弁装置、及びこの弁装置を用いた高圧ポンプ
【課題】 駆動部を小型化可能な弁装置を提供する。
【解決手段】 弁座78は、内側流路781および外側流路782を有する。吸入弁部材74は、第1流路743と、開弁時に加圧室から流れる燃料を第1流路743に導く第1突部744とを有する。そのため、吸入弁部材74に閉弁方向にかかる動圧による作用力が低減する。均圧溝746、784、785に流入する燃料の圧力による作用力は、吸入弁部材74にかかる動圧による作用力を相殺する。そのため、動圧による自閉を抑制可能であり、電磁駆動部の最大出力を低減可能である。燃料は、吸入弁部材74の径外方向の通路と第1流路743とを流れる。流路が吸入弁部材74の径外方向の通路だけの構成と比べ、吸入弁部材74のリフト量が小さくても同等の流路面積を確保可能であり、電磁駆動部の最大出力を低減可能である。よって電磁駆動部の小型化が実現する。
【解決手段】 弁座78は、内側流路781および外側流路782を有する。吸入弁部材74は、第1流路743と、開弁時に加圧室から流れる燃料を第1流路743に導く第1突部744とを有する。そのため、吸入弁部材74に閉弁方向にかかる動圧による作用力が低減する。均圧溝746、784、785に流入する燃料の圧力による作用力は、吸入弁部材74にかかる動圧による作用力を相殺する。そのため、動圧による自閉を抑制可能であり、電磁駆動部の最大出力を低減可能である。燃料は、吸入弁部材74の径外方向の通路と第1流路743とを流れる。流路が吸入弁部材74の径外方向の通路だけの構成と比べ、吸入弁部材74のリフト量が小さくても同等の流路面積を確保可能であり、電磁駆動部の最大出力を低減可能である。よって電磁駆動部の小型化が実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉可能な弁装置およびこの弁装置を用いた高圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流体が流通する流路を遮断するには例えば弁装置が用いられる。この弁装置の一種に、弁ボディ内の弁座に対し接近および離間可能な弁部材を備える形式のものがある。この形式の弁装置は、弁部材が弁座に当接することで閉弁し、弁部材が弁座から離間することで開弁する。弁部材の位置は、駆動部の可動部材により制御される。可動部材の駆動方式には、例えば電磁式や電動式などがある。
【0003】
また、弁装置には、駆動部の非作動時に開弁するノーマリオープン型と、駆動部の非作動時に閉弁するノーマリクローズ型とがある。ノーマリオープン型の場合、弁部材は、駆動部の非作動時、付勢部材により開弁方向に付勢されて弁座から離間する。また、弁部材は、駆動部の作動時、付勢部材の付勢力に抗して可動部材が閉弁方向に移動することで弁座側への移動が許容される。
【0004】
ノーマリクローズ型の場合、弁部材は、駆動部の非作動時、付勢部材により閉弁方向に付勢されて弁座に当接する。また、弁部材は、駆動部の作動時、付勢部材の付勢力に抗して可動部材が開弁方向に移動することで弁座とは反対側への移動が許容される。
【0005】
上記弁装置は、例えば特許文献1〜7に開示されている。特許文献1および2に開示された高圧ポンプの燃料吸入弁は、電磁式の駆動部を備えるノーマリオープン型の弁装置であり、開弁時には、弁部材の径外側の外壁面と弁ボディの内壁面との間の通路を経由して燃料が流れる。特許文献1の弁部材は、高圧ポンプの調量時、加圧室からの燃料の流れを受ける。このとき弁部材にかかる動圧は、特に高圧ポンプの高速運転時に大きくなる。これに対し、特許文献2の燃料吸入弁では、弁部材の開弁方向の移動を規制するストッパを弁部材に対し加圧室側に設け、加圧室から流れる燃料が弁部材に直接当たることを回避している。
【0006】
特許文献3に開示された高圧ポンプの燃料吸入弁は、電磁式の駆動部を備えるノーマリクローズ型の弁装置である。この燃料吸入弁は、複数の第1流路を有する弁部材の軸中心部に可動部材を設け、弾性部材からなるプレートを可動部材でリフトさせることにより加圧室からの燃料ギャラリへの流路を確保している。特許文献4から6に開示されたガス弁は、電磁式の駆動部を備えるノーマリオープン型およびノーマリクローズ型の弁装置である。
【0007】
特許文献7に開示された流量制御弁は、ピエゾアクチュエータからなる駆動部を備えるノーマリクローズ型およびノーマリオープン型の弁装置である。これらの特許文献3〜7の弁装置では、開弁時、弁部材が有する複数の第1流路を経由して流体が流れる。このとき、弁部材の第1流路以外の部分には、流体の流れにより発生する開弁方向の動圧がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−218633号公報
【特許文献2】特開2010−156264号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第US2010/0242922A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第US2007/0057096A1号明細書
【特許文献5】米国特許第US7124998B2号明細書
【特許文献6】特開平11−311150号公報
【特許文献7】特開2010−230159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の弁部材は、加圧室からの燃料の流れにより発生する動圧を回避するようには構成されていない。よって、上記動圧により弁部材が閉弁する所謂自閉を防止するため、弁部材を開弁方向に付勢する付勢部材の付勢力を大きくする必要がある。これに伴い、付勢部材の付勢力に抗して可動部材を移動させるために必要な駆動部の電磁石の吸引力が増大する。そのため、駆動部が大型化するという問題が生じる。
【0010】
また、弁部材の弁座からのリフト量が小さすぎると、必要な流路面積を確保することができないため、リフト量を小さくするには限界がある。駆動部の電磁石は、リフト量以上に離れる可動部材を吸引するための吸引力を発生させる必要がある。このことも駆動部が大型化する要因になっている。
【0011】
特許文献2の燃料吸入弁では、弁部材とストッパとの間に生じるリンギングが閉弁応答性に悪影響を与えるおそれがある。ここで、弁部材に働くリンギング力は、ストッパに内外に連通する連通孔を形成することで低減可能である。しかし、連通孔が大きすぎると、連通孔を通じてストッパ内部に燃料が流入する。この燃料の流れは、弁部材に閉弁方向に作用する。そのため、弁部材の自閉を十分に抑制することができないという問題がある。また、連通孔の内径のチューニングは、燃料の動粘度及び燃料の流速に依存するため、近年の世界燃料対応、および、カスタマの要求するカム仕様・最高ポンプ回転数に応じて変える必要があるという問題もある。
【0012】
特許文献3〜7の弁装置は、弁部材に複数の第1流路を形成することで流路面積を大きくしているため、弁部材の弁座からのリフト量を小さくすることができる。しかし、弁部材の自閉を防止することに関連して駆動部が大型化する問題は、特許文献1の場合と同様である。
【0013】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部を小型化可能な弁装置、およびこの弁装置を用いた高圧ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による弁装置は、弁ボディ、弁座、弁部材および駆動部を備える。弁座は、弁ボディの径内方向に位置する内側流路および径外方向に位置する外側流路を有する。弁部材は、弁座に当接および離間可能であり、径方向で内側流路と外側流路との間に位置する第1流路を有する。
流体は、弁部材に対し径外方向の径外流路を通って弁座の外側流路に至る経路と、弁部材の第1流路を通って弁座の外側流路に至る経路と、弁部材の第1流路を通って弁座の内側流路に至る経路とを流れる。
【0015】
そのため、径外流路しか持たない構成のものと比べて、弁部材の弁座からのリフト量を小さくしても同等の流路面積を確保することができる。したがって、リフト量を小さくすることができ、駆動部の最大出力を低減可能である。これにより、駆動部の小型化が実現する。さらには、リフト量を小さくすることにより弁部材と可動部材との衝突音が小さくなる効果も得ることができる。
【0016】
また、本発明では、弁部材は、環状の第1シール部、環状の第2シール部、および、環状の第3シール部を形成する。第1シール部は、弁部材と弁座との当接時、内側流路と第1流路との間をシールする。第2シール部は、弁部材と弁座との当接時、第1流路と外側流路との間をシールする。第3シール部は、弁部材と弁座との当接時、外側流路と径外流路との間をシールする。
【0017】
弁座と弁部材との間に流入する流体の圧力による力は、弁部材を開弁させるように各シール部に作用する。上記各シール部に作用する開弁方向の力は、弁部材に周方向で等しく作用し、弁部材に対し弁座とは反対側からの流体の流れにより弁部材が受ける閉弁方向の力を相殺することができる。
【0018】
そのため、例えばノーマリオープン型の弁装置の場合、弁部材を開弁方向に付勢する付勢部材の付勢力を小さくしても弁部材の自閉を抑制可能である。したがって、付勢部材の付勢力を小さくすることができ、付勢部材の付勢力に抗して可動部材を移動させる駆動部の最大出力を低減可能である。これにより、駆動部の更なる小型化が実現する。
【0019】
また、例えばノーマリクローズ型の弁装置の場合、弁部材を開弁方向に押圧する駆動部の最大出力を小さくしても弁部材の自閉を抑制可能である。したがって、駆動部の最大出力を低減可能であり、駆動部の更なる小型化が実現する。
【0020】
また、本発明は、弁部材に対し弁座とは反対側からの流体の流れが径外流路に向かうことを案内手段によって抑制する。径外流路への流れを抑制することで、弁部材の外周部にかかる動圧を低減可能である。また、案内手段は、流体を第1流路に導く。すなわち、弁部材の第1流路以外の部分への動圧の作用を可及的に抑制することができる。第1流路に導かれた流体は、弁座と弁部材との間に供給され、前述のように弁部材に開弁方向に作用する力を生み出す。したがって、案内手段は、駆動部の最大出力の低減を可能とし、駆動部の一層の小型化に寄与する。
【0021】
以上のように駆動部の最大出力を低減することにより、駆動部の印可電流が小さくなる効果も得られる。これにより、駆動部を制御する駆動回路に高価な素子が不要となり、駆動回路の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態による高圧ポンプの断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1の高圧ポンプの吸入弁部を拡大して示す拡大断面図であって、吸入弁部が開弁しているときの図である。
【図5】図4の第2吸入弁ボディを示す図であって、(b)第2吸入弁ボディの縦断面図、(a)第2吸入弁ボディを縦断面図の矢印Va方向から見た図、(c)第2吸入弁ボディを縦断面図の矢印Vc矢印に見た図である。
【図6】図4の吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印VIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印VIc方向から見た図である。
【図7】図1の高圧ポンプの吸入弁部を拡大して示す拡大断面図であって、吸入弁部が閉弁しているときの図である。
【図8】図1の高圧ポンプの調量時における吸入弁部の燃料の流れを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIc方向から見た図である。
【図12】本発明の第5実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIc方向から見た図である。
【図13】本発明の第6実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIIc方向から見た図である。
【図14】本発明の第7実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIVa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIVc方向から見た図である。
【図15】本発明の第8実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図16】図15の第1円板部材の正面図であって、図15の第1円板部材を矢印Y方向から見た図である。
【図17】図15の第2円板部材の正面図であって、図15の第1円板部材を矢印Y方向から見た図である。
【図18】本発明の第9実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図19】本発明の第10実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図20】本発明の第11実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図21】本発明の第12実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図22】本発明の第12実施形態の変形例による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図23】本発明の第13実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図24】図23のストッパを矢印XXIV方向から見た図である。
【図25】本発明の第14実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図26】図25の吸入弁部材を示す図であって、(a)弁部材の平面図、(b)弁部材の平面図のb−b線断面図である。
【図27】図25のストッパを示す図であって、(b)ストッパの縦断面図、(a)ストッパを縦断面図の矢印a方向から見た図、(c)ストッパを縦断面図の矢印c方向から見た図である。
【図28】本発明の第14実施形態の変形例による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図29】図28のストッパを示す図であって、(a)弁部材の平面図、(b)弁部材の平面図のb−b線断面図である。
【図30】本発明の第15実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図31】図30の吸入弁部材を矢印XXXI方向から見た図である。
【図32】図30の第2吸入弁ボディを矢印XXXII方向から見た図である。
【図33】本発明の第15実施形態の変形例による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図34】図33の吸入弁部材を矢印XXXIV方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による高圧ポンプを図1〜図3に示す。高圧ポンプ1は、図示しない燃料タンクから供給される燃料を加圧し、この加圧した燃料を燃料レールに吐出する燃料ポンプである。高圧ポンプ1は、本体部10、燃料供給部30、プランジャ部20、燃料吸入部70および燃料吐出リリーフ部90を備えている。燃料吸入部70は、特許請求の範囲に記載の「弁装置」に相当する。以下の説明では、図1の上を「上」、図1の下を「下」として説明する。
【0024】
本体部10は、下ハウジング11、シリンダ13および上ハウジング15から構成されている。
下ハウジング11は、円筒状のシリンダ保持部111と、シリンダ保持部111の下部から径外方向に突き出す環状のフランジ部112と、フランジ部112から下方に突き出す円筒状のエンジン嵌合部113とを有する。エンジン嵌合部113の内径は、シリンダ保持部111の外径よりも大きい。シリンダ保持部111は、第1圧入孔121を有する。フランジ部112は、シリンダ保持部111とエンジン嵌合部113との間の位置に通孔114を有する。
【0025】
シリンダ13は、プランジャ21を摺動可能に支持する筒部131と、筒部131の上端を塞ぐ底部136と、シリンダ保持部111よりも下方で径外方向に突き出す環状の突起135とを有する。シリンダ13は、シリンダ保持部111の第1圧入孔121に圧入により固定されている。突起135は、シリンダ13の上方への移動を規制している。
