説明

建築用パネルユニット及びその製造方法

【課題】 ドーム状屋根その他の大スパン・大径間屋根などの建築構造物を構築する際に用いられる建築用パネルユニット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 発泡樹脂が高圧充填された密閉空間の内部は、周辺枠フレームの枠面内に配置された仕切り材で分割して複数のセルが形成されている。各々のセルは充填口とエア抜き口とを有する。発泡樹脂を充填前のセルの容積は、充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡る大きさに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばドーム状屋根その他の大スパン・大径間屋根の建築構造物を構築する際に用いられる建築用パネルユニット及びその製造方法の技術分野に属し、更に云うと、隅々まで確実に発泡樹脂を行き渡らせることができる構成とした大版の建築用パネルユニット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建築構造物を簡易且つ軽量に構築するべく、種々の建築用パネルユニットが開発されている。一般的には、上下面を成す金属薄板内に発泡樹脂が高圧充填されてむくり形状とされ、軽量で強度が高い構成とされている(特許文献1〜3)。
【0003】
ちなみに、平板状のパネルユニットの強度を確保する手段として、特許文献4のパネルユニットは、周辺枠フレームの枠面内に桟材が配置されており、同桟材に開口を設けて発泡樹脂を充填した際に流通を阻害しないように工夫されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−163635号公報
【特許文献2】特開昭60−101038号公報
【特許文献3】特開2003−206593号公報
【特許文献4】特開平10−252214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発泡樹脂として代表的な二液性硬質発泡ウレタン樹脂を考察した場合、二つの原液を混ぜてから硬化するまでの化学反応過程は、図9に示すような過程となる。すなわち、20秒〜30秒以内に充填作業を完了させないと、発泡樹脂の膨張、硬化が急速に進み、金属薄板内の隅々まで発泡樹脂が行き渡らない可能性がある。
【0006】
一方、発泡樹脂を充填する機械の吐出能力は、一般的な低圧機で100N/min程度である。
【0007】
したがって、発泡樹脂の充填時間を仮に最長の30秒としても、50N程度(容積としては、発泡した状態で0.15m程度)の発泡樹脂しか充填できず、一例として、一辺の長さ(L)と厚さ(d)との比が(d/L)=0.021に設定された正方形状のパネルユニットでは、図10から明らかなように一辺を2.0m程度の長さとするのが限度である。
【0008】
ところが、上記特許文献1〜4のパネルユニットは、発泡樹脂を複数回充填できる構成でなく、一回で発泡樹脂の充填を完了させることを前提とした構成であるため、大版に形成することができない。そのため、特許文献1〜4のパネルユニットでは大スパンの建築構造物を構築するのが不可能であった。
【0009】
本発明の目的は、上下の金属薄板と周辺枠フレームとで形成された密閉空間内を仕切り材で分割して、後で充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡るように予め設定した容積のセルを複数形成し、各セルに発泡樹脂を高圧充填することで、隅々まで確実に発泡樹脂を行き渡らせることができる、大版の建築用パネルユニット及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る建築用パネルユニットは、
パネルユニットの上下面を成す金属薄板が周辺枠フレームに取り付けられて密閉空間が形成され、同密閉空間内に発泡樹脂が高圧充填されて前記金属薄板に一定の膜張力が付与された建築用パネルユニットであって、
発泡樹脂が高圧充填された密閉空間の内部は、周辺枠フレームの枠面内に配置された仕切り材で分割して複数のセルが形成されており、各々のセルは充填口とエア抜き口とを有すること、
発泡樹脂を充填前のセルの容積は、充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡る大きさに設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載した発明に係る建築用パネルユニットの製造方法は、
パネルユニットの上下面を成す金属薄板を周辺枠フレームに取り付けて密閉空間を形成し、同密閉空間内に発泡樹脂を高圧充填して前記金属薄板に一定の膜張力を付与し、建築用パネルユニットを製造する方法であって、
