説明

形状測定システム、形状測定方法及び形状測定プログラム

【課題】本発明は、高い寸法精度が要求される特定部位のコーナーRの半径、距離又は角度等の寸法を、自動で算出することができる形状測定システム、形状測定方法及び形状測定プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明に係る形状測定システムは、読み込んだ輪郭形状データから輪郭形状画像を生成する輪郭形状画像生成手段と、前記輪郭形状画像に対して、幾何学的パターンマッチング(以下PMと略する場合がある。)を行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域、第2評価領域を設定する評価領域設定手段と、第1評価領域,2評価領域内の輪郭形状データに基づき直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を設定する測定領域設定手段と、設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め、所定の寸法測定処理を実行する形状評価手段とを備えたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関で用いられるピストンリング材の特定部位におけるコーナーR半径、距離、角度等の寸法を高い精度で算出し評価することを目的とした形状測定システム、形状測定方法及び形状測定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の被測定対象の寸法測定を行う手段が、例えば下記特許文献1、特許文献2に開示されている。特許文献1によれば、2台の対向配置したレーザ距離計を水平方向に走行させてH型鋼の形状を測定し、得られた4つの輪郭形状データに対して同じ個所の測定情報を基に合成して同一空間座標に置き換え、この空間座標からH型鋼フランジ幅、脚長等の断面寸法を自動で算出するものである。この方法では、得られた輪郭形状データから寸法を算出するための幾何要素当てはめに直線近似を利用しており、直線近似によって求めた直線式を使って交点を算出しH型鋼フランジ幅、脚長等のように直線で構成される部分の寸法測定を行い、最終的には求めたフランジ幅、脚長等を用いて被測定対象の断面寸法を求めている。
【0003】
特許文献2によれば、撮像した被測定対象画像に対して、画像内の設定された初期ウインドウ位置からエッジに沿って自立的に移動しながら必要なエッジ点をサンプリングして輪郭形状データを得る。その後、オペレータは求めたい物理量に対応した形状評価種類を選択する。形状評価種類とは、円、直線、ピーク点、接線、垂線などの幾何要素自体の物理量、又は交角、距離、半径、面積などの幾何要素と他の幾何要素との間の物理量のことである。そして、選択された形状評価種類に対応した測定領域の入力や幾何要素の選択がオペレータに促される。オペレータはこれに応答してマウスで測定領域の指定等を行うと、形状評価処理が実行され所望の寸法を得ることができるとされている。
【特許文献1】特開平8−327329号公報(段落番号0045〜0047)
【特許文献2】特開平11−118444号公報(段落番号0036〜0040、0045)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピストンリング材は内燃機関に用いられる部品であるため、シリンダと接触する面部の形状が特に重要となり、高い寸法精度が要求される。しかしながら、ピストンリング材の測定に特許文献1の方法を用いようとすると、幾何要素の当てはめが直線のみのために、ピストンリング材のようにRが付いた場合の寸法算出には対応できない。更には、直線から円に変化する変曲点や円と直線の交点を使って距離を求めるといったような多彩な寸法算出方法に対応できない。
また、特許文献2の方法は測定領域を手作業で入力して測定を行う方法であるため、ピストンリング材のように求めたい寸法が多数存在して自動測定を行うことが必要となる場合には対応できない。そこで、一度行った操作を記憶して置き、その操作をトレースして自動寸法測定を行うとするとしても、毎回同じ位置に設定した測定領域内にある輪郭形状データを使って形状評価を行うこととなる。そのために、例えばピストンリング材のR部を円近似する場合には、同じ製品でも物が変れば輪郭形状も少なからず変化するために円弧部位ばかりか、直線部位の輪郭形状データをも測定領域内に含めて近似してしまい、誤った形状評価となる恐れがある。また、特許文献2に開示された二次元ベストフィット処理も、設計値データとして与えたデータと輪郭形状データとの照合度合いを定量的に評価するのみの手法であるため、適切な位置に測定領域を設定するものではない。仮に、ベストフィットで測定領域を設定したとしても大まかな位置検出でしかなく、ピストンリング材のような高い寸法精度が要求される自動測定には対応が難しい。
【0005】
