説明

廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解方法及び装置

【課題】 熱分解ガスを通すラインにファンやダンパをなくしタールやチャーの付着による閉塞や機器トラブルをなくし、長期の安定運転を継続させると共にシンプルな構造とする。
【解決手段】 熱分解キルン炉1に、熱風発生炉19で発生させた加熱ガス22を流通させて、該熱風発生炉19内の廃棄物12を間接加熱して熱分解させ、熱分解ガス13と熱分解残渣14を発生させる。熱分解ガス13は、熱分解ガスライン34より取り出して、余剰ガス燃焼炉35で燃焼させる。該燃焼炉35と排ガス処理装置38を含む排ガス系Aに誘引通風機40とその上流側にダンパ41を設け、該誘引通風機40の運転とダンパ41の調整で排ガス系Aを介して熱分解キルン炉1の内圧を制御させる。熱風発生炉19に循環される加熱ガスをダンパ37で絞って、熱風発生炉19を負圧に制御するようにする。これにより、熱分解ガスライン34と回収ライン36を配管だけの構造にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ等の廃棄物を外熱により熱分解して熱分解ガスと熱分解残渣とに分離して溶融するようにした設備や、熱分解ガスを燃焼してから排ガス処理をし、熱分解残渣は回収するようにした設備において、上記熱分解ガスを燃料として自己熱熱分解させるようにする方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ等の廃棄物の処理システムのうち、廃棄物を焼却炉で燃焼するようにした燃焼方式に代るものとして、近年では、廃棄物を低酸素雰囲気で加熱することにより熱分解させて、可燃性の熱分解ガスと、熱分解残渣としての炭化物(チャー)及び灰分を発生させ、該熱分解ガスと熱分解残渣を溶融炉へ導き、少ない空気量(たとえば、空気比1.3程度)で高温にして燃焼させ、溶融スラグとして取り出すようにし、更に排ガスは排ガス処理装置で処理して大気へ放出するようにした熱分解ガス化溶融設備や、上記熱分解ガスは燃焼炉で燃焼させた後、排ガス処理を施してから大気へ放出させるようにし、一方、熱分解残渣は、選別、粉砕をして炭化物を回収するようにした熱分解ガス化設備が開発され、実用化されている。
【0003】
図3は、従来提案されている廃棄物の熱分解ガス化設備の一例の概要を示すもので、一端の入口2側に供給管2aを一体に接続し且つ他端の出口3側に排出管3aを一体に接続した内筒4と、該内筒4の外側に同心状に配置した外筒5との間に、加熱流路6を形成し、上記外筒5と内筒4を一体で回転できるようにした熱分解キルン炉1を用いるようにしている。
【0004】
上記熱分解キルン炉1は、一端の入口2側よりも他端の出口3側を僅かに低くするように傾斜させて横置きに配置し、外筒5の外周面に設けたリングギヤ7に、モータ8、出力軸のピニオン9を噛合させて、該モータ8の駆動により熱分解キルン炉1を回転できるようにしてある。又、上記熱分解キルン炉1の入口2には、給じん機10が供給管2aの内側に挿入して設けてあり、投入ホッパ11に投入された廃棄物12を、給じん機10により入口2へ供給するようにしてある。一方、上記熱分解キルン炉1の出口3には、熱分解ガス13と熱分解残渣14とを分離する分離室15を設け、該分離室15の頂部に熱分解ガスライン16を接続すると共に、分離室15の底部に熱分解残渣ライン17を接続して、熱分解ガス13を熱分解ガスライン16より、又、熱分解残渣14を熱分解残渣ライン17よりそれぞれ取り出すようにしてある。更に、上記熱分解キルン炉1の出口3側には、加熱ガス入口18を有し加熱ガスを上記加熱流路6に流通させるようにする加熱ガス入口部を備え、熱風発生炉19と加熱ガス入口18とを加熱ガス供給ライン20で接続して、熱風発生炉19で熱回収空気21や補助燃料を用いて発生させた高温の加熱ガス(熱風)22を、加熱ガス供給ライン20を通して加熱ガス入口18より加熱流路6内へ供給するようにしてある。