説明

心不全を治療するための混合型のPDE−阻害活性およびβ−アドレナリン作用性アンタゴニスト活性または部分アゴニスト活性を有する化合物

本発明は、β−アドレナリン作用性受容体およびホスホジエステラーゼ(ホスホジエステラーゼ3(PDE−3)を含めて)に対して阻害活性を持つ化合物を提供する。本発明は、さらに、このような化合物を含有する医薬組成物;このような化合物を使用して、循環器病、卒中、てんかん、眼科障害または片頭痛を治療する方法;およびβ−アドレナリン作用性受容体およびPDEに対する阻害活性を持つ医薬組成物および化合物を調製する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、PDE−阻害活性およびβ−アドレナリン作用性受容体アゴニスト活性の両方を持つ新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
推定で480万人のアメリカ人が鬱血性心不全に冒されており、毎年、40万の新たな症例が診断されている。薬剤療法がますます進歩しているにもかかわらず、進行した心不全に罹った患者の予後は、虚弱なままであり、毎年の死亡率は、40パーセントを超える。進行した心不全に罹った患者には、心臓移植が有効な治療法ではあるものの、ドナー臓器の供給が限られていることから、毎年、2200未満の心臓移植が実行されているにすぎない。最近の分析では、進行した心不全の発生率および罹患率がさらに増加しそうであることが明らかとなっており、このことは、新規で有効な治療戦略が緊急に必要であることを強調している。
【0003】
心不全の間には、カルシウム恒常性の変化があり、これには、筋小胞体のカルシウム摂取の障害、基底(弛緩期)カルシウムレベルの増加、ピーク(収縮期)カルシウムの減少およびカルシウム過渡応答速度の低下が挙げられ、その結果、収縮力の低下および弛緩の遅延が起こる。カルシウム恒常性のこれらの異常の結末は、収縮機能の低下(収縮性および心拍出量の減少)、心室弛緩の障害、ならびに虚血および/またはアポトーシス機構による筋細胞の損失である。カルシウム恒常性の無制御はまた、多数の他の疾患状態(卒中、てんかん、眼科障害、および片頭痛を含めて)に関係している。
【0004】
β−アドレナリン作用性遮断薬は、軽いから中程度の慢性心不全(CHF)に罹った患者に一般的な治療法である。しかしながら、β−遮断薬を投与した患者の何人かは、引き続いて補償作用が働かない場合があり、そして陽性変力剤を使う急性療法が必要である。ホスホジエステラーゼ阻害剤(PDEI)(例えば、ミルリノンまたはエノキシモン)は、PDEI作用部位(cAMP)がβ−アドレナリン作用性受容体の下流にあるので、また、β−アンタゴニズムが受容体経路の脱感作変化(これは、ホスホジエステラーゼ応答に有害である)を逆にするので、β−遮断に直面して、それらの完全な血行動態効果を保持する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、β−アドレナリン作用性受容体およびホスホジエステラーゼPDE(ホスホジエステラーゼ3(PDE−3)を含めて)に対して阻害活性を持つ化合物を提供する。本発明は、さらに、このような化合物を含有する医薬組成物;このような化合物を使用して循環器病、卒中、てんかん、眼科障害または片頭痛を治療する方法;およびβ−アドレナリン作用性受容体およびPDEに対する阻害活性を持つ医薬組成物および化合物を調製する方法を提供する。
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ホスホジエステラーゼ阻害活性およびβ−アドレナリン作用性受容体阻害活性の両方を持つ新規二重ファルマコフォア小分子化合物の開発に基づいている。本発明の化合物は、β−アドレナリン作用性受容体およびホスホジエステラーゼ−3の両方を同時にアンタゴナイズすることにより、心血管機能の低下を生じることなく、β−アドレナリン作用性受容体アンタゴニズムのプラスとなる属性を保持する。本明細書中で記述するように、本発明の化合物は、イソプロテレノールの非存在下にて細胞の収縮性を増大させること、およびインビボ動物モデルにおいて、イソプロテレノールの効果をアンタゴナイズする強力なβ−遮断効果を誘発することが発見されている。それゆえ、これらの化合物は、正常な心筋収縮性を維持しつつ、β−アドレナリン作用性受容体の情報伝達を正規化でき、従って、心不全および高血圧症を治療するための新しい種類の薬剤に相当する。
【0007】
特定の実施態様では、本発明の化合物は、リンカーによりβ−アドレナリン作用性受容体阻害剤につながれたホスホジエステラーゼ阻害剤を含有する。一実施態様では、このリンカーは、インビボで実質的に開裂されて、生物活性であるデグラダント(degradant)代謝物を生成する。他の実施態様では、このリンカーは、インビボで実質的に安定であり、すなわち、開裂されないかまたは相当な程度までは開裂されず、この化合物は、ホスホジエステラーゼ阻害剤およびβ−アドレナリン作用性受容体阻害剤活性の両方を持つ。いずれかの実施態様では、本発明の化合物は、一部には、二重ファルマコフォアが、同じ位置、組織または細胞に両方の活性剤を送達する(それにより、β−アドレナリン作用性遮断薬での治療により悪影響を与えられる同じ細胞および組織が陽性変力支持と共に提供されることを保証する)能力があるために、別々のホスホジエステラーゼ阻害剤およびβ−アドレナリン作用性遮断薬での患者の同時治療を伴う治療法よりも有利な薬物動態を提供する。
【0008】
(定義)
「アルキルラジカル」とは、指定数の炭素原子を含む分枝または非分枝飽和炭化水素鎖のラジカルを意味する。例えば、C1〜C9アルキルラジカルは、1個〜9個の炭素原子を含有する直鎖および分枝炭化水素鎖のラジカルを指定し、そして全ての異性体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、これらのアルキルラジカルは、C〜C12ラジカルであり、他の実施態様では、それらは、C〜Cラジカルである。さらに他の実施態様では、これらのアルキルラジカルは、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルから選択される。
【0009】
「アルケニルラジカル」とは、指定数の炭素原子を含む分枝または非分枝不飽和炭化水素鎖のラジカルを意味する。例えば、C〜Cアルケニルラジカルは、少なくとも1個の二重結合を有する2個〜9個の炭素原子を含有する直鎖および分枝炭化水素鎖のラジカルを指定し、そして全ての異性体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、これらのアルケニルラジカルは、C〜Cであり、他では、それらは、C〜Cである。さらに他の実施態様では、これらのアルケニルラジカルは、エテニル、プロペニル、イソ−プロペニル、ブテニル、イソ−ブテニル、第三級ブテニル、n−ペンテニル、およびn−ヘキセニルから選択される。
【0010】
「アルキニルラジカル」とは、少なくとも2個の炭素原子の間に三重結合を含有する指定数の炭素原子を含む分枝または非分枝不飽和炭化水素鎖のラジカルを意味し、これは、全ての異性体を含む。例えば、C〜Cアルキニルは、少なくとも1個の三重結合を有する2個〜9個の炭素原子を含有する直鎖および分枝炭化水素鎖を指定し、そして全ての異性体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、これらのアルキニルラジカルは、C〜Cであり、他では、それらは、C〜Cである。いくつかの実施態様では、これらのアルキニルラジカルは、エチニル、プロピニル、イソ−プロピニル、ブチニル、イソ−ブチニル、第三級ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルから選択される。
【0011】
「アルキレンラジカル」とは、アルカンの二価ラジカルを意味し、そして全ての異性体を含む。
【0012】
「アルケニレンラジカル」とは、少なくとも1個の二重結合を有するアルケンの二価ラジカルを意味し、そして全ての異性体を含む。
【0013】
「アルキニレンラジカル」とは、少なくとも2個の炭素原子の間に三重結合を有するアルキンの二価ラジカルを意味し、そして全ての異性体を含む。
【0014】
「シクロアルキルラジカル」とは、指定数の炭素原子を有する単環式または多環式アルキルラジカルを意味する。例えば、C〜Cシクロアルキルラジカルは、3個〜8個の炭素原子を含有する直鎖および分枝炭化水素鎖のラジカルを指定し、そして全ての異性体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、これらのシクロアルキルラジカルは、C〜Cラジカルである。さらに他の実施態様では、これらのシクロアルキルラジカルは、メチルシクロプロパン、エチルシクロプロパン、プロピルシクロプロパン、ブチルシクロプロパン、ペンチルシクロプロパン、メチルシクロブタン、エチルシクロブタン、プロピルシクロブタン、ブチルシクロブタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルから選択される。
【0015】
「シクロアルケニルラジカル」とは、指定数の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を有する単環式または多環式アルキルラジカルを意味する。例えば、C〜Cシクロアルケニルラジカルは、少なくとも1個の二重結合を有する3個〜8個の炭素原子を含有する直鎖および分枝炭化水素鎖のラジカルを指定し、そして全ての異性体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、これらのシクロアルケニルラジカルは、C〜Cラジカルである。さらに他の実施態様では、これらのシクロアルケニルラジカルは、メチルシクロペンテン、エチルシクロペンテン、プロピルシクロペンテン、メチルシクロヘキセン、エチルシクロヘキセン、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルから選択される。
【0016】
「シクロアルキニルラジカル」とは、指定数の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を有する環式アルキルラジカルを意味する。例えば、C〜Cシクロアルキニルラジカルは、少なくとも1個の三重結合を有する3個〜8個の炭素原子を含有する直鎖および分枝炭化水素鎖のラジカルを指定し、そして全ての異性体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、これらのシクロアルキニルラジカルは、C〜Cラジカルである。さらに他の実施態様では、これらのアルキルラジカルは、メチルシクロヘキシン、エチルシクロヘキシン、シクロヘキシニル、シクロヘプチニル、およびシクロオクチニルから選択される。
【0017】
「シクロアルキレンラジカル」とは、二価シクロアルキルラジカルを意味する。
【0018】
「ヘテロシクロアルキレンラジカル」とは、二価飽和単環式または多環式アルキルラジカルを意味し、ここで、1個またはそれ以上の炭素原子は、1個またはそれ以上のヘテロ原子(例えば、窒素、リン、酸素、イオウ、ケイ素、ゲルマニウム、セレンおよび/またはホウ素)で置き換えられている。いくつかの実施態様では、このヘテロ原子は、窒素である。ヘテロシクロアルキレンラジカルの非限定的な例には、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニルおよびピロリジニルが挙げられる。
【0019】
「アルキルチオ」とは、イオウ置換アルキルラジカルを意味する。
【0020】
「アルコキシ」とは、−OR基を意味し、ここで、Rは、上で定義したようなアルキルラジカルである。本発明のいくつかの実施態様では、Rは、1個〜9個の炭素原子を含有する分枝または非分枝飽和鎖から選択される。いくつかの実施態様では、Rは、C〜CおよびC〜Cのようなアルキルラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、これらのアルキルラジカルは、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルから選択される。
【0021】
「アリール」とは、1個またはそれ以上の閉環を有する芳香族炭化水素環式部分を意味する。例えば、アリールは、C〜C24およびC10〜C18芳香族炭化水素環式部分から選択され得る。いくつかの実施態様では、アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、およびビフェニルから選択される。さらに他の実施態様では、アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、anおよびビフェニルから選択される。
【0022】
「ヘテロアリール」とは、環の少なくとも1個の1個またはそれ以上のヘテロ原子を備えた1個またはそれ以上の閉環を有する芳香族環式部分を意味する。例えば、ヘテロアリールは、炭素原子と1個、2個、3個または4個のヘテロ原子(これは、別個に、窒素原子、酸素原子、およびイオウ原子から選択される)とを含有する5員〜7員単環式および二環式または7員〜14員二環式環系から選択され得る。いくつかの実施態様では、ヘテロアリールラジカルは、ピロール、フラニル、チオフェン、ピリジンおよびイソオキサゾールから選択される。さらに他の実施態様では、ヘテロアリールは、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、チアゾール、ベンゾピランおよびカルバゾールのラジカルから選択される。
【0023】
「ハロラジカル」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードラジカルを意味する。
【0024】
「置換フェニル」とは、1個またはそれ以上の置換基で置換されたフェニルを意味する。例えば、これらの置換基は、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cアルキニルラジカル、C〜Cアルコキシラジカル、C〜Cアルケニルオキシラジカル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ヒドロペルオキシ、カルバミド、カルバモイル、カルバミル、カルボニル、カルボゾイル、アミノ、ヒドロキシアミノ、ホルムアミド、ホルミル、グアニル、シアノ、シアノアミノ、イソシアノ、イソシアナト、ジアゾ、アジド、ヒドラジノ、チアザノ、ニトリロ、ニトロ、ニトロソ、イソニトロソ、ニトロソアミノ、イミノ、ニトロソイミノ、オキソ、C〜Cアルキルチオ、スルホアミノ、スルファモイル、スルフェノ、スルフヒドリル、スルフィニル、スルホ、スルホニル、チオカルボキシ、チオシアノ、イソチオシアノ、チオホルムアミド、ハロ、ハロアルキル、クロロシル、クロリル、ペルクロリル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヨードシル、ヨージル、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホ、ホスホノ、アルシノ、セラニル、ジシラニル、シロキシ、シリル、シリレン、ならびに炭素環および複素環部分から選択され得る。
【0025】
「有効量」とは、所望の効果を生じるのに十分な量を意味する。例えば、心不全を治療する有効量は、心不全を治療するのに十分な量である;慢性心不全を治療する有効量は、慢性心不全を治療するのに十分な量である;PDEを阻害する有効量は、PDEを阻害するのに十分な量である;PDE3を阻害する有効量は、PDE3を阻害するのに十分な量である;そしてβ−アドレナリン作用性受容体を阻害する有効量は、β−アドレナリン作用性受容体を阻害するのに十分な量である。
【0026】
「代謝物」とは、代謝または代謝プロセスにより生成される物質を意味する。
【0027】
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部へと対象化合物を運ぶか輸送する際に関与している薬学的に受容可能な物質、組成物およびビヒクル(例えば、液体および固体充填剤、希釈剤、賦形剤および溶媒をカプセル化する物質)を意味する。各キャリアは、その処方の他の成分と適合性であって患者に使用するのに適切であるという意味で、「受容可能」である。薬学的に受容可能なキャリアは、患者に関して活性または不活性であり得る。いくつかの実施態様では、薬学的に受容可能なキャリアは、以下から選択される:(1)糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ);(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)賦形剤(例えば、カカオバターおよび坐薬ワックス);(9)オイル(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);(15)アルギン酸;(16)発熱物質なし水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;ならびに(22)医薬処方で使用される他の無毒の適合性物質。
【0028】
「薬学的に受容可能な同等物」には、薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、代謝物、プロドラッグおよびアイソスター(isostere)が挙げられるが、これらに限定されない。多くの薬学的に受容可能な同等物は、本発明の化合物と同じまたは類似のインビトロまたはインビボ活性を有すると予想される。
【0029】
「薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の酸塩または塩基塩を意味し、これらの塩は、生物学的にもそれ以外でも有害ではない。いくつかの実施態様では、これらの塩は、酸で形成でき、いくつかの実施態様では、これらの塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタン−スルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩から形成できる。いくつかの実施態様では、これらの塩は、塩基性塩から形成でき、他の実施態様では、これらの塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)、およびアミノ酸との塩(例えば、アルギニンおよびリシン)から形成できる。いくつかの実施態様では、その塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル);長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル);ならびにハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「プロドラッグ」とは、その薬理学的効果を示す前に、生体内変換(例えば、代謝)を受ける本発明の化合物の誘導体を意味する。このプロドラッグは、化学安定性を向上させる目的、バイオアベイラビリティーを向上させる目的、作用持続時間を延ばす目的、臓器選択性を向上させる目的、処方を向上させる目的(例えば、高いヒドロ溶解性(hydrosolubility))および/または副作用(例えば、毒性)を低下させる目的で、処方される。このプロドラッグは、例えば、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Chemistry(5th ed.),volume 1 at pages 172−178,949−982(1995)(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記載された通常の方法を使用して、本発明の化合物から容易に調製できる。
【0031】
「アイソスター(isostere)」とは、異なる分子式を有するが類似または同一の物理的特性を示す元素、官能基、置換基、分子またはイオンを意味する。例えば、テトラゾールは、たとえ異なる分子式を有していても、カルボン酸の特性によく似ているので、カルボン酸のアイソスターである。典型的には、2つの等配電子分子は、類似または同一の容量および形状を有する。理想的には、等配電子化合物は、同一構造であるべきであり、そして共に結晶化できるべきである。等配電子化合物が、しばしば、共有する他の物理的特性には、沸点、密度、粘度および熱伝導率が挙げられる。しかしながら、ある種の特性(例えば、双極子モーメント、極性、分極および形状)は、外部軌道が異なってハイブリダイズされ得るので、異なり得る。「アイソスター」との用語は、「バイオアイソスター」を包含し、これは、それらの物理的類似性に加えて、いくつかの生物学的特性を共有するアイソスターである。典型的には、バイオアイソスターは、同じ認識部位と相互作用するか、あるいは広く類似した生物学的効果を生じる。
【0032】
「立体異性体」とは、空間における原子の配列だけが異なる異性体である。
【0033】
「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体である。
【0034】
「鏡像異性体に富んだ」とは、1つの鏡像異性体が優勢である混合物を示す相である。
【0035】
「動物」とは、感覚および随意運動力を有する生物であって、その存在のために酸素および有機食物を必要とするものを意味する。例には、ヒト、ウマ、ブタ、ウシ、マウス、イヌおよびネコの種のメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。ヒトの場合、「動物」はまた、「患者」を意味し得る。「哺乳動物」とは、温血脊椎動物を意味する。
【0036】
「治療する」とは、以下を意味する:(i)疾患、障害および/または病態に感染し易いがまだ罹ったとは診断されていない動物において、その疾患、障害または病態が起こるのを予防すること;(ii)疾患、障害または病態を阻止すること、すなわち、その発症を抑えること;および/または(iii)疾患、障害または病態を軽減すること、すなわち、疾患、障害および/または病態の退行を引き起こすこと。
【0037】
「心不全」とは、心臓機能の異常が原因で組織を代謝させる要件に釣り合った速度で心臓が血液をポンプ上げできない病態生理学的状態を意味する。
【0038】
「鬱血性心不全」とは、組織を代謝する際に鬱血および浮腫の発生を引き起こす心不全を意味する。
【0039】
「高血圧症」とは、全身の血圧の上昇を意味する。
【0040】
「SA/AV結節障害」とは、洞房(SA)結節および/または房室(AV)結節に関連した異常または不規則な伝導および/またはリズムを意味する。
【0041】
「不整脈」とは、異常な心臓の鼓動を意味する。不整脈では、心臓の鼓動は、遅すぎ得るか、速すぎ得るか、不規則すぎ得るか、あるいは早すぎ得る。不整脈の例には、徐脈、細動(心房または心室)および早発性収縮が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「肥大性大動脈弁下狭窄」とは、大動脈の部分的な詰まりから生じる左心室の圧力過負荷を原因とする心筋の拡張を意味する。
【0043】
「狭心症」とは、心臓における1本またはそれ以上の冠状動脈の部分的または完全な閉塞に関連した胸痛を意味する。
【0044】
文脈において明らかに指示されていないなら、単数の用語の定義は、本願で明らかなように、それらの複数の対応物に適用するように推定され得る;同様に、複数の用語の定義は、本願で明らかなように、それらの単数の対応物に適用するように推定され得る。
【0045】
(化合物)
本発明は、式(I)の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な同等物、異性体または異性体混合物を提供し、ここで:
β−(Ar)−(L)−X (I)
mは、0および1から選択される;
nは、0および1から選択される;
βは、2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカルから選択される;
Arは、アリールラジカルおよびヘテロアリールラジカルから選択され、該アリールおよびヘテロアリールラジカルは、非置換であるか、あるいは、別個に、置換基で置換されており、該置換基は、R、RおよびRから選択される;
、RおよびRは、別個に、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、C〜Cアルキニルラジカル、C〜Cシクロアルキニルラジカル、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルコキシ基、ハロラジカル、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロメトキシ基、−NR基、アシルアミノアルキルラジカル、−NHSO基および−NHCONHR基から選択され、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、必要に応じて、−O−、−S−、−SO−、−SO−および/または−NR−で置き換えられており、そして該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルは、非置換であるか、あるいは1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソ基およびヒドロキシル基から選択される;
およびRは、別個に、孤立電子対、水素ラジカル、C〜Cアルキルラジカル、C〜CアルケニルラジカルおよびC〜Cアルキニルラジカルから選択され、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルは、非置換であるか、あるいはフェニルラジカルおよび置換フェニルラジカルから選択される置換基で置換されている;
は、水素ラジカル、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、C〜CアルキニルラジカルおよびC〜Cシクロアルキニルラジカルから選択される;
Lは、直接結合、C〜C12アルキレンラジカル、C〜C12アルケニレンラジカルおよびC〜C12アルキニレンラジカルから選択され、ここで、該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、必要に応じて、−O−、−S−、−SO−、−NR−、C〜Cシクロアルキレンおよび/またはC〜Cヘテロシクロアルキレンで置き換えられており、そして該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルは、非置換であるか、あるいは1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソ基およびヒドロキシル基から選択される;そして
Xは、A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WまたはYの部分から選択される:
【0046】
【化4】

