説明

情報記録媒体基板の製造方法

【課題】微細構造の破損または基板に傷を付けにくく、容易に離型が可能であり、高品質の情報記録媒体基板を作製できる、情報記録媒体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】情報記録媒体基板の製造方法は、基板基材2上に形成される成形材料3に、凹凸構造1aを有するモールド1を押し付けて凹凸構造を成形材料3に転写する工程と、モールド1を押し付けた状態で、成形材料3を固化させる工程と、固化した成形材料3から、モールド1を離型する工程とを備え、モールド1を離型する工程は、成形材料3が固化した状態において液体である浸漬用物質4に、成形材料3およびモールド1を浸漬させた状態で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造のパターンを基板に転写するナノインプリント法を用いた情報記録媒体基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体においては、記録密度をより高度化するために、磁性層をパターニングして磁性層を複数の領域に物理的に分割したパターンドメディア(以下、PMという)が提案されている。PM用の微細構造は数十nm程度のオーダーであり、これは光の回折限界と同等のパターンサイズである。そのため、一般的なフォトリソグラフィによる微細構造では、PMのパターンの作製は困難である。そこで、さらに微細加工が可能な方法として、例えば、ナノインプリント法によってパターンを形成する方法が提案されている。ナノインプリント法とは、まず、表面に凹凸形状を有する型を、基板基材上に塗布したインプリント材料に押し付けること等によって、上記型の凹凸形状をインプリント材料に転写させ、凹凸形状が転写されたインプリント材料を固化させた後に型を剥離することによって、表面に凹凸形状を有する基板を得る方法である。ナノインプリント法は、例えば、特許文献1に記載されている。具体的には、特許文献1には、平坦な基板上又は凹凸構造を有するモールド(型)上に被転写体(インプリント材料の層)を形成する工程と、モールドを被転写体に接触させ加圧する工程と、前記モールドの凹凸構造を前記被転写体に転写する工程と、前記モールドを被転写体から剥離する工程と、前記モールドの凹凸構造が転写された被転写体上に磁気記録層を堆積する工程とを有する磁気記録媒体の製造方法が記載されている。このように、ナノインプリント法を用いることで、PMにおいて必要とされる、光の回折限界を超えた領域のパターンサイズであっても加工できる。
【0003】
しかし、ナノインプリント法において、被転写体に型を転写した際に、型と被転写体とが強固に密着しているため、型を剥離することが困難であるという問題がある。また、剥離時の力のかかり方によっては、せっかく転写した微細構造が破壊されたり、変形したりする可能性がある。
【0004】
そこで、上記問題を解決するために、種々の技術が提案されている。離型時の破損を防ぐ方法として、例えば、特許文献2には、ピンモジュールをインプリント成形完成後の型と基板の間に挿入し、型と基板局部を分離させ並びにスリットを形成し、外界の空気をこのスリットより型と基板の間に流入させて真空効果を破壊させ、さらにピンモジュールにより型より基板を分離させる方法が記載されている。また、特許文献3には、凹凸パターンを形成するためのインプリントモールド(型)において、凹凸パターンが形成されている面の凹凸パターン領域外に貫通孔が形成され、基板とインプリントモールドとの間でパターン形成した後に、ピンあるいはガスにより、貫通孔から基板に圧力を加えることにより型を剥離する方法が記載されている。これにより、型を剥離する際の微細構造の破損を防いでいる。
【特許文献1】特開2007−95162号公報
【特許文献2】特開2007−118552号公報
【特許文献3】特開2008−78550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献2に記載の方法は、インプリント成形完成後の型と基板との間にピンモジュールを挿入し、物理的な力で、型と基板の間に隙間を発生させて型の剥離を行うため、ピンモジュールが基板に接触した際に、ピンモジュールによって基板に傷が入る可能性が高い。特に、PMが用いられるハードディスクドライブ(以下、HDDという)基板においては、HDD基板とデータの読み取りヘッドとの間隔が10nm程度しかなく、HDD基板の表面に傷などの突起が存在すると、その部分がヘッドと接触し、ヘッドやHDD基板が破壊される、いわゆるヘッドクラッシュが起こるという問題がある。そのため、基板上の傷は、たとえ微小な傷であっても、問題になる場合が多い。
【0006】
また、特許文献3に記載の方法では、貫通孔の位置によっては、基板全体に均一に圧力がかからずバランスが悪くなり、パターンの破損や変形が生じる可能性がある。例えば、HDD基板において、例えば2.5インチ基板の場合、外径65mm、内径20mmのドーナッツ形状に対して、パターンが形成されない領域は内周、外周から共に数mm程度の領域しかない。そのため、貫通孔を形成できる領域が非常に限定されてしまう。したがって、基板を均一に離型するために、最適な位置に貫通孔を形成することができない。逆に、均一な離型に適した位置に貫通孔を形成すると、貫通孔の形成箇所近傍にはパターンが形成されないため、その分、記録容量が低減してしまい、高記録密度化が難しくなる。