【0026】
シリンダ13は、筒部131の内壁と底部136の内壁とプランジャ21の上端面211とが区画形成する加圧室14を有する。加圧室14は、プランジャ21の往復移動により容積が変化する。筒部131は、加圧室14に連通する吸入孔141および吐出孔142を有する。吸入孔141および吐出孔142は、プランジャ21の軸に対して対称に位置する。
【0027】
上ハウジング15は、吸入孔141と吐出孔142とを結ぶ方向に長手状をなす直方体状である。上ハウジング15は、長手方向の中央に第2圧入孔151を有する。シリンダ13は、上ハウジング15の第2圧入孔151に圧入により固定されている。
【0028】
上ハウジング15は、シリンダ13の吸入孔141に連通する吸入通路152と、上ハウジング15を内外に貫通する複数の通孔153とを有する。吸入通路152には、加圧室14が吸入する燃料が流通可能である。また、上ハウジング15は、シリンダ13の吐出孔142に連通する吐出通路154を有する。吐出通路154には、加圧室14が吐出する燃料が流通可能である。
【0029】
燃料供給部30は、カバー31、パルセーションダンパ33および燃料インレット35から構成されている。
カバー31は、有底筒状であり、カバー底部311およびカバー筒部312を有する。カバー底部311は、カバー筒部312の上端を塞いでいる。カバー筒部312の下端は、下ハウジング11のフランジ部112に当接している。カバー31は、上ハウジング15およびシリンダ13の上部を収容している。
【0030】
カバー筒部312は、周方向で互いに離間する第1嵌合孔325、第2嵌合孔326、第3嵌合孔327を有する。第1嵌合孔325の位置は吸入通路152に対応し、第2嵌合孔326の位置は吐出通路154に対応する。第1嵌合孔325には、第1吸入弁ボディ72がカバー31外から挿入されている。第2嵌合孔326には、第1吐出弁ボディ91がカバー31外から挿入されている。
【0031】
カバー31、フランジ部112に溶接により接合されている。また、第1吸入弁ボディ72、第1吐出弁ボディ91および燃料インレット35は、カバー31に溶接により接合されている。こられの溶接によって、カバー31の下端とフランジ部112との隙間、第1嵌合孔325と第1吸入弁ボディ72との隙間、第2嵌合孔326と第1吐出弁ボディ91との隙間、および、第3嵌合孔327と燃料インレット35との隙間は液密に封止されている。
【0032】
カバー31内には、カバー31とフランジ部112とで区画される燃料ギャラリ32が形成されている。燃料インレット35から燃料ギャラリ32に供給された燃料は、通孔153等を経由して第1吸入弁ボディ72内に供給される。
【0033】
燃料ギャラリ32内には、パルセーションダンパ33が設けられている。パルセーションダンパ33は、外縁部が接合された2枚の円形皿状のダイアフラム331および332からなり、所定圧の気体を内部に密封している。パルセーションダンパ33は、外縁部が上支持体341と下支持体342とに挟まれるようにしてカバー31の内壁に固定されている。パルセーションダンパ33は、燃料ギャラリ32内の燃料の圧力変化に応じて弾性変形することにより燃料ギャラリ32内の燃料の圧力脈動を低減する。
【0034】
プランジャ部20は、プランジャ21、オイルシールホルダ22、スプリングシート23およびプランジャスプリング24等から構成されている。
プランジャ21は、大径部212および小径部213を有する。大径部212は、シリンダ13により軸方向に摺動可能に支持されている。小径部213は、大径部212から下方に延び、下端が図示しないタペット等に当接可能である。タペットは、図示しないカムシャフトに取り付けられたカムに外面を当接させ、カムシャフトの回転によりカムプロファイルに応じて軸方向に往復移動する。
【0035】
オイルシールホルダ22は、下ハウジング11のエンジン嵌合部113に固定されている固定部222と、シリンダ13の下方に位置しプランジャ21の小径部213が挿通する筒状のシール保持部221とを有する。シール保持部221は、シール223を保持している。シール223は、径内側のテフロン(登録商標)リングと、径外側のOリングとからなり、小径部213周囲の燃料油膜の厚さを調整する。また、シール保持部221の下端部には、オイルシール225が固定されている。オイルシール225は、小径部213周囲のオイル油膜の厚さを調整する。
【0036】
スプリングシート23は、プランジャ21の下端部に固定されている。プランジャスプリング24は、一端がスプリングシート23に係止され、他端がオイルシールホルダ22の固定部222に係止されている。プランジャスプリング24は、プランジャ21の戻しばねとして機能し、プランジャ21がタペットに当接するようにプランジャ21を付勢する。プランジャ部20は、カムシャフトの回転に応じてプランジャ21を往復移動させ、加圧室14の容積を変化させる。
【0037】
燃料吐出リリーフ部90は、第1吐出弁ボディ91、第2吐出弁ボディ92、吐出弁部材94およびリリーフ弁部材96等から構成されている。
第1吐出弁ボディ91は、円筒状であり、上ハウジング15の吐出通路154に固定されている。
第2吐出弁ボディ92は、第1吐出弁ボディ91内に設けられている。第2吐出弁ボディ92は、有底筒状であり、開口端が加圧室14側に位置する状態で第1吐出弁ボディ92と上ハウジング15とに挟持されている。
【0038】
第2吐出弁ボディ92の底部は、吐出通路95と、吐出通路95に非連通のリリーフ通路97とを有する。吐出通路95は、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14側の壁面のうち径外側に開口するとともに、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14とは反対側の壁面のうち中央に開口している。リリーフ通路97は、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14側の壁面のうち中央に開口するとともに、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14とは反対側の壁面のうち径外側に開口している。
【0039】
吐出弁部材94は、第2吐出弁ボディ92の底部に対し加圧室14とは反対側に位置し、吐出通路95を開閉可能である。吐出弁部材94は、吐出弁スプリングホルダ945に保持された吐出弁スプリング943により閉弁方向に付勢されている。
【0040】
リリーフ弁部材96は、第2吐出弁ボディ92の底部に対し加圧室14側に位置し、リリーフ通路97を開閉可能である。リリーフ弁部材96は、リリーフ弁スプリングホルダ965に保持されたリリーフ弁スプリング963により閉弁方向に付勢されている。
【0041】
燃料吸入部70は、ノーマリオープン型であり、吸入弁部71および電磁駆動部81から構成されている。燃料吸入部70は、特許請求の範囲に記載の「弁装置」に相当する。また、電磁駆動部81は、特許請求の範囲に記載の「駆動部」に相当する。
吸入弁部71は、第1吸入弁ボディ72、第2吸入弁ボディ73、吸入弁部材74およびスプリングガイド75等を有する。
【0042】
第1吸入弁ボディ72は、円筒状であり、吸入通路152の内壁に固定されている。第1吸入弁ボディ72は、内部に吸入室711を有する。吸入室711には、第2吸入弁ボディ73が設けられている。第2吸入弁ボディ73は、円筒状であり、内部空間を仕切る隔壁からなる弁座78を有する。第2吸入弁ボディ73は、特許請求の範囲に記載の「弁ボディ」に相当する。
【0043】
吸入弁部材74は、円板状であり、弁座78に対し加圧室14側に位置し、弁座78に当接および離間可能である。吸入弁部材74は、弁座78から離間することで吸入室711と加圧室14とを連通させる。また、吸入弁部材74は、弁座78に当接することで吸入室711と加圧室14とを遮断する。吸入弁部材74は、特許請求の範囲に記載の「弁部材」に相当する。
【0044】
スプリングガイド75は、有底円筒状であり、第2吸入弁ボディ73に対し加圧室14側に設けられている。スプリングガイド75は、特許請求の範囲に記載の「カバー部材」に相当する。スプリングガイド75と吸入弁部材74との間には、第1スプリング76が設けられている。第1スプリング76は、吸入弁部材74を閉弁方向に付勢している。
【0045】
電磁駆動部81は、可動コア84、ニードル86、ニードルガイド85および電磁石82等を有する。
可動コア84は、円筒状であり、第1吸入弁ボディ72内で軸方向に移動可能に設けられている。可動コア84は、ニードル86の一端部に固定されている。ニードル86は、第1吸入弁ボディ72内でニードルガイド85により軸方向に移動可能に支持されている。ニードル86は、可動コア84と一体に移動可能であり、他端部が吸入弁部材74に当接可能である。可動コア84およびニードル86は、電磁駆動部81の可動部材である。
【0046】
ニードル86は、ニードルガイド85に対し弁座78側で径外方向に突き出す環状のストッパ部861を形成している。ニードル86は、ストッパ部861がニードルガイド85に当接するまで固定コア83側に移動可能である。
ニードルガイド85の可動コア84側の一端部は、径内方向に突出する第1鍔部852を形成している。ニードル86は、ニードルガイド85の他端部に対応する位置で径外方向に突出する第2鍔部862を形成している。
【0047】
第1鍔部852と第2鍔部862との間には、第2スプリング88が設けられている。第2スプリング88は、第1スプリング76が吸入弁部材74を閉弁方向に付勢する力よりも強い力で、ニードル86を開弁方向(図1の右方向)に付勢している。ニードル86は、第2スプリング88による付勢力を受け、吸入弁部材74を開弁方向に押圧する。
【0048】
電磁石82は、固定コア83およびコイル87等を有する。固定コア83は、磁性材料からなり、可動コア84に対し吸入弁部材74とは反対側に設けられている。コイル87は、固定コア83に対し径外方向に設けられている。コイル87を通電すると固定コア83が磁化する。磁化した固定コア83は、第2スプリング88の付勢力に抗して可動コア84を吸引する。ニードル86は、固定コア83に吸引される可動コア84と共に移動する。これにより、吸入弁部材74は、弁座78側への移動が許容される。すなわち閉弁可能となる。
【0049】
固定コア83の磁力は、コイル87への通電を止めると失われる。ニードル86は、固定コア83の磁気的吸引力が無くなると、第2スプリング88の付勢力により吸入弁部材74に移動する。これにより、吸入弁部材74は、弁座78側への移動が規制される。すなわち開弁する。
【0050】
次に、吸入弁部71の構成を図4から図7に基づき詳しく説明する。
弁座78は、径方向で内側に位置する内側流路781および径方向で外側に位置する外側流路782を有する。内側流路781は、ニードル86と同軸上に設けられている。外側流路782は、周方向に延びる円弧状の孔である。外側流路782は、周方向で等間隔に3つ形成されている。内側流路781および外側流路782は、燃料の流路として機能する。また、内側流路781は、ニードル86の挿通孔としても機能する。
【0051】
吸入弁部材74は、軸中心部に第1スプリング76の一端が嵌合する嵌合穴741を有する。嵌合穴741は非貫通穴である。また、吸入弁部材74は、弁座78とは反対側に複数の有底穴742を有する。有底穴742は、周方向で等間隔に5つ形成されている。また、吸入弁部材74は、有底穴742の底面のうち径内部から弁座78側に貫通する第1流路743を有する。第1流路743は、径方向で内側流路781と外側流路782との間に位置している。第1流路743は、燃料の流路として機能する。
【0052】
吸入弁部材74は、第1流路743に対し径外方向で第1流路743よりも加圧室14側に突き出す第1突部744を形成している。第1突部744は、加圧室14から吸入弁部材74に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0053】
スプリングガイド75は、第1スプリング76の他端が嵌合する嵌合突部753を形成している。また、スプリングガイド75は、嵌合突部753に対し径外方向で軸方向に貫通する第3流路754を有する。第3流路754は、周方向で等間隔に複数設けられている。
【0054】
互いに対向する吸入弁部材74の第1壁745および弁座78の第2壁783は、平面を有する。吸入弁部材74の第1壁745は、第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝746を有する。弁座78の第2壁783は、開弁時および閉弁時の両方で第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝784と、外側流路782に連通し且つ第1流路743と第1均圧溝746と第1均圧溝784とを取り囲む環状の第2均圧溝785とを有する。第1均圧溝746および第1均圧溝784は、径方向で互いに重なるように形成されている。また、弁座78の第2壁783は、吸入弁部材74の第1壁745の外周部に対向する位置に環状溝786を有する。
【0055】
第2壁783は、第1シール部787と第2シール部788と第3シール部789とを有する。第1シール部787は、吸入弁部材74と弁座78との当接時、内側流路781と、第1流路743、第1均圧溝746および784との間をシールする。第2シール部788は、吸入弁部材74と弁座78との当接時、第1流路743、第1均圧溝746および第1均圧溝784と、外側流路782および第2均圧溝785との間をシールする。第3シール部789は、吸入弁部材74と弁座78との当接時、外側流路782および第2均圧溝785と、吸入弁部材74に対し径外方向に位置する径外流路80との間をシールする。吸入弁部71は、複数のシール部を有するマルチシート型バルブである。
【0056】
次に、高圧ポンプ1の作動を説明する。
(I)吸入行程
前記カムシャフトの回転によりプランジャ21が上死点から下死点に向かって下降するとき、加圧室14の容積が増加するとともに加圧室14内の燃料の圧力が減少する。このとき、吐出通路95は吐出弁部材94により遮断される。また、コイル87への通電が止められると、ニードル86は、第2スプリング88の付勢力により吸入弁部材74側に移動する。これにより、ニードル86が吸入弁部材74を押圧し、吸入弁部71は開弁する。その結果、吸入室711から吸入孔141を経由して加圧室14に燃料が吸入される。
【0057】
(II)調量行程
前記カムシャフトの回転によりプランジャ21が下死点から上死点に向かって上昇するとき、加圧室14の容積が減少する。その際、所定の時期まではコイル87への通電を止め、吸入弁部71が開弁する。このため、吸入行程で加圧室14に吸入された低圧燃料の一部が吸入弁部71を経由して燃料供給側に戻る。このときの燃料は、図8に実線の矢印で示すように第1流路743、第1均圧溝746および第1均圧溝784を通って内側流路781に至る経路と、図8に破線の矢印で示すように第1流路743、第1均圧溝746および第1均圧溝784を通って外側流路782に至る経路と、図8に一点鎖線の矢印で示すように吸入弁部材74の径外側の通路および第2均圧溝785を通って外側流路782に至る経路とを流れる。
【0058】
このとき、第1均圧溝746内、第1均圧溝784内および第2均圧溝785内に流入する燃料の圧力による力は、吸入弁部材74に開弁方向に作用する。この開弁方向の力は、吸入弁部材74に周方向で等しく作用し、吸入弁部材74に向かう閉弁方向の燃料の流れから吸入弁部材74が受ける力を相殺する。
【0059】
そして、プランジャ21が上昇する途中の所定の時期にコイル87に通電することで、固定コア83と可動コア84との間に磁気的吸引力が発生する。この磁気的吸引力が第2スプリング88の付勢力から第1スプリング76の付勢力を引いた合力より大きくなると、可動コア84およびニードル86が固定コア83側に移動する。これにより、ニードル86の吸入弁部材74への押圧力が解除される。その結果、第1スプリング76の付勢力と燃料の流れにより発生する動圧とにより吸入弁部材74が弁座78に当接し、吸入弁部71は閉弁する。
【0060】
(III)加圧行程
吸入弁部71の閉弁後、プランジャ21の上昇と共に加圧室14の容積が減少し、加圧室14内の燃料の圧力が増加する。加圧室14の燃圧により吐出弁部材94に作用する力が、吐出弁スプリング943の付勢力と燃料吐出口99側の燃圧により吐出弁部材94に作用する力との合計よりも大きくなると、吐出弁部材94は開弁する。これにより、加圧室14で加圧された加圧燃料が吐出孔142等を経由して燃料吐出口99から吐出する。
