴を使用してゆっくり加熱しながら、真空ストリッピングした。最終ストリッピング温度は、30分間130℃であった。この混合物14.87グラムを、1,4−ブタンジオール(アルドリッチ)0.26グラムおよびヘロキシ107(シェル・ケミカル−SMMD/3Mによって蒸留された)1.54グラムとともに、20グラムのスピードミックスカップに入れ、10分間3000rpmでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサを使用して混合した。60重量%の処理されたナノシリカを含有するシリカ−エポキシゾルが生じた。
【0110】
配合物C
約550nmのシリカの20.6%水性分散系(日本、堀川町の触媒化成工業株式会社(Catalyst and Chemical Ind. Co. LTD, Horikawa−Cho, Japan))100グラムを丸底フラスコに入れた。1−メトキシ−2−プロパノール200グラムを、中程度のかき混ぜ下で加え、その後、pHが8〜9になるまで、水性水酸化アンモニウムを滴状に加えた。いったんpHが8〜9に達すると、溶液を60℃で1時間反応させた。トリメトキシフェニルシラン(シリカ1グラムあたり0.1mモル)0.41グラムを加えた。溶液を90℃に加熱し、約22時間反応させた。反応溶液を室温に冷却して、ボトルに入れ、パーセント固形分を定めた。
【0111】
処理されたシリカ固形分10グラムを含有する上記処理されたナノシリカ溶液のサンプルを、ERL4221E4.87グラムに加え、十分に混合し、回転蒸発器および油浴を使用してゆっくり加熱しながら、真空ストリッピングした。最終ストリッピング温度は、30分間130℃であった。この混合物14.87グラムを、0.26グラムの1,4−ブタンジオール(アルドリッチ)および1.54グラムの蒸留されたヘロキシ107とともに、20グラムのスピードミックスカップに入れ、10分間3000rpmでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサを使用して混合し、60重量%の処理されたシリカを含有するシリカ−エポキシゾルをもたらした。
【0112】
配合物D
シルスター(SILSTAR)LE−05S(4.5±0.5ミクロン、約20ミクロンの最大粒度)100グラムを丸底フラスコに入れ、中程度のかき混ぜ下で、1−メトキシ−2−プロパノール100グラムおよび脱イオン水100グラムを加え、その後、pHが8〜9になるまで、水性水酸化アンモニウムを滴状に加えた。いったんpHが8〜9に達すると、溶液を60℃で1時間反応させた。トリメトキシフェニルシラン(シリカ1グラムあたり0.1mモルのシラン)1.984グラムを加えた。溶液を90℃に加熱し、約22時間反応させた。処理されたシリカを濾過して分離し、脱イオン水200グラムですすぎ、5時間空気乾燥させ、次に、3時間100℃で真空乾燥させた。
【0113】
上記乾燥粉末10グラムを、ERL−4221e4.87グラムと、1,4−ブタンジオール0.26グラムと、ヘロキシ107(シェル・ケミカル、SMMD/3Mによって蒸留された)1.54グラムとの混合物中に入れた。混合物を、5分間300rpmでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサを使用して高剪断混合し、60重量%の処理されたシリカを含有するシリカ−エポキシゾルをもたらした。
【0114】
配合物E
ナルコ2327溶液(オンデオ・ナルコの水性分散系中の41.8%のシリカ)900グラムを2リットルビーカーに入れ、pHが2〜3と測定される(COLORPHAST pH紙を使用して)まで、中程度のかき混ぜ下で、予め洗浄されたアンバーライト(Amberlite)IR−120プラスイオン交換樹脂をゆっくり加えた。30分間室温で撹拌した後、溶液を、10ミクロンのナイロンメッシュファブリックを通して濾過して、イオン交換樹脂を除去し、固形分を定めた(41.6%)。イオン交換されたナルコ2327溶液800グラムを丸底フラスコに入れ、中程度のかき混ぜ下で、脱イオン水(水の追加は、pHを上昇させるときゾルの凝集を防止する)230グラムを加え、その後、水性水酸化アンモニウムを滴状に加えて、pHを8〜9にした。これに、1−メトキシ−2−プロパノール1600グラムとトリメトキシフェニルシラン(シリカ1グラムあたりシラン0.62mモル)40.92グラムとの予め混合された溶液を、5〜10分にわたって加えた。結果として生じる非凝集溶液を、90〜95℃で約22時間加熱した。溶液のシリカ固形分を15.4重量%であると定めた。シリカ溶液390グラムを、ERL4221E(ダウ・ケミカル)36.0グラムに加え、十分に混合し、アスピレータおよび油浴とともに回転蒸発器を使用してゆっくり加熱しながら、真空ストリッピングした。最終ストリッピング温度(真空ポンプを使用する)は、45分間130℃であった。この混合物96グラムを、1,5−ペンタンジオール(アルドリッチ)4.0グラムとともに、100グラムのスピードミックスカップに入れ、10分間3000rpmでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサを使用して混合した。60重量%の処理されたナノシリカを含有するシリカ−エポキシゾルが生じた。
