説明

廃タイヤ等の固形塊状物の粒状化方法及び粒状化装置

【課題】本発明は、廃タイヤを粉砕して一定の粒径以下の廃タイヤ粒体をコンパクトな装置で製造できる廃タイヤ粒体の製造方法及び製造装置を提供するとともに、この廃タイヤ粒体の製造方法及び製造装置を活用し、廃棄タイヤからその主材であるゴムを一定粒径以下の廃タイヤ粒体に再資源化する廃棄タイヤのゴム再資源化方法及び再資源化装置を提供する。
【解決手段】周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された廃タイヤを、同円筒体内にて多数の回転刃で粉砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から廃タイヤ粉砕物を外部へ放出して、一定粒径以下の廃タイヤ粒体を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形塊状物を粉砕して一定粒径以下の粒状体にする粒状化方法及び粒状化装置に係り、特に一定粒径以下の粒状体を遠心力を利用して選別・収集する手段を有してなる廃タイヤ等の固形塊状物の粒状化方法及び粒状化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固形塊状物を粉砕し一定粒径の粒体を得るには、粉砕機で粉砕された塊状物を所定の粒径に相当するメッシュの篩装置に投入し、前記篩装置を振動させることによって一定粒径以下の粒体を篩のメッシュから落下させて収集することが一般に行われている。また、篩のメッシュから落下せず篩上に残った一定粒径以上の粗い粒体を効率よく回収するために篩を傾斜させて配置することもよく行われている。
しかしこの方法では、破砕機で粉砕された塊状物を篩上まで搬送しなければならず、仮に破砕機の排出口に接して篩装置を備えたとしても、篩い残された粗い破砕粒体を破砕機で再度粉砕するためには、篩い残された粗い破砕粒体を破砕機の投入口まで何らかの手段で搬送する必要があり、破砕粒体の製造装置が大型化するきらいがあった。
【0003】
また、一方では自動車の普及に伴う使用済みタイヤの大量な野積みや、野積みタイヤの自然発火による火災の発生等の環境破壊が社会問題化し、その再利用、再資源化が大きな課題となってきている。
使用済みタイヤの再利用、再資源化の方法としては、原型のまま、あるいは切断加工して遊具などとして使用したり、そのまま燃焼して高カロリーの熱源として利用されたりもしているが、一方では破砕装置によって粗破砕し、タイヤのゴム部分を補強するためにタイヤの内面に貼着された合成樹脂繊維製などのカーカスや、タイヤが路面に接する部分(トレッド)の内面に帯状に貼着された合成樹脂繊維製などのベルト、前記カーカスの両端を支持するとともにタイヤをリムに固定する金属製のビードワイヤー等の非ゴム素材をゴム部分から剥がして分離し、ゴム、合成樹脂繊維類、金属類をそれぞれ資源として再利用することも行われている。
しかし、前記の廃棄タイヤを資源として再利用する場合においては、ゴム部分から非ゴム素材を剥がして分離することが困難であること、そして分離したゴム部分に合成樹脂繊維や金属類の非ゴム素材が含まれていると、再生したゴム製品の商品価値が低下するという問題があった。
【0004】
そこで本発明者は、先に「廃タイヤを低温液化ガス等の冷媒を用いて凍結する凍結工程と、この凍結した廃タイヤを破砕すると共に、ゴム部分からカーカス、ベルト及びビードワイヤー等の非ゴム部分を分離する破砕分離工程と、この破砕した廃タイヤを、ゴム部分と、カーカス、ベルト及びビードワイヤー等の非ゴム部分を分別する分別工程と、この分別したゴム部分を所定の粒径に細かく粉砕する粉砕工程とを備えた廃タイヤの凍結粉砕方法及びその凍結粉砕装置」の発明を行った(特開2002−219378号公報)。
この「廃タイヤの凍結粉砕方法及びその凍結粉砕装置」の発明では、凍結工程から破砕分離工程へ凍結された廃棄タイヤを、破砕分離工程から分別工程へ破砕された廃棄タイヤの破砕片を、また分別工程から粉砕工程へ非ゴム素材の破砕片と分離されたゴムの破砕片をそれぞれ搬送する手段が必要となり、装置全体の規模が大きくなるきらいがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−219378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術に鑑み、固形塊状物を粉砕して一定の粒径以下の粉粒体をコンパクトな装置で製造できる固形塊状物の粒状化方法及び粒状化装置を提供するとともに、併せてこの方法及び装置を活用し、コンパクトな装置で廃棄タイヤからその主材であるゴムを一定粒径以下の粉粒体として他の非ゴム素材から効率よく分離して再資源化できる廃棄タイヤのゴム再資源化方法及び再資源化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
(1) 周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を、同円筒体内にて多数の回転刃で切断・破砕して粒状体となすとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粒状体を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体を選別・収集することを特徴とする固形塊状物の粒状化方法。
【0008】
(2) 周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を、同円筒体の回転を制止した状態で円筒体内にて多数の回転刃で切断・破砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粒状体を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体を選別・収集することを特徴とする固形塊状物の粒状化方法。
