説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】 突発的な事象を記録する目的の装置に関し、映像データを長時間記録できるようにする。
【解決手段】 情報処理装置30では、通信制御部41が、カメラ11の撮影映像を表す映像データを、監視装置10から取得する。解析部45は、通信制御部41が監視装置10から取得した映像データを解析し、撮影された映像の変化を検出する。一方、記録制御部43は、解析部にて映像変化(物体の運動や色の変化)が検出されない場合、通信制御部が取得した映像データを、バッファ49に書き込む。また、記録制御部43は、解析部にて映像変化が検出されると、変化が検出された映像データと共に、それより過去の映像データであって、バッファに格納されている所定量の映像データをバッファから取得し、これをハードディスク装置33に書き込む。また、検出以後、所定時間、通信制御部が受信した映像データを、ハードディスク装置に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを記録する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、映像データを記録する情報処理装置としては、監視対象を撮影するカメラから入力される映像信号を、画像データに変換し、これをメモリに蓄積する情報処理装置が知られている。また、この種の情報処理装置としては、メモリに蓄積した画像データを解析して、カメラの視野内に物体が侵入したことを検出し、物体が侵入した場合には、警告灯を点灯させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その他、記録媒体としては、揮発性メモリ、フラッシュメモリ等のデータ書換可能な不揮発性メモリ、磁気記録型のハードディスク装置等が知られ、上記情報処理装置としては、揮発性メモリに映像データを記録するものや、ハードディスク装置に映像データを記録するもの等が知られている。また、犯罪が発生した場合の証拠を記録する等、突発的な事象を記録するための情報処理装置としては、ハードディスク装置に、常時映像データを記録して、映像データを長期保存するものが知られている。
【特許文献1】特開2005−50382
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来装置では、突発的な事象を記録するために、継続的に映像データをハードディスク装置に保存するため、突発的な事象のみを選択的に確認したい場合、ユーザは、ハードディスク装置に保存された映像データの中から、確認の必要な映像を探し出す必要があった。即ち、従来では、必要な映像を探し出すのに、多大な労力がかかるといった問題があった。
【0005】
その他、従来装置では、突発的な事象を記録するために、常時ハードディスク装置に映像データを記録するため、記憶容量の制約により、十分に長い時間、映像データを記録することができないといった問題があった。また、大容量のハードディスク装置を用いると、記録時間を長くすることができるが、この場合には、製品の製造コストが高くつくといった問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、突発的な事象の撮影映像を、ユーザが容易に探し出すことができるように、映像データを記録する技術を提供することを第一の目的とする。また、映像データを記録可能な期間を、安価に向上させることが可能な技術を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の情報処理装置は、
揮発性の記憶手段と、
データ書換可能な不揮発性の記憶手段と、
撮影装置によって撮影された映像を表す映像データを、前記撮影装置から取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した映像データを、前記揮発性の記憶手段に一時記憶させる蓄積手段と、
前記データ取得手段が取得した映像データに基づき、前記撮影装置によって撮影された映像の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記映像の変化が検出されると、前記揮発性の記憶手段が記憶する前記変化前の映像を表す映像データを、前記揮発性の記憶手段から取得し、この映像データを、前記不揮発性の記憶手段に記憶させると共に、前記データ取得手段が取得した映像データであって前記変化後の所定期間内に撮影された映像を表す映像データを、前記不揮発性の記憶手段に記憶させる書込手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の情報処理装置は、
データ書換可能な不揮発性の記憶手段と、
