説明

微細気泡発生ノズル及びこの微細気泡発生ノズルを備えた微細気泡供給装置

【課題】効率よく液体中に長時間滞留可能な微細気泡を、大量に発生可能な微細気泡発生ノズル10を提供する。
【解決手段】本発明の微細気泡発生ノズル10は、加圧された液体を導く導入部材1と、導入部材の長手方向に液体を吐出する第一ノズル孔7と、導入部材1から長手方向とは異なる方向に液体を吐出する第二ノズル孔11とを含む液体噴出部材と、第一ノズル孔7および第二ノズル孔11を取り囲むと共に、気体を取り入れる気体孔6と第一ノズル孔7から液体を吐出する方向に形成された噴出孔8とを含む気液混合部材3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海水もしくは水などの液体に、酸素、窒素もしくは空気等の気体の微細気泡を供給する微細気泡発生ノズル、この微細気泡発生ノズルを備えた微細気泡供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム、湖沼、河川などの自然閉鎖水域の汚濁への取り組みが社会的な問題となっており関心が高まっている。そこで、水中内の溶存酸素を増加させる作用や、汚濁物に吸着したり凝縮させたりする効果のある微細気泡又はマイクロバブルに注目が集まっている。微細気泡又はマイクロバブルは、水中内での拡散性や分散性にも優れ、それらが広範囲の水質の浄化や水棲生物の育成にも効果を発揮すると考えられている。このため、微細気泡又はマイクロバブルを効率よく発生させる機器の開発が急がれている。
【0003】
例えば、特許文献1の微細気泡発生器は、液体噴射ノズルから加圧された液体が噴射して、気体室内に充満した気体を誘引するとともに、その誘引された気体を混合させながら高速で噴出孔から噴出させる。このため、特許文献1の微細気泡発生器は、気液混合流と液体粒子との衝突等が噴出孔出口近傍で発生することにより、微細化された気泡を発生させている。特に、特許文献1の微細気泡発生器は、高濃度液等の高粘度な流体中に微細気泡を発生したり、高粘度な流体中で微細気泡を拡散させたりすることもできる。
【0004】
しかしながら、微細気泡の発生量はあまり多くなく、多量の微細気泡を必要とする場合には複数の微細気泡発生器を用いなくてはならなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−252546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記技術の問題点に鑑みて成されたもので、効率よく液体中に長時間滞留可能な微細気泡を、大量に発生可能な微細気泡発生ノズル、およびこの微細気泡発生ノズルを備えた微細気泡供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点の微細気泡発生ノズルは、加圧された液体を導く導入部材と、この導入部材の長手方向に液体を吐出する第一ノズル孔と、導入部材から長手方向とは異なる方向に液体を吐出する第二ノズル孔とを含む液体噴出部材を備え、さらに、第一ノズル孔および第二ノズル孔を取り囲むと共に、気体を取り入れる気体孔と第一ノズル孔から液体を吐出する方向に設けられた噴出孔とを含む気液混合部材を備える。
この構造により、液体噴出部材と気液混合部材との間の空間ができる。そして第一ノズル孔から液体が噴出孔を通って吐出すると、ベルヌーイの定理により、液体噴出部材と気液混合部材との間の空間が負圧になる。そして、第二ノズル孔から吐出した液体と気体孔から取り入れられた気体とが混合した状態で、気液混合流が噴出孔から噴出する。このため、微細気泡を効率良く多量に発生できる。
【0008】
第2の観点の微細気泡発生ノズルは、第二ノズル孔から液体を吐出する方向とはズレた位置に気体孔が設けられている。この構造により、液体噴出部材と気液混合部材との間の空間で第二ノズル孔から吐出した液体と気体孔から取り入れられた気体とが効率よく混合する。
【0009】
第3の観点の微細気泡発生ノズルは、第二ノズル孔は、第一ノズル孔より小さな孔を有する。この構造により、第一ノズル孔が大きいので多くの液体が噴出孔を通って吐出する。そのため、液体噴出部材と気液混合部材との間の空間が負圧になる。また、第二ノズル孔が小さいので液体噴出部材と気液混合部材との間の空間が、液体で満たされることがなく、気体が十分に空間に入り込める。
【0010】