(3) 多数の回転刃が、有底円筒体の回転方向と逆の方向に回転するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の固形塊状物の粒状体方法。
(4) 周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体と、同円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を円筒体内で切断・破砕する手段と、同円筒体内にて粉砕された粒状体が円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から外部へ放出されて得られた一定粒径以下の粒状体を選別・収集する手段とからなることを特徴とする固形塊状物の粒状化装置。
(5) 固形塊状物としての廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる第1工程と、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する第2工程と、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムと該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材とを分離する第3工程を経てゴム以外の素材と分離された破砕ゴム片(固形物)を、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内で多数の回転刃で前記破砕ゴム片を粉砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔からゴム粉砕物を外部へ放出して、一定粒径以下のゴム粉粒体を収集することを特徴とする廃棄タイヤのゴム再資源化方法。
【0009】
(6) 周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体と、同円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を円筒体内で多数の回転刃で切断・破砕する手段と、同円筒体内にて粉砕された粒状体が円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から外部へ放出されて得られた一定粒径以下の粒状体を収集する手段とからなることを特徴とする固形塊状物の粒状化装置。
(7) 固形塊状物の粗砕物を円筒体内で回転刃で切断・破砕する手段が、垂設軸に沿って多数の回転刃が上下に固設されてなり、昇降自在な回転刃回転体であることを特徴とする前項(6)に記載の固形塊状物の粒状化装置。
【0010】
(8) 前項(6)又は(7)に記載された固形塊状物の粒状化装置を用いて廃棄タイヤから一定粒径以下のゴムの粉粒体を製造して、ゴムの再資源化を図る廃棄タイヤのゴム再資源化装置であって、
廃棄タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる第1工程と、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する第2工程と、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムと該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材とを分離する第3工程を経てゴム以外の素材と分離された破砕ゴム片(固形物)を、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内で回転刃によって前記破砕ゴム片を粉砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔からゴム粉砕物を外部へ放出して、一定粒径以下のゴム粉粒体を収集することを特徴とする廃棄タイヤのゴム再資源化方法。
【0011】
(9) 廃棄タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結装置と、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する破砕装置と、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムと該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材とを分離する分離装置と、前記前項(6)又は(7)に記載された廃タイヤ粒体の製造装置とで構成されてなることを特徴とする廃棄タイヤのゴム再資源化装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の「固形塊状物の粒状化方法及び粒状化装置」によって下記の効果が発揮される。
〈1〉周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を、同円筒体内にて多数の回転刃で切断・破砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粒状体を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体を選別・収集するので、一定粒径以上の粒状体は貫通孔を通過できず円筒体内に残置されるため、従来の篩による整粒方法に存在した篩上に残置された一定粒径以上の粒状体を粉砕機の投入口に再投入するための移送の必要がなく、新たに円筒体内に投入される固形塊状物の粗砕物と一緒に再度粉砕でき、装置の小型化と生産性の向上が図れる。
