説明

感光性樹脂及びそれを含む感光性樹脂組成物

【課題】基板との密着性、現像残渣の改善、顔料分散性、耐熱性のバランスのとれた感光性樹脂を提供する。
【解決手段】長鎖のモノ(メタ)アクリレート(a)5〜30モル%と、ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、エポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)30〜80モル%と、前記(a)、(b)及び(c)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)10〜60モル%とをその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の5〜100%に不飽和一塩基酸(e)を付加させ、前記(e)成分を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(f)を付加させて得られる感光性樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂及びそれを含む感光性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、各種材料との密着性や耐熱性に優れた硬化塗膜を形成すると共に、顔料を混ぜたときの安定性の高い感光性樹脂及びこの感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源、省エネルギーの観点から印刷、塗料、接着剤、液晶関連の分野において、紫外線あるいは電子線のような活性エネルギー線で硬化可能な活性エネルギー線硬化型樹脂が広く用いられている。
プリント配線基板等の電子材料分野でも半導体基板用の樹脂として活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いたソルダーレジスト等が使用されている。フォトレジスト法でプリント配線板に使用される材料としては、酸ペンダント型ノボラックエポキシアクリレートが一般的で、例えば、エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させ、次いで、多塩基酸無水物を付加した化合物が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、ノボラック型エポキシアクリレートに酸無水物を付加した化合物も知られている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、これらの化合物は銅メッキ面との密着性が十分でなく、多層プリント配線板用として使用した場合には、導体回路間の十分な密着強度が得られないという課題を有する。
【0003】
さらに、レジスト皮膜の耐熱性、耐湿性、電気絶縁性を向上させる手段として、樹脂の一部のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させ、次いで、不飽和基を有するシリコーン化合物を反応させたシリコーン変性エポキシ樹脂が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
また、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体をラジカル重合して得られた側鎖にエポキシ基を有する重合体と以下の重合体からなるフォトレジストが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。その重合体としては、カルボキシル基を有するラジカル重合性単量体とアクリル酸エステル等をラジカル共重合させ、得られた共重合の側鎖のカルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレートのような化合物を付加して側鎖を不飽和基にしたもの、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体を単位として含む(共)重合体に(メタ)アクリル酸を反応させ、さらに、多塩基酸無水物を付加した(共)重合体、エポキシアクリレートに多塩基酸無水物を付加した(共)重合体、無水マレイン酸重合体にグリシジル(メタ)アクリレートのような化合物を付加して側鎖を不飽和基にしたもの等が用いられている。
【0004】
さらに、フェノールアラルキル骨格を主鎖に有する樹脂のフェノール性水酸基にエピクロルヒドリンを反応させ、グリシジルエーテル化し、一部のグリシジルエーテル基にアクリル酸のような不飽和モノカルボン酸を反応させて得られるエポキシアクリレートを主要な硬化樹脂成分として用いることも提案され(例えば、特許文献5を参照)、このようなエポキシアクリレートにさらに多塩基酸無水物を付加した(共)重合体も提案されている(例えば、特許文献6を参照)。加えて、ジシクロペンタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートを単量体成分とする(共)重合体を主要な硬化樹脂成分として用いることも提案されている(例えば、特許文献7を参照)。
半導体回路の集積度の向上とともにソルダーレジストの分野では、感光性樹脂に要求される性能は極めて厳しくなり、その厳しい要求を満たすために、上記のような種々改良された樹脂が提案されているが、充分に満足するものは得られていない。
【0005】
また、上記のような種々の樹脂等を硬化成分とする感光性樹脂から製造された液晶表示装置等のカラーフィルタ、ブラックマトリックス、フォトスペーサー、保護膜等の製造においては、エポキシアクリレートでは顔料または染料の分散安定性に問題あり、従来からメタクリル酸とベンジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等とを含むアクリル系共重合体を用いたものが知られているが、耐熱性が十分でなくパターン固着時の加熱工程で熱分解物がアウトガスとなって発生し、基板や装置を汚染することが問題となっている。また、耐熱性を上げるために脂環式のシクロヘキシルメタクリレート等を使用したアクリル共重合体(例えば、特許文献8を参照)を用いると、基板との密着性が十分でなく、パターンニング時に剥離等の問題が生じることがある。
【0006】
感光性樹脂を使用する際に発生する種々の問題を解決するために多くの提案がなされている。例えばある特定の(メタ)アクリル酸エステル類を使用することで顔料との分散性向上させることや(例えば、特許文献9を参照)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにε‐カプロラクトンを付加し、更に酸無水物変性することでインク感度とタックフリー性のバランスが取れるとしている(例えば、特許文献10を参照)。しかしながら、これら特許文献9及び10に記載の感光性樹脂はいずれも耐熱性に問題があった。
【0007】
【特許文献1】特公昭56−40329号公報
【特許文献2】特開昭61−243869号公報
【特許文献3】特開平6−19134号公報
【特許文献4】特開平8−211611号公報
【特許文献5】特開平10−101770号公報
【特許文献6】特開2001−247649号公報
【特許文献7】特開2001−89533号公報
【特許文献8】特開平9−278842号公報
【特許文献9】特開平10−171119号公報