高圧ポンプ1は、吸入行程、調量行程および加圧行程を繰り返し、吸入した燃料を調量し加圧して燃料吐出口99から吐出する。
【0061】
以上説明したように、第1実施形態では、弁座78は、径方向において内側に位置する内側流路781および外側に位置する外側流路782を有する。吸入弁部材74は、有底穴742の底面から弁座78側に貫通する第1流路743を有する。第1流路743は、径方向において内側流路781と外側流路782との間に形成される。第1流路743、内側流路781および外側流路782は、燃料の流路として機能する。
【0062】
そのため、径外流路80しか持たない構成のものと比べて、開弁時における吸入弁部材74の弁座78からのリフト量L(図4参照)を小さくしても同等の流路面積を確保することができる。したがって、リフト量Lを小さくすることができ、電磁駆動部81の出力すなわち吸引力を小さくすることができる。そのためコイル87を小型化する等により電磁駆動部81を小型化可能である。また、コイル87の印可電流が小さくなることで消費電力が少なくなるとともに、作動音も小さくなる。また、コイル87への通電を制御する駆動回路は、高価な素子が不要となるので、製造コストが安くなる。
【0063】
また、第1実施形態では、吸入弁部材74の第1壁745は、第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝746を有する。弁座78の第2壁783は、開弁時および閉弁時の両方において第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝784と、外側流路782に連通し且つ第1流路743と第1均圧溝746と第1均圧溝784とを取り囲む環状の第2均圧溝785とを有する。調量時に第1均圧溝746内、第1均圧溝784内および第2均圧溝785内に流入する燃料の圧力による力は、吸入弁部材74に開弁方向に作用する。この開弁方向の力は、吸入弁部材74に周方向で等しく作用し、吸入弁部材74に向かう閉弁方向の燃料の流れから吸入弁部材74が受ける力を相殺する。
【0064】
そのため、第2スプリング88の付勢力が小さくても、燃料の流れに伴って発生する動圧の影響で閉弁する所謂自閉を抑制することができる。したがって、第2スプリング88の付勢力に抗してニードル86を移動させる電磁駆動部81の吸引力を小さくすることができるため、電磁駆動部81をさらに小型化可能である。
【0065】
また、第1実施形態では、第1流路743は、有底穴742の底面のうち径内側に位置する。吸入弁部材74は、第1流路743の径外側において第1流路743よりも加圧室14側に突出する第1突部744を形成する。この第1突部744は、加圧室14から吸入弁部材74に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。吸入弁部材74に向かう燃料を第1突部744が第1流路743に導くことで、燃料の流れに伴って吸入弁部材74に作用する動圧による作用力を低減可能である。
【0066】
したがって、第2スプリング88の付勢力を小さくしても動圧の影響で閉弁することを抑制することができる。したがって、第2スプリング88の付勢力に抗してニードル86を移動させる電磁駆動部81の吸引力を小さくすることができるため、電磁駆動部81をさらに小型化可能である。
【0067】
また、第1実施形態では、弁座78の第2壁783は、吸入弁部材74の第1壁745の外周部に対向する位置に環状溝786を有する。環状溝786内の燃料の圧力は、吸入弁部材74に対して開弁方向に作用する。そのため、動圧の影響で閉弁することを一層抑制することができるので、電磁駆動部81を一層小型化可能である。
【0068】
また、第1実施形態では、第1流路743は、周方向において等間隔に形成される。そのため、第1均圧溝746、第1均圧溝784および第2均圧溝785に流入する燃料を周方向で均一にすることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、第1壁745および第2壁783は、平行に且つ平面に形成される。そのため、吸入弁部材74と弁座78とのシール性を確実とすることができるとともに、第1シール部787、第2シール部788および第3シール部789を安価に加工することができる。
【0070】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による吸入弁部を図9に基づき説明する。吸入弁部41の第1均圧溝421および第2均圧溝422は、吸入弁部材42に形成されている。そのため、第1実施形態と比べ、吸入弁部材42が軽量化されるので、電磁駆動部の吸引力を小さくすることができる。したがって、電磁駆動部の小型化が実現する。また、第2吸入弁ボディ43の加工コストを下げることができる。
【0071】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による吸入弁部を図10に基づき説明する。吸入弁部44の吸入弁部材45の第1突部451の径内壁は、弁座78側ほど第1流路743に近づく。したがって、加圧室側から第1突部451に向かう燃料は、第1突部451の径内壁に沿って径内方向に導かれる。そのため、調量時に加圧室から吸入弁部材45に向かう燃料を円滑に第1流路743に導くことができる。
【0072】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図11に基づき説明する。吸入弁部材46は、第1円板部材461および第2円板部材462が積層されてなる。吸入弁部材46は、第1突部463を形成している。第1突部463は、案内手段として機能する。第1円板部材461および第2円板部材462は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また、第2円板部材462はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。そのため、加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材46を安価に製作可能である。
【0073】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図12に基づき説明する。吸入弁部材47は、第1円板部材471と第2円板部材472とが組み合わされてなる。吸入弁部材47は、燃料の流路として機能する第1流路473を有する。また、吸入弁部材47は、第1流路473に対し径外方向に環状の第1突部474を形成している。第1突部474は、案内手段として機能する。第1円板部材471および第2円板部材472は、例えば、プレス加工等により成形された後、圧入、接着、溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また、第2円板部材472はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。そのため、第4実施形態と同様に加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材47を安価に製作可能である。
【0074】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図13に基づき説明する。吸入弁部材48は、第1円板部材481および第2円板部材482が積層されてなる。吸入弁部材48は、燃料の流路として機能する第1流路483を有する。また、吸入弁部材48は、第1流路483に対し径外方向に第1突部484を形成している。第1突部484は、案内手段として機能する。第1円板部材481および第2円板部材482は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また第2円板部材482はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。そのため、第4実施形態と同様に加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材48を安価に製作可能である。
【0075】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図14に基づき説明する。吸入弁部材49は、円板部材491、第1円環部材492および第2円環部材493が積層されてなる。吸入弁部材49は、燃料の流路として機能する第1流路494を有する。また、吸入弁部材49は、第1流路494に対し径外方向に第1突部495を形成している。第1突部495は、案内手段として機能する。円板部材491、第1円環部材492および第2円環部材493は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また、第2円環部材492はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。
【0076】
そのため、第4実施形態と同様に加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材49を安価に製作可能である。また、第2円環部材492および第3円環部材493は、同じような機能を持つ第6実施形態の第2円板部材482と比べて、形状が単純であり製作が容易である。
【0077】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態による吸入弁部を図15から図17に基づき説明する。吸入弁部50の弁座51は、第1円板部材511および第2円板部材512が積層されてなる。第1円板部材511および第2円板部材512は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。そのため、加工コストが高い切削工程を少なくし、弁座51を安価に製作可能である。
【0078】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態による吸入弁部を図18に基づき説明する。吸入弁部52の吸入弁部材53は、スプリングガイド54側に突出する環状のピンガイド部531を形成している。スプリングガイド54は、吸入弁部材53側に突出する環状のピンガイド部541を形成している。ピンガイド部531および541には、「ガイド部材」としての位置決めピン55が嵌合している。吸入弁部材53は、位置決めピン55によって径方向の移動が規制され、安定して軸方向に移動することができる。
【0079】
スプリングガイド54は、第1流路743に対し径外方向で吸入弁部材53側に突出する環状の第2突部542を形成している。第2突部542の先端は、開弁時に吸入弁部材53の第1突部744に当接可能である。第2突部542は、吸入弁部材53の弁座78とは反対側への移動を規制する規制手段として機能するとともに、調量時に加圧室から吸入弁部材53に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0080】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態による吸入弁部を図19に基づき説明する。吸入弁部56の吸入弁部材57は、第1実施形態の吸入弁部材74と比べて、第1突部744が形成されない他は同様の構成である。スプリングガイド58は、第1流路743に対し径外方向で吸入弁部材57側に突出する環状の第2突部581を形成している。第2突部581は、吸入弁部材57の弁座78とは反対側への移動を規制する規制手段として機能するとともに、調量時に加圧室から吸入弁部材57に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0081】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態による吸入弁部を図20に基づき説明する。吸入弁部59のスプリングガイド60が形成する第2突部601の先端は、外側流路782よりも径内方向に位置する。したがって、第2突部601の先端は、第1流路743に接近する位置に設けられている。そのため、調量時に加圧室から吸入弁部材61に向かう燃料は、第2突部601により円滑に第1流路743に導かれる。
【0082】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態による吸入弁部を図21に基づき説明する。吸入弁部62の吸入弁部材63は、第1スプリング65の嵌合穴631を有する。スプリングガイド64は、第1スプリング65が嵌合する嵌合突部641を形成している。吸入弁部材63とスプリングガイド64との間に介在する第1スプリング65は、第1流路743および第3流路754を取り囲むように設けられている。調量時に加圧室から第3流路754を通じてスプリングガイド64内に流入する燃料は、第1スプリング65によって径外方向への流れが抑制される。このため、第1スプリング65は、加圧室から吸入弁部材63に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0083】
(第12実施形態の変形例)
第12実施形態の変形例による吸入弁部を図22に基づき説明する。吸入弁部66のスプリングガイド67の第3流路671は、第12実施形態のスプリングガイド64の第3流路754とは異なる。第3流路671は、スプリングガイド67の軸中心部に設けられている。第3流路671を通じてスプリングガイド67内に流入する燃料は、第12実施形態と同様に第1スプリング65によって径外方向への流れが抑制される。
【0084】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態による吸入弁部を図23および図24に基づき説明する。吸入弁部68は、吸入弁部材74に対し弁座78とは反対側に位置するストッパ69を有する。ストッパ69は、円板状であり、開弁時に吸入弁部材74に当接し、吸入弁部材74の開弁方向の移動を規制する。ストッパ69は、径外部に周方向に延びる溝691を有する。溝691は、周方向で等間隔に3つ形成され、燃料の流路として機能する。ストッパ69は、軸中心部692が吸入弁部材74とは反対側に突き出す。第1スプリング76は、吸入弁部材74とストッパ69の軸中心部692との間に設けられている。ストッパ69は、軸方向に見て吸入弁部材74の第1流路743と重なる位置に通孔693を有する。通孔693は、周方向で等間隔に3つ設けられている。
【0085】
調量時に加圧室から吸入弁部材74に向かう燃料は、通孔693を通じてストッパ69と吸入弁部材74との間に流入する。ストッパ69と吸入弁部材74との間に流入する燃料は、第1突部744およびストッパ69によって径外方向への流出が抑制され、第1流路743に導かれる。第13実施形態では、ストッパ69および第1突部744は、燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0086】
(第14実施形態)
本発明の第14実施形態による吸入弁部を図25〜図27に基づき説明する。吸入弁部25は、吸入弁部材26およびストッパ27を有する。
吸入弁部材26は、弁座430に対し加圧室14側に位置し、弁座430に当接および離間可能である。吸入弁部材26は、弁座430から離間することで吸入室711と加圧室14とを連通させ、弁座430に当接することで吸入室711と加圧室14とを遮断する。
【0087】
吸入弁部材26は、当該吸入弁部材26に対し径外方向に位置する径外流路262を絞るように径外方向に突き出す突出部261を形成している。突出部261は、周方向で等間隔に3つ形成されている。突出部261の径外壁は、第2吸入弁ボディ73の内壁に摺動可能である。
【0088】
吸入弁部材26は、軸中心部に第1スプリング76の一端が嵌合する嵌合突部263を形成している。また、吸入弁部材26は、弁座430とは反対側の壁のうち径外流路262に対応する周方向位置に径外方向から切り欠かれた切欠溝264を有する。切欠溝264は、周方向で等間隔に形成されている。
【0089】
