説明

感放射線性化合物及びフォトレジスト組成物

【課題】高感度、高解像度、高微細加工性、高い塗布溶媒溶解性等の特徴を具備するフォトレジスト組成物に好適な化合物を提供する。
【解決手段】光又は放射線の照射により酸を発生する基と中心骨格が結合して成る下記式(I)で表される感放射線性化合物。


(式中、Aは分子量が500〜5000である中心骨格であり、Bは光又は放射線の照射により酸を発生する基であり、Cは酸解離性溶解性抑止基であり、nは1〜50の整数、mは0〜50の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性化合物に関する。より詳細には、半導体等の電気・電子分野や光学分野等で用いられるフォトレジスト組成物に使用できる感放射線性化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
極端紫外光(Extream Ultra Violet Light:以下、EUVLと表記する場合がある)又は電子線によるリソグラフィーは、半導体等の製造において、高生産性、高解像度の微細加工方法として有用であり、それに用いる高感度、高解像度のフォトレジストが求められている。フォトレジストは、所望する微細パターンの生産性、解像度等の観点から、その感度を向上させることが欠かせない。
【0003】
EUVLによる超微細加工の際に用いられるフォトレジストとしては、例えば、公知のKrFレーザーによる超微細加工の際に用いられていた化学増幅型ポリヒドロキシスチレン系フォトレジストがある。このレジストでは、50nm程度までの微細加工が可能であることが知られている。しかしながら、このレジストで極端紫外光による超微細加工をし、極端紫外光による加工の最大の利点である50nm以細のパターンを作製すると、感度及びレジストアウトガスについては実用性を有するものの、最も重要であるラインエッジラフネスを低減させることができなかった。従って、極端紫外光本来の性能を十分に引き出しているとは言えず、より高性能のフォトレジストを開発することが求められていた。
【0004】
上記課題に対し、例えば、他のレジスト化合物と比較して光酸発生剤の濃度が高い化学増幅ポジ型フォトレジストを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、実施例である、ヒドロキシスチレン/スチレン/t−ブチルアクリレートからなるターポリマーからなる基材、全固形分中の少なくとも約5重量%のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムオルト−トリフルオロメチルスルフォネートからなる光酸発生剤、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド乳酸塩及び乳酸エチルからなるフォトレジストに関して、ラインエッジラフネスの観点から、電子線を用いた場合で例示された100nmまでの加工が限界であると考えられる。これは基材として用いる高分子化合物の集合体又は各々の高分子化合物分子が示す立体的形状が大きく、該作製ライン幅及びその表面粗さに影響を及ぼすことがその主原因と推定される。
【0005】
本発明者の一人は既に高感度、高解像度のフォトレジスト材料としてカリックスレゾルシナレン化合物を提案している(特許文献2及び3参照)。しかしながら、さらに、室温にてアモルファス状態である新規な低分子有機化合物が求められている。この際、半導体製造工程で問題となるエッチング耐性の向上等、諸性能の向上が並行して求められている。また、フォトレジスト基材は現行の半導体製造工程では、溶媒に溶解させて製膜工程に進めるため、塗布溶媒に対する高い溶解性が求められている。
【0006】
尚、特許文献4には、カリックスレゾルシナレン化合物が開示されているが、これらの化合物は一部溶解性が不十分と考えられる上、フォトレジスト基材としてではなく、公知の高分子からなるフォトレジスト基材に対する添加剤として加えることを特徴とする用途のみしか記載されていない。
【0007】
また、このような極微細加工が求められる世代には、レジスト基材や光酸発生剤に代表されるような添加剤の膜中の分散度もパターン形状に大きく影響してくることが報告されている(非特許文献1)。即ち、添加剤とレジスト基材が膜中で凝集を起こすことにより成分が不均一となる場所が現れ、露光の結果、ラフネスが所望の値にならないという現象が起こる。
【特許文献1】特開2002−055457号公報
【特許文献2】特開2004−191913号公報
【特許文献3】特開2005−075767号公報
【特許文献4】米国特許6093517号
【非特許文献1】J.Appl.Phys. vol1.42(2003) P.3755
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高感度、高解像度、高微細加工性、高い塗布溶媒溶解性等の特徴を具備するフォトレジスト組成物に好適な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、フォトレジスト組成物を構成するフォトレジスト基材や光酸発生剤等の成分の、溶剤における分散性を向上するためには、フォトレジスト基材となる化合物に、光又は放射線の照射により酸を発生する基(以下、酸発生基という)を導入すること、又は、フォトレジスト基材となる化合物に類似する構造を有する化合物に酸発生基を導入したものを光酸発生剤として使用することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明によれば、以下の感放射線性化合物等が提供される。
1.光又は放射線の照射により酸を発生する基が中心骨格部に結合して成る下記式(I)で表される感放射線性化合物。
【化5】