第4の観点の微細気泡発生ノズルは、第二ノズル孔が複数配置される。複数個所から液体が吐出するので、気体と液体とがよく混合する。
【0011】
第5の観点の微細気泡発生ノズルは、第二ノズル孔から液体を吐出する方向を所定方向に偏向する偏向手段を備える。第二ノズル孔から液体が所定方向に吐出されるため、液体噴出部材と気液混合部材との間の空間で、液体はうずを巻きながら噴出孔に向かう。このため空間内の気体は液体と混合され微細気泡を効率良く多量に発生できる。簡素な構成なので、小型化し易い上、比較的低コストで製作することができる。
【0012】
第6の観点の微細気泡発生ノズルは、液体噴出部材と気液混合部材との間に、第二ノズル孔からの液体を拡散させる拡散部を備える。拡散部で空間内の気体と液体とが拡散され、さらに混合されるため微細気泡を効率良く多量に発生できる。簡素な構成なので、小型化し易い上、比較的低コストで製作することができる。
【0013】
第7の観点の微細気泡供給装置は、導入部材へ加圧された液体を供給するポンプと、ポンプを作動させる電動機と、第1から第6の観点の微細気泡発生ノズルとを備える。微細気泡発生ノズルは、気液混合流を誘引させる構造であるため、例えば、水深が深く水圧の高い水中で用いたとしても、エアーコンプレッサー等を要する従来機構と比較して液体を噴出させるポンプの動力が少なくて済み、エネルギー効率が良い。
【0014】
第8の観点の微細気泡供給装置は、微細気泡発生ノズルが複数配置されている。このため、多量の微細気泡を発生させることができる。
【0015】
第9の観点の微細気泡供給装置は、微細気泡発生ノズルから所定距離に配置され、微細気泡発生ノズルから発生する微細気泡が衝突する衝突部材を備える。微細気泡発生ノズルから噴出される微細気泡が衝突部材に衝突することにより、微細気泡がさらに拡散する。また、大きめの気泡が噴出された際にも大きな気泡が衝突部材に衝突することにより、微細気泡を衝突部材で発生させることができる。
【0016】
第10の観点の微細気泡供給装置は、ポンプから微細気泡発生ノズルまでの間に、同極対向に配置された複数の磁石を備える。流体に磁界を加えることにより液体のイオン化および分子クラスタの微細化効果が大きくなり、更に浸透力、溶解力、浄化能力が高まることが実証されている。また、付着物が付き難くなり、サビの発生又は詰まりの発生を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の微細気泡発生ノズルおよび微細気泡供給装置は、噴出口から液体を噴射する際に、ベルヌーイの定理で、すでに空室で気体と液体とが混ざり合った気液混合流を同時に噴出口から噴出することが可能となる。このため多くの微細気泡が発生する。簡単な構造で多くの微細気泡が発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、本実施形態において、微細気泡とは気泡の直径によりマイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類される。マイクロバブルは、「気泡発生時において十〜数十μm(マイクロメートル)の気泡径を有する気泡」と定義されている。マイクロバブルは、その発生後に水中を浮遊する過程でナノバブルへと収縮運動を繰り返しながら、最終的には内部の気体を完全に溶解させて消滅するという性質を有しているものをいう。
直径が約50μm以上の気泡は、静水中での上昇速度が比較的速く、気泡が浮遊することない点で微細気泡又はマイクロバブルとは異なる。また、直径約50μm以上の気泡は、上昇に伴って気泡の周囲の圧力と内部の圧力差によって気泡自身が膨張する。この点でも、直径約50μm以上の気泡は、微細気泡又はマイクロバブルとは異なる。
【0019】
以下この発明の微細気泡供給装置100の実施例について図面に基づいて説明する。
(微細気泡供給装置の全体構成)
図1はこの発明の実施形態で、微細気泡供給装置100の全体外略図である。微細気泡供給装置100は、大別すると、マイクロバブル発生ノズル10を備えた微細気泡供給ユニット50と、微細気泡供給ユニット50に液体を供給するポンプユニット80と、ポンプユニット80を駆動するモータユニット90から構成される。微細気泡供給ユニット50にはポンプ80から液体を送り込むためのパイプ61が接続されている。気体ホース20には気体の流量を調整するための調整弁26が設けられている。また、モータユニット90には、微細気泡供給装置100全体を持ち運びが容易なようにプラスチックで形成された取手91が設けられている。
