説明

廃トナー回収容器及び画像形成装置

【課題】廃トナー回収容器を装置本体から取り外して設置面に設置した際に、常に回収口が上方に位置するような倒れ特性を容器に持たせて回収口からの廃トナー漏れを、低コストでリサイクルやリユース時に手間のかからない廃トナー回収容器を提供する。
【解決手段】 廃トナー回収容器20は、廃トナーを回収する回収口20aを有し、装置本体3に対し着脱自在であり、装置本体から離脱して回収口20aが略水平方向になるように設置面70に置いた際に、回収口20aが上方となる方向に倒れる特性を有するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置と、そこに用いられる廃トナー回収容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、像担持体上の残留トナーをクリーニング手段によって除去し、除去した残留トナーを廃トナーとして搬送手段によって廃トナー回収容器の回収口へと搬送し、回収口から容器内に導いて回収している。このような廃トナー回収容器は回収したトナーが満杯になると交換する必要があることから装置本体に対して着脱自在とされている。しかし着脱自在であると、離脱作業時に回収口から容器内部の廃トナーの漏れが懸念される。
【0003】
近年、画像形成装置は、省スペース化を求められている関係から、装置本体内において廃トナー回収容器の設置スペースが少なく、これに伴い容器の容量も小さくなってきている。しかし、廃トナー回収容器は、その容量が大きい程、容器交換などのメンテナンス間隔を延長することができるとともに、交換頻度を少なくすることで容器使用量が少なくなって省資源化を図ることができるので、容量を確保したいという要望が高い。
【0004】
そこで、廃トナー回収容器を装置本体のデットスペースに収まる形状とすることで容量確保を図ることを本出願人は試みているが、廃トナー回収容器の容量確保を優先すると形状が複雑化してしまい、装置本体から取り外した際に安定感の悪い形状になる場合が多々ある。そして、このような安定感のない形状で装置本体から離脱して設置面に置いたときに倒れてしまうと、回収口が倒れ方向に位置していると廃トナーが回収口から漏れてしまう。
【0005】
このような回収口からの廃トナーの漏れを防止するものとして、特許文献1には、回収口に開閉自在なシャッタを設け、廃トナー回収容器を装置本体から離脱するとシャッタが閉まる構造が提案されている。特許文献2には、装置本体に廃トナー回収容器の着脱の際のガイドを設け、そのガイドにより、離脱時に回収口が上を向くようにした構成が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−108322号公報
【特許文献2】特開2000−276022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回収口からの廃トナーの漏れを防止するという点では、特許文献1のように回収口を開閉するシャッタを容器に設けることは有効であるが、廃トナー回収容器は、装置本体からの離脱後に廃棄されるものや再び装置本体に戻るものがある。装置本体に再装着して使用する場合、回収口とシャッタの間に廃トナーが残留してしまうので、作業者の手が汚れるといった課題がある。また、廃棄する場合には、シャッタを閉方向に付勢するばね部材やシャッタを容器と分別しなければならないし、シャッタやその開閉機構が必要で、容器の構成部品が多くコストアップを否めない。
【0008】
特許文献2の構成では、廃トナー回収容器を装置本体から取り外し、机などに置く際のことまでは考慮されておらず、置く際の向きによっては、回収口からの廃トナー漏れは発生してしまう。
【0009】
また、廃トナー回収容器を装置本体から取り外した際に、回収口にキャップを取り付ける構成も周知であるが、キャップの取り付けは容器着脱者によって行われるため、キャップ忘れをした場合、置く際の向きによっては、回収口からの廃トナー漏れは防ぐことができない。
【0010】
