説明

微生物夾雑物の検出のための方法および組成物

【課題】サンプル中の微生物夾雑物の存在および/または量を決定するための試験カートリッジを提供すること。
【解決手段】本発明は、サンプル中の微生物夾雑物(例えば、細菌エンドトキシンまたはグルカン)の検出および/または定量のための方法および組成物を提供する。特に、本発明は、サンプル中の微生物夾雑物の検出および/または定量のための血球溶解物ベースのアッセイの実施において有用な試験カートリッジを提供する。さらに、本発明は、このようなカートリッジの作製方法および使用方法を提供する。さらに、本発明は、サンプル中の微生物夾雑物の検出およびまたは定量のために、迅速で、感度の高い、多工程の動的血球溶解物ベースのアッセイを提供する。さらに、本発明は、動的アッセイを行うために必要に応じて構成された種々のアッセイ形式(例えば、試験カートリッジを含む)において使用され得るグルカン特異的溶解物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2003年3月17日出願の米国特許出願第60/455,632号(その内容は、本明細書に参考として援用される)の優先権およびその利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、サンプル中の微生物夾雑物を検出および/または定量するための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明は、サンプル中の微生物汚染を検出および/定量するために血球溶解物を使用する方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、酵母、真菌、および糸状菌による微生物汚染は、重篤な疾患を引き起こし得、いくつかの場合では、ヒトに死すらも引き起こす。特定の産業(例えば、製薬産業、医療デバイス産業、および食品産業)における製造業者は、厳しい基準を満たして、彼らの製品があるレベルの微生物夾雑物を含まない(さもなければ、レシピエントの健康状態を損なう)ことを確認しなければならない。これらの産業は、特定の基準(例えば、米国食品医薬品局(USFDA)または環境保護局によって課される基準)を満たすために、このような微生物夾雑物の存在に関して、頻度が高く、正確で、かつ感度の高い試験を要する。例えば、USFDAは、医薬品および侵襲性医療デバイスの特定の製造業者に、彼らの製品が、検出可能なレベルのグラム陰性細菌のエンドトキシンを含まないことを確証するように求めている。
【0004】
さらに、人々がグラム陰性細菌に感染した場合、その細菌は、熱を誘導する細菌エンドトキシンを生成および分泌し得る。細菌エンドトキシンは、危険で、ヒトに対して致命的ですらあり得る。感染の症状は、軽い場合には、熱から、死亡までの範囲に及び得る。適切な医療処置を迅速に開始するために、通常は、可能な限り速く、患者におけるエンドトキシンの存在、および可能であれば、そのエンドトキシンの濃度を同定することが重要である。
【0005】
今日まで、試験サンプル中の微生物夾雑物の存在および/または量を検出するために、種々のアッセイが開発された。アッセイの1つのファミリーは、甲殻類、例えば、カブトガニの血液リンパから調製された血球溶解物を利用する。これらのアッセイは、代表的には、ある意味では、または別の意味でも、血球溶解物が微生物夾雑物に曝されたときに生じる凝固カスケードを活用する。現在好ましい血球溶解物は、カブトガニ(例えば、Limulus polyphemus、Tachypleus gigas、Tachypleus tridentatus、およびCarcinoscorpius rotundicauda)の血液リンパから調製されたアメーバ様細胞溶解物(AL)である。Limulus、Tachypleus、およびCarcinoscorpius種の血液リンパから調製されたアメーバ様細胞溶解物は、それぞれ、Limulusアメーバ様細胞溶解物(LAL)、Tachypleusアメーバ様細胞溶解物(TAL)、およびCarcinoscorpiusアメーバ様細胞溶解物(CAL)といわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LALを利用する慣用的なアッセイとしては、例えば、ゲル凝固アッセイ、エンドポイント濁度測定アッセイ、動的濁度測定アッセイ、およびエンドポイント色素形成アッセイ(Prior(1990)「Clinical Applications of the Limulus Amebocyte Lysate Test」CRC PRESS 28−34)が挙げられる。しかし、これらのアッセイには、試薬費用、アッセイ速度および制限された感度の範囲を含む1以上の欠点がある。また、これらのアッセイは、代表的には、試験されるサンプルの起源から取り出されたサンプルを試験施設へと送ることが必要である。結果として、問題を見つけ、改善し得るまでには、数時間から数週間かかり得る。従って、より迅速かつより感度の高い方法、およびこのような方法を利用する携帯型試験系が依然として必要である。これらの方法および試験系は、現場から離れた(off−site)試験施設にサンプルを提出する必要性を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、一部、血球溶解物ベースのアッセイにおいて使用するための固定化血球溶解物を含む光学カートリッジを作製および使用することが可能であるという発見に一部基づく。これらのカートリッジは、単独で、または光学検出器(例えば、携帯型光学検出器)と組み合わせて使用されて、現場でのサンプルのアッセイを可能にし、それにより、現場から離れた試験施設へサンプルを送る必要性が回避される。従って、そのカートリッジは、使用地点試験系(point−of−use test system)において使用され得る。さらに、本発明は、サンプル中の目的の微生物夾雑物の存在および/または量を決定するための迅速で、感度の高い、多工程動的アッセイの発見に一部基づく。この型のアッセイは、カートリッジで、または任意の他の望ましいアッセイ形式において実施され得る。さらに、本発明は、グルカン特異的血球溶解物の発見、およびこのような溶解物を作製する方法に一部基づく。そのグルカン特異的溶解物は、このようなカートリッジに組み込まれ得、そして/または多工程動的アッセイにおいて使用され得る。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
サンプル中の微生物夾雑物の存在または量を決定するためのカートリッジであって、該カートリッジは、以下:
(i)流体入り口ポート、光学セル、および該流体入り口ポートと該光学セルとの間に流体流動連絡を提供するための流体接触表面を有するコンジットを規定するハウジング;ならびに
(ii)血球溶解物であって、該コンジットの該流体接触表面の領域に配置され、その結果、サンプルが該流体入り口ポートに付与される場合に、該サンプルが該領域を横断し、該光学セルへ移動する間に該血球溶解物を可溶性にするようにされる、血球溶解物、
を備える、カートリッジ。
(項目2)
前記流体接触表面の第2の領域に配置された色素形成性基質をさらに含む、項目1に記載のカートリッジ。
(項目3)
前記第2の領域は、前記第1の領域の下流に存在する、項目2に記載のカートリッジ。
(項目4)
前記コンジットの前記流体接触表面に位置した前記微生物夾雑物を示す、所定量の因子をさらに含む、項目1に記載のカートリッジ。
(項目5)
前記因子は、前記第1の領域に配置されている、項目4に記載のカートリッジ。
(項目6)
前記因子は、細菌エンドトキシンまたは(1→3)−β−Dグルカンである、項目4に記載のカートリッジ。
(項目7)
サンプル中の微生物夾雑物の存在または量を決定するためのカートリッジであって、該カートリッジは、以下:
(i)ハウジングであって:
第1の流体入り口ポート、第1の光学セル、および該第1の流体入り口ポートと該第1の光学セルとの間に流体流動連絡を提供するための流体接触表面を有する第1のコンジット、
第2の流体入り口ポート、第2の光学セル、および該第2の流体入り口ポートと該第2の光学セルとの間に流体流動連絡を提供するための流体接触表面を有する第2のコンジット、
を規定するハウジング;ならびに
(ii)第1の血球溶解物であって、該溶解物は、該第1のコンジットの該流体接触表面の第1の領域に配置され、その結果、サンプルが該第1の流体入り口ポートに付与される場合に、該サンプルが該領域を横断し、該第1の光学セルへ移動する間に該第1の血球溶解物を可溶性にするようにされる、第1の血球溶解物;ならびに
(iii)第2の血球溶解物であって、該第2のコンジットの該流体接触表面の第1の領域に配置され、その結果、サンプルが該第2の流体入り口ポートに付与される場合に、該サンプルが該領域を横断し、該第2の光学セルへ移動する間に該第2の血球溶解物を可溶性にするようにされる、第2の血球溶解物、
を備える、カートリッジ。
(項目8)
前記第1のコンジットの前記流体接触表面の第2の領域に配置された色素形成性基質をさらに含む、項目7に記載のカートリッジ。
(項目9)
前記第2の領域は、前記第1の領域の下流に存在する、項目8に記載のカートリッジ。
(項目10)
前記第2のコンジットの前記流体接触表面の第2の領域に配置される色素形成性基質をさらに含む、項目8に記載のカートリッジ。
(項目11)
前記第2の領域は、前記第1の領域の下流に存在する、項目10に記載のカートリッジ。
(項目12)
前記第1のコンジットの前記流体接触表面に位置する微生物夾雑物を示す、所定量の因子をさらに含む、項目7に記載のカートリッジ。
(項目13)
前記因子は、前記第1の領域に配置されている、項目12に記載のカートリッジ。
(項目14)
前記因子は、細菌エンドトキシンまたは(1→3)−β−Dグルカンである、項目12に記載のカートリッジ。
(項目15)
サンプル中の微生物夾雑物の存在を検出する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)サンプルを、項目1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジのサンプル入り口ポートに導入する工程;
(b)該サンプルを光学セルに移動させる工程;および
(c)該光学セル中の該サンプルの光学特性を測定する工程であって、ここで該光学特性の変化は、該サンプル中の微生物夾雑物の存在を示す、工程、
を包含する、方法。
(項目16)
前記光学特性の変化は、所定波長の光の吸光度の上昇である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記光学特性の変化は、所定波長の光の透過率の低下である、項目15に記載の方法。
(項目18)
サンプル中の微生物夾雑物の量を決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)サンプルを、項目1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジのサンプル入り口ポートに導入する工程;
(b)該サンプルを光学セルに移動させる工程;
(c)該光学セル中の該サンプルの光学特性において所定の変化が生じる時間を測定する工程;ならびに
(d)工程(c)において測定した時間を、所定の標準曲線に対して比較して、該サンプル中の該微生物夾雑物の量を決定する工程、
を包含する、方法。
(項目19)
前記光学特性の変化は、所定波長の光の吸光度の上昇である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記光学特性の変化は、所定波長の光の透過率の低下である、項目18に記載の方法。
(項目21)
サンプル中の微生物夾雑物の存在を決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)サンプルと、活性化可能な酵素を含む血球溶解物とを接触させて、サンプル−溶解物混合物を生成し、その際に、該酵素は、該微生物夾雑物が、該サンプル中に存在する場合に活性化される、工程;
(b)工程(a)の後に、該サンプル−溶解物混合物と、該酵素のための基質とを接触させて、サンプル−溶解物−基質混合物を生成し、その結果、該混合物が活性化された酵素を含む場合、該活性化された酵素は、該基質の変化を引き起こす、工程;
(c)該サンプル−溶解物−基質混合物の光学特性において所定の変化が生じる時間を決定する工程であって、該光学特性の変化は、該基質の変化から生じる、工程;ならびに
(d)工程(c)において決定した時間を、所定の標準曲線に対して比較して、該夾雑物が、該サンプル中に存在するか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
(項目22)
前記微生物夾雑物は、リポ多糖、細菌エンドトキシン、およびグルカンからなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記微生物夾雑物はリポ多糖である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記微生物夾雑物は細菌エンドトキシンである、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記微生物夾雑物はグルカンである、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記光学特性の変化は、所定波長の光の吸光度の上昇である、項目21に記載の方法。
(項目27)
前記光学特性の変化は、所定波長の光の透過率の低下である、項目21に記載の方法。
(項目28)
前記血球溶解物は、アメーバ様細胞溶解物である、項目21に記載の方法。
(項目29)
前記血球溶解物は、Limulusアメーバ様細胞溶解物である、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記血球溶解物は、エンドトキシン特異的アメーバ様細胞溶解物である、項目21に記載の方法。
(項目31)
前記血球溶解物は、グルカン特異的アメーバ様細胞溶解物である、項目21に記載の方法。
(項目32)
前記活性化可能な酵素は、プロ凝固酵素である、項目21に記載の方法。
(項目33)
前記活性化可能な酵素は凝固酵素である、項目21に記載の方法。
(項目34)
前記基質は色素形成性基質である、項目21に記載の方法。
(項目35)
前記色素形成性基質はパラ−ニトロアニリン発色団を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記色素形成性基質は、Ile−Glu−Ala−Arg−pNAを含み、pNAは、パラ−ニトロアニリン基である、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記サンプル中の前記夾雑物の量を測定するさらなる工程を包含する、項目21に記載の方法。
(項目38)
前記微生物夾雑物の存在は、微生物感染または微生物汚染を示す、項目21に記載の方法。
(項目39)
前記夾雑物の量は、微生物感染または微生物汚染を示す、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記微生物感染は、細菌感染、酵母感染、糸状菌感染、または真菌感染である、項目38または39に記載の方法。
(項目41)