【0020】
微細気泡供給装置100は、たとえば、海水などの液中に浸かった状態で使用される。このため腐食に強い耐食性金属、たとえばステンレス材料、またはプラスチック材料で製作されている。ポンプユニット80には、海水を取り込む吸引口(不図示)が設けられている。また、モータユニット90には、スイッチを有する電源コード(不図示)が接続されている。海水などの液中に浸かった状態で、微細気泡供給装置100を使用するため、気体ホース20の調整弁26および電源コードのスイッチは液体に浸たらない場所に設けられている。もちろん、微細気泡供給装置100に太陽電池を取り付けて太陽電池が発電している際に稼働するようにしたり、微細気泡供給装置100に蓄電池を設けて電源コードを不要にしたりして、微細気泡供給装置100を使用してもよい。
【0021】
次に、微細気泡供給装置100の海中での動作について説明する。微細気泡供給装置100のモータユニット90に電源を投入すると、ポンプユニット80が回転し始め、吸引口から海水を取り込み、パイプ61を介してその海水を微細気泡供給ユニット50に供給する。微細気泡供給ユニット50では、海水とともに微細気泡をマイクロバブル発生ノズル10から噴出する。微細気泡供給ユニット50が供給する微細気泡の気泡径と微細気泡の量とは、海水の取り込み流量および空気の流量に依存する。空気の流量は、気体ホース20の調整弁26は調整することができ、海水の取り込み流量は、モータユニット90にインバータ装置を取り付けたりして制御することが可能である。本実施形態では、モータユニット90にインバータ装置を取り付けておらず、海水の取り込み流量が一定なので、気体ホース20の調整弁26のみで微細気泡の気泡径と微細気泡の量を調整している。
【実施例1】
【0022】
(マイクロバブル発生ノズルの構成)
図2は、微細気泡供給ユニット50のマイクロバブル発生ノズル10の実施例1を示した断面図である。マイクロバブル発生ノズル10は、導入管1と気液混合管3とから構成されている。導入管1は長手方向(図2中のX方向)に延び、導入管1の途中から径が絞られて絞り部2が形成されている。絞り部2の先端には、導入管1の長手方向に一致するように第一吐出孔7が形成されている。また、導入管1の途中に長手方向とは異なる方向に第二吐出孔11が形成されている。第一吐出孔7の径は、第二吐出孔11の径よりも大きく、約2倍から3倍の直径である。
【0023】
導入管1の周囲には、第一吐出孔7および第二吐出孔11を取り囲むように、気液混合管3が設けられている。導入管1の外周と気液混合管3の一端部が溶接で一体に形成されており、気液混合管3の他端部は、途中から径が絞られてスロート4を形成し、第一吐出孔7の軸線方向と一致する位置に噴出口8を形成している。噴出口8の径は、第一吐出孔7の径よりも大きく、約1.2倍から1.5倍の直径である。本実施形態では、気液混合管3の内径は、導入管1の外径の約2倍から3倍で形成されている。このため、導入管1の外周と気液混合管3との間には、空室5が形成されることになる。気液混合管3の一部には気体、たとえば空気を取り込む気体孔6が形成されている。気体孔6の直径は、空室5内が負圧になるように小さめの径が好ましい。気体孔6は、気体孔6の軸線方向と第二吐出孔11の軸線方向とが一致せず、軸線がズレた位置に形成されている。気体孔6の軸線方向と第二吐出孔11の軸線方向とが一致すると、第二吐出孔11から吐出した海水が気体孔6と干渉してしまうからである。この条件を満たせば、図2に示すように、気体孔6と第二吐出孔11とが180度反対方向(図2中Y方向とマイナスY方向)に配置されている必要はない。また、図2では気体孔6が一つ形成されているが、気体孔6が二以上あってもよく、また第二吐出孔11も同様に、二以上あってもよい。なお、この場合は、第二吐出孔11を二以上形成する際には、第二吐出孔11の径を第一吐出孔7の径の1/3−1/5にしなければならない。
【0024】
マイクロバブル発生ノズル10を構成する導入管1及び気液混合管3とは、円管でも角管でもよい。第一吐出孔7および第二吐出孔11の孔形状も同様に、円形に限定する必要はない。また、導入管1及び気液混合管3は、耐食性金属、またはプラスチック材料で製作してよい。実施例1ではステンレス材料を使用している。図2では、導入管1及び気液混合管3が一体に形成してあるが、調整又はメンテナンスをしやすいように別部材で製作してもよい。たとえば、気液混合管3の一端部にOリングを設けておき密閉してネジ止め又はクランプ止めする構成であってもよい。