【0047】
【化5】

Xは、いずれか1個のRを介して、Lに結合される;そして
ここで、部分A〜Yの1個のR基は、mが1であるとき、XとLとの間で共有結合を形成し、あるいはnが1であり、そしてmが0であるとき、XとArとの間で共有結合を形成し、あるいはnが0であり、そしてmが0であるとき、Xとβとの間で共有結合を形成する;そして部分A〜Yの残りの各R基は、別個に、水素ラジカル、ハロラジカル、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、NR基、C〜Cアルコキシラジカル、C〜Cアルキルチオラジカル、COORラジカル、C〜C12アルキルラジカル、C〜C12アルケニルラジカルおよびC〜C12アルキニルラジカルから選択され、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、必要に応じて、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で置き換えられており、そして該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルは、非置換であるか、あるいは1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソ基およびヒドロキシル基から選択される。
【0048】
どの可変置換基も、各存在において、別個に、定義される。それゆえ、式のある部分における可変置換基の定義は、その式の他の場所でのその定義および他の式のその定義とは無関係である。
【0049】
式(I)では、部分A、G、J〜L、O〜UおよびYは、それぞれの構造内に点線を含む。これらの点線は、飽和が任意であることを示す。
【0050】
いくつかの実施態様では、式(I)のArは、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、ArおよびAr基から選択される:
【0051】
【化6】

ここで、Arがβ、LおよびXに結合し得る位置を示す。いくつかの実施態様では、Xが、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WおよびYの部分から選択されるとき、Arは、Ar基であり、ここで、Zは、結合である。
【0052】
いくつかの実施態様では、式(I)のArは、フェニルラジカルである。さらなる実施態様では、前記フェニルラジカルは、非置換である。いくつかの実施態様では、式(I)のArは、Ar基から選択される。さらなる実施態様では、Ar基のZは、結合である。さらに他の実施態様では、Ar基のUは、−NH−である。
【0053】
式(I)のβでは、前記N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、前記N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、前記N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、および前記N−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカルは、このようなラジカルに結合できる任意の基で置換され得る。
【0054】
いくつかの実施態様では、式(I)のβは、式(β)のラジカルおよび式(β)のラジカルから選択される:
−CHOHCHNZ (β);および
−OCHCHOHCHNZ (β);
ここで、ZおよびZは、別個に、水素ラジカル、Rラジカル、および−CHCH−Y−Rラジカルから選択される;そして、ここで、Yは、−NHCO−ラジカル、−NHCONH−ラジカル、および−NHSO−ラジカルから選択される。
【0055】
さらなる実施態様では、式(I)のβは、−OCHCHOHCHNZである。さらに他の実施態様では、式(I)のZおよびZは、別個に、水素ラジカルおよびRラジカルから選択される。なおさらに他の実施態様では、Zは、水素であり、そしてZは、C〜Cアルキルである。なおさらに他の実施態様では、Zは、イソプロピルまたは第三級ブチルである。
【0056】
いくつかの実施態様では、式(I)のLは、C〜C12アルキレンラジカルから選択され、ここで、該アルキレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、−O−および/または−NR−で置き換えられているか、および/または該アルキレンラジカルは、1個またはそれ以上のオキソ基で置換されている。さらなる実施態様では、Lは、−(CHO(CHO−、−(CHO−、−(CHNH(CO)(CHO−および−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−から選択され、ここで、p、qおよびrは、別個に、0、1、2、3または4である。
【0057】
いくつかの実施態様では、Lは、−(CHO(CHO−であり、ここで、qは、1、2、3または4である。さらなる実施態様では、pは、0または1である。さらに他の実施態様では、Lは、−O(CHO−または−CHO(CHO−である。
【0058】
いくつかの実施態様では、Lは、−(CHO−であり、ここで、pは、1、2、3または4である。さらなる実施態様では、Lは、−(CHO−である。
【0059】
いくつかの実施態様では、Lは、−(CHNH(CO)(CHO−であり、ここで、pおよびqは、別個に、1、2、3または4である。さらなる実施態様では、pは、0または1である。さらに他の実施態様では、Lは、−CHNH(CO)CHO−または−(CHNH(CO)CHO−である。
【0060】
いくつかの実施態様では、Lは、−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−であり、ここで、qおよびrは、別個に、1、2、3または4である。さらなる実施態様では、pは、0または1である。さらに他の実施態様では、Lは、−(CO)NH(CHNH(CO)CHO−、−CH(CO)NH(CHNH(CO)CHO−、または−(CH(CO)NH(CHNH(CO)CHO−である。
【0061】
いくつかの実施態様では、Lは、C〜C12アルキレンラジカル、C〜C12アルケニレンラジカルおよびC〜C12アルキニレンラジカルから選択され、ここで、該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、−C〜Cシクロアルキレンおよび/またはC〜Cヘテロシクロアルキレンで置き換えられている。
【0062】
いくつかの実施態様では、式(I)のXは、式R、SおよびT、U、V、WおよびYの部分から選択される。他の実施態様では、式(I)のXは、式Sの部分から選択される。さらに他の実施態様では、式(I)のXは、式Jの部分から選択される。
【0063】
いくつかの実施態様では、式(I)の部分A〜YのR基は、別個に、水素ラジカル;C〜C12アルキルラジカル;C〜C12アルケニルラジカル;C〜C12アルキニルラジカル、ハロラジカルおよびシアノ基から選択される。さらなる実施態様では、式(I)の部分A〜YのR基は、別個に、水素ラジカルおよびハロラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、式(I)の部分A〜YのR基は、別個に、水素ラジカルおよびクロロラジカルから選択される。
【0064】
いくつかの実施態様では、式(I)のRは、水素ラジカル、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、およびC〜Cアルキニルラジカルから選択される。
【0065】
いくつかの実施態様では、式(I)のR、RおよびRは、別個に、シアノ基;ニトロ基;ハロラジカル;水素ラジカル;トリフルオロメチル基;アシルアミノアルキルラジカル、C〜Cアルコキシ基;C〜Cアルキルチオ基;C〜Cアルキルラジカル;C〜Cアルケニルラジカル;およびC〜Cアルキニルラジカルから選択される。いくつかの実施態様では、前記アシルアミノアルキルラジカルは、C〜Cを有するアルキル鎖を含有する。
【0066】
いくつかの実施態様では、式(I)のRおよびRは、別個に、孤立電子対;水素ラジカル;C〜Cアルキルラジカル;C〜Cアルケニルラジカル;およびC〜Cアルキニルラジカルから選択される。
【0067】
本発明の化合物は、1個またはそれ以上の非対称炭素中心を有し得るので、それらは、光学異性体の形状だけでなく光学異性体のラセミ混合物または非ラセミ混合物の形状で、存在でき得る。これらの光学異性体は、通常のプロセスに従って、これらのラセミ混合物の分割により、得ることができる。1つのこのようなプロセスは、光学活性の酸または塩基で処理することにより、次いで、結晶化によってジアステレオマーの混合物を分離することにより、続いて、これらの塩から光学活性塩基を遊離することにより、ジアステレオマー塩の形成を伴う。適切な酸の例には、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸がある。
【0068】
光学異性体を分離する異なるプロセスは、これらの鏡像異性体の分離を最大にするように最適に選択されたキラルクロマトグラフィーカラムの使用を伴う。さらに別の利用可能な方法は、本発明の化合物を、活性形状の光学活性酸、光学活性ジオールまたは光学活性イソシアネートと反応させることによる、共有結合ジアステレオ異性体分子(例えば、エステル、アミド、アセタールおよびケタール)の合成を伴う。合成されたジアステレオ異性体は、通常の手段(例えば、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華)により分離でき、次いで、加水分解でき、鏡像異性的に純粋な化合物が送達される。いくつかの場合では、この化合物がプロドラッグとして挙動できるので、「親」光学活性薬剤への加水分解は、必ずしも、患者への投薬の前ではない。本発明の光学活性化合物は、同様に、光学活性出発物質を利用することにより、得ることができる。
【0069】
本発明の化合物は、個々の光学異性体だけでなくラセミ混合物および非ラセミ混合物を包含することが理解される。いくつかの非ラセミ混合物では、R立体配置に富み得るのに対して、他の非ラセミ混合物では、S立体配置に富み得る。
【0070】
従って、いくつかの実施態様では、式(I)のβは、2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、およびN−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカルから選択され、ここで、各ラジカルの1位置にある炭素は、その鏡像対応物よりも富んでいる。いくつかの実施態様では、そのR立体配置に、富んでいる。
【0071】
いくつかの実施態様では、式(I)のβは、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカルから選択され、ここで、各ラジカルの2位置にある炭素は、その鏡像対応物よりも富んでいる。いくつかの実施態様では、そのS立体配置に、富んでいる。
【0072】
いくつかの実施態様では、式(I)のβは、式(β)のラジカルおよび式(β)のラジカルから選択される:
−CHOHCHNZ (β);および
−OCHHOHCHNZ (β);
ここで、βおよびβにおけるC上のは、それぞれの鏡像対応物よりも富んでいるキラル中心を示す。いくつかの実施態様では、βにおけるC上の式(I)のは、そのR立体配置に富んでいるキラル炭素中心を示す。いくつかの実施態様では、βにおけるC上の式(I)のは、そのS立体配置に富んでいるキラル炭素中心を示す。
【0073】
いくつかの実施態様では、m+nは、0である。他の実施態様では、m+nは、1である。他の実施態様では、m+nは、2である。
【0074】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩から選択される。
【0075】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式(I)の化合物の水和物から選択される。
【0076】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式(I)の化合物の溶媒和物から選択される。
【0077】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式(I)の化合物の代謝物から選択される。
【0078】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式(I)の化合物のプロドラッグから選択される。
【0079】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、式(I)の化合物のアイソスターから選択される。
【0080】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、上で定義したような式(I)の化合物、それらの薬学的に受容可能な同等物および立体異性体から選択され、ここで:
mは、1である;
nは、1である;
βは、−OCHCHOHCHNZである;
Arは、フェニルである;
Lは、−(CHO(CHO−、−(CHO−、−(CHNH(CO)(CHO−および−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−から選択され、ここで、p、qおよびrは、別個に、0、1、2、3または4である;そして
Xは、式Jの部分から選択される。さらなる実施態様では、式Jの部分のR基は、別個に、水素ラジカルおよびハロラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、Xは、
【0081】
【化7】

