廃液収容容器及び画像形成装置
【課題】廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することのできる廃液収容容器の提供。
【解決手段】維持回復機構から排出された廃液は、廃液タンク100の廃液投入口から廃液タンク100内に排出されると、スクリュー部材111上に滴下され、スクリュー部材111の回転に伴って吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、スクリュー部材111から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【解決手段】維持回復機構から排出された廃液は、廃液タンク100の廃液投入口から廃液タンク100内に排出されると、スクリュー部材111上に滴下され、スクリュー部材111の回転に伴って吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、スクリュー部材111から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃液収容容器及び画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる廃液を収容する廃液収容容器及びこの廃液収容容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、液体の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行うものがある。
【0003】
なお、本発明においては、「画像形成装置」とは、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(液体を媒体に付着させる)ことをも意味する。また、「インク」とは、厳密な意味でのインクに限るものではなく、インクと称されるもの、レジスト、DNA試料など、上記の意味での画像形成を行うことができる液体の総称として用いる。
【0004】
このような画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)においては、インクを記録ヘッドに供給するためにインクカートリッジがよく用いられている。こうしたインクカートリッジの交換の手間を減らすためにカートリッジ装着部に着脱自在に装着され、供給チューブを介して記録ヘッド側のサブタンクへインクを供給することができるようにされている。
【0005】
また、記録ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズルから用紙に吐出させて記録を行なう関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、記録不良を起こすという問題を抱えている。
【0006】
そこで、非記録時に記録ヘッドのノズルを封止するためのキャッピング手段と、必要に応じてノズル形成面を清掃するワイピング部材が備えられ、また、記録に寄与しない空吐出を行なう空吐出受けを備えている。キャッピング手段は、ノズルのインクの乾燥を防止する蓋として機能するだけでなく、ノズルに目詰まりなどが生じた場合には、キャッピング手段によりノズル形成面を封止し、吸引ポンプからの負圧により、ノズルからインクを吸引排出(ヘッド吸引)させてノズルの目詰まりを解消する機能をも備えている。
【0007】
記録ヘッドの目詰まり解消のために行なうインクの強制的な吸引排出処理は、クリーニング動作と呼ばれており、例えば記録装置の長時間の休止後に記録を再開する場合や、記録中の所定間隔ごとや、ユーザーが記録状態の不良を認識してクリーニングスイッチを操作した場合などに実行され、記録ヘッドからインクを排出させた後にゴムなどの弾性部材からなるワイピング部材により、記録ヘッドのノズル面(ノズルが形成された面)を払拭する清浄化動作が伴われる。また、記録中には所要のタイミングで空吐出が行なわれる。
【0008】
そして、上述したクリーニング動作に伴ってキャッピング手段内に排出された記録ヘッドからの廃液は、吸引ポンプの駆動により廃液タンク(廃液収容容器などとも称する。)に排出することができるように構成され、また空吐出されたインク滴も廃液として廃液タンクに排出されている。この廃液タンクには、一般に多孔質材料により構成された廃液吸収材(吸収体)が収納されており、この廃液吸収材によって廃液を吸収した形で保持するようになされている。
【0009】
ところで、記録速度の高速化によってインクには速乾燥性などが求められることから、高粘度(5cP以上を高粘度と定義する。)の顔料系インクが使用されるようになっている。このような顔料濃度が高い顔料系インクなどの高粘度インクなど、インクの増粘が著しい廃インクを収容する廃液タンクにおいては、インクに含まれる顔料,染料等の色材が堆積し成長するため、この堆積物の成長を放置すると、成長した堆積物が記録ヘッドや吸引チューブに接触し、動作不良の原因となる。また、廃液タンク内に堆積したインクで廃液タンクが満タンになると廃液タンク外に廃液が溢れてしまう問題が発生する。
【特許文献1】特開2003−094692号公報
【0010】
そこで、特許文献2には液体収容手段内において液体を分散させるための液体分散手段を有し、液体分散手段は、液体を受け止める複数の液体受け止め手段と、複数の液体受け止め手段を回転可能に保持する保持手段とを備えることが記載されている。
【特許文献2】特開2007−083481号公報
【0011】
また、特許文献3には液体収容手段は、鉛直方向に縦長の形状に構成されており、液体収容手段の縦長の形状に対応して配置される複数の液体吸収部と、液体吸収部を液体収容手段の縦長の形状に沿って移動させる液体吸収部移動手段とを備えることが記載されている。
【特許文献3】特開2007−083480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されているように廃液収容容器内に回転体を設け、複数の仕切内にインクを分散させる構成にあっては、分散させた箇所にインクの堆積が発生し、回転体の重量増加や、インク誘導後のインク堆積によりインク回転体機構自体をロックさせてしまうことになりかねないという課題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載されているように複数の廃液タンクを配置し、順次使用する構成にあっては、配置する個数にもよるが、マシン(装置)が大型化し、機構自体も複雑化する。また、交換収容容器を交換する構成にした場合にも複数のものを交換する必要が出てくるという課題がある。