撮影装置によって撮影された映像を表す映像データを、前記撮影装置から取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した映像データに基づき、前記撮影装置によって撮影された映像の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記データ取得手段が取得した映像データであって前記映像の変化時点から所定期間内に撮影された映像を表す映像データを、予め定められた第一のビットレートにて前記不揮発性の記憶手段に記憶させると共に、前記データ取得手段が取得した映像データであって前記所定期間外に撮影された映像を表す映像データを、前記第一のビットレートより低い第二のビットレートにて、前記不揮発性の記憶手段に記憶させる書込手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の情報処理装置は、
ユーザが操作可能な操作手段から入力されるユーザからの指示に基づき、前記映像データを構成するフレームにおける前記映像の変化の検出領域を、設定する領域設定手段、
を備え、
前記検出手段は、前記領域設定手段により設定された検出領域内において、前記映像の変化を検出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載のプログラムは、請求項1記載の情報処理装置における前記データ取得手段、前記蓄積手段、前記検出手段、及び、前記書込手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0011】
その他、請求項5記載のプログラムは、請求項2記載の情報処理装置における前記データ取得手段、前記検出手段、及び、前記書込手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の情報処理装置によれば、撮影装置から取得した映像データを一時記憶し、映像データが示す映像に変化が生じた場合、変化前後の所定量の映像データを選択的に、不揮発性の記憶手段に記憶させるため、ユーザは、後に映像を確認する際に、突発的な事象の映像を簡単に探し出すことができる。即ち、従来装置では、継続的に映像データを記録するため、突発的な事象の映像を確認する際などには、映像を早送りするなどして、対応する映像を、探し出す必要があったが、本発明の情報処理装置では、突発的に生じる事象の映像を、選択的に不揮発性の記憶手段に記憶させることができるので、ユーザの上記作業を緩和することができる。
【0013】
また、本発明の情報処理装置では、突発的な事象を表す映像データを、選択的に不揮発性の記憶手段に記憶させることができるので、不揮発性の記憶手段の記憶容量を大きくしなくても、映像の記録時間(映像データを記録可能な期間)を、従来と比較して長くすることができる。従って、この発明によれば、突発的な事象を記録する目的の情報処理装置に関し、映像データを長時間記録可能な製品を、安価に製造することができる。
【0014】
また、請求項2記載の情報処理装置では、継続的に映像データを記録するが、ビットレートの調整(例えば、1秒間当たりのフレーム数の調整)によって、映像変化後の所定期間以外の映像データの量を小さくして記録するので、記憶手段の記憶容量を大きくしなくても、従来と比較して長時間、映像データを記録することができる。従って、この発明によれば、突発的な事象を記録する目的の情報処理装置に関し、映像データを長時間記録可能な製品を、安価に製造することができる。
【0015】
尚、検出手段は、フレーム(撮影装置が撮影する領域)の全体を検出対象として、映像の変化を検出する構成にされてもよいが、一部の領域のみを検出対象とする構成されると便利である。請求項3記載の情報処理装置によれば、フレームの一部領域のみを、検出領域に設定することができるので、風による揺動等の些細な映像の変化が検出手段により検出されてしまうのを緩和することができる。従って、この発明によれば、重要でない映像データの不揮発性の記憶手段への記録によって、映像データを記録可能な期間が短くなってしまうのを防止することができる。
【0016】
その他、請求項4記載のプログラムによれば、コンピュータに、請求項1記載の情報処理装置としての機能を実現させることができ、請求項5記載のプログラムによれば、コンピュータに、請求項2記載の情報処理装置としての機能を実現させることができる。尚、上記プログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD等の記録媒体に記録して、ユーザに提供されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された監視システム1の構成を表す説明図である。
本実施例の監視システム1は、監視対象を撮影する監視装置10と、映像記録・出力用の情報処理装置30と、この情報処理装置30と通信ケーブルLNを介して接続された無線通信装置50と、からなる。
【0018】
監視装置10は、監視対象を撮影するカメラ11と、カメラ11から入力されるアナログの映像信号を、ディジタル映像データに変換するディジタル変換部13と、通信制御部15と、情報処理装置30に接続された無線通信装置50と無線通信可能な無線通信回路部17と、を備える。
【0019】
通信制御部15は、ディジタル変換部13から入力されるディジタル映像データと、情報処理装置30のアドレスを記した送信先情報と、を格納した送信データを生成して、これを、無線通信回路部17に入力する。一方、無線通信回路部17は、通信制御部15から入力される送信データを重畳させた無線信号を、アンテナから出力する。尚、無線通信方式としては、周知のIEEE802.11x規格を採用することができ、通信プロトコルとしては、インターネットプロトコルを採用することができる。
