説明

情報管理システム

【課題】 準機微情報に基づいた各種のサービスを提供する際に、個人を特定可能な情報(非匿名情報)と準機微情報(匿名情報)と直接的に結び付けることなく管理すること。
【解決手段】 利用者から受け付けた非匿名情報に対し固有の利用者識別情報を生成し、第1の記憶手段に登録する第1の手段と、サービス種別に応じたサービス識別情報と利用者識別情報との組を第2の記憶手段に登録する第2の手段と、サービス識別情報と当該サービス識別情報に対応した匿名情報の組を第3の記憶手段に登録する第3の手段とを備え、利用者の本人確認を行って生成された固有の識別情報と利用者識別情報の組を第2の記憶手段に登録する第4の手段と、固有の識別情報を利用者本人から受付け、第2の記憶手段から利用者識別情報を取得し、その利用者識別情報によってサービス識別情報を取得し、そのサービス識別情報に基づき匿名情報を取得して利用者に提供する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理や検査などを実施する際に、個人別の検査結果などの機微情報(匿名情報)に対し、氏名、住所などの個人情報である非匿名情報を分離した状態で管理することができる情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
身長、体重、血圧、血糖値などの健康管理情報や遺伝子の配列やタイプなどの遺伝情報などの生体情報は、自己の状態を知るうえで非常に価値の高い情報となる。しかしながら、これらが個人を識別できるような氏名、住所、電話番号、電子メールアドレスなどの生体情報以外の個人情報と結びついてしまうと、機微情報として取り扱われることとなる。
個人情報の保護に関する法律では、「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。」と規定されている。
【0003】
一方、機微情報については、JIS Q 15001によると、(1)思想、信条及び宗教に関する事項、(2)人種、民族、門地、本籍地(所在都道府県に関する情報を除く。)、身体・精神障害、犯罪歴その他社会的差別の原因となる事項。(3)勤労者の団結権、団体交渉及びその他団体行動の行為に関する事項。(4)集団示威行為への参加、請願権の行使、及びその他の政治的権利の行使に関する事項。(5)保健医療及び性生活といった幾つかの項目が挙げられている。これ以外にも機微情報(センシティブ情報)になり得るものは存在し、遺伝情報や容姿、趣味趣向などについても該当する可能性もあるが、明確な定義が存在しないのが現状である。
【0004】
しかし、機微情報が漏洩することは、当該情報に基づく本人の社会生活上、重大な損害をもたらす恐れがある。さらに、個人情報が遺伝情報のような一生変化することのない情報と共に取得された場合は、個人にとって甚大なリスクを伴う情報を事業者に提供することにつながりかねず、こういった情報を扱うに当たっては特に気を使う必要がある。
【0005】
こういった観点から、「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」では、事業に用いる個人遺伝情報と法令に基づく場合を除き、機微情報の取得又は利用を禁じているし、個人情報保護条例を持つ地方自治体の多くが機微情報に関する規定を整備している。また、「個人データの処理に係る個人の保護及びその自由な流通に関する欧州議会及びEU理事会指令(EU指令)」においては、「加盟国は、人種、民族、政治的見解、宗教、思想、心情、労働組合への加盟に関する情報を漏えいする個人データの処理、もしくは健康または性生活に関するデータ処理を禁止するものとする」と規定されている。このように、機微情報の取扱いについては様々な制約が存在するため、これらに対応することは大きな負担となるばかりでなく、機微情報を活用したサービスの提供が困難な場合もある。
本発明に関する文献としては、下記の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−216740
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、機微情報を活用した秘匿性のある安全なサービスを提供するためには、「個人情報」と「個人情報と連結したときに機微情報となる情報(準機微情報)」を分離し、連結しないようにデータを管理することが重要となる。実際の運用に当たっては、個人情報を蓄積する第1のデータベースと準機微情報を蓄積する第2のデータベースを分離することが好ましい。その上で、閲覧者ごとに閲覧できる情報を制御し、個人情報と準機微情報が連結しないようにすることで、個人を特定可能な機微情報の取扱いをすることなく、必要なサービスを提供することができるようにすることが必要である。
