説明

情報処理装置

【課題】 制御部に供給される制御クロック信号のクロック周波数及び電源装置に供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数を動作モードの切り替え前の周波数よりも高い周波数に変更する際の前記制御部の安定した動作を確保することのできる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】 情報処理装置の動作モードが省電力動作モードから通常動作モードへ切り替わる際に,電源装置に供給されるスイッチング信号(e)のスイッチング周波数がP1の時点で変更され,P1の時点から時間t1(既定時間)経過したP2の時点で,制御部に供給される制御クロック信号(f)のクロック周波数が変更される。したがって,前記制御部には,前記電源装置の出力電力が安定するまでの間,前記通常動作モード時のクロック周波数よりも低い前記動作モード切り替え前のクロック周波数が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,制御クロック信号に基づいて動作するCPU等の制御部と,スイッチング信号に基づいて動作して前記制御手段に電力を供給する電源装置と,を少なくとも備えた情報処理装置に関し,特に,その情報処理装置の動作モード(通常動作モード,省電力動作モードなど)に応じて前記各信号の周波数を変更することにより消費電力の省減を図る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機,ファクシミリ,プリンタ等の画像形成装置の動作モードとしては,通常の印刷動作を行う通常動作モード,消費電力を省減するための省電力動作モード等がある。これらの動作モードは,画像形成装置を統括制御するCPU等の制御部により,予め設定されたモード切替条件に基づいて切替制御される。例えば,通常動作モードにおいて原稿画像データ或いは印字データの入力がない状態が一定時間以上継続した場合には省電力動作モードに切り替えられ,省電力動作モードにおいて利用者によりコピー操作(原稿カバーの開閉操作やコピースタートの押圧操作等)等がなされた場合には通常動作モードに切り替えられる。なお,このような動作モードの切替制御を行う機能は一般に動作モード切替機能と呼ばれており,画像形成装置に限られず,パーソナルコンピュータ等を代表とする情報処理装置などにも採用されている。
ところで,一般に,省電力動作モードは,装置内部の一部の機器への電力の供給を遮断することにより消費電力を省減する動作モードであるが,例えば制御部などの機器については省電力動作モードにおいても動作させる必要があるため,これらの機器に対しては継続して電力が供給される。
一方,特許文献1には,更なる消費電力の省減を図るために,省電力動作モード時に装置の制御部に供給される制御クロック信号のクロック周波数を,通常動作モードにおけるクロック周波数よりも低いクロック周波数に変更することにより,前記制御部における消費電力を削減するようにしたシステム装置が提案されている。
また,装置を制御する制御部に供給される制御クロック信号のクロック周波数を変更した直後の制御部の処理動作の安定化を図るため,前記制御クロック信号が安定するまでの間,その制御部による処理動作(具体的には,表示手段への出力)を所定時間停止する技術が特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開2000−307779号公報
【特許文献2】特開2001−117546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方,供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数に応じて出力電力の大きさが異なるDC/DCコンバータに代表される電源装置を前記制御部の電源として用いた場合は,通常動作モードから省電力動作モードへの切り替え時に,前記制御クロック信号のクロック周波数を低いクロック周波数に変更するだけでなく,前記スイッチング信号のスイッチング周波数も同時に低いスイッチング周波数に変更することによって,前記電源装置の消費電力をより一層省減することが可能となる。
この場合,省電力動作モードから通常動作モードへの動作モードの切り替わりによって電源装置のスイッチング信号のスイッチング周波数が切り替え前のスイッチング周波数よりも高いスイッチング周波数に復帰されても,前記電源装置の出力電力はすぐに復帰されず,該出力電力の復帰には,該電源装置の仕様や動作特性によって異なる既定時間の遅れが生じる。そのため,前記制御部が,前記電源装置の出力電力の復帰前に前記通常動作モードにおける通常の処理動作を開始すれば,該電源装置がその通常の処理動作時の負荷(電力消費)に対して十分な電力を供給することができないという問題がある。これにより,前記制御部の動作が不安定になり,制御信号やデータの送受信などが正常に行われず,前記制御信号やデータの信号化けなどにより,前記制御部やこれにより制御される他の機器が誤作動するおそれがある。