説明

情報提供装置

【課題】車両の乗員に対して必要な情報を的確に提供できる情報提供装置を提供すること。
【解決手段】乗員に提供される情報のジャンル毎に、車両の走行している時間に応じた必要度(各ジャンルの情報が乗員によって必要とされる度合い)B、道路種別に応じた必要度C、道路区間(現在位置)を示す道路リンク情報に応じた必要度D、車両における緊急状態の内容に応じた必要度Eを特定する(S21〜S24)。次いで、これらの必要度B〜Eに基づいて、車両の現時点における種々の環境を総合的に反映した判定必要度Xを、各ジャンル毎に算出する(S25)。そして、この算出された判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度を設定する(S26)。これにより、LCD18上には、車両のその時々における様々な環境に合ったジャンルの情報が優先して表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置に関し、特に、利用者に対して必要な情報を的確に提供できる情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、利用者に対して必要度の高いジャンルの情報を提供する情報提供装置が知られている。例えば、特許文献1には、予め利用者がジャンル毎に優先度の設定を行い、その設定に従って、優先度の高いジャンルから順に情報を提供する情報提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−107136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された情報提供装置では、利用者によって優先度が予め設定されると、その予め設定された優先度に従って情報の提供される順番が固定されてしまうので、その時々の状況に応じて利用者の必要とする情報が的確に提供されない恐れがあるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、利用者に対して必要な情報を的確に提供できる情報提供装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の情報提供装置は、複数のジャンルの情報を提供するものであって、環境の種々の状況に応じて前記ジャンル毎に情報の必要度合いを示す必要度が設定された設定情報を、環境毎に格納する格納手段と、前記環境毎の状況を判断する判断手段と、その判断手段により判断された環境の状況に応じて、その環境に対する前記ジャンル毎の必要度を前記設定情報より特定する特定手段と、その特定手段により特定されたジャンル毎の必要度に基づいて、そのジャンル毎の最終的な必要度を導出する導出手段と、その動出手段により導出されたジャンル毎の最終的な必要度の比較の結果に応じて、複数のジャンルの情報を提供する優先度を設定する優先度設定手段とを備える。
【0007】
請求項2記載の情報提供装置は、請求項1記載の情報提供装置において、前記格納手段は、前記環境として道路種別に応じて前記ジャンル毎に必要度が設定された設定情報と、前記環境として時間に応じて前記ジャンル毎に必要度が設定された設定情報とを少なくとも格納するものであり、前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって前記道路種別に対して特定される前記ジャンル毎の必要度と前記時間に対して特定される前記ジャンル毎の必要度とに基づき、それらの必要度がいずれも高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものである。
【0008】
請求項3記載の情報提供装置は、請求項1又は2に記載の情報提供装置において、前記格納手段は、前記環境として現在位置に応じて前記ジャンル毎に必要度が設定された設定情報を少なくとも格納するものであり、前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって前記現在位置に対して特定される前記ジャンル毎の必要度に基づき、その必要度が高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものである。
【0009】
請求項4記載の情報提供装置は、請求項1から3のいずれかに記載の情報提供装置において、利用者の嗜好を反映した必要度を前記ジャンル毎に設定する必要度設定手段を備え、前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって特定される前記ジャンル毎の必要度に、前記必要度設定手段により前記ジャンル毎に設定される前記利用者の嗜好を反映した必要度を加味して、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものである。
【0010】
請求項5記載の情報提供装置は、請求項1から4のいずれかに記載の情報提供装置において、車両の乗員に複数のジャンルの情報を提供するものであって、前記格納手段は、前記環境として車両で対応が必要な事象に関連するジャンルの必要度が設定される設定情報を少なくとも格納するものであり、前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって前記車両で対応が必要な事象に対して特定されるジャンルの必要度を、他の環境により特定される前記ジャンル毎の必要度よりも強く加味して、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の情報提供装置によれば、環境の種々の状況に応じてジャンル毎に情報の必要度合いを示す必要度の設定された設定情報が、環境毎に格納手段に格納されている。また、環境毎の状況が判断手段により判断され、その判断された環境の状況に応じて、その環境に対するジャンル毎の必要度が、設定情報より特定手段によって特定される。ここで、この特定されたジャンル毎の必要度に基づいて、そのジャンル毎の最終的な必要度が導出手段により導出される。即ち、導出手段により導出されるジャンル毎の最終的な必要度は、環境毎の状況を加味することで、その時々における様々な環境を総合的に判断して得られる必要度となる。そして、優先度設定手段によって、導出手段により導出されたジャンル毎の最終的な必要度の比較の結果に応じて、複数ジャンルの情報を提供する優先度が設定される。よって、その時々における様々な環境を総合的に判断して得られるジャンル毎の最終的に必要度に応じて、それぞれのジャンルの情報を提供する優先度が設定されるので、情報提供装置からは、その時々における様々な環境に合ったジャンルの情報を優先して提供することができる。従って、利用者に対して必要な情報を的確に提供できるという効果がある。
【0012】
請求項2記載の情報提供装置によれば、請求項1記載の情報提供装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、格納手段には、環境として道路種別に応じてジャンル毎に必要度が設定された設定情報と、環境として時間に応じてジャンル毎に必要度が設定された設定情報とが少なくとも格納されている。そして、判断手段を介して特定手段によって道路種別に対して特定されるジャンル毎の必要度と時間に対して特定されるジャンル毎の必要度とに基づき、導出手段によって、それらの必要度がいずれも高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、ジャンル毎の最終的な必要度がそれぞれのジャンルについて導出される。ここで、利用者が必要とする情報のジャンルは、一般的に、環境として道路種別(高速道路、国道、県道、細街路など)に応じて大きく異なるものであり、また、時間に応じて大きく異なるものである。これに対し、請求項2記載の情報提供装置は、道路種別に対して特定されるジャンル毎の必要度と時間に対して特定されるジャンル毎の必要度とに基づき、それらの必要度がいずれも高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、ジャンル毎の最終的な必要度が導出されるので、そのジャンルに対する優先度を高く設定することができ、情報提供装置からは、道路種別および時間のいずれにも適したジャンルの情報を優先して提供することができる。よって、利用者に対して必要な情報をより的確に提供できるという効果がある。
【0013】
請求項3記載の情報提供装置によれば、請求項1又は2に記載の情報提供装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、格納手段には、環境として現在位置に応じてジャンル毎に必要度が設定された設定情報が少なくとも格納されている。そして、判断手段を介して特定手段によって現在位置に対して特定されるジャンル毎の必要度に基づき、導出手段によって、その必要度が高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、ジャンル毎の最終的な必要度が導出される。
【0014】
ここで、利用者が必要とする情報のジャンルは、一般的に、その現在位置に応じて大きく異なる。これに対し、請求項3記載の情報提供装置は、現在位置に対して特定されるジャンル毎の必要度が高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように導出されるので、そのジャンルに対する優先度を高く設定することができ、情報提供装置からは、現在位置に適したジャンルの情報を優先して提供することができる。よって、利用者に対して必要な情報をより的確に提供できるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の情報提供装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の情報提供装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、利用者の嗜好を反映した必要度が必要度設定手段によりジャンル毎に設定され、判断手段を介して特定手段によって特定されるジャンル毎の必要度に、必要度設定手段によりジャンル毎に設定される利用者の嗜好を反映した必要度が加味されて、導出手段により、ジャンル毎の最終的な必要度が導出される。このように、導出手段により導出されるジャンル毎の最終的な必要度には、必要度設定手段によりジャンル毎に設定される利用者の嗜好を反映した必要度が加味されるので、利用者の嗜好をジャンル毎の最終的な必要度に反映させることができる。よって、ジャンル毎の最終的な必要度に応じて優先度設定手段により設定される各ジャンルの優先度に対し、利用者の嗜好を反映させることができるので、情報提供装置からは、可能な限り利用者の嗜好するジャンルの情報を優先して提供することができる。よって、利用者に対して必要な情報をより的確に提供できるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の情報提供装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の情報提供装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、車両の乗員に複数のジャンルの情報を提供する情報提供装置において、格納手段には、環境として車両で対応が必要な事象に関連するジャンルの必要度が設定された設定情報が少なくとも格納されている。そして、判断手段を介して特定手段によって車両で対応が必要な事象に対して特定されるジャンルの必要度が、他の環境により特定されるジャンル毎の必要度よりも強く加味されて、導出手段によって、ジャンル毎の最終的な必要度が導出される。これにより、車両で対応が必要な事象が発生している場合は、その車両で対応が必要な事象に関連するジャンルの優先度を他のジャンルの優先度よりも大きく異ならせることができ、情報提供装置からは、その対応が必要な事象に関連するジャンルの情報を他のジャンルの情報よりも目立たせて提供することができる。よって、利用者である車両の乗員に対して必要な情報をより的確に提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態であるナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、フィルタリング1テーブル(必要度の標準値A)の内容の一例を模式的に示す模式図であり、(b)は、フィルタリング2テーブル(時間に応じた必要度B)の内容の一例を模式的に示す模式図である。
