説明

感光性組成物

【課題】重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度な感光性組成物の提供。
【解決手段】バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、光重合開始剤が下記一般式(A−1)で表される化合物であり、増感剤がジチオアルキレン化合物である感光性組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外域から可視域の光源に対して高感度な感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ある種のオキシムエステル誘導体及びある種のジチオアルキレン化合物が、光の作用により活性ラジカルを生成してモノマーの重合を開始させる光重合開始剤として有用であることが知られている(特許文献1〜5参照)。
一方、光重合技術において、高い光重合反応性を有し、かつ取扱いが容易である光重合開始剤の必要性が高まってきている。また、露光光源の進歩により、種々の波長での露光が可能になったため、該光重合開始剤としては、それぞれの光源に対して高い感度を有すると共に、更に高感度であることが必要とされている。
【0003】
また、近年、電子機器類の小型化及び高機能化が進むにつれ、該電子機器類に使用される感光性組成物に対する要求も高まってきている。そのため、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、めっきレジスト、耐サンドブラスト用インキ、ポリマー光導波路、フラットパネルディスプレー(FPD)用部材、コーティング保護膜、カラーフィルタ用保護膜、タッチパネル等の絶縁スペーサ、などを初めとする感光性組成物のあらゆる用途において、例えば、信頼性の向上、回路パターンの高密度化、パターン精度の向上、などが必要とされている。
【0004】
前記感光性組成物は、一般に紫外(UV)光源を用いて硬化することができ、凸版用、レリーフ像用、フォトレジスト用、などに広く用いられている。このような感光性組成物は、形成された画像の主体となる有機成分と、紫外線などの光に対して感光して重合活性種となる光重合開始剤とを含有してなる。
【0005】
また、近年の環境問題に配慮し、かつパターン精度の向上を図り得る技術として、感光性組成物を用い、露光、現像によりパターンを形成するフォトリソグラフィー法において、アルカリ現像型感光性組成物を用いることが広く知られている。このようなアルカリ現像型の感光性組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸との反応生成物に多塩基酸無水物を付加させて得られる感光性プレポリマーをベースポリマーとして含有してなる組成物が提案されている(特許文献6〜8参照)。
【0006】
更に、最近では、省資源或いは省エネルギーといった環境問題に配慮した前記フォトリソグラフィー法として、レーザ光を光源とした直接描画方式(レーザダイレクトイメージング)が実用化されている。該直接描画方式は、マスク製造工程の省略、個々の基板に対しスケーリングがかけられるので、多品種小ロット、短納期、高多層基板の製造に適した手法である。
【0007】
前記直接描画方式に用いられる光源及びレーザの波長としては、用いられる感光性組成物の種類によって異なるが、該光源としては、ガスイオンレーザと固体レーザとに大別することができる。また、該波長としては、紫外域の波長と可視域の波長とに大別することができる。該紫外域の波長としては、365nm、405nm、などが一般的に使用されている。該可視域の波長としては、488nmなどが一般的に使用されている。
【0008】
前記直接描画方式に用いられる前記光源としては、ランニングコストの点で、前記ガスイオンレーザから前記固体レーザへと移行しつつある。該固体レーザである前記半導体レーザは、通信分野、光エレクトロニクス分野、などにて幅広く使用されており、他のタイプのレーザと比べて、小型、高効率、低電圧、低消費電力、長寿命、などの特長があるため、該直接描画方式の光源として使用されている。また、前記レーザの波長としては、作業環境とレジスト価格の兼ね合いから、前記可視域の波長から前記紫外域の波長へと移行しつつある。
しかし、電子材料におけるレジスト、絶縁材料、カラーフィルタ、などのパターン形成用に用いられている感光性組成物としては、硬化時の感度において未だ充分満できるものは提供されておらず、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度な感光性組成物の速やかな提供が望まれているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】特開昭60−166306号公報
【特許文献2】特開2001−233842号公報
【特許文献3】特開2000−80068号公報
【特許文献4】特開2005−182004号公報
【特許文献5】特許第2632069号公報
【特許文献6】特開昭61−243869号公報
【特許文献7】特開平7−50473号公報
【特許文献8】特公平7−17737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度な感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、前記光重合開始剤が下記一般式(A−1)で表される化合物であり、前記増感剤が下記一般式(B−1)で表される化合物であることを特徴とする感光性組成物である。
【化7】

ただし、前記一般式(A−1)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、該Rは置換基で更に置換されていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、及びシアノ基のいずれかを表し、Arは、芳香族環、及び複素芳香族環のいずれかを表し、ArとRは互いに結合して環を形成してもよい。nは、0又は1を表す。
【化8】

ただし、前記一般式(B−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、該Rと該Rとは、それぞれが結合している硫黄原子と共に非金属元素からなる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。G及びGは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、シアノ基、カルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルロオアルキルスルホニル基のいずれかを表し、該Gと該Gとは、それぞれが結合している炭素原子と共に、非金属原子からなるメロシアニン色素で酸性核として用いられる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。ただし、G及びGのいずれかは、カルボニル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基のいずれかを表す。pは、0〜2のいずれかの整数を表す。
<2> 一般式(A−1)で表される化合物が、下記一般式(A−2)で表される化合物である前記<1>に記載の感光性組成物である。
【化9】

ただし、前記一般式(A−2)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。mは、0以上の整数を表し、該mが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。Aは、5員環、6員環、及び7員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
<3> 一般式(A−2)で表される化合物が、下記一般式(A−3)及び(A−4)のいずれかで表される化合物である前記<2>に記載の感光性組成物である。
【化10】

【化11】

ただし、前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表し、該Rは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。lは、0〜6の整数を表し、該lが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Aは、5員環及び6員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
<4> 一般式(B−1)で表される化合物が、下記一般式(B−2)で表される化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
【化12】

ただし、前記一般式(B−2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、及びハロゲン原子のいずれかを表し、該R及び該Rは、互いに連結し芳香族環を形成していてもよく、更に該芳香族環上にアルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子の少なくともいずれかを有していてもよい。R10及びR11は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Yは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【0012】
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤として上記一般式(A−1)で表される化合物と、増感剤として上記一般式(B−1)で表される化合物とを併用することにより、これらが相乗的に作用して大幅に感度が向上し、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得るので、各種用途に幅広く使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度な感光性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の感光性組成物は、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、添加剤、更に必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
【0015】
<バインダー>
前記バインダーは、感光性組成物が液体、又は粘稠な物質である場合には、添加するのが好ましい。該バインダーとしては、特に制限はなく、用途分野、及びその分野に対して必要とされる特性、例えば、水性及び有機溶媒系での現像容量、基材への接着、及び酸素に対する感度に応じて適宜選択することができる。
【0016】
前記バインダーとしては、例えば、重合体が好ましく、該重合体の質量平均分子量としては、2,000〜2,000,000が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。
前記バインダーとしては、アルカリ現像性であるのが好ましく、該アルカリ現像性のバインダーとしては、例えば、ペンダント基としてカルボン酸官能を有するアクリル系重合体;エチレン性不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸のエステル、ビニル芳香族化合物、アミド型不飽和化合物、ポリオレフィン型化合物、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、コハク酸モノ−2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニルポリスチレンマクロモノマー、及びポリ(メタ)アクリル酸メチルマクロモノマーから選択される少なくとも1種の単量体を共重合させることによって得られる共重合体、などが挙げられる。
前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸;モノ(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸のエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、モノ(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン−8−イル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチルなどが挙げられる。
前記ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記アミド型不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミドジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミドなどが挙げられる。
前記ポリオレフィン型化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン、などが挙げられる。
【0017】
前記共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸と、スチレン又は置換スチレン、フェノール樹脂(例えば、ノボラック樹脂)、(ポリ)ヒドロキシスチレンとの共重合体、ヒドロキシスチレンと、アクリル酸アルキル、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくともいずれかとの共重合体などが挙げられる。
前記共重合体としては、これらの中でも、メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/スチレン共重合体、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸ヒドロキシフェニル共重合体、などが特に好ましい。
【0018】
また、溶媒現像性のバインダーとしては、例えばポリメタクリル酸アルキル、ポリアクリル酸アルキル、ポリ(メタクリル酸ベンジル−co−メタクリル酸ヒドロキシエチル−co−メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ベンジル−co−メタクリル酸);セルロースエステル及びセルロースエーテル(例えば酢酸セルロース、アセト酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム;ポリエーテル(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン等)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体;ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジピンアミド、ポリエステル〔例えばポリ(エチレングリコールテレフタラート)、ポリ(ヘキサメチレングリコールスクシナート)等〕、ポリイミドバインダー樹脂、などが挙げられる。
前記ポリイミドバインダー樹脂としては、例えば溶媒可溶性ポリイミド、ポリイミド前駆体(例えば、ポリアミック酸等)などが挙げられる。
【0019】
前記バインダーとしては、これらの中でも、メタクリル酸エステルとメタクリル酸との共重合体を含むものが好ましい。
【0020】
本発明の感光性組成物を、カラーフィルタに用いる場合には、前記バインダーとしては、例えば、特開平10−171119号公報に記載のものを用いるのが好ましい。
【0021】
前記バインダーの含有量としては、前記感光性組成物の全固体成分に対して、2〜98質量%が好ましく、5〜95質量%がより好ましく、20〜90質量%が更に好ましい。
【0022】
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、少なくとも1つのエチレン性二重結合を有しているのが好ましい。該重合性化合物は、低分子量(単量体性)及び高分子量(オリゴマー性)のいずれであってもよい。
前記エチレン性二重結合を1つ有する単量体としては、例えば、アルキルアクリラート、ヒドロキシアルキルアクリラート、アミノアクリラート;アルキルメタクリラート、ヒドロキシアルキルメタクリラート、アミノメタクリラート(例えば、メチルアクリラート、エチルアクリラート、ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、2−ヒドロキシエチルアクリラート、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等);シリコーンアクリラート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等のビニルエステル;イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;スチレン、アルキル−スチレン、ハロ−スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、などが挙げられる。
【0023】
前記エチレン性二重結合を2つ以上の有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールジアクリラート、ネオプレングリコールジアクリラート、ヘキサメチレングリコールジアクリラート、ビスフェノールAのジアクリラート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートアクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、コハク酸ジビニル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌラート、などが挙げられる。
【0024】
前記エチレン性二重結合を少なくとも1つ有するオリゴマーとしては、例えば、アクリル化エポキシ樹脂;アクリラート、ビニルエーテル基を有するポリエステル、エポキシ基を有するポリエステル;ポリウレタン、ポリエーテル、などが挙げられる。また、マレイン酸、フタル酸、及び1種又はそれ以上のジオールから製造され、500〜3,000の分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂なども挙げられる。更に、ビニルエーテルのオリゴマー;ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシの主鎖を有するマレイン酸終止オリゴマー;なども挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビニルエーテルの基を有するオリゴマーと、国際公開第90/01512号パンフレットに記載された重合体との組合せ、ビニルエーテルとマレイン酸官能化された単量体との共重合体、などが好ましい。前記オリゴマーは、プレポリマーと呼ばれることもある。
これらの中でも、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、主鎖中又は側鎖基にエチレン性不飽和基を有する重合体(例えば、不飽和のポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、又はこれらの共重合体等)、側鎖基に(メタ)アクリル基を有する重合体及び共重合体、などが特に好ましい。
【0025】
前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、リノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
【0026】
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ポリオール、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、などが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオールが好ましい。
前記芳香族ポリオールとしては、例えば、ヒドロキノン、4,4’−ヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ノボラック、レゾール、などが挙げられる。
【0027】
前記脂肪族及び脂環式ポリオールとしては、例えば、2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール等)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセリン、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、などが挙げられる。
【0028】
前記ポリオールは、少なくとも1種のカルボン酸又は不飽和カルボン酸で部分的に若しくは完全にエステル化されていてもよく、前記エステル化部分では、遊離ヒドロキシル基は、例えば、エーテル化又は他のカルボン酸でエステル化などで修飾されていてもよい。
また、前記ポリオールとしては、重合体鎖又は側鎖基中にヒドロキシル基を有する重合体や共重合体も挙げられる。該重合体又は該共重合体の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその共重合体、ポリヒドロキシアルキルメタクリラート、その共重合体、などが挙げられる。また、前記ポリオールとしては、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルも挙げられる。
【0029】
前記ポリエポキシドとしては、例えば、前記ポリオール、特に芳香族ポリオール、又はエピクロロヒドリンに基づくものが挙げられる。
【0030】
前記エステルとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールエタントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、トリメチロールエタントリメタクリラート、テトラメチレングリコールジメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート、テトラエチレングリコールジアクリラート、ペンタエリトリトールジアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールジアクリラート、ジペンタエリトリトールトリアクリラート、ジペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート、トリペンタエリトリトールオクタアクリラート、ペンタエリトリトールジメタクリラート、ペンタエリトリトールトリメタクリラート、ジペンタエリトリトールジメタクリラート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリラート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリラート、ペンタエリトリトールジイタコナート、ジペンタエリトリトールトリスイタコナート、ジペンタエリトリトールペンタイタコナート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコナート、エチレングリコールジアクリラート、1,3−ブタンジオールジアクリラート、1,3−ブタンジオールジメタクリラート、1,4−ブタンジオールジイタコナート、ソルビトールトリアクリラート、ソルビトールテトラアクリラート、ペンタエリトリトール修飾トリアクリラート、ソルビトールテトラメタクリラート、ソルビトールペンタアクリラート、ソルビトールヘキサアクリラート、アクリル酸オリゴエステル、メタクリル酸オリゴエステル、ジアクリル酸グリセロール、トリアクリル酸グリセロール、2アクリル酸1,4−シクロヘキサン、200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリル酸、200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスメタクリル酸エステル、又はこれらの混合物、などが挙げられる。
【0031】
前記重合性化合物としては、同一又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に好ましくは2〜4個のアミノ基を有する芳香族、脂環式又は脂肪族ポリアミンとの不飽和アミド、なども好適に挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,2−ブチレンジアミン、1,3−ブチレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジ(β−アミノエトキシ)−エタン、ジ(β−アミノプロポキシ)−エタン、側鎖中に追加のアミノ基を有する重合体若しくは共重合体、アミノ末端基を有するオリゴアミド、などが挙げられる。
前記不飽和アミドとしては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリラート、N〔(β−ヒドロキシエトキシ)エチル〕アクリルアミド、などが挙げられる。
【0032】
前記不飽和ポリエステル及びポリアミドとしては、例えば、マレイン酸と、ジオール又はジアミンとから誘導されるものが好適である。前記マレイン酸のいくつかは、他のカルボン酸で置き換えることができる。これらは、エチレン性不飽和共単量体(例えば、スチレン等)と共に用いることができる。該不飽和ポリエステル及びポリアミドは、ジカルボン酸と、エチレン性不飽和ジオール又はジアミンとから、特に、例えば6〜20個の炭素原子の、比較的長い鎖を有するものとから誘導してもよい。前記ポリウレタンとしては、例えば、飽和又は不飽和ジイソシアナートと、不飽和又はそれぞれ飽和のジオールとで構成されるものが挙げられる。
【0033】
前記側鎖中に(メタ)アクリラート基を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ノボラックに基づくエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸との反応生成物、(メタ)アクリル酸でエステル化されたビニルアルコール若しくはそれらのヒドロキシアルキル誘導体の単独重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルでエステル化された(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体、などが挙げられる。
【0034】
前記側鎖中にアクリラート又はメタクリラート基を有する、その他の重合体としては、例えば、溶媒可溶性又はアルカリ可溶性のポリイミド前駆体(例えば、分子中の骨格か、又はエステル基のいずれかに結合した光重合性側鎖基を有するポリアミック酸エステル化合物、即ち欧州特許第624,826号公報に記載のポリアミック酸エステル化合物)などが好適に挙げられる。このようなオリゴマー又は重合体は、高感度のポリイミド前駆体レジストを製造するために、本発明の前記新規なオキシム化合物、及び、必要に応じて反応性希釈剤(例えば、多官能性(メタ)アクリラート)と共に配合することができる。
【0035】
前記重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオール(メタ)アクリラートを含むのが好ましい。
【0036】
また、前記重合性化合物としては、少なくとも2つのエチレン性不飽和基及び少なくとも1個のカルボキシル官能を分子構造内に有する重合体又はオリゴマー、例えば、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ化合物及び不飽和モノカルボン酸の反応生成物との反応によって得られる樹脂、例えば、特開平6−1638号公報及び特許第10301276号公報に記載された感光性化合物、EB9696(UCB Chemicals等の市販品);KAYARAD TCR1025(Nippon Kayaku Co.Ltd.);カルボキシル基含有樹脂と、α,β−不飽和二重結合及びエポキシ基を有する不飽和化合物との間で形成される付加生成物(例えば、ACA200M,Daicel Industries,Ltd.)、などが挙げられる。
【0037】
前記単官能性若しくは多官能性のエチレン性不飽和光重合性化合物、又は該化合物を2種以上含む混合物を前記希釈液中に含有させる場合、その含有量としては、前記感光性組成物の固体成分に対して、95質量%以下が好ましい。
【0038】
前記不飽和重合性化合物は、光重合性でない化合物(例えば、薄膜形成性の成分)と混合して用いることができる。このような光重合性でない化合物としては、例えば、物理的に乾燥する重合体、ニトロセルロース溶液、アセト酪酸セルロース溶液、などが挙げられる。また、化学的乃至熱的に硬化可能な(熱硬化性)樹脂であってもよく、例えば、ポリイソシアナート、ポリエポキシド、メラミン樹脂、ポリイミド前駆体、が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂を前記不飽和重合性化合物と併用することは、感光性組成物においては特に重要で、このような感光性組成物では、第一の露光工程で、光重合され硬化膜が形成され、第二の加熱工程で、熱架橋され、硬化膜の膜強度が高められる。
【0039】
本発明の感光性組成物は、不飽和重合性化合物として、水中に乳化又は溶解された、少なくとも1種のエチレン性不飽和光重合性化合物を含む組成物も提供する。このような放射線硬化性の水性プレポリマー分散物は、多数の種類が市販され、容易に入手可能である。前記水性プレポリマーの分散物は、水と、その中に分散した少なくとも1種のプレポリマーとの分散物である。
前記水性プレポリマーの分散物における水の含有量としては、5質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。前記放射線硬化性の水性プレポリマー又は該プレポリマー混合物の含有量としては、20質量%〜95質量%が好ましく、40質量%〜70質量%が更に好ましい。これらの組成物で、水及びプレポリマーについて示した百分率の合計は、それぞれの場合に100質量%であり、助剤及び添加物は、使用目的に応じて変動する量で加えられる。
【0040】
前記水中に分散されるか又は水中に溶解された放射線硬化性の薄膜形成プレポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、単官能性又は多官能性のエチレン性不飽和プレポリマーの水性プレポリマー分散物が挙げられ、遊離基によって重合を開始することができ、例えば、プレポリマー100g当たり、0.01〜1.0モルの重合性二重結合を含み、かつ、例えば、少なくとも400(好ましくは500〜10,000)の平均分子量を有するものが好適に挙げられる。しかし、より高分子量のプレポリマーも、使用目的に応じて用いることができる。本発明で好適に用いられるのは、例えば、重合性C−C二重結合を有し、10mgKOH/g以下の酸価を有するポリエステル、重合性C−C二重結合を有するポリエーテル、1分子あたり少なくとも2個のエポキシド基を有するポリエポキシドと、少なくとも1種類のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とのヒドロキシル含有反応生成物、ポリウレタン(メタ)アクリラート、及びα,β−エチレン性不飽和アクリル基を有する環状共重合体であり、より詳細には、欧州特許第12,339号公報に記載されたとおりである。これらのプレポリマーの混合物も、同様に用いることができる。例えば、欧州特許第33,896号公報に記載された重合性プレポリマーであって、少なくとも600の平均分子量、0.2〜15質量%のカルボキシル基含量、及びプレポリマー100g当たり0.01〜0.8molの重合性C−C二重結合を有する重合性プレポリマーのチオエーテル付加物が好適に用いられる。特定の(メタ)アクリル酸アルキル重合体に基づく、その他の適する水性分散物としては、欧州特許第41,125号公報に記載され、ウレタンアクリラートの適切な水分散性、放射線硬化性プレポリマーは、ドイツ国特許第2936039号公報に記載されている。
【0041】
前記放射線硬化性である水性プレポリマー分散物には、更に、分散助剤、乳化剤、酸化防止剤〔例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール〕、光安定剤、染料、顔料、充填剤(例えば、ガラス、アルミナ、タルク、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄)、反応促進剤、平滑剤、潤滑剤、湿潤剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、その他塗料技術に通常用いられる他の助剤を用いることができる。
前記分散助剤としては、高分子量物であり、極性基を有する水溶性有機化合物が好適に用いられ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はセルロースエーテル、が挙げられる。
前記乳化剤としては、非イオン乳化剤が好適に挙げられ、必要に応じて、イオン性乳化剤も用いることができる。
【0042】
<光重合開始剤>
本発明の前記感光性組成物は、光重合開始剤として、本発明のオキシム化合物を含み、必要に応じて、該オキシム化合物以外の従来公知の光重合開始剤を含んでなる。
【0043】
−オキシム化合物−
本発明のオキシム化合物は、下記一般式(A−1)で表される。
【化13】

