説明

弁体の取付構造

【課題】部品点数を少なく抑えた簡単な構造で、制御ボディに対するソレノイド弁の取付作業の効率化を図る。
【解決手段】柱状の本体部30bと、該本体部30bと同軸状に連なる軸状の弁部30aとからなるソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付ける取付構造であって、本体部30bの外周面31に設けた突起状のコネクタハウジング32に形成した爪部35と、制御ボディ10の突出部15に設けた溝部25とからなる係合機構50を備え、係合機構50の爪部35が溝部25に弾性的に係合することで、制御ボディ10に対するソレノイド弁30の固定がなされるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機が備える変速制御用の制御ボディに対してソレノイド弁などの弁体を取り付ける弁体の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機には、変速制御用のライン圧や変速時のクラッチ圧を制御するため、ソレノイド弁(弁体)が使用されている。ソレノイド弁は、自動変速機が備える油圧制御回路を内蔵した制御ボディに取り付けられている。従来、ソレノイド弁を制御ボディに取り付ける方式として、特許文献1に示すように、櫛歯型(いわゆるギロチン状)の固定片(ブラケット)でソレノイド弁を固定する方式と、特許文献2に示すように、ソレノイド弁に差し込んだピンで固定する方式とがある。櫛歯型の固定片で固定する方式は、ソレノイド弁の外周の三面に設けたスリット状の切込溝に対して、固定片に形成したコ字状の凹部を嵌め込むようになっている。一方、ピンで固定する方式は、ソレノイド弁の外周の一面に設けた直線状の挿入溝と制御ボディの挿入孔との位置を合わせ、挿入溝に差し込んだピンをボディの挿入孔に固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−156063号公報
【特許文献2】特開2007−187292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す櫛歯型の固定片で固定する方式では、固定片を設置する際、ソレノイド弁の切込溝と固定片の凹部との位置合わせ(向き合わせ)を行う必要がある。この位置合わせは、制御ボディの装着穴に挿入したソレノイド弁を回転させて行う。そしてこの場合、一の固定片で複数のソレノイド弁を取り付ける際、全てのソレノイド弁の位置合わせを一度に行う必要がある。そのため、ソレノイド弁の取り付けに手間と時間がかかる要因となる。特に、一の固定片で取り付けるソレノイド弁の数が増えると、上記の位置合わせの作業が煩雑になり、ソレノイド弁の組み付けに要する手間と時間が大幅に増加する。
【0005】
また、上記の櫛歯状の固定片は、プレス加工で製造された部品であるため、ボルトのフランジ面を含めて一定の板厚になっている。そのため、本来必要でない板厚を有している箇所もある。また、強度保持のための形状や、ボルトで留めるためのフランジ面など、櫛歯状の固定片で固定する箇所は、複雑な形状になっている。これらにより、制御ボディの重量増や構造の複雑化につながる懸念がある。
【0006】
また、上記の櫛歯状の固定片は、ソレノイド弁に被せて取り付け、上面側からボルトを締結して固定する。そのため、ソレノイド弁及び固定片よりも高い位置にボルトの頭部が突出した状態となる。これにより、制御ボディの厚さ寸法が大きくなるという問題がある。
【0007】
一方、ソレノイド弁をピンで固定する方式では、複数のソレノイド弁を取り付ける場合、各ソレノイド弁に対応するピンと、ピン抜止用のステイと、該ステイを固定するボルトが必要となる。そのため、取付構造に必要な部品点数が多くなり、構造が煩雑になる。また、各ソレノイド弁に対して、ピンを差し込む作業と、ピンの抜け止めステイをセットする作業と、ボルト締めを行う作業とが必要であるため、ソレノイド弁の取り付けに必要な工数が多い。また、ボルトの座面加工や、ボルト穴(タップ)の加工、ピン穴の加工など、必要な部品加工が多い。
【0008】