【0007】
さらに、離型を装置において行う場合は、その装置の振動等のノイズにより、型および基板が振動するため、離型時に型と基板とが衝突することにより互いに無理な力が加わり、微細構造の破損が生じる場合がある。また、装置の振動以外に、風等の外乱によっても、型および基板には外的な力が加わり、微細構造が破損する可能性がある。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、微細構造の破損または基板に傷を付けにくく、容易に離型が可能であり、高品質の情報記録媒体基板を作製できる、情報記録媒体基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様に係る情報記録媒体基板の製造方法は、基板基材上に形成される成形材料に、凹凸構造を有するモールドを押し付けて前記凹凸構造を前記成形材料に転写する工程と、前記モールドを押し付けた状態で、前記成形材料を固化させる工程と、前記固化した成形材料から、前記モールドを離型する工程とを備え、前記モールドを離型する工程は、前記成形材料が固化した状態において液体である浸漬用物質に、前記成形材料および前記モールドを浸漬させた状態で行う。
【0010】
このように、液体中で離型を行うことで、モールドと固化した成形材料との間に液体が浸透する。液体は大気に比べて粘度が高いことから、離型の際にモールドと成形材料とが衝突等した場合であっても、その衝撃を和らげる(緩衝効果)ため、成形材料に転写された微細構造が破損されることがほとんどない。したがって、離型を装置で行う場合に、その装置の振動等のノイズにより、離型の際に微細構造が破損されることがほとんどない。また、前記装置の振動以外に、風等の外乱により、離型の際にモールドや固化した成形材料に外的な力が加わった場合でも、同様に液体の緩衝効果により微細構造が破損されることがほとんどない。また、固化した成形材料およびモールドの周囲は、液体で覆われていることから、毛管接着が生じることもなく、小さな力で容易に離型を行うことができる。このように、不良品等が生じにくく、高品質の情報記録媒体基板を製造することができる。
【0011】
ここで、前記毛管接着について図6を用いて説明する。図6は毛管接着について説明するための図である。図6に示すように、対向された2枚の円盤状の基板101、102において、それらの間隙が基板101、102の半径に対して微小であり、その間隙には液体103が存在していて、これらの周りは大気である場合には、基板101、102同士を離すためには液体103の表面張力により、強い力が必要になる。具体的には、液体の表面張力により生じる、液体内外の圧力差(ラプラス圧力の差)により、基板101、102間には強い接着力が生じ、これらを離すためには強い力が必要となる。この現象を毛管接着という。例えば、図6において基板101、102が共に半径がRの円盤状であり、基板101と基板102との間隙Hに水である液体103が存在する場合に、R=1cm、H=5μmとすると、基板101、102を離すためには、14N(≒140kgf)の力が必要となる。
【0012】
また、上述の情報記録媒体基板の製造方法において、前記浸漬用物質は、前記成形材料および前記基材基板を浸食しない物質であることが好ましい。
【0013】
これにより、成形材料およびモールドを浸漬用物質に浸漬させた場合でも、成形材料や、基材基板が浸食されることがなく、高品質の情報記録媒体基板を作製できる。
【0014】
また、上述の情報記録媒体基板の製造方法において、前記浸漬用物質は、前記モールドを溶解する性質を有し、前記モールドを離型する工程において、前記モールドの少なくとも一部は前記浸漬用物質により溶解されることが好ましい。
【0015】
これにより、離型の際に、モールドにおける成形材料との接触面が溶解することで、離型がしやすくなる。そのため、離型の際に微細構造が破損されることがなく、不良品等が生じにくく、高品質の情報記録媒体基板を製造することができる。
【0016】
また、上述の情報記録媒体基板の製造方法において、前記浸漬用物質は、水であることが好ましい。
【0017】
このように、浸漬用物質として、容易に手に入り、かつ基板基材等を浸食するおそれがない水を用いることから、低コストで離型を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、微細構造の破損または基板に傷を付けにくく、容易に離型が可能であり、高品質の情報記録媒体基板を作製できる、情報記録媒体基板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0020】