【図3】(a)は、フィルタリング3テーブル(道路種別に応じた必要度C)の内容の一例を模式的に示す模式図であり、(b)は、フィルタリング4テーブル(道路リンク情報に応じた必要度D)の内容を模式的に示す模式図であり、(c)は、フィルタリング5テーブル(緊急状態に応じた必要度E)の内容を模式的に示す模式図である。
【図4】ナビゲーション装置内のCPUで実行される情報提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実形態であるナビゲーション装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【0019】
まず、このナビゲーション装置10の概略構成について説明する。ナビゲーション装置10は、車両内に設けられ、車両の現在位置から目的地までの経路を設定し、その設定した経路を出力して目的地までの経路誘導を行うものである。
【0020】
また、ナビゲーション装置10は、携帯電話事業者が提供する無線通信ネットワーク70に基地局60を介して接続可能に構成されており、無線通信ネットワーク70に接続された情報提供サーバ50に対して、情報提供要求を車両の現在位置情報と共に送信することにより、情報提供サーバ50から、その車両の現在位置から所定範囲に関連する「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といった各種ジャンルの情報を受信できるようになっている。
【0021】
そして、ナビゲーション装置10は、情報提供サーバ50より受信した各種ジャンルの情報(「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」など)や、ナビゲーション装置10内に設けられた道路地図データベース14aより抽出した各種ジャンルの情報(「ガソリンスタンド(GS)情報」、「サービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)情報」など)、その他、ナビゲーション装置10が乗員に対して通知すべきジャンルの情報(「ETC情報」など)を、液晶ディスプレイ(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)」と称する。)18上に表示することで、そのナビゲーション装置10が設けられた車両の乗員に対し、各種ジャンルの情報を提供する情報提供装置としての機能を有している。
【0022】
尚、「飲食店情報」は、各種飲食店の名称や位置、営業時間、連絡先などを示す情報である。「イベント情報」は、各種イベントの内容や開催時期、開催場所などを示す情報である。「ニュース情報」は、各種ニュースを示す情報である。「宿泊施設情報」は、各種宿泊施設の名称や位置、空き情報などを示す情報である。「GS情報」は、各ガソリンスタンドの位置や営業時間などを示す情報である。「SA・PA情報」は、高速道路におけるサービスエリアやパーキングエリアの名称や位置などを示す情報である。「ETC情報」は、ETCカードの挿入を促す情報である。
【0023】
ここで、ナビゲーション装置10は、車両を取り巻く複数の環境の状況、例えば、車両が走行している時間、道路種別および現在位置や、ガソリンの残量、いわゆる自動料金支払いシステムにて使用されるETCカードの必要度合いを示すETC重要度などを判断するように構成されている。そして、それらの環境の状況に応じて、情報提供される情報のジャンル毎、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」、「ETC情報」毎に優先度を設定し、優先度の高いジャンルの情報から順にLCD18上に表示することで、車両の乗員に対して必要な情報を的確に提供できるようになっている。
【0024】
次いで、ナビゲーション装置10の詳細構成について説明する。ナビゲーション装置10は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ハードディスクドライブ(以下、「HDD(Hard Disk Drive)」と称する。)14、現在位置検出装置15、通信制御装置16、LCD18、タッチパネル19、操作キー20を主に有している。
【0025】
また、ナビゲーション装置10には、ナビゲーション装置10の外部に設けられると共に、そのナビゲーション装置10が搭載された車両に設けられたガソリン残量センサ80およびETC車載器90が接続されている。
【0026】
CPU11、ROM12、RAM13は、バスライン21を介して互いに接続されている。また、HDD14、現在位置検出装置15、通信制御装置16、LCD18、タッチパネル19、操作キー20、ガソリン残量センサ80、ETC車載器90は、いずれも入出力ポート22に接続され、その入力ポート22はバスライン21に接続されている。これにより、CPU11、ROM12、RAM13と入出力ポート22に接続される各部との間で、各種信号やデータの送受信が行われる。
【0027】
尚、ガソリン残量センサ80は、ナビゲーション装置10が搭載された車両のガソリンタンク内に設けられたガソリン残量を検出するセンサであり、その検出結果であるガソリン残量を示す情報がナビゲーション装置10に対して出力される。
【0028】
また、ETC車載器90は、いわゆる自動料金支払いシステムおいて用いられるもので、ETC車載器90に設けられた挿入口にETCカードが挿入されている場合に、ETC車載器90に設けられたアンテナと、料金所のゲートなどに設けられたアンテナとの間で料金支払いに関するデータの送受信を行うものである。
【0029】
このETC車載器90は、ETCカードの挿入状態を示す情報をナビゲーション装置10に対して送信できるように構成されている。また、ナビゲーション装置10は、そのナビゲーション装置10に設けられたETC車載器90との接続端子(図示せず)において、ETC車載器90との接続がなされているか否かを判断できるようになっており、その判断結果がCPU11からいつでも読み出し可能に構成されている。
【0030】
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶されるデータやプログラムに従って、ナビゲーション装置10が有している各機能の制御や、入出力ポート22と接続された各部の制御を実行する演算装置である。
【0031】
このCPU11には、計時回路11aが内蔵されている。計時回路11aは、現在の日時を刻む時計機能や、設定された時間の経過を計時するタイマ機能を有する既知の回路であり、CPU11は、計時回路11aの時計機能やタイマ機能を使用して、各種制御を行う。例えば、CPU11は、図4を参照して後述する情報提供処理を実行することにより、計時回路11aから車両が走行している時間を判断し、その車両が走行している時間に基づいて、情報提供される情報のジャンル毎、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」、「ETC情報」の各ジャンル毎に優先度を設定する。
【0032】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能な不揮発性のメモリである。図4のフローチャートに示す情報提供処理を実行する制御プログラム12aは、このROM12に格納されている。
【0033】
詳細については、図4を参照して後述するが、図4のフローチャートに示す情報提供処理は、情報提供される情報のジャンル毎、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」、「ETC情報」毎に、優先度を設定して、優先度の高いジャンルの情報から順にLCD18上に表示するものである。
【0034】
ここで、情報提供処理では、各ジャンル毎の優先度を設定するために、まず、車両の取り巻く複数の環境の状況を判断し、それぞれの環境毎に、その環境の状況に応じて、それぞれのジャンルの必要度をジャンル毎に設定する。「ジャンルの必要度」とは、一の環境に対して判断されたその環境の状況下において、そのジャンルの情報が必要とされる度合いを示すもので、情報提供処理により判断されたそれぞれの環境に対し、その状況に応じて、各ジャンル毎、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」毎に設定される。
【0035】
本実施形態では、環境に関わらず一定の値が設定される必要度の標準値Aと、車両の走行している時間に応じて設定される必要度Bと、車両の走行している道路種別に応じて設定される必要度Cと、車両の走行している道路区間(現在位置)を示す後述の道路リンク情報に応じて設定される必要度Dと、車両における緊急状態の発生に応じて設定される必要度Eとが、各ジャンル毎に設定される。即ち、本実施形態では、環境として、車両が走行している時間、道路種別、道路区間(現在位置)および車両における緊急状態の発生を判断し、それぞれの環境の状況に応じて、必要度B〜Eが設定される。
【0036】
次いで、情報提供処理では、各ジャンル毎に設定されるこれらの必要度の標準値Aおよび各環境に応じた必要度B〜Eに基づき、車両の現時点における種々の環境を総合的に反映した、そのジャンルの情報の必要度合いを示す判定必要度Xを、各ジャンル毎に算出する。そして、それぞれのジャンルの判定必要度Xを比較することによって、その判定必要度Xの高いジャンルの情報が優先してLCD18上に表示されるように、各ジャンルに対して優先度を設定する。
【0037】
このように、車両のその時々における様々な環境を総合的に判断して得られた各ジャンルの判定必要度Xに応じて、それぞれのジャンルの優先度が設定されるので、LCD18には、車両のその時々における様々な環境に合ったジャンルの情報が優先して表示される。
【0038】
RAM13は、ナビゲーション装置10の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するための書換可能な揮発性のメモリである。このRAM13には、情報格納領域13aが設けられている。
【0039】
情報格納領域13aは、乗員に対して提供する情報、即ちLCD18に表示する情報を格納する領域である。CPU11は、所定のタイミング(例えば、10分間隔)で、情報提供サーバ50より「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といったジャンルの情報を受信し、先に情報提供サーバ50より受信した情報を上書きする形で、情報格納領域13aに格納する。
【0040】
