説明

弁腐食防止装置。

【課題】大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁体の腐食を低減できる真空安全弁腐食防止装置を提供することである。
【解決手段】防風カバー本体25の一方端部は真空安全弁11の弁箱35の開口部を覆って取り付けられ弁座16及び弁体18を覆い、防風カバー本体25の他方端部は外気を取り入れるための開口部26を有し、風遮蔽構造体である風遮蔽板31a、31b、31cは、防風カバー本体25に形成され、防風カバー本体25の開口部26から外気の風が直接的に真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たらないように風を遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食要因物質を含む雰囲気にさらされている弁の弁座及び弁体の腐食を防止する弁腐食防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガスや液化石油ガスを貯蔵する液化ガス貯槽では、液化ガス貯槽の内圧が一定の圧力範囲内になるように制御している。すなわち、液化ガス貯槽内では恒常的にボイルオフガス(BOG)が発生し、液化ガス貯槽の内圧が上昇するので、BOGコンプレッサーを使用しBOGを排出することにより液化ガス貯槽の内圧が一定の圧力範囲内になるように制御している。
【0003】
また、液化ガス貯槽の内圧の過剰上昇に伴う液化ガス貯槽の膨張破壊を防止するために正圧安全弁が設けられており、液化ガス貯槽の内圧の過剰上昇の場合には、正圧安全弁を動作させ液化ガス貯槽が膨張破壊をするのを防止している。一方、液化ガス貯槽の内圧の過剰下降に伴う液化ガス貯槽の縮小破壊を防止するために負圧安全弁(真空安全弁)が設けられており、液化ガス貯槽の内圧の過剰下降の場合には、真空安全弁を動作させ液化ガス貯槽に外気を取り入れ液化ガス貯槽が縮小破壊するのを防止している。
【0004】
図7は真空安全弁11の一例の構造図である。真空安全弁11は液化ガス貯槽の屋根12に設置され、本体13の一方端部は液化ガス貯槽に連通し、他方端部は外気に連通している。本体13の上部には上蓋14が設けられ、本体13の下部に弁箱35が設けられ、この弁箱35にホルダー15及び弁座16が設けられ、弁棒17に弁体18が取り付けられている。弁棒17は上蓋14の上ガイド19及びホルダー15の下ガイド20で案内されて弁体18を開閉する。弁体18にはディスク21が取り付けられており、真空安全弁11が閉じている状態では、ディスク21は弁座16に当接している。また、本体13の他方端部の弁箱35の開口部には網22が網押さえ23により取り付けられ、本体13の内部に飛来物が進入するのを防止している。
【0005】
液化ガス貯槽の内圧が負圧でないときには、本体13の内部は液化ガス貯槽と同じ圧力であり、ディスク21は液化ガス貯槽の内圧により弁座16に押し付けられ、弁座16に当接している。従って、液化ガス貯槽の内圧が負圧でないときには、真空安全弁11は閉じた状態である。一方、液化ガス貯槽の内圧が負圧になると、本体13の内部も負圧になり、外気圧により弁体18は図7の上方に持ち上げられ、ディスク21は弁座16から離れる。これにより、外気が本体13の内部に取り入れられ、液化ガス貯槽が縮小破壊するのを防止している。
【0006】
ここで、逆止弁の弁体に圧力逃し機構を設け、タンク、容器および配管等を1台の安全弁で正圧(過剰圧力)と負圧(真空)の両方の圧力に対して保護できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−53870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のものでは、構造上、弁体が大気側に剥き出しになっており風が直接的に当たるので、大気中に腐食要因物質が含まれる場合には、風により腐食要因物質が弁座及び弁体に付着し弁座及び弁体が腐食する。特に、液化ガス貯槽は液化ガスの輸送の関係で海岸沿いに設置されることが多く、腐食要因物質である海塩粒子を含む潮風が直接的に弁体に当たり、海塩粒子による腐食が著しい。
【0008】
そこで、弁座及び弁体の材質として腐食要因物質が付着しても腐食が少ない材質に変更することも考えられる。そこで、弁体18に取り付けられるディスク21をテフロン(登録商標)及びテフロンフィルムとし、弁座16の材質としてSUS304からSUS316に変更したが、若干の腐食深さの有利性が確認できたに留まり、弁座16の腐食は避けられないことが判明した。
【0009】