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明に係る廃液収容容器は、液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる液体の廃液が排出される容器本体と、この容器本体内に排出された廃液を移動させる廃液移動手段と、この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段とを備えている構成とした。
【0016】
ここで、掻き取り手段は、容器本体内に配設された廃液を吸収する吸収体である構成とできる。また、複数の廃液移動手段を備えている構成とでき、この場合、容器本体が移動されることで複数の廃液移動手段が選択される構成、あるいは、廃液の排出位置が移動されることで複数の廃液移動手段が選択される構成とできる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る廃液収容容器を備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る廃液収容容器によれば、液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる液体の廃液が排出される容器本体と、この容器本体内に排出された廃液を移動させる廃液移動手段と、この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段とを備えている構成としたので、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る廃液収容容器を備えているので、廃液収容容器を長期にわたり使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係るインク供給システムによってインクを供給する画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0021】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0022】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0023】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部であるサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色の第1インク供給部であるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット5によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0024】
一方、給紙カセット(又は給紙トレイ)2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0025】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0026】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
【0027】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0028】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0029】
さらに、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ22をロックするキャリッジロック87などとを備えている。
【0030】
また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着され、カートリッジ装填部4と反対側に配置されている。
【0031】
また、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0032】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0033】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0034】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0035】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0036】
そこで、この画像形成装置に適用した本発明の第1実施形態について図3ないし図6を参照して説明する。なお、図3は同実施形態に係る廃液収容容器としての廃液タンクの斜視説明図、図4は同廃液タンクの蓋部材を除いた斜視説明図、図5は同廃液タンクの要部平面説明図、図6は同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【0037】
この廃液タンク100は、容器本体(ケース本体)101と、このケース本体101内に収納した液状の廃液を吸収する積層体(ここでは4層としている。)からなる吸収部材(吸収体)102と、ケース本体101の上部を覆う蓋部材103を備えている。
【0038】
この廃液タンク100には、維持回復機構81内の空吐出受け84から空吐出されたインクの廃液202や図示しない吸引ポンプからチューブを介して排出されるインクの廃液202が、蓋部材103に設けた廃液投入口104から投入(排出)される。そして、この廃液投入口104を介して廃液が投入される部位に対応して、吸収体102を設けない空間105を形成している。
【0039】
また、ケース本体101には空間105の側壁面を仕切る仕切り壁であるリブ107を形成している。これにより、吸収部材102の一部102aが空間105に臨むことになり、この一部102aの壁面部分からしか液体状の廃液が吸収部材102に浸透しなくなる。
【0040】
さらに、蓋部材103には、廃液タンク100が装着されているか否かを検知する廃液タンク有無センサを兼ねた、廃液タンク100内の廃液が満タンになったことを検出する廃液満タン検知手段である反射型フォトセンサからなる廃液満タンセンサ108を、廃液投入口104のリブ107を挟んで吸収部材102の部分102b上に配置している。