ただし、前記一般式(A−1)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表す。
前記アシル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、複素芳香族アシル基、などが挙げられる。
前記アシル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アシル基としては、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アシル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセチル基、プロパノイル基、メチルプロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンジルカルボニル基、フェノキシアセチル基、2エチルヘキサノイル基、クロロアセチル基、ベンゾイル基、パラメトキシベンゾイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピリジルカルボニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、などが挙げられる。
【0044】
前記アルキルオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキルオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アルキルオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0045】
前記アリールオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アリールオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7〜30が好ましく、7〜20がより好ましく、7〜16が更に好ましい。
前記アリールオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフトキシカルボニル基、パラメトキシフェノキシカルボニル基、2,5−ジエトキシフェノキシカルボニル基、パラクロロフェノキシカルボニル基、パラニトロフェノキシカルボニル基、パラシアノフェノキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0046】
前記一般式(A−1)中、Rは、水素原子、アルキル基、シアノ基を表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーオクチル基、などが挙げられる。
【0047】
前記一般式(A−1)中、Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。
前記芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、などが挙げられる。
前記複素芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、などが挙げられる。
【0048】
nは0(ゼロ)又は1の整数を表し、ArとRは互いに連結し環を形成してもよい。
【0049】
前記一般式(A−1)で表されるオキシム化合物の中でも、感度に優れる点で、下記一般式(A−2)で表される化合物が好ましい。
【化14】

ただし、前記一般式(A−2)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。mは、0以上の整数を表し、該mが2以上の整数を表す場合、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成していてもよい。Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。Aは、5員環、6員環及び7員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
なお、前記R、及びArの詳細は、前記一般式(A−1)と同様である。
前記アシル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、複素芳香族アシル基、などが挙げられる。
前記アシル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アシル基としては、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アシル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセチル基、プロパノイル基、メチルプロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンジルカルボニル基、フェノキシアセチル基、2エチルヘキサノイル基、クロロアセチル基、ベンゾイル基、パラメトキシベンゾイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピリジルカルボニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、などが挙げられる。
【0050】
前記アルキルオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキルオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アルキルオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0051】
前記アリールオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アリールオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7〜30が好ましく、7〜20がより好ましく、7〜16が更に好ましい。
前記アリールオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフトキシカルボニル基、パラメトキシフェノキシカルボニル基、2,5−ジエトキシフェノキシカルボニル基、パラクロロフェノキシカルボニル基、パラニトロフェノキシカルボニル基、パラシアノフェノキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0052】
前記一般式(A−2)中、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーオクチル基、などが挙げられる。
前記アルキルオキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、などが挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルチオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、などが挙げられる。
前記アリールルチオ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、などが挙げられる。
前記アルキルオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、などが挙げられる。
前記アシルアミノ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ベンゼンカルボニルアミノ基、などが挙げられる。
【0053】
前記一般式(A−2)中、mとしては、0以上のいずれかの整数を表し、前記Arの構造により適宜選択することができる。
なお、前記mが2以上のいずれかの整数を表す場合、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいし、互いに連結し環を形成していてもよい。該Rが互いに連結し環を形成している場合、一般式(A−2)で表されるオキシム化合物の具体例としては、下記構造式で表される化合物などが挙げられる。なお、形成された環構造部分を含め、Arで表される芳香族環には更に置換基を有していてもよく、該置換基は上記Rと同様である。Xは、−CH−、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【化15】

前記構造式中、Y及びZは、それぞれCH、−O−、−S−、及び−NR−のいずれかを表し、該Rは、水素原子、又はアルキル基を表す。
【0054】
前記一般式(A−2)中、Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。
前記芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、などが挙げられる。
前記複素芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、などが挙げられる。
【0055】
前記一般式(A−2)中、Aは、5員環、6員環、及び7員環のいずれかを表す。
前記5員環、前記6員環、又は前記7員環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、環形成置換基により形成されることが好ましい。該環形成置換基としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、などが挙げられる。該環形成置換基は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、また、酸素原子、硫黄原子、などのヘテロ原子を有してもよい。
前記5員環、前記6員環、及び前記7員環は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
これらの中でも、前記Aとしては、感度に優れる点で、前記5員環及び前記6員環のいずれかであるのが好ましい。
【0056】
前記一般式(A−2)で表されるオキシム化合物の中でも、感度に優れる点で下記一般式(A−3)及び(A−4)のいずれかで表される化合物がより好ましい。
【化16】

【化17】

【0057】
ただし、前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、などが挙げられる。これらの中でも、感度に優れる点で、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
【0058】
前記アルキルオキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキルオキシ基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキルオキシ基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、などが挙げられる。
【0059】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。
なお、前記アルキル基、前記アルキルオキシ基、前記アリールオキシ基、前記アルキルチオ基、前記アリールチオ基、前記ハロゲン原子、前記アルキルオキシカルボニル基、前記ニトロ基、及び前記アシルアミノ基の詳細は、前記一般式(A−1)中、Rで表される前記アルキル基、前記アルキルオキシ基、前記アリールオキシ基、前記アルキルチオ基、前記アリールチオ基、前記ハロゲン原子、前記アルキルオキシカルボニル基、前記ニトロ基、及び前記アシルアミノ基の詳細と同様である。
これらの中でも、前記Rとしては、吸収効率に優れる点で、前記アルキルオキシ基、前記アリールチオ基、前記ハロゲン原子が好ましい。
【0060】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、lは、0〜6のいずれかの整数を表す。これらの中でも、合成適性の点で、0〜2のいずれかの整数であることが好ましい。
なお、前記lが2以上のいずれかの整数を表す場合、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいし、互いに連結し環を形成していてもよい。
【0061】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Aは、5員環及び6員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。
なお、前記5員環、及び前記6員環の詳細は、前記一般式(A−2)中、Aで表される前記5員環、及び前記6員環の詳細と同様である。
これらの中でも、前記Aとしては、感度に優れる点で、5員環であることが好ましい。
【0062】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Xは、−CH−、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【0063】
前記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)及び(A−4)の少なくともいずれかで表されるオキシム化合物の具体例としては、下記構造式(1)〜(26)で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【化18】

