説明

建設機械

【課題】 ロックレバーによって走行用操作装置と作業用操作装置とを停止させる構成とすることにより、操作系統の信頼性を高める。
【解決手段】 レバースタンド17のフレーム18には、車両を走行させる走行レバー22,24と、上部旋回体4の旋回動作や作業装置5の俯仰動等を行う作業用操作装置26,29と、左,右のロックレバー38,39とを設ける。また、車両には、ロックレバー38,39がロック位置となったときに走行レバー22,24を停止させるレバー係合部材43,44と、同じくロック位置で作業用操作装置26,29を停止させる作業停止装置46とを設ける。これにより、ロック位置では、車両の走行動作、上部旋回体4の旋回動作及び作業装置5の作動を停止させることができ、オペレータが運転席16から離れる場合等において、信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、運転席の前側にレバースタンドを設ける構成とした建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、オペレータによって操作される各種のレバーを備えている。そして、例えばミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルでは、これらのレバーや制御弁等の機器をレバースタンドとして一体化し、このレバースタンドを運転席の前側に配置する構成としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−285588号公報
【0004】
この種の従来技術による油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載され、オペレータが着座する運転席が設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置と、運転席の前側に位置して上部旋回体に設けられたレバースタンドとを備えている。
【0005】
ここで、レバースタンドは、運転席の前側に立設されたフレームに、走行用操作装置、作業用操作装置、ロックレバー等からなる各種の操作機器と、走行制御弁、作業用制御弁等からなる各種の制御弁とを設けることによって構成されている。
【0006】
この場合、従来技術では、走行用操作装置として走行レバーが用いられ、この走行レバーは、リンク等を介して走行制御弁と連結されている。そして、走行制御弁は、走行レバーによって操作されることにより、下部走行体の走行モータに圧油を給排し、これによって車両を走行させる。
【0007】
また、作業用操作装置は、作業レバーと油圧パイロット弁とによって構成され、この油圧パイロット弁は、作業レバーの操作状態に応じて作業用制御弁にパイロット圧を出力する。そして、作業用制御弁は、このパイロット圧によって操作されることにより、旋回装置の旋回モータ、作業装置の各シリンダ等に圧油を給排し、これによって上部旋回体を旋回させたり、作業装置を作動させる。
【0008】
一方、ロックレバーは、オペレータによってロック位置とロック解除位置との間で操作されるものであり、作業用制御弁とパイロット油圧ポンプとの間に設けられた遮断弁と連結されている。そして、ロックレバーがロック位置に操作されたときには、作業用制御弁が遮断弁によってパイロット油圧ポンプから遮断され、これによって上部旋回体の旋回動作と作業装置の動作とが強制的に停止(ロック)される構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来技術において、油圧ショベルの運転中には、オペレータがロックレバーをロック位置に切換えた状態で、運転席から一時的に離れたり、運転以外の動作を行うことがある。
【0010】
しかし、従来技術では、ロック位置となったときに上部旋回体の旋回動作と作業装置の動作とを停止させるだけであり、この状態で走行レバーを操作したときには、ロック位置であっても車両が走行する構成となっている。
【0011】
このため、オペレータが車両の作動をロックしたつもりで運転席から離れたり、運転以外の動作を行うときに、走行レバーに誤って触れてしまうと、車両が意図しない走行動作を行う虞れがあり、このような走行動作が作業の妨げになるという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ロックレバーをロック位置に切換えたときに、車両の走行動作、旋回動作及び作業装置の作動を確実に停止させることができ、オペレータが扱い易く、作業を円滑に実行できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載されオペレータが着座する運転席が設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置と、前記運転席の前側に位置して前記上部旋回体に設けられたレバースタンドとを備え、前記レバースタンドは、前記上部旋回体に設けられたフレームに、走行用操作装置によって操作され前記下部走行体のアクチュエータに圧油を給排する走行制御弁と、作業用操作装置によって操作され前記旋回装置と作業装置のアクチュエータに圧油を給排する作業用制御弁と、ロック位置とロック解除位置との間で操作されるロックレバーとを設けてなる建設機械に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記走行用操作装置の作動を停止する走行停止手段と、前記作業用操作装置の作動を停止する作業停止手段とを設け、該走行停止手段と作業停止手段とは、前記ロックレバーがロック位置となったときに走行停止と作業停止するための動作をそれぞれ行う構成としたことにある。
【0015】
また、請求項2の発明によると、前記走行用操作装置はオペレータによって傾転操作される走行レバーであり、前記走行停止手段は、前記ロックレバーが前記ロック位置となったときに前記走行レバーに係合して傾転操作を規制し前記ロック解除位置となったときに前記走行レバーから離脱する構成としている。