また、上記の櫛歯型の固定片で固定する方式と、ピンで固定する方式とに共通の問題として、部品の固定・抜止専用のボルトが必要となり、部品点数が多くなるという点がある。また、ボルト穴加工、ボス部の加工など、部品加工の工程が多くなるという問題もある。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なく抑えた簡単な構造で、取付作業の効率化を図ることができると共に、装置の軽量化及びコンパクト化を図ることができる弁体の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、制御ボディ(10)に弁体(30)を取り付ける弁体の取付構造であって、弁体(30)は、柱状の本体部(30b)と、該本体部(30b)と同軸状に連なる軸状の弁部(30a)とからなり、制御ボディ(10)には、弁体(30)の弁部(30a)を挿入させるための挿入孔(12)が形成されており、本体部(30b)の外周面(31)に設けた突起状のコネクタハウジング(32)と、コネクタハウジング(32)の外面(32a)に形成した爪部(35)と制御ボディ(10)に設けた溝部(25)とからなる係合機構(50)と、を備え、係合機構(50)の爪部(35)が溝部(25)に弾性的に係合することで、制御ボディ(10)に対する弁体(30)の固定がなされることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる弁体の取付構造によれば、係合機構の爪部が溝部に弾性的に係合することで、制御ボディに対する弁体の固定がなされる。これにより、制御ボディに対する弁体の固定を簡単な作業で行えるようになる。したがって、弁体の取付作業の効率化を図ることができる。また、弁体に設けた爪部と制御ボディに設けた溝部とが弾性的に係合するように構成したので、弁体の固定に工具を必要とせず、制御ボディに対する弁体の取り付けを手作業で行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明にかかる取付構造の係合機構は、弁体に設けた爪部と制御ボディに設けた溝部とが弾性係合するように構成したことで、部品点数を少なく抑えた簡単な構造を実現している。さらに、弁体に設けた爪部は、弁体に従来から備わっている配線接続用のコネクタハウジングに形成しているので、特許文献1、2に開示された従来構造に必要なステイやボルトなど取付構造に用いる別部品が不要となる。したがって、部品点数を抑えた簡単な構成とすることができる。
【0013】
また、上記の弁体の取付構造では、制御ボディ(10)には、本体部(30b)の外周面(31)に対向する位置で当該外周面(31)に沿って突出する突出部(15)が設けられており、溝部(25)は、この突出部(15)に設けられているとよい。この場合、突出部(15)は、制御ボディ(10)内の油路を区画するセパレートプレート(14)など、制御ボディ(10)に取り付けたプレート(14,16,18)の一部で構成してもよい。これによれば、制御ボディに取り付けたプレートを用いて上記の係合機構を構成できる。したがって、取付構造の部品点数をより少なく抑えることができ、構成の簡素化を図ることができる。また、制御ボディとは別部品のプレートに係合機構の溝部を形成することで、溝部の形状や配置の自由度を高めることができる。
【0014】
また、上記の弁体の取付構造では、プレート(14,16,18)は、導電性材料で形成されたアースプレート(18)であり、コネクタハウジング(32)の外部に設けたアース用接続端子(36)を備え、爪部(35)が溝部(25)に係合する際、アース用接続端子(36)がアースプレート(18)に接触して弁体(30)のアース接続がなされるようにしてよい。この構成によれば、爪部を溝部に係合させて弁体を固定するだけで、弁体のアース接続を行うことができる。したがって、従来、弁体用に設けていたアース線が不要となるので、弁体への配線作業の作業性が向上する。また、アース線が不要になることでコスト削減を図ることができる。
【0015】
さらにこの場合、アースプレート(18)のアース用接続端子(36)が接触する個所には、所定間隔で対向する一対の面(23a,23b)が設けられており、アース用接続端子(36)は、対向する一対の面(23a,23b)の間に挟み込まれた状態でアースプレート(18)に接触するとよい。これによれば、アースプレートに対してアース用接続端子を確実に接触させることができるので、弁体のアース接続を確実にすることができる。
【0016】