【0020】
また、ディジタル変換部13は、周知のMPEG(Moving Picture Expert Group)方式にて、カメラ11からの入力信号を符号化し、所定フレームサイズ(解像度)のディジタル映像データを生成・出力する構成にされている。周知のように、MPEG方式では、静止画像データとしてのフレームを、時系列に配置して動画像を表現し、ディジタル映像データを生成する。
【0021】
また、無線通信装置50は、監視装置10と無線通信可能な構成にされている。その他、情報処理装置30は、無線通信装置50と接続され、無線通信装置50と通信可能なインタフェース31と、ハードディスク装置33と、液晶ディスプレイ等からなる表示部35と、ユーザが操作可能なキーボードやポインティングデバイス等からなる入力部37と、図示しないCPU、ROM、RAM等から構成される制御部40と、を備える。
【0022】
制御部40は、ROMに記憶されたプログラムをCPUにて実行することによって、通信制御部41と、記録制御部43と、解析部45と、設定部47と、再生処理部48としての機能を実現する。また、メモリ制御プログラム及びRAMによって、バッファ49としての機能を実現する。
【0023】
通信制御部41は、当該情報処理装置30−監視装置10間でのディジタル映像データの授受を実現するものであり、無線通信装置50及びインタフェース31を介して外部装置から受信したデータが、監視装置10から送信されたディジタル映像データを含むものである場合、受信データからディジタル映像データを抽出し、これを記録制御部43に入力する。
【0024】
一方、再生処理部48は、記録制御部43の動作(詳細後述)にてハードディスク装置33に保存されたディジタル映像データを、入力部37からの再生指示に従って、再生処理し、そのディジタル映像データに基づく映像を、表示部35に出力するものである。
【0025】
その他、解析部45は、記録制御部43から入力されたディジタル映像データを、周知の手法で解析して、このディジタル映像データが表す映像に映し出された物体の運動(モーション)を検出するものである。この解析部45は、フレーム内の予め定められた領域(検出領域)において物体の運動を確認することができた場合にのみ、解析結果として、モーションを検出した旨の「モーション検出通知」を、記録制御部43に入力し、それ以外の場合には、モーションを検出できなかった旨の「モーション非検出通知」を、記録制御部43に入力する構成にされている。
【0026】
また、当該情報処理装置30においては、入力部37を通じてユーザから設定画面の表示指示が入力されると、設定部47が、図2に示す検出位置設定処理を実行し、ユーザからの指示に従って、ハードディスク装置33に保存された設定情報を更新する。図2は、設定部47により実現される検出位置設定処理を表すフローチャートであり、図3は、表示部35に表示される検出位置設定画面の構成を表す説明図である。
【0027】
設定部47は、検出位置設定処理を開始すると、現在の設定情報を、ハードディスク装置33から読み出し(S110)、この設定情報を反映させた検出位置設定画面を、表示部35に表示する(S120)。
【0028】
尚、設定情報は、N行N列の行列からなる。この設定情報は、フレームを縦横各N個のマス目状に分割した際の各区画に対応する要素の値を記したものである。この設定情報は、モーションの検出領域に対応する要素を、値「1」で示し、非検出領域に対応する要素を、値「0」で示す。
【0029】
また、検出位置設定画面は、図3に示すように、縦横各N個のマス目状に分割してなるフレームを示すGUI構成の設定画面である。この検出位置設定画面は、設定完了の旨を入力部37から入力するための完了ボタンを備える。また、この検出位置設定画面では、塗りつぶし表現にて、検出領域である区画が表示される。
【0030】
即ち、S120において、設定部47は、読み出した設定情報に基づき、値「1」の要素に対応する検出位置設定画面内の各区画を塗りつぶし、設定情報を反映させた検出位置設定画面を、表示部35に表示する。
【0031】
また、S120での処理を終えると、設定部47は、ユーザが入力部37を操作することによって、入力部37から操作情報が入力されるまで待機し、操作情報が入力されると、その操作情報に基づき、ユーザが完了ボタンの押下操作を行ったか否かを判断する(S130)。そして、押下操作を行っていないと判断すると(S130でNo)、S140に移行し、入力された操作情報に従って、表示中の検出位置設定画面を更新する。即ち、ユーザが検出領域である区画を選択操作した場合には、選択された区画の塗りつぶし表現を止めて、その区画を、非検出領域として示し、ユーザが非検出領域である区画を選択操作した場合には、その区画を塗りつぶし表現して、ユーザにより選択された区画を、検出領域として示す。このようにして検出位置設定画面を更新すると、設定部47は、再びS130に移行する。