なお,前記特許文献2に示された技術を適用し,前記動作モードの切り替え時に制御部の処理動作を一時的に停止することで前記問題を解決することが可能であるが,これでは,動作モードの切り替え直後に制御部の動作が一時的にフリーズし,ユーザによる一切の操作を受け付けなくなる期間が生じるため好ましくない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,制御部に供給される制御クロック信号のクロック周波数及び電源装置に供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数を動作モードの切り替え前の周波数よりも高い周波数に変更する際の前記制御部の安定した動作を確保することのできる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,予め設定されたモード切替条件に基づいて当該情報処理装置の動作モードを切り替える動作モード切替機能(動作モード切替手段)を備えた情報処理装置に適用されるものであって,CPU等の制御手段に供給される制御クロック信号のクロック周波数及び前記制御手段に電力を供給するDC/DCコンバータ等の電力供給手段に供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数を変更する周波数変更手段を有し,この周波数変更手段が,前記動作モード切替機能による前記動作モードの切り替え時に,前記スイッチング信号のスイッチング周波数を直ちに切り替え前のスイッチング周波数よりも高いスイッチング周波数に変更すると共に,前記制御クロック信号のクロック周波数を予め定められた第1のクロック周波数を既定時間維持する状態を介して切り替え前のクロック周波数及び前記第1のクロック周波数よりも高い第2のクロック周波数に変更するよう構成される。ここに,前記既定時間は,前記動作モードの切り替え後の前記電力供給手段の出力電力が安定するまでの時間をいう。
このように構成された本発明によれば,前記動作モード切替機能による前記動作モードの切り替え時に,前記スイッチング信号のスイッチング周波数が切り替え前のスイッチング周波数よりも高いスイッチング周波数に変更されても,前記制御手段に前記第2のクロック周波数よりも低い前記第1のクロック周波数の制御クロック信号が供給される状態が前記既定時間維持されるため,該既定時間は前記制御手段が比較的負荷の小さい状態で動作することになる。これにより,前記動作モードの切り替え時に前記制御手段の動作を一時的に停止させることなく,該制御手段及び該制御手段に制御される前記情報処理装置の安定した動作を確保することができる。
ここで,前記第1のクロック周波数は,前記動作モード切替機能による前記動作モードの切り替え前の前記制御クロック信号のクロック周波数であることが考えられる。即ち,前記周波数変更手段は,前記動作モード切替機能による前記動作モードの切り替え時に,前記制御クロック信号のクロック周波数を前記動作モードの切り替え前のクロック周波数を既定時間維持した状態を介して前記第2のクロック周波数に変更するよう構成される。この場合,前記周波数変更手段として,前記クロック周波数を少なくとも前記動作モードの切り替え前と切り替え後の二つの異なる周波数に変更することができる簡素なものを用いることが可能である。
ここで,本発明の具体的な構成としては,前記周波数変更手段が,前記動作モード切替機能により当該情報処理装置の動作モードが省電力動作モードから通常動作モードに切り替えられた時に,前記クロック周波数及び前記スイッチング周波数を変更する構成が好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば,前記電力供給手段に供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数が前記動作モードの切り替え前よりも高いスイッチング周波数に変更された直後の前記制御手段及び該制御手段に制御される前記情報処理装置の安定した動作を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの概略全体構成図,図2は前記画像形成装置Xの制御部50の概略ブロック構成図,図3は前記制御部50における入出力信号のタイミングチャートである。
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの概略全体構成について説明する。なお,前記画像形成装置Xは,該画像形成装置Xの動作モードを通常の動作モードと省電力動作モードとの間で切り替える前述の動作モード切替機能を有している。ここに,前記画像形成装置Xは,本発明に係る情報処理装置の単なる一例であって,前記動作モード切替機能と同様の機能を有し,複数の動作モードを切り替えて動作するパーソナルコンピュータ等への本発明の適用も可能である。