また、CPU11は、情報提供サーバ50より情報を受信したタイミングで、車両の現在位置から所定範囲内にあるガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアに関する情報、すなわち、「GS情報」や「SA・PA情報」といったジャンルの情報を、ナビゲーション装置10内の道路地図データベース14aより抽出し、先に道路地図データベース14aより抽出した情報を上書きする形で、情報格納領域13aに格納する。
【0041】
更に、CPU11は、ETCカードの挿入を促す「ETC情報」ジャンルの情報を、予め所定のタイミング(例えば、ナビゲーション装置10の電源が投入された直後に実行される初期化処理のタイミング)で、予め情報格納領域13aに格納する。
【0042】
そして、CPU11は、この情報格納領域13aに格納された各種ジャンルの情報を、車両のその時々における様々な環境を総合的に判断して設定した、それぞれのジャンルの優先度の順に、LCD18に表示する。これによって、LCD18には、車両のその時々における様々な環境に合ったジャンルの情報が優先して表示される。
【0043】
HDD14は、書換可能な磁気ディスクであり、例えば、道路地図データベース14a、フィルタリング1テーブル14b、フィルタリング2テーブル14c、フィルタリング3テーブル14d、フィルタリング4テーブル14e、フィルタリング5テーブル14fが格納される。
【0044】
道路地図データベース14aは、車両の現在地周辺や目的地周辺等の各種地図や道路をLCD18に表示するための地図情報や、目的地までの経路探索に使用される道路情報が格納されたデータベースである。また、道路地図データベース14aには、ガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアといった各種施設の施設情報であるPOI(Point Of Interest)情報が格納されている。このPOI情報は、種々の施設毎に、その施設の位置情報(経度および緯度情報)やその施設の名称およびその施設における関連情報を記述した情報である。
【0045】
CPU11は、情報提供サーバ50より情報を受信したタイミングで道路地図データベース14aに格納されたPOI情報を参照し、車両の現在位置から所定範囲内に含まれるガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアに関する情報、すなわち、「ガソリンスタンド(GS)情報」、「サービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)情報」といったジャンルの情報を、このPOI情報から抽出する。
【0046】
フィルタリング1テーブル14b〜フィルタリング5テーブル14fは、それぞれ、各ジャンル毎の優先度の設定に用いられる判定必要度X、即ち、車両の種々の環境を総合的に反映した各ジャンルの情報の必要度合いを示す判定必要度Xを算出するために、上述した必要度の標準値Aおよび各環境に応じた必要度B〜Eを各ジャンル毎に特定するためのテーブルである。
【0047】
ここで、図2及び図3を参照して、フィルタリング1テーブル14b〜フィルタリング5テーブル14fの詳細について説明する。図2(a)は、フィルタリング1テーブル14b(必要度の標準値A)の内容の一例を模式的に示す模式図であり、図2(b)は、フィルタリング2テーブル14c(時間に応じた必要度B)の内容の一例を模式的に示す模式図である。また、図3(a)は、フィルタリング3テーブル14d(道路種別に応じた必要度C)の内容の一例を模式的に示す模式図であり、図3(b)は、フィルタリング4テーブル14e(道路リンク情報に応じた必要度D)の内容を模式的に示す模式図であり、図3(c)は、フィルタリング5テーブル(緊急状態に応じた必要度E)の内容を模式的に示す模式図である。
【0048】
まず、フィルタリング1テーブル14bは、車両の取り巻く環境に関わらず一定の値が設定される必要度の標準値Aの値を、各ジャンル毎に特定するためのテーブルである。このフィルタリング1テーブル14bは、図2(a)に示すように、「ジャンル」の「飲食店」に「飲食店情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられ、「イベント」に「イベント情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられ、「ニュース」に「ニュース情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられ、「宿泊施設」に「宿泊施設情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられ、「GS」に「GS情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられ、「SA・PA」に「SA・PA情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられ、「ETC」に「ETC情報」ジャンルの標準値Aが対応付けられている。
【0049】
これら各ジャンルの必要度の標準値Aは、その値が高い値であるほど、そのジャンルの情報が必要とされる度合いが高いことを意味する。図2(a)の例では、「飲食店情報」ジャンルの標準値Aとして「1」が対応付けられ、「イベント情報」ジャンルの標準値Aとして「2」が対応付けられ、「ニュース情報」ジャンルの標準値Aとして「3」が対応付けられ、「宿泊施設情報」ジャンルの標準値Aとして「4」が対応付けられ、「GS情報」ジャンルの標準値Aとして「5」が対応付けられ、「SA・PA情報」ジャンルの標準値Aとして「6」が対応付けられ、「ETC」ジャンルの標準値Aとして「0」が対応付けられている。
【0050】
よって、図2(a)の例では、各ジャンル毎に必要度の標準値Aによって示されるジャンルの情報の必要とされる度合いが、「ETC情報」<「飲食店情報」<「イベント情報」<「ニュース情報」<「宿泊施設情報」<「GS情報」<「SA・PA情報」の順に高く設定されることになる。
【0051】
尚、図2(a)の例では、標準値Aが各ジャンルの間でそれぞれ異なる値が対応付けられている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一部または全部のジャンルにおいて同じ値の標準値Aが対応付けられていてもよい。この場合、同じ値の標準値Aが対応付けられたジャンルにおいては、それぞれそのジャンルの情報が必要とされる度合いが同じであることを意味する。また、以下に説明する必要度B〜Eのおいても、同様に、各ジャンルの必要度が全て異なる値に設定されるものであってもよいし、一部または全部のジャンルにおいて同じ値が設定されるものであってもよい。
【0052】
このフィルタリング1テーブル14bは、乗員がナビゲーション装置10のタッチパネル19や操作キー20を操作することによって、その内容が適宜変更可能に構成されている。即ち、乗員によって、各ジャンルに対応付けられた必要度の標準値Aの値が変更できるようになっている。これにより、乗員は、その乗員の嗜好に応じてそれぞれのジャンルにおける必要度の標準値Aを予め設定することができる。よって、必要度の標準値Aは、乗員の定常的な嗜好に応じて、各ジャンルの情報が必要とされる必要度を、それぞれのジャンル毎に示したものである、とすることができる。
【0053】
尚、乗員によるフィルタリング1テーブル14bの変更は、予め各ジャンルの標準値Aの組み合わせをいくつか用意しておき、その組み合わせの中から乗員に対して好みの標準値Aの組み合わせを選択させ、その選択された組み合わせに従って各ジャンルの標準値Aを設定することによって行われてもよい。また、ジャンル毎に乗員からの標準値Aの入力を受け付け、それぞれのジャンルに対して乗員より入力された標準値Aを対応するジャンルに対して設定することによって、フィルタリング1テーブル14bの乗員による変更が行われてもよい。
【0054】
また、「ETC情報」ジャンルにおける必要度の標準値Aは、フィルタリング1テーブル14bが乗員によって変更される場合であっても、その値が0をはじめとする低い値に設定されるのが望ましい。これは、ETCカードの挿入を促す情報であるETC情報が、ETCカードが必要となる状況においてのみ、即ち、ETC車載器90が取り付けられており、そのETC車載器90にETCカードが挿入されていない状況で、目的地までの経路探索の結果、自動料金支払いシステムが採用された道路が設定された場合においてのみ、ETC情報における判定必要度Xの値を高く設定させるためである。
【0055】
フィルタリング1テーブル14bは、CPU11が図4に示す情報提供処理を実行中に参照される。即ち、CPU11は、その情報提供処理において判断された車両の取り巻く複数の環境に関わらず、そのフィルタリング1テーブル14bの各ジャンルに対応付けられた必要度の標準値Aをジャンル毎に特定する(図4のS20参照)。そして、この各ジャンルの必要度の標準値Aに基づいて、それぞれのジャンルの判定必要度Xを算出し(図4のS25参照)、この算出した判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度を設定する(図4のS26)。
【0056】
ここで、上述したように、必要度の標準値Aは、乗員の定常的な嗜好に応じて各ジャンルの情報が必要とされる必要度をそれぞれのジャンル毎に示したものである。そして、この必要度の標準値Aに基づき判定必要度Xが算出されるので、LCD18には、可能な限り乗員の嗜好に合うジャンルの情報を、定常的に優先して表示させることができる。よって、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0057】
フィルタリング2テーブル14cは、車両の取り巻く一環境として、車両の走行している時間に応じて設定される必要度Bの値を各ジャンル毎に特定するためのテーブルである。このフィルタリング2テーブル14cは、図2(b)に示すように、「時刻」と「ジャンル」とに分けられており、「時刻」には24時間制で示した時間が15分刻みに分割されて、示されている。また、「ジャンル」は、「飲食店情報」ジャンルの必要度Bが対応付けられる「飲食店」と、「イベント情報」ジャンルの必要度Bが対応付けられる「イベント」と、「宿泊施設情報」ジャンルの必要度Bが対応付けられる「宿泊施設」とに分けられている。
【0058】
そして、フィルタリング2テーブル14cには、「時刻」に示された時間に対応付けて、その時間における「飲食店情報」、「イベント情報」及び「宿泊施設情報」の各ジャンルの必要度Bが、それぞれ「飲食店」、「イベント」、「宿泊施設」の列に設定されている。例えば、図2(b)の例では、「時刻」が「6:00」に対して、「飲食店情報」、「イベント情報」及び「宿泊施設情報」の各ジャンルの必要度が、ぞれぞれ「0」、「1」、「0」に設定されている。また、「時刻」が「17:00」に対して、「飲食店情報」、「イベント情報」及び「宿泊施設情報」の各ジャンルの必要度が、ぞれぞれ「2」、「0」、「1」に設定されている。
【0059】
これら各ジャンルの必要度Bは、その値が高い値であるほど、そのジャンルの情報が必要とされる度合いが高いことを意味する。一般的に、「飲食店情報」ジャンルの情報は、昼食時や夕食時に他の情報よりも強く求められる。そこで、フィルタリング2テーブル14cにおいて、昼食時や夕食時の時間帯における「飲食店情報」ジャンルの必要度Bを「2」と、他のジャンルよりも高く設定することで、その時間帯において「飲食店情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを、他のジャンルよりも高く示すことができる。