【0008】
しかし、実際に個人情報と準機微情報を分離した場合、対面業務等において準機微情報に関する個人が当該個人であるかどうかの確認が困難であることや、特に、サービスに伴う実体(検査キットなど)を、個人情報を基に当該個人に配布や販売等する際に、個人情報と準機微情報を間接的に連携させることなく当該個人に送達させることが困難である等の問題があった。
【0009】
本発明の目的は、準機微情報に基づいた各種のサービスを提供する際に、個人を特定可能な情報(非匿名情報)と準機微情報(匿名情報)と直接的に結び付けることなく管理することができる情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る情報管理システムは、サービスの提供を受ける利用者の非匿名情報を受け付けた後、この受け付けた非匿名情報に対し固有の利用者識別情報を生成し、前記利用者に通知すると共に前記非匿名情報と前記利用者識別情報の組を第1の記憶手段に登録する第1の手段と、
利用者に提供するサービス種別に応じたサービス識別情報と前記利用者識別情報との組を第2の記憶手段に登録する第2の手段と、
前記サービス識別情報と当該サービス識別情報に対応した匿名情報の組を第3の記憶手段に登録する第3の手段とを備え、
前記匿名情報にアクセスするために利用者の本人確認を行って生成された固有の識別情報と前記利用者識別情報の組を前記第2の記憶手段に登録すると共に利用者本人に通知する第4の手段と、
前記固有の識別情報を利用者本人から受付け、その固有の識別情報によって前記第2の記憶手段から利用者識別情報を取得し、その利用者識別情報によって第3の記憶手段から前記サービス識別情報を取得し、そのサービス識別情報に対応して前記第3の記憶手段に登録された匿名情報を取得して利用者に提供する手段とを備えることを特徴とする。
また、前記匿名情報が健康診断結果等の機微情報であり、前記非匿名情報が利用者を特定可能な個人情報であることを特徴とする。
また、前記第2の記憶手段に登録する前記固有の識別情報と利用者識別情報の組は所定の暗号化手段によって暗号化されていることを特徴とする。
また、サービスの提供を受ける利用者の非匿名情報を受け付けた後、この受け付けた非匿名情報に対し固有の利用者識別情報を生成し、前記利用者に通知すると共に前記非匿名情報と前記利用者識別情報の組を第1の記憶手段に登録する第1の手段と、
利用者に提供するサービス種別に応じたサービス識別情報と前記利用者識別情報との組を第2の記憶手段に登録する第2の手段と、
前記サービス識別情報と当該サービス識別情報に対応した匿名情報の組を第3の記憶手段に登録する第3の手段とを備え、
前記匿名情報の元になった物体に対応した固有の識別情報を生成し、その固有の識別情報と前記利用者識別情報の組を第4の記憶手段に登録する第4の手段と、
前記固有の識別情報が付加された前記物体を受付け、その受け付けた物体に付加されたに前記固有の識別情報により前記前記第4の記憶手段から前記利用者識別情報を取得する第5の手段と、
取得した前記利用者識別情報により前記第1の記憶手段から前記非匿名情報を取得する第6の手段と、
前記物体を前記第1の記憶手段から取得した非匿名情報で特定される利用者に送付する第7の手段とを備えることを特徴とする。
また、前記匿名情報が健康診断結果等の機微情報であり、前記非匿名情報が利用者を特定可能な個人情報であることを特徴とする。
また、前記第2の記憶手段に登録する前記固有の識別情報と利用者識別情報の組は所定の暗号化手段によって暗号化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、準機微情報に基づいた各種のサービスを提供する際に、個人を特定可能な非匿名情報と準機微情報などの匿名情報と直接に結び付けることなく管理することができる
なお、本発明におけるサービスとは、利用者から検体などの物、あるいは健康診断結果などのデータを受付け、この受け付けた物あるいはデータについて検査、分析、鑑定、評価などを行い、その結果を利用者に対するサービスとして提供するものである。具体的には、遺伝子や身体計測情報を検査するサービスや、機器等を介し身体計測情報等を取得し、蓄積するサービスなどがあり、アクセスする形態としては、一度のみの場合や、登録時ごとに利用される形態が考えられる。
また、サービス識別情報は、システム側でその都度生成する、あるいは予め生成されたものを用いるといった形態が考えられるが、本発明ではいずれであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る情報管理システムの一実施の形態の全体構成を示すシステム構成図である。