図1に示すように,前記画像形成装置Xは,ADF(自動搬送装置)105により自動搬送され或いは原稿台106にセットされた原稿の画像を読み取るCCD等からなる画像読取部130と,その読み取られた画像(原稿画像)に応じたトナー像を形成する画像形成部120と,前記画像形成部120で形成されたトナー像をシート(記録紙)に定着させる定着装置126と,当該画像形成装置Xの上面部に配設され,印刷枚数や印刷倍率,印刷シート種別等に関する各種の設定情報を表示すると共に,ユーザによる各種の操作が行われる液晶タッチパネル等を備えた操作表示部107と,給紙カセット102,103,及び手差し給紙トレイ104に収容されたシートを1枚ずつシート搬送路111を介して前記画像形成部120に給紙する給紙ローラ112,113,114と,前記画像形成部120のシート搬送方向上流側近傍に設けられ前記画像形成部120に対して読み取られた画像データの前端部と前記シートの前端部との位置同期をとるレジストローラ115と,トナー像が定着されたシートを排出トレイ204に排出する排出ローラ116と,両面印刷時に画像形成後のシートを表裏面反転させて前記画像形成部120へ再度搬送する両面ユニット140と,当該画像形成装置Xを統括的に制御する制御部50と,を備えて概略構成されている。
前記画像形成部120は,静電潜像を担持する感光体ドラム121と,その周囲に配設された各要素,即ち,前記感光体ドラム121の表面を一様に帯電させる帯電ローラ123,前記感光体ドラム121の表面にレーザービームを照射して静電潜像を形成する不図示の露光装置,前記静電潜像にトナーを付着させて現像する現像装置124,現像されたトナー像をシートに転写する転写装置125,及び転写後の感光体ドラム121の表面に残存するトナーを除去するクリーニング装置122と,を備えて構成されている。
【0007】
次に,図2を用いて,前記制御部50の概略構成について説明する。
図2のブロック図に示すように,前記制御部50は,AC/DCコンバータ51と,DC/DCコンバータ52と,DC/DCコンバータ53(電力供給手段の一例)と,CPU54(制御手段の一例)と,ASIC(Application Specific Integrated Circuit)55と,を備えて概略構成されている。
前記AC/DCコンバータ51は図示しない外部電力源からの交流電力(例えばAC100V)を直流電力(例えばDC5V)に変換して,前記DC/DCコンバータ52及び前記DC/DCコンバータ53それぞれに該変換後の直流電力を供給する。この直流電力の供給を受けた前記DC/DCコンバータ52,53各々は,その直流電力をより低い電圧の直流電力(例えばDC3.3V)に変換した後,該変換後の直流電力を前記DC/DCコンバータ52は前記ASIC55に,前記DC/DCコンバータ53は前記CPU54に供給する。本実施の形態では,前記DC/DCコンバータ53として,前記ASIC55が有する後記するスイッチング信号生成部551で生成されたスイッチング信号のスイッチング周波数に応じて前記CPU54への供給電力を変動させるいわゆるスイッチングレギュレータを用いる。
【0008】
前記ASIC55は,前記DC/DCコンバータ53に供給するスイッチング信号を生成するスイッチング信号生成部551及び前記CPU54に供給する制御クロック信号を生成する制御クロック信号生成部552を有するクロック信号生成処理部550(周波数変更手段の一例)と,当該画像形成装置Xの動作モードの切り替わりを監視する動作モード判別処理部553と,予め設定された時間を計時するタイマ処理部554と,外部から入力された信号(例えばユーザが操作パネルの操作により入力された時間設定信号等)に基づいて前記タイマ処理部554により計時される時間を設定するタイマ設定処理部555と,を備えて構成されている。
前記クロック信号生成処理部550は,前記動作モード判別処理部553或いは前記タイマ処理部554からの指示(後述するスイッチング信号変更信号或いは制御クロック信号変更信号)により,前記スイッチング信号生成部551により生成されるスイッチング信号のスイッチング周波数,及び前記制御クロック信号生成部552により生成される制御クロック信号のクロック周波数を変更する処理を実行する。この各信号の周波数の変更は,例えば,前記スイッチング信号生成部551や前記制御クロック信号生成部552の各々を,異なる周波数の信号を生成する二つ以上の水晶振動子を用いて構成しておき,前記クロック信号生成処理部550がその水晶振動子を切り替えることにより実現される。或いは,前記スイッチング信号生成部551や前記制御クロック信号生成部552の各々を,RC時定数が可変のRC発振器を用いて構成しておき,前記クロック信号生成処理部550が該RC時定数を変更することによっても実現される。
【0009】
前記CPU54は,前記制御クロック信号生成部552から供給された制御クロック信号に同期して不図示のROM等に記憶された所定の制御プログラムに従った処理を実行することにより画像形成装置Xを統括制御する。したがって,前記した画像形成装置Xの各構成要素の駆動制御のみならず,前記した動作モード切替機能も前記CPU54によって実現される。なお,前記動作モード切替機能を実現するときの前記CPU54が動作モード切替手段に相当する。
