説明

情報再生装置および情報記録再生装置、並びにそれらの制御方法

【課題】 非接触通信が可能で、接触通信手段を介して通信が可能な記憶媒体が近づけられた場合に、再生装置の主要な機能を利用可能なメモリーカードの情報のみを表示することで、ユーザーに必要な情報のみを提供する。
【解決手段】 アンテナ101を介して、近接型もしくは近傍型の非接触通信を行う。このアンテナ101に通信相手機器が近づくと、システムコントローラ102は、その機器から機器情報を取得する。そして、システムコントローラ102は、取得した機器情報が、通信相手機器が接触通信可能な種類の記憶媒体を示していると判定した場合、表示パネルに取得した機器情報に基づく情報の表示を行なうように制御する。また、システムコントローラ102は、通信相手機器が接触通信可能な種類の記憶媒体ではないと判定した場合には、表示しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を装着し、当該記録媒体に記憶された情報を再生もしくは記録媒体に情報を記録する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の情報機器とメモリーカードとの通信はメモリーカードに設けられた端子部を介しての接触通信が使われている。すなわち、メモリーカードは情報機器に設けられたメモリーカードスロットに装着することで、メモリ及び装置本体の端子が電気的に結合させて、通信を行っている。
【0003】
しかし近年、記録媒体と非接触通信を行う技術の登場により、鉄道のプリペイドカードの改札処理や、携帯電話による電子マネーの支払い等に非接触通信が広く利用されるようになっている。
【0004】
本願発明者は、メモリーカードのような記録媒体に関しても、今後はこの非接触通信を搭載し、非接触通信によるメモリーカード情報のアクセスが一般化して行くと予想している。
【0005】
例えば、ビデオカセットに記録された番組の番組情報を、ビデオカセットをビデオテープレコーダに装着することなく、かざすだけで表示することができるといった使い方が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また、デジタルカメラに対し非接触通信可能なメモリーカードを近づけた場合に、メモリーカードの残り記憶容量や、メモリーカード内の画像のサムネイルを表示するといった使い方が考えられる。特に、デジタルビデオカメラのように連続データを記録する情報機器では、動画の撮影中に使用中のメモリーカードを抜くことなく別のメモリーカードの残り記憶容量情報を表示することが出来るようになるなど、利便性の向上が期待されている。
【特許文献1】特開平11−203848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に非接触通信による記録媒体へのアクセス速度は、接触通信による記録媒体へのアクセス速度に比べて遅い。従って、主要な機能は接触通信でのみ使用可能とする情報機器が多くなることが予想される。
【0008】
一方で、情報機器が有するメモリカードスロットの個数は1つ、多くても2つ程度であり、装着(接触通信)できるメモリカードの種類も1もしくは2種類程度である。これに対して、昨今のメモリカードの種類は、多数存在する。従って、それらの全てが非接触通信機能を持つとすると、無意味な機器の情報は勿論、場合によっては接触通信できないメモリカードの情報までも表示してしまい、ユーザに混乱を与えることになる。
【0009】
本発明は以上の問題を鑑み、接触通信可能なメモリカード等の記憶媒体が近づけられた場合にのみ、そのメモリカードに関する情報を表示することで、ユーザーに対して必要な情報のみを提供する。また、更に、主要な機能を利用できないメモリーカードを利用可能であるように間違って捉えてしまうことを防ぐ技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、例えば本発明の情報再生装置は以下の構成を備える。すなわち、
記憶媒体と接触通信する接触通信手段と、該接触通信手段を介して前記記憶媒体に格納された情報を再生する再生手段とを有する情報再生装置であって、
近接型もしくは近傍型の非接触通信を行う非接触通信手段と、
前記非接触通信手段で通信可能になった通信相手機器から機器情報を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した機器情報が、前記通信相手機器が前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体を示しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づき、前記通信相手機器から取得した機器情報に基づく情報の表示、非表示を制御する表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の再生装置によれば、非接触通信が可能で、接触通信手段を介して通信が可能な記憶媒体が近づけられた場合に、再生装置の主要な機能を利用可能なメモリーカードの情報のみを表示することで、ユーザーに必要な情報のみを提供することができる。
