説明

性的不能を治療する方法

早発射精の治療のための医薬品の製造のためのアルファ−2−デルタリガンド又は薬学的に許容できるその誘導体の使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
この発明は、アルファ−2−デルタリガンド及び薬学的に許容できるその誘導体の新規な使用に関する。特に、本発明は、ガバペンチン、プレガバリン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−3−イル)−酢酸及び[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸の新規な使用に関する。
【0002】
早発射精は、持続的又は再発性の、性的パートナーのペニス挿入前、挿入時又は挿入後間もない射精として定義される。それは、個人が望むより前に起こる射精としても定義される("The Merck Manual", 16th edition, p 1576, Merck Research Laboratories により1992年に発行,を参照のこと)。
【0003】
アルファ−2−デルタリガンドは、多くの適応症について記載されてきた。最もよく知られたアルファ−2−デルタリガンドである、NeurontinR としても知られるガバペンチン(I)、つまり、1−(アミノメチル)−シクロヘキシル酢酸は、US4024175を含むパテントファミリーの特許文献に最初に記載された。
【0004】
【化1】

【0005】
この化合物は、癲癇及び神経障害性痛の治療用に承認されている。
第2のアルファ−2−デルタリガンドであるプレガバリン(II)、つまり、(S)−(+)−4−アミノ−3−(2−メチルプロピル)ブタン酸は、ヨーロッパ特許出願公開EP641330に癲癇の治療に有用な抗痙攣剤として記載され、EP0934061に痛みの治療について記載されている。
【0006】
【化2】

【0007】
より最近では、WO02/085839が、次式:
【0008】
【化3】

【0009】
(式中、R1及びR2は、各々独立に、H、1〜6炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル、3〜6炭素原子のシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択され、但し、式(XVIII)のトリシクロオクタン化合物の場合を除いて、R1及びR2が同時に水素であることはない。)
のアルファ−2−デルタリガンドを、痛みを含む多くの適応症の治療における使用について記載している。
【0010】
アルファ−2−デルタリガンドの更なる例は、US4024175、US5563175、WO9733858、WO9733859、WO9931057、WO9931074、WO9729101、WO9931075に一般的に又は具体的に開示された化合物である。特に興味深いのは、WO9931075に開示された:
【0011】
【化4】

【0012】
及び、WO0076958に開示された:
【0013】
【化5】

【0014】
及び、米国特許出願第60/368413号に開示された:
【0015】
【化6】

【0016】
及び:
【0017】
【化7】

【0018】
である。
WO00/61135は、失禁を治療するのに有用であるとして、グルタミン酸及びγ−アミノ酪酸の類似体の使用を記載している。
【0019】
アルファ−2−デルタリガンドの更なる例は、以下に示される化合物である。
【0020】
【化8】

【0021】
更なる本発明の環式アルファ−2−デルタリガンドは、次の式(XXXVIII):
【0022】
【化9】

【0023】
(式中、
Xは、カルボン酸又はカルボン酸バイオイソステレ(carboxylic acid bioisostere)であり;
nは、0、1又は2であり;そして
1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aは、独立に、H及びC1〜C6アルキルから選択されるか、又は、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C1〜C6アルキルから選択される1又は2の置換基で置換されていてもよいC3〜C7シクロアルキル環を形成する。)
又は薬学的に許容できるその塩により例示される。
【0024】
式(XXXVIII)において、好適には、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、独立に、H及びメチルから選択されるか、又は、R1a、R2a、R3a及びR4aは、Hであり、そして、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、1又は2のメチル置換基で置換されていてもよいC3〜C7シクロアルキル環を形成する。適するカルボン酸バイオイソステレは、テトラゾリル及びオキサジアゾロニルから選択される。Xは、好ましくはカルボン酸である。
【0025】
式(XXXVIII)において、好ましくは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、独立に、H及びメチルから選択されるか、又は、R1a、R2a、R3a及びR4aは、Hであり、そして、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C4〜C5シクロアルキル環を形成するか、又は、nが0であるときは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、シクロペンチル環を形成するか、又は、nが1であるときは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、両方がメチルであるか、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、シクロブチル環を形成するか、又は、nが2であるときは、R1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aは、Hであるか、又は、nが0であり、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、シクロペンチル環を形成する。
【0026】
本発明の更なる非環式アルファ−2−デルタリガンドは、次の式(XXXIX):
【0027】
【化10】

