説明

感度温度特性調整回路

【課題】感度温度特性調整回路において、センサの感度温度特性を調整した後にゲインを再調整する必要をなくす。
【解決手段】並列に接続された、複数の異なる温度特性を有する同値抵抗5、6のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を切換スイッチSa、Sbで選択的に切り換えることにより、感度温度特性調整回路1のゲイン温度特性を調整して、センサの感度温度特性を調整するようにした。これにより、センサの感度温度特性を調整した場合でも、この調整回路1内のオペアンプ2の基準温度における入力抵抗値R0と帰還抵抗値Rが変化しないので、基準温度における感度温度特性調整回路1のゲインの値が変化しない。従って、センサの感度温度特性の調整後に、感度温度特性調整回路1のゲインを調整する必要性を減じることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象となる物理量に応じた値の電圧信号を出力するセンサの感度温度特性を調整する感度温度特性調整回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象となる物理量に応じた値の電圧信号を出力するセンサと接続されて、このセンサの感度温度特性を調整する感度温度特性調整回路が知られている。例えば、特許文献1に記載されたセンサ用温度特性補正回路装置は、感度温度係数(感度温度特性)調整回路に加えて、センサ部(圧力センサ)の感度を補正する感度調整回路と、感度調整回路のゲイン(増幅率)を切り換えるためのアナログスイッチとを備えている。また、このセンサ用温度特性補正回路装置は、上記の感度温度係数調整回路内のオペアンプの入力抵抗値と帰還抵抗値の比を切り換えることにより、感度温度係数調整回路のゲイン温度特性(増幅率の温度特性)を切り換えるためのアナログスイッチを備えている。
【0003】
上記のセンサ部に物理量(外部からの圧力)が加わると、センサ部から物理量に応じた値の電圧信号が出力される。上記の温度特性補正回路装置は、この電圧信号を、上記の感度調整回路及び感度温度係数調整回路を用いて補正し、補正後の電圧信号を出力する。これにより、センサ部を構成する回路素子のばらつきに起因して、センサ部の感度や感度温度特性が変化した場合でも、ラッチメモリ等からの出力信号でアナログスイッチを切り換えることにより、センサ部の感度をほぼ一定に保てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−42870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のセンサ部の感度温度特性を補正するために、感度温度係数調整回路のゲイン温度特性(抵抗温度係数)をアナログスイッチで切り換えた場合には、この回路内の入力抵抗値と帰還抵抗値の比も変化するため、この回路のゲインの値が変化してしまう。このため、この感度温度係数調整回路を有する温度特性補正回路装置全体のゲインの値が変化してしまう。従って、たとえ事前に感度調整回路によりセンサ部の感度(装置全体のゲイン)の調整が完了していたとしても、その後に感度温度係数調整回路により感度温度特性を補正(調整)した場合には、感度調整回路により装置全体のゲインを再調整する必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、センサの感度温度特性を調整した場合でも、その後にゲインを再調整する必要のない感度温度特性調整回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の感度温度特性調整回路は、対象となる物理量に応じた値の電圧信号を出力するセンサの感度温度特性を調整する感度温度特性調整回路において、前記センサから入力された電圧信号を増幅して出力するオペアンプと、このオペアンプに接続された帰還抵抗部と入力抵抗とを備え、前記帰還抵抗部は、互いに異なる温度特性を有し、並列に接続された、複数の同じ抵抗値を持つ同値抵抗と、これら複数の同値抵抗のうち、前記オペアンプの帰還抵抗として用いる同値抵抗を選択的に切り換えるための切換スイッチとを含むことを特徴とする。ここで、「同値抵抗」とは、基準温度において同じ抵抗値を持つ抵抗を意味する。
【0008】
