説明

当接板、その固定バンド、それらを備える梱包材及び梱包構造体

【課題】 電子機器部材形成用フィルムが巻回された巻回体における端面の保持性に優れ、輸送時の衝撃等による端面ずれを抑制できる当接板、その固定バンド、それらを備える梱包材及び梱包構造体を提供する。
【解決手段】 本発明の梱包材は、巻芯22とこの巻芯22に巻回された電子機器部材形成用フィルム21とを備える巻回体2を収納する箱部5を備えた梱包材であって、前記箱部5内には、巻回された前記電子機器部材形成用フィルム21の端面に平面部が当接される当接板3と、前記当接板3における前記電子機器部材形成用フィルム21側の反対面側を押さえる鍔部を備え、且つ前記巻芯22に着脱可能に構成された固定バンド4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当接板、その固定バンド、それらを備える梱包材及び梱包構造体に関する。更に詳しくは、電子機器部材形成用フィルムが巻回された巻回体における端面の保持性に優れ、輸送時の衝撃等による端面ずれを抑制できる当接板、その固定バンド、それらを備える梱包材及び梱包構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマディスプレイパネルなどの電子機器における、誘電体層、電極、隔壁、蛍光体、抵抗体、カラーフィルタ、ブラックマトリックス等の構成部材を形成するために、長尺帯状の転写フィルムが用いられている。
このような転写フィルムは、例えば、プラスチック製の支持フィルム上にペースト状の材料層が形成されてなり、通常、円筒状等の巻芯に巻き付けられて巻回体とされ、更に梱包箱に収納した状態で輸送されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
しかしながら、電子機器部材形成用の転写フィルムにおいては、ペースト層の膜厚形状等を保護する必要から、巻芯にきつく巻回することができないため、輸送時の衝撃などによる端面ずれの不具合が生じ易く、上記特許文献等を含む従来の梱包箱では、巻回されたフィルムの端面ずれを確実に防止できていないのが現状である。この端面ずれは、ペースト層に損傷を与えることがあり、プラズマディスプレイパネル等の最終製品における形状や性能に悪影響を及ぼすおそれがあるため、問題となっている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−310238号公報
【特許文献2】特開平11−130062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電子機器部材形成用フィルムが巻回された巻回体における端面の保持性に優れ、輸送時の衝撃等による端面ずれを抑制できる当接板、その固定バンド、それらを備える梱包材及び梱包構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す通りである。
1.巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体を収納する箱部を備えた梱包材であって、
前記箱部内には、巻回された前記電子機器部材形成用フィルムの端面に平面部が当接される当接板と、
前記当接板における前記電子機器部材形成用フィルム側の反対面側を押さえる鍔部を備え、且つ前記巻芯に着脱可能に構成された固定バンドと、を備えることを特徴とする梱包材。
2.前記当接板は、透明又は半透明の材質からなる上記1に記載の梱包材。
3.前記当接板は、前記巻芯からの脱落を防止する脱落防止部を備える上記1又は2に記載の梱包材。
4.前記固定バンドは、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第1バンド部と、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第2バンド部と、該第1バンド部及び該第2バンド部の少なくとも一方に形成された前記鍔部と、該第1バンド部及び該第2バンド部を連結するヒンジ部と、からなり、
前記巻芯を取り囲むように配設され、前記第1バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部には、前記第2バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部に形成された引掛け部に掛着するための接続部が形成されており、且つ該接続部は弾性体により伸縮可能に形成されている上記1乃至3のいずれかに記載の梱包材。
5.前記引掛け部は、前記接続部が掛着されたときに弾性変形可能に構成されている上記4に記載の梱包材。
6.前記第1バンド部及び前記第2バンド部のうちの少なくとも一方の内周面には滑り止め層が形成されている上記4又は5に記載の梱包材。
7.前記箱部内には、前記巻回体、前記当接板及び前記固定バンドが前記箱部の内表面に接触しないように、前記巻芯の端部を支持する巻芯支持部材を更に備える上記1乃至6のいずれかに記載の梱包材。
8.前記当接板と前記巻芯支持部材との間、及び、該巻芯支持部材と前記箱部の内側面との間の少なくとも一方にスペーサを更に備える上記7に記載の梱包材。
9.前記箱部の下面には、搬送機のフォークを挿入可能な挿入部を形成した台座が形成されている上記1乃至8のいずれかに記載の梱包材。
10.巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体が、上記1乃至9のいずれかに記載の梱包材に梱包されていることを特徴とする梱包構造体。
11.巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体における該巻芯に取り付けられると共に、前記電子機器部材形成用フィルムの端面に平面部が当接される当接板であって、前記巻芯からの脱落を防止する脱落防止部を備えることを特徴とする当接板。