【0012】
また、ユーザーが誤って主要な機能の利用できないメモリーカードを利用可能であると捉えることを防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0014】
なお、非接触型通信としては、密着型(ISO/IEC14443)、近接型(同14443)、近傍型(同15693)が知られているが、実施形態における非接触通信は密接型、もしくは近接型として説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、情報機器としてデジタルビデオカメラを例に説明する。そして、このデジタルビデオカメラに、非接触通信機能を持ったメモリーカードが近づけられた場合に、デジタルビデオカメラが有するカードスロットに装着可能な種類のメモリーカードであるか否かを判定する。そして、装着可能な種類のメモリーカードであると判定した場合に、デジタルビデオカメラの表示部(液晶パネル)にそのメモリーカードの残り記憶容量で動画記録可能な時間を表示する例を示す。
【0016】
図8(a),(b)は第1の実施形態におけるデジタルビデオカメラの動作例であり、801はデジタルビデオカメラ本体、802はデジタルビデオカメラの表示部(実施形態では液晶パネル)、803は非接触通信機能を持ったメモリーカードである。図8(a)は、メモリーカード803をデジタルビデオカメラに近づける前の状態であり、液晶パネル802にはメモリーカードに関する情報は何も表示されていない。図8(b)は、メモリーカード803をデジタルビデオカメラに近づけた後の状態であり、液晶パネル802に「このカードで30分記録できます」というメッセージ804が表示部802に表示されている状態を示している。
【0017】
図1は第1の実施形態におけるデジタルビデオカメラ(情報記録再生装置)のブロック構成図である。図中、100はデジタルビデオカメラであり、撮影した動画を、カードスロットに装着された記憶媒体内(メモリーカード内)に接触通信で記録することができる。また、非接触通信機能を持ったメモリーカードが近づけられた場合には、そのカードで動画記録可能な時間を表示することができる。101はアンテナであり、非接触通信機能を持ったメモリーカードとの情報の送受信に使用される。102はデジタルビデオカメラ全体を制御するシステムコントローラであり、内部のメモリに格納されたプログラムによって動作している。103はメモリーカードを装着するためのカードスロットであり、メモリーカードと接触通信を行うための端子を持つ。スロットに装着されたメモリーカードには接触通信によって動画やその他データの読み書きが可能であり、特に動画の読み書きに関してはこのカードスロットを経由してのみ可能となっている。104は撮像部であり、光学レンズと、光学レンズによって結像される像を光電変換する光電変換素子からなっている。105は画像処理部であり、撮像部104から出力された信号をJPEGやAVCHD等の画像データやNTSC等の映像信号へと変換し、カードスロット103へと送信したり、映像信号をビットマップ生成部106へ出力する。106はビットマップ生成部であり、画像処理部105によって出力された映像信号にビットマップ表示を重畳し、映像出力端子107や液晶パネル108へと出力する。107は映像出力端子であり、この端子に接続された外部の機器に対して、ビットマップ生成部106から出力された映像信号を出力する。108は液晶パネルであり、ビットマップ生成部106から出力された映像信号を表示する。109は操作部であり、ユーザーからの記録開始や記録終了、再生開始等の操作を受け付ける。
【0018】
このデジタルビデオカメラ100は、ユーザーが予めメニュー等で記録画質設定を行うことができ、動画記録に必要なビットレートを変更できるものであるとする。
【0019】
また、このデジタルビデオカメラ100は、動画記録モードと動画再生モードの二つの動作モードを持つ。これらのモードは、操作部109により設定され、且つ、いずれのモードであるかのモード判定処理はシステムコントローラ102が行う。
【0020】
動画記録モードでは撮像部104から入力される撮像画像をリアルタイムに動画として液晶パネル108に表示し、操作部109による操作によってその動画をカードスロット103に装着されたメモリーカードに記録する。また、動画再生モードでは、カードスロット103に装着されたメモリーカードに記録されている動画を、操作部109による操作によって再生し、液晶パネル108に表示、また外部出力端子107に接続された機器に映像信号を出力する。
【0021】