である。
【0082】
さらに他の実施態様では、Lは、−O(CHO−、−CHO(CHO−、−(CHO−、−CHNH(CO)CHO−、−(CHNH(CO)CHO−.−(CO)NH(CHNH(CO)CHO−、−CH(CO)NH(CHNH(CO)CHO−、または−(CH(CO)NH(CHNH(CO)CHO−から選択される。さらに他の実施態様では、ZおよびZは、別個に、水素ラジカルおよびRラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、Zは、水素であり、そしてZは、C〜Cアルキルである。さらに他の実施態様では、Zは、イソプロピルまたは第三級ブチルである。なおさらに他の実施態様では、本発明の化合物は、非ラセミ混合物である。
【0083】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、上で定義したような式(I)の化合物、それらの薬学的に受容可能な同等物および立体異性体から選択され、ここで:
mは、1である;
nは、1である;
βは、上で定義したとおりである;
Arは、上で定義したとおりである;
Lは、上で定義したとおりである;そして
Xは、上で定義したとおりである;
但し、Xが、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PおよびQの部分から選択されるとき、Arは、Ar基であり、ここで、Zは、結合である。さらなる実施態様では、βは、−OCHCHOHCHNZであり、そしてXは、式Jの部分から選択される。さらに他の実施態様では、J部分のR基は、別個に、水素ラジカルおよびハロラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、Lは、−(CHO(CHO−、−(CHO−、−(CHNH(CO)(CHO−および−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−から選択され、ここで、p、qおよびrは、別個に、0、1、2、3または4である。さらに他の実施態様では、ZおよびZは、別個に、水素ラジカルおよびRラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、Zは、水素であり、そしてZは、C〜Cアルキルである。さらに他の実施態様では、Zは、イソプロピルまたは第三級ブチルである。なおさらに他の実施態様では、本発明の化合物は、非ラセミ混合物である。
【0084】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、上で定義したような式(I)の化合物、それらの薬学的に受容可能な同等物および立体異性体から選択され、ここで:
mは、1である;
nは、1である;
βは、上で定義したとおりである;
Arは、上で定義したとおりである;
Lは、上で定義したとおりである;そして
Xは、式R、S、T、U、V、WおよびYの部分から選択される。さらなる実施態様では、Xは、式Sの部分から選択される。さらに他の実施態様では、βは、−OCHCHOHCHNZである。さらに他の実施態様では、R、S、T、U、V、WおよびY部分のR基は、別個に、水素ラジカルおよびハロラジカルから選択され、そしてLは、−(CHO(CHO−、−(CHO−、−(CHNH(CO)(CHO−および−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−から選択され、ここで、p、qおよびrは、別個に、0、1、2、3または4である。さらに他の実施態様では、ZおよびZは、別個に、水素ラジカルおよびRラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、Zは、水素であり、そしてZは、C〜Cアルキルである。さらに他の実施態様では、Zは、イソプロピルまたは第三級ブチルである。なおさらに他の実施態様では、本発明の化合物は、非ラセミ混合物である。
【0085】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、上で定義したような式(I)の化合物、それらの薬学的に受容可能な同等物および立体異性体から選択され、ここで:
mは、1である;
nは、1である;
βは、上で定義したとおりである;
Arは、上で定義したとおりである;
Lは、上で定義したとおりである;そして
Xは、上で定義したとおりであるが、但し、Xが、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PおよびQの部分から選択されるとき、Lは、C〜C12アルキレンラジカル、C〜C12アルケニレンラジカルおよびC〜C12アルキニレンラジカルから選択され、ここで、該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、−C〜Cシクロアルキレンおよび/またはC〜Cヘテロシクロアルキレンで置き換えられている。さらなる実施態様では、Xは、式J、R、S、T、U、V、WおよびYの部分から選択される。さらに他の実施態様では、βは、−OCHCHOHCHNZである。さらに他の実施態様では、R基のR、S、T、U、V、WおよびY部分は、別個に、水素ラジカルおよびハロラジカルから選択され、そしてLは、−(CHO(CHO−、−(CHO−、−(CHNH(CO)(CHO−および−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−から選択され、ここで、p、qおよびrは、別個に、0、1、2、3または4である。さらに他の実施態様では、ZおよびZは、別個に、水素ラジカルおよびRラジカルから選択される。さらに他の実施態様では、Zは、水素およびZは、C〜Cアルキルである。さらに他の実施態様では、Zは、イソプロピルまたは第三級ブチルである。なおさらに他の実施態様では、本発明の化合物は、非ラセミ混合物である。
【0086】
本発明の化合物の非限定的な例には、以下が挙げられる:
N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(7);
N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(12b);
N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−ベンズアミド(12a);
4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−ベンズアミド(13);
2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジル]−アセトアミド(17a);
N−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17b);
2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−アセトアミド(17c);
N−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17d);
N−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(21);
6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31a);
6−(4−{3−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31b);
6−(3−クロロ−4−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37a);
6−(4−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37b);
6−[3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46a);
6−[4−(3−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46b);
2’{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−5−カルボニトリル;
6’−{3−[4−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,3’]ビピリジニル−5−カルボニトリル;
6−[3−クロロ−4−(2−{[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ]−エトキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン;
6−[4−(2−{[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ}−エトキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン;および
6−(3−クロロ−4−{2−[(4−{2−ヒドロキシル−3−[2−(2−メトキシ−フェノキシ)−エチルアミノ]−プロポキシ}−9H−カルバゾール−1−イル)−メチル−アミノ]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン。
【0087】
一実施態様では、本発明の化合物は、1μM未満のホスホジエステラーゼ−3阻害IC50値を有するのに対して、他の実施態様では、本発明の化合物は、500nM未満または100nM未満のホスホジエステラーゼ−3阻害IC50値を有する。
【0088】
一実施態様では、本発明の化合物は、1μM未満の非特異的β−アドレナリン作用性遮断IC50値を有するのに対して、他の実施態様では、本発明の化合物は、500nM未満または100nM未満の非特異的β−アドレナリン作用性遮断IC50値を有する。
【0089】
(医薬組成物)
本発明は、さらに、本発明の化合物を含有する医薬組成物を提供する。一実施態様では、この医薬組成物は、以下を含有する:
(i)本発明の化合物の有効量;および
(ii)薬剤的に受容可能なキャリア。
【0090】
いくつかの実施態様では、この薬学的に受容可能なキャリアは、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、香料、甘味料、および本発明の化合物以外の追加治療薬から選択される。
【0091】
いくつかの実施態様では、この薬学的に受容可能なキャリアは、充填剤、希釈剤、賦形剤、および溶媒カプセル化物質から選択される。いくつかの実施態様では、この薬学的に受容可能なキャリアは、患者に対して活性である。いくつかの実施態様では、この薬学的に受容可能なキャリアは、以下から選択される:(1)糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ);(3)セルロースおよびその誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)賦形剤(例えば、カカオバターおよび坐薬ワックス);(9)オイル(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);(15)アルギン酸;(16)発熱物質なし水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;ならびに(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物。
【0092】
いくつかの実施態様では、この薬学的に受容可能なキャリアは、液体であり、他の場合、それは、固体である。
【0093】
本発明の医薬組成物は、以下に適合されたものを含めて、固体または液体の形状で、投与のために処方され得る:(1)経口投与(例えば、浸す(例えば、水性または非水性溶液または懸濁液))、錠剤(例えば、口内、舌下および全身吸収のために標的化されたもの)、巨丸剤、粉末、顆粒、舌に適用するペースト、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル、口への噴霧、乳濁液およびマイクロエマルジョン;(2)非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射による)、例えば、無菌溶液または懸濁液、あるいは徐放性処方;(3)局所適用(例えば、クリーム、軟膏、または徐放性パッチとして)、あるいは皮膚に適用される噴霧;(4)膣内または直腸内(例えば、膣坐薬、クリームまたは発泡体);(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮的;または(8)経鼻。
【0094】
(使用方法)
本発明は、さらに、カルシウム恒常性を制御する方法を提供し、該方法は、このような制御を必要とする動物に、本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。動物には、ヒトおよびヒト以外の動物(これには、哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない)の両方が挙げられる。
【0095】
本発明はまた、カルシウム恒常性の無制御が関係している疾患、障害または病態を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする動物に、本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0096】
本発明は、さらに、循環器病、卒中、てんかん、眼科障害または片頭痛を治療する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする動物に、本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0097】
本発明の方法のいくつかの実施態様では、この循環器病は、心不全、高血圧症、SA/AV結節障害、不整脈、肥大性大動脈弁下狭窄または狭心症である。本発明の方法の他の実施態様では、この心不全は、慢性心不全または鬱血性心不全である。
【0098】
本発明は、さらに、β−アドレナリン作用性受容体および/またはホスホジエステラーゼPDE(PDE3を含めて)を阻害する方法を提供し、該方法は、このような治療を必要とする動物に、本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0099】
本発明の化合物は、当業者に公知の任意の手段により、投与され得る。例えば、本発明の化合物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸的に、経鼻的に、舌下的に、膣内的に、あるいは移植されたレザバを経由して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口」との用語は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内、ならびに骨内注射および注入技術が挙げられる。その正確な投与プロトコルは、種々の要因に依存しており、これらには、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食に依存して、変わる;特定の投与手順の決定は、常套的である。
【0100】
本発明の化合物は、単一用量、複数の別個の用量または連続注入により、投与され得る。ポンプ手段(特に、皮下ポンプ手段)は、連続注入に有用である。
【0101】
本発明の方法には、約0.001mg/kg/d〜約10,000mg/kg/d程度の本発明の化合物の用量レベルが有用であり、好ましいレベルは、約0.1mg/kg/d〜約1,000mg/kg/dであり、さらに好ましいレベルは、約1mg/kg/d〜約100mg/kg/dである。任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、種々の要因(これには、使用する特定の化合物の活性および潜在的な毒性;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食;薬剤の組み合わせ;鬱血性心不全の重症度;ならびに投与の形式が挙げられる)に依存して、変わる。典型的には、インビトロ投薬効果は、患者の投与に適切な用量の有用な指針を与える。動物モデルでの研究もまた、役に立つ。適切な用量レベルを決定する要件は、当該技術分野で周知であり、そして医師の技術の範囲内である。
【0102】
薬剤送達のタイミングおよび順序を調節するための当業者に周知の任意の投与レジメンが使用でき、そして必要に応じて、本発明の方法での治療を行うために、繰り返すことができる。さらなるレジメンには、前処理および/または追加治療薬との同時投与が挙げられ得る。
【0103】
本発明の化合物は、同時、別々または逐次の使用のために、単独で、あるいは1種またはそれ以上の追加治療薬と併用して、投与できる。これらの追加治療薬は、任意の治療薬であり得、これらには、本発明の1種またはそれ以上の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、(i)単一処方で一緒に、あるいは(ii)それぞれの活性剤の最適な放出速度のために設計された個々の処方で別々に、いずれかで、1種またはそれ以上の治療薬と同時投与できる。
【0104】
本発明の化合物は、容易に製造され得る。例えば、m+nが0であり、そしてβおよびXが直接結合されているとき、本発明の化合物は、当業者に公知の標準的な芳香族化学反応を使用して、調製され得る。以下の一般スキーム1で示されているように、X部分の保護されたアリールヒドロキシル前駆体(Pは、例えば、アセチル、ベンジル、アルキルシリル、または他の適切な保護基であり得、そしてQ、R、S、Tは、特定の部分Xに達するように選択される)は、脱保護され得、次いで、エピクロロヒドリンと反応され得、エポキシド中間体が生じ、これは、アミンと反応され得、最終生成物が生じる。
【0105】
さらに、このようなスキームは、Arをβに連結するか、あるいはArをLに連結するか、あるいはArをXに連結するように、容易に適合できる。
【0106】
(スキーム1)
【0107】
【化8】