〈2〉また、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された粗砕物を、同円筒体の回転を制止した状態で円筒体内にて多数の回転刃で切断・破砕した後、同円筒体を回転させ、遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粒状体を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体を選別・収集するので、粉砕する固形塊状物の大きさ、形状、硬度、投入量などに対応して円筒体の回転を制止した状態での破砕時間を任意に選定でき、円筒体内での粉砕が十分行われた後に回転円筒体を回転することができ1回の粉砕作業で一定粒径以下の粒状体が多量に得られ、固形塊状物の粒状体製造の効率化が図れる。
〈3〉円筒体内で廃タイヤを粉砕する手段が、固形塊状物の粗砕物を円筒体内で回転刃で切断・破砕する手段が、垂設軸に沿って多数の回転刃が上下に固設されてなり、昇降自在な回転刃であるので、粗砕物を効率よく切断・破砕できる。
【0013】
〈4〉前項〈1〉〜〈3〉に記載の効果を有する固形塊状物の粒状化方法及び装置を用いて廃棄タイヤから一定粒径以下のゴムの粉粒体を製造して廃棄タイヤのゴム再資源化を図る方法及び装置においては、廃棄タイヤを低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせて破砕するので、ゴムの破砕が容易で、かつ該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤの非ゴム素材との分離が容易となり、分離されたゴムの破砕片のみが、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入されて粉砕され、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔からゴム粉砕物を外部へ放出することによって一定粒径以下のゴム粉粒体が収集されるので、ゴム以外の素材の混入のない粒径の揃ったゴム粉粒体が容易に得られ、再資源化したゴムで造られた製品の品質向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1−1】本発明の固形塊状物の粒状化方法の工程説明図
【図1−2】本発明の固形塊状物の粒状化方法の工程説明図
【図1−3】本発明の固形塊状物の粒状化方法の工程説明図
【図2】本発明の廃タイヤ粒体の製造装置主要部の断面図
【図3】廃棄タイヤのゴム再資源化方法の工程を示すブロック図
【図4】廃棄タイヤのゴム再資源化装置の構成の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の固形塊状物の粒状化方法及び装置、ならびに同方法、装置を使用して廃棄タイヤからゴムを分別して再資源化する廃棄タイヤのゴム再資源化方法及びゴム再資源化装置を実施するための形態を、実施例の図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
最初に本発明の固形塊状物としての廃タイヤからゴム粒状体を製造する方法について、図1−1、図1−2、及び図1−3の固形塊状物の粒状化方法の工程説明図に基づいて説明する。
図において1は固形塊状物の粒状化装置(廃タイヤ粒体の製造装置)、2は回転円筒体、2aは貫通孔、3は回転刃回転体、3aは刃部、4は粒状体(廃タイヤ粒体)選別・収集部、4aは粒状体(廃タイヤ粒体)取り出し口、5は固形塊状物(廃タイヤ)、6は粒状体(廃タイヤ粒体)である。
本発明の固形塊状物の粒状化方法(廃タイヤ粒体の製造方法)は、周壁に多数の一定口径の貫通孔2aを有する有底回転円筒体2内に投入された固形塊状物の粗砕物(廃タイヤ)5を、同円筒体2内にて粉砕するとともに、同円筒体2の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔2aから粒状体(廃タイヤ粉砕物)を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体(廃タイヤ粒体)6を選別・収集するものである。
粉砕対象物5としては、廃タイヤの他に、プラスチック、金属、セラミックス、ガラス、スラグ、アスファルト、石材、木材、ゴム、食品、医薬、飼料、肥料が考えられる。
【0017】
本発明の固形塊状物の粒状化方法(廃タイヤ粒体の製造方法)による粒状体(廃タイヤ粒体)の製造は、まず図1−1(a)に示すように、固形塊状物(廃タイヤ)5を周壁に多数の一定口径の貫通孔2aを有する有底回転円筒体2内に投入することから始まる。このとき回転円筒体2の回転は制止されている。
廃タイヤ5の回転円筒体2内への投入が完了する〔図1−1(b)〕。
次いで、回転刃回転体3を回転させ〔図1−2(c)〕、廃タイヤ5は回転刃回転体3の刃3aによる切断力を受け、廃タイヤ5同士が擦れ合い、粉砕されていく〔図1−2(d)〕。この際回転刃回転体3に上下に微震動を与えて、廃タイヤに打撃が加わるように構成しておくことも好ましい。
粉砕がほぼ終えた時点で回転刃回転体3の回転を止め、次いで回転円筒体2を回転させて遠心力を発生させ、図1−3(e)に矢印で示すように、粉砕された粉砕物の内一定粒径以下の廃タイヤ粒体6を、回転円筒体2の周壁の多数の一定口径の貫通孔2aから放出させ、放出された廃タイヤ粒体6を選別・収集部4に収集する。
廃タイヤ粒体選別・収集部4に収集された廃タイヤ粒体6は廃タイヤ粒体取り出し口4aから取り出され製品となるが、一定粒径以上の廃タイヤ砕物は、回転円筒体2の周壁の一定口径の貫通孔2aを通過できず回転円筒体2内に残置される。
廃タイヤ粒体6の収集が完了すると、回転円筒体2の回転を停止し、回転刃回転体3を上昇させて、新たな廃タイヤ5を回転円筒体2内に投入し、円筒内に残置された一定粒径以上の廃タイヤ粉砕物とあわせて「図−1〜3」に示した(a)〜(f)の廃タイヤ粒体製造工程を繰り返し実施する。
【0018】