【0016】
また、請求項3の発明によると、前記作業停止手段は、前記ロックレバーが前記ロック位置に切換えられたときに停止信号を出力する停止スイッチと、該停止スイッチから停止信号が入力されたときに前記作業用操作装置を油圧源から遮断する遮断弁とによって構成している。
【0017】
さらに、請求項4の発明によると、前記レバースタンドのフレームには左,右方向に延びるレバー支持軸を回動可能に設け、前記ロックレバーは該レバー支持軸の左,右両側にそれぞれ設け、前記走行用操作装置は前記フレームに互いに近接して配置された左走行用操作装置と右走行用操作装置であり、前記作業用操作装置は、これら2個の走行用操作装置を挟んで左,右に配置された左作業用操作装置と右作業用操作装置であり、前記走行停止手段は、前記ロックレバーが回動されるときに前記左走行用操作装置及び右走行用操作装置に対してそれぞれ係合しまたは離脱する係合部材として構成し、前記作業停止手段は、前記ロックレバーが前記ロック位置に切換えられたときに停止信号を出力する停止スイッチと、該停止スイッチから停止信号が入力されたときに前記左作業用操作装置と右作業用操作装置とを油圧源から遮断する遮断弁とによって構成している。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ロックレバーをロック位置に切換えたときには、走行停止手段によって走行用操作装置の作動を強制的に停止させることができ、また作業停止手段によって作業用操作装置の作動を強制的に停止させることができる。このため、オペレータが車両の運転中に運転席から離れたり、運転以外の動作等を行うときには、ロックレバーを操作することにより、車両の走行動作、上部旋回体の旋回動作及び作業装置の作動を禁止することができる。
【0019】
そして、この状態では、オペレータが誤って走行用操作装置に接触したとしても、車両が意図しない走行動作を行うのを確実に防止することができる。また、オペレータが運転席から離れているときに、例えば悪戯等によって走行用操作装置や作業用操作装置が作動するのを避けることができる。従って、オペレータの不注意等に対して操作系統の信頼性を高めることができ、各種の作業を円滑に行うことができる。一方、ロックレバーをロック解除位置に戻したときには、車両のロック状態を速やかに解除することができる。このため、オペレータが扱い易く、信頼性の高い建設機械を実現することができる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、ロック位置では、走行停止手段を走行レバーに係合させることができ、これによって走行レバーの傾転操作を規制することができる。また、ロック解除位置では、走行停止手段を走行レバーから離脱させることができ、これによって走行レバーを操作可能な状態にすることができる。このように、機械式の走行停止手段によって走行レバーの操作を確実かつ容易に停止させることができ、走行停止用の機構を簡略化することができる。
【0021】
また、請求項3の発明によれば、ロック位置となったときには、停止スイッチから遮断弁に停止信号を出力することができる。これにより、遮断弁は、作業用操作装置を油圧源から遮断して停止させることができる。従って、例えば複雑な構造をもつ油圧パイロット式の作業用操作装置を用いる場合、または構造上の制約等によって作業用操作装置の近傍に作業停止用の機構を配置できない場合でも、油圧式の作業停止手段によって作業用操作装置の作動を確実に停止(無効化)することができ、作業停止用の機構を容易に実現することができる。
【0022】
さらに、請求項4の発明によれば、レバースタンドのフレームには、左,右のロックレバー、左走行用操作装置、右走行用操作装置、左作業用操作装置、右作業用操作装置等をレバースタンドとして一体化することができ、これらの機器を運転席の前側にコンパクトに配置することができる。これにより、左,右の走行用操作装置と左,右の作業用操作装置とを互いに近接した位置に配置することができ、これら4つの操作装置の近傍には、左,右の走行用操作装置に対して係合,離脱する係合部材と、左,右の作業用操作装置を停止させるための停止スイッチとを取付けることができる。
【0023】
このため、走行停止用の係合部材と作業停止用の停止スイッチとを、例えば狭いスペースにまとめてコンパクトに配置することができ、これら全体の構造を簡略化して部品点数を削減できると共に、レバースタンド内の空間を有効に活用することができる。さらに、走行停止手段として係合部材を用い、作業停止手段として停止スイッチと遮断弁とを用いることにより、請求項3の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態による建設機械として、小型の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図中、1は小型の油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置5と、上部旋回体4に設けられた後述のレバースタンド17とによって大略構成されている。また、下部走行体2の前側には地均し作業等を行う排土板6が設けられている。
【0026】
また、下部走行体2には、図14に示す如く、車体を走行させるアクチュエータとしての左,右の走行モータ2A,2Bが設けられ、これらの走行モータ2A,2Bは左,右の履帯をそれぞれ周回駆動するものである。また、旋回装置3には、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回させるアクチュエータとしての旋回モータ3Aが設けられている。
【0027】