12.巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体における該電子機器部材形成用フィルムの端面に当接された当接板を固定するために、前記巻芯を取り囲むように配設され、且つ前記巻芯に着脱可能に構成される固定バンドであって、
前記当接板を該当接板における前記電子機器部材形成用フィルム側の反対面側から押さえる鍔部と、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第1バンド部と、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第2バンド部と、該第1バンド部及び該第2バンド部を連結するヒンジ部と、を備え、
前記鍔部は、前記第1バンド部及び前記第2バンド部の少なくとも一方に形成されており、前記第1バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部には、前記第2バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部に形成された引掛け部に掛着するための接続部が形成されており、該接続部は弾性体により伸縮可能に形成されていることを特徴とする固定バンド。
【発明の効果】
【0007】
上記1.に示すように、本発明の梱包材によれば、巻回体における電子機器部材形成用フィルムの端面を当接板により当接し、巻芯に着脱可能に構成された固定バンドの鍔部により当接板を固定している。よって、輸送時の衝撃などにより、巻回された電子機器部材形成用フィルムの端面がずれることを防止できる。更には、巻回体を転写機にセットする際、固定バンド及び当接板を装着したまま所定部位に移動させることができるため、この移動時に生じる端面ずれの発生も防止することができる。
【0008】
上記2.に示すように、前記当接板が透明又は半透明の材質からなる場合には、巻回された電子機器部材形成用フィルムの端面の状態を当接板越しに目視できるため、十分な品質管理ができる。
【0009】
上記3.に示すように、前記当接板が巻芯からの脱落を防止する脱落防止部を備える場合には、固定バンドを着脱する際に該当接板が脱落するのを防止できるため、巻回体の収納時や取り出し時における作業効率が向上する。
【0010】
上記4.に示すように、前記固定バンドが特定の構造である場合には、固定バンドを巻芯を取り囲むように配設することができるため、電子機器部材形成用フィルムの端面に当接する当接板をより確実に固定することができる。
【0011】
上記5.に示すように、前記引掛け部が、接続部が掛着されたときに弾性変形可能に構成されている場合には、電子機器部材形成用フィルムの端面に当接する当接板をより確実に固定することができる。
【0012】
上記6.に示すように、前記第1バンド部及び前記第2バンド部のそれぞれの内周面に滑り止め層が形成されている場合には、輸送時の衝撃等により固定バンドが巻芯からずれることを十分に防止できる。
【0013】
上記7.に示すように、前記巻回体、当接板及び固定バンドが箱部の内表面に接触しないように、巻芯の端部を支持する巻芯支持部材を更に備える場合には、輸送時の衝撃などをより緩和することができる。
【0014】
上記8.に示すように、前記当接板における固定バンド側と前記支持部材との間にスペーサが配置されている場合には、巻回体にかかる輸送時の衝撃等をより緩和することができる。
【0015】
上記9.に示すように、前記巻回体を収納する箱部の下面に、搬送機のフォークを挿入可能な挿入部が形成された台座を備える場合には、工場や倉庫等において、巻回体が収納された梱包材の運搬作業が容易となる。
【0016】
上記10.に示すように、本発明の梱包構造体によれば、本発明の梱包材により巻回体が梱包されているため、巻回体における電子機器部材形成用フィルムは、輸送時の衝撃などから十分に保護され、端面ずれの発生を抑制することができる。
【0017】
上記11.に示すように、本発明の当接板によれば、巻芯からの脱落を防止する脱落防止部を備えているため、固定バンドを着脱する際に該当接板が脱落するのを防止できる。その結果、巻回体の収納時や取り出し時における作業効率を向上させることができる。
【0018】
上記12.に示すように、本発明の固定バンドによれば、巻芯を取り囲むように配設することができるため、電子機器部材形成用フィルムの端面に当接する当接板をより確実に固定することができる。その結果、輸送時の衝撃等により固定バンドが巻芯からずれることを十分に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の梱包材は、巻芯とこの巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体を収納する箱部を備えた梱包材であって、箱部内には当接板と固定バンドとを備えていることを特徴とする。
また、本発明の梱包構造体は、巻芯とこの巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体が、前記梱包材に梱包されていることを特徴とする。
具体的には、例えば、図1及び図2に示すように、巻芯22に電子機器部材形成用フィルム21が巻回された巻回体2が、箱部5に収納された梱包構造体1を挙げることができる。このものでは、電子機器部材形成用フィルム21の端面に当接板3の平面部が当接し、更にこの当接板3における電子機器部材形成用フィルム21側と反対面側には固定バンド4が配設されている。
【0020】