【0028】
(式中、nは、0又は1であり、R1は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R2は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R3は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R4は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R5は、水素又はC1〜C6アルキルであり、そして、R2は、水素又はC1〜C6アルキルである。)又は薬学的に許容できるその塩により例示される。
【0029】
式(XXXIX)に従えば、好適には、R1はC1〜C6アルキルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、そしてnは0又は1である。より好適には、R1は、メチル、エチル、n−プロピル又はn−ブチルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、そしてnは0又は1である。R2がメチルであるとき、R3〜R6は水素であり、そしてnは1であり、R1は、好適には、エチル、n−プロピル又はn−ブチルである。R2がメチルであるとき、R3〜R6は水素であり、そしてnは1であり、R1は、好適には、メチル又はn−プロピルである。式(II)の化合物は、好適には、3S,5R配置にある。
【0030】
本発明で使用するアルファ−2−デルタリガンドの例には、US4024175に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、ガバペンチン、EP641330に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、プレガバリン、US5563175、WO9733858、WO9733859、WO9931057、WO9931074、WO9729101、WO02085839に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸、WO9931075に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾ-ル−5−オン及びC−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、WO9921824に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、WO0190052、WO0128978に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−3−イル)−酢酸、EP0641330、WO9817627、WO0076958に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、PCT/IB03/00976に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、及び(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、EP1178034、EP1201240、WO9931074、WO03000642、WO0222568、WO0230871、WO0230881、WO02100392、WO02100347、WO0242414、WO0232736及びWO0228881に一般的に又は具体的に開示されている化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩が含まれ、これら全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
驚いたことに、上記のようなアルファ−2−デルタリガンドが早発射精の治療に有用であることが見出された。
かくして、本発明によれば、アルファ−2−デルタリガンドの、早発射精の治療のための使用が提供される。
【0032】
好ましい態様では、アルファ−2−デルタリガンドは、pro re nata 投与とも言われ、本明細書ではprn投与と言われるところの、要時基準で投与される。
適するアルファ−2−デルタリガンドは、1000nMの結合親和性を有するアルファ−2−デルタリガンドである。
【0033】
好ましいアルファ−2−デルタリガンドは、300nMの結合親和性を有するアルファ−2−デルタリガンドである。
より好ましいアルファ−2−デルタリガンドは、100nMの結合親和性を有するアルファ−2−デルタリガンドである。
【0034】
最も好ましいのは、50nMの結合特性を有するアルファ−2−デルタリガンドである。
本発明のアルファ−2−デルタリガンドの生活性は、[3H]ガバペンチン及びブタ脳組織から誘導されたα2δサブユニットを使用する放射性リガンドアッセイで測定されることができる(Gee N.S., Brown J.P., Dissanayake V.U.K., Offord J., Thurlow R., Woodruff G.N., J. Biol Chem., 1996;271:5879-5776)。結果は、μM又はnMα2δ結合親和性によって表現される。
【0035】
好ましくは、アルファ−2−デルタ−1−リガンドは:
【0036】
【化11】

【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

【0039】
(式中、R1及びR2は、各々独立に、H、1〜6炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル、3〜6炭素原子のシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択され、但し、式(XVIII)のトリシクロオクタン化合物の場合を除いて、R1及びR2が同時に水素であることはない。)
であるか又は薬学的に許容できるその誘導体;
【0040】
【化14】

【0041】
式(XXXVIII):
【0042】
【化15】

【0043】
(式中、Xは、カルボン酸又はカルボン酸バイオイソステレであり;
nは、0、1又は2であり;そして
1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aは、独立に、H及びC1〜C6アルキルから選択されるか、又は、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C1〜C6アルキルから選択される1又は2の置換基で置換されていてもよいC3〜C7シクロアルキル環を形成する。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩
から選択される。
【0044】
式(XXXVIII)において、好適には、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、独立に、H及びメチルから選択されるか、又は、R1a、R2a、R3a及びR4aは、Hであり、そして、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、1又は2のメチル置換基で置換されていてもよいC3〜C7シクロアルキル環を形成する。適するカルボン酸バイオイソステレは、テトラゾリル及びオキサジアゾロニルから選択される。Xは、好ましくはカルボン酸である。
【0045】
式(XXXVIII)において、好ましくは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、独立に、H及びメチルから選択されるか、又は、R1a、R2a、R3a及びR4aは、Hであり、そして、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C4〜C5シクロアルキル環を形成するか、又は、nが0であるときは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、シクロペンチル環を形成するか、又は、nが1であるときは、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、両方がメチルであるか、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、シクロブチル環を形成するか、又は、nが2であるときは、R1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aは、Hであるか、又は、nが0であり、R1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、シクロペンチル環を形成する。
【0046】
また、式(XXXIX):
【0047】
【化16】

【0048】
(式中、
nは、0又は1であり、R1は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R2は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R3は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R4は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R5は、水素又はC1〜C6アルキルであり、そして、R2は、水素又はC1〜C6アルキルである。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩
から選択される。
【0049】
式(XXXIX)に従えば、好適には、R1はC1〜C6アルキルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、そしてnは0又は1である。より好適的には、R1は、メチル、エチル、n−プロピル又はn−ブチルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、そしてnは0又は1である。R2がメチルであるとき、R3〜R6は水素であり、nは0であり、R1は、好適には、エチル、n−プロピル又はn−ブチルである。R2がメチルであるとき、R3〜R6は水素であり、nは1であり、R1は、好適には、メチル又はn−プロピルである。式(XXXIX)の化合物は、好適には、3S,5R配置にある。
【0050】
本発明で使用するアルファ−2−デルタリガンドの例には、US4024175に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、ガバペンチン、EP641330に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、プレガバリン、US5563175、WO9733858、WO9733859、WO9931057、WO9931074、WO9729101、WO02085839に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸、WO9931075に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾ-ル−5−オン及びC−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、WO9921824に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、WO0190052、WO0128978に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−3−イル)−酢酸、EP0641330、WO9817627、WO0076958に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、PCT/IB03/00976に一般的に又は具体的に開示されている化合物、特に、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、及び(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、EP1178034、EP1201240、WO9931074、WO03000642、WO0222568、WO0230871、WO0230881、WO02100392、WO02100347、WO0242414、WO0232736及びWO0228881に一般的に又は具体的に開示されている化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩が含まれ、これら全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
より好ましくは、アルファ−2−デルタリガンドは、
【0052】
【化17】