【0032】
また、ユーザが完了ボタンの押下操作を行ったと判断すると(S130でYes)、設定部47は、現時点での検出位置設定画面の表示内容に従って、ハードディスク装置33内の設定情報を更新する(S150)。具体的には、塗りつぶし表現された区画に対応する要素を値「1」に変更し、塗りつぶし表現されていない区画に対応する要素を値「0」に更新する。そして、S150での処理を終了すると、検出位置設定画面の表示を終了し(S160)、当該検出位置設定処理を終了する。
【0033】
次に、解析部45について説明する。図4は、解析部45により実現される解析処理を表すフローチャートである。解析部45は、記録制御部43からディジタル映像データが入力されると、そのディジタル映像データについての解析処理を実行する。
【0034】
解析処理を開始すると、解析部45は、記録制御部43からの入力データ(ディジタル映像データ)を解析し(S210)、そのディジタル映像データが物体の運動を撮影した映像を表すディジタル映像データであるか否かを判断する(S220)。具体的には、ディジタル映像データを構成する各フレームを、その直前の映像を表すフレームと比較して、差分(画素を構成するディジタル値の差)を抽出し、この差分量に応じて、周知の方法で、撮影された物体が運動をしているか否かを判断する。
【0035】
そして、記録制御部43からの入力データが物体の運動を撮影した映像を表すディジタル映像データではないと判断すると(S220でNo)、解析結果として、モーションを検出できなかった旨の「モーション非検出通知」を、記録制御部43に入力する(S240)。その後、当該解析処理を終了する。
【0036】
一方、記録制御部43からの入力データが物体の運動を撮影した映像を表すディジタル映像データであると判断すると(S220でYes)、解析部45は、その物体の運動を確認することができた位置が、ハードディスク装置33に格納された設定情報が示す検出領域内であるか否かを判断し(S230)、検出領域内ではないと判断すると(S230でNo)、「モーション非検出通知」を、記録制御部43に入力する(S240)。これに対し、物体の運動を確認することができた位置が検出領域内であると判断すると(S230でYes)、S250に移行し、解析結果として、モーションを検出した旨の「モーション検出通知」を、記録制御部43に入力する。その後、当該解析処理を終了する。
【0037】
次に、記録制御部43の動作について説明する。図5は、記録制御部43によって実現される記録制御処理を表すフローチャートである。記録制御部43は、通信制御部41より、受信したディジタル映像データが入力されると図5に示す記録制御処理を実行する。
【0038】
記録制御処理を開始すると、記録制御部43は、通信制御部41から入力されたディジタル映像データ(通信制御部41が受信したディジタル映像データ)を、解析部45に入力して、上述したように解析部45に、そのディジタル映像データを解析させる。その後、解析部45から応答が得られるまで待機する(S310)。
【0039】
そして、応答が得られると、記録制御部43は、解析部45からの応答が「モーション検出通知」か、それとも「モーション非検出通知」であるかを判断し(S320)、解析部45からの応答が「モーション非検出通知」であると判断すると(S320でNo)、通信制御部41から入力された上記ディジタル映像データを、バッファ49に書き込む(S330)。その後、当該記録制御処理を終了する。尚、バッファ49は、所定量のディジタル映像データ(数秒から数分程度の映像に対応するディジタル映像データ)を記憶可能なリングバッファとして構成されている。
【0040】
一方、記録制御部43は、解析部45からの応答が「モーション検出通知」であると判断すると(S320でYes)、S340に移行して、バッファ49に蓄積されたディジタル映像データの全てを取り出し、取り出したディジタル映像データに、上記解析部45に入力した物体の運動が撮影された映像を表すディジタル映像データを付加する。そして、付加後のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む(S350)。
【0041】
尚、前回の記録制御処理でハードディスク装置33に対するディジタル映像データの書込を行っている場合、記録制御部43は、既にハードディスク装置33に記録されたディジタル映像データの末尾に、今回の書込対象のディジタル映像データを接続するようにして、書込対象のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む。一方、前回の記録制御処理でハードディスク装置33に対するディジタル映像データの書込を行っていない場合には、新規データファイルとして、今回の書込対象のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む。
【0042】
また、このようにしてS350での処理を終えると、記録制御部43は、所定時間(数秒〜数分程度)の間、通信制御部41から引き続き入力されてくるディジタル映像データを、逐次、S350でハードディスク装置33に書き込んだディジタル映像データに接続するようにして、ハードディスク装置33に書き込む(S360)。その後、当該記録制御処理を終了する。