ただし、前記構造式(1)〜(26)中、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。前記構造式(24)〜(26)はCIBA社製、IRGACURE OXE01,IRGACURE OXE02,CGI325である。
【0064】
−従来公知の光重合開始剤−
前記光重合開始剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン若しくは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、ジアルキルオキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−若しくはα−アミノ−アセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール(例えば、ジメチルベンジルケタール)、フェニルグリオキサルエステル及びその誘導体、二量体のフェニルグリオキサルエステル、ジアセチル、ペルエステル(例えば、欧州特許第126,541号公報に例えば記載されたベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル)、モノアシルホスフィンオキシド(例えば、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド)、ハロメチルトリアジン(例えば、2−〔2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−メチル−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(1,3−ベンゾジオキソル−5−イル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−〔4−(ペンチルオキシ)フェニル〕エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(3−メチル−2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(5−メチル−2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(2,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(2−メトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(4−イソプロピルオキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−ブロモ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−クロロ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔3−ブロモ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔3−クロロ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン);G.Buhr,R.Dammel and C.Lindley,Polym.Mater.Sci.Eng.61,269(1989)、欧州特許第022788号公報、などに記載のその他のハロメチルトリアジン;米国特許第4,371,606号明細書、米国特許第4,371,607号明細書などに記載のハロメチルオキサゾール光開始剤;E.A.Bartmann,Synthesis 5,490(1993)などに記載の1,2−ジスルホン;ヘキサアリールビスイミダゾール、及びヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系(例えば、2−メルカプトベンズチアゾール、フェロセニウム化合物);チタノセン(例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリルフェニル)チタンと組み合わせたo−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾールとの混合物)、などが挙げられる。
【0065】
前記従来公知の光重合開始剤としては、更に、陽イオン光開始剤、過酸化化合物(例えば、過酸化ベンゾイル、米国特許第4,950,581号明細書第19欄第17〜25行に記載の過酸化化合物等)、米国特許第4,950,581号明細書第18欄第60行〜第19欄第10行に記載の、芳香族のスルホニウム、ホスホニウム若しくはヨードニウム塩、シクロペンタジエニル−アレーン−鉄(II)錯塩(例えば、(η−イソプロピルベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスファート)、欧州特許第780,729号公報に記載のオキシムスルホン酸エステル、などが挙げられる。また、例えば、欧州特許第497,531号及び第441,232号公報に記載のピリジニウム及び(イソ)キノリニウム塩、なども挙げられる。
【0066】
前記光重合開始剤の含有量としては、前記感光性組成物の固形分に対して、0.01〜25質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.01〜5質量%が更に好ましい。前記含有量は、従来公知の光重合開始剤を併用して用いる場合は、これら全ての光重合開始剤の合計を意味する。
【0067】
<増感剤>
前記増感剤としては、下記一般式(B−1)で表される。
【化19】

ただし、前記一般式(B−1)中、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、メチル基、エチル基、等の炭素数1〜10のアルキル基などが好ましい。
前記アルキル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、等)、ハロゲン原子(例えば、クロロ基、ブロモ基、等)、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、フェニル基、アリール基(例えば、p−ニトロフェニル基等)、ビニル基、メチルビニル基、シンナミル基、などが挙げられる。
【0068】
前記アリール基としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、ナフチル基、などが好ましい。
前記アリール基は、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、等)、ハロゲン原子(例えば、クロロ基、ブロモ基、等)、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、などが挙げられる。
【0069】
前記アルケニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニル基などが好ましい。
前記アルケニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、などが挙げられ、該置換基も更にメチル基等の炭素数1〜10のアルキル基などで置換されていてもよい。
【0070】
また、前記Rと前記Rとは、それぞれが結合している硫黄原子と共に非金属元素からなる環を形成していてもよい。該環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5員環、6員環、芳香族環が縮環した5員環、芳香族環が縮環した6員環、などが挙げられる。
前記環は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、置換アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、などが挙げられる。
【0071】
前記一般式(B−1)中、pは、0〜2のいずれかの整数を表す。
【0072】
前記一般式(B−1)中、G及びGは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、カルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルロオアルキルスルホニル基のいずれかを表す。ただし、該G及び該Gのいずれかは、カルボニル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基のいずれかを表す。
前記アルキルオキシカルボニル基、前記アルキルチオ基、前記アルキルスルホニル基、及び前記フルオロアルキルスルホニル基におけるアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などが好ましい。
前記アリールオキシカルボニル基、前記アリールチオ基、及び前記アリールスルホニル基におけるアリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、ナフチル基、などが好ましい。
前記アシル基(−COR)としては、例えば、該Rが、アルキル基、アリール基及びアルキルアリール基のいずれかであるものなどが挙げられる。該アリール基及び該アルキルアリール基における、アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などが好ましい。アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、ナフチル基、などが好ましい。
前記アルキル基及びアリール基としては、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、スルホアルキルオキシ基、炭素数6〜18のアリール基、アシル基、ビニル基、シンナミル基、などが挙げられる。
【0073】
また、前記Gと前記Gとは、それぞれが結合している炭素原子と共に、非金属原子からなるメロシアニン色素で酸性核として用いられる環を形成していてもよい。該メロシアニン色素で酸性核として用いられる環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の(a)〜(t)などが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核(例えば1,3−インダンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、など)
(b)ピラゾリノン核[例えば、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾリル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、など]
(c)イソオキサゾリノン核(例えば、3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン、など)
(d)オキシインドール核(例えば、1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール)
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核[例えば、バルビツル酸、2−チオバルビツル酸、及びその誘導体、など。該誘導体としては、例えば、1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体;1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体;1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体;1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−3−アリール体、などが挙げられる]
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核(例えば、ローダニン及びその誘導体など。該誘導体としては、例えば、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン;3−フェニルスーダニン等の3−アリールローダニン、などが挙げられる)
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン)核(例えば、2−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等)
(h)チアナフテノン核[例えば、3(2H)−チアナフテノン、3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド等]
(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核(例えば、3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等)
(j)2,4−チアゾリジンジオン核(例えば、2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等)
(k)チアゾリジノン核(例えば、4−チアゾリジノン、3−エチル−4−チアゾリジノン等)
(l)4−チアゾリノン核(例えば、2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オン等)
(m)2−イミノ−2−オキソゾリン−4−オン(凝ヒダントイン)核
(n)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核(例えば、2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン等)
(o)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核(例えば、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等)
(p)2−イミダゾリン−5−オン核(例えば、2−n−プロピル−メルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等)
(q)フラン−5−オン核
(r)4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン核又は4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン核[例えばN−メチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン、N−n−ブチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン、N−メチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン等]
(s)置換基で置換されていてもよい4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン核又は4−ヒドロキシクマリン核
(t)置換基で置換されていてもよいチオインドキシル核(例えば、5−メチルチオインドキシル等)
【0074】
前記一般式(B−1)で表される増感剤の中でも、硬化感度の点で、下記一般式(B−2)で表される化合物が好ましい。
【化20】

ただし、前記一般式(B−2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、及びハロゲン原子のいずれかを表す。該R及び該Rは、互いに連結し芳香族環を形成していてもよく、更に該芳香族環上にアルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子の少なくともいずれかを有していてもよい。
【0075】
前記一般式(B−2)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Yは、酸素原子、硫黄原子を表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチル基、ブチル基、などが好ましい。
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、などが好ましい。
【0076】
前記一般式(B−1)、及び(B−2)の少なくともいずれかで表される増感剤の具体例としては、下記例示化合物No.1〜No.36が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