(式中、Aは分子量が500〜5000である中心骨格であり、Bは光又は放射線の照射により酸を発生する基であり、Cは酸解離性溶解性抑止基であり、nは1〜50の整数、mは0〜50の整数である。)
2.下記式(II)で表される構造を有する環状化合物である1に記載の感放射線性化合物。
【化6】

[(式中、Rはそれぞれ水素原子、水酸基、アルコキシル基、炭素数1〜12の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、フェニル基、p−フェニルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、下記式(1)で表される基、下記式(2)で表される基、又はこれら基のうち2種以上を組み合わせて構成される基である。
はそれぞれ水素、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
【化7】

(式中、Rは水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基であり、xは1〜5の整数を表す。
Arは炭素数の6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基;炭素数6〜10のアリーレン基と、アルキレン基及びエーテル基の少なくとも一方を1つ以上組み合わせた基であり、Aは単結合、アルキレン基、エーテル基、又はアルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基であり、yは0〜3の整数、zは1〜5の整数を表す。)
但し、Rの少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つは、光又は放射線の照射により酸を発生する基である。]
3.前記光又は放射線の照射により酸を発生する基が、有機酸の塩を有する基である1又は2に記載の感放射線性化合物。
4.前記光又は放射線の照射により酸を発生する基がスルホン酸のオニウム塩である1〜3のいずれかに記載の感放射線性化合物。
5.前記スルホン酸のオニウム塩が、下記式(3)〜(6)で表される基のいずれかである4に記載の感放射線性化合物。
【化8】

(式中、R11は単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、アリーレン基、エステル基、及びこれらの基が組み合わさって構成される基である。
12、R13及びR14はそれぞれ、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(カルボニル基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基又はラクトン環を含んでいても良い)、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はチオフェニル基であり、R12とR13、R13とR14、R12とR14がそれぞれ結合して環を形成しても良い。
15及びR16はそれぞれアリール基であり、R15とR16がそれぞれ結合して環を形成していても良い。
17は、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(カルボニル基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基又はラクトン環を含んでいても良い)、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数6〜20のアリール基、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数7〜20のアラルキル基、又はチオフェニル基である。)
6.上記1〜5のいずれかに記載の感放射線性化合物からなる光酸発生剤。
7.上記1〜5のいずれかに記載の感放射線性化合物を含有するフォトレジスト基材。
8.上記7に記載のフォトレジスト基材と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
9.さらに、塩基性有機化合物をクエンチャーとして含有する8に記載のフォトレジスト組成物。
10.さらに、光酸発生剤を含有する8又は9に記載のフォトレジスト組成物。
11.上記8〜10のいずれかに記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
12.上記11に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フォトレジスト組成物液における各成分の分散性を向上できるため、フォトレジストとしての性能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の感放射線性化合物は、下記式(I)で表され、光又は放射線の照射により酸を発生する基と中心骨格部が結合して成る。
【化9】

(式中、Aは分子量が500〜5000である中心骨格であり、Bは光又は放射線の照射により酸を発生する基であり、Cは酸解離性溶解性抑止基であり、nは1〜50の整数、mは0〜50の整数である。)
【0013】
具体例として、中心骨格Aが環状化合物である下記式(II)で表される構造を有する環状化合物が挙げられる。
【化10】

【0014】
式中、Rはそれぞれ水素原子、水酸基、アルコキシル基、炭素数1〜12の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、フェニル基、p−フェニルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、下記式(1)で表される基、下記式(2)で表される基、又はこれら基のうち2種以上を組み合わせて構成される基である。
【0015】
【化11】