上記「巻回体」は、巻芯と、この巻芯に巻回される電子機器部材形成用フィルムとを備えている。尚、電子機器部材形成用フィルムについては、後に詳述する。
上記「巻芯」の形状としては、例えば、円筒形状、棒形状等が挙げられる。これらのなかでも、円筒形状であることが好ましい。
また、巻芯の寸法は、巻回される電子機器部材形成用フィルムの寸法により適宜調整される。
更に、この巻芯の材質としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート及びポリ塩化ビニル(PVC)等の硬質樹脂等が挙げられる。
【0021】
上記「当接板」は、巻回体における端面ずれの発生を抑制するため、その平面部において電子機器部材形成用フィルムの端面を押圧固定するものである。また、この当接板は、周縁が巻芯に接触した状態で、固定バンドによって固定される。
当接板の形状は、平面部によって電子機器部材形成用フィルムの端面を十分に押圧できるものであれば特に限定されない。例えば、図3に示すような、略U字形状の切欠き部31が形成された略円形状の平板等を用いることができる。尚、当接板の形状は特に限定されず、楕円形状、矩形状等であってもよい。また、上記切欠き部の形状も特に限定されず、略門形状、略扇形状等であってもよい。
当接板の材質は特に限定されないが、透明又は半透明な材質であることが好ましい。例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの透明又は半透明な樹脂、ガラス等が挙げられる。これらのなかでも、高強度であり且つ平滑度の高いアクリル樹脂が好ましい。このような材質が用いられる場合には、電子機器部材形成用フィルムの端面状態を当接板が当接された状態で目視により確認することができ、十分な品質管理を行うことができる。
【0022】
また、この当接板には、固定バンドの着脱時などにおいて、巻回体における巻芯からの脱落を防止するための脱落防止部が形成されていてもよい。この脱落防止部の構成は、巻芯を破損したり、傷つけたりしないものである限り特に限定されない。
脱落防止部が形成された当接板の具体的な例として、例えば、図9及び10に示す当接板3’を挙げることができる。
この当接板3’は、略U字形状の切欠き部31が形成された略円形状の平板である。切欠き部31の幅Wは、巻芯22の外径よりもやや大きく形成されており、且つ略U字湾曲部311は、巻芯22の外周形状に適合している。この切欠き部31の周縁には、図10に示すように、左右一対の脱落防止部(ボールプランジャ)33、33が形成されている。脱落防止部33、33は、巻芯22断面の中心Rよりも切欠きのある開放側(図面上側)で巻芯22を挟持可能に形成されている。
尚、当接板3’においては、脱落防止部33、33として、ボールプランジャを用いているが、ゴムなどの弾性体からなる突起物等を用いることもできる。
【0023】
上記「固定バンド」は、巻芯に着脱可能に構成されており、当接板が電子機器部材形成用フィルムの端面に当接した状態で、この当接板を固定するものである。
この固定バンドは、鍔部を備えており、この鍔部によって当接板における電子機器部材形成用フィルム側の反対面側が押圧される。
上記「鍔部」の形状は、当接板がずれないように支持できる限り特に限定されない。例えば、図4に示す固定バンド4における鍔部43、図9に示す固定バンド4’における鍔部48等の形状のものなどが挙げられる。尚、形成される鍔部の数も特に限定されない。
【0024】
このような固定バンドとしては、例えば、巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第1バンド部及び第2バンド部を備えており、巻芯を取り囲むように配設することができるものが挙げられる。この固定バンドは、第1バンド部の一方の端部と第2バンドの一方の端部を連結するヒンジ部を備えている。また、第1バンド部の他方の端部に形成され且つ弾性体により伸縮可能に構成された接続部、及び第2バンド部の他方の端部に形成された引掛け部を備えている。更に、第1バンド部及び第2バンド部の少なくとも一方には、当接板を押さえるための鍔部を備えている。
接続部及び引掛け部の構成は、この接続部を引掛け部に掛着することにより、固定バンドを巻芯に固定できる限り特に限定されない。
接続部における弾性体としては、スプリング等が挙げられる。この弾性体により伸縮可能に構成されていることで、固定バンドが巻芯に確実に固定できる。
また、引掛け部は、接続部が掛着された際に弾性変形可能に構成されていることが好ましい。この場合、固定バンドが巻芯に更に確実に固定できる。
更に、第1バンド部及び第2バンド部のうちの少なくとも一方の内周面には、滑り止め層を形成することができる。この場合、輸送時の衝撃等により固定バンドが巻芯からずれることを十分に防止できる。この滑り止め層の材質としては、例えば、ゴムなどの弾性材料等を用いることができる。
【0025】
上記「箱部」には、固定バンド及び当接板が取り付けられた巻回体が収納される。
箱部の大きさは特に限定されず、収納される巻回体の寸法に応じて適宜調整できる。また、その材質も特に限定されず、例えば、ダンボール等が挙げられる。
この箱部の構造は特に限定されないが、工場や倉庫等における梱包構造体の運搬等の作業を容易にするため、この箱部の下面には、搬送機のフォークを挿入可能な挿入部を形成した台座を形成することができる。尚、この台座の構造は特に限定されない。
【0026】
また、箱部内に巻回体を収納する際には、輸送時等における巻回体への衝撃を緩和するため、巻芯支持部材を用いることが好ましい。
上記巻芯支持部材は、箱部に収納された巻回体、当接板及び固定バンドが箱部の内表面に接触しないように、巻芯の端部を支持するものである。この巻芯支持部材の構造は特に限定されない。また、その材質も特に限定されないが、例えば、発泡スチロール、ダンボール、プラスチック等が挙げられる。