ここで,前記動作モード切替機能について簡単に説明する。本画像形成装置Xが有する前記動作モード切替機能は,予め設定されたモード切替条件に基づいて当該画像形成装置Xの動作モードを切り替える機能であって,当該画像形成装置Xの動作モードを通常動作モードと省電力動作モードとの間で切り替える機能である。
具体的には,前記CPU54は,予め設定された時間継続して画像形成処理(複写処理やプリンタ処理,ファクシミリ受信画像の出力処理等)の要求或いは前記操作表示部107からの操作入力がなされなかった場合(モード切替条件の一例)に,前記定着装置126が備える不図示の定着ヒータやその他メインモータ等の駆動系機器等への電力供給を遮断させて当該画像形成装置Xの消費電力を省減させる省電力動作モードに移行させる。そして,省電力動作モードにおいて画像形成処理の要求等がなされた場合(モード切替条件の一例)には,前記定着ヒータ等への電力供給を再開させて,当該画像形成装置Xの動作モードを省電力動作モードから通常動作モードへ移行させる。
【0010】
なお,当該画像形成装置Xの動作モード切替機能にも,前記特許文献1に記載の技術が採用されている。即ち,前記動作モードの切り替えに応じて前記制御クロック信号生成部552で生成され前記CPU54に供給される制御クロック信号のクロック周波数を変更することにより,前記CPU54の動作の速度を低下させている。具体的には,当該画像形成装置Xの動作モードが通常動作モードから省電力動作モードの移行されたときに,前記制御クロック信号のクロック周波数を,通常動作モード時のクロック周波数(例えば400MHz,第2のクロック周波数に相当)よりも低いクロック周波数(例えば200MHz)に変更させている。これにより,当該画像形成装置Xにおける消費電力の低減を図っている。
さらに,前記画像形成装置Xでは,前記DC/DCコンバータ53に供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数,即ち前記スイッチング信号生成部551により生成されるスイッチング信号のスイッチング周波数が,前記動作モードに応じて変更されることにより,前記DC/DCコンバータ53のスイッチングロスによる電力消費の低減が図られ,当該画像形成装置Xの省電力動作モードにおける更なる省電力が実現される。具体的には,当該画像形成装置Xの動作モードが通常動作モードから省電力動作モードに移行されたときに,前記スイッチング信号のスイッチング周波数を,通常動作モード時のスイッチング周波数(例えば600kHz)よりも低いスイッチング周波数(例えば300kHz)に変更させている。
したがって,前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードへ移行されたときには,前記制御クロック信号のクロック周波数が,前記動作モードの切り替え前の省電力動作モード時のクロック周波数(例えば200MHz)よりも高い通常動作モード時のクロック周波数(例えば400MHz)に変更されると共に,前記スイッチング信号のスイッチング周波数が,前記動作モード切り替え前の省電力動作モード時のスイッチング周波数(例えば300kHz)よりも高い通常動作モード時のスイッチング周波数(例えば600kHz)に変更される。
【0011】
ところで,上述したように,前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードに切り替わる際,即ち,前記制御クロック信号のクロック周波数及び前記スイッチング信号のスイッチング周波数が,前記動作モードの切り替え前の各々の周波数よりも高い周波数に変更される際に,該クロック周波数及び該スイッチング周波数が同時に変更されると,前記CPU54による通常動作モード時の通常の処理動作が前記DC/DCコンバータ53の出力電力が安定する前に開始されるため,該CPU54の動作及び該CPU54に制御される前記画像形成装置Xの動作が不安定になるという問題が生じる。
そのため,前記動作モードの切り替え直後の前記CPU54の安定した動作を確保し得る本画像形成装置Xでは,前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードに切り替わる際,前記スイッチング信号のスイッチング周波数は,前記動作モードの切り替え前の省電力動作モード時のスイッチング周波数よりも高い通常動作モード時のスイッチング周波数に直ちに変更されるが,他方,前記制御クロック信号のクロック周波数は,予め定められたクロック周波数(第1のクロック周波数に相当)を既定時間維持する状態を介して,その予め定められたクロック周波数及び前記動作モードの切り替え前の省電力動作モード時のクロック周波数よりも高い通常動作モード時のクロック周波数に変更される。
【0012】