この感度温度特性調整回路において、前記帰還抵抗部を複数備え、これら複数の帰還抵抗部が直列に接続されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感度温度特性調整回路によれば、並列に接続された、複数の異なる温度特性を有する同値抵抗のうち、オペアンプの帰還抵抗として用いる同値抵抗を切換スイッチで選択的に切り換えることにより、回路のゲイン温度特性を調整して、センサの感度温度特性を調整(補正)するようにした。これにより、この調整回路のゲイン温度特性を調整する(センサの感度温度特性を調整する)ために、オペアンプの帰還抵抗として用いる同値抵抗を切換スイッチで切り換えた場合でも、この調整回路内のオペアンプの(基準温度における)入力抵抗値と帰還抵抗値が変化しないので、基準温度における感度温度特性調整回路の増幅率(ゲインの値)が変化しない。従って、センサの感度温度特性の調整後に、この調整回路のゲインを調整する必要性を減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る感度温度特性調整回路の回路構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る感度温度特性調整回路の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態による感度温度特性調整回路について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態による感度温度特性調整回路(以下、「調整回路」と略す)の回路構成を示す。この調整回路1は、対象となる物理量に応じた値の電圧信号を出力するセンサ(例えば、外部からの圧力に応じた値の電圧信号を出力する圧力センサ)と電気的に接続されて、このセンサの感度温度特性を調整する回路である。この調整回路1は、センサから入力された電圧信号を増幅して出力するオペアンプ2と、このオペアンプ2に接続された帰還抵抗部3と入力抵抗4とを備え、オペアンプ2と帰還抵抗部3と入力抵抗4とにより構成された反転増幅回路である。
【0012】
上記の帰還抵抗部3は、互いに異なる温度特性を有し、並列に接続された、複数の同じ抵抗値Rを持つ同値抵抗5、6と、これら2つの同値抵抗5、6のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を選択的に切り換えるための切換スイッチSa,Sbを含む。これらの切換スイッチSa,Sbは、例えばMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)等で構成されている。なお、上記の「同値抵抗」とは、基準温度において同じ抵抗値を持つ抵抗を意味する。
【0013】
上記のオペアンプ2の正相(+)側の入力ピンには、基準電圧Vrefが入力される。また、オペアンプ2の逆相(−)側の入力ピンは、入力抵抗4を介して、センサに接続されており、この逆相側の入力ピンには、基準電圧Vrefにセンサからの電圧信号Viを重畳した電圧(Vref+Vi)が入力される。オペアンプ2は、上記の正相側の入力ピンに入力される基準電圧Vrefと、入力抵抗4を介して逆相側の入力ピンに入力される電圧(Vref+Vi)との差分の電圧である入力電圧信号Viを、入力抵抗値と帰還抵抗値との比で決定される電圧増幅率Aで増幅する。そして、この入力電圧信号Viを電圧増幅率Aで増幅した信号を出力電圧信号Vとして出力する。
【0014】
入力抵抗4の抵抗温度係数TCR0、及び帰還抵抗部3内の同値抵抗5の抵抗温度係数TCRaを考慮すると、上記の電圧増幅率A(調整回路1のゲインG)は、切換スイッチSaがオンの場合には、下記の(1)式のように表される。
G=R(1+TCRa・T)/R0(1+TCR0・T)
≒(R/R0){1+(TCRa−TCR0)・T}・・・(1)
ただし、上式におけるR0、Rは、それぞれ入力抵抗4、同値抵抗5の基準温度における抵抗値を表し、Tは、基準温度からの温度差を表す。また、TCRa<<1、TCR0<<1とする。
【0015】
また、入力抵抗4の抵抗温度係数TCR0、及び帰還抵抗部3内の同値抵抗6の抵抗温度係数TCRbを考慮すると、上記の電圧増幅率A(調整回路1のゲインG)は、切換スイッチSbがオンの場合には、下記の(2)式のように表される。
G=R(1+TCRb・T)/R0(1+TCR0・T)
≒(R/R0){1+(TCRb−TCR0)・T}・・・(2)
