座席装置
【課題】 シートパン上に配置された着座センサによって、着座する人の加わる荷重を適切に検出することができる座席装置を提供する。
【解決手段】 座席装置9は、シートパン92と、シートパン92上に配置されるクッションパッド93と、少なくとも1つの感圧スイッチ40A〜40Fを有してシートパン92とクッションパッド93との間に配置される着座センサ1と、を備え、シートパン92には孔94Aが形成され、着座センサ1は、感圧スイッチ40A〜40Fがシートパン92の孔94Aと隣接するように、配置されることを特徴とする。
【解決手段】 座席装置9は、シートパン92と、シートパン92上に配置されるクッションパッド93と、少なくとも1つの感圧スイッチ40A〜40Fを有してシートパン92とクッションパッド93との間に配置される着座センサ1と、を備え、シートパン92には孔94Aが形成され、着座センサ1は、感圧スイッチ40A〜40Fがシートパン92の孔94Aと隣接するように、配置されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席装置に関し、特にシートパン上に配置された着座センサによって、人の着座を適切に検出することができる座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両における安全システムの一つとして、人の乗車時にシートベルトの着用を検知し、シートベルトが着用されていない場合に警告を発するアラームシステムが実用化されている。このようなアラームシステムは、人の着座を検知して、人の着座時にシートベルトが着用されていない場合に警告を発する。この人の着座の検知には、座席内の着座部分に配置されて、人の着座による荷重を検知する着座センサが用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、このような着座センサを備えた座席装置が記載されている。この特許文献1に記載の座席装置の着座センサは、複数のオン・オフタイプの感圧スイッチを有している。そして、この着座センサは、座席の表皮とクッションパッドとの間に配置されて、それぞれの感圧スイッチに圧力がかかると、感圧スイッチがオン状態となり、人の着座を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−315199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。図1において、色の濃い部分程、クッションパッドが高い荷重を受けている状態を示す。人とクッションパッドとの間には、表皮のみが介在する。従って、図1に示すように、クッションパッド上においては、人の臀部が位置する部分に最も大きな荷重が加わる。そして、上記特許文献1に記載の着座センサは、感圧スイッチが、クッションパッド上における人の臀部が位置する部分に配置されることにより、人の着座を検出することができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の座席装置においては、上述のように着座センサが表皮とクッションパッドとの間に配置されるため、座席に着座する人が、表皮を介してクッションパッドによる感触と異なる感触を着座センサから受け、座席の着座部分に違和感を覚える場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出することができる座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の様な着座センサによる違和感を防止する方法について鋭意検討を行った。その結果、着座センサによる違和感を防止するには、座席のクッションパッドの下に配置されてクッションパッドを支えているシートパン上に着座センサを配置して、着座センサが、シートパンとクッションパッドとにより挟まれる構成にすれば良いという結論に至った。このように着座センサが配置された座席においては、着座する人と着座センサとの間にクッションパッドが介在するため、着座時における着座センサによる違和感を防止することができる。
【0009】
そこで、本発明者は、着座センサをシートパン上に配置することを検討した。しかし、本発明者は、人の着座により座席に加わる荷重が、クッションパッドを介してシートパンに伝わるとき、この荷重は、シートパン上に広く分散する傾向があり、シートパンは、人の臀部が位置する部分とずれた場所において、クッションパッドから大きな押圧力を受けることを見出した。従って、シートパン上に着座センサを配置すると、着座によりクッションパッドに加わる荷重が、着座センサに適切に伝わりづらいという問題があることが分かった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を重ねて、本発明をするに至った。
【0010】
本発明の座席装置は、シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、少なくとも1つの感圧スイッチを有し、前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される着座センサと、を備え、前記シートパンには孔が形成され、前記着座センサは、前記感圧スイッチが前記シートパンの前記孔と隣接するように、配置されることを特徴とするものである。
【0011】
このような座席装置によれば、シートパンとクッションパッドとの間に着座センサが配置されるため、着座する人が、着座センサにより、クッションパッドの感触と異なる感触を受けることを防止することができる。そして、本発明者は、シートパンに孔が形成される場合おいては、着座によりクッションパッドに荷重がかかるとき、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、孔と隣接する領域において、他の部分よりも比較的強いことを見出した。従って、このような座席装置によれば、感圧スイッチがシートパンに形成された孔と隣接するように配置されることにより、着座によりクッションパッドに荷重がかかるとき、クッションパッドが感圧スイッチを適切に押圧する。このため、人の着座を適切に検出することができる。
【0012】
また、上記座席装置において、前記着座センサは、可撓性を有する一対の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートの間に介在し、少なくとも1つの開口が形成されたシート状のスペーサと、を備え、前記感圧スイッチは、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極を有することとしても良い。
【0013】
また、上記座席装置において、前記着座センサは、前記一対の絶縁シートの少なくとも一方における前記スペーサ側とは反対側に設けられると共に、前記絶縁シートを介して少なくとも前記開口を覆うクッション部材を更に備え、前記着座センサは、前記クッション部材が前記シートパンと前記絶縁シートにより挟まれるように配置されることが好ましい。
【0014】
このような座席装置によれば、人の着座により、シートパンとクッションパッドとから着座センサに押圧力が加えられると、シートパンと絶縁シートにより挟まれたクッション部材が潰れるように変形して、その弾性力によりシートパン側の絶縁シートを押圧する。このとき、クッション部材は、シートパン側の絶縁シートがスペーサの開口に入り込むように、絶縁シートを押圧する。一方、クッションパッド側の絶縁シートは、クッションパッドの弾性力により、スペーサの開口に入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。
【0015】
また、上記座席装置において、前記シートパンの前記孔は、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線と重なるように形成され、前記着座センサは、複数の前記感圧スイッチを有するとともに、前記感圧スイッチが、前記クッションパッドの前記中心線を基準とした、左側及び右側に少なくとも1つ配置されることが好ましい。
【0016】
座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心に着座する。一方、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、このような座席装置によれば、感圧スイッチが、クッションパッドの幅方向の中心を通る中心線を基準とした左側及び右側に配置されるため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0017】
また、上記座席装置において、前記左側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つと、前記右側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つとが、前記中心線を基準として、互いに線対称になる位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
このような座席装置によれば、より正確に人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0019】
また、上記座席装置において、前記左側に配置された感圧スイッチと、前記右側に配置された感圧スイッチとで、アンド回路が形成されていることが好ましい。
【0020】
このような着座センサによれば、座席に荷物等を置くことにより、座席の幅方向に偏って、クッションパッドに荷重がかかる場合に、着座センサが誤検出をすることを抑制することができる。
【0021】
また、上記座席装置において、前記シートパンの前記左側及び前記右側には、それぞれ複数の前記感圧スイッチが配置され、前記左側に配置された複数の前記感圧スイッチ、及び、前記右側に配置された複数の前記感圧スイッチは、それぞれOR回路を形成していることが好ましい。
【0022】
このような着座センサによれば、着座センサの検出感度が向上して、着座を適切に検出することができる。
【0023】
また、上記座席装置において、前記着座センサは、前記感圧スイッチと接続される配線を更に有し、前記配線は、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0024】
クッションパッドに荷重がかかると、クッションパッドは、自身の弾性力によって、シートパンの孔にクッションパッドの一部が入り込むように変形する。従って、着座センサの配線がシートパンの孔に重なる場合、着座時において、配線は、クッションパッドにより孔から押し出されるように変形して損傷する可能性がある。しかし、このような座席装置によれば、配線が、孔と重ならない位置に配置されるため、クッションパッドの変形により配線が損傷することを防止することができる。
【0025】
さらに、上記座席装置において、前記絶縁シートは、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0026】
このような座席装置によれば、クッションパッドに荷重が加わり、クッションパッドが上述のように変形しても、絶縁シートが損傷することを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、シートパン上に配置された着座センサによって、人の着座を適切に検出することができる座席装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【図3】図2に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図4】図2に示す第2電極シートを示す平面図である。
【図5】スペーサを示す平面図である。
【図6】図2のV−V線における断面の様子を示す図である。
【図7】図2に示す着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。
【図9】座席装置に人が正規着座した状態で、シートパンが、表皮及びクッションパッドを介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。
【図10】図9のX−X線において、人の着座時にシートパンが受ける荷重の分布を示す図である。
【図11】図8のように着座センサが座席内に配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【図13】図12に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図14】図12に示す第2電極シートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態の座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。図2に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と、第1電極シート10に重ねられる第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20とで挟まれるスペーサと、第1電極シート10及び第2電極シート20のスペーサとは反対側に配置されるクッション部材とを主な構成要素として備える。
【0031】
図3は、図2に示す第1電極シート10を示す平面図である。図3に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に形成される第1電極14A〜14Fと、第1絶縁シート11の表面に形成される端子42A、42Bとを主な構成要素として備える。
【0032】
第1絶縁シート11は、所定の大きさの円を部分的に囲むようにして、円弧状に形成された円弧部位11Aと、円弧部位11Aの略中点から、円弧部位11Aの外側に延在すると共に、円弧部位11Aに一端が連結されて他端が自由端とされる帯状のテール部位11Bから構成されている。このテール部位11Bの中心を通り、テール部位11Bの長手方向に沿った線は、上述の円弧部位11Aが囲む円の中心を通る。そして、第1絶縁シート11は、テール部位11Bの中心を通り、テール部位11Bの長手方向に沿った線を基準として、線対称の形状をしている。
【0033】
また、第1電極14A〜14Fは、略円形の形状をしており、第1電極14A〜14Fは、円弧部位11Aに設けられている。具体的には、第1電極14A〜14Cは、円弧部位11Aの表面上における、テール部位11Bとの接続点より左側に設けられている。そして、第1電極14Cは、円弧部位11Aの一方の端縁から所定の間隔をあけて設けられており、第1電極14Bは、第1電極14Cと所定の距離をあけて設けられており、さらに、第1電極14Aは、第1電極14Bと所定の距離をあけて形成されている。従って、第1電極14A〜14Cは、円弧部位11Aの一方の端縁側から順に、第1電極14C、第1電極14B、第1電極14Aの順に設けられ、第1電極14Aが、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点に最も近い場所に設けられている。
【0034】