【0053】
【化18】

【0054】
【化19】

【0055】
(式中、R1及びR2は、各々独立に、H、1〜6炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル、3〜6炭素原子のシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択され、但し、式(XVIII)のトリシクロオクタン化合物の場合を除いて、R1及びR2が同時に水素であることはない。)
であるか又は薬学的に許容できるその誘導体;及び
【0056】
【化20】

【0057】
式(XXXVIII):
【0058】
【化21】

【0059】
(式中、Xは、カルボン酸又はカルボン酸バイオイソステレであり;
nは、0、1又は2であり;そして
1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、独立に、H及びメチルから選択されるか、又は、R1a、R2a、R3a及びR4aは、Hであり、そして、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C4〜C5シクロアルキル環を形成する。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩;
式(XXXIX):
【0060】
【化22】

【0061】
(式中、
1は、メチル、エチル、n−プロピル又はn−ブチルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、そしてnは0又は1である。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩
である。式(XXXIX)の化合物は、3S,5R配置にある。
【0062】
より好ましくは、アルファ−2−デルタリガンドは、プレガバリン(II)、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−3−イル)−酢酸(III'):
【0063】
【化23】

【0064】
[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸:
【0065】
【化24】

【0066】
及び、(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸:
【0067】
【化25】

【0068】
である。
更により好ましくは、アルファ−2−デルタリガンドは、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸又は(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸である。
【0069】
最も好ましくは、アルファ−2−デルタリガンドは、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸である。
アルファ−2−デルタリガンド又は薬学的に許容できるその誘導体は、単独で投与されても、何らかの適宜な薬学的提示物で投与されてもよい。経口投与が好ましい。本適応症では、アルファ−2−デルタリガンド又は薬学的に許容できるその誘導体における活性部分の適する投与量は、約5〜50mg/kg体重、好ましくは約0.1〜200mg/kgである。より好ましい態様では、投与量は5〜15mg/kg体重であり、最も好ましくは10mg/kg体重である。
【0070】
本発明は、更に、早発射精を治療する方法であって、アルファ−2−デルタリガンド又は薬学的に許容できるその誘導体を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0071】
アルファ−2−デルタリガンド、特に上記の化合物は、他の化合物と組み合わせて使用されることができる。かくして、本発明の更なる側面は、早発射精の治療のための追加の治療剤と組み合わされた医薬品の製造のためのアルファ−2−デルタリガンドの使用である。更には、アルファ−2−デルタリガンドと追加の治療剤とを含有する、早発射精の治療における同時使用、別々使用又は逐次使用のための組合せ製剤としての製品も提供される。
【0072】
適する追加治療剤には:
・アポモルヒネ−医薬品としてのアポモルヒネの使用の教示は、US−A−5945117に見ることができる;
・ドーパミンレセプターアンタゴニスト、特に、プレミプリキサル、Pharmacia Upjohn 化合物番号PNU95666又はレボスルフィリドなどのドーパミンD2、D3及びD4アンタゴニスト;
・セロトニンレセプターアンタゴニスト又はモジュレーター、より特定的には、NAD−299(ロバルゾタン)及びWAY−100635を含む5HT1Aについてのアンタゴニスト又はモジュレーター、及び/又は、より特定的には、バタノピルデ、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピストロン及びMDL−73147EFを含む5HT3レセプターについてのアンタゴニスト又はモジュレーター;
・セロトニンレセプターアゴニスト又はモジュレーター、より特定的には、アンピルトリン、スマトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、及び抗偏頭痛薬として周知の他のトリプタン類を含む5HT2C、5HT1B及び/又は5HT1Dレセプターについてのアゴニスト又はモジュレーター;
・α−アドレナリン作動性レセプターアンタゴニスト(α−アドレナリン遮断因子、α−遮断因子又はα−レセプター遮断因子としても知られる);適するα1−アドレナリン作動性レセプターアンタゴニストには、フェントラミン、プラゾシン、フェントラミン・メシレート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン、フェノキシベンザミン、ラウウォルファアルカロイド、レコルダチ15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン、テラゾシン、及びアバノクィルが含まれ;適するα2−アドレナリン作動性レセプターアンタゴニストには、ジベナルニン、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒムビン、イダゾキサン・クロニジン、及びジベナルニンが含まれ;適する非選択的α−アドレナリン作動性レセプターアンタゴニストには、ダピプラゾールが含まれ;更なるα−アドレナリン作動性レセプターアンタゴニストが、WO99/30697、US4,188,390、US4,026,894、US3,511,836、US4,315,007、US3,527,761、US3,997,666、US2,503,059、US4,703,063、US3,381,009、US4,252,721及びUS2,599,000に記載されており、各々は、参照により本明細書に組み込まれる;
・オキシトシンレセプターアンタゴニスト、例えば、L−368899(L−368,899の合成は、Williams et al (1994) J. Med. Chem. 37, 565-571 に教示されている);