弁座78の第2壁783に対向する吸入弁部材26の第1壁265は、径方向で内側流路781と外側流路782との間に位置し、内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝266を有する。
【0090】
吸入弁部材26は、第1均圧溝266と切欠溝264とを連通させる第1流路267を有する。第1流路267は、径方向で内側流路781と外側流路782との間に位置する。第1流路267は、燃料の流路として機能し、また各均圧溝に燃料を導入する導入口として機能する。
【0091】
突出部261は、加圧室14から吸入弁部材26側に流れる燃料が径外流路262に向かうことを抑制し、燃料を第1流路267に導く案内手段として機能する。加圧室14から吸入弁部材26側に流れる燃料は、突出部261に絞られている径外流路262よりも第1流路267に流れ易い。
【0092】
ストッパ27は、第2吸入弁ボディ73に対し加圧室14側に設けられている。ストッパ27は、径外方向へ突き出す鍔部271を形成し、鍔部271が第2吸入弁ボディ73と上ハウジング15とに挟まれることで固定されている。
【0093】
ストッパ27は、吸入弁部材26との対向壁に、第1スプリング76を収容する収容穴272と、収容穴272を取り囲む環状の環状溝273とを有する。径方向で収容穴272と環状溝273との間には、吸入弁部材26の径内部に当接可能な内側当接部274が形成されている。また、環状溝273の径外方向には、吸入弁部材26の径外部に当接可能な外側当接部275が形成されている。ストッパ27は、内側当接部274および外側当接部275が吸入弁部材26に当接することで、吸入弁部材26の弁座430とは反対側への移動を規制する。
【0094】
ストッパ27は、径方向で内側当接部274と外側当接部275との間の位置に、環状溝273の底面から吸入弁部材26側に貫通する第2流路276を有する。第2流路276は、周方向で等間隔に4つ形成されている。
【0095】
第14実施形態では、ストッパ27は、吸入弁部材26の径内部に当接可能な内側当接部274と、吸入弁部材26の径外部に当接可能な外側当接部275とを有する。したがって、吸入弁部材26がストッパ27に当接するとき、吸入弁部材26の押し付け力がストッパ27の径内部のみに集中して作動することなく、ストッパ27全体に作用する。また、上記押し付け力の反力が吸入弁部材26の径外部のみに集中して作用することなく、吸入弁部材26全体に作用する。
【0096】
そのため、吸入弁部材26およびストッパ27の必要強度が低くなり、吸入弁部材26およびストッパ27を小さく構成することで吸入弁部25の体格を小さくすることができる。また、吸入弁部材26が軽量に構成されることで、ポンプ効率が向上するとともに、振動やノイズの発生が抑制される。また、開弁時の吸入弁部材26の軸方向の振れが抑制され、ポンプ効率が向上する。
【0097】
また、第14実施形態では、ストッパ27は、径方向でストッパ27の内側当接部274と外側当接部275との間の位置に第2流路276を有する。これにより、加圧室14からストッパ27側に向かう燃料は、第2流路276を経由して吸入弁部材26の第1流路267に導かれる。
【0098】
また、第14実施形態では、第1スプリング76は、ストッパ27の内側当接部274の径内方向に設けられている。そのため、第1スプリング76を収容するための空間を別途形成することなく、内側当接部274に対し径内方向の空間を有効に活用し、第1スプリング76を配置することができる。
【0099】
(第14実施形態の変形例)
第14実施形態の変形例による吸入弁部を図28および図29に基づき説明する。吸入弁部28のストッパ29は、第14実施形態のストッパ27と比較し、環状溝273および第2流路276に代えて第2流路291を有する。第2流路291は、軸方向に貫通し、周方向で等間隔に6つ形成されている。第2流路291の内径は、第14実施形態の第2流路276の内径よりも大きい。吸入弁部材26がストッパ29に当接するとき、6つの第2流路291のいずれか1つ以上が連通する。
【0100】
第14実施形態の変形例では、吸入弁部材26がストッパ29に当接するとき、6つの第2流路291のうち連通状態にあるいずれか1つ以上の第2流路291を通じて燃料が流通可能である。また、第14実施形態のように環状溝273が形成される形態と比べ、ストッパ29の強度が高く、またストッパ29の形状が単純でありストッパ29の製作が容易である。
【0101】
(第15実施形態)
本発明の第15実施形態による吸入弁部を図30〜図32に基づき説明する。吸入弁部16は、第2吸入弁ボディ17および吸入弁部材18を有する。
第2吸入弁ボディ17は、筒状の外郭171、および、外郭171の端部を塞ぐ弁座172を有する。第2吸入弁ボディ17は、第1吸入弁ボディ72とストッパ27とに挾持されている。第2吸入弁ボディ17は、特許請求の範囲に記載の「弁ボディ」に相当する。
【0102】
弁座172は、径方向の中央で軸方向に貫通する内側流路173、および、内側流路173に対し径外方向で軸方向に貫通する外側流路174を有する。外側流路174は、周方向で等間隔に10個形成されている。内側流路173および外側流路174は、燃料の流路として機能する。また、内側流路173は、ニードル86の挿通孔としても機能する。
【0103】
吸入弁部材18は、板状であり、弁座172に対し加圧室14側に位置し、弁座172に当接および離間可能である。吸入弁部材18は、弁座172から離間することで吸入室711と加圧室14とを連通させ、弁座172に当接することで吸入室711と加圧室14とを遮断する。
【0104】
吸入弁部材18は、径方向の内側流路173と外側流路174との間の位置で軸方向に貫通する第1流路181を有する。第1流路181は、周方向で等間隔に8個形成されている。第1流路181は、燃料の流路として機能する。
第1スプリング76の一端は、吸入弁部材18の軸中心部の嵌合穴182に係止されている。
【0105】
吸入弁部材18は、当該吸入弁部材18に対し径外方向に位置する径外流路19を絞るように径外方向に突き出す突出部183を形成している。突出部183は、周方向で等間隔に3つ形成されている。突出部183の径外壁は、第2吸入弁ボディ17の内壁に摺動可能である。
突出部183は、加圧室14から吸入弁部材18側に流れる燃料が径外流路19に向かうことを抑制し、燃料を第1流路181に導く案内手段として機能する。
【0106】
吸入弁部材18は、閉弁時、弁座172に当接する第1シール部184、第2シール部185および第3シール部186を形成している。第1シール部184は、径方向で内側流路173と第1流路181との間に位置している。第1シール部184は、吸入弁部材18と弁座172との当接時、内側流路173と第1流路181との間をシールする。
【0107】
第2シール部185は、径方向で第1流路181と外側流路174との間に位置している。第2シール部185は、吸入弁部材18と弁座172との当接時、第1流路181と外側流路174との間をシールする。
第3シール部186は、径方向で外側流路174と径外流路19との間に位置している。第3シール部186は、吸入弁部材18と弁座172との当接時、外側流路174と径外流路19との間をシールする。
【0108】
第15実施形態では、弁座172と吸入弁部材18との間に流入する燃料の圧力による力は、吸入弁部材18の各シール部184、185、186に開弁方向に作用する。この開弁方向の力は、吸入弁部材18に周方向で等しく作用し、加圧室14から吸入弁部材18に向かう燃料の流れにより吸入弁部材18が受ける閉弁方向の力を相殺することができる。
【0109】
したがって、各シール部184、185、186は、閉弁時に各流路間を封止する封止手段として機能する一方で、吸入弁部材18の自閉を抑制する自閉抑制手段としても機能する。そのため、吸入弁部材18を開弁方向に付勢するスプリングの付勢力を小さくしても吸入弁部材18の自閉を抑制可能である。それゆえ、電磁駆動部は、最大出力の低減が可能となり、小型化が実現する。
【0110】
また、第15実施形態では、第1流路181は、周方向で等間隔に8個形成されている。そのため、吸入弁部材18の剛性を周方向で均一にすることができ、閉弁時に吸入弁部材18と弁座172との間に隙間が空くことを周方向にわたって抑制可能である。したがって、閉弁時の液漏れを抑制することができ、ポンプ効率を向上させることができる。
【0111】
(第15実施形態の変形例)
第15実施形態の変形例による吸入弁部を図33および図34に基づき説明する。吸入弁部36の吸入弁部材37は、第15実施形態の吸入弁部材18と比較し、第1流路371および突出部372が異なる。
【0112】
第1流路371は、周方向で等間隔に9つ形成されている。また、突出部372は、周方向で等間隔に3つ形成されている。第15実施形態の変形例は、第15実施形態と同様の効果を奏する。
【0113】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、吸入弁部材の第1流路の数は、7個以下であってもよいし、10個以上であってもよい。
本発明の他の実施形態では、弁座の外側流路の数は、9個以下であってもよいし、11個以上であってもよい。
本発明の他の実施形態では、第1吸入弁ボディと第2吸入弁ボディとを同一部材で構成してもよい。
本発明の他の実施形態では、弁装置が、例えば車両の他の装置、あるいは産業ロボットや工作機械などに適用されてもよい。また、弁装置が開閉する流路を流れる流体は、燃料に限らず、他の液体や気体でもよい。
【0114】
また、本発明の他の実施形態では、弁装置がノーマリクローズ型であってもよい。また、ニードルと弁部材とが一体に構成されてもよい。また、駆動部は、電磁式に限らず、例えば電動式などの他の駆動形式を採用してもよい。また、高圧ポンプの吸入弁部以外の仕様は、上述の実施形態のものに限らない。
【0115】
このように本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0116】
17,43,73・・・第2吸入弁ボディ(弁ボディ)
173,781・・・内側流路
174,782・・・外側流路
18,26,37,42,45,46,47,48,49,53,57,61,63,74・・・吸入弁部材(弁部材)
181,267,371,473,483,494,743・・・第1流路
183,261,372・・・突出部(案内手段)
184・・・第1シール部
185・・・第2シール部
186・・・第3シール部
265,745・・・第1壁
266,421,746,784・・・第1均圧溝
422,785・・・第2均圧溝
451,463,474,484,495,744・・・第1突部(案内手段)
51,78,172,430・・・弁座
542,581,601・・・第2突部(案内手段)
65・・・第1スプリング(案内手段)
69・・・ストッパ(案内手段)
783・・・第2壁
81 ・・・電磁駆動部(駆動部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉可能な弁装置およびこの弁装置を用いた高圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流体が流通する流路を遮断するには例えば弁装置が用いられる。この弁装置の一種に、弁ボディ内の弁座に対し接近および離間可能な弁部材を備える形式のものがある。この形式の弁装置は、弁部材が弁座に当接することで閉弁し、弁部材が弁座から離間することで開弁する。弁部材の位置は、駆動部の可動部材により制御される。可動部材の駆動方式には、例えば電磁式や電動式などがある。
【0003】
また、弁装置には、駆動部の非作動時に開弁するノーマリオープン型と、駆動部の非作動時に閉弁するノーマリクローズ型とがある。ノーマリオープン型の場合、弁部材は、駆動部の非作動時、付勢部材により開弁方向に付勢されて弁座から離間する。また、弁部材は、駆動部の作動時、付勢部材の付勢力に抗して可動部材が閉弁方向に移動することで弁座側への移動が許容される。
【0004】
ノーマリクローズ型の場合、弁部材は、駆動部の非作動時、付勢部材により閉弁方向に付勢されて弁座に当接する。また、弁部材は、駆動部の作動時、付勢部材の付勢力に抗して可動部材が開弁方向に移動することで弁座とは反対側への移動が許容される。
【0005】
上記弁装置は、例えば特許文献1〜7に開示されている。特許文献1および2に開示された高圧ポンプの燃料吸入弁は、電磁式の駆動部を備えるノーマリオープン型の弁装置であり、開弁時には、弁部材の径外側の外壁面と弁ボディの内壁面との間の通路を経由して燃料が流れる。特許文献1の弁部材は、高圧ポンプの調量時、加圧室からの燃料の流れを受ける。このとき弁部材にかかる動圧は、特に高圧ポンプの高速運転時に大きくなる。これに対し、特許文献2の燃料吸入弁では、弁部材の開弁方向の移動を規制するストッパを弁部材に対し加圧室側に設け、加圧室から流れる燃料が弁部材に直接当たることを回避している。
【0006】
特許文献3に開示された高圧ポンプの燃料吸入弁は、電磁式の駆動部を備えるノーマリクローズ型の弁装置である。この燃料吸入弁は、複数の第1流路を有する弁部材の軸中心部に可動部材を設け、弾性部材からなるプレートを可動部材でリフトさせることにより加圧室からの燃料ギャラリへの流路を確保している。特許文献4から6に開示されたガス弁は、電磁式の駆動部を備えるノーマリオープン型およびノーマリクローズ型の弁装置である。
【0007】
特許文献7に開示された流量制御弁は、ピエゾアクチュエータからなる駆動部を備えるノーマリクローズ型およびノーマリオープン型の弁装置である。これらの特許文献3〜7の弁装置では、開弁時、弁部材が有する複数の第1流路を経由して流体が流れる。このとき、弁部材の第1流路以外の部分には、流体の流れにより発生する開弁方向の動圧がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−218633号公報
【特許文献2】特開2010−156264号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第US2010/0242922A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第US2007/0057096A1号明細書
【特許文献5】米国特許第US7124998B2号明細書
【特許文献6】特開平11−311150号公報
【特許文献7】特開2010−230159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の弁部材は、加圧室からの燃料の流れにより発生する動圧を回避するようには構成されていない。よって、上記動圧により弁部材が閉弁する所謂自閉を防止するため、弁部材を開弁方向に付勢する付勢部材の付勢力を大きくする必要がある。これに伴い、付勢部材の付勢力に抗して可動部材を移動させるために必要な駆動部の電磁石の吸引力が増大する。そのため、駆動部が大型化するという問題が生じる。
【0010】
また、弁部材の弁座からのリフト量が小さすぎると、必要な流路面積を確保することができないため、リフト量を小さくするには限界がある。駆動部の電磁石は、リフト量以上に離れる可動部材を吸引するための吸引力を発生させる必要がある。このことも駆動部が大型化する要因になっている。
【0011】
特許文献2の燃料吸入弁では、弁部材とストッパとの間に生じるリンギングが閉弁応答性に悪影響を与えるおそれがある。ここで、弁部材に働くリンギング力は、ストッパに内外に連通する連通孔を形成することで低減可能である。しかし、連通孔が大きすぎると、連通孔を通じてストッパ内部に燃料が流入する。この燃料の流れは、弁部材に閉弁方向に作用する。そのため、弁部材の自閉を十分に抑制することができないという問題がある。また、連通孔の内径のチューニングは、燃料の動粘度及び燃料の流速に依存するため、近年の世界燃料対応、および、カスタマの要求するカム仕様・最高ポンプ回転数に応じて変える必要があるという問題もある。
【0012】
特許文献3〜7の弁装置は、弁部材に複数の第1流路を形成することで流路面積を大きくしているため、弁部材の弁座からのリフト量を小さくすることができる。しかし、弁部材の自閉を防止することに関連して駆動部が大型化する問題は、特許文献1の場合と同様である。
