説明

情報処理装置、コンテンツ提供システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラム

【課題】コンテンツの不正コピーを適切に抑止することができる新しい枠組みを提供する。
【解決手段】情報処理装置3aは、ユーザの指示に基づいて、コンテンツ提供サーバからコンテンツを取得する手段302とユーザ特定情報を取得する手段303とを有し、加えて、該取得したコンテンツに、該取得したユーザ特定情報を埋め込んで、上記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成する手段304と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの無断複製等の不正行為を抑止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画、ゲーム、及び音楽等のデジタルコンテンツをインターネット上で購入することができるサービスが普及している。このサービスでは、ユーザは、代金を支払って、コンテンツを自分のパソコンにダウンロードすることができる。このようなデジタルコンテンツは劣化を伴わずにコピーすることが容易なため、コンテンツ取得者による不正コピーが問題視されている。
【0003】
そこで、コンテンツの1次提供者(著作権者など)の情報を電子透かしとしてコンテンツに埋め込むことで、コンテンツの不正コピーを見破る技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方で、Peer To Peerネットワークを利用するファイル交換ソフトが普及している。このようなファイル交換ソフトを用いてPeer To Peerネットワークに投入されたコンテンツは事実上、ファイル交換ソフトの利用ユーザに共有される状態となり、コンテンツ提供者に利用料を支払うことなく取得することができるため、コンテンツがインターネット上を不正に流通する1つの要因となっている。
【特許文献1】特開2006−301334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子透かし技術では、不正コピーされたコンテンツの1次提供者を特定することはできるが、コンテンツを不正にコピーし、Peer To Peerネットワークへ投入するなどしてインターネット上に流出させたユーザを特定することはできないため、不正コピーに対する抑止力とはならない。
【0006】
そこで、本発明は、コンテンツの不正コピーを適切に抑止することができる新しい枠組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の情報処理装置は、ユーザの指示に基づいてコンテンツを取得する手段と、前記ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)を取得する手段と、前記取得したコンテンツに、前記取得したユーザ特定情報を埋め込んで、前記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成する手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の実施形態では、前記コンテンツ取得手段は、ユーザ認証が成功したことを条件にコンテンツ提供サーバからコンテンツを取得し、前記ユーザ特定情報を取得する手段は、前記ユーザ認証が成功したことを条件に前記コンテンツ提供サーバから前記ユーザ特定情報を取得するようにしてもよい。
【0009】
別の実施形態では、前記加工済コンテンツを生成する手段は、前記コンテンツのデジタル信号における所定位置のビット値に、前記取得したユーザ特定情報を表すビット値を加算又は減算することにより、該コンテンツにユーザ特定情報を埋め込むようにしてもよい。
【0010】
また別の実施形態では、前記ユーザ特定情報は、前記コンテンツの配信元で管理されているユーザID、乱数、前記情報処理装置を識別するための情報、及びコンテンツ配信回数のうち、少なくとも1つに基づいて決定されるようにしてもよい。
【0011】
さらにまた別の実施形態では、前記加工済コンテンツを生成する手段は、前記前記取得したユーザ特定情報に基づき該ユーザ特定情報の埋め込みルールを決定し、該決定した埋め込みルールに従って、前記取得したコンテンツに該ユーザ特定情報を埋め込むようにしてもよい。
【0012】