工程(a)および工程(b)は、所定のアッセイ感度および所要期間をもたらす、項目21に記載の方法。
(項目42)
工程(a)および工程(b)は、固体支持体により規定されるウェル中で行われる、項目21に記載の方法。
(項目43)
工程(a)および工程(b)は、カートリッジの中で行われる、項目21に記載の方法。
(項目44)
固体支持体の上で血球溶解物を乾燥させる方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)血球溶解物、再可溶化剤および剥離防止剤を含む一定量の混合物を、該固体支持体の表面に付与する工程;ならびに
(b)該固体支持体の上の該混合物を乾燥させる工程、
を包含する、方法。
(項目45)
前記乾燥する工程は、約4℃〜約40℃の温度および約0%〜約30%の相対湿度を有する環境で行われる、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記温度は約25℃である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記湿度は約5%である、項目45または46に記載の方法。
(項目48)
前記再可溶化剤は、糖または塩である、項目44に記載の方法。
(項目49)
前記糖は、マンニトール、マンノース、ソルビトール、トレハロース、マルトース、デキストロース、およびスクロースからなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記剥離防止剤は、ポリマーまたはタンパク質である、項目44に記載の方法。
(項目51)
前記ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、血清アルブミン、およびデキストランからなる群より選択される、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記固体支持体は、コンジットの流体接触表面である、項目44に記載の方法。
(項目53)
前記混合物は、色素形成性基質をさらに含む、項目44に記載の方法。
(項目54)
前記混合物は、起泡防止剤をさらに含む、項目44または53に記載の方法。
(項目55)
前記起泡防止剤は、ポリビニルアルコールまたはポリプロピレングリコールである、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記混合物は、細菌エンドトキシンまたは(1→3)−β−Dグルカンをさらに含む、項目44または53に記載の方法。
(項目57)
前記血球溶解物は、アメーバ様細胞溶解物である、項目44に記載の方法。
(項目58)
前記アメーバ様細胞溶解物は、Limulusアメーバ様細胞溶解物である、項目57に記載の方法。
(項目59)
ファクターC活性が欠如したアメーバ様細胞溶解物を調製する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)アメーバ様細胞の調製物を提供する工程;および
(b)該アメーバ様細胞を、少なくとも0.15Mの塩の存在下で溶解して、ファクターC活性が欠如したアメーバ様細胞溶解物調製物を提供する工程、
を包含する、方法。
(項目60)
工程(b)の後に、前記アメーバ様細胞溶解物調製物から細胞細片を除去する工程というさらなる工程を包含する、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記塩は、一価カチオンを含む、項目59に記載の方法。
(項目62)
前記塩はナトリウム塩またはカリウム塩である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記塩は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである、項目62に記載の方法。
(項目64)
工程(b)において、前記アメーバ様細胞は、約0.15M〜約6Mの範囲の濃度%の塩中で溶解される、項目59に記載の方法。
(項目65)
前記塩は、約0.25M〜約4Mの濃度である、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記塩は、約1〜約2Mの濃度である、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記溶解物は、ファクターC活性が実質的にない、項目59に記載の方法。
(項目68)
前記溶解物は、ファクターG活性を保持している、項目59に記載の方法。
(項目69)
前記溶解物は、グルカン特異的溶解物である、項目68に記載の方法。
(項目70)
ファクターC活性が実質的にないアメーバ様細胞溶解物であって、ここで該溶解物は、少なくとも約0.25Mの塩を含み、該溶解物は、グルカンと反応して、コアギュリンゲルを生成し得る、溶解物。
(項目71)
前記塩は、一価カチオンを含む、項目70に記載の溶解物。
(項目72)
前記塩は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはナトリウムイオンとカリウムイオンの組み合わせを含む、項目71に記載の溶解物。
(項目73)
前記溶解物は、ファクターC活性が実質的にない、項目70に記載の溶解物。
(項目74)
前記溶解物は、少なくとも約0.25M〜約6Mの塩を含む、項目70に記載の溶解物。
(項目75)
前記溶解物は、約0.5M〜約4Mの塩を含む、項目74に記載の溶解物。
(項目76)
前記溶解物は、約1M〜約2Mの塩を含む、項目75に記載の溶解物。
(項目77)
固体支持体を含む製造物であって、該固体支持体の上には、血球溶解物を含む組成物を乾燥させており、該血球溶解物は、(i)剥離防止剤、(ii)起泡防止剤、(iii)再可溶化剤、(iv)剥離防止剤と起泡防止剤、(v)剥離防止剤と再可溶化剤、(vi)起泡防止剤と再可溶化剤、または(vii)剥離防止剤と起泡防止剤と再可溶化剤、を含む、製造物。
(項目78)
前記組成物は、基質をさらに含む、項目77に記載の製造物。
【0008】
一局面において、本発明は、サンプル中の微生物夾雑物の存在および/または量を決定するための試験カートリッジを提供する。そのカートリッジは、少なくとも1つの流体入り口ポート、少なくとも1つの光学セル、および少なくとも1つのコンジット(このコンジットは、その流体入り口ポートとその光学セルとの間を接続し、それらの間に流体流動連絡を提供する流体接触表面を有する)を規定するハウジングを備える。そのカートリッジは、そのコンジットの流体接触表面の第1の領域に配置された血球溶解物をさらに含み、その結果、サンプルがその流体入り口ポートに付与される場合に、そのサンプルがその領域を横断し、その光学セルへ移動する間にその血球溶解物を可溶性にするようにされる。この型のカートリッジは、例えば、エンドポイント濁度測定アッセイおよび動的濁度測定アッセイを行うために使用され得る。
【0009】
そのカートリッジは、必要に応じて、その血液溶解物中の酵素のうちの1種以上についての基質として作用する色素形成性基質をさらに含み得る。その色素形成性基質は、例えば、血液溶解物と組み合わせて、その第1の領域に配置され得る。この形式において、そのサンプルは、その血液溶解物および色素形成性基質を、実質的に同時に再可溶化するかまたは再度可溶化し始める。この型のカートリッジは、例えば、動的色素形成アッセイを行うために使用され得る。あるいは、その色素形成性基質は、そのコンジットの流体接触表面の第2の領域に配置され得る。その結果、そのサンプルがそのコンジットに沿ってその光学セルに向かって移動する場合、そのサンプルは、そのコンジットの異なる領域において、その血液溶解物および色素形成性基質と接触し、これを再構成する。一実施形態において、その第2の領域は、その第1の領域の下流に位置する(すなわち、その第2の領域は、その第1の領域よりも光学セルの近くに位置する)。この型のカートリッジは、本明細書中以下でより詳細に議論されるように、例えば、エンドポイント色素形成アッセイおよび多工程動的色素形成アッセイを行うために使用され得る。
【0010】
さらに、微生物夾雑物を示す、所定量の因子、または「スパイク」(例えば、細菌エンドトキシン、(1→3)−β−Dグルカン、または他の微生物細胞壁構成成分)は、そのコンジットの流体接触表面の領域に位置する。その因子またはスパイクを含めることは、特に有用である。なぜなら、その因子またはスパイクは、アッセイが機能していることを示すポジティブコントロールを提供し、インヒビターまたはエンハンサーがサンプル中に存在するか否かも示すからである。その因子またはスパイクは、そのコンジットの第1の領域、第2の領域、または別の領域に配置され得る。
【0011】
特定のカートリッジにおける流体入り口、光学セル、およびコンジットの数は、サンプル数または特定のときに処理される微生物夾雑物に依存して変化し得ることが予想される。カートリッジは、同じサンプルの複製を同時にアッセイするかまたは目的の2種以上の異なるサンプルを同時にアッセイするために使用され得る。あるいは、2種以上の異なる血液溶解物は、実質的に同時に2種以上の異なる微生物夾雑物の存在および/または量を決定することが可能であるように、そのカートリッジに配置され得る。さらに、異なる酵素特異性ならびに光学特性(例えば、光吸収透過率)および/または蛍光特性を有するいくつかの色素形成性基質が、そのカートリッジに付与され得る。このことは、実質的に同時に2種以上の異なる微生物夾雑物の検出を可能にする。
【0012】
一実施形態において、そのカートリッジは、(i)第1の流体入り口ポート、第1の光学セル、およびその第1の流体入り口ポートと第1の光学セルとの間を連結し、よってこれらの間に流体流動連絡を提供する流体接触表面を有する第1のコンジット、ならびに(ii)第2の流体入り口ポート、第2の光学セル、およびその第2の流体入り口ポートと第2の光学セルとの間を連結し、よってこれらの間に流体流動連絡を提供する流体接触表面を有する第2のコンジットを規定するハウジングを備える。そのハウジング内には、サンプルがその第1の流体入り口ポートに付与される場合に、そのサンプルがその領域を横断し、その第1の光学セルへ移動する間に第1の血球溶解物を再構成および/または可溶性にするように、第1の血球溶解物が、その第1のコンジットのその流体接触表面の第1の領域に配置される。そのハウジング内にはまた、サンプルがその第2の流体入り口ポートに付与される場合に、そのサンプルがその領域を横断し、その第2の光学セルへ移動する間に第2の血球溶解物を再構成および/または可溶性にするように、第2の血球溶解物が、第2のコンジットのその流体接触表面の第1の領域に配置される。一実施形態において色素形成基質は、第1のコンジットの流体接触表面の第2の領域に配置され、そして/または色素形成基質は、第2のコンジットの流体接触表面の第2の領域に配置される。各実施形態において、その第2の領域は、好ましくは、各コンジットにおける第1の領域の下流に位置する。別の実施形態において、異なる色素形成性基質は、2つの異なる反応が同じカートリッジにおいてモニターされ得るように、その第1のコンジットおよび第2のコンジットの流体接触表面に配置され得る。
【0013】
別の実施形態において、微生物夾雑物またはスパイクを示す、予め選択された量の因子は、その第1のコンジットまたは第2のコンジットの流体接触表面に配置される。そのスパイクは、そのコンジットの第1の領域または別の領域に配置され得る。そのスパイクは、そのアッセイについてのポジティブコントロールとして有用であり得(すなわち、妥当な試験が行われたか否かを示す)、エンハンサーまたはインヒビターがそのサンプル中に存在するか否かに関する情報もまた提供し得る。
【0014】
以下により詳細に議論されるように、本発明のカートリッジは、種々の異なるアッセイにおける使用のために適合され得る。微生物夾雑物の存在は、例えば、過去もしくは現在、細菌、酵母、真菌、または糸状菌の感染があることを示し得る。適切な血球溶解物を使用することによって、そのカートリッジは、サンプル中で細菌、酵母、真菌または糸状菌の夾雑物の存在を検出するために使用され得ることが予測される。本発明のカートリッジは、サンプル中のグラム陰性細菌エンドトキシンまたはグルカンの存在を検出し、そして/またはその量を決定することにおいて特に有用である。
【0015】
使用の間、試験されるサンプルは、そのカートリッジのサンプル入り口ポートに導入され、その光学セルに移動するようにされる。コンジットに沿ったサンプルの移動は、受動的であり得るか、または外部の力によって(例えば、コンジット内の陽圧または陰圧によって)誘導され得る。例えば、そのサンプルは、そのコンジットに沿ってその光学セルへと、その光学セルの下流に位置したポンプポートに接続されたポンプによる吸引力を介して引っ張られ得る。そのサンプルの光学特性の変化は、その光学セル中で検出され、その変化は、そのサンプル中の微生物夾雑物の存在を示す。さらに、そのサンプルの光学特性において予め選択された変化が起こる時間が、決定され得、かつ所定の標準曲線に対して比較して、そのサンプル中の微生物夾雑物の濃度が決定され得る。その光学特性としては、色の変化、吸光度もしくは透過率の変化、濁り度の変化、蛍光の変化または検出器(分光光度計など)で検出され得る他の変化が挙げられ得る。その光学特性の変化は、例えば、予め選択された波長の光の吸光度の上昇であってもよいし、選択された波長の光の透過率の低下であってもよい。以下で議論されるように、そのカートリッジは、多くのエンドポイント色素形成性もしくは動的色素形成性のアッセイ、または濁度測定アッセイのうちのいずれか1つを行うために適合され得る。
【0016】
別の局面において、本発明は、そのカートリッジの少なくとも1つのコンジットの固体表面に、血球溶解物を配置することによって(例えば、乾燥させることによって)、そのカートリッジを調製する方法を提供する。その血球溶解物は、その血球溶解物の再溶解の際に、活性な形態に再構成されてもよい。目的の血球溶解物ならびに再可溶化剤および/または剥離防止剤を含むある容積の混合物は、少なくとも1つのコンジットの表面に付与され、乾燥される。使用される血球溶解物は、カートリッジが使用されるアッセイに依存する。その再可溶化剤は、一旦その溶解物が流体サンプルに曝されると、単独で、または別の再可溶化剤と組み合わせてかのいずれかで、血球溶解物の1つ以上の成分の再可溶化を容易にする薬剤である。その再可溶化剤はまた、好ましくは、その乾燥形態で溶解物を安定化する。その混合物中で提供される再可溶化剤は、その試薬の安定性およびアッセイの間のそれらの溶解を促進する。再可溶化剤としては、例えば、1種以上の糖、塩、またはこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい糖再可溶化剤としては、例えば、マンニトール、マンノース、ソルビトール、トレハロース、マルトース、デキストロース、スクロース、および他の単糖類または二糖類が挙げられる。その混合物中に含まれる剥離防止剤は、その試薬をさらに安定化し、その乾燥した溶解物の剥離を減少させる。その剥離防止剤はまた、好ましくは、その乾燥形態の溶解物を安定化し得る。好ましい剥離防止剤としては、例えば、1種以上のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、マンニトール、デキストラン)、およびタンパク質(例えば、血清アルブミン)が挙げられる。