【特許文献10】特開2002−220407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、基板との密着性、現像残渣の改善、顔料分散性、耐熱性のバランスのとれた感光性樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、長鎖のモノ(メタ)アクリレートと、ロジン(メタ)アクリレートとの共重合体をさらに変性することにより、基板との密着性、顔料分散性及び耐熱性に優れ、且つカラーレジストにした時に現像残渣が極めて少ない感光性樹脂及び感光性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(1)〜(3)
【0010】
【化1】

(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rはアルキル基又は水酸基を側鎖に含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは水素又は窒素を含んでもよいアルキル基、窒素及び酸素を含んでもよい環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選択される基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Rは炭素数4〜7のアルキレン基であり、Rは水素又はCOX−COOH(ここでXは飽和もしくは不飽和の脂肪酸基もしくは脂環式炭化水素基、又は芳香族環炭化水素基である)であり、Rは水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、芳香族炭化水素基又はCOX−COOH(Xは上記と同義)であり、lは1〜10の数であり、mは1〜10の数であり、nは0.3〜10の数であり、oは0.3〜10の数である)で表される少なくとも1つの化合物(a)5〜30モル%と、
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
エポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)30〜80モル%と、
前記(a)、(b)及び(c)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)10〜60モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の5〜100%に不飽和一塩基酸(e)を付加させ、前記(e)成分を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(f)を付加させて得られることを特徴とする感光性樹脂(以下、感光性樹脂(I)と記すことがある)である。
また、本発明は、下記式(1)〜(3)
【0011】
【化2】

(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rはアルキル基又は水酸基を側鎖に含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは水素又は窒素を含んでもよいアルキル基、窒素及び酸素を含んでもよい環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選択される基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Rは炭素数4〜7のアルキレン基であり、Rは水素又はCOX−COOH(ここでXは飽和もしくは不飽和の脂肪酸基もしくは脂環式炭化水素基、又は芳香族環炭化水素基である)であり、Rは水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、芳香族炭化水素基又はCOX−COOH(Xは上記と同義)であり、lは1〜10の数であり、mは1〜10の数であり、nは0.3〜10の数であり、oは0.3〜10の数である)で表される少なくとも1つの化合物(a)5〜30モル%と、
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
不飽和一塩基酸(e)20〜70モル%と、
上記化合物(a)、(b)及び(e)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)20〜70モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるカルボキシル基の5〜80%にエポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)を付加させることにより得られることを特徴とする感光性樹脂(以下、感光性樹脂(II)と記すことがある)である。
上記感光性樹脂(I)及び(II)の酸化は、20〜150KOHmg/gであることが好ましい。
また、本発明は、上記感光性樹脂(I)及び/又は(II)と、反応性希釈剤(g)と、溶剤(h)とを必須成分とすることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板との密着性、顔料分散性及び耐熱性に優れ、且つ現像残渣が極めて少ない感光性樹脂及び感光性樹脂組成物を提供することができる。本発明の感光性樹脂は、カラーレジスト及び顔料分散液用(ミルベース用)樹脂としても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による感光性樹脂を詳細に説明する。
まず、本発明の感光性樹脂(I)について説明する。
感光性樹脂(I)は上記モノマー成分(a)、(b)、(c)及び(d)に由来する骨格を側鎖に有しており,その共重合比率は(a)5〜30モル%、好ましくは、5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(b)5〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(c)30〜80モル%、好ましくは35〜70モル%、さらに好ましくは40〜60モル%、及び(d)10〜60モル%、好ましくは20〜50モル%、さらに好ましくは30〜45モル%である。
【0014】
(a)成分を5〜30モル%、且つ(b)成分を5〜30モル%とすることにより、感光性樹脂(I)における顔料の分散性が向上し、感光性樹脂(I)を配合してなる感光性着色樹脂組成物の安定性が向上し、更には現像した時の現像残渣の生じ難くすることができ、且つ耐熱性を保持することができる。
(a)成分が5モル%未満であると顔料との分散性が低下し、また(a)成分が30モル%を超えると、耐熱性が低下する。
(b)成分が5モル%未満であると耐熱性の保持が難しくなり、また(b)成分が30モル%を超えると顔料との分散性が低下するため、感光性樹脂(I)を配合した感光性着色樹脂組成物の安定性が低下してしまう。
(c)成分を30〜80モル%とすることにより、感光基の導入量、すなわち、後述する(e)成分である不飽和一塩基酸に由来する不飽和基の導入量をコントロールすることができ、感光性樹脂(I)の硬化性をコントロールすることができる。(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を上記のような比率にすることにより、(d)成分は10〜60モル%の範囲内で適宜選定することができる。
【0015】
この感光性樹脂(I)は上記(a)、(b)、(c)及び(d)成分をラジカル共重合させて共重合体(Ia)を形成させた後、(e)成分として、不飽和一塩基酸を反応させて共重合体(Ib)を形成させ、次いで(f)成分として、多塩基酸無水物を反応させることにより得られる。