図2は本第1の実施形態において使用される非接触通信機能を持ったメモリーカードの構成を示すブロック図である。200は非接触通信機能を持ったメモリーカードである。201はメモリー部であり、さまざまなデータを記憶することが可能である。202は端子であり、情報機器のカードスロットの端子と接触することにより接触通信を可能とする。203はアンテナであり、情報機器と非接触通信を可能としている。また、メモリーカードに読み書きする情報機器側のアンテナから発生する交流磁界により誘起される交流電圧によって、非接触通信時のメモリーカードの動作に必要な電流を供給する。実際は交流電圧を直流電圧に変換する回路を有することが一般的であるが、本発明に直接関与する点ではないため、ここでは省いている。204は制御部であり、端子202やアンテナ203を介して行われる通信内容を解釈し、メモリー部へのデータの読み書きを行う。なお、制御部204は、非接触通信時、デジタルビデオカメラ100からの要求に従って、各種処理を行ない、その結果をデジタルビデオカメラ100に送信する。処理の種類としては、後述するメモリカード情報保持領域に格納された情報の取得と送信、通常記憶領域に格納されたビデオデータの先頭のフレームデータの取得と送信、通常記憶領域の空き領域の算出と送信等が挙げられる。
【0022】
図3は、本第1の実施形態において使用される非接触通信機能を持ったメモリーカード200のメモリー部201のメモリマップを示している。メモリー部201はメモリカード外部から読み書きが可能な通常記憶領域301と、外部からは読み出しだけが可能なメモリカード情報保持領域302で構成される。このメモリカード情報保持領域には、メモリーカードメーカが、その工場から出荷する際に、メモリーカードの種類、記憶容量、読み出し速度、書き込み速度等、メモリーカードそれ自体に関する情報が書き込まれている。本第1の実施形態では、メモリーカードの種類、記憶容量、読み出し速度、書き込み速度に関する情報が、メモリカード情報保持領域302に格納されているものとして説明する。
【0023】
なお、図2、図3におけるメモリーカードの構成は、本第1の実施形態における一例であって、本発明がメモリーカードの構成に限定されるものではない。
【0024】
図4は本第1の実施形態におけるデジタルビデオカメラに非接触通信機能を持ったメモリーカードを近づけた場合の、デジタルビデオカメラのシステムコントローラ102の動作を表すフローチャートである。この処理は、操作部104より、非接触通信機能をONにする操作を行った場合に実行されるものとする。
【0025】
ステップS401では、デジタルビデオカメラの非接触通信可能な範囲(ISO/IEC14443の近接型の非接触通信では約10cm)内に非接触通信機能を持った機器や記録媒体が存在するかの確認を行う。そのため、ここではデジタルビデオカメラ内のアンテナ101に電流を流し、近傍の非接触通信可能な機器や記録媒体と通信可能な状態にする。結果、非接触通信機能を持った機器や記録媒体が存在すれば、ステップS402へ進む。存在しない場合には、再度ステップS401を繰り返す。
【0026】
ステップS402では、ステップS401で通信を行った際の通信強度を測定する。通信強度の測定方法に関しては非接触通信の方式に応じて様々な方法があるが、本発明ではこの方法については言及しない。
【0027】
ステップS403では、ステップS402によって測定した通信強度が予めプログラムによって決められた一定値以上であるかどうかを判断する。一定値以上であった場合には、非接触通信機能を持った機器や記録媒体と安定した通信が可能であると判断し、ステップS404へと進む。通信強度が一定値に満たない場合は、安定した通信が不可能と判断し、ステップS401へと戻る。
【0028】
なお、このステップS403の判定結果がYESとなった時点では、通信可能になった通信相手機器がメモリカードであるとは特定できていない点に注意されたい。
【0029】
ステップS404では、非接触通信により、非接触通信機能を持った機器や記録媒体に対して、非接触通信可能な機器の機器情報の要求を行う。通信相手機器がメモリカードの場合には、メモリーカード情報の要求通信を行うことを意味する。メモリーカード情報とは、メモリーカードのメモリーカード情報保持領域302に書き込まれているメモリーカードの種類、記憶容量、読み出し速度、書き込み速度を表す情報である。
【0030】
ステップS405では、ステップS404にて機器情報が受信できると、その機器情報中にメモリカードであることを示す種類情報が含まれているので、その情報が含まれていればはじめて通信相手機器がメモリカードであると認識できる。そして、そのメモリカードの種類を示す情報から、デジタルビデオカメラのカードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードかどうかを判断する。カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードであったと判定した場合には、ステップS406へ進む。カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードでなかった場合、もしくはメモリーカード情報の受信自体が出来なかった場合には、このデジタルビデオカメラでは使用できないものであると判断しここで終了となる。
【0031】
ステップS406では、非接触通信によって、メモリーカードの通常記憶部301にアクセスし、ファイル管理情報の読込みを行い、残り記憶容量がどれだけあるかを取得し、ステップS407へと進む。
【0032】