ただし、上式におけるR0、Rは、それぞれ入力抵抗4、同値抵抗5の基準温度における抵抗値を表し、Tは、基準温度からの温度差を表す。また、TCRb<<1、TCR0<<1とする。
【0016】
上記の(1)式と(2)式より、切換スイッチSaがオンのときの調整回路1のゲイン温度特性は、{1+(TCRa−TCR0)・T}であり、切換スイッチSbがオンのときの調整回路1のゲイン温度特性は、{1+(TCRb−TCR0)・T}である。本調整回路1は、上記の2種類のゲイン温度特性を用いて、センサの感度温度特性を補正(調整)する。より詳細に言うと、本調整回路1では、切換スイッチSa,Sbで、調整回路1自体のゲイン温度特性を切り換える(変更する)ことにより、センサの感度温度特性を設計値に近づけるように補正することができる。従って、上記の調整回路1のゲイン温度特性({1+(TCRa−TCR0)・T}、又は{1+(TCRb−TCR0)・T})は、センサの感度温度特性に対する補正値でもある。このことから、本調整回路1は、センサの感度温度特性に対する補正値を切換スイッチSa,Sbで変更することができるようにしたものであるとも言える。
【0017】
第1の実施形態の調整回路1によれば、並列に接続された、複数の異なる温度特性を有する同値抵抗5、6のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を切換スイッチSa,Sbで切り換えることにより、調整回路1のゲイン温度特性を調整して、センサの感度温度特性を調整(補正)するようにした。これにより、調整回路1のゲイン温度特性を調整する(センサの感度温度特性を調整する)ために、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗5、6を切り換えた場合でも、調整回路1内のオペアンプ2の(基準温度における)入力抵抗値R0と帰還抵抗値Rが変化しないので、基準温度における調整回路1のゲインの値(R/R0)が変化しない。従って、調整回路1のゲイン温度特性の調整(センサの感度温度特性の調整)後に、調整回路1のゲインを調整する必要性を減じることができる。
【0018】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態による調整回路1の回路構成を示す。本実施形態の調整回路1は、2つの帰還抵抗部31、32を備え、これら2つの帰還抵抗部31、32が直列に接続されている点が、上記第1の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0019】
上記の帰還抵抗部31は、互いに異なる温度特性を有し、並列に接続された、複数の同じ抵抗値R1を持つ同値抵抗51、61を有している。また、帰還抵抗部31は、2つの同値抵抗51、61のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を切り換えるための切換スイッチSa1,Sb1を含んでいる。
【0020】
上記の帰還抵抗部32は、互いに異なる温度特性を有し、並列に接続された、複数の同じ抵抗値R2を持つ同値抵抗52、62を有している。また、帰還抵抗部32は、2つの同値抵抗52、62のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を選択的に切り換えるための切換スイッチSa2,Sb2を含んでいる。
【0021】
オペアンプ2は、正相側の入力ピンに入力される基準電圧Vrefと、入力抵抗4を介して逆相側の入力ピンに入力される電圧(Vref+Vi)との差分の電圧である入力電圧信号Viを、入力抵抗値と帰還抵抗値との比で決定される電圧増幅率Aで増幅する。そして、この入力電圧信号Viを電圧増幅率Aで増幅した信号を出力電圧信号Vとして出力する。ただし、図2中の反転増幅回路では、帰還抵抗が、2つの直列に接続された帰還抵抗部31、32から構成されている。このため、その帰還抵抗値Rは、帰還抵抗部31における同値抵抗51又は同値抵抗61の抵抗値R1と、帰還抵抗部32における同値抵抗52又は同値抵抗62の抵抗値R2とを加算した抵抗値(R1+R2)になる。
【0022】
上記の電圧増幅率A(調整回路1のゲインG)は、入力抵抗4の抵抗温度係数TCR0、及び同値抵抗51、52の抵抗温度係数TCRaを考慮すると、切換スイッチSa1、Sa2がオンの場合には、下記の(3)式のように表される。