(e)成分である不飽和一塩基酸のカルボキシル基は、(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基と反応してエポキシ基を開環し、水酸基が形成されるとともに末端に不飽和基が付与される。(f)成分である多塩基酸無水物は、(e)成分中のカルボキシル基と(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基との反応により生じた水酸基と反応して酸無水物基が開環してカルボキシル基に変換される。
(e)成分である不飽和一塩基酸の使用量は、(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基の100モルに対して5〜100モル、好ましくは30〜100モル、さらに好ましくは50〜100モルである。
不飽和一塩基酸の使用量を5モル以上とすることにより、樹脂が硬化するために必要な不飽和基の最低量を導入することができ、不飽和一塩基酸の使用量を100モル以下とすることにより、得られる感光性樹脂(I)中の未反応の不飽和一塩基酸の量を少なくできる。
次に反応させる(f)成分である多塩基酸無水物の使用量は、(e)成分中のカルボキシル基と(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基との反応により生じた水酸基100モルに対して5〜100モル、好ましくは10〜90モル、さらに好ましくは20〜90モルである。水酸基100モルに対して多塩基酸無水物のモル数を5〜100モルの範囲とすることにより、得られる感光性樹脂(I)の酸価(JIS K6901)を20〜150KOHmg/gの範囲にコントロールすることができる。酸価については、後述の感光性樹脂(II)の項で説明する。
【0016】
共重合体(Ia)を得るためのラジカル共重合反応は特に制限されず、従来から行われている通常のラジカル重合法を適用することができる。
例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAcと略記することがある)のようなグリコールエーテル系の溶剤、トルエンやキシレンのような炭化水素系や酢酸エチルのような官能基を有していない有機溶剤中に上記(a)、(b)、(c)及び(d)成分を所望の比率で溶解し、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートのような重合開始剤を混合して還流状態で50〜130℃程度で、1〜20時間程度重合させることにより、共重合体(Ia)の有機溶剤溶液が得られる。重合開始剤の使用量は(a)、(b)、(c)及び(d)成分の合計量100質量部に対して、通常0.5〜20質量部、好ましくは1.0〜10質量部である。
有機溶剤を使用せずに(a)、(b)、(c)及び(d)成分と重合開始剤だけで塊状重合を行ってもよい。
【0017】
有機溶剤の使用量は(a)、(b)、(c)及び(d)成分の合計量100質量部に対して、通常30〜1000質量部、好ましくは50〜800質量部である。有機溶剤の使用量を30質量部以上とすることにより、異常な重合反応を防ぎ、安定した重合反応を進行させることができ、樹脂が着色したりゲル化するのを防ぐことができる。一方、有機溶剤の使用量を1000質量部以下とすることにより、連鎖移動作用により共重合体(Ia)の分子量が低下するのを防ぎ、且つ最終的に得られる感光性樹脂(I)の固形分濃度を適切な範囲にコントロールすることができる。
本発明の感光性樹脂(I)は後述の反応性希釈剤や溶剤を混合した感光性樹脂組成物として、主としてレジスト等の電子材料として用いられるので、共重合体(Ia)を上記のようなラジカル共重合で製造する際、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエステル系の溶剤が好ましく用いられる。
【0018】
ラジカル共重合反応で得られた共重合体(Ia)中の(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基に(e)成分である不飽和一塩基酸を反応させるには、以下のように行う。すなわち、不飽和一塩基酸や生成する不飽和基含有共重合体の重合によるゲル化を防ぐために、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、酸素等の重合防止剤の存在下、且つトリエチルアミンのような三級アミン類、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドのような四級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィンのようなリン化合物、クロムのキレート化合物等の触媒の存在下、通常50〜150℃程度、好ましくは80〜130℃で反応を行う。共重合体(Ia)を得るためのラジカル共重合反応で有機溶剤が用いられた場合は、共重合体(Ia)の有機溶剤溶液の状態のまま以後の反応に用いることができる。
【0019】
以上の反応により、側鎖として不飽和基及び水酸基[カルボキシル基とエポキシ基との反応により生じた水酸基]を有する共重合体(Ib)が得られる。
その共重合体(Ib)の水酸基に(f)成分である多塩基酸無水物を反応させることにより本発明の感光性樹脂(I)が得られる。共重合体(Ib)の水酸基と多塩基酸無水物との反応は上記共重合体(Ia)中の(c)成分に由来する側鎖のエポキシ基に(e)成分である不飽和一塩基酸を反応させた後、そのまま(f)成分を所望量添加して通常50〜150℃程度、好ましくは80〜130℃加熱して行う。新たに触媒を添加する必要はない。
【0020】
上記一般式(1)、(2)及び(3)で表される(a)成分としては、以下のものが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販のものとして、例えば、商品名ライトエステルNB、ライトエステルIB、ライトエステルTB、ライトエステルEH、ライトエステルPO(いずれも共栄社化学株式会社製)、ブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーP、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500B、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200(いずれも日本油脂株式会社製)等が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンを付加したもの等が挙げられ、市販のものとして、例えば、商品名プラクセルFA1DDM、プラクセルFA2D、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D(いずれもダイセル化学工業株式会社製)や、その末端水酸基に酸無水物変性したものが挙げられる。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、2−オキソラニル・6−ヘキサノリド付加重合物の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、市販のものとして、例えば、商品名カヤラッドTC−110、カヤラッドTC−110S、カヤラッドTC−120、カヤラッドTC−120S(いずれも日本化薬株式会社製)、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトンを付加したもの等が挙げられる。上記した一般式(1)〜(3)で表される(a)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明の感光性樹脂(I)における(b)成分は、アビエチン酸等に存在するカルボキシル基に、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートのようなエポキシ基を有する不飽和化合物を反応させて不飽和基である(メタ)アクリロイル基を導入したロジン(メタ)アクリレートである。