又、上記熱分解キルン炉1の入口2側には、加熱流路6に連通させた加熱ガス出口部があり、該加熱ガス出口部に設けてある加熱ガス出口23に接続した加熱ガス循環ライン24を熱風発生炉19に接続して、加熱ガスを熱風発生炉19へ循環させ、余りのガスを余剰ガスライン25を通して下流の余剰ガス燃焼炉(図示せず)へ送るようにしてある。これにより、熱分解キルン炉1をモータ8の駆動により低速で回転させた状態において、投入ホッパ11内の廃棄物12を給じん機10により熱分解キルン炉1内へ徐々に供給しつつ、熱風発生炉19で発生した高温の加熱ガス(熱風)22を、加熱ガス供給ライン20、加熱ガス入口18を通して加熱流路6に供給して流通させることにより、内筒4内の廃棄物12を加熱ガス22による外熱により間接加熱して、乾燥、熱分解させるようにしてある。
【0005】
又、上記熱分解ガスライン16は、下流の図示しない余剰ガス燃焼炉や溶融炉へ接続して、熱分解ガス13を燃焼させるようにするが、熱分解ガス13を熱分解キルン炉1から取り出して下流へ圧送させるようにするために、熱分解ガスライン16の途中に、熱分解ガスファン26を設け、該熱分解ガスファン26を運転して熱分解ガス13を吸引して取り出すことにより、熱分解キルン炉1の内圧を一定(一般的には負圧)に保つようにしてある。上記熱分解ガスライン16の熱分解ガスファン26の下流側には、開閉を調節するようにしてあるバルブ27が設けてあり、該バルブ27の調整で上記熱分解キルン炉1の内圧を制御できるようにしてある。上記熱分解ガスライン16における熱分解ガスファン26とバルブ27との間には、回収ライン28が分岐して設けられて、熱風発生炉19に接続させてあり、該回収ライン28の途中には、開度を調節するようにしたバルブ29が設けてあり、該バルブ29と上記バルブ27は、加熱ガス供給ライン20に設けた温度調節器30からの信号に基づき開閉が調節されるようにしてある。
【0006】
更に、上記加熱ガス循環ライン24には、上流側より順にダンパ31と加熱ガス循環ファン32が設けてあり、該加熱ガス循環ファン32により加熱流路6内の加熱ガス22が熱風発生炉19や下流の燃焼炉等へ圧送されるようにしてあり、加熱ガス22の循環流量は、熱分解ガス13を所定温度に保つよう温度調節器33からの信号に基づき調節されるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平11−193912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記した熱分解キルン炉1の分離室15で分離された熱分解ガス13には、微細なチャーが多量に混在しており、又、熱分解ガス13の温度が熱分解温度以下に下がると、タール成分が析出して来る。そのため、熱分解ガス13を熱分解ガスライン16内を流すとき、流れに乱れや抵抗があったり、局部的に温度が下がったりする部分があると、チャーやタールが付着して閉塞するという問題がある。
【0009】
図3に示す特許文献1に記載されたものでは、熱分解ガスライン16に、熱分解ガスファン26やバルブ27が設置されているため、熱分解ガス13が熱分解ガスファン26やバルブ27を通過するときタールやチャーの付着による閉塞が発生するおそれが懸念される。万一、かかる閉塞が発生すると、長期の安定運転性を阻害するという問題がある。特に、熱分解ガスファン26のインペラにタールやチャーが付着すると、バランスが崩れて振動が発生するという問題がある。又、回収ライン28の途中にあるバルブ29にも、自己熱熱分解の際に通過する熱分解ガス13中のチャーやタールの付着のおそれもある。
【0010】