【0060】
また、「イベント情報」ジャンルの情報は、一般的に、日の出から日の入りの時間帯にかけて求められるものであるので、フィルタリング2テーブル14cにおいて、日の出から日の入りの時間帯における「イベント情報」ジャンルの必要度Bを「1」と設定し、その他の時間帯における「イベント情報」ジャンルの必要度Bを「0」と設定することで、その時間帯において「イベント情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを、他の時間帯よりも高く示すことができる。
【0061】
更に、「宿泊施設情報」ジャンルの情報は、一般的に、夕方から夜の時間帯にかけて求められるものであるので、フィルタリング2テーブル14cにおいて、夕方から夜の時間帯における「宿泊施設情報」ジャンルの必要度Bを「1」と設定し、その他の時間帯における「宿泊施設情報」ジャンルの必要度Bを「0」と設定することで、夕方から夜の時間帯において「宿泊施設情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを、他の時間帯よりも高く示すことができる。
【0062】
フィルタリング2テーブル14cは、CPU11が図4に示す情報提供処理を実行中に参照される。即ち、CPU11は、その情報提供処理によって、車両が走行している時間を計時回路11aより判断し(図4のS16参照)、その判断した時間以下で最も近い「時刻」に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」の各ジャンルにおける必要度Bを特定する(図4のS21参照)。
【0063】
例えば、図2(b)の例では、計時回路11aより取得した時間が「11:08」であった場合、「11:08」以下で最も近い「時刻」である「11:00」に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」の各ジャンルにおける値「2」、「1」、「0」を、それぞれのジャンルの必要度Bとして特定する。
【0064】
尚、フィルタリング2テーブル14cには、「ニュース情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルの必要度Bが設定されていない。これは、「ニュース情報」、「GS情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルについては、時間に関係なく、そのジャンルの情報が必要であり、「ETC情報」ジャンルについては、時間に関係なく、通常時はその情報が必要とされないためである。
【0065】
そこで、CPU11は、フィルタリング2テーブル14cから各ジャンルの必要度Bを特定する際に、「ニュース情報」、「GS情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルの必要度Bを車両の走行している時間に関係なく「1」に特定し、「ETC情報」ジャンルの必要度Bを車両の走行している時間に関係なく「0」に特定する。
【0066】
そして、CPU11は、フィルタリング2テーブル14cなどから各ジャンルの必要度Bを特定すると、その各ジャンルの時間に応じた必要度Bに基づいて、それぞれのジャンルの判定必要度Xを算出し(図4のS25参照)、この算出した判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度を設定する(図4のS26参照)。
【0067】
よって、車両の走行している時間において、その時間に求められるジャンルの必要度Bが高く設定されていれば、そのジャンルの情報を可能な限り優先してLCD18上に表示させることができる。よって、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0068】
フィルタリング3テーブル14dは、車両の取り巻く一環境として、車両の走行している道路種別に応じて設定される必要度Cの値を各ジャンル毎に特定するためのテーブルである。ここで、道路種別とは、高速道路や国道といった、車両が走行している道路の種別を指すものであり、フィルタリング3テーブル14dは、この道路種別の特性に合わせて必要度Cの値を各ジャンル毎に特定する。
【0069】
このフィルタリング3テーブル14dは、図3(a)に示すように、「道路種別」と「ジャンル」とに分けられており、「道路種別」は、「高速道路」、「都市道路」、「国道」、「主要地方道」、「県道」、「一般道路(幹線)」、「その他の案内道」、「導入路」、「細街路」、「細街路(走行中非表示)」、「フェリー航路」、「施設内道路(駐車場)」といった各道路種別によって分割されている。尚、「細街路(走行中非表示)」は、細街路の中でも、車両走行中にLCD18上に表示される地図においては非表示とされる細街路のことを示している。
【0070】
一方、「ジャンル」は、「飲食店情報」ジャンルの必要度Cが対応付けられる「飲食店」と、「イベント情報」ジャンルの必要度Cが対応付けられる「イベント」と、「宿泊施設情報」ジャンルの必要度Cが対応付けられる「宿泊施設」と、「SA・PA情報」ジャンルの必要度Cが対応付けられる「SA・PA」とに分けられている。
【0071】
そして、フィルタリング3テーブル14dには、「道路種別」に示された道路種別に対応付けて、その道路種別における「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルの必要度Cが、それぞれ「飲食店」、「イベント」、「宿泊施設」および「SA・PA」の列に設定されている。
【0072】
例えば、図3(a)の例では、「道路種別」が「高速道路」に対して、「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルの必要度が、ぞれぞれ「0」、「0」、「0」、「1」に設定されている。また、「高速道路」以外の「道路種別」に対しては、いずれも、「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルの必要度が、ぞれぞれ「1」、「1」、「1」、「0」に設定されている。
【0073】
これら各ジャンルの必要度Cは、その値が高い値であるほど、そのジャンルの情報が必要とされる度合いが高いことを意味する。ここで、車両が高速道路を走行している場合、「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」といったジャンルの情報よりも、「SA・PA情報」ジャンルの情報がより強く求められる。そこで、フィルタリング3テーブル14dにおいて、「高速道路」における「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」の各ジャンルの必要度Cを「0」に設定すると共に、「SA・PA情報」ジャンルの必要度Cを「1」と設定することで、高速道路を走行中は、「SA・PA情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを、他のジャンルよりも高く示すことができる。
【0074】
また、車両が高速道路以外の道路を走行している場合、「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」といったジャンルの情報が求められる一方、「SA・PA情報」ジャンルの情報は必要ない。そこで、フィルタリング3テーブル14dにおいて、「高速道路」以外の道路種別における「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」の各ジャンルの必要度Cを「1」に設定すると共に、「SA・PA情報」ジャンルの必要度Cを「0」と設定することで、高速道路以外の道路を走行中は、「SA・PA情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを、他のジャンルよりも低く示すことができる。
【0075】
フィルタリング3テーブル14dは、CPU11が図4に示す情報提供処理を実行中に参照される。即ち、CPU11は、その情報提供処理によって、車両が走行している道路種別を、現在位置検出装置15により検出された車両の現在位置情報(経度および緯度情報)から道路地図データベース14aの道路情報を基に判断し(図4のS17参照)、その判断した道路種別に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルにおける必要度Cを特定する(図4のS22参照)。
【0076】
例えば、図3(a)の例では、車両が走行している道路種別が高速道路と判断された場合、「道路種別」が「高速道路」に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルにおける値「0」、「0」、「0」、「1」を、それぞれのジャンルの必要度Cとして特定する。
【0077】
尚、フィルタリング3テーブル14dには、「ニュース情報」、「GS情報」および「ETC情報」の各ジャンルの必要度Cが設定されていない。これは、「ニュース情報」および「GS情報」の各ジャンルについては、道路種別に関係なく、そのジャンルの情報が必要であり、「ETC情報」ジャンルについては、道路種別に関係なく、通常はその情報が必要とされないためである。
【0078】
そこで、CPU11は、フィルタリング3テーブル14dから各ジャンルの必要度Cを特定する際に、「ニュース情報」および「GS情報」の各ジャンルの必要度Cを車両の走行している道路種別に関係なく「1」に特定し、「ETC情報」ジャンルの必要度Cを車両の走行している道路種別に関係なく「0」に特定する。
【0079】
そして、CPU11は、フィルタリング3テーブル14dなどから各ジャンルの必要度Cを特定すると、その各ジャンルの道路種別に応じた必要度Cに基づいて、それぞれのジャンルの判定必要度Xを算出し(図4のS25参照)、この算出した判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度を設定する(図4のS26参照)。よって、車両の走行している道路種別において、その道路種別を走行中に求められるジャンルの必要度Cが高く設定されていれば、そのジャンルの情報を可能な限り優先してLCD18上に表示させることができる。よって、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0080】
フィルタリング4テーブル14eは、車両の取り巻く一環境として、車両が走行している道路区間(現在位置)を示した道路リンク情報に応じて設定される必要度Dの値を各ジャンル毎に特定するためのテーブルである。ここで、道路リンク情報は、道路地図データベース14aに格納された道路情報において、道路上に一意に設定されたノードとノードとを結ぶことによって特定される道路区間(道路リンク)を示す情報である。このようにフィルタリング4テーブル14eでノードと道路リンクを用いるのは、案内をする際に走行している道路によって行き易い場所や行きにくい場所を識別するためである。例えば、案内場所が橋を渡って行く地点にあった場合、橋を渡らず行かなくても済むような代替場所が見つかればこの代替場所を案内するようにフィルタリングすることができるようになる。
【0081】
よって、CPU11は、フィルタリング4テーブル14eにより、道路リンク情報に応じて必要度Dの値を各ジャンル毎に特定することによって、車両の走行している道路区間(即ち、車両の現在位置)に応じた必要度Dの値を特定することができる。従って、車両の走行している道路区間(現在位置)の特性に合わせて、それぞれのジャンル毎に、そのジャンルの情報が必要とされる度合いを設定することができる。
