説明

後硬化性樹脂組成物及びそれを用いた電気絶縁材料

【課題】本発明は低誘電率、低誘電損失であり、軟質性、力学強度、耐熱性、温度特性、耐水性を有し、製膜性等の成形性に優れる後硬化性樹脂組成物及びその高周波用の電気絶縁材料を提供することである。
【解決手段】特定の共重合体と特定の非極性ビニル化合物を含む後硬化性樹脂組成物であり、硬化剤により硬化することが可能で、低誘電率、低誘電損失であり、軟質性、力学強度、耐熱性、温度特性、耐水性を有する硬化体を与えることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後硬化性樹脂組成物及びそれを用いた電気絶縁材料、特に高周波用電気絶縁材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン等のポリオレフィンやポリスチレン等の芳香族ビニル化合物重合体は、分子構造中に極性基を持たないため、優れた低誘電率、低誘電損失を示す材料として知られている。しかし、これらは耐熱性を結晶融点、又はガラス転移温度に依存するため電気絶縁体としての耐熱性に課題があり、さらに熱可塑性樹脂であるために製膜プロセス上の課題がある(特許文献1)。
パ−フルオロエチレン等のフッ素系樹脂は優れた低誘電率、低誘電損失と耐熱性に優れた特徴を有するが成形加工性、膜成形性が困難でありデバイス適性が低い。
一方、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノ−ル樹脂等の後硬化樹脂を用いた基板、絶縁材料はその耐熱性、易取り扱い性から広く用いられてきているが、誘電率、誘電損失が比較的高く、高周波用の絶縁材料としては改善が望まれている(特許文献2)。
オレフィン系及びスチレン系の重合体セグメントからなるグラフト、又はブロック共重合体からなる電気絶縁材料が提案されている(特許文献3)。本材料はオレフィンやスチレン系の炭化水素系重合体の本質的な低誘電率、低誘電損失性に着目している。その製造方法は、市販のポリエチレン、ポリプロピレンにスチレンモノマ−、ジビニルベンゼンモノマ−とラジカル重合開始剤の存在下、一般的なグラフト重合を行うもので、このような手法ではグラフト効率が上がらず、ポリマ−の均一性が十分でないという課題がある。さらに、得られたポリマ−はゲルを含んでおり、加工性、充填性が悪いという課題があった。本材料は、熱可塑性樹脂で耐熱性が十分でなく、4−メチル−1−ペンテン系等の耐熱性樹脂を加える必要がある。本材料は、所定の場所に塗布あるいは充填した後硬化させる成形方法には適用できない。
特許文献4には、複数の芳香族ビニル基を有する炭化水素化合物を架橋成分として含む架橋構造体からなる絶縁層が記載されている。本架橋成分の重量平均分子量は1000以下であることが好ましいとされており、明細書記載の例及び実施例はいずれも重量平均分子量は1000以下である。別途、高分子量樹脂を配合し、本架橋成分と共架橋することで絶縁層を得ている。
一方、近年太陽電池(太陽光発電)は、地球環境保全の観点から注目されている。太陽電池は、高温高加湿や風雨に曝される室外などの環境下で長期にわたって使用されると、電池内部に湿気ないし水が透過する場合がある。ところで、太陽電池の封止材として用いられる架橋EVAは、透明性と軟質性に優れ、かつ長年使用され実績を有する材料ではある(特許文献5)が、透湿性が比較的高く、体積抵抗が比較的低いため、長期にわたる信頼性確保の観点からは問題点もあり、さらに信頼性を確保するためには十分な厚さが必要である等課題がある。また、酢酸の遊離による配線腐食、太陽電池セルの劣化への影響も懸念される。
そこで、非EVA系の封止材が検討されている。例えば、特許文献6では、アイオノマ−を用い、特許文献7ではポリプロピレン系の軟質樹脂を用いてこの問題を解決使用としている。しかし、一般にはアイオノマ−樹脂は成形加工性やEVAと比較すると軟質性が劣る等の課題を有している。ポリプロピレンを原料として含むオレフィン系の軟質樹脂は耐光性に課題を有していると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭52−31272号公報
【特許文献2】特開昭6−192392号公報
【特許文献3】特開平11−60645号公報
【特許文献4】特開2004−087639号公報
【特許文献5】特許第3473605号公報
【特許文献6】特表2008−522877号公報
【特許文献7】WO06/057361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、製膜性等の成形加工性に優れ、低誘電率、低誘電損失で、軟質性、力学強度、耐熱性、温度特性、耐衝撃性、耐水性に優れる硬化体を得るための後硬化性樹脂組成物及び、その硬化体を用いた高周波用電気絶縁材料を提供することである。また、軟質性、充填性、水蒸気非透過性、電気絶縁性に優れる太陽電池封止材に用いることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、以下の(以下の(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とするエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体10〜90質量部、及び(5)の条件を満たす非極性ビニル化合物90〜10質量部及び硬化剤を含有することを特徴とする後硬化性樹脂組成物である。
(1)オレフィンが、炭素数3以上20以下のαオレフィン、炭素数5以上20以下の環状オレフィン、炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上である。
(2)ポリエンが、分子内にビニル基及び/又はビニレン基を複数有する炭素数5以上20以下のポリエンから選ばれる一種以上である。
(3)エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の数平均分子量が1000以上5万以下、重量平均分子量/数平均分子量が1.5以上5以下であり、かつ、ポリエン単位含有量が、数平均分子量あたり1個以上7個未満であることを満足し、オレフィン単位含有量が5モル%以上70モル%以下であり、残部がエチレン単位である。
(4)エチレン、オレフィン及びポリエンを共重合するときに使用する触媒が、下記の一般式(1)又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒である。
【化1】


式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、又は非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基であり、少なくともA,Bのうち1個は非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基である。ここで置換ベンゾインデニル基、置換インデニル基、置換シクロペンタジエニル基、又は置換フルオレニル基とは、置換可能な水素の1個以上が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR基、SiR基、又はPR基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で置換されたベンゾインデニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基、又はフルオレニル基である。

YはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基、硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは環状構造を有していてもよい。
Xは、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、又は炭素数1〜20の炭化水素置換基を有するアミド基である。2個のXは結合を有しても良い。
Mはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
【化2】


式中、Cpは非置換もしくは置換シクロペンタフェナンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置換もしくは置換インデニル基、又は非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基である。Y’は、Cp、Zと結合を有し、他に水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、シリレン基、エチレン基、ゲルミレン基、硼素残基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Y’は環状構造を有していてもよい。Zは窒素、酸素、又はイオウを含み、窒素、酸素、又はイオウでM’に配位する配位子でY’と結合を有し、他に水素、炭素数1〜15の置換基を有する基である。
M’はジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
X’は、水素、ハロゲン、炭素数1−15のアルキル基、炭素数6−10のアリール基、炭素数8−12のアルキルアリール基、炭素数1−4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1−10のアルコキシ基、又は炭素数1−6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。
nは、1、又は2の整数である。
(5)実質的に炭素数5以上20以下の環状オレフィン及び/又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上からなり、かつポリエン含量が1質量部未満であることを特徴とする非極性ビニル化合物。

【発明の効果】
【0006】
本発明の後硬化性樹脂組成物は成形性に優れ、得られる硬化体は低誘電率、低誘電損失で体積抵抗が高く、かつ軟質性、力学強度、耐熱性、耐衝撃性、耐水性に優れ、弾性率の温度依存性が少なく、電気絶縁材料、特に高周波用の電気絶縁材料として好適に使用できる。