【0013】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部を小型化可能な弁装置、およびこの弁装置を用いた高圧ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による弁装置は、弁ボディ、弁座、弁部材および駆動部を備える。弁座は、弁ボディの径内方向に位置する内側流路および径外方向に位置する外側流路を有する。弁部材は、弁座に当接および離間可能であり、径方向で内側流路と外側流路との間に位置する第1流路を有する。
流体は、弁部材に対し径外方向の径外流路を通って弁座の外側流路に至る経路と、弁部材の第1流路を通って弁座の外側流路に至る経路と、弁部材の第1流路を通って弁座の内側流路に至る経路とを流れる。
【0015】
そのため、径外流路しか持たない構成のものと比べて、弁部材の弁座からのリフト量を小さくしても同等の流路面積を確保することができる。したがって、リフト量を小さくすることができ、駆動部の最大出力を低減可能である。これにより、駆動部の小型化が実現する。さらには、リフト量を小さくすることにより弁部材と可動部材との衝突音が小さくなる効果も得ることができる。
【0016】
また、本発明では、弁部材は、環状の第1シール部、環状の第2シール部、および、環状の第3シール部を形成する。第1シール部は、弁部材と弁座との当接時、内側流路と第1流路との間をシールする。第2シール部は、弁部材と弁座との当接時、第1流路と外側流路との間をシールする。第3シール部は、弁部材と弁座との当接時、外側流路と径外流路との間をシールする。
【0017】
弁座と弁部材との間に流入する流体の圧力による力は、弁部材を開弁させるように各シール部に作用する。上記各シール部に作用する開弁方向の力は、弁部材に周方向で等しく作用し、弁部材に対し弁座とは反対側からの流体の流れにより弁部材が受ける閉弁方向の力を相殺することができる。
【0018】
そのため、例えばノーマリオープン型の弁装置の場合、弁部材を開弁方向に付勢する付勢部材の付勢力を小さくしても弁部材の自閉を抑制可能である。したがって、付勢部材の付勢力を小さくすることができ、付勢部材の付勢力に抗して可動部材を移動させる駆動部の最大出力を低減可能である。これにより、駆動部の更なる小型化が実現する。
【0019】
また、例えばノーマリクローズ型の弁装置の場合、弁部材を開弁方向に押圧する駆動部の最大出力を小さくしても弁部材の自閉を抑制可能である。したがって、駆動部の最大出力を低減可能であり、駆動部の更なる小型化が実現する。
【0020】
また、本発明は、弁部材に対し弁座とは反対側からの流体の流れが径外流路に向かうことを案内手段によって抑制する。径外流路への流れを抑制することで、弁部材の外周部にかかる動圧を低減可能である。また、案内手段は、流体を第1流路に導く。すなわち、弁部材の第1流路以外の部分への動圧の作用を可及的に抑制することができる。第1流路に導かれた流体は、弁座と弁部材との間に供給され、前述のように弁部材に開弁方向に作用する力を生み出す。したがって、案内手段は、駆動部の最大出力の低減を可能とし、駆動部の一層の小型化に寄与する。
【0021】
以上のように駆動部の最大出力を低減することにより、駆動部の印可電流が小さくなる効果も得られる。これにより、駆動部を制御する駆動回路に高価な素子が不要となり、駆動回路の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態による高圧ポンプの断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1の高圧ポンプの吸入弁部を拡大して示す拡大断面図であって、吸入弁部が開弁しているときの図である。
【図5】図4の第2吸入弁ボディを示す図であって、(b)第2吸入弁ボディの縦断面図、(a)第2吸入弁ボディを縦断面図の矢印Va方向から見た図、(c)第2吸入弁ボディを縦断面図の矢印Vc矢印に見た図である。
【図6】図4の吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印VIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印VIc方向から見た図である。
【図7】図1の高圧ポンプの吸入弁部を拡大して示す拡大断面図であって、吸入弁部が閉弁しているときの図である。
【図8】図1の高圧ポンプの調量時における吸入弁部の燃料の流れを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIc方向から見た図である。
【図12】本発明の第5実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIc方向から見た図である。
【図13】本発明の第6実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIIa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIIIc方向から見た図である。
【図14】本発明の第7実施形態による高圧ポンプの吸入弁部材を示す図であって、(b)吸入弁部材の縦断面図、(a)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIVa方向から見た図、(c)吸入弁部材を縦断面図の矢印XIVc方向から見た図である。
【図15】本発明の第8実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図16】図15の第1円板部材の正面図であって、図15の第1円板部材を矢印Y方向から見た図である。
【図17】図15の第2円板部材の正面図であって、図15の第1円板部材を矢印Y方向から見た図である。
【図18】本発明の第9実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図19】本発明の第10実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図20】本発明の第11実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図21】本発明の第12実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図22】本発明の第12実施形態の変形例による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図23】本発明の第13実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図24】図23のストッパを矢印XXIV方向から見た図である。
【図25】本発明の第14実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図26】図25の吸入弁部材を示す図であって、(a)弁部材の平面図、(b)弁部材の平面図のb−b線断面図である。
【図27】図25のストッパを示す図であって、(b)ストッパの縦断面図、(a)ストッパを縦断面図の矢印a方向から見た図、(c)ストッパを縦断面図の矢印c方向から見た図である。
【図28】本発明の第14実施形態の変形例による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図29】図28のストッパを示す図であって、(a)弁部材の平面図、(b)弁部材の平面図のb−b線断面図である。
【図30】本発明の第15実施形態による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図31】図30の吸入弁部材を矢印XXXI方向から見た図である。
【図32】図30の第2吸入弁ボディを矢印XXXII方向から見た図である。
【図33】本発明の第15実施形態の変形例による高圧ポンプの吸入弁部の断面図である。
【図34】図33の吸入弁部材を矢印XXXIV方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による高圧ポンプを図1〜図3に示す。高圧ポンプ1は、図示しない燃料タンクから供給される燃料を加圧し、この加圧した燃料を燃料レールに吐出する燃料ポンプである。高圧ポンプ1は、本体部10、燃料供給部30、プランジャ部20、燃料吸入部70および燃料吐出リリーフ部90を備えている。燃料吸入部70は、特許請求の範囲に記載の「弁装置」に相当する。以下の説明では、図1の上を「上」、図1の下を「下」として説明する。
【0024】
本体部10は、下ハウジング11、シリンダ13および上ハウジング15から構成されている。
下ハウジング11は、円筒状のシリンダ保持部111と、シリンダ保持部111の下部から径外方向に突き出す環状のフランジ部112と、フランジ部112から下方に突き出す円筒状のエンジン嵌合部113とを有する。エンジン嵌合部113の内径は、シリンダ保持部111の外径よりも大きい。シリンダ保持部111は、第1圧入孔121を有する。フランジ部112は、シリンダ保持部111とエンジン嵌合部113との間の位置に通孔114を有する。
【0025】
シリンダ13は、プランジャ21を摺動可能に支持する筒部131と、筒部131の上端を塞ぐ底部136と、シリンダ保持部111よりも下方で径外方向に突き出す環状の突起135とを有する。シリンダ13は、シリンダ保持部111の第1圧入孔121に圧入により固定されている。突起135は、シリンダ13の上方への移動を規制している。
【0026】
シリンダ13は、筒部131の内壁と底部136の内壁とプランジャ21の上端面211とが区画形成する加圧室14を有する。加圧室14は、プランジャ21の往復移動により容積が変化する。筒部131は、加圧室14に連通する吸入孔141および吐出孔142を有する。吸入孔141および吐出孔142は、プランジャ21の軸に対して対称に位置する。
【0027】
上ハウジング15は、吸入孔141と吐出孔142とを結ぶ方向に長手状をなす直方体状である。上ハウジング15は、長手方向の中央に第2圧入孔151を有する。シリンダ13は、上ハウジング15の第2圧入孔151に圧入により固定されている。
【0028】
上ハウジング15は、シリンダ13の吸入孔141に連通する吸入通路152と、上ハウジング15を内外に貫通する複数の通孔153とを有する。吸入通路152には、加圧室14が吸入する燃料が流通可能である。また、上ハウジング15は、シリンダ13の吐出孔142に連通する吐出通路154を有する。吐出通路154には、加圧室14が吐出する燃料が流通可能である。
【0029】
燃料供給部30は、カバー31、パルセーションダンパ33および燃料インレット35から構成されている。
カバー31は、有底筒状であり、カバー底部311およびカバー筒部312を有する。カバー底部311は、カバー筒部312の上端を塞いでいる。カバー筒部312の下端は、下ハウジング11のフランジ部112に当接している。カバー31は、上ハウジング15およびシリンダ13の上部を収容している。
【0030】
カバー筒部312は、周方向で互いに離間する第1嵌合孔325、第2嵌合孔326、第3嵌合孔327を有する。第1嵌合孔325の位置は吸入通路152に対応し、第2嵌合孔326の位置は吐出通路154に対応する。第1嵌合孔325には、第1吸入弁ボディ72がカバー31外から挿入されている。第2嵌合孔326には、第1吐出弁ボディ91がカバー31外から挿入されている。
【0031】
カバー31、フランジ部112に溶接により接合されている。また、第1吸入弁ボディ72、第1吐出弁ボディ91および燃料インレット35は、カバー31に溶接により接合されている。こられの溶接によって、カバー31の下端とフランジ部112との隙間、第1嵌合孔325と第1吸入弁ボディ72との隙間、第2嵌合孔326と第1吐出弁ボディ91との隙間、および、第3嵌合孔327と燃料インレット35との隙間は液密に封止されている。
【0032】
カバー31内には、カバー31とフランジ部112とで区画される燃料ギャラリ32が形成されている。燃料インレット35から燃料ギャラリ32に供給された燃料は、通孔153等を経由して第1吸入弁ボディ72内に供給される。
【0033】
燃料ギャラリ32内には、パルセーションダンパ33が設けられている。パルセーションダンパ33は、外縁部が接合された2枚の円形皿状のダイアフラム331および332からなり、所定圧の気体を内部に密封している。パルセーションダンパ33は、外縁部が上支持体341と下支持体342とに挟まれるようにしてカバー31の内壁に固定されている。パルセーションダンパ33は、燃料ギャラリ32内の燃料の圧力変化に応じて弾性変形することにより燃料ギャラリ32内の燃料の圧力脈動を低減する。
【0034】
プランジャ部20は、プランジャ21、オイルシールホルダ22、スプリングシート23およびプランジャスプリング24等から構成されている。
プランジャ21は、大径部212および小径部213を有する。大径部212は、シリンダ13により軸方向に摺動可能に支持されている。小径部213は、大径部212から下方に延び、下端が図示しないタペット等に当接可能である。タペットは、図示しないカムシャフトに取り付けられたカムに外面を当接させ、カムシャフトの回転によりカムプロファイルに応じて軸方向に往復移動する。
【0035】
オイルシールホルダ22は、下ハウジング11のエンジン嵌合部113に固定されている固定部222と、シリンダ13の下方に位置しプランジャ21の小径部213が挿通する筒状のシール保持部221とを有する。シール保持部221は、シール223を保持している。シール223は、径内側のテフロン(登録商標)リングと、径外側のOリングとからなり、小径部213周囲の燃料油膜の厚さを調整する。また、シール保持部221の下端部には、オイルシール225が固定されている。オイルシール225は、小径部213周囲のオイル油膜の厚さを調整する。
【0036】
スプリングシート23は、プランジャ21の下端部に固定されている。プランジャスプリング24は、一端がスプリングシート23に係止され、他端がオイルシールホルダ22の固定部222に係止されている。プランジャスプリング24は、プランジャ21の戻しばねとして機能し、プランジャ21がタペットに当接するようにプランジャ21を付勢する。プランジャ部20は、カムシャフトの回転に応じてプランジャ21を往復移動させ、加圧室14の容積を変化させる。
【0037】
燃料吐出リリーフ部90は、第1吐出弁ボディ91、第2吐出弁ボディ92、吐出弁部材94およびリリーフ弁部材96等から構成されている。
第1吐出弁ボディ91は、円筒状であり、上ハウジング15の吐出通路154に固定されている。
第2吐出弁ボディ92は、第1吐出弁ボディ91内に設けられている。第2吐出弁ボディ92は、有底筒状であり、開口端が加圧室14側に位置する状態で第1吐出弁ボディ92と上ハウジング15とに挟持されている。
【0038】
第2吐出弁ボディ92の底部は、吐出通路95と、吐出通路95に非連通のリリーフ通路97とを有する。吐出通路95は、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14側の壁面のうち径外側に開口するとともに、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14とは反対側の壁面のうち中央に開口している。リリーフ通路97は、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14側の壁面のうち中央に開口するとともに、第2吐出弁ボディ92の底部の加圧室14とは反対側の壁面のうち径外側に開口している。
【0039】
吐出弁部材94は、第2吐出弁ボディ92の底部に対し加圧室14とは反対側に位置し、吐出通路95を開閉可能である。吐出弁部材94は、吐出弁スプリングホルダ945に保持された吐出弁スプリング943により閉弁方向に付勢されている。
【0040】
リリーフ弁部材96は、第2吐出弁ボディ92の底部に対し加圧室14側に位置し、リリーフ通路97を開閉可能である。リリーフ弁部材96は、リリーフ弁スプリングホルダ965に保持されたリリーフ弁スプリング963により閉弁方向に付勢されている。
【0041】
燃料吸入部70は、ノーマリオープン型であり、吸入弁部71および電磁駆動部81から構成されている。燃料吸入部70は、特許請求の範囲に記載の「弁装置」に相当する。また、電磁駆動部81は、特許請求の範囲に記載の「駆動部」に相当する。
吸入弁部71は、第1吸入弁ボディ72、第2吸入弁ボディ73、吸入弁部材74およびスプリングガイド75等を有する。
【0042】