また、上記の弁体の取付構造では、爪部(35)は、可撓性を有する支持片(21)で支持されており、該支持片(21)を押圧して撓ませることで、爪部(35)を溝部(25)に対する係合位置から退避させることが可能であるとよい。この構成によれば、制御ボディに対する弁体の取り付け及び取り外しがいずれも手作業で簡単に行えるようになる。したがって、制御ボディの組立の効率化に加え、メンテナンスなどの容易化を図ることができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる弁体の取付構造によれば、部品点数を少なく抑えた簡単な構造で、弁体の取付作業の効率化を図ることができると共に、装置の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ及びソレノイド弁の平面図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】ソレノイド弁の取付手順を説明するための図で、(a)は、係合機構の爪部が溝部に係合する前の状態を示す図、(b)は、爪部が溝部に係合した状態を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図である。
【図5】第3実施形態にかかる取付構造を用いたソレノイド弁の取り付け及び取り外しの手順を説明するための図で、(a)は、取り付けの手順を説明するための図、(b)は、取り外しの手順を説明するための図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ及びソレノイド弁の平面図、(b)は、(a)のB−B矢視断面図である。
【図7】第4実施形態にかかる弁体の取付構造の他の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ及びソレノイド弁の平面図、(b)は、(a)のC−C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ10及びソレノイド弁(弁体)30の平面図、(b)は、(a)のA−A矢視に対応する断面図である。なお、(b)の断面図では、制御ボディ10及びソレノイド弁30の内部構造は図示を省略している。また、(a)は、ソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付ける前の状態を示しており、(b)は、ソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付けた状態を図示している。本実施形態にかかる弁体の取付構造は、車両用の自動変速機が備える油圧制御回路を有する制御ボディ10にソレノイド弁30を取り付けるための取付構造である。
【0020】
図1に示すように、ソレノイド弁30は、互いに同軸上に設けた弁部30aと本体部(ソレノイド部)30bとを備えて構成されている。弁部30aは、略円形の断面を有する軸状に形成されており、本体部30bは、弁部30aの軸方向の端部に連接された弁部30aよりも大きい径寸法の円柱状に形成されている。なお、以下の説明では、単に軸方向というときは、制御ボディ10に取り付けたソレノイド弁30の軸方向を示すものとする。また、上下、横、水平というときは、各図に示す状態での上下、横、水平向きを示すものとする。
【0021】
円柱状の本体部30bの外周面31には、コネクタハウジング32が設置されている。コネクタハウジング32は、配線接続用のコネクタ(メスコネクタ)を構成する部品であり、略直方体状の中空の箱型に形成された弾性を有する合成樹脂製の成型品である。コネクタハウジング32は、軸方向の一端(弁部30aと反対側の端部)に開口32bを有しており、該開口32bからオスコネクタ(図示せず)を差し込んで、内部に設置した正極端子33に接続するようになっている。
【0022】
制御ボディ10は、変速制御用の油圧制御回路を内蔵したハウジングであり、全体形状の図示は省略するが、外形が薄型の直方体状などの箱型に形成されている。制御ボディ10の一側面は、ソレノイド弁30を取り付けるための取付面11になっている。取付面11には、ソレノイド弁30の弁部30aを挿入させるための挿入孔12が開口している。挿入孔12は、取付面11に複数個(図では3個)が形成されている。各挿入孔12は、その軸方向が互いに平行に延びる円筒状の貫通穴として形成されており、ソレノイド弁30の弁部30aを軸方向に差し込んで挿入するようになっている。
【0023】
また、制御ボディ10の取付面11の上端には、板状の突起からなる突出部15が突出形成されている。突出部15は、取付面11における挿入孔12の上方から横向き(水平方向)に突出して軸方向に延びる平板状の部分である。突出部15は、ソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付けた状態で、本体部30bの外周面31に対向する位置に延在している。
【0024】