【0027】
更に、箱部に巻回体を収納する際には、当接板と巻芯支持部材との間にスペーサを配置することができる。この場合、巻回体にかかる輸送時の衝撃等をより緩和することができる。また、このスペーサは、巻芯支持部材と箱部の内側面との間に配置することもできる。この場合、巻回体にかかる輸送時の衝撃等をより緩和することができる。更には、箱部の寸法を変化することなく、巻芯の長さが異なる巻回体を梱包することができる。
スペーサの形状は特に限定されないが、当接板と巻芯支持部材との間に配置されるものは、巻芯や固定バンドの外周形状に合わせた切欠きが形成されていることが好ましい。
また、使用するスペーサの枚数は特に限定されず、当接板と巻芯支持部材との間、及び、巻芯支持部材と箱部の内側面との間のスペースに応じて適宜調節することができる。その際、厚みの異なるものを組み合わせて用いてもよい。
このスペーサの材質としては、例えば、発泡スチロール、ダンボール、プラスチック等が挙げられる。
【0028】
ここで、本発明の巻回体における「電子機器部材形成用フィルム」の詳細を説明する。この電子機器部材形成用フィルムとしては、例えば、プラズマディスプレイパネルなどの電子機器における誘電体層、隔壁、電極、蛍光体、抵抗体、カラーフィルタ、ブラックマトリックス等の構成部材を形成するための材料として用いられる長尺帯状の転写フィルムが挙げられる。
上記転写フィルムとしては、例えば、支持フィルムと、この支持フィルムの表面に剥離可能に形成された膜形成材料層と、この膜形成材料層の表面に剥離容易に設けられたカバーフィルムとにより構成されたもの等が挙げられる。更には、支持フィルムと膜形成材料層との間にレジスト層が形成されたものや、支持フィルムと膜形成材料層の間及び膜形成材料層とカバーフィルムとの間に離型剤層が形成されたものを用いることもできる。
尚、上記カバーフィルムは、膜形成材料層の性質によっては形成されない場合がある。また、転写フィルムを巻回した巻回体の重量を削減させる必要がある場合においてもカバーフィルムが形成されないことがある。
【0029】
上記支持フィルムは、耐熱性及び耐溶剤性を有すると共に可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。この支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコータ、ブレードコータ等によって原料ガラスペーストを塗布することができ、膜形成材料層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
上記支持フィルムを形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂及びセルロース等を挙げることができる。
支持フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、20〜100μmとすることができる。
【0030】
上記カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム及びポリビニルアルコール系フィルム等を挙げることができる。
【0031】
上記膜形成材料層は、通常、無機粒子、結着樹脂及び溶剤を含有してなる無機粒子含有組成物(以下、「原料組成物」ともいう。)を前記支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成することができる。原料組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の大きい塗膜(例えば、20μm以上)を効率よく形成することができるものが好ましく、具体的には、ロールコータ、ブレードコータ、カーテンコータ及びワイヤーコータ等による塗布方法を挙げることができる。尚、原料組成物が塗布される支持フィルムの表面には、離型処理が施されていることが好ましい。この場合、ガラス基板への転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
【0032】
上記原料組成物を構成する無機粒子における無機物質は特に限定されず、原料組成物により形成される焼結体の用途[プラズマディスプレイパネルの構成要素の種類(例えば、誘電体層、隔壁、電極、蛍光体、抵抗体、カラーフィルタ、ブラックマトリックス等)]に応じて適宜選択することができる。
【0033】
用途が「誘電体層」又は「隔壁」である場合の原料組成物に含有される無機粒子としては、軟化点が400〜600℃の範囲内にあるガラス粉末を挙げることができる。このガラス粉末の軟化点が400℃未満である場合には、原料組成物による膜形成材料層の焼成工程において、結着樹脂等の有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成される誘電体層中に有機物質の一部が残留し、この結果、誘電体層が着色されて、その光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉末の軟化点が600℃を超える場合には、600℃より高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
【0034】
上記ガラス粉末の好ましい具体例としては、(1)酸化鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(PbO−B−SiO系)、(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(ZnO−B−SiO系)、(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物(PbO−B−SiO−Al系)、(4)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(PbO−ZnO−B−SiO系)等を挙げることができる。これらのガラス粉末は、誘電体層及び隔壁以外の構成要素(例えば、電極、抵抗体、蛍光体、カラーフィルタ、ブラックマトリックス)を形成するための原料組成物中に含有されていてもよい。