そこで、本発明は、熱分解ガスを通す熱分解ガスラインや回収ラインでタール等の付着による閉塞や熱分解ガスファンの振動が発生するという事態を未然に防止して、自己熱熱分解を長期にわたって安定した運転を継続できるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、回転させるようにしてある熱分解キルン炉に、熱風発生炉で発生させた高温の加熱ガスを流通させてから循環させることにより、該熱分解キルン炉内の廃棄物を外熱で間接加熱して熱分解し、熱分解ガスの一部を上記熱風発生炉へ供給して自己熱で熱分解させるようにし、余剰の熱分解ガスを燃焼し、排ガス処理をする排ガス系を経て大気へ放出するようにしてある廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解方法において、上記排ガス系を介し吸引して熱分解キルン炉内を負圧にすると共に、循環させられる加熱ガスの圧力バランスを調整して上記熱風発生炉内を負圧に制御し、熱分解ガスの一部を熱風発生炉へ引き込むようにして自己熱で熱分解させるようにする方法、及び上記排ガス系の下流側に誘引通風機を設けて、該排ガス系を通し上記熱分解キルン炉内を吸引して負圧に制御できるようにし、且つ上記加熱ガスの循環ラインに、循環させられる加熱ガスの圧力バランスを調整して熱風発生炉を負圧に制御する装置を備えた構成とする。
【0012】
更に、上記構成において、熱分解ガスライン及び回収ラインを、加熱手段で外部より加熱するようにした構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解によれば、次の如き優れた効果を奏し得る。
(1)熱分解ガスを燃焼させて排ガス処理する排ガス系を介して吸引することにより熱分解キルン炉の内圧を制御することができ、且つ熱風発生炉に循環する加熱ガスの圧力バランスを調整して熱風発生炉の内圧を制御するようにし、熱分解ガスを熱風発生炉内へ引き込むようにしてあるので、熱分解ガスラインにファンやバルブを設けて熱分解キルン炉の内圧制御や流量の分配を行なう必要をなくすことができて、熱分解ガスラインは配管だけのシンプルな構造とすることができると共に、熱分解ガスラインに必要とされていたファンやバルブを不要にできて安価なシステムとすることができ、又、回収ライン上のバルブも不要にできる。
(2)熱分解ガスラインは、ファンやバルブ等の機器を備えていない配管だけの構成としてあり、又、回収ラインもバルブを備えていない配管だけの構成としてあることから、水平配管を設けないようにする等の対応だけで熱分解ガスに混在しているチャーが熱分解ガスラインや回収ラインに付着するおそれがなくなり、長期の安定運転を継続することができる。
(3)熱分解ガスラインや回収ラインを外部から加熱するようにして、これらのラインの温度を保持するようにすると、タール成分の付着や閉塞等を派生させることがなく、より安定した長期運転を継続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の一形態として、廃棄物の熱分解ガス化設備に適用した場合を示す。
【0016】
図3に示してある熱分解キルン炉1と同様に、内筒4の入口2側に供給管2aを接続し且つ出口3側に排出管3aを接続して、その外側に配置した外筒5との間に加熱流路6を形成する。又、出口3側に設けてある加熱ガス入口18から供給された加熱ガスとしての熱風22を、加熱流路6を流通させた後、入口2側に設けた加熱ガス出口23より排出させるようにする。更に、上記入口2に設けた給じん機10により、投入ホッパ11内の廃棄物12を内筒4内に供給しながら、外筒5と内筒4を低速で回転させて外熱により廃棄物12を熱分解させるようにし、該熱分解で発生させられた熱分解ガス13と熱分解残渣14を分離室15で分離させるようにしてあるロータリー式の熱分解キルン炉1を用いるようにする。
【0017】