本発明は、上記した問題に鑑み、高い寸法精度が要求される特定部位のコーナーRの半径、距離又は角度等の寸法を、自動で算出することができる形状測定システム、形状測定方法及び形状測定プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る形状測定システムは、読み込んだ輪郭形状データから輪郭形状画像を生成する輪郭形状画像生成手段と、前記輪郭形状画像に対して、幾何学的パターンマッチング(以下PMと略する場合がある。)を行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域、第2評価領域を設定する評価領域設定手段と、第1評価領域,2評価領域内の輪郭形状データに基づき直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を設定する測定領域設定手段と、設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め、所定の寸法測定処理を実行する形状評価手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
前記評価領域設定手段は、予め任意の輪郭形状画像から特定部位の画像を切り出して登録したマスター画像を、予め設定しておいたサーチ領域内で測定対象の前記輪郭形状画像とPMをさせて、被測定対象部位を探索するとともに、その時のマスター画像の所定位置を基準として探索した被測定対象部位の輪郭形状画像の所定周辺部に第1評価領域、第2評価領域を設定するものである。第1評価領域、第2評価領域は、輪郭形状が直線状である部分を囲うように設定している。
【0008】
前記形状評価手段は、設定した形状評価の種類に応じて、前記測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め、所定の寸法測定処理を実行するものであり、その処理結果を表示手段に出力するようにすると良い。
【0009】
前記、形状評価の種類は、例えばピーク点、接線、垂線、平行線、円、直線等の幾何要素自体の物理量や、例えば交点、距離、交角、半径等の一つの幾何要素と他の幾何要素との間で算出される物理量のことを言う。
【0010】
また、本発明の形状測定システムは、測定すべき特定部位に係わるマスター画像、評価領域、測定領域、形状評価種類等のデータを測定箇所分予め記憶する外部記憶装置を備えると、複数の測定部位を順次自動的に測定することができるので好ましい。
【0011】
本発明に係る形状測定方法は、被測定対象の輪郭形状データを読み込む輪郭形状入力段階と、読み込んだ輪郭形状データから輪郭形状画像を生成する輪郭形状画像生成段階と、輪郭画像にパターンマッチングを行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域,第2評価領域を設定する評価領域設定段階と、第1評価領域,第2評価領域内の輪郭形状データに基づき直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を設定する測定領域設定段階と、設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め所定の寸法測定処理を実行する形状評価段階とを備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明に係る形状測定プログラムは、コンピュータによって被測定対象の輪郭形状データを基に被測定対象部位の寸法を測定するための形状測定プログラムであって、輪郭形状データから輪郭形状画像を作成する輪郭形状画像生成ステップと、輪郭形状画像にパターンマッチングを行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域,第2評価領域を算出するステップと、第1評価領域,第2評価領域内の輪郭形状データに基づき直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を算出するステップと、設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め所定の寸法測定処理を実行するステップとを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記のような構成の形状測定システムとしたので、被測定物の形状を測定するにあたり、パターンマッチングを用いて設定した第1、第2評価領域中に含まれる形状変化が起こり難い直線状部分を直線近似してなる2の直線の交点を基準として、測定すべき部位が含まれるように自動的に測定領域を設定し、測定領域に含まれる当該部位の幾何要素の物理量を測定するので、所定の形状に対して被測定物の形状に変化が生じている場合でも精度よく形状測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明について、その実施態様に基づき図面を参照しつつ説明する。なお、以下、計測の対象をエンジン等に装着されるピストンリングとし、該ピストンリングとシリンダとの接する面に存する、図6において符号31eで示す幾何要素が円であり物理量が円の半径である角部のRの寸法計測を例に説明する。
【0015】
本発明の形状測定システムに係るコンピュータ装置は、コンピュータ本体、キーボード、マウス、及びディスプレイを備えて構成されている。コンピュータ本体は例えば、図2に示すように構成されている。即ち、CPU11と、本発明の形状測定システムを収納したプログラムメモリ12と、CPU11での各種処理のための作業領域を提供するワークメモリ13と、プログラムメモリ12に格納されたプログラムに従って変換された画像情報を格納する画像メモリ14と、画像メモリ14に格納された画像情報をディスプレイに表示する表示制御部15と、測定アイテム等の各種情報をマウス等で入力するインターフェース16と、輪郭形状データやマスター画像、測定手順等を保存しておくための外部記憶装置17を備えており、各種情報はバスを介してやり取りされる。