周辺枠フレームの枠面内に仕切り材を配置して上下の金属薄板と周辺枠フレームとで形成された密閉空間を分割し、後で充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡るように、容積の大きさを予め設定したセルを複数形成すること、
前記の各セルに充填口とエア抜き口とを設け、各充填口から発泡樹脂を高圧充填しつつエア抜き口から空気を排除させることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載した建築用パネルユニット又は請求項2に記載した建築用パネルユニットの製造方法において、
発泡樹脂を充填前のセルの容積Vは、以下の[数1]によって求めること、
[数1] V≦(0.5・Q)/(α・ρ)
但し、Q(N/min):充填機械の発泡樹脂の吐出能力、α:セルの大きさ、厚さ、金属薄板の剛性、発泡樹脂の物性、充填機械の吐出圧力等に依存する発泡樹脂の充填倍率、ρ(N/m):発泡樹脂の標準密度
を特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載した建築用パネルユニット又は請求項2に記載した建築用パネルユニットの製造方法において、
金属薄板は、複数枚のステンレス鋼板などの帯板を、溶接線が略平行となるようにシーム溶接して大版に形成していることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法において、
金属薄板に仕切り材を略垂直に立て、同仕切り材を有する面が相互に向かい合うように前記金属薄板をそれぞれ周辺枠フレームに取り付け、上下の仕切り材を所定の長さラップさせることで、密閉空間内に予め設定した容積のセルを複数形成することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法において、
金属薄板に仕切り材を略垂直に立て、同仕切り材を有する面が相互に向かい合うように前記金属薄板をそれぞれ周辺枠フレームに取り付け、上下の仕切り材を周辺枠フレームの対角線方向に仕切り材として配置した板状のブレース材と所定の長さラップさせることで、密閉空間内に予め設定した容積のセルを複数形成することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法において、
上下の仕切り材を相互に又はブレース材とラップさせる長さは、発泡樹脂を充填した際にもラップ状態を維持できる長さに設定することを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法において、
仕切り材は金属薄板の溶接線に沿うように配置していることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項1に記載した建築用パネルユニット又は請求項2に記載した建築用パネルユニットの製造方法において、
充填口は、パネルユニットの周辺枠フレームにおける各セルの略中央部に配置し、エア抜き口は、前記充填口の両側のセル内隅部近傍に配置していることを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項1又は2又は9に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法において、
エア抜き口は、充填口が配置された辺と対峙する辺のセル内隅部近傍に配置していること特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る建築用パネルユニットの製造方法は、上下の金属薄板と周辺枠フレームとで形成された密閉空間内を仕切り材で分割して、後で充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡るように予め設定した容積(即ち、発泡樹脂を一回で充填可能な容積)のセルを複数形成し、各セルに発泡樹脂を高圧充填するので、発泡樹脂をセルの隅々まで行き渡らせることができ、その集合体としてパネルユニットを大版に形成することができる。また、発泡樹脂をセルの隅々まで行き渡らせることができるので、しっかりと上下の金属薄板を両外方へ膨らませて、同金属薄板に凸レンズ状のむくりを発生させ、予め設定された大きさの膜張力をプレストレスとして確実に付与することができる。
【0021】
本発明に係る建築用パネルユニットは、発泡樹脂が隅々まで行き渡ったセルの集合体として大版に形成されるので、例えば屋根部材又は壁部材として用いて、大スパンの建築構造物を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発泡樹脂が高圧充填された密閉空間の内部は、周辺枠フレームの枠面内に配置された仕切り材で分割して複数のセルが形成される。各々のセルは充填口とエア抜き口とを有する。発泡樹脂を充填前のセルの容積は、充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡る大きさに設定される。