本システムは、身体情報計測などのサービスを受ける被験者(サービスの提供を受ける利用者)101が使用するパーソナルコンピュータで構成された被験者端末102、サービス依頼(検査依頼)を受け付ける窓口機関103、検査を実施し、検査結果のデータを被験者の氏名などの個人情報とは隔離して格納するサービス提供機関104とから構成されている。
窓口機関103は、窓口端末1031、被験者101の個人情報を登録する第1のデータベース1032とから構成されている。
【0013】
サービス提供機関104は、検体1052を検査する検査装置1041、検査結果とサービスID1051の組を第2のデータベース1045に登録する情報読み書き装置1042、被験者端末102から指定されたユーザIDに対応したサービスIDの検査結果(匿名情報)を第2データベース1045から検索し、被験者端末102に返信する情報提供装置1043とから構成されている。
被験者端末102は、各種のデータを入力する入力装置(図示せず)を備えるほか、窓口機関104から受信したデータを表示する表示装置1021を備えている。
【0014】
ここで、被験者101が身体情報計測などのサービスを受けようとする場合、被験者101は窓口端末1031の係員に検査依頼を申し出る。すると、係員は被験者101自身に窓口端末1031を操作させ、被験者の住所、氏名などの個人情報を入力させる。
窓口端末103は、個人情報の入力が終わったならば、利用者毎に固有の識別情報(以下、ユーザID)を自動生成し、画面に表示して被験者101に通知すると共に、ユーザIDと個人情報と窓口IDとを対応付けて第1のデータベース1032に登録する。
ユーザ登録が終了したならば、窓口端末1031の係員は身体情報計測のための検体採取器具105を被験者101に渡す。この検体採取器具105には、サービス種別を示す識別情報(以下、サービスID)1051が予め印字されている。
被験者は、検体採取器具105に検体1052を収納し、サービス提供機関104に提出する。サービス提供機関104では、検体1052を収納した検体採取器具105を検査装置1041に転送し、検査を実施する。
なお、被験者端末102とサービス提供機関104とはインターネットなどの通信網を介して接続されている。
【0015】
以上の構成において、被験者101がサービスの提供依頼(検査依頼)を行ってから検査結果を被験者端末102で閲覧するまでの過程を図2のシーケンス図を参照しつつ説明する。
まず、被験者101は自身の遺伝子などの身体計測情報の検査依頼を窓口機関103に対して行う。
検査依頼を受けた窓口端末1031の係員は、被験者101自身に窓口端末1031を操作させ、被験者の住所、氏名などの個人情報を入力させる(ステップ201)。
窓口端末1031は、個人情報の入力が終わったならば、ユーザIDを自動生成し、画面に表示して被験者101に通知すると共に、ユーザIDと個人情報とを対応付けて第1のデータベース1032に登録する(ステップ202)。
個人情報とは、氏名、住所、電話番号などで構成され、個人を特定可能な情報である。
【0016】
ユーザ登録が終了したならば、窓口端末1031の係員は身体情報計測のための検体採取器具105を被験者101に渡す(ステップ203)。この検体採取器具105には、サービス種別を識別するためのサービスID1051が予め印字されている。
被験者は、検体採取器具105に検体1052を収納し、サービス提供機関104に提出する(ステップ204)。
サービス提供機関104では、検体採取器具105を受け付けると共に、サービスIDを受け付ける。
サービス提供機関104では、検体1052を収納した検体採取器具105を検査装置1041に転送し、検査を実施する(ステップ205)。
検査装置1041は、検査結果のデータにサービスIDを付加して情報読み書き装置1042に転送する(ステップ206)。
情報読み書き装置1042は、検査結果とサービスIDの組を第2データベース1045に登録する(ステップ207)。
【0017】
次に、被験者端末101における閲覧操作(結果確認操作)によりユーザIDとサービスIDが入力され、これが情報読み書き装置1042に送信されたならば、入力されたサービスIDを入力されたユーザIDと同じユーザIDのグループに追加登録する(ステップ209)。
この場合、入力されたユーザIDと同じユーザIDのサービスIDグループが存在しない場合には、新規グループを作成する。
【0018】
その後、同じユーザIDの他の検査結果データを登録する際には、その検査結果データのサービスIDが同じユーザIDのサービスIDグループに追加登録される。