【0041】
また、空間105内には、廃液投入口104に下方に、投入された廃液を吸収体102に向かって移動させる廃液移動手段としてのスクリュー部材111を配置している。このスクリュー部材111は、一端部が吸収体102の一部102a側で回転自在に保持され、また、他端部はケース本体101外に延設されて図示しないギヤ及び駆動源を介して回転駆動される。
【0042】
この場合、スクリュー部材111の一端部が吸収体102側に保持されているので、スクリュー部材111に付着したインクの廃液は吸収体102で掻き取られる。つまり、廃液を吸収する吸収体102が廃液移動手段であるスクリュー部材111に付着した廃液を掻き取る掻き取り手段を兼ねている。なお、スクリュー部材111の他端部側にも吸収体109を設けて、スクリュー部材111の廃液移動方向と逆方向に廃液が移動した場合にもスクリュー部材111に付着した廃液を掻き取れるようにしている。
【0043】
このように構成したので、図6にも示すように、維持回復機構81から排出された廃液202は、廃液タンク100の廃液投入口104から廃液タンク100内に排出されると、スクリュー部材111上に滴下され、スクリュー部材111の回転に伴って吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、スクリュー部材111から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【0044】
これによって、廃液投入口104から投入されるインクの廃液は液状のまま堆積を生じる前にスクリュー部材111によって吸収体102の一部102aから吸収されるので、空間105内での堆積を生じることが低減する。
【0045】
このように、容器本体内に排出された前記廃液を移動させる廃液移動手段と、この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段とを備えることで、液体収容容器内での廃液の堆積を低減することができ、簡単な構成で、液体収容容器内のスペースを有効に活用することができるようになり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。この場合、掻き取り手段として、容器本体内に配設された廃液を吸収する吸収体を用いることで、効率的に廃液を収容することができる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7は同実施形態に係る廃液タンクの蓋部材を除いた要部平面説明図、図8は同廃液タンクの模式的断面説明図である。
ここでは、空間105内には、廃液投入口104に下方に、投入された廃液を吸収体102に向かって移動させる廃液移動手段としての円板形状の回転板(回転部材)112を配置している。この回転板112は、リブ107の切り欠き部107aを介して、空間105とリブ107を介して反対側の吸収体102の内部に一部を臨ませて配置されている。また、この回転板112は軸部材112aで回転可能に保持され、ケース本体101の蓋部材103を介して上方の図示しない駆動源から駆動力を伝達されて回転する。なお、吸収体102の回転板112に対応する部分は取り除かれている。
【0047】
このように構成したので、図8にも示すように、維持回復機構81から排出された廃液202は、廃液タンク100の廃液投入口104から廃液タンク100内に排出されると、回転板112上に滴下され、回転体112の回転に伴って、粘度の高い廃液は吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、回転体112から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【0048】
これによって、廃液投入口104から投入されるインクの廃液は液状のまま堆積を生じる前に回転体112によって吸収体102に吸収されるので、空間105内での堆積を生じることが低減し、簡単な構成で、液体収容容器内のスペースを有効に活用することができるようになり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は同実施形態に係る廃液タンクの蓋部材を除いた要部平面説明図、図10は同廃液タンクの模式的断面説明図である。
ここでは、空間105内には、廃液投入口104に下方に、投入された廃液を吸収体102に向かって移動させる廃液移動手段としての円板を切り欠いた形状の回転翼(回転部材)114を配置している。この回転翼114は、リブ107の切り欠き部107aを介して、空間105とリブ107を介して反対側の吸収体102の内部に一部が回転領域を臨ませて配置されている。
【0050】
また、ここでは、回転可能に配置される軸部材114aに3枚の回転翼114を上下方向の位置を異ならせて配置している。また、この回転翼114は、ケース本体101の蓋部材103を介して上方の図示しない駆動源から駆動力を軸部材114aに伝達されて回転する。なお、吸収体102の各回転翼114に対応する部分は取り除かれている。
【0051】
このように構成したので、図10にも示すように、維持回復機構81から排出された廃液202は、廃液タンク100の廃液投入口104から廃液タンク100内に排出されると、下方に回転翼114が位置しているときには回転翼114上に滴下され、回転翼114の回転に伴って、粘度の高い廃液は吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、回転翼114から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【0052】
これによって、廃液投入口104から投入されるインクの廃液は液状のまま堆積を生じる前に回転翼114によって吸収体102に吸収されるので、空間105内での堆積を生じることが低減し、簡単な構成で、液体収容容器内のスペースを有効に活用することができるようになり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して説明する。なお、図11は同実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
ここでは、空間105内に、スクリュー部材111に付着した廃液を掻き取る掻き取り手段として掻き取り部材116a、116b、116cを、廃液移送(移動)方向に沿って順に配置している。これらの掻き取り部材116a、116b、116cは、廃液投入部位(空吐出受け84や吸引ポンプの廃液チューブ)に近い掻き取り部材116aから順次高さを高くして、つまり、スクリュー部材111とのギャップ(距離)が小さくなるように配置している。