さらに、第1電極14A及び第1電極14Bは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Aと第1電極14Bとの間に設けられる円弧状の第1配線16Aと接続されており、第1電極14B及び第1電極14Cは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Bと第1電極14Cとの間に設けられる円弧状の第1配線16Bと接続されている。
【0035】
さらに、第1電極14Aは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Aから円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点にかけて設けられる円弧状の第1配線16Eと接続されている。そして、第1配線16Eは、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点において、テール部位11Bの長手方向に沿って延在する第1配線16Gと接続されている。
【0036】
一方、第1電極14D〜14Fは、円弧部位11Aの表面上における、テール部位11Bとの接続点より右側に設けられている。具体的には、第1電極14Fは、円弧部位11Aの他方の端縁から、第1電極14Cと同様にして、所定の間隔をあけて設けられており、第1電極14Eは、第1電極14Fと所定の距離をあけて設けられており、さらに、第1電極14Dは、第1電極14Eと所定の距離をあけて形成されている。こうして、第1電極14A〜14Cは、円弧部位11Aの他方の端縁側から順に、第1電極14F、第1電極14E、第1電極14Dの順に設けられ、第1電極14Dが、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点に最も近い場所に設けられている。
【0037】
さらに、第1電極14D及び第1電極14Eは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Dと第1電極14Eとの間に設けられる円弧状の第1配線16Cと接続されており、第1電極14E及び第1電極14Fは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Eと第1電極14Fとの間に設けられる円弧状の第1配線16Dと接続されている。
【0038】
さらに、第1電極14Dは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Dから円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点にかけて設けられる円弧状の第1配線16Fと接続されている。そして、第1配線16Fは、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点において、テール部位11Bの長手方向に沿って延在する第1配線16Hと接続されている。
【0039】
なお、第1絶縁シート11の表面上に設けられた第1電極14A〜14Cと、第1電極14D〜14Fとは、テール部位11Bの中心を通り、テール部位11Bの長手方向に沿った線を基準として、互いに線対称となるように設けられている。
【0040】
また、端子42A、42Bは、略四角形の形状をなし、端子42A、42Bは、テール部位11Bの表面における自由端側の端縁から所定の間隔をあけた位置に、テール部位11Bの長手方向に垂直な方向に沿って並設されている。そして、端子42Aは、上述のように一端が第1配線16Eと接続された第1配線16Gの他端と接続されており、端子42Bは、上述のように一端が第1配線16Fと接続された第1配線16Hの他端と接続されている。
【0041】
こうして第1電極14A〜14Cと端子42Aとは、第1配線16A、16B、16E、16Gにより電気的に接続されている。同様に第1電極14D〜14Fと端子42Bとは、第1配線16C、16D、16F、16Hにより電気的に接続されている。
【0042】
図4は、図2に示す第2電極シートを示す平面図である。図4に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Fを主な構成要素として有する。
【0043】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11における円弧部位11Aと形状及び大きさが同じである円弧部位21Aと、第1絶縁シート11のテール部位11Bと幅が同じで、長さが短い形状とされるテール部位21Bとから構成される。そして、円弧部位21Aは、第1電極シート10と第2電極シート20とを重ね合わせたときに、第1絶縁シート11における円弧部位11Aと完全に重なるように形成されている。また、第2絶縁シート21のテール部位21Bは、第1電極シート10と第2電極シート20とを重ね合わせたときに、第1絶縁シート11のテール部位11Bと重なって、第1電極シート10の端子42A、42Bが露出するように、円弧部位21Aと連結されている。なお、本実施形態においては、第2絶縁シート21と第1絶縁シート11とは、同じ可撓性を有し、同じ力が加えられる場合に、同じように撓むように構成されている。
【0044】
また、第2電極24A〜24Fは、第1電極14A〜14Fと同じ形状、大きさとされている。さらに、第2電極24A〜24Fは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0045】
さらに、第2電極24A及び第2電極24Bは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Aと第2電極24Bとの間に設けられる円弧状の第2配線26Aと接続されており、第2電極24B及び第2電極24Cは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Bと第2電極24Cとの間に設けられる円弧状の第2配線26Bと接続されている。同様に第2電極24D及び第2電極24Eは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Dと第2電極24Eとの間に設けられる円弧状の第2配線26Cと接続されており、第2電極24E及び第2電極24Fは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Eと第2電極24Fとの間に設けられる円弧状の第2配線26Dと接続されている。
【0046】
さらに第2電極24Bと第2電極24Eは、それぞれ円弧部位21Aの表面上に設けられる第2配線26Eと接続されている。
【0047】
こうして第2電極24A〜24Fは、第2配線26A〜26Eにより電気的に接続されている。
【0048】
図5は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シート31からなる。そして、図5に示すように、スペーサ30は、外形が第2電極シート20と一致している。
【0049】
また、スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口34A〜34Fが形成されている。開口34A〜34Fは、周縁が略円形の形状であり、第1電極14A〜14Fよりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、開口34A〜34Fは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿ってスペーサ30を見る場合に、第1電極14A〜14Fのそれぞれの外形の内側にそれぞれの開口34A〜34Fが収まるような位置に形成されている。
【0050】
さらにスペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Fを空間的に接続するスリット36A〜36Eが形成されている。具体的には、開口34A及び開口34Bは、スリット36Aと接続されており、開口34B及び開口34Cは、スリット36Bと接続されており、開口34D及び開口34Eは、スリット36Cと接続されており、開口34E及び開口34Fは、スリット36Dと接続されており、さらに、開口34B及び開口34Eは、スリット36Eと接続されている。さらにスペーサ30には、気体流出口35と、この気体流出口35とスリット36Eとを接続するスリット36Fが形成されている。従って、それぞれの開口34A〜34Fは、気体流出口35及びスリット36A〜36Fを介して、スペーサ30の外側と空間的に接続されている。
【0051】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0052】
図6は、図2に示すV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図2、図6に示すように、着座センサ1は、上述のように、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0053】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、一体化された状態で、着座センサ1に対して垂直な方向から見た場合に、第1電極シート10の第1電極14A、及び、第2電極シート20の第2電極24Aは、完全に重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Aは、第1電極14A及び第2電極24Aの外周内に収まっている。そして、第1電極14Aと第2電極24Aとは、図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Aが形成されたスペーサ30と、開口34Aを介して互いに対向する一対の電極14A、24Aとを有する感圧スイッチ40Aが構成されている。同様に他の第1電極14B〜14Fと、他の第2電極24B〜24Fとが、それぞれスペーサ30の開口34B〜34Fにおいて所定の間隔をあけて対向し、図2に示すように感圧スイッチ40B〜40Fが構成されている。
【0054】
また、図6に示すように、第1絶縁シート11のスペーサ30側とは反対側には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材51が設けられており、第2絶縁シート21のスペーサ30側とは反対側には、クッション部材51と同様のクッション部材52が設けられている。これらのクッション部材51、52は、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等から構成される。そして、この一対のクッション部材51、52は、第2絶縁シート21に垂直な方向から見た場合に合同であり、図2に示すように第2絶縁シート21における円弧部位21Aの外周内に収まるような形状をしている。そして、クッション部材51は、スペーサ30に垂直な方向から見る場合に、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されている。
【0055】
なお、本実施形態においては、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は同じ弾性力を有して、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0056】
図7は、図2に示す着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成される感圧スイッチ40A〜40Fは、図7に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16D、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A〜26Eにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Fが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
【0057】
そして、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40B及び感圧スイッチ40Cから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40D及び感圧スイッチ40E及び感圧スイッチ40Fから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されている。さらに、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40B及び感圧スイッチ40Cから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40D及び感圧スイッチ40E及び感圧スイッチ40Fから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されている。こうして、着座センサ1においては、感圧スイッチ40A〜40Fにより、AND−OR回路が構成されている。
【0058】
図8は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、図8の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図8の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図8の(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92と、シートパン92の上に配置されるクッションパッド93と、背もたれ96と、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている着座センサ1とを備える。
【0059】
シートパン92は、合成の高い金属板が折曲げ加工されて構成されており、図8の(A)に示すように、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lを基準として、線対称の形状をしている。さらに、中心線L上に中心が位置する円形の孔94Aが形成されている。従って、この孔94Aは、シートパン92の幅方向の中心を通る線上に中心が位置する。また、図8の(A)及び(B)に示すように、人が座席装置9に正規着座する場合におけるヒップポイントHPよりも前方に孔94Aが形成されており、ヒップポイントHPの後方に孔94Bが形成されており、孔94Aの横方向に孔94Cが形成されている。
【0060】
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれ96に接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、図8の(B)に示すように、人が着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0061】