【0017】
一実施形態において、その溶解物/再可溶化剤/剥離防止剤混合物は、そのカートリッジの少なくとも1つのコンジットの第1の領域に配置される。次いで、その混合物は、約4℃〜約40℃、より好ましくは、約10℃〜約35℃、より好ましくは、約15℃〜約30℃の温度、および約0%〜約30%、より好ましくは、約2%〜約20%、より好ましくは、約4%〜約10%の相対湿度を有する環境においてコンジットの表面で乾燥される。好ましくは、その温度は約25℃であり、その相対湿度は約5%である。乾燥は、好ましくは、約10分〜約8時間の間に、より好ましくは、約1時間の間に、温度調節乾燥チャンバ中で生じる。その溶解物/再可溶化剤/剥離防止剤混合物はまた、必要に応じて、微生物汚染を示す薬剤(すなわち、スパイク)を含み得る(例えば、細菌エンドトキシン、(1→3)−β−Dグルカンまたは他の微生物細胞壁成分)。
【0018】
別の実施形態において、その混合物は、凍結乾燥またはフリーズドライによって、例えば、0℃未満の温度で、例えば、約−75℃〜約−10℃、より好ましくは、約−30℃〜約−20℃で、コンジットの表面で乾燥される。
【0019】
さらに、再可溶化剤および剥離防止剤を含む色素形成性基質は、そのカートリッジの第2の領域に付与され、上記のようにそのカートリッジの上で乾燥される。その色素形成性基質は、起泡防止剤(例えば、ポリビニルアルコールおよびポリプロピレングリコール)を含有し得る。
【0020】
乾燥手順は、試験カートリッジに関連して議論されているが、その乾燥手順は、種々の異なる固体支持体の上でその溶解物を乾燥させるために使用され得る。例えば、その方法はまた、固体支持体(例えば、12ウェルプレートまたは96ウェルプレート)内に配置されたかまたはそれによって規定されたウェルの表面でその溶解物を乾燥させるために使用され得る。
【0021】
別の局面において、本発明は、サンプル中の特定の微生物夾雑物の存在を検出し、そして/またはその量を定量するために、2工程動的アッセイまたは多工程動的アッセイといわれる改善された方法を提供する。試験されるべきサンプルは、その微生物夾雑物がサンプル中に存在する場合に活性化される、活性化可能な酵素(例えば、プロ凝固酵素または凝固酵素)を含む血球溶解物と接触される。そのサンプルとその溶解物とを接触させた後、そのサンプル−溶解物混合物は、所定の期間にわたってインキュベートされる。次いで、そのサンプル−溶解物混合物は、その活性化される酵素に関して、基質(例えば、色素形成性基質)と接触される。そのサンプル−溶解物基質混合物が、活性化される酵素を含む場合、その活性化される酵素は、基質の変化を引き起こし、それは、続いて、そのサンプル−溶解物−基質混合物の光学特性の所定の変化を引き起こす。その所定の変化が生じる時間が、次いで、決定される。その得られた時間は、次いで、所定の標準曲線に対して比較されて、その微生物夾雑物が、サンプル中に存在しているかを決定し、そして/またはそのサンプル中に存在する微生物夾雑物の量を決定し得る。例えば、そのサンプル中の微生物夾雑物の濃度は、その光学特性の所定の変化を引き起こすために要した時間を、その微生物夾雑物の所定の標準曲線に対して比較することによって、測定され得る。この型のアッセイを使用すると、所定の感度および所要時間のアッセイを作り出すために、工程のタイミングを調節することが可能になる。
【0022】
測定される光学特性は、光学特性(例えば、特定の波長における吸光度、特定の波長における透過率、特定の波長における蛍光、または光学密度)の変化(例えば、上昇または低下)であり得る。例えば、その光学特性は、約200nm〜約700nmの範囲、より好ましくは、約350nm〜約450nmの範囲の波長での吸光度または透過率の変化であり得る。
【0023】
その色素形成性基質は、活性化されて(例えば、加水分解されて)、光学検出器によって検出可能な、検出可能な色素形成変化または蛍光生成変化を、例えば、発色団または発蛍光団の遊離によって引き起こす、溶解物の酵素に対する任意の基質であり得る。一実施形態において、LALに対する色素形成性基質は、パラニトロアニリン発色団を含む。その結果、例えば、その色素形成性基質であるアセテート−Ile−Glu−Ala−Arg−pNAにおいて、そのLALにおけるプロテアーゼが無色のテトラペプチドを切断して、そのpNA基を遊離し、この基は、色の変化を引き起こす。そのテトラペプチドの切断は、LALにおけるプロテアーゼと、そのテトラペプチドを含む凝固性分であるコアギュロゲン(coagulogen)との切断反応をシミュレートする。結果として、この発色団を使用することによって、約395nmでの光学密度の変化を測定することによって、反応の進行を測定することが可能である。他の発色団は、ジニトロフェニルアラニン、シクロヘキシルアラニンなどを含み得る。あるいは、その基質は、発色団(例えば、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、および4−メトキシ−2−ナフチルアミン(naphthalyamine))を含み得る。N−メチルクマリンを脱離基として含むLALに対する蛍光生成性基質は、Enzyme Systems Products,Livermore,CAから市販されている。
【0024】
多工程動的アッセイは、種々の形式において(例えば、チューブ、キュベット、カートリッジ、固体支持体(例えば、96ウェルマルチウェルプレート)上のウェル、光学検出器(例えば、分光光度計、蛍光測定器、ルミノメーターなど)と組み合わせて使用するために適したまたは他の容器において)行われ得る。
【0025】
別の局面において、本発明は、ファクターC活性が欠如したアメーバ様細胞溶解物を生成するための方法を提供する。その方法は、以下の工程を包含する:(a)アメーバ様細胞の調製物を提供する工程;および(b)そのアメーバ様細胞を、少なくとも0.05Mの塩の存在下で溶解して、ファクターC活性が欠如したアメーバ様細胞溶解物調製物を提供する工程。その方法は、必要に応じて、工程(b)の後に、細胞細片(例えば、細胞膜)を除去する工程、次いで、その残りの溶解物を採取する工程という工程を包含する。その細胞細片は、遠心分離によって沈降され得、その残りの上清が採取され得る。
【0026】
一実施形態において、その塩は、一価カチオンを含み得る(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)。本発明の実施において有用な塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、および酢酸カリウムが挙げられる。その塩濃度は、0.15M〜約6M、より好ましくは、約0.25M〜約4M、およびより好ましくは、約1M〜2Mの範囲であり得る。しかし、ファクターC活性を除去または減少させるために必要な塩の正確な濃度は、慣用的な実験によって決定され得る。例えば、アメーバ様細胞は、異なる濃度の塩の存在下で溶解され得、その残渣の溶解物は、コアギュリン塊が、細菌エンドトキシンの存在下で形成するか否かを見るためにチェックされ得る。その前述の方法は、ファクターC活性が実質的にない、グルカン特異的アメーバ様細胞溶解物を生成し得る。その溶解物は、従って、ファクターG活性を保持しているが、ファクターC活性が欠如している。
【0027】
別の局面において、本発明は、ファクターC活性が実質的にないアメーバ様細胞溶解物を提供する。ここでその溶解物は、少なくとも約0.25Mの塩を含み、そしてその溶解物は、グルカンの存在下でコアギュリンゲルを生成し得る。その溶解物は、約0.25Mの塩〜約6Mの塩、約0.5Mの塩〜約4Mの塩、約1M〜約2Mの塩を含み得る。一実施形態において、その塩は、一価カチオン(例えば、ナトリウムイオンまたはカリウムイオン)を含む。例えば、その塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0028】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴および利点は、以下の図面および発明の好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかになる。
【0029】
本発明の目的および特徴は、以下の図面を参照することによってよりよく理解され得る。
図面において、図面は、必ずしも縮尺通りでなくてもよく、類似の記号は、これらの図全体にわたって、同じ部分または類似の部分に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、アメーバ様細胞に存在する凝固系の模式図である。
【図2】図2A〜2Dは、斜視図における本発明の例示的カートリッジ(図2A)、平面図における本発明の例示的カートリッジ(図2B)、側面図における本発明の例示的カートリッジ(図2C)、および端面図における本発明の例示的カートリッジ(図2D)の模式的例示である。
【図3】図3A〜3Bは、本発明の例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで各コンジットは、別個の流体入り口ポートを有し(図3A)、そして2つのコンジットは、単一の共通流体入り口ポートを共有する(図3B)。
【図4】図4A〜4Bは、本発明の例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで各コンジットは、それ自体の流体入り口ポートを有し(図4A)、そして1対のコンジットは、単一の共通流体入り口ポートを共有する(図4B)。
【図5A】図5A〜5Dは、例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図5Aは、本発明の例示的カートリッジの底部半体の図であり、固定化血球溶解物および色素形成性基質の位置を示す。
【図5B】図5A〜5Dは、例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図5Bは、本発明の例示的カートリッジの上部半体の図であり、微生物夾雑物を示す、固定化された薬剤(すなわち、スパイク)の位置を示す。
【図5C】図5A〜5Dは、例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図5Cは、断面A−Aを通る、製造されたカートリッジの断面図である。
【図5D】図5A〜5Dは、例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図5Dは、断面B−Bを通る、製造されたカートリッジの断面図である。
【図6A】図6A〜6Dは、2つの例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図6Aは、カートリッジの第1の実施形態の平面図である。
【図6B】図6A〜6Dは、2つの例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図6Bは、図6Aに示されたカートリッジの第1の実施形態の側面図である。
【図6C】図6A〜6Dは、2つの例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図6Cは、カートリッジの第2の異なる実施形態の平面図である。
【図6D】図6A〜6Dは、2つの例示的カートリッジの模式的例示であり、ここで図6Dは、図6Cのカートリッジの第2の実施形態の側面図である。
【図7】図7は、本発明の例示的多工程動的色素形成アッセイのためのフローチャートである。
【図8A】図8A〜8Bは、例示的光学検出器とともにカートリッジを示す、模式的例示である。ここで図8Aは、その検出器に挿入されているカートリッジを示す。
【図8B】図8A〜8Bは、例示的光学検出器とともにカートリッジを示す、模式的例示である。ここで図8Bは、その検出器に実際に挿入されたカートリッジを示す。
【図9】図9は、多工程動的色素形成アッセイの間の本発明の例示的カートリッジの光学セルを通る光の吸光度または光学密度(実線)または光透過率(破線)の変化を示すグラフ図である。
【図10A】図10A〜10Bは、エンドポイント色素形成アッセイにおける吸光度値のグラフ図であり、ここで図10Aは、本発明のカートリッジにおいて行われたエンドポイント色素形成アッセイにおけるエンドトキシン標準物質(1.0エンドトキシン単位(EU)/mL(A1)、0.5EU/mL(A2)、0.25EU/mL(A3)、および0.125EU/mL(A4))の吸光度値を経時的に示す。
【図10B】図10Bは、T=780秒でのエンドトキシンの各濃度の吸光度値をプロットすることによって作成した標準曲線を示す。
【図11A】図11A〜11Dは、本発明のカートリッジにおいて行なわれた動的色素形成アッセイについての吸光度値のグラフ図である。ここで図11Aは、5.0EU/mL エンドトキシン標準物質の吸光度値を示す。
【図11B】図11Bは、0.5EU/mL エンドトキシン標準物質の吸光度値を示す。
【図11C】図11Cは、0.05EU/mL エンドトキシン標準物質の吸光度値を示す。
【図11D】図11Dは、エンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間での吸光度値の対数(Y軸)をプロットすることによって作成した標準曲線である。
【図12】図12は、本発明のカートリッジにおいて行われた多工程動的色素形成アッセイについての標準曲線のグラフ図であり,エンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間での吸光度値の対数(Y軸)をプロットすることによって作成した。
【図13】図13は、マイクロタイタープレートにおいて行われた一工程動的色素形成アッセイについての標準曲線のグラフ図であり、エンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間での吸光度値の対数(Y軸)をプロットすることによって作成した。
【図14】図14は、マイクロタイタープレートにおいて行われたエンドポイント色素形成アッセイについての標準曲線のグラフ図であり、エンドトキシンの各濃度(X軸)の吸光度値(Y軸)をプロットすることによって作成した。
【図15】図15は、マイクロタイタープレートにおいて行われた多工程動的色素形成アッセイについての標準曲線のグラフ図であり、エンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間での吸光度値の対数(Y軸)をプロットすることによって作成した。
【図16A】図16A〜Bは、標準LALおよびグルカン特異的LALについてのアメーバ様細胞溶解物動的反応のグラフ図である。図16Aは、リポ多糖を使用して行われたアッセイを示す。
【図16B】図16Bは、グルカンを使用して行われたアッセイを示す。各図における行Aは、ファクターCカスケードおよびファクターGカスケードの両方を含む標準LALを示す。各図における行Bは、アメーバ様細胞を1M 塩化ナトリウム中で溶解することによって調製したグルカン特異的溶解物(すなわち、ファクターG特異的溶解物)を示す。行Cは、アメーバ様細胞を2M NaCl中で溶解することによって調製したグルカン特異的溶解物を示す。列1〜5は、各サンプルに添加されたリポ多糖(10ng/ml、1ng/ml、100pg/ml、10pg/ml、0)またはグルカン(100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、100ng/ml、0)のいくつかの希釈液を示し、ここでその濃度は、列1から列5へと減少する。