【0115】
配合物F
ナルコ2327溶液(オンデオ・ナルコの水性分散系中の41%の20nmのシリカ粒子)245グラムを丸底フラスコに入れ、中程度のかき混ぜ下で、1−メトキシ−2−プロパノール500グラムと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(アルドリッチ)(シリカ1グラムあたりシラン0.62mモル)15.47グラムとの予め混合された溶液を、5〜10分にわたって加えた。結果として生じる非凝集溶液を、85〜90℃で約20時間加熱し、次に空気乾燥させて、白色粉末をもたらした。処理されたシリカを脱イオン水に加え(シリカ100グラム対水300グラム)、3〜4時間強力に撹拌し、次に、室温で一晩放置させた。シリカを濾過して分離し、脱イオン水のさらなるすすぎで十分に洗浄し、乾燥させた。
【0116】
処理されたシリカを、5分間3/4速度に設定された高剪断シルバーソンL4Rミキサを使用してアセトン中に分散させた(20〜25%の固形分)。結果として生じる分散系をカバーし、最小2時間放置させ、その時点で、それを、1ミクロンゲルマン・アクロディスク25mmガラス繊維シリンジフィルタを通して濾過し、パーセントシリカ固形分を定めた。処理されたシリカ固形分10グラムを含有する上記処理されたナノシリカ/アセトン混合物のサンプルを、ビスフェノール−A−ビス−(3−メタクリラト(methacrylato)−2−ヒドロキシプロピル)エーテル(ビスGMA(bisGMA)、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニーから入手可能)2.67グラムに加え、アセトンのほぼ90%が除去されるまで、60℃でビュッヒ(Buchi)回転蒸発器上でウォータアスピレータおよび油浴を使用してストリッピングした。トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA、またアルドリッチ・ケミカル・カンパニーから入手可能)4グラムを加え、混合物を85℃に加熱し、アスピレータストリッピングを30分間続けた。アスピレータから真空ポンプに切替え、85℃で10分間ストリッピングすることによって、いかなる残りのアセトンも除去した。結果として生じる混合物を、10分間3000rpmでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサを使用してスピード混合した。60重量%の処理されたナノシリカを含有するシリカ−メタクリレート樹脂ゾルが生じた。
【0117】
実施例3
この実施例は、20nmのコロイドシリカを含有するシリカ−エポキシゾルのフォトパターニングを説明する。シリコンウェーハを、10分間、硫酸(H2O中の98%溶液)と過酸化水素(H2O中の30%溶液)との3:1混合物中に浸すことによってクリーニングし、脱イオン水で入念にすすぎ、イソプロパノールですすぎ、次に乾燥させた。基材への樹脂の接着を促進するために、ウェーハをエポキシ−シランカップリング剤で処理した。わずかに酸性の(pH4〜5)水性エタノール(ケンタッキー州シェルビービルのエーパー(Aaper, Shelbyville, KY))中の2−(3,4エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン(ペンシルバニア州タリータウンのゲレスト(Gelest,Tullytown, PA))2重量%溶液を調製した。ウェーハを、溶液中で約60秒間ディップコーティングし、無水エタノール(ニュージャージー州ギブズタウンのEMサイエンス(EM Science, Gibbstown, NJ))で簡単にすすいだ。次に、下塗りされたウェーハを一晩硬化させた。
【0118】
安全光条件下で作業して、樹脂固形分の重量を基準にして、0.6%のビス−[4−(ジフェニルアミノ)ストリル(stryl)]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼン(実施例1)と1.0%のCD1012とからなる光開始剤系を、小量の1:1比のテトラヒドロフラン(ミシガン州マスキーゴンのバーディック&ジャクソン(Burdick & Jackson, Muskegon, MI))および1,2ジクロロエタン(ニュージャージー州ギブズタウンのEMサイエンス)に予め溶解し、既知の量の配合物Eに加えた。十分な付加的な1,2−ジクロロエタンを混合物に加えて、65重量%の最終樹脂固形分含有量に達した。次に、樹脂を、2分間3000RPMでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサ内で混合した。硬化性組成物を、シリンジを使用して、エポキシ/シラン処理されたシリコンウェーハの中心上に分配し、2700rpmで60秒間スピンコーティングした。その後すぐ、コーティングされたシリコンウェーハを80℃のオーブン内で30分間軟焼成して、残留溶媒を蒸発させた。硬化性組成物は、厚さ約10ミクロンの滑らかな均一なフィルムを形成した。
【0119】