【0082】
このフィルタリング4テーブル14eは、図3(b)に示すように、「道路リンク情報」と「ジャンル」とに分けられている。「道路リンク情報」は、道路地図データマップ14aに格納された道路情報に含まれる全ての道路リンク情報によって分割されており、それぞれの道路リンク情報を識別するための識別情報として、その道路リンク情報により示される道路区間の両端のノード識別情報が記載されている。
【0083】
一方、「ジャンル」は、「飲食店情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「飲食店」と、「イベント情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「イベント」と、「ニュース情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「ニュース」と、「宿泊施設情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「宿泊施設」と、「GS情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「GS」と、「SA・PA情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「SA・PA」と、「ETC情報」ジャンルの必要度Dが対応付けられる「ETC」とに分けられている。
【0084】
そして、フィルタリング4テーブル14eには、「道路リンク情報」に示された道路リンク情報の識別情報に対応付けて、その道路リンク情報における「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルの必要度Dが、それぞれ「飲食店」、「イベント」、「ニュース」、「宿泊施設」、「GS」、「SA・PA」および「ETC」の列に設定されている。
【0085】
例えば、図3(b)の例では、「道路リンク情報」に示される道路リンク情報の識別情報が「ノードA:ノードB」に対して、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルの必要度Dが、ぞれぞれ「1」、「2」、「3」、「4」、「6」、「5」、「100」に設定されている。また、「道路リンク情報」に示される道路リンク情報の識別情報が「ノードX:ノードY」に対して、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルの必要度が、ぞれぞれ「10」、「9」、「3」、「4」、「5」、「0」、「0」に設定されている。
【0086】
これら各ジャンルの必要度Dは、その値が高い値であるほど、そのジャンルの情報が必要とされる度合いが高いことを意味する。ここで、車両が、図3(b)に例示した道路リンク情報の識別情報において「ノードX:ノードY」で示される道路区間を走行している場合、例えば、この道路区間が商業地域の中にあり、また近隣にイベント施設の存在する道路区間であれば、その道路区間の近隣に存在する飲食店や、イベントに関する情報が強く求められる。
【0087】
これに対し、フィルタリン4テーブル14eでは、「道路リンク情報」が「ノードX:ノードY」における「飲食店情報」および「イベント情報」の各ジャンルの必要度Dが「10」および「9」と他のジャンルよりも大きな値に設定されている。これにより、車両が、道路リンク情報の識別情報において「ノードX:ノードY」で示される道路区間を走行している場合は、その道路区間が商業地域の中にあり、近隣にイベント施設が存在するという特性に合わせて、「飲食店情報」および「イベント情報」の各ジャンルが必要とされる度合いを、他のジャンルよりも高く示すことができる。
【0088】
また、車両が、図3(b)に例示した道路リンク情報の識別情報において「ノードA:ノードB」で示される道路区間を走行している場合、この道路区間は、フィルタリング4テーブル14eに設けられた「タグ」に示されるように、インターチェンジ(IC)の取り付け道であるので、ETCカード挿入の確認が強く求められる。
【0089】
これに対し、フィルタリン4テーブル14eでは、「道路リンク情報」が「ノードA:ノードB」における「ETC情報」ジャンルの必要度Dが「100」と他のジャンルよりも非常に大きな値に設定されている。これにより、車両が、道路リンク情報の識別情報において「ノードA:ノードB」で示されている道路区間を走行している場合は、その道路区間がインターチェンジの取り付け道であるという特性に合わせて、ETCカードの挿入を促す「ETC情報」ジャンルが必要とされる度合いを、他のジャンルよりも高く示すことができる。
【0090】
フィルタリング4テーブル14eは、CPU11が図4に示す情報提供処理を実行中に参照される。即ち、CPU11は、その情報提供処理によって、車両が走行している道路区間の道路リンク情報を、現在位置検出装置15により検出された車両の現在位置情報(経度および緯度情報)から道路地図データベース14aの道路情報を基に判断し(図4のS17参照)、その判断した道路リンク情報に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルにおける必要度Dを特定する(図4のS23参照)。
【0091】
例えば、図3(b)の例では、車両が走行している道路区間の道路リンク情報が「ノードA:ノードB」であった場合、「道路リンク情報」が「ノードA:ノードB」に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルにおける値「1」、「2」、「3」、「4」、「6」、「5」、「100」を、それぞれのジャンルの必要度Dとして特定する。
【0092】
そして、CPU11は、フィルタリング4テーブル14eから各ジャンルの必要度Dを特定すると、その各ジャンルの道路リンク情報に応じた必要度Dに基づいて、それぞれのジャンルの判定必要度Xを算出し(図4のS25参照)、この算出した判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度を設定する。よって、車両の走行している道路区間(現在位置)を示す道路リンク情報において、その道路区間(現在位置)に合ったジャンルの必要度Dが高く設定されていれば、そのジャンルの情報を可能な限り優先してLCD18上に表示させることができる。よって、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0093】
フィルタリング5テーブル14fは、車両の取り巻く一環境として、車両において対応すべき事象が発生した緊急状態の内容に応じて設定される必要度Eの値を、各ジャンル毎に特定するためのテーブルである。この必要度Eは、通常時において、いずれのジャンルも「1」に特定される。一方、車両が緊急状態にある場合は、その緊急状態の内容に応じて、フィルタリング5テーブル14fにより示される「ジャンル」の必要度Eが、そのテーブル14fにより示される「必要度」の値に特定される。尚、この緊急状態にある場合も、フィルタリング5テーブル14fにより示される「ジャンル」以外のジャンルの必要度Eは、「1」に特定される。
【0094】
このフィルタリング5テーブル14eは、図3(c)に示すように、「緊急状態判定条件」と、「ジャンル」と、「必要度」とに分けられており、「緊急状態判定条件」は、車両が緊急状態にあるか否かを判定する種々の緊急状態判定条件によって分割されている。また、「ジャンル」及び「必要度」には、「緊急状態判定条件」に示された各々の緊急状態判定条件に対応付けて、その緊急状態判定条件が満たされた場合に、車両が緊急状態にあるとして通常時とは異なる必要度Eの値を設定すべきジャンルと、その設定すべき必要度Eの値とが示されている。
【0095】
例えば、図3(c)の例では、「緊急状態判定条件」に3つの緊急状態判定条件が示されている。1つ目の緊急状態判定条件は、「ガソリン残量が5リットル以上10リットル未満であるか否か」である。そして、この1つ目の条件に対し、「ジャンル」として「GS」が対応付けられ、「必要度」として「20」が対応付けられている。これにより、ガソリン残量が5リットル以上10リットル未満である場合は、「GS情報」ジャンルの必要度Eが「20」に特定される。よって、車両のガソリン残量が5リットル以上10リットル未満と少なくなった場合は、「ガソリン情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを通常時よりも高く示すことができる。
【0096】
2つ目の緊急状態判定条件は、「ガソリン残量が5リットル未満であるか否か」である。そして、この2つ目の条件に対し、「ジャンル」として「GS」が対応付けられ、「必要度」として「30」が対応付けられている。これにより、ガソリン残量が5リットル未満である場合は、「GS情報」ジャンルの必要度Eが「30」に特定される。よって、車両のガソリン残量が5リットル未満と更に少なくなった場合は、「ガソリン情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを、ガソリン残量が5リットル以上10リットル未満となった場合よりも更に高く示すことができる。
【0097】
3つ目の緊急状態判定条件は、「ETC重要度が所定値以上であるか否か」である。ここで、ETC重要度は、目的地までの経路探索結果や車両におけるETC車載器90の取り付け状況およびETCカードの挿入状況に応じて算出される、ETCカードの必要度合いを示すものである。
【0098】
そして、ETC重要度は、目的地までの経路探索の結果、高速道路や有料道路など、ETCによる自動料金支払いシステムが採用された道路が設定されると大きい値が算出され、その他の道路が設定されると小さい値が算出される。また、ETC車載器90が取り付けられている場合(即ち、ナビゲーション装置10にETC車載器90が接続されている場合)は大きい値が算出され、ETC車載器90が取り付けられていない場合(即ち、ナビゲーション装置10にETC車載器90が接続されていない場合)は小さい値が算出される。更に、ETC車載器90から送信されるETCカードの挿入状態を示す情報に基づき、ETCカードがETC車載器90に挿入されていなければ大きい値が算出され、ETCカードがETC車載器90に挿入されていれば小さい値が算出される。
【0099】
従って、ETC重要度が所定値以上である場合は、ETC車載器90が取り付けられており、そのETC車載器90にETCカードが挿入されていない状況で、目的地までの経路探索の結果、自動料金支払いシステムが採用された道路が設定された場合であるので、ETCカードをETC車載器90に挿入すべき緊急状態にあると判断できる。
【0100】
フィルタリング5テーブル14fは、図3(c)に示すように、3つ目の緊急状態判定条件である「ETC重要度が所定値以上であるか否か」に対して、「ジャンル」として「ETC」が対応付けられ、「必要度」として「25」が対応付けられている。これにより、ETC重要度が所定値以上である場合は、「ETC情報」ジャンルの必要度Eが「25」に特定される。よって、車両にETC車載器90が取り付けられており、そのETC車載器90にETCカードが挿入されていない状況で、目的地までの経路探索の結果、自動料金支払いシステムが採用された道路が設定された場合は、「ETC情報」ジャンルの情報が必要とされる度合いを通常時よりも高く示すことができる。
【0101】