そして、このシートパン92により、クッションパッド93が支えられている。このクッションパッド93は、クッション性を有する発泡ウレタンから構成されており、図示しない布製の表皮に覆われている。また、背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段によりシートパン92と接続されている。
【0062】
また、図8の(B)に示すように、着座センサ1は、車両等の座席装置9におけるシートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている。また、着座センサ1がこのように配置された状態において着座センサ1は、第1電極シート10及び第2電極シート20の円弧部位11A、21Aにより、ヒップポイントHPより前方で幅方向の中心に形成された孔94Aを囲むように配置され、感圧スイッチ40A〜40Cが、シートパン92の中心線Lの左側において、孔94Aと隣接し、感圧スイッチ40D〜40Fが、シートパン92の中心線Lの右側において、孔94Aと隣接するように配置されている。したがって、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合におけるピップポイントよりも前側に配置されている。なお、孔と隣接して配置されるとは、孔を形成するエッジを含み、このエッジから約10cm以内に配置されることをさす。なお、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Dとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Dとは、中心線Lと基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。同様に、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Eとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Eとは、中心線Lと基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。さらに、感圧スイッチ40Cと感圧スイッチ40Fとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Cと感圧スイッチ40Fとは、中心線Lと基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。そして、上述のように感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとで、アンド回路が構成されるため、中心線Lの左側に配置された感圧スイッチと、中心線Lの右側に配置された感圧スイッチとで、アンド回路が構成されている。さらに、上述のように感圧スイッチ40A〜40Cから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40D〜40Fから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されているので、中心線Lの左側に配置された複数の感圧スイッチ、及び、中心線Lの右側に配置された複数の感圧スイッチのそれぞれにより、OR回路が構成されている。
【0063】
そして、端子42A、42Bが外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続され、端子42A、42Bに電圧が印加される。
【0064】
なお、第1電極シート10及び第2電極シート20の円弧部位11A、21Aにより、孔94Aを囲むようにして、着座センサ1は配置されるため、第1絶縁シート11、第2絶縁シート21は、孔94Aと重ならないように配置され、また、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜Eも孔94Aと重ならないように配置されている。
【0065】
次に、着座センサの動作について説明する。
【0066】
図9は、図1と同じように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、表皮及びクッションパッド93を介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図であり、図10は、図9のX−X線において、人の着座時にシートパン92が受ける荷重の分布を示す図である。具体的に図10は、孔94Aの中心を通り、座席装置9の幅方向に沿った線において、人の着座時にシートパン92が受ける荷重の分布を示す図である。ただし、図10は、実測データに基づく図であるため、シートパン92の凹凸により、荷重が多少偏在している。図9においては、シートパン92に形成された孔94Aと隣接する領域92aが、クッションパッド93から最も高い押圧力を受けており、更に領域92aの外側の領域92bが、次に高い押圧力を受けており、そして、領域92bの外側の領域92cが次に高い押圧力を受けている。
【0067】
図1を用いて説明したように、人が座席装置に着座する場合、クッションパッドの表面においては、人の臀部が位置する場所に押圧力が集中しているが、図9、図10に示すように、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散している。そして、図9に示すように、人の着座時において、シートパン92は、シートパン92のそれぞれの孔と隣接する領域において、他の部分と比べてクッションパッド93から比較的強い押圧力を受けている。特に、ヒップポイントHPよりも前方に形成された孔94Aと隣接する領域においては、他の孔94B、94Cと隣接する領域よりも強い力で押圧されており、孔94Aの横方向に形成された孔94Cと隣接する領域が、孔94Aと隣接する領域の次に強く押圧されている。
【0068】
これは、次のように考えられる。つまり、人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。こうして、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。そして、人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座する。従って、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧される傾向がある。こうして、ヒップポイントよりも前で、クッションパッドの幅方向の中心に形成されている孔94Aと隣接する領域が他の孔と隣接する領域よりも大きな力で押圧されている。また、人が座席装置9に正規着座するとき、人の骨盤は、中心線Lを基準に左右方向に対称に配置される。このため、シートパン92がクッションパッドから受ける押圧力の分布は、横方向にも広がる。こうして、押圧力の分布はシートパン92の前方方向及び幅方向に広がる。このため、上述のように、孔94Aの横方向に形成された孔94Cと隣接する領域が、孔94Aと隣接する領域の次に強く押圧されている。なお、本実施形態においては、シートパン92がクッションパッド93から特に大きな押圧力を受ける場所(最大荷重領域)は、領域92aの中でも孔94Aに横方向に隣接する領域となっている。また、上述のように人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座するため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称になっている。
【0069】
そして、上述のように、着座センサ1は、感圧スイッチ40A〜40Fが、孔94Aと隣接するように配置されているため、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
【0070】
図11は、図8のように着座センサが座席内に配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。なお、図11においては、理解の容易のため、シートパン92及びクッションパッド93は、一部分のみを示している。座席装置9に人が着座すると、図11に示すように、シートパン92及びクッションパッド93から、着座センサ1の両面に対して垂直な方向から矢印で示すように押圧力がかかる。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Aに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Aを介して対向する絶縁シート11、21に設けられた電極14A、24Aが接触する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。
【0071】
なお、本実施形態の着座センサ1においては、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14Aと電極24Aとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40Aをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0072】
また、シートパン92及びクッションパッド93からは略同じ押圧力が着座センサ1に加えられる。従って、シートパン92からクッション部材51に加えられる押圧力と、クッションパッド93からクッション部材52に加えられる押圧力とは略同じである。そして、本実施形態においては、上述のようにクッション部材51、52は、同じ弾性力を有するため、同じ押圧力が加えられると、クッション部材51、52が、絶縁シート11、21を同じ弾性力で押圧する。従って、絶縁シート11、21は、同じように撓み、一対の電極14A、24Aは、開口34A内において、スペーサ30の厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、一方の絶縁シートの撓み量が大きくなるということを抑制でき、着座の検出感度を向上させることができる。
【0073】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、開口34A内の空気は、図5に示すスリット36A、36E、36Fを介して気体流出口35から排出される。従って、着座センサ1に押圧力がかかるとき、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は適切に撓むことができる。
【0074】
同様に、他の感圧スイッチ40B〜40Fも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。このとき各開口34B〜34F内の空気は、スリット36B〜36Eを介して気体流出口35から排出される。従って、感圧スイッチ40Aがオンになるときと同様に、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40B〜40Fの一対の電極が接触し易くされている。
【0075】
そして、上述のように、感圧スイッチ40A〜40FによりAND−OR回路が形成されているため、感圧スイッチ40A〜40Cの少なくとも1つと、感圧スイッチ40D〜40Fの少なくとも1つとがオンになる場合に端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。このように感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとによりアンド回路が形成されているため、座席装置9に荷物等を置くことにより、クッションパッド93の幅方向に偏って荷重がかかる場合に、着座センサ1が誤検出をすることを抑制することができる。そして、感圧スイッチ40A〜40C、及び、感圧スイッチ40D〜40Fは、それぞれOR回路を形成しているため、着座センサ1の検出感度が向上して、着座を適切に検出することができる。
【0076】
なお、上述のように、着座センサ1は、第1電極シート10及び第2電極シート20の円弧部位11A、21Aにより、孔94Aを囲むように配置されるため、第1電極シート10及び第2電極シート20孔94Aと重ならなく、第1配線16A〜16H、第2配線26A〜26Eも孔94Aと重ならない。従って、クッションパッド93荷重がかかると、クッションパッド93は、自身の弾性力によって、シートパン92の孔94Aにクッションパッド93の一部が入り込むように変形するが、絶縁シート11、21や、第1配線16A〜16H、第2配線26A〜26Eが、損傷することを防止することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態における座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Fがシートパン92に形成された孔94Aと隣接するように配置されることにより、着座によりクッションパッド93に荷重がかかるとき、クッションパッド93が感圧スイッチ40A〜40Fを適切に押圧する。こうして、人の着座を適切に検出することができる。
【0078】
また、本実施形態の座席装置9によれば、着座する人の背中が背もたれ96により押されるため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも比較的大きくなる。従って、孔94Aが、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に形成されているため、孔94Aと隣接するように配置される感圧スイッチ40A〜40Fも正規着座する人のピップポイントHPよりも前方に配置されので、人の着座を適切に検出することができる。
【0079】
さらに、上述のように、人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座するため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称になっている。一方、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、荷物を座席装置9に置く場合においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称にならない傾向にある。そして、着座センサ1は、感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとが、中心線Lを基準として、線対称となるように配置されているため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0080】
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
【0081】
第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成される。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0082】
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
【0083】