(b)成分の代表的なものとして、以下のような一般式(4)及び(5)で表されるロジン変性グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0022】
【化3】

上記一般式(4)及び(5)において、R8は水素原子またはメチル基、R9は単結合または炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖を有してよいアルキレン基である。上記一般式(4)及び(5)において、R8が水素原子で、R9が単結合のものが最も入手し易く好ましい。更に、(b)成分の代表的なものとして、下記一般式(6)及び(7)で表されるロジン変性シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0023】
【化4】

上記一般式(6)及び(7)において、R8は水素原子またはメチル基である。
ロジンは天然物であり、産地によって成分が若干異なるが、通常は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等の混合物である。通常はアビエチン酸、ネオアビエチン酸及びそれらのジヒドロキシ化物の含有量が最も多いと言われている。上記一般式(4)において、R7が単結合の場合、アビエチン酸のグリシジル(メタ)アクリレートであり、上記一般式(5)において、R7が単結合の場合、ネオアビエチン酸のグリシジル(メタ)アクリレートである。
(b)成分の具体例としては、2−ヒドロキシプロピルデヒドロアビエチン酸アクリレート等が挙げられ、市販のものとして、例えば、商品名ビームセット101、ビームセット102、ビームセット115(いずれも荒川化学工業株式会社製)、K1000A、UNIRESIN K900B(いずれも新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。上記した(b)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本発明の感光性樹脂(I)における(c)成分であるエポキシ基を有するラジカル重合性化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシを有する3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及びそのラクトン付加物[例えば、ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーA200、M100]、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物等が挙げられるが、原料入手のし易さから、グリシジル(メタ)アクリレート及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。上記した(c)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本発明の感光性樹脂(I)における(d)成分は、上記した(a)、(b)及び(c)と共重合するラジカル重合性化合物である。(d)成分としては、上記した(a)、(b)及び(c)以外のものであって、エチレン性不飽和基を有するものであれば特に限定されない。(d)成分の具体例としては、ビニルトルエン、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド誘導体;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリルレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリルレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)クリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、サリチル(メタ)アクリレート、フリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、ピラニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、1,1,1−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロ−n−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロ−イソ−プロピル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−イソ−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。上記の中で、硬化塗膜の強度や耐熱性の観点から、ビニルトルエン、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、モノマレイミド類が好ましく用いられる。上記した(d)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
本発明の感光性樹脂(I)における(e)成分である不飽和一塩基酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等を挙げることができる。また、(e)成分として、1個の水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等)と多塩基酸無水物との反応物等も用いることができる。上記した(e)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、反応性及びコスト面から、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
【0027】
本発明の感光性樹脂(I)における(f)成分である多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。上記した(f)成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、反応性及びコストの面から、テトラヒドロ無水フタル酸や無水コハク酸を用いることが好ましい。
【0028】
次に、本発明の感光性樹脂(II)について説明する。
感光性樹脂(II)の前駆体である共重合体(IIa)は、上記感光性樹脂(I)で用いるものと同じモノマー成分(a)、(b)、(d)及び(e)に由来する骨格を側鎖に有しており、その共重合比率は(a)5〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(b)5〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜25モル%、(e)が20〜70モル%、好ましくは30〜60モル%、さらに好ましくは40〜50モル%、及び(d)が20〜70モル%、好ましくは20〜60、さらに好ましくは25〜50モル%である。