mが1である場合、ここで、XおよびβまたはXおよびArは、1個またはそれ以上の原子のリンカーにより連結され、このリンカーは、β、ArまたはXに結合され得、そして中間体部分β−LまたはX−LまたはL−Arは、次いで、それぞれ、XまたはAr/βまたはβ/Xに連結され得、β−(Ar)−L−Xを形成する。
【0108】
例えば、β−(Ar)−Lを調製する一般方法は、以下のようにして進行し得る。一般スキーム2において以下で描写する種類の保護されたフェノールは、適切に保護されたリンカー鎖Lと反応され得る。このスキームにおける「J」は、ヒドロキシル基と反応できる当業者に公知の種々の種のいずれかであり得る。例えば、Jは、臭素原子であり得、これは、このフェノールのアニオンとの反応により置換できるか、あるいはJは、アルコール基であり得、これは、光延反応条件下にて、このフェノールと反応できる。Pは、適切な保護基であり得、これは、Pを開裂する条件とは異なる条件下にて、除去できる。部分的に保護された化合物は、一般スキーム4で描写されているように、残留しているβ成分を結合する前に、X部分の前駆体またはArの前駆体と反応され得る。このようなスキームは、当業者により、LをArに連結するか、あるいはβ−LをArに連結するように容易に適合できる。
【0109】
(スキーム2)
【0110】
【化9】

それに加えて、X−(Ar)−Lを調製する一般方法は、β−(Ar)−Lの方法と類似しており、以下のようにして進行し得る。環の1個にヒドロキシル基を有するX部分の前駆体は、上記スキーム2で描写されているように、保護されたリンカー基と反応され得、引き続いて、脱保護され得る。このようなスキームは、当業者により、XをArに連結するか、あるいはXをL−(Ar)−βに連結するか、あるいはXをAr−βに連結するように、容易に適合できる。
【0111】
(スキーム3)
【0112】
【化10】

Ar−LまたはX−LとXまたはArとを反応させてAr−L−Xを製造する一般方法は、以下のようにして、進行し得る。一般スキーム2から結果として生じる化合物は、スキーム4において以下で示すように、標準的な光延化学反応により、X部分のアリールヒドロキシル前駆体と反応され得る。残留しているヒドロキシル基の脱保護に続いて、エピクロロヒドリンおよび置換との連続反応により、最終生成物が送達され得る。
【0113】
(スキーム4)
【0114】
【化11】

実際、一般スキーム1〜4は、当業者により、X−(L)−(Ar)−βを製造するように、容易に適合できる。
【0115】
一般スキーム3に由来の化合物は、同様に、スキーム5において以下で示すように、保護フェノールと反応され得、そのカップリング生成物は、先に記述したように、同じ脱保護/エピクロロヒドリンとの反応/RNH配列との反応により、最終化合物に変換され得る。
【0116】
(スキーム5)
【0117】
【化12】

【実施例】
【0118】
(実施例1)
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(7)の合成)
スキームIに従って、N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(7)を合成した。
【0119】
(スキームI)
【0120】
【化13】

({2−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−エチル}−カルバミン酸第三級ブチルエステル(2)の合成)
4−ヒドロキシフェニルプロパン酸(1)(1.66g、10mmol)、(3−ジメチルアミノ−プロピル)−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、2.15g、11mmol)、[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール(HOAt、0.556g、4mmol)およびN−(第三級ブチルオキシカルボニル)エチレンジアミン(1.76g、11mmol)を含有する丸底フラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)を加えた。その混合物を、周囲温度で、18時間撹拌し、次いで、50%飽和NHCl(水溶液)(60ml)上に注いだ。次いで、この混合物を酢酸エチル(4×20ml)で抽出し、有機抽出物を合わせ、そして1Mクエン酸水溶液(2×40ml)、1M NaHCO(40ml)、水(2×40ml)および飽和ブライン(50ml)で洗浄した。次いで、この溶液を乾燥し(NaSO)、そして減圧下にて濃縮して、無色発泡体(2.79g、収率90%)を得た。LC−MSにより97%純粋、およびH−nmrにより>90%純粋。
【0121】
({2−[3−(4−(S)−オキシラニルメトキシ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−エチル}−カルバミン酸第三級ブチルエステル(4)の合成)
{2−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−エチル}−カルバミン酸第三級ブチルエステル(2)(1.22g、4.33mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(8ml)撹拌溶液に、水素化ナトリウム(60%鉱油分散液)(182mg、4.55mmol)を加え、その混合物を、周囲温度で、20分間撹拌した。これに続いて、(2S)−3−ニトロ−ベンゼンスルホン酸オキシラニルメチルエステル(3、1.20g、4.55mmol)を加え、この反応混合物を、周囲温度で、18時間撹拌した。これに続いて、50%飽和NHCl(水溶液)(100ml)を加え、次いで、その混合物を酢酸エチル(4×20ml)で抽出し、そして有機抽出物を、1N NaOH(水溶液)(30ml)、50%飽和ブライン水溶液(3×30ml)および飽和ブライン水溶液(50ml)で洗浄した。次いで、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、そして減圧下にて濃縮して、粗生成物として、無色固形物が残った。この固形物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離液=ジクロロメタン中の0〜65%酢酸エチル)で精製して、淡黄色固形物(1.25g、収率85%)を得た。LCMSおよびH NMRによる純度>95%。
【0122】
(N−(2−アミノ−エチル)−3−[4−(2−(S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−プロピオンアミド(5)の合成)
{2−[3−(4−(S)−オキシラニルメトキシ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−エチル}−カルバミン酸第三級ブチルエステル(4)(1.25g、3.4mmol)を、周囲温度で、エタノール(35ml)に懸濁し、そしてイソプロピルアミン(3ml、34mmol)を加えた。その反応混合物を還流状態まで加熱し、この温度で、2時間撹拌した。これに続いて、この反応混合物を冷却させ、そして減圧下にて濃縮した。次いで、残渣をメタノール(5ml)に溶解し、この溶液を0℃まで冷却し、次いで、これに、ジオキサン中の4M HCl(35ml、136mmol)を加え、その反応混合物を、0℃で、2時間撹拌した。次いで、この溶液を減圧下にて濃縮し、次いで、メタノール(35ml)に溶解した。次いで、A27カーボネート樹脂(23.1g、35mmol)を加え、その懸濁液を、周囲温度で、1時間撹拌した後、濾過し、そして濾液を減圧下にて濃縮して、H NMRによる純度>90%の無色固形物(848mg、収率84%)を得た。
【0123】
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−プロピオンアミド(7)の合成)
丸底フラスコに、(3−ジメチルアミノ−プロピル)−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、0.273g、1.40mmol)、[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール(HOAt、0.119g、0.86mmol)、[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(6、0.198g、0.7mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)を加え、その溶液を、周囲温度で、1時間撹拌した。次いで、N−(2−アミノ−エチル)−3−[4−(2−(S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−プロピオンアミド(5)(0.28g、0.78mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)懸濁液を加え、その反応混合物を、周囲温度で、18時間撹拌した。これに続いて、HO(40ml)を加え、2N NaOH(水溶液)を使用して、そのpHをpH11に調節した、次いで、この混合物を酢酸エチル(4×20ml)で抽出し、有機抽出物を合わせ、50%飽和ブライン(4×30ml)およびブライン(40ml)で洗浄し、次いで、乾燥し(NaSO)、そして減圧下にて濃縮して、粗生成物を得た。この生成物を分取HPLCで精製して、灰白色粉末(28mg、6%yield)を得、これは、10分間のLCMS(215nmでのUV:保持時間=3.27分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=588.3(100%)および590.3(45%))により、100%純粋であった。H NMR:([D]−MeOH,δ 単位ppm):7.79(1H,d,J=2.8Hz),7.57(1H,dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz),7.01−6.93(4H,m),6.73(2H,m),4.52(2H,s),3.92(1H,m),3.81(1H,s),3.80(1H,d,J=1.6Hz),3.25(2H,m),3.21(2H,m),2.82(2H,t,J=8.0Hz),2.78−2.72(2H,m),2.68(2H,t,J=8.0Hz),2.56(1H,m),2.41(2H,t,J=8.8Hz),2.28(2H,t,J=8.4Hz),1.00(6H,m)。
【0124】
(実施例2)
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(12b)の合成)
スキームIIに従って、N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(12b)を合成した。
【0125】
(スキームII)
【0126】
【化14】

(N−(2−アミノ−エチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセトアミド塩酸塩(9b)の合成)
4−ヒドロキシフェニルプロパン酸(1)に代えて、4−ヒドロキシフェニル酢酸(8b)を使用したこと以外は、上記(2)についての手順に従って、この合成の第一段階を実行した。このカップリング段階から得た粗生成物は、LCMSによる純度70%の無色固形物(2.45g、補正した収率58%)として、得た。次いで、この生成物(1.16g、3.93mmol)を、0℃で、ジオキサン中の4M HCl(20ml、79mmol)に溶解し、その反応混合物を、この温度で、2時間撹拌した後、減圧下にて濃縮した。残渣をジエチルエーテルで処理し、得られた固形物を濾過し、そして吸引乾燥して、HCl塩(これは、次の段階に直接持ち込んだ)を得た。
【0127】
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド(10b)の合成)
丸底フラスコに、(3−ジメチルアミノ−プロピル)−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、0.891g、4.3mmol)、[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール(HOAt、0.621g、4.3mmol)、[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(6、1.17g、3.93mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)を加えた。次いで、この混合物を、周囲温度で、窒素下にて、1時間撹拌した後、N−(2−アミノ−エチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−アセトアミド塩酸塩(9b)(0.907g、3.93mmol)およびトリエチルアミン(6ml、39.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液を加えた。次いで、その混合物を、周囲温度で、18時間撹拌し、次いで、0.5M HCl(120ml)を加えた。次いで、この混合物を酢酸エチル(4×30ml)で抽出し、有機抽出物を合わせ、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、沈澱物を得、これを、濾過した。集めた固形物をエタノールから再結晶して、無色固形物(0.928g、収率51%)を得、これは、LCMS(UV)により、98%純粋であった。
【0128】
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−[4−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−フェニル]−アセトアミド(11b)の合成)
出発物質として、N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセトアミド(10b)を使用したこと以外は、上記(4)と類似の様式で、これを合成した。生成物は、LCMSおよびH NMRによる純度>95%の無色固形物(0.392g、収率42%)として、得られた。
【0129】
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(12b)の合成)
N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−[4−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−フェニル]−アセトアミド(11b)(200mg、0.39mmol)を、周囲温度で、エタノール(10ml)に懸濁し、そしてイソプロピルアミン(1ml、11.6mmol)を加えた。その反応混合物を還流状態まで加熱し、この温度で、7時間撹拌した。これに続いて、この反応混合物を冷却し、そして減圧下にて濃縮した。次いで、残渣をエタノールから再結晶して、無色発泡体(130mg、収率58%、LC−MSおよびH−nmrにより96%純粋)として、12bを得た。10分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=3.28分間、ピーク面積=96%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=574.28(100%)および576.29(40%))。H NMR:([D]−DMSO,δ 単位ppm):10.86(1H,s),7.96(2H,m),7.85(1H,d,J=2.4Hz),7.69(1H,dd,J=2.0Hz,J=8.8Hz),7.19(2H,d,J=8.4Hz),7.13(1H,d,J=8.8Hz),6.89(2H,m),4.87(1H,br s),4.67(2H,s),4.07−3.83(4H,m),3.36(2H,s),3.27−3.17(4H,m),2.96(2H,t,J=8.4Hz),2.81−2.69(2H,m),2.64−2.55(2H,m),2.48(2H,t,J=8.4Hz),1.04(3H,s),1.02(3H,s)。
【0130】
(N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−ベンズアミド(12a)の合成)
第一工程において、8bに代えて、4−ヒドロキシ安息香酸(8a)を使用したこと以外は、上記12bと同じ手順を使用して、これを合成した。12aは、無色発泡体(210mg、収率37%、LC−MSおよびH−nmrにより100%純粋)として、得た。10分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=3.10分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=560.43(100%)および562.40(40%))。H NMR:([D]−DMSO,δ 単位ppm):10.98(1H,s),8.42(1H,t,J=5.2Hz),8.20(1H,t,J=5.2Hz),7.84(3H,m),7.63(1H,dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz),7.10(1H,d,J=8.8Hz),7.04(2H,m),5.09(1H,br s),4.72(2H,s),4.07(1H,dd,J=10.0Hz,J=4.8Hz),3.97(1H,dd,J=10.0Hz,J=4.8Hz),3.91(1H,m),2.94(2H,t,J=8.4Hz),2.82−2.70(2H,m),2.66−2.57(2H,m),2.48(2H,t,J=8.4Hz),1.05(3H,d,J=1.6Hz),1.03(3H,d,J=1.6Hz)。
【0131】
【化15】