本発明のコンテンツ配信システムは、コンテンツ提供サーバと、該コンテンツ提供サーバと通信可能に構成された情報処理装置とを含み、前記情報処理装置は、ユーザの指示に基づいて、前記コンテンツ提供サーバからコンテンツを取得する手段と、前記コンテンツ提供サーバから、前記ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)を取得する手段と、前記取得したコンテンツに、前記取得したユーザ特定情報を埋め込んで、前記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成する手段と、を備え、前記コンテンツ提供サーバは、ユーザ認証に成功したことを条件に、前記情報処理装置にコンテンツを送信する手段と、ユーザ認証に成功したことを条件に、前記ユーザに関するユーザ特定情報を決定し、前記情報処理装置へ送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の情報処理方法は、ユーザの指示に基づいてコンテンツを取得するステップと、前記ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)を取得するステップと、前記取得したコンテンツに、前記取得したユーザ特定情報を埋め込んで、前記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明のコンピュータプログラムは、上記情報処理方法を情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0015】
なお、本発明において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段や装置(サーバを含む)が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されてもよいし、2つ以上の手段や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが取得し(例えば購入し)たコンテンツには、該ユーザに固有のユーザ特定情報が埋め込まれるため、この埋め込まれた情報に基づき、コンテンツの取得者を特定することができる。従って、コンテンツを取得したユーザには、そのコンテンツ(具体的には加工済コンテンツ)を不正にコピーしたり、不正コピーを行うおそれのある第三者へ譲渡することに対する抑止力が働くため、コンテンツが不正にコピーされない仕組みを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のコンテンツ配信システム1、情報処理装置3a〜c、情報処理方法、及びコンピュータプログラムに関する実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、実施形態のコンテンツ配信システム1の構成を示す。
【0019】
コンテンツ配信システム1は、互いに通信可能に構成された、コンテンツの視聴を希望するユーザが操作する情報処理装置3a〜cと、コンテンツの配信を行う事業者が運営するコンテンツ提供サーバ5とを含んで構成される。本システム1では、コンテンツ提供サーバ5から配信されるコンテンツをユーザが購入し、情報処理装置3a〜cを用いて受信すると、そのコンテンツ内に該ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)が埋め込まれ、該ユーザに固有の加工済コンテンツが生成される。
【0020】
本システム1では、通信回線として、例えばインターネットを利用することが考えられる。また、図では、情報処理装置3a〜cを3つ示しているが、1以上であれば幾つであってもよい。さらに、コンテンツ提供サーバ5についても、複数の装置に分散して構成されていてもよい。
【0021】
本実施形態において、ユーザ特定情報は、コンテンツを取得したユーザを一意に特定するためにコンテンツ提供サーバ5で決定され及び管理される。ユーザ特定情報の長さ(例えば、文字列長)は、固定であってもよいし、ユーザごとに可変であって(異なっていて)もよい。例えば、コンテンツ提供サーバ5で管理されているユーザのID(ユーザID)、乱数、情報処理装置3aを識別するための情報、コンテンツ配信回数のうち、少なくとも1つの情報に基づいてユーザ特定情報を決定することができる。上記情報処理装置3aを識別するための情報としては、例えば情報処理装置3a〜cにインストールされているOSそれぞれに割り当てられたID(GUID)を用いることが考えられる。また、コンテンツ配信回数とは、当該コンテンツがコンテンツ提供サーバ5から配信された回数(当該コンテンツを取得したユーザの数に等しく、従って当該コンテンツを何番目に取得したユーザであるかを示す。)である。
【0022】
コンテンツとしては、映画、アニメーション、演劇、又はコンサート等の映像に関する映像ストリームファイル、音楽やセミナー等の音声に関する音声ストリームファイル、及び画像ファイルなどが考えられる。
【0023】
図2は、情報処理装置3a〜cのハードウェア構成を示す。
【0024】
情報処理装置3a〜cは、中央処理装置(CPU)201、RAM202、ROM203、ハードディスクドライブ(HDD)204、ディスプレイ205、スピーカ206、入力装置207、通信装置208、メディアIF209、及びこれらを相互に接続するバスを用いて構成される。