【0029】
感光性樹脂(II)における(a)成分を5〜30モル%、且つ(b)成分を5〜30モル%とする理由は感光性樹脂(I)の場合と同じである。
感光性樹脂(II)における(e)成分も感光性樹脂(I)で用いられるものと同じ化合物であるが、感光性樹脂(I)の場合とは役割が異なっており、ラジカル共重合の段階で共重合体(IIa)の側鎖にカルボキシル基を存在させるために用いられる。したがって、(e)成分の使用量は、感光性樹脂(I)の場合とは異なっており、(a)の5〜30モル%に対して(e)成分が20〜70モル%の割合である。
感光性樹脂(II)における(d)成分は感光性樹脂(I)で用いられるものと同じであり、その使用モル比を20〜70モル%とする理由も感光性樹脂(I)の場合と同じである。すなわち、(a)、(b)及び(e)成分の使用比率により必然的に上記範囲が決められる。
共重合体(IIa)を製造するためのラジカル共重合は、各成分のモル比が異なる以外は共重合体(Ia)を製造するためのラジカル共重合と同じ条件で行われる。
【0030】
上記のようにして製造された共重合体(IIa)は側鎖にカルボキシル基が存在しており、次いで、このカルボキシル基に(c)成分であるエポキシ基を有するラジカル重合性化合物を反応させることにより、カルボキシル基の一部を不飽和基に変換させる。(c)成分であるエポキシ基を有するラジカル重合性化合物の使用量は、共重合体(IIa)の側鎖に存在しているカルボキシル基100モルに対して5〜80モル、好ましくは10〜60モル、さらに好ましくは20〜50モルである。5〜80モルにコントロールすることにより、カルボキシル基と不飽和基のバランスが良く、感光性樹脂(II)の硬化性及びアルカリによる現像性が適切に保たれる。
共重合体(IIa)中のカルボキシル基に(c)成分であるエポキシ基を有するラジカル重合性化合物を反応させる際の条件は、各成分のモル比以外は、共重合体(Ia)のエポキシ基に(e)成分である不飽和一塩基酸を反応させる場合と同じ条件である。
【0031】
以上のような条件により、得られる感光性樹脂(I)及び(II)の酸価を20〜150KOHmg/gの範囲にコントロールすることができるので、基板に塗布した後に行われるアルカリによる現像性をコントロールすることができる。酸価を20KOHmg/g以上とすることにより、アルカリによる現像性が低下するのを防止することができる。酸価を150KOHmg/g以下とすることにより、パターンニングを確実に行なうことができるようになる。酸価は、好ましくは30〜140KOHmg/g、さらに好ましくは40〜130KOHmg/gである。
なお、本発明における感光性樹脂(I)及び(II)の酸価は、感光性樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K6901:1999、5.3の酸価に記載の方法に従って測定されるものである。
以上のようにして、得られた本発明の感光性樹脂(I)及び(II)においては、重量平均分子量は通常は、3,000〜100,000であり、好ましくは5,000〜40,000である。重量平均分子量を3,000以上とすることにより、耐熱性が劣るのを防止し、100,000以下とすることにより現像性が低下するのを防止する。
なお、本発明における感光性樹脂(I)及び(II)の重量平均分子量(Mw)の値は、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
カラム:ショーデックス KF−801+KF−802+KF−802+KF−803
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(ショーデックス RI−101)
流速:1mL/min
【0032】
以上のようにして得られた感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)に反応性希釈剤(g)、及び必要に応じて溶剤(h)を添加することにより、感光性樹脂組成物が得られる。
使用できる反応性希釈剤(g)としては、感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)と反応可能なものであれば特に制限はされない。反応性希釈剤(g)の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
反応性希釈剤(g)の添加量は感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)の100質量部に対して、通常は10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部である。上記範囲にすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができ、さらに、粘度を調整することもできる。また、使用する反応性希釈剤(g)の種類によっては、感光性樹脂組成物の粘度を調整するために、溶剤(h)をさらに添加してもよい。
【0033】
使用できる溶剤(h)としては、感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)、及び反応性希釈剤(g)と反応しない不活性な溶剤であれば制限なく使用することができる。
溶剤(h)の具体例としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、前記ラジカル重合反応において好ましく使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
溶剤(h)の添加量は感光性樹脂(I)及び/又は感光性樹脂(II)の100質量部に対して、通常は30〜1000質量部、好ましくは50〜800質量部である。上記範囲とすることにより、粘度を適度に保つことができる。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物は、活性エネルギー線として紫外線等の活性光を用いて光硬化させる場合、光重合開始剤を添加することができる。使用できる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノンー1;アシルホスフィンオキサイド類及びキサントン類等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。光重合開始剤の添加量は、本発明の感光性樹脂組成物中の固形分100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは、1〜10質量部である。光重合開始剤の添加量を0.1〜30質量部とすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができる。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて公知の消泡剤、カップリング剤、レベリング剤等を添加することができる。
【0036】