【0054】
このように、廃液の移動方向に沿って掻き取り部材116a〜116cと廃液移動手段(スクリュー部材111)のギャップが順次小さくなることで、スクリュー部材111の移送機能を長期に渡って維持することができる。つまり、最初の掻き取り部材116aとスクリュー部材111のギャップを小さく(狭く)しておくと、最初の掻き取り部材116aのみに廃液が付着して、最初の掻き取り部材115aに廃液が固着して、掻き取り機能が低下することになる。これに対して、ギャップを徐々に狭くすることによって徐々に廃液を掻き取ることができるようになる。
【0055】
次に、本発明の第5実施形態について図12を参照して説明する。なお、図12は同実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
ここでは、複数、例えば2つの廃液移送手段として2つの第1、第2のスクリュー部材111A、111Bが配置されている。一方、維持回復機構81の図示しない吸引ポンプからの廃液チューブ201は、図12(a)に示す実施図示の廃液排出位置と図12(b)に示す実線図示の廃液排出位置との間で移動可能に配置されている。
【0056】
これにより、廃液チューブ201が図12(a)図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Aに向けて矢印で示すように廃液が排出され、廃液チューブ201が図12(b)実線図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Bに向けて矢印で示すように廃液が排出される。つまり、廃液の排出位置を変更することで、複数のスクリュー部材111A、111Bが選択される。
【0057】
このように、複数の廃液移動手段を備えることによって廃液移送機能を長期にわたって維持することができるとともに、廃液移動手段で移送された廃液が吸収される吸収体の部分が分散することになって、より効率的に廃液の堆積を低減でき、廃液タンクの寿命の長期化を図ることができる。
【0058】
次に、本発明の第6実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
ここでは、複数、例えば2つの廃液移送手段として2つの第1、第2のスクリュー部材111A、111Bが配置されている。一方、維持回復機構81の図示しない吸引ポンプからの廃液チューブ201は、実施図示の廃液排出位置に配置されている。そこで、廃液タンク100を、図示しない移動機構によって図13(a)に示す実線図示の位置との図13(b)に示す実線図示の位置との間で移動可能に配置している。
【0059】
これにより、廃液タンク100が図13(a)図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Aに向けて矢印で示すように廃液が排出され、廃液タンク100が図13(b)実線図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Bに向けて矢印で示すように廃液が排出される。つまり、廃液タンク100の位置を変更することで、複数のスクリュー部材111A、111Bが選択される。したがって、第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
なお、これらの第5、第6実施形態において廃液移動手段としては、前述した第2、第3実施形態で説明したような回転部材112、114を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の概略を示す構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る廃液タンクの一例を示す斜視説明図である。
【図4】同じく蓋部材を除いて示す斜視説明図である。
【図5】同廃液タンクの模式的要部平面説明図である。
【図6】同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る廃液タンクの模式的要部平面説明図である。
【図8】同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る廃液タンクの模式的要部平面説明図である。
【図10】同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る廃液タンクの模式的説明図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る廃液タンクの模式的説明図である。
【符号の説明】
【0062】
10…インクカートリッジ
33…キャリッジ
34a、34b…記録ヘッド
81…維持回復機構
100…廃液タンク
101…タンクケース本体
102…吸収部材(掻き取り部材)
103…蓋部材
104…廃液投入口
105…空間
107…リブ
108…切り欠き部
111、111A、111B…スクリュー部材(廃液移動手段)
112…回転板(廃液移動手段)
114…回転翼(廃液移動手段)
115a〜115c…掻き取り部材
【技術分野】
【0001】
本発明は廃液収容容器及び画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる廃液を収容する廃液収容容器及びこの廃液収容容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、液体の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行うものがある。
【0003】
なお、本発明においては、「画像形成装置」とは、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(液体を媒体に付着させる)ことをも意味する。また、「インク」とは、厳密な意味でのインクに限るものではなく、インクと称されるもの、レジスト、DNA試料など、上記の意味での画像形成を行うことができる液体の総称として用いる。
【0004】
このような画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)においては、インクを記録ヘッドに供給するためにインクカートリッジがよく用いられている。こうしたインクカートリッジの交換の手間を減らすためにカートリッジ装着部に着脱自在に装着され、供給チューブを介して記録ヘッド側のサブタンクへインクを供給することができるようにされている。