【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例5で得られたフィルムの粘弾性スペクトル(温度と貯蔵弾性率の関係)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下にさらに詳細に説明する。
<エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体>
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体は、エチレン、オレフィンとポリエンを共重合して得られる。用いられるオレフィンとしては、炭素数3以上20以下のαオレフィン、炭素数5以上20以下の環状オレフィン、又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上である。
炭素数3以上20以下のαオレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デカン、1−ドデカン、4−メチル−1−ペンテン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセンが例示できる。
炭素数5以上20以下の環状オレフィンとしては、ノルボルネン、シクロペンテンが例示できる。
炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、パラメチルスチレン、パライソブチルスチレン、各種ビニルナフタレン、各種ビニルアントラセンが例示できる。
【0009】
用いられるポリエンとしては、その分子内にビニル基及び/又はビニレン基を複数有する炭素数8以上20以下のポリエンであり、オルト、メタ、パラの各種ジビニルベンゼン又はこれらの混合物、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、p−2−プロペニルスチレン、p−3−ブテニルスチレンなどの芳香族ビニル構造を有する化合物、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、各種ビニルシクロヘキセン等の環状構造を有する化合物である。この中で好ましくは、オルト、メタ、パラの各種ジビニルベンゼン、又はこれらの混合物が用いられ、最も好ましくはメタ及びパラジビニルベンゼンの混合物が用いられる。本明細書ではこれらジビニルベンゼンをジビニルベンゼン類と記す。
ポリエンとしてジビニルベンゼン類を用いた場合、硬化処理を行う際に硬化効率が高く、硬化が容易であるため好ましい。
以上のオレフィン、ポリエンには、他に極性基、例えば酸素原子、窒素原子等を含むαオレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物やポリエンを含んでいてもよいがこれらモノマ−の総質量は、本後硬化性樹脂組成物の総質量の5質量%未満、好ましくは1質量%未満である必要がある。これを超えると本後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化体の誘電特性(誘電率/誘電損失)を悪化させてしまう。
【0010】
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の組成は、オレフィン単位含有量が5モル%以上70モル%以下、好ましくは、10モル%以上50モル%以下である。複数のオレフィンを用いている場合には本オレフィン単位含有量はその合計を示す。
【0011】
オレフィン単位含有量が5モル%未満では、エチレン結晶性が発現し、最終的に得られる硬化体の耐衝撃性、しなやかさが失われてしまう場合がある。オレフィン単位含有量が70モル%より高いと得られる硬化体の低温特性が悪化したり、耐衝撃性、しなやかさが失われてしまう場合がある。
【0012】
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の軟質性と低温特性を考慮すると、結晶化度は一定値以下であり、かつガラス転移温度が室温以下であることが望ましい。より正確には、DSC測定により30℃〜300℃に観測される結晶融解ピ−クの結晶融解熱が25J/g−ポリマ−以下であることが望ましい。またDSC測定(接線法)によるガラス転移温度は10℃以下、好ましくは5℃以下、−120℃以上が望ましい。これら条件を満たすオレフィン単位含有量の範囲はオレフィンの種類により異なるが、当業者らは文献、公開特許、ハンドブック等からデ−タを入手し、本含有量の範囲を特定することが可能である。具体的に例示すると、オレフィンとしてスチレンが採用される場合には、スチレン単位含有量は10モル%以上、35モル%以下である。オレフィンとしてプロピレンが採用される場合、プロピレン単位含有量は15モル%以上85モル%以下である。
複数のオレフィンを用いる場合には、モノマ−分率を元に加成性に従い計算で予測するか、数点組成を代えて試作を行い、適当な含有量の範囲について判断することが出来る。
【0013】
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の数平均分子量は1000以上5万以下、好ましくは5000以上3万以下、重量平均分子量/数平均分子量は1.5以上5以下であり、かつ、ポリエン単位含有量が、数平均分子量あたり1個以上7個未満、好ましくは1.2以上5個未満であることを満足し、オレフィン単位含有量が5モル%以上70モル%以下であり、残部がエチレン単位である。ポリエン含量がより少ないと、最終的に得られる硬化体の耐熱性が不足する場合があり、またポリエン含量がより高いと最終的に得られる硬化体の軟質性が不足する場合がある。
【0014】
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体として好適なのは、エチレン−プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−1−ブテン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−1−オクテン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−パラメチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−ノルボルネン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−1−ブテン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−1−オクテン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−スチレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−ノルボルネン−ジシクロペンタジエン共重合体である。
【0015】
さらに、本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体及び非極性ビニル化合物としてスチレンを含む後硬化性樹脂組成物の硬化体を得る場合、上記低温特性及び、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体とスチレンの親和性を考慮すると、本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体としては、エチレン−スチレン−αオレフィン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。ここでいうαオレフィンは上記規定と同じである。このような例としては、エチレン−スチレン−プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−スチレン−1−ブテン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−スチレン−1−ヘキセン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−スチレン−1−オクテン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−スチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−スチレン−1−ブテン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−スチレン−1−ヘキセン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−スチレン−1−オクテン−ジシクロペンタジエン共重合体が挙げられる。
【0016】
<シングルサイト配位重合触媒>
本エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を合成するには、エチレン、オレフィン、ポリエンの各モノマ−を上記一般式(1)、又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることで、コモノマ−、特にポリエンの組成が均一であり本後硬化性樹脂組成物として好適なエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を得ることが出来る。さらに上記一般式(1)、又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることで、ポリエンを高い効率で共重合できるため本発明には好適である。
【0017】
従来の固体状チタン化合物を用いたチ−グラ−ナッタ触媒の場合、活性サイトの性能の不均一さに起因して、特にポリエン含有量の不均一性が発現し、また自己架橋の発生によるゲル分が出来やすく、不均一なエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体が出来やすい。この様な共重合体を非極性ビニル化合物や硬化剤と混合し硬化体を得た場合、力学物性や耐熱性が低下するだけでなく、表面の平滑性や硬化性にも問題が生じる場合がある。さらに、上記一般式(1)、又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒以外のシングルサイト配位重合触媒、例えば2個の置換基を有しても良いシクロペンタジエニル基が架橋されていないジルコノセン触媒、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドなどを用いた場合、又は架橋基Yが置換シリレン構造の触媒、例えば、ジメチルシリレンビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリドや1,2−エタンジイルビス(1-インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いた場合、スチレンやポリエン(特にジビニルベンゼン)の共重合において、発明を満たすような高いスチレン含有量、ポリエン含有量を与えることが困難であったり、得られたポリマ−のポリエンが自己架橋し、共重合体の段階でゲル化、成形加工性、表面性の不良をもたらしてしまう。もちろん、本発明の条件を満たさない触媒を用い、重合温度、モノマ−組成比等極端に厳しい条件を採用した場合、本発明の条件を満たすエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を得ることは不可能ではない場合もあるが、その場合、活性、生産性は著しく低下し、工業的価値は失われてしまうと考えられる。
【0018】
本発明において、さらに好ましくは、上記一般式(1)表される遷移金属化合物のうち、式中のA、Bは同一でも異なっていてもよく、共に非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基であり、かつYはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよいし環状構造を有しても良い。本条件を満たす遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることで、ポリエンとして各種ジビニルベンゼン、又はこれらの混合物、4−プロペニルスチレン、4−ブテニルスチレンなどの芳香族ビニル構造を有するポリエンを採用した場合、特異的に高い共重合効率を示すことができ、かつ活性も高いので本発明には最も好適である。また、本条件を満たす遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることで、特にポリエンとしてジビニルベンゼン類を用いた場合、自己架橋が少ない(ゲル分が少ない)エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体を極めて高い活性で得ることが出来る。すなわち、ジビニルベンゼンのひとつのビニル基が共重合された後にもう一方のビニル基が重合されずに保持できるという特異的な機能を示すため、後硬化体を得るためのエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体としてはきわめて有用である。ゲル分の定量は、ASTM-D-2765-84に記載された方法により行うことが出来る。すなわち、精密に秤量されたポリマ−をSUS製網袋(100メッシュ)に入れ、沸騰キシレン中12h処理し、網袋残留分質量をゲル分として、ゲル分質量%を求めるものである。本発明により得られるエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体に含まれるゲル分質量%は、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下である。
【0019】
本発明のシングルサイト配位重合触媒において、助触媒としては従来遷移金属化合物と組み合わせて用いられている公知の助触媒を使用することができる。そのような助触媒として、メチルアルミノキサン(又はメチルアルモキサン又はMAOと記す)等のアルモキサン、又は硼素化合物が好適に用いられる。必要に応じて、これらアルモキサンや硼素化合物と共に、トリイソブチルアルミニウムやトリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウムを用いてもよい。かかる助触媒の例としては、EP−0872492A2号公報、特開平11−130808号公報、特開平9−309925号公報、WO00/20426号公報、EP0985689A2号公報、特開平6−184179号公報に記載されている助触媒やアルキルアルミニウム化合物が挙げられる。
【0020】
アルモキサン等の助触媒は、遷移金属化合物の金属に対し、アルミニウム原子/遷移金属原子比で0.1〜100000、好ましくは10〜10000の比で用いられる。0.1より小さいと有効に遷移金属化合物を活性化出来ず、100000を超えると経済的に不利となる。助触媒として硼素化合物を用いる場合には、硼素原子/遷移金属原子比で0.01〜100の比で用いられるが、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは1で用いられる。0.01より小さいと有効に遷移金属化合物を活性化出来ず、100を超えると経済的に不利となる。遷移金属化合物と助触媒は、重合設備外で混合、調製しても、重合時に設備内で混合してもよい。
【0021】
<エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の製造>
本発明のエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体は、エチレン、オレフィン、ポリエンの各原料モノマ−と上記遷移金属化合物及び助触媒からなるシングルサイト配位重合触媒を接触させる。その順序、方法については公知の任意の方法が用いられる。例えば、WO00/37517号公報にはエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の好適な製造方法が記載されている。
【0022】
製造方法としては溶媒を用いずに液状モノマー中で重合させる方法、あるいはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族、又は芳香族炭化水素、又はハロゲン化炭化水素の単独、又は混合溶媒を用いる方法がある。好ましくは混合アルカン系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン等を用いる。重合形態は溶液重合、スラリ−重合いずれでもよい。また、必要に応じ、バッチ重合、連続重合、予備重合、多段式重合等の公知の方法を用いることが出来る。
単数や連結された複数のタンク式重合缶やリニアやル−プの単数、連結された複数のパイプ重合設備を用いることも可能である。パイプ状の重合缶には、動的、あるいは静的な混合機や除熱を兼ねた静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細管を備えた冷却器等の公知の各種冷却器を有してもよい。また、バッチタイプの予備重合缶を有していてもよい。さらには気相重合等の方法を用いることができる。
【0023】
重合温度は、−78℃〜200℃が適当である。−78℃より低い重合温度は工業的に不利であり、200℃を超えると遷移金属化合物の分解が起こるので適当ではない。さらに工業的に好ましくは、0℃〜160℃、特に好ましくは30℃〜160℃である。
重合時の圧力は、0.1気圧〜100気圧が適当であり、好ましくは1〜30気圧、特に工業的に特に好ましくは、1〜10気圧である。
【0024】
<後硬化性樹脂組成物>
本発明においては、一定の範囲の組成を有する上記エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体と非極性ビニル化合物を混合し、硬化剤を添加し後硬化性樹脂組成物を得る。ここにいて、エチレン−オレフィン−ポリエン−共重合体5重量部以上95質量部以下、好ましくは、50質量部以上95質量部以下、非極性ビニル化合物5質量部以上95質量部以下、好ましくは、5質量部以上50質量部以下、合計100質量部の範囲で本発明に用いられる。エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体が5質量部未満では得られる硬化体が脆くなりすぎてしまう場合がある。
本発明においては、上記範囲でエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体と非極性ビニル化合物の質量比を変更することで、本後硬化性樹脂組成物の粘度、流動性を、その目的、成形方法にあわせて調整することが出来る。例えは、高周波絶縁材として充填あるいは塗布後に硬化させる必要がある場合には、非極性ビニル化合物の量を増加させることで流動性を向上させることが出来る。また、あらかじめシートに成形し、半導体素子、基板と積層した後に加熱溶融させ充填密着させた後に硬化させる(いわゆるBステージ法)場合、取り扱い容易なシ−ト形状とするためには非極性ビニル化合物の量を減じ、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の組成、分子量を調整し、さらに適当な無機充填材、滑材を必要に応じて添加することで達成することが可能である。また、複数の硬化剤及び/または硬化条件を採用することで、本後硬化性樹脂組成物の粘度、流動性、性状を制御することができる。すなわち、第一段階の硬化(部分硬化)により、本後硬化性樹脂組成物を取扱容易な柔軟シート状に成形し、これを電子デバイス、基板に積層し圧着させた後に第二段階の硬化(完全硬化)を行い、最終形状とすることも可能である。
さらに、本発明においては、種類の異なる複数のエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体からなる混合物を用いても良い。流動性や軟質性の異なるエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体からなる混合物を用いることで、最終的に得られる硬化体の物性をより広い範囲で調節することが可能となる。
本発明の後硬化性樹脂組成物に対し、必要に応じて適切な溶媒を添加してもよい。溶媒は、後硬化性樹脂組成物の粘度、流動性を調節するために用いる。溶媒としては、揮発性のものが好ましく、例えばシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、アセトン等が用いられる。またその配合量は、本発明の後硬化性樹脂組成物に対し一般に1質量部〜100質量部、好ましくは1質量部〜30質量部の範囲であり、硬化中、硬化後の除去の点からは少ない方が好ましい。
【0025】
<非極性ビニル化合物>
本発明に用いられる非極性ビニル化合物は、実質的に炭素数5以上20以下の環状オレフィン及び/又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上からなり、かつポリエン含量が1質量部未満であることを特徴とする。
好ましくは、本非極性ビニル化合物は、実質的に炭素数5以上20以下の環状オレフィン及び/又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上を90質量部以上含有し、かつポリエン含量が1質量部未満であることを特徴とする。さらに好ましくは、本発明に用いられる非極性ビニル化合物は、炭素数5以上20以下の環状オレフィン及び/又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上からなり、ポリエンを含まない。
非極性ビニル化合物として用いられる環状オレフィン及び/又は芳香族ビニル化合物は上記エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の環状オレフィン及び/又は芳香族ビニル化合物と同じ意味である。
【0026】
驚くべき事に、本発明の樹脂組成物の硬化体は、用いられる非極性ビニル化合物中のポリエン含量が1質量部未満であっても十分に硬化することが可能で、実用上十分な耐熱性(200℃で2×10Pa以上)を有することが出来る。ここで用いるポリエンが1質量部以上含まれる場合、得られる硬化体の引っ張り破断伸びが30%未満となってしまい、剛直、あるいは脆くなってしまう場合がある。得られる硬化体の引っ張り破断伸びが30%以上、好ましくは150%以上であるためには、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体が50質量部以上95質量部以下、好ましくは70質量部以上で、非極性ビニル化合物が5質量部以上50質量部以下、好ましくは30質量部以下で、非極性ビニル化合物中のポリエン含量が1質量部未満、さらに含まれないことが最も好ましい。エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体が95質量部以上では耐熱性が低下し、50質量部以下では引張り破断伸びが低下する場合がある。
また、本発明の樹脂組成物の硬化体は引っ張り弾性率で70MPa以下、好ましくは30MPa以下、もっとも好ましくは10MPaの軟質性を示すことが可能となる。
さらに、用いられる非極性ビニル化合物中のポリエン含量が1質量部未満である条件を満たすことにより、弾性率の温度変化を著しく小さくさせることが可能となる。具体的には粘弾性スペクトル測定により得られる50℃における貯蔵弾性率の200℃における貯蔵弾性率に対する比(=50℃のE‘/200℃のE’)が、5倍以下、好ましくは3倍以下である。
得られる硬化体の引っ張り弾性率で70MPa以下、好ましくは30MPa以下、もっとも好ましくは15MPa、引っ張り破断伸びが30%以上、好ましくは150%以上であること、及び50℃における貯蔵弾性率の200℃における貯蔵弾性率に対する比が、5倍以下、好ましくは3倍以下であることをすべて満たすことは、耐熱、軟質、低誘電特性を有する新規率絶縁材料として有用である。例えば電子デバイスの封止、表面コート用途を想定した場合、耐熱性、軟質性、弾性率の温度変化が小さいことは、デバイス、基板、配線等の熱膨張により生ずる応力の緩和のために重要であると考えられる。