【0025】
(マイクロバブル発生ノズルの作用)
このマイクロバブル発生ノズル10の作用について以下に説明する。先ず、図1のパイプ61から送り込まれてくる海水が、導入管1に導かれる。導入管1に導かれた海水の大半は、絞り部2で加速されて一旦静圧が低下して、第一吐出孔7から吐出する。導入管1に導かれた海水の残りは、第二吐出孔11から吐出する。第一吐出孔7から吐出した海水は第一吐出孔7より大きな径の噴出口8へ吐出するので、流速が遅くなり再び静圧が増大する。このとき、空室5近傍にある空気及び第二吐出孔11から吐出した海水が混合して気液混合流となっている。そして気液混合流は噴出口8に吸い込まれる。噴出口8での流体の静圧は相対的に空室5より小さく負圧になっているため、空室5にある空気及び海水が噴出口8中に流入することになる。なお、スロート4は図2のように一定の径でなく外側に径が広がる形状であってもよい。
【0026】
仮に、第二吐出孔11がない場合、第一吐出孔7から吐出した海水が噴出口8へ吐出した際に空室5にある空気が噴出口8に吸い込まれることで、大きな気泡となってそのまま噴出される。従って微細気泡とはなり難い。しかし、本実施形態では、第二吐出孔11から吐出した海水が空室5にある空気と混合して気液混合流となって、空室5で事前に微細気泡となっている。微細気泡となった気液混合水が第一吐出孔7から吐出した海水と混ざることにより、多量の微細気泡を発生させることができる。
【0027】
なお、第一吐出孔7の径が第二吐出孔11の径よりも小さいと、第一吐出孔7から吐出する海水の量が少なくなり、空室5内を負圧にすることができなくなる。また第二吐出孔11から吐出する海水が多くて空室5が海水のみで満たされてしまう。
【実施例2】
【0028】
図3は、微細気泡供給ユニット50のマイクロバブル発生ノズル10の実施例2を示した図である。図3Cは、マイクロバブル発生ノズル10の長手方向の断面図で、図3Dは図3CのA−A断面図である。実施例2では、第二吐出孔11の吐出側に吐出方向を気液混合管3の周方向に偏向する傾斜板12が取り付けてある。海水の吐出を受けるため、傾斜板12は厚みのあるブロック材を溶接して構成してもよい。このような構成にすることで、海水が空室5内で周方向に回転しながら、噴出口8に吸い込まれる。その一方で、気体孔6から取り込まれた空気は、空室5内で回転している海水と混合しながら噴出口8に吸い込まれる。そのため、さらに多量の微細気泡を発生させることができる。
【0029】
また、図3Dとは異なる別例を図3Eおよび図3Fに示す。図3Dでは、傾斜板12で第二吐出孔11の吐出方向を気液混合管3の周方向に偏向していたが、図3Eでは、気液混合管3の周方向に向いたパイプ14で第二吐出孔11の吐出方向を周方向に偏向している。図3Fでは、傾斜板12又は周方向に向いたパイプ14などを設けるのではなく、第二吐出孔11自体を、その軸方向が気液混合管3の周方向に向くように形成している。図3Fでは、2つの第二吐出孔11を設けているため、吐出する海水が気液混合管3の周方向に偏向する。実施例2では、第二吐出孔11から吐出する海水を周方向に向けていたが、周方向でかつX方向に斜めに傾けるような偏向であってもよい。
【実施例3】
【0030】
図4は、微細気泡供給ユニット50のマイクロバブル発生ノズル10の実施例3を示した図である。実施例3では、空室5内に第二吐出孔11からの海水を拡散させる拡散部材を備えている。図4Cは、マイクロバブル発生ノズル10の長手方向の断面図で、図4Dは図4CのA−A断面図である。図4C、図4Dに示すように、導入管1の外周に四本の円柱突起部材15が形成されている。四本の円柱突起部材15は、第二吐出孔11と噴出口8との間に配置される。このような構成にすることで、第二吐出孔11から吐出した海水が空室5で噴出口8に吸い込まれる途中で、気体孔6から取り込まれた空気と海水とを拡散させ混合させる。そのため、さらに多量の微細気泡を発生させることができる。
【0031】