【0005】
また、記録ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズルから用紙に吐出させて記録を行なう関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、記録不良を起こすという問題を抱えている。
【0006】
そこで、非記録時に記録ヘッドのノズルを封止するためのキャッピング手段と、必要に応じてノズル形成面を清掃するワイピング部材が備えられ、また、記録に寄与しない空吐出を行なう空吐出受けを備えている。キャッピング手段は、ノズルのインクの乾燥を防止する蓋として機能するだけでなく、ノズルに目詰まりなどが生じた場合には、キャッピング手段によりノズル形成面を封止し、吸引ポンプからの負圧により、ノズルからインクを吸引排出(ヘッド吸引)させてノズルの目詰まりを解消する機能をも備えている。
【0007】
記録ヘッドの目詰まり解消のために行なうインクの強制的な吸引排出処理は、クリーニング動作と呼ばれており、例えば記録装置の長時間の休止後に記録を再開する場合や、記録中の所定間隔ごとや、ユーザーが記録状態の不良を認識してクリーニングスイッチを操作した場合などに実行され、記録ヘッドからインクを排出させた後にゴムなどの弾性部材からなるワイピング部材により、記録ヘッドのノズル面(ノズルが形成された面)を払拭する清浄化動作が伴われる。また、記録中には所要のタイミングで空吐出が行なわれる。
【0008】
そして、上述したクリーニング動作に伴ってキャッピング手段内に排出された記録ヘッドからの廃液は、吸引ポンプの駆動により廃液タンク(廃液収容容器などとも称する。)に排出することができるように構成され、また空吐出されたインク滴も廃液として廃液タンクに排出されている。この廃液タンクには、一般に多孔質材料により構成された廃液吸収材(吸収体)が収納されており、この廃液吸収材によって廃液を吸収した形で保持するようになされている。
【0009】
ところで、記録速度の高速化によってインクには速乾燥性などが求められることから、高粘度(5cP以上を高粘度と定義する。)の顔料系インクが使用されるようになっている。このような顔料濃度が高い顔料系インクなどの高粘度インクなど、インクの増粘が著しい廃インクを収容する廃液タンクにおいては、インクに含まれる顔料,染料等の色材が堆積し成長するため、この堆積物の成長を放置すると、成長した堆積物が記録ヘッドや吸引チューブに接触し、動作不良の原因となる。また、廃液タンク内に堆積したインクで廃液タンクが満タンになると廃液タンク外に廃液が溢れてしまう問題が発生する。
【特許文献1】特開2003−094692号公報
【0010】
そこで、特許文献2には液体収容手段内において液体を分散させるための液体分散手段を有し、液体分散手段は、液体を受け止める複数の液体受け止め手段と、複数の液体受け止め手段を回転可能に保持する保持手段とを備えることが記載されている。
【特許文献2】特開2007−083481号公報
【0011】
また、特許文献3には液体収容手段は、鉛直方向に縦長の形状に構成されており、液体収容手段の縦長の形状に対応して配置される複数の液体吸収部と、液体吸収部を液体収容手段の縦長の形状に沿って移動させる液体吸収部移動手段とを備えることが記載されている。
【特許文献3】特開2007−083480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されているように廃液収容容器内に回転体を設け、複数の仕切内にインクを分散させる構成にあっては、分散させた箇所にインクの堆積が発生し、回転体の重量増加や、インク誘導後のインク堆積によりインク回転体機構自体をロックさせてしまうことになりかねないという課題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載されているように複数の廃液タンクを配置し、順次使用する構成にあっては、配置する個数にもよるが、マシン(装置)が大型化し、機構自体も複雑化する。また、交換収容容器を交換する構成にした場合にも複数のものを交換する必要が出てくるという課題がある。
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明に係る廃液収容容器は、液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる液体の廃液が排出される容器本体と、この容器本体内に排出された廃液を移動させる廃液移動手段と、この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段とを備えている構成とした。
【0016】
ここで、掻き取り手段は、容器本体内に配設された廃液を吸収する吸収体である構成とできる。また、複数の廃液移動手段を備えている構成とでき、この場合、容器本体が移動されることで複数の廃液移動手段が選択される構成、あるいは、廃液の排出位置が移動されることで複数の廃液移動手段が選択される構成とできる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る廃液収容容器を備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る廃液収容容器によれば、液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる液体の廃液が排出される容器本体と、この容器本体内に排出された廃液を移動させる廃液移動手段と、この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段とを備えている構成としたので、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る廃液収容容器を備えているので、廃液収容容器を長期にわたり使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係るインク供給システムによってインクを供給する画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0021】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0022】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0023】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部であるサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色の第1インク供給部であるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット5によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0024】