また、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24F、及び、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜26E、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、あるいは、これらの積層体等が挙げられる。
【0084】
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂やゴムを挙げることができる。中でも、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂が、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
【0085】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12〜図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図12は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【0086】
図12に示すように、本実施形態における着座センサ2は、感圧スイッチ40A〜40Fの第1電極14A〜14Fが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。
【0087】
図13は、図12に示す第1電極シートを示す平面図である。図13に示すように、第1電極14A〜14Fを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
【0088】
そして、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Aから第1電極14Bまで延在する第1配線16Aの一端に接続されている。さらに、第1電極14Aにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Aから第1電極14Bまで延在する第1配線16Iの一端に接続されている。また、第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Bから第1電極14Cまで延在する第1配線16Bの一端、及び、第1配線16Aの他端に接続されている。さらに、第1電極14Bにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Bから第1電極14Cまで延在する第1配線16Jの一端、及び、第1配線16Iの他端に接続されている。また、第1電極14Cにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1配線16Bの他端に接続され、さらに、第1電極14Cにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Jの他端に接続されている。
【0089】
また、第1電極14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Dから第1電極14Eまで延在する第1配線16Cの一端に接続されている。さらに、第1電極14Dにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Dから第1電極14Eまで延在する第1配線16Kの一端に接続されている。また、第1電極14Eにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Eから第1電極14Fまで延在する第1配線16Dの一端、及び、第1配線16Cの他端に接続されている。さらに、第1電極14Bにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Bに沿って第1電極14Eから第1電極14Fまで延在する第1配線16Lの一端、及び、第1配線16Kの他端に接続されている。また、第1電極14Fにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1配線16Dの他端に接続され、さらに、第1電極14Fにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Lの他端に接続されている。
【0090】
また、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Eに接続されており、第1電極14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Fに接続されている。さらに、第1電極14Aにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Aから第1電極14Dまで延在する第1配線16Mの一端に接続され、第1電極14Dの他方側で接続された複数本の平行導体は、第1配線16Mの他端に接続されている。
【0091】
図14は、図12に示す第2電極シートを示す平面図である。図14に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A〜26Eが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
【0092】
そして、図12に示すように、第1電極シート10と第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
【0093】
こうして、第1実施形態と同様にして、感圧スイッチ40A〜40Cから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40D〜40Fから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されている。さらに、感圧スイッチ40A〜40Cから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40D〜40Fから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されて、感圧スイッチ40A〜40Fにより、AND−OR回路が構成されている。
【0094】
本実施形態の着座センサ2は、第1実施形態と同様に座席装置に配置され、座席装置に人が着座することにより、クッションパッド93とシートパン92からの押圧力により感圧スイッチ40A〜40Fが押圧される。すると、第2電極24A〜24Cの少なくとも一つが、第1電極14A〜14Cにおける平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Cの少なくとも一つにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Cを介して、電気的に接続される。同様に第2電極24D〜24Fの少なくとも一つが、第1電極14D〜14Fにおける平行導体に接触する。このため、第1電極14D〜14Fの少なくとも一つにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24D〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Cの少なくとも一つ、及び、感圧スイッチ40D〜40Fの少なくとも一つがオンとなる。こうして着座センサ2により人の着座が検出される。
【0095】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
例えば、上記実施形態において、着座センサ1、2の感圧スイッチの数を6つとしたが、本発明はこれに限らず、感圧スイッチの数を5つ以下でもよく、7つ以上でも良い。
【0097】
また、各感圧スイッチ40A〜40Fにおける、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとしたが、本発明はこれに限らず、押圧力を検知できる範囲で、大きさや形状等が第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとで異なっていても良い。
【0098】
また、上記実施形態においては、シートパン92に形成された孔94Aは、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lに中心が位置するように形成されるとしたが、孔94Aは、中心線Lと重なるように形成されれば十分に人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。また、図9を用いて説明したように、人の着座時において、シートパン92は、シートパン92に形成された孔94A以外の孔94B、94Cと隣接する領域において、他の部分と比べてクッションパッド93から比較的強い押圧力を受けるため、孔94B、94Cと隣接する領域に感圧スイッチを配置しても良い。或いは、孔94Aが、シートパン92の幅方向の一方に偏っていても良い。さらに、孔94Aは、円形に限らず、例えば、四角形や楕円形でも良い。
【0099】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Fに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を検知することができる。
【0100】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11、第2絶縁シート21は、孔94Aと重ならないように配置され、また、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜Eも孔94Aと重ならないように配置されているとしたが、第1絶縁シート11、第2絶縁シート21が、孔94Aと重なるように配置され、また、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜Eも孔94Aと重なるように配置されても良い。
【0101】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0102】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40A〜40Fにより、AND−OR回路が構成されていたが、本発明は、これに限らず、例えば、感圧スイッチ40A〜40Fの全てにより、OR回路が形成されるように構成しても良く、感圧スイッチ40A〜40Fの全てにより、AND回路が形成されていても良い。感圧スイッチ40A〜40Fの全てにより、AND回路を形成する場合、感圧スイッチ40A〜40Fを直列に接続すればよい。
【0104】
また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとが、中心線Lを基準として、線対称となるように配置されているとしたが、感圧スイッチ40A〜40Cの少なくとも1つと、感圧スイッチ40D〜40Fの少なくとも1つとが中心線Lを基準として、線対称となる位置に配置されても良い。さらには、感圧スイッチが、中心線Lを基準として、左右の一方側のみに配置されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、シートパン上に配置された着座センサによって、人の着座を適切に検出することができる座席装置が提供される。
【符号の説明】
【0106】
1、2・・・着座センサ
9・・・座席装置
10・・・第1電極シート
11・・・第1絶縁シート
14A〜14F・・・第1電極
16A〜16M・・・第1配線
20・・・第2電極シート
21・・・第2絶縁シート
24A〜24F・・・第2電極
26A〜26E・・・第2配線
30・・・スペーサ
34A〜34F・・・開口
36A〜36F・・・スリット
40A〜40F・・・感圧スイッチ
42A、42B・・・端子
51、52・・・クッション部材
92・・・シートパン
93・・・クッションパッド
94A、94B、94C・・・孔
96・・・背もたれ
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席装置に関し、特にシートパン上に配置された着座センサによって、人の着座を適切に検出することができる座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両における安全システムの一つとして、人の乗車時にシートベルトの着用を検知し、シートベルトが着用されていない場合に警告を発するアラームシステムが実用化されている。このようなアラームシステムは、人の着座を検知して、人の着座時にシートベルトが着用されていない場合に警告を発する。この人の着座の検知には、座席内の着座部分に配置されて、人の着座による荷重を検知する着座センサが用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、このような着座センサを備えた座席装置が記載されている。この特許文献1に記載の座席装置の着座センサは、複数のオン・オフタイプの感圧スイッチを有している。そして、この着座センサは、座席の表皮とクッションパッドとの間に配置されて、それぞれの感圧スイッチに圧力がかかると、感圧スイッチがオン状態となり、人の着座を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−315199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。図1において、色の濃い部分程、クッションパッドが高い荷重を受けている状態を示す。人とクッションパッドとの間には、表皮のみが介在する。従って、図1に示すように、クッションパッド上においては、人の臀部が位置する部分に最も大きな荷重が加わる。そして、上記特許文献1に記載の着座センサは、感圧スイッチが、クッションパッド上における人の臀部が位置する部分に配置されることにより、人の着座を検出することができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の座席装置においては、上述のように着座センサが表皮とクッションパッドとの間に配置されるため、座席に着座する人が、表皮を介してクッションパッドによる感触と異なる感触を着座センサから受け、座席の着座部分に違和感を覚える場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出することができる座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の様な着座センサによる違和感を防止する方法について鋭意検討を行った。その結果、着座センサによる違和感を防止するには、座席のクッションパッドの下に配置されてクッションパッドを支えているシートパン上に着座センサを配置して、着座センサが、シートパンとクッションパッドとにより挟まれる構成にすれば良いという結論に至った。このように着座センサが配置された座席においては、着座する人と着座センサとの間にクッションパッドが介在するため、着座時における着座センサによる違和感を防止することができる。
【0009】