【実施例1】
【0023】
請求項1〜5及び請求項7〜10に記載した発明に係る建築用パネルユニット及びその製造方法の実施例を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0024】
先に、本発明に係る建築用パネルユニット(以下、単にパネルユニットと省略する場合がある。)1の製造方法を説明し、その後、上記製造方法によって製造された本発明に係るパネルユニット1の構成を説明する。
【0025】
この製造方法は、通例のパネルユニットの製造方法と略同様に、パネルユニット1の上下面を成す金属薄板2、2を周辺枠フレーム3に取り付けて密閉空間4を形成し、同密閉空間4内に発泡樹脂5を高圧充填して前記金属薄板2、2に一定の膜張力を付与するが、図1及び図2に示すように前記密閉空間4を分割して複数のセル6…を形成した後に、各々のセル6内に発泡樹脂5を充填する。
【0026】
具体的には、周辺枠フレーム3の枠面内に仕切り材7を配置して密閉空間4を分割し、後で充填される発泡樹脂5が隅々まで行き渡るように、予め設定した容積(即ち、発泡樹脂5を一回で充填可能な容積)のセル6を複数形成する。
【0027】
その手段として、先ず、セル6の容積Vを以下の[数1]によって求める(請求項3記載の発明)。
[数1] V≦(0.5・Q)/(α・ρ)
但し、Q(N/min):充填機械の発泡樹脂の吐出能力、α:セルの大きさ、厚さ、金属薄板の剛性、発泡樹脂の物性、充填機械の吐出圧力等に依存する発泡樹脂の充填倍率、ρ(N/m):発泡樹脂の標準密度
【0028】
次に、幅寸が1.2m程度の規格品のロール材から切り出した4枚(但し、枚数は特に限定されない。)のステンレス鋼帯板2a…を、溶接線Aが略平行となるようにシーム溶接して、大版の金属薄板2を形成する(図3及び図4を参照、請求項4記載の発明)。溶接線Aが交差しないので、溶接作業が簡単で、しかも雨仕舞いが良い。
【0029】
密閉空間4内を分割して、上記のように設定した容積のセル6を形成できるように、本実施例では、前記金属薄板2の一方の面(図4では折り曲げた溶接代8を有する面)において、溶接線Aに沿うような配置で3枚の仕切り材7‥を略垂直に立てる。溶接代8は補強リブとしての役割を発揮するので剛性効果が期待でき、仕切り材7を接合しやすい。そして、仕切り材7を有する面が相互に向かい合うように2枚の金属薄板2、2をそれぞれ周辺枠フレーム3に取り付け、上下の仕切り材7、7を所定の長さラップさせる。その結果、周辺枠フレーム3の枠面内に仕切り材7が配置され、密閉空間4内に平面視が長方形状の4個のセル6…が予め設定した容積で形成される(請求項5及び請求項8記載の発明)。
【0030】
ちなみに、前記上下の仕切り材7、7をラップさせる長さは、後に発泡樹脂5を充填した際にもラップ状態を維持できる長さHに設定する(図4を参照、請求項7記載の発明)。そのため、充填した発泡樹脂5が隣接するセル6に漏れ出すことが無く、確実に発泡樹脂5をセル6内に充填することができる。
【0031】
周辺枠フレーム3には、具体的な図示は省略するが、各々のセル6に充填口9とエア抜き口10とを配置するべく、予め前記充填口9とエア抜き口10とを設けておき、各々のセル6の充填口9から発泡樹脂5を高圧充填しつつエア抜き口10から空気を排除させる(図2を参照)。各々のセル6は、発泡樹脂5を一回で充填可能な容積とされているので、発泡樹脂5をセル6の隅々まで行き渡らせることができ、その集合体としてパネルユニット1を大版に形成することができる。また、発泡樹脂5をセル6の隅々まで行き渡らせることができるので、しっかりと上下の金属薄板2、2を両外方へ膨らませて、同金属薄板2、2に凸レンズ状のむくりを発生させ、予め設定された大きさの膜張力をプレストレスとして確実に付与することができる。
【0032】
なお、前記充填口9は、パネルユニット1の周辺枠フレーム3における各セル6の略中央部(本実施例では平面視が長方形状のセル6の一方の短辺6aの略中央部)に配置し、エア抜き口10は、前記充填口9の両側のセル内隅部近傍に配置している(請求項9記載の発明)。そして、本実施例のセル6は奥行きが長いので、エア抜き口10は、前記充填口9が配置された短辺6aと対峙する短辺6bのセル内隅部近傍にも配置している(請求項10記載の発明)。充填された発泡樹脂5は、セル6の短辺6bに配置したエア抜き口10、10から排除される空気に導かれるように、セル6の奥行き側の内隅部まで行き渡る。そして、硬化した発泡樹脂5に押し戻され、今度はセル6の短辺6aに配置したエア抜き口10、10から排除される空気に導かれるように、セル6の手前側の内隅部まで行き渡り、合理的に発泡樹脂5をセル6の隅々まで充填することができる。