【0025】
HDD204は、情報処理装置3a〜cの動作態様を規定するコンピュータプログラムや、生成された加工済コンテンツ等の情報を、利用者の指示に応じて格納する。
【0026】
ディスプレイ205は、再生された加工済コンテンツの映像等を表示する。ディスプレイとしては、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの任意の表示装置を用いることができる。
【0027】
スピーカ206は、再生された加工済コンテンツの音声を出力する。
【0028】
入力装置207としては、ユーザからの指示を受け付けるためのマウスやキーボードが考えられる。
【0029】
通信装置208は、情報処理装置3a〜cを無線通信又は有線通信可能に通信回線に接続するための装置(LANアダプタや無線LANカードなど)である。
【0030】
メディアIF209は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体との間でデータの読み込み及び書き込みを行うための装置である。
【0031】
なお、コンテンツ提供サーバ5については、CPU、RAM、ROM、HDD、ディスプレイ、入力装置(例えば、キーボード及びマウス)、及び通信装置(例えば、LANアダプタ)を備える一般的なコンピュータによって実現される。ここでは、コンテンツ提供サーバ5のハードウェア構成の図示を省略する。
【0032】
図3は、情報処理装置3aの構成を示す。
【0033】
なお、情報処理装置3a〜cの構成はいずれも共通であるため、ここでは情報処理装置3aについて説明する。
【0034】
本実施形態における情報処理装置3aは、コンテンツ提供サーバ5に対してユーザ認証を要求したり、該サーバ5からコンテンツ及びユーザ特定情報を取得して、そのコンテンツにユーザ特定情報を埋め込んでユーザ固有の加工済コンテンツを生成するなどの処理を行うために、HDD204に記録されている所定のプログラムをCPU201が実行することにより機能的に実現される各種の手段を備える。
【0035】
具体的には、データ再生装置3aは、
ユーザの指示に基づき、ユーザ認証を行うための情報(認証要求情報)として、ユーザID及びパスワード等をコンテンツ提供サーバ5へ送信する認証要求手段301と、
ユーザ認証が成功したことを条件に、ユーザの指示に基づき、取得可能(配信可能)なコンテンツのリストをコンテンツ提供サーバ5から取得したり、コンテンツを指定する情報(指定情報)を該サーバ5へ送信したり、指定情報に対応するコンテンツを該サーバ5から取得するコンテンツ取得手段302と、
ユーザ認証が成功したことを条件に、コンテンツ提供サーバ5からユーザ特定情報を取得する特定情報取得手段303と、
ユーザ特定情報をコンテンツに埋め込むための所定のルール(埋め込みルール)に従って、コンテンツ提供サーバ5から取得したコンテンツにコンテンツ提供サーバ5から取得したユーザ特定情報を埋め込んでユーザに固有の加工済コンテンツを生成するとともに、該加工済コンテンツを記憶媒体(例えば、HDD204又はメディアIF209に接続したCD−RやDVD−Rなどの可搬型記憶媒体など)に格納するコンテンツ加工手段304と、
を備える。
【0036】
上記の各手段による情報処理の具体的な内容については、図6を参照して後述する。また、上記の各手段は、その一部又は全部の機能を有する処理装置(CPU201とは別のハードウェア)を設けることにより実現されてもよい。
【0037】
図4は、コンテンツ提供サーバ5の構成を示す。
【0038】
コンテンツ提供サーバ5は、情報処理装置3a〜cに対してユーザ特定情報及びコンテンツを送信するため、例えば、ROM又はHDDに記録されている所定のプログラムをCPUが実行することにより機能的に実現される各種の手段を備える。
【0039】
具体的には、コンテンツ提供サーバ5は、
情報処理装置3a〜cのいずれかから認証要求情報を取得したとき、これに応じてユーザ認証を行う認証処理手段501と、
認証要求情報を送信したユーザについてのユーザ認証に成功した場合に、該ユーザに関するユーザ特定情報を決定し、認証要求情報の送信元である情報処理装置(情報処理装置3a〜cのいずれか)へ送信する特定情報決定手段502と、
ユーザ認証に成功した場合に、配信可能なコンテンツのリストを表す情報を認証要求情報の送信元である情報処理装置へ送信したり、該情報処理装置から取得したコンテンツの指定情報に対応するコンテンツを該情報処理装置へ送信するコンテンツ送信手段503と、
コンテンツの配信状況を管理する配信管理手段504と、
を備える。
【0040】
上記の各手段による情報処理の具体的な内容については、図6を参照して後述する。また、上記の各手段は、その一部又は全部の機能を有する処理装置(CPUとは別のハードウェア)を設けることにより実現されてもよい。