【0043】
以上、監視システム1について説明したが、本実施例では、通信制御部41が、カメラ11によって撮影された映像を表すディジタル映像データを、監視装置10から取得し、これを記録制御部43に入力する。また、解析部45が、通信制御部41によって監視装置10から受信されたディジタル映像データを解析して、カメラ11によって撮影された映像の変化を検出する。具体的には、ディジタル映像データを構成するフレーム内における予め設定された検出領域内において、物体の運動を示す映像を確認すると、映像の変化を検出したとして、その旨の「モーション検出通知」を、記録制御部43に入力する。
【0044】
一方、記録制御部43は、検出領域内において物体の運動が検出されていない場合(S320でNo)、通信制御部41が受信したディジタル映像データを、揮発性の記憶手段としてのバッファ49に、一時記憶させる(S330)。
【0045】
また、記録制御部43は、解析部45により、検出領域内において物体の運動が検出されると(S320でYes)、過去に通信制御部41が受信したディジタル映像データであって、バッファ49に格納されている所定量のディジタル映像データを、バッファ49から取り出し、これを、上記物体の運動が検出されたディジタル映像データと共に、不揮発性の記憶手段としてのハードディスク装置33に記憶させる(S350)。また、この後の所定時間、通信制御部41が受信したディジタル映像データを、ハードディスク装置33に記憶させる(S360)。
【0046】
このように、本実施例の情報処理装置30では、監視装置10から取得したディジタル映像データを、バッファ49に一時蓄積し、ディジタル映像データが示す映像に変化が生じた前後の所定量分の映像データを選択的に、ハードディスク装置33に書き込むため、ユーザにとって必要な突発的な事象を表すディジタル映像データのみを選択的にハードディスク装置33に記録することができる。従って、本実施例によれば、効率的にディジタル映像データを、ハードディスク装置33に保存することができる。
【0047】
例えば、監視装置10を、外部からの侵入者を監視する目的で設置すれば、監視装置10にて撮影された外部からの侵入者の映像を表すディジタル映像データを選択的に、ハードディスク装置33に記録することができる。
【0048】
従って、本実施例によれば、ハードディスク装置33の記憶容量を大きくしなくても、ディジタル映像データを記録可能な期間を、従来と比較して長くすることができ、突発的な事象を記録する目的の情報処理装置に関し、ディジタル映像データを長時間記録可能な製品を安価に製造することができる。
【0049】
また、本実施例の情報処理装置30では、ユーザにとって重要なディジタル映像データを選択的に保存するため、ユーザは、後に映像を確認する場合に、確認の必要な映像を簡単に探し出すことができる。即ち、従来装置では継続的に映像データを記録するため、突発的な事象の映像を確認する際などには、映像を早送りするなどして、対応する映像を、探し出す必要があったが、本発明によれば、このような作業を緩和することができる。
【0050】
また、本実施例の情報処理装置30では、設定部47が、入力部37から入力されるユーザからの指示に基づき、設定情報を更新して、ディジタル映像データを構成するフレームにおける映像変化の検出領域を、設定するので(検出位置設定処理)、本来検出されるべきでない映像の変化(些細な映像の変化)が検出されるのを緩和することができる。
【0051】
従って、この発明によれば、些細な映像の変化により、ユーザにとって不要なディジタル映像データがハードディスク装置33に保存されて、ディジタル映像データを記録可能な期間が短くなってしまうのを防止することができる。また、不要なディジタル映像データが保存されないので、ユーザは、後に映像を確認する場合に、確認の必要な映像を簡単に探し出すことができる。
【0052】
尚、本実施例では、解析部45から「モーション非検出通知」を受けた場合、これに対応するディジタル映像データをバッファ49に保存し、必要がなければ、このディジタル映像データをハードディスク装置33に保存しないようにしたが、解析部45から「モーション非検出通知」を受けた場合でも、対応するディジタル映像データを、ハードディスク装置33に保存するようにしてもよい。但し、この場合には、対応するディジタル映像データの保存量を減らすため、データの間引き処理を行った後に、上記ディジタル映像データを保存するとよい(変形例)。
[変形例]
図6は、変形例の記録制御部43が実行する記録制御処理を表すフローチャートである。変形例の監視システムは、記録制御処理の内容が上記実施例と若干異なる程度で、その他の構成については、上記監視システム1と同一であるので、以下では、変形例の記録制御処理の内容を、図6を用いて説明するに留める。
【0053】
図6に示す記録制御処理を開始すると、記録制御部43は、通信制御部41から入力されたディジタル映像データ(通信制御部41が受信したディジタル映像データ)を、解析部45に入力して、解析部45に、そのディジタル映像データを解析させる。その後、解析部45から応答が得られるまで待機する(S410)。