まず、本発明の実施形態に係るモールド(型)について、図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るモールドの構成を示す平面図および断面図であって、図1(A)はモールドの構成を示す平面図であり、図1(B)はモールドの構成を示す断面図である。なお、図1(B)は図1(A)に示されたモールド1の主面の中心を通り、主面に対して垂直な面による断面図である。図1(A)および図1(B)に示すように、本実施形態に係るモールド1は円盤の中心部に円形の空洞部分を有するドーナッツ状であり、一方の主面にはインプリント材料(成形材料)に凹凸パターンを形成するための微細構造(凹凸構造)である転写用パターン1aが形成されている。モールド1は射出成形、ドライエッチング、ウェットエッチング、フォトリソグラフィ、電子線描画(電子線リソグラフィ)、インプリント法等の公知の技術により作製される。なお、例えば、射出成型を用いる場合は、転写用パターン1aも同時に射出成型により形成することとすればよい。また、転写用パターン1aは、機械加工等により形成することとしてもよい。なお、本実施形態においては、モールド1をドーナッツ状としているが、この形状に限定されるわけではない。
【0021】
次に、本発明の実施形態に係るモールドを用いた情報記録媒体基板の製造方法について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るモールドを用いた情報記録媒体基板の製造工程を示す断面図であって、図2(A)〜図2(F)は各工程を示す断面図である。図2(A)に示すように、モールド1と基板基材であるガラス基板2とを対向させ、モールド1の転写用パターン1aが、基板基材であるガラス基板2側を向くように配置する。なお、基板基材としては、表面上に微細な複数の凹凸形状を有する構造材料からなる表面部を備えることによって、PM用の基板等の基板を形成することができる基材であれば、特に制限されない。例えば、ガラス基板の代わりに石英基板等を用いてもよい。ガラス基板2としては、例えば、円盤の中心部に円形の空洞部分を有するドーナッツ状である、HDD用2.5インチガラス基板等が挙げられる。
【0022】
次に図2(B)に示すように、ガラス基板2の上面であって凹凸パターンが形成される箇所にインプリント材料(成形材料)3が塗布される。なお、モールド1とガラス基板2の位置を逆にして、モールド1にインプリント材料3を塗布するようにしてもよい。インプリント材料3としては、例えば、スピンオングラス(SOG)材料を用いればよい。インプリント材料3の塗布方法は、公知の塗布方法を用いればよく、例えば、ディスペンサ等による滴下塗布であってもよいし、スピンコート法やディップコート法等であってもよいし、ワイヤーバーおよびアプリケータ等を用いて塗り広げてもよい。なお、熱インプリント法を用いるのであれば、インプリント材料3としては例えばシクロオレフィン系の樹脂を用いればよく、光インプリント法を用いるのであれば、インプリント材料3としては例えばフォトレジストを用いればよい。
【0023】
次に図2(C)に示すように、インプリント材料3を含むガラス基板3にモールド1を所定の押圧力で押し付けて、インプリント材料3に微細構造を転写する。そして、インプリント材料3を乾燥させる。そうすることによって、インプリント材料3が固化される。これにより、凹凸パターンがインプリント材料3に形成される。前記乾燥方法としては、特に制限がなく、公知の乾燥方法を用いることができる。例えば、室温で放置してもよいが、さらに、減圧、送風及び加熱等を行うと、乾燥をより早める点から好ましい。また、加熱を行う場合は、加熱温度をインプリント材料3の溶媒の沸点を超えないようにすることが好ましい。そうすることによって、インプリント材料3が沸騰せず、インプリント材料3内部に気泡が残存する可能性が低くなるため、凹凸形状の転写不良の発生が抑制される。なお、インプリント材料3にSOG材料を用いていることから乾燥により固化させるが、熱インプリント法を用いる場合は、加熱することで柔らかくなったインプリント材料3にモールド1を押し付けた後に冷却してインプリント材料3を固化させる必要がある。また、光インプリント法を用いる場合は、インプリント材料3にモールド1を押し付けた後に光を照射して、インプリント材料3を固化させる必要がある。それにより、インプリント材料3に凹凸パターンが形成される。
【0024】
次に、図2(D)に示すように、モールド1が押圧されて一体となったモールド1、インプリント材料3およびガラス基板2を、液体4に浸漬させる。ここで、浸漬させる浸漬用物質である液体4は例えば水とすればよい。浸漬用物質として水を用いることで、容易に浸漬用物質を入手でき、汎用性があるという効果を奏する。また、インプリント材料3およびガラス基板2を浸食等することがない。なお、この浸漬用物質である液体4は水に限られるわけではなく、インプリント材料3が固化している条件下において液体であり、インプリント材料3およびガラス基板2を浸食、破損等しない性質を有する物質であればよい。
【0025】
次に、図2(E)に示すように、モールド1、インプリント材料3およびガラス基板2を、液体4に浸漬させた状態で、インプリント材料3からモールド1を離型する。なお、離型は公知の技術により行えばよい。例えば、本実施形態においては図2(E)に示すように、固化されたインプリント材料3とモールド1との間に、ピンモジュール5を挿入することで離型すればよい。ピンモジュール5をインプリント材料3とモールド1との間に挿入することで、これらの間にスリットが形成され、スリットに液体4が流入し、インプリント材料3とモールド1との間の真空効果を破壊させることで、インプリント材料3とモールド1とが分離する。この際、インプリント材料3とモールド1との間にのみ液体4が存在するのではなく、インプリント材料3およびモールド1は周りを液体4に覆われている。したがって、毛管接着現象が生じることはなく、離型において大きな力を必要としないため、容易に離型を行うことができる。