【0041】
また、コンテンツ提供サーバ5は、上記の各手段による情報処理に用いられる各種の情報を格納するデータベースとして、
ユーザ認証に必要な情報を格納する認証情報DBと、
各ユーザに関する詳細な情報を格納するユーザ情報DBと、
コンテンツを格納するコンテンツDBと、
コンテンツの配信履歴情報を格納する配信履歴DBと、
を備える。
【0042】
これらのDBは、例えば、コンテンツ提供サーバ5のHDD204内に格納される。
【0043】
図5は、コンテンツ提供サーバ5に備えられている各DBのデータ構造を示す。
【0044】
(A)の認証情報DBは、ユーザ認証を行うのに必要な情報(認証情報)として、ユーザIDとパスワードとを対応付けて格納する。これらのユーザID及びパスワードは、例えば、本システム1においてコンテンツの取得を希望するユーザが、本システム1の管理者が運営するインターネット上のホームページへアクセスし、ユーザ登録を行うことにより該DBに格納される。
【0045】
(B)のユーザ情報DBは、上記ユーザ登録によって入力されるユーザの詳細な情報として、ユーザID、名前、住所、メールアドレス、及び電話番号を格納する。
【0046】
(C)のコンテンツDBは、コンテンツ提供サーバ5が配信する又は過去に配信したコンテンツと、コンテンツIDとを対応付けて格納する。
【0047】
(D)の配信履歴DBは、コンテンツ提供サーバ5から情報処理装置3a〜cに送信されたコンテンツごとに、コンテンツの配信履歴情報として、配信日時と、コンテンツIDと、送信先であるユーザのIDと、該ユーザへ送信されたユーザ特定情報とを対応付けて格納する。なお、図に示す例では、ユーザ特定情報をコンテンツに埋め込むための埋め込みルールを表す情報(例えば、本実施形態で用いる埋め込みルールを表す後述の記号「R1」など。)も格納されている。
【0048】
図6は、情報処理装置3a及びコンテンツ提供サーバ5による情報処理の流れを表すフローチャートである。以下、この図を参照して、かかる情報処理の流れを説明する。なお、他の情報処理装置3b,3cによる情報処理の内容については、以下と同様なため、説明を省略する。また、本明細書において、フローチャート等に示す各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0049】
情報処理装置3aの認証要求手段301は、ユーザの指示に基づいて、ユーザID及びパスワードを認証要求情報としてコンテンツ提供サーバ5へ送信する(ST101)。なお、本実施形態では、コンテンツ提供サーバ5において、当該ユーザについてのユーザ登録が完了しているものとする。
【0050】
コンテンツ提供サーバ5の認証処理手段501は、情報処理装置3aから認証要求情報を受信すると(ST102)、認証情報DBを参照し、受信した認証要求情報と認証情報DB内のデータとを照合することにより、ユーザ認証を行う(ST103)。
【0051】
認証処理手段501は、ユーザ認証に成功したかどうかを判断し(ST104)、認証に失敗した場合は、その旨を表すメッセージを情報処理装置3aへ送信する(ST105)。
【0052】
情報処理装置3aの認証要求手段301は、コンテンツ提供サーバ5から認証に失敗した旨を表すメッセージを受信すると(ST106)、そのメッセージをディスプレイ205に表示する(ST107)。
【0053】
一方、認証に成功した場合は、配信可能なコンテンツのリスト(コンテンツリスト)をコンテンツDBから取得し(ST108)、該取得したコンテンツリストを情報処理装置3aへ送信する(ST109)。
【0054】
情報処理装置3aのコンテンツ取得手段502は、コンテンツ提供サーバ5からコンテンツリストを受信すると(ST110)、該コンテンツリストをユーザに提示し(例えばディスプレイ205に表示し)(ST111)、ユーザに対してコンテンツの指定を促す。
【0055】
コンテンツ取得手段502は、ユーザがコンテンツを指定すると、これに基づきコンテンツを指定する情報(指定情報)をコンテンツ提供サーバ5へ送信する(ST112)。
【0056】
コンテンツ提供サーバ5の特定情報決定手段502は、情報処理装置3aからコンテンツの指定情報を受信すると(ST113)、該指定情報の送信元であるユーザ(ST103でユーザ認証に成功したユーザ)を特定するためのユーザ特定情報を決定し(ST114)、情報処理装置3aへ送信する(ST115)。
【0057】
ユーザ特定情報は、例えば、ユーザ認証(ST103)に用いたユーザID、コンテンツ提供サーバ5で生成する乱数、情報処理装置3aを識別するための情報(例えば、該装置3aにインストールされているOSが発行する該装置3aに固有のID(GUID)を取得可能な場合はGUIDなど)、コンテンツ配信回数(例えば、コンテンツ提供サーバ5から当該コンテンツ(同一のコンテンツ)が配信(送信)された回数)のうち、少なくとも1つの情報に基づいて決定される。