(4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−ベンズアミド(13)の合成)
最終工程において、イソ−プロピルアミンに代えて、第三級ブチルアミンを使用したこと以外は、上記12aと同じ手順を使用して、これを合成した。13は、無色発泡体(190mg、2工程にわたる収率41%、LC−MSおよび1H−nmrにより100%純粋)として、得た。10分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=3.25分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES+:m/z=574.56(100%)および576.52(40%))。1H NMR:([D6]−DMSO,δ 単位ppm):10.72(1H,s),8.16(1H,m),7.94(1H,m),7.58(3H,m),7.38(1H,dd,J1=8.8Hz,J2=2.4Hz),6.85(1H,d,J=8.8Hz),6.78(2H,m),4.80(1H,br s),4.47(2H,s),3.84(1H,dd,J1=10.0Hz,J2=4.4Hz),3.73(1H,dd,J1=10.0Hz,J2=6.8Hz),3.60(1H,m),2.69(2H,t,J=8.8Hz),2.51−2.32(2H,m),2.23(2H,t,J=8.8Hz),0.83(9H,s)。
【0132】
(実施例3)
(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジル]−アセトアミド;N−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド;2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−アセトアミド;およびN−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17a、17b、17c、および17d)の合成)
(スキームIII)
【0133】
【化16】

(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−(4−ヒドロキシベンジル)−アセトアミド(15a)の合成)
[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(3、700mg、2.48mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(8ml)撹拌溶液に、(3−ジメチルアミノ−プロピル)−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、475mg、2.48mmol)および[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール(HOAt、337mg、2.48mmol)を加えた。その混合物を、周囲温度で、透明な溶液となるまで、30分間撹拌し、次いで、4−アミノメチル−フェノール臭化水素酸塩(14a、505mg、2.48mmol)およびトリエチルアミン(415μl、2.97mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)溶液を加えた。この混合物を、周囲温度で、5時間撹拌し、水(100ml)を加え、その懸濁液を、周囲温度で、16時間放置したままにした。沈殿物を濾過して除き、水(2×10ml)でリンスし、そして減圧下にて、40〜50℃で乾燥して、淡褐色粉末(537mg、収率56%、LC−MSおよびH−nmrにより92%純粋)として、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−(4−ヒドロキシベンジル)−アセトアミド(15a)を得た。
【0134】
(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(15b)の合成)
[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(2、700mg、2.48mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(8ml)撹拌溶液に、(3−ジメチルアミノ−プロピル)−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、475mg、2.48mmol)および[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール(HOAt、337mg、2.48mmol)を加えた。その混合物を、周囲温度で、透明な溶液となるまで、30分間撹拌し、次いで、4−(2−アミノ−エチル)−フェノール(14b、340mg、2.48mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)溶液を加えた。この混合物を、周囲温度で、16時間撹拌し、水(100ml)を加え、その懸濁液を、周囲温度で、16時間放置したままにした。沈殿物を濾過して除き、水(2×10ml)でリンスし、そして減圧下にて、40〜50℃で乾燥して、灰白色粉末(438mg、収率44%、LC−MSおよびH−nmrにより>95%純粋)として、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(15b)を得た。
【0135】
(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−(4−オキシラニルメトキシ−ベンジル)−アセトアミド(16a)の合成)
水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、61mg、1.52mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)撹拌懸濁液に、N下にて、0℃で、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−(4−ヒドロキシベンジル)−アセトアミド(15a、537mg、1.38mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を加え、その反応混合物を、周囲温度で、20分間撹拌した。次いで、0℃で、(2S)−3−ニトロ−ベンゼンスルホン酸オキシラニルメチルエステル(5、358mg、1.38mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を加えた。この反応混合物を、周囲温度で、16時間撹拌し、氷−水(15ml)および飽和塩化アンモニウム水溶液(15ml)の混合物に注ぎ、そして酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を、1N水酸化ナトリウム水溶液(2×30ml)および飽和ブライン(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下にて濃縮して、淡黄色固形物として、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−(4−オキシラニルメトキシ−ベンジル)−アセトアミド(16a)を得、これを、さらに精製することなく、次の反応工程に使用した。
【0136】
(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[2−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(16b)の合成)
16aについて記述した手順を使用して、15bから、16bを合成した。淡黄色固形物として、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[2−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(16b)を単離し、これを、さらに精製することなく、次の反応工程に使用した。
【0137】
(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジル]−アセトアミド(17a)の合成)
最後の工程から得た粗2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−(4−オキシラニルメトキシ−ベンジル)−アセトアミド(16a)のエタノール(20ml)撹拌溶液に、イソ−プロピルアミン(562μl、7.0mmol)を加えた。その混合物を、還流下にて、3時間撹拌し、次いで、減圧下にて溶媒を除去した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(5:1)からシリカ(500mg)に吸収させ、乾燥装填し、そしてシリカゲル(10g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン中の5〜10%メタノールの勾配で溶出する)で精製して、無色固形物(162mg、2工程にわたる収率23%、LC−MSおよびH−nmrにより98%純粋)として、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジル]−アセトアミド(17a)を得た。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.11分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=502(100%)および504(40%))。H NMR:([D]−DMSO,δ 単位ppm):10.91(1H,s),8.45(1H,t,J=5.95Hz),7.79(1H,d,J=2.20Hz),7.63(1H,dd,J=8.69Hz,J=2.20Hz),7.17(2H,d,J=8.69Hz),7.05(1H,d,J=8.78Hz),6.86(2H,d,J=8.69Hz),4.98(1H,br s),4.70(2H,s),4.27(2H,d,J=5.95Hz),3.90(1H,m),3.83(2H,m),2.91(2H,t,J=8.28Hz),2.70(1H,m),2.65(1H,m),2.56−2.51(1H,m),2.42(2H,t,J=8.28Hz),0.97(6H,dd,J=6.22Hz,J=1.74Hz)。
【0138】
(N−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17b)の合成)
17aについて記述した手順を使用して、16aから、17bを合成した。最終反応工程において、イソ−プロピルアミンに代えて、第三級ブチルアミンを使用した。無色粉末(184mg、2工程にわたる収率26%、LC−MSおよびH−nmrにより98%純粋)として、N−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17b)を単離した。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.11分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=516(100%)および518(40%))。H NMR:([D]−DMSO,δ 単位ppm):10.90(1H,s),8.45(1H,t,J=5.99Hz),7.79(1H,d,J=2.20Hz),7.63(1H,dd,J=8.69Hz,J=2.29Hz),7.17(2H,d,J=8.69Hz),7.05(1H,d,J=8.87Hz),6.87(2H,d,J=8.69Hz),4.92(1H,br s),4.70(2H,s),4.26(2H,d,J=5.95Hz),3.93(1H,m),3.83(1H,m),3.76(1H,m),2.91(2H,t,J=8.23Hz),2.67−2.51(2H,m),2.42(2H,t,J=8.28Hz),1.01(9H,s)。
【0139】
(2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−アセトアミド(17c)の合成)
12aについて記述した手順を使用して、16bから、17cを合成した。無色粉末(140mg、2工程にわたる収率25%、LC−MSおよびH−nmrにより98%純粋)として、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−アセトアミド(17c)を単離した。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.02分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=517(100%)および519(40%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):8.88(1H,br s),7.80(1H,d,J=2.20Hz),7.54(1H,dd,J=8.60Hz,J=2.20Hz),7.07(2H,d,J=8.60Hz),6.82(3H,m),6.70(1H,br t),4.54(2H,s),4.07(1H,m),3.97(2H,m),3.62(2H,m),2.97−2.87(4H,m),2.82−2.75(3H,m),2.61(2H,t,J=8.23Hz),1.14(6H,d,J=6.31Hz)。
【0140】
(N−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17d)の合成)
17aについて記述した手順を使用して、16bから、17dを合成した。最終反応工程において、イソ−プロピルアミンに代えて、第三級ブチルアミンを使用した。淡黄色発泡体(122mg、2工程にわたる収率21%、LC−MSおよびH−nmrにより95%純粋)として、N−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17d)を単離した。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.06分間、ピーク面積=95%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=531(100%)および533(40%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):8.91(1H,br s),7.80(1H,d,J=2.20Hz),7.55(1H,dd,J=8.68Hz,J=2.32Hz),7.08(2H,d,J=8.56Hz),6.83(3H,m),6.72(1H,br t),4.54(2H,s),4.01−3.93(3H,m),3.62(2H,m),2.95(2H,t,J=8.31Hz),2.91−2.86(1H,m),2.81(2H,t,J=6.85Hz),2.73−2.69(1H,m),2.61(2H,t,J=8.19Hz),1.15(9H,s)。
【0141】
(実施例4)
(N−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(21)の合成)
スキームIVに従って、N−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(21)を合成した。
【0142】
(スキームIV)
【0143】
【化17】

([4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(18)の合成)
第一工程において、2−クロロフェノールに代えて、フェノールを使用したこと以外は、[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(6)についての手順と同じ手順を使用して、(18)を合成した。淡黄色粉末(13.4g、30%全収率、LCMSおよびH NMRにより99%純粋)として、(18)を得た。
【0144】
(N−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(21)の合成)
第一工程において、[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(6)に代えて、[4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(13)を使用したこと以外は、N−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17d)についての手順と同じ手順を使用して、21を合成した。灰白色粉末(全収率=16%)として、98mgの21を得た。LCMSおよびH NMRにより100%純粋。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.60分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=497.29(100%)および498.30(30%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):8.88(1H,br s),7.67(2H,m),7.02(1H,m),6.83(4H,m),6.48(1H,m),4.50(2H,s),4.02−3.92(3H,m),3.57(2H,q,J=6.4Hz),2.97(2H,t,J=8.4Hz),2.88(1H,m),2.78(2H,t,J=8.4Hz),2.69(1H,m),2.61(2H,t,J=8.4Hz),1.14(9H,s)。
【0145】
(実施例5)
(ピリダジノングリコール(27)の合成)
スキームVに従って、ピリダジノングリコールを合成した。
【0146】
(スキームV)
【0147】
【化18】

(酢酸3−(2−クロロ−フェノキシ)−プロピルエステル(24)の合成)
水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、7.40g、185mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(150ml)撹拌懸濁液に、窒素下にて、0℃で、2−クロロフェノール(22、16.0ml、154mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を少しずつ加えた。その反応混合物を、周囲温度で、30分間撹拌し、そして酢酸3−クロロ−プロピルエステル(23、21.0ml、170mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を加えた。この反応混合物を、周囲温度で、30分間、次いで、50℃で、16時間撹拌した。周囲温度まで冷却した後、この反応混合物を、氷および飽和塩化アンモニウム水溶液(250ml)の混合物に注ぎ、そして酢酸エチル(4×100ml)で抽出した。合わせた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(1N、100ml)およびブライン(2×100ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして乾燥状態まで蒸発させて、淡橙色油状物(31.8g、収率90%、LC−MSおよびH−NMRにより93%純粋)として、酢酸3−(2−クロロ−フェノキシ)−プロピルエステル(24)を得た。
【0148】
(4−[4−(3−アセトキシ−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4−オキソ−酪酸(25)の合成)
酢酸3−(2−クロロ−フェノキシ)−プロピルエステル(24、31.8g、139mmol)のジクロロメタン(100ml)撹拌溶液に、周囲温度で、窒素下にて、無水コハク酸(20.8g、208mmol)を加えた。その反応混合物を氷−水で冷却し、その温度を20℃未満で維持しつつ、三塩化アルミニウム(55.6g、417mmol)を少しずつ加えた。その黄色懸濁液を、周囲温度で、20分間、次いで、50℃で、16時間撹拌した。得られた暗紫色で非常に粘稠な油状物を周囲温度まで冷却し、次いで、氷−水(100ml)および氷−塩酸水溶液(10N、100ml)で慎重に加水分解した。水層を酢酸エチル(5×100ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(2×100ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして減圧下にて濃縮して、橙色油状物を得た。残渣を熱酢酸エチル(50ml)に再溶解し、ヘキサン(200ml)を加え、その混合物を、10分間振盪した。周囲温度で、1時間放置した後、上澄み液をデカントした。残渣をヘキサン100mLでリンスし、そして減圧下にて、50℃で乾燥して、黄色粘性物質(42.7g、収率93%、LC−MSおよびH−NMRにより90%純粋)として、4−[4−(3−アセトキシ−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4−オキソ−酪酸(25)を得た。
【0149】
(酢酸3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロピルエステル(26)の合成)
4−[4−(3−アセトキシ−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4−オキソ−酪酸(25、42.7g、130mmol)のエタノール(300ml)撹拌懸濁液に、0℃で、ヒドラジン一水和物(5.74ml、117mmol)のエタノール(50ml)溶液を加えた。その反応混合物を周囲温度まで温め、この温度で、15分間撹拌した後、還流状態まで加熱し、この温度で、3時間撹拌した。この熱溶液に、酢酸エチル(60ml)を加え、その混合物を周囲温度まで冷却した。形成された沈殿物を濾過して除き、水(2×100ml)および冷エタノール(2×100ml)で洗浄し、次いで、吸引に次いで高真空下にて乾燥して、淡黄色粉末(24.5g、収率58%、LC−MSおよびH−NMRにより97%純粋)として、酢酸3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロピルエステル(26)を得た。
【0150】
(6−[3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(27)の合成)
酢酸3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロピルエステル(26、24.5g、75.4mmol)の1,4−ジオキサン(125ml)撹拌懸濁液に、周囲温度で、水(125ml)および水酸化リチウム(12.7g、302mmol)を加えた。その反応混合物を、周囲温度で、3時間撹拌し、次いで、撹拌しつつ、塩酸水溶液(5N、100ml)で、pH1〜2まで酸性化した。周囲温度で、1時間放置した後、沈殿物を濾過して除き、そして水(2×100ml)および冷エタノール(2×100ml)で洗浄した。固形物を、減圧下にて、45℃で乾燥して、灰白色粉末(19.2g、収率90%、LC−MSおよびH−NMRにより99%純粋)として、6−[3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(27)を得た。
【0151】
(実施例6)
(6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンおよび6−(4−{3−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31aおよび31b)の合成)
スキームVIに従って、6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンおよび6−(4−{3−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31aおよび31b)を合成した。
【0152】
(スキームVI)
【0153】
【化19】