さらに、作業装置5は、後述する旋回フレーム7の前部に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト5Aと、該スイングポスト5Aに俯仰動可能に取付けられたブーム5Bと、該ブーム5Bの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Cと、該アーム5Cの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Dと、これらのブーム5B、アーム5C、バケット5Dを俯仰動(または回動)させるアクチュエータとしてのブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5Gとによって大略構成されている。
【0028】
一方、上部旋回体4は、図2、図15に示す如く、支持構造体をなす旋回フレーム7と、該旋回フレーム7の後側に設けられ、スタータ8Aによって始動されるエンジン8と、該エンジン8によって駆動される油圧ポンプ9と、同じくエンジン8によって駆動される油圧源としてのパイロット油圧ポンプ10と、エンジン8のスタータ8A等に通電を行うバッテリ等の電源11と、該電源11とアース12との間に接続され、エンジン8を制御するコントローラ13と、旋回フレーム7の後側に設けられ、エンジン8等の機器を覆う外装カバー14と、該外装カバー14の前側に敷設された床板15と、外装カバー14上に設けられた運転席16とによって大略構成されている。
【0029】
そして、コントローラ13は、例えば車両のスタータスイッチ(図示せず)等が閉成されたときに、電源11からスタータ8Aに通電を行い、これによってエンジン8を始動させる。また、コントローラ13には、図15に示す如く、後述する停止スイッチ47の開,閉状態を検出する検出端子13Aが設けられている。そして、コントローラ13は、停止スイッチ47の開成時にスタータスイッチ等が操作されたとしても、スタータ8Aに通電せず、エンジン8を停止状態に保持する構成となっている。
【0030】
17は上部旋回体4の床板15上に立設されたレバースタンドを示し、該レバースタンド17は、図1に示す如く、運転席16の前側に間隔(空間)をもって配置され、これらの間の空間はオペレータが運転席16に乗降する乗降通路となっている。
【0031】
また、レバースタンド17は、図2ないし図5に示す如く、後述のフレーム18、走行レバー22,24、作業用操作装置26,29、アクセルレバー32、排土板操作レバー33、各制御弁36、ロックレバー38,39、レバー係合部材43,44、停止スイッチ47によって大略構成されている。
【0032】
18はレバースタンド17の本体部分を構成するフレームで、該フレーム18は、図6に示す如く、互いに左,右方向に離間して上,下方向に延びた縦板18A,18Aと、該各縦板18Aの上部側を連結して水平方向に延びた上板18Bと、各縦板18Aの間に位置して該上板18Bから下向きに突出し、互いに左,右方向に間隔をもって対向した一対のブラケット板18C,18Cと、フレーム18の下側で各縦板18Aの間に設けられ、上,下方向及び左,右方向に延びた部品取付板18Dとによって大略構成されている。
【0033】
そして、各縦板18Aは、下部側が旋回フレーム7または床板15に取付けられ、アクセルレバー32、排土板操作レバー33、ロックレバー38,39等を回動可能に支持している。この場合、左,右の縦板18Aには、後述のレバー支持軸37を回動可能に支持するスリーブ18Eがそれぞれ設けられている。また、上板18Bには、後述する保持ばね40の一端側が取付けられるばね取付部18Fが設けられている。
【0034】
また、各ブラケット板18Cの間には、図7、図8に示す如く、左,右方向に延びて走行レバー22,24を回動可能に支持する支軸19と、各走行レバー22,24の回動範囲を設定する複数本のボルト20とが設けられている。さらに、フレーム18は、図2、図3に示す如く、フレームカバー21によって外側から覆われている。
【0035】
次に、フレーム18の支軸19に互いに近接して設けられた左走行レバー22、右走行レバー24について説明する。これらの走行レバー22,24は、支軸19を中心として傾転操作されることにより、その操作に応じて下部走行体2のモータ2A,2Bが作動し、車両が走行するものである。
【0036】
22はフレーム18の上部左側に設けられた左走行用操作装置としての左走行レバーを示している。この左走行レバー22の基端側には、図7ないし図9に示す如く、フレーム18の支軸19の外周側に回動可能に挿嵌される回動筒22Aと、該回動筒22Aの外周側から径方向に突出するアーム22Bと、該アーム22Bの先端側から例えば右方向に向けて水平に突出するピン22Cと、回動筒22Aの外周側からフレーム18の各ボルト20の間に向けて径方向に突出し、これらのボルト20と共に左走行レバー22の回動範囲を設定する突起部22Dとが固着されている。
【0037】
ここで、アーム22Bの長さ方向中間部は、後述のリンク23等を介して左走行制御弁36Aに連結されている。また、左走行レバー22のピン22Cと、後述する右走行レバー24のピン24Cとは、図9に示す如く、これらの走行レバー22,24が操作されていないときに、互いに近接した位置で同軸に配置されている。そして、後述のロックレバー38,39がロック位置にあるときには、各ピン22C,24Cに後述のレバー係合部材43,44が係合している。
【0038】
23は左走行レバー22のアーム22Bと左走行制御弁36Aとの間に設けられた棒状のリンクで、該リンク23は、図13に示す如く、一端側(上端側)がアーム22Bに回動可能に取付けられ、他端側(下端側)が左走行制御弁36Aのスプール弁等に回動可能に取付けられている。これにより、左走行レバー22を傾転操作したときには、その操作がアーム22Bからリンク23を介して左走行制御弁36Aに伝達される。
【0039】
一方、24はフレーム18の上部右側に設けられた右走行用操作装置としての右走行レバーを示している。この右走行レバー24は、図9、図10に示す如く、左走行レバー22とほぼ同様に構成され、回動筒24A、アーム24B、ピン24C、突起部(図示せず)等を有している。そして、右走行レバー24のアーム24Bは、リンク25を介して右走行制御弁36Bに連結されている。