本発明の目的は、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座や弁体の腐食を低減できる弁腐食防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係る弁腐食防止装置は、一方端部は弁の弁箱の開口部を覆って取り付けられ他方端部は外気を取り入れるための開口部を有した防風カバー本体と、前記防風カバー本体に形成され前記防風カバー本体の開口部から外気の風が直接的に前記弁の弁座及び弁体に当たらないように風を遮蔽する風遮蔽構造体とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明に係る弁腐食防止装置は、請求項1の発明において、前記風遮蔽構造体は、前記防風カバー本体の内部に設けられ、前記防風カバー本体の開口部から前記弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止する風遮蔽板であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明に係る弁腐食防止装置は、請求項1の発明において、前記風遮蔽構造体は、前記防風カバー本体の他方端部に設けられ、前期防風カバー本体の開口部が前記防風カバー本体の開口部から前記弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止する配置であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明に係る弁腐食防止装置は、請求項1の発明において、前記風遮蔽構造体は、前記防風カバー本体の開口部から前記弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止するように、前記防風カバー本体に形成された屈曲部であることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明に係る弁腐食防止装置は、請求項1の発明において、前記風遮蔽構造体は、前記弁の弁体と連動して開閉する前記防風カバー本体の開口部の蓋体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、防風カバー本体を真空安全弁の弁座及び弁体を覆って取り付け、防風カバー本体に形成された風遮蔽構造体により、開口部からの外気の風を直接的に真空安全弁の弁座及び弁体に当たらないようにしたので、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減できる。
【0016】
風遮蔽構造体として、防風カバー本体の内部に風遮蔽板を設けた場合には、風遮蔽板により、防風カバー本体の開口部から真空安全弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止できるので、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減できる。
【0017】
風遮蔽構造体として防風カバー本体の他方端部に外気取り入れ部を設けた場合には、外気取り入れ部により防風カバー本体の開口部から真空安全弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止するので、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減できる。
【0018】
風遮蔽構造体として防風カバー本体に屈曲部を形成した場合には、屈曲部により、開口部から真空安全弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止できるので、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減できる。
【0019】
風遮蔽構造体として真空安全弁の弁体と連動して開閉する開口部の蓋体とした場合には、大気を真空安全弁の本体に取り入れるときだけ、真空安全弁の弁体や弁座が大気に触れることになるので、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減できる。
【0020】
ただし、腐食要因物質が含まれる雰囲気であれば本発明が適用できるため、大気に限定されるものではない。また、弁座及び弁体が大気に開放される型の弁であれば本発明が適用できるため、真空安全弁に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図である。図7に示した従来例と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0022】
弁腐食防止装置24は防風カバー本体25を有し、この防風カバー本体25の一方端部は、真空安全弁11の弁箱35の開口部を覆って取り付けられ、これにより、弁座16及び弁体18を覆うことになる。そして、防風カバー本体25の他方端部は外気を取り入れるための開口部26を有し、開口部26には網22が網押さえ23により取り付けられ、防風カバー本体25の内部に飛来物が進入するのを防止している。
【0023】
すなわち、真空安全弁11の本体13の他方端部の弁箱35の開口部には防風カバー本体25の上部を支承するための上カバー押さえ27が設けられ、防風カバー本体25の開口部26には防風カバー本体25の下部を支承するための下カバー押さえ28が設けられ、防風カバー本体25を上カバー押さえ27及び下カバー押さえ28で挟み込んで、防風カバー本体25は、ボルト29及びナット30により本体13に取り付けられる。
【0024】