図1の第2データベース1044には、1つのユーザIDに対し、3つのサービスIDが登録された例を示している。
情報読み書き装置1041は、サービスIDの登録が終了したならば、そのサービスIDを情報提供装置1043に転送する(ステップ210)。
情報提供装置1043は、受信したサービスIDと同じサービスIDに対応付けて第2データベース1044に登録されている検査結果のデータを検索し(ステップ211)、被験者端末102に送信する(ステップ212)。
被験者端末102は受信した検査結果データを表示画面に表示する(ステップ213)。
【0019】
以上により、被験者は複数種類の検査結果データを最初に登録した検査結果データに順次追加して登録することができる。
なお、閲覧する場合、ユーザIDのみを指定した場合には、そのユーザIDに対応付けて登録されている全てのサービスIDに対応する検査結果データが検索されて表示される。
サービスIDのみを指定した場合、そのサービスIDのみに対応する検査結果データが検索されて表示される。
以上により、被験者端末102において利用者自身の検査結果のデータを閲覧することができる。
【0020】
次に、検査結果データを基に健康指導を依頼した場合について説明する。
図3は、被験者101が医療機関に出向き、医者から健康指導を受ける場合のシステム構成を示す図であり、図1の構成に対し、新たに医者端末105が付加されている。なお、図3では健康指導を受けるために必要な部分のみを図示し、その他の部分は省略している。
図4は、健康指導を受ける際の各部の処理を示すシーケンス図である。
まず、被験者101は窓口機関103に健康指導依頼と本人確認資料(運転免許証、健康保険証など)を提出する(ステップ401)。
すると、窓口機関103の係員は提出された本人確認資料により本人かどうかを確認し(ステップ402)、本人であることが確認できたならばそのことを示すIDを生成し(ステップ403)、これを印刷して被験者101に渡す。
ここで、本人であることを確認済みのIDは、本人確認をするたびに生成され、同一人物であってもその都度ランダムに異なるIDであることが望ましいが、暗証番号のように同一人物ならば同じIDとするようにしてもよい。以下では、本人確認を行う都度ランダムに異なるID(ランダムID)を用いる場合について説明する。
被験者101はランダクIDの印刷物と予め通知されている自身のユーザIDとを医者端末105の担当医に渡す(ステップ404)。
【0021】
一方、窓口端末1031はユーザIDとランダムIDとを情報読み書き装置1402に転送し、第2データベース1044にユーザIDとランダムIDの組を登録する(ステップ405)。
担当医は、医者端末105で検査結果データの閲覧画面を開き(ステップ406)、印刷物に印刷されたランダクIDとユーザIDとを入力し、閲覧指示を行う。
すると、医者端末105は入力されたランダクIDとユーザIDとを情報提供装置1043に転送する(ステップ407)。
情報提供装置1043は、入力されたランダムIDに対応して第2データベース1044に登録されているユーザIDを検索し(ステップ408)、その検索結果のユーザIDにより医者端末105から入力されたユーザIDを検証する(ステップ409)。
【0022】
医者端末105から入力されたユーザIDが第2データベース1044に登録されているユーザIDと同一であれば検証OKとするが、異なる場合には検証NGとする。
検証NGとなるのはランダムIDの印刷物を他人のものと取り違えた場合である。その場合はエラー情報が医者端末105に送信され、医者端末105でエラーメッセージが表示される(ステップ411)。
検証OKであった場合、情報提供装置1043は検証済みのユーザIDに対応して第2データベース1044に登録されているサービスIDを取得し、そのサービスIDに(対応する検索結果を第2データベース1044の内部から検索し(ステップ413)、その検査結果のデータを医者端末105に転送し(ステップ414)、表示させる(ステップ415)。
【0023】
このように健康指導依頼をした被験者101が本人であるかどうかを確認し、その確認結果に応じて生成されるランダムIDを医者端末105に提示し、利用者本人の検査結果データを第2データベース1044から検索するように構成したことにより、利用者本人の立会いのもとで自身の検査結果データが表示され、利用者本人が不在の環境では例え健康指導医であったとしても利用者本人の検査結果データを閲覧することはできない。
これにより、利用者本人が不在の環境で自身の検査結果データが第三者に見られているのではといった不安感を解消することができ、第2データベース1044に登録された準機微情報への信頼感が向上する。