【0040】
さらに、走行レバー22,24は、運転席16の足元に設けられた左,右の走行ペダル装置(図示せず)と連結されている。このため、ロックレバー38,39がロック解除位置にあるときには、オペレータが走行レバー22,24と走行ペダルの何れかを操作することにより、車両が走行する構成となっている。
【0041】
次に、フレーム18の上板18Bに設けられた左作業用操作装置26、右作業用操作装置29について説明する。これらの作業用操作装置26,29は、上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5のブーム5B、アーム5C及びバケット5Dを作動させるもので、走行レバー22,24を挟んで左,右に配置されている。
【0042】
26は左走行レバー22の左側に設けられた左作業用操作装置を示し、該左作業用操作装置26は、図3、図4に示す如く、例えば上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5のアーム5Cを回動させるときに傾転操作する左作業レバー27と、フレーム18の上板18Bに取付けられ、該左作業レバー27を前,後方向と左,右方向とを合わせた任意の方向に傾転可能に支持する減圧弁型の左油圧パイロット弁28とによって構成されている。
【0043】
ここで、左油圧パイロット弁28は、図14に示す如く、4個の減圧弁28A,28B,28C,28Dによって構成され、これらの減圧弁28A〜28Dの入力側は、後述の遮断弁48を介してパイロット油圧ポンプ10に接続されている。また、各減圧弁28A〜28Dの出力側は、複数本のホース28E(図3参照)等を用いて後述する旋回制御弁36Cとアーム制御弁36Dの油圧パイロット部に接続され、これらの油圧パイロット部に対して、左作業レバー27の操作状態に応じたパイロット圧をそれぞれ出力する。
【0044】
29は右走行レバー24の右側に設けられた右作業用操作装置を示し、該右作業用操作装置29は、左作業用操作装置26とほぼ同様に構成され、例えば作業装置5のブーム5Bを俯仰動させたり、バケット5Dを回動させるときに前,後方向と左,右方向とを合わせた任意の方向に傾転操作する右作業レバー30と、4個の減圧弁31A,31B,31C,31Dを有する減圧弁型の右油圧パイロット弁31とによって構成されている。
【0045】
そして、右油圧パイロット弁31の各減圧弁31A〜31Dは、複数本のホース31E(図3参照)等を用いて後述するブーム制御弁36Eとバケット制御弁36Fの油圧パイロット部に接続され、これらの油圧パイロット部に対して、右作業レバー30の操作状態に応じたパイロット圧をそれぞれ出力する。
【0046】
一方、図3において、32はフレーム18の左側の縦板18Aに回動可能に設けられ、エンジン8の回転数を操作するアクセルレバーを示している。また、33は右側の縦板18Aに回動可能に設けられ、排土板6を操作する排土板操作レバーを示している。また、34は右側の縦板18Aに回動可能に設けられ、作業装置5のブーム5B、アーム5C、バケット5D等をスイングポスト5Aに対して左,右方向に揺動させるスイング操作ペダルを示している。さらに、35はフレームカバー21に設けられたキースイッチを示し、このキースイッチ35は、車両の電源投入、始動等を行うものである。
【0047】
次に、フレーム18の部品取付板18Dに設けられた複数個の制御弁36A〜36F(全体として、各制御弁36という)について説明する。
【0048】
ここで、各制御弁36は、図4、図14に示す如く、下部走行体2の左走行モータ2Aに圧油を給排することによりこれを制御する左走行制御弁36Aと、下部走行体2の右走行モータ2Bを制御する右走行制御弁36Bと、旋回装置3の旋回モータ3Aに圧油を給排することによりこれを制御する旋回制御弁36Cと、作業装置5のアームシリンダ5Fを制御するアーム制御弁36Dと、ブームシリンダ5Eを制御するブーム制御弁36Eと、バケットシリンダ5Gを制御するバケット制御弁36Fとを含んで構成されている。
【0049】
この場合、左,右の走行制御弁36A,36Bは、例えば人力式(直動式)のスプール弁等によって形成されている。そして、左走行制御弁36Aは、左走行レバー22によりリンク23を介して操作され、右走行制御弁36Bは、右走行レバー24によりリンク25を介して操作される。
【0050】
また、走行制御弁36A,36B以外の制御弁36C〜36Fは、図14に示す如く、油圧パイロット式のスプール弁等によって形成され、作業用制御弁を構成している。そして、旋回制御弁36Cとアーム制御弁36Dは、それぞれの油圧パイロット部が左油圧パイロット弁28の減圧弁28A〜28Dに接続され、左作業レバー27によって操作される。また、ブーム制御弁36Eとバケット制御弁36Fは、それぞれの油圧パイロット部が右油圧パイロット弁31の減圧弁31A〜31Dに接続され、右作業レバー30によって操作される。
【0051】
次に、車両全体の作動を停止(ロック)させるロックレバー38,39、レバー係合部材43,44、作業停止装置46等について説明する。
【0052】
まず、37はフレーム18の各スリーブ18E内に回動可能に挿嵌されたレバー支持軸を示している。このレバー支持軸37は、図4、図5に示す如く、左,右方向に延びて形成され、その両端側はフレーム18の各縦板18Aから外側に突出している。また、レバー支持軸37の長さ方向中間部には、後述する保持ばね40の他端側が取付アーム41を介して取付けられるばね取付部37Aが設けられている。
【0053】
38はレバー支持軸37の左側に固着された左ロックレバーを示し、39はレバー支持軸37の右側に固着された右ロックレバーを示している。これらのロックレバー38,39は、レバー支持軸37を中心としてこれと一緒に回動されることにより、図1中に実線で示すロック位置と、仮想線で示すロック解除位置との間で操作されるものである。