防風カバー本体25の内部には、開口部26から外気の風が直接的に真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たらないように風を遮蔽する風遮蔽構造体が設けられる。図1では風遮蔽構造体として3個の風遮蔽板31a、31b、31cが設けられた場合を示している。図1に示すように、防風カバー本体25の内部に3個の風遮蔽板31a、31b、31cが互い違いに設けられている。
【0025】
図2は風遮蔽板31a、31b、31cの平面的な配置位置関係の説明図であり、図2(a)は1段目の風遮蔽板31aの配置位置、図2(b)は2段目の風遮蔽板31bの配置位置、図2(c)は3段目の風遮蔽板31cの配置位置を示している。図2に示すように、防風カバー本体25は筒状に形成され、その断面はほぼ円形に形成されている。
【0026】
1段目の風遮蔽板31aは、図2(a)に示すように、防風カバー本体25の内部円形の中心Oを覆って半円より大きめに形成され、1段目の風遮蔽板31aが位置しない半円より小さめの部分が大気の通路32aとなっている。2段目の風遮蔽板31bは、図2(b)に示すように、1段目の風遮蔽板31aの位置から、防風カバー本体25の内部円形の中心Oに180°回転した位置に配置されている。そして、2段目の風遮蔽板31bが位置しない半円より小さめの部分が大気の通路32bとなっている。3段目の風遮蔽板31cは、図2(c)に示すように、1段目の風遮蔽板31aと同様な位置に配置され、3段目の風遮蔽板31cが位置しない半円より小さめの部分が大気の通路32cとなっている。
【0027】
従って、防風カバー本体25の開口部26から外気の風が流入した場合には、3段目の風遮蔽板31cで外気の風の一部が遮蔽され、大気の通路32cを通って2段目の風遮蔽板31bに当たり、大気の通路32bを蛇行しながら1段目の風遮蔽板31aに当たることになる。
【0028】
このように、3個の風遮蔽板31a、31b、31cは、防風カバー本体25の開口部26から外気の風が直接的に真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることがない。また、真空安全弁11の弁座16及び弁体18は、通路32a、32b、32cにて大気に通じているので、真空安全弁11が開いたときに外気を真空安全弁11の本体13内に容易に取り込める。以上の説明では、3個の風遮蔽板31a、31b、31cの場合について説明したが、2個の風遮蔽板31あるいは4個以上の風遮蔽板31を設けるようにしてもよい。
【0029】
また、図3に示すように、1個の風遮蔽板31としてもよい。この場合は、1個の風遮蔽板31を断面がほぼZ字状になるように形成し、防風カバー本体25の開口部26から外気の風が直接的に真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たらない箇所にパンチング孔やスリット孔等の通風口36を設けることになる。
【0030】
ここで、防風カバー本体25内に形成される風の通路断面積は、真空安全弁11の作動や液化ガス貯槽内への空気の流入に支障がないように、その通路断面積が確保されることは言うまでもない。
【0031】
第1の実施の形態によれば、防風カバー本体25にて外気の風が真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることを防止し、外気と通じる防風カバー本体25の開口部26から外気の風が流入した場合であっても、風遮蔽板31a、31b、31cにより、防風カバー本体25の開口部26から真空安全弁11の弁座16及び弁体18に向かって風が直線的に流れるのを阻止できる。従って、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減でき、真空安全弁11の寿命を延伸することができる。
【0032】
図4は本発明の第2の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、風遮蔽構造体として、防風カバー本体25の内部に設けた風遮蔽板31a、31b、31cに代えて、防風カバー本体25の他方端部に外気取り入れ部33を設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0033】
図4において、弁腐食防止装置24を構成する防風カバー本体25の一方端部は、真空安全弁11の本体13の他方端部に設けられた上カバー押さえ27で支承され、防風カバー本体25の下部は下カバー押さえ28で支承され、防風カバー本体25を上カバー押さえ27及び下カバー押さえ28で挟み込んで、ボルト29及びナット30により、防風カバー本体25は真空安全弁11の本体13に取り付けられている。これにより、防風カバー本体25は真空安全弁11の弁箱35の開口部を覆い、これにより弁座16及び弁体18を覆うことになる。
【0034】
そして、防風カバー本体25の他方端部は開口部ではなく底面部で閉じられており、防風カバー本体25の他方端部の側面部には、防風カバー本体25内に外気を取り入れるための外気取り入れ部33が設けられている。外気取り入れ部33は防風カバー本体25の下部に外方向に張り出して設けられ、外気を取り入れるための開口部26は側面部に設けられている。開口部26には網22が網押さえ23により取り付けられ、外気取り入れ部33の内部に飛来物が進入するのを防止している。