【0024】
ところで、窓口端末1031で生成したランダムIDはユーザIDと共にそのまま第2データベース1044に登録しているが、図5の他の実施形態に示すように、暗号化・復号化装置106で暗号化して第3データベース107に登録し、これを読み出した場合は暗号化・復号化装置106で復号し、情報提供装置1043に返すようにすることができる。
この場合の暗号化・復号化処理に用いる鍵は暗号化・復号化装置106から外部に漏れないようにしてある。これにより、例え医者端末102からであっても被験者101のランダムIDが入力されない限り検査結果データにアクセスすることはできず、情報漏洩対策が一層堅固なものとなる。
【0025】
ところで、サービス提供機関104で被験者101が提出した検体1052の量が不十分であるなどの理由で検体1052を被験者101に一旦返し、改めて新たな検体1052を提供してもらうといったことが必要になる場合がある。
【0026】
図6は、検体1052を被験者101に一旦返し、改めて新たな検体1052を提供してもらうといった場合の再検査時の処理を示すシーケンス図である
検体1052を被験者101に一旦返す場合、その検体1052が収納袋に貼り付けられていたサービスIDを剥がした後、検体対応のランダムIDを生成し(ステップ601)、ユーザIDと検体対応のランダムIDの組を第3のデータベースに登録する(ステップ602)。
【0027】
この後、ランダムIDと検体の収納袋とを窓口機関103に転送する(ステップ603)。
窓口機関103では、ランダムIDと検体の収納袋とを受領したならば、ランダクIDにより第3データベース107を検索し、ユーザIDを取得する(ステップ604)。
次に、ユーザIDにより第1データベース1032を検索し、個人情報を取得し、その個人情報の中の住所、氏名を印刷した印刷物を作成する(ステップ605)。
そして、検体の収納袋に住所、氏名を印刷した印刷物を貼り付け、郵送する(ステップ606)。
【0028】
被験者本人は新たな検体1052を採取し、窓口機関103にユーザIDを付加して提出する(ステップ607)。
窓口機関103では、ユーザIDにより第3データベースを検索し、ランダムIDを取得する(ステップ608)。そして、再検査用の検体にランダムIDを付加してサービス提供機関104に送付する(ステップ609)。
サービス提供機関104では、送付されてきたランダムIDにより第3データベース107を検索し、ユーザIDを取得する(ステップ610)。
次に、ユーザIDにより第2データベース1044を検索し、サービスIDを取得する(ステップ611)。
そして、検査結果のデータが未登録のサービスIDを検索し、そのサービスIDに対応付けて検査結果データを第2データベース1044に登録する(ステップ612)。
【0029】
このように構成することにより、サービス提供機関104内で使用しているサービスID及びユーザIDが第三者に知られることなく、再提出用の検体1052を被験者本人に返し、また被験者本人から返された検体1052の検査結果データを登録することができる。
なお、ランダムIDは検査依頼毎に生成されたIDではなく、暗証番号のように個人に静的に割当てられたIDで構成されていてもよい。
また、第3データベース107に登録するユーザIDとランダムIDは暗号化して書き込み、読み出した際には復号して窓口機関103の各部に渡すように構成することができる。
【0030】
ところで、上記実施形態では、検査結果データをインターネット経由で被験者端末102に公開しているが、検査結果データを表形式で印刷し、検査機関の窓口に掲示しておき、各被験者は自分自身のみが知るサービスIDに対応する検査結果データを閲覧するように構成することができる。
【0031】
また、検査結果を閲覧する場合やサービスIDを用いる場合、被験者が予めユーザ登録をした正規のユーザであるかといったユーザ認証を必要に応じて実施するように構成することができる。ユーザ認証の技術についてはIDやパスワードを用いるものに限定されるものではなく、電子割符、指静脈認証などの技術を用いるものであってもよい。
【0032】
また、検体を検査する場合の例について説明したが、健康診断の検査結果データを受付け、これに対する医師の健康指導データ、食生活改善データなどのサービスを提供する場合についても適用することができる。
また、検体採取器具および機器の利用者への提供方法は、サービス提供機関に直接申し込む形式でもよく、販売店等で購入する形式でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る情報管理システムの実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】図1におけるシステムの各部の動作をシーケンス図である。