【0033】
上記製造方法によって製造されたパネルユニット1は、発泡樹脂5が高圧充填された密閉空間4の内部が、周辺枠フレーム3の枠面内に配置された仕切り材7で分割して複数のセル6…が形成されており、各々のセル6は充填口9とエア抜き口10とを有する。そして、発泡樹脂5を充填前のセル6の容積は、充填させる発泡樹脂5が隅々まで行き渡る大きさに設定されている(請求項1記載の発明)。パネルユニット1は発泡樹脂5が隅々まで行き渡ったセル6の集合体として大版(4m〜8m)に形成されるので、同パネルユニット1を例えば屋根部材又は壁部材として用いて、大スパンの建築構造物を構築することができる。
【0034】
本実施例では、図4に示すように金属薄板2の溶接代8を有する面に仕切り材7を接合しているが、図5に示すように反対側の面に仕切り材7を接合しても、同様に実施できる。
【0035】
本実施例では、仕切り材7を金属薄板2の溶接線Aに沿うように配置したが、密閉空間4内に予め設定した容積のセル6を形成できるように、仕切り材7を配置すれば良い。
【実施例2】
【0036】
本実施例のパネルユニット11は、図6及び図7に示すように密閉空間4内に仕切り材として板状のブレース材12を配置して、セル6を形成している。
【0037】
具体的には、2本の板状のブレース材12、12を交差させて一体化し、このブレース材12、12を対角線とする矩形状の周辺枠フレーム3を組み上げ、同周辺枠フレーム3の枠面内にブレース材12、12を配置する。周辺枠フレーム3の外周長さ及び高さ等は、後に前記ブレース材12、12で密閉空間4内に予め設定した容積のセル6を形成できるように調整される。
【0038】
なお、図6に示すように、ブレース材12の両端部を周辺枠フレーム3から突出させると、当該突出部分を羽根材として用いることができる。
【0039】
金属薄板2には、同金属薄板2を周辺枠フレーム3に取り付けた際に前記ブレース材12に沿って配置される仕切り材13を略垂直に立てる。前記仕切り材13を有する面が相互に向かい合うように2枚の金属薄板2、2をそれぞれ周辺枠フレーム3に取り付け、上下の仕切り材13、13を上記板状のブレース材12と所定の長さラップさせる。その結果、密閉空間4内に平面視が三角形状のセル6が4個形成される(請求項6記載の発明)。
【0040】
その後は、上記実施例1と同様に各々のセル6の充填口(図示は省略)から発泡樹脂5を高圧充填する。周辺枠フレーム3の枠面内にブレース材12を配置したので、パネルユニット11の剛性を高めることができる。
【0041】
ちなみに、上下の仕切り材13、13をブレース材12とラップさせる長さは、発泡樹脂5を充填した際にもラップ状態を維持できる長さHに設定すると、上記実施例1と同様に好都合である(請求項7記載の発明)。
【実施例3】
【0042】
上記実施例2では、周辺枠フレーム3の対角線方向に配置したブレース材12、12を主要部材として密閉空間4内を分割して4個のセル6…を形成したが、ブレース材12と、具体的な図示は省略したが上記実施例1と略同様に上下にラップさせた仕切り材14、14とを主要部材として併用し、密閉空間4内を分割して複数(図8では12個)のセル6…を形成しても良い(図8を参照)。
【実施例4】
【0043】
上記実施例1〜3のパネルユニット1(11)は、仕切り材7(13、14)を所定の長さラップさせているが、発泡樹脂5を充填した際に生じる隙間が若干であれば、ラップさせる必要がない。要するに、発泡樹脂5は急速に膨張、硬化するので、セル6の密閉性が完全でなくても良く、仕切り材の材質、接合方法は特に限定されない。
【実施例5】
【0044】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1の建築用パネルユニットを概略的に示した構造図である。
【図2】建築用パネルユニットの密閉空間内に形成されたセル、及び前記セルに配置された充填口とエア抜き口とを概略的に示した平面図である。
【図3】金属薄板を示した斜視図である。
【図4】仕切り材のラップ状態を示した拡大断面図である。
【図5】溶接代を外方に配置した金属薄板を概念的に示した断面図である。
【図6】実施例2の建築用パネルユニットを概略的に示した斜視図である。
【図7】仕切り材とブレース材とのラップ状態を示した図である。
【図8】実施例3の建築用パネルユニットを概略的に示した平面図である。
【図9】発泡樹脂の化学反応過程を示した図である。
【図10】正方形状のパネルユニットのサイズと、充填に必要な発泡樹脂の重量との関係を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
1 建築用パネルユニット
2 金属薄板
3 周辺枠フレーム
4 密閉空間
5 発泡樹脂
6 セル
7 仕切り材