ステップS407では、現在デジタルビデオカメラに設定されている記録画質設定の記録ビットレートとステップS406で取得したメモリーカードの残り記憶容量から、現在の記録画質設定での記録可能時間を算出する。なお、記録画質が高いほど、高いビットレートが要求されるので、非接触状態で検出したメモリカードの書き込み速度が、現在の記録画質で要求される速度以上であることが必要になる。
【0033】
ステップS408では、現在カードスロット103に装着中のメモリーカードがあるかどうかを判定する。装着中のメモリーカードがある場合にはステップS409へ、無い場合にはステップS410へと進む。
【0034】
ステップS409では、画像処理部104から入力される映像信号にステップS407で算出した記録可能時間を、現在カードスロット103に装着されているメモリーカードの記録可能時間と足し合わせる。具体的には、現在カードスロット103に装着されているメモリーカードの空き容量と、非接触通信で得られたメモリカードの空き容量の合計容量を、記録モードの記録ビットレートで除算することで、記録可能時間を算出する。そして、算出した記録可能時間を示す情報から、ビットマップ生成部106によってビットマップ画像(メッセージ画像や時間を示すグラフィック等)を生成し、表示部に重畳する。重畳された映像信号は、映像出力端子107、液晶パネル108へと出力され、終了となる。
【0035】
ステップS410では、画像処理部104から入力される映像信号にステップS407で算出した記録可能時間をビットマップ生成部106によってビットマップ画像として重畳する。重畳された映像信号は、映像出力端子107、液晶パネル108へと出力され、終了となる。
【0036】
図5(a)乃至(c)は第1の実施形態でのデジタルビデオカメラに非接触通信機能を持った機器、記録媒体が近づけられた場合の液晶パネルの表示例である。
【0037】
図5(a)はこのデジタルビデオカメラのカードスロットに装着可能な種類のメモリーカードが近づけられた場合の表示例であり、算出した記録可能時間を「このカードで30分記録できます」というメッセージで表示している。また、図5(b)は、検出したメモリカードの書き込み速度が、現在の記録画質では書き込みできないこと示し、図5(c)はメモリカードには空き領域がない場合のメッセージを示している。なお、図5(c)では、具体的に空き領域がない旨のメッセージを表示しても良い。
【0038】
以上、説明したように、本第1の実施形態の記録再生装置によれば、非接触通信機能を持った記録媒体または機器が近づけられた場合に、それがこのデジタルビデオカメラのカードスロットに装着可能な種類のメモリーカードかどうかを判別する。そして、その判別結果に基づき表示制御を行う。すなわち、装着可能なメモリーカードであった場合には、その記録可能時間を表示することで、ユーザーに対して必要な情報のみを表示することができる。また、装着不可能な記録媒体または機器であった場合には何も表示を行わない(非表示にする)ことで、使用不可能な記録媒体や機器が使用可能であるようにユーザーが誤って捉えてしまうことを防ぐことが可能となっている。
【0039】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、記録再生装置としてのデジタルビデオカメラを使い、非接触通信機能を持ったメモリーカードあるいは機器がデジタルビデオカメラに近づけられた場合に、カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードであるか否かを判定する。そして、装着可能な種類のメモリーカードなければ、デジタルビデオカメラの液晶パネルにそのメモリーカードが使用できないことを警告表示する例を示す。
【0040】
本第2の実施形態でのデジタルビデオカメラおよび非接触通信機能を持ったメモリーカードの構成は第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0041】
図6は本第2の実施形態における記録再生装置としてのデジタルビデオカメラに非接触通信機能を持ったメモリーカードまたは機器を近づけた場合のデジタルビデオカメラのシステムコントローラ102の動作を表すフローチャートである。この処理は、操作部104より、記録モードもしくは再生モードにおいて、非接触通信機能をONにする操作を行った場合に実行されるものとする。
【0042】
ステップS601では、デジタルビデオカメラの非接触通信可能な範囲に非接触通信機能を持った機器や記録媒体が存在するかの確認を行う。そのため、ここではデジタルビデオカメラ内のアンテナ101に電流を流し、近傍の非接触通信可能な機器や記録媒体と通信可能な状態にする。結果、非接触通信機能を持った機器や記録媒体が存在すれば、ステップS602へ進む。存在しない場合には、再度ステップS601を繰り返す。
【0043】
ステップS602では、ステップS601で通信を行った際の通信強度を測定する。通信強度の測定方法に関しては非接触通信の方式に応じて様々な方法があるが、本発明ではこの方法については言及しない。