本発明は、廃トナー回収容器を装置本体から取り外して設置面に設置した際に、常に回収口が上方に位置するような倒れ特性を容器に持たせて回収口からの廃トナー漏れを、低コストでリサイクルやリユース時に手間のかからない廃トナー回収容器及びそれを備えた画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、廃トナーを回収する回収口を有し、装置本体に対し着脱自在な廃トナー回収容器において、装置本体から離脱していて回収口が略水平方向になるように設置面に置いた際に、回収口が上方となる方向に倒れる特性を有することを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の廃トナー回収容器において、装置本体に装着されている状態で容器を側面から見たときに、容器の重心位置に対し、回収口側の底部が同回収口側と反対側の底部より低くなるように容器底面を形成したことを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1記載の廃トナー回収容器において、装置本体から離脱して回収口が略水平方向になるように設置部に置いた際の容器底部の回収口側に、この容器底部よりも下方に突出した突起部を有することを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1,2または3記載の廃トナー回収容器において、容器底面と回収口と反対の面との接合部が曲面とされていることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れかに記載の廃トナー回収容器において、容器が倒れたときの設置面に接触する面に衝撃緩衝部材を設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れかに記載の廃トナー回収容器において、回収口が設けられている面と同一面に、容器内部に溜められた廃トナーを容器外部に排出する排出口を設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項7の発明は、残留トナーが搬送手段によって回収口に搬送される廃トナー回収容器が装置本体の開口部近傍に着脱自在に設けられた画像形成装置において、廃トナー回収容器が、請求項1ないし7の何れかであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、装置本体から離脱していて回収口が略水平方向になるように設置面に置いた際に、回収口が上方となる方向に倒れる特性を廃トナー回収容器に与えているので、装置本体から取り外して設置面に設置した場合でも回収口からの廃トナー漏れを防止できる。また、シャッタなどの構成部材を用いていないので、低コストでリサイクルやリユース時に手間がかからなくなる。
【0019】
請求項2の発明によれば、装置本体に装着されている状態で容器を側面から見たときに、容器の重心位置に対し、回収口側の底部が同回収口側と反対側の底部より低くなるように容器底面を形成したので、容器底面を水平面に置いた際に、回収口側と反対側に倒れようとする力が働くので、回収口が上方を向き、廃トナー漏れを防止できる。
【0020】
請求項3の発明によれば、装置本体から離脱して回収口が略水平方向になるように設置部に置いた際の容器底部の回収口側に、この容器底部よりも下方に突出した突起部を有するので、容器底面を水平面に置いた際に、突起部を支点に回収口側と反対側に倒れようとする力が働くので、回収口が上方を向き、廃トナー漏れを防止できる。
【0021】
請求項4の発明によれば、容器底面と回収口と反対の面との接合部が曲面とされているので、容器底面を水平面に置いた際に、回収口側と反対側に倒れるときに、スムーズに倒れるので、倒れた際の衝撃が緩和されることで、廃トナー回収容器を通して廃トナーに伝わる衝撃の大きさが小さくなり、廃トナーが舞うことを防止することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、容器が倒れたときの設置面に接触する面に衝撃緩衝部材を設けたので、倒れた際の衝撃が衝撃緩衝部材で吸収されるため、回収容器を通して廃トナーに伝わる衝撃の大きさが小さくなり、回収口から廃トナーが舞うことを防止することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、回収口が設けられている面と同一面に、容器内部に溜められた廃トナーを容器外部に排出する排出口を設けたので、容器が倒れたときでも回収口と同様に排出口も上方を向くことになり、排出口からの廃トナー漏れも防止することかできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0025】