上記熱分解キルン炉1の加熱ガス入口18には、熱回収空気21や補助燃料を用いて高温の加熱ガス(熱風)22を発生させるようにしてある熱風発生炉19を、加熱ガス供給ライン20を介して接続し、又、上記加熱ガス出口23に接続した加熱ガス循環ライン24を上記熱風発生炉19に接続して、該熱風発生炉19で発生した熱風(加熱ガス)22を熱分解キルン炉1の加熱流路6を通して循環させ、その間に、熱分解キルン炉1で廃棄物12を熱分解させるようにする。上記熱分解キルン炉1の分離室15の頂部には、熱分解ガス13の取出口34aを設けて、途中にファンやバルブ等が設けられていない配管のままの熱分解ガスライン34を接続し、該熱分解ガスライン34を、下流の余剰ガス燃焼炉35に接続すると共に、該熱分解ガスライン34の途中より分岐させた配管のままの回収ライン36を、上記熱風発生炉19に接続して、自己熱熱分解に必要な量の熱分解ガス13を熱風発生炉19へ引き込めるようにする。
【0018】
更に、上記熱風発生炉19の入口側に接続されている加熱ガス循環ライン24の下流側位置、すなわち、熱風発生炉19の上流側となる位置には、熱風発生炉19を負圧にする装置としての圧力調整器たるダンパ37を設けて、該ダンパ37の開度を、加熱ガス供給ライン20に設けた温度調節器30からの信号に基づき調整できるようにし、又、上記加熱ガス循環ライン24の上流側位置、すなわち、加熱ガス出口23側の位置には、上流側から順にダンパ31と加熱ガス循環ファン32を設けて、上記ダンパ37の開度を絞って加熱ガス循環ファン32を運転することにより、熱風発生炉19内の熱風(加熱ガス)22を吸引して、該熱風発生炉19の内圧を負圧に制御することができるようにする。この熱風発生炉19の内圧を負圧に制御することにより、自己熱熱分解に必要な量の熱分解ガス13を自動的に回収ライン36を通して熱風発生炉19へ引き込めるようにし、且つ上記ダンパ37の開度コントロールで、熱分解ガス13の引込み量を制御できるようにする。
【0019】
又、上記加熱ガス循環ライン24を途中より分岐させた余剰ガスライン25を、上記余剰ガス燃焼炉35に接続して、循環する加熱ガスの余剰分を余剰ガスライン25を通して余剰ガス燃焼炉35へ供給するようにし、該余剰ガス燃焼炉35で、余剰の熱分解ガスと余剰の加熱ガス22を燃焼してから排ガス処理装置38で排ガス処理を施した後、燃焼排ガスライン39を通し、更に、誘引通風機40を経て煙突へ導くように構成し、上記誘引通風機40を運転して、燃焼炉35、排ガス処理装置38を含む排ガス系Aのガスを吸引することにより、熱分解ガスライン34にファンやバルブを設けることなくガスを排ガス系Aを通し誘引できて、燃焼炉35、すなわち、該燃焼炉35と配管だけの熱分解ガスライン34で連通している熱分解キルン炉1の内圧を負圧にできるようにする。更に、上記誘引通風機40の上流側に流量調整器としてのダンパ41を設け、該ダンパ41の開度を、燃焼炉35に設けた圧力調節器42により制御することにより、熱分解キルン炉1と連通する燃焼炉35の内圧、すなわち、熱分解キルン炉1の負圧を一定に制御できるようにする。
【0020】
上記誘引通風機40による排ガス系Aの負圧制御と、ダンパ37と加熱ガス循環ファン32とによる熱風発生炉19の負圧制御とを併用するようにして、熱分解ガス13の必要量を自動的に熱風発生炉19へ分配できるようにすると共に、熱分解キルン炉1の内圧を一定の圧力に保持することができるようにする。
【0021】
なお、43は加熱ガス循環ライン24に設けたダンパ31の開度を調節する温度調節器で、循環する加熱ガス流量を制御して、熱分解ガス温度を制御するようにしてある。又、図示してないが、熱分解残渣14は、残渣取出装置により取り出し、選別装置で有価金属を回収し、炭化物は粉砕機で粉砕して回収するようにしてある。
【0022】
上記構成としてあるので、熱分解キルン炉1を低速で回転させながら、投入ホッパ11に充填されている廃棄物12を給じん機10で入口2へ供給させるようにすると共に、燃焼排ガスライン39上の誘引通風機40を運転して、燃焼炉35、排ガス処理装置38等の排ガス系Aを通して熱分解キルン炉1の内圧を所定の圧力、たとえば、−5mmAqに制御するようにし、且つ加熱ガス循環ライン24上の加熱ガス循環ファン32を運転して、熱風発生炉19で発生させた熱風22を加熱ガスとして吸引し、加熱ガス入口18より加熱流路6内へ供給して流通させるようにする。これにより、入口2から投入ホッパ11までの間が廃棄物12でシールされているのに対し、出口3側が排ガス系を通して吸引されているため、熱分解キルン炉1内は低酸素雰囲気に置かれ、廃棄物12は加熱流路6を流通する加熱ガスにより間接加熱され、乾燥、熱分解されることになる。上記誘引通風機40による負圧制御は、該誘引通風機40の上流側のダンパ41の開度調整により一定範囲の負圧保持条件下で可変とすることができる。