ステップS603では、ステップ602によって測定した通信強度が予めプログラムによって決められた一定値以上であるかどうかを判断する。一定値以上であった場合には、非接触通信機能を持った機器や記録媒体と安定した通信が可能であると判断し、ステップS604へと進む。通信強度が一定値に満たない場合は、安定した通信が不可能と判断し、ステップS601へと戻る。
【0044】
ステップS604では、非接触通信により、非接触通信機能を持った機器や記録媒体に対して、非接触通信可能なメモリーカードに対するメモリーカード情報の要求通信を行う。メモリーカード情報とは、メモリーカードのメモリーカード情報保持領域302に書き込まれているメモリーカードの種類、記憶容量、読み出し速度、書き込み速度を表す情報である。
【0045】
ステップS605では、ステップS604にてメモリーカード情報が受信できれば、その中のメモリーカードの種類を表す情報からデジタルビデオカメラのカードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードかどうかを判断する。カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードであった場合には、ここで終了となる。カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードでなかった場合、もしくはメモリーカード情報の受信自体が出来なかった場合には、このデジタルビデオカメラでは使用できないものであると判断しステップS606へと進む。
【0046】
ステップS606では、ステップS605にて、非接触通信を行った機器、記録媒体がカードスロット103に装着可能な種類のメモリーカード以外のものである、と判断されたため、ユーザーに使用不可能なものであることを警告する。本実施形態では、画像処理部104から入力される映像信号に「対応メモリーカードではありません」という警告文をビットマップ生成部106によってビットマップ画像として重畳する。重畳された映像信号は、映像出力端子107、液晶パネル108へと出力され、終了となる。
【0047】
図5(b)はこのデジタルビデオカメラのカードスロットに装着できない種類のメモリーカード、又はメモリーカード以外の非接触通信機能を持った機器が近づけられた場合の表示例である。図示の通り、「対応メモリーカードではありません」というメッセージを表示することで、ユーザーにその記録媒体、機器は使用できないことを通知している。
【0048】
以上、説明したように、本第2の実施形態の記録再生装置では、非接触通信機能を持った記録媒体または機器が近づけられた場合に、それがこのデジタルビデオカメラのカードスロットに装着可能な種類のメモリーカードかどうかを判別する。そして、装着可能なメモリーカードでなかった場合には警告メッセージを表示することで、使用不可能な記録媒体や機器が使用可能であるようにユーザーが誤って捉えてしまうことを防ぐことが可能となっている。
【0049】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、記録再生装置としてのデジタルビデオカメラを使い、非接触通信機能を持ったメモリーカードあるいは機器がデジタルビデオカメラに近づけられた場合に、カードスロットに装着可能な種類のメモリーカードであるか否かを判定する。また、デジタルビデオカメラが再生モードであるか記録モードであるかについても判定する。そして再生モードである場合には、カードの読込み速度が動画再生可能な速度以上の場合に動画のサムネイルを表示し、記録モードの場合にはカードの書き込み速度が動画記録可能な速度以上である場合に記録可能時間を表示する例を示す。
【0050】
第3の実施形態におけるデジタルビデオカメラおよび非接触通信機能を持ったメモリーカードの構成は第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
【0051】
図7は本第3の実施形態における記録再生装置としてのデジタルビデオカメラに非接触通信機能を持ったメモリーカードまたは機器を近づけた場合のデジタルビデオカメラのシステムコントローラ102の動作を表すフローチャートである。
【0052】
ステップS701では、デジタルビデオカメラの非接触通信可能な範囲に非接触通信機能を持った機器や記録媒体が存在するかの確認を行う。そのため、ここではデジタルビデオカメラ内のアンテナ101に電流を流し、近傍の非接触通信可能な機器や記録媒体と通信可能な状態にする。結果、非接触通信機能を持った機器や記録媒体が存在すれば、ステップS702へ進む。存在しない場合には、再度ステップS701を繰り返す。
【0053】
ステップS702では、ステップS701で通信を行った際の通信強度を測定する。通信強度の測定方法に関しては非接触通信の方式に応じて様々な方法があるが、本発明ではこの方法については言及しない。
【0054】
ステップS703では、ステップS702によって測定した通信強度が予めプログラムによって決められた一定値以上であるかどうかを判断する。一定値以上であった場合には、非接触通信機能を持った機器や記録媒体と安定した通信が可能であると判断し、ステップS704へと進む。通信強度が一定値に満たない場合は、安定した通信が不可能と判断し、ステップS701へと戻る。