図1に示す画像形成装置は、プロセスカートリッジ11を使用したカラー画像形成装置の一例を示す全体構成図であり、図2は、カラー画像形成装置に装着されたプロセスカートリッジの詳細を示す部分拡大図であり、図3プロセスカートリッジの全体構成を示す斜視図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、カラー画像形成装置Aは、カラー画像用の複数色からなるカラートナー像が形成される中間転写ベルト1と、このトナー像用の各色トナーを補給するトナーボトル2とを装置本体3内に収容して有し、装置本体3の下部に積載されて収納された転写紙Sを、中間転写ベルト1に所定に接しさせてカラートナー像を転写し、さらにトナー像を定着させて装置本体3の上部から排出するように構成されている。すなわち、カラー画像形成装置Aの概略下部から上部に掛けて、1枚の転写紙Sをフィードする給紙コロ4と、トナー像転写用の搬送タイミングを確保するレジストローラ5と、中間転写ベルト1に接するように対向配置され中間転写ベルト1との間に所定圧を確保したニップを形成した2次転写ローラ6と、所定に加熱および加圧する定着ユニット7と、転写紙Sを装置外部に排出する排紙ローラ8とが配置されている。そして、転写紙Sに対して、これらのコロやローラによって形成した搬送経路を搬送する過程で、順次、前記ニップにより中間転写ベルト1からトナー像を転写し、定着ユニット7により転写紙S上に転写したトナー像を定着している。
【0027】
装置本体3の内部には、カラー画像を形成するための各色を担当してその色のトナー像を形成する4つの画像ステーションとしてプロセスカートリッジ11a〜11dが、図中の斜め左上がりに傾斜して配設された中間転写ベルト1の長手方向に沿って配置されている。これらのプロセスカートリッジ11a〜11dからなる各画像ステーションには、像担持体として感光体ドラム10a,10b,10c,10dをそれぞれ有し、これらの各感光体ドラム10a〜10dは、中間転写ベルト1を介して転写ローラ13,13に所定圧を確保して接しており、またその回りにはそれぞれ専用の帯電手段15a,15b,15c,15d、現像手段としての現像装置16a,16b,16c,16d、クリーニングユニット14a,14b,14c,14dを有している。また、これらのプロセスカートリッジ11a〜11dの下方には、それぞれの感光体ドラム10a〜10dをレーザー光によって所定に露光させて静電潜像を書き込む書き込みユニット9が配置されている。12は、中間転写ベルト1上の残留トナーを収集してクリーニングするクリーニング手段である。
【0028】
なお、このプロセスカートリッジ11a〜11dとしては、前記の構成に限ることなく、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、少なくとも1つの手段と、像担持体である電子写真感光体(感光体ドラム)とを有して一体に構成され、この構成を装置本体3に対して着脱可能としたものであればよい。
【0029】
カラー画像形成装置Aにトナーを供給するトナーボトル2は、装置内の上部で図中の左側から右側に順次、複数個、配置され、カラー画像形成装置Aに着脱して交換可能に設けられている。これらのトナーボトル2には、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーが充填されている。各トナーボトル2から図示しない搬送経路を介して、各トナーボトル2に対応した各色の現像装置16a〜16dにトナー供給可能に接続され、所定の補給量だけ各色のトナーが補給されている。
【0030】
このように構成されたカラー画像形成装置Aでは、転写紙Sが給紙コロ4でフィードされその先端がレジストローラ5まで到達すると、この転写紙Sの先端が図示しないセンサによって検知される。そして、この検出信号に基づき同期のタイミングを取りながら、レジストローラ5によって転写紙Sを2次転写ローラ6と中間転写ベルト1とにより形成したニップに搬送し、中間転写ベルト1から転写紙Sに中間転写ベルト1上に形成した画像を2次転写する。
【0031】
すなわち、感光体ドラム10a〜10dは、あらかじめ帯電ローラ15a〜15dによって一様に帯電され、次に書き込みユニット9によってレーザー光にて露光走査され、感光体ドラム10a〜10d上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置16a〜16dにより現像され、これにより感光体ドラム10a〜10dの表面にイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像が形成される。次に転写ローラ13に電圧が印加され各感光体ドラム10上のトナーが、中間転写ベルト1上に順次転写されていく。このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト1の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト1の送り方向における上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト1上に形成されたトナー画像は、2次転写ローラ6の位置まで搬送され転写紙Sに2次転写される。各色からなるカラートナー像が転写された転写紙Sは定着ユニット7に搬送されてそのトナー像が熱定着され、排紙ローラ8で排紙される。