【0035】
用途が「電極」である場合の原料組成物に含有される無機粒子としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、Cu、Cr等からなる金属粒子を挙げることができる。
【0036】
用途が「抵抗体」である場合の原料組成物に含有される無機粒子としては、RuO等からなる粒子を挙げることができる。
【0037】
用途が「蛍光体」である場合の原料組成物に含有される無機粒子としては、Y:Eu3+、YSiO:Eu3+、YAl12:Eu3+、YVO:Eu3+、(Y,Gd)BO:Eu3+、Zn(PO:Mnなどの赤色用蛍光物質;ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、LaPO:(Ce,Tb)、Y(Al,Ga)12:Tbなどの緑色用蛍光物質;YSiO:Ce、BaMgAl1017:Eu2+、BaMgAl1423:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(POCl:Eu2+、(Zn,Cd)S:Agなどの青色用蛍光物質等からなる粒子を挙げることができる。
【0038】
用途が「カラーフィルタ」である場合の原料組成物に含有される無機粒子としては、Fe、Pbなどの赤色用物質、Crなどの緑色用物質、2(AlNaSi10)・Naなどの青色用物質等からなる粒子を挙げることができる。
【0039】
用途が「ブラックマトリックス」である場合の原料組成物に含有される無機粒子としては、Mn、Fe、Cr等からなる粒子を挙げることができる。
【0040】
また、原料組成物を構成する上記結着樹脂は、アクリル樹脂であることが好ましい。この場合、形成される膜形成材料層には、ガラス基板に対する優れた加熱接着性が発揮される。従って、原料組成物を支持フィルム上に塗布して転写フィルムを製造する場合において、得られる転写フィルムは、膜形成材料層のガラス基板への転写性に優れたものとなる。このようなアクリル樹脂としては、適度な粘着性を有して無機粒子を結着させることができ、膜形成材料層の焼成処理温度(例えば、400℃〜600℃)によって完全に酸化除去される(共)重合体の中から選択されることが好ましい。
【0041】
原料組成物を構成する結着樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量として2,000〜300,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜200,000である。
この結着樹脂の含有割合は、無機粒子100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましい。
【0042】
また、原料組成物を構成する上記溶剤としては、無機粒子との親和性、結着樹脂の溶解性が良好で、原料組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものが好ましい。特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が100〜200℃であるケトン類、アルコール類及びエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げることができる。
上記特定溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類等を挙げることができる。これらのなかでも、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネート等が好ましい。
また、特定溶剤以外の溶剤の具体例としては、例えば、テレビン油、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
この溶剤の含有割合は、原料組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、無機粒子100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましい。また、全溶剤に対する特定溶剤の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
【0044】
この原料組成物においては、無機粒子の分散安定性の向上、形成される膜形成材料層における可撓性の向上などを目的として、シランカップリング剤が含有されていてもよい。
また、この原料組成物には、形成される膜形成材料層に良好な可撓性と燃焼性とを発現させるために、可塑剤が含有されていてもよい。
更に、この原料組成物には、分散剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤等の各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。
また、この原料組成物は、光重合開始剤と光硬化性成分を有する感光性のものであってもよい。
【0045】