【0026】
また、液体は気体に比べて粘度が高いため、離型の際の外乱の影響を受けにくい。つまり、液体4中で離型を行うことで、モールド1とインプリント材料3との間に液体4が浸透する。例えば、装置により離型を行う場合に、その装置の振動等のノイズによって、モールド1およびインプリント材料3が振動等し、これらが衝突等した場合であっても、気体に比べて粘度が高い液体4の緩衝効果によりその衝撃が和らぎ、インプリント材料3に転写された微細構造が破損されることはほとんどない。また、前記装置の振動以外に、風等の外乱により、離型の際にモールド1やインプリント材料3に外的な力が加わった場合でも、同様に液体4の緩衝効果により微細構造が破損されることがほとんどない。
【0027】
次に、図2(F)に示すように、インプリント材料3上に磁性膜6を成膜することで、表面に凹凸パターン6aが形成された情報記録媒体基板7が製造される。なお、磁性膜6としては例えばCoCrPtやFePtを用いればよい。
【0028】
このように離型工程を液体4中で行うことにより、外乱によるインプリント材料3の微細構造への影響を液体4の緩衝効果により防ぐことで微細構造の破損を防ぎ、情報記憶媒体基板の製造における不良品を減少させることができる。また、インプリント材料3およびモールド1は液体4中に浸漬されているので、インプリント材料3とモールド1との間に毛管接着が生じることなく、容易に離型することができる。
【0029】
次に、上述の本発明の実施形態に係る情報記録媒体基板の製造方法とは別である、本発明の他の実施形態に係る情報記録媒体基板の製造方法について説明する。図3は、本発明の他の実施形態に係るモールドの構成を示す平面図および断面図であって、図3(A)はモールドの構成を示す平面図であり、図3(B)はモールドの構成を示す断面図である。なお、図3(B)は図3(A)に示されたモールド11の主面の中心を通り、主面に対して垂直な面による断面図である。図3(A)および図3(B)に示すように、本実施形態に係るモールド11は円盤状であり、一方の主面にはインプリント材料(成形材料)に凹凸パターンを形成するための微細構造である転写用パターン11aが形成されている。また、モールド11の主面には、4つの貫通孔11bが形成されていて、これらは円盤状のモールド11の中心に対して4回対称となるように配置されている。モールド11は射出成形、ドライエッチング、ウェットエッチング、フォトリソグラフィ、電子線描画、インプリント法等の公知の技術により作製される。なお、例えば、射出成型を用いる場合は、転写用パターン1aも同時に射出成型により形成すればよい。また、転写用パターン11aは、機械加工等により形成してもよい。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態に係るモールドを用いた情報記録媒体基板の製造方法について図4を用いて説明する。図4は、本発明の他の実施形態に係るモールドを用いた情報記録媒体基板の製造工程を示す断面図であって、図4(A)〜図4(H)は各工程を示す断面図である。図4(A)に示すように、モールド11と基板基材であるガラス基板12とを対向させ、モールド1の転写用パターン11aが、磁性膜13が成膜された基板基材であるガラス基板12側を向くように配置する。なお、磁性膜13としては例えばCoCrPtやFePtを用いればよい。
【0031】
なお、基板基材としては、表面上に微細な複数の凹凸形状を有する構造材料からなる表面部を備えることによって、PM用の基板等の基板を形成することができる基材であれば、特に制限されない。例えば、ガラス基板の代わりに石英基板等を用いてもよい。ガラス基板12としては、例えば、HDD用2.5インチガラス基板等が挙げられる。
【0032】
次に図4(B)に示すように、磁性膜13を含むガラス基板12上の凹凸パターンが形成される箇所にインプリント材料14が塗布される。インプリント材料14としては、例えば、SOG材料を用いればよい。塗布方法は、公知の塗布方法を用いればよく、例えば、ディスペンサ等による滴下塗布であってもよいし、スピンコート法やディップコート法等であってもよいし、ワイヤーバー及びアプリケータ等を用いて塗り広げてもよい。なお、熱インプリント法を用いるのであれば、インプリント材料14としては例えばシクロオレフィン系の樹脂を用いればよく、光インプリント法を用いるのであれば、インプリント材料14としては例えばフォトレジストを用いればよい。
【0033】