【0032】
このような画像形成動作に伴って生じた廃トナーは、所定にクリーニングされて収集され、各プロセスカートリッジ11a〜11dからそれぞれ排出される。すなわち、感光体ドラム10a〜10d上の残留トナーは、それぞれのクリーニング手段であるクリーニングユニット14a〜14dによって除去され、収集された廃トナーとなり、感光体ドラム10a〜10dをクリーニングしている。また転写紙Sに転写されずに、中間転写ベルト1上に残された残留トナーは、同様にクリーニング手段12によって除去され、収集された廃トナーとなり、中間転写ベルト1の表面がクリーニングされる。
【0033】
図2、図3、図4(a)に示すように、これらの収集した廃トナーCは、各プロセスカートリッジ11a〜11dから搬送手段となる廃トナー排出パイプ18a〜18から、装置本体3に設けられた廃トナー回収容器となる廃トナーボトル20に排出される。すなわち、プロセスカートリッジ11には、プロセスカートリッジ11から側方に突出された中空状の廃トナー排出パイプ18が設けられ、この廃トナー排出パイプ18に対応した位置、つまりプロセスカートリッジ11a〜11dのセット位置に応じた装置本体3側の位置には、予め所定の内部容量を確保した廃トナーボトル20の回収口20aがそれぞれ配設されていて、各プロセスカートリッジが装置本体3にセットされて、廃トナーボトル20を装置本体3に装着すると廃トナーボトル20の回収口20a内に、廃トナー排出パイプ18の先端が差し込まれるようにしている。
【0034】
また各クリーニングユニット14は、その内部に搬送手段となる廃トナー搬送スクリュ17を有しており、この廃トナー搬送スクリュ17によって、廃トナーが廃トナー排出パイプ18の先端側に向けて搬送され、この廃トナー排出パイプ18の先端側に開口された廃トナー排出口19から回収口20aを介して廃トナーボトル20内に排出される。すなわち、この廃トナー搬送スクリュ17は、コイルバネなどの螺旋形状の部材とされ、廃トナー排出パイプ18内部に同軸上にその長手方向に渡って配設されている。また、この廃トナー搬送スクリュ17は、その一端がクリーニングユニット14内に収集された廃トナーに接するように配置され、その他端が廃トナー排出口19に対面して配置され、図示しない駆動機構によって螺旋が廃トナー排出口19側に進む方向に回転駆動されている。したがって、このように回転駆動される廃トナー搬送スクリュ17によって、クリーニングユニット14から廃トナー排出パイプ18の先端側にまで、廃トナーを運ぶ搬送経路が形成されている。
【0035】
なお、プロセスカートリッジ11から廃トナーボトル20に直接廃トナーを排出せずに、一旦、装置本体3内に設けられた廃トナー搬送経路に排出し、この廃トナー搬送経路から廃トナーボトルに廃トナーを搬送する構成にした画像形成装置もある。したがって、この構成では、プロセスカートリッジ11a〜11dと廃トナーボトル20との間に、廃トナー搬送経路を設けているので、プロセスカートリッジa〜11dの近傍に廃トナーボトル20を設置しなくてもよくなり、装置内における部材配置の自由度を向上できる。他方、各色のプロセスカートリッジ11a〜11d用に廃トナーボトル20を設けることなく、1つの廃トナーボトル20で兼用した構成とできる。
【0036】
次に本発明の特徴的な構成部分について説明する。
【0037】
本形態のような感光体ドラム10a〜10d上の残留トナーや、紙粉等の異物を除去するクリーニング手段を有する画像形成装置では、感光体ドラム10a〜10dから除去した廃トナーをクリーニング手段内に設けられてある搬送手段により、装置本体3に対し着脱可能である廃トナーボトル20へ搬送し蓄えることができる。この廃トナーボトル20は、要求に応じて容量を変更する必要があるが、近年の装置本体3の小型化により、余り大きく容積を取れず、交換頻度が高くなる傾向にある。しかしながら、長寿命化、省資源化も要求されており、スペースの有効活用、部品数の低減が必要となっている。
【0038】
そこで、本形態では図5に示すように、装置本体3に形成されていてプロセスカートリッジ11a〜11dなどを着脱するため開口部3Aの近傍に廃トナーボトル20を配置している。装置本体3には、軸30Aによって開閉自在に支持されたカバー部材30が装着されていて、開口部3Aはこのカバー部材30によって開放/閉塞される。
【0039】