フィルタリング5テーブル14fは、CPU11が図4に示す情報提供処理を実行中に参照される。即ち、CPU11は、その情報提供処理によって、車両に設けられたガソリンタンクのガソリン残量をガソリン残量センサ80より取得する(図4のS18参照)。また、ETC車載器90の取り付け状態をナビゲーション装置10に設けられたETC車載器90との接続端子(図示せず)から判断すると共に、ETC車載器90におけるETCカードの挿入状態をETC車載器90から送信される情報によって判断し、更に、目的地までの経路探索が行われた結果、自動料金支払いシステムが採用された道路が設定されたか否かを判断して、ETC重要度を算出する(図4のS19参照)。
【0102】
そして、CPU11は、フィルタリング5テーブル14fを参照して、ガソリン残量およびETC重要度から、「緊急状態判定条件」のいずれかを満たすか否かを判断し、いずれかの条件を満たす場合は、車両が緊急状態にあると判断し、その緊急状態の内容に応じて、各ジャンルにおける必要度Eを特定する(図4のS24参照)。
【0103】
即ち、フィルタリング5テーブル14fに示した「緊急状態判定条件」のうち、1〜2番目の条件を満たす場合は、「GS情報」ジャンルの必要度Eを「20」又は「30」に特定すると共に、他のジャンルの必要度Eを「1」に特定する。また、フィルタリング5テーブル14fに示した「緊急状態判定条件」のうち、3番目の条件を満たす場合は、「ETC情報」ジャンルの必要度Eを「25」に特定すると共に、他のジャンルの必要度Eを「1」に特定する。一方、フィルタリング5テーブル14fに示した「緊急状態判定条件」のいずれの条件も満たさない場合は、車両が緊急状態ではないと判断し、全てのジャンルの必要度Eを「1」に特定する。
【0104】
そして、CPU11は、フィルタリング5テーブル14fなどから各ジャンルの必要度Eを特定すると、車両の緊急状態に応じた各ジャンルの必要度Eに基づいて、それぞれのジャンルの判定必要度Xを算出し(図4のS25参照)、この算出した判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度を設定する。よって、車両の緊急状態において、その緊急状態時に必要なジャンルの必要度Eが高く設定されていれば、そのジャンルの情報を可能な限り優先してLCD18上に表示させることができる。よって、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0105】
フィルタリング1テーブル14b〜フィルタリング5テーブル14fに基づき、必要度の標準値A、時間に応じた必要度B、道路種別に応じた必要度C、道路リンク情報に応じた必要度Dおよび緊急状態に応じた必要度Eが、各ジャンル毎、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」、「ETC情報」毎に特定されると、この特定された必要度の標準値Aおよび各環境に応じた必要度B〜Eから、各ジャンル毎に判定必要度Xが算出される(図4のS25参照)。
【0106】
この判定必要度Xは、それぞれのジャンル毎に、必要度の標準値Aおよび各環境に応じた必要度B〜Eを基に、車両の現時点における種々の環境を総合的に反映した、そのジャンルの情報の必要度合いを示すものであり、例えば、次に示す式(1)によって各ジャンル毎に算出される。
【0107】
X = (2×D+(3×A+B)×C)×E ・・・(1)
この式(1)では、時間に応じた必要度Bと道路種別に応じた必要度Cとが乗算されて、判定必要度Xが算出される。これにより、時間に応じた必要度Bと道路種別に応じた必要度Cとのいずれにおいても高い必要度が特定されたジャンルにおいて、判定必要度Xが高くなるように算出される。
【0108】
ここで、車両の乗員が必要とする情報のジャンルは、一般的に、車両の走行している時間によって大きく異なるものであり、また、車両の走行している道路種別によっても大きく異なるものである。よって、時間に応じた必要度Bと道路種別に応じた必要度Cとのいずれにおいても高い必要度が特定されたジャンルの判定必要度Xが高くなるように、その判定必要度Xを算出することで、そのジャンルの優先度を可能な限り高く設定することができる。従って、車両が走行している時間および道路種別のいずれにも適したジャンルの情報を可能な限り優先してLCD18上に表示させることができるので、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0109】
また、上記した式(1)では、必要度の標準値Aが時間に応じた必要度Bに加算されて、判定必要度Xが算出される。これにより、乗員の定常的な嗜好に応じて各ジャンルの情報が必要とされる必要度をそれぞれのジャンル毎に示した必要度の標準値Aが、判定必要度Xの算出において加味されるので、乗員の嗜好をジャンル毎の判定必要度Xに反映させることができる。よって、その乗員の嗜好が反映されたジャンル毎の判定必要度Xに応じて、LCD18上に表示すべき各ジャンルの情報の優先度を設定することにより、LCD18上には、乗員の嗜好するジャンルの情報を優先して表示させることができる。従って、車両の乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0110】
また、上記した式(1)では、車両が走行している道路区間(現在位置)を示す道路リンク情報に応じた必要度Dが、必要度の標準値A、時間に応じた必要度Bおよび道路種別に応じた必要度Cに基づいて算出される値に対して加算される。これにより、車両が走行している道路区間の特性に適したジャンルの必要度が高く特定される必要度Dが、判定必要度Xの算出において加味され、その必要度Dが高い値のジャンルほどそのジャンルにおける判定必要度Xが高くなるように、その判定必要度Xが算出される。
【0111】
ここで、車両の乗員が必要とする情報のジャンルは、一般的に、その車両の道路区間(現在位置)に応じて大きく異なる。例えば、車両の走行している道路区間がインターチェンジの取り付け道であれば、その他の位置を走行している場合と比して、ETCカードの挿入を促す情報を含む「ETC情報」ジャンルの情報が必要とされる。
【0112】
これに対し、車両が走行している道路区間の特性に適したジャンルの必要度が高く特定される必要度Dが、判定必要度Xの算出において加味され、その必要度Dが高い値のジャンルほどそのジャンルにおける判定必要度Xが高くなるように、その判定必要度Xが算出されることによって、そのジャンルに対する優先度を高く設定することができるので、車両が走行している道路区間(現在位置)に適したジャンルの情報を可能な限り優先してLCD18上に表示させることができる。よって、車両の乗員に対して必要な情報をより的確に提供することができる。
【0113】
更に、上記した式(1)では、車両において対応すべき事象が発生した緊急状態の内容に応じて設定される必要度Eが、必要度の標準値A、時間に応じた必要度B、道路種別に応じた必要度Cおよび道路リンク情報に応じた必要度Dに基づいて算出される値に対して乗算される。これにより、車両が緊急状態となった場合に、その緊急状態に必要なジャンルの情報の必要度が高く特定される必要度Eが、判定必要度Xの算出において加味され、その必要度Eが高い値のジャンルほどそのジャンルにおける判定必要度Xが高くなるように、その判定必要度Xが算出される。
【0114】
特に、必要度Eは、必要度の標準時Aおよび必要度B〜Dにより算出された値に対して乗算されるものであるので、必要度の標準時Aおよび必要度B〜Dにより算出された値が0でなければ、必要度Eの値が大きいほど、判定必要度Xがより大きく算出されることとなる。即ち、緊急状態に応じた必要度Eの値は、判定必要度Xの算出において、必要度の標準時Aや必要度B〜Dよりも強く加味されることとなる。
【0115】
これにより、車両が緊急状態となった場合は、その緊急状態に必要なジャンルの情報の必要度が高く特定される必要度Eの影響によって、そのジャンルの判定必要度Xをより高く算出することができる。よって、このように算出された判定必要度Xに基づき、LCD18上に表示させるジャンルの情報の優先度を設定することにより、LCD18上には、緊急状態に必要なジャンルの情報を他のジャンルの情報に優先して表示させることができる。よって、車両の乗員に対して必要な情報をより的確に提供することができる。
【0116】
図1に戻って、ナビゲーション装置10の説明を続ける。現在位置検出装置15は、ナビゲーション装置10が搭載される車両の現在地の位置情報(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)受信装置15a、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ15b、ジャイロセンサ15c、車速センサ15dの1又は複数が使用される。
【0117】
CPU11は、現在位置検出装置15により検出される車両の現在地の位置情報に基づいて、目的地までの経路誘導を行う。また、CPU11は、図4に示す情報提供処理の中で、現在位置検出装置15により検出された車両の現在位置情報を取得し(図4のS11参照)、その位置情報を情報提供要求と合わせて情報提供サーバ50に送信する(図4のS12参照)。
【0118】
これにより、ナビゲーション装置10は、情報提供サーバ50から、その車両の現在位置から所定範囲に関連する「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といった各種ジャンルの情報の提供を受けることができる。CPU11は、この提供を受けた情報を受信して、情報格納領域13aに格納する(図4のS13参照)。
【0119】
また、CPU11は、図4のS11により取得した車両の現在位置情報に基づいて、車両の現在位置から所定範囲内にあるガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアに関する情報、すなわち、「GS情報」および「SA・PA情報」といった各ジャンルの情報を、道路地図データベース14aに格納されたPOI情報から抽出し、その情報も情報格納領域13aに格納する(図4のS15参照)。
【0120】
通信制御装置16は、携帯通信用アンテナ17を有しており、携帯電話事業者が提供する無線通信ネットワーク70の末端に設けられている基地局60との間で、その基地局60に設けられた基地局用アンテナ60aを介して無線通信を行いながら、各種データの送受信を行う回路である。ナビゲーション装置10は、この通信制御装置16によって、無線通信ネットワーク70に接続されている情報提供サーバ50にアクセスし、その情報提供サーバ50に対して情報提供要求を送信し、また、情報提供サーバ50から情報提供要求に応じて提供される各種ジャンルの情報を受信する。
【0121】
LCD18は、タッチパネル19や操作キー20の操作に応じてメニューや動作状態などを表示する表示装置であり、車両周辺や経路探索された走行経路周辺の地図、探索経路、周辺施設案内画面などの表示も行われる。
【0122】
また、このLCD18には、情報提供サーバ50より受信した各種ジャンルの情報(「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」)や、ナビゲーション装置10内に設けられた道路地図データベース14aより抽出した各種ジャンルの情報(「GS情報」、「SA・PA情報」)、その他、ナビゲーション装置10が乗員に対して通知すべきジャンルの情報(「ETC情報」)が表示される。
【0123】