【0035】
この開口部26から外気の風が流入した場合には、側面方向への流れとなって外気取り入れ部33に流れ込み、外気取り入れ部33から防風カバー本体25の側面方向に流れ込む。従って、開口部26から真空安全弁11の弁座16及び弁体17に向かって風が直線的に流れるのを阻止する。
【0036】
このように、外気取り入れ部33の開口部26から外気の風は、直接的に真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることがない。また、真空安全弁11の弁座16及び弁体18は、外気取り入れ部33及び防風カバー本体25の内部にて大気に通じているので、真空安全弁11が開いたときに外気を真空安全弁11の本体13内に容易に取り込める。
【0037】
第2の実施の形態によれば、防風カバー本体25にて外気の風が真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることを防止し、外気と通じる外気取り入れ部33の開口部26から外気の風が流入した場合であっても、外気取り入れ部33の開口部26は真空安全弁11の弁座16及び弁体18に直接的に風が当たらない位置に設けられているので、真空安全弁11の弁座16及び弁体18に向かって風が直線的に流れるのを阻止できる。従って、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減でき、真空安全弁11の寿命を延伸することができる。
【0038】
図5は本発明の第3の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、風遮蔽構造体として、防風カバー本体25の内部に設けた風遮蔽板31a、31b、31cに代えて、防風カバー本体25に屈曲部を形成したものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0039】
図5において、弁腐食防止装置24を構成する防風カバー本体25は屈曲形状に形成されている。屈曲形状に形成された防風カバー本体25の一方端部は、真空安全弁11の本体13に設けられた上カバー押さえ27で支承され、防風カバー本体25の下部は下カバー押さえ28で支承される。そして、防風カバー本体25を上カバー押さえ27及び下カバー押さえ28で挟み込んで、ボルト29及びナット30により、防風カバー本体25を真空安全弁11の本体13の弁箱35の開口部に取り付けている。防風カバー本体25の他方端部には外気を取り入れるための開口部26を有し、開口部26には網22が網押さえ23により取り付けられ、防風カバー本体25の内部に飛来物が進入するのを防止している。
【0040】
防風カバー本体25の屈曲部は、開口部26から真空安全弁11の弁座16及び弁体18に向かって風が直線的に流れるのを阻止するようにS字状に形成されている。外気は開口部26から防風カバー本体25に取り込まれる。この開口部26から外気の風が流入した場合には、防風カバー本体25の屈曲部のS字形状に沿って流れる。従って、開口部26から真空安全弁11の弁座16及び弁体17に向かって風が直線的に流れるのを阻止する。
【0041】
このように、防風カバー本体25の開口部26から外気の風は、直接的に真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることがない。また、真空安全弁11の弁座16及び弁体18は、防風カバー本体25の開口部26にて大気に通じているので、真空安全弁11が開いたときに外気を真空安全弁11の本体13内に容易に取り込める。
【0042】
第3の実施の形態によれば、防風カバー本体25にて外気の風が真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることを防止し、外気と通じる防風カバー本体25の開口部26から外気の風が流入した場合であっても、防風カバー本体25が屈曲しているので、真空安全弁11の弁座16及び弁体18に向かって風が直線的に流れるのを阻止できる。従って、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減でき、真空安全弁11の寿命を延伸することができる。
【0043】
図6は本発明の第4の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図である。この第4の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、風遮蔽構造体として、防風カバー本体25の内部に設けた風遮蔽板31a、31b、31cに代えて、真空安全弁11の弁体18と連動して開閉する開口部26の蓋体34としたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0044】
