説明

感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】広い露光ラチチュード、広いデフォーカスラチチュード、良好なパターン形状を得ることができる感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】(A)式(I)、(II)及び(III)により表される各繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂、及び(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、を含有してなり、成分(B)の化合物として、少なくともカルボン酸を発生する非イオン性化合物を含む2種以上の化合物を含有する感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる感活性光線性または感放射線性樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明は、KrFエキシマレーザー光、電子線、EUV光等を使用し高精細化したパターン形成に好適に用いることができる感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
なお、本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
【背景技術】
【0003】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg/i線から、KrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。
【0004】
KrFエキシマレーザー光を用いるリソグラフィにおいては、広い露光ラチチュード、ラインエッジラフネスの低減、良好なパターン形状、優れたドライエッチング耐性、並びに現像後の欠陥が少ないこと、これらを同時に満足させることが重要な課題となっており、その解決が必要である。
【0005】
KrFエキシマレーザー光、電子線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィープロセスに適したレジストとしては高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが用いられており、ポジ型レジストにおいては主成分として、アルカリ現像液には不溶又は難溶性で、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる性質を有するフェノール性ポリマー(以下、「フェノール性酸分解性樹脂」と略す)、及び酸発生剤からなる化学増幅型レジスト組成物が有効に使用されている。
【0006】
これらのポジ型レジストに関して、これまで酸分解性アクリレートモノマーを共重合したフェノール性酸分解性樹脂を用いたレジスト組成物がいくつか知られている。それらについては、例えば、特許文献1に開示されたポジ型レジスト組成物等を挙げることができる。
【0007】
しかし、露光部でカルボン酸が生成するため、現像液に対する溶解速度が高くなりすぎ、実際に基板上にレジストパターンを形成するとパターン上部が細くなり、理想とされる矩形のパターンが形成されないという欠点がある。この問題を解決するために、たとえば、特許文献2では、メチルメタクリレート、スチレンなどのアルカリ現像液に対する重合体の溶解性を低減させる繰り返し単位を有する重合体が提案されている。
【0008】
しかし、スチレンのように疎水性が極めて高い繰り返し単位を有する重合体をポジ型レジスト組成物に用いた場合、アルカリ現像液への溶解性が低下しすぎるために、欠陥が生じやすくなる恐れがある。
一方、メチルメタクリレートのように疎水性が比較的低い繰り返し単位を用いた場合には、上記現像欠陥は発生しにくいが、その一方で、プラズマエッチング耐性が不十分となり、選択的なエッチングが困難となる。
また、特許文献3では、パターン形状及び解像性の改善のために反応性の高い光酸発生剤を含むレジスト組成物が紹介されている。
【0009】
しかし、これらのいかなる組合せにおいても、リソ性能の両立は難しく、特に、広い露光ラチチュード、広いデフォーカスラチチュード、LWRの低減、良好なパターン形状やドライエッチング耐性、現像後の欠陥が少ないことを同時に満足できていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5561194号明細書
【特許文献2】特許第3116751号明細書
【特許文献3】特表平11−501909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、活性光線又は放射線、特に、KrFエキシマレーザー光、電子線あるいはEUV光を使用する半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、広い露光ラチチュード、広いデフォーカスラチチュード、良好なパターン形状を得ることが出来る感活性光線性または感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の課題は、下記の構成によって達成された。
(1) (A)式(I)、(II)及び(III)により表される各繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂、及び
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、
を含有してなり、成分(B)の化合物として、少なくともカルボン酸を発生する非イオン性化合物を含む2種以上の化合物を含有する感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化1】

【0013】
式(II)中、R1は水素原子またはメチル基を表す。
式(III)中、R1は水素原子またはメチル基を表す。R2はハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、複数のR2は同一でも異なってもよい。
【0014】
(2) 成分(A)の樹脂が、式(I)により表される繰り返し単位として、式(I−a)で表される構造及び式(I−b)で表される構造の少なくとも一方を含むことを特徴とする、(1)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化2】

【0015】
(3) 成分(A)の樹脂が、式(I)により表される繰り返し単位として、式(I−a)で表される構造及び式(I−b)で表される構造を含むことを特徴とする、(1)に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化3】