コーティングされたサンプルを、368nmでピーク強度を有するカール・ズース(Karl Suss)マスクアライナ(MJB3、バーモント州ウォーターベリーのカール・ズース・アメリカ・インコーポレイテッド(Karl Suss America, Inc., Waterbury, VT))を使用してフォトパターニングした。幅10μmのラインを有するクロム暗視野マスクを使用した。フォトパターニング条件は、25秒の露光時間、およびその後の110℃でのホットプレート上での5分の露光後焼成を含んだ。最後に、フィルムを、25秒間プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中で現像し、イソプロピルアルコール中ですすぎ、空気乾燥させた。走査型電子顕微鏡(SEM)を使用する検査は、フォトパターニングされたラインが、高さ約10±0.4ミクロンおよび幅10ミクロンであることを示した。頂面は、側壁よりわずかに滑らかであった。フォトパターニングされたラインの1つが、図2に示されている。
【0120】
実施例4
幅10ミクロン×厚さ約10ミクロンである、シリコン上のパターニングされた有機/無機ナノコンポジット導波管を備えたスライドを、実施例3で説明された同じエポキシ樹脂系、配合物Eを使用して準備した。次に、サンプルを、1℃分から700℃で2時間バルカン(Vulcan)炉(モデル#3−350、コネチカット州ブルームフィールドのデグサ−ネー(Degussa−Ney, Bloomfield, CT))内で加熱した。次に、炉を室温にゆっくり冷却させた。炉から取出した後の、光学顕微鏡での導波管の検査は、熱分解された導波管の新たな破壊を示さなかった。サンプルの1つを取出して、SEMを使用する検査のために、AuPdで軽くスパッタコーティングした。顕微鏡検査の結果は、パターニングされたラインの高さおよび幅の両方が約19%だけ減少したことを示した。シリコンウェーハへの良好な接着が観察された。2〜60nmの範囲内の細孔径が観察された。
【0121】
残りのパターニングされたサンプルを、5片に切断し分けた。1片を、焼結されたサンプルとの比較のために取っておいた。他の4サンプルを、それぞれ、メタノールに溶解したホウ酸のさまざまな濃度、メタノール中の、0.0M、0.05M、0.10M、および1.0Mのホウ酸で処理した。サンプルをホウ酸溶液中に1分間浸漬し、次に、新たなメタノールで迅速にすすいだ。サンプルを、乾燥した濾過された圧縮窒素の流れでブロー乾燥させた。次に、3つのホウ酸処理されたサンプルおよび対照サンプル(メタノール中の0.0Mのホウ酸)を、次の条件、すなわち、30分にわたって50℃から100℃に加熱し、30分間100℃で保持し、30分にわたって100℃から600℃に加熱し、1時間600℃で保持し、1時間にわたって600℃から1000℃に加熱し、6時間1000℃で保持し、6.5時間にわたって1000℃から50℃までの冷却することを用いて、石英管炉内で焼結した。サンプルを炉から取出し、光学顕微鏡で検査し、導波管ラインの新たな破壊がないことを確認した。
【0122】
実施例5
この実施例は、フォトパターニングされ熱分解された、さまざまな厚さのナノコンポジットフィルムの製造を説明する。
【0123】
溶融シリカ基材を、10分間、硫酸(H2O中の98%溶液)と過酸化水素(H2O中の30%溶液)との3:1混合物中に浸すことによってクリーニングし、脱イオン水で入念にすすぎ、イソプロパノールですすぎ、次に乾燥させた。基材への樹脂の接着を促進するために、溶融シリカ基材をエポキシ−シランカップリング剤で処理した。わずかに酸性の(pH4〜5)水性エタノール(ケンタッキー州シェルビービルのエーパー)中の2−(3,4エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン(ペンシルバニア州タリータウンのゲレスト)2重量%溶液を調製した。溶融シリカ基材を、溶液中で約60秒間ディップコーティングし、無水エタノール(ニュージャージー州ギブズタウンのEMサイエンス)で簡単にすすいだ。次に、下塗りされた基材を一晩室温で硬化させた。
【0124】
安全光条件下で作業して、3つの異なった溶液を、表1に記載されているように、調製し、スピンコーティングし、露光した。調製実施例2の配合物Aを、樹脂として使用した。サンプルE1およびE2を、10〜15分間80℃のオーブン内で軟焼成した。サンプルE3を、50分間80℃のオーブン内で軟焼成した。幅200ミクロンのラインを有するクロム暗視野マスクを、露光のためにソフトコンタクトモードで使用した。フィルム厚さが増すにつれて露光時間を増加させて、組成物が全深さを通して硬化されることを確実にした。表1は、各サンプルのために用いられたフォトパターニング条件を示す。すべてのサンプルが、PGMEAを使用する現像前に、110℃のホットプレート上での5分の露光後焼成を受けた。
【0125】
【表1】

【0126】
フォトパターニング後、焼結の間の亀裂と、パターニングされたサンプルとしての元のものに存在した破壊とを区別するように、3つのサンプルを光学顕微鏡で注意深く検査した。次に、サンプルを、1℃分から700℃で2時間バルカン炉(モデル#3−350、コネチカット州ブルームフィールドのデグサ−ネー)内で加熱し、次に、室温にゆっくり冷却した。サンプルを炉から取出し、光学顕微鏡で検査して、ラインの新たな破壊を探した。サンプルE1およびE2について、新たな破壊は観察されなかった。サンプルE3は、多くの新たな破壊を有し、溶融シリカ基材へのラインの接着破損があった。