【図17】図17は、多工程動的アッセイを使用して得られたグルカン標準曲線の対数プロットのグラフ図である。
【図18】図18は、カートリッジ形式の多工程動的アッセイにおいて異なる濃度の蛍光形成基質Glu−Gly−Arg−AMCから放出された蛍光を測定するアッセイのグラフ図である。
【図19】図19は、種々の濃度のリポ多糖−フルオレセインイソチオシアネート(1μg/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/ml、100pg/ml、10pg/ml、およびコントロール)の、異なる希釈率のフルオレセイン標識リガンド(1/50、1/150、および1/450)による比例的なずれを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
本発明は、血球溶解物ベースのアッセイにおいて使用するための、固定化された血球溶解物を含む光学カートリッジを提供する。これらのカートリッジは、単独で使用されてもよいし、光学検出器(例えば、携帯型光学検出器)一緒に使用されてもよい。さらに、本発明は、サンプル中の微生物夾雑物の存在および/または量を決定するにあたって有用な、迅速で、感度の高い、広い範囲の、多工程アッセイを提供する。そのカートリッジおよび方法は、迅速な試験結果を提供するために、別個に使用され得るが、それらは、現場で使用され得るシステムを提供するために、一緒に組み合わせられる場合に特に有効である。このことにより、微生物汚染のより迅速な排除および/または処置が促進される。さらに、本発明は、サンプル中のグルカンの存在および/または量を検出するためのファクターC特異的溶解物を提供する。この溶解物は、従って、サンプル中の酵母または糸状菌の夾雑物の存在および/または量を決定するために使用され得る。
【0032】
(本発明のカートリッジ)
本発明のカートリッジは、1種以上の血球溶解物とともに系統立てられてもよく、サンプル中の微生物夾雑物の存在および/または量を検出するために種々のアッセイにおいて使用され得ることが予測される。微生物夾雑物の検出および/または定量のための多くの血球溶解物ベースのアッセイは、例えば、図2に例示されるように、本発明のカートリッジにおいて行われ得る。そのカートリッジは、それ自体または目視による試験結果に対して使用されてもよく、光学検出器(例えば、米国特許Des第390,661号に示され、記載されるような携帯型光学検出器)と組み合わせて使用されてもよい。
【0033】
例示によって、および図2A〜2Dに示されるように、カートリッジ1は、例えば、成形可能な生体適合性材料から製造された実質的に平坦なハウジングを有する。そのハウジングは、任意の材料から製造され得るが、透明および/または半透明なガラスまたはポリマーが好ましい。好ましいポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル(acrylic)、ポリエステル、光学等級のポリマー、またはその光学セルが、実質的に半透明であるような任意のプラスチックが挙げられる。そのハウジングは、少なくとも1つの流体入り口ポート4、少なくとも1つの光学セル6、およびこの流体入り口ポート4と光学セル6との間に流体流動連絡を提供するための流体接触表面を有する少なくとも1つのコンジット8を備える。光学セル6についての唯一の要件は、その光学セル6が試験されるべきサンプルを含み得る間隙を規定し、その光学セル6の一部が光に対して透過性であることである。カートリッジ1はまた、そのカートリッジ1をポンプに取り付けるために、流体入り口ポート4および光学セル6とが流体流動連絡状態にある少なくとも1つのポンプポート12を有する。次いで、そのポンプは、ポンプポート12を介して陰圧を付与して、そのサンプルを流体入り口ポート4から光学セル6へと引っ張り得る。血球溶解物は、コンジット8の流体接触表面の第1の領域14上に配置され、その結果、サンプルが流体入り口ポート4に付与される場合、そのサンプルは、領域14を横断し、そのサンプルが光学セル6に向かって動く場合に、その血球溶解物をサンプルに可溶化または再構成する。この型のカートリッジ1は、例えば、エンドポイント濁度測定アッセイまたは動的濁度測定アッセイを行うために使用され得る。一実施形態において、色素形成性基質はまた、必要に応じて、第1の領域14において、そのコンジット8の表面に、その血球溶解物と一緒に付与され得る。この型のカートリッジ1は、例えば、動的色素形成アッセイを行うために使用され得る。
【0034】
好ましい実施形態において、図2A〜2Dに例示されるように、そのコンジット8の流体接触表面の第2の領域16は、第1の領域14から間隔を空けて、かつこの領域の下流に配置される。この構成において、血球溶解物は、第1の領域14に配置され、色素形成性基質は第2の領域16に配置され、その結果、そのサンプルが領域14において血球溶解物と接触した後、そのサンプル−溶解物混合物は、コンジット8を横断し、その色素形成性基質と領域16において接触する。そのサンプル−溶解物−基質混合物は、次いで、コンジット8を光学セル6へと横断する。この型のカートリッジは、以下でより詳細に議論されるように、例えば、エンドポイント色素形成アッセイまたは多工程動的色素形成アッセイを行うために使用され得る。
【0035】
行われるアッセイの型に依存して、微生物夾雑物を示す、所定の量の因子(すなわち「スパイク」)(例えば、細菌エンドトキシン)が、1つ以上のコンジット8の流体接触表面の第1の領域14上に配置される。あるいは、そのスパイクは、そのコンジット8の異なる領域上に配置され得る。
【0036】
そのカートリッジ1は、種々の異なる構成(例えば、図3および4において示される)を有し得ることが予測される。図3Aは、2つのコンジット8(各コンジット8は、それ自体のサンプル入り口ポート4を有する)を備えるカートリッジ1を示す。図3Bは、2つのコンジット8(各コンジット8は、共通サンプル入り口ポート4を共有する)を備えるカートリッジ1を示す。図4Aは、4つの別個のコンジット8(各コンジット8は、それ自体のサンプル入り口ポート4を有する)を備えるカートリッジ1を示す。図4Bは、2対のコンジット8(各対は、それ自体のサンプル入り口ポート4を有する)を備えるカートリッジ1を示す。
【0037】
それらのカートリッジは、必要とされる型および/または試験の回数に従って、設計および使用され得る。例えば、単一のサンプルが、例えば、研究実験用途または医療デバイスおよび生物薬剤試験のために、例えば、二連または三連で試験され得る。あるいは、2つ以上の異なるサンプルが、例えば、水および透析液の透析施設試験のために、個々に試験され得る。そのカートリッジは、好ましくは、一度使用したら捨てる、使い捨てのカートリッジであり、これは、1回使用した後に廃棄される。本発明のカートリッジは、マルチウェルプレートにおいて行われる従来のエンドポイント色素形成アッセイまたは動的色素形成アッセイにおいて使用されているものよりも、1サンプルあたり、約20〜100分の1より少ない血球溶解物を使用し、従って、より低費用でかつより環境に優しい試験を提供する。
【0038】
一旦特定のアッセイ形式が選択されると、そのカートリッジは、以下で議論されるように、製造され得る。
【0039】
(カートリッジ製造)
そのカートリッジを調製するために使用される全ての試薬および材料は、好ましくは、微生物夾雑物がなく、そのために、そのカートリッジは、最終的に、試験するために使用される。
【0040】
そのカートリッジは、目的の任意の血球溶解物とともに製造され得ることが予測される。本明細書で使用される場合、用語「血球溶解物」とは、血球(例えば、アメーバ様細胞および血液リンパ細胞)の溶解および/または膜透過性にすることによって生成された、(i)甲殻類もしくは昆虫から抽出された、そして/または(ii)その宿主から抽出した後にインビトロで培養された、任意の溶解物またはそれらの画分もしくは成分を意味することが理解される。血球細胞材料は、血液リンパ細胞から、膜透過化薬剤(例えば、Ca2+イオン透過担体などと接触させることによって押し出される(すなわち、溶解以外で押し出される)か、そうでなければ、細胞溶解なくして押し出され、この材料はまた、血球溶解物であるとみなされる。好ましい血球溶解物は、甲殻類(例えば、カブトガニまたはイチョウガニ)の血液から調製されるアメーバ様細胞溶解物である。血球溶解物が、図1に示される酵素カスケードの1種以上の天然の(例えば、精製された)または合成の成分のカクテルを含み得ることもまた、予測される。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「アメーバ様細胞溶解物」とは、甲殻類(例えば、カブトガニ)から抽出されたアメーバ様細胞に由来する細胞成分の溶解、押し出し、または抽出によって生成される、任意の溶解物またはその画分もしくは成分を意味することが理解される。そのアメーバ様細胞溶解物は、酵素カスケード(例えば、図1に示される)の少なくとも1つの成分を含み、そして/またはエンドトキシン(例えば、グラム陰性細菌エンドトキシンおよび/またはグルカン(例えば、酵母もしくは糸状菌によって生成される(1→3)−β−Dグルカン)の存在下で凝塊を生成する。好ましいアメーバ様細胞溶解物は、Limulus属に属するカニ(例えば、Limulus polyphemus)、Tachypleus属に属するカニ(例えば、Tachypleus gigasおよびTachypleus tridentatus)、およびCarcinoscorpius属に属するカニ(例えば、Carcinoscorpius rotundicauda)を含む、カブトガニ由来であり得る。
【0042】
粗製溶解物は、Levinら(1968)THROMB.DIATH.HAEMORRH.19:186に最初に記載された手順に改変を加えて、またはPrior(1990)「Clinical Applications of the Limulus Amebocyte Lysate Test」CRC PRESS 28−36および159−166に記載された手順、ならびに米国特許第4,322,217号に記載された手順を使用して生成され得る。他の溶解物としては、例えば、米国特許第6,270,982号および同第6,391,570号に記載されるものが挙げられ得る。
【0043】
現在では、LALは、その感度、特異性、およびサンプルに存在し得る他の成分による妨害を避けることが比較的容易であることに起因して、多くの細菌エンドトキシンアッセイにおいて、選択されたアメーバ様細胞溶解物として使用されている。LALは、細菌エンドトキシンを含むサンプルと、および必要に応じて特定のLAL基質と組み合わせられる場合、合成色素形成性基質の場合は、そのサンプル中のエンドトキシンと反応して、検出可能な生成物(例えば、ゲル、濁り度の増加または着色した生成物もしくは発光生成物)を生成する。その生成物は、例えば、視覚的に、または光学検出器を使用するかのいずれかによって検出され得る。
【0044】
図1に示されるように、血液リンパの凝固系(哺乳動物血液凝固系のような)は、エンドトキシン媒介性経路(ファクターC経路)および(1→3)−β−Dグルカン媒介性経路(ファクターG経路)を含む少なくとも2つの凝固カスケードを含む。例えば、Moritaら(1981)FEBS LETT.129:318−321およびIwanagaら(1986)J.PROTEIN CHEM.5:255−268を参照のこと。
【0045】
LALのエンドトキシン媒介性活性化は、十分に理解されており、当該分野で十分に実証された。例えば、Levinら(1968)前出;Nakamuraら(1986)EUR.J.BIOCHEM.154:511;Mutaら(1987)J.BIOCHEM.101:1321;ならびにHoら(1993)BIOCHEM.&MOL.BIOL.INT.29:687を参照のこと。細菌エンドトキシンをLALと接触させると、そのエンドトキシンは、当該分野でファクターC経路といわれる一連の酵素反応を開始し、この経路は、3つのセリンプロテアーゼチモーゲン(ファクターC、ファクターB、およびプロ凝固酵素といわれる)を包含し得る(図1を参照のこと)。簡潔には、エンドトキシンに曝した際に、そのエンドトキシン感受性ファクターであるファクターCは、活性化される。活性化されたファクターCは、その後加水分解し、ファクターBを活性化し、その際に、活性化されたファクターBは、プロ凝固酵素を活性化して、凝固酵素を生成する。その凝固酵素は、その後、特定の部位(例えば、コアギュロゲンのArg18−Thr19およびArg46−Gly47)で無脊椎動物のフィブリン様タンパク質凝固可能タンパク質を加水分解して、コアギュリンゲルを生成する。例えば、米国特許第5,605,806号を参照のこと。
【0046】
溶解物(例えば、米国特許第6,391,570号および同第6,270,982号に記載される方法によって生成されるファクターG欠如溶解物)からファクターG活性を除去することによって、エンドトキシン特異的溶解物を生成することが可能である。また、溶解物は、ファクターG活性の特定のインヒビターまたはモジュレーター(例えば、特定の界面活性剤、糖類、多糖類、および他の試薬(米国特許第5,155,032号;同第5,179,006号;同第5,318,893号;同第5,474,984号;同第5,641,643号;同第6,270,982号;および同第6,341,570号に記載される))の添加によって、ファクターG活性が欠如する可能性があることが予測される。エンドトキシン特異的溶解物は、細菌エンドトキシンと反応し得るが、(1→3)−β−Dグルカンに対する反応性が、粗製溶解物(これから、そのエンドトキシン特異的溶解物を調製した)に対して少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、およびより好ましくは、少なくとも95%欠如している溶解物である。
【0047】
(1→3)−β−Dグルカンおよび他のLAL反応性グルカン(酵母および糸状菌のような微生物によって生成される)はまた、ファクターG経路と当該分野でいわれる異なる酵素経路(図1を参照のこと)を介してLALの凝固カスケードを活性化し得る。ファクターGは、(1→3)−β−Dグルカンまたは他のLAL反応性グルカンによって活性化されるセリンプロテアーゼチモーゲンである。(1→3)−β−Dグルカンに曝す際に、例えば、ファクターGは活性化されて、活性化されたファクターGを生成する。活性化されたファクターGは、その後、そのプロ凝固酵素を凝固酵素に変換し、その際に、その凝固酵素は、コアギュロゲンをコアギュリンに変換する。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「(1→3)−β−Dグルカン」は、(i)粗製Limulusアメーバ様細胞溶解物におけるコアギュリン凝塊の形成を誘導し得、そして(ii)(1→3)−β−Dグリコシド結合によって連結される少なくとも2つのβ−Dグルコシド(式Iを参照のこと)を含む、任意の水溶性多糖類、二糖類またはそれらの誘導体を意味すると理解される。このような多糖類またはそれらの誘導体はまた、(1→3)−β−Dグリコシド結合を含むことに加えて、種々の他のグリコシド結合によって(例えば、(1→4)−β−Dグリコシド結合を介するかおよび/または(1→6)−β−Dグリコシド結合によって)連結されるグルコシド部分を吹くヌクレオチドことが予測される。このような(1→3)−β−Dグルカンが、種々の他の供給源(植物、細菌、酵母、藻類、および真菌が挙げられるが、これらに限定されない)から単離され得るか、または代わりに従来の糖化学を用いて合成され得ることが予測される。