本発明の感光性樹脂組成物は、液晶フォトスペーサー用や液晶シール用等に使用できるが、公知の顔料を添加することでカラーフィルタ形成用感光性樹脂組成物とすることができる。使用できる顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等の黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等の橙色顔料;C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等の赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36等の緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、25等の茶色顔料;C.I.ピグメントブラック1、7、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄等の黒色顔料等が挙げられる。これらの顔料機顔料は、目的とする画素の色に応じてそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、顔料の分散性を向上させるために、カラーフィルタ形成用感光性樹脂組成物に公知の分散剤を添加してもよい。分散剤としては、高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性エステル系分散剤等を挙げることができる。このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成株式会社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)等が挙げられる。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、プリント配線基板上にスクリーン印刷法、ロールコーター法、カーテンコーター法、スプレーコーター法、スピンコート法、インジェクト法等で塗布され、必要部分を光硬化させた後、その未硬化(未露光)部分をアルカリ水溶液で洗い流すことにより現像が行われる。
現像に使用されるアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム等の水溶液、アミン系では、アミノフェノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、その代表例として3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩の水溶液が挙げられる。
光照射して塗布面を硬化させる際に用いられる光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタハライドランプ等が用いられる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
[合成例1]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート152質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、スチレン16質量部、グリシジルメタクリレート85質量部、ロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)43質量部、及び2−オキソラニル・6−ヘキサノリド付加重合物のアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製 カヤラッドTC−110S)41質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し9質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸42質量部、トリフェニルホスフィンを0.66質量部、及びメチルハイドロキノン0.15質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了し、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸23質量部を加え、115℃で2時間反応させ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114質量部を加えることにより、固形分酸価32KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:10,000)の溶液を得た。
【0040】
[合成例2]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート165質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、スチレン16質量部、グリシジルメタクリレート85質量部、ロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)65質量部、及びヒドロキシエチルメタクリレートの0.2molカプロラクトン付加物(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルFM2D)36質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し9質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸42質量部、トリフェニルホスフィンを0.66質量部、及びメチルハイドロキノン0.15質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了し、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸24質量部を加え、115℃で2時間反応させ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120質量部を加えることにより、固形分酸価31KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:13,000)の溶液を得た。
【0041】
[合成例3]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート201質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート53質量部、メタクリル酸43質量部、ロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)43質量部、及びプロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製 ブレンマー10PPB−500B)58質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し2質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が88KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8質量部を加えることにより、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
【0042】
[合成例4]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート68質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ビニルトルエン45質量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(株式会社興人製)10質量部、メタクリル酸36質量部、及びロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)43質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し2質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が96KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12質量部を加えることにより、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