このとき、CPU11は、図4に示す情報提供処理によって、車両を取り巻く複数の環境の状況に応じて、情報提供される情報のジャンル毎、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」、「ETC情報」毎に優先度を設定し、優先度の高いジャンルの情報から順にLCD18上に表示することで、車両の乗員に対して必要な情報を的確に提供できるようになっている。
【0124】
タッチパネル19は、LCD18の表示パネル面に設けられた入力装置であり、指示物(ユーザの指やタッチペンなど)が接触または近接された場合に、その指示物により示された位置情報を出力するものである。CPU11は、タッチパネル19より出力された位置情報をもとに、LCD18に表示したボタンやアイコンの押下操作の有無を判断する。また、操作キー20は、ユーザによるナビゲーション装置10の各種機能の切り替えや、各種動作の指示をタッチパネル19と共に受け付ける入力装置である。
【0125】
次いで、図4を参照して、ナビゲーション装置10内のCPU11により実行される情報提供処理について説明する。図4は、この情報提供処理を示すフローチャートである。この情報提供処理は、乗員に対して情報提供する情報のジャンル毎に、車両を取り巻く複数の環境に応じて優先度を設定し、優先度の高いジャンルの情報から順にLCD18上に表示する処理である。この情報提供処理は、例えば10分間隔毎にその実行が開始される。
【0126】
この情報提供処理では、まず、車両の現在位置情報を現在位置検出装置15より取得する(S11)。そして、情報提供サーバ50から、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といった各種ジャンルの情報の提供を受けるために、S11の処理により取得した車両の現在位置情報と共に、情報提供要求を情報提供サーバ50へ送信する(S12)。
【0127】
これにより、情報提供サーバ50では、ナビゲーション装置10からの情報提供要求に応じて、その情報提供要求と合わせて送信された車両の現在位置情報に基づき、その車両の現在位置から所定範囲に関連する「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といった各種ジャンルの情報を抽出し、その抽出した情報をナビゲーション装置10に対して送信する。
【0128】
これに対し、S12の処理に続くS13の処理では、この情報提供サーバ50からの応答があったか否かを判別する(S13)。そして、情報提供サーバ50からの応答がない間は(S13:No)、S13の処理を繰り返し実行する。そして、S13の処理により、情報提供サーバ50からの応答があると判別されると(S13:Yes)、S14の処理へ移行する。
【0129】
このように、S12の処理により情報提供サーバ50に対して情報提供要求が送信されて以後、S13の処理によって、情報提供サーバ50からの応答があるまで処理がウェイトされる。
【0130】
尚、S12の処理の後、S13の処理の前に、計時回路11aのタイマ機能を動作させ、S13:Noの分岐において、その計時回路11aのタイマ機能の状態を検出することで、S12の処理により情報提供サーバ50に対して情報提供供給が送信されてからの経過時間を判断し、その経過時間が所定時間を超えた場合、この情報提供処理を終了するようにしてもよい。
【0131】
これにより、ナビゲーション装置10と提供装置サーバ50との間の通信上の障害もしくは情報提供サーバ50における障害によって、情報提供サーバ50から各種ジャンルの情報の提供を受けることができない状態にある場合に、S13の処理によってCPU11の処理が無限ループに陥ることを防止することができる。
【0132】
また、この段階で情報提供処理を終了する場合は、LCD18上に「タイムアウトエラー」を表示した上で、この情報提供処理を終了するようにしてもよい。これにより、乗員に対して、ナビゲーション装置10と情報提供サーバ50との間のデータの送受信に問題があることを認識させることができる。
【0133】
S14の処理では、情報提供サーバ50より提供された各種ジャンルの情報、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といった各ジャンルの情報を受信し、前に情報提供サーバ50より受信していた情報が上書きされる形で情報格納領域13aに格納する(S14)。
【0134】
また、S14の処理に次いで、車両の現在位置から所定範囲内にあるガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアに関する情報、すなわち、「GS情報」および「SA・PA情報」といった各ジャンルの情報を、道路地図データベース14aに格納されたPOI情報から抽出し、前に道路地図データベース14aより抽出した情報が上書きされる形で、情報格納領域13aに格納する(S15)。
【0135】
ここで、情報格納領域13aには、上述したように、ETCカードの挿入を促す「ETC情報」ジャンルの情報が、予め所定のタイミング(例えば、ナビゲーション装置10の電源が投入された直後に実行される初期化処理のタイミング)で格納される。よって、S14およびS15の処理を終えた段階で、情報格納領域13aには、情報提供サーバ50より受信した最新の「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」といった各ジャンルの情報と、道路地図データベース14aより抽出した車両の現在位置から所定範囲内にあるガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアに関する「GS情報」、「SA・PA情報」といった各ジャンルの情報と、予め格納されていた「ETC情報」ジャンルの情報とが格納されていることになる。
【0136】
次いで、S16〜S19の処理では、車両の取り巻く環境の状況を判断するための種々のパラメータを取得し又は算出する。まず、S16の処理では、車両が走行している時間を、計時回路11aより取得する(S16)。
【0137】
次に、現在位置検出装置15により検出された車両の現在位置情報(経度および緯度情報)を取得し、その取得した車両の現在位置情報から、道路地図データベース14aの道路情報を参照して、車両が走行している道路種別を取得すると共に、車両が走行している道路区間(現在位置)を示す道路リンク情報を取得する(S17)。
【0138】
そして、ガソリン残量をガソリン残量センサ80より取得し(S18)、その後、ETC重要度を、目的地までの経路探索の結果と、ETC車載器90の取り付け状況と、ETC車載器90におけるETCカードの挿入状況とに基づいて、上述した方法により算出する(S19)。
【0139】
S16〜S19の処理によって、種々のパラメータが取得され又は算出されると、続くS20〜S24の処理では、情報格納領域13aに格納されている情報の各ジャンル、即ち、「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンル毎に、上述した必要度の標準値Aと、必要度B〜Eとを特定する。
【0140】
即ち、S20の処理では、各ジャンル毎の必要度の標準値Aを、フィルタリング1テーブル14bを参照して特定する(S20)。上述したように、必要度の標準値Aには、車両の取り巻く環境に関わらず一定の値が設定される。また、フィルタリング1テーブル14bが乗員によって適宜変更可能に構成されていることから、必要度の標準値Aには、乗員の定常的な嗜好に応じて、それぞれのジャンルの情報が必要とされる必要度が設定される。
【0141】
次いで、車両の取り巻く一環境である、車両の走行している時間に応じた必要度Bを、各ジャンル毎に特定する(S21)。ここでは、フィルタリング2テーブル14cを参照し、S16の処理により取得した現在の時間以下で最も近い時間に対して、各ジャンル(「飲食店情報」、「イベント情報」および「宿泊施設情報」)毎に対応付けられた必要度Bを、それぞれのジャンル毎に特定する。
【0142】
また、上述したように、フィルタリング2テーブル14cに設定されていない「ニュース情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」および「ETC情報」の各ジャンルうち、「ニュース情報」、「GS情報」および「SA・PA情報」の各ジャンルについては、車両の走行している時間に関係なく、それぞれの必要度Bを「1」に特定し、「ETC情報」ジャンルについては、車両の走行している時間に関係なく、その必要度Bを「0」に特定する。
【0143】
次に、車両の取り巻く一環境である、車両の走行している道路種別に応じた必要度Cを、各ジャンル毎に特定する(S22)。ここでは、フィルタリング3テーブル14dを参照し、S17の処理により取得した道路種別に対して、各ジャンル(「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」および「SA・PA情報」)毎に対応付けられた必要度Cを、それぞれのジャンル毎に特定する。
【0144】
また、上述したように、フィルタリング3テーブル14dに設定されていない「ニュース情報」、「GS情報」および「ETC情報」の各ジャンルうち、「ニュース情報」および「GS情報」の各ジャンルについては、車両の走行している道路種別に関係なく、それぞれの必要度Cを「1」に特定し、「ETC情報」ジャンルについては、車両の走行している道路種別に関係なく、その必要度Cを「0」に特定する。
【0145】
続いて、車両の取り巻く一環境である、車両の走行している道路区間(現在位置)を示す道路リンク情報に応じた必要度Dを、各ジャンル毎に特定する(S23)。ここでは、フィルタリング4テーブル14eを参照し、S17の処理により取得した道路リンク情報の識別情報に対して、各ジャンル(「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」、「宿泊施設情報」、「GS情報」、「SA・PA情報」、「ETC情報」)毎に対応付けられた必要度Dを、それぞれのジャンル毎に特定する。
【0146】
更に、車両の取り巻く一環境である、車両において対応すべき事象が発生した緊急状態の内容に応じた必要度Eを、各ジャンル毎に特定する(S24)。ここでは、フィルタリング5テーブル14fを参照し、S18の処理により取得したガソリン残量と、S19の処理により算出したETC重要度から、フィルタリング5テーブル14fに示した「緊急状態判定条件」のいずれかを満たすか否かを判断する。
【0147】
そして、いずれかの条件を満たす場合は、車両が緊急状態にあるので、その満足した条件に対応付けられた「ジャンル」により示されるジャンルの必要度Eを、その条件に対応付けられた「必要度」の値に特定すると共に、その他のジャンルの必要度Eを「1」に特定する。また、フィルタリング5テーブル14fに示した「緊急状態判定条件」のいずれも満たさない場合は、車両が緊急状態にないので、すべてのジャンルの必要度Eを「1」に特定する。
【0148】
続く、S25の処理では、S20〜S24の処理によって各ジャンル毎に特定された必要度の標準値Aおよび必要度B〜Eに基づいて、上述した式(1)により、判定必要度Xをそれぞれにジャンルに対して算出する(S25)。即ち、この判定必要度Xは、上述したように、各ジャンル毎に、必要度の標準値Aおよび各環境に応じた必要度B〜Eを基に、車両の現時点における種々の環境を総合的に反映した、そのジャンルの情報の必要度合いを示すものである。
【0149】
次いで、このS25の処理により算出された判定必要度Xの高いジャンルの情報が優先してLCD18上に表示されるように、その判定必要度Xが高い順に、各ジャンルに対して優先度を設定する(S26)。