【0027】
本発明の後硬化性樹脂組成物には、他に酸素原子や窒素原子、珪素原子、硫黄原子、燐原子等を含む極性基を有する重合性モノマ−を含んでいてもよいが、これらモノマ−の総質量は本後硬化性樹脂組成物の総質量の10質量%未満、好ましくは5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満である必要がある。これら極性基を有する重合性モノマ−は、各種電子材料、基板、デバイスとの接着性向上に効果がある。しかし、上記以上含まれると本後硬化性樹脂組成物をから得られる硬化体の誘電特性(誘電率/誘電損失)を悪化させてしまう。
また本発明の後硬化性樹脂組成物には、力学物性改良のため共役ジエン系の重合体を本後硬化性樹脂組成物の総質量の5質量%未満含むことができる。5質量%以上では、成形加工性が低下してしまう。共役ジエン系の重合体としては、ポリブタジエン、ブロックまたはランダムのスチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブロックまたはランダムのスチレン−イソプレン共重合体が例示できる。これら共役ジエン系の重合体の重量平均分子量1万以上である。
【0028】
<硬化剤>
本発明には、従来ポリエン、芳香族ビニル化合物又は環状オレフィンの重合、又は硬化に使用できる公知のラジカル重合開始剤、又は硬化剤を用いることが出来、過酸化物系(パ−オキサイド)、アゾ系重合開始剤等用途、条件に応じて自由に選択することが出来る。
【0029】
そのような例は、日本油脂カタログ有機過酸化物organic peroxides第10版がhttp://www.nof.co.jp/business/chemical/pdf/product01/Catalog_all.pdfからダウンロ−ド可能である。和光純薬社カタログ等にも記載されている。本発明に用いられる硬化剤はこれらの会社より入手することが出来る。また公知の光、紫外線、放射線、あるいは電子線に感応する硬化剤を用いることも出来る。放射線あるいは電子線そのものによる硬化も可能である。
【0030】
硬化剤の使用量に特に制限はないが、一般的には後硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜10質量部用いる。過酸化物系(パ−オキサイド)、アゾ系重合開始剤等の硬化剤を用いる場合には、その半減期を考慮し、適切な温度、時間で硬化処理を行う。この場合の条件は、硬化剤に合わせて任意であるが、一般的には50℃から180℃程度の温度範囲が適当である。
【0031】
本発明の後硬化性樹脂組成物は、主に比較的低分子量のエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体と液状のモノマ−である非極性ビニル化合物から構成されるため、低粘性液体から高粘性液体の性状を示し、液状のモノマ−である非極性ビニル化合物の粘度以上の粘度範囲で調整可能であり、好ましくは、約10万cP以下、更に好ましくは3万cP以下である。そのため、適当な方法で塗布、充填、滴下し、熱や光により硬化させて目的の硬化体を得ることが出来る。このような液体から半固体状の性状は、各種トランスファー成形(圧入成形)や、基板や半導体デバイス材料の上、又は間に塗布、ラミネ−ション、又はスピンコ−トした後に硬化して絶縁皮膜や絶縁層を形成する上で非常に都合がよい。
【0032】
本発明の後硬化性樹脂組成物は、エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体、非極性ビニル化合物及び硬化剤を混合・溶解して得られるが、混合・溶解の方法、順序は任意の公知の方法が採用できる。また、必要に応じてシリカ、アルミナ、沈降性バリウム(BaSO4 )粉等の無機充填材を添加したのちに後硬化性樹脂組成物を硬化することも出来る。これら無機充填材は、熱伝導性のコントロール、膨張係数コントロール、ガスバリア性の付与、密着性の向上、低価格化を目的として添加される。その添加量は、一般には後硬化性樹脂組成物100質量部に対して1〜500質量部の範囲で用いることができる。
特に、低誘電率、低誘電損失性及び放熱性に優れた後硬化性樹脂組成物を目的とする場合、無機充填材としてはボロンナイトライド(BN)が好ましい。さらには低誘電性(低誘電率、低誘電損失正接)を改善、向上させるために中空のフィラ−や空隙の多い形状のフィラ−を添加しても良い。これらは本発明の後硬化性樹脂組成物100質量部に対して一般に1〜500質量部の範囲で用いることができる。
また、無機充填材の替わりに、高分子量または超高分子量ポリエチレン等の有機フィラ−を用いることも可能である。これら高分子量または超高分子量ポリエチレン等の有機フィラ−は、充填性、接着性、分散性向上を目的としてその表面が変性されていても良い。これら有機充填材も、本発明の後硬化性樹脂組成物100質量部に対して1〜500質量部の範囲で用いることができ、好ましくは、1〜300質量部の範囲で用いる。
一方、本発明の樹脂組成物に1GHzにおける誘電率が3.0〜10000、好ましくは5〜10000の高誘電率絶縁体フィラ−を混合し分散することによって誘電正接(誘電損失)の増大を抑制しつつ、誘電率が3.1〜20の高誘電率絶縁層を有する絶縁硬化体を作成することができる。絶縁硬化体からなるフィルムの誘電率を高くすることによって回路の小型化,コンデンサの高容量化が可能となり高周波用電気部品の小型化等に寄与できる。高誘電率,低誘電正接絶縁層はキャパシタ,共振回路用インダクタ,フィルター,アンテナ等の用途に適する。本発明に用いる高誘電率絶縁体フィラ−としては、無機充填材または絶縁処理施した金属粒子が挙げられる。具体的な例は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等公知の高誘電率無機充填材であり、他の例は例えば特開2004−087639号公報に具体的に記載されている。
本発明の後硬化性樹脂組成物には難燃剤を配合することができる。好ましい難燃剤は、低誘電損失(低誘電正接)性を保持する観点からは、赤リン、トリフェニルフォスフィン、リン酸トリフェニルまたはこれらの縮合体等の公知の有機リン系や公知の臭素系難燃剤である。さらに難燃助剤として三酸化アンチモン,四酸化アンチモン,五酸化アンチモン,アンチモン酸ソーダ等のアンチモン系化合物またはメラミン、トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,3,4−(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,6−トリアリロキシ1,3,5−トリアジン等の含窒素化合物を添加しても良い。これら難燃剤、難燃助剤の合計は、樹脂組成物100質量部に対して通常は1〜100質量部の範囲である。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)系の低誘電率かつ難燃性に優れる樹脂を組成物100質量部に対し、1〜100質量部配合してもよい。
【0033】
<後硬化性樹脂組成物から得られた硬化体>
本発明の後硬化性樹脂組成物から得られた硬化体の誘電率は3以下2以上、好ましくは2.7以下2.0以上、誘電損失は0.007以下0.0005以上、好ましくは0.006以下0.001以上である。また、得られた硬化体の体積抵抗率は、1×1015Ω・cm以上である。これらの値は、高周波回路の絶縁材料として好ましい値である。本発明の後硬化性樹脂組成物に用いられるエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体は軟質で柔軟性に富むために、これと共に非極性ビニル化合物との組成物から得られる硬化体は、非常に軟質で耐衝撃性が高いという特徴を有することが出来る。例えば、引張破断ひずみは一般的には30%以上1500%以下、好ましくは150%以上1000%以下の値を示す。また引張弾性率は、一般的には0.1MPa以上70MPa以下、好ましくは0.1MPa以上70MPa以下の値を示すことが出来る。引張破断応力は、一般的には1MPa以上50MPa、好ましくは1MPa以上30MPa以下の値を示すことが出来る。
【0034】
本発明の後硬化性樹脂組成物から得られた硬化体は良好な耐熱性を示す。粘弾性スペクトルから得られる200℃における貯蔵弾性率も1×105Pa以上である。さらに本発明の後硬化性樹脂組成物から得られた硬化体は270℃でも貯蔵弾性率も1×105Pa以上を示すことが可能であり、高温においても軟質であるが十分な力学的強度を保持している。
<後硬化性樹脂組成物から得られた硬化体の用途>
本発明の後硬化性樹脂組成物を用いて得られた硬化体の用途としては、高周波動作の障害となる配線間静電容量を低減するための、半導体用または配線用の低誘電率、低誘電損失充填絶縁材、被覆絶縁材、シ−ト状絶縁材、ポッティング材、表面コート材である。本発明の後硬化性樹脂組成物及び必要に応じ上記各種無機充填材(フィラ−)、難燃剤等を配合し、必要ならば適切な溶媒を添加し、半導体装置の種類、形状に応じて塗布、充填、乾燥、及び/または加熱により硬化させて用いることが出来る。
さらに高周波集積回路のインターポーザーとして、後硬化性樹脂組成物のエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体/非極性ビニル化合物の質量比を選択することで軟質フィルム状に調整し、基板と積層し熱溶融後完全架橋硬化させることも可能である(いわゆるBステージ法)。
また、流動性を有する後硬化性樹脂組成物とフィラ−(無機充填材あるいは有機充填材)からなる高周波集積回路アンダーフィル材としても有用である。アンダ−フィル材とは実装時の基板とチップを電気的に接続する際にこれらを密着させ強度を確保する材料である。本用途では低粘度で浸透性が高く、その補強効果によりヒ−トサイクルによる応力を緩和することができることが重要である。
本発明の後硬化性樹脂組成物を用いて得られた硬化体を絶縁層に使用した多層配線基板は誘電損失が少ない高周波特性の優れた配線基板となり得る。この場合、低誘電損失性以外にハンダに耐えうる耐熱性と、ヒートサイクルあるいは熱膨張差による応力に耐えうる耐衝撃性や軟質性がメリットとなる。例えば、ガラスクロス,不織布,フィルム材,セラミック基板,ガラス基板,エポキシ等の汎用樹脂板,汎用積層板等のコア材と本硬化体からなる絶縁層付導体箔をラミネート,プレスすることで作製することが可能である。またコア材に後硬化性樹脂組成物を含むスラリ−、または溶液を塗布し乾燥、硬化させ絶縁層を形成しても良い。絶縁層の厚さは一般的に1〜300ミクロンである。この様な多層配線基板は、多層化、集積化して用いることも可能である。
本発明の後硬化性樹脂組成物は、太陽電池(太陽光発電装置)の封止材として用いることができる。本発明の後硬化性樹脂組成物は、上記のように液状〜軟質の性状を示すため、太陽電池セルへ注入または圧入し、その後硬化させることで封止することができる。また、半硬化状態のフィルムとすることで、太陽電池セルを挟み込み硬化させ封止することもできる。硬化温度、時間は、用いる硬化剤の種類、量により任意に変更できる。また、光硬化剤を選ぶことで、光硬化も可能となる。本後硬化性樹脂組成物からなる、または含む封止材は、その水蒸気透過率や吸水率の低さ、高体積抵抗率が封止材としての特徴である。