上記原料組成物は、上記無機粒子、結着樹脂及び溶剤、並びに任意成分を、ロール混練機、ミキサ、ホモミキサ、サンドミル等の混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。尚、得られる原料組成物の粘度は、300〜30,000cpであることが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明について更に詳細に説明する。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6を参照しつつ説明する。
ここで、図1は、巻芯に電子機器部材形成用フィルムが巻回された巻回体が、本発明の梱包材に梱包された梱包構造体の一例を示す斜視図であり、図2は、その梱包構造体を説明する分解斜視図である。また、図3は、図2における巻回体を説明する分解斜視図である。更に、図4は、図3における固定バンドの拡大図であり、図5は、その固定バンドの底面図である。また、図6は、その固定バンドを説明する説明図である。
【0047】
図1及び図2に示す梱包構造体1における箱部5に収納された巻回体2は、図3に示すように、ABS樹脂からなる巻芯22と、この巻芯22の外周に巻回された長尺帯状の電子機器部材形成用フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)21と、を備えるものである。尚、巻芯22の両端は、巻回されたフィルム21の両端面211から突出している。
この巻回体2におけるフィルム21の両端面211には、図2及び図3に示すように、当接板3が当接されており、且つこの当接板3は着脱可能な固定バンド4により固定されている。
【0048】
電子機器部材形成用フィルム21は、プラズマディスプレイの部材(例えば、誘電体層、電極等)形成用の転写フィルムである。
【0049】
当接板3は、巻回されたフィルム21の外径よりも大きな径を有する略円形状の透明なアクリル製平板に略U字形状の切欠き部31が形成されたものであり、孔部32を備えている。この切欠き部31の幅Wは、巻芯22の外径よりやや大きく形成されており、且つ略U字湾曲部311は巻芯22の外周形状に適合している。
【0050】
そして、この当接板3は、巻芯22に切欠き部31の略U字湾曲部311が接触した状態で取り付けられている。また、当接板3の平面部33はフィルム21の端面211に当接している。
【0051】
固定バンド4は、図3〜図6に示すように、巻芯22の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第1バンド部41及び第2バンド部42と、各バンド部41、42に形成された鍔部43と、各バンド部41、42を連結するヒンジ部44とからなる。
各バンド部41、42の内周面49には、滑り止め層45が形成されている。第1バンド部41におけるヒンジ部44の反対側の端部には、接続部46が形成されている。第2バンド部42におけるヒンジ部44の反対側の端部には、引掛け部47が形成されている。
【0052】
鍔部43には、当接板3の孔部32と係合する突出部431が押圧面432側に形成されている。
滑り止め層45は、薄肉状のゴム体から構成されている。
接続部46は、引掛け部47に掛着可能な掛具461と、弾性体(スプリング)462を備えるレバー部463とを備えており、伸縮可能に構成されている。
上記引掛け部47は、板ばねにより構成されており、掛具461が掛着される先端部471が略L字状に屈曲形成されている。尚、引掛け部47における先端部471は、第2バンド部42の端部との間に空間Sができるように(先端部471が第2バンド部42の端部から浮いた状態となるように)配設されており、掛具461が掛着された際に弾性変形可能に構成されている。
【0053】
そして、この固定バンド4は、突出部431が当接板3における孔部32に係合した状態で当接板3を鍔部43により押圧固定している。そして、第1バンド部41における接続部46の掛具461が第2バンド部42における引掛け部47に掛着される。このようにして、固定バンド4は巻芯22に取り付けられている。
【0054】
また、巻回体2は、図1及び図2に示すように、固定バンド4、当接板3及び巻回体2が、箱部5の内表面に接触しないように、巻芯22の両端部が巻芯支持部材6によって支持され、厚肉スペーサ71及び薄肉スペーサ72、73と共に箱部5に収納されている。
【0055】
箱部5は、上面にて開閉可能に構成されたダンボール製の箱体である。
また、巻芯支持部材6は、図2に示すように、プロテクタ部63と、支持部本体61と、支持部蓋体62と、を備えるものである。
プロテクタ部63は、略正方形の板体の中心部から円柱状の突出部(図示ぜず)が突出形成されたものである。突出部の外径は、巻芯の内径よりもやや小さく形成されている。
支持部本体61は、上方を開放した略門形状であり、プロテクタ部63をプロテクタ用切欠き部611に係合した状態で、上方から支持部蓋体62を蓋体用切欠き部612に係合可能とされている(尚、支持部蓋体62は、支持部本体61の蓋体用切欠き部612に係合可能な形状とされている。)。
【0056】
そして、この巻芯支持部材6は、以下の形態で巻芯22を支持している。
即ち、プロテクタ部63における突出部が巻芯22の筒部に挿入され、このプロテクタ部63が支持部本体61におけるプロテクタ用切欠き部611に係合され、且つ支持部蓋体62が支持部本体61における支持部蓋体用切欠き部612に係合されている。
【0057】
厚肉スペーサ71は、下方を開放した略門形状であり、発泡スチロール製である。また、薄肉スペーサ73、72はそれぞれ略正方形状及びそれに略U字形状の切欠き部が形成されたものであり、ダンボール製である。
これらのスペーサ71、72、73は、図1及び図2に示すように、当接板3と巻芯支持部材6との間、及び、巻芯支持部材6と箱部5の内側面51との間に配置されている。
【0058】