【0016】
のアルコキシル基の例としては、フェノキシ基、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基が好ましい。
炭素数1〜12の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好ましい。
炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基としては、t−ブチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましい。
炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基等が好ましい。
【0017】
上記式(1)及び(2)のRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基であり、xは1〜5の整数を表す。
【0018】
の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好ましい。
炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基としては、t−ブチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましい。
炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基等が好ましい。
炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、アダマンチルオキシメチル基等が好ましい。
シリル基としては、トリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
【0019】
尚、上記の各基は置換基を有していてもよく、具体的には、メチル基、エチル基等のアルキル基、ケトン基、エステル基、アルコキシル基、ニトリル基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。
【0020】
は、上記の各基と二価の基が結合した構造を有する基でもよい。
二価の基としては、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基が2以上結合してなる基が挙げられる。
アルキレン基としてはメチレン基、メチルメチレン基等が好ましく、アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
【0021】
二価の基が2以上結合してなる基としては、下記の構造が好ましい。
【化12】

(式中、R’はそれぞれH又はアルキル基を示す。)
【0022】
式(2)のArは、炭素数の6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基;炭素数6〜10のアリーレン基と、アルキレン基及びエーテル基の少なくとも一方を1つ以上組み合わせた基であり、Aは単結合、アルキレン基、エーテル基、又はアルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基であり、yは0〜3の整数、zは1〜5の整数を表す。
【0023】
Arとしては、例えば、フェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、オキシジフェニレン基が好ましい。
なかでもフェニレン基、ビフェニレン基、オキシジフェニレン基が好ましい。
【0024】
のアルキレン基としては、メチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等、炭素数1〜4のものが好ましい。
アルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基としては、オキシメチレン基、オキシジメチルメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
【0025】
は単結合又はオキシメチレン基(−O−CH−)であることが好ましい。
【0026】
尚、上述した基を2種以上組み合わせて構成される基とは、1つの基(例えば、フェニル基)に置換基として他の基(水酸基等)が結合している基を意味する。例えば、ビフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、アダマンチルフェニル基等が好ましい。
【0027】
式(II)のRはそれぞれ水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
の具体例は、上述したRと同様である。
【0028】
尚、式(II)内に複数あるR及びRは、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
【0029】
式(II)の化合物では、Rの少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つは、光又は放射線の照射により酸を発生する基(酸発生基)である。
酸発生基としては、例えば、有機酸の塩を有する基が挙げられる。
【0030】
有機酸の塩を有する基としては、スルホン酸のオニウム塩が好ましい。具体的には、下記式(3)〜(6)で表される基が好ましい。
【化13】

【0031】
式中、R11は単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、アリーレン基、エステル基、及び、これらの基が組み合わさって構成される基である。
アルキレン基としては、炭素数1〜5の直鎖状の基、又はメチル基等の置換基を有する基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基等の環状の基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
尚、アルキレン基又はアリーレン基の水素原子の一部又は全てがハロゲン原子で置換されていても良い。
【0032】
12、R13及びR14は、それぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(カルボニル基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、ラクトン環を含んでいても良い)、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はチオフェニル基である。
【0033】
上記R12〜R14はそれぞれ、特に1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましい。アルキル基の構造の一部に、カルボニル基(=C=O)、エステル基(−COO−)又はエーテル基(−O−)等を含んでいてもよい。
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等が好ましく、特に6〜10のアリール基が好ましい。
炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が好ましく、特に7〜12のアラルキル基が好ましい。
チオフェニル基としては、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イルであり、2−置換−2−オキソエチル基であってもよい。
また、R12とR13、R13とR14、R12とR14がそれぞれ結合して環を形成しても良い。
【0034】
15及びR16はそれぞれアリール基であり、R15とR16がそれぞれ結合して環を形成していても良い。
アリール基としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のものが好ましく、特に炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0035】
17は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(カルボニル基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基又はラクトン環を含んでいても良い)、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はチオフェニル基である。
尚、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はチオフェニル基の具体例は、上述したR12等と同様である。また、これらの基の一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い。
以下にR17を含む対イオン部の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化14】