(6−{3−クロロ−4−[3−(4−ヒドロキシ−ベンジルオキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(29)の合成)
4−ヒドロキシメチル−フェノール(28、220mg、1.77mmol)および6−[3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(27、500mg、1.77mmol)のアセトニトリル(10ml)撹拌溶液に、トリフリック酸イットリウム(11mg、0.02mmol)を加えた。その混合物を、還流下にて、4時間撹拌し、次いで、減圧下にて溶媒を除去した。HO(50ml)および飽和ブライン(50ml)を加え、そして水相を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして乾燥状態まで蒸発させた。残渣を、酢酸エチルから、シリカゲル(1g)に乾燥装填し、そしてシリカゲル(30g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、酢酸エチル/ヘプタン(80:20)で溶出する)で精製して、無色粉末(226mg、収率33%、LC−MSおよびH−nmrにより>95%純粋)として、6−{3−クロロ−4−[3−(4−ヒドロキシ−ベンジルオキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(29)を得た。
【0154】
(6−(3−クロロ−4−{3−[4−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(30)の合成)
水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、26mg、0.650mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)撹拌懸濁液に、N下にて、0℃で、6−{3−クロロ−4−[3−(4−ヒドロキシ−ベンジルオキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(29、226mg、0.581mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を加え、その反応混合物を、周囲温度で、20分間撹拌した。次いで、0℃で、(2S)−3−ニトロ−ベンゼンスルホン酸オキシラニルメチルエステル(3、151mg、0.581mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を加えた。この反応混合物を、周囲温度で、16時間撹拌し、氷−水(15ml)および飽和塩化アンモニウム水溶液(15ml)の混合物に注ぎ、そして酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を、1N水酸化ナトリウム水溶液(2×30ml)、50%飽和ブライン水溶液(2×30ml)および飽和ブライン(30ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして減圧下にて濃縮して、淡黄色の粘稠な油状物として、6−{3−クロロ−4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−ベンジルオキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(30)を得、これを、さらに精製することなく、次の反応工程に使用した。
【0155】
(6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31a)の合成)
最後の反応工程から得た粗6−{3−クロロ−4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−ベンジルオキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(30)のエタノール(6ml)撹拌溶液に、イソ−プロピルアミン(500μl、5.81mmol)を加えた。その混合物を、還流下にて、3時間撹拌し、次いで、減圧下にて溶媒を除去した。残渣をシリカゲル(8g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン中の5〜10%メタノールの勾配で溶出する)で精製した。無色発泡体(144mg、2工程にわたる収率49%、LC−MSおよびH−nmrにより97%純粋)として、6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31a)を得た。10分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=4.53分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=504(100%)および506(40%))。H NMR:([D]−DMSO,δ 単位ppm):10.89(1H,s),7.76(1H,d,J=2.20Hz),7.65(1H,dd,J=8.69Hz,J=2.20Hz),7.18(3H,m),6.86(2H,d,J=8.69Hz),4.38(2H,s),4.15(2H,t,J=6.22Hz),3.90(1H,m),3.83(2H,m),3.56(2H,t,J=6.17Hz),2.90(2H,t,J=8.23Hz),2.76−2.65(2H,m),2.58−2.52(1H,m),2.41(2H,t,J=8.23Hz),1.99(2H,m),1.98(6H,dd,J=6.22Hz,J=1.37Hz)。
【0156】
(6−(4−{3−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31b)の合成)
最後の反応工程において、イソ−プロピルアミンに代えて、第三級ブチルアミンを使用して、31aについて記述した手順によって、31bを合成した。淡黄色粘性物質(110mg、最後の2工程にわたる収率29%、LC−MSおよびH−nmrにより98%純粋)を得た。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.49分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=518(100%)および520(40%))。H NMR:([D]−DMSO,δ 単位ppm):10.89(1H,s),7.77(1H,d,J=2.20Hz),7.64(1H,dd,J=8.56Hz,J=2.20Hz),7.19(3H,m),6.86(2H,d,J=8.56Hz),4.38(2H,s),4.15(2H,t,J=6.24Hz),3.94(1H,m),3.82(1H,m),3.76(1H,m),3.56(2H,t,J=6.24Hz),2.90(2H,t,J=8.19Hz),2.65−2.51(2H,m),2.41(2H,t,J=8.31Hz),1.99(2H,m),1.01(9H,s)。
【0157】
(実施例7)
(C−2連結類似物の合成)
スキームVIIに従って、C−2連結類似物を合成した。
【0158】
(スキームVII)
【0159】
【化20】

(2,2−ジメチル−プロピオン酸4−(2−ヒドロキシ−エチル)−フェニルエステル(33)の合成)
4−(2−ヒドロキシ−エチル)−フェノール(32、5.0g、36.2mmol)のジクロロメタン(50ml)撹拌溶液に、トリエチルアミン(10.1ml、72.4mmol)を加えた。0℃で、塩化ピバロイル(4.41g、36.2mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液を滴下し、次いで、その混合物を、周囲温度で、16時間撹拌した。この混合物を氷−水(100ml)に注ぎ、相分離し、そして水相をジクロロメタン(100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして乾燥状態まで蒸発させた。残渣をシリカゲル(200g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、ヘプタン中の10〜25%酢酸エチルで溶出する)で精製した。無色固形物(6.5g、収率81%、LC−MSおよびH−NMRにより95%純粋)として、2,2−ジメチル−プロピオン酸4−(2−ヒドロキシ−エチル)−フェニルエステル(33)を得た。
【0160】
(2,2−ジメチル−プロピオン酸4−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−エチル}−フェニルエステル(35)の合成)
2,2−ジメチル−プロピオン酸4−(2−ヒドロキシ−エチル)−フェニルエステル(33、297mg、1.34mmol)、6−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(34、250mg、1.10mmol)および重合体支持トリフェニルホスフィン(1.48g、2.23mmol)のジクロロメタン(40ml)懸濁液を、周囲温度で、10分間激しく撹拌した。この懸濁液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(285μl、1.45mmol)を一度に加えた。次いで、その混合物を、周囲温度で、18時間撹拌し、次いで、濾過した。フィルター残渣をジクロロメタン(3×20ml)でリンスした。合わせた濾液を乾燥状態まで蒸発させた。残渣をシリカゲル(100g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、ヘプタン中の20〜60%酢酸エチルの勾配で溶出する)で精製して、無色粉末(840mg、収率74%、LC−MSおよびH−nmrにより>95%純粋)として、2,2−ジメチル−プロピオン酸4−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−エチル}−フェニルエステル(35)を得た。
【0161】
(6−{3−クロロ−4−[2−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(36)の合成)
4−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−エチル}−フェニルエステル(35、840mg、1.96mmol)のテトラヒドロフラン(25ml)および水(25ml)撹拌溶液に、水酸化リチウム(329mg、7.83mmol)を加えた。その混合物を、周囲温度で、16時間撹拌し、1N塩酸水溶液でpH6まで酸性化し、そして第三級ブチルメチルエーテル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして乾燥状態まで蒸発させた。残渣をブタン−2−オン(20ml)に溶解し、そして(S)−3−ニトロ−ベンゼンスルホン酸オキシラニルメチルエステル(3、480mg、1.85mmol)および炭酸カリウム(250mg、1.85mmol)を加えた。その混合物を、還流下にて、16時間撹拌し、次いで、減圧下にて溶媒を除去した。残渣をジクロロメタン(60ml)に再溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1N、2×50ml)および飽和ブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして乾燥状態まで蒸発させた。粘稠な黄色油状物として、6−{3−クロロ−4−[2−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(36)を得、これを、さらに精製することなく、次の反応工程で使用した。
【0162】
(6−(3−クロロ−4−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37a)の合成)
最後の工程から得た粗6−{3−クロロ−4−[2−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(36)をエタノール(15ml)に溶解し、そしてイソ−プロピルアミン(1.5ml、17.5mmol)を加えた。その混合物を、還流下にて、4時間加熱し、次いで、減圧下にて溶媒を除去した。残渣を、シリカゲル(8g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン/メタノール(10:1)で溶出する)で精製して、淡黄色発泡体(279mg、3工程にわたる収率31%、LC−MSおよびH−nmrにより99%純粋)として、6−(3−クロロ−4−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37a)を得た。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.25分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=460(100%)および462(50%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):8.64(1H,s),7.77(1H,d,J=2.20Hz),7.53(1H,dd,J=8.56Hz,J=2.20Hz),7.24(2H,d,J=8.66Hz),6.88(3H,m),4.20(2H,t,J=6.85Hz),4.05−3.99(1H,m),3.96(2H,m),3.11(2H,t,J=6.85Hz),2.93(2H,m),2.89−2.81(1H,m),2.76−2.71(1H,m),2.59(2H,m),2.23(2H,br s),1.10(6H,d,J=6.36Hz)。
【0163】
(6−(4−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37b)の合成)
最後の反応工程において、イソ−プロピルアミンに代えて、第三級ブチルアミンを使用して、37aについて記述した手順によって、37bを合成した。淡黄色発泡体(200mg、最後の2工程にわたる収率47%、LC−MSおよびH−nmrにより99%純粋)を得た。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.15分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=474(100%)および476(40%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):8.63(1H,s),7.77(1H,d,J=2.45Hz),7.53(1H,dd,J=8.56Hz,J=2.20Hz),7.24(2H,d,J=8.56Hz),6.88(3H,m),4.21(2H,t,J=6.97Hz),4.02−3.92(3H,m),3.11(2H,t,J=6.85Hz),2.93(2H,t,J=8.19Hz),2.89−2.83(1H,m),2.71−2.65(1H,m),2.59(2H,t,J=8.19Hz),2.13(2H,br s),1.12(9H,s)。
【0164】
(実施例8)
(6−[3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンおよび6−[4−(3−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37aおよび37b)の合成)
スキームVIIIに従って、6−[3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンおよび6−[4−(3−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46aおよび46b)を合成した。
【0165】
(スキームVIII)
【0166】
【化21】