ただし、前記構造式中、t−Buは、tert−ブチル基を表す。Phは、フェニル基を表す。Etは、エチル基を表す。
【0077】
前記増感剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性化合物に対して、通常0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
【0078】
<添加剤>
前記添加剤としては、例えば、未熟な重合を防止するための熱阻害剤が挙げられる。該熱阻害剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β、又は立体障害性フェノール(例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等)、などが挙げられる。
また、前記添加剤としては、暗所での貯蔵の際の安定性を増大させるための安定剤も挙げられる。該安定剤としては、例えば、銅化合物(例えば、ナフテン酸、ステアリン酸若しくはオクトエ酸銅等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリベンジル、等)、第四級アンモニウム化合物(例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、等)、ヒドロキシルアミン誘導体(例えば、N−ジエチルヒドロキシルアミン等)、などが挙げられる。
また、前記添加剤としては、重合の際に雰囲気酸素を排除するための、パラフィン、該パラフィン類似のろう様物質も挙げられる。これらは、重合体中の溶解度が不適切であって、重合の初期に表面に移動し、空気の進入を妨げる透明な表面層を形成する。コーティングの表層に酸素不透過層、例えばポリ(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)を塗布することもできる。
【0079】
また、前記添加剤としては、少量の光安定剤も挙げられる。該光安定剤としては、例えば、UV吸収剤(例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、オキサルアミド又はヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のもの)などが挙げられる。これらの化合物は、立体障害性アミン(HALS)の存在又は不在下で、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0080】
また、前記添加剤としては、光重合を促進するためのアミンも挙げられる。該アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチル−p−ジメチルアミノベンゾアート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾアート、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾアート、オクチル−p−N,N−ジメチルアミノベンゾアート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−p−トルイジン、ミヒラーケトン、などが挙げられる。該アミンの作用は、ベンゾフェノン型の芳香族ケトンを添加することによって強めることができる。
また、前記アミンは、酸素捕捉剤として用いることもでき、例えば欧州特許第339,841号公報に記載されているように、置換N,N−ジアルキルオキシムが挙げられる。
【0081】
また、前記添加剤としては、その他の促進剤、助開始剤、自動酸化剤も挙げられる。これらの具体例としては、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホニウム塩、ホスフィンオキシド又はホスフィンであって、例えば、欧州特許第438,123号、英国特許第2,180,358号公報、及び特開平6−68,309号公報に記載されたものなどが挙げられる。
【0082】
また、前記添加剤としては、当技術分野で慣用される連鎖移動剤も挙げられる。該連鎖移動剤としては、例えばメルカプタン、アミン、ベンゾチアゾール、などが挙げられる。
また、前記添加剤としては、従来公知の界面活性剤、光学的光沢剤、顔料、染料、湿潤剤、平滑助剤、分散剤、凝集防止剤、酸化防止剤、充填剤、なども挙げられる。
【0083】
本発明の感光性組成物は、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、該重合性化合物が短時間で効率的に重合し得るものである。そのため、本発明の感光性組成物は、印刷インク(例えば、スクリーン印刷インク、オフセット、フレキソ印刷インク)として、透明仕上げ(例えば、木材又は金属に対する白色若しくは有色仕上げ)として、粉末コーティング(特に、紙、木材、金属又はプラスチックに対するコーティング材料)として、建築、物のマーキングや道路マーキング、写真複製手法、ホログラフ記録の材料、画像記録手法、又は有機溶媒若しくは水性アルカリで現像できる印刷原版の製造、スクリーン印刷マスクの製造のための日光硬化性コーティングとして、歯科充填用組成物として、接着剤として、感圧接着剤として、積層用樹脂として、液体及びフィルム状のエッチングレジスト、はんだレジスト、電気めっきレジスト又は永久レジストとして、プリント回路板や電子回路用の光構成性誘電体として、様々な表示用途用として、プラズマ表示パネルや電気発光表示装置の製造工程での構造の形成用として、カラーフィルタの製造用(例えば、米国特許第5,853,446号明細書、欧州特許第863,534号、特開平9−244230号、同10−62980号、同8−171863号公報、米国特許第5,840,465号明細書、欧州特許第855,731号、特開平5−271576号、特開平5−67405号公報に記載のカラーフィルタ)として、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)、光回路の製造用として、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)又はステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造用(例えば、米国特許第4,575,330号明細書に記載のような)、複合材料(例えば、ガラス繊維、その他の繊維、及び助剤を少なくとも含むスチレン系ポリエステル)その他の厚層組成物の製造用として、電子部品及び集積回路のコーティング又は密封のためのレジストとして、或いは、光ファイバー用として、又は光学レンズ(例えば、コンタクトレンズ、フレネルレンズ製造のためのコーティング)として用いることができる。本発明の感光性組成物は、更に、医用機器、補助具、インプラントの製造にも好適に用いることができる。更に、ドイツ国特許第19,700,064号及び欧州特許第678,534号公報に記載のような、サーモトロピック特性を有するゲルの製造用にも好適に用いることができる。
【0084】
〔感光層の現像工程〕
前記現像工程は、前記感光性組成物から形成された前記感光層の露光後に、未露光部分を除去する工程である。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば現像液を用いて未硬化部分を除去する方法などが挙げられる。また、回転ブラシによる摩擦、湿潤スポンジによる摩擦、などの方法を組み合わせることもできる。
前記現像液としては、アルカリ性物質を希釈して調製されたアルカリ現像液が好ましい。該アルカリ現像液は、感光性組成物がアルカリ可溶樹脂又はアルカリ可溶単量体若しくはオリゴマーを含有する場合に好適である。前記アルカリ現像液は、少量の水混和性有機溶媒を含有していてもよい。
【0085】
前記アルカリ性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム)、リン酸三ナトリウム、などが挙げられる。
前記アルカリ性物質の前記現像液における含有量としては、0.01〜30質量%が好ましい。前記アルカリ性物質のpHとしては、8〜14が好ましい。
【0086】
前記水混和性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチル−3−エトキシプロピオナート、メチル−3−メトキシプロピオナート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジノン、などが挙げられる。
前記水混和性有機溶媒の前記現像液における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましい。
【0087】
前記現像液は、更に、公知の界面活性剤を含有していてもよい。該顔界面活性剤の前記現像液における含有量としては、0.001〜10質量%が好ましい。
【0088】
前記現像液としては、アルカリ性物質を含有しない、2種以上の有機溶媒を含むものを用いることもできる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチル−3−エトキシプロピオナート、メチル−3−メトキシプロピオナート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジノン、などが挙げられる。また、必要に応じて、透明な現像液が得られ、感光性組成物の感光層中での十分な溶解性が維持される限りは、前記有機溶媒に水を添加することもできる。
【0089】
前記現像液の使用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて、当業者に公知の適宜形態を選択することができ、例えば、浴液、パドル、吹付け溶液の形態が挙げられる。
前記現像液の使用時の温度としては、室温〜40℃が好ましい。また、現像時間としては、前記感光性組成物の具体的な種類、該現像液のアルカリ度及び使用時の温度、並びに、有機溶媒を加えた場合は、その種類及び濃度、などの諸条件によって異なるが、通常は、10秒間〜2分間が好ましい。また、現像工程の後に、洗浄工程を行ってもよい。
【0090】
前記現像工程の後に、最終的な熱処理を行うのが好ましい。この熱処理としては、露光によって光重合した層(以下、光硬化層と称することもある)を有する支持体(基材)を、電気炉又は乾燥機内で加熱するか、又は光硬化層を、赤外灯で照射するか、若しくはホットプレート上で加熱する方法が挙げられる。加熱温度及び加熱時間は、用いた感光性組成物、及び形成された感光層の厚さに応じて調整する。一般的には、加熱温度、約120〜250℃で、約5〜60分間行うのが好ましい。
【0091】
(感光性組成物の具体的用途)
以下、本発明の感光性組成物の詳細について、主な具体的用途を挙げて説明する。
<コーティング材料>
前記コーティング材料としては、本発明の前記オキシム化合物と、本発明の前記増感剤と前記エチレン性不飽和光重合性化合物を少なくとも含み、該エチレン性不飽和光重合性化合物としては、前記ポリ不飽和単量体と前記プレポリマーとの混合物が好ましく、前記モノ不飽和単量体も追加的に含んでいてもよい。該コーティング材料の特性は、主に該プレポリマーによって決定され、該プレポリマーを適宜に変えることによって、硬化した薄膜の特性を調整することができる。
前記ポリ不飽和単量体は、前記薄膜を不溶性にする架橋剤として機能する。
また、前記モノ不飽和単量体は、反応性希釈剤として機能して、溶媒を用いる必要なしに、粘度を低下させるのに用いられる。
前記プレポリマーとしては不飽和ポリエステル樹脂が好ましく、該不飽和ポリエステル樹脂は、通常、前記モノ不飽和単量体、好ましくはスチレンと併用するのが好ましい。また、フォトレジストのためには、例えば、ドイツ国特許第2,308,830号公報に記載のようなポリマレイミド、ポリカルコン又はポリイミドが好ましい。
【0092】
本発明の感光性組成物は、放射線硬化性粉末コーティング材料(以下、「UV硬化性粉末コーティング材料」と称することがある)に用いることができる。前記UV硬化性粉末コーティング材料としては、固体樹脂、及びエチレン性不飽和光重合性化合物(例えば、マレアート、ビニルエーテル、アクリラート、アクリルアミド、及びそれらの混合物)を少なくとも含んでなる。
前記UV硬化性粉末コーティング材料としては、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリルアミド(例えば、メチルアクリルアミドグリコール酸メチル)及び本発明のオキシム化合物とを混合することによって調製することができる。このようなUV硬化性粉末コーティング材料としては、例えば、M.Wittigand Th.Gohmannによる論文“Radiation Curing of Powder Caotings”,Conference Proceedings,Radtech Europe 1933に記載のとおりである。
また、前記UV硬化性粉末コーティング材料としては、前記バインダーを含んでいてもよい。このようなUV硬化性粉末コーティング材料は、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリラート、メタクリラート又はビニルエーテルと、本発明の前記オキシム化合物と、該バインダーとを混合することによって調製することもできる。該バインダーとしては、例えば、ドイツ国特許第4,228,514号明細書及び欧州特許第636,669号公報に記載のものが挙げられる。
【0093】
また、前記UV硬化性粉末コーティング材料としては、白色又は有色の顔料を含んでいてもよい。例えば、二酸化ルチルチタンを、50質量%以下の濃度で含有することにより、良好な隠蔽力を有するUV硬化性粉末コーティング材料を得ることができる。その調製方法しては、通常、基材(例えば、金属、木材、等)への粉末の静電気若しくは摩擦電気による吹付け、熱による粉末の融解、などが挙げられる。また、滑らかな薄膜が形成された後に、例えば、中圧水銀灯、金属ハロゲン化物灯、キセノン灯、などを用いてコーティング材料をUV硬化する方法なども挙げられる。
前記UV硬化性粉末コーティング材料としては、粉末粒子を融解した後の流動時間を遅らせて、滑らかで、強い光沢のあるコーティング薄膜が得られる点で、熱硬化性粉末コーティング材料に比べて有利である。更に、該UV硬化性粉末コーティング材料は、該熱硬化性粉末コーティング材料に比べて、耐久性を低下させることなく、より低い温度で溶融して調製することができる。そのため、木材、プラスチック等の熱に敏感な基材などに対するコーティング材料として好適に用いることができる。
また、前記UV硬化性粉末コーティング材料としては、本発明のオキシム化合物に加え、添加剤としてUV吸収剤を含んでもよい。該UV吸収剤の具体例としては、上記論文の第1〜8項に列挙されたものが挙げられる。
【0094】
前記UV硬化性粉末コーティング材料は、例えば、基材に保護層を設けるためのコーティング材料として、又は画像に対応した露光によって画像を生成するための、基材のコーティング材料として好適に用いることができる。前記基材とは、例えば、木材、繊維、紙、セラミック、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、酢酸セルロース)、金属(例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg、Co)、GaAs、Si、SiO、などが挙げられる。
【0095】
<レジスト材料>
本発明の感光性組成物は、光に対して非常に高い感度を有し、アルカリ性現像液で、膨潤なしに現像することができる、陰画レジストとして用いることができる。これらは、レリーフ印刷用、平版印刷用、グラビア印刷用、又はスクリーン印刷用の印刷用紙の製造、レリーフコピーの製造、例えば、ブライユ点字でのテキストの製造、スタンプの製造、化学摩砕に用いるためなどに用いることができる。また、集積回路の製造の際のマイクロレジストとして好適に用いられる。該感光性組成物は、更に、コンピュータチップ、プリント板その他の電気部品や電子部品を製造する際に、光作図可能な誘電性の層若しくはコーティング材料、封入材料、隔離コーティング材料として、本発明の感光性組成物を用いてもよい。その際の層構成、支持体、基材への処理条件、などは、使用目的などに応じて適宜選択することができる。
【0096】
本発明の感光性組成物は、はんだレジストパターンの形成に用いることができる。具体的には、プリント配線板の製造、金属製品の精密工作、ガラス及び石製品のエッチング、プラスチック製品の浮彫り、印刷原版の製造のための材料に用いるのが好ましく、これらの中でも、プリント配線板のためのはんだレジストとして用いるのが特に好ましい。また、このプリント配線板の形成方法、即ち、感光性組成物、又は該感光性組成物からなる感光層に対して、パターンを有するフォトマスクを通して露光し、該感光層の未露光部分を現像することによって、はんだレジストパターンを形成する方法に用いるのが好ましい。
【0097】
前記はんだレジストは、プリント配線板にはんだ付けする際に、溶融はんだが不適切な部分及び保護回路に接着するのを防ぐ目的で、用いられるものである。そのため、基板への高い接着性、絶縁抵抗、はんだ付け温度に対する耐性、溶媒に対する耐性、アルカリに対する耐性、酸に対する耐性、めっきに対する耐性、などの特性を備えることが必要とされるが、本発明の感光性組成物を使用することにより、これらの優れた特性を得ることができる。
【0098】
<カラーフィルタ>
本発明の感光性組成物は、優れた熱安定性を有し、酸素による阻害にも充分な耐性を有するため、例えば、欧州特許第320,264号公報に記載のような、カラーフィルタ又は色モザイク系の形成に用いることができる。前記カラーフィルタは、一般的に、LCD、投影装置、画像センサ、などの製造に用いられる。更に、前記カラーフィルタは、例えば、テレビ受像機、ビデオモニター、コンピュータの表示装置、画像スキャナー、平坦パネル表示技術、などに用いることができる。
【0099】
前記カラーフィルタは、一般的に、ガラスの基板上に赤、緑及び青色の画素、並びに黒色のマトリックスを形成することによって製造される。本発明の感光性組成物は、これらのマトリックスの形成に用いることができる。
本発明の感光性組成物を使用したカラーフィルタの好ましい形成方法としては、赤、緑及び青色の着色物質、染料及び顔料を、本発明の感光性組成物に添加し、前記ガラスの基板を該感光性組成物で被覆コーティングし、該コーティングを短時間の熱処理で乾燥して感光層を形成する工程と、該感光層に対して化学放射線の放射によりパターン状に露光してパターンを形成する工程と、次いで形成されたパターンをアルカリ性現像剤水溶液中で現像する工程を含む。また、場合により、現像後に熱処理する工程を含んでもよい。このようにして、赤、緑及び青色に着色された感光層を、基材の表面に所望の順序で、前記感光層形成、露光工程、及び現像工程を繰り返すことにより、赤、緑及び青色の画素を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0100】
前記現像工程は、前記露光工程で重合しなかった未硬化領域を、適宜のアルカリ現像液で洗い流すことによって行う。この現像工程を繰り返すことにより、複数の色を有する画像を形成する。
【0101】
本発明の感光性組成物では、少なくとも1つ又はそれ以上の画素(picture elements)を、透明な基板上に形成し、次いで、透明な基板の、上記の画素が形成されていない側から露光する工程によって、上記の画素を遮光マスクとして利用することができる。この場合、例えば、感光層に対して前面露光を行う場合、遮光マスクの位置調整が不要になり、該遮光マスクの位置のずれによる弊害を解消することができる。そして、上記の画素が形成されない部分のすべてを硬化させることができる。更に、この場合、遮光マスクを部分的に用いることによって、上記の画素が形成されない部分の一部を現像及び除去することも可能である。
【0102】
いずれの場合も、本発明の感光性組成物を用いると、先に形成される画素と、後に形成される画素との間に間隙が全く形成されない点で、前記カラーフィルタの形成材料に好適である。具体的には、赤、緑及び青色の着色物質、染料及び顔料を、本発明の感光性組成物に添加し、画像を形成する工程を繰り返して、赤、緑及び青色の画素を形成する。次に、例えば、黒色の着色材料、染料及び顔料を添加した感光性組成物を、表面全体に付与する。その後、該感光層に全面露光(又は、遮光マスクを介しての部分露光)を施すことにより、黒色の画素を、赤、緑及び青色の画素の間の間隙全体(又は遮光マスクの部分的領域以外の全体)に形成することができる。
【0103】
前記カラーフィルタ用の感光性組成物に好適な顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、加工された顔料が挙げられる。このような加工された顔料としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸樹脂及びエチルセルロース樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂に、顔料を微細に分散させることによって製造された、粉末状又は糊状の製品が挙げられる。なお、これらの顔料は、カラーフィルタに限らず、他の用途も包含する本発明の感光性組成物全てに、必要に応じて用いることができる。
【0104】