すなわち、本形態において廃トナーボトル20は、装置本体3の余剰スペースを有効活用するために、開口部3Aの高さ方向に長く形成されている。このような形状を持つ廃トナーボトル20は、メンテナンス時や満杯になり、図示しない取手部分を持ち装置本体3から離脱し、容器を交換・清掃する際に取り外す。取り外した廃トナーボトル20は、装置本体3に装着されている状態と同じ向きで置いた場合、不安定で倒れやすい。このときに、不意に廃トナーボトル20に触ってしまうと、容器が倒れる可能性が有る。そして、回収口20aが下になるような状態に倒れてしまった場合には、回収口20aから容器内部の廃トナーが漏れてしまい設置面となる床や机を汚してしまう場合が想定される。また、廃トナーボトル20の交換は、画像形成装置の知識の無いユーザ自身が行うことを想定すると、装置本体3から外して装置外に置く向きというのは、本体装着時と同じ向きで置くことが容易に考えられる。この状態で廃トナーボトル20は自立できても不安定であり、回収口20aを下に倒れる可能性が有る。
(第1の実施形態)
そこで、本形態では、図6(a)、図6(b)に示すように、装置本体3から離脱していて回収口20aが略水平方向になるように設置面40に置いた際に、回収口20aが上方となる方向に倒れる特性を廃トナー回収容器20に与えている。具体的には、離脱した廃トナー回収容器20を設置面40にその底部20gを載置する場合、容器重心Gよりも容器底部20gの回収口側20g1に、この容器底部20gよりも下方に突出した突起部32を設けた。突起部32は容器底部20gに後付けする形態であってもよいが、容器と同一の材質で一体成型により設けてもよい。
【0040】
このような構成とすると、図6(b)に示すように、容器底面20gを水平な設置面40に置いた際に、図6(c)に示すように突起部32を支点に廃トナーボトル20が回収口20a側と反対側に倒れようとする力が働く。このため、回収口20が上方を向くので、装置本体3から廃トナーボトル20を取り外して設置面40に設置した場合でも、回収口20aからの廃トナー漏れを防止できる。つまり、廃トナーボトル20の底面20gの形状や、回収容器20の重心Gの位置を工夫することで、回収容器取扱者が意識することなく装置本体3から取り外した廃トナーボトル20を、回収口20aを上方に向けた状態で保持することができる。また、本形態では従来のようにシャッタなどの構成部材を用いていないので、低コストでリサイクルやリユース時に手間がかからなくなる。
【0041】
本形態では突起部32を支点として図6(c)に示すように容器底面20gが右側に傾いて新たな支点となる端部20g2の位置が容器重心Gよりもの回収口側20g1に位置するように形成しているので、廃トナーボトル20が図6(c)の状態となると、端部20g2を支点にして図6(d)で示すように回収口20aと対向する面20bが設置面40に対して底面とした状態となる。この状態は、廃トナーボトル20の高さが低く、設置面40との接触面も面20b全体となるので、不意に廃トナーボトル20に作業者が手を荒れることが会っても倒れることがなく、より回収口20aからの廃トナー漏れを防止できる。
【0042】
また、突起部32の形状を図7に示すように、回収口20a側に伸ばした場合には、回収口20aが形成された面20e側への傾斜に対してストッパーとして機能するので、廃トナーボトル20の面20e側へ倒れを確実に防止することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、容器底部20gに突起部32を設けたが、本形態は、図8(a),図8(b)に示すように、装置本体3に装着されている状態で容器を側面から見たときに、容器重心G位置に対し、回収口20a側の底部20g1が同回収口側と反対側の底部20g2よりも低くなるように容器底面20gを形成した。具体的には、図8(a),図8(b)に示すように容器底面20gを湾曲形状とした。
【0043】
このような容器底部20gの形状とすることで、容器底面20gを水平面に置いた際に、回収口20a側と反対側に倒れようとする力が働くので、回収口20aが上方を向き、廃トナー漏れを防止できる。
【0044】
容器底部20gの形状としては、図9(a)に示すように、装置本体3に装着されている状態で容器を側面から見たときに、容器重心位置に対し、回収口側の底部20g1が回収口側と反対側の底部20g2より低くなるように容器底面を傾斜面とした。
【0045】
このような構成とすると、図9(b)に示すように、容器底面20gを水平な設置面40に置いた際に、図9(c)に示すように底部20g1を支点に廃トナーボトル20が回収口20a側と反対側に倒れようとする力が働く。このため、回収口20が上方を向くので、装置本体3から廃トナーボトル20を取り外して設置面40に設置した場合でも、回収口20aからの廃トナー漏れを防止できる。
【0046】