【実施例】
【0035】
以下、実施例により、本発明を説明するが、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
【0036】
合成例、比較合成例で得られた共重合体の分析は以下の手段によって実施した。
【0037】
共重合体中のスチレン、オクテン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエンの単位含有量の決定は、H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500を用いた。重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、測定は、80〜130℃で行った。
【0038】
分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。測定は以下の条件で行った。
カラム:TSK−GEL MultiporeHXL-M φ7.8×300mm(東ソ−社製)を2本直列に繋いで用いた。
カラム温度:40℃
溶媒:THF
送液流量:1.0ml/min.
【0039】
DSC測定は、セイコーインスツルメンツ社製EXSTAR6000を用い、窒素気流下で行った。すなわち樹脂組成物10mgを用い、昇温速度20℃/分で−100℃から300℃までDSC測定を行い、融点、結晶融解熱及びガラス転移点を求めた。ガラス転移温度は、接線法で求めた。
【0040】
<引張試験>
JIS K−6251に準拠し、フィルムシートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、オリエンテック社製テンシロンUCT−1T型を用い、23℃、引張速度500mm/minにて測定した。
【0041】
<貯蔵粘弾率の測定>
動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社RSA−III)を使用し、周波数1Hz、温度領域−60℃〜+300℃の範囲で測定した。厚み約0.1から0.2mmのフィルムから測定用サンプル(3mm×40mm)を切り出した。
【0042】
<折り曲げ試験>
得られたフィルムに定規をあて、手で180°折り曲げた際に、割れやひびが発生しなかったサンプルは○とし、割れやひびが発生したサンプルは×とした。
【0043】
<吸水率>
JIS C 6481に準拠
○0.05質量%未満、△0.05以上0.1質量%未満、×0.1質量%以上
【0044】
<ヘーズ>
透明度はJIS K−7105プラスチックの光学的特性試験方法に準じて日本電色工業社製濁度計NDH2000を用いてヘーズを測定した。
【0045】
<誘電率及び誘電損失>
RF−IV法に準拠し、測定装置:アジレントテクノロジ−株式会社製RFインピ−ダンス/マテリアルアナライザ HP4291Aにより、測定周波数1MHz〜1GHzの範囲で測定を実施した。
<体積抵抗率>
0.5mm厚さフィルムを用い、JISK6911に従い室温で測定した。
【0046】
<ジビニルベンゼン>
以下の実施例で用いたジビニルベンゼンは、新日鐵化学社製「DVB-810」(ジビニルベンゼンとしての純度81%、メタ体、パラ体混合物のメタ体:パラ体質量比は70:30)である。
【0047】