以下,図2のブロック図を参照しつつ図3を用いて,本実施の形態に係る前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードに切り替わる際の,前記スイッチング信号のスイッチング周波数及び前記制御クロック信号のクロック周波数の変更処理について説明する。なお,通常動作モードから省電力動作モードに切り替わる際など,前記スイッチング周波数及び前記クロック周波数が高い周波数から低い周波数に変更されるときに,前記スイッチング周波数及び前記クロック周波数が同時に変更される点については,特に従来と異なるところがないため,ここではその説明を省略する。
ここに,図3の(a)は動作モードフラグ,(b)はスイッチング周波数変更信号,(c)はタイマ入力信号,(d)はクロック周波数変更信号,(e)はDC/DCコンバータ52に供給されるスイッチング信号,(f)はCPU54に供給される制御クロック信号を示すタイミングチャートである。
【0013】
図3に示すように,省電力動作モードの前記画像形成装置Xにおいて,操作者による前記操作表示部107に対する操作などによって画像形成処理等が要求されたことが前記CPU54により検知されると,該CPU54は,不図示のRAMなどに設けられた動作モードフラグ(a)の状態を変化させる(P1の時点)。ここでは,動作モードフラグ(a)が「1」であれば通常動作モード,「0」であれば省電力動作モードであることを示すものとする。ここでは,前記CPU54により動作モードフラグ(a)が「0」(省電力動作モード)から「1」(通常動作モード)に切り替えられ,前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードに移行される。
このとき,前記動作モード判別処理部553では,前記画像形成装置Xの動作モードの切り替わりが,通常動作モードから省電力動作モードへの切り替わり(即ち,動作モードフラグ(a)の立下り)であるか,或いは省電力動作モードから通常動作モードへの切り替わり(即ち,動作モードフラグ(a)の立ち上がり)であるかが判断される。ここでは,動作モードフラグ(a)の立ち上がりが検出されるため,前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードへ切り替わったと判断される。そして,前記動作モード判別処理部553は,前記スイッチング信号(e)のスイッチング周波数を省電力動作モード時のスイッチング周波数から通常動作モード時のスイッチング周波数に変更させるため,前記クロック信号生成処理部550にスイッチング周波数変更信号(b)を送信する(P1の時点)。ここに,スイッチング周波数変更信号(b)は,前記スイッチング信号生成部551により生成されるスイッチング信号(e)のスイッチング周波数を,省電力動作モード時のスイッチング周波数から通常動作モード時のスイッチング周波数へ変更する旨を前記クロック信号生成処理部550に指示するものである。
これにより,前記クロック信号生成処理部550では,前記スイッチング信号生成部551により生成されるスイッチング信号(e)のスイッチング周波数,即ち前記DC/DCコンバータ53に供給されるスイッチング信号(e)のスイッチング周波数が,前記動作モードの切り替え前の省電力動作モード時のスイッチング周波数から通常動作モード時のスイッチング周波数へ変更される(P1の時点)。
【0014】
一方,このとき前記動作モード判別処理部553は,前記クロック信号生成処理部550へのスイッチング周波数変更信号(b)の送信と共に,前記タイマ処理部554に計時の開始を指示するタイマ入力信号(c)を送信する(P1の時点)。このタイマ入力信号(c)を受信した前記タイマ処理部554は,前記タイマ設定処理部555により予め設定された時間t1(既定時間の一例)を計時し,該時間t1の経過後にクロック周波数変更信号(d)を前記クロック信号生成処理部550に送信する(P2の時点)。ここに,クロック周波数変更信号(d)は,前記制御クロック信号生成部552により生成される制御クロック信号(f)のクロック周波数を,省電力動作モード時のクロック周波数から通常動作モード時のクロック周波数へ変更する旨を前記クロック信号生成処理部550に指示するものである。即ち,前記クロック信号生成処理部550の制御クロック信号生成部552により生成される制御クロック信号(f)のクロック周波数は,前記タイマ処理部554により,前記時間t1の経過まで省電力動作モード時のクロック周波数に維持される。ここに,前記タイマ設定部555により予め設定される前記時間t1は,前記CPU54の動作の安定性を確保するため,前記DC/DCコンバータ53に供給されるスイッチング信号(e)のスイッチング周波数が,省電力動作モード時のスイッチング周波数から通常動作モード時のスイッチング周波数へ変更された後,該DC/DCコンバータ53の出力電力が,通常動作モード時における前記CPU54の通常の処理動作に必要な出力電力に安定するまでの時間である。なお,前記時間t1は,前記DC/DCコンバータ53の仕様・動作特性に基づいて,或いは予め実測した値に基づいて導出されたものであることが考えられる。