【0016】
図1は、上記プログラムメモリ12に格納された形状測定システムの構成を示す機能ブロック図である。輪郭形状画像生成手段21は、CPU11からの読み出し要求に従い読み出された輪郭形状データを画像に変換し画像メモリ14に格納する。評価領域設定手段22は、画像メモリ14に格納された画像に対してPMを実行してマスター画像と合致する部位を求め、その部位を基準にして予め設定しておいた相対位置に第1評価領域、第2評価領域を設定する。測定領域設定手段23は、第1評価領域、第2評価領域内にある輪郭形状データに対して直線近似を行い、2直線の交点を求め、交点から予め設定しておいた相対位置に測定領域を設定する。形状評価手段24は、測定領域内の輪郭形状データに対して、指定された形状評価のための各種の演算処理を実行し、例えば結果をディスプレイに表示したり、別のシステムに出力したりする。
【0017】
図3は、上記形状測定システムの全体の動作を示すフローチャートである。まず、本システムは、前処理としてマスター画像や評価領域の相対位置や測定領域の相対位置等の各種設定情報を読み込む(S1)。次に、本システムは、図4のフォーマットに従ってデータ個数と輪郭点情報を出力した輪郭形状データを読み込む(S2)。輪郭形状画像生成手段21が輪郭形状データを画像に変換して画像メモリに格納する(S3)。次に、評価領域設定手段22がPMによる位置検出にてマスター画像と合致する位置を検出し、第1評価領域と第2評価領域を算出する(S4)。続いて、測定領域設定手段23が測定領域を算出する(S5)。測定領域が求まったら、形状評価手段24が輪郭形状の評価処理を実行する(S6)。
以下、評価領域設定手段22、測定領域設定手段23及び形状評価手段24の構成及び動作について具体的に説明する。なお、輪郭形状画像生成手段21は周知の画像処理手段で構成することが可能であり詳細な説明を省略する。
【0018】
[評価領域設定手段]
評価領域設定手段22について図5〜図9を参照し説明する。図5は評価領域設定手段22の処理手順を示すフローチャートを示す図である。図6〜9は、図5の各ステップ(S41〜44)に対応する処理を可視的に示す概念図であり、図中の符号31は、読み込まれた輪郭形状データを輪郭形状画像生成手段21が変換してなるピストンリングの画像の輪郭であるワーク輪郭である。
【0019】
まず、図6に示すように、原点Gを基準として所定の大きさを持つX,Y平面P内の任意の位置に置かれたワーク輪郭31の鉛直に伸びた第1の稜線31aと、水平に伸びた第2の稜線31bを直線近似してなる直線の交点を求め第1基準点34とする(図5のS41)。次に、図7に示すように、第1基準点34が平面Pの中心に位置するようにワーク輪郭31を移動する。その後、例えば予め設定された座標(Ix、Iy)にサーチ領域35の左側上方端点が位置するように、測定すべき角部のRの稜線(以下測定稜線と称する。)31eを含むワーク輪郭31の左突端部の所定部位にサーチ領域35を設定する(同S42)。ここで、サーチ領域35とは、所望の測定部位を含み後述するPMを行うための所定の大きさを有する矩形の領域である。
【0020】
図8に示すように、サーチ領域35内においてマスター画像37を動かして、該サーチ領域35内のワーク輪郭31とマスター画像37とのPMを所定のルールで行う。そして、マスター画像37とワーク輪郭31とが最も合致する位置におけるマスター画像37の左側上方端点の位置(SAx、SAy)を第2基準点36とする(同S43)。ここで、本態様のマスター画像37は、事前に基準となるピストンリングの形状を計測し、それから得られた測定稜線31eに対応する所定部位の画像を取得しておいたものである。なお、マスター画像としては設計データを画像化したものなども使用することができる。
【0021】
次に、図9に示すように、第1評価領域38を設定する(同S44)。ここで、第1評価領域38は、測定稜線31eの右方につながる水平な第3の稜線31cの一部を包含するように、また、第2評価領域39は、測定稜線31eの下方につながる第1の稜線31aを含むように設定される。これは、第3の稜線31cと第1の稜線31aとを直線近似してなる直線との交点が測定稜線31eの計測における基準点となるためである。なお、本態様では、第1、第2評価領域38、39は、第2基準点36から第1、第2評価領域38、39の左側上方端点までの距離が上記の条件を満たすような大きさとなるように設定される。すなわち、図示するように、第1評価領域38についてはX、Y軸方向にHAx、HAyと、第2評価領域39についてはX、Y軸方向にHBx、HByとなるように、第1、第2評価領域38、39の位置が設定される。なお、本態様では角部のRの寸法を計測するため第3の稜線31c及び第1の稜線31aを含むように第1、2評価領域38,39を設定したが、例えば符号31dで示す傾斜した稜線を含むように評価領域を設定するようにしてもよい。
【0022】