【0054】
ここで、ロックレバー38,39がロック位置にあるときには、後述のレバー係合部材43,44と作業停止装置46とによって車両の走行動作、上部旋回体4の旋回動作及び作業装置5の作動が強制的に停止される。このとき、ロックレバー38,39は上向きに立上がり、運転席16とレバースタンド17との間の乗降通路を開放した状態となるから、オペレータは、この乗降通路を通って運転席16に乗降することができる。
【0055】
また、オペレータが運転席16に着座し、ロックレバー38,39をロック解除位置に切換えたときには、車両の走行動作、上部旋回体4の旋回動作及び作業装置5の作動がそれぞれ可能な状態となる。このとき、ロックレバー38,39は、運転席16とレバースタンド17との間に突出し、前記乗降通路を左,右両側で塞いだ状態となるから、オペレータが車両の作動をロックしないで運転席16から離れるのを防止することができる。
【0056】
40はフレーム18とレバー支持軸37との間に設けられた保持ばねで、該保持ばね40は、ロックレバー38,39を、オペレータによって切換えられた位置に保持するものである。ここで、保持ばね40は、図11に示す如く、その一端側がフレーム18のばね取付部18Fに取付けられている。
【0057】
また、保持ばね40の他端側は、レバー支持軸37を取囲んで延びる略C字状の取付アーム41に連結され、この取付アーム41を介してレバー支持軸37のばね取付部37Aに取付けられている。このため、ロックレバー38,39をロック位置とロック解除位置のうち何れの位置に切換えた状態でも、保持ばね40は、取付アーム41を介してロックレバー38,39を当該切換位置に向けて付勢する構成となっている。
【0058】
42はレバー支持軸37の中間部に設けられた回動突起で、該回動突起42はレバー支持軸37から径方向に突出している。そして、回動突起42は、図7、図8に示す如く、ロック位置で後述の停止スイッチ47から離間し、ロック解除位置では、図12、図13に示す如く、停止スイッチ47をプッシュ操作するものである。
【0059】
43,44は回動突起42を介してレバー支持軸37に設けられた機械式の走行停止手段としての左,右のレバー係合部材を示している。これらのレバー係合部材43,44は、ロック位置となったときに、左レバー係合部材43が左走行レバー22のピン22Cに係合し、右レバー係合部材44が右走行レバー24のピン24Cに係合することにより、左,右の走行レバー22,24の傾転操作を規制し、その作動を強制的に停止させる。
【0060】
この場合、ロック位置では、走行レバー22,24と連結された走行ペダル装置(図示せず)の作動も停止される。また、レバー係合部材43,44は、ロック解除位置で走行レバー22,24から離脱し、走行レバー22,24と走行ペダル装置の操作を許す構成となっている。
【0061】
ここで、レバー係合部材43,44は、図9ないし図11に示す如く、例えばレバー支持軸37の径方向に延びる細長い金属板等によって形成され、ボルト・ナット45等によって回動突起42に取付けられている。また、レバー係合部材43,44は、回動突起42を挟んで左,右に配置され、レバー支持軸37と一緒に回動する構成となっている。
【0062】
そして、左レバー係合部材43には、ロック位置で左走行レバー22のピン22Cに係合し、ロック解除位置でピン22Cから離脱する切欠き溝43Aが設けられている。また、右レバー係合部材44には、ロック位置で右走行レバー24のピン24Cに係合し、ロック解除位置でピン24Cから離脱する切欠き溝44Aが設けられている。
【0063】
46は油圧ショベル1の車両に搭載された油圧式の作業停止手段としての作業停止装置を示し、この作業停止装置46は、図15に示す如く、後述の停止スイッチ47と遮断弁48とによって構成されている。そして、作業停止装置46は、ロック位置で作業用操作装置26,29の作動を強制的に停止させ、ロック解除位置ではこれらの作動を許すものである。
【0064】
47は取付金具47A等を用いてフレーム18の部品取付板18Dに設けられた自動復帰式の停止スイッチで、該停止スイッチ47は、図8、図13に示す如く、部品取付板18Dに取付けられ、回動突起42によって開,閉されるものである。また、停止スイッチ47は、図15に示す如く、例えば常開(ノーマル・オープン)型の2位置切換スイッチ等によって構成され、車両の電源11とアース12との間に接続されると共に、後述する遮断弁48の電磁パイロット部48Bと直列に配置されている。
【0065】
そして、ロックレバー38,39がロック位置となったときには、回動突起42が停止スイッチ47から離間することにより、停止スイッチ47が開成した状態となる。この状態で、停止スイッチ47は、遮断弁48の電磁パイロット部48Bをアース12から遮断することにより、当該電磁パイロット部48Bに停止信号を出力し、遮断弁48を遮断位置(a)に保持する。
【0066】
また、停止スイッチ47は、図16に示す如く、ロック解除位置で回動突起42によって押動されることにより閉成し、これによって遮断弁48の電磁パイロット部48Bとアース12とを接続する。この結果、停止スイッチ47から電磁パイロット部48Bに停止信号が入力されないので、遮断弁48は接続位置(b)に切換えられる。
【0067】
48は停止スイッチ47によって開,閉される常開型の遮断弁を示し、該遮断弁48は、図15に示す如く、停止スイッチ47が開成することによって停止信号が入力されたときに遮断位置(a)となり、これによって作業用操作装置26,29の油圧パイロット弁28,31をパイロット油圧ポンプ10から遮断する。また、遮断弁48は、図16に示す如く、停止信号が入力されないときに接続位置(b)となり、これによって油圧パイロット弁28,31をパイロット油圧ポンプ10と接続した状態に保持するものである。
【0068】