次に図4(C)に示すように、モールド11をインプリント材料14、磁性膜13が積層されたガラス基板12に所定の押圧力で押し付けて、インプリント材料14に微細構造を転写する。そして、インプリント材料14を乾燥させる。そうすることによって、インプリント材料14が固化される。これにより、凹凸パターンがインプリント材料14に形成される。前記乾燥方法としては、特に制限がなく、公知の乾燥方法を用いることができる。例えば、室温で放置してもよいが、さらに、減圧、送風及び加熱等を行うと、乾燥をより早める点から好ましい。また、加熱を行う場合は、加熱温度をインプリント材料14の溶媒の沸点を超えないようにすることが好ましい。そうすることによって、インプリント材料14が沸騰せず、インプリント材料14内部に気泡が残存する可能性が低くなるため、凹凸形状の転写不良の発生が抑制される。なお、インプリント材料14にSOG材料を用いていることから乾燥により固化させるが、熱インプリント法を用いる場合は、加熱することで柔らかくなったインプリント材料14にモールド11を押し付けた後に冷却してインプリント材料14を固化させる必要がある。また、光インプリント法を用いる場合は、インプリント材料14にモールド11を押し付けた後に光を照射して、インプリント材料14を固化させる必要がある。それにより、インプリント材料14に凹凸パターンが形成される。
【0034】
次に、図4(D)に示すように、モールド11が押圧されて一体となったモールド11、インプリント材料14、磁性膜13およびガラス基板12を、液体15に浸漬させる。ここで、浸漬させる浸漬用物質である液体15は例えば水とすればよい。浸漬用物質として水を用いることで、容易に浸漬用物質を入手でき、汎用性があるという効果を奏する。なお、この浸漬用物質である液体15は水に限られるわけではなく、インプリント材料14が固化している条件下において液体であり、インプリント材料14およびガラス基板12を浸食、破損等しない性質を有する物質であればよい。
【0035】
次に、図4(E)に示すように、モールド11、インプリント材料14、磁性膜13およびガラス基板12を、液体15に浸漬させた状態で、インプリント材料14からモールド11を離型する。具体的には、貫通孔11bに流体16を流入させる。それにより、モールド11と、インプリント材料14との界面に圧力がかかることから、モールド11がインプリント材料14から剥離される。このとき、流体16により、モールド11とインプリント材料14との界面の各部に圧力がかかるため、モールド11は剥離される。流体16としては、例えばモールド11およびインプリント材料14等が浸漬されている浸漬用物質である液体15を用いればよい。また、流体16としては、液体15以外の液体等の流体を用いてもよい。この際、インプリント材料14とモールド11との間にのみ液体15が存在するのではなく、インプリント材料14およびモールド11は周りを液体15に覆われている。したがって、毛管接着が生じることはなく、離型において大きな力を必要としないため、容易に離型を行うことができる。したがって、貫通孔11bの形成位置が、パターンが形成されない領域である内周または外周付近であっても、離型において大きな力を必要としないことから、無理な力が加わらず、インプリント材料14に転写された微細構造を破損することなく、容易に離型を行うことができる。
【0036】
また、液体は気体に比べて粘度が高いため、離型の際の外乱の影響を受けにくい。つまり、液体15中で離型を行うことで、モールド11とインプリント材料14との間に液体15が浸透する。例えば、装置により離型を行う場合に、その装置の振動等のノイズによって、モールド11およびインプリント材料14が振動等し、これらが衝突等した場合であっても、気体に比べて粘度が高い液体15の緩衝効果によりその衝撃が和らぎ、インプリント材料14に転写された微細構造が破損されることがほとんどない。また、前記装置の振動以外に、風等の外乱により、離型の際にモールド11やインプリント材料14に外的な力が加わった場合でも、同様に液体15の緩衝効果により微細構造が破損されることがほとんどない。
【0037】
次に図4(F)に示すように、微細構造が形成されたインプリント材料14をドライエッチングすることにより、磁性膜13を露呈させる。
【0038】
次に図4(G)に示すように、磁性膜13上に残っているインプリント材料14をマスクとして、ドライエッチングにより、磁性膜13をエッチングすることで、磁性膜13に微細構造を形成する。
【0039】
次に図4(H)に示すように、インプリント材料14を除去して、表面の磁性膜13に凹凸パターン13aが形成された情報記録媒体基板17が製造される。
【0040】
上述したように、本発明の実施の形態および他の実施の形態においては、インプリント材料3、14からモールド1、11を離型する際に、これらを液体4、15である浸漬用物質に浸漬させた状態で離型を行う。そのため、毛管接着が生じず、大きな力を用いずとも容易に離型することができる。また、液体は気体に比べて粘度が高いため、大気中で離型を行う場合に比べて離型の際の外乱の影響を受けにくい。具体的には、離型を装置において行う場合は、その装置の振動等により、離型の際に微細構造が破損する可能性があるが、インプリント材料3、14およびモールド1、11は周りを液体4、15に覆われていることから液体の緩衝効果により、微細構造が破損するということがほとんどない。また、その他の外乱、例えば風等による影響も受けにくく、離型の際に微細構造が破損することはほとんどない。
【0041】