そして、ソレノイド弁30と制御ボディ10には、制御ボディ10に対してソレノイド弁30を固定するための係合機構50が設置されている。係合機構50は、ソレノイド弁30に設けた爪部35と、制御ボディ10に設けた溝部25とからなる。爪部35は、ソレノイド弁30のコネクタハウジング32の外面(本体部30bに対して外径側を向く面)32aに形成した突起状の爪片である。この爪部35は、軸方向の一方の側面が垂直面であり、他方の側面が傾斜面になっている。一方、溝部25は、制御ボディ10の突出部15に設けた略矩形状の貫通穴からなる。溝部25は、爪部35を没入させることが可能な寸法及び形状に形成されている。これら溝部25と爪部35は、ソレノイド弁30の弁部30aを制御ボディ10の挿入孔12に奥まで差し込んだ状態で、爪部35が溝部25に対向する位置に配置されるように形成されている。
【0025】
上記構成の取付構造でソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付ける手順を説明する。図2は、ソレノイド弁30の取付手順を説明するための図で、(a)は、爪部35が溝部25に係合する前の状態を示す図、(b)は、爪部35が溝部25に係合した状態を示す図である。ソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付けるには、まず、図2(a)に示すように、ソレノイド弁30の弁部30aを取付面11の挿入孔12に差し込む。弁部30aが挿入孔12に差し込まれた状態で、ソレノイド弁30を軸方向に沿ってさらに左側に移動させることで、弁部30aを挿入孔12に深く挿入してゆく。このとき、ソレノイド弁30が移動することで、ソレノイド弁30の爪部35が制御ボディ10の突出部15に接触するが、さらにソレノイド弁30を軸方向に移動させると、爪部35を支持するコネクタハウジング32が弾性的に変形することで、突出部15で押された爪部35が突出部15の下面側に入り込む。こうして、図2(b)に示すように、爪部35が溝部25の手前側の突出部15を乗り越えて、溝部25に弾性係合(スナップイン係合)する。この状態で、本体部30bの軸方向の端面34が制御ボディ10の取付面11に当接することで、ソレノイド弁30の軸方向の移動が規制された状態となる。したがって、ソレノイド弁30が制御ボディ10に固定される。以上により、制御ボディ10に対するソレノイド弁30の取り付けが完了する。なお、制御ボディ10からソレノイド弁30を取り外すには、溝部35に工具などを差し込んで爪部25を押圧することで、溝部35に対する爪部25の係合を解除すればよい。
【0026】
本実施形態の弁体の取付構造では、係合機構50の爪部35が溝部25に弾性係合してソレノイド弁30が固定されるようにした。したがって、制御ボディ10に対するソレノイド弁30の固定を簡単な作業で行えるようになる。これにより、ソレノイド弁30の取付作業の効率化を図ることができる。また、ソレノイド弁30に設けた爪部35と制御ボディ10に設けた溝部25とが弾性的に係合する構成を採用したことで、ソレノイド弁30の固定に工具が不要となるので、ソレノイド弁30の取り付けを手作業で行うことが可能となる。
【0027】
また、本実施形態の取付構造が備える係合機構50は、ソレノイド弁30のコネクタハウジング32に設けた爪部35と制御ボディ10に設けた溝部25とが弾性的に係合する構造であるため、部品点数を少なく抑えた簡単な構成を実現できる。さらに、ソレノイド弁30に設けた爪部35は、ソレノイド弁30に従来から備わっている配線接続用のコネクタが有するコネクタハウジング32に形成しているので、特許文献1,2に示す従来構造のようなステイやボルトなどの別部品が不要となる。したがって、部品点数を抑えた簡単な構成とすることができる。
【0028】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。この点は、他の実施形態においても同様である。
【0029】
図3は、本発明の第2実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図である。本実施形態の取付構造は、第1実施形態の取付構造と比較して、溝部25を設けた突出部15の構造が異なっている。それ以外は同一の構成である。すなわち、本実施形態の取付構造では、制御ボディ10に平板状のプレート16を取り付けている。プレート16は、金属材料などで構成された板状部材であり、制御ボディ10の上面13にボルト17の締結で固定されている。プレート16は、その一部が突出部15として制御ボディ10の取付面11から水平方向に突出している。プレート16の突出部15には、係合機構50の溝部25が設けられている。突出部15及び溝部25の配置及び形状は、第1実施形態の突出部15及び溝部25と同じである。