ここで、遮断弁48は、例えば電磁パイロット式の3ポート2位置切換弁等によって構成され、パイロット油圧ポンプ10と作業用操作装置26,29の油圧パイロット弁28,31との間に開,閉可能に設けられている。また、遮断弁48は、非通電時に遮断位置(a)を保持するための戻しばね48Aと、車両の電源11から通電されることによって遮断弁48を接続位置(b)に切換える電磁パイロット部48Bとを有している。
【0069】
そして、ロック位置では、停止スイッチ47が開成することにより、電磁パイロット部48Bがアース12から遮断されて非通電状態となる。この結果、遮断弁48は、戻しばね48Aによって遮断位置(a)に保持され、油圧パイロット弁28,31には、パイロット油圧ポンプ10からのパイロット圧が供給されなくなる。この状態では、オペレータが作業レバー27,30を操作したとしても、油圧パイロット弁28,31から旋回制御弁36C、アーム制御弁36D、ブーム制御弁36E、バケット制御弁36F等にパイロット圧が出力されないので、作業装置5は強制的に停止された状態となる。
【0070】
一方、ロック解除位置では、停止スイッチ47が閉成することにより、電源11から電磁パイロット部48Bに通電が行われ、遮断弁48が接続位置(b)に保持される。この結果、油圧パイロット弁28,31は、遮断弁48によってパイロット油圧ポンプ10と接続されるので、オペレータの操作に応じて上部旋回体4や作業装置5が作動する構成となっている。
【0071】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0072】
まず、油圧ショベル1の運転を開始するときには、オペレータが車両に乗り込んで運転席16に着座し、キースイッチ35を閉成する。そして、オペレータは、図12に示す如く、前回の運転終了時にロック位置となっていたロックレバー38,39のうち、何れか一方のレバーを手前に傾転操作することにより、これらをロック解除位置に切換える。
【0073】
これにより、ロックレバー38,39によってレバー支持軸37、回動突起42及びレバー係合部材43,44が回動され、回動突起42は、停止スイッチ47をプッシュ操作して閉成させる。この結果、遮断弁48が接続位置(b)に切換えられ、パイロット油圧ポンプ10から作業用操作装置26,29の油圧パイロット弁28,31にそれぞれパイロット圧が供給されるので、作業レバー27,30の操作が有効な状態となる。
【0074】
また、ロックレバー38,39を解除すると、レバー係合部材43,44は、図12中に仮想線で示す係合位置から実線で示す係合解除位置へと回動される。この結果、走行レバー22,24は、ピン22C,24Cとレバー係合部材43,44との係合状態が解除され、走行レバー22,24と走行ペダル装置の操作が可能な状態となる。
【0075】
このように、走行レバー22,24と作業レバー27,30の操作が有効なときには、ロックレバー38,39が運転席16の左,右両側に突出した状態となるので、オペレータが運転席16から離れるのを防止することができる。
【0076】
この状態で、オペレータが左走行レバー22を傾転操作したときには、図13中に仮想線で示す如く、その操作がリンク23によって左走行制御弁36Aに伝達され、左走行制御弁36Aがオペレータの操作に応じて作動する。また、右走行レバー24を操作した場合にも同様に、その操作がリンク25によって右走行制御弁36Bに伝達される。このため、オペレータは、左,右の走行レバー22,24を傾転操作しつつ、車両を作業現場等に向けて走行させることができる。
【0077】
そして、作業現場等では、左,右の作業レバー27,30をそれぞれ任意の方向に傾転操作すると、その操作状態に応じたパイロット圧が油圧パイロット弁28,31から旋回制御弁36C、アーム制御弁36D、ブーム制御弁36E、バケット制御弁36F等の油圧パイロット部に出力される。これにより、オペレータは、上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5のブーム5B、アーム5C及びバケット5Dを回動(俯仰動)させることができ、土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0078】
一方、例えばオペレータが運転中に運転席16から離れたり、運転を中断して他の動作等を行うときには、ロックレバー38,39をロック位置に切換える。この結果、レバー係合部材43,44が走行レバー22,24のピン22C,24Cと係合し、走行レバー22,24と走行ペダル装置の操作、即ち車両の走行動作を禁止することができる。
【0079】
また、ロックレバー38,39がロック位置に切換えられると、回動突起42が停止スイッチ47から離れるので、停止スイッチ47が遮断位置(a)に切換えられ、油圧パイロット弁28,31がパイロット油圧ポンプ10から遮断される。このため、オペレータが作業レバー27,30を操作したとしても、油圧パイロット弁28,31の動作、即ち上部旋回体4の旋回動作と作業装置5の作動とを禁止することができる。
【0080】
このように、走行レバー22,24と作業レバー27,30の操作が無効となった状態では、ロックレバー38,39が上向きに延びた位置に保持され、運転席16とレバースタンド17との間に乗降通路が確保されるので、オペレータは必要に応じて運転席16から離れることができる。そして、油圧ショベル1の運転を再開するときには、前述した運転開始時の場合と同様に、ロックレバー38,39をロック解除位置に切換えることにより、車両の走行動作や走行動作、作業装置5の俯仰動等を行うことができる。
【0081】
かくして、本実施の形態では、走行停止用のレバー係合部材43,44と、作業停止装置46とを設ける構成としたので、ロックレバー38,39をロック位置に切換えたときには、左レバー係合部材43を左走行レバー22のピン22Cに係合させることができ、右レバー係合部材44を右走行レバー24のピン24Cに係合させることができる。これにより、左走行レバー22と右走行レバー24の傾転操作を一緒に規制することができ、走行レバー22,24の作動を強制的に停止させることができる。