前記赤色顔料としては、例えば、アントラキノン型顔料、ペリレン型顔料、又はこれらのうちの少なくとも1種及びジアゾ型黄色顔料若しくはイソインドリン型黄色顔料からなる混合物、などが好ましく挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントレッド155のいずれか、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントイエロー83及びC.I.ピグメントイエロー139の少なくともいずれかからなる混合物、などが好ましい(「C.I.」とは、当業者には公知であり、公に入手できる色指数を意味する)。
前記顔料としては、更に、C.I.ピグメントレッド105、144、149、176、177、185、202、209、214、222、242、254、255、264、272;C.I.ピグメントイエロー24、31、53、83、93、95、109、110、128、129、138、139、166;C.I.ピグメントオレンジ43、が好適に挙げられる。
【0105】
前記緑色の顔料としては、例えば、ハロゲン化フタロシアニン型顔料を単独で用いるか、又は、ハロゲン化フタロシアニン型顔料とジアゾ型黄色顔料若しくはイソインドリン型黄色顔料との混合物を用いるのが好ましい。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37を単独で用いるのがより好ましく、又は、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン136、及びC.I.ピグメントイエロー83若しくはC.I.ピグメントイエロー139のうち少なくとも一員よりなる混合物を用いるのが好ましい。
前記緑色顔料のその他の例としては、C.I.ピグメントグリーン15、25が好ましく挙げられる。
【0106】
前記青色顔料としては、例えば、フタロシアニン型顔料を単独で、又は、フタロシアニン型顔料とジオキサジン型菫色顔料とを組合せて用いるのが好ましい。この組み合わせの具体的としては、C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントバイオレット23との組合せが挙げられる。
前記青色顔料のその他の例としては、C.I.ブルー15:3、15:4、15:6、16、及び60の類のもの、即ち、フタロシアニンC.I.ピグメントブルー15:3、又はフタロシアニンC.I.ピグメントブルー15:6が好適に挙げられる。また、C.I.ピグメントブルー22、28、C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、37、177、及びC.I.オレンジ73の類のものが好適に挙げられる。
【0107】
黒色マトリックスの光重合体組成物の顔料は、好ましくは、炭素、チタンブラック及び酸化鉄よりなる群から選ばれる少なくとも一員を含む。しかし、全体で黒色の外見を与えるその他の顔料の混合物も、用いることができる。例えば、C.I.ピグメントブラック1番及び7番は、単独又は組み合わせて用いることができる。
【0108】
これらの全ての色について、1種単独の顔料を用いてもよいし、2種類以上顔料を用いてもよい。前記カラーフィルタの用途に特に好適なのは、上記の顔料を樹脂中に微細に分散させることによって製造される粉末状の加工された顔料である。
【0109】
前記顔料の全固体成分(前記顔料及び樹脂の総量)中の含有量としては、5〜80質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
【0110】
前記カラーフィル用感光性組成物中の顔料は、可視光の波長(400〜700nm)より小さい平均粒度を有するのが好ましく、100nm未満の平均粒度を有するのがより好ましい。
【0111】
また、前記顔料は、必要に応じて、分散剤で前記顔料を前処理して、液体配合物中の顔料の分散安定性を向上させることにより、感光性組成物中での安定性を高めることができる。
また、カラーフィルタ用の感光性組成物には、前記重合性化合物として、少なくとも1種の付加重合性単量体化合物を更に含有するのが好ましい。
【0112】
前記付加重合性単量体化合物としては、例えば、下記の化合物を、単独か、又は本発明に用いられるエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性単量体として、その他の単量体と組み合わせて用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリラート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリラート、ポリ(オキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート)、トリス(2−(メタ)アクリルオキシエチル)イソシアヌラート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン(メタ)アクリラート、デカメチレングリコールジ(メタ)アクリラート、スチレン、フマル酸ジアリル、トリメリト酸トリアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリルアミド、キシレンビス(メタ)アクリルアミド、が挙げられる。
更に、ヒドロキシル基を有する化合物(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート)、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリラートと、ヘキサメチレンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、及びキシレンジイソシアナートのようなジイソシアナートとの反応生成物、を用いることができる。
これらの中でも、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラート、トリス(2−アシロイルオキシエチル)イソシアナート、が特に好ましく挙げられる。
【0113】
前記カラーフィルタ用感光性組成物における、感光性組成物中の単量体の総量としては、感光性組成物の全固体含有量、即ち、溶媒を除いた全ての成分の総量に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。
【0114】
前記カラーフィルタ用感光性組成物には、バインダーとして、アルカリ性水溶液に可溶であり、水に不溶である化合物を添加するのが好ましく、これらの化合物としては、例えば、1個以上の酸基及び1つ又はそれ以上の重合可能な不飽和結合を分子内に有する、重合性化合物の単独重合体、又はその2種以上の共重合体、及びこれらの化合物と共重合可能な1つ又は2つ以上の不飽和結合を有し、酸基を全く含まない、1種又はそれ以上の重合性化合物の共重合体、を用いることができる。このような化合物は、1個以上の酸基、及び1つ又は2つ以上の重合可能な不飽和結合を分子内に有する1種又は2種以上の低分子化合物と、これらの化合物と共重合できる1つ又は2つ以上の不飽和結合を有し、酸基を全く含まない、1種又は2種以上の重合性化合物とを共重合させることによって得ることができる。
前記酸基としては、例えば、−COOH基、−SOH基、−SONHCO−基、フェノール性ヒドロキシル基、−SONH−基、CO−NH−CO−基、などが挙げられる。これらの中でも、−COOH基を有する高分子化合物が特に好ましく挙げられる。
【0115】
前記カラーフィルタ用感光性組成物中のバインダーとしては、は、付加重合性単量体単位として、少なくとも1種の、アクリル酸、メタクリル酸、などのような不飽和有機酸化合物を含むものや、アルカリ可溶共重合体を含む有機重合体が好ましい。
前記重合体のための共単量体としては、更に、不飽和有機酸エステル化合物、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、などを用いて、アルカリの溶解度、接着の固さ、化学的耐性、などのような特性を均衡させるのが好ましい。
【0116】
有機重合体バインダーは、例えば米国特許第5,368,976号明細書に記載のような、ランダム共重合体、及びブロック共重合体のいずれかであってもよい。
【0117】
前記1個以上の酸基、及び1つ又は2つ以上の重合性不飽和結合を分子内に有する重合性化合物としては、下記のような化合物が挙げられる。
前記1個以上の−COOH基、及び1つ又は2つ以上の重合可能な不飽和結合を分子内に有する重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、などが挙げられる。
【0118】
前記1個以上の−SOH基、及び1つ又は2つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物としては、例えば、ビニルベンゼンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、が挙げられる。
前記1個以上の−SONHCO−基、及び1つ又は2つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物としては、例えば、N−メチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−エチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
【0119】
1個以上のフェノール性ヒドロキシル基及び1つ以上の重合可能な不飽和結合を分子内に有する重合性化合物としては、例えば、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル−カルボニルオキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシフェニルチオエチル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリラート、ジヒドロキシ−フェニルチオエチル(メタ)アクリラート、が挙げられる。
【0120】
1個以上の−SONH−基及び1つ又は2つ以上の重合性不飽和結合を分子内に有する重合性化合物の例としては、下記式(a)又は(b)で表される化合物が挙げられる。
CH=CHA−Y−A−SO−NH−A・・・式(a)
CH=CHA−Y−A−NH−SO−A・・・式(b)
ただし、前記式(a)及び(b)中、Y及びYは、それぞれ、−COO−、−CONA−、及び単結合のいずれかを表し、A及びAは、それぞれ、水素原子及びCHのいずれかを表し、A及びAは、それぞれ、置換基シクロアルキレン、アリーレン又はアラルキレンを有する炭素数1〜12のアルキレン基;エーテル基又はチオエーテル基が挿入された炭素数2〜12のアルキレン基;シクロアルキレン;アリーレン;アラルキレンのいずれかを表す。A及びAは、それぞれ、水素原子、場合により置換基シクロアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を有する炭素数1〜12のアルキル基のいずれかを表す。Aは、水素原子;置換基シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基を有する炭素数1〜12のアルキル基のいずれかを表す。
【0121】
前記1個以上の−CO−NH−CO−基及び1つ又は2つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物としては、例えば、マレイミド、N−アクリルオイル−アクリルアミド、が挙げられる。これらの重合性化合物は、重合によって、−CO−NH−CO−基を含む高分子化合物になり、主鎖と共に環が形成される。
更に、それぞれ−CO−NH−CO−基を有するメタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体も用いることができる。このようなメタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体としては、例えば、N−アセチルメアクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−ブタノイルメタクリルアミド、N−ペンタノイルメタクリルアミド、N−デカノイルメタクリルアミド、N−ドデカノイルメタクリルアミド、N−ベンゾイルメタクリルアミド、N−(p−メチルベンゾイル)メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド、N−(ナフチルカルボニル)メタクリルアミド、N−(フェニルアセチル)メタクリルアミド、4−メタクリロイルアミノフタルイミド、及びこれらと同じ置換基を有するアクリルアミド誘導体、が挙げられる。これらの重合性化合物は、重合して、−CO−NH−CO−基を側鎖に有する化合物となる。
【0122】
前記1つ又は2つ以上の重合性不飽和結合を有し、酸基を全く含まない重合性化合物のとしては、例えば、(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、アクリル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン及びクロトナートから選択される、重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキル又は置換(メタ)アクリル酸アルキルのような(メタ)アクリラート、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸tert−オクチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸アリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールモノ(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸ベンジル、メトキシベンジル(メタ)アクリラート、クロロベンジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸フルフリル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル;(メタ)アクリル酸アリール、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸クレシル、(メタ)アクリル酸ナフチル;(メタ)アクリルアミド類、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシル、シクロヘキシル、ヒドロキシエチル及びベンジルを包含する)、N−アリール(メタ)アクリルアミド(アリール基は、例えば、フェニル、トリル、ニトロフェニル、ナフチル及びヒドロキシフェニルを包含する)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基は、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、エチルヘキシル及びシクロヘキシルを包含する)、N,N−ジアリール(メタ)アクリルアミド(アリール基は、例えば、フェニルを包含する)、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチル(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド;が挙げられる。
また、アリルエステル、例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリル酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル;アリルオキシエタノールのようなアリル化合物;アルキルビニルエーテル(アルキル基は、例えば、ヘキシル、オクチル、デシル、エチルヘキシル、メトキシエチル、エトキシエチル、クロロエチル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピル、2−エチルブチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシエトキシエチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ブチルアミノエチル、ベンジル、及びテトラヒドロフルフリルを包含する);ビニルアリールエーテル(アリール基は、例えば、フェニル、トリル、クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、ナフチル及びアントラニルを包含する)のようなビニルエーテル;が挙げられる。
更に、ビニルエステル、例えば、ビニルブチラート、ビニルイソブチラート、トリメチル酢酸ビニル、ジエチル酢酸ビニル、ビニルバラート、カプロン酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ジクロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、ブトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニル、アセト酢酸ビニル、乳酸ビニル、ビニル−b−フェニルブチラート、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル;が挙げられる。
また、スチレン;アルキルスチレン、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン;アルキルオキシスチレン、例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン;ハロゲノスチレンのようなスチレン類、例えば、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン;が挙げられる。
また、クロトン酸アルキルのようなクロトン酸エステル、例えばクロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、モノクロトン酸グリセリン;が挙げられる。
また、イタコン酸ジアルキル、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル及びイタコン酸ジブチル;マレイン酸又はフマル酸ジアルキル、例えば、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジブチル;(メタ)アクリロニトリル;が挙げられる。
【0123】
また、ヒドロキシスチレン単独重合体若しくは共重合体、又はノボラック型フェノール樹脂、例えば、ポリヒドロキシスチレン及びポリ(ヒドロキシスチレン−co−ビニルシクロヘキサノール)、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、並びにハロゲン化フェノールノボラック樹脂も、用いることができる。より具体的には、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体(例えば、共単量体としてのスチレンとの、無水マレイン酸共重合体、及びマレイン酸共重合体、並びに部分エステル化されたマレイン酸共重合体が挙げられ、それぞれ、例えば、特公昭59−44,615号公報、特公昭54−34,327号公報、特公昭58−12,577号公報、特公昭54−25,957号公報、特開昭59−53,836号公報、特開昭59−71,048号公報、特開昭60−159,743号公報、特開昭60−258,539号公報、特開平1−152,449号公報、特開平2−199,403号公報、特開平2−199,404号公報に記載されており、これらの共重合体は、例えば米国特許第5,650,263号明細書に開示されたようなアミンと更に反応させることができる。
更には、側鎖にカルボキシル基を有するセルロース誘導体を用いることができ、この中でも、(メタ)アクリル酸ベンジルと(メタ)アクリル酸との共重合体、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、及び、例えば、米国特許第4,139,391号明細書、特公昭59−44615号公報、特開昭60−159743号公報、特開昭60−258539号公報に記載されているような、その他の単量体の共重合体、が特に好ましく挙げられる。
【0124】
前記有機重合体の中で、カルボン酸基を有するものに関しては、カルボン酸基のいくつか又は全てを、(メタ)アクリル酸グリシジル又は(メタ)アクリル酸エポキシと反応させて、感光度、被覆薄膜強さ、コーティング溶媒、及び薬品耐性、並びに基材への接着力を向上させる目的で、光重合性有機重合体を得ることができる。これらの光重合性有機重合体は、例えば、特公昭50−34,443号公報、特公昭50−34,444号号公報、米国特許第5,153,095号明細書、T.Kudo et al.のJ.Appl.Phys.,Vol.37(1998),p.3594−3603、米国特許第5,677,385号明細書、米国特許第5,650,233号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0125】
前記バインダーの質量平均分子量としては、500〜1,000,000が好ましく、3,000〜1,000,000がより好ましく、5,000〜400,000が更に好ましい。
【0126】