【0127】
実施例6
この実施例は、溶融シリカ基材上のシリカ/ゲルマニア(germania)導波管の準備を説明する。幅200ミクロン×厚さ約10ミクロンである、パターニングされた有機/無機ナノコンポジット導波管を備えた溶融シリカスライドを、実施例5のサンプルE1について説明されたのと同じ樹脂および手順を用いて準備した。次に、パターニングされた有機/無機ナノコンポジット導波管を備えたスライドを、1℃分から700℃で2時間バルカン炉(モデル#3−350、コネチカット州ブルームフィールドのデグサ−ネー)内で加熱して、有機バインダーを熱分解し除去した。サンプルを室温にゆっくり冷却した。炉から取出した後の、光学顕微鏡での導波管の検査は、パターニングされた導波管の新たな破壊を示さなかった。
【0128】
ナノ多孔性のパターニングされた導波管を、サンプルを窒素雰囲気下でテトラエチルオルトゲルマニウム中に浸漬することによって充填した。テトラエチルオルトゲルマニウムが、毛管作用によって細孔を充填するのに十分な時間を可能にするために、サンプルを溶液中に1分間放置させた。導波管ライン間の過剰のテトラエチルオルトゲルマニウムを、メタノールでの簡単なすすぎによって除去した。次に、サンプルをアンモニア蒸気に数分間曝して、テトラエチルオルトゲルマニウムの縮合(condensation)を開始した。サンプルを、次の条件、すなわち、ヘリウム雰囲気下で、30分にわたって50℃から100℃に加熱し30分間100℃で保持し、30分にわたって100℃から600℃に加熱し1時間600℃を保持し、1時間にわたって600℃から1000℃に加熱し6時間1000℃で保持し1000℃で3時間後ヘリウム雰囲気から窒素雰囲気に切替え、6.5時間にわたって1000℃から室温に冷却することを用いて、石英管炉内で焼結した。炉から取出した後の、光学顕微鏡での導波管の検査は、焼結された導波管の新たな破壊を示さなかった。
【0129】
導波管の端部を光学品質仕上げに研磨することによって、サンプルを光学測定のために準備した。ファイバ結合された増幅自然放出光(Amplified Spontaneous Emission)(ASE)源からの光で1.5μmで導波管をテストした。ASE源からのシングルモード出力ファイバを導波管の一端と突合せ結合することによって、ASE源からの光を導波管内に送った。赤外線カメラを導波管の他端の後ろに配置して、導波管から出る光をイメージングした。システムが適切に整列されると、導波管から放出された光の遠視野パターンが観察された。パターンは、幅200ミクロンの導波管について期待されるように、導波管の性質がマルチモードであることを示した。
【0130】
実施例7
実施例3で説明された手順に従って、シリコンウェーハをクリーニングし、エポキシ−シランカップリング剤で下塗りした。安全光条件下で作業して、樹脂固形分の重量を基準にして、0.6%のビス−[4−(ジフェニルアミノ)ストリル(stryl)]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼン(実施例1)と1.0%のCD1012とからなる光開始剤系を、小量の1:1比のテトラヒドロフラン(ミシガン州マスキーゴンのバーディック&ジャクソン)および1,2ジクロロエタン(ニュージャージー州ギブズタウンのEMサイエンス)に予め溶解し、既知の量の配合物Bに加えた。樹脂を、2分間3000RPMでフラックテク・インコーポレイテッドのDAC150FVZスピードミキサ内で混合した。次に、十分な付加的な1,2−ジクロロエタンを手で入れて撹拌して、75重量%の最終樹脂固形分含有量に達した。硬化性組成物を、シリンジを使用して、エポキシ/シラン処理されたシリコンウェーハの中心上に分配し、3000rpmで40秒間スピンコーティングした。その後すぐ、コーティングされたシリコンウェーハを80℃のオーブン内で30分間軟焼成して、残留溶媒を蒸発させた。硬化性組成物は、厚さ約10ミクロンの滑らかな均一なフィルムを形成した。
【0131】
コーティングされたサンプルを、368nmでピーク強度を有するカール・ズースマスクアライナ(MJB3、バーモント州ウォーターベリーのカール・ズース・アメリカ・インコーポレイテッド)を使用してフォトパターニングした。幅10μmのラインを有するクロム暗視野マスクを使用した。フォトパターニング条件は、75秒の露光時間、およびその後の110℃でのホットプレート上での7.5分の露光後焼成を含んだ。最後に、フィルムを、2.5分間プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中で現像し、イソプロピルアルコール中ですすぎ、空気乾燥させた。光学顕微鏡を使用する検査は、フォトパターニングされたラインが、高さ約10ミクロンおよび幅10ミクロンであることを示した。
【0132】
実施例8