【0082】
また、ロック位置では、作業停止装置46の停止スイッチ47を開成させることができができ、この停止スイッチ47から停止信号を出力して遮断弁48を遮断位置(a)に切換えることができる。これにより、油圧パイロット弁28,31をパイロット油圧ポンプ10から遮断して停止させることができ、作業用操作装置26,29の作動を強制的に停止させることができる。
【0083】
このため、オペレータが車両の運転中に運転席16から離れたり、運転以外の動作等を行うときには、ロックレバー38,39を操作することにより、油圧ショベル1の走行動作、上部旋回体4の旋回動作及び作業装置5の作動を禁止することができる。
【0084】
そして、この状態では、オペレータが誤って走行レバー22,24に接触したとしても、車両が意図しない走行動作を行うのを確実に防止することができる。また、オペレータが運転席16から離れているときに、例えば悪戯等によって走行レバー22,24や作業レバー27,30が作動するのを避けることができる。従って、オペレータの不注意等に対して操作系統の信頼性を高めることができ、各種の作業を円滑に行うことができる。
【0085】
一方、ロックレバー38,39をロック解除位置に戻したときには、レバー係合部材43,44を走行レバー22,24のピン22C,24Cから離脱させることができる。そして、停止スイッチ47を閉成して遮断弁48を接続位置(b)に切換えることができるから、走行レバー22,24と作業レバー27,30とを操作が可能(有効)な状態とすることができ、車両のロック状態を速やかに解除することができる。このため、オペレータが扱い易く、信頼性の高い油圧ショベル1を実現することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、走行停止手段としてレバー係合部材43,44を用いるようにしたので、機械式の走行停止手段によって走行レバー22,24の操作を確実かつ容易に停止させることができ、走行停止用の機構を簡略化することができる。
【0087】
また、作業停止手段としては、停止スイッチ47と遮断弁48とからなる作業停止装置46を用いるようにしたので、本実施の形態のように複雑な構造をもつ油圧パイロット式の作業用操作装置26,29を用いる場合、または構造上の制約等によって作業用操作装置26,29の近傍に作業停止用の機構を配置できない場合でも、油圧式の作業停止装置46によって作業用操作装置26,29の作動を確実に停止(無効化)することができ、作業停止用の機構を容易に実現することができる。
【0088】
さらに、レバースタンド17のフレーム18には、左走行レバー22、右走行レバー24、左作業用操作装置26、右作業用操作装置29、左ロックレバー38、右ロックレバー39等を設けたので、各レバー22,24,38,39と作業用操作装置26,29とをレバースタンド17として一体化することができ、これらの機器を運転席16の前側にコンパクトに配置することができる。
【0089】
これにより、左,右の走行レバー22,24と左,右の作業用操作装置26,29とを互いに近接した位置に配置することができ、これら4つの機器の近傍には、走行レバー22,24に対して係合,離脱するレバー係合部材43,44と、作業用操作装置26,29を停止させるための停止スイッチ47とを取付けることができる。
【0090】
このため、レバー係合部材43,44と停止スイッチ47とを、狭いスペースにまとめてコンパクトに配置することができ、これら全体の構造を簡略化して部品点数を削減できると共に、レバースタンド17内の空間を有効に活用することができる。
【0091】
なお、前記実施の形態では、ロックレバー38,39を操作したときに、停止スイッチ47によって電磁パイロット式の遮断弁48を開,閉させる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば遮断弁48に代えて人力式の遮断弁を設け、この遮断弁とロックレバー38,39とを機械的に連結する構成としてもよい。この場合には、停止スイッチ47を用いなくても、ロックレバー38,39によって人力式の遮断弁を直接切換えることができる。
【0092】
また、実施の形態では、機械式の走行停止手段であるレバー係合部材43,44によって走行レバー22,24の作動を停止させ、油圧式の作業停止手段である作業停止装置46によって作業用操作装置26,29の作動を停止させる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばロック位置となったときに走行制御弁36A,36Bを停止させることにより、走行用操作装置の作動を実質的に停止(無効化)させる油圧式の走行停止手段を用いる構成としてもよい。一方、作業停止手段としても、作業レバー27,30の傾転操作を機械的に停止させる機械式の作業停止手段を用いる構成としてもよい。
【0093】
また、実施の形態では、リンク23,25によって走行制御弁36A,36Bと連結された人力式の走行レバー22,24を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、人力式の走行レバー22,24に代えて、例えば作業用操作装置26,29とほぼ同様の構造を有する油圧パイロット式の走行用操作装置を用いる構成としてもよい。そして、この場合には、ロックレバー38,39がロック位置となったときに、遮断弁48によって走行用操作装置の油圧パイロット弁と作業用操作装置26,29の油圧パイロット弁28,31とをパイロット油圧ポンプ10から遮断する構成としてもよい。
【0094】
さらに、実施の形態では、建設機械として小型の油圧ショベル1を例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、例えば中型、大型の油圧ショベルや、油圧クレーン、ロードローラ等を含めて各種の建設機械に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1の油圧ショベルを右側からみた右側面図である。