【0054】
そして、応答が得られると、記録制御部43は、解析部45からの応答が「モーション検出通知」か、それとも「モーション非検出通知」であるかを判断し(S420)、解析部45からの応答が「モーション検出通知」であると判断すると(S420でYes)、S430に移行して、解析部45に入力した物体の運動が撮影された映像を表す上記ディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む。
【0055】
尚、前回の記録制御処理において、S420でYesと判断している場合には、ハードディスク装置33に記録された前回のディジタル映像データの末尾に、今回の書込対象のディジタル映像データを接続するようにして、書込対象のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む(S430)。一方、前回の記録制御処理において、S420でNoと判断している場合には、新規データファイルとして、今回の書込対象のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む(S430)。
【0056】
また、このようにしてS430での処理を終えると、記録制御部43は、所定時間(数秒〜数分程度)、通信制御部41から引き続き入力されてくるディジタル映像データを、逐次、S430でハードディスク装置33に書き込んだディジタル映像データに接続するようにして、ハードディスク装置33に書き込む(S440)。その後、当該記録制御処理を終了する。
【0057】
これに対し、解析部45からの応答が「モーション非検出通知」であると判断すると(S420でNo)、記録制御部43は、S450に移行し、解析部45に入力した上記ディジタル映像データを、間引き処理する。具体的には、ディジタル映像データから、所定数のフレームを取り除き、1秒間当たりのフレーム数を減少させたディジタル映像データを生成する。そして、生成したディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む(S460)。
【0058】
尚、前回の記録制御処理において、S420でNoと判断している場合には、ハードディスク装置33に記録された前回のディジタル映像データの末尾に、今回の書込対象のディジタル映像データを接続するようにして、書込対象のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む(S460)。一方、前回の記録制御処理において、S420でYesと判断している場合には、新規データファイルとして、今回の書込対象のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に書き込む(S460)。その後、記録制御部43は、当該記録制御処理を終了する。
【0059】
以上、変形例について説明したが、変形例では、検出領域内において物体の運動が検出されたディジタル映像データを起点とした所定時間分のディジタル映像データを、受信データのまま(ビットレートを変更することなく)、ハードディスク装置33に保存し、それ以外のディジタル映像データについては、間引き処理を行って、ビットレートを受信データより所定量落とし、この間引き処理後のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に保存する。
【0060】
従って、この変形例によれば、ハードディスク装置33の記憶容量を大きくしなくても、従来と比較して長時間、映像データを記録することができる。また、このような効果を得つつ、物体の運動が検出されていない映像データも記録することができる。
【0061】
尚、本発明のデータ取得手段は、通信制御部41に相当し、検出手段は、解析部45に相当する。また、蓄積手段は、記録制御部43が実行するS330の処理にて実現され、書込手段は、記録制御部43が実行するS340〜S360の処理、又は、記録制御部43が実行するS410〜S460の処理にて実現されている。また、領域設定手段は、設定部47に相当し、第一のビットレートは、受信データのビットレート、第二のビットレートは、間引き処理後のビットレートに相当する。
【0062】
また、本発明の情報処理装置及びプログラムは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、検出領域を含むフレームの領域全体を解析して、物体の運動を確認できた位置が検出領域である場合に、モーションを検出した旨を、記録制御部43に通知するようにしたが、フレームの領域全体を解析せずに、検出領域の映像のみを解析するように、情報処理装置30を構成してもよい。
【0063】
その他、上記実施例では、モーション検出後、所定時間分のディジタル映像データを、S360にて、ハードディスク装置33に記録するようにしたが、S360の処理を実行しないように、情報処理装置30を構成してもよい。S360の処理を実行しない場合であっても、モーションが継続的に検出される場合には、S350の処理が繰り返し実行されるので、その間のディジタル映像データを、ハードディスク装置33に記録することができる。但し、このように情報処理装置30を構成した場合には、一旦、モーションの検出がなくなると、ただちにディジタル映像データが、ハードディスク装置33に記録されなくなるので、場合によっては、不便であるかもしれない。