また、図4Cおよび図4Dとは異なる別例を図4Eおよび図4Fに示す。図4Eは、マイクロバブル発生ノズル10の長手方向の断面図で、図4Fは図4Eの透視側面図である。図4C,Dでは、導入管1の外周に四本の円柱突起部材15が形成されていたが、図4E、Fでは、気液混合管3の内周に四本の円柱突起部材16が形成している。特に図4E、Fでは、第一吐出孔7に近い位置に円柱突起部材16を設けることができるので、第二吐出孔11から吐出した海水と気体孔6から取り込まれた空気とを効率よく拡散させ混合させることができる。図4では、円柱突起部材15、16を用いたが、角柱突起部材を用いてもよく、また突起部材の本数は適宜変更してよい。さらに、突起部材を設けるのではなく、導入管1の外周に凹凸をつけたり、気液混合管3の内周に凹凸をつけたりして、空気と海水とを拡散させ混合させてもよい。大きな突起部材を設けると、海中の藻などが絡まる恐れがあるが、導入管1の外周の凹凸または気液混合管3の内周の凹凸では、藻などが絡まることはない。図示しないが実施例2と実施例3との組み合わせで、空気と海水とを十分に混合することもできる。
【0032】
次に、微細気泡供給ユニット50の第一例である微細気泡供給ユニット50−1を図5に、第二例である微細気泡供給ユニット50−2を図6に示す。
図5は、微細気泡供給ユニット50−1の構造を示したもので、図5Aは、微細気泡供給ユニット50−1の上面図、図5Bは、微細気泡供給ユニット50の側面図である。図5の微細気泡供給ユニット50−1は、マイクロバブル発生ノズル10−1、10−2および10−3の三つのマイクロバブル発生ノズルが取り付けてある。各マイクロバブル発生ノズル10−1、10−2および10−3の導入管1はパイプ61と接続されて、ポンプ80からの海水が供給されるようになっている。また、各マイクロバブル発生ノズル10−1、10−2および10−3の気液混合管3は空室5とスロート4は分割し製作され、空室5の外形の内周部分は円形筐体53に切削加工により形成されスロート4は別部材として溶接されている。円形筐体53の上部に配置された天板23には、気体ホース20が取り付けられるプラグ21が取り付けられている。天板23を閉めると、天板23と円形筐体53との間に気体室22が形成される。気体室22には、三本の気体導入管24が設けられ、各気液混合管3の外周に接続される。つまり、気体導入管24の孔が図2などで示したマイクロバブル発生ノズル10の気体孔6に相当する。微細気泡供給装置100が海中に浸かった状態で、天板23と円形筐体53との間から海水が浸入しないように、天板23と円形筐体53との間をOリングなどで密封するようにしている。
【0033】
図6は、微細気泡供給ユニット50−2の構造を示したもので、図6Aは、微細気泡供給ユニット50−2の上面図、図6Bは、微細気泡供給ユニット50−2の側面図である。図6の微細気泡供給ユニット50−2は、マイクロバブル発生ノズル10−1、10−2、10−3、10−4、10−5および10−6の六つのマイクロバブル発生ノズルが取り付けてある。その他の構造は、図5で示した微細気泡供給ユニット50−1とほぼ同様である。パイプ61と接続されるマイクロバブル発生ノズルが多くなれば、それだけ多くの微細気泡を発生させることができるが、外径が制限されている場合、マイクロバブル発生ノズルがお互いに干渉するため、同一平面内に配置する数量には限界がある。
図6の微細気泡供給ユニット50−2は、マイクロバブル発生ノズル10−1、10−2および10−3とマイクロバブル発生ノズル10−4、10−5および10−6とをパイプ61の長さ方向に段違いに配置させることにより、マイクロバブル発生ノズル10の数を増やしている。
【0034】
なお、図5又は図6の円形筐体53を、正方形筐体又は六角形筐体としてもよい。また、パイプ61も円形でなく、正方形又は六角形としてもよい。各マイクロバブル発生ノズル10の導入管1をパイプ61に接続する方法、気液混合管3を筐体53に接続する方法は加工のしやすさなどを考慮してねじ止め、溶接等適宜採用することができる。
【0035】
図7は、微細気泡供給ユニット50の周囲に透過性を有する衝突部材57を配置した構造を示した上面図である。そして、衝突部材57を微細気泡供給ユニット50に取り付けるための取付部材55が設けられている。微細気泡を含む海水はマイクロバブル発生ノズル10から噴出されている。ポンプ80の排出能力又は噴出口8の形状にも依存するが、マイクロバブル発生ノズル10から噴出された微細気泡を含む海水は、海中で直進性があり、拡散性が乏しい場合がある。このため、マイクロバブル発生ノズル10から所定距離離れた位置に衝突部材57を設けて、マイクロバブル発生ノズル10から噴出された微細気泡を含む海水を拡散させている。特に衝突部材57が透過性を有していると、微細気泡を含む海水が拡散しながら、外部に飛散していく。また、マイクロバブル発生ノズル10から噴出された微細気泡をさらに小さくすることができる。さらに、気体の流量の調整弁26の調整不良などによりマイクロバブル発生ノズル10から噴出された気泡が大きい場合に、その大きな気泡を衝突部材57で微細気泡にすることができる。図8は、微細気泡供給ユニット50の周囲に透過性を有する衝突部材57を配置した際の、微細気泡供給装置100の全体構成である。