・バソプレッシンレセプターアンタゴニスト
が含まれる。
【0073】
公表された特許出願の内容、特に特許請求の範囲の治療活性化合物の一般式及びそこで例示された化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載された化合物及び組合せの使用は、先行技術品の使用と比較してより高い強度、より長い作用の持続、より少ない副作用、向上した選択性、又は他のより有用な特性が達成されるという利点を有し得る。
【0074】
アルファ−2−デルタリガンドで早発射精を治療する効力は、麻酔をかけられた早発射精のラットモデルの使用により証明されることもできる(Yonezawa et al (2000) Life Sciences 67, 3031-3039)。
【0075】
アルファ−2−デルタリガンドは、そのようなモデルを使用して、早発射精を治療するのに効力があったことが示されている。
本発明の化合物は、単独で投与されてもよいが、一般的には、意図される投与の経路及び標準的薬学的プラクティスに関して選択される、適する医薬賦形剤、希釈剤又は担体と混合して投与される。
【0076】
例えば、本発明の化合物は、フレーバー付与剤又は着色剤を含有してもよい錠剤、カプセル剤、オブレ剤、エリキシル剤、溶液剤又は懸濁液剤の形態で、即時放出、遅延放出、修飾放出、持続放出、パルス放出又は制御放出用途のために、経口又は舌下で投与されることができる。
【0077】
そのような錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム及びグリシンなどの賦形剤、スターチ(好ましくは、コーン、ポテト又はタピオカスターチ)、スターチグリコール酸ナトリウム、クロスカメロースナトリウム及び一定の複雑なシリケートなどの崩壊剤、及び、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアラビアゴムなどの顆粒結合剤を含有することもできる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、べへン酸グリセリル及びタルクなどの滑剤が含まれてもよい。
【0078】
類似のタイプの固体組成物も、ゼラチンカプセル内の充填剤として用いられることもできる。この点に関する好ましい賦形剤には、ラクトース、スターチ、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液剤及び/又はエリキシル剤のためには、本発明の化合物は、種々の甘味剤又はフレーバー付与剤、着色剤又は染料と、乳化及び/又は懸濁剤と、及び、水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンなどの希釈剤と、及びそれらの組合せと、組み合わせられることができる。
【0079】
本発明の化合物は、非経口でも、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、心室間、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内又は皮下でも、又は輸液技術によっても投与されることができる。そのような非経口投与のためには、それらは、他の物質、例えば、その溶液を血液と等張性にするのに十分な塩又はグルコースを含有してもよい無菌水溶液の形態で最もよく使用される。水溶液は、必要なときには緩衝化(好ましくは3〜9のpH)されるべきである。無菌条件下で適する非経口製剤を調製することは、当業者に周知の標準的薬学技術により容易に達成されることができる。
【0080】
本発明の化合物は、経鼻で又は吸入によっても投与されることができ、加圧容器、ポンプ、噴霧器、アトマイザー又はネブライザーからの乾燥粉末吸入物又はエアゾールスプレーの形態で、適する噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン;1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A[商標])又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA[商標])などのヒドロフルオロアルカン;二酸化炭素又は他の適するガスを使用して又は使用することなく、送り込まれるのが便利である。加圧エアゾールの場合には、投与量単位は、計量された量を送り込むためのバルブを備えることにより計られることができる。加圧容器、ポンプ、噴霧器、アトマイザー又はネブライザーは、活性化合物の溶液又は懸濁液を、例えば、溶媒としてエタノールと噴射剤の混合液を使用して含有することができ、更に、滑剤、例えば、トリオレイン酸ソルビタンを含有してもよい。吸入器又は注入器に使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、治療剤とラクトース若しくはスターチなどの適する粉末基剤との粉末ミックスを含有するように製剤されることができる。
【0081】
また、本発明の化合物は、坐剤又は膣用坐剤の形態で投与されても、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤、又はふりかけ散剤の形態で局所投与されてもよい。本発明の化合物は、皮膚に又は経皮的に、例えば、皮膚パッチ剤の使用により、投与されることができる。それらは、肺又は直腸経路により投与されてもよい。
【0082】
皮膚への局所適用のためには、本発明の化合物は、例えば、1又はそれを越える次のもの:鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化用ワックス及び水、との混合物中に懸濁又は溶解された活性化合物を含有する適する軟膏剤として製剤されることができる。また、それらは、例えば、1又はそれを越える次のもの:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水、との混合物中に懸濁又は溶解された適するローション剤又はクリーム剤として製剤されることができる。
【0083】
本発明の化合物は、シクロデキストリンと組み合わせて使用されることもできる。シクロデキストリンは、薬剤分子と包接複合体又は非包接複合体を形成することが知られている。薬剤−包接複合体の形成は、薬剤分子の溶解性、溶解速度、バイオアベイラビリティ及び/又は安定性を変える。薬剤−シクロデキストリン複合体は、概して、殆どの投与形態及び投与経路にとって有用である。薬剤との複合化を推進する別法として、シクロデキストリンが、補助添加剤として、例えば、担体、希釈剤又は可溶化剤として使用されてもよい。α、β、及びγ−シクロデキストリンが最も普通に用いられ、適する例は、WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148に記載されている。
【0084】
本発明の適するアルファ−2−デルタリガンド化合物は、本明細書に以下に記載するようにして又は前述の特許文献に記載の通りに調製されることができる。
実施例1
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸
【0085】
【化26】