【0058】
なお、ここでは、ユーザ認証(ST103)に用いたユーザIDを、例えばユーザ情報DBから取得して、当該ユーザに関するユーザ特定情報として決定するものとする。
【0059】
情報処理装置3aの特定情報取得手段303が、コンテンツ提供サーバ5から送信されたユーザ特定情報を取得(受信)すると(ST116)、情報処理装置3aは、コンテンツ提供サーバ5からコンテンツを受信するまで待機する。
【0060】
一方、コンテンツ提供サーバ5では、特定情報決定手段502がユーザ特定情報を送信すると、コンテンツ送信手段503は、ST113で受信した指定情報に対応するコンテンツをコンテンツDB内で検索して取得し(ST117)、情報処理装置3aへ送信する(ST118)。
【0061】
ST118で情報処理装置3aへコンテンツが送信されると、コンテンツ提供サーバ5の配信管理手段504は、配信日時と、コンテンツIDと、ユーザIDと、ユーザ特定情報とを対応付けて、これらを配信履歴情報として配信履歴DBに格納する(ST119)。なお、ユーザ特定情報をコンテンツに埋め込むための埋め込みルールを表す情報については、情報処理装置3aから受信したときに配信履歴DBに格納される。
【0062】
一方、情報処理装置3aでは、コンテンツ取得手段302がコンテンツ提供サーバ5からコンテンツを受信すると(ST120)、コンテンツ加工手段304は、所定の埋め込みルールに従って、ST120で受信したコンテンツに、ST116で受信したユーザ特定情報を埋め込んで、ユーザに固有の加工済コンテンツを生成し(ST121)、記憶媒体(例えばHDD204)に格納すし(ST122)、処理を終了する。加工済コンテンツの生成処理(ST121)及び埋め込みルールの詳細については、図7及び図8を参照して後述する。
【0063】
図7は、加工済コンテンツの生成処理(図6のST121)の詳細な内容を表すフローチャートである。
【0064】
まず、コンテンツ加工手段304は、コンテンツ提供サーバ5から取得したユーザ特定情報(ユーザID)を2進数で表現した場合の各ビット値Bn(n(1≦n≦m)は、ユーザ特定情報を構成するビットの先頭からの順番、mはユーザ特定情報を表すビットの個数を表す。)を取得する(ST201)。
【0065】
次に、コンテンツ加工手段304は、各ビット値Bnに所定の値bn(bn≠0)を割り当てる(ST202)。例えば、Bn=0の場合はbn=1、Bn=1の場合はbn=2のように割り当てることが考えられる。
【0066】
そして、コンテンツ加工手段304は、コンテンツ提供サーバ5から取得したコンテンツのデジタル信号(例えばオーディオデータ)を先頭から解析し、図8に示すように、例えば上に凸のピーク値Pのうち、bn-1番目のピーク値Pn-1(b0番目及びP0はコンテンツの先頭を示すものとする。)からbn番目に位置するピーク値Pn及びその位置のアドレス値(例えば、先頭から何ビット目か)を、ユーザ特定情報のビット数分(m個)取得する(ST203)。なお、m個のピーク値P1〜Pmのうち最大値に達しているものがある場合、そのピーク値の次のピーク値及びアドレス値を取得してもよい。
【0067】
例えば、ユーザ特定情報を2進数で表現したビット列が(1,0,0,1,0)である場合を考える。この場合、コンテンツのデジタル信号における上に凸のピーク値Pのうち、5個のピーク値(2番目のピーク値P1、3番目のピーク値P2、4番目のピーク値P3、6番目のピーク値P4、7番目のピーク値P5)及びこれらのアドレス値を取得する。
【0068】
そして、コンテンツ加工手段304は、下記の式により、ST203で取得したm個の各ピーク値P1〜Pmに、所定の補正値αn(ここでは、各ピーク値P1〜Pmに対応するビットに割り当てられている値b1〜bm)を加算して、加工済ピーク値P'1〜P'mに書き換える(ST204)。
【0069】
P'n=Pn+αn
なお、各ピーク値P1〜Pmからb1〜bmを減算してもよいし、各ピーク値P1〜Pmに加算又は減算する補正値αnは、対応するビットに割り当てられている値b1〜bmではなく、所定値以下の固定値又はランダム値でもよい。
【0070】
本実施形態では、上記のようにピーク値Pnが加工済ピーク値P'nに書き換えられているコンテンツのことを、加工済コンテンツというものとする。
【0071】
本システム1を利用してコンテンツを取得する場合、コンテンツ提供サーバ5から送信されるコンテンツがそのまま記憶媒体に格納されるのではなく、該ユーザに関するユーザ特定情報が埋め込まれた、該ユーザに固有の加工済コンテンツが記憶媒体に格納されることになる。従って、コンテンツを取得したユーザが、そのコンテンツ(具体的には加工済コンテンツ)を不正にコピーし、ファイル交換ソフトやネットオークション等を利用して流通させた場合、その加工済コンテンツを解析してユーザ特定情報を抽出することにより、流出源である上記ユーザを特定することができる。