【0036】
本発明の感放射線性化合物では、フォトレジスト基材となる化合物に類似する構造を有する化合物に酸発生基を導入することが好ましい。この化合物を光酸発生剤として使用することにより、製膜後の膜中におけるフォトレジスト組成物の分散均一性が、従来の光酸発生剤を添加剤として加えているものに比べて向上する。
【0037】
また、本発明の感放射線性化合物では、Rの少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つが酸解離性溶解抑止基であることが好ましい。酸解離性溶解抑止基を導入した化合物は、EUVL及び電子線に対し高い反応性を有するため、感度の面で優れており、かつエッチング耐性の面でも優れる。そのため、超微細加工用のフォトレジスト基材として好適な化合物となる。
さらに、フォトレジスト基材となる化合物が、酸発生基と酸解離性溶解抑止基を共に有することにより、製膜後の膜中における組成物の分散均一性が従来の光酸発生剤を添加剤としてレジストに加えているものに比べて向上する。その結果として、光照射により酸が発生する時の分布が均一になり、解像度及びパターンラフネスが向上する。
尚、上記式(1)及び(2)のRが酸解離性溶解抑止基であってもよい。
【0038】
酸解離性溶解抑止基としては、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルメチル基、アルコキシメチル基、アルコキシアルキルメチル基、アルコキシアリールメチル基、アルコキシカルボニルフェニル基、ビス(アルコキシカルボニル)フェニル基、又はトリス(アルコキシカルボニル)フェニル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基とが結合した構造を有する基等が例示できる。
【0039】
特に、酸解離性溶解抑止基は、下記式(7)〜(22)で表される基のいずれかであることが好ましい。
【化15】

(式中、rは下記式(r−1)〜(r−12)で表されるいずれかの基を表す。)
【化16】

【0040】
本発明の感放射線性化合物は、例えば、公知の方法により、酸触媒存在下、対応する構造のアルデヒド化合物と水酸基を有する芳香族化合物との縮合環化反応により、カリックスレゾルシナレン誘導体(前駆体)を合成し、R等の基に対応する化合物を、エステル化反応、エーテル化反応、アセタール化反応等により前駆体に導入することで合成できる。具体例は、後述する実施例で説明する。
【0041】
本発明の感放射線性化合物は、フォトレジスト基材として使用する条件(通常は室温下)において、アモルファス状態となる。このため、基材として用いると、フォトレジスト組成物としての塗布性やフォトレジスト膜としての強度の点で好ましい。
【0042】
また、本発明の基材は、極端紫外光や電子線による超微細加工の特徴である20〜50nmの加工に用いたときに、ラインエッジラフネスを2nm以下、好ましくは1nm以下(3σ)に抑制することができる。これは本発明の環状化合物の分子の平均直径が、所望のパターンのサイズ、具体的には、100nm以下、特に50nm以下のサイズにおいて求められているラインエッジラフネスの値(5nm以下)よりも小さいためである。
【0043】
本発明において、感放射線性化合物をフォトレジスト基材として用いる場合、精製して塩基性不純物(例えば、アンモニア、Li、Na、K等のアルカリ金属イオン、Ca、Ba等のアルカリ土類金属イオン等)等を除くことが好ましい。このとき、基材を精製する前に含まれていた不純物の量の1/10以下に減少することが好ましい。具体的には、塩基性不純物の含有量は、好ましくは10ppm以下、より好ましくは2ppm以下である。塩基性不純物の含有量を10ppm以下にすることにより、この化合物からなるフォトレジスト基材の極端紫外光や電子線に対する感度が劇的に向上し、その結果、フォトレジスト組成物のリソグラフィーによる微細加工パターンが好適に作製可能となる。
【0044】
精製方法としては、例えば、酸性水溶液洗浄、イオン交換樹脂、又は超純水を用いた再沈殿で処理する方法が挙げられる。これらの洗浄方法を組み合わせて精製してもよい。例えば、酸性水溶液として酢酸水溶液を用いて洗浄処理した後に、イオン交換樹脂処理又は超純水を用いる再沈殿処理をする。
用いる酸性水溶液の種類、イオン交換樹脂の種類は、除去すべき塩基性不純物の量や種類、又は処理する基材の種類等に応じて、最適なものを適宜選択すればよい。
【0045】
本発明のフォトレジスト組成物は、上述した本発明のフォトレジスト基材とこれを溶解させ液体状組成物とするための溶媒を含む。フォトレジスト組成物は、超微細加工を施すべき基板等にスピンコーティング、ディップコーティング、ペインティング等の手法で均一に塗布するために液体状組成物にすることが必要である。
【0046】
溶媒としては、フォトレジストの分野において一般に用いられているものが使用できる。好ましくは、2−メトキシエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール類、乳酸エチル、乳酸メチル等の乳酸エステル類、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート等のプロピオネート類、メチルセルソルブアセテート等のセルソルブエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルアミルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類、酢酸ブチル等の単独溶媒、もしくは2種以上の混合溶媒が例示される。
使用する溶媒は、フォトレジスト基材の溶解度や製膜特性等に合わせて適宜選択すればよい。
【0047】
本発明の感放射線性化合物は、上述したとおり酸発生基を有しているが、必要な場合は、さらに光酸発生剤(PAG)を組成物に添加してもよい。
光酸発生剤としては、上述した本発明の光酸発生剤や、以下の構造で例示される公知のものの他、同様の作用を持つ他の化合物であっても一般に使用できる。好ましいPAGの種類及び量は、本発明の基材、所望する微細パターンの形状やサイズ等に合わせて規定できる。
【0048】
【化17】