【0086】
製造例2(29.25mol)の溶液がTHF(20L)中に溶解されて濾過された。この溶液にジオキサン(30L)中の4M HClが加えられて一晩攪拌された。tert−ブチルメチルエーテル(70L)が得られた懸濁液に加えられ、生成物が濾取された(7.06kg,86.7%)。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ= 2.65 (m, 2H), 3.60 (dd, 1H), 3.70 (d, 1H), 4.60 (dd, 1H), 5.02 (m, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.97 (s, 1H), 7.03 (d, 1H), 7.29 (dd, 1H)。
LRMS (電子スプレー [MH+] 242, [M-1] 240。
微量分析:実測値, C, 46.97; H, 4.70; N, 4.90. C11H12ClNO3.HCl.0.1H2O の計算値, C, 47.20; H, 4.75; N, 5.00。
【0087】
実施例2
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸モノ塩酸塩
【0088】
【化27】

【0089】
4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル(製造例3,0.91g,1.96mmol)がトルエン(2ml)中に溶解された。6N塩酸(50ml)が加えられて、18時間還流しながら攪拌された。その反応混合液は、室温まで冷却されて酢酸エチル(3x20ml)で抽出された。水層が減圧濃縮され、標題化合物(417mg,81%)を白色固体として与えた。1H NMRは、7:1のcis:trans比率のジアステレオマーであることを示したので、その生成物はイソプロピルアルコールから再結晶されて、標題化合物(170mg,65%)を、NMRにより測定して14:1のcis:trans比率で与えた。
1H NMR(400MHz,CD3OD):(ジアステレオマー2S,4S:2S,4R(14:1)の混合物):δ= 1.85 (q, 1H), 2.51 (5重線, 1H), 2.69-2.85 (m, 3H), 3.07 (t, 1H), 3.41 (dd, 1H), 4.38 及び 4.48 (t, 1H), 6.90-7.04 (m, 3 H), 7.32 (q, 1H)。
LRMS (APCI): m/z [MH]+ 224。
[α]D25 -1.27°(c=9.00,メタノール中)。
微量分析:実測値 C, 55.56; H, 5.81; N, 5.34%。C12H14FN02.HCl の計算値 C, 55.50; H, 5.82; N, 5.39%。
【0090】
実施例3
(2S,4S)−4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−ピロリジン−2−カルボン酸モノ塩酸塩
【0091】
【化28】

【0092】
標題化合物は、実施例2の方法により、製造例4の標題化合物から出発して製造され、アセトン/エーテルでの再結晶により精製されて、標題化合物を、1H NMRにより測定してジアステレオマーの混合物(2S,4S:2S,4R(12:1))(500mg,60%)として白色固体として与えた。
1H NMR(400MHz,CD3OD):(ジアステレオマーcis:trans(12:1)の混合物):δ= 0.80-1.90 (m, 0.92H), 2.12-2.20 (m, 0.08H), 2.28-2.36 (m, 0.08H), 2.49-2.58 (q, 0.92H), 2.66-2.81 (m, 1H), 2.83-2.95 (m, 2H), 3.02-3.13 (t, 1H), 3.46 (dd, 1H), 4.40 (dd, 0.92H), 4.48-4.54 (m, 0.08H), 7.03-7.20 (m, 3H)。
LRMS (電子スプレー): m/z [M + H]+ 242。
微量分析:実測値 C, 51.42; H, 5.08; N, 5.01%。C12H13NO2F2.HCl の計算値 C, 51.90; H, 5.08; N, 5.04%。
【0093】
実施例4
(2S,4S)−4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
【0094】
【化29】

【0095】
4−(3−フルオロ−フェノキシメチル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジtert−ブチルエステル(製造例5,475mg,1.2mmol)が、ジオキサン中の無水塩化水素の溶液(4M,15ml)中に溶解され、窒素雰囲気下50℃で1時間攪拌された。溶媒が減圧留去され、得られた半固体が酢酸エチルと一緒に磨り潰されて白色固体を与え、それは、酢酸エチル/イソプロピルアルコールから再結晶されて、標題化合物をジアステレオマーの混合物(〜5:1,2S,4S:2S,4R)として白色固体塩酸塩として与えた(90mg,35%)。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ= 2.04-2.09 (m, 0.8H); 2.33-2.47 (m, 0.4H); 2.65-2.75 (m, 0.8H); 2.88-3.00 (m, 1H); 3.33-3.40 (m, 1H); 3.52-3.60 (m, 0.8H); 3.60-3.68 (0.2H); 3.96-4.04 (m, 1H); 4.04-4.12 (m, 1H); 4.42-4.51 (m, 0.8H); 4.40-4.56 (m, 0.2H); 6.65-6.80 (m, 3H), 7.21-7.30 (m, 1H)。
LRMS (電子スプレー): [M+1] 240; [M+23] 262; [M-1] 238。
【0096】
製造例1
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
【0097】
【化30】