第1吸入弁ボディ72は、円筒状であり、吸入通路152の内壁に固定されている。第1吸入弁ボディ72は、内部に吸入室711を有する。吸入室711には、第2吸入弁ボディ73が設けられている。第2吸入弁ボディ73は、円筒状であり、内部空間を仕切る隔壁からなる弁座78を有する。第2吸入弁ボディ73は、特許請求の範囲に記載の「弁ボディ」に相当する。
【0043】
吸入弁部材74は、円板状であり、弁座78に対し加圧室14側に位置し、弁座78に当接および離間可能である。吸入弁部材74は、弁座78から離間することで吸入室711と加圧室14とを連通させる。また、吸入弁部材74は、弁座78に当接することで吸入室711と加圧室14とを遮断する。吸入弁部材74は、特許請求の範囲に記載の「弁部材」に相当する。
【0044】
スプリングガイド75は、有底円筒状であり、第2吸入弁ボディ73に対し加圧室14側に設けられている。スプリングガイド75は、特許請求の範囲に記載の「カバー部材」に相当する。スプリングガイド75と吸入弁部材74との間には、第1スプリング76が設けられている。第1スプリング76は、吸入弁部材74を閉弁方向に付勢している。
【0045】
電磁駆動部81は、可動コア84、ニードル86、ニードルガイド85および電磁石82等を有する。
可動コア84は、円筒状であり、第1吸入弁ボディ72内で軸方向に移動可能に設けられている。可動コア84は、ニードル86の一端部に固定されている。ニードル86は、第1吸入弁ボディ72内でニードルガイド85により軸方向に移動可能に支持されている。ニードル86は、可動コア84と一体に移動可能であり、他端部が吸入弁部材74に当接可能である。可動コア84およびニードル86は、電磁駆動部81の可動部材である。
【0046】
ニードル86は、ニードルガイド85に対し弁座78側で径外方向に突き出す環状のストッパ部861を形成している。ニードル86は、ストッパ部861がニードルガイド85に当接するまで固定コア83側に移動可能である。
ニードルガイド85の可動コア84側の一端部は、径内方向に突出する第1鍔部852を形成している。ニードル86は、ニードルガイド85の他端部に対応する位置で径外方向に突出する第2鍔部862を形成している。
【0047】
第1鍔部852と第2鍔部862との間には、第2スプリング88が設けられている。第2スプリング88は、第1スプリング76が吸入弁部材74を閉弁方向に付勢する力よりも強い力で、ニードル86を開弁方向(図1の右方向)に付勢している。ニードル86は、第2スプリング88による付勢力を受け、吸入弁部材74を開弁方向に押圧する。
【0048】
電磁石82は、固定コア83およびコイル87等を有する。固定コア83は、磁性材料からなり、可動コア84に対し吸入弁部材74とは反対側に設けられている。コイル87は、固定コア83に対し径外方向に設けられている。コイル87を通電すると固定コア83が磁化する。磁化した固定コア83は、第2スプリング88の付勢力に抗して可動コア84を吸引する。ニードル86は、固定コア83に吸引される可動コア84と共に移動する。これにより、吸入弁部材74は、弁座78側への移動が許容される。すなわち閉弁可能となる。
【0049】
固定コア83の磁力は、コイル87への通電を止めると失われる。ニードル86は、固定コア83の磁気的吸引力が無くなると、第2スプリング88の付勢力により吸入弁部材74に移動する。これにより、吸入弁部材74は、弁座78側への移動が規制される。すなわち開弁する。
【0050】
次に、吸入弁部71の構成を図4から図7に基づき詳しく説明する。
弁座78は、径方向で内側に位置する内側流路781および径方向で外側に位置する外側流路782を有する。内側流路781は、ニードル86と同軸上に設けられている。外側流路782は、周方向に延びる円弧状の孔である。外側流路782は、周方向で等間隔に3つ形成されている。内側流路781および外側流路782は、燃料の流路として機能する。また、内側流路781は、ニードル86の挿通孔としても機能する。
【0051】
吸入弁部材74は、軸中心部に第1スプリング76の一端が嵌合する嵌合穴741を有する。嵌合穴741は非貫通穴である。また、吸入弁部材74は、弁座78とは反対側に複数の有底穴742を有する。有底穴742は、周方向で等間隔に5つ形成されている。また、吸入弁部材74は、有底穴742の底面のうち径内部から弁座78側に貫通する第1流路743を有する。第1流路743は、径方向で内側流路781と外側流路782との間に位置している。第1流路743は、燃料の流路として機能する。
【0052】
吸入弁部材74は、第1流路743に対し径外方向で第1流路743よりも加圧室14側に突き出す第1突部744を形成している。第1突部744は、加圧室14から吸入弁部材74に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0053】
スプリングガイド75は、第1スプリング76の他端が嵌合する嵌合突部753を形成している。また、スプリングガイド75は、嵌合突部753に対し径外方向で軸方向に貫通する第3流路754を有する。第3流路754は、周方向で等間隔に複数設けられている。
【0054】
互いに対向する吸入弁部材74の第1壁745および弁座78の第2壁783は、平面を有する。吸入弁部材74の第1壁745は、第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝746を有する。弁座78の第2壁783は、開弁時および閉弁時の両方で第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝784と、外側流路782に連通し且つ第1流路743と第1均圧溝746と第1均圧溝784とを取り囲む環状の第2均圧溝785とを有する。第1均圧溝746および第1均圧溝784は、径方向で互いに重なるように形成されている。また、弁座78の第2壁783は、吸入弁部材74の第1壁745の外周部に対向する位置に環状溝786を有する。
【0055】
第2壁783は、第1シール部787と第2シール部788と第3シール部789とを有する。第1シール部787は、吸入弁部材74と弁座78との当接時、内側流路781と、第1流路743、第1均圧溝746および784との間をシールする。第2シール部788は、吸入弁部材74と弁座78との当接時、第1流路743、第1均圧溝746および第1均圧溝784と、外側流路782および第2均圧溝785との間をシールする。第3シール部789は、吸入弁部材74と弁座78との当接時、外側流路782および第2均圧溝785と、吸入弁部材74に対し径外方向に位置する径外流路80との間をシールする。吸入弁部71は、複数のシール部を有するマルチシート型バルブである。
【0056】
次に、高圧ポンプ1の作動を説明する。
(I)吸入行程
前記カムシャフトの回転によりプランジャ21が上死点から下死点に向かって下降するとき、加圧室14の容積が増加するとともに加圧室14内の燃料の圧力が減少する。このとき、吐出通路95は吐出弁部材94により遮断される。また、コイル87への通電が止められると、ニードル86は、第2スプリング88の付勢力により吸入弁部材74側に移動する。これにより、ニードル86が吸入弁部材74を押圧し、吸入弁部71は開弁する。その結果、吸入室711から吸入孔141を経由して加圧室14に燃料が吸入される。
【0057】
(II)調量行程
前記カムシャフトの回転によりプランジャ21が下死点から上死点に向かって上昇するとき、加圧室14の容積が減少する。その際、所定の時期まではコイル87への通電を止め、吸入弁部71が開弁する。このため、吸入行程で加圧室14に吸入された低圧燃料の一部が吸入弁部71を経由して燃料供給側に戻る。このときの燃料は、図8に実線の矢印で示すように第1流路743、第1均圧溝746および第1均圧溝784を通って内側流路781に至る経路と、図8に破線の矢印で示すように第1流路743、第1均圧溝746および第1均圧溝784を通って外側流路782に至る経路と、図8に一点鎖線の矢印で示すように吸入弁部材74の径外側の通路および第2均圧溝785を通って外側流路782に至る経路とを流れる。
【0058】
このとき、第1均圧溝746内、第1均圧溝784内および第2均圧溝785内に流入する燃料の圧力による力は、吸入弁部材74に開弁方向に作用する。この開弁方向の力は、吸入弁部材74に周方向で等しく作用し、吸入弁部材74に向かう閉弁方向の燃料の流れから吸入弁部材74が受ける力を相殺する。
【0059】
そして、プランジャ21が上昇する途中の所定の時期にコイル87に通電することで、固定コア83と可動コア84との間に磁気的吸引力が発生する。この磁気的吸引力が第2スプリング88の付勢力から第1スプリング76の付勢力を引いた合力より大きくなると、可動コア84およびニードル86が固定コア83側に移動する。これにより、ニードル86の吸入弁部材74への押圧力が解除される。その結果、第1スプリング76の付勢力と燃料の流れにより発生する動圧とにより吸入弁部材74が弁座78に当接し、吸入弁部71は閉弁する。
【0060】
(III)加圧行程
吸入弁部71の閉弁後、プランジャ21の上昇と共に加圧室14の容積が減少し、加圧室14内の燃料の圧力が増加する。加圧室14の燃圧により吐出弁部材94に作用する力が、吐出弁スプリング943の付勢力と燃料吐出口99側の燃圧により吐出弁部材94に作用する力との合計よりも大きくなると、吐出弁部材94は開弁する。これにより、加圧室14で加圧された加圧燃料が吐出孔142等を経由して燃料吐出口99から吐出する。
高圧ポンプ1は、吸入行程、調量行程および加圧行程を繰り返し、吸入した燃料を調量し加圧して燃料吐出口99から吐出する。
【0061】
以上説明したように、第1実施形態では、弁座78は、径方向において内側に位置する内側流路781および外側に位置する外側流路782を有する。吸入弁部材74は、有底穴742の底面から弁座78側に貫通する第1流路743を有する。第1流路743は、径方向において内側流路781と外側流路782との間に形成される。第1流路743、内側流路781および外側流路782は、燃料の流路として機能する。
【0062】
そのため、径外流路80しか持たない構成のものと比べて、開弁時における吸入弁部材74の弁座78からのリフト量L(図4参照)を小さくしても同等の流路面積を確保することができる。したがって、リフト量Lを小さくすることができ、電磁駆動部81の出力すなわち吸引力を小さくすることができる。そのためコイル87を小型化する等により電磁駆動部81を小型化可能である。また、コイル87の印可電流が小さくなることで消費電力が少なくなるとともに、作動音も小さくなる。また、コイル87への通電を制御する駆動回路は、高価な素子が不要となるので、製造コストが安くなる。
【0063】
また、第1実施形態では、吸入弁部材74の第1壁745は、第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝746を有する。弁座78の第2壁783は、開弁時および閉弁時の両方において第1流路743に連通し且つ内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝784と、外側流路782に連通し且つ第1流路743と第1均圧溝746と第1均圧溝784とを取り囲む環状の第2均圧溝785とを有する。調量時に第1均圧溝746内、第1均圧溝784内および第2均圧溝785内に流入する燃料の圧力による力は、吸入弁部材74に開弁方向に作用する。この開弁方向の力は、吸入弁部材74に周方向で等しく作用し、吸入弁部材74に向かう閉弁方向の燃料の流れから吸入弁部材74が受ける力を相殺する。
【0064】
そのため、第2スプリング88の付勢力が小さくても、燃料の流れに伴って発生する動圧の影響で閉弁する所謂自閉を抑制することができる。したがって、第2スプリング88の付勢力に抗してニードル86を移動させる電磁駆動部81の吸引力を小さくすることができるため、電磁駆動部81をさらに小型化可能である。
【0065】
また、第1実施形態では、第1流路743は、有底穴742の底面のうち径内側に位置する。吸入弁部材74は、第1流路743の径外側において第1流路743よりも加圧室14側に突出する第1突部744を形成する。この第1突部744は、加圧室14から吸入弁部材74に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。吸入弁部材74に向かう燃料を第1突部744が第1流路743に導くことで、燃料の流れに伴って吸入弁部材74に作用する動圧による作用力を低減可能である。
【0066】
したがって、第2スプリング88の付勢力を小さくしても動圧の影響で閉弁することを抑制することができる。したがって、第2スプリング88の付勢力に抗してニードル86を移動させる電磁駆動部81の吸引力を小さくすることができるため、電磁駆動部81をさらに小型化可能である。
【0067】
また、第1実施形態では、弁座78の第2壁783は、吸入弁部材74の第1壁745の外周部に対向する位置に環状溝786を有する。環状溝786内の燃料の圧力は、吸入弁部材74に対して開弁方向に作用する。そのため、動圧の影響で閉弁することを一層抑制することができるので、電磁駆動部81を一層小型化可能である。
【0068】
また、第1実施形態では、第1流路743は、周方向において等間隔に形成される。そのため、第1均圧溝746、第1均圧溝784および第2均圧溝785に流入する燃料を周方向で均一にすることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、第1壁745および第2壁783は、平行に且つ平面に形成される。そのため、吸入弁部材74と弁座78とのシール性を確実とすることができるとともに、第1シール部787、第2シール部788および第3シール部789を安価に加工することができる。
【0070】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による吸入弁部を図9に基づき説明する。吸入弁部41の第1均圧溝421および第2均圧溝422は、吸入弁部材42に形成されている。そのため、第1実施形態と比べ、吸入弁部材42が軽量化されるので、電磁駆動部の吸引力を小さくすることができる。したがって、電磁駆動部の小型化が実現する。また、第2吸入弁ボディ43の加工コストを下げることができる。
【0071】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による吸入弁部を図10に基づき説明する。吸入弁部44の吸入弁部材45の第1突部451の径内壁は、弁座78側ほど第1流路743に近づく。したがって、加圧室側から第1突部451に向かう燃料は、第1突部451の径内壁に沿って径内方向に導かれる。そのため、調量時に加圧室から吸入弁部材45に向かう燃料を円滑に第1流路743に導くことができる。
【0072】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図11に基づき説明する。吸入弁部材46は、第1円板部材461および第2円板部材462が積層されてなる。吸入弁部材46は、第1突部463を形成している。第1突部463は、案内手段として機能する。第1円板部材461および第2円板部材462は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また、第2円板部材462はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。そのため、加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材46を安価に製作可能である。
【0073】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図12に基づき説明する。吸入弁部材47は、第1円板部材471と第2円板部材472とが組み合わされてなる。吸入弁部材47は、燃料の流路として機能する第1流路473を有する。また、吸入弁部材47は、第1流路473に対し径外方向に環状の第1突部474を形成している。第1突部474は、案内手段として機能する。第1円板部材471および第2円板部材472は、例えば、プレス加工等により成形された後、圧入、接着、溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また、第2円板部材472はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。そのため、第4実施形態と同様に加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材47を安価に製作可能である。