【0150】
そして、情報提供領域13aに格納されている各種ジャンルの情報、即ち、情報提供サーバ50より受信した最新の「飲食店情報」、「イベント情報」、「ニュース情報」および「宿泊施設情報」といった各ジャンルの情報と、道路地図データベース14aより抽出した車両の現在位置から所定範囲内にあるガソリンスタンドやサービスエリア・パーキングエリアに関する「GS情報」および「SA・PA情報」といった各ジャンルの情報と、ナビゲーション装置10の初期化処理の中で予め格納された、ナビゲーション装置10が乗員に対して通知すべきジャンルの情報である「ETC情報」ジャンルの情報とを、S26の処理により設定された優先度の高いジャンルから順に表示して(S27)、この情報提供処理を終了する。
【0151】
このように、CPU11によって情報提供処理が実行されると、車両の取り巻く複数の環境に応じた各ジャンルの必要度(各ジャンルの情報が乗員によって必要とされる度合い)を、その環境毎に特定する。本実施形態では、車両の走行している時間に応じた必要度B、車両の走行している道路種別に応じた必要度C、車両の走行している道路区間(現在位置)を示す道路リンク情報に応じた必要度D、車両において対応すべき事象が発生した緊急状態の内容に応じた必要度Eが特定される。
【0152】
そして、これらの必要度B〜Eに基づいて、車両の現時点における種々の環境を総合的に反映した判定必要度Xが、式(1)によって、各ジャンル毎に算出される。即ち、ここで算出された各ジャンルの判定必要度Xは、車両のその時々における様々な環境を総合的に判断して得られる必要度となる。
【0153】
その後、算出された判定必要度Xの高いジャンルが優先してLCD18上に表示されるように、各々のジャンルの優先度が設定される。これにより、車両のその時々における様々な環境を総合的に判断して得られる各ジャンルの判定必要度Xに応じて、それぞれのジャンルの情報をLCD18上に表示する優先度が設定されるので、LCD18上には、車両のその時々における様々な環境に合ったジャンルの情報を優先して表示させることができる。従って、車両の乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0154】
また、この情報提供処理では、車両の取り巻く環境に関わらず一定の値が設定されると共に、乗員の定常的な嗜好に応じた必要度の標準値Aが特定され、必要度B〜Eと合わせて、その必要度の標準値Aをも加味して判定必要度Xが算出される。これにより、LCD18には、可能な限り乗員の嗜好に合うジャンルの情報を、定常的に優先して表示させることができる。よって、乗員に対して必要な情報を的確に提供することができる。
【0155】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0156】
上記実施形態では、車両を取り巻く環境として、車両の走行している時間、道路種別、道路区間を示す道路リンク情報および車両における緊急状態の各々に応じて、各ジャンルにおける必要度B〜Eを特定し、それらに基づいて各ジャンルの判定必要度Xを算出する場合について説明したが、必ずしも必要度B〜Eのすべてに基づいて判定必要度Xを算出する必要は無く、これらの中から2種以上の環境に応じた必要度に基づいて判定必要度Xを算出してもよい。また、上記実施形態において示したこれらの車両を取り巻く環境は例示であり、これら以外の環境に応じて各ジャンルにおける必要度を特定し、判定必要度Xを算出するようにしてもよい。例えば、走行時の天候を判断して、その天候に応じた必要度をジャンル毎に特定し、この天候に応じた必要度を加味して各ジャンルの判定必要度Xを算出してもよい。
【0157】
上記実施形態において示したフィルタリング2テーブル14c〜フィルタリング5テーブル14fは、各テーブルで特定される必要度B〜Eの値を変更できるように構成されてもよい。例えば、フィルタリング2テーブル14cにおいて、各時間に対応付けられた「飲食店情報」、「イベント情報」、「宿泊施設情報」の各ジャンルにおける必要度Bの値が適宜変更できるように構成されてもよい。この変更は、例えば、乗員がタッチパネル19や操作キー20を操作することによって、テーブルに規定されている必要度Bの値を直接変更することで行われてもよいし、ナビゲーション装置10によって記録された車両の走行履歴や乗員の行動を記録したライフログなどに基づいて、各ジャンル毎に各時間に対応付けられた必要度Bの値を変更してもよい。また、その他のフィルタリング3テーブル14d〜フィルタリング5テーブル14fについても、同様の方法で、それぞれのテーブルにて規定されている必要度C〜Eの変更が行われてもよい。このように、乗員が必要度を直接変更したり、車両の走行履歴や乗員のライフログに基づいて必要度を変更することによって、乗員の嗜好をこれらのテーブルに反映させることができる。よって、車両の乗員に対して必要な情報をより的確に提供することができる。本実施形態では乗員の嗜好は、乗員のスケジュールを含む概念として取り扱う。この場合、乗員の明示的な要望の一つであるスケジュールを入力することで、フィルタリングテーブルを変更し、より乗員が所望する情報を提供することができる。
【0158】
上記実施形態では、式(1)によって判定必要度Xを算出する場合について説明したが、式(1)は例示であり、その他の式によって判定必要度Xを算出してもよい。
【0159】
上記実施形態では、図4に示す情報提供処理が、10分間各毎にCPU11によって実行される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、任意の時間間隔で実行されてもよい。また、図4に示す情報提供処理は、車両が所定距離だけ移動する毎にCPU11によって実行されるものであってもよい。
【0160】
また、上記実施形態における図4に示す情報提供処理の中で、情報提供サーバ50から各種ジャンルの情報を受信し、また、道路地図データベース14aから所定のジャンルの情報を抽出する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、情報提供サーバ50から各種ジャンルの情報を受信する処理(図4のS11〜S14に相当する処理)を、情報提供処理とは別のタイミングで実行される処理によって実行されてもよい。同様に、道路地図データベース14aから所定のジャンルの情報を抽出する処理(図4のS11及びS15に相当する処理)を、情報提供処理とは別のタイミングで実行される処理によって実行されてもよい。尚、情報提供サーバ50から各種ジャンルの情報を受信する処理を情報提供処理とは別の処理によって実行する場合、情報提供処理では、S12〜S14の処理を省略すればよい。また、道路地図データベース14aから所定のジャンルの情報を抽出する処理を情報提供処理とは別の処理によって実行する場合、情報提供処理では、S15の処理を省略すればよい。
【0161】
上記実施形態では、本発明をナビゲーション装置10に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、目的地までの経路誘導機能を有していないが、乗員に対して種々のジャンルの情報を提供する機能を有する車載装置に、本発明は適用可能である。また、車載装置に限らず、ユーザに対して種々のジャンルの情報を提供する機能を有する情報提供装置に、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0162】
10 ナビゲーション装置(情報提供装置)
14 HDD(格納手段)
14c フィルタリング2テーブル(設定情報)
14d フィルタリング3テーブル(設定情報)
14e フィルタリング4テーブル(設定情報)
14f フィルタリング5テーブル(設定情報)
S16〜S19 (判断手段の一部)
S20 (必要度設定手段)
S21〜S24 (判断手段の一部、特定手段)
S25 (導出手段)
S26 (優先度設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のジャンルの情報を提供する情報提供装置であって、
環境の種々の状況に応じて前記ジャンル毎に情報の必要度合いを示す必要度が設定された設定情報を、環境毎に格納する格納手段と、
前記環境毎の状況を判断する判断手段と、
その判断手段により判断された環境の状況に応じて、その環境に対する前記ジャンル毎の必要度を前記設定情報より特定する特定手段と、
その特定手段により特定されたジャンル毎の必要度に基づいて、そのジャンル毎の最終的な必要度を導出する導出手段と、
その動出手段により導出されたジャンル毎の最終的な必要度の比較の結果に応じて、複数のジャンルの情報を提供する優先度を設定する優先度設定手段とを備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記格納手段は、前記環境として道路種別に応じて前記ジャンル毎に必要度が設定された設定情報と、前記環境として時間に応じて前記ジャンル毎に必要度が設定された設定情報とを少なくとも格納するものであり、
前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって前記道路種別に対して特定される前記ジャンル毎の必要度と前記時間に対して特定される前記ジャンル毎の必要度とに基づき、それらの必要度がいずれも高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものであることを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記格納手段は、前記環境として現在位置に応じて前記ジャンル毎に必要度が設定された設定情報を少なくとも格納するものであり、
前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって前記現在位置に対して特定される前記ジャンル毎の必要度に基づき、その必要度が高いジャンルの最終的な必要度が高くなるように、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
利用者の嗜好を反映した必要度を前記ジャンル毎に設定する必要度設定手段を備え、
前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって特定される前記ジャンル毎の必要度に、前記必要度設定手段により前記ジャンル毎に設定される前記利用者の嗜好を反映した必要度を加味して、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記情報提供装置は、車両の乗員に複数のジャンルの情報を提供するものであって、
前記格納手段は、前記環境として車両で対応が必要な事象に関連するジャンルの必要度が設定される設定情報を少なくとも格納するものであり、
前記導出手段は、前記判断手段を介して前記特定手段によって前記車両で対応が必要な事象に対して特定されるジャンルの必要度を、他の環境により特定される前記ジャンル毎の必要度よりも強く加味して、前記ジャンル毎の最終的な必要度を導出するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−237112(P2010−237112A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86940(P2009−86940)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】