[式中、Ar、Ar、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜20の芳香族基であり、R、R、R、R、Rは、置換又は非置換の炭素数6〜20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数1〜20の脂肪族基であり、X、X、Y、Zは、脂肪族スルホニウム基、フッ素を有する脂肪族スルホニウム基、テトラフルオロボレート基、ヘキサフルオロホスホニウム基である。]
【0049】
PAGの配合量は、フォトレジスト基材に対して0.1〜20重量%の範囲で用いるのが一般的である。
【0050】
さらに必要に応じて、PAGの過剰な反応を抑制するクエンチャーを添加してもよい。これにより、対極端紫外光感度や対電子線解像度を向上できる。クエンチャーとしては、従来公知のものの他、同様の作用を持つ他の化合物であっても一般に使用できる。
クエンチャーには、フォトレジスト組成物への溶解度やフォトレジスト層における分散性や安定性の観点から、塩基性有機化合物を用いることが好ましい。具体的には、キノリン、インドール、ピリジン、ビピリジン等のピリジン類の他、ピリミジン類、ピラジン類、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族アミン類の他、水酸化テトラブチルアンモニウム等が上げられる。
尚、好ましいクエンチャーの種類及び量は、本発明の基材、PAG、所望する微細パターンの形状やサイズ等に合わせて規定できる。
【0051】
クエンチャーの配合量は、フォトレジスト基材に対して10〜1×10−3重量%、又は、PAGに対して50〜0.01重量%の範囲で用いるのが一般的である。
【0052】
本発明のフォトレジスト組成物には、その他、感光助剤、可塑剤、スピード促進剤、感光剤、増感剤、酸増殖機能材料、エッチング耐性増強剤等を添加してもよい。これらは同一の機能を持つ成分の複数の混合物であっても、異なった機能を持つ成分の複数の混合物であっても、これらの前駆体の混合物であってもよい。これらの配合比については、用いる成分の種類により異なるため一概に規定できないが、従来公知のフォトレジストと類似の配合比で用いることが一般的である。
【0053】
組成物中の溶媒以外の成分、即ちフォトレジスト固形分の量は所望のフォトレジスト層の膜厚を形成するために適する量とするのが好ましい。具体的にはフォトレジスト組成物の全重量の0.1〜50重量%が一般的であるが、用いる基材や溶媒の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。
【0054】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて微細加工する方法の例を以下に説明する。
本発明のフォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディップコーティング、ペインティング等の方法により液体コーティング組成物として基板に塗布し、溶媒を除くため、フォトレジストコーティング層が不粘着性になるまで、例えば80℃〜160℃に加熱して乾燥するのが一般的である。また、基板との密着性向上等の目的で、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)等を中間層として用いることができる。これらの条件は、用いる基材や溶媒の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。
【0055】
加熱乾燥後、上記フォトレジストコーティング層が不粘着性になった基板をEUVLによりフォトマスクを用いて露光、あるいは電子線を任意の方法で照射することにより、基材に含まれる保護基を脱離させ、フォトレジストコーティング層の露光及び非露光領域間における溶解度の相違を生じさせる。さらに溶解度の相違を大きくするために露光後ベークする。この後レリーフイメージを形成するため、アルカリ現像液等で現像する。このような操作により、基板上に超微細加工されたパターンが形成される。上記の条件は用いる基材や溶媒の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。
【0056】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて極端紫外光や電子線のリソグラフィーによる超微細加工を行えば、100nm以細、特に50nm以細の孤立ライン、ライン/スペース(L/S)=1/1、ホール等のパターンを、高感度、高コントラスト、低ラインエッジラフネスで形成することが可能となる。
【0057】
本発明の微細加工方法により、例えば、ULSI、大容量メモリデバイス、超高速ロジックデバイス等の半導体装置を製造することができる。
【実施例】
【0058】
実施例1
酸発生基がスルホン酸のオニウム塩であり、酸解離性溶解抑止基を有する下記の環状化合物(A)を製造した。
【化18】