【0043】
[比較合成例1]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、スチレン52質量部、及びグリシジルメタクリレート71質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し9質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、アクリル酸35質量部、トリフェニルホスフィンを0.66質量部、及びメチルハイドロキノン0.15質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了し、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸17質量部を加え、115℃で2時間反応させ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート85質量部を加えることにより、固形分酸価33KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:10,000)の溶液を得た。
【0044】
[比較合成例2]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート146質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート100質量部、メタクリル酸37質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し3質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が94KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12質量部を加えることにより、固形分酸価94KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
【0045】
[比較合成例3]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート169質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート44質量部、メタクリル酸39質量部、及び2−オキソラニル・6−ヘキサノリド付加重合物のアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製 カヤラッドTC−110S)81質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し3質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が89KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4質量部を加えることにより、固形分酸価89KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
【0046】
[比較合成例4]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部を投入し、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。次に、ベンジルメタクリレート44質量部、メタクリル酸43質量部、及びロジンアクリレート(荒川化学工業株式会社製 ビームセット101)108質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製 パーブチルO)をモノマー混合物100質量部に対し5質量部となるように添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し共重合体を得た。
次に、フラスコ内を空気置換に替え、グリシジルメタクリレート21質量部、トリフェニルホスフィン0.54質量部、及びメチルハイドロキノン0.11質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分酸価が88KOHmg/gとなったところで反応を終了し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8質量部を加えることにより、固形分酸価88KOHmg/g、不揮発分50%の感光性樹脂(Mw:20,000)の溶液を得た。
【0047】
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
合成例1〜4で得られた感光性樹脂の溶液をそれぞれ実施例1〜4で使用し、比較合成例1〜4で得られた感光性樹脂の溶液をそれぞれ比較例1〜4で使用した。実施例及び比較例における各種物性等の測定は下記の方法で実施した。
【0048】
<透明レジスト樹脂硬化塗膜の作製>
各感光性樹脂の溶液の固形分100質量部にペンタエリスリトールテトラアクリレート30質量部、光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン4質量部を添加して調製した樹脂組成物をアプリケーターでガラス基板上に湿潤時の厚み10μmで塗布し、100℃の温風乾燥器中で低沸点物を揮発させた後、オーク製作所株式会社製超高圧水銀灯を用い、必要に応じてマスクを通して150mJ/cmで露光し、厚み2μmの硬化塗膜を得た後、アルカリ現像を行った。
【0049】
<耐熱性の評価>
各硬化塗膜を切り出し、熱重量分析(TGA)を行った。切り出した試料を220℃まで加熱し、2時間保持した時の重量変化率を測定した。結果を表2に示した。
【0050】
<密着性の評価>
硬化塗膜をJIS K5400に準じて碁盤目試験を行い、100個の碁盤目の剥離状態を目視観察して以下の基準で評価した。結果を表2に示した。
○:剥離が全く認められないもの。
△:全体の10%未満に剥離が認められるもの。
×:全体の10%以上に剥離が認められるもの。
【0051】
<アルカリ現像性の評価>
マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像し、水洗後の塗膜の有無を観察した。
また、スプレー現像で水洗後の塗膜の無いものに関しては、マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてディップ現像し、現像形態が溶解型か剥離型かを観察した。
ネガ型のレジストの現像工程においては、レジスト層の硬化していない未露光部分がアルカリ現像液により溶解し基板上から離脱していくが、その現像形態としては、離脱していく部分が主に大きな塊となって剥がれる剥離型と、染料が水に溶けていくように徐々に溶解、拡散する溶解型とがある。前者の剥離型は固液分の塊が異物となって系内に残留し、他の色の画素を汚染しやすいので好まれない現像形態であり、後者の溶解型が望まれる現像形態である。評価は以下の基準で行った。結果を表2に示した。