【0098】
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル(CAS Reg 74844-91-0)(6.1kg,24.87mol)、3−クロロフェノール(3.52kg,27.39mol)及びトリフェニルホスフィン(7.18kg,27.37mol)のtert−ブチルメチルエーテル(30.5L)中の攪拌溶液に、tert−ブチルメチルエーテル(15L)中のアゾジカルボン酸ジイソプロピル(5.53kg,27.35mol)が滴下された。その混合液は20℃で一晩攪拌された。その反応液は濾過されて、0.5M水酸化ナトリウム(水溶液)(2x12.5L)及び水(12.2L)で洗浄された。tert−ブチルメチルエーテル溶媒が常圧蒸留によりn−ヘプタン(42.7L)と置き換えられ、冷却すると粗生成物が結晶化したので濾取した(11.1kg,125%,約35%の還元されたジカルボン酸ジイソプロピルとトリフェニルホスフィンオキシドが混入していた,補正収率=86%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ= 1.46, 1.49 (2xs, 9H), 2.47 (2H, m), 3.71 (5H, m), 4.42 (1H, m), 4.42, 4.54 (1 H 2xm), 4.87 (1H, m), 6.68 (1H, m), 6.79 (1H, s), 6.92 (1H, m), 7.18 (1H, m)。
LRMS (電子スプレー): m/z 378 (MNa+)。
【0099】
製造例2
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0100】
【化31】

【0101】
THF(26.6L)中の製造例1の生成物(11.1kg,20.28mol)に、LiOH H2O(4.86kg,115.4mol)の水(55.5L)中の溶液が加えられた。その混合液は25℃で一晩攪拌された。THFが留去されて、得られた水溶液がジクロロメタン(33.3L及び16.7L)で抽出された。合わされたジクロロメタン層が水(33L及び16.7L)で洗浄された。合わされた水相が1M塩酸でpH3〜3.5に調節されて、ジクロロメタン(2x22.2L)で抽出された。合わされたジクロロメタン相がトルエン(33.3L)で置き換えられ、冷却すると生成物が結晶化したので濾取された(6.1kg,98%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ= 1.42, 1.48 (2xs, 9H), 2.30-2.70 (m, 2H), 3.60-3.80 (m, 2H), 4.40-4.60 (m, 1H), 4.86 (m, 1H), 6.71 (m, 1H), 6.82 (m, 1H), 6.94 (m, 1H), 7.16 (m, 1H)。
LRMS (電子スプレー): m/z [MNa+] 364, 340 [M-1] 340。
【0102】
製造例3
4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル
【0103】
【化32】

【0104】
4−(3−フルオロ−ベンジリデン)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル(1.20g,2.61mmol)が酢酸エチル:トルエン(1:1,12ml)中に溶解された。その溶液は、酸化白金(120mg,10重量%)での25℃及び15psiでの水素化に1時間付された。反応混合液がアーボセル(arbocel)を通して濾過され、濾液は減圧濃縮された。残渣が、ヘプタン:酢酸エチル(15:1)で溶離されるフラッシュマスタークロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を無色オイルとして与えた(1.11g,91%)。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ= 0.72-1.37 (m, 13H), 1.44 (d, 9H), 1.43-1.75 (m, 4H), 1.87-2.01 (m, 2H), 2.31-2.58 (m, 2H), 2.83 (d, 2H), 3.07 (t, 1H), 3.50-3.65 (m, 1H), 4.13-4.30 (dt, 1H), 4.71 (td, 1H), 6.90 (d, 2H), 7.00 (d, 1H), 7.30 (q, 1H)。
LRMS (APCI): m/z [MH-BOC]+ 362。
【0105】
製造例4
4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシル)エステル
【0106】
【化33】

【0107】
は、製造例3と類似の方法により、適切な出発アルケンメントールエステル;[MH]480を使用して製造された。
微量分析(ジアステレオマーcis(主要分)とtransの混合物):実測値:C, 67.74; H, 8.30; N, 2.90%。C27H39F2NO4 の計算値 C, 67.62; H, 8.20; N, 2.92%。
[α]D25 -71.92°(c = 3.26, メタノール中)
製造例5
(2S,4S)−ピロリジン−1,2,4−トリカルボン酸 1,2−ジ−tert−ブチルエステル
【0108】
【化34】