そこで、本発明者は、着座センサをシートパン上に配置することを検討した。しかし、本発明者は、人の着座により座席に加わる荷重が、クッションパッドを介してシートパンに伝わるとき、この荷重は、シートパン上に広く分散する傾向があり、シートパンは、人の臀部が位置する部分とずれた場所において、クッションパッドから大きな押圧力を受けることを見出した。従って、シートパン上に着座センサを配置すると、着座によりクッションパッドに加わる荷重が、着座センサに適切に伝わりづらいという問題があることが分かった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を重ねて、本発明をするに至った。
【0010】
本発明の座席装置は、シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、少なくとも1つの感圧スイッチを有し、前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される着座センサと、を備え、前記シートパンには孔が形成され、前記着座センサは、前記感圧スイッチが前記シートパンの前記孔と隣接するように、配置されることを特徴とするものである。
【0011】
このような座席装置によれば、シートパンとクッションパッドとの間に着座センサが配置されるため、着座する人が、着座センサにより、クッションパッドの感触と異なる感触を受けることを防止することができる。そして、本発明者は、シートパンに孔が形成される場合おいては、着座によりクッションパッドに荷重がかかるとき、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、孔と隣接する領域において、他の部分よりも比較的強いことを見出した。従って、このような座席装置によれば、感圧スイッチがシートパンに形成された孔と隣接するように配置されることにより、着座によりクッションパッドに荷重がかかるとき、クッションパッドが感圧スイッチを適切に押圧する。このため、人の着座を適切に検出することができる。
【0012】
また、上記座席装置において、前記着座センサは、可撓性を有する一対の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートの間に介在し、少なくとも1つの開口が形成されたシート状のスペーサと、を備え、前記感圧スイッチは、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極を有することとしても良い。
【0013】
また、上記座席装置において、前記着座センサは、前記一対の絶縁シートの少なくとも一方における前記スペーサ側とは反対側に設けられると共に、前記絶縁シートを介して少なくとも前記開口を覆うクッション部材を更に備え、前記着座センサは、前記クッション部材が前記シートパンと前記絶縁シートにより挟まれるように配置されることが好ましい。
【0014】
このような座席装置によれば、人の着座により、シートパンとクッションパッドとから着座センサに押圧力が加えられると、シートパンと絶縁シートにより挟まれたクッション部材が潰れるように変形して、その弾性力によりシートパン側の絶縁シートを押圧する。このとき、クッション部材は、シートパン側の絶縁シートがスペーサの開口に入り込むように、絶縁シートを押圧する。一方、クッションパッド側の絶縁シートは、クッションパッドの弾性力により、スペーサの開口に入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。
【0015】
また、上記座席装置において、前記シートパンの前記孔は、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線と重なるように形成され、前記着座センサは、複数の前記感圧スイッチを有するとともに、前記感圧スイッチが、前記クッションパッドの前記中心線を基準とした、左側及び右側に少なくとも1つ配置されることが好ましい。
【0016】
座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心に着座する。一方、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、このような座席装置によれば、感圧スイッチが、クッションパッドの幅方向の中心を通る中心線を基準とした左側及び右側に配置されるため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0017】
また、上記座席装置において、前記左側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つと、前記右側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つとが、前記中心線を基準として、互いに線対称になる位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
このような座席装置によれば、より正確に人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0019】
また、上記座席装置において、前記左側に配置された感圧スイッチと、前記右側に配置された感圧スイッチとで、アンド回路が形成されていることが好ましい。
【0020】
このような着座センサによれば、座席に荷物等を置くことにより、座席の幅方向に偏って、クッションパッドに荷重がかかる場合に、着座センサが誤検出をすることを抑制することができる。
【0021】
また、上記座席装置において、前記シートパンの前記左側及び前記右側には、それぞれ複数の前記感圧スイッチが配置され、前記左側に配置された複数の前記感圧スイッチ、及び、前記右側に配置された複数の前記感圧スイッチは、それぞれOR回路を形成していることが好ましい。
【0022】
このような着座センサによれば、着座センサの検出感度が向上して、着座を適切に検出することができる。
【0023】
また、上記座席装置において、前記着座センサは、前記感圧スイッチと接続される配線を更に有し、前記配線は、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0024】
クッションパッドに荷重がかかると、クッションパッドは、自身の弾性力によって、シートパンの孔にクッションパッドの一部が入り込むように変形する。従って、着座センサの配線がシートパンの孔に重なる場合、着座時において、配線は、クッションパッドにより孔から押し出されるように変形して損傷する可能性がある。しかし、このような座席装置によれば、配線が、孔と重ならない位置に配置されるため、クッションパッドの変形により配線が損傷することを防止することができる。
【0025】
さらに、上記座席装置において、前記絶縁シートは、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置されることが好ましい。
【0026】
このような座席装置によれば、クッションパッドに荷重が加わり、クッションパッドが上述のように変形しても、絶縁シートが損傷することを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、シートパン上に配置された着座センサによって、人の着座を適切に検出することができる座席装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態の座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【図3】図2に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図4】図2に示す第2電極シートを示す平面図である。
【図5】スペーサを示す平面図である。
【図6】図2のV−V線における断面の様子を示す図である。
【図7】図2に示す着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。
【図9】座席装置に人が正規着座した状態で、シートパンが、表皮及びクッションパッドを介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。
【図10】図9のX−X線において、人の着座時にシートパンが受ける荷重の分布を示す図である。
【図11】図8のように着座センサが座席内に配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【図13】図12に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図14】図12に示す第2電極シートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態の座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。図2に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と、第1電極シート10に重ねられる第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20とで挟まれるスペーサと、第1電極シート10及び第2電極シート20のスペーサとは反対側に配置されるクッション部材とを主な構成要素として備える。
【0031】
図3は、図2に示す第1電極シート10を示す平面図である。図3に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に形成される第1電極14A〜14Fと、第1絶縁シート11の表面に形成される端子42A、42Bとを主な構成要素として備える。
【0032】
第1絶縁シート11は、所定の大きさの円を部分的に囲むようにして、円弧状に形成された円弧部位11Aと、円弧部位11Aの略中点から、円弧部位11Aの外側に延在すると共に、円弧部位11Aに一端が連結されて他端が自由端とされる帯状のテール部位11Bから構成されている。このテール部位11Bの中心を通り、テール部位11Bの長手方向に沿った線は、上述の円弧部位11Aが囲む円の中心を通る。そして、第1絶縁シート11は、テール部位11Bの中心を通り、テール部位11Bの長手方向に沿った線を基準として、線対称の形状をしている。
【0033】
また、第1電極14A〜14Fは、略円形の形状をしており、第1電極14A〜14Fは、円弧部位11Aに設けられている。具体的には、第1電極14A〜14Cは、円弧部位11Aの表面上における、テール部位11Bとの接続点より左側に設けられている。そして、第1電極14Cは、円弧部位11Aの一方の端縁から所定の間隔をあけて設けられており、第1電極14Bは、第1電極14Cと所定の距離をあけて設けられており、さらに、第1電極14Aは、第1電極14Bと所定の距離をあけて形成されている。従って、第1電極14A〜14Cは、円弧部位11Aの一方の端縁側から順に、第1電極14C、第1電極14B、第1電極14Aの順に設けられ、第1電極14Aが、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点に最も近い場所に設けられている。
【0034】
さらに、第1電極14A及び第1電極14Bは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Aと第1電極14Bとの間に設けられる円弧状の第1配線16Aと接続されており、第1電極14B及び第1電極14Cは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Bと第1電極14Cとの間に設けられる円弧状の第1配線16Bと接続されている。
【0035】
さらに、第1電極14Aは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Aから円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点にかけて設けられる円弧状の第1配線16Eと接続されている。そして、第1配線16Eは、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点において、テール部位11Bの長手方向に沿って延在する第1配線16Gと接続されている。
【0036】
一方、第1電極14D〜14Fは、円弧部位11Aの表面上における、テール部位11Bとの接続点より右側に設けられている。具体的には、第1電極14Fは、円弧部位11Aの他方の端縁から、第1電極14Cと同様にして、所定の間隔をあけて設けられており、第1電極14Eは、第1電極14Fと所定の距離をあけて設けられており、さらに、第1電極14Dは、第1電極14Eと所定の距離をあけて形成されている。こうして、第1電極14A〜14Cは、円弧部位11Aの他方の端縁側から順に、第1電極14F、第1電極14E、第1電極14Dの順に設けられ、第1電極14Dが、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点に最も近い場所に設けられている。
【0037】
さらに、第1電極14D及び第1電極14Eは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Dと第1電極14Eとの間に設けられる円弧状の第1配線16Cと接続されており、第1電極14E及び第1電極14Fは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Eと第1電極14Fとの間に設けられる円弧状の第1配線16Dと接続されている。
【0038】
さらに、第1電極14Dは、円弧部位11Aの表面上において、第1電極14Dから円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点にかけて設けられる円弧状の第1配線16Fと接続されている。そして、第1配線16Fは、円弧部位11Aとテール部位11Bとの接続点において、テール部位11Bの長手方向に沿って延在する第1配線16Hと接続されている。
【0039】
なお、第1絶縁シート11の表面上に設けられた第1電極14A〜14Cと、第1電極14D〜14Fとは、テール部位11Bの中心を通り、テール部位11Bの長手方向に沿った線を基準として、互いに線対称となるように設けられている。
【0040】
また、端子42A、42Bは、略四角形の形状をなし、端子42A、42Bは、テール部位11Bの表面における自由端側の端縁から所定の間隔をあけた位置に、テール部位11Bの長手方向に垂直な方向に沿って並設されている。そして、端子42Aは、上述のように一端が第1配線16Eと接続された第1配線16Gの他端と接続されており、端子42Bは、上述のように一端が第1配線16Fと接続された第1配線16Hの他端と接続されている。
【0041】
こうして第1電極14A〜14Cと端子42Aとは、第1配線16A、16B、16E、16Gにより電気的に接続されている。同様に第1電極14D〜14Fと端子42Bとは、第1配線16C、16D、16F、16Hにより電気的に接続されている。
【0042】