【0030】
本実施形態の取付構造においても、係合機構50の爪部35が溝部25に弾性係合して制御ボディ10に対するソレノイド弁30の固定がなされる。したがって、制御ボディ10に対するソレノイド弁30の固定を簡単な作業で行えるようになる。これにより、ソレノイド弁30の取付作業の効率化を図ることができる。また、ソレノイド弁30に設けた爪部35と制御ボディ10に設けた溝部25とが弾性的に係合する構造であるため、ソレノイド弁30の固定に工具を必要とせず、ソレノイド弁30の取付作業を手作業で行うことが可能となる。
【0031】
また、本実施形態の取付構造では、制御ボディ10に取り付けたプレート16を用いてソレノイド弁30を固定するための係合機構50を構成している。そして、このプレート16は、必ずしもソレノイド弁30の固定に用いるための専用部品である必要はなく、他の目的で設置した部品にソレノイド弁30の固定用の溝部25を形成したものでよい。したがって、部品を共用することで、取付構造の部品点数を少なく抑えて構成の簡素化を図ることができるので、製品の低コスト化を図ることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、プレート16の本来の用途では、制御ボディ10の取付面11からプレート16の一部を突出させる必要が無い場合でも、ソレノイド弁30の固定用にプレート16を延長して、その一部を取付面11から突出させて突出部15を設けることで、当該突出部15に係合機構50の溝部25を形成することが可能である。
【0033】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図4は、本発明の第3実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図である。第3実施形態の取付構造は、第1実施形態の取付構造と比較して、ソレノイド弁30のコネクタハウジング32に形成した爪部35及びその周辺の構成が若干異なっている。他の構成は、第1実施形態と同じである。すなわち、本実施形態の爪部35は、コネクタハウジング32の外面32aから突出して軸方向に延びる支持片21の先端に設けられている。支持片21及び爪部35は、合成樹脂製のコネクタハウジング32に一体成型されている。支持片21は、コネクタハウジング32の外面32aにおける軸方向の一端側から突出して、その先が略直角に折れ曲がっており、さらにその先が軸方向に沿って弁部30a側に延びている。爪部35は、第1実施形態の爪部35と同じ形状であり、その一方の側面が垂直面になっており、他方の側面が傾斜面になっている。支持片21は、可撓性を有しており、根元部21aが押圧されると先端側(爪部35側)がソレノイド弁30の内径側(図に示す下側)に向かって撓むようになっている。
【0034】
図5は、本実施形態の取付構造によるソレノイド弁30の取り付け手順及び取り外し手順を説明するための図で、同図(a)は、ソレノイド弁30の取り付け手順を説明するための図、同図(b)は、取り外し手順を説明するための図である。まず、ソレノイド弁30の取り付け手順について説明する。本実施形態においても、ソレノイド弁30を制御ボディ10に取り付けるには、ソレノイド弁30の弁部30aを取付面11の挿入孔12に差し込む。弁部30aが挿入孔12に差し込まれた状態で、ソレノイド弁30を軸方向に沿って移動させることで、弁部30aを挿入孔12に挿入してゆく。この途中で、図5(a)に示すように、ソレノイド弁30の爪部35が制御ボディ10の突出部15に接触するが、そのままさらにソレノイド弁30を軸方向に移動させると、同図の点線に示すように、支持片21が弾性変形して、爪部35が突出部15の下面側に入り込む。こうして、爪部35が溝部25の手前側の突出部15を乗り越えて溝部25に弾性係合する。
【0035】
次に、ソレノイド弁30の取り外し手順について説明する。本実施形態の取付構造では、図4に示すように、爪部35が溝部25に係合している状態で、支持片21の根元部21aが突出部15で覆われずに露出するようになっている。そして、爪部35が溝部25に係合している状態で、図5(b)の矢印Xに示すように、支持片21の根元部21aを外方から手あるいは工具で押圧する。これにより、支持片21が弾性変形することで、爪部35が突出部15から離れる方へ移動して溝部25に対する爪部35の係合が外れる。その状態でソレノイド弁30を軸方向の右側にスライド移動させて弁部30aを挿入孔12から引き抜くことで、ソレノイド弁30を制御ボディ10から取り外すことができる。