【0109】
4−フェニル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 ジ−tert−ブチルエステル(CAS Reg. No. 344 286-69-7)5(0.78g,2.24mmol)及び過ヨウ素酸ナトリウム(5.77g,27mmol)の、酢酸エチル(5.5ml)、アセトニトリル(5.5ml)及び水(8.5ml)中の0℃で攪拌された窒素雰囲気下の混合液に、三塩化ルテニウム(10mg,0.05mmol)が加えられて室温で18時間攪拌された。ジエチルエーテル(20ml)が加えられて更に1時間攪拌された。1M塩酸(5ml)が加えられ、その混合液は酢酸エチル(3x30ml)で抽出された。有機抽出液が合わされ、乾燥(MgSO4)され、濾過され、そして減圧濃縮された。残渣が、シリカゲルでの50:50:1酢酸エチル:ヘプタン:氷酢酸で溶離するクロマトグラフィーにより精製されて、標題化合物を無色ガム状物として与えた(501mg,78%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ= 1.40-1.49 (m, 18H); 2.26-2.40 (m, 1H); 2.42-2.56 (m, 1H); 3.02-3.12 (m, 1H); 3.65-3.80 (m, 1.4H) & 3.80-3.88 (m, 0.6H) [回転体]; 4.09-4.20 (m, 0.7H) & 4.20-4.26 (m, 0.3H) [回転体]
LRMS (電子スプレー): [M-1] 314
5 J. Org. Chem., 2001, 3593-3596
生物学的データ
例1:麻酔をかけられた早発射精のラットモデルにおけるアルファ−2−デルタリガンド遅延射精
ペニスの勃起及び射精を試験するために、Yonezawa et al (2000) Life Sciences 67, 3031-3039 に教示された方法論に基づいた方法が使用された。参照を容易にするために、この方法論を以下に説明する:
体重350〜450gのオス Sprague Dawley ラットたちが使用される。実験前に、それら動物たちは、グループに分けて収容され(カゴ当たり2匹)、12時間毎の明−暗サイクル(7:00に照明が点けられる)、一定温度(23±1℃)及び湿度(55±5%)に制御される。それらは、自由に標準的な食餌と水を摂る。
【0110】
ラットたちは、ペントバルビトンナトリウム(50mg/kg,腹腔内)で麻酔されてあおむけに寝かされる。ペニスが包皮から出され、そのペニスの基部に置かれた木製アプリケーターにより優しく掴まれる。包皮押し込み直前に試験化合物が経口投与されかつp−クロロアンフェタミン(PCA)(5〜10mg/kg)が腹腔内投与され、ペニスの勃起、ペニス本体の紅潮と膨張、亀頭勃起、亀頭とお碗部分の充血と僅かな張り開き、亀頭の激しい張り開きを伴う亀頭勃起、を含むペニスの反応が、試験化合物及びビヒクルの存在下で記録される。PCA投与から最初のペニス反応及び射精までの潜伏期も試験化合物及びビヒクルの存在下で秒で測定される。
【0111】
試験化合物のp−クロロアンフェタミン(PCA)誘発射精への効果も、30分間にわたって溜まった射精物の重量を計量することにより評価される。意識のあるラットを使用する適する方法が、Renyi (1985) Neuropharmacology, Vol. 24. No. 8, pp 697-704 に記載されている。
【0112】
ペントバルビトンナトリウム(50mg/kg,腹腔内)で麻酔されたラットにおける海綿体洞内圧力(intracavernosal pressure)も測定されることができる。ペニスがその包皮から出され、ステンレススチール針(23ゲージ)が一方の海綿体洞の中に挿入されることにより、海綿体洞内圧力(ICP)が測定された。針は、ヘパリン化生理食塩水(10U/ml)充填テフロン(登録商標)管に取り付けられており、圧力変換器(NEC−San−Ei7500)に接続されている。
【0113】
全ての性的行動試験について、急速射精オスラットたちが早発射精の動物モデルとして使用された(ベースライン評価中に射精潜伏期<300秒としてクラス分けした)。急速射精ラットは、観察アリーナ(50〜60cm直径)に入れられ、5時間の暗サイクルが始まり、赤色イルミネーション下で観察された。オスたちをアリーナに入れて3〜4分後に、受容性のメス(卵巣摘出されたもの,行動試験48時間前に安息香酸オエストラジオール/プロゲステロン注射)が、そのアリーナに入れられ、そして、次のパラメーターが記録された:
i)射精潜伏期(EJL;受容性のメスをアリーナに加えてから射精までにかかった時間);
ii)交尾効率(CE;射精潜伏期/挿入の射精に対する数、即ち、挿入と挿入の間の秒数);
iii)挿入頻度(IF;挿入の射精に対する数);
iv)マウント頻度(MF;マウントの射精に対する数);
v)射精後間隔(PEI;射精から交尾行動の開始までにかかった時間)。
【0114】
次の実施例に使用された化合物は次の通りである:
(1R,5R,6S)−[6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸
【0115】
【化35】