図4は、図2に示す第2電極シートを示す平面図である。図4に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Fを主な構成要素として有する。
【0043】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11における円弧部位11Aと形状及び大きさが同じである円弧部位21Aと、第1絶縁シート11のテール部位11Bと幅が同じで、長さが短い形状とされるテール部位21Bとから構成される。そして、円弧部位21Aは、第1電極シート10と第2電極シート20とを重ね合わせたときに、第1絶縁シート11における円弧部位11Aと完全に重なるように形成されている。また、第2絶縁シート21のテール部位21Bは、第1電極シート10と第2電極シート20とを重ね合わせたときに、第1絶縁シート11のテール部位11Bと重なって、第1電極シート10の端子42A、42Bが露出するように、円弧部位21Aと連結されている。なお、本実施形態においては、第2絶縁シート21と第1絶縁シート11とは、同じ可撓性を有し、同じ力が加えられる場合に、同じように撓むように構成されている。
【0044】
また、第2電極24A〜24Fは、第1電極14A〜14Fと同じ形状、大きさとされている。さらに、第2電極24A〜24Fは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0045】
さらに、第2電極24A及び第2電極24Bは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Aと第2電極24Bとの間に設けられる円弧状の第2配線26Aと接続されており、第2電極24B及び第2電極24Cは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Bと第2電極24Cとの間に設けられる円弧状の第2配線26Bと接続されている。同様に第2電極24D及び第2電極24Eは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Dと第2電極24Eとの間に設けられる円弧状の第2配線26Cと接続されており、第2電極24E及び第2電極24Fは、円弧部位21Aの表面上において第2電極24Eと第2電極24Fとの間に設けられる円弧状の第2配線26Dと接続されている。
【0046】
さらに第2電極24Bと第2電極24Eは、それぞれ円弧部位21Aの表面上に設けられる第2配線26Eと接続されている。
【0047】
こうして第2電極24A〜24Fは、第2配線26A〜26Eにより電気的に接続されている。
【0048】
図5は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シート31からなる。そして、図5に示すように、スペーサ30は、外形が第2電極シート20と一致している。
【0049】
また、スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口34A〜34Fが形成されている。開口34A〜34Fは、周縁が略円形の形状であり、第1電極14A〜14Fよりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、開口34A〜34Fは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿ってスペーサ30を見る場合に、第1電極14A〜14Fのそれぞれの外形の内側にそれぞれの開口34A〜34Fが収まるような位置に形成されている。
【0050】
さらにスペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Fを空間的に接続するスリット36A〜36Eが形成されている。具体的には、開口34A及び開口34Bは、スリット36Aと接続されており、開口34B及び開口34Cは、スリット36Bと接続されており、開口34D及び開口34Eは、スリット36Cと接続されており、開口34E及び開口34Fは、スリット36Dと接続されており、さらに、開口34B及び開口34Eは、スリット36Eと接続されている。さらにスペーサ30には、気体流出口35と、この気体流出口35とスリット36Eとを接続するスリット36Fが形成されている。従って、それぞれの開口34A〜34Fは、気体流出口35及びスリット36A〜36Fを介して、スペーサ30の外側と空間的に接続されている。
【0051】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0052】
図6は、図2に示すV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図2、図6に示すように、着座センサ1は、上述のように、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0053】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、一体化された状態で、着座センサ1に対して垂直な方向から見た場合に、第1電極シート10の第1電極14A、及び、第2電極シート20の第2電極24Aは、完全に重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Aは、第1電極14A及び第2電極24Aの外周内に収まっている。そして、第1電極14Aと第2電極24Aとは、図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Aが形成されたスペーサ30と、開口34Aを介して互いに対向する一対の電極14A、24Aとを有する感圧スイッチ40Aが構成されている。同様に他の第1電極14B〜14Fと、他の第2電極24B〜24Fとが、それぞれスペーサ30の開口34B〜34Fにおいて所定の間隔をあけて対向し、図2に示すように感圧スイッチ40B〜40Fが構成されている。
【0054】
また、図6に示すように、第1絶縁シート11のスペーサ30側とは反対側には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材51が設けられており、第2絶縁シート21のスペーサ30側とは反対側には、クッション部材51と同様のクッション部材52が設けられている。これらのクッション部材51、52は、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等から構成される。そして、この一対のクッション部材51、52は、第2絶縁シート21に垂直な方向から見た場合に合同であり、図2に示すように第2絶縁シート21における円弧部位21Aの外周内に収まるような形状をしている。そして、クッション部材51は、スペーサ30に垂直な方向から見る場合に、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されている。
【0055】
なお、本実施形態においては、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は同じ弾性力を有して、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0056】
図7は、図2に示す着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成される感圧スイッチ40A〜40Fは、図7に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16D、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A〜26Eにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Fが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
【0057】
そして、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40B及び感圧スイッチ40Cから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40D及び感圧スイッチ40E及び感圧スイッチ40Fから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されている。さらに、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40B及び感圧スイッチ40Cから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40D及び感圧スイッチ40E及び感圧スイッチ40Fから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されている。こうして、着座センサ1においては、感圧スイッチ40A〜40Fにより、AND−OR回路が構成されている。
【0058】
図8は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、図8の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図8の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図8の(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92と、シートパン92の上に配置されるクッションパッド93と、背もたれ96と、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている着座センサ1とを備える。
【0059】
シートパン92は、合成の高い金属板が折曲げ加工されて構成されており、図8の(A)に示すように、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lを基準として、線対称の形状をしている。さらに、中心線L上に中心が位置する円形の孔94Aが形成されている。従って、この孔94Aは、シートパン92の幅方向の中心を通る線上に中心が位置する。また、図8の(A)及び(B)に示すように、人が座席装置9に正規着座する場合におけるヒップポイントHPよりも前方に孔94Aが形成されており、ヒップポイントHPの後方に孔94Bが形成されており、孔94Aの横方向に孔94Cが形成されている。
【0060】
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれ96に接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、図8の(B)に示すように、人が着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0061】
そして、このシートパン92により、クッションパッド93が支えられている。このクッションパッド93は、クッション性を有する発泡ウレタンから構成されており、図示しない布製の表皮に覆われている。また、背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段によりシートパン92と接続されている。
【0062】
また、図8の(B)に示すように、着座センサ1は、車両等の座席装置9におけるシートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている。また、着座センサ1がこのように配置された状態において着座センサ1は、第1電極シート10及び第2電極シート20の円弧部位11A、21Aにより、ヒップポイントHPより前方で幅方向の中心に形成された孔94Aを囲むように配置され、感圧スイッチ40A〜40Cが、シートパン92の中心線Lの左側において、孔94Aと隣接し、感圧スイッチ40D〜40Fが、シートパン92の中心線Lの右側において、孔94Aと隣接するように配置されている。したがって、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合におけるピップポイントよりも前側に配置されている。なお、孔と隣接して配置されるとは、孔を形成するエッジを含み、このエッジから約10cm以内に配置されることをさす。なお、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Dとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Dとは、中心線Lと基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。同様に、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Eとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Eとは、中心線Lと基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。さらに、感圧スイッチ40Cと感圧スイッチ40Fとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Cと感圧スイッチ40Fとは、中心線Lと基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。そして、上述のように感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとで、アンド回路が構成されるため、中心線Lの左側に配置された感圧スイッチと、中心線Lの右側に配置された感圧スイッチとで、アンド回路が構成されている。さらに、上述のように感圧スイッチ40A〜40Cから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40D〜40Fから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されているので、中心線Lの左側に配置された複数の感圧スイッチ、及び、中心線Lの右側に配置された複数の感圧スイッチのそれぞれにより、OR回路が構成されている。
【0063】
そして、端子42A、42Bが外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続され、端子42A、42Bに電圧が印加される。
【0064】
なお、第1電極シート10及び第2電極シート20の円弧部位11A、21Aにより、孔94Aを囲むようにして、着座センサ1は配置されるため、第1絶縁シート11、第2絶縁シート21は、孔94Aと重ならないように配置され、また、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜Eも孔94Aと重ならないように配置されている。
【0065】
次に、着座センサの動作について説明する。
【0066】