【0074】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図13に基づき説明する。吸入弁部材48は、第1円板部材481および第2円板部材482が積層されてなる。吸入弁部材48は、燃料の流路として機能する第1流路483を有する。また、吸入弁部材48は、第1流路483に対し径外方向に第1突部484を形成している。第1突部484は、案内手段として機能する。第1円板部材481および第2円板部材482は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また第2円板部材482はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。そのため、第4実施形態と同様に加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材48を安価に製作可能である。
【0075】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による吸入弁部の吸入弁部材を図14に基づき説明する。吸入弁部材49は、円板部材491、第1円環部材492および第2円環部材493が積層されてなる。吸入弁部材49は、燃料の流路として機能する第1流路494を有する。また、吸入弁部材49は、第1流路494に対し径外方向に第1突部495を形成している。第1突部495は、案内手段として機能する。円板部材491、第1円環部材492および第2円環部材493は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。また、第2円環部材492はシール部位同士の当接には寄与しないため樹脂のモールドによって構成してもよい。
【0076】
そのため、第4実施形態と同様に加工コストが高い切削工程を少なくし、吸入弁部材49を安価に製作可能である。また、第2円環部材492および第3円環部材493は、同じような機能を持つ第6実施形態の第2円板部材482と比べて、形状が単純であり製作が容易である。
【0077】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態による吸入弁部を図15から図17に基づき説明する。吸入弁部50の弁座51は、第1円板部材511および第2円板部材512が積層されてなる。第1円板部材511および第2円板部材512は、例えば、プレス加工等により成形された後、接着や溶接、あるいは拡散接合などにより接合される。そのため、加工コストが高い切削工程を少なくし、弁座51を安価に製作可能である。
【0078】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態による吸入弁部を図18に基づき説明する。吸入弁部52の吸入弁部材53は、スプリングガイド54側に突出する環状のピンガイド部531を形成している。スプリングガイド54は、吸入弁部材53側に突出する環状のピンガイド部541を形成している。ピンガイド部531および541には、「ガイド部材」としての位置決めピン55が嵌合している。吸入弁部材53は、位置決めピン55によって径方向の移動が規制され、安定して軸方向に移動することができる。
【0079】
スプリングガイド54は、第1流路743に対し径外方向で吸入弁部材53側に突出する環状の第2突部542を形成している。第2突部542の先端は、開弁時に吸入弁部材53の第1突部744に当接可能である。第2突部542は、吸入弁部材53の弁座78とは反対側への移動を規制する規制手段として機能するとともに、調量時に加圧室から吸入弁部材53に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0080】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態による吸入弁部を図19に基づき説明する。吸入弁部56の吸入弁部材57は、第1実施形態の吸入弁部材74と比べて、第1突部744が形成されない他は同様の構成である。スプリングガイド58は、第1流路743に対し径外方向で吸入弁部材57側に突出する環状の第2突部581を形成している。第2突部581は、吸入弁部材57の弁座78とは反対側への移動を規制する規制手段として機能するとともに、調量時に加圧室から吸入弁部材57に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0081】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態による吸入弁部を図20に基づき説明する。吸入弁部59のスプリングガイド60が形成する第2突部601の先端は、外側流路782よりも径内方向に位置する。したがって、第2突部601の先端は、第1流路743に接近する位置に設けられている。そのため、調量時に加圧室から吸入弁部材61に向かう燃料は、第2突部601により円滑に第1流路743に導かれる。
【0082】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態による吸入弁部を図21に基づき説明する。吸入弁部62の吸入弁部材63は、第1スプリング65の嵌合穴631を有する。スプリングガイド64は、第1スプリング65が嵌合する嵌合突部641を形成している。吸入弁部材63とスプリングガイド64との間に介在する第1スプリング65は、第1流路743および第3流路754を取り囲むように設けられている。調量時に加圧室から第3流路754を通じてスプリングガイド64内に流入する燃料は、第1スプリング65によって径外方向への流れが抑制される。このため、第1スプリング65は、加圧室から吸入弁部材63に向かう燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0083】
(第12実施形態の変形例)
第12実施形態の変形例による吸入弁部を図22に基づき説明する。吸入弁部66のスプリングガイド67の第3流路671は、第12実施形態のスプリングガイド64の第3流路754とは異なる。第3流路671は、スプリングガイド67の軸中心部に設けられている。第3流路671を通じてスプリングガイド67内に流入する燃料は、第12実施形態と同様に第1スプリング65によって径外方向への流れが抑制される。
【0084】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態による吸入弁部を図23および図24に基づき説明する。吸入弁部68は、吸入弁部材74に対し弁座78とは反対側に位置するストッパ69を有する。ストッパ69は、円板状であり、開弁時に吸入弁部材74に当接し、吸入弁部材74の開弁方向の移動を規制する。ストッパ69は、径外部に周方向に延びる溝691を有する。溝691は、周方向で等間隔に3つ形成され、燃料の流路として機能する。ストッパ69は、軸中心部692が吸入弁部材74とは反対側に突き出す。第1スプリング76は、吸入弁部材74とストッパ69の軸中心部692との間に設けられている。ストッパ69は、軸方向に見て吸入弁部材74の第1流路743と重なる位置に通孔693を有する。通孔693は、周方向で等間隔に3つ設けられている。
【0085】
調量時に加圧室から吸入弁部材74に向かう燃料は、通孔693を通じてストッパ69と吸入弁部材74との間に流入する。ストッパ69と吸入弁部材74との間に流入する燃料は、第1突部744およびストッパ69によって径外方向への流出が抑制され、第1流路743に導かれる。第13実施形態では、ストッパ69および第1突部744は、燃料を第1流路743に導く案内手段として機能する。
【0086】
(第14実施形態)
本発明の第14実施形態による吸入弁部を図25〜図27に基づき説明する。吸入弁部25は、吸入弁部材26およびストッパ27を有する。
吸入弁部材26は、弁座430に対し加圧室14側に位置し、弁座430に当接および離間可能である。吸入弁部材26は、弁座430から離間することで吸入室711と加圧室14とを連通させ、弁座430に当接することで吸入室711と加圧室14とを遮断する。
【0087】
吸入弁部材26は、当該吸入弁部材26に対し径外方向に位置する径外流路262を絞るように径外方向に突き出す突出部261を形成している。突出部261は、周方向で等間隔に3つ形成されている。突出部261の径外壁は、第2吸入弁ボディ73の内壁に摺動可能である。
【0088】
吸入弁部材26は、軸中心部に第1スプリング76の一端が嵌合する嵌合突部263を形成している。また、吸入弁部材26は、弁座430とは反対側の壁のうち径外流路262に対応する周方向位置に径外方向から切り欠かれた切欠溝264を有する。切欠溝264は、周方向で等間隔に形成されている。
【0089】
弁座78の第2壁783に対向する吸入弁部材26の第1壁265は、径方向で内側流路781と外側流路782との間に位置し、内側流路781を取り囲む環状の第1均圧溝266を有する。
【0090】
吸入弁部材26は、第1均圧溝266と切欠溝264とを連通させる第1流路267を有する。第1流路267は、径方向で内側流路781と外側流路782との間に位置する。第1流路267は、燃料の流路として機能し、また各均圧溝に燃料を導入する導入口として機能する。
【0091】
突出部261は、加圧室14から吸入弁部材26側に流れる燃料が径外流路262に向かうことを抑制し、燃料を第1流路267に導く案内手段として機能する。加圧室14から吸入弁部材26側に流れる燃料は、突出部261に絞られている径外流路262よりも第1流路267に流れ易い。
【0092】
ストッパ27は、第2吸入弁ボディ73に対し加圧室14側に設けられている。ストッパ27は、径外方向へ突き出す鍔部271を形成し、鍔部271が第2吸入弁ボディ73と上ハウジング15とに挟まれることで固定されている。
【0093】
ストッパ27は、吸入弁部材26との対向壁に、第1スプリング76を収容する収容穴272と、収容穴272を取り囲む環状の環状溝273とを有する。径方向で収容穴272と環状溝273との間には、吸入弁部材26の径内部に当接可能な内側当接部274が形成されている。また、環状溝273の径外方向には、吸入弁部材26の径外部に当接可能な外側当接部275が形成されている。ストッパ27は、内側当接部274および外側当接部275が吸入弁部材26に当接することで、吸入弁部材26の弁座430とは反対側への移動を規制する。
【0094】
ストッパ27は、径方向で内側当接部274と外側当接部275との間の位置に、環状溝273の底面から吸入弁部材26側に貫通する第2流路276を有する。第2流路276は、周方向で等間隔に4つ形成されている。
【0095】
第14実施形態では、ストッパ27は、吸入弁部材26の径内部に当接可能な内側当接部274と、吸入弁部材26の径外部に当接可能な外側当接部275とを有する。したがって、吸入弁部材26がストッパ27に当接するとき、吸入弁部材26の押し付け力がストッパ27の径内部のみに集中して作動することなく、ストッパ27全体に作用する。また、上記押し付け力の反力が吸入弁部材26の径外部のみに集中して作用することなく、吸入弁部材26全体に作用する。
【0096】
そのため、吸入弁部材26およびストッパ27の必要強度が低くなり、吸入弁部材26およびストッパ27を小さく構成することで吸入弁部25の体格を小さくすることができる。また、吸入弁部材26が軽量に構成されることで、ポンプ効率が向上するとともに、振動やノイズの発生が抑制される。また、開弁時の吸入弁部材26の軸方向の振れが抑制され、ポンプ効率が向上する。
【0097】
また、第14実施形態では、ストッパ27は、径方向でストッパ27の内側当接部274と外側当接部275との間の位置に第2流路276を有する。これにより、加圧室14からストッパ27側に向かう燃料は、第2流路276を経由して吸入弁部材26の第1流路267に導かれる。
【0098】
また、第14実施形態では、第1スプリング76は、ストッパ27の内側当接部274の径内方向に設けられている。そのため、第1スプリング76を収容するための空間を別途形成することなく、内側当接部274に対し径内方向の空間を有効に活用し、第1スプリング76を配置することができる。
【0099】
(第14実施形態の変形例)
第14実施形態の変形例による吸入弁部を図28および図29に基づき説明する。吸入弁部28のストッパ29は、第14実施形態のストッパ27と比較し、環状溝273および第2流路276に代えて第2流路291を有する。第2流路291は、軸方向に貫通し、周方向で等間隔に6つ形成されている。第2流路291の内径は、第14実施形態の第2流路276の内径よりも大きい。吸入弁部材26がストッパ29に当接するとき、6つの第2流路291のいずれか1つ以上が連通する。
【0100】
第14実施形態の変形例では、吸入弁部材26がストッパ29に当接するとき、6つの第2流路291のうち連通状態にあるいずれか1つ以上の第2流路291を通じて燃料が流通可能である。また、第14実施形態のように環状溝273が形成される形態と比べ、ストッパ29の強度が高く、またストッパ29の形状が単純でありストッパ29の製作が容易である。
【0101】
(第15実施形態)
本発明の第15実施形態による吸入弁部を図30〜図32に基づき説明する。吸入弁部16は、第2吸入弁ボディ17および吸入弁部材18を有する。
第2吸入弁ボディ17は、筒状の外郭171、および、外郭171の端部を塞ぐ弁座172を有する。第2吸入弁ボディ17は、第1吸入弁ボディ72とストッパ27とに挾持されている。第2吸入弁ボディ17は、特許請求の範囲に記載の「弁ボディ」に相当する。
【0102】
弁座172は、径方向の中央で軸方向に貫通する内側流路173、および、内側流路173に対し径外方向で軸方向に貫通する外側流路174を有する。外側流路174は、周方向で等間隔に10個形成されている。内側流路173および外側流路174は、燃料の流路として機能する。また、内側流路173は、ニードル86の挿通孔としても機能する。
【0103】
吸入弁部材18は、板状であり、弁座172に対し加圧室14側に位置し、弁座172に当接および離間可能である。吸入弁部材18は、弁座172から離間することで吸入室711と加圧室14とを連通させ、弁座172に当接することで吸入室711と加圧室14とを遮断する。
【0104】
吸入弁部材18は、径方向の内側流路173と外側流路174との間の位置で軸方向に貫通する第1流路181を有する。第1流路181は、周方向で等間隔に8個形成されている。第1流路181は、燃料の流路として機能する。
第1スプリング76の一端は、吸入弁部材18の軸中心部の嵌合穴182に係止されている。
【0105】
吸入弁部材18は、当該吸入弁部材18に対し径外方向に位置する径外流路19を絞るように径外方向に突き出す突出部183を形成している。突出部183は、周方向で等間隔に3つ形成されている。突出部183の径外壁は、第2吸入弁ボディ17の内壁に摺動可能である。
突出部183は、加圧室14から吸入弁部材18側に流れる燃料が径外流路19に向かうことを抑制し、燃料を第1流路181に導く案内手段として機能する。
【0106】
吸入弁部材18は、閉弁時、弁座172に当接する第1シール部184、第2シール部185および第3シール部186を形成している。第1シール部184は、径方向で内側流路173と第1流路181との間に位置している。第1シール部184は、吸入弁部材18と弁座172との当接時、内側流路173と第1流路181との間をシールする。
【0107】
第2シール部185は、径方向で第1流路181と外側流路174との間に位置している。第2シール部185は、吸入弁部材18と弁座172との当接時、第1流路181と外側流路174との間をシールする。
第3シール部186は、径方向で外側流路174と径外流路19との間に位置している。第3シール部186は、吸入弁部材18と弁座172との当接時、外側流路174と径外流路19との間をシールする。
【0108】
第15実施形態では、弁座172と吸入弁部材18との間に流入する燃料の圧力による力は、吸入弁部材18の各シール部184、185、186に開弁方向に作用する。この開弁方向の力は、吸入弁部材18に周方向で等しく作用し、加圧室14から吸入弁部材18に向かう燃料の流れにより吸入弁部材18が受ける閉弁方向の力を相殺することができる。
【0109】