【0049】
【化1】

【0050】
ファクターC活性が欠如した溶解物を生成することによって、(1→3)−β−Dグルカン特異的溶解物を生成することが可能である。本明細書に示されるように、少なくとも0.15Mの塩、より好ましくは、0.25Mの塩(例えば、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンのような一価カチオンを含む塩)の存在下で、アメーバ様細胞を溶解することによってグルカン特異的溶解物を生成することが可能である。例えば、そのアメーバ様細胞は、0.15M〜約6Mの塩(例えば、塩化ナトリウム)中で溶解される。あるいは、そのアメーバ様細胞は、約0.25M〜約4Mの塩、または約1M〜約2Mの塩を含む溶液中で溶解される。塩化ナトリウムを使用する場合、アメーバ様細胞が0.25M 塩化ナトリウムを含む溶液中で溶解される場合、そのアメーバ様細胞調製物は、実質的なファクターC活性を失うようである。しかし、匹敵する結果を引き起こすために必要な他の塩の濃度は、慣用的な滴定実験によって決定され得る。例えば、アメーバ様細胞は、異なる濃度の塩中で溶解され得、その得られた溶解物は、グラム陰性細菌エンドトキシンの存在下でコアギュリンゲルを生成する能力について試験され得る。その塩濃度は、その得られた溶解物が、その細菌エンドトキシンに対する実質的な量の反応性を失った場合に選択され得る。使用され得る他の塩としては、一価イオン性塩(例えば、塩化カリウム、酢酸カリウム、および酢酸ナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。グルカン特異的溶解物を生成するための例示的方法は、実施例4に記載される。グルカン特異的溶解物は、グリカン(例えば、(1→3)−β−Dグルカン)と反応し得るが、細菌エンドトキシンまたはリポ多糖に対する反応性が、その粗製溶解物(これから、そのグルカン特異的溶解物を調製した)に対して、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、およびより好ましくは、少なくとも95%欠如した溶解物である。
【0051】
エンドトキシンに対する血球溶解物の感度を高めるための方法としては、例えば、その粗製血球溶解物を熟成させること(aging)、pHを調節すること、および二価カチオンの濃度を調節すること、コアギュロゲンの濃度を調節すること、クロロホルム抽出、および血清アルブミンの添加、生体適合性緩衝液および/または生物学的界面活性剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0052】
当業者に明らかであるように、二価金属塩(これは、血球溶解物のプロ凝固酵素の活性化を促進することが公知である)、および凝固酵素を不活性化し得る極端なpHを避けるための緩衝剤は、好ましくは、その溶解物中に含められる。
【0053】
アメーバ様細胞溶解物系と生体適合性であることが当該分野で公知の任意の緩衝剤および塩が使用され得る。代表的な処方添加物としては、約100〜300mM NaCl、約10〜100mM 二価カチオン(例えば、Mg2+またはCa2+)、約6.0〜約8.0の最終pHを与える生体適合性緩衝剤(例えば、Tris(トリス(ヒドロキシ)アミノメタン))、およびその溶解物を凍結乾燥しようとする場合、糖(例えば、マンニトールまたはデキストラン)が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切な処方添加物の選択はまた、慣用的な実験によって決定され得ることが予測される。
【0054】
合成色素形成性基質は、Tachypleus tridentatusおよびLimulus polyphemusというカブトガニ両方の血液リンパから調製されたLALにおけるエンドトキシンで活性化されたプロ凝固酵素のレベルを測定するために使用されきた(Iwanagaら(1978)HEMOSTASIS 7:183−188)。色素形成性基質を使用するLALアッセイの間に、LALにおけるプロ凝固酵素(セリンプロテアーゼ)は、エンドトキシンによって活性化され、その基質からその色素形成基を遊離するように、アルギニンのカルボキシル側でその基質のペプチド鎖を切断し、それにより、例えば、分光光度計によって容易に検出され得るマーカー化合物を遊離する。従来のLALゲル化試験の代わりに、LALアッセイにおいて合成色素形成性基質を使用する1つの利点は、活性化された凝固酵素の量を定量することができ、かつそのサンプル中のエンドトキシンレベルに相関し得ることである。
【0055】
血球溶解物の凝固酵素により切断される任意の色素形成性基質は、本発明の実施において使用され得る。米国特許第5,310,657号は、例えば、式R−A−A−A−A−B−Rを有する例示的色素形成性基質を記載し、ここでR1は、水素、ブロックしている芳香族炭化水素またはアシル基を表し;Aは、Ile、ValまたはLeuから選択されるL−アミノ酸またはD−アミノ酸を表し;Aは、GluまたはAspを表し;Aは、AlaまたはCysを表し;Aは、Argを表し;Bは、エステルおよびアミドから選択される連結を表し;そしてRは、B連結を介してアルギニンのC末端に共有結合される色素形成基または蛍光発生基を表し、その蛍光発生部分または色素形成部分は、色素形成性基質の残りから切断されて、発色団または発蛍光団を生成し得る。例示的色素形成性基質は、コンセンサス配列アセテート−Ile−Glu−Ala−Arg−pNAを有する。ここでpNAは、パラ−ニトロアニリン基を表す。米国特許第4,188,264号は、配列R−Gly−Arg−RにおけるL−アミノ酸からなる構造を有するペプチド基質を記載する。ここでRは、N−ブロックされたアミノ酸を表し、Rは、酵素加水分解によって遊離されて、呈色化合物HRを生じる基である。米国特許第4,510,241号は、色素形成性ペプチド基質を開示し、この基質は、Gly部分がAlaまたはCysによって配列中で置換されているという点で、以前の基質とは異なる。あるいは、その色素形成性基質は、発蛍光団(例えば、7−アミノ−4−メチルクマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、および4−メトキシ−2−ナフチルアミン(naphthalyamine))を含み得る。
【0056】
そのアッセイの阻害または増強は、試験サンプル中の物質が、血球溶解反応を妨害する場合に起こる。阻害は、より長い反応時間を生じ、このことは、その試験サンプル中に実際に存在し得るよりも、低いレベルの微生物汚染を示す。増強は、より短い反応時間を生じ、このことは、その試験サンプル中に実際に存在し得るよりも、高いレベルの微生物汚染を示す。阻害も増強もないことを確認するために、試験サンプルのアリコート(またはその試験サンプルの希釈物)を、測定されるべき微生物夾雑物を示す既知量の因子で「スパイク」する。その微生物夾雑物スパイクは、そのサンプルにおいて、対数ベースで、その標準曲線における最高の微生物夾雑物濃度と最低の微生物夾雑物濃度との間の中間点に等しい最終的な微生物夾雑物濃度を生じることが推奨される。例えば、50エンドトキシン単位(EU)/mL〜0.005EU/mLにわたる標準曲線を有するアッセイにおいて、サンプルは、0.5EU/mLの最終的な微生物夾雑物濃度を含むようにスパイクされるべきである。1EU/mL〜0.01EU/mLにわたる標準曲線を有するアッセイにおいて、その微生物夾雑物スパイクは、0.1EU/mLの最終的な微生物夾雑物濃度を生じるべきである。
【0057】
そのスパイクされたサンプルは、スパイクされていないサンプルと並行してアッセイされる。そのスパイクされていないサンプルにおいて得られた微生物夾雑物濃度、およびスパイクされたサンプルにおいて回収された微生物夾雑物は、次いで、計算される。その回収された微生物夾雑物は、約25%内のスパイクの既知の濃度に等しいべきである。その試験サンプル(または希釈物)がその反応を阻害するかまたは増強することが分かった場合、そのサンプルは、その阻害または増強が克服されるまで、さらなる希釈物を要し得る。最初に、試験サンプルの10倍希釈物を試験することによって、阻害または増強についてスクリーニングすることが求められ得る。一旦適切な非阻害性または非増強性希釈物が決定されると、その正確な希釈物が、この希釈物あたりの2倍希釈物を試験することによって見出され得る。阻害または増強の程度は、その試験サンプルの濃度に依存する。その同じサンプルのいくつかの濃度がアッセイされるべき場合、各濃度についての性能特徴を独立して確立することが必要である。
【0058】
本発明のカートリッジを製造するにあたって、その溶解物を固体支持体の上で乾燥させる前に、そのアメーバ様細胞溶解物および色素形成性基質を、少なくとも1種の再可溶化剤(例えば、糖または塩)および少なくとも1種の剥離防止剤(例えば、ポリマー)と組み合わせることは、助けになる。
【0059】
その再可溶化剤は、好ましくは、その乾燥形態の溶解物を安定化し、そのアッセイの間の試薬の再可溶化を促進する。有用な再可溶化剤としては、例えば、マンニトール、マンノース、ソルビトール、トレハロース、マルトース、デキストロース、スクロース、ならびに他の単糖類および二糖類が挙げられる。その血球溶解物および色素形成性基質は、好ましくは、乾燥させる前に、約0.01%(w/v)〜約20%(w/v)、より好ましくは、約0.1%(w/v)〜約1.0%(w/v)の再可溶化剤を含む。
【0060】
その剥離防止剤は、血球溶解物および/または色素形成性基質が、乾燥薄片の形態で固体支持体から解離してしまう可能性を防止または減少する薬剤である。その剥離防止剤はまた、好ましくは、乾燥形態の血球溶解物または色素形成性基質を安定化させる。有用な剥離防止剤は、例えば、1種以上のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デキストラン、マンニトールが挙げられる)、およびタンパク質(例えば、血清アルブミン)が挙げられる。その溶解物は、好ましくは、乾燥させる前に、約0.01%(w/v)〜約25%(w/v)、より好ましくは、約0.1%(w/v)〜約1.0%(w/v)の剥離防止剤を含む。
【0061】
さらに、特定のポリマーは、その血球溶解物および/または色素形成性基質が再可溶化されるときに、気泡の形成(例えば、起泡)を減少させることが分かった。有用な起泡防止剤としては、ポリビニルアルコールおよびポリプロピレングリコールが挙げられる。起泡を減少させるために、その溶解物および/または色素形成性基質は、乾燥させる前に、約0.01%(w/v)〜約10%(w/v)、より好ましくは、約0.1%(w/v)〜約1.0%(w/v)の起泡防止剤を含み得る。
【0062】
そのカートリッジのための例示的製造プロセスは、図5を参照して記載される。ここで図5Aは、カートリッジ1の底部半体2を示し、図5Bは、カートリッジ1の上部半体3を示す。一旦調製されると、そのカートリッジ1の2つの半体が、互いに接着剤、溶媒結合、超音波溶接、スナップフィット結合などにより結合される。
【0063】
図5Aにおいて、そのカートリッジ1の底部半体2は、各コンジット8’の一方の半体(各々が、第1の領域14’および第2の領域16’を有する)を規定する。そのカートリッジ1の底部半体2の製造の間に、血球溶解物は、各第1の領域14’に付与され、色素形成性基質は、各第2の領域16’に付与される。図5Bにおいて、そのカートリッジ1の上部半体3は、各コンジット8”の一方の半体を規定する。そのカートリッジ1の上部半体3の製造の間に、微生物夾雑物を示す因子(すなわち、スパイク)(例えば、所定の量のエンドトキシン)は、領域14”に付与される。一旦それらの試薬がそのカートリッジ1のそれぞれの上部半体3および底部半体2に付与されると、そのカートリッジの半体2および3は、その血球溶解物の活性を保護し、その血球溶解物を再構成して、活性な溶解物を生成させる条件下で乾燥される。乾燥させる間にそれらの試薬の活性を保護するために、そのカートリッジの半体2および3は、約4℃〜約40℃、より好ましくは、約10℃〜約35℃、より好ましくは、約15℃〜約30℃の温度、および約0%〜約30%、より好ましくは、約2%〜約20%、より好ましくは、約4%〜約10%の相対湿度を有する環境に置かれる。好ましい乾燥条件は、約25℃の温度および約5%の相対湿度を含む。本発明のカートリッジを製造するための例示的プロトコルは、実施例1に提供される。
【0064】
代替的アプローチにおいて、その血球溶解物は、標準的条件(減圧下で約−30℃〜約−40℃)の下で凍結乾燥によって乾燥され得る。
【0065】
乾燥させた後に、その2つのカートリッジ半体2および3は、互いに結合されて、完全なカートリッジ1が作られる。図5Cは、断面A−A’を通る断面図であり、ここでそのコンジットの2つの半体(すなわち、8’および8”)は、一緒になって、完全なコンジット8を作りだし、ここで各コンジットの底部8’の領域14’は、固定化された血球溶解物20を含み、1つのコンジットの上部8”の領域14”は、固定化されたエンドトキシン22を含む。図5Dは、断面B−B’を通る断面図であり、ここで各コンジットの底部8’の領域16’は、固定化された色素形成性基質24を含む。
【0066】
図6A〜6Dは、本発明の2つの例示的カートリッジ1の例示である。これらの実施形態は、図6A〜6Bおよび図6C〜6Dに対応する。図6Aにおいて、そのカートリッジ1は、破線で示される選択肢的指グリップ5を有し得る。図6Aおよび6Bは、第1のカートリッジ1における光学セル6が、実質的に形状が円筒形であることを示す。図6Cにおいて、そのカートリッジ1はまた、図6Aにおける破線によって示されるものと類似の指グリップ5を有する。図6Cおよび6Dは、第2のカートリッジ1における光学セル6が、より細長い形状であることを示す。その細長い形状により、より長い光学経路長にわたって、流体をより深く、増加させることを可能にし、これに比例して、検出感度もより上昇する。さらに、各カートリッジ1の上部半体および底部半体2および3は、1以上のオス(メス)部材、およびその組み立てられていないカートリッジ半体を、一方を他方の上に重ねるための1つ以上の相互かつインターフィットするメス(オス)部材を含み得、同様に、その組み立てられた状態で嵌合した心合わせを提供し得ることが予測される。
【0067】
特定のカートリッジ1の寸法は、行われるべきアッセイの回数および/または型に依存して変動し得る。しかし、一実施形態において、図6Aに模式的に示されるように、例えば、そのカートリッジ1は、約10.16cm(4.00インチ)の長さ、約2.54cm(1.00インチ)の幅、および約0.476cm(0.188インチ)の高さを有する。その流体入り口ポート4からその光学セル6へと走るコンジット8の穴は、約0.127cm(0.050インチ)である。ここでその溶解物は、その流体入り口ポート4から約2.381cm(0.938インチ)のところで、そのコンジット8の領域14上で乾燥される。そして色素形成性基質は、その流体入り口ポート4から約4.65cm(1.831インチ)のところで、そのコンジット8の領域16上で乾燥される。この実施形態におけるその光学セル6は、約25μLのサンプルを収容する寸法にされる。