本形態では底部20g1を支点として図9(c)に示すように容器底面20gが右側に傾いて新たな支点となる端部20g2の位置が容器重心Gよりもの回収口側20g1に位置するように形成しているので、端部20g2を支点にして図9(c)で示すように回収口20aと対向する面20bが設置面40に対して底面とした状態となる。この状態は、廃トナーボトル20の高さが低く、設置面40との接触面も面20b全体となるので、不意に廃トナーボトル20に作業者が手を荒れることが会っても倒れることがなく、より回収口20aからの廃トナー漏れを防止できる。
【0047】
図10(a),図10(b)は、廃トナーボトル20の側面から見たときに、装置本体3への装着方向に対する厚みを厚くしたものである。このような場合でも容器重心Gに対して廃トナーボトル20が倒れる支点位置を回収口20a側とすることで、図9の場合と同様な作用効果を得られる。
(第3の実施形態)
本形態は、図11に示すように、突起部3を有する廃トナーボトル20において、容器底面20gと回収口20aと反対の面20bとの接合部55を曲面としたものである。このように接合部55を曲面とすると、容器底面20gを水平面40に置いた際に、廃トナーボトル20が回収口20a側と反対側に倒れるときにスムーズに倒れるので、倒れた際の衝撃が緩和される。このため、廃トナー回収容器20を通して廃トナーに伝わる衝撃の大きさが小さくなり、廃トナーが舞うことを防止することができる。
(第4の実施形態)
本形態は、図12(a)に示すように、突起部3を有する廃トナーボトル20において、容器が倒れたときの設置面40に接触する面20bに衝撃緩衝部材35を装着して設けた。衝撃緩衝部材35は例えば弾性部材あって、面20bの上部に貼り付けている。
【0048】
このような構成とすると、廃トナーボトル20が図12(b)に示すように面20bに向かって倒れ、面20bが設置面40に当接する際に、衝撃が衝撃緩衝部材35で吸収されるため、廃トナーボトル20を通して廃トナーに伝わる衝撃の大きさが小さくなり、回収口20aから廃トナーが舞うことを防止することができる。
【0049】
衝撃緩衝部材35として弾性部材を用いる場合には、ゴム、スポンジ、バネ、ダンパーなどが挙げられる。バネは、樹脂製の回収容器の場合、回収口20aと反対側の面20bに、廃トナーボトル20と一体にした樹脂バネを用いれば部品を追加することが無いので省資源であり好ましい。
(第5の実施形態)
本形態は図13に示すように、回収口20aが設けられている面20eと同一面に、容器内部に溜められた廃トナーを容器外部に排出する排出口38を設けたものである。この排出口38には、通常キャップ部材29が取り付けられることで閉塞されている。このように回収口20aが形成された面20eに廃トナーの排出口38を設けることで廃トナーを排出するためにキャップ部材29を開ける際に、すでに排出口38も回収口20a同様に上方を向いているので、廃トナーが漏れることが無い。
【0050】
各形態で説明した廃トナーボトル20は、表面に凹凸のない箱型形状として説明した。この廃トナーボトル20は設置面40に倒れ、倒れた廃トナーボトル20を再び持つ際に、図14(a),図14(b)、図14(c)に示すような、凸部60や凹形状61,62を形成しておくと、持ちやすいので好ましい。
【0051】
画像形成装置を構成する転写手段としては、図1に示す中間転写方式のほか、直接転写方式であっても良い。画像形成装置としては図1に示すようなカラー画像形成機に限定されるものではなく、モノクロ機であってもよい。廃トナーボトル20に蓄えるものは、感光体ドラム10a,10b,10c,10d上の廃トナーでなく、廃現像剤でも良い。上記形態では廃トナーの排出口は4つとしているが、モノクロ機の場合には1つになるので、個数に限定はない。上記形態では、複数のクリーニング手段からの廃トナーを個別に搬送するようにしたが、まとめて廃トナーボトル20へ搬送する搬送手段を持つ構成でも発明の効果を発揮できる。あるいは現像剤自動交換方式による廃現像剤の回収する構成においても本発明の効果を発揮できる。転写(中間転写、直接転写ともに)の廃トナーを回収する構成においても同様の機構により、本発明の効果を発揮できる。
【0052】
本実施の形態において、廃トナーボトル20は、各プロセスユニットから延びる廃トナー排出パイプ18a〜18を挿入するために図13に示すように4つの回収口20a〜20dを備えているが、説明を簡素化するために回収口20aのみを代表して説明に用いた。また、廃トナー排出パイプが1つの場合には、回収口20aは1つでよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の画像形成装置の一形態を示す概略構成図である。
【図2】プロセスカートリッジが画像形成装置にセットされた詳細を示した部分拡大図である。