G={R1(1+TCRa・T)+R2(1+TCRa・T)}/R0(1+TCR0・T)
≒(R/R0){1+(TCRa−TCR0)・T}・・・(3)
ただし、上式におけるR0、R1、R2は、それぞれ入力抵抗4、同値抵抗51、同値抵抗52の基準温度における抵抗値を表し、Tは、基準温度からの温度差を表す。また、R=R1+R2であり、TCRa<<1、TCR0<<1とする。
【0023】
また、上記の電圧増幅率A(調整回路1のゲインG)は、入力抵抗4の抵抗温度係数TCR0、及び同値抵抗61、62の抵抗温度係数TCRbを考慮すると、切換スイッチSb1、Sb2がオンの場合には、下記の(4)式のように表される。
G={R1(1+TCRb・T)+R2(1+TCRb・T)}/R0(1+TCR0・T)
≒(R/R0){1+(TCRb−TCR0)・T}・・・(4)
ただし、上式におけるR0、R1、R2は、それぞれ入力抵抗4、同値抵抗61、同値抵抗62の基準温度における抵抗値を表し、Tは、基準温度からの温度差を表す。また、R=R1+R2であり、TCRb<<1、TCR0<<1とする。
【0024】
また、上記の電圧増幅率A(調整回路1のゲインG)は、入力抵抗4の抵抗温度係数TCR0、及び同値抵抗51、62の抵抗温度係数TCRa、TCRbを考慮すると、切換スイッチSa1、Sb2がオンの場合には、下記の(5)式のように表される。
G={R1(1+TCRa・T)+R2(1+TCRb・T)}/R0(1+TCR0・T)
≒(R/R0)[1+{(R1/R)・TCRa+(R2/R)・TCRb−TCR0}・T]・・・(5)
ただし、上式におけるR0、R1、R2は、それぞれ入力抵抗4、同値抵抗51、同値抵抗62の基準温度における抵抗値を表し、Tは、基準温度からの温度差を表す。また、R=R1+R2であり、TCRa<<1、TCRb<<1、TCR0<<1とする。
【0025】
また、上記の電圧増幅率A(調整回路1のゲインG)は、入力抵抗4の抵抗温度係数TCR0、及び同値抵抗61、52の抵抗温度係数TCRa、TCRbを考慮すると、切換スイッチSb1、Sa2がオンの場合には、下記の(6)式のように表される。
G={R1(1+TCRb・T)+R2(1+TCRa・T)}/R0(1+TCR0・T)
≒(R/R0)[1+{(R1/R)・TCRb+(R2/R)・TCRa−TCR0}・T]・・・(6)
ただし、上式におけるR0、R1、R2は、それぞれ入力抵抗4、同値抵抗61、同値抵抗52の基準温度における抵抗値を表し、Tは、基準温度からの温度差を表す。また、R=R1+R2であり、TCRa<<1、TCRb<<1、TCR0<<1とする。
【0026】
上記の(3)式より、切換スイッチSa1、Sa2がオンのときの調整回路1のゲイン温度特性は、{1+(TCRa−TCR0)・T}である。上記の(4)式より、切換スイッチSb1、Sb2がオンのときの調整回路1のゲイン温度特性は、{1+(TCRb−TCR0)・T}である。上記の(5)式より、切換スイッチSa1、Sb2がオンのときの調整回路1のゲイン温度特性は、[1+{(R1/R)・TCRa+(R2/R)・TCRb−TCR0}・T]である。上記の(6)式より、切換スイッチSb1、Sa2がオンのときの調整回路1のゲイン温度特性は、[1+{(R1/R)・TCRb+(R2/R)・TCRa−TCR0}・T]である。
【0027】
本調整回路1は、上記の4種類のゲイン温度特性を用いて、センサの感度温度特性を補正(調整)する。より詳細に言うと、本調整回路1では、切換スイッチSa1、Sa2、Sb1、Sb2を用いて、調整回路1自体のゲイン温度特性を切り換える(変更する)ことにより、センサの感度温度特性を設計値に近づけるように補正することができる。従って、上記の調整回路1の4種類のゲイン温度特性は、センサの感度温度特性に対する補正値でもある。このことから、本調整回路1は、センサの感度温度特性に対する補正値を切換スイッチSa1、Sa2、Sb1、Sb2で変更することができるようにしたものであるとも言える。
【0028】
第2の実施形態の調整回路1によれば、上記第1の実施形態の調整回路1に比べて、切換スイッチSa1、Sa2、Sb1、Sb2により切り換え可能な(調整回路1の)ゲイン温度特性の種類が増すので、センサの感度温度特性に対する補正値の種類も増す。このため、上記第1の実施形態の調整回路1に比べて、センサの感度温度特性に対する補正をより精度良く行うことが可能になる。