【0064】
また、上記実施例では、映像の変化として、物体の運動を検出する情報処理装置30について説明したが、情報処理装置30は、例えば、映像の変化として、物体の運動の他、色の変化を検出する構成にされてもよい。
【0065】
その他、情報処理装置30は、図5に示す記録制御処理、及び、図6に示す記録制御処理を、ユーザから入力される指示に従い、切り替えて実行する構成にされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明が適用された監視システム1の構成を表す説明図である。
【図2】設定部47にて実現される検出位置設定処理を表すフローチャートである。
【図3】表示部35に表示される検出位置設定画面の構成を表す説明図である。
【図4】解析部45にて実現される解析処理を表すフローチャートである。
【図5】記録制御部43にて実現される記録制御処理を表すフローチャートである。
【図6】変形例の記録制御処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1…監視システム、10…監視装置、11…カメラ、13…ディジタル変換部、15…通信制御部、17…無線通信回路部、30…情報処理装置、31…インタフェース、33…ハードディスク装置、35…表示部、37…入力部、40…制御部、41…通信制御部、43…記録制御部、45…解析部、47…設定部、48…再生処理部、49…バッファ、50…無線通信装置、LN…通信ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性の記憶手段と、
データ書換可能な不揮発性の記憶手段と、
撮影装置によって撮影された映像を表す映像データを、前記撮影装置から取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した映像データを、前記揮発性の記憶手段に一時記憶させる蓄積手段と、
前記データ取得手段が取得した映像データに基づき、前記撮影装置によって撮影された映像の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記映像の変化が検出されると、前記揮発性の記憶手段が記憶する前記変化前の映像を表す映像データを、前記揮発性の記憶手段から取得し、この映像データを、前記不揮発性の記憶手段に記憶させると共に、前記データ取得手段が取得した映像データであって前記変化後の所定期間内に撮影された映像を表す映像データを、前記不揮発性の記憶手段に記憶させる書込手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
データ書換可能な不揮発性の記憶手段と、
撮影装置によって撮影された映像を表す映像データを、前記撮影装置から取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した映像データに基づき、前記撮影装置によって撮影された映像の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記データ取得手段が取得した映像データであって前記映像の変化時点から所定期間内に撮影された映像を表す映像データを、予め定められた第一のビットレートにて前記不揮発性の記憶手段に記憶させると共に、前記データ取得手段が取得した映像データであって前記所定期間外に撮影された映像を表す映像データを、前記第一のビットレートより低い第二のビットレートにて、前記不揮発性の記憶手段に記憶させる書込手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
ユーザが操作可能な操作手段から入力されるユーザからの指示に基づき、前記映像データを構成するフレームにおける前記映像の変化の検出領域を、設定する領域設定手段、
を備え、
前記検出手段は、前記領域設定手段により設定された検出領域内において、前記映像の変化を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の情報処理装置における前記データ取得手段、前記蓄積手段、前記検出手段、及び、前記書込手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項2記載の情報処理装置における前記データ取得手段、前記検出手段、及び、前記書込手段としての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−311521(P2006−311521A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84679(P2006−84679)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】