【0055】
ステップS704では、非接触通信により、非接触通信機能を持った機器や記録媒体に対して、非接触通信可能なメモリーカードに対するメモリーカード情報の要求通信を行う。メモリーカード情報とは、メモリーカードのメモリーカード情報保持領域302に書き込まれているメモリーカードの種類、記憶容量、読み出し速度、書き込み速度を表す情報である。
【0056】
ステップS705では、ステップS704にてメモリーカード情報が受信できれば、その中のメモリーカードの種類を表す情報からデジタルビデオカメラのカードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードかどうかを判断する。カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードであった場合には、ステップS706へと進む。カードスロット103に装着可能な種類のメモリーカードでなかった場合、もしくはメモリーカード情報の受信自体が出来なかった場合には、このデジタルビデオカメラでは使用できないものであると判断しステップS716へと進む。
【0057】
ステップS706では、デジタルビデオカメラのモードが再生モードになっているかどうかを判定する。再生モードになっている場合にはステップS707へ、なっていない場合には記録モードになっていると判断し、ステップS711へと進む。
【0058】
ステップS707では、このデジタルカメラで再生可能な動画フォーマットの最低限必要なビットレートと、ステップS704にて得られた非接触通信を行ったメモリーカードの読み出し速度を比較する。そして、メモリーカードの読み出し速度が最低限必要なビットレート以上の場合には、このメモリーカードからの動画再生が可能であると判断し、ステップS708へと進む。メモリーカードの読み出し速度が最低限必要なビットレートより遅い場合には、このメモリーカードからの動画再生が不可能であると判断し、ステップS710へと進む。
【0059】
ステップS708に処理が進むのは、上記の通り、メモリカードから非接触通信で取得した機器情報が、
条件1:前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体であることを示し、
条件2:当該記憶媒体が前記接触通信手段による情報再生のために要求されるビットレート以上のアクセス速度を有することを示す、
の2つの条件を満たす場合である。
【0060】
そこで、ステップS708では、メモリーカードと非接触通信を行うことによって、メモリーカード内の最後に記録された動画像情報の先頭の1フレームのサムネイルを読み出し、ステップS709へと進む。
【0061】
ステップS709では、ステップS708で読み出したサムネイルを画像処理部105によって復号し、液晶パネル108によって表示、映像出力端子107に出力され、終了となる。このときの液晶パネルの表示例を図5(d)に示す。つまり、ユーザに、対して、このメモリカードをカードスロットに装着した場合に再生できる動画像を示すことができる。
【0062】
ステップS710では、ステップS707によってこのメモリーカードでは動画再生不可能であると判断されたため、ビットマップ生成部106によって「このカードでは再生できません」というメッセージを生成する。そそて、そのメッセージ(のビットマップ)を、液晶パネル108に表示、映像出力端子107に出力し、本処理を終了する。このときの液晶パネルの表示例を図5(e)に示す。
【0063】
ステップS711では、現在デジタルカメラに設定されている記録画質設定に必要なビットレートと、ステップS704にて得られた非接触通信を行ったメモリーカードの書き込み速度を比較する。そして、メモリーカードの書き込み速度が、現在の記録画質に必要なビットレート以上の場合には、このメモリーカードへの動画記録が可能であると判断し、ステップS712へと進む。また、メモリーカードの書き込み速度が必要なビットレートより遅い場合には、このメモリーカードへの動画記録が不可能であると判断し、ステップS715へと進む。
【0064】
ステップS712では、非接触通信によって、メモリーカードの通常記憶部301にアクセスし、ファイル管理情報の読込みを行い、残り記憶容量がどれだけあるかを取得し、ステップS713へと進む。
【0065】
ステップS713では、現在デジタルビデオカメラに設定されている記録画質設定の記録ビットレートとステップS712で取得したメモリーカードの残り記憶容量から、現在の記録画質設定での記録可能時間を算出する。
【0066】
ステップS714では、画像処理部104から入力される映像信号にステップS713で算出した記録可能時間をビットマップ生成部106によってビットマップ画像として重畳する。重畳された映像信号は、映像出力端子107、液晶パネル108へと出力され、終了となる。このときの液晶パネルの表示例を図5(a)に示す。
【0067】