図9は、図1と同じように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、表皮及びクッションパッド93を介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図であり、図10は、図9のX−X線において、人の着座時にシートパン92が受ける荷重の分布を示す図である。具体的に図10は、孔94Aの中心を通り、座席装置9の幅方向に沿った線において、人の着座時にシートパン92が受ける荷重の分布を示す図である。ただし、図10は、実測データに基づく図であるため、シートパン92の凹凸により、荷重が多少偏在している。図9においては、シートパン92に形成された孔94Aと隣接する領域92aが、クッションパッド93から最も高い押圧力を受けており、更に領域92aの外側の領域92bが、次に高い押圧力を受けており、そして、領域92bの外側の領域92cが次に高い押圧力を受けている。
【0067】
図1を用いて説明したように、人が座席装置に着座する場合、クッションパッドの表面においては、人の臀部が位置する場所に押圧力が集中しているが、図9、図10に示すように、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散している。そして、図9に示すように、人の着座時において、シートパン92は、シートパン92のそれぞれの孔と隣接する領域において、他の部分と比べてクッションパッド93から比較的強い押圧力を受けている。特に、ヒップポイントHPよりも前方に形成された孔94Aと隣接する領域においては、他の孔94B、94Cと隣接する領域よりも強い力で押圧されており、孔94Aの横方向に形成された孔94Cと隣接する領域が、孔94Aと隣接する領域の次に強く押圧されている。
【0068】
これは、次のように考えられる。つまり、人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。こうして、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。そして、人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座する。従って、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧される傾向がある。こうして、ヒップポイントよりも前で、クッションパッドの幅方向の中心に形成されている孔94Aと隣接する領域が他の孔と隣接する領域よりも大きな力で押圧されている。また、人が座席装置9に正規着座するとき、人の骨盤は、中心線Lを基準に左右方向に対称に配置される。このため、シートパン92がクッションパッドから受ける押圧力の分布は、横方向にも広がる。こうして、押圧力の分布はシートパン92の前方方向及び幅方向に広がる。このため、上述のように、孔94Aの横方向に形成された孔94Cと隣接する領域が、孔94Aと隣接する領域の次に強く押圧されている。なお、本実施形態においては、シートパン92がクッションパッド93から特に大きな押圧力を受ける場所(最大荷重領域)は、領域92aの中でも孔94Aに横方向に隣接する領域となっている。また、上述のように人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座するため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称になっている。
【0069】
そして、上述のように、着座センサ1は、感圧スイッチ40A〜40Fが、孔94Aと隣接するように配置されているため、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
【0070】
図11は、図8のように着座センサが座席内に配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。なお、図11においては、理解の容易のため、シートパン92及びクッションパッド93は、一部分のみを示している。座席装置9に人が着座すると、図11に示すように、シートパン92及びクッションパッド93から、着座センサ1の両面に対して垂直な方向から矢印で示すように押圧力がかかる。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Aに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Aを介して対向する絶縁シート11、21に設けられた電極14A、24Aが接触する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。
【0071】
なお、本実施形態の着座センサ1においては、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14Aと電極24Aとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40Aをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0072】
また、シートパン92及びクッションパッド93からは略同じ押圧力が着座センサ1に加えられる。従って、シートパン92からクッション部材51に加えられる押圧力と、クッションパッド93からクッション部材52に加えられる押圧力とは略同じである。そして、本実施形態においては、上述のようにクッション部材51、52は、同じ弾性力を有するため、同じ押圧力が加えられると、クッション部材51、52が、絶縁シート11、21を同じ弾性力で押圧する。従って、絶縁シート11、21は、同じように撓み、一対の電極14A、24Aは、開口34A内において、スペーサ30の厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、一方の絶縁シートの撓み量が大きくなるということを抑制でき、着座の検出感度を向上させることができる。
【0073】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、開口34A内の空気は、図5に示すスリット36A、36E、36Fを介して気体流出口35から排出される。従って、着座センサ1に押圧力がかかるとき、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は適切に撓むことができる。
【0074】
同様に、他の感圧スイッチ40B〜40Fも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。このとき各開口34B〜34F内の空気は、スリット36B〜36Eを介して気体流出口35から排出される。従って、感圧スイッチ40Aがオンになるときと同様に、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40B〜40Fの一対の電極が接触し易くされている。
【0075】
そして、上述のように、感圧スイッチ40A〜40FによりAND−OR回路が形成されているため、感圧スイッチ40A〜40Cの少なくとも1つと、感圧スイッチ40D〜40Fの少なくとも1つとがオンになる場合に端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。このように感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとによりアンド回路が形成されているため、座席装置9に荷物等を置くことにより、クッションパッド93の幅方向に偏って荷重がかかる場合に、着座センサ1が誤検出をすることを抑制することができる。そして、感圧スイッチ40A〜40C、及び、感圧スイッチ40D〜40Fは、それぞれOR回路を形成しているため、着座センサ1の検出感度が向上して、着座を適切に検出することができる。
【0076】
なお、上述のように、着座センサ1は、第1電極シート10及び第2電極シート20の円弧部位11A、21Aにより、孔94Aを囲むように配置されるため、第1電極シート10及び第2電極シート20孔94Aと重ならなく、第1配線16A〜16H、第2配線26A〜26Eも孔94Aと重ならない。従って、クッションパッド93荷重がかかると、クッションパッド93は、自身の弾性力によって、シートパン92の孔94Aにクッションパッド93の一部が入り込むように変形するが、絶縁シート11、21や、第1配線16A〜16H、第2配線26A〜26Eが、損傷することを防止することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態における座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Fがシートパン92に形成された孔94Aと隣接するように配置されることにより、着座によりクッションパッド93に荷重がかかるとき、クッションパッド93が感圧スイッチ40A〜40Fを適切に押圧する。こうして、人の着座を適切に検出することができる。
【0078】
また、本実施形態の座席装置9によれば、着座する人の背中が背もたれ96により押されるため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも比較的大きくなる。従って、孔94Aが、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に形成されているため、孔94Aと隣接するように配置される感圧スイッチ40A〜40Fも正規着座する人のピップポイントHPよりも前方に配置されので、人の着座を適切に検出することができる。
【0079】
さらに、上述のように、人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座するため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称になっている。一方、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、荷物を座席装置9に置く場合においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称にならない傾向にある。そして、着座センサ1は、感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとが、中心線Lを基準として、線対称となるように配置されているため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0080】
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
【0081】
第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成される。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0082】
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
【0083】
また、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24F、及び、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜26E、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、あるいは、これらの積層体等が挙げられる。
【0084】
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂やゴムを挙げることができる。中でも、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂が、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
【0085】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12〜図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図12は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【0086】
図12に示すように、本実施形態における着座センサ2は、感圧スイッチ40A〜40Fの第1電極14A〜14Fが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。
【0087】
図13は、図12に示す第1電極シートを示す平面図である。図13に示すように、第1電極14A〜14Fを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
【0088】
そして、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Aから第1電極14Bまで延在する第1配線16Aの一端に接続されている。さらに、第1電極14Aにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Aから第1電極14Bまで延在する第1配線16Iの一端に接続されている。また、第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Bから第1電極14Cまで延在する第1配線16Bの一端、及び、第1配線16Aの他端に接続されている。さらに、第1電極14Bにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Bから第1電極14Cまで延在する第1配線16Jの一端、及び、第1配線16Iの他端に接続されている。また、第1電極14Cにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1配線16Bの他端に接続され、さらに、第1電極14Cにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Jの他端に接続されている。
【0089】
また、第1電極14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Dから第1電極14Eまで延在する第1配線16Cの一端に接続されている。さらに、第1電極14Dにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Dから第1電極14Eまで延在する第1配線16Kの一端に接続されている。また、第1電極14Eにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Eから第1電極14Fまで延在する第1配線16Dの一端、及び、第1配線16Cの他端に接続されている。さらに、第1電極14Bにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、円弧部位11Bに沿って第1電極14Eから第1電極14Fまで延在する第1配線16Lの一端、及び、第1配線16Kの他端に接続されている。また、第1電極14Fにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1配線16Dの他端に接続され、さらに、第1電極14Fにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Lの他端に接続されている。