なお、上記製造工程において、少なくとも離型工程(図2(E)、図4(E))について、インプリント材料3、14およびモールド1、11を液体4、15に浸漬させた状態で行えばよく、他の工程においては、液体4、15に浸漬させた状態、浸漬させない状態いずれで行ってもよい。
【0042】
また、モールド1、11は、液体4、15である浸漬用物質により溶解する材料により構成されることとしてもよい。例えば、液体4、15である浸漬用物質を水とした場合には、モールド1、11はポリビニルアルコール(PVA)により構成されることとすればよい。また、例えば、液体4、15である浸漬用物質をアセトンとした場合には、モールド1、11はポリカーボネードにより構成されることとすればよい。このようにすることで、液体4、15である浸漬用物質にモールド1、11およびインプリント材料3、14等を浸漬させた場合に、モールド1、11が溶解することでモールド1、11とインプリント材料3、14との間に隙間ができ、その隙間に液体4、15が浸透し、さらに離型を容易に行うことができる。また、浸漬させることで、モールド1、11が完全に溶解する必要はなく、表面が溶解する程度で十分である。例えば、モールド1、11の厚さが1mmであって、PMの構造高さが50nmであるとすると、モールド1、11においてPMの構造高さと同程度が溶解すれば、上記隙間に液体4、15が浸透しやすくなる。なお、液体4、15である浸漬用物質がインプリント材料3、14、ガラス基板2、12や磁性膜13を溶解しないことは必要である。
【0043】
上述の本発明の実施形態および他の実施形態に係る情報記録媒体基板の製造方法により情報記録媒体基板を実際に作製し、それらについての表面形状を評価した具体例(実施例1、2、3)について説明する。さらに、従来例による情報記録媒体基板の製造方法により情報記録媒体基板を実際に作製し、それらについての表面形状を評価した例(比較例1、2)についても説明する。
【0044】
(実施例1)
図1および図2を参照しながら、実施例1について説明する。実施例1においては、まず、ポリメチルペンテン樹脂を用いて、射出成型にて微細構造を形成した、図1に示すモールド1を用いた。モールド1は外径65mmの円盤の中心に内径20mmの貫通孔が形成されたドーナッツ形状とした。微細構造である転写用パターン1aはモールド1の片面に形成され、中心から半径10mm以上の領域に形成した。なお、転写用パターン1aも射出成型により形成した。ここで、実施例1で用いたモールド1の具体的な形状について図5を用いて説明する。図5は実施例1において用いたモールドの形状を説明するための図であって、図5(A)はモールドの平面図であり、図5(B)は図5(A)の範囲Aの拡大図であり、図5(C)は図5(B)のB−B線矢視断面図である。図5(A)に示すように、モールド1は外径65mmの円盤の中心に内径20mmの貫通孔が形成されたドーナッツ形状である。図5(A)において破線で同心円を示したが、この破線は仮想的な線である。モールド1においては、このように破線で示される同心円上に中心を有する円孔が形成されている。そして、モールド1の範囲Aの拡大図である図5(B)に示すように、破線により示された仮想的な同心円を中心とする直径が50nmである円孔1cがモールド1に形成されている。破線で示された各同心円の間隔は100nmであり、同一の同心円上に隣接して形成された円孔1c間のピッチは100nmである。また、B−B線矢視断面図である図5(C)に示すように、各円孔1cの深さは50nmである。
【0045】
HDD用2.5インチガラス基板2(外径65mm、内径20mm)を用意し、このガラス基板2側に、転写パターン1aが向くようにモールド1とガラス基板2とを配置する(図2(A)参照)。そして、ガラス基板2上に、インプリント材料3としてSOG材料であるOCD T−12 900−V(東京応化工業株式会社製)の溶液を100マイクロリットル、ディスペンサで塗布した(図2(B)参照)。なお、インプリント材料3は、ガラス基板2上の転写用パターン1aに対応する箇所に塗布されている。その後、モールド1でガラス基板2を1MPaで押圧した状態でインプリント材料3を乾燥、固化させて微細構造を形成した(図2(C)参照)。インプリント材料3が固化した後、ガラス基板2、インプリント材料3およびモールド1を純水である液体4に浸漬させた(図2(D)参照)。そして、液体4中において、ピンモジュール5をインプリント材料3とモールド1との境界面に挿入し、モールド1を離型した(図2(E)参照)。このようにして、微細構造が形成された基板を10枚作製し、それぞれの基板について、転写された微細構造を観察した。観察方法は干渉計によって基板全面の表面形状を観測し、走査型電子顕微鏡(SEM)で約10μm×10μmの領域、原子間力顕微鏡(AFM)で2μm×2μmの領域の微細構造を観察した。その結果、10枚すべての基板において、干渉計、SEM、AFMのいずれにおいても観察領域で微細構造の破壊等の欠陥は見つからなかった。
【0046】
最後に、これら作製された基板のインプリント材料3上に磁性膜6を成膜し、パターンドメディア用ハードディスクドライブ基板(情報記録媒体基板7)とした(図2(F)参照)。
【0047】
(実施例2)