<触媒(遷移金属化合物)>
以下の実施例では、触媒(遷移金属化合物)として、rac(ラセミ体)−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いた。
【0048】
合成例1
<エチレン−ヘキセン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の合成>
触媒としてrac−ジメチルメチレンビス(4,5ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、以下のように実施した。
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。 トルエン2900ml、スチレン400ml、1−ヘキセン300mlおよび新日鉄化学社製のジビニルベンゼン(メタ、パラ混合品、ジビニルベンゼンとして115.3mmol)を仕込み、乾燥窒素ガスを約70Lバブリングして、内温60℃にて加熱攪拌しオ−トクレ−ブ内及び重合液の水分をパージした。次いで、トリイソブチルアルミニウム8.4mmol、メチルアルモキサン(ファイン・ケム社製、MMAO−3Aトルエン溶液)をAl基準で16.8mmol(表1中ではMAOと記載)加え、ただちにエチレンを導入し、内温105℃、圧力0.4MPaで安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、rac−ジメチルメチレンビス(4,5ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを18.8μmol、トリイソブチルアルミニウム約1mmolを溶かしたトルエン溶液約30mlをオートクレーブ中に加えた。内温を105℃、圧力を0.4MPaに維持しながら0.5時間重合を実施した。得られた重合液に、1−イソプロパノールを投入し、その後、大量のメタノールを投入してポリマーを回収した。このポリマーを、50℃で2昼夜真空乾燥し約480gのポリマーを得た。
【0049】
合成例2
合成例1と同様の手順で、但し表1記載の条件で重合を行った。
【0050】
合成例3〜7
合成例1と同様の手順で、但し、用いる触媒をrac−ジメチルメチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライドに変更し、容量2Lの攪拌機および加熱冷却用ジャケット付きのオートクレーブ用い、表1記載の条件で重合を行った。
【0051】
合成例8
合成例1と同様の手順で、但し、容量2Lの攪拌機および加熱冷却用ジャケット付きのオートクレーブを用い、表1記載の条件で重合を行った。
【0052】
【表1】