【0036】
なお、上記の取り付け手順では、図5(a)に示すように、爪部35が突出部15に当接して押圧されることで支持片21が撓む場合を説明したが、これ以外にも、取り外し手順と同様に、取り付け手順においても支持片21の根元部21aを押圧して支持片21を撓ませながら、爪部35を溝部25に係合させるようにすることも可能である。
【0037】
本実施形態の弁体の取付構造では、爪部35は、可撓性を有する支持片21で支持されており、該支持片21を押圧して撓ませることで、爪部35を溝部25内の係合位置から退避させることが可能である。これにより、制御ボディ10に対するソレノイド弁30の取り付け及び取り外しがいずれも手作業で簡単に行えるようになるので、制御ボディ10の組立の効率化に加え、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【0038】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図6は、本発明の第4実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ10及びソレノイド弁30の平面図、(b)は、(a)のB−B矢視に対応する断面図である。本実施形態の取付構造は、第2実施形態の取付構造が備えていたプレート16に代えて、導電性材料で形成されたアースプレート18を備えている。アースプレート18は、両端がボルト19で制御ボディ10の上面13に固定されている。また、ソレノイド弁30が有するコネクタハウジング32の外側には、アース用接続端子(GND端子)36が設置されている。
【0039】
アース用接続端子36は、コネクタハウジング32の軸方向における一方の端面から突出して軸方向に延びている。一方、アースプレート18の制御ボディ10側の端部は、略コ字型の断面を有するように折り曲げられた屈曲部23になっている。アース用接続端子36は、屈曲部23内の上下面23a,23bの間に差し込まれるようになっている。屈曲部23の下面23bには、小突起状の接触部24が形成されている。アース用接続端子36は、屈曲部23内で接触部24に接触するようになっている。これにより、アース用接続端子36がアースプレート18に接触してソレノイド弁30のアース接続がなされる。
【0040】
本実施形態の取付構造では、係合機構50の爪部35が溝部25に係合して制御ボディ10に対するソレノイド弁30の固定がなされる際、アース用接続端子36がアースプレート18の屈曲部23(上下面23a,23bの間)に差し込まれて接触部24に接触するようになっている。これにより、爪部35を溝部25に係合させてソレノイド弁30を取り付けるだけで、ソレノイド弁30のアース接続を行うことができる。したがって、従来、ソレノイド弁30用に設けていたアース線が不要となるので、ソレノイド弁30への配線作業の作業性が向上する。また、アース線が不要になることで、コスト削減を図ることができる。
【0041】
図7は、本実施形態にかかる取付構造の他の構成例を示す図である。同図に示す構成例では、図6に示す構成例と比較して、アースプレート18が有する屈曲部23の上下面23a,23bの間隔が狭くなっている。これにより、アース用接続端子36は、屈曲部23の上面23aとそれに対向する下面23bの接触部24との間に挟み込まれてアースプレート18に接続される。図7に示す構成によれば、アース用接続端子36が屈曲部23の上下面23a,23bで挟持されるので、アース用接続端子36をアースプレート18に対して確実に接続することが可能となる。
【0042】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図8は、本発明の第5実施形態にかかる弁体の取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ10及びソレノイド弁30の平面図、(b)は、(a)のC−C矢視に対応する断面図である。本実施形態の取付構造は、制御ボディ10内の油路(図示せず)を区画するためのセパレートプレート14を備えている。そして、このセパレートプレート14にソレノイド弁30を固定するための溝部25を形成している。すなわち、本実施形態では、上下に積層された複数の制御ボディ10の間に挟みこまれたセパレートプレート14の一部を突出部15として制御ボディ10の取付面11から水平方向に突出させている。そして、この突出部15に設けた溝部25にソレノイド弁30の爪部35を係合させるように構成している。