(1−ベンジルオキシ−4−[2−(3−クロロ−プロポキシ)−エチル]−ベンゼン(39)の合成)
水素化ナトリウム(60%鉱油分散液)(703mg、17.5mmol)のテトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミド(1:1)(6ml)撹拌懸濁液に、窒素下にて、2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノール(2.0g、8.8mmol)のテトラヒドロフラン(9ml)溶液をゆっくりと加え、そして得られた反応混合物を、周囲温度で、30分間撹拌した。これに続いて、追加部分のテトラヒドロフラン(5ml)およびN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)を加え、その反応混合物を、窒素下にて、さらに3時間撹拌した。次いで、この反応混合物に、1−ブロモ−3−クロロプロパン(1.7ml、17.5mmol)およびヨウ化カリウム(145mg、0.88mmol)を加えた。次いで、この反応混合物を70℃まで加熱し、この温度で、20時間撹拌し、次いで、周囲温度まで冷却した。次いで、この反応混合物に、第三級ブチルメチルエーテル(50ml)、飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)および水(30ml)を加えた。得られた2−相混合物を振盪し、分離し、そして水相を第三級ブチルメチルエーテル(50ml)で抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を飽和ブライン(80ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて濃縮して、橙色固形物を得た。この固形物に、ヘプタン(3ml)および酢酸エチル(5ml)を加え、その混合物を10分間超音波処理し、次いで、18時間放置した。次いで、この固形物を濾過し、濾液を取り出し、そして減圧下にて濃縮して、粗生成物として、黄色油性固形物を得た。この生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、ヘプタン中の5〜10%酢酸エチルの勾配溶離液を使用する)で精製して、無色油状物(518mg、収率19%)として、(39)を得た。
【0167】
(4−[2−(3−クロロ−プロポキシ)−エチル]−フェノール(40)の合成)
1−ベンジルオキシ−4−[2−(3−クロロ−プロポキシ)−エチル]−ベンゼン(39)(518mg、1.7mmol)のエタノール(40ml)撹拌溶液に、C上の10%Pd(181mg、0.17mmol)を加えた。次いで、得られた撹拌懸濁液を真空下に置き、次いで、窒素雰囲気下に置き(2回繰り返した)、次いで、水素雰囲気下に置いた(2回繰り返した)。次いで、その反応混合物を、周囲温度で、水素雰囲気下にて、9時間撹拌し、次いで、セライト床で濾過し、濾液を取り出し、そして減圧下にて濃縮して、淡褐色油状物(287mg、収率79%)として、(40)を得、これは、H NMRにより、>90%純粋であった。
【0168】
(2,2−ジメチル−プロピオン酸4−[2−(3−クロロ−プロポキシ)−エチル]−フェニルエステル(41)の合成)
4−[2−(3−クロロ−プロポキシ)−エチル]−フェノール(40)(287mg、1.33mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(0.373ml、2.66mmol)および塩化トリメチルアセチル(0.165ml、1.33ml)を加えた。次いで、その反応混合物を、周囲温度で、20時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(10ml)および水(10ml)を加えた。次いで、得られた2相系を、疎水性濾過膜を使用して分離し、有機溶液を取り出し、そして減圧下にて濃縮して、無色油状物(427mg、LCMSにより78%純粋、補正した収率83%)として、(41)を得た。
【0169】
(2,2−ジメチル−プロピオン酸4−[2−(3−ヨード−プロポキシ)−エチル]−フェニルエステル(42)の合成)
2,2−ジメチル−プロピオン酸4−[2−(3−クロロ−プロポキシ)−エチル]−フェニルエステル(41)(427mg、1.43mmol)のアセトン(15ml)撹拌溶液に、周囲温度で、ヨウ化ナトリウム(1.07g、7.14mmol)を加え、次いで、その反応混合物を還流状態まで加熱し、この温度で、18時間撹拌した。次いで、この反応混合物に、追加部分のアセトン(15ml)を加え、その反応混合物を、撹拌しつつ、還流状態までさらに24時間加熱した。これに続いて、追加部分のヨウ化ナトリウム(1.07g、7.14mmol)およびアセトン(25ml)を加え、この反応混合物を、撹拌しつつ、還流状態までさらに24時間加熱した。冷却した後、この反応混合物を濾過し、そして集めた固形物をジクロロメタン(10ml)で洗浄した。次いで、濾液を取り出し、そして減圧下にて濃縮して、粗生成物として、黄色固形物を得、これを、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、溶離液として、ジクロロメタンを使用する)で精製した。淡黄色油状物(430mg、78%純粋、補正した収率60%)として、(42)を得た。
【0170】
(2,2−ジメチル−プロピオン酸4−[2−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロポキシ}−エチル)−フェニルエステル(43)の合成)
6−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(34、193mg、0.86mmol)および炭酸カリウム(130mg、0.94mmol)を、撹拌しつつ、周囲温度で、N,N−ジメチルホルムアミド(4ml)に溶解し、この溶液に、2,2−ジメチル−プロピオン酸4−[2−(3−ヨード−プロポキシ)−エチル]−フェニルエステル(42)(430mg、78%純粋、0.86mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)溶液を加え、その反応混合物を、周囲温度で、18時間撹拌した。次いで、この反応混合物に、酢酸エチル(5ml)および水(30ml)を加え、得られた2相系を振盪し、そして分離した。次いで、水相を酢酸エチル(3×20ml)で抽出し、次いで、合わせた有機抽出物を、2N NaOH水溶液(2×25ml)、ブライン飽和水溶液(3×30ml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして減圧下にて濃縮して、黄色油状物として、粗生成物を得た。次いで、この生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(これは、溶離液として、ジクロロメタン中の0〜10%酢酸エチルを使用する)で精製した。無色油状物(228mg、収率33%、LCMSにより>90%純粋)として、(43)を得た。
【0171】
(6−(3−クロロ−4−{3−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エトキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(44)の合成)
2,2−ジメチル−プロピオン酸4−[2−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロポキシ}−エチル)−フェニルエステル(43)(228mg、0.47mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)撹拌溶液に、水酸化リチウム(79mg、1.88mmol)の水(5ml)溶液を加えた。次いで、その反応混合物を、周囲温度で、72時間撹拌した後、第三級ブチルメチルエーテル(10ml)を加え、1N HClを使用して、そのpHをpH6〜7に調節した。次いで、2相系を振盪し、分離し、そして水相を第三級ブチルメチルエーテル(3×20ml)で抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて濃縮して、黄色油状物(205mg、収率97%、LCMSにより>90%純粋)として、(44)を得た。
【0172】
(6−(3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(45))
出発物質として、{2−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−エチル}−カルバミン酸第三級ブチルエステル(2)に代えて、6−(3−クロロ−4−{3−[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エトキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(44)を使用したこと以外は、(4)についての手順と同じ手順を使用して、(45)を合成した。LCMS(補正した収率=63%)による純度61%の黄色油状物(224mg)として、(45)を得、これを、さらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0173】
(6−[3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46a)の合成)
出発物質として、(2−{2−[4−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−フェニル]−アセチルアミノ}−エチル)−カルバミン酸第三級ブチルエステル(4)に代えて、6−(3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(45)を使用したこと以外は、(5)についての手順と同じ手順を使用して、(46a)を合成した。粗生成物をシリカゲル(4g)フラッシュクロマトグラフィー(これは、ジクロロメタン中の5〜7%メタノールの勾配溶離液で溶出する)で精製して、淡黄色発泡体(24mg、収率19%、LC−MSおよびH−nmrにより100%純粋)として、6−[3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46a)を得た。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.27分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=518.29(100%)および520.30(50%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):9.06(1H,s),7.71(1H,d,J=2.8Hz),7.57(1H,dd,J=9.2Hz,J=2.8Hz),7.09(2H,d,J=8.4Hz),6.80(1H,d,J=8.8Hz),6.76(2H,m),4.05(3H,m),3.92(2H,d,J=5.6Hz),3.67−3.61(4H,m),2.94(2H,t,J=8.4Hz),2.91−2.70(4H,m),2.60(2H,t,J=8.8Hz),2.07(2H,m),1.11(6H,d,J=6.8Hz)。
【0174】
(6−[4−(3−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46b)の合成)
最後の反応工程において、イソ−プロピルアミンに代えて、第三級ブチルアミンを使用して、46aについて記述した手順によって、46bを合成した。淡黄色発泡体(25mg、収率20%、LC−MSおよびH−nmrにより100%純粋)として、6−[4−(3−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46b)を得た。2.5分間のLC−MS(215nmでのUV:保持時間=1.86分間、ピーク面積=100%、25eVのコーン電圧でのTOF−ES:m/z=532.31(100%)および534.33(40%))。H NMR:(CDCl,TMS(内標準として),δ 単位ppm):9.00(1H,s),7.71(1H,d,J=2.8Hz),7.57(1H,dd,J=9.2Hz,J=2.8Hz),7.09(2H,d,J=8.4Hz),6.81(1H,d,J=8.8Hz),6.76(2H,m),4.06(2H,t,J=6.8Hz),3.93(2H,m),3.66−3.61(4H,m),2.94(2H,t,J=8.4Hz),2.84−2.78(4H,m),2.69(1H,dd,J=12.0Hz,J=8.0Hz),2.60(2H,m),2.07(2H,m),1.14(9H,s)。
【0175】
(実施例9)
(2’{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−5−カルボニトリルの合成)
スキームIXに従って、2’{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−5−カルボニトリルを合成する。
【0176】
(スキームIX)
【0177】
【化22】

(実施例10)
(6’−{3−[4−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,3’]ビピリジニル−5−カルボニトリルの合成)
スキームXの方法に従って、
6’−{3−[4−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,3’]ビピリジニル−5−カルボニトリルを合成する。
【0178】
(スキームX)
【0179】
【化23】

(実施例11)
(6−[3−クロロ−4−(2−{[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ]−エトキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン;6−[4−(2−{[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ}−エトキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン;および6−(3−クロロ−4−{2−[(4−{2−ヒドロキシル−3−[2−(2−メトキシ−フェノキシ)−エチルアミノ]−プロポキシ}−9H−カルバゾール−1−イル)−メチル−アミノ]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンの合成)
スキームXIの方法に従って、6−[3−クロロ−4−(2−{[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ]−エトキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン;6−[4−(2−{[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ}−エトキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン;および6−(3−クロロ−4−{2−[(4−{2−ヒドロキシル−3−[2−(2−メトキシ−フェノキシ)−エチルアミノ]−プロポキシ}−9H−カルバゾール−1−イル)−メチル−アミノ]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを合成する。
【0180】
(スキームXI)
【0181】
【化24】

(実施例12)
(PDE−3阻害活性)
(cAMP PDE−3阻害活性を測定するインビトロアッセイ)
Alvarezら、Mol.Pharmacol.29:554(1986)の方法に従って、ヒト血小板環状AMPホスホジエステラーゼを調製した。そのPDEインキュベーション媒体は、1.0mLの全容量で、10mMのTris−HCl緩衝液(pH7.7)、10mMのMgSO、および1μMの[H]AMP(0.2μCi)を含有していた。このインキュベーション媒体を加えた直後に、試験化合物をDMSOに溶解し、そして得られた混合物を、酵素を加える前に、10分間放置した。PDEの添加に続いて、内容物を混合し、そして30℃で、10分間インキュベートした。これらのアッセイを、それぞれ、5つの試験化合物濃度の各々について実行し、各濃度での定量(n=3)の平均をプロットし、そしてIC50値を図式的に測定した。試験した全ての化合物(これには、化合物7、12a、12b、13、17a、17b、17c、17d、21、31a、31b、37a、37b、46a、および46bが挙げられる)は、1μM未満のPDE3阻害IC50値を有していた。それに加えて、化合物7、12b、17c、17d、31b、37a、37b、46a、および46bは、100nM未満のPDE3阻害IC50値を有していた。
【0182】
(実施例13)
(β−アドレナリン作用性受容体の結合および遮断活性)
以下の方法の1つまたはそれ以上により、β−アドレナリン作用性受容体の結合および遮断活性を評価した。
【0183】
(非特異的β−受容体活性を測定するための放射性リガンド)
Riva and Creese,Mol.Pharmacol.36:211(1989)and Arangoら、Brain Res.,516:113(1990)で記載されているように、放射性リガンドとして[H]DHAを使用して、ラットの皮質膜に由来のβ−受容体に対して、試験化合物の各々について、非特異的受容体の結合を測定した。化合物13、17a、17b、17c、17d、21、31a、31b、37a、37b、46a、および46bについての非特異的β−アドレナリン作用性受容体IC50値は、1μM未満であった。それに加えて、化合物13、17d、31a、31b、46a、および46bについての非特異的β−アドレナリン作用性受容体IC50値は、100nM未満であった。
【0184】
(β−受容体のアフィニティーを測定するための放射性リガンド)
Kalariaら、J.Neurochem.53:1772−81(1998)、およびMinnemanら、Mol.Pharmacol.16:34−46(1979)で記載されているように、放射性リガンドとして[125I](−)ヨードシアノピンドロール(iodocyanopindolol)(2000Ci/mmol)を使用して、CHO−REX16細胞で発現されるヒト組換えβ−1受容体において、β−アドレナリン受容体の結合を測定した。化合物17d、21、31b、46a、および46bは、それぞれ、100nMの濃度で、25%より高いβ1−アドレナリン結合を阻害した。
【0185】
(β−受容体のアフィニティーを測定するための放射性リガンド)
Kalariaら、(1998)およびMinnemanら、(1979)(上記)で記載されているように、放射性リガンドとして[125I](−)ヨードシアノピンドロール(iodocyanopindolol)(2000Ci/mmol)を使用して、CHO−WT21細胞で発現されるヒト組換えβ−2受容体において、β−アドレナリン受容体の結合を測定した。化合物17d、21、31b、46a、および46bは、それぞれ、100nMの濃度で、25%より高いβ1−アドレナリン結合を阻害した。
【0186】
(β−アドレナリン遮断活性に対する効果)
Castillo and DeBeer,J.Pharm.Exp.Ther.90:104(1947)で記載されているように、気管鎖を作成し、37℃で維持した組織浴(これは、95%O−5%COの気体を供給したタイロード液を含有する)に懸濁させ、そして等尺力転位トランスデューサー(isometric force−displacement transducer)に装着する。2時間の平衡期間の後、これらの調製物をカルバコール(3×10−7M)と接触するように誘導し、そして最初は、試験化合物の非存在下にて、次いで、試験化合物の存在下にて、イソプロテレノールに対する蓄積用量応答曲線で、緩和を誘導する。全ての試験化合物について、10分間の接触時間を可能にする。各試験化合物に対する用量応答曲線のシフトとイソプロテレノールのそれとを比較することにより、アフィニティー定数を測定する(EC50=2.3×0.2×10−8M)。
【0187】
(実施例14)
(心臓組織におけるカルシウム恒常性の回復)
(モルモットの乳頭筋における収縮−弛緩に対する効果)
頸部を脱臼させることにより、雄モルモット(400〜500g)を殺し、心臓を素早く取り出し、氷冷溶液に浸け、そしてクレブス液(これは、113.1mMのNaCl、4.6mMのKCl、2.45mMのCaCl、1.2mMのMgCl、22.0mMのNaHPO、および10.0mMののグルコースを含有する;95%O〜5%COでpH7.4)にて酸素化する。心室を開き、そして腱索と共に乳頭筋を取り出すが、周囲組織の基部は無傷にする。これらの筋肉の腱末端を絹糸で縛り、そして筋肉を垂直二重ジャケット臓器浴(これは、37℃で保持した酸素化クレブス液10mLを含有する)に取り付ける。この腱末端をGrass等尺力トランスデューサーに取り付けるつつ、金属フックを筋肉の基部に挿入する。
【0188】
1グラムの張力下での45分間の平衡期間に続いて、1.0Hzの周波数、2.0msの持続時間で、ステンレス鋼フィールド電極を使用して、筋肉を刺激することにより、対照収縮を誘発させる。この刺激の振幅を、組織の収縮を誘発するのに十分な閾値振幅のおよそ1.5倍に調節する。30秒間にわたって、連続して、対照収縮−緩和サイクルを記録する。次いで、組織を刺激させつつ、この浴に、累積試験薬剤濃度を直接注入する。1つの試験化合物濃度あたり、30秒間にわたって、収縮−緩和記録を連続して行う。溶液の変化に続いて、一連のウォッシュアウト濃度を記録する。収縮の振幅が対照条件で測定した値に戻るという条件で、次いで、単一濃度の正対照を、試験化合物と同じ様式で、組織に対して試験する。
【0189】
収縮の振幅だけでなく、収縮および緩和の時間経過を定量する。対照値に対して、全ての記録を正規化する;t−試験またはANOVAを使用して、これらの結果の統計的な分析を行う。
【0190】
(収縮性に対するインビトロ効果)
ウサギの心臓から単離した心室の筋細胞において、単独でまたは100nMイソプロテレノールと併用して投与したときの単離した心筋細胞に対する本発明の化合物の効果を試験する。イソプロテレノール(これは、強力なβ−アドレナリン作用性アゴニストである)は、心臓の収縮、カルシウムの一時的振幅、および緩和速度(緩和の加速または変弛緩効果)に大きな増加を生じ得る。次いで、イソプロテレノールの効果を、異なる濃度の本発明の化合物でアンタゴナイズする。
【0191】
健康な白色ニュージーランド雄ウサギ(3〜5lbs)からの心臓の筋細胞を、酵素消化で消化する。要約すると、各動物を、後足に、ケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(6mg/kg)でIM注射して、麻酔する。一旦、この動物が鎮静すると(約10〜15分間)、耳の静脈に、0.1〜0.3mlのペントバルビタールを注入する。胸郭のすぐ下を切断してバイラテラル開胸術により心臓を露出させ、そして大動脈が無傷のままであることを確認して、素早く取り出す。この心臓を、直ちに、血液をリンスして除くために氷の上に置いたCa2+と共に、酸素化NTに置き、血管および心膜から取り除き、カニューレを挿入し、そして37℃で維持する。この心臓を逆行的に灌流し、そして組織をコラゲナーゼおよびプロテアーゼで消化させる。引き続いて、消化した筋細胞を、さらなる分析のために、0.1mM Ca2+正常チロード(normal tyrodes)で保存する。2mMのカルシウムの存在下にて、37℃で、サルコメアの長さの変化を記録し、そしてIonOptixシステムで分析する。サルコメアの長さのデータは、1、2および3Hzのペイシング速度で、各筋細胞について、平均して10回の拍動の持続時間にわたって、獲得する。各筋細胞の基底パーセントのサルコメアの短縮および長さ−周波数の関係を評価し、そして細胞生存度の尺度として供する。
【0192】
(収縮性およびβ−アドレナリン作用性アンタゴニスト活性に対するインビボ効果)
白色ニュージーランド雄ウサギ(体重2〜3kg)に対して、研究を実行した。動物を、最初に、ケタミン(50mg/kg;IM)およびキシラジン(6mg/kg、IM)で麻酔した。引き続いて、動物に挿管し(気管切開術によって;3mmのチューブ)、そして2%イソフルレン(95%O+5%CO中で混合した)で換気した。各ウサギに、右頸動脈を通るLV圧力(3F Millarカテーテル)、左大腿動脈を通る動脈圧(3Fカテーテル、Cook Instruments)のための機器を取り付け、これを、流体を満たした圧力トランスデューサー(BD Instruments)、およびECGに連結した。両方の圧力トランスデューサーを、大気圧に対してゼロに合わせ、そして各研究の前に、類似のマノメーターを使用して、較正した。計装が完了すると、イソフルランを1.25%まで減らし、そして動物を、身体コア温度の維持のために、覆った。動脈およびLVの血圧(LVP)ならびにECGの信号を、PCにて、デジタル形式で、同時に記録した。この記録システム(Gould Instruments)および対応するソフトウェア(Ponema,Gould Instruments)は、全ての信号直接由来する種々のパラメータの詳細な計算を促進し、そして1秒間の変換で別のファイルに記録した。この研究プロトコルが完了すると、ウサギを、イソフルランの過量(少なくとも1分間にわたって、5%)および3モル塩化カリウム5mlのIV注入による心不全によって、安楽死させた。
【0193】
一旦、生理学的な変数が安定化すると、以下の2つの異なるプロトコルに基づいて、血行動態およびECGに対する各化合物の効果を測定した:1)本発明の化合物それ自体の主に収縮性および他の血行動態指数に対する効果を決定するための本発明の化合物の注入;および2)系を0.5ug/kgのイソプロテレノールで攻撃して、各試験化合物のβ−アドレナリン作用性アンタゴニズム特性を決定しつつ、本発明の化合物の注入。化合物13を使用して実行した収縮性研究から得られた結果は、図1で示す。
【0194】
上で確認した全ての刊行物、特許および特許出願の内容は、本明細書中で参考として援用されている
それように記述されている本発明は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの様式で変えられ得ることが当業者に明らかである。このような変更は、請求された本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】図1は、麻酔したウサギを種々の用量の化合物13で処理した際の左心室収縮性の増加パーセントを描写しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な同等物、異性体または異性体混合物、ここで:
β−(Ar)−(L)−X
mは、0または1である;
nは、0または1である;
βは、2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、またはN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカルである;
Arは、各存在において、同一または異なり、個々に、アリールラジカルおよびヘテロアリールラジカルから選択され、該アリールおよびヘテロアリールラジカルは、非置換であるか、あるいは、別個に、置換基で置換されており、該置換基は、R、RおよびRから選択される;
、RおよびRは、別個に、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、C〜Cアルキニルラジカル、C〜Cシクロアルキニルラジカル、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルコキシ基、ハロラジカル、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロメトキシ基、−NR基、アシルアミノアルキルラジカル、−NHSO基または−NHCONHR基であり、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、必要に応じて、−O−、−S−、−SO−、−SO−および/または−NR−で置き換えられており、そして該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルは、非置換であるか、あるいは1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソ基およびヒドロキシル基から選択される;
およびRは、別個に、孤立電子対、水素ラジカル、C〜Cアルキルラジカル、C〜CアルケニルラジカルまたはC〜Cアルキニルラジカルであり、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルは、非置換であるか、あるいはフェニルラジカルまたは置換フェニルラジカルで置換されている;
は、水素ラジカル、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、C〜CアルキニルラジカルまたはC〜Cシクロアルキニルラジカルである;
Lは、直接結合、C〜C12アルキレンラジカル、C〜C12アルケニレンラジカルまたはC〜C12アルキニレンラジカルであり、ここで、該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、必要に応じて、−O−、−S−、−SO−、−NR−、C〜Cシクロアルキレンおよび/またはC〜Cヘテロシクロアルキレンで置き換えられており、そして該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルは、非置換であるか、あるいは1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソ基およびヒドロキシル基から選択される;そして
Xは、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WまたはYの部分である:
【化1】