図3および図4を参照しながら、実施例2について説明する。図3に示すように、まず、ポリカーボネート樹脂を用いて、射出成型にて微細構造を形成した、図3に示すモールド11を用いた。モールド11は外径65mmの円盤状であり、その中心から半径21mmの位置に4回対称となるように、直径5mmの円形の貫通孔11bが4つ形成されている。また、微細構造である転写用パターン11aは1モールド11の片面に形成され、中心から半径10mm以上の領域に形成した。なお、転写用パターン11aも射出成型により形成した。なお、実施例2において用いたモールド11にも、実施例1のモールド1と同様の形状および配置により、図5(B)および図5(C)により示した円孔が形成されている。
【0048】
次にHDD用2.5インチガラス基板12(外径65mm、内径20mm)の主面に磁性膜13を成膜したものを用意した(図4(A)参照)。また、ガラス基板12側に、転写パターン11aが向くようにモールド11とガラス基板12とを配置する。そして、磁性膜13を含むガラス基板12上に、インプリント材料14として光硬化性樹脂であるPAK−02(東洋合成工業株式会社製)の溶液を100マイクロリットル、ディスペンサで塗布した(図4(B)参照)。なお、インプリント材料14は、磁性膜13上の転写用パターン11aに対応する箇所に塗布されている。その後、モールド11でインプリント材料14、磁性膜13を含むガラス基板12を押圧した状態でインプリント材料14に光を照射し、インプリント材料14を固化させて微細構造を形成した(図4(C)参照)。インプリント材料14が固化した後、ガラス基板12、磁性膜13、インプリント材料14およびモールド11を純水である液体15に浸漬させた(図4(D)参照)。そして、液体15中において、貫通孔11bより純水である液体15(流体16)に圧力をかけることで離型を行った(図4(E)参照)。このようにして、微細構造が形成された基板を10枚作製し、それぞれの基板について、転写された微細構造を観察した。観察方法は干渉計によって基板全面の表面形状を観測し、走査型電子顕微鏡(SEM)で約10μm×10μmの領域、原子間力顕微鏡(AFM)で2μm×2μmの領域の微細構造を観察した。その結果、10枚すべての基板において、干渉計、SEM、AFMのいずれにおいても観察領域で微細構造の破壊等の欠陥は見つからなかった。
【0049】
その後、光硬化性樹脂であるインプリント材料14の微細構造層をドライエッチングによって、微細構造層の底面において、磁性膜13が露出するまでエッチングした(図4(F)参照)。そして、残りの光硬化性樹脂であるインプリント材料14をマスクとして、ドライエッチングによって磁性膜13をエッチングし(図4(G)参照)、最後に、光硬化性樹脂であるインプリント材料14をドライエッチングによって除去して、表面の磁性膜13に凹凸パターン13aが形成された情報記録媒体基板17が製造された(図4(H)参照)。
【0050】
(実施例3)
図1および図2を参照しながら、実施例3について説明する。実施例3においては、まず、ポリカーボネート樹脂を用いて、射出成型にて微細構造を形成した、図1に示すモールド1を用いた。モールド1は外径65mmの円盤の中心に内径20mmの貫通孔が形成されたドーナッツ形状とした。微細構造である転写用パターン1aはモールド1の片面に形成され、中心から半径10mm以上の領域に形成した。なお、転写用パターン1aも射出成型により形成した。なお、実施例3において用いたモールド1の具体的な形状は、実施例1において用いた図5(A)〜図5(C)により示されたモールド1と同一の形状である。
【0051】
次にHDD用2.5インチガラス基板2(外径65mm、内径20mm)を用意し、このガラス基板2側に、転写パターン1aが向くようにモールド1とガラス基板2とを配置する(図2(A)参照)。そして、ガラス基板2上に、インプリント材料3としてSOG材料であるOCD T−7 8000−T(東京応化工業株式会社製)の溶液を、100マイクロリットルずつディスペンサで塗布した(図2(B)参照)。なお、インプリント材料3は、ガラス基板2上の転写用パターン1aに対応する箇所に塗布されている。その後、モールド1でガラス基板2を1MPaで押圧した状態でインプリント材料3を乾燥、固化させて微細構造を形成した(図2(C)参照)。インプリント材料3が固化した後、ガラス基板2、インプリント材料3およびモールド1をアセトンである液体4に浸漬させた(図2(D)参照)。ポリカーボネードは、アセトンにより溶解する性質を有していることから、モールド1は、液体4に浸漬されることで溶解し始める。液体4中において、ピンモジュール5をインプリント材料3とモールド1との境界面に挿入し、モールド1を離型した(図2(E)参照)。なお、モールド1が溶解し始めていることから、液体4がモールド1とインプリント材料3の間に容易に充填され、微細構造の破壊が抑制される。このようにして、微細構造が形成された基板を10枚作製し、それぞれの基板について、転写された微細構造を観察した。観察方法は干渉計によって基板全面の表面形状を観測し、走査型電子顕微鏡(SEM)で約10μm×10μmの領域、原子間力顕微鏡(AFM)で2μm×2μmの領域の微細構造を観察した。その結果、10枚すべての基板において、干渉計、SEM、AFMのいずれにおいても観察領域で微細構造の破壊等の欠陥は見つからなかった。