【0090】
また、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Eに接続されており、第1電極14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Fに接続されている。さらに、第1電極14Aにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、円弧部位11Aに沿って第1電極14Aから第1電極14Dまで延在する第1配線16Mの一端に接続され、第1電極14Dの他方側で接続された複数本の平行導体は、第1配線16Mの他端に接続されている。
【0091】
図14は、図12に示す第2電極シートを示す平面図である。図14に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A〜26Eが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
【0092】
そして、図12に示すように、第1電極シート10と第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
【0093】
こうして、第1実施形態と同様にして、感圧スイッチ40A〜40Cから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40D〜40Fから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されている。さらに、感圧スイッチ40A〜40Cから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40D〜40Fから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されて、感圧スイッチ40A〜40Fにより、AND−OR回路が構成されている。
【0094】
本実施形態の着座センサ2は、第1実施形態と同様に座席装置に配置され、座席装置に人が着座することにより、クッションパッド93とシートパン92からの押圧力により感圧スイッチ40A〜40Fが押圧される。すると、第2電極24A〜24Cの少なくとも一つが、第1電極14A〜14Cにおける平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Cの少なくとも一つにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Cを介して、電気的に接続される。同様に第2電極24D〜24Fの少なくとも一つが、第1電極14D〜14Fにおける平行導体に接触する。このため、第1電極14D〜14Fの少なくとも一つにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24D〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Cの少なくとも一つ、及び、感圧スイッチ40D〜40Fの少なくとも一つがオンとなる。こうして着座センサ2により人の着座が検出される。
【0095】
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
例えば、上記実施形態において、着座センサ1、2の感圧スイッチの数を6つとしたが、本発明はこれに限らず、感圧スイッチの数を5つ以下でもよく、7つ以上でも良い。
【0097】
また、各感圧スイッチ40A〜40Fにおける、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとしたが、本発明はこれに限らず、押圧力を検知できる範囲で、大きさや形状等が第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとで異なっていても良い。
【0098】
また、上記実施形態においては、シートパン92に形成された孔94Aは、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lに中心が位置するように形成されるとしたが、孔94Aは、中心線Lと重なるように形成されれば十分に人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。また、図9を用いて説明したように、人の着座時において、シートパン92は、シートパン92に形成された孔94A以外の孔94B、94Cと隣接する領域において、他の部分と比べてクッションパッド93から比較的強い押圧力を受けるため、孔94B、94Cと隣接する領域に感圧スイッチを配置しても良い。或いは、孔94Aが、シートパン92の幅方向の一方に偏っていても良い。さらに、孔94Aは、円形に限らず、例えば、四角形や楕円形でも良い。
【0099】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Fに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を検知することができる。
【0100】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11、第2絶縁シート21は、孔94Aと重ならないように配置され、また、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜Eも孔94Aと重ならないように配置されているとしたが、第1絶縁シート11、第2絶縁シート21が、孔94Aと重なるように配置され、また、第1配線16A〜16H、及び、第2配線26A〜Eも孔94Aと重なるように配置されても良い。
【0101】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0102】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40A〜40Fにより、AND−OR回路が構成されていたが、本発明は、これに限らず、例えば、感圧スイッチ40A〜40Fの全てにより、OR回路が形成されるように構成しても良く、感圧スイッチ40A〜40Fの全てにより、AND回路が形成されていても良い。感圧スイッチ40A〜40Fの全てにより、AND回路を形成する場合、感圧スイッチ40A〜40Fを直列に接続すればよい。
【0104】
また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A〜40Cと、感圧スイッチ40D〜40Fとが、中心線Lを基準として、線対称となるように配置されているとしたが、感圧スイッチ40A〜40Cの少なくとも1つと、感圧スイッチ40D〜40Fの少なくとも1つとが中心線Lを基準として、線対称となる位置に配置されても良い。さらには、感圧スイッチが、中心線Lを基準として、左右の一方側のみに配置されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、シートパン上に配置された着座センサによって、人の着座を適切に検出することができる座席装置が提供される。
【符号の説明】
【0106】
1、2・・・着座センサ
9・・・座席装置
10・・・第1電極シート
11・・・第1絶縁シート
14A〜14F・・・第1電極
16A〜16M・・・第1配線
20・・・第2電極シート
21・・・第2絶縁シート
24A〜24F・・・第2電極
26A〜26E・・・第2配線
30・・・スペーサ
34A〜34F・・・開口
36A〜36F・・・スリット
40A〜40F・・・感圧スイッチ
42A、42B・・・端子
51、52・・・クッション部材
92・・・シートパン
93・・・クッションパッド
94A、94B、94C・・・孔
96・・・背もたれ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートパンと、
前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、
少なくとも1つの感圧スイッチを有し、前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される着座センサと、
を備え、
前記シートパンには孔が形成され、
前記着座センサは、前記感圧スイッチが前記シートパンの前記孔と隣接するように、配置される
ことを特徴とする座席装置。
【請求項2】
前記着座センサは、
可撓性を有する一対の絶縁シートと、
前記一対の絶縁シートの間に介在し、少なくとも1つの開口が形成されたシート状のスペーサと、
を備え、
前記感圧スイッチは、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の座席装置。
【請求項3】
前記着座センサは、前記一対の絶縁シートの少なくとも一方における前記スペーサ側とは反対側に設けられると共に、前記絶縁シートを介して少なくとも前記開口を覆うクッション部材を備え、
前記着座センサは、前記クッション部材が前記シートパンと前記絶縁シートにより挟まれるように配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の座席装置。
【請求項4】
前記シートパンの前記孔は、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線と重なるように形成され、
前記着座センサは、複数の前記感圧スイッチを有するとともに、前記感圧スイッチが、前記中心線を基準とした、左側及び右側に少なくとも1つ配置される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の座席装置。
【請求項5】
前記左側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つと、前記右側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つとが、前記中心線を基準として、互いに線対称になる位置に設けられていることをと特徴とする請求項4に記載の座席装置。
【請求項6】
前記左側に配置された感圧スイッチと、前記右側に配置された感圧スイッチとで、アンド回路が形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の座席装置。
【請求項7】
前記シートパンの前記左側及び前記右側には、それぞれ複数の前記感圧スイッチが配置され、
前記左側に配置された複数の前記感圧スイッチ、及び、前記右側に配置された複数の前記感圧スイッチは、それぞれOR回路を形成していることを特徴とする請求項6に記載の座席装置。
【請求項8】
前記着座センサは、前記感圧スイッチと接続される配線を更に有し、
前記配線は、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置される
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の座席装置。
【請求項9】
前記絶縁シートは、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の座席装置。
【請求項1】
シートパンと、
前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、
少なくとも1つの感圧スイッチを有し、前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される着座センサと、
を備え、
前記シートパンには孔が形成され、
前記着座センサは、前記感圧スイッチが前記シートパンの前記孔と隣接するように、配置される
ことを特徴とする座席装置。
【請求項2】
前記着座センサは、
可撓性を有する一対の絶縁シートと、
前記一対の絶縁シートの間に介在し、少なくとも1つの開口が形成されたシート状のスペーサと、
を備え、
前記感圧スイッチは、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の座席装置。
【請求項3】
前記着座センサは、前記一対の絶縁シートの少なくとも一方における前記スペーサ側とは反対側に設けられると共に、前記絶縁シートを介して少なくとも前記開口を覆うクッション部材を備え、
前記着座センサは、前記クッション部材が前記シートパンと前記絶縁シートにより挟まれるように配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の座席装置。
【請求項4】
前記シートパンの前記孔は、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線と重なるように形成され、
前記着座センサは、複数の前記感圧スイッチを有するとともに、前記感圧スイッチが、前記中心線を基準とした、左側及び右側に少なくとも1つ配置される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の座席装置。
【請求項5】
前記左側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つと、前記右側に設けられる前記感圧スイッチの少なくとも1つとが、前記中心線を基準として、互いに線対称になる位置に設けられていることをと特徴とする請求項4に記載の座席装置。
【請求項6】
前記左側に配置された感圧スイッチと、前記右側に配置された感圧スイッチとで、アンド回路が形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の座席装置。
【請求項7】
前記シートパンの前記左側及び前記右側には、それぞれ複数の前記感圧スイッチが配置され、
前記左側に配置された複数の前記感圧スイッチ、及び、前記右側に配置された複数の前記感圧スイッチは、それぞれOR回路を形成していることを特徴とする請求項6に記載の座席装置。
【請求項8】
前記着座センサは、前記感圧スイッチと接続される配線を更に有し、
前記配線は、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置される
ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の座席装置。
【請求項9】
前記絶縁シートは、前記シートパンの前記孔と重ならない位置に配置されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の座席装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【公開番号】特開2012−86780(P2012−86780A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237224(P2010−237224)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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