【0053】
【表2】



【0054】
実施例1
合成例1で得られたエチレン−ヘキセン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体5.2gとスチレン2gの樹脂組成物を約40度に加熱して攪拌し溶解した。さらに、パーブチルOを樹脂組成物100質量部に対して1質量部加えて溶解し、本発明の後硬化性樹脂組成物を得た。配合条件を表3に示す。得られた後硬化性樹脂組成物をガラス板上に設置したペットシート上のフルオロカーボン樹脂製型枠(枠部分長さ7cm、幅7cm、厚さ0.1mm)に流し込み、さらにペットシート、ガラス板で挟んで、80℃の乾燥機中で12時間加熱処理した。終了後、硝子板及び型枠を外し、しなやかな透明フィルムとして本発明の後硬化性樹脂組成物のフィルム状硬化体を得た。得られたフィルムを2号ダンベル1/2号型テストピース形状にカットし、力学物性を測定した結果を表4に示す。折り曲げ試験、粘弾性スペクトル測定により得られた50℃、200℃の貯蔵弾性率、及び吸水率(JISC 6481に準拠)を評価した結果についても表4に示す。

【0055】
実施例2〜6
実施例1と同様の手順で、表3の配合で後硬化性樹脂組成物を調製し、同様の手順で加熱処理を行い、本発明の後硬化性樹脂組成物のフィルム状硬化体を得た。