【0052】
最後に、これら作製された基板のインプリント材料3上に磁性膜6を成膜し、パターンドメディア用ハードディスクドライブ基板(情報記録媒体基板7)とした(図2(F)参照)。
【0053】
(比較例1)
従来の情報記録媒体基板の製造方法により作製した比較例1について説明する。比較例1においては、実施例1の情報記録媒体基板の製造方法と略同様に情報記録媒体基板を作製した。比較例1の製造方法と実施例1の製造方法との異なる点は離型を液体中でなく、大気中で行ったことであり、それ以外は略同様の製造方法である。このようにして、微細構造が形成された基板を10枚作製し、それぞれの基板について、微細構造を観察した。観察方法は干渉計によって基板全面の表面形状を観測し、走査型電子顕微鏡(SEM)で約10μm×10μmの領域、原子間力顕微鏡(AFM)で2μm×2μmの領域の微細構造を観察した。その結果、10枚中7枚は、干渉計、SEM、AFMにより微細構造の破壊等の欠陥は見つからなかったが、残り3枚は部分的に微細構造の破壊が観察された。
【0054】
(比較例2)
従来の情報記録媒体基板の製造方法により作製した比較例2について説明する。比較例2においては、実施例2の情報記録媒体基板の製造方法と略同様に情報記録媒体基板を作製した。比較例2の製造方法と実施例2の製造方法との異なる点は離型を液体中でなく、大気中で行ったことであり、それ以外は略同様の製造方法である。なお、離型する際には、モールドの貫通孔に空気を流入させた。このようにして、微細構造が形成された基板を10枚作製し、それぞれの基板について微細構造を観察した。観察方法は干渉計によって基板全面の表面形状を観測し、走査型電子顕微鏡(SEM)で約10μm×10μmの領域、原子間力顕微鏡(AFM)で2μm×2μm領域の微細構造を観察した。その結果、10枚中8枚は、干渉計、SEM、AFMにより微細構造の破壊等の欠陥は見つからなかったが、残り2枚は部分的に微細構造の破壊が観察された。
【0055】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係るモールドの構成を示す平面図および断面図であって、図1(A)はモールドの構成を示す平面図であり、図1(B)はモールドの構成を示す断面図である。
【図2】本実施形態に係るモールドを用いた情報記録媒体基板の製造工程を示す断面図であって、図2(A)〜図2(F)は各工程を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るモールドの構成を示す平面図および断面図であって、図3(A)はモールドの構成を示す平面図であり、図3(B)はモールドの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るモールドを用いた情報記録媒体基板の製造工程を示す断面図であって、図4(A)〜図4(H)は各工程を示す断面図である。
【図5】実施例1において用いたモールドの形状を説明するための図であって、図5(A)はモールドの平面図であり、図5(B)は図5(A)の範囲Aの拡大図であり、図5(C)は図5(B)のB−B線矢視断面図である。
【図6】毛管接着について説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
1、11 モールド
1a、11a 転写用パターン
1c 円孔
11b 貫通孔
2、12 ガラス基板
3、14 インプリント材料
4、15 液体
5 ピンモジュール
6、13 磁性膜
6a、13a 凹凸パターン
7、17 情報記録媒体基板
16 流体
101、102 基板
103 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板基材上に形成される成形材料に、凹凸構造を有するモールドを押し付けて前記凹凸構造を前記成形材料に転写する工程と、
前記モールドを押し付けた状態で、前記成形材料を固化させる工程と、
前記固化した成形材料から、前記モールドを離型する工程とを備え、
前記モールドを離型する工程は、前記成形材料が固化した状態において液体である浸漬用物質に、前記成形材料および前記モールドを浸漬させた状態で行う、情報記録媒体基板の製造方法。
【請求項2】
前記浸漬用物質は、前記成形材料および前記基材基板を浸食しない物質である、請求項1に記載の情報記録媒体基板の製造方法。
【請求項3】
前記浸漬用物質は、前記モールドを溶解する性質を有し、
前記モールドを離型する工程において、前記モールドの少なくとも一部は前記浸漬用物質により溶解される、請求項1に記載の情報記録媒体基板の製造方法。
【請求項4】
前記浸漬用物質は水である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の情報記録媒体基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−118106(P2010−118106A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289971(P2008−289971)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】