図6において、弁腐食防止装置24を構成する防風カバー本体25の一方端部は真空安全弁11の本体13に設けられた上カバー押さえ27で支承され、防風カバー本体25の下部は下カバー押さえ28で支承される。そして、防風カバー本体25を上カバー押さえ27及び下カバー押さえ28で挟み込んで、ボルト29及びナット30により、防風カバー本体25を真空安全弁11の本体13の弁箱35の開口部に取り付けている。防風カバー本体25の他方端部には外気を取り入れるための開口部26を有し、開口部26には網22が網押さえ23により取り付けられ、防風カバー本体25の内部に飛来物が進入するのを防止している。
【0045】
真空安全弁11の弁棒17には、弁体18と連動して開閉する蓋体34が設けられ、蓋体34は開口部26を開閉する。すなわち、蓋体34は、通常状態において真空安全弁11が閉じているときは開口部26を閉じ、真空安全弁11が開いたときは防風カバー本体25の開口部26を開くように動作する。これにより、通常時は、防風カバー本体25は蓋体34により外気が遮蔽された状態にあり、開口部26から外気の風が流入することはない。従って、開口部26に直接当たる風があったとしても真空安全弁11の弁座16及び弁体18に向かって風が直線的に流れることはない。
【0046】
次に、液化ガス貯槽の内圧が負圧になると、真空安全弁11の本体13の内部が負圧になり、真空安全弁11の弁体18が開く。その際に、弁体18と連動して開閉する蓋体34も開き開口部26から外気が流入する。従って、外気が真空安全弁11の本体13の内部に取り入れられ、液化ガス貯槽が縮小破壊するのを防止する。
【0047】
第4の実施の形態によれば、防風カバー本体25にて外気の風が真空安全弁11の弁座16及び弁体18に当たることを防止し、外気と通じる防風カバー本体25の開口部26から外気の風が流入した場合であっても、弁体18と連動して開閉する蓋体34により、防風カバー本体25の開口部26から真空安全弁11の弁座16及び弁体18に向かって風が直線的に流れるのを阻止できる。従って、大気中に腐食要因物質が含まれる場合であっても弁座及び弁体の腐食を低減でき、真空安全弁11の寿命を延伸することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における風遮蔽板の平面的な配置位置関係の説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る他の一例の弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る弁腐食防止装置を真空安全弁に適用した場合の構造図。
【図7】真空安全弁の一例の構造図。
【符号の説明】
【0049】
11…真空安全弁、12…液化ガス貯槽屋根、13…本体、14…上蓋、15…ホルダー、16…弁座、17…弁棒、18…弁体、19…上ガイド、20…下ガイド、21…ディスク、22…網、23…網押さえ、24…弁腐食防止装置、25…防風カバー本体、26…開口部、27…上カバー押さえ、28…下カバー押さえ、29…ボルト、30…ナット、31…風遮蔽板、32…通路、33…外気取り入れ部、34…蓋体、35…弁箱、36…通風口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端部は弁の弁箱の開口部を覆って取り付けられ他方端部は外気を取り入れるための開口部を有した防風カバー本体と、前記防風カバー本体に形成され前記防風カバー本体の開口部から外気の風が直接的に前記弁の弁座及び弁体に当たらないように風を遮蔽する風遮蔽構造体とを備えたことを特徴とする弁腐食防止装置。
【請求項2】
前記風遮蔽構造体は、前記防風カバー本体の内部に設けられ、前記防風カバー本体の開口部から前記弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止する風遮蔽板であることを特徴とする請求項1記載の弁腐食防止装置。
【請求項3】
前記風遮蔽構造体は、前記防風カバー本体の他方端部に設けられ、前記防風カバー本体の開口部が前記防風カバー本体の開口部から前記弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止する配置であることを特徴とする請求項1記載の弁腐食防止装置。
【請求項4】
前記風遮蔽構造体は、前記防風カバー本体の開口部から前記弁の弁座及び弁体に向かって風が直線的に流れるのを阻止するように、前記防風カバー本体に形成された屈曲部であることを特徴とする請求項1記載の弁腐食防止装置。
【請求項5】
前記風遮蔽構造体は、前記弁の弁体と連動して開閉する前記開口部の蓋体であることを特徴とする請求項1記載の弁腐食防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−216192(P2009−216192A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61370(P2008−61370)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000137018)株式会社ベン (21)
【Fターム(参考)】