これらのバインダーは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
前記感光性組成物中のバインダーの含有量としては、全固体成分に対して、10〜95質量量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましい。
【0127】
前記カラーフィルタでは、更に、イオン性不純物捕捉剤、例えば、エポキシ基を有する有機化合物を含有してもよい。感光性組成物中のイオン性不純物捕捉剤の含有量としては、前固体成分に対して、0.1〜10質量%が好ましい。
【0128】
前記カラーフィルタにおいて、前記顔料及び前記イオン性不純物捕捉剤の組合せとしては、例えば、欧州特許第320,264号公報に示されたものが好ましい。即ち、前記欧州特許第320,624号公報に記載のカラーフィルタの感光性組成物中の重合開始剤に代えて、本発明の光開始剤としてのオキシム化合物を添加して用いることができる。
【0129】
本発明の感光性組成物には、酸、例えば、特開平10−221843号公報に記載の酸によって活性化される架橋剤、及び加熱又は放射線によって酸を生成し、架橋反応を活性化する化合物を、更に含有させることができる。
【0130】
本発明による感光性組成物には、潜在性顔料を含有させることもできる。該潜在性顔料は、これを含む感光性のパターン又はコーティングを熱処理することにより、微細に分散した顔料に変換されるものである。前記熱処理は、潜在性顔料を含有する感光層の露光後又は現像後に、実施することができる。このような潜在性顔料は、例えば、米国特許第5,879,855号明細書に記載のような、化学的、熱的、光分解性又は放射線誘導の方法を用いて、不溶性の顔料に変換可能な可溶性顔料前駆体が挙げられる。このような潜在性顔料の変換は、化学線露光の際に、又は感光性組成物に酸性化合物や酸を生成する化合物を添加することによって、増強することができる。そのため、本発明の感光性組成物中に、前記潜在的顔料を含むカラーフィルタを製造することもできる。
【0131】
前記カラーフィルタ、並びに、該カラーフィルタ用の感光性組成物の配合及び加工条件としては、例えば、T.Kudo et al.,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)3594;T.Kudo et al.,J.Photopolym.Sci.Technol.Vol 9(1996)109;K.Kobayashi,Solid State Technol.Nov.1992,p.S15−S18;米国特許第5368976号明細書;米国特許第5800952号明細書;米国特許第5882843号明細書;米国特許第5879855号明細書;米国特許第5866298号明細書;米国特許第5863678号明細書;特開平6−230212号公報;欧州特許第320264号公報;特開平9−269410号公報;特開平10−221843号公報;特開平1−090516号公報;特開平10−171119号公報;米国特許第5821016号明細書;米国特許第5847015号明細書;米国特許第5882843号明細書;米国特許第6719008号明細書;欧州特許第881541号公報、欧州特許第902327号公報に記載されている。
本発明の前記オキシム化合物を、カラーフィルタ用感光性組成物、例えば、上記の例に述べた感光性組成物に用いたり、該感光性組成物中の既知の光開始剤を、部分的又は全てを本発明のオキシム化合物に置き代えることができる。本発明の新規なオキシム化合物の使用は、特定のバインダー樹脂、架橋剤及び前述のカラーフィルタ用感光性組成物の配合例に限定されることなく、感光性カラーフィルターインキ又はカラーフィルタレジストを形成させるために、染料、色顔料、潜在的顔料と組み合わせて、ラジカル重合性成分として、様々な用途に用いることができる。
【0132】
したがって、前記カラーフィルタとしては、赤、緑及び青(RGB)色要素、かつ場合により黒色マトリックス(全て透明基板上に感光性樹脂及び顔料を含む感光性組成物からなる)を設け、かつ基板の表面又は感光性組成物からなるカラーフィルタ層の表面のいずれかに、透明電極層を設けたものが好ましい。該感光性組成物が、多官能性アクリラート単量体、有機重合体バインダー、及び光重合開始剤として前記一般式(A−1)で表されるオキシム化合物剤を含んでなる。前記単量体及びバインダー成分並びに顔料は、前述のようなものを用いることができる。また、カラーフィルタの製造において、前記透明電極層は、透明基板の表面上に組成物を塗布して形成するか、又は、赤、緑及び青色カラーフィルタ層及び黒色マトリックスの表面に組成物を塗布して形成することができる。前記透明基板として、例えば、ガラス基板の表面に、前記電極層を設けることができる。
また、カラーフィルタのコントラストを改善するために、RGB三色の各画素間に黒色マトリックスを形成するのが好適である。
【0133】
また、感光性組成物を用いて黒色マトリックスを形成し、かつ透明基板上に赤、緑及び青色領域を分離する黒色パターンを形成する他の異なる方法としては、黒色感光性組成物を光リソグラフィ的にパターン様に曝露(即ち、適切なマスクを通して)する代わりに、無機黒色マトリックスを用いる方法がある。このような無機黒色マトリックスは、適切な画像方法、例えば、エッチングレジストで保護されていない領域の無機層をエッチングし、次いで残留エッチングレジストを除くことによって形成される。このエッチングレジストを用いた光リソグラフィパターン化を利用することにより、透明基板上の堆積金属(即ち、スパッタリングされたクロム)の薄膜により、無機黒色マトリックスを形成することができる。
【0134】
前記カラーフィルタ製造方法において、黒色マトリックスの形成方法の更に異なる従来方法として、前記赤、緑及び青(RGB)色カラーフィルタ層の形成の前に、透明基板上に黒色マトリックス用感光性組成物を直接に塗布する方法、又は前記RGBカラーフィルタ層を基板上に形成した後に、黒色マトリックス用感光性組成物を塗布する方法がある。
【0135】
米国特許第5,626,796号明細書による液晶表示装置用のカラーフィルタの異なる実施態様に示されるように、黒色マトリックスを、RGBカラーフィルタ層を設けた基板の反対側の面に塗布することができる。このような態様とすることにより、黒色マトリックスが、液晶層によりRGBカラーフィルタ層から分離される。
【0136】
前記透明電極層を、RGBカラーフィルタ層及び場合により黒色マトリックスを塗布した後に、これらの表面に形成する場合、保護層として、被覆フィルムを、電極層の形成前に、例えば、米国特許第5,650,263号明細書に記載されているように、RBGカラーフィルタ層の表面に上に塗布形成することができる。
【0137】
前記保護層の形成材料としては、感光性樹脂又は熱硬化性樹脂組成物が使用される。前記保護層の形成材料として、本発明の感光性組成物を用いることにより、平坦性、硬度、薬品耐性、耐熱性、特に可視領域での透過性、基板への接着性に優れる保護層が得られると共に、保護層の表面に、例えば、ITO薄膜などの透明伝導性薄層を更に設ける場合に、好適である。前記保護層の製造において、保護層の不必要な部分、例えば、基板を切断する罫線上又は固体画像センサのボンディングパッド上では、特開昭57−42,009号公報、特開平1−130,103号公報、及び特開平1−134,306号公報に記載のように、基板から除去すべきであるとの要望がある。なお、従来公知の熱硬化性樹脂を用いて、基板を切断する罫線上又は固体画像センサのボンディングパッド上以外の部分に選択的に保護層を高い精度で形成することは困難である。しかし、本発明の感光性組成物を用いることにより、光リトグラフィで保護層の不必要部分を容易に除去することが可能となる。
【0138】
本発明の感光性組成物を用いたカラーフィルタは、前記構成及び製造方法に限定されることはなく、赤、緑及び青色画素並びに黒色マトリックスを形成するものであれば、従来公知のいずれの加工方法を用いてもよいし、保護層、透明電極層、その他の付加的な層を設けてもよいし、カラーフィルタの設計がいずれであってもよい。
【0139】
本発明の前記感光性組成物は、カラーフィルタを形成するのに好適に用いることができるが、この用途に限定されなるものではない。表示の用途や表示要素における記録材料、レジスト材料、保護層、誘電層、塗料、印刷インク、などにも同様に好適に用いることができる。
【0140】
<液晶表示装置>
本発明による感光性組成物は、液晶表示装置、より詳細には、スィッチングデバイスとして薄膜トランジスター(TFT)を有する能動性マトリックス型、及びスィッチングデバイスなしの受動的マトリックス型の表示装置を包含する、反射型液晶表示装置の層間絶縁層又は誘電層を製造するためにも好適に用いられる。
【0141】
近年、液晶表示装置は、その薄い厚さ、及び軽量のために、例えば、携帯テレビセット、及び通信用ターミナルデバイスに広く用いられている。バックライトを用いる必要のない反射型液晶装置は、極度に薄く、軽量であり、電力消費を有意に削減できるため、特に需要が多い。しかし、現在利用できる透過型カラー液晶表示装置からバックライトを除去し、光反射板を表示装置の基板に加えたとしても、光の利用効率は低く、実用的な明るさを有することができないという問題を生じると思われる。
この問題を解決する対策として、光の利用効率を高めるために、様々な反射型液晶表示装置が示唆されている。例えば、ある種の反射型液晶表示装置は、反射機能を有する画素電極を含むよう設計されている。
前記反射型液晶表示装置は、絶縁性の基板と、該絶縁物質から間隔を置いて対向する基板とを含んでなる。その製造方法としては、前記基板間の空間を、液晶で充填する。前記絶縁性基板にゲート電極を形成し、該ゲート電極と絶縁性基板との双方を、ゲート絶縁薄膜で被覆する。次に、半導体層を、ゲート絶縁薄膜上でゲート電極の上方に形成する。更に、電源電極及びドレーン電極を、ゲート絶縁薄膜上に半導体層と接して形成する。前記電源電極、ドレーン電極、半導体層並びにゲート電極が、互いに協働することにより、スイッチングデバイスとしてのボトムゲート型TFTを構成している。
前記電源電極、ドレーン電極、半導体層及びゲート絶縁薄膜を覆うように、層間絶縁薄膜を形成する。また、前記ドレーン電極上の層間絶縁薄膜全体に、接触孔を形成する。この層間絶縁薄膜と、接触孔の内側の壁との双方にアルミニウム製の画素電極を形成する。このように形成することにより、TFTのドレーン電極が、層間絶縁薄膜を介して画素電極と接触する。前記層間絶縁層は、一般的には、粗い表面を有することにより、画素電極が光を拡散して、より広い視野角(可視角)を得る反射板として作用するよう設計されている。
前記反射型液晶表示装置は、画素電極が光反射板として作用することによって、光を用いたことによる効果を著しく高めることができる。
上記の反射型液晶表示装置では、前記層間絶縁薄膜は、写真平版法によって凹凸を有するよう設計されている。この凹凸のマイクロメートル次元での微細な形状を形成かつ制御して、表面を粗くし、前記接触孔を形成するには、陽画及び陰画フォトレジストを用いた写真平版法を用いることができる。本発明の感光性組成物は、これらのレジストの形成に特に好適である。
【0142】
<液晶表示装置用のスペーサ>
本発明の感光性組成物は、更に、液晶表示パネル内の液晶部分のセル間隙を制御するスペーサの製造にも好適に用いることができる。液晶表示装置内の液晶層を介して透過又は反射される光の特性は、液晶セル間隙に依存することから、画素アレー全体の厚みの精度、及び均一度は、液晶表示装置ユニットの性能を左右する重要な要因である。前記液晶セルでは、該液晶セル内の基板間の間隔は、直径が数マイクロメートルのガラス又は重合体の球体を、スペーサとして基板の間に分散させることによって、一定に保たれる。したがって、これらのスペーサは、基板間の距離を一定の値に保つよう、基板間に保持されるものであり、この距離は、スペーサの直径によって決定され、該スペーサは、基板間の最小の間隔を確保する効果、即ち、基板間の距離の減少を防止する効果を有する。
しかし、スペーサを設けても、基板が互いに広い間隔で隔てられるのを、即ち基板間の距離の増大を防ぐことはできない。加えて、スペーサビーズを用いる従来方法では、スペーサビーズの直径を均一としたり、スペーサビーズをパネル上に均等に分散させることが困難である問題と共に、画素アレー領域でのスペーサの位置によっては、輝度及び光学的開口度の少なくともいずれかが減少するという問題を生じる。
近年、大型の画像表示領域を有する液晶表示装置に、多大な関心が寄せられている。しかし、液晶セルの領域が増大することにより、液晶セルを構成する基板の歪みが生じ易くなる。液晶の層構造は、基板の変形が原因で破壊される傾向にある。したがって、基板間の間隔を一定に保つために前記スペーサを用いた場合でさえ、大型の画像表示領域を有する液晶表示装置の実施は困難である。
この問題を解決するため、上記のスペーサビーズを分散させる方法に代えて、柱状のスペーサを、液晶セル間隙に形成する方法が提唱されている。この方法では、柱状の樹脂をスペーサとして、画素アレー領域と対向電極との間の領域に形成して、所定のセル間隙を形成する。この形成には、接着特性を有する感光性組成物を用いた写真平版法により行われ、例えば、カラーフィルタの製造工程に一般的に用いられる。この柱状のスペーサを形成する方法は、前記スペーサビーズを用いる慣用の方法と比較すると、スペーサの位置、数及び高さを自由に制御し得る点で有利である。カラー液晶表示パネルでは、このような柱状のスペーサを、カラーフィルタ要素の黒色マトリックス下の非結像領域に形成する。そのため、感光性組成物を用いて形成されたスペーサは、輝度及び光学的開口度を減少させることがない。
前記カラーフィルタ用スペーサで保護層を形成するための感光性組成物としては、特開2000−81701号公報に開示されている。前記スペーサのためのフィルム状の感光性組成物(フォトレジスト)も、特開平11−174459号公報及び特開平11−174,464号公報に開示されている。これらの文献に記載のとおり、液体及びフィルム状フォトレジストは、少なくともアルカリ又は酸可溶性バインダー重合体、ラジカル重合性単量体、及びラジカル開始剤を含んでなり、必要に応じて、エポキシド及びカルボン酸のような熱架橋性成分を、更に含んでもよい。
本発明の感光性組成物を用いてスペーサを形成する工程としては、下記のとおりである。即ち、感光性組成物を、基板、例えば、カラーフィルタパネルに塗布し、基板を予備焼付けした後に、マスクを通して露光させる。次に、基板を現像剤で現像し、パターン化して、所望のスペーサを形成する。前記感光性組成物が、熱硬化性成分を含有するときは、後焼付けを実施して、前記で形成されたパターンを熱硬化させる。
本発明の感光性組成物は、高感度であるため、上記のような液晶表示装置用のスペーサを製造するのに好適である。
【0143】
<マイクロレンズアレー>
本発明の感光性組成物は、液晶表示パネル、画像センサ、などに用いられるマイクロレンズアレーを製造するのにも好適である。前記マイクロレンズアレーは、検出器、表示装置、及び発光デバイス(例えば、発光ダイオード、横穴レーザ、縦穴レーザ)のような能動光電子工学デバイスに用いられ、それらの光学的入出力の質を向上させるための受動光学的部品である。このマイクロレンズアレーの応用の分野は広く、遠隔通信、情報技術、視聴覚サービス、太陽電池、検出器、固体光源、光学的相互連絡のような分野を網羅している。
現在の光学装置系は、様々な手法を用いて、マイクロレンズとマイクロ光学デバイスとの間の効率的な結合を達成している。
前記マイクロレンズアレーは、非発光性の表示デバイス、例えば、液晶表示デバイスの画素の領域で、照明光を集光して、表示デバイスの輝度を上昇させるために使用されたり、入射光を集光するために使用されたり、又は、例えば、ファクシミリなどに用いられるライン画像センサの光電変換領域に画像を形成して、これらのデバイスの感度を向上させる手段として使用されたり、液晶プリンター若しくは発光ダイオード(LED)プリンターに用いられる感光手段上に印刷する画像を形成するために使用される。
【0144】
前記マイクロレンズアレーの最も一般的な用途としては、電荷結合デバイス(CCD)のような固体画像感受性デバイスであり、これらの光検出器アレーの効率を向上させるために用いられる。この光検出器アレーでは、各検出器要素又は画素において、できるだけ多くの光を捕集することが求められる。各画素の上端にマイクロレンズを取り付けると、レンズは、進入する光を捕集し、レンズの大きさより小さい作動領域にその像を結ぶ。
従来の技術によれば、マイクロレンズアレーは、例えば、下記のような方法で製造することができる。
(1)平面的配置のレンズパターンを、慣用の写真平版手法などによって、熱可塑性樹脂に描き、次いで、熱可塑性樹脂を、流動性を持つよう、その樹脂の軟化点を越える温度まで加熱し、それによってパターンのへりにたるみを生じさせる(いわゆる「再流動」)ことにより、凸レンズを得る方法である(特開昭60−38989号公報、特開昭60−165623号公報、特開昭61−67003号公報、特開2000−39503号公報参照)。この方法では、使用する熱可塑性樹脂が感光性である場合に、この樹脂の露光によってレンズのパターンを得ることができる。
(2)成形用型又はスタンパーを使用して、プラスチック又はガラスによりレンズを形成する方法である。この方法では、レンズ材料として、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いることができる(国際公開第99/38,035号パンフレット参照)。
(3)心合わせ装置を使用して、感光性組成物を所望のパターンで露光させたとき、未反応単量体が、非露光領域から露光領域に移動する結果、露光領域が膨張することによって凸レンズを形成する方法である〔例えば、Journal of the Research Group in Microoptics Japanese Society of Applied Physics,Colloquiumin in Optics,Vol.5,No.2,pp.118−123(1987)及びVol.6,No.2,pp.87−92(1988)参照〕。
この方法では、支持基板の上面に、感光性組成物からなる感光層が形成される。その後、別個の遮光マスクを用いて、感光層の上面を、水銀灯などの光で照明して、感光層を露光させる。その結果、感光層の露光部分は、凸レンズの形状に膨張して、複数のマイクロレンズを有する集光層が形成される。
(4)感光性組成物を近接露光の手法によって露光させて、凸レンズを得る方法である。この方法では、光マスクを、樹脂に接触させないで、パターン辺縁に曇りを生じさせることにより、光化学反応生成物の量を、パターン辺縁のくもりの度合いに応じて分布させることにより(例えば特開61−153602号公報参照)、前記凸レンズが得られる。
(5)感光性組成物を特定の強度分布で露光させて、光の強さに応じて任意の分布パターンの屈折率を形成することにより、レンズ効果を発生させる方法である(例えば、特開昭60−72927号公報及び特開昭60−166946号公報参照)。
本発明の感光性組成物は、上記(1)〜(5)の方法のいずれかにおいて、マイクロレンズアレーを形成する際の光硬化性樹脂組成物として用いることができる。
【0145】
また、他の異なる方法として、フォトレジストのような熱可塑性樹脂によりマイクロレンズを形成する方法も多く存在する。例えば、PopovicらによってSPIE 898,pp.23−25(1988)という参考文献として出版されている。この手法は、再流動手法と名付けられ、レンズのフットプリントを、例えば、フォトレジストのような感光性樹脂を用いた写真平版法によって、熱可塑性樹脂中に規定し、次いで、この材料をその再流動温度を越えて加熱する工程を含む。表面張力により、フォトレジストの島が、再流動前の最初の島に等しい体積を有する球形キャップ内に引き付けられる。このキャップが、平凸マイクロレンズである。この手法の長所は、単純に形成可能で、複製可能性、発光性が高く、光検出用の光電子デバイスの上端に直接一体化できる点である。
必要に応じて、再流動の前に、矩形状のパターン化されたレンズユニット上に外套層を形成して、再流動工程での球形キャップへの再流動なしに、樹脂の島の中央でのたるみ形成を回避するようにしてもよい。外套層は、恒久的な保護層として作用する。コーティング層もまた、本発明の感光性組成物で形成することができる。
【0146】
前記マイクロレンズアレーは、例えば、欧州特許第0932256A2号公報に開示のような、成形用型又はスタンパーを使用して作製することもできる。平面マイクロレンズアレーを製造する方法としては、下記のとおりである。
(1)上面に凸面部分を稠密に配置したスタンパーの成形面に、離型剤をコーティングし、高い屈折率を有する光硬化性合成樹脂材料を、スタンパーの成形面上に載置する。次に、ガラス基板を合成樹脂材料に押し付けることによって、合成樹脂材料を伸展させ、紫外線での照射又は加熱によって合成樹脂材料を硬化させることにより、凸マイクロレンズを形成するよう成形する。その後、スタンパーを剥がす。次いで、低い屈折率を有する光硬化性合成樹脂材料を、接着層として凸マイクロレンズの表面に更にコーティングし、カバーガラス板として作製したガラス基板を、合成樹脂材料に押し付けることによって合成樹脂材料を伸展させる。次いで、合成樹脂材料を硬化させることにより、平面マイクロレンズアレーを形成する。