第1実施形態によれば、フィルム21の端面211が固定バンド4により固定された当接板3により当接されているため、輸送時の衝撃などによるフィルム21の端面ずれを防止することができる。
また、固定バンド4における引掛け部47の先端部471が、第2バンド部42の端部との間に空間Sができるように配設されており、第1バンド部41における掛具461が掛着された際に弾性変形可能に構成されているため、固定バンド4を巻芯22の外周に対して均質な力で取着することができる。その結果、輸送時の衝撃などにより、固定バンド4が緩んだり、位置ずれしたりすることが防止できる。
更に、箱部5内には、複数のスペーサ71、72、73を配置しているため、巻回体2にかかる輸送時の衝撃等をより緩和することができる。
また、巻回体2の梱包時又は取出時には、巻芯支持部材6の支持部蓋体62を外すことにより、箱部5の端部上方側から作業者の手を挿入して巻回体2の持ち運び等が可能であるため、作業性に優れる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、構造及びその作用効果等の説明を省略する。
この第2実施形態では、箱部9及び巻芯支持部材8の構成が第1実施形態と異なる。
ここで、図7は、本発明の梱包材に巻回体が梱包された梱包構造体の他の一例を示す斜視図であり、図8は、その梱包構造体を説明する分解斜視図である。
【0060】
図7及び図8に示す梱包構造体10において、固定バンド4及び当接板3を備える巻回体2が収納される箱部9は、図8に示すように、中箱部91と、この中箱部91の下面に配置された羽付き底部92と、この羽付き底部92の裏面に配設された台座94と、蓋部93とを備えるものである。尚、中箱部91と羽付き底部92とは、各々に形成された4箇所の孔部95、95’において、連結具(図示せず)によって係止されている。
【0061】
中箱部91は、上面が開放された箱体であり、蓋部93を取外した際に側面側から引出すことが可能とされている。また、この中箱部91の両端面には、後述する支持部本体81に形成されている切欠き部811と略同一形状の切欠き部911、及び孔部95が形成されている。
羽付き底部92は、底面部921とその両側から立ち上がる羽部922とからなり、この羽部922には上記中箱部91に形成された孔部95と同一形状の孔部95’が対応する位置に形成されている。また、底面部921の裏面には台座94が配設される。
台座94は、上記底面部921の裏面に配設され、搬送機のフォークを挿入可能な挿入孔941が形成された木製の台座である。
蓋部93は、図8に示すように、中箱部91と、羽付き底部92の羽部922と、を覆うことが可能な形状となっている。
尚、上記中箱部91、羽付き底部92及び蓋部93はダンボール製である。
【0062】
また、巻回体2は、図7及び図8に示すように、固定バンド4、当接板3及び巻回体2が、箱部9の内表面に接触しないように、巻芯22の両端部221が巻芯支持部材8によって支持され、薄肉スペーサ72、73と共に箱部9に収納されている。
【0063】
巻芯支持部材8は、図8に示すように、支持部本体81と、支持部蓋体82と、を備えるものである。
支持部本体81は、薄肉状の補強材が一面に貼着された発泡スチロール製の厚肉体が2枚積層された積層体である。この支持部本体81には、巻芯22の端部及び固定バンド4を支持できる切欠き部811と、支持部蓋体82が係合可能な蓋体用切欠き部812と、が形成されている。
支持部蓋体82は、薄肉状の補強材が両面に貼着された発泡スチロール製の厚肉体からなる。この支持部蓋体82は、支持部本体81の蓋体用切欠き部812に係合可能な形状である。
【0064】
そして、この巻芯支持部材8は、以下の形態で巻芯22及び固定バンド4を支持している。
即ち、巻芯22及び固定バンド4を支持している支持部本体81における支持部蓋体用切欠き部812に、支持部蓋体82が係合されている。
【0065】
第2実施形態によれば、箱部9の下面に、搬送機のフォークを挿入可能な挿入孔941が形成された台座94を備えているため、工場や倉庫等において、巻回体2が収納された梱包材(梱包構造体10)の運搬作業が容易となり、作業効率を向上させることができる。
また、巻回体2の梱包時又は取出時には、巻芯支持部材8における支持部蓋体81を外すことにより、箱部9の端部上方側から作業者の手を挿入して巻回体2の持ち運び等が可能であるため、作業性に優れる。
【0066】
尚、本発明においては、図面によって説明した前記実施形態に限定されるものではなく、目的、用途に基づいて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
例えば、上記各実施形態において、巻回体2に配設された固定バンド4及び当接板3の代わりに、図9に示す面積の大きな鍔部48を1つ備える固定バンド4’、及び図9及び図10に示すボールプランジャ(脱落防止部)33が配設された当接板3’を用いた形態とすることができる。
また、上記各実施形態において、固定バンドにより押圧固定された当接板を備える巻回体2は、ポリスチレン製等のクリーン袋に予め梱包した状態で、箱部に収容されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の梱包構造体の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の梱包構造体を説明する分解斜視図である。
【図3】固定バンドにより固定された当接板を備える巻回体を説明する分解斜視図である。
【図4】固定バンドの拡大図である。
【図5】固定バンドの底面図である。
【図6】固定バンドの説明図である。
【図7】本発明の梱包構造体の他の一例を示す斜視図である。
【図8】図7の梱包構造体を説明する分解斜視図である。
【図9】固定バンドにより固定された当接板を備える巻回体の他の一例を説明する分解斜視図である。