【0023】
上記の状態において、加熱ガス循環ライン24上のダンパ37を調整、すなわち、絞り込むように調整すると、加熱ガスとしての熱風22は、加熱ガス循環ファン32に吸引されて循環させられることに伴い、熱風発生炉19内はより負圧に制御される。
【0024】
上記熱風発生炉19の負圧制御と、排ガス系Aの誘引通風機40による負圧制御を併用すると、熱分解キルン炉1の分離室15から熱分解ガスライン34へ自動的に取り出された熱分解ガス13の一部を、自己熱で熱分解するための燃料として、回収ライン36を通して自動的に熱風発生炉19内へ引き込ませることができるようになり、余剰の熱分解ガス13は、熱分解ガスライン34を通り自動的に燃焼炉35へ導入されて燃焼させられ、850℃〜950℃の排ガスとして排ガス処理装置38で処理されるようになる。この際、上記熱風発生炉19へ引き込むようにする自己熱熱分解に必要な熱分解ガス13の量は、上記ダンパ37の絞り込みによる圧力バランスを変えることにより自在に調整することができる。たとえば、ダンパ37の絞り込みを大きくして加熱ガス22の圧力損失を大きくなるようにするほど、熱風発生炉19をより負圧にすることができて、熱分解ガス13の熱風発生炉19への引き込み量を多くすることができ、熱風発生炉19の内圧を任意範囲の負圧保持条件下で可変とすることができる。これにより、熱分解ガスライン34は、熱分解ガスを送るためのファンや流量調整のためのバルブ等を全く不要にした配管だけの構成とすることができる。
【0025】
上記のように、自己熱熱分解に必要な量の熱分解ガス13を熱風発生炉19へ自動的に引き込むようにすることにより熱風発生炉19での燃焼ガス量に相当する加熱ガス量が増加した余剰分は、余剰ガスライン25より燃焼炉35へ導入され燃焼させられる。
【0026】
熱分解ガス13の温度は、加熱ガス循環ライン24上のダンパ31の開度を調節して、循環する加熱ガスの流量を調整することにより、一定の温度に制御することができる。
【0027】
次に、図2は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1に示してあるものと同じ構成において、熱分解ガスライン34の外側にヒータ等の加熱手段44を配置し、該加熱手段44により外部から熱分解ガスライン34を加熱するようにしたものである。その他の構成は図1に示したものと同じであり、同一のものには同じ符号が付してある。
【0028】
この実施の形態によれば、図1に示すものから得られる効果のほかに、熱分解ガスライン34内のガス温度を常に一定に保持しておくことが可能となり、熱分解ガス13の温度が下がるようなことがあっても、熱分解ガスライン34の途中でタールが付着して閉塞を起こすという事態を未然に防止することができることになる。
【0029】
なお、本発明は上記の実施の形態にのみ限定されるものではなく、たとえば、図1、図2に示した実施の形態では、燃焼排ガスライン39上の誘引通風機40の上流側に設けたダンパ41を、余剰ガス燃焼炉35に設けた圧力調節器42の信号に基づき調整する場合を示しているが、上記圧力調節器42を熱分解キルン炉1の出口3側に設けて、直接熱分解キルン炉1の内圧を一定に制御するようにしてもよいこと、上記のように、誘引通風機40の上流側にダンパ41を設けて、該ダンパ41の調整により燃焼炉35等の排ガス系Aを介して熱分解キルン炉1の内圧を制御する場合を例示したが、誘引通風機40の回転数を調整して熱分解キルン炉1の内圧を制御するようにしてもよいこと、熱分解ガスライン34に、通常時には熱分解ガス13の流れに乱れや抵抗をほぼ生じさせないメンテナンス用の遮断弁等を設けるようにしてもよいこと、更に、上記の各実施の形態では、本発明を、廃棄物の熱分解ガス化設備に適用した場合を説明したが、熱分解ガス13と熱分解残渣14を溶融炉で燃焼させて、溶融スラグを取り出し、一方、排ガスは更に燃焼させてから排ガス処理装置で処理した後、大気へ放出させるようにしてある熱分解ガス化溶融設備に適用すること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の他の形態を示す概要図である。