(2)米国特許第5,969,867号明細書に開示されたように、成形用型を用いた類似の方法が、プリズムシートの製造に適用されるが、これは、カラー液晶表示パネル用のバックライトユニットの一部として、輝度を高めるために用いられる。バックライトの発光面に、プリズムシートが取り付けられ、プリズム列を形成している。前記プリズムシートを製造するには、活性エネルギー線硬化性組成物を、金属、ガラス又は樹脂で作製されたレンズ成形用型に注入して伸展させ、プリズム列等のレンズ形状を形成し、その後、透明な基板シートをその上に載置し、活性エネルギー線放出源からの活性エネルギー線を、基板シートを通して照射する。次いで、製造されたレンズシートを、レンズ成形用型から離型して、レンズシートを得る。
前記レンズ切片を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、透明な基板への接着性、及び適切な光学特性を含む、様々な特性を有する必要がある。少なくとも、従来技術のフォトレジストで形成されたマイクロレンズアレーの中には、光学スペクトルの青色端での光学的透過率に劣るものがあり、レンズの用途によっては、不適である。
本発明の感光性組成物は、熱的にも光化学的にも、低い黄化性を有するため、従来の不具合を解消でき、前記マイクロレンズアレーの製造に好適である。
【0147】
<プラズマ表示パネル>
本発明の感光性組成物は、特に、バリヤーリブ、蛍光層及び電極の画像形成法のための、プラズマ表示パネル(PDP)の製造法に用いられる写真平版工程に用いるのにも適している。
前記PDPは、気体放電による発光によって画像及び情報を表示するための平面表示装置である。この装置は、パネルの構成及び操作方法によって、2つの種類、即ちDC(直流)型とAC(交流)型が公知である。
例えば、DC型カラーPDPの原理を簡潔に説明する。該DC型カラーPDPでは、2枚の透明な基板(一般的にはガラス板)が空間を介して配置され、この空間は、透明基板の間に挿入された格子状のバリヤーリブによって、多数の微細なセルに分割されている。個々のセルには、放電気体、例えば、He又はXeが密閉されている。各セルの後方の壁には、蛍光層が存在し、放電気体の放電によって生成された紫外光によって励起されると、三原色からなる可視光を発する。2枚の基板の内面には、関連するセル越しに互いに対向するよう、電極が配置されている。一般に、陰極は、NESAガラスのような透明な導電性材料の薄膜で形成される。前壁及び後壁に形成されたこれらの電極間に、高電圧が印加された際に、セル内に密閉された放電気体がプラズマ放電を誘発し、結果的に放射される紫外光によって、赤、青及び緑色の蛍光要素を励起して発光し、画像を表示する。フルカラー表示系では、それぞれ、上記の赤、青及び緑色の3原色の3種類の蛍光要素は、連帯して、1つの画素を形成する。
前記DC型PDPにおけるセルは、格子構造のバリヤーリブによって分割されているのに対し、前記AC型PDPにおけるセルは、基板面に互いに平行に配置されたバリヤーリブによって分割されている。いずれの場合も、セルは、バリヤーリブによって分割されている。これらのバリヤーリブは、発光放電を固定された領域内に閉じ込めることにより、隣接する放電セル間の誤った放電又はクロストークを除外し、理想的な表示を確保することを目的として設けられている。
【0148】
<印刷インク>
光硬化は、印刷技術において非常に重要であるが、それは、インクの乾燥時間が、図画生産物の生産速度にとって重要な要因であり、1秒の何分の1という次元での生産が要求されるからである。UV硬化性インクは、スクリーン印刷及びオフセット印刷に特に重要であり、本発明の感光性組成物は、このようなUV硬化性インクの材料として好適に用いることができる。
【0149】
<印刷原版>
前記印刷インクでも説明した理由から、本発明の感光性組成物は、印刷原版の製造にも非常に適している。この用途に用いる感光性組成物としては、例えば、可溶性の直鎖ポリアミド、スチレン/ブタジエン、スチレン/イソプレンゴム、及びカルボキシル基の少なくともいずれかを有するポリアクリラート、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、又はウレタンアクリラートと光重合できる単量体、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリラート、メタクリラートの少なくともいずれかの混合物、及び光開始剤を含んでなる。これらの乾燥又は湿潤系の薄膜及びプレートで、印刷された原版の陰画又は陽画を被覆して露光させ、次いで、非硬化部分を適切な溶媒又は水溶液を用いて洗い落とす。
【0150】
<その他コーティング材料>
本発明の感光性組成物を好適に用いることができる他の分野としては、金属の表面をコーティングする技術分野であり、例えば、金属の板及び管、缶、瓶のキャップのコーティングに用いるのに好適である。また、PVCを基材とする床又は壁の被覆物の重合体コーティングを、光硬化させる技術において、本発明の感光性組成物を好適に用いることができる。また、紙コーティングを光硬化する例としては、ラベル、レコードジャケット及びブックカバーの無色ワニス塗りが挙げられ、これらにも、本発明の感光性組成物を好適に用いることができる。
【0151】
<複合材料>
本発明の感光性組成物の用途として、特に好適なものとしては、複合化合物から製造された成形品を硬化させるものに用いることである。この複合化合物としては、自己支持型マトリックス材料、例えば、ガラス繊維織物、植物繊維、などからなり〔K.−P.Mieck,T.Reussmann in Kunststoffe 85(1995),366−370参照〕、これらに光硬化性の感光性組成物を含浸させる。この複合化合物を含む成形部品を、本発明の新規オキシム化合物を含む本発明の感光性組成物を用いて製造することにより、高水準の機械的安定性及び耐性を得ることができる。本発明の前記新規なオキシム化合物は、例えば、欧州特許第7,086号公報に記載のとおり、成型、含浸及びコーティング組成物における光硬化剤としても用いることができる。このような組成物の具体例としては、硬化活性及び耐黄化性に関して厳格な要件に付されるゲルコート樹脂、及び繊維強化成型品、例えば、平面的な光拡散パネル、又は長手方向若しくは横断方向に波形を有する光拡散パネルが挙げられる。このような成型品を製造する手法としては、例えば、手作業のレイアップ、吹付けレイアップ、遠心注型、又はフィラメント巻取りが挙げられ、これらは、例えば、P.H. Seldenによる“Glasfaserverstaerkte Kunststoffe”,p.610,Springer Verlag Berlin−Heidelberg−New York 1967に記載されている。これらの手法によって製造できる物品としては、例えば、ガラス繊維強化プラスチックにより両面コーティングされたボート、繊維ボード、又はチップボードパネル、管材、容器、などが挙げられる。成型、含浸及びコーティング組成物の更なる例としては、ガラス繊維(GRP)を含む成型品に対するUP樹脂ゲルコート、例えば、波形シート及びペーパーラミネート、が挙げられる。前記ペーパーラミネートは、尿素樹脂又はメラミン樹脂をベースに作製される。ラミネートの製造の前に、ゲルコートを支持体(例えば、薄膜)上に形成する。本発明の感光性組成物は、樹脂の注型、又は物品、例えば、電子部品の埋め込みなどにも好適に用いることができる。
【0152】
<その他の用途>
本発明の感光性組成物は、ホログラフィ、導波路、光学スイッチの製造に用いることができ、照射領域と非照射領域との間の屈折率の差が良好に発生する利点を有するため、これらの製造に好適に用いることができる。
【0153】
本発明の感光性組成物は、結像手法、及び情報担体の光学的形成のための光硬化性組成物としての使用にも適している。このような用途では、上述のとおり、支持体に設けられた感光層(湿潤又は乾燥)を、例えば光マスクを通して、UV又は可視光で画像のとおりに照射して露光し、感光層の非照射領域を、現像液で処理して除去する。金属への感光性組成物の塗布は、電着によって実施することもできる。露光領域は、架橋によって重合体になるため、現像液に不溶性であり、支持体に残留する。このようにして、適切な着色が可視的な画像を生成する。前記支持体が金属であるときは、露光及び現像の後に、非露光領域をエッチング除去するか、又は電気めっきすることにより、前記金属を強化することができる。このようにして、電子回路及びフォトレジストを製造することができる。
【0154】
本発明の感光性組成物を、画像形成材料に用いた場合は、本発明のオキシム化合物は、いわゆるプリントアウト画像を生成するので、UV照射で色の変化が誘発される優れた性能を画像形成材料に付与することができる。このようなプリントアウト画像を形成するには、異なる染料又はそのロイコ形態が用いられ、このようなプリントアウト画像系についての具体例としては、国際公開第96/41,240号パンフレット、欧州特許第706,091号公報、欧州特許第511,403号公報、米国特許第3,579,339号、米国特許第4,622,286号明細書などに記載されている。
【0155】
本発明の感光性組成物は、更に、逐次積層法により製造される多層回路板の誘電体操を形成するために好適に用いることができる。
【0156】
本発明は、上記のように、着色及び非着色塗料、ワニス、粉末コーティング、印刷インク、印刷原版、接着剤、ゲルコート、歯科組成物、電子工学用のフォトレジスト(例えば、電気メッキレジスト、エッチングレジスト、液状及び乾燥薄膜の双方、はんだレジストを製造するためのフォトレジスト)、種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するため、プラズマ表示パネル、電気発光表示装置、LCD(例えば、層間絶縁層、スペーサ、マイクロレンズアレー)の製造工程において、構造(例えば、バリヤーリブ、リン層、電極)を形成するためのレジストとして好適に用いられる。また、電気及び電子部品を封入するための組成物として好適に用いられる。また、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光学スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、及びスクリーン印刷用ステンシルを製造するために好適に用いられる。また、ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するために用いられる。特に、ホログラフィ記録用の画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、及び画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを用いた画像記録材料として、好適に用いられる。
【0157】
(本発明の感光性組成物の光重合方法)
本発明の感光性組成物を光重合する方法としては、少なくとも、露光工程を含み、必要に応じて、現像工程、加熱処理などのその他の工程を含む。
〔写真材料用積層体の形成〕
本発明の感光性組成物を用いて光重合を行う際には、前記感光性組成物からなる感光層は、基体上へ積層されて積層体を形成していることが好ましい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記写真情報の記録に用いられる基材としては、例えば、ポリエステルの薄膜、酢酸セルロース又は重合体被覆した紙、などが挙げられる。前記オフセット印刷用紙のための基材としては、特別に処理されたアルミニウムなどが挙げられる。前記プリント回路の製造のための基材としては、銅クラッドラミネーなどが挙げられ、集積回路の製造のための基板としては、例えば、ケイ素ウエハーなどが挙げられる。
前記写真材料及びオフセット印刷用紙のための感光層の厚みとしては、一般的には、約0.5〜10μmであるが、プリント回路のためには、0.1〜100μmが好ましい。
【0158】
前記積層体の製造方法としては、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明の感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
【0159】
前記第1の態様の積層体の製造方法は、前記基体上に、前記感光性組成物を塗布及び乾燥して感光層を形成する方法である。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感光性組成物を含む溶液又は懸濁液を塗布し乾燥する方法などが挙げられる。
前記感光性組成物溶液の溶媒及びその濃度としては、感光性組成物の種類及びコーティング方法に応じて適宜に選択することができる。該溶媒は、不活性である必要があり、即ち、該感光性組成物中の各成分との化学的反応を生じてはならず、塗布後に、乾燥の際に除去できる必要がある。
前記溶媒としては、例えば、ケトン、エーテル、エステルが好ましい。具体的には、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピルアセタート、メチル−3−メトキシプロピオナート、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、乳酸エチル、などが好適に挙げられる。
前記感光性組成物溶液の塗布方法としては、公知のコーティング手法、例えば、スピンコーティング、浸漬コーティング、へらコーティング、カーテンコーティング、ブラシ塗装;吹付け、特に静電吹付け及び逆ロールコーティング;電気泳動沈着、などが挙げられ、これらの手法により、基材に均一に塗布することができる。
前記感光性組成物溶液の塗布量(感光層の厚み)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するのが好ましい。前記感光層の厚みとしては、一般的には、0.1μm以上であり、100μm以上が好ましい。また、0.1μm〜1cmがより好ましく、0.5μm〜1,000μmが更に好ましい。
【0160】
前記第2の態様の積層体の製造方法は、前記基体の表面に前記感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する方法である。なお、前記感光性フィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
【0161】
〔露光工程〕
前記露光工程は、本発明の感光性組成物を用いて形成された感光層に対し、露光を行う工程である。
本発明の感光性組成物では、感光度を、150〜600nmの範囲、例えば、190〜600nm(UV〜可視領域)に調製することができる。放射線として好ましいものとしては、例えば、日光、人工光源からの光、などが挙げられる。前記光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、点光源及びアレー(「ランプカーペット」)が好適であり、炭素アーク灯、キセノンアーク灯、金属ハロゲン化物のドーピングを有し得る(金属ハロゲン灯)、低、中、高及び超高圧水銀灯、マイクロ波で励起される金属蒸気灯、エキシマーランプ、スーパーアクチニック蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、電子閃光、写真用フラッドランプ、発光ダイオード(LED)、電子ビーム、X線、などが挙げられる。前記ランプと、露光しようとする感光層との間の距離は、意図される用途、並びに、ランプの種類及び出力に応じて変動してよく、例えば、2〜150cmが好ましい。前記レーザ光源としては、例えば、エキシマーレーザが好ましく、この中でも、例えば、157nm露光でのFエキシマーレーザ、248nmでの露光用のKrFエキシマーレーザ、193nmでの露光用のArFエキシマーレーザ、が好適に挙げられる。また、可視領域でのレーザも、用いることができる。
【0162】
前記感光層に対して画像の通り(imagewise)に露光を行うための、前記露光としては、所定のパターンを含む光マスク(例えば、スライド、クロムマスク、ステンシルマスク、レチクル)を通して露光を行うアナログ露光と、例えば、本発明の感光性組成物から形成された感光層の表面上をコンピュータ制御下で移動することによる露光を行うデジタル露光とが挙げられる。このようにして画像を生じるレーザ又は光ビームによる露光との双方を包含する。この目的に適したUVレーザ露光系は、例えば、Etec及びOrbotech (DP−100(登録商標)DIRECT IMAGING SYSTEM)により提供される。そして、コンピュータ制御照射としては、また、電子ビームによっても達成される。例えば、A.Bertsch,J.Y.Jezequel,J.C.Andreが、Journal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 1997,107,p.271−181に記載したように、また、K.−P. Nicolayが、Offset Printing 1997,6,p.34−37に記載したように、デジタル画像を生成するよう画素ごとに対応できる液晶製マスクを用いることもできる。
【0163】
〔加熱処理工程〕
前記加熱処理工程としては、前記露光工程が行われた後、現像の前に、加熱処理(先焼付け)を行う工程と、後述する現像工程の後、加熱処理(後焼付け)を行う工程とが挙げられる。該加熱処理(後焼付け)を行うと、硬化膜を硬化させ、溶媒を除去することができる。
前記加熱処理に用いられる温度としては、50〜250℃が好ましく、80〜220℃がより好ましい。前記加熱処理時間としては、0.25〜60分間が好ましい。
【0164】
〔現像工程〕
前記現像工程は、前記露光工程後に、前記感光層の未露光部分を現像液を用いて除去する工程である。
前述のように、本発明の感光性組成物は、水性アルカリ又は有機溶媒によって現像することができる。前記水性アルカリ現像液としては、水酸化テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、炭酸塩の水溶液が好適に挙げられる。少量の湿潤剤及び有機溶媒の少なくともいずれかを、必要に応じて溶液に加えてもよい。このような現像液に少量加えてよい代表的な有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、2−エトキシエタノール、トルエン、アセトン、及びこれらの混合物、が挙げられる。
また、基材に応じて、有機溶媒、又は上述のような有機溶媒とアルカリ水溶液との混合物も、現像液として用いることができる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチル−3−エトキシプロピオナート、メチル−3−メトキシプロピオナート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチルラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン、などが挙げられる。必要に応じて、透明な溶液が得られ、感光性組成物の非露光領域の充分な溶解度が保たれる範囲内であれば、これらの溶媒に水を加えることができる。
【0165】
本発明の感光性組成物は、例えば、ドイツ国特許第4,013,358号公報に記載のように、印刷原版又はフォトレジストを製造する方法に追加的に用いてもよい。そのような方法では、その組成物を、画像のとおりの照射の前か、それと同時か、又はその後に、少なくとも400nmの波長を有する可視光に、マスクなしに短時間露光させる。
【0166】
本発明の感光性組成物は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する単量体又はオリゴマーなどの重合体化合物の光重合方法に好適に用いることができる。これらの化合物に、前記一般式(A−1)で表される本発明のオキシム化合物の少なくとも1種を光重合開始剤として添加し、前記一般式(B−1)で表される増感剤を添加し、得られた感光性組成物を電磁放射線(好ましくは波長150〜600nm、より好ましくは190〜600nmの光)、電子ビーム又はX線で照射することを含む方法などに好適に用いることができる。
【0167】
本発明の感光性組成物は、更に、少なくとも一方の面を上記の組成物で被覆された被覆基材を提供し、また、被覆基材に対して画像のとおりの露光を行い、次いで、非露光部分を現像液で除去する工程を含む、レリーフ像の写真的製造方法にも用いることができる。前記露光としては、前述のアナログ露光であってもよいし、レーザ又は電子ビームを用いる前述のデジタル露光であってもよい。これらの中でも、レーザを用いる前記デジタル露光が好ましい。
【0168】
また、本発明の感光性組成物は、熱安定性が良好で、揮発性が低く、光重合後の黄化がわずかである点で、空気(酸素)の存在下での光重合にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0169】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0170】
(実施例1)
−感光性組成物の調製−
下記組成を混合撹拌して、実施例1の感光性組成物溶液を調製した。なお、全ての操作は黄色光下で実施した。
〔感光性組成物溶液の組成〕
・バインダー(a)
ベンジルメタアクリレートとメタクリル酸のコポリマー(ベンジルメタアクリレート:メタクリル酸=75質量%:25質量%)30質量%PGMEA溶液・・・100質量部
・重合性化合物(b)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)・・・20質量部
・光重合開始剤(c)・・・1質量部
下記式10で表される化合物
【化57】