【化2】

Xは、いずれか1個のRを介して、Lに結合される;そして
ここで、部分A〜Yの1個のR基は、mが1であるとき、XとLとの間で共有結合を形成し、あるいはnが1であり、そしてmが0であるとき、XとArとの間で共有結合を形成し、あるいはnが0であり、そしてmが0であるとき、Xとβとの間で共有結合を形成する;そして部分A〜Yの残りの各R基は、別個に、水素ラジカル、ハロラジカル、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、NR基、C〜Cアルコキシラジカル、C〜Cアルキルチオラジカル、COORラジカル、C〜C12アルキルラジカル、C〜C12アルケニルラジカルおよびC〜C12アルキニルラジカルから選択され、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基は、必要に応じて、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で置き換えられており、そして該アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルは、非置換であるか、あるいは1個またはそれ以上の置換基で置換されており、該置換基は、別個に、オキソ基およびヒドロキシル基から選択され、
ここで、該化合物は、以下の1つまたはそれ以上を含む:
(i)1個またはそれ以上のR2、R3またはR4は、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルキニルラジカル、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、およびトリフルオロメトキシ基から選択される;
(ii)Lは、C〜Cシクロアルキレンおよび/またはC3〜C8ヘテロシクロアルキレンから選択される;そして
(iii)Xは、R、S、T、U、V、WおよびYから選択される、
化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な同等物、異性体または異性体混合物。
【請求項2】
式(I)のArが、それぞれ別個に、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、ArおよびAr基から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化3】

ここで、αは、Arがβ、LおよびXに結合し得る位置を示す、
化合物。
【請求項3】
Xが、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WおよびYの部分から選択され、ここで、Arが、Ar基であり、そしてZが、結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)のArが、フェニルラジカルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記フェニルラジカルが、非置換である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式(I)のArが、Ar基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Ar基のZが、結合である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
ArのUが、−NH−である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)のβ、前記N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、前記N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエタ−1−イルラジカル、前記N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカル、または前記N−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシラジカルが、このようなラジカルに結合できる任意の基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)のβが、式(β)のラジカルおよび式(β)のラジカルから選択される、請求項1に記載の化合物:
−CHOHCHNZ (β);および
−OCHCHOHCHNZ (β);
ここで、ZおよびZは、別個に、水素ラジカル、Rラジカル、および−CHCH−Y−Rラジカルから選択される;そして、ここで、Yは、−NHCO−ラジカル、−NHCONH−ラジカル、および−NHSO−ラジカルから選択される、
化合物。
【請求項11】
式(I)のβが、−OCHCHOHCHNZである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(I)のZおよびZが、別個に、水素ラジカルおよびRラジカルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素であり、そしてZが、C〜Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、イソプロピルまたは第三級ブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
式(I)のLが、C〜C12アルキレンラジカルから選択され、ここで、該アルキレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基が、−O−および/または−NR−で置き換えられているか、および/または該アルキレンラジカルが、1個またはそれ以上のオキソ基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Lが、−(CHO(CHO−、−(CHO−、−(CHNH(CO)(CHO−および−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−から選択され、ここで、p、qおよびrが、別個に、0、1、2、3または4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Lが、−(CHO(CHO−であり、そして、ここで、qが、1、2、3または4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
pが、0または1である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Lが、−O(CHO−または−CHO(CHO−である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Lが、−(CHO−であり、そして、ここで、pが、1、2、3または4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
Lが、−(CHO−である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Lが、−(CHNH(CO)(CHO−であり、ここで、pおよびqが、別個に、1、2、3または4であり、さらなる実施態様では、pが、0または1であり、さらに他の実施態様では、Lが、−CHNH(CO)CHO−または−(CHNH(CO)CHO−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
Lが、−(CH(CO)NH(CHNH(CO)(CHO−であり、そして、ここで、qおよびrが、別個に、1、2、3または4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
pが、0または1である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Lが、−(CO)NH(CHNH(CO)CHO−、−CH(CO)NH(CHNH(CO)CHO−、または−(CH(CO)NH(CHNH(CO)CHO−である、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
Lが、C〜C12アルキレンラジカル、C〜C12アルケニレンラジカルおよびC〜C12アルキニレンラジカルからなる群から選択され、ここで、該アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンラジカルの1個またはそれ以上の−CH−基が、−C〜Cシクロアルキレンおよび/またはC〜Cヘテロシクロアルキレンで置き換えられている、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
式(I)のXが、式R、SおよびT、U、V、WおよびYの部分からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
式(I)のXが、式Sの部分から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
式(I)のXが、式Jの部分から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
式(I)の部分A〜YのR基が、別個に、水素ラジカル;C〜C12アルキルラジカル;C〜C12アルケニルラジカル;C〜C12アルキニルラジカル、ハロラジカルおよびシアノ基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
式(I)の部分A〜YのR基が、別個に、水素ラジカルおよびハロラジカルから選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
式(I)の部分A〜YのR基が、別個に、水素ラジカルおよびクロロラジカルから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
式(I)のRが、水素ラジカル、C〜Cアルキルラジカル、C〜Cシクロアルキルラジカル、C〜Cアルケニルラジカル、C〜Cシクロアルケニルラジカル、およびC〜Cアルキニルラジカルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
式(I)のR、RおよびRが、別個に、シアノ基;ニトロ基;ハロラジカル;水素ラジカル;トリフルオロメチル基;アシルアミノアルキルラジカル、C〜Cアルコキシ基;C〜Cアルキルチオ基;C〜Cアルキルラジカル;C〜Cアルケニルラジカル;およびC〜Cアルキニルラジカルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
前記アシルアミノアルキルラジカルが、C〜Cを有するアルキル鎖を含有する、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
式(I)のRおよびRが、別個に、孤立電子対;水素ラジカル;C〜Cアルキルラジカル;C〜Cアルケニルラジカル;およびC〜Cアルキニルラジカルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物が、N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(7)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物が、N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アセトアミド(12b)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
前記化合物が、N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−2−(4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェニル]−ベンズアミド(12a)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物が、4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−N−(2−{2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセチルアミノ}−エチル)−ベンズアミド(13)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
前記化合物が、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジル]−アセトアミド(17a)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項42】
前記化合物が、N−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17b)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
前記化合物が、2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−アセトアミド(17c)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
前記化合物が、N−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(17d)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項45】
前記化合物が、N−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エチル}−2−[4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(21)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
前記化合物が、6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31a)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項47】
前記化合物が、6−(4−{3−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ベンジルオキシ]−プロポキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(31b)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項48】
前記化合物が、6−(3−クロロ−4−{2−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37a)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
前記化合物が、6−(4−{2−[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−3−クロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(37b)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項50】
前記化合物が、6−[3−クロロ−4−(3−{2−[4−((S)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46a)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項51】
前記化合物が、6−[4−(3−{2−[4−((S)−3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−エトキシ}−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(46b)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項52】
前記化合物が、2’{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−5−カルボニトリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項53】
前記化合物が、6’−{3−[4−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,3’]ビピリジニル−5−カルボニトリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項54】
前記化合物が、6−[3−クロロ−4−(2−{[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ]−エトキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項55】
前記化合物が、6−[4−(2−{[4−(3−第三級ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)−9H−カルバゾール−1−イル]−メチル−アミノ}−エトキシ)−3−クロロ−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項56】
前記化合物が、6−(3−クロロ−4−{2−[(4−{2−ヒドロキシル−3−[2−(2−メトキシ−フェノキシ)−エチルアミノ]−プロポキシ}−9H−カルバゾール−1−イル)−メチル−アミノ]−エトキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項57】
請求項1〜56のいずれか1項に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含有する、医薬組成物。
【請求項58】
前記組成物が、静脈投与のために処方されている、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記組成物が、経口投与のために処方されている、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項60】
β−アドレナリン作用性受容体を阻害するかおよび/またはホスホジエステラーゼを阻害する方法であって、このような治療を必要とする動物に、請求項57に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項61】
カルシウム恒常性を制御する方法であって、このような制御を必要とする動物に、請求項57に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項62】
カルシウム恒常性の無制御が関係している疾患、障害または病態を治療する方法であって、このような治療を必要とする動物に、請求項57に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項63】
前記疾患、障害または病態が、以下:循環器病、卒中、てんかん、眼科障害および片頭痛からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記循環器病が、以下:心不全、高血圧症、SA/AV結節障害、不整脈、肥大性大動脈弁下狭窄、狭心症、慢性心不全、および鬱血性心不全からなる群から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
鬱血性心不全を治療する方法であって、このような治療を必要とする動物に、請求項57に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項66】
高血圧症を治療する方法であって、このような治療を必要とする動物に、請求項57に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を包含する、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−521806(P2008−521806A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543121(P2007−543121)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/040586
【国際公開番号】WO2006/060127
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507175131)アーテシアン セラピューティクス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】