【図3】従来の廃棄物を熱分解してガス化するシステムの一例の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 熱分解キルン炉
2 入口
3 出口
6 加熱流路
12 廃棄物
13 熱分解ガス
14 熱分解残渣
15 分離室
19 熱風発生炉
20 加熱ガス供給ライン
22 加熱ガス(熱風)
24 加熱ガス循環ライン
32 加熱ガス循環ファン
34 熱分解ガスライン
35 余剰ガス燃焼炉
36 回収ライン
37 ダンパ(負圧制御装置)
40 誘引通風機
41 ダンパ
A 排ガス系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転させるようにしてある熱分解キルン炉に、熱風発生炉で発生させた高温の加熱ガスを流通させてから循環させることにより、該熱分解キルン炉内の廃棄物を外熱で間接加熱して熱分解し、熱分解ガスの一部を上記熱風発生炉へ供給して自己熱で熱分解させるようにし、余剰の熱分解ガスを燃焼し、排ガス処理をする排ガス系を経て大気へ放出するようにしてある廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解方法において、上記排ガス系を介し吸引して熱分解キルン炉内を負圧にすると共に、循環させられる加熱ガスの圧力バランスを調整して上記熱風発生炉内を負圧に制御し、熱分解ガスの一部を熱風発生炉へ引き込むようにして自己熱で熱分解させるようにすることを特徴とする廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解方法。
【請求項2】
回転させるようにしてある熱分解キルン炉に、熱風発生炉で発生させた高温の加熱ガスを加熱ガス供給ラインを通し導入して流通させた後、循環ラインを通して熱風発生炉へ循環させるようにし、上記熱分解キルン炉内の廃棄物を、該熱分解キルン炉に流通させられる加熱ガスの外熱により間接加熱して熱分解し、熱分解ガスを、熱分解ガスラインから分岐させた熱分解ガスの回収ラインを通し上記熱風発生炉へ供給するようにして自己熱で熱分解させるようにし、余剰の熱分解ガスを燃焼し排ガス処理する排ガス系を経て大気へ放出するようにしてある廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解装置において、上記排ガス系の下流側に誘引通風機を設けて、該排ガス系を通し上記熱分解キルン炉内を吸引して負圧に制御できるようにし、且つ上記加熱ガスの循環ラインに、循環させられる加熱ガスの圧力バランスを調整して熱風発生炉を負圧に制御する装置を備えた構成を有することを特徴とする廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解装置。
【請求項3】
熱分解ガスライン及び回収ラインを、加熱手段で外部より加熱するようにした請求項2記載の廃棄物を熱分解ガス化する設備における自己熱熱分解装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−317053(P2006−317053A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138950(P2005−138950)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】