この実施例は、アクリレート/シリカゾルのフォトパターニングを示す。シリコンウェーハを、10分間、硫酸(98%溶液)と過酸化水素(H2O中の30%溶液)との3:1混合物中に浸すことによってクリーニングし、脱イオン水で入念にすすぎ、イソプロパノールですすぎ、次に乾燥させた。次に、クリーニングされたシリコンウェーハを、わずかに酸性の(pH4〜5)水性エタノール(190プルーフ)中の3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの2重量%溶液中でディップコーティングした。スライドを、無水エタノール中で簡単にすすぎ、10分間130℃のオーブン内で硬化させた。ビスGMA/TEGDMA/シリカゾル(配合物F)の一部を、十分な4−メチル−2−ペンタノンに溶解して、75重量%固形分の溶液を製造し、均質な溶液が得られるまで一晩撹拌させた。安全光条件下で作業して、このストック溶液10gを、1.25gのテトラヒドロフラン(ミシガン州マスキーゴンのバーディック&ジャクソン)に溶解した、0.15gのCD1012と、0.15gのCGI7460と、0.075gのビス−[4−(ジフェニルアミノ)ストリル(stryl)]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼン(実施例1)との溶液と混合した。適切な量の4−メチル−2−ペンタノンを加えることによって、パーセント固形分含有量を69.5%に調整した。溶液を、1750rpmで60秒間フラックテク・インコーポレイテッドの150FVZスピードミキサを使用してスピード混合し、次に、処理されたシリコンウェーハ上にスピンコーティングした。次に、コーティングされたウェーハを、60℃で1時間および80℃で1時間軟焼成して、残留溶媒を除去した。フォトレジスト層の厚さは約10ミクロンであった。
【0133】
フォトパターニングを、幅10μmのラインを有するクロム暗視野マスクを使用して、368nmの波長で動作するカール・ズースマスクアライナ(MJB3、バーモント州ウォーターベリーのカール・ズース・アメリカ・インコーポレイテッド)を使用して行った。サンプルを45秒間露光し、次に、未反応の樹脂を、4−メチル−2−ペンタノン中での現像およびイソプロパノールのすすぎによって除去した。光学顕微鏡での検査は、フォトパターニングされたラインが、幅約10ミクロンおよび厚さ10ミクロンであることを示した。
【0134】
比較例9
この実施例は、0.5ミクロンおよびより大きいサイズのコロイド粒子を含有する硬化性エポキシ/シリカゾルのフォトパターニングを説明する。
【0135】
【表2】

【0136】
安全光条件下で作業して、樹脂固形分の重量を基準にして、0.6%のビス−[4−(ジフェニルアミノ)ストリル(stryl)]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼンと1.0%のCD1012とからなる光開始剤系を、小量の1:1比のテトラヒドロフラン(ミシガン州マスキーゴンのバーディック&ジャクソン)および1,2ジクロロエタン(ニュージャージー州ギブズタウンのEMサイエンス)に予め溶解し、既知の量の配合物CおよびDに加えた。次に、付加的な1,2ジクロロエタンを手で入れて撹拌して、最終固形分を表2に示された値に調整した。樹脂を、90秒間3000rpmで高剪断シルバーソンL4Rミキサを使用して混合した。硬化性組成物を、シリンジを使用して、クリーンなエポキシ/シラン処理されたシリコンウェーハ(実施例3を参照のこと)の中心上に分配し、表2に示された速度で40秒間スピンコーティングした。その後すぐ、コーティングされたシリコンウェーハを、80℃のオーブン内で示された時間軟焼成して、残留溶媒を蒸発させた。
【0137】
コーティングされたフィルムを、実施例3で説明されたのと同じシステムを使用して、かつ、幅10ミクロンのラインを有する同じクロム暗視野マスクを使用して露光した。110℃でのホットプレート上での5分の露光後焼成、PGMEA中での現像、イソプロピルアルコールのすすぎ、および空気乾燥の後、パターニングされた構造を、走査型電子顕微鏡を使用して検査した。図3Aおよび図4は、それぞれ配合物CおよびDを使用してフォトパターニングされたナノコンポジットリッジの走査型電子顕微鏡写真を示す。比較のため、図2は、20nmのシリカナノ粒子を含有するフォトパターニングされたナノコンポジットリッジ(実施例3で準備された)を示す。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態を説明した。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を行うことができることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1A−1C】本発明による平面光導波路を準備するための方法を示す概略図を示す。
【図2】フォトパターニングされ現像された、エポキシ樹脂および20nmのシリカ粒子から調製された微細構造の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【図3】エポキシ樹脂および550nmのシリカ粒子から調製された微細構造の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図4】エポキシ樹脂、および平均直径4.5ミクロンのシリカ粒子の分布から調製された微細構造の走査型電子顕微鏡写真を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機構造を製造するための方法であって、
(a)光反応性組成物を基材に付与する工程であって、前記組成物が、