9 充填口
10 エア抜き口
11 建築用パネルユニット
12 ブレース材(仕切り材)
13 仕切り材
14 仕切り材
A 溶接線
、H 仕切り材のラップ長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルユニットの上下面を成す金属薄板が周辺枠フレームに取り付けられて密閉空間が形成され、同密閉空間内に発泡樹脂が高圧充填されて前記金属薄板に一定の膜張力が付与された建築用パネルユニットであって、
発泡樹脂が高圧充填された密閉空間の内部は、周辺枠フレームの枠面内に配置された仕切り材で分割して複数のセルが形成されており、各々のセルは充填口とエア抜き口とを有すること、
発泡樹脂を充填前のセルの容積は、充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡る大きさに設定されていることを特徴とする、建築用パネルユニット。
【請求項2】
パネルユニットの上下面を成す金属薄板を周辺枠フレームに取り付けて密閉空間を形成し、同密閉空間内に発泡樹脂を高圧充填して前記金属薄板に一定の膜張力を付与し、建築用パネルユニットを製造する方法であって、
周辺枠フレームの枠面内に仕切り材を配置して上下の金属薄板と周辺枠フレームとで形成された密閉空間を分割し、後で充填される発泡樹脂が隅々まで行き渡るように、容積の大きさを予め設定したセルを複数形成すること、
前記の各セルに充填口とエア抜き口とを設け、各充填口から発泡樹脂を高圧充填しつつエア抜き口から空気を排除させることを特徴とする、建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項3】
発泡樹脂を充填前のセルの容積Vは、以下の[数1]によって求めること、
[数1] V≦(0.5・Q)/(α・ρ)
但し、Q(N/min):充填機械の発泡樹脂の吐出能力、α:セルの大きさ、厚さ、金属薄板の剛性、発泡樹脂の物性、充填機械の吐出圧力等に依存する発泡樹脂の充填倍率、ρ(N/m):発泡樹脂の標準密度
を特徴とする、請求項1に記載した建築用パネルユニット又は請求項2に記載した建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項4】
金属薄板は、複数枚のステンレス鋼板などの帯板を、溶接線が略平行となるようにシーム溶接して大版に形成していることを特徴とする、請求項1に記載した建築用パネルユニット又は請求項2に記載した建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項5】
金属薄板に仕切り材を略垂直に立て、同仕切り材を有する面が相互に向かい合うように前記金属薄板をそれぞれ周辺枠フレームに取り付け、上下の仕切り材を所定の長さラップさせることで、密閉空間内に予め設定した容積のセルを複数形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項6】
金属薄板に仕切り材を略垂直に立て、同仕切り材を有する面が相互に向かい合うように前記金属薄板をそれぞれ周辺枠フレームに取り付け、上下の仕切り材を周辺枠フレームの対角線方向に仕切り材として配置した板状のブレース材と所定の長さラップさせることで、密閉空間内に予め設定した容積のセルを複数形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項7】
上下の仕切り材を相互に又はブレース材とラップさせる長さは、発泡樹脂を充填した際にもラップ状態を維持できる長さに設定することを特徴とする、請求項5又は6に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項8】
仕切り材は金属薄板の溶接線に沿うように配置していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項9】
充填口は、パネルユニットの周辺枠フレームにおける各セルの略中央部に配置し、エア抜き口は、前記充填口の両側のセル内隅部近傍に配置していることを特徴とする、請求項1に記載した建築用パネルユニット又は請求項2に記載した建築用パネルユニットの製造方法。
【請求項10】
エア抜き口は、充填口が配置された辺と対峙する辺のセル内隅部近傍に配置していること特徴とする、請求項1又は2又は9に記載した建築用パネルユニット又は建築用パネルユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−97411(P2006−97411A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286944(P2004−286944)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】