【0059】
・工程1
【化19】

【0060】
窒素導入菅、温度計、マグネチックスターラー及びジム・ロート冷却菅を備えた200mlの3口フラスコに、11.01gのレゾルシノール(100mmol:和光純薬工業(株)製)、p−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、15.2g(100mmol:和光純薬工業製)を仕込み、エタノール80mlを加えて撹拌し、窒素を導入して窒素雰囲気とした。その後、濃塩酸20mlを、温度が40℃を超えない程度に、ゆっくりと加えた。滴下終了後、フラスコをオイルバスで80℃に加熱して、5時間反応させた。反応終了後、フラスコ内容物を室温程度に冷却し、生成した固体を、ろ過して取り出し、少量のエタノールで洗浄した。得られた黄白色固体を、200〜300mlのビーカーに移し、脱イオン水100mlを加え、10分間程度撹拌洗浄した。
撹拌洗浄の後、再びろ過して取り出し、同じ洗浄操作をさらに2回繰り返した。その後、得られた化合物を真空下で1日乾燥させた。得られた22.7gの黄白色固体を300mlのナスフラスコに移し、DMF・水から再結晶して、上記の反応式中(a)で示されるカリックスレゾルシナレン誘導体17.5gを得た(収率:72%)。
【0061】
・工程2
【化20】

【0062】
十分乾燥し窒素ガスにて置換したジム・ロート氏冷却管、温度計を設置した、容量300mlの三口フラスコに、上記工程1において合成したカリックスレゾルシナレン誘導体(a)、2.93g(3mmol)、無水炭酸ナトリウム、2.8g(26mmol),DMF30mlを加えて撹拌した。続いて、ブロモ酢酸tert−ブチル、5.62g(29mmol:和光純薬工業(株)製)を滴下した。滴下終了後、窒素雰囲気下で、65℃のオイルバスで加熱して、16時間反応させた。反応終了後、室温程度に放冷した後に、反応溶液に約150mlの氷水を注ぎ込み1時間撹拌した。得られた白色沈殿をろ過紙して取り出し、脱イオン水で洗浄した。真空で1日乾燥させて、上記反応式中(b)で示されるカリックスレゾルシナレン誘導体4.7gを得た(収率:83%)。
【0063】
・工程3
【化21】