反応種と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド粒子であって、前記粒子の平均粒度が約300nm未満であるコロイド粒子とを含む、工程と、
(b)前記組成物をフォトパターニングして、構造を規定する工程と、
(c)前記反応種を熱分解し、かつ前記粒子を少なくとも部分的に溶融するのに十分な時間、前記構造を高温に曝す工程とを含む方法。
【請求項2】
前記粒子がほぼ球状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォトパターニングが、マスクを介して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子が、約65体積%までで前記組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子が、約50重量%から約80重量%で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)が、前記基材から前記組成物の可溶性部分を除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)が、約2時間から約48時間、約500℃から約1400℃の温度に、前記構造を曝す工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記無機構造が平面光学デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無機構造が、センサとして機能する平面光学デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記光硬化性組成物の粘度が、室温および1Hzの剪断速度において、15,000センチポアズより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子のサイズが実質的に単分散である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子のサイズ分布が実質的に二峰性である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子が表面処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子が、表面付着された有機基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記表面処理方法が、シラン処理、プラズマ処理、有機酸処理、コロナ処理、加水分解、コーティング、およびチタネート処理からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記反応種が、アクリレート、メタクリレート、ビニレート、エポキシ、ビニルエーテル、シアン酸エステル、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記光開始剤系が、フリーラジカル光開始剤またはカチオン光開始剤、およびそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記カチオン光開始剤が、ヨードニウム塩、クロロメチル化トリアジン、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、アジニウム塩、トリアリールイミダゾリルダイマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フリーラジカル光開始剤が、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アリールグリオキサレート、アシルホスフィンオキシド、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、芳香族スルホニルクロリド、光活性オキシム、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドロゾン、クロロアルキルトリアジン、ビスイミダゾール、トリアシルイミダゾール、ピリリウム化合物、スルホニウム塩およびヨードニウム塩、メルカプト化合物、キノン、アゾ化合物、および有機過酸化物からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光開始剤系が、光増感剤と、電子供与体化合物とをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記コロイド粒子が金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記粒子が、約65体積%未満で前記組成物中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、約50重量%から約80重量%で前記組成物中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記構造をドーピング剤でドープする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ドーピング剤が、金属塩、融剤、染料、ゾル−ゲル前駆体、有機金属前駆体、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記融剤が、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ砂、およびリン酸ナトリウムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