【図3】医者端末から検査結果データを閲覧する場合の主要部の構成図である。
【図4】医者端末から検査結果データを閲覧する場合の各部の動作をシーケンス図である。
【図5】図1においてランダムIDとユーザIDの組を暗号化して独立のデータベースに登録するように構成した本発明の他の実施形態を示すシステム構成図である。
【図6】検体の再提出が必要になった場合の処理例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0034】
101 被験者
102 被験者端末
103 窓口機関
104 サービス提供機関
105 検体採取器具
106 暗号化・復号化装置
107 第3データベース
108 医者端末
1031 窓口端末
1041 検査装置
1032 第1データベース
1044 第2データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスの提供を受ける利用者の非匿名情報を受け付けた後、この受け付けた非匿名情報に対し固有の利用者識別情報を生成し、前記利用者に通知すると共に前記非匿名情報と前記利用者識別情報の組を第1の記憶手段に登録する第1の手段と、
利用者に提供するサービス種別に応じたサービス識別情報と前記利用者識別情報との組を第2の記憶手段に登録する第2の手段と、
前記サービス識別情報と当該サービス識別情報に対応した匿名情報の組を第3の記憶手段に登録する第3の手段とを備え、
前記匿名情報にアクセスするために利用者の本人確認を行って生成された固有の識別情報と前記利用者識別情報の組を前記第2の記憶手段に登録すると共に利用者本人に通知する第4の手段と、
前記固有の識別情報を利用者本人から受付け、その固有の識別情報によって前記第2の記憶手段から利用者識別情報を取得し、その利用者識別情報によって第3の記憶手段から前記サービス識別情報を取得し、そのサービス識別情報に対応して前記第3の記憶手段に登録された匿名情報を取得して利用者に提供する手段とを備えることを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記匿名情報が健康診断結果等の機微情報であり、前記非匿名情報が利用者を特定可能な個人情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記第2の記憶手段に登録する前記固有の識別情報と利用者識別情報の組は所定の暗号化手段によって暗号化されていることを特徴とする情報管理システム。
【請求項4】
サービスの提供を受ける利用者の非匿名情報を受け付けた後、この受け付けた非匿名情報に対し固有の利用者識別情報を生成し、前記利用者に通知すると共に前記非匿名情報と前記利用者識別情報の組を第1の記憶手段に登録する第1の手段と、
利用者に提供するサービス種別に応じたサービス識別情報と前記利用者識別情報との組を第2の記憶手段に登録する第2の手段と、
前記サービス識別情報と当該サービス識別情報に対応した匿名情報の組を第3の記憶手段に登録する第3の手段とを備え、
前記匿名情報の元になった物体に対応した固有の識別情報を生成し、その固有の識別情報と前記利用者識別情報の組を第4の記憶手段に登録する第4の手段と、
前記固有の識別情報が付加された前記物体を受付け、その受け付けた物体に付加されたに前記固有の識別情報により前記前記第4の記憶手段から前記利用者識別情報を取得する第5の手段と、
取得した前記利用者識別情報により前記第1の記憶手段から前記非匿名情報を取得する第6の手段と、
前記物体を前記第1の記憶手段から取得した非匿名情報で特定される利用者に送付する第7の手段とを備えることを特徴とする情報管理システム。
【請求項5】
前記匿名情報が健康診断結果等の機微情報であり、前記非匿名情報が利用者を特定可能な個人情報であることを特徴とする請求項4に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記第2の記憶手段に登録する前記固有の識別情報と利用者識別情報の組は所定の暗号化手段によって暗号化されていることを特徴とする請求項4に記載の情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−39710(P2011−39710A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185180(P2009−185180)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】