【0016】
(4) (A)成分の樹脂の質量平均分子量が15,000から25,000であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0017】
(5) 式(I)、(II)及び(III)により表される繰り返し単位の含有率が、(A)成分の樹脂に含まれる全繰り返し単位に対し、各々、55〜75モル%、15〜35モル%、5〜20モル%であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【0018】
(6) (B)成分のカルボン酸を発生する化合物として、一般式(IV)で表される化合物の少なくとも一種を含むことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化4】

【0019】
式(IV)中、
1、R2は、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子、フッ素原子、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。
【0020】
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成し、該膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物により、広い露光ラチチュード、広いデフォーカスラチチュード、良好なパターン形状を満足したパターンを得ることが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0023】
[1]樹脂(A)
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は、式(I)、(II)及び(III)により表される繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう)を含有する。
【化5】

【0024】
式(II)及び(III)中、
1は各々独立して水素原子またはメチル基を表す。
2はハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。
nは、0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、複数のR2は同一でも異なってもよい。
【0025】
まず、式(I)により表される繰り返し単位について説明する。
本発明においては、樹脂(A)が、式(I)により表される繰り返し単位として、式(I−a)及び式(I−b)で表される構造の少なくとも一方を含むことが好ましく、双方を含んでもよい。双方を含む場合、樹脂(A)としては、式(I−a)で表される構造を含む樹脂と、式(I−b)で表される構造を含む樹脂とを混合したものもあり得る。
【化6】

【0026】
式(I)で表される繰り返し単位の樹脂(A)における好ましい組成比は、樹脂(A)中のすべての繰り返し単位に対して55〜75モル%であり、さらに好ましい組成比は、式(I−a)の繰り返し単位が55〜75モル%、かつ式(I−b)の繰り返し単位が0〜20モル%である。
式(I)で表される繰り返し単位を上記範囲で含有することは、ラインエッジラフネスと欠陥性能を両立する観点から好ましい。
【0027】
次に、式(II)により表される繰り返し単位について説明する。
式(II)により表される繰り返し単位は、具体的には以下の構造で示される。
【化7】

【0028】
本発明においては、樹脂(A)が、式(II)により表される繰り返し単位として、式(II−a)の構造を含むことが特に好ましく、式(II−a)と(II-b)の双方を含んでもよい。
【0029】
式(II)で表される繰り返し単位の樹脂(A)における好ましい組成比は、樹脂(A)中のすべての繰り返し単位に対して15〜35モル%である。
式(II)で表される繰り返し単位の含有量を上記範囲とすることはアルカリ現像液に対する溶解速度と露光ラチチュードを両立する観点から好ましい。
【0030】
次に、式(III)により表される繰り返し単位について説明する。
式(III)で表される繰り返し単位中のR2は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、nは0〜5までの整数を表す。nが2以上のとき、複数のR2は同一でも異なっていてもよい。また、アルカリ現像液に対する溶解速度の点から、R2としては水素原子がより好ましい。
【0031】
に於けるアルキル基は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状アルキル基が好ましい。例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基を挙げることができる。
【0032】
に於けるシクロアルキル基は、炭素数5〜30のシクロアルキル基が好ましい。
【0033】
に於けるアリール基としては、例えば、ベンジル基、ナフチル基などの炭素数6〜15個のものを挙げることができる。
【0034】
に於けるアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜30個のものを挙げることができる。
【0035】
におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、置換基を有してもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0036】
式(III)で表される繰り返し単位の樹脂(A)における好ましい組成比は、樹脂(A)中のすべての繰り返し単位に対して、5〜20モル%である。式(III)で表される繰り返し単位を上記範囲とすることは、溶解抑止効果による矩形な形状のパターンを得つつ、露光部の充分な溶解性を両立する上で好ましい。
以下、式(III)で表される繰り返し単位の具体的な構造を例示するが、この限りではない。
【化8】