実質的に強化(consolidated)された無機構造を達成するのに十分な時間および温度、前記構造を焼結する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子の平均粒度が約1nmから約150nmである、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
無機構造を製造するための方法であって、
(a)光反応性組成物を基材に付与する工程であって、前記組成物が、
反応種と、
光開始剤系と、
複数の実質的に無機のコロイド状表面処理シリカ粒子であって、前記粒子の平均粒度が約300nm未満である粒子とを含む、工程と、
(b)前記組成物をフォトパターニングして、構造を規定する工程と、
(c)前記反応種を熱分解し、かつ前記粒子を少なくとも部分的に溶融するのに十分な時間、前記構造を高温に曝す工程とを含む方法。
【請求項31】
前記粒子の平均粒度が約1nmから約150nmである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記粒子が、約50重量%から約80重量%で前記組成物中に存在する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
工程(b)が、前記基材から前記組成物の可溶性部分を除去する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
工程(c)が、約2時間から約48時間、約500℃から約1400℃の温度に、前記構造を曝す工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
(a)有機反応種と、
(b)光開始剤系と、
(c)複数の実質的に無機のコロイド粒子とを含む光反応性組成物であって、前記粒子が、平均粒度が約300nm未満であり、かつ約65体積%未満で前記組成物中に存在し、前記組成物の粘度が、室温および1Hzの剪断速度において、15,000センチポアズより大きい、光反応性組成物。
【請求項36】
前記粒子が表面処理される、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記反応種が、アクリレート、メタクリレート、ビニレート、エポキシ、ビニルエーテル、シアン酸エステル、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドからなる群から選択される、請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
請求項7に記載の方法に従って製造された平面光学デバイスであって、前記デバイスが、実質的に無機の多孔性構造を達成するのに十分な時間、高温に曝される、平面光学デバイス。
【請求項39】
請求項30に記載の方法に従って製造された平面光学デバイスであって、前記デバイスが、実質的に無機の多孔性構造を達成するのに十分な時間、500℃から1000℃の高温にゆっくり加熱される、平面光学デバイス。
【請求項40】
複数の実質的に無機のコロイド粒子を含む平面光学デバイスであって、前記粒子が、平均粒度が約300nm未満であり、かつ少なくとも部分的に溶融される、平面光学デバイス。
【請求項41】
前記粒子がシリカを含む、請求項40に記載の平面光学デバイス。
【請求項42】
前記粒子が表面処理される、請求項40に記載の平面光学デバイス。
【請求項43】
前記粒子が実質的に強化(consolidated)される、請求項40に記載の平面光学デバイス。
【請求項44】
前記粒子の平均粒度が約1nmから約150nmである、請求項40に記載の平面光学デバイス。
【請求項45】
(a)エポキシ樹脂と、
(b)光開始剤系と、
(c)複数の実質的に無機のコロイド状表面処理シリカ粒子とを含むエポキシ配合物であって、前記粒子の平均粒度が約300nm未満であり、前記配合物の粘度が、室温および1Hzの剪断速度において、15,000センチポアズより大きい、エポキシ配合物。
【請求項46】
前記粒子がほぼ球状である、請求項45に記載の配合物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501520(P2006−501520A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541741(P2004−541741)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/030260
【国際公開番号】WO2004/031860
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】