【0064】
十分乾燥し窒素ガスにて置換したジム・ロート氏冷却管、温度計を設置した、容量100mlの三口フラスコに、上記工程2において合成した式(b)で示のカリックスレゾルシナレン誘導体1.89g(1mmol)を仕込み、塩化メチレン20mlを加えて溶かした。フラスコ内を窒素雰囲気とし、フラスコを氷食塩水浴で冷却して、フラスコ内部の温度を0℃とした。続いて、メチルトリフルオロメタンスルフォナート、1.64g(1mmol:和光純薬工業(株)製)を、フラスコ内部の温度が5℃を超えない程度にゆっくりと滴下した。滴下終了後、冷却を停止し、オイルバスで40℃に加熱、還流させて1時間半反応させた。反応終了後、室温程度に冷却し、フラスコ内容物を、100mlのジエチルエーテル中に注ぎ込み、そのまま30分放置した。生成した白色結晶をろ過して取り出し、少量のジエチルエーテルで洗浄し、真空で1日乾燥させて、上記反応式中(A)で示される目的のカリックスレゾルシナレン誘導体3.15gを得た(収率:89%)。
また、目的のカリックスレゾルシナレン誘導体はH−NMRにより帰属した。
【0065】
実施例1で合成したカリックスレゾルシナレン誘導体(A)は、1分子内に酸発生基及び酸解離性溶解抑止基を有するため、フォトレジスト基材や光酸発生剤として使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の感放射線性化合物は、フォトレジスト基材や光酸発生剤を始めとする電気・電子材料、光学材料として有用である。本発明のフォトレジスト基材及びその組成物は、半導体装置等の電気・電子分野や光学分野等において好適に用いられる。これにより、ULSI等の半導体装置の性能を飛躍的に向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光又は放射線の照射により酸を発生する基が中心骨格部に結合して成る下記式(I)で表される感放射線性化合物。
【化1】

(式中、Aは分子量が500〜5000である中心骨格であり、Bは光又は放射線の照射により酸を発生する基であり、Cは酸解離性溶解性抑止基であり、nは1〜50の整数、mは0〜50の整数である。)
【請求項2】
下記式(II)で表される構造を有する環状化合物である請求項1に記載の感放射線性化合物。
【化2】

[(式中、Rはそれぞれ水素原子、水酸基、アルコキシル基、炭素数1〜12の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、フェニル基、p−フェニルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、下記式(1)で表される基、下記式(2)で表される基、又はこれら基のうち2種以上を組み合わせて構成される基である。
はそれぞれ水素、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基である。
【化3】

(式中、Rは水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基、アルコキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基であり、xは1〜5の整数を表す。
Arは炭素数の6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基;炭素数6〜10のアリーレン基と、アルキレン基及びエーテル基の少なくとも一方を1つ以上組み合わせた基であり、Aは単結合、アルキレン基、エーテル基、又はアルキレン基とエーテル基を2つ以上組み合わせた基であり、yは0〜3の整数、zは1〜5の整数を表す。)
但し、Rの少なくとも1つ、又はRの少なくとも1つは、光又は放射線の照射により酸を発生する基である。]
【請求項3】
前記光又は放射線の照射により酸を発生する基が、有機酸の塩を有する基である請求項1又は2に記載の感放射線性化合物。
【請求項4】
前記光又は放射線の照射により酸を発生する基がスルホン酸のオニウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の感放射線性化合物。
【請求項5】
前記スルホン酸のオニウム塩が、下記式(3)〜(6)で表される基のいずれかである請求項4に記載の感放射線性化合物。
【化4】

(式中、R11は単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、アリーレン基、エステル基、及びこれらの基が組み合わさって構成される基である。
12、R13及びR14はそれぞれ、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(カルボニル基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基又はラクトン環を含んでいても良い)、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はチオフェニル基であり、R12とR13、R13とR14、R12とR14がそれぞれ結合して環を形成しても良い。
15及びR16はそれぞれアリール基であり、R15とR16がそれぞれ結合して環を形成していても良い。
17は、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(カルボニル基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基又はラクトン環を含んでいても良い)、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数6〜20のアリール基、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数7〜20のアラルキル基、又はチオフェニル基である。)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の感放射線性化合物からなる光酸発生剤。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の感放射線性化合物を含有するフォトレジスト基材。
【請求項8】
請求項7に記載のフォトレジスト基材と溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項9】
さらに、塩基性有機化合物をクエンチャーとして含有する請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
さらに、光酸発生剤を含有する請求項8又は9に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
【請求項12】
請求項11に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。


【公開番号】特開2009−19022(P2009−19022A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184854(P2007−184854)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】