【0116】
実施例1a,アルファ−2−デルタリガンド(化合物(IX))の存在下での射精遅延
アルファ−2−デルタリガンドである化合物(XI)は、麻酔されたラットにおけるp−クロロアンフェタミン(PCA)誘発射精を有意に遅らせた。化合物(XI)は、PCA投与の60分前に経口投与されて、1、3、10又は30mg/kg poで試験された。化合物1は、射精潜伏期を用量依存的に250%まで増加させた。ビヒクル処置動物たちは、約300秒で射精したのに対し、3mg/kg poを越える投与量の化合物1で処置された動物たちは、1000秒という有意に増加した射精潜伏期を示した(図1を参照)。この試験では、3及び10mg/kgで、7匹のうち3匹が30分以内には射精できず、これら動物たちは、平均遅延度を計算できるようにするために、1800秒の射精潜伏期、即ち、この試験の終了時とされた。10及び30mg/kgでは、勃起を達成するのにかかった時間に少しの遅れが観察されたが、勃起の質は、化合物(XI)によって影響されなかった。
【0117】
ヒトの射精生理を反映する射精のげっ歯類モデルを使用して、本発明者らは、アルファ−2−デルタリガンドが射精を遅らせることを示した。更には、この研究は、アルファ−2−デルタリガンドが、射精を遅らせることにより、早発射精の治療に有用であることを示すものである。
【0118】
実施例1b:急速射精ラットにおける交尾行動へのアルファ−2−デルタリガンド(化合物XI)の効果
げっ歯類の交尾行動は、膣への挿入を伴うか又は伴わない一連のマウントによって特徴付けられ(50〜80%のマウントが挿入[膣への挿入]に帰着する)、そして、射精は6〜12回の挿入後に起こる。各々の挿入は数秒程度のことであり、挿入の長さ、即ち、膣内潜伏期を定量するのは不可能である。化合物(XI)の効果は、幾つかの交尾パラメーター(上記を参照)で評価された。本発明者らは、射精を達成するのにかかった時間の臨床的バイオマーカーとして、射精潜伏期に焦点を置いた。この研究は、早発射精のモデルとしての急速射精ラット(ベースラインにおいて射精潜伏期<300秒により特徴付けられるラット)で行われた。
【0119】
アルファ−2−デルタリガンドの一種である化合物(XI)は、急速射精ラットにおいて射精潜伏期を58%増加させた(P<0.01);即ち、化合物(XI)(10mg/kg,経口投与後60分)処置動物は、ビヒクル処置動物における139秒と比較して、射精するのに219秒を要した(以下の表2を参照)。交尾行動への他の有意な影響はなかった。
【0120】
【表1】

【0121】
ヒトの早発射精生理を反映する意識のある早発射精の急速射精げっ歯類モデルを使用して、本発明者らは、アルファ−2−デルタリガンドが、射精を遅らせることにより、早発射精の治療に有用であることを示した。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ−2−デルタリガンド又は薬学的に許容できるその誘導体の、早発射精の治療用の医薬品の製造のための使用。
【請求項2】
請求項1の使用であって、投与が要時基準である使用。
【請求項3】
請求項1又は2の使用であって、アルファ−2−デルタリガンドが:
【化1】

【化2】

(式中、
1及びR2は、各々独立に、H、1〜6炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル、3〜6炭素原子のシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択され、但し、式(XVIII)のトリシクロオクタン化合物の場合を除いて、R1及びR2が同時に水素であることはない。)
であるか又は薬学的に許容できるその誘導体;
【化3】

式(XXXVIII):
【化4】

(式中、
Xは、カルボン酸又はカルボン酸バイオイソステレであり;
nは、0、1又は2であり;そして
1、R1a、R2、R2a、R3、R3a、R4及びR4aは、独立に、H及びC1〜C6アルキルから選択されるか、又は、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C1〜C6アルキルから選択される1又は2の置換基で置換されていてもよいC3〜C7シクロアルキル環を形成する。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩;
式(XXXIX):
【化5】

(式中、
nは、0又は1であり、R1は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R2は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R3は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R4は、水素又はC1〜C6アルキルであり;R5は、水素又はC1〜C6アルキルであり、そして、R2は、水素又はC1〜C6アルキルである。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩
から選択される使用。
【請求項4】
請求項1又は2の使用であって、アルファ−2−デルタリガンドが:
【化6】

【化7】

【化8】

(式中、
1及びR2は、各々独立に、H、1〜6炭素原子の直鎖状又は分枝状アルキル、3〜6炭素原子のシクロアルキル、フェニル及びベンジルから選択され、但し、式(XVIII)のトリシクロオクタン化合物の場合を除いて、R1及びR2が同時に水素であることはない。)
又は薬学的に許容できるその誘導体;及び
【化9】

式(XXXVIII):
【化10】

(式中、
Xは、カルボン酸又はカルボン酸バイオイソステレであり;
nは、0、1又は2であり;そして
1、R1a、R2a、R3a、R4及びR4aは、Hであり、そして、R2及びR3は、独立に、H及びメチルから選択されるか、又は、R1a、R2a、R3a及びR4aは、Hであり、そして、R1とR2又はR2とR3は、一緒になって、C4〜C5シクロアルキル環を形成する。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩;
式(XXXIX):
【化11】

(式中、
1は、メチル、エチル、n−プロピル又はn−ブチルであり、R2はメチルであり、R3〜R6は水素であり、そしてnは0又は1である。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩であって、3S,5R配置にあるもの
から選択される使用。
【請求項5】
請求項1又は2の使用であって、アルファ−2−デルタリガンドが:
プレガバリン(II)、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−3−イル)−酢酸(III'):
【化12】

[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプチ−6−イル]酢酸(XI):
【化13】

及び
(2S,4S)−4−(3−クロロ−フェノキシ)−ピロリジン−2−カルボン酸(XXXIV):
【化14】

から選択される使用。

【公表番号】特表2006−515587(P2006−515587A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560041(P2004−560041)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005682
【国際公開番号】WO2004/054563
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(391011308)ワーナー−ランバート・カンパニー、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー (37)
【氏名又は名称原語表記】WARNER−LAMBERT COMPANYLLC
【Fターム(参考)】