一方、給紙カセット(又は給紙トレイ)2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0025】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0026】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
【0027】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0028】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0029】
さらに、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ22をロックするキャリッジロック87などとを備えている。
【0030】
また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着され、カートリッジ装填部4と反対側に配置されている。
【0031】
また、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0032】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0033】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0034】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0035】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0036】
そこで、この画像形成装置に適用した本発明の第1実施形態について図3ないし図6を参照して説明する。なお、図3は同実施形態に係る廃液収容容器としての廃液タンクの斜視説明図、図4は同廃液タンクの蓋部材を除いた斜視説明図、図5は同廃液タンクの要部平面説明図、図6は同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【0037】
この廃液タンク100は、容器本体(ケース本体)101と、このケース本体101内に収納した液状の廃液を吸収する積層体(ここでは4層としている。)からなる吸収部材(吸収体)102と、ケース本体101の上部を覆う蓋部材103を備えている。
【0038】
この廃液タンク100には、維持回復機構81内の空吐出受け84から空吐出されたインクの廃液202や図示しない吸引ポンプからチューブを介して排出されるインクの廃液202が、蓋部材103に設けた廃液投入口104から投入(排出)される。そして、この廃液投入口104を介して廃液が投入される部位に対応して、吸収体102を設けない空間105を形成している。
【0039】
また、ケース本体101には空間105の側壁面を仕切る仕切り壁であるリブ107を形成している。これにより、吸収部材102の一部102aが空間105に臨むことになり、この一部102aの壁面部分からしか液体状の廃液が吸収部材102に浸透しなくなる。
【0040】
さらに、蓋部材103には、廃液タンク100が装着されているか否かを検知する廃液タンク有無センサを兼ねた、廃液タンク100内の廃液が満タンになったことを検出する廃液満タン検知手段である反射型フォトセンサからなる廃液満タンセンサ108を、廃液投入口104のリブ107を挟んで吸収部材102の部分102b上に配置している。
【0041】
また、空間105内には、廃液投入口104に下方に、投入された廃液を吸収体102に向かって移動させる廃液移動手段としてのスクリュー部材111を配置している。このスクリュー部材111は、一端部が吸収体102の一部102a側で回転自在に保持され、また、他端部はケース本体101外に延設されて図示しないギヤ及び駆動源を介して回転駆動される。
【0042】
この場合、スクリュー部材111の一端部が吸収体102側に保持されているので、スクリュー部材111に付着したインクの廃液は吸収体102で掻き取られる。つまり、廃液を吸収する吸収体102が廃液移動手段であるスクリュー部材111に付着した廃液を掻き取る掻き取り手段を兼ねている。なお、スクリュー部材111の他端部側にも吸収体109を設けて、スクリュー部材111の廃液移動方向と逆方向に廃液が移動した場合にもスクリュー部材111に付着した廃液を掻き取れるようにしている。
【0043】
このように構成したので、図6にも示すように、維持回復機構81から排出された廃液202は、廃液タンク100の廃液投入口104から廃液タンク100内に排出されると、スクリュー部材111上に滴下され、スクリュー部材111の回転に伴って吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、スクリュー部材111から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【0044】
これによって、廃液投入口104から投入されるインクの廃液は液状のまま堆積を生じる前にスクリュー部材111によって吸収体102の一部102aから吸収されるので、空間105内での堆積を生じることが低減する。
【0045】
このように、容器本体内に排出された前記廃液を移動させる廃液移動手段と、この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段とを備えることで、液体収容容器内での廃液の堆積を低減することができ、簡単な構成で、液体収容容器内のスペースを有効に活用することができるようになり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。この場合、掻き取り手段として、容器本体内に配設された廃液を吸収する吸収体を用いることで、効率的に廃液を収容することができる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7は同実施形態に係る廃液タンクの蓋部材を除いた要部平面説明図、図8は同廃液タンクの模式的断面説明図である。