そして,クロック周波数変更信号(d)が入力された前記クロック信号生成処理部550では,前記制御クロック信号生成部552により生成される制御クロック信号(f)のクロック周波数,即ち前記CPU54に供給される制御クロック信号(f)のクロック周波数が,前記動作モードの切り替え前の省電力動作モード時のクロック周波数から通常動作モード時のクロック周波数へ変更される(P2の時点)。
【0015】
以上説明したように,本画像形成装置Xにおいては,該画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードへ切り替わる際に,前記スイッチング信号生成部551により生成されるスイッチング信号(e)のスイッチング周波数がP1の時点で変更され,該スイッチング信号(e)のスイッチング周波数の変更から時間t1経過したP2の時点で,前記制御クロック信号生成部552により生成される制御クロック信号(f)のクロック周波数が変更される。したがって,本画像形成装置Xにおいては,前記DC/DCコンバータ53からの出力電力が通常動作モード時における前記CPU54に必要な十分な電力に満たない不安定な状態では,前記CPU54の消費電力が抑制されているから,前記DC/DCコンバータ53の不安定な出力電力に起因する前記CPU54の不安定な動作が防止される。これにより,前記動作モードの切り替え時に前記CPU54の動作を一時的に停止させることなく,該CPU54及び該CPU54に制御される前記画像形成装置Xの安定した動作が確保される。
なお,本実施の形態では,前記画像形成装置Xの動作モードが省電力動作モードから通常動作モードへ切り替わる際に,前記制御クロック信号のクロック周波数が,省電力動作モード時のクロック周波数を維持する状態を前記時間t1介して通常動作モード時のクロック周波数に変更される例について説明したが,これに限られず,通常動作モード時のクロック周波数よりも低い他のクロック周波数(第2の周波数に相当)を予め定めておき,そのクロック周波数を維持する状態を前記時間t1介して段階的に変更されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの概略全体構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの制御部50の概略ブロック構成図。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの制御部50における入出力信号のタイミングチャート。
【符号の説明】
【0017】
X…画像形成装置
50…制御部
51…AC/DCコンバータ
52…DC/DCコンバータ
53…DC/DCコンバータ(電力供給手段の一例)
54…CPU(制御手段の一例)
55…ASIC
550…クロック信号生成処理部(周波数変更手段の一例)
551…スイッチング信号生成部
552…制御クロック信号生成部
553…動作モード判別処理部
554…タイマ処理部
555…タイマ設定処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該情報処理装置を制御する制御手段と,
前記制御手段に電力を供給する電力供給手段と,
予め設定されたモード切替条件に基づいて当該情報処理装置の動作モードを切り替える動作モード切替手段と,
前記制御手段に供給される制御クロック信号のクロック周波数及び前記電力供給手段に供給されるスイッチング信号のスイッチング周波数を変更する周波数変更手段と,
を備えてなる情報処理装置であって,
前記周波数変更手段が,前記動作モード切替手段による前記動作モードの切り替え時に,前記スイッチング信号のスイッチング周波数を直ちに切り替え前のスイッチング周波数よりも高いスイッチング周波数に変更すると共に,前記制御クロック信号のクロック周波数を予め定められた第1のクロック周波数を既定時間維持する状態を介して切り替え前のクロック周波数及び前記第1のクロック周波数よりも高い第2のクロック周波数に変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のクロック周波数が,前記動作モード切替手段による前記動作モードの切り替え前の前記制御クロック信号のクロック周波数である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記周波数変更手段が,前記動作モード切替手段により当該情報処理装置の動作モードが省電力動作モードから通常動作モードに切り替えられた時に,前記クロック周波数及び前記スイッチング周波数を変更するものである請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−157662(P2006−157662A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347089(P2004−347089)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】