【0072】
これにより、本システム1を利用してコンテンツを取得したユーザには、当該コンテンツを不正にコピーしてインターネット上へ不正流出させたり、不正にコピーするおそれのある第三者へ譲渡することに対する抑止力が働くため、コンテンツが不正にコピーされない枠組みを実現することができる。
【0073】
なお、加工済コンテンツからユーザ特定情報を抽出する方法としては、加工済コンテンツとオリジナルのコンテンツとを比較し、信号の値の異なる位置を見つけ、その位置の間隔に基づいてユーザ特定情報を求めることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下のように、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
[変形例]
上記実施形態では、コンテンツへのユーザ特定情報の埋め込み位置は、該ユーザ特定情報に基づき決定されるが、コンテンツごとに一定の位置にユーザ特定情報を埋め込んでもよい。
【0076】
以下、埋め込みルールの変形例を、図9を参照して説明する。なお、ユーザ特定情報はm個のビットで構成されており、各ビット値をBn(n(1≦n≦m)は、ユーザ特定情報を構成するビットの先頭からの順番を表す。)とし、各ビット値Bnには所定の値bn(bn≠0)が割り当てられ(例えば、Bn=0の場合はbn=1、Bn=1の場合はbn=2のように割り当てられ)ているものとする。
【0077】
例えば、コンテンツ加工手段304は、図9(A)に示すように、コンテンツのオーディデータについて、m個のデータS1〜Smをサンプリングする。これらのデータは、例えば、オーディオデータの先頭から等間隔に取得することが考えられる。そして、各サンプリングデータS1〜Smとユーザ特定情報を表す各ビットとを、それらの並び順で対応付けたうえで、各サンプリングデータS1〜Smに、対応するビットに割り当てられた値b1〜bmを加算又は減算することにより、コンテンツにユーザ特定情報を埋め込むようにしてもよい。この埋め込みルールをR2とする。
【0078】
或いは、コンテンツ加工手段304は、図9(B)に示すように、コンテンツのオーディオデータのピーク値のうち、上に凸のピーク値Pを大きいものから順にm個取得する。そして、該取得したm個のピーク値P1〜Pmに、ユーザ特定情報を表す各ビットを、その並び順で1つずつ対応付け、各ピーク値Pnに、対応するビットに割り当てられた値bnを加算又は減算することにより、コンテンツにユーザ特定情報を埋め込むようにしてもよい。なお、この場合、下に凸のピーク値を小さいものから順にm個取得してもよいし、上に凸であるか下に凸であるかにかかわらず、ピーク値を絶対値が大きいものから順にm個取得してもよいし、さらには、コンテンツの先頭からピーク値をm個取得してもよい。この埋め込みルールをR3とする。
【0079】
また、情報処理装置3a〜cのコンテンツ加工手段304は、埋め込みルールR3を用いる場合、コンテンツ提供サーバ5から取得したコンテンツを記憶媒体(RAM202やHDD204など)に一旦格納してから加工済コンテンツを生成すればよい。一方、コンテンツ提供サーバ5について、コンテンツのデータのうち上に凸のピーク値及びそのアドレス値を表す情報を予め保持し、コンテンツとともに情報処理装置3a〜cへ送信するように構成しておくことにより、情報処理装置3a〜cは、コンテンツを受信しながら加工済コンテンツを生成することができる。
【0080】
また別の例として、コンテンツ加工手段304は、図9(C)に示すように、コンテンツのオーディオデータを構成する各ビットのビット値と所定の閾値(例えば、オーディオデータを表す全ビット値の平均値)とを比較し、閾値に下から達した位置(例えばアドレス値)のデータCnをコンテンツの先頭からm個取得する。そして、該取得したm個のデータC1〜Cmとユーザ特定情報を表す各ビットとを、それらの並び順で対応付けたうえで、各データC1〜Cmに、対応するビットに割り当てられた値b1〜bmを加算又は減算することにより、コンテンツにユーザ特定情報を埋め込むようにしてもよい。なお、この場合、アドレス値の取得方法については、コンテンツの末尾から取得するという方法でもよいし、アドレス値の種類については、閾値に上から達した位置のアドレス値でもよい。この埋め込みルールをR4とする。
【0081】
さらに別の例として、図9(B)で説明した埋め込みルールのうち、コンテンツの先頭からピーク値をm個取得するというルール(R5とする)や、図9(C)で説明したルールについては、コンテンツの先頭から末尾まで繰り返し適用してもよい(R6とする)。
【0082】