【0068】
(標本収集および調製)
そのカートリッジは、流体(例えば、哺乳動物に、局所的または全身に(例えば、非経口的に)投与されるべき流体)、または感染について試験される体液(例えば、血液、リンパ液、尿、血清、血漿、腹水、肺吸引液などが挙げられる)における微生物汚染のレベルを決定するために使用され得る。さらに、そのカートリッジは、上水道(例えば、飲料水の供給)における微生物汚染のレベルを決定するために使用され得る。さらに、そのカートリッジは、食品、医薬品または医療デバイスにおける微生物汚染のレベルを決定するために使用され得る。
【0069】
一般に、試験されるべきサンプルを、採取、保存、またはさもなければ接触するために使用される材料、ならびに試験試薬は、微生物汚染がないべきであり、例えば、発熱物質がないべきである。材料は、例えば、250℃で30分間加熱することによって、発熱物質がないようにされ得る。その後の環境的な汚染から発熱物質除去した材料を保護するためには、適切な予防措置がとられなければならない。
【0070】
(カートリッジにおいて行われ得る代表的なアッセイ)
種々の血球溶解物アッセイが、本発明のカートリッジにおいて使用され得ることが予測される(例えば、エンドポイント濁度測定アッセイ、動的濁度測定アッセイ、エンドポイント色素形成アッセイ、および一工程動的アッセイ)。さらに、本発明のカートリッジは、本明細書で記載されるように、多工程動的アッセイとともに使用され得る。
【0071】
1.エンドポイント濁度測定アッセイ
エンドポイント濁度測定アッセイは、Prior(1990)前出,pp.28−34に記載される。簡潔には、そのエンドポイント濁度測定アッセイは、以下の工程を包含する:(i)血球溶解物を分析されるべきサンプルで可溶化する工程、(ii)得られた混合物を、約0〜約40℃、好ましくは約25℃〜約40℃の温度で、所定の時間にわたってインキュベートする工程、および(iii)存在する場合、従来の凝固測定器(coagulometer)、比濁計(nepherometer)、または分光光度計を使用して、凝固の結果としての濁度の増加を測定する工程。
【0072】
図2Aを参照すると、カートリッジ1においてエンドポイント濁度測定アッセイを行うために、サンプルは、例えば、その血球溶解物を含むコンジット8の第1の領域14へと動かされ、例えば、前後方向にポンプ作用をサイクルさせることによって、この領域においてその血球溶解物が可溶化される。そのサンプル−溶解物混合物は、次いで、光学検出器を用いて光学特性(例えば、濁度)を測定するために、光学セル6に動かされる。多重アッセイ(例えば、2つのアッセイ)からの結果は、平均され得る。次いで、特定の所定の時点でのそのサンプル−溶解物混合物の光学密度は、例えば、Y軸上に濁度値を、対してX軸上にエンドトキシン濃度を示すことによって、所定の標準曲線に内挿されて、そのサンプル中の微生物夾雑物の濃度を与える得る。
【0073】
2.動的濁度測定アッセイ
動的濁度測定アッセイは、Prior(1990)前出,pp.28−34に記載される。簡潔には、その動的濁度測定アッセイは、以下の工程を包含する:(i)血球溶解物を分析されるべきサンプルで可溶化する工程、(ii)その得られた混合物を、約0〜約40℃、好ましくは約25〜約40℃の温度で、所定の時間範囲にわたってインキュベートする工程、および(iii)従来の凝固測定器、比濁計、または分光光度計を使用して、所定の値または濁度の変化の比率のいずれかに達するために、凝固によって生じた濁度変化に要した時間を測定する工程。
【0074】
図2Aを参照すると、カートリッジ1において動的濁度測定アッセイを行うために、サンプルは、例えば、その血球溶解物を含むコンジット8の第1の領域14に動かされ、前後方向にポンプ作用をサイクルさせることによって、この領域においてその血球溶解物が可溶化される。そのサンプル−溶解物混合物は、次いで、光学検出器を用いて、そのサンプル−溶解物混合物の吸光度または透過率特性を測定することによって光学特性(例えば、濁度)を測定するために、光学セル6に動かされる。その検出器は、各光学特性が、例えば、光透過率において5%の低下を示すのにどのくらいの時間がかかるかを決定し得る。多重アッセイ(例えば、2つのアッセイ)からの結果は、平均され得る。次いで、その得られた値は、例えば、Y軸上に透過率における所定の変化の時間を、対してX軸上にエンドトキシン濃度を示すことによって、所定の標準曲線に内挿されて、そのサンプル中の夾雑物の濃度を与える得る。
【0075】
3.エンドポイント色素形成アッセイ
そのエンドポイント色素形成アッセイは、Prior(1990)前出,pp.28−34および米国特許第4,301,245号および同第4,717,658号に記載される。簡潔には、そのエンドポイント色素形成アッセイは、以下の工程を包含する:(i)血球溶解調製物を分析されるべきサンプルで可溶化する工程、(ii)その得られた混合物を、約0〜約40℃、好ましくは約25〜約40℃の温度で、所定の時間範囲にわたってインキュベートする工程、(iii)色素形成性基質を含む試験デバイスと、そのインキュベートされたそのサンプル−溶解物混合物とを接触させる工程、(iv)反応インヒビターを添加する工程、および(v)プロテアーゼ活性によってその合成基質から遊離した物質を、例えば、比色変化によって測定する工程。
【0076】
図2Aを参照すると、カートリッジ1においてエンドポイント色素形成アッセイを行うために、サンプルは、例えば、その血球溶解物を含むコンジット8の第1の領域14に動かされ、前後方向にポンプ作用をサイクルさせることによって、この領域においてその血球溶解物が可溶化される。所定のインキュベーション時間の後、そのサンプル−溶解物混合物は、次いで、例えば、ポンプ作用によってその色素形成性基質を含むコンジット8の第2の領域16に動かされ、前後方向にポンプ作用をサイクルさせることによって、この領域においてその血球溶解物が可溶化される。次いで、そのサンプル−溶解物混合物は、反応インヒビターを含む第3の領域に動かされる。その後、そのサンプル−溶解物−基質混合物は、光学検出器によって、そのサンプルの光学特性(例えば、吸光度または透過率特性)を測定するための光学セル6に動かされる。次いで、特定の所定の時点でのそのサンプル−溶解物−基質混合物の光学特性は、例えば、Y軸上に吸光度、光学密度、もしくは透過率を、対してX軸上にエンドトキシン濃度を示す、所定の標準曲線に内挿されて、そのサンプル中の微生物夾雑物の濃度を与える得る。
【0077】
4.一工程動的アッセイ
一工程動的アッセイ(例えば、一工程色素形成アッセイ)は、米国特許第5,310,657号に記載される。簡潔には、その動的色素形成アッセイは、以下の工程を包含する:(i)血球溶解物を、分析されるべきサンプルおよび色素形成性基質で同時に可溶化する工程、(ii)その得られた混合物を、約0〜約40℃、好ましくは約25〜約40℃の温度で、所定の時間範囲にわたってインキュベートする工程、および(iii)従来の分光光度計を使用して、所定の値または比色読み取り値の変化の比率のいずれかに達するために、比色変化に要した時間を測定する工程。
【0078】
図2Aを参照すると、カートリッジ1において動的色素形成アッセイを行うために、サンプルは、例えば、その血球溶解物および色素形成性基質を含むコンジット8の第1の領域14にポンプ作用によって動かされ、前後方向にポンプ作用をサイクルさせることによって、この領域においてそれらが可溶化される。そのサンプル−溶解物−基質混合物は、次いで、光学検出器を用いて、そのサンプルの光学特性(例えば、吸光度または透過率特性)を測定するための光学セル6に動かされる。その検出器は、各光学特性が、例えば、光透過率において5%の低下を示すのにどのくらいの時間がかかるかを決定し得る。多重アッセイ(例えば、2つのアッセイ)からの結果は、平均され得る。次いで、その得られた値は、例えば、Y軸上に吸光度または透過率における所定の変化の時間を(場合に応じて)、対してX軸上にエンドトキシン濃度を示す、所定の標準曲線に内挿されて、そのサンプル中の夾雑物の濃度を与える得る。
【0079】
上記の方法のうち、エンドポイント色素形成アッセイおよび一工程動的色素形成アッセイは、現在、微生物夾雑物(例えば、エンドトキシン)の検出に関して最も迅速で、感度が高く、かつ経済的なアッセイであると考えられている。しかし、これらアッセイは、ともにそれぞれの制限を有する。そのエンドポイント色素形成アッセイは、is 迅速(約15分)であるが、代表的には、約1対数範囲(例えば、約1EU/mL〜約0.1EU/mL)に制限される範囲のエンドトキシン濃度を検出できるにすぎず、感度は、約0.1EU/mLである。その一工程動的色素形成アッセイが、約0.05EU/mLのより高い感度で、約5対数(例えば、約5〜約0.05EU/mL)のより広い範囲においてエンドトキシン濃度を測定するが、この方法は、実施するには極めて遅い可能性がある(約30分)。さらにそのエンドポイント色素形成アッセイもその一工程動的色素形成アッセイのいずれも、現場での実施に容易に適合可能でない。その多工程動的アッセイは、エンドポイント色素形成アッセイおよび動的色素形成アッセイにおける制限を克服する。
【0080】
(6.多工程動的アッセイ)
より詳細に議論されるように、そのカートリッジはまた、多工程動的アッセイを行うために使用され得る。その多工程動的アッセイに関連する種々の工程は、図7に模式的に示される。そのアッセイは、その試験されるべきサンプルとある容量の血球溶解物とを合わせて、サンプル−溶解物混合物を生成することによって、開始される。次いで、その混合物は、所定の期間にわたってインキュベートされる。そのサンプル−溶解物混合物は、次いで、基質(例えば、色素形成性基質)と接触させて、サンプル−溶解物−基質混合物を生成する。その後、光学特性の所定の変化(例えば、吸光度値における特定の変化または透過率値における特定の変化)が生じる時間が測定される。微生物夾雑物の存在および/または量は、次いで、予め較正された標準曲線(例えば、光学特性(吸光度または透過率)における所定の変化を起こす時間をY軸上に、対してエンドトキシン濃度をX軸上に示す標準曲線)に対して、その測定された時間を内挿することによって、決定され得る。
【0081】
その標準曲線は、例えば、漸増量の因子(例えば、エンドトキシン、グルカン、または他の微生物細胞壁成分)をブランクサンプル(例えば、発熱物質を含まない水)中に添加することによって、作成され得る。光学特性における所定の変化(例えば、吸光度における所定の上昇または透過率における所定の低下)が生じる時間が、その微生物細胞壁成分の各濃度に対して決定される。光学特性の標準的変化を達成するその種々の時間測定値は、次いで、その微生物細胞壁成分濃度の関数としてプロットされる。一般に、そのエンドトキシンの濃度は、光学特性における標準的な変化を達成するために必要な時間に反比例する。次いで、その標準曲線は、目的のサンプル中の微生物夾雑物の存在および/または量を評価するために使用され得る。標準曲線の計算は、実施例2に提供される。
【0082】
当業者に明らかであるように、血球溶解物および基質の相対量は、これら2つの成分の有効量が、確実にそのサンプル−溶解物−基質混合物中に、そのアッセイの最後に存在するように調節され得る。そのアッセイ中の血球溶解物タンパク質の最終的な量は、約1μg〜約500μg、好ましくは、約50μgである。そのアッセイ中の基質(例えば、その色素形成性基質)の最終的な量は、約1μg〜約50μg、好ましくは、約6.5μgである。その基質(例えば、色素形成性基質)の濃度および組成の決定は、当業者の技術水準の範囲内にあると考えられる。
【0083】
得られたサンプル−溶解物−基質混合物の最終的な量は、そのサンプルの光学特性における変化を測定するために使用される光学検出器の要件に基づき得る。そのサンプルと、溶解物と、基質との間の容量比は、当業者によって、容易に確立され得る。そのサンプル−溶解物−基質混合物中のサンプル、溶解物、および基質の相対容量に依存して、そのアッセイの他の成分の濃度は、本明細書に記載される機能する範囲の最終的な濃度に維持されるように調節され得る。
【0084】
図2Aを参照すると、本発明のカートリッジ1においてその多工程動的アッセイを行うために、サンプルは、まず、例えば、ポンプ作用によって、血球溶解物を含む第1の領域14に動かされ、その領域において、その血球溶解物は混合され、所定の時間にわたってインキュベートされる。そのサンプル−溶解物混合物は、次いで、例えば、ポンプ作用によって、基質(例えば、色素形成性基質)を含む第2の領域16に動かされ、その領域においてその基質が可溶化される。そのサンプル−溶解物−基質混合物は、次いで、光学特性の測定のために、光学セル6に動かされる。混合工程およびインキュベート工程に要する時間間隔は、最適な感度および微生物夾雑物濃度の範囲について予めプログラムされている。
【0085】
図8Aおよび8Bは、本発明の実施において有用な例示的カートリッジおよび携帯型光学検出器を示す。図8Aは、そのカートリッジが検出器に導入されているところを示し、図8Bは、そのカートリッジが、流体入り口ポート(ユーザーにとってなお露出されている)を有する検出器に挿入されたところを示す。
【0086】
図9は、多工程動的アッセイを使用して、カートリッジにおいて生成され得る光学特性の変化を示すグラフである。破線は、そのサンプルの透過率における変化を経時的に示す。実線は、そのサンプルの吸光度における変化を経時的に表す。図2Aおよび9を参照すると、光学特性は、サンプルのアリコートが、その流体入り口ポート4に0秒の時点で添加された後に、モニターされた。60秒後、そのサンプルを、領域14(ここでサンプルは、領域14に配置された血球溶解物と60秒間混合される(T=60からT=120までの垂直方向のジグザグ線によって示される))から引き出した。その混合の振幅(垂直方向の線の長さ)は、そのサンプルが、領域14全体にわたって、反復して動かされるように決定された。その後、そのサンプル−溶解物混合物は、120〜480秒、さらに混合することなく領域14でインキュベートされた。480秒後、そのサンプルを、領域16における色素形成性基質へと引っ張り、そのサンプル−溶解物混合物を、480〜540秒まで示される期間にわたってその色素形成性基質と合わせた(T=480からT=540までの垂直方向のジグザグ線によって表される)。その混合の振幅(垂直方向の線の長さ)は、そのサンプルが領域16全体にわたって、反復して動かされるように決定された。得られたサンプル−溶解物−基質混合物は、次いで、光学セル6へと引っ張られ、その光学特性(吸光度および透過率)を、540秒から1440秒までの期間にわたって測定した。
【0087】
その混合物の初期の吸光度または透過率の読み取りを使用して、吸光度または透過率が、任意の量まで変化するために要する時間(反応時間)が決定される。次いで、そのサンプル中の微生物夾雑物の量は、そのサンプルについての反応時間を、所定の標準曲線に対して比較することによって決定される。
【0088】