上記のように第1、第2評価領域38、39は、計測されたピストンリングのワーク輪郭31の形状とマスター画像37を所定のルールでPMさせ、PMで位置決めされたマスター画像37の所定点を基準として設定される。したがって、計測されたピストンリングのワーク輪郭31とマスター画像37のピストンリングの輪郭とが完全に合致しない場合でも、第1、第2評価領域38、39が設定される。
【0023】
[測定領域設定手段]
測定領域設定手段23について図10〜12を参照し説明する。図10は測定領域設定手段22の処理手順を示すフローチャートを示す図である。図11、12は、図10の各ステップ(S51、52)に対応する処理を可視的に示す概念図である。
【0024】
まず、図11に示すように、第1評価領域38に包含された第3の稜線31cを直線近似してなる直線40を求める。また、同様にして、第2評価領域39に包含された第3の稜線31aを直線近似してなる直線41を求める。そして、この2つの直線40,41の交点を求め、第3基準点42とする(図10のS51)。
【0025】
次に、図12に示すように、第3基準点42を基準として所定の範囲に測定領域43を設定する。ここで、測定領域43は、測定稜線31eを含むように設定される。本態様では、第3基準点42から測定領域43の左側上方端点までの距離が、X軸方向においてP0x、Y軸方向においてP0yとなるように設定されている(S52)。
【0026】
この測定領域43は、上記した評価領域設定手段22によりPMで設定された第2基準点36を基準として設定することも可能である。しかしながら、測定領域設定手段23により設定された第3基準点42は、実際に測定されたピストンリングのワーク輪郭31を基準として設定されるものである。したがって、第3基準点42は実際のワーク輪郭31の形状を反影したものとなるので、よりピストンリングの形状の変化に対応し精度よく寸法を計測することが可能となる。
【0027】
[形状評価手段]
形状評価手段24は、前記測定領域43内のワーク輪郭31に対し演算処理を行う。形状評価手段は、例えば任意の幾何要素を当てはめ、幾何要素自体の物理量の算出及び幾何要素と他の幾何要素との間の物理量の算出を実行する。ここで、幾何要素とは、例えばピーク点、接線、垂線、平行線、円、直線等のうちの少なくとも一つを含み、幾何要素自体の物理量及び幾何要素と他の幾何要素との間の物理量とは、例えば交点、距離、交角、半径等の少なくとも一つを含むものである。本態様においては、形状評価手段24は、測定領域43内の測定稜線31eに対して円近似を行い、Rの半径を算出する。
【0028】
以上、角部のRの半径を求めるために、該Rを形成する測定稜線31eができるだけ多く含まれるように測定領域43を設定し、その測定稜線31eに対して円近似するという方法を説明したが、測定領域設定手段23においては、Rの半径を求めるため変曲点を用いることもできる。
【0029】
図13は円近似を行う場合に変曲点を用いた例である。図13に示すように、第3の稜線31cに直線近似させた水平方向に伸びる直線40に沿い第3基準点42を基準に所定の位置に第1の測定領域61を設定する。また、同様に、第1の稜線31aに直線近似させた鉛直直線41に沿い第3基準点42を基準に所定の位置に第2の測定領域62を設定する。次に、第1の測定領域61内のワーク輪郭31に対して直線40から所定の距離だけ離れた最初の点を第1の変曲点63とし、第2の測定領域62内のワーク輪郭31に対して直線41から所定の距離離れた最初の点を第2の変曲点64とする。そして、第1の変曲点63と第2の変曲点64の間に存在するワーク輪郭31、すなわち測定稜線31eに対して形状評価手段24が円近似をし、Rの半径を求める。このように変曲点を用いRの半径を求めることで、Rを形成する測定稜線31e以外のデータを除外できるので、更に精度良く角部のRの半径を求めることが可能となる。
【0030】
次に、図14に基づいて、ピストンリングの幅80を求める方法を説明する。本形状計測システムによれば、まず、上記説明と同様にして両突端部における外側の角部の第3基準点を求める。具体的には、左側突端部に設定した一方のサーチ領域35内において一方のマスター画像37を使いPMで求めた一方の第2基準点36に基づいて一方の第1の測定領域71及び第2の測定領域72を設定し、一方の第3基準点73を求める。同様に、右側突端部に設定した他方のサーチ領域79内において他方のマスター画像77を使いPMで求めた他方の第2基準点78に基づいて他方の第1の測定領域74及び第2の測定領域75を設定し、他方の第3基準点76を求める。そして、一方の第3基準点73と他方の第3基準点76の間の距離80を求める。離れた2点間の距離を求める場合には、この例のようにサーチ領域を分けて各々で点を求める事で形状変化に追従した距離寸法の測定が可能となる。
【0031】
以上、一つの幾何要素の物理量を求めた例を説明したが、例えば交点、距離、交角、半径等測定すべき形状評価項目が複数ある場合でも、所定の幾何要素の物理量に対する輪郭形状画像内でのサーチ領域の場所とPMに使うマスター画像、第1評価領域,第2評価領域,測定領域の相対位置、形状評価の種類等を外部記憶装置17に記憶させておけば、図2に示す本形状評価システムの処理を順次実行させることで、設定した複数の形状測定を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る形状計測システムの機能ブロック図である。