本発明の固形塊状物の粒状化方法方法は、上記のように回転円筒体2内で固形塊状物5の粉砕が行われるとともに、一定粒径以下の粒状体の選別が回転円筒体2の周壁に穿設された多数の一定口径の貫通孔2aから遠心力によって放出されるか否かによって決まり、一定粒径以上の粒状体は回転円筒体2内に残置され新たに投入される固形塊状物の粗砕物5ともども再度粉砕されるので、従来粉砕機から取り出された粒状体を篩によって選別され、篩上に残された一定粒径以上の粒状体を再度粉砕機に投入するという方法に比べて、少なくとも篩と篩上に残置された粉砕物を再度粉砕機に投入する工程とは省け、装置のコンパクト化と作業時間の短縮、効率化が図れる。
【実施例2】
【0019】
本発明の廃タイヤ粒体の製造装置は、図2に見られるように、周壁に多数の一定口径の貫通孔2aを有する有底回転円筒体2と、同円筒体2内に投入された粗砕物5を円筒体内2で粉砕する手段として多数の回転刃3aを備えてなる昇降自在な回転刃回転体3と、同円筒体内にて粉砕された粗砕物が円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔2aから外部へ放出されて得られた一定粒径以下の粒状体(6)(図示せず)の選別・収集部4とでなり、さらに、いずれも図示されていないが、前記回転円筒体2を遠心分離器として必要な回転数で回転させる回転機構と、前記回転刃回転体を昇降させる昇降機構、そして回転体3の回転に必要な回転機構を備えている。
そして本実施例では、回転円筒体2の回転方向と、回転刃回転体2との回転方向とは互いに逆方向となるよう構成されている。
さらに前記回転刃回転体3に上下の微震動を付与し、回転円筒体2内に投入された粗砕物5に打撃を与え切断・破砕を促進するよう構成されることも好ましい。
【実施例3】
【0020】
本発明の廃タイヤ粒体の製造方法を用いて廃棄タイヤから一定粒径以下のゴムの粉粒体を製造して、ゴムの再資源化を図る廃棄タイヤのゴム再資源化方法の実施の形態を、図3の工程図に基づいて説明する。
図においてS1は前処理工程、S2は凍結工程、S3は破砕工程、S4は分離工程、S5は粉砕整粒工程を示す。
本廃棄タイヤのゴム再資源化方法は、図3に示すように、使用済みの廃棄タイヤから金属製のリムを取り外すとともに、タイヤに付着した泥や汚れを洗浄除去する前処理工程S1を行った後、廃棄タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結工程S2、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する破砕工程S3、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムの破砕片と該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材の破砕片とを分離する分離工程S4を経て、分離されたゴムの破砕片を本発明の粉粒体の製造装置1に導き、前記ゴムの破砕片(固形物)を、周壁に多数の一定口径の貫通孔2aを有する有底回転円筒体2内に投入し、同円筒体2内で多数の回転刃3a・・を備えた回転刃回転体3で前記ゴムの破砕片を粉砕するとともに、同円筒体2の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔2aからゴム粉砕物を外部へ放出して、一定粒径以下のゴム粉粒体を収集し再資源化するものである。
【0021】
この廃棄タイヤのゴム再資源化方法を実施するゴム再資源化装置の一実施例を図4に示す。図において11は凍結装置、12は破砕装置、12aは排出口、13は分離装置、14は篩であり、15は廃棄タイヤ、15’は凍結された廃棄タイヤ、16はゴム破砕片、17は非ゴム破砕片(合成樹脂類・金属類の破砕片)である。
本廃棄タイヤのゴム再資源化装置は、図4に示すように、廃棄タイヤ15を真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結してゴムの弾性を失わせる凍結装置11と、凍結され弾性を失って破砕されやすく、破砕によってカーカス、ベルト、ビートワイヤなどゴム以外の素材からゴムが剥離しやすくなった廃棄タイヤ15’を、例えばスイングハンマーなどの打撃や衝撃によって破砕する破砕装置12と、破砕された廃棄タイヤ15の破砕片からゴムの破砕片16と、タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用された合成樹脂繊維類や金属類の非ゴム破砕片17とを分離する分離装置13と、本発明の廃タイヤ粒体の製造装置1とで構成されてなり、上記廃棄タイヤの再資源化方法で説明した図3に示す工程にしたがって、それぞれの装置を稼働させて、ゴムの粉粒体を製造するものである。
そして破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムの破砕片16と非ゴム破砕片17とを分離する分離装置13が、前記破砕装置12の排出口12aに接続して配設され、前記廃棄タイヤの破砕片を流下させる傾斜した格子又は篩14で構成されてなり、前記格子又は篩14の目から落下したゴムの破砕片16を本発明の廃タイヤ粒体の製造装置1に投入するよう構成されている。
したがって、破砕装置と分離装置、分離装置と粉粒体の製造装置間にはベルトコンベアなど破砕物を搬送するための搬送装置を必要とせず、廃棄タイヤのゴム再資源化装置のコンパクト化と、作業時間の短縮が図られている。
【符号の説明】
【0022】
1:固形塊状物の粒状化装置
2:回転円筒体
2a:貫通孔
3:回転刃回転体
3a:回転刃
4:粒状体選別・収集部
4a:粒状体取り出し口
5:固形塊状物(廃タイヤ)
6:固形塊状物の粗砕物
11:凍結装置
12:破砕装置
12a:排出口
13:分離装置
14:篩
15:廃棄タイヤ
15’:凍結された廃棄タイヤ
16:ゴム破砕片