スパイクされたサンプルは、そのスパイクされていないサンプルと並行して圧制される。そのスパイクされていないサンプルにおける微生物夾雑物濃度およびそのスパイクされたサンプルにおいて回収された微生物夾雑物は、上記のように、妨害(例えば、その反応のインヒビターまたはエンハンサー)の存在を決定するために、比較され得る。
【0089】
その多工程アッセイは、上記で議論された型のカートリッジにおいて行われ得るが、種々の他の形式(例えば、マイクロタイタープレートのウェル内)で使用され得る。マイクロタイタープレートのウェル中で行われる例示的アッセイは、実施例3において議論される。種々の試験流体の複数サンプル、ならびにスパイクされたサンプルおよび標準曲線を作成する一連のコントロールサンプルは、そのマイクロタイタープレートのウェル中に入れられ得る。固定量の血球溶解物、次いで基質は、好ましくは、自動化システム(例えば、ロボット)を使用して、そのウェルの各々に添加され、そのプレートは、反復様式で各ウェルの吸光度を連続して読み取るようにプログラムされているマイクロプレートリーダーによって処理される。
【0090】
さらに、そのカートリッジ、グルカン特異的アッセイ、およびその多工程動的アッセイは、試験サンプル中の目的のリガンドの存在および/または量を検出するために使用され得ることが予測される。例えば、そのアッセイ形式を適切な場合には、適合させることによって、サンプル中の目的の任意のリガンド(例えば、薬物、トキシン、タンパク質、代謝産物)の存在および/または量を検出することが可能である。マイクロタイタープレートのウェルにおいて行われる例示的リガンドアッセイは、実施例7において議論される。例示によって、目的のリガンドに対する結合因子(binder)(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、固体支持体(例えば、カートリッジまたはマイクロタイタープレート)の表面に固定化される。その結合因子は、次いで、リポ多糖またはグルカンに連結または結合した目的のリガンドを含む複合体を用いて予め負荷または予め結合される。グルカンまたはリポ多糖をリガンドに結合体化するための方法は、当該分野で周知である。例えば、Boutonnierら(2001)INFECT.IMMUN.69:3488−3493は、リポ多糖を破傷風トキソイドに結合体化するための方法を記載する(Konaduら(1994)INFECT.IMMUN.62:5048−5054;Kenneら(1982)CARBOHYDR.RES.100:341−349)もまた参照のこと)。目的のリガンドを含むサンプルがその固定化された結合因子と組み合わされる場合、そのリポ多糖またはグルカンが標識されたリガンドは、置き換えられる。置き換えられたリガンドの量は、次いで、リポ多糖またはグルカンがLAL調製物の反応を開始した程度によって定量され得る。
【0091】
これらの原理を使用して、サンプル中の目的のリガンドの存在および/または量を決定するためのカートリッジを作ることが可能である。この型の形式において、リガンドに対する結合因子は、サンプル入り口ポートの下流に、かつその光学セルの上流にあるコンジットの表面に固定化される。リガンドに対するその結合因子は、次いで、例えば、リポ多糖またはグルカンに連結または結合体化された目的のリガンドを含む複合体で予め負荷される。血球溶解物(例えば、置き換えられたグルカンを検出するためのファクターG特異的溶解物、または置き換えられたリポ多糖を検出するためのファクターC特異的溶解物)は、リガンドに対するその固定化された結合因子の下流にあるコンジットの表面に固定化される。その目的のサンプルが、そのサンプル入り口ポートに付与されると、そのサンプルは、リガンドに対するその結合因子の上を進む。そのサンプルがリガンドを含む程度まで、そのリガンドは、固定化された結合因子からのその複合体に置き換わる。置き換えられたリガンドの量は、血球溶解物における光学特性の変化を測定することによって測定され得る。光学特性におけるこの変化を、次いで、そのサンプル中の目的のリガンドの量と相関させ得る。
【実施例】
【0092】
本発明の実施は、以下の実施例からより十分に理解され、この実施例は、例示目的で本明細書に示されるのであって、如何様にも本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0093】
(実施例1:色素形成アッセイカートリッジの調製)
図2に示される例示的カートリッジを、以下のように調製した。図5Aを参照すると、LALおよび色素形成性基質を、それぞれ、Hamilton Microlab 540Bディスペンサー(Hamilton Company,Reno,NV)を用いて、カートリッジ1の底部半体2のコンジット8’の、それぞれ領域14’および16’に付与した。簡潔には、1% マンニトール(Osmitrol,Baxter,Deerfield,IL)および0.1% デキストラン(MW10〜100K,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を含む10mg/mL Endosafe LAL(Charles River Endosafe,Charleston,SC)、4〜5.0μLを、領域14’に付与した。1% ポリビニルアルコール(PVA)(MW 7K〜30K,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を含む(1.3 mg/mL)色素形成性基質Ile−Glu−Ala−Arg−pNA Chromogenix S−2423(Instrumentation Laboratories,Milan,Italy)、4〜5.0μLを、領域16’に付与した。そのカートリッジ1の底部半体2を、Lunaire Environmental Steady State&Stability Test Chamber(Lunaire
Environmental,Williamsport,PA)中で、Puregas HF200 Heatless Dryer(MTI Puregas,Denver,CO)で1時間、25℃±2℃の制御された温度および5%±5%の湿度下で乾燥させた。温度および湿度を、Watlow Series 96 1/16 DIN Temperature Controller(Watlow Electric Manufacturing Company,St.Louis,MO)によって制御した。
【0094】
図5Bを参照すると、5μlのEndosafe CSEエンドトキシン(Charles River Endosafe,Charleston,SC)(「スパイク」)を、そのカートリッジ1の上部半体3のコンジット8”の領域14”に付与した。そのカートリッジ1の上部半体3を、上記のように、25℃±2℃の制御された温度および5%±5%の湿度の下で1時間にわたって乾燥させた。
【0095】
製造後、その2つの半体2および3は、領域14’および14”が一方を他方の上部の上に並び、そのカートリッジ半体2および3の縁が、Dukane Dynamic Process Controller(Dukane Corporation,St.Charles,IL)の制御下で、Dukane Model 210 Ultrasonic Sealer(Dukane Corporation,St.Charles,IL)を用いて超音波でシールされるように、組み立てた。
【0096】
得られたカートリッジ1は、そのサンプル中の微生物夾雑物を定量するために使用される標準曲線を後に識別するために、そのカートリッジのロット番号を識別するために標識した。そのシールして、標識されたカートリッジ1を、次いで、シリカゲルまたは分子シーブのような乾燥剤とともに、積層ホイルパウチに入れた。そのホイルパウチを、窒素ガスでパージし、次いで、PAC Model PV−G Vacuum Impulse
Heat Sealer(Packaging Aids Corporation,San Rafael,CA)でシールした。
【0097】
(実施例2:カートリッジベースのアッセイ)
この実施例は、本発明のカートリッジが、エンドポイント色素形成アッセイ、動的色素形成アッセイおよび多工程色素形成アッセイによって、微生物夾雑物の量を測定するために使用され得ることを実証する。
【0098】
図8は、本発明のカートリッジが、どのように移動式携帯型光学検出器とともに使用されうるかを示す。図8Aは、カートリッジが、光学検出器に挿入されているというプロセスを示す。図8Bは、そのカートリッジが光学検出器に十分に挿入されたことを示すが、そのカートリッジの流体入り口ポートは、ユーザーになお利用しやすい。この構成は、たとえそのカートリッジの光学セルがその光学検出器内に適切に位置しているとしても、ユーザーが目的の1以上のサンプルを露出された流体入り口ポートに付与することを可能にする。
【0099】
(I)カートリッジにおけるエンドポイント色素形成アッセイ
カートリッジを、スパイクをコンジットに添加しなかったことを除いて、本質的に実施例1に記載されるように調製した。1.0EU/mL、0.5EU/mL、0.25EU/mL、および0.125EU/mLのエンドトキシン標準物質のサンプルを調製し、各々の25μLを、4つのカートリッジ流体入り口ポートのうちの1つにピペットで入れた。その携帯型光学検出器を、試験の所要時間にわたって、37℃の温度を維持した。その携帯型光学検出器を、一連の工程を行うためにプログラムした。その携帯型光学検出器は、まず、各エンドトキシンサンプルを、乾燥LALを含むコンジットの領域に引っ張り、混合し、そのサンプルをLALとともに120秒(T=60〜T=180)にわたってインキュベートした。その携帯型光学検出器は、次いで、そのエンドトキシンサンプル−LAL混合物を、乾燥色素形成性基質を含むコンジットにおける領域に引っ張り、そのサンプル−LAL混合物をその基質と5秒にわたって混合した。その携帯型光学検出器は、次いで、そのサンプル−LAL−基質混合物をその光学セルに引っ張った。その携帯型光学検出器は、次いで、4つのチャネルの各々からの吸光度データを記録した。約10分(約780秒)後、その試験を、最後の吸光度(光学密度)値を読み取ることによって終了した。各エンドトキシンサンプルについての吸光度値曲線を、図10Aに示す。780秒で生成された吸光度値を記録し、エンドトキシン濃度の関数としてプロットして(図10B)、標準曲線を得た。この標準曲線は、そのサンプルを、標準物質と同じ様式で処理する場合に、目的のサンプル中のエンドトキシンの濃度を決定するために使用されうる。
【0100】
(II)カートリッジにおける一工程動的色素形成アッセイ
その色素形成性基質を、LALと同じ領域に付与し、スパイクを、そのコンジットに添加しなかったことを除いて、カートリッジを、本質的に実施例1に記載されるように調製した。エンドトキシン標準物質(5.0EU/mL、0.5EU/mL、および0.05EU/mL)のサンプルを調製し、そして25μLの5EU/mL標準物質を、そのカートリッジの2つの流体入り口ポートにピペットで入れた。その携帯型光学検出器を、試験の所要時間にわたって37℃で維持した。その携帯型光学検出器を、一連の工程を行うためにプログラムした。その携帯型光学検出器は、まず、各エンドトキシンサンプルを、乾燥させたLALおよび色素形成性基質の両方を含むコンジットの領域に引っ張り、混合し、そのサンプルと、LALとを30秒間にわたってインキュベートした。その携帯型光学検出器は、サンプル−LAL−基質混合物を光学セルに引っ張った。その携帯型光学検出器は、両方のサンプルについての吸光度を記録し始めた。そのアッセイを0.5EU/mLおよび0.05EU/mL標準物質について報告した。
【0101】
各エンドトキシンの標準物質についての記録されたデータのプロットを、図11A、11Bおよび11Cに示す。各エンドトキシン標準物質−LAL−基質混合物の光学密度が0.05の光学密度に達する時間を、各標準物質についての開始時間として記録した。そのエンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間の対数(Y軸)のプロットは、動的標準曲線を提供する(図11D)。この標準曲線は、目的のサンプルを標準物質と同じ様式で処理する場合、そのサンプル中のエンドトキシンの濃度を決定するために使用されうる。
【0102】
(III)カートリッジにおける多工程動的アッセイ
スパイクをそのコンジットに添加しなかったことを除いて、カートリッジを、本質的に実施例1に記載されるように調製した。1.0EU/mL、0.5EU/mL、0.25EU/mL、および0.125EU/mLのエンドトキシン標準物質のサンプルを調製し、各々の25μLを、4つのカートリッジ流体入り口ポートの1つにピペットで入れた。その携帯型光学検出器は、その試験の所要時間にわたって、37℃の温度を維持した。その携帯型検出器を、一連の試験を行うためにプログラムした。その携帯型光学検出器は、まず、各エンドトキシンサンプルを、乾燥LALを含むコンジットの領域に引っ張り、混合し、そのサンプルを、LALとともに240秒にわたってインキュベートした。その携帯型光学検出器は、次いで、そのエンドトキシンサンプル−LAL混合物を、乾燥色素形成性基質を含むコンジットにおける領域に引っ張り、そのサンプル−LAL混合物を、その基質と20秒にわたって混合した。その携帯型光学検出器は、次いで、そのサンプル−LAL−基質混合物を、その光学セルに引っ張った。その携帯型光学検出器は、その4つのチャネルの各々からの吸光度データを記録し始めた。各エンドトキシン標準物質−LAL−基質混合物の光学密度が0.05の光学密度に達する時間を、各標準物質についての開始時間として記録した(表1を参照のこと)。そのエンドトキシン濃度の対数(X軸)
対 開始時間の対数(Y軸)のプロットは、動的標準曲線を提供する(図12)。この標準曲線は、サンプルを標準物質と同じ様式で処理する場合、そのサンプル中のエンドトキシンの濃度を決定するために使用されうる。
【0103】
【表1】

【0104】
(実施例3:マイクロプレートベースのアッセイ)
この実施例は、微生物夾雑物(この実施例においては細菌エンドトキシン)の量が、エンドポイント色素形成アッセイ、一工程動的アッセイおよび多工程アッセイによって測定されうるように、マルチウェルマイクロタイタープレートが製造されうることを示す。
【0105】
(I)マイクロプレート上での一工程動的アッセイ
一工程動的色素形成アッセイを、以下のように行った。簡潔には、50μLのコントロールの目的の微生物夾雑物(例えば、5EU/mL、0.5EU/mL、または0.05EU/mLのEndosafe Control Standard Endotoxin(CSE),Charles River Endosafe,Charleston,SC)を、96ウェルの1以上のウェルに添加した。50μLの5mg/mL Endosafe LAL(Charles River Endosafe,Charleston,SC)および5μLの1.3mg/mL Chromogenix S−2423 色素形成性基質(Instrumentation Laboratories,Milan,Italy)を、各ウェルに添加し、37℃で32分間インキュベートした。各ウェル中の混合物の光学密度を、分光光度計(例えば、Sunrise micro plate reader(Tecan,Research Triangle Park,NC)によりモニターした。各標準物質が0.1吸光度単位変化するのにかかった時間を、決定した(「開始時間」)。結果を以下の表2にまとめる。そのエンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間の対数(Y軸)のプロットは、動的標準曲線を提供する(図13)。この標準曲線は、目的のサンプルを標準物質と同じ様式で処理する場合、そのサンプル中のエンドトキシンの濃度を決定するために使用されうる。