ここでは、空間105内には、廃液投入口104に下方に、投入された廃液を吸収体102に向かって移動させる廃液移動手段としての円板形状の回転板(回転部材)112を配置している。この回転板112は、リブ107の切り欠き部107aを介して、空間105とリブ107を介して反対側の吸収体102の内部に一部を臨ませて配置されている。また、この回転板112は軸部材112aで回転可能に保持され、ケース本体101の蓋部材103を介して上方の図示しない駆動源から駆動力を伝達されて回転する。なお、吸収体102の回転板112に対応する部分は取り除かれている。
【0047】
このように構成したので、図8にも示すように、維持回復機構81から排出された廃液202は、廃液タンク100の廃液投入口104から廃液タンク100内に排出されると、回転板112上に滴下され、回転体112の回転に伴って、粘度の高い廃液は吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、回転体112から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【0048】
これによって、廃液投入口104から投入されるインクの廃液は液状のまま堆積を生じる前に回転体112によって吸収体102に吸収されるので、空間105内での堆積を生じることが低減し、簡単な構成で、液体収容容器内のスペースを有効に活用することができるようになり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は同実施形態に係る廃液タンクの蓋部材を除いた要部平面説明図、図10は同廃液タンクの模式的断面説明図である。
ここでは、空間105内には、廃液投入口104に下方に、投入された廃液を吸収体102に向かって移動させる廃液移動手段としての円板を切り欠いた形状の回転翼(回転部材)114を配置している。この回転翼114は、リブ107の切り欠き部107aを介して、空間105とリブ107を介して反対側の吸収体102の内部に一部が回転領域を臨ませて配置されている。
【0050】
また、ここでは、回転可能に配置される軸部材114aに3枚の回転翼114を上下方向の位置を異ならせて配置している。また、この回転翼114は、ケース本体101の蓋部材103を介して上方の図示しない駆動源から駆動力を軸部材114aに伝達されて回転する。なお、吸収体102の各回転翼114に対応する部分は取り除かれている。
【0051】
このように構成したので、図10にも示すように、維持回復機構81から排出された廃液202は、廃液タンク100の廃液投入口104から廃液タンク100内に排出されると、下方に回転翼114が位置しているときには回転翼114上に滴下され、回転翼114の回転に伴って、粘度の高い廃液は吸収体102側に移動(移送)され、吸収体102に接触することで、回転翼114から掻き取られ、吸収体102に吸収される。
【0052】
これによって、廃液投入口104から投入されるインクの廃液は液状のまま堆積を生じる前に回転翼114によって吸収体102に吸収されるので、空間105内での堆積を生じることが低減し、簡単な構成で、液体収容容器内のスペースを有効に活用することができるようになり、廃液収容容器の構成を複雑にすることなく、長期にわたり安定して廃液の堆積を低減することができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して説明する。なお、図11は同実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
ここでは、空間105内に、スクリュー部材111に付着した廃液を掻き取る掻き取り手段として掻き取り部材116a、116b、116cを、廃液移送(移動)方向に沿って順に配置している。これらの掻き取り部材116a、116b、116cは、廃液投入部位(空吐出受け84や吸引ポンプの廃液チューブ)に近い掻き取り部材116aから順次高さを高くして、つまり、スクリュー部材111とのギャップ(距離)が小さくなるように配置している。
【0054】
このように、廃液の移動方向に沿って掻き取り部材116a〜116cと廃液移動手段(スクリュー部材111)のギャップが順次小さくなることで、スクリュー部材111の移送機能を長期に渡って維持することができる。つまり、最初の掻き取り部材116aとスクリュー部材111のギャップを小さく(狭く)しておくと、最初の掻き取り部材116aのみに廃液が付着して、最初の掻き取り部材115aに廃液が固着して、掻き取り機能が低下することになる。これに対して、ギャップを徐々に狭くすることによって徐々に廃液を掻き取ることができるようになる。
【0055】
次に、本発明の第5実施形態について図12を参照して説明する。なお、図12は同実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
ここでは、複数、例えば2つの廃液移送手段として2つの第1、第2のスクリュー部材111A、111Bが配置されている。一方、維持回復機構81の図示しない吸引ポンプからの廃液チューブ201は、図12(a)に示す実施図示の廃液排出位置と図12(b)に示す実線図示の廃液排出位置との間で移動可能に配置されている。
【0056】
これにより、廃液チューブ201が図12(a)図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Aに向けて矢印で示すように廃液が排出され、廃液チューブ201が図12(b)実線図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Bに向けて矢印で示すように廃液が排出される。つまり、廃液の排出位置を変更することで、複数のスクリュー部材111A、111Bが選択される。
【0057】
このように、複数の廃液移動手段を備えることによって廃液移送機能を長期にわたって維持することができるとともに、廃液移動手段で移送された廃液が吸収される吸収体の部分が分散することになって、より効率的に廃液の堆積を低減でき、廃液タンクの寿命の長期化を図ることができる。
【0058】
次に、本発明の第6実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