【図2】図1のシステムが内蔵されたコンピュータ装置の構成を示す構成図である。
【図3】図1のシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】図1のシステムで読み込まれる輪郭形状のデータ形式である。
【図5】図1のシステムにおける評価領域の設定処理方法を説明するフローチャートである。
【図6】図5のフローにおいて輪郭形状画像の座標系での基準点の算出方法を説明する図である。
【図7】図5のフローにおいてサーチ領域を設定する方法を説明する図である。
【図8】図5のフローにおいてPMを用いて位置を検出する方法を説明する図である。
【図9】図5のフローにおいて評価領域を設定する方法を説明する図である。
【図10】図1のシステムにおける測定領域を設定処理方法を説明するフローチャートである。
【図11】図10のフローにおいて測定領域の基準点を算出する方法を説明する図である。
【図12】図10のフローにおいて測定領域を設定する方法を説明する図である。
【図13】図1のシステムにおける変曲点を利用した円近似方法を説明する図である。
【図14】図1のシステムにおける2点間の距離の算出方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
11 CPU
12 プログラムメモリ
13 ワーキングメモリ
14 画像メモリ
15 表示制御部
16 インターフェース
17 外部記憶装置
21 輪郭形状画像生成手段
22 評価領域設定手段
23 測定領域設定手段
24 形状評価手段
31 ワーク輪郭
32 第1の稜線
33 第2の稜線
34 第1基準点
35 サーチ領域(一方のサーチ領域)
36 第2基準点(一方の第2基準点)
37 マスター画像(一方のマスター画像)
38 第1の評価領域
39 第2の評価領域
40 近似直線
41 近似直線
42 第3基準点
43 測定領域
61 第1の測定領域
62 第2の測定領域
63 第1の変曲点
64 第2の変曲点
71 一方の第1の測定領域
72 一方の第2の測定領域
73 一方の第3基準点
74 他方の第1の測定領域
75 他方の第2の測定領域
76 他方の第3基準点
77 他方のマスター画像
78 他方の第2基準点
79 他方のサーチ領域
80 ピストンリングの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムを用いて被測定対象の輪郭形状データを基に被測定対象部位の寸法を測定する形状測定システムにおいて、
輪郭形状データから輪郭形状画像を生成する輪郭形状画像生成手段と、
輪郭形状画像にパターンマッチングを行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域,第2評価領域を設定する評価領域設定手段と、
第1評価領域,第2評価領域内の輪郭形状データを直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を設定する測定領域設定手段と、
設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め所定の寸法測定処理を実行する形状評価手段とを備えたことを特徴とする形状測定システム。
【請求項2】
コンピュータシステムを用いて被測定対象の輪郭形状データを基に被測定対象部位の寸法を測定する方法において、
輪郭形状データを読み込む輪郭形状入力段階と、
輪郭形状データから輪郭形状画像を作成する輪郭形状画像生成段階と、
輪郭画像にパターンマッチングを行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域,第2評価領域を設定する評価領域設定段階と、
第1評価領域,第2評価領域内の輪郭形状データに基づき直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を設定する測定領域設定段階と、
設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め所定の寸法測定処理を実行する形状評価段階とを備えたことを特徴とする形状測定方法。
【請求項3】
コンピュータによって被測定対象の輪郭形状データを基に被測定対象部位の寸法を測定するための形状測定プログラムであって、
輪郭形状データから輪郭形状画像を作成する輪郭形状画像生成ステップと、
輪郭形状画像にパターンマッチングを行って求めた被測定対象部位の周辺所定位置に第1評価領域,第2評価領域を算出するステップと、
第1評価領域,第2評価領域内の輪郭形状データに基づき直線近似した2直線の交点を基準として測定領域を算出するステップと、
設定した形状評価の種類に応じて測定領域内の輪郭形状データに対して幾何要素の物理量を求め所定の寸法測定処理を実行するステップとを備えたことを特徴とする形状測定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−214870(P2006−214870A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27997(P2005−27997)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】