またさらに別の例として、前述の実施形態(図7のST201〜204)で説明した埋め込みルールをR1とし、6種類の埋め込みルールR1〜6の中からユーザ特定情報に基づいて1つを決定して適用するように構成してもよい。埋め込みルールの決定方法としては、例えば、予めR1〜R6に0〜5の番号を割り当てたうえで、ユーザ特定情報を構成する文字等のコードを合計し、かかる合計値を埋め込みルールの数(ここでは、6)で除算した場合の余り(ここでは、0〜5)に対応するルールを決定することが考えられる。
【0083】
或いは、埋め込みルールR1〜6のいずれかをランダムに選択するようにしてもよい。この場合、情報処理装置3a〜cについては、埋め込みルールを表す情報(例えば、選択した埋め込みルールの番号など)をコンテンツ提供サーバ5へ送信するように構成しておき、コンテンツ提供サーバ5については、受信した埋め込みルールを表わす情報を配信履歴DBの所定レコードに格納するように構成しておくのがよい。
【0084】
上記の例では、ユーザ特定情報に基づいて又はランダムに埋め込みルールが決まるので、適用される埋め込みルールがユーザごとに異なる。これにより、一定のルールに従ってユーザ特定情報を埋め込む場合と比較して、第三者がコンテンツに埋め込まれたユーザ特定情報を解読したり、さらには別の情報に書き換えることが各段に難しくなるため、なりすましを防止することができる。
【0085】
また、ユーザ特定情報については、情報処理装置3a〜3cの特定情報取得手段303が決定してもよい。この場合、決定したユーザ特定情報を、埋め込みルールの一部としてコンテンツ提供サーバ5へ通知するように構成するのがよい。
【0086】
埋め込みルールについては、コンテンツ提供サーバ5で決定し、情報処理装置3a〜3cへ通知するようにしてもよい。この場合、情報処理装置3a〜3cから該サーバ5へ埋め込みルールを通知する必要がない。
【0087】
コンテンツについては、CD−ROMやDVD−ROMなどの可搬型記憶媒体から取得する(読み込む)ようにしてもよい。これにより、可搬型記憶媒体から取得したコンテンツをファイル交換ソフト等を用いて流通させる場合についても、流通源となるユーザを特定することができるため、不正コピーを抑制することができる。
【0088】
コンテンツ提供サーバ5では、ユーザ登録の際に、ユーザから取得したクレジットカード番号を例えばユーザ情報DBに格納することにより、周知の方法で、コンテンツの配信に伴うサービス利用料を徴収する(実際にはクレジット会社にサービス利用料を建て替えてもらう)ように構成することができる。
【0089】
前述の実施形態及び各変形例において、情報処理装置3a〜3cが備える各手段は、一又は複数の手段にまとめて構成されていてもよいし、更に細分化されていてもよい。
【0090】
前述の実施形態及び各変形例においては、コンテンツ提供サーバ5は、ユーザ認証を行う機能、ユーザ特定情報を決定する機能、指定情報に対応するコンテンツを送信する機能、及び配信履歴情報を管理する機能を備える一つの装置として構成されているが、全体としてこれらの機能を有していれば足り、コンテンツ提供サーバ5は通信回線上で分散された複数の装置により構成されてもよい。
【0091】
また、コンテンツのデータ(例えばオーディオデータ)に画像データを埋め込んでおき、該コンテンツ(実際には加工済コンテンツ)を再生した場合に、その画像データがディスプレイ205上に表示されたり、記憶媒体に保存されるようにしてもよい。或いは、コンテンツのデータに、そのコンテンツに関連するホームページのURLを埋め込んでおき、該コンテンツを再生した場合に、そのホームページがディスプレイ205上に表示されるようにしてもよい。
【0092】
また、情報処理装置3a〜cの認証要求手段301は、予めユーザIDとパスワードが埋め込まれたデータ(オーディオデータや画像データなど)を、認証要求情報としてコンテンツ提供サーバ5へ送信するようにしてもよい。この場合、コンテンツ提供サーバ5は、受信したデータからユーザIDとパスワードを抽出してユーザ認証を行えばよい。
【0093】
また、情報処理装置3a〜cにコンテンツの再生回数(音楽コンテンツの場合は、楽曲単位又はアルバム単位)をカウントする機能、及びカウントした再生回数をコンテンツ提供サーバ5へ通知する機能を持たせてもよい。これにより、コンテンツ提供サーバ5では、再生回数を集計し、コンテンツの利用料を課金(従量課金)するなど、2次利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態のコンテンツ配信システムの構成を示す図。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】情報処理装置の構成を示す図。
【図4】コンテンツ提供サーバの構成を示す図。
【図5】コンテンツ提供サーバに備えられている各DBのデータ構造を示す図。
【図6】情報処理装置及びコンテンツ提供サーバによる情報処理の流れを表すフローチャート。
【図7】加工済コンテンツの生成処理(図6のST120)の詳細な内容を表すフローチャート。