【0043】
本実施形態では、制御ボディ10内の油路を区画するためのセパレートプレート14を用いてソレノイド弁30を制御ボディ10に固定するための係合機構50を設けている。したがって、部品の共通化によって、ソレノイド弁30の取付構造に必要な部品点数を少なく抑えることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態に示す係合機構50が備える爪部35と溝部25の具体的な形状や配置、及び突出部15の具体的な構成はいずれも一例であり、これらは、他の形状や配置であってもよい。また、本発明にかかる取付構造が備えるプレートは、上記実施形態に示す接地用のアースプレート18や油路区画用のセパレートプレート14には限らず、他の目的で設置されたプレートであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 制御ボディ
11 取付面
12 挿入孔
14 セパレートプレート
15 突出部
16 プレート
18 アースプレート
19 ボルト
21 弾性片
21a 根元部
23 屈曲部
23a 上面
23b 下面
24 接触部
25 溝部(係合機構)
30 ソレノイド弁(弁体)
30a 弁部
30b ソレノイド部(本体部)
31 外周面
32 コネクタハウジング
32a 外面
32b 開口
33 正極端子
34 端面
35 爪部(係合機構)
36 アース接続端子
50 係合機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ボディに弁体を取り付けるための弁体の取付構造であって、
前記弁体は、柱状の本体部と、該本体部と同軸状に連なる軸状の弁部とからなり、
前記制御ボディには、前記弁体の前記弁部を挿入させるための挿入孔が形成されており、
前記本体部の外周面に設けた突起状のコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの外面に形成した爪部と前記制御ボディの一部に設けた溝部とからなる係合機構と、を備え、
前記係合機構の前記爪部が前記溝部に弾性的に係合することで、前記制御ボディに対する前記弁体の固定がなされる
ことを特徴とする弁体の取付構造。
【請求項2】
前記制御ボディには、前記本体部の外周面に対向する位置で当該外周面に沿って突出する突出部が設けられており、
前記溝部は、前記突出部に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の弁体の取付構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記制御ボディに取り付けられたプレートの一部で構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の弁体の取付構造。
【請求項4】
前記プレートは、前記制御ボディ内の油路を区画するセパレートプレートである
ことを特徴とする請求項3に記載の弁体の取付構造。
【請求項5】
前記プレートは、導電性材料で構成されたアースプレートであり、
前記コネクタハウジングの外部に設けたアース用接続端子を備え、
前記爪部が前記溝部に係合すると、前記アース用接続端子が前記アースプレートに接触して前記弁体のアース接続がなされる
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の弁体の取付構造。
【請求項6】
前記アースプレートの前記アース用接続端子が接触する個所には、所定間隔で対向する一対の面が設けられており、
前記アース用接続端子は、前記対向する一対の面の間に挟み込まれた状態で前記アースプレートに接触する
ことを特徴とする請求項5に記載の弁体の取付構造。
【請求項7】
前記爪部は、可撓性を有する支持片で支持されており、該支持片を押圧して撓ませることで、前記爪部を前記溝部に対する係合位置から退避させることが可能である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の弁体の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−185310(P2011−185310A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48474(P2010−48474)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】