したがって、各シール部184、185、186は、閉弁時に各流路間を封止する封止手段として機能する一方で、吸入弁部材18の自閉を抑制する自閉抑制手段としても機能する。そのため、吸入弁部材18を開弁方向に付勢するスプリングの付勢力を小さくしても吸入弁部材18の自閉を抑制可能である。それゆえ、電磁駆動部は、最大出力の低減が可能となり、小型化が実現する。
【0110】
また、第15実施形態では、第1流路181は、周方向で等間隔に8個形成されている。そのため、吸入弁部材18の剛性を周方向で均一にすることができ、閉弁時に吸入弁部材18と弁座172との間に隙間が空くことを周方向にわたって抑制可能である。したがって、閉弁時の液漏れを抑制することができ、ポンプ効率を向上させることができる。
【0111】
(第15実施形態の変形例)
第15実施形態の変形例による吸入弁部を図33および図34に基づき説明する。吸入弁部36の吸入弁部材37は、第15実施形態の吸入弁部材18と比較し、第1流路371および突出部372が異なる。
【0112】
第1流路371は、周方向で等間隔に9つ形成されている。また、突出部372は、周方向で等間隔に3つ形成されている。第15実施形態の変形例は、第15実施形態と同様の効果を奏する。
【0113】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、吸入弁部材の第1流路の数は、7個以下であってもよいし、10個以上であってもよい。
本発明の他の実施形態では、弁座の外側流路の数は、9個以下であってもよいし、11個以上であってもよい。
本発明の他の実施形態では、第1吸入弁ボディと第2吸入弁ボディとを同一部材で構成してもよい。
本発明の他の実施形態では、弁装置が、例えば車両の他の装置、あるいは産業ロボットや工作機械などに適用されてもよい。また、弁装置が開閉する流路を流れる流体は、燃料に限らず、他の液体や気体でもよい。
【0114】
また、本発明の他の実施形態では、弁装置がノーマリクローズ型であってもよい。また、ニードルと弁部材とが一体に構成されてもよい。また、駆動部は、電磁式に限らず、例えば電動式などの他の駆動形式を採用してもよい。また、高圧ポンプの吸入弁部以外の仕様は、上述の実施形態のものに限らない。
【0115】
このように本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0116】
17,43,73・・・第2吸入弁ボディ(弁ボディ)
173,781・・・内側流路
174,782・・・外側流路
18,26,37,42,45,46,47,48,49,53,57,61,63,74・・・吸入弁部材(弁部材)
181,267,371,473,483,494,743・・・第1流路
183,261,372・・・突出部(案内手段)
184・・・第1シール部
185・・・第2シール部
186・・・第3シール部
265,745・・・第1壁
266,421,746,784・・・第1均圧溝
422,785・・・第2均圧溝
451,463,474,484,495,744・・・第1突部(案内手段)
51,78,172,430・・・弁座
542,581,601・・・第2突部(案内手段)
65・・・第1スプリング(案内手段)
69・・・ストッパ(案内手段)
783・・・第2壁
81 ・・・電磁駆動部(駆動部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ボディと、
前記弁ボディの径内方向に位置する内側流路、および、前記弁ボディの径外方向に位置する外側流路を有する弁座と、
前記弁座に当接および離間可能に設けられ、径方向で前記内側流路と前記外側流路との間に位置する第1流路を有する弁部材と、
前記弁部材の前記弁座側への移動を規制可能な駆動部と、
を備え、
前記弁部材は、前記弁座との当接時、前記内側流路と前記第1流路との間をシールする環状の第1シール部と、前記第1流路と前記外側流路との間をシールする環状の第2シール部と、前記外側流路と前記弁部材に対し径外方向に位置する径外流路との間をシールする第3シール部とを形成し、
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側からの流体の流れが前記径外流路に向かうことを抑制し、前記流体を前記弁部材の前記第1流路に導く案内手段をさらに備えることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記第1流路は、周方向で等間隔に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記弁部材は、前記径外流路を絞るように前記径外流路を絞るように径外方向に突き出す複数の突出部を形成し、
前記突出部は、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1または2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側に位置し、前記弁部材の径内部に当接可能な内側当接部と前記弁部材の径外部に当接可能な外側当接部とを形成し、前記弁部材の前記弁座とは反対側への移動を規制するストッパを、さらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
前記ストッパは、径方向で前記内側当接部と前記外側当接部との間の位置に軸方向に貫通する第2流路を有することを特徴とする請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記ストッパの前記内側当接部に対し径内方向に位置し、前記弁部材を前記弁座側に付勢するスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載の弁装置。
【請求項7】
前記弁部材は、前記第1流路に対し径外方向で前記弁座とは反対側に突き出す第1突部を形成し、
前記第1突部は、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項8】
前記第1突部の径内壁は、前記弁座側ほど前記第1流路に近づくことを特徴とする請求項7に記載の弁装置。
【請求項9】
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側に位置し、軸方向に貫通する第3流路を有し、前記第1流路に対し径外方向で前記弁部材側に突き出す第2突部を形成するカバー部材を、さらに備え、
前記第2突部は、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1〜3、7、8のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項10】
前記第2突部は、前記弁部材の前記カバー部材側への移動を規制する規制手段として機能することを特徴とする請求項9に記載の弁装置。
【請求項11】
前記第2突部の先端は、前記外側流路に対し径内方向に位置することを特徴とする請求項9または10に記載の弁装置。
【請求項12】
前記カバー部材と前記弁部材との間に位置し、前記第1流路および前記第3流路を取り囲むように設けられ、前記弁部材を前記弁座側に付勢するスプリングをさらに備え、
前記スプリングは、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項13】
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側に位置し、軸方向に貫通する第3流路を有するカバー部材と、
前記カバー部材と前記弁部材との間に位置し、前記第1流路および前記第3流路を取り囲むように設けられ、前記弁部材を前記弁座側に付勢するスプリングと、
をさらに備え、
前記スプリングは、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1〜3、7、8のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項14】
互いに対向する前記弁部材の第1壁および前記弁座の第2壁の一方、または両方は、前記第1流路に連通し且つ前記内側流路を取り囲む環状の第1均圧溝を有し、
前記第1壁および前記第2壁の一方、または両方は、前記外側流路に連通し且つ前記第1均圧溝および前記第1流路を取り囲む環状の第2均圧溝を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項15】
前記第1均圧溝および前記第2均圧溝は、前記弁部材が有していることを特徴とする請求項14に記載の弁装置。
【請求項16】
前記弁部材の軸方向の移動を許容しつつ当該弁部材の径方向の移動を規制するガイド部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項17】
前記弁部材は、複数の部材が積層されてなることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項18】
前記弁座は、複数の部材が積層されてなることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項19】
プランジャと、
有底筒状であり、前記プランジャを軸方向に往復移動可能に支持し、前記プランジャが移動すると容積が変化する加圧室を有するシリンダと、
請求項1〜18のいずれか一項に記載の弁装置によって構成され、前記プランジャの下降時に前記弁部材を開弁させ前記加圧室に燃料を供給するとともに、前記プランジャの上昇開始時または上昇途中に前記弁部材を閉弁させ前記加圧室内の燃料の加圧を可能とする燃料吸入部と、
を備えることを特徴とする高圧ポンプ。
【請求項1】
弁ボディと、
前記弁ボディの径内方向に位置する内側流路、および、前記弁ボディの径外方向に位置する外側流路を有する弁座と、
前記弁座に当接および離間可能に設けられ、径方向で前記内側流路と前記外側流路との間に位置する第1流路を有する弁部材と、
前記弁部材の前記弁座側への移動を規制可能な駆動部と、
を備え、
前記弁部材は、前記弁座との当接時、前記内側流路と前記第1流路との間をシールする環状の第1シール部と、前記第1流路と前記外側流路との間をシールする環状の第2シール部と、前記外側流路と前記弁部材に対し径外方向に位置する径外流路との間をシールする第3シール部とを形成し、
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側からの流体の流れが前記径外流路に向かうことを抑制し、前記流体を前記弁部材の前記第1流路に導く案内手段をさらに備えることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記第1流路は、周方向で等間隔に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記弁部材は、前記径外流路を絞るように前記径外流路を絞るように径外方向に突き出す複数の突出部を形成し、
前記突出部は、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1または2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側に位置し、前記弁部材の径内部に当接可能な内側当接部と前記弁部材の径外部に当接可能な外側当接部とを形成し、前記弁部材の前記弁座とは反対側への移動を規制するストッパを、さらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
前記ストッパは、径方向で前記内側当接部と前記外側当接部との間の位置に軸方向に貫通する第2流路を有することを特徴とする請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記ストッパの前記内側当接部に対し径内方向に位置し、前記弁部材を前記弁座側に付勢するスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載の弁装置。
【請求項7】
前記弁部材は、前記第1流路に対し径外方向で前記弁座とは反対側に突き出す第1突部を形成し、
前記第1突部は、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項8】
前記第1突部の径内壁は、前記弁座側ほど前記第1流路に近づくことを特徴とする請求項7に記載の弁装置。
【請求項9】
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側に位置し、軸方向に貫通する第3流路を有し、前記第1流路に対し径外方向で前記弁部材側に突き出す第2突部を形成するカバー部材を、さらに備え、
前記第2突部は、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1〜3、7、8のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項10】
前記第2突部は、前記弁部材の前記カバー部材側への移動を規制する規制手段として機能することを特徴とする請求項9に記載の弁装置。
【請求項11】
前記第2突部の先端は、前記外側流路に対し径内方向に位置することを特徴とする請求項9または10に記載の弁装置。
【請求項12】
前記カバー部材と前記弁部材との間に位置し、前記第1流路および前記第3流路を取り囲むように設けられ、前記弁部材を前記弁座側に付勢するスプリングをさらに備え、
前記スプリングは、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項13】
前記弁部材に対し前記弁座とは反対側に位置し、軸方向に貫通する第3流路を有するカバー部材と、
前記カバー部材と前記弁部材との間に位置し、前記第1流路および前記第3流路を取り囲むように設けられ、前記弁部材を前記弁座側に付勢するスプリングと、
をさらに備え、
前記スプリングは、前記案内手段として機能することを特徴とする請求項1〜3、7、8のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項14】
互いに対向する前記弁部材の第1壁および前記弁座の第2壁の一方、または両方は、前記第1流路に連通し且つ前記内側流路を取り囲む環状の第1均圧溝を有し、
前記第1壁および前記第2壁の一方、または両方は、前記外側流路に連通し且つ前記第1均圧溝および前記第1流路を取り囲む環状の第2均圧溝を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項15】
前記第1均圧溝および前記第2均圧溝は、前記弁部材が有していることを特徴とする請求項14に記載の弁装置。
【請求項16】
前記弁部材の軸方向の移動を許容しつつ当該弁部材の径方向の移動を規制するガイド部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項17】
前記弁部材は、複数の部材が積層されてなることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項18】
前記弁座は、複数の部材が積層されてなることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項19】
プランジャと、
有底筒状であり、前記プランジャを軸方向に往復移動可能に支持し、前記プランジャが移動すると容積が変化する加圧室を有するシリンダと、
請求項1〜18のいずれか一項に記載の弁装置によって構成され、前記プランジャの下降時に前記弁部材を開弁させ前記加圧室に燃料を供給するとともに、前記プランジャの上昇開始時または上昇途中に前記弁部材を閉弁させ前記加圧室内の燃料の加圧を可能とする燃料吸入部と、
を備えることを特徴とする高圧ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
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【図34】
【公開番号】特開2012−251658(P2012−251658A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41394(P2012−41394)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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