【図3】レバースタンドを示す右側面図である。
【図4】レバースタンドの中央部を拡大して示す拡大右側面図である。
【図5】図3に示すレバースタンドを前方からみた斜視図である。
【図6】図5中のフレームを単体で示す斜視図である。
【図7】レバースタンドを図3中の矢示VII−VII方向から拡大してみた縦断面図である。
【図8】図7中のレバー係合部材、停止スイッチ等を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図9】レバー係合部材、停止スイッチ等を図8中の矢示IX−IX方向からみた拡大図である。
【図10】図5中のレバー係合部材、停止スイッチ等を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【図11】図5中のレバー係合部材、停止スイッチ等を後方から拡大してみた部分拡大斜視図である。
【図12】ロックレバーをロック解除位置に切換えた状態を示す縦断面図である。
【図13】図12中のレバー係合部材、停止スイッチ等を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図14】油圧ショベルの油圧系統全体を示す回路図である。
【図15】ロックレバーがロック位置にあるときの接続状態を示す回路図である。
【図16】ロックレバーをロック解除位置に切換えたときの接続状態を示す回路図である。
【符号の説明】
【0096】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
2A,2B 走行モータ(アクチュエータ)
3 旋回装置
3A 旋回モータ(アクチュエータ)
4 上部旋回体
5 作業装置
5E,5F,5G シリンダ(アクチュエータ)
9 油圧ポンプ
10 パイロット油圧ポンプ(油圧源)
16 運転席
17 レバースタンド
18 フレーム
19 支軸
22,24 走行レバー(左,右の走行用操作装置)
22A,24A 回動筒
22B,24B アーム
22C,24C ピン
23,25 リンク
26,29 作業用操作装置(左,右の作業用操作装置)
27,30 作業レバー
28,31 油圧パイロット弁
36 各制御弁
36A,36B 左,右の走行制御弁(走行制御弁)
36C 旋回制御弁(作業用制御弁)
36D アーム制御弁(作業用制御弁)
36E ブーム制御弁(作業用制御弁)
36F バケット制御弁(作業用制御弁)
37 レバー支持軸
38,39 左,右のロックレバー
40 保持ばね
42 回動突起
43,44 レバー係合部材(走行停止手段)
46 作業停止装置(作業停止手段)
47 停止スイッチ
48 遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載されオペレータが着座する運転席が設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置と、前記運転席の前側に位置して前記上部旋回体に設けられたレバースタンドとを備え、
前記レバースタンドは、前記上部旋回体に設けられたフレームに、走行用操作装置によって操作され前記下部走行体のアクチュエータに圧油を給排する走行制御弁と、作業用操作装置によって操作され前記旋回装置と作業装置のアクチュエータに圧油を給排する作業用制御弁と、ロック位置とロック解除位置との間で操作されるロックレバーとを設けてなる建設機械において、
前記走行用操作装置の作動を停止する走行停止手段と、前記作業用操作装置の作動を停止する作業停止手段とを設け、
該走行停止手段と作業停止手段とは、前記ロックレバーがロック位置となったときに走行停止と作業停止するための動作をそれぞれ行う構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記走行用操作装置はオペレータによって傾転操作される走行レバーであり、前記走行停止手段は、前記ロックレバーが前記ロック位置となったときに前記走行レバーに係合して傾転操作を規制し前記ロック解除位置となったときに前記走行レバーから離脱する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記作業停止手段は、前記ロックレバーが前記ロック位置に切換えられたときに停止信号を出力する停止スイッチと、該停止スイッチから停止信号が入力されたときに前記作業用操作装置を油圧源から遮断する遮断弁とによって構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記レバースタンドのフレームには左,右方向に延びるレバー支持軸を回動可能に設け、前記ロックレバーは該レバー支持軸の左,右両側にそれぞれ設け、前記走行用操作装置は前記フレームに互いに近接して配置された左走行用操作装置と右走行用操作装置であり、前記作業用操作装置は、これら2個の走行用操作装置を挟んで左,右に配置された左作業用操作装置と右作業用操作装置であり、
前記走行停止手段は、前記ロックレバーが回動されるときに前記左走行用操作装置及び右走行用操作装置に対してそれぞれ係合しまたは離脱する係合部材として構成し、
前記作業停止手段は、前記ロックレバーが前記ロック位置に切換えられたときに停止信号を出力する停止スイッチと、該停止スイッチから停止信号が入力されたときに前記左作業用操作装置と右作業用操作装置とを油圧源から遮断する遮断弁とによって構成してなる請求項1に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−126898(P2007−126898A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321189(P2005−321189)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】