【0036】
透過性を有する衝突部材57の具体的な材料として、不織布または金網などが挙げられる。不織布の材料として、天然繊維(麻など)、化学繊維(レーヨンなど)、合成繊維(ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系など)又は無機繊維(ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維など)などがあるが、微細気泡供給装置100の使用用途によって使い分けることができる。また、不織布は目の粗さで区分されているが、要求する微細気泡又はポンプ80の排出能力によって適宜決定すればよい。例えばほとんどメンテナンスフリーで使用したいときなどは、不織布の目詰まりを考慮して粗い目の不織布を使用することが好ましい。金網の場合は複数のメッシュを組み合わせて衝突部材57を構成することも出来る。

【0037】
図9は、衝突部材57を配置した微細気泡供給装置100に、永久磁石64を取り付けたものである。ポンプ80と微細気泡供給ユニット50とをつなぐパイプ61に永久磁石64が同極対向になるよう、パイプ61に対して複数個の永久磁石64を挟み込む形になっている。同極が対向する複数個の永久磁石64は、パイプ61の外形よりやや大きい寸法のものにしてパイプ61全体を覆うように留意した設計構造としている。磁石の表面磁束密度は例えば約12000ガウス(1.2テスラ)にしている。永久磁石64の具体例としては希土類磁石のうちネオジウム磁石を採用している。
【0038】
パイプ61を流れる海水に磁界を加えることによる、第一の効果は、海水がイオン化および分子のクラスタが細分化され、これにより、海水がさらに活性化され浸透力、溶解力および浄化能力を高めることが出来ることである。第二の効果は、複数の永久磁石64を流路の上流側であるパイプ61に配置することにより、パイプ61に付着物が付き難くなることである。つまり、ポンプ80の吸引口から吸引された海水が、微細気泡供給ユニット50から微細気泡とともに噴出されるまでに、パイプ61、導入管1、気液混合管3および透過性の衝突部材57を経由する。長年使用すると、これらパイプ61、導入管1、気液混合管3および透過性の衝突部材57などに付着物がついたりして性能が落ちるが、複数の永久磁石64をパイプ61に配置することで、微細気泡供給装置100のメンテナンス回数が少なくなることである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
図1、図8および図9の実施形態では、微細気泡供給装置100は、微細気泡供給ユニット50、ポンプユニット80およびモータユニット90が一体に構成されていたが、一体である必要はない。例えば、微細気泡供給ユニット50のみを海中に浸し、ポンプユニット80およびモータユニット90を空中又は陸上(海中でない場所)に配置し、液体をパイプで微細気泡供給ユニット50に送り込むような構成であってもよい。
【0040】
上記実施形態では、液体として海水を使用したが、淡水でも他の液体であってもよい。また気体として、空気を使用したが、液体中に酸素を多く浸透させたい場合には、酸素のみを使用してもよく、また殺菌効果を高めるためオゾンを含む高濃度な酸素を用いても良い。例えば、本実施形態の微細気泡供給装置100により発生される微細気泡は、酸素等の気体が多く含まれたものであり、浄化作用があることから化学工業、農業、水産養殖業、産業用排水、家庭用排水等の浄化および河川、湖沼、閉鎖性海域の浄化に利用される。また、カキなどの貝類の養殖又は魚類の養殖の場所に設置すれば、貝類および魚類の成長を早めることができ、微細気泡供給装置100は小さなサイズであっても多量の微細気泡を供給するので活魚の運送においても効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施形態の微細気泡供給装置100の全体外略図である。