・増感剤(d)・・・0.2質量部
下記式で表される例示化合物No.33
【化58】

式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。
・添加剤(e)(界面活性剤:ドデシルスルホン酸ナトリウム)・・・0.1質量部
・溶媒(PGMEA)・・・80質量部
【0171】
−感光層の形成−
前記で得られた感光性組成物溶液を、表面を研磨、水洗、乾燥したシリコーンウエハー上に塗布し、対流式オーブン内で80℃、15分間加熱することにより、溶媒を除去して乾燥させて、厚み2μmの感光層を形成した。
【0172】
−パターンの形成−
半導体レーザ露光装置(中心発信波長405nm)INPREX IP−3000(富士フイルム株式会社製、ピクセルピッチ=1.0μm)を用いて、0.1mJ/cmから21/2倍間隔で60mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して2重露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて60秒間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。該感度曲線から、硬化領域の厚みが元の90%以上となった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量とした。
【0173】
<感度の評価>
上記パターン形成と同条件での評価を繰り返し行い、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量の平均値を、本発明の感度として評価した。なお、値が小さいほど感度が高く、短時間で硬化させることができることを示す。結果を表1に示す。
【0174】
(実施例2)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式22で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.4とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化59】

【化60】

式中、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
【0175】
(実施例3)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式17で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.34とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化61】

【化62】

式中、Phはフェニル基、Etはエチル基を表す。
【0176】
(実施例4)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式19で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.4とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化63】

式中、Meはメチル基を表す。
【化64】

式中、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
【0177】
(実施例5)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式24で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.33とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化65】

【化66】

式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。
【0178】
(実施例6)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式25で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.19とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化67】

【化68】

式中、Phはフェニル基を表す。
【0179】
(実施例7)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式26で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.4とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化69】

【化70】

式中、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
【0180】
(実施例8)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式23で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.34とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化71】

式中、Meはメチル基を表す。
【化72】

式中、Phはフェニル基、Etはエチル基を表す。
【0181】
(実施例9)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式1で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.1とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化73】

【化74】

【0182】
(実施例10)
実施例1において、光重合開始剤(c)として下記式10で表される化合物と、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.1とを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化75】

【化76】

【0183】
(比較例1)
実施例1において、光重合開始剤(c)を添加せず、増感剤(d)として下記式で表される例示化合物No.4を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化77】

式中、t−Buはターシャリーブチル基を表す。
【0184】
(比較例2)
実施例1において、増感剤(d)を添加せず、光重合開始剤(c)として下記式24で表される化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化78】

【0185】
(比較例3)
実施例1において、増感剤(d)を添加せず、光重合開始剤(c)として下記式25で表される化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化79】

式中、Etはエチル基を表す。
【0186】
(比較例4)
実施例1において、増感剤(d)を添加せず、光重合開始剤(c)として下記式10で表される化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化80】

【0187】
【表1】

表1の結果から、実施例1〜10は、本発明の光重合開始剤と増感剤を用いることにより、光重合開始剤及び増感剤のいずれか一方のみを用いた比較例1〜4に比べて感度が大幅に向上することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明の感光性組成物は、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、該重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度な感光性組成物を得ることが可能である。そのため、印刷インク、透明仕上げ材料、粉末コーティング材料、建築物のマーキング、道路マーキング、写真複製手法、ホログラフ記録の材料、画像記録手法、有機溶媒又は水性アルカリで現像できる印刷原版の製造、スクリーン印刷マスクの製造のための日光硬化性コーティング材料、歯科充填用組成物、接着剤、感圧接着剤、積層用樹脂、液体又はフィルム状のエッチングレジスト、はんだレジスト、電気めっきレジスト、永久レジスト、プリント回路板や電子回路用の光構成性誘電体、などに用いることができる。また、様々な表示用途用材料、プラズマ表示パネルや電気発光表示装置の製造工程での構造の形成材料、カラーフィルタ、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)、光回路製造用材料、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)又はステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造用材料、スチレン系ポリエステル、などの複合材料、その他の厚層組成物の製造用材料、電子部品及び集積回路のコーティング又は密封用のレジスト、光ファイバー形成用材料、光学レンズ製造用コーティング材料、などに用いることができる。更に、医用機器、補助具、インプラントの製造、サーモトロピック特性を有するゲルの製造、乳化重合、パール重合、懸濁重合のための開始剤として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーと、重合性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、前記光重合開始剤が下記一般式(A−1)で表される化合物であり、前記増感剤が下記一般式(B−1)で表される化合物であることを特徴とする感光性組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(A−1)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、該Rは置換基で更に置換されていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、及びシアノ基のいずれかを表し、Arは、芳香族環、及び複素芳香族環のいずれかを表し、ArとRは互いに結合して環を形成してもよい。nは、0又は1を表す。
【化2】

ただし、前記一般式(B−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、該Rと該Rとは、それぞれが結合している硫黄原子と共に非金属元素からなる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。G及びGは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、シアノ基、カルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルロオアルキルスルホニル基のいずれかを表し、該Gと該Gとは、それぞれが結合している炭素原子と共に、非金属原子からなるメロシアニン色素で酸性核として用いられる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。ただし、G及びGのいずれかは、カルボニル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基のいずれかを表す。pは、0〜2のいずれかの整数を表す。
【請求項2】
一般式(A−1)で表される化合物が、下記一般式(A−2)で表される化合物である請求項1に記載の感光性組成物。
【化3】

ただし、前記一般式(A−2)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。mは、0以上の整数を表し、該mが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。Aは、5員環、6員環、及び7員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【請求項3】
一般式(A−2)で表される化合物が、下記一般式(A−3)及び(A−4)のいずれかで表される化合物である請求項2に記載の感光性組成物。
【化4】

【化5】

ただし、前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表し、該Rは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。lは、0〜6の整数を表し、該lが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Aは、5員環及び6員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【請求項4】
一般式(B−1)で表される化合物が、下記一般式(B−2)で表される化合物である請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
【化6】

ただし、前記一般式(B−2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、及びハロゲン原子のいずれかを表し、該R及び該Rは、互いに連結し芳香族環を形成していてもよく、更に該芳香族環上にアルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子の少なくともいずれかを有していてもよい。R10及びR11は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Yは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。

【公開番号】特開2008−197370(P2008−197370A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32308(P2007−32308)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】