【図8】実施形態で用いた、コンテンツへのユーザ特定情報の埋め込みルールを示す図。
【図9】コンテンツへのユーザ特定情報の埋め込みルールの変形例を示す図。
【符号の説明】
【0095】
1 コンテンツ配信システム
3a〜c 情報処理装置
5 コンテンツ提供サーバ
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 HDD
205 ディスプレイ
206 スピーカ
207 入力装置
208 通信装置
209 メディアIF
301 認証要求手段
302 コンテンツ取得手段
303 特定情報取得手段
304 コンテンツ加工手段
501 認証処理手段
502 特定情報決定手段
503 コンテンツ送信手段
504 配信管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指示に基づいてコンテンツを取得する手段と、
前記ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)を取得する手段と、
前記取得したコンテンツに、前記取得したユーザ特定情報を埋め込んで、前記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成する手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記コンテンツ取得手段は、ユーザ認証が成功したことを条件にコンテンツ提供サーバからコンテンツを取得し、
前記ユーザ特定情報を取得する手段は、前記ユーザ認証が成功したことを条件に前記コンテンツ提供サーバから前記ユーザ特定情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記加工済コンテンツを生成する手段は、前記コンテンツのデジタル信号における所定位置のビット値に、前記取得したユーザ特定情報を表すビット値を加算又は減算することにより、該コンテンツにユーザ特定情報を埋め込む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ特定情報は、前記コンテンツの配信元で管理されているユーザID、乱数、前記情報処理装置を識別するための情報、及びコンテンツ配信回数のうち、少なくとも1つに基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記加工済コンテンツを生成する手段は、前記前記取得したユーザ特定情報に基づき該ユーザ特定情報の埋め込みルールを決定し、該決定した埋め込みルールに従って、前記取得したコンテンツに該ユーザ特定情報を埋め込む、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンテンツ提供サーバと、該コンテンツ提供サーバと通信可能に構成された情報処理装置とを含むコンテンツ配信システムであって、
前記情報処理装置は、
ユーザの指示に基づいて、前記コンテンツ提供サーバからコンテンツを取得する手段と、
前記コンテンツ提供サーバから、前記ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)を取得する手段と、
前記取得したコンテンツに、前記取得したユーザ特定情報を埋め込んで、前記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成する手段と、を備え、
前記コンテンツ提供サーバは、
ユーザ認証に成功したことを条件に、前記情報処理装置にコンテンツを送信する手段と、
ユーザ認証に成功したことを条件に、前記ユーザに関するユーザ特定情報を決定し、前記情報処理装置へ送信する手段と、を備える、
ことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項7】
ユーザの指示に基づいてコンテンツを取得するステップと、
前記ユーザを特定するための情報(ユーザ特定情報)を取得するステップと、
前記取得したコンテンツに、前記取得したユーザ特定情報を埋め込んで、前記ユーザに固有の加工済コンテンツを生成するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法を情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−157068(P2010−157068A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334511(P2008−334511)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(500212952)ヴィジョネア株式会社 (16)
【出願人】(397019380)株式会社ポニーキャニオン (1)
【Fターム(参考)】