ステップS715は、ステップS711によってこのメモリーカードでは動画記録不可能であると判断された場合の処理である。ここでは、ビットマップ生成部106によって「このカードでは記録できません」というメッセージを生成し、液晶パネル108に表示、映像出力端子107に出力し、本処理を終了する。このときの液晶パネルの表示例を図5(c)に示す。
【0068】
ステップS716では、ステップS705にて、非接触通信を行った機器、記録媒体がカードスロット103に装着可能な種類のメモリーカード以外のものである、と判断されたため、ユーザーに使用不可能なものであることを警告する。本第3の実施形態では、画像処理部から出力される映像信号に「対応メモリーカードではありません」という警告文をビットマップ生成部106によってビットマップ画像として重畳する。重畳された映像信号は、映像出力端子107、液晶パネル108へと出力され、終了となる。このときの液晶パネルの表示例を図5(b)に示す。
【0069】
上記第1乃至第3の実施形態では、記録媒体の書込み速度によって動画記録不可能であることを判断した。この他にもSDカード等に具備されているメモリーカードのプロテクトスイッチが有効になっているか否かの情報を機器情報として、非接触通信によって取得しても良い。この場合、もしスイッチが書き込み不可能位置になっている場合には動画記録不可能であると判断し、それを表示しても良い。
【0070】
また、本実施形態ではメモリーカードがデジタルビデオカメラに近づけられた場合に、記録可能および再生可能と判断されなかった場合、そのメモリーカードが使用できないことを警告メッセージ表示によって通知した。しかし、その場合には何も表示しないようにしても良い。
【0071】
また、実施形態では、カードスロットに装着できるメモリカードであっても、現在設定されている記録画質が要求するビットレートに満たない場合、そのメモリカードには記録できない旨を表示した。しかし、記録画質モードが複数存在し、その中に、そのメモリカードの書き込み速度以下の、記録画質があれば、その記録画質とその場合の記録可能時間を表示しても構わない。
【0072】
以上、説明したように、本実施形態によれば、記録再生装置に、非接触通信機能を持った記録媒体または機器が近づけられた場合に、その近づけられた非接触通信機能を持った記録媒体または機器がこのデジタルビデオカメラの機能を使用できる場合にのみ記録された動画のサムネイルや記録可能時間を表示する。この結果、ユーザーに必要な情報のみを提供することができる。このデジタルビデオカメラの機能を使用できない場合には警告メッセージを表示することで使用不可能な記録媒体や機器が使用可能であるようにユーザーが誤って捉えてしまうことを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施形態であるデジタルビデオカメラのブロック構成図である。
【図2】実施形態における非接触通信機能を持ったメモリーカードのブロック構成図である。
【図3】実施形態における非接触通信機能を持ったメモリーカードのメモリマップを示す図である。
【図4】第1の実施形態におけるデジタルビデオカメラのシステムコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図5】実施形態におけるデジタルビデオカメラの表示部への表示例を示す図である。
【図6】第2の実施形態におけるデジタルビデオカメラのシステムコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態におけるデジタルビデオカメラのシステムコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図8】実施形態におけるデジタルビデオカメラにメモリカードを近づける前と後の表示例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体と接触通信する接触通信手段と、該接触通信手段を介して前記記憶媒体に格納された情報を再生する再生手段とを有する情報再生装置であって、
近接型もしくは近傍型の非接触通信を行う非接触通信手段と、
前記非接触通信手段で通信可能になった通信相手機器から機器情報を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した機器情報が、前記通信相手機器が前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体を示しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づき、前記通信相手機器から取得した機器情報に基づく情報の表示、非表示を制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記機器情報で示される前記通信相手機器が、
条件1:前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体であることを示し、
条件2:当該記憶媒体が前記接触通信手段による情報再生のために要求されるビットレート以上のアクセス速度を有することを示す、