【0106】
【表2】

【0107】
(II)マイクロプレート上でのエンドポイントアッセイ
実施例3(I)における試薬を使用して、エンドポイント色素形成アッセイを、以下のように行った。簡潔には、例えば、5EU/mL、0.5EU/mL、または0.05EU/mLの濃度のコントロールの目的の微生物夾雑物(例えば、エンドトキシン)50μLを、96ウェルプレートの1以上のウェルに添加した。50μLの血球溶解物(5mg/mL)を、その標準物質を含む1以上のウェルに添加し、37℃で5分間にわたってインキュベートした。5μLの色素形成性基質(1.3mg/mL)を、1以上のウェルに添加し、37℃で5分間インキュベートした。次いで、その反応系を、100μLの50%酢酸を各ウェルに添加することによって停止させた。各ウェルのその混合物の光学密度を、分光光度計(例えば、Sunrise micro plate reader(Tecan,Research Triangle Park,NC))によって、405nmで測定した。780秒での各サンプルの吸光度(表3に示される)を、記録した。各サンプルの吸光度(Y軸)を、エンドトキシン濃度(X軸)に対してプロットして、標準曲線(図14に示される)を提供した。この標準曲線は、目的のサンプルをその標準物質と同じ様式で処理する場合、そのサンプル中のエンドトキシンの濃度を測定するために使用されうる。
【0108】
【表3】

【0109】
(III)マイクロプレート上での多工程動的アッセイ
実施例3(I)と同じ試薬を使用して、多工程動的色素形成アッセイを以下のように行った。簡潔には、5EU/mL、0.5EU/mL、または0.05EU/mLの濃度のコントロールの目的の微生物夾雑物(例えば、エンドトキシン)50μLを、96ウェルプレートの1以上のウェルに添加した。50μLの血球溶解物(5mg/mL)を1以上のウェルに添加し、37℃で3分間インキュベートした。5μLの色素形成性基質(1.3mg/mL)を、その標準物質を含む1以上のウェルに添加し、37℃で16.5分間インキュベートした。各ウェルのその混合物の光学密度を、分光光度計(例えば、Sunrise micro plate reader(Tecan,Research Triangle Park,NC)によってモニターした。各微生物夾雑物標準物質および/またはサンプルが0.1吸光度単位変化するのにかかった時間を、決定した(「開始時間」)。この結果を、表4にまとめる。そのエンドトキシン濃度の対数(X軸) 対 開始時間の対数(Y軸)のプロットは、動的標準曲線(図15)を提供する。この標準曲線は、目的のサンプルをその標準物質と同じ様式で処理する場合、そのサンプル中のエンドトキシン濃度を測定するために使用されうる。
【0110】
【表4】

【0111】
(実施例4:グルカン特異的LALの調製および試験)
図1に示されるように、粗製LALは、エンドトキシン(リポ多糖)およびグルカン両方と反応し、その結果、グラム陰性細菌および酵母/糸状菌細胞の両方に由来する細胞壁材料は、凝固カスケードを活性化させる。グラム陰性細菌の場合、凝固は、ファクターCカスケードを通じて媒介される。酵母および糸状菌の場合、凝固は、ファクターGカスケードを通じて媒介される。その2つの夾雑物がサンプル中に存在するか、またはどの割合で各々が混合した夾雑物に含まれうるかを決定するために、以下に記載されるように、LALがグルカンに対して特異的であるような条件下で、LALを生成した。
【0112】
アメーバ様細胞血液を、0.05% Tween 20(Sigma,St.Louis, MO)、150mM NaClと6:1で混合し、Sorval model RC−3B遠心分離器で3,000rpmで5分間、遠心分離した。ペレット化した細胞を、0.01% Tween 20、150mM NaClで洗浄し、3,000rpmで5分間遠心分離した。そのペレット化し、洗浄した細胞を、3つのアリコートに分け、リポ多糖を含まない水、リポ多糖を含まない1M NaCl、またはリポ多糖を含まない2M NaClのいずれかに再懸濁した。各ペレット中の細胞を、1〜2分間の超音波処理によって溶解させた。細胞細片を、4,000rpmで10分間遠心分離によって除去し、得られた上清を採取し、凝固実験において直接使用した。
【0113】
図16は、マイクロタイタープレートの多工程動的アッセイ(例えば、標準的LAL(各図のA行)またはグルカン特異的LAL(各図のB行およびC行)のいずれかを用いた実施例3(III)に記載されるもの)において種々の濃度のリポ多糖(図16A)またはグルカン(図16B)を使用する動的凝固反応のグラフ図を提供する。
【0114】
図16Aは、その溶解物と、列1〜列5まで1:10で連続希釈したリポ多糖(Charles River Endosafe)との反応性を示す。列1〜5におけるリポ多糖濃度は、それぞれ、10ng/ml、1ng/ml、100pg/ml、10pg/ml、および0である。
【0115】
図16Bは、その溶解物と列1〜列5まで1:10で連続希釈したグルカン(Charles River Endosafe,Charleston,SC)との反応性を示す。列1〜5におけるグルカン濃度は、それぞれ、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、100ng/ml、および0である。
【0116】
各図において、行Aは、発熱物質なしの水中において溶解した細胞から調製された標準LAL(すなわち、グルカンおよびリポ多糖の両方と反応性)との反応性を示す。各図において、行Bは、1M NaCl中で細胞を溶解することによって生成したグルカン特異的LALである。各図において、行Cは、2M NaCl中で細胞を溶解することによって生成したグルカン特異的LALである。各グラフは、経時的に(X軸に示される)光学密度または吸光度における変化(Y軸に示される)を示す。例えば、図16Aにおいて、行A列1に示されるグラフは、10ng/mlのリポ多糖が標準LALに添加される場合の経時的な吸光度の変化を示す。
【0117】
この結果により、リポ多糖が標準溶解物に添加される場合、そのリポ多糖がその溶解物を活性化して、吸光度の上昇を引き起こすことが示される(図16A、行Aを参照のこと)。しかし、その吸光度変化の速度は、各サンプルに添加されるリポ多糖が少なくなるにつれて減少する。しかし、この結果により、リポ多糖が各グルカン特異的溶解物に添加される場合、吸光度において実質的な変化がないことが示される(図16A、行AおよびBを参照のこと)。
【0118】
この結果はまた、グルカンが標準的溶解物に添加される場合、そのグルカンは、(リポ多糖のように)その溶解物を活性化して、吸光度における上昇を引き起こすことを示す(図16B、行Aを参照のこと)。しかし、吸光度変化の速度は、各サンプルに添加されるグルカンの濃度が少なくなるにつれて、減少する。リポ多糖が添加された状況とは対照的に、グルカンは、各グルカン特異的溶解物を活性化して、経時的に吸光度の上昇を引き起こす(図16B、行BおよびCを参照のこと)。
【0119】
これらの結果は、本明細書に記載されるプロトコルを使用して、グルカン特異的溶解物を生成することが可能であることを実証する。
【0120】
(実施例5:カートリッジベースの多工程アッセイにおけるグルカン特異的LALの試験)
グルカン特異的LALを、実施例4に記載されるように、アメーバ様細胞を2M NaCl中で溶解することにより調製し、カートリッジベースの多工程動的アッセイ(例えば、実施例2(III)に記載されるもの)で試験した。
【0121】
100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、100ng/ml、および0のグルカンを含むサンプルを、グルカン特異的溶解物とともに4分間インキュベートした。得られた混合物を、色素形成性基質であるアセテート−Ile−Glu−Ala−Arg−pNAと混合し、その吸光度の変化を、405nmで経時的に測定した。0.05の開始光学密度に達するのに要した時間を集め(表5を参照のこと)、グルカン濃度の対数、開始ODに達する時間の対数に対してプロットした(図17を参照のこと)。
【0122】
【表5】

【0123】
そのデータは、カートリッジベースの多工程アッセイを使用して、グルカン濃度の標準曲線を生成することが可能であることを示す。次いで、その標準曲線は、目的のサンプルを標準物質と同じ様式で処理する場合、そのサンプルにおけるグルカンの濃度を決定するために使用されうる。
【0124】
(実施例6:蛍光基質を使用するLAL反応をよみとる手段)
カートリッジベースの多工程動的LALアッセイ(例えば、実施例2(III)に記載されているもの)を、蛍光生成基質:Glu−Gly−Arg−AMC(Enzyme Systems Products,Livermore,CA)を用いて行った。そのカートリッジ、そのサンプルと光センサとの間に配置されたロングパスフィルタを備えるように改変し、励起波長(390nm)を有する光をブロックするが、460±25nmの波長の発光は通ることができ、そのセンサによって検出可能であるようにした。
【0125】
このデバイスを使用して、蛍光データ(相対蛍光単位として表される)を、10EU(エンドトキシン単位)、1EU、および0.1EUを含むサンプルから集めた。相対蛍光単位における経時的な変化を、図18に示す。この結果は、その多工程動的アッセイが、蛍光基質を使用して、サンプル中のエンドトキシン量を測定しうることを実証する。
【0126】
(実施例7:固定化抗体を用いたリポ多糖標識リガンドの測定)
マイクロタイタープレート多工程動的LALアッセイ(例えば、実施例3(III)に記載されているもの)はまた、リガンドの濃度を測定するために使用されうる。簡潔には、目的のリガンドを結合する抗体は、マイクロタイタープレートのウェルの表面に固定化される。次いで、その抗体のリガンド結合部位は、リポ多糖に連結されたリガンドを含む複合体で予め負荷される。そのリガンドを含むサンプルが、その固定化された抗体に曝される場合、そのリポ多糖標識リガンドは、LALとの反応によって、置き換えられ、定量される。この実施例において、検出されるリガンドは、フルオレセインであった。抗フルオレセイン抗体を、ウェルの表面に固定化し、フルオレセイン標識リポ多糖で予め負荷する。フルオレセイン標識抗体を含むサンプルを、その固定化抗体に曝すと、そのフルオレセイン−リポ多糖結合体は、その固定化抗体から遊離し、LALとの反応性によって測定される。
【0127】
簡潔には、ウサギ抗フルオレセイン抗体(Virostat,Portland ME)を、CAPS緩衝液,pH10.2(Sigma,St.Louis,MO)で1/4000希釈した。25μlの希釈した抗体を、高結合型プレート(Corning 25801)のウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。そのプレートを、4×100μl/ウェルで、TTBS(0.1% Tween、100mM Tris緩衝化生理食塩水)でマルチピペッターを用いて洗浄した。そのウェルを、ゼラチン希釈液を150μl/ウェルを添加することによってブロックし、4℃で一晩保存した。次いで、そのウェルを、3×100μl/ウェルでTTBSで洗浄した。リポ多糖(LPS)−フルオレセイン(FITC)結合体(List Biological Laboratory,Campbell,CA)を、1μg/ml〜10μg/mlまで、0.1M Tris中で10倍希釈を用いて希釈した。0.1M Trisを、コントロールとして使用した。75μ1の希釈したLPS/FITC結合体を、1ウェルあたりに添加し、37℃で30分間インキュベートした。そのウェルを、次いで、0.1M Trisを用いて3×100μl/ウェルで洗浄した。
【0128】
フルオレセイン標識ヤギ抗ニワトリ抗体(Southern Biotech.Associates Inc 6100−02,Birmingham,AL)を、0.1M Trisで1/50、1/150、および1/450に希釈した。0.1M Trisをコントロールとして使用した。75μlのフルオレセイン標識ヤギ抗ニワトリ抗体を、1ウェルあたりに添加し、37℃で30分間インキュベートした。50μlを各ウェルから取り出し、きれいな96ウェルプレート(Falcon,353072,Becton
Dickenson,Franklin Lakes,NJ)に移した。50μlのEndochrome K(Charles River Endosafe)(これは、LAL基質およびLAL溶解物の1:1混合物である)を、各ウェルに添加した。そのプレートを、405nmで、37℃で60〜90分で、一定の時間間隔で(例えば、動的に)読み取った(最小OD:0、Max最大:0.8、開始OD:0.1)。
【0129】
固定化抗体に予め結合されるべきLPS/FITCの適切な濃度を見出すために、漸増濃度を、10pg/mL〜1μg/mLまで、プレートに付与した。次いで、そのフルオレセイン標識抗体リガンドの希釈液を、固定化抗体に曝し、その置き換わったLPS/FITCを、EU等価物として測定した。図19に示されるように、1μg/mLレベルのLPS/FITCにおいて、リガンドに比例するEUを、達成した(最も左)。従って、この型の形式を使用することによって、試験サンプル中の目的のリガンドの存在を検出し、そして/または量を測定することが可能である。
【0130】
(等価物)
本発明は、その趣旨および本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態において具現化され得る。前述の実施形態は、従って、全ての点において、本明細書に記載される発明を限定するのではなく、例示であるとみなされるべきである。よって、本発明の範囲は、前述の説明によって示されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および均等の範囲内に入る全ての変化は、その範囲内に包含されると解釈される。
(参考としての援用)
本明細書中で引用されるすべての刊行物および特許文献は、あたかも個々の刊行物および特許文献のそれぞれの全体の内容が、本明細書中に援用される場合と同程度で、それらの全体がすべての目的のために本明細書中に参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−200766(P2010−200766A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118755(P2010−118755)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2006−532327(P2006−532327)の分割
【原出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【出願人】(505350260)チャールズ リバー ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】