【図10】脱落防止部を備える当接板の説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1、10;梱包構造体、2;巻回体、21;電子機器部材形成用フィルム、22;巻芯、3、3’;当接板、31;切欠き部、32;孔部、33;ボールプランジャ、4、4’;固定バンド、41;第1バンド部、42;第2バンド部、43;鍔部、44;ヒンジ部、45;滑り止め層、46;接続部、47;引掛け部、48;鍔部、5;箱部、6;巻芯支持部材、61;支持部本体、62;支持部蓋体、63;プロテクタ部、71;厚肉スペーサ、72、73;薄肉スペーサ、8;巻芯支持部材、81;支持部本体、82;支持部蓋体、9;箱部、91;中箱部、92;羽付き底部、93;蓋部、94;台座、95、95’;孔部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体を収納する箱部を備えた梱包材であって、
前記箱部内には、巻回された前記電子機器部材形成用フィルムの端面に平面部が当接される当接板と、
前記当接板における前記電子機器部材形成用フィルム側の反対面側を押さえる鍔部を備え、且つ前記巻芯に着脱可能に構成された固定バンドと、を備えることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記当接板は、透明又は半透明の材質からなる請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記当接板は、前記巻芯からの脱落を防止する脱落防止部を備える請求項1又は2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記固定バンドは、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第1バンド部と、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第2バンド部と、該第1バンド部及び該第2バンド部の少なくとも一方に形成された前記鍔部と、該第1バンド部及び該第2バンド部を連結するヒンジ部と、からなり、
前記巻芯を取り囲むように配設され、前記第1バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部には、前記第2バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部に形成された引掛け部に掛着するための接続部が形成されており、且つ該接続部は弾性体により伸縮可能に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の梱包材。
【請求項5】
前記引掛け部は、前記接続部が掛着されたときに弾性変形可能に構成されている請求項4に記載の梱包材。
【請求項6】
前記第1バンド部及び前記第2バンド部のうちの少なくとも一方の内周面には滑り止め層が形成されている請求項4又は5に記載の梱包材。
【請求項7】
前記箱部内には、前記巻回体、前記当接板及び前記固定バンドが前記箱部の内表面に接触しないように、前記巻芯の端部を支持する巻芯支持部材を更に備える請求項1乃至6のいずれかに記載の梱包材。
【請求項8】
前記当接板と前記巻芯支持部材との間、及び、該巻芯支持部材と前記箱部の内側面との間の少なくとも一方にスペーサを更に備える請求項7に記載の梱包材。
【請求項9】
前記箱部の下面には、搬送機のフォークを挿入可能な挿入部を形成した台座が形成されている請求項1乃至8のいずれかに記載の梱包材。
【請求項10】
巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体が、請求項1乃至9のいずれかに記載の梱包材に梱包されていることを特徴とする梱包構造体。
【請求項11】
巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体における該巻芯に取り付けられると共に、前記電子機器部材形成用フィルムの端面に平面部が当接される当接板であって、前記巻芯からの脱落を防止する脱落防止部を備えることを特徴とする当接板。
【請求項12】
巻芯と該巻芯に巻回された電子機器部材形成用フィルムとを備える巻回体における該電子機器部材形成用フィルムの端面に当接された当接板を固定するために、前記巻芯を取り囲むように配設され、且つ前記巻芯に着脱可能に構成される固定バンドであって、
前記当接板を該当接板における前記電子機器部材形成用フィルム側の反対面側から押さえる鍔部と、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第1バンド部と、前記巻芯の外周の略半分の長さを有する断面円弧の第2バンド部と、該第1バンド部及び該第2バンド部を連結するヒンジ部と、を備え、
前記鍔部は、前記第1バンド部及び前記第2バンド部の少なくとも一方に形成されており、前記第1バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部には、前記第2バンド部におけるヒンジ部の反対側の端部に形成された引掛け部に掛着するための接続部が形成されており、該接続部は弾性体により伸縮可能に形成されていることを特徴とする固定バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−327659(P2006−327659A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156390(P2005−156390)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】