の上記条件1、2を満たす場合には、前記機器情報に基づき利用可を示す情報を表示し、
前記条件1を満たさない場合には非表示にする
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項3】
更に、前記条件1、2を満たし、前記記憶媒体内に再生すべき画像情報が存在する場合、前記画像情報のサムネイルを表示することを特徴とする請求項2に記載の情報再生装置。
【請求項4】
記憶媒体と接触通信する接触通信手段と、該接触通信手段を介して前記記憶媒体に格納された情報を再生もしくは情報の記録を行う記録再生手段とを有する情報記録再生装置であって、
近接型もしくは近傍型の非接触通信を行う非接触通信手段と、
前記非接触通信手段で通信可能になった通信相手機器から機器情報を取得する取得手段と、
該取得手段で取得した機器情報が、前記通信相手機器が前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体を示しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段の判定結果に基づき、前記通信相手機器から取得した機器情報に基づく情報の表示、非表示を制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記機器情報で示される前記通信相手機器が、
条件1:前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体であることを示し、
条件2:当該記憶媒体が前記接触通信手段による情報記録再生のために要求されるビットレート以上のアクセス速度を有することを示す、
の上記条件1、2を満たす場合には、前記機器情報に基づき利用可を示す情報を表示し、
前記条件1を満たさない場合には非表示にする
ことを特徴とする請求項4に記載の情報再生装置。
【請求項6】
更に、記録モード或いは再生モードのいずれであるかを判定するモード判定手段とを備え、
前記表示制御手段は、現在のモードが再生モードであって、前記記憶媒体が利用可である場合、前記記憶媒体に格納されている動画像情報のサムネイルを表示し、
前記表示制御手段は、現在のモードが記録モードであって、前記記憶媒体が利用可である場合、前記記憶媒体の空き容量に基づき、動画像の記録可能時間を表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報記録再生装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記非接触通信手段で通信し、利用可と判定された記憶媒体の空き容量と、前記接触通信手段で通信可の状態にある記憶媒体の空き容量の合計容量に基づき、前記記録可能時間を算出し、表示することを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置。
【請求項8】
更に撮像手段を有し、前記記録モードでは、前記撮像手段で撮像した動画像を前記接触通信手段を介して記憶媒体に記録することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項9】
記憶媒体と接触通信する接触通信手段と、該接触通信手段を介して前記記憶媒体に格納された情報を再生する再生手段と、近接型もしくは近傍型の非接触通信を行う非接触通信手段とを有する情報再生装置の制御方法であって、
前記非接触通信手段で通信可能になった通信相手機器から機器情報を取得する取得工程と、
該取得工程で取得した機器情報が、前記通信相手機器が前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体を示しているか否かを判定する判定工程と、
該判定工程の判定結果に基づき、前記通信相手機器から取得した機器情報に基づく情報の表示、非表示を制御する表示制御工程と
を備えることを特徴とする情報再生装置の制御方法。
【請求項10】
記憶媒体と接触通信する接触通信手段と、該接触通信手段を介して前記記憶媒体に格納された情報を再生もしくは情報の記録を行う記録再生手段と、近接型もしくは近傍型の非接触通信を行う非接触通信手段とを有する情報記録再生装置の制御方法であって、
前記非接触通信手段で通信可能になった通信相手機器から機器情報を取得する取得工程と、
該取得工程で取得した機器情報が、前記通信相手機器が前記接触通信手段を介して通信可能な種類の記憶媒体を示しているか否かを判定する判定工程と、
該判定工程の判定結果に基づき、前記通信相手機器から取得した機器情報に基づく情報の表示、非表示を制御する表示制御工程と
を備えることを特徴とする情報記録再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−56962(P2010−56962A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220499(P2008−220499)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】