【図2】マイクロバブル発生ノズル10の実施例1を示した断面図である。
【図3】マイクロバブル発生ノズル10の実施例2を示した図である。
【図4】マイクロバブル発生ノズル10の実施例3を示した図である。
【図5】微細気泡供給ユニット50の第一例の構造を示した図である。
【図6】微細気泡供給ユニット50の第二例の構造を示した図である。
【図7】微細気泡供給ユニット50の周囲に透過性を有する衝突部材57を配置した構造を示した上面図である。
【図8】衝突部材57を配置した際の、微細気泡供給装置100の全体構成図である。
【図9】一対の永久磁石64を取り付けた際の、微細気泡供給装置100の全体構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1 … 導入管
2 … 絞り部
3 … 気液混合管
6 … 気体孔
7 … 第一吐出孔
8 … 噴出孔
10 … マイクロバブル発生ノズル
11 … 第二吐出孔
12 … 傾斜板
15、16 … 円形突起部材
20 … 気体ホース
26 … 調整弁
50 … 微細気泡供給ユニット50
57 … 衝突部材
61 … パイプ
80 … ポンプユニット
90 … モータユニット
100 … 微細気泡供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された液体を導く導入部材と、該導入部材の長手方向に液体を吐出する第一ノズル孔と、前記導入部材から前記長手方向とは異なる方向に液体を吐出する第二ノズル孔とを含む液体噴出部材と、
前記第一ノズル孔および前記第二ノズル孔を取り囲むと共に、気体を取り入れる気体孔と前記第一ノズル孔から液体を吐出する方向に設けられた噴出孔とを含む気液混合部材と
を備えたことを特徴とする微細気泡発生ノズル。
【請求項2】
前記第二ノズル孔から液体を吐出する方向とはズレた位置に前記気体孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項3】
前記第二ノズル孔は、前記第一ノズル孔より小さな孔を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項4】
前記第二ノズル孔が複数配置されたことを特徴とする請求項3に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項5】
前記第二ノズル孔から液体を吐出する方向を所定方向に偏向する偏向手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項6】
前記液体噴出部材と前記気液混合部材との間に、前記第二ノズル孔からの液体を拡散させる拡散部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の微細気泡発生ノズル。
【請求項7】
前記導入部材へ加圧された液体を供給するポンプと、
前記ポンプを作動させる電動機と、
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の微細気泡発生ノズルと、
を備えることを特徴とする微細気泡供給装置。
【請求項8】
前記微細気泡発生ノズルが複数配置された請求項7に記載の微細気泡供給装置。
【請求項9】
前記微細気泡発生ノズルから所定距離に配置され、前記微細気泡発生ノズルから発生する微細気泡が衝突する衝突部材を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の微細気泡供給装置。
【請求項10】
前記ポンプから前記微細気泡発生ノズルまでの間に、同極対向に配置された磁石を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項9に記載のいずれか一項に微細気泡供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−203206(P2007−203206A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25516(P2006−25516)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(504434903)株式会社 マイコム (2)
【Fターム(参考)】