17:非ゴム破砕片(合成樹脂類・金属類の破砕片)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を、同円筒体内にて多数の回転刃で切断・破砕して粒状体となすとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粒状体を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体を選別・収集することを特徴とする固形塊状物の粒状化方法。
【請求項2】
周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を、同円筒体の回転を制止した状態で円筒体内にて多数の回転刃で切断・破砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から粒状体を外部へ放出して、一定粒径以下の粒状体を選別・収集することを特徴とする固形塊状物の粒状化方法。
【請求項3】
多数の回転刃が、有底円筒体の回転方向と逆の方向に回転するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の固形塊状物の粒状体方法。
【請求項4】
周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体と、同円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を円筒体内で切断・破砕する手段と、同円筒体内にて粉砕された粒状体が円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から外部へ放出されて得られた一定粒径以下の粒状体を選別・収集する手段とからなることを特徴とする固形塊状物の粒状化装置。
【請求項5】
固形塊状物としての廃タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる第1工程と、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する第2工程と、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムと該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材とを分離する第3工程を経てゴム以外の素材と分離された破砕ゴム片(固形物)を、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内で多数の回転刃で前記破砕ゴム片を粉砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔からゴム粉砕物を外部へ放出して、一定粒径以下のゴム粉粒体を収集することを特徴とする廃棄タイヤのゴム再資源化方法。
【請求項6】
周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体と、同円筒体内に投入された固形塊状物の粗砕物を円筒体内で多数の回転刃で切断・破砕する手段と、同円筒体内にて粉砕された粒状体が円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔から外部へ放出されて得られた一定粒径以下の粒状体を収集する手段とからなることを特徴とする固形塊状物の粒状化装置。
【請求項7】
固形塊状物の粗砕物を円筒体内で回転刃で切断・破砕する手段が、垂設軸に沿って多数の回転刃が上下に固設されてなり、昇降自在な回転刃回転体であることを特徴とする前項(6)に記載の固形塊状物の粒状化装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された廃タイヤ粒体の製造装置を用いて廃棄タイヤから一定粒径以下のゴムの粉粒体を製造して、ゴムの再資源化を図る廃棄タイヤのゴム再資源化装置であって、
廃棄タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる第1工程と、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する第2工程と、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムと該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材とを分離する第3工程を経てゴム以外の素材と分離された破砕ゴム片(固形物)を、周壁に多数の一定口径の貫通孔を有する有底回転円筒体内に投入し、同円筒体内で回転刃によって前記破砕ゴム片を粉砕するとともに、同円筒体の回転に伴う遠心力により円筒体周壁の多数の一定口径の貫通孔からゴム粉砕物を外部へ放出して、一定粒径以下のゴム粉粒体を収集することを特徴とする廃棄タイヤのゴム再資源化方法。
【請求項9】
廃棄タイヤを真空雰囲気中で低温液化ガスなどの冷媒によって瞬間凍結して弾性を失わせる凍結装置と、凍結され弾性を失った廃棄タイヤを破砕する破砕装置と、破砕された廃棄タイヤの破砕片からゴムと該タイヤのカーカス、ベルト、ビートワイヤに使用されたゴム以外の素材とを分離する分離装置と、前記請求項6又は7に記載の廃タイヤ粒体の製造装置とで構成されてなることを特徴とする廃棄タイヤのゴム再資源化装置。


【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−20239(P2012−20239A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160459(P2010−160459)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508158687)
【出願人】(510195423)
【Fターム(参考)】