【図3】プロセスカートリッジの全体構成を示す斜視図である。
【図4】搬送手段と、回収口を供えた廃トナー回収容器の接続状態を示す部分破断断面図である。
【図5】カバー部材が開口部を開放している画像形成装置の概略斜視図である。
【図6】(a)は第1の実施形態の主要部となる廃トナー回収容器の構成を示す側面視図、(b)は第1の実施形態の主要部となる廃トナー回収容器が設置面に置かれた状態を示す側面視図、(c)は廃トナー回収容器が突起部を支点に倒れた状態を示す側面視図、(d)は(c)の状態からさらに倒れた状態を示す側面視図である。
【図7】第1の実施形態の突起部の変形例を示す側面視図である。
【図8】(a)は第2の実施形態の主要部となる廃トナー回収容器の構成と装置本体との装着状態を示す側面視図、(b)は第2の実施形態にかかる廃トナー回収容器が設置面に置かれた状態を示す側面視図である。
【図9】(a)は第2の実施形態の変形例となる廃トナー回収容器の構成を示す側面視図、(b)は(a)の状態から倒れた状態を示す側面視図、(c)は(b)の状態からさらに倒れた状態を示す側面視図である。
【図10】(a)は第3の実施形態の変形例となる廃トナー回収容器の構成を示す側面視図、(b)は(a)の状態から倒れた状態を示す側面視図である。
【図11】(a)は第3の実施形態の主要部となる廃トナー回収容器の構成を示す側面視図である。
【図12】(a)は第4の実施形態にかかる廃トナー回収容器の構成を示す側面視図、(b)は(a)の状態から倒れた状態を示す側面視図、(c)は(b)の状態からさらに倒れた状態を示す側面視図である。
【図13】(a)は第5の実施形態の主要部となる廃トナー回収容器の構成を示す斜視図、(b)は廃トナー回収容器に設けた排気口付近の構成を示す側面視図である。
【図14】(a)は廃トナー回収容器に凸部を設けた形態を示す斜視図、(b)は廃トナー回収容器に凹部を設けた形態を示す斜視図、(c)は別な凹部を設けた廃トナー回収容器の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
3 装置本体
3A 開口部
20 廃トナー回収容器
20a 回収口
20e 同一面
20g 容器底面
20g1 回収口側の底部
20g2 回収口側と反対側の底部
20b 回収口と反対の面
32 突起部
35 衝撃緩衝部材
38 排出口
40 設置面
55 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃トナーを回収する回収口を有し、装置本体に対し着脱自在な廃トナー回収容器において、
前記装置本体から離脱していて、前記回収口が略水平方向になるように設置面に置いた際に、前記回収口が上方となる方向に倒れる特性を有することを特徴とする廃トナー回収容器。
【請求項2】
前記装置本体に装着されている状態で容器を側面から見たときに、容器の重心位置に対し、前記回収口側の底部が同回収口側と反対側の底部より低くなるように容器底面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の廃トナー回収容器。
【請求項3】
前記装置本体から離脱して前記回収口が略水平方向になるように前記設置部に置いた際の容器底部の回収口側に、前記容器底部よりも下方に突出した突起部を有することを特徴とする請求項1記載の廃トナー回収容器。
【請求項4】
前記容器底面と前記回収口と反対の面との接合部が曲面とされていることを特徴とする請求項1,2または3記載の廃トナー回収容器。
【請求項5】
前記容器が倒れたときに前記設置面に接触する面に衝撃緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の廃トナー回収容器。
【請求項6】
前記回収口が設けられている面と同一面に、容器内部に溜められた廃トナーを容器外部に排出する排出口を設けたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の廃トナー回収容器。
【請求項7】
残留トナーが搬送手段によって回収口に搬送される廃トナー回収容器が装置本体の開口部近傍に着脱自在に設けられた画像形成装置において、
前記廃トナー回収容器が、請求項1ないし7の何れかであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−294406(P2009−294406A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147336(P2008−147336)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】