【0029】
さらにまた、第2の実施形態の調整回路1によれば、帰還抵抗部31において、並列に接続された、2つの異なる温度特性を有する同値抵抗51、61のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を切換スイッチSa1,Sb1で切り換えるようにした。また、帰還抵抗部32において、並列に接続された、2つの異なる温度特性を有する同値抵抗52、62のうち、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗を切換スイッチSa2,Sb2で切り換えるようにした。これらの帰還抵抗として用いる同値抵抗の切り換えにより、調整回路1のゲイン温度特性を調整して、センサの感度温度特性を調整(補正)することができる。これにより、調整回路1のゲイン温度特性を調整する(センサの感度温度特性を調整する)ために、オペアンプ2の帰還抵抗として用いる同値抵抗51、61、52、62を切り換えた場合でも、調整回路1内のオペアンプ2の(基準温度における)入力抵抗値R0と帰還抵抗値R(=R1+R2)が変化しないので、基準温度における調整回路1のゲインの値(R/R0)が変化しない。従って、調整回路1のゲイン温度特性の調整(センサの感度温度特性の調整)後に、調整回路1のゲインを調整する必要性を減じることができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記第1及び第2の実施形態では、並列に接続された2つの異なる温度特性を有する同値抵抗のうち、オペアンプの帰還抵抗として用いる同値抵抗を切り換えるようにした。けれども、並列に接続された3つ以上の異なる温度特性を有する同値抵抗のうち、オペアンプの帰還抵抗として用いる同値抵抗を切り換えるようにしてもよい。これにより、上記第1及び第2の実施形態の調整回路に比べて、切り換え可能な(調整回路の)ゲイン温度特性の種類が増すので、センサの感度温度特性に対する補正値の種類も増す。このため、上記第1及び第2の実施形態の調整回路に比べて、センサの感度温度特性に対する補正をより精度良く行うことが可能になる。
【0031】
また、上記第2の実施形態では、オペアンプの帰還抵抗が、2つの直列に接続された帰還抵抗部により構成されている場合の例を示したが、3つ以上の直列に接続された帰還抵抗部により構成されていてもよい。この構成においても、上記第2の実施形態の調整回路に比べて、切り換え可能な(調整回路の)ゲイン温度特性の種類が増すので、センサの感度温度特性に対する補正値の種類も増す。このため、上記第2の実施形態の調整回路に比べて、センサの感度温度特性に対する補正をより精度良く行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0032】
1 調整回路(感度温度特性調整回路)
2 オペアンプ
3、31、32 帰還抵抗部
4 入力抵抗
5、6、51、52、61、62 同値抵抗
Sa、Sb、Sa1、Sa2、Sb1、Sb2 切換スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる物理量に応じた値の電圧信号を出力するセンサの感度温度特性を調整する感度温度特性調整回路において、
前記センサから入力された電圧信号を増幅して出力するオペアンプと、このオペアンプに接続された帰還抵抗部と入力抵抗とを備え、
前記帰還抵抗部は、互いに異なる温度特性を有し、並列に接続された、複数の同じ抵抗値を持つ同値抵抗と、これら複数の同値抵抗のうち、前記オペアンプの帰還抵抗として用いる同値抵抗を選択的に切り換えるための切換スイッチとを含むことを特徴とする感度温度特性調整回路。
【請求項2】
前記帰還抵抗部を複数備え、これら複数の帰還抵抗部が直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の感度温度特性調整回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−21527(P2013−21527A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153639(P2011−153639)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】