【0056】
【表3】



【0057】
【表4】



【0058】
実施例1〜6で得られたフィルムを用い、誘電率、誘電損失、体積抵抗率を測定した結果を表5に示す。

【0059】
【表5】



【0060】
また、実施例5で得られたフィルムの粘弾性スペクトル(温度と貯蔵弾性率の関係)を図1に示す。実施例1〜6で得られた樹脂組成物の硬化体は、引っ張り弾性率が10MPa以下の軟質性を示した。さらに引っ張り伸び150%以上で、50℃における貯蔵弾性率の200℃における貯蔵弾性率の比(=50℃のE‘/200℃のE’)が5倍以下であった。また、いずれの実施例も折り曲げ試験、吸水率ともに良好な結果であった。さらに、200℃での貯蔵弾性率が2×10Pa以上であり耐熱性を保持していた。
比較例1〜14は、非極性ビニル化合物計100質量部に対し9質量部以上のジビニルベンゼンを用いているが、すべて引張り弾性率が70MPa以上であり、破断点伸びは150%以下であった。比較例4及び7では50℃における貯蔵弾性率の200℃における貯蔵弾性率の比(=50℃のE‘/200℃のE’)が5倍以下であったが、引っ張り試験における破断点伸びが30%未満であり低く、室内折り曲げ試験において折れていることからも、本発明の範囲からは外れる。
実施例1〜6で得られた硬化体フィルムの吸水率はいずれも0.05質量%未満であり(表4)、体積抵抗率は1×1015Ω・cm以上であった(表5)。一方、市販の太陽電池封止用EVA(架橋後)フィルムの吸水率は、0.2質量%であり、体積抵抗率は3.6×1014Ω・cmであった。
【0061】
以上の結果より、本発明の後硬化性樹脂組成物を硬化した成形体は優れた軟質性、力学強度、耐熱性、耐衝撃性、耐水性と同時に優れた低誘電率及び低誘電損失を示す。本後硬化性樹脂組成物は流動性を有するので、フィルム状や各種形状に成形し硬化することで、様々な形状に成形することが容易であり、特に高周波用の電気絶縁材料として好適に用いることが出来る。また、本発明の後硬化性樹脂組成物を硬化した成形体は、太陽電池封止材としての優れた低吸水性、高い体積抵抗率を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とするエチレン−オレフィン−ポリエン共重合体10〜90質量部、及び(5)の条件を満たす非極性ビニル化合物90〜10質量部及び硬化剤を含有することを特徴とする後硬化性樹脂組成物。
(1)オレフィンが、炭素数3以上20以下のαオレフィン、炭素数5以上20以下の環状オレフィン、炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上である。
(2)ポリエンが、分子内にビニル基及び/又はビニレン基を複数有する炭素数5以上20以下のポリエンから選ばれる一種以上である。
(3)エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体の数平均分子量が1000以上5万以下、重量平均分子量/数平均分子量が1.5以上5以下であり、かつ、ポリエン単位含有量が、数平均分子量あたり1個以上7個未満であることを満足し、オレフィン単位含有量が5モル%以上70モル%以下であり、残部がエチレン単位である。
(4)エチレン、オレフィン及びポリエンを共重合するときに使用する触媒が、下記の一般式(1)又は(2)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒である。
【化1】


式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、又は非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基であり、少なくともA,Bのうち1個は非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基である。ここで置換ベンゾインデニル基、置換インデニル基、置換シクロペンタジエニル基、又は置換フルオレニル基とは、置換可能な水素の1個以上が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR基、SiR基、又はPR基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で置換されたベンゾインデニル基、インデニル基、シクロペンタジエニル基、又はフルオレニル基である。

YはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基、硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは環状構造を有していてもよい。
Xは、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、又は炭素数1〜20の炭化水素置換基を有するアミド基である。2個のXは結合を有しても良い。
Mはジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
【化2】


式中、Cpは非置換もしくは置換シクロペンタフェナンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置換もしくは置換インデニル基、又は非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基である。Y’は、Cp、Zと結合を有し、他に水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、シリレン基、エチレン基、ゲルミレン基、硼素残基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Y’は環状構造を有していてもよい。Zは窒素、酸素、又はイオウを含み、窒素、酸素、又はイオウでM’に配位する配位子でY’と結合を有し、他に水素、炭素数1〜15の置換基を有する基である。
M’はジルコニウム、ハフニウム、又はチタンである。
X’は、水素、ハロゲン、炭素数1−15のアルキル基、炭素数6−10のアリール基、炭素数8−12のアルキルアリール基、炭素数1−4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1−10のアルコキシ基、又は炭素数1−6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。
nは、1、又は2の整数である。
(5)炭素数5以上20以下の環状オレフィン及び/又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上からなり、かつポリエン含量が1質量部未満であることを特徴とする非極性ビニル化合物。
【請求項2】
エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体と非極性ビニル化合物の合計100質量部に対して硬化剤を0.01〜10質量部含むことを特徴とする請求項1記載の後硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
非極性ビニル化合物がポリエンを含まず、炭素数5以上20以下の環状オレフィン及び/又は炭素数8以上20以下の芳香族ビニル化合物から選ばれる一種以上を90質量部以上含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の後硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
エチレン−オレフィン−ポリエン共重合体のポリエン単位が、ジビニルベンゼン類から選ばれる一種以上から由来することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
非極性ビニル化合物がスチレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
硬化剤が、ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物5〜95質量部とフィラ−95〜5質量部からなる後硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる高周波用電気絶縁材料。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる高周波集積回路インターポーザー。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる高周波集積回路アンダーフィル材。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる多層配線基板。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を硬化して得られる表面コート材。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を用いたポッティング材。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項記載の後硬化性樹脂組成物を用いた太陽電池封止材。

【図1】
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【公開番号】特開2010−280771(P2010−280771A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133641(P2009−133641)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】