○:現像時間70秒後、目視で塗膜無し。現像形態:溶解型。
△:現像時間70秒後、目視で塗膜無し。現像形態:剥離型。
×:現像時間70秒後、目視で塗膜あり。
【0052】
<感光性着色組成物の調製>
(赤色顔料分散液の調製)
直径0.5mmのジルコニアビーズ180質量部が充填されたSUS容器に、C.Iピグメントレッド177 10.00質量部、溶剤(PGMAc)33.75質量部及び分散剤(ビックケミー社製 Disperbyk−2000)6.25質量部を投入し、ペイントシェーカーで6時間分散させて赤色顔料分散液を得た。
(青色顔料分散液の調整)
C.Iピグメントレッド177 10.00質量部の代わりに、C.Iピグメントブルー15:6 10.00質量部を用いる以外は赤色顔料分散液の調製と同様にして青色顔料分散液を得た。
(緑色顔料分散液の調整)
C.Iピグメントレッド177 10.00質量部の代わりに、C.Iピグメントグリーン36 10.00質量部を用いる以外は赤色顔料分散液の調製と同様にして緑色顔料分散液を得た。
【0053】
上記で得られた顔料分散液を用いて、下記表1に示す配合割合で感光性着色組成物を調製した。
【0054】
【表1】

【0055】
<カラーレジスト硬化塗膜の作製>
5cm角ガラス基板(無アルカリガラス)上に乾燥時膜厚2.2μmとなるようにカラーレジストをスピンコートし、80℃で3分プリベーク後、塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して150mJ/cmで露光した。次いで、0.1重量%炭酸ナトリウム水溶液で0.3MPaの水圧でスプレー現像を行った後、230℃で30分ポストベークを行い、カラーレジスト硬化塗膜を得た。
【0056】
<現像残渣の評価>
現像ガラス基板を投光器により目視で観察し、残渣の有無を確認した。更に、基板の表面をエタノール付きウエスで拭き取り、ウエス上に拭き取られた残渣の有無を確認した。結果を表2に示した。
【0057】
<粘度変化率>
顔料分散安定性の目安として、着色樹脂組成物の粘度変化を測定した。顔料分散安定性が悪い場合、粘度の上昇があり好ましくない。以下、具体的に説明する。
光開始剤系成分1及び光開始剤系成分2を除いた着色感光性樹脂組成物を調製した直後、及び23℃の恒温槽に7日間静置した後の粘度を測定(東機産業株式会社製 E型粘度計、ローター1°34’×R24、23℃、20rpmで測定)した。顔料分散安定性が良好である目安として、7日後の粘度変化が初期粘度に対して10%以下、好ましくは5%以下である。結果を表2に示した。
【0058】
【表2】

【0059】
表2から分かるように、合成例1〜4の感光性樹脂を配合した感光性樹脂組成物は、耐熱性、基板との密着性、アルカリ現像性及び顔料分散性に優れている上に、現像残渣が見られないため、カラーフィルタの形成に好適に用いることができる。これに対して、比較合成例1〜4の感光性樹脂を用いると、耐熱性、基板との密着性、アルカリ現像性及び顔料分散性のバランスのとれた感光性樹脂組成物が得られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)〜(3)
【化1】

(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rはアルキル基又は水酸基を側鎖に含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは水素又は窒素を含んでもよいアルキル基、窒素及び酸素を含んでもよい環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選択される基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Rは炭素数4〜7のアルキレン基であり、Rは水素又はCOX−COOH(ここでXは飽和もしくは不飽和の脂肪酸基もしくは脂環式炭化水素基、又は芳香族環炭化水素基である)であり、Rは水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、芳香族炭化水素基又はCOX−COOH(Xは上記と同義)であり、lは1〜10の数であり、mは1〜10の数であり、nは0.3〜10の数であり、oは0.3〜10の数である)で表される少なくとも1つの化合物(a)5〜30モル%と、
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
エポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)30〜80モル%と、
前記(a)、(b)及び(c)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)10〜60モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の5〜100%に不飽和一塩基酸(e)を付加させ、前記(e)成分を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(f)を付加させて得られることを特徴とする感光性樹脂。
【請求項2】
下記式(1)〜(3)
【化2】

(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rはアルキル基又は水酸基を側鎖に含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは水素又は窒素を含んでもよいアルキル基、窒素及び酸素を含んでもよい環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選択される基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Rは炭素数4〜7のアルキレン基であり、Rは水素又はCOX−COOH(ここでXは飽和もしくは不飽和の脂肪酸基もしくは脂環式炭化水素基、又は芳香族環炭化水素基である)であり、Rは水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、芳香族炭化水素基又はCOX−COOH(Xは上記と同義)であり、lは1〜10の数であり、mは1〜10の数であり、nは0.3〜10の数であり、oは0.3〜10の数である)で表される少なくとも1つの化合物(a)5〜30モル%と、
ロジン(メタ)アクリレート(b)5〜30モル%と、
不飽和一塩基酸(e)20〜70モル%と、
上記化合物(a)、(b)及び(e)と共重合し得る他のラジカル重合性化合物(d)20〜70モル%と
をその合計が100モル%となる量で共重合させ、得られた共重合体に含まれるカルボキシル基の5〜80%にエポキシ基を含有するラジカル重合性化合物(c)を付加させることにより得られることを特徴とする感光性樹脂。
【請求項3】
酸化が20〜150KOHmg/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の感光性樹脂と、反応性希釈剤(g)と、溶剤(h)とを必須成分とすることを特徴とする感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−143941(P2008−143941A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329528(P2006−329528)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【Fターム(参考)】