ここでは、複数、例えば2つの廃液移送手段として2つの第1、第2のスクリュー部材111A、111Bが配置されている。一方、維持回復機構81の図示しない吸引ポンプからの廃液チューブ201は、実施図示の廃液排出位置に配置されている。そこで、廃液タンク100を、図示しない移動機構によって図13(a)に示す実線図示の位置との図13(b)に示す実線図示の位置との間で移動可能に配置している。
【0059】
これにより、廃液タンク100が図13(a)図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Aに向けて矢印で示すように廃液が排出され、廃液タンク100が図13(b)実線図示の位置にあるときにはスクリュー部材111Bに向けて矢印で示すように廃液が排出される。つまり、廃液タンク100の位置を変更することで、複数のスクリュー部材111A、111Bが選択される。したがって、第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
なお、これらの第5、第6実施形態において廃液移動手段としては、前述した第2、第3実施形態で説明したような回転部材112、114を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の概略を示す構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る廃液タンクの一例を示す斜視説明図である。
【図4】同じく蓋部材を除いて示す斜視説明図である。
【図5】同廃液タンクの模式的要部平面説明図である。
【図6】同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る廃液タンクの模式的要部平面説明図である。
【図8】同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る廃液タンクの模式的要部平面説明図である。
【図10】同廃液タンクの模式的断面説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る廃液タンクの側面模式的説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る廃液タンクの模式的説明図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る廃液タンクの模式的説明図である。
【符号の説明】
【0062】
10…インクカートリッジ
33…キャリッジ
34a、34b…記録ヘッド
81…維持回復機構
100…廃液タンク
101…タンクケース本体
102…吸収部材(掻き取り部材)
103…蓋部材
104…廃液投入口
105…空間
107…リブ
108…切り欠き部
111、111A、111B…スクリュー部材(廃液移動手段)
112…回転板(廃液移動手段)
114…回転翼(廃液移動手段)
115a〜115c…掻き取り部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる液体の廃液が排出される容器本体と、
この容器本体内に排出された前記廃液を移動させる廃液移動手段と、
この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段と
を備えていることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の廃液収容容器において、前記掻き取り手段は、前記容器本体内に配設された前記廃液を吸収する吸収体であることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の廃液収容容器において、複数の前記廃液移動手段を備えていることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項4】
請求項3に記載の廃液収容容器において、前記容器本体が移動されることで前記複数の廃液移動手段が選択されることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項5】
請求項3に記載の廃液収容容器において、前記廃液の排出位置が移動されることで前記複数の廃液移動手段が選択されることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の廃液収容容器を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドの維持回復動作で生じる液体の廃液が排出される容器本体と、
この容器本体内に排出された前記廃液を移動させる廃液移動手段と、
この廃液移動手段に付着した廃液の少なくなくとも一部を掻き取る掻き取り手段と
を備えていることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の廃液収容容器において、前記掻き取り手段は、前記容器本体内に配設された前記廃液を吸収する吸収体であることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の廃液収容容器において、複数の前記廃液移動手段を備えていることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項4】
請求項3に記載の廃液収容容器において、前記容器本体が移動されることで前記複数の廃液移動手段が選択されることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項5】
請求項3に記載の廃液収容容器において、前記廃液の排出位置が移動されることで前記複数の廃液移動手段が選択されることを特徴とする廃液収容容器。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の廃液収容容器を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−78417(P2009−78417A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248592(P2007−248592)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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