【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、15,000〜25,000であることが好ましい。分子量を高くすることで、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物膜の運動性が低下すると考えられる。そのため、分子量(Mw)を15,000以上とすることで発生酸の拡散を抑制することができ、露光ラチチュード、定在波等の諸性能が向上する。
また樹脂自体のアルカリに対する溶解速度、感度、欠陥発生の点から質量平均分子量(Mw)は25,000以下が好ましい。
【0040】
分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜2.5、特に好ましくは、1.0〜2.0である。
ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
樹脂(A)はラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合を行うことで分散度1.0〜3.0の樹脂(A)を合成することができる。さらに好ましい分散度1.0〜2.5の樹脂(A)はリビングラジカル重合によって合成可能である。
以下に、樹脂(A)の具体例を示すが、これらに限定するものではない。
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
【化15】

【0045】
[2]活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物(B)
<光カルボン酸発生剤>
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は、活性光線または放射線の照射により光分解反応で酸を発生する化合物として、少なくともカルボン酸を発生する非イオン性化合物(以下、「光カルボン酸発生剤」ともいう)を含む2種以上の化合物を含有する。
光カルボン酸発生剤としては下記一般式で表される化合物が好ましい。
【化16】

【0046】
式(IV)中、R1、R2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。
式(IV)中のR1、R2により表される官能基の具体例を示す。
ハロゲン原子としては、フッ素、ヨウ素、塩素、が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜12個のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基などが挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0047】
シクロアルキル基としては、炭素数3〜8個のアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0048】
アリール基としては、フェニル、トリル、ブチルトリルなどが挙げられ、これらは置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子などが挙げられる。
アリール基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化17】

【0049】
アラルキル基としては、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、パラメチルプロピルベンゼンなどが挙げられ、これらは置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子などが挙げられる。
アラルキル基の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化18】

【0050】
以下に光カルボン酸発生剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【化19】

【0051】
【化20】

【0052】
光カルボン酸発生剤の更に好ましい具体例は、上記(B2)(B3)(B13)(B14)(B16)である。
【0053】
光カルボン酸発生剤の本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜8質量%、更に好ましくは0.001〜5質量%である。また、これらの活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物は1種類を用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
【0054】
<他の光酸発生剤>
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は、(B)成分として、光カルボン酸発生剤以外の酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤 (B')」ともいう)を含有する。光酸発生剤(B')としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0055】
光酸発生剤 (B')としての、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【化21】

【0056】
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF、PF、SbFなどが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては下式AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
【化22】

【0057】
式AN1〜AN3中、Rc〜Rcはそれぞれ独立に有機基を表す。Rc〜Rcにおける有機基として、炭素数1〜30のものがあげられ、好ましくは置換されていてもよいアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。さらにはほかの結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rd1は水素原子、アルキル基を表し、結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
【0058】
Rc〜Rcの有機基として、1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rc〜Rcにおいて炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は水素原子で置換されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
【0059】
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0060】
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0061】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基でもよい。
【0062】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0063】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖、分岐又は環状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0065】
201〜R203としてのアリール基、アルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状アルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0066】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
【0067】
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
【0068】
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であり、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0069】
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10の環状アルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
【0070】
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
【0071】
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0072】
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【化23】

【0073】
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、水素原子又はアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R7cのいずれか2つ以上が結合して環構造を形成しても良い。また、RxとRyが結合して環構造を形成しても良い。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
は、一般式(ZI)におけるXと同義である。
【0074】
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0047、0048や、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物、等を挙げることができる。
【0075】
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI-1)におけるR201〜R203としてのアリール基として説明したものと同様である。
204〜R207のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−2)におけるR201〜R203としての直鎖、分岐または環状アルキル基として説明したものと同様である。
-は、一般式(ZI)に於けるX-と同義である。
【0076】
酸発生剤(B')としての、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【化24】

【0077】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
208は、一般式(ZV)と(ZVI)で各々独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。発生酸の強度を高める点では、R208はフッ素原子により置換されていることが好ましい。
【0078】
209及びR210は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基又は電子吸引性基を表す。R209として好ましくは、置換若しくは無置換のアリール基である。R210として好ましくは、電子吸引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基又は置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。
【0079】
尚、一般式(ZVI)で表される構造を複数有する化合物も本発明では好ましい。例えば、一般式(ZVI)で表される化合物のR209又はR210のいずれかが、一般式(ZVI)で表されるもう一つの化合物のR209又はR210のいずれかと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0080】
酸発生剤(B')としての、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは(ZI)で表される化合物であり、最も好ましくは(ZI−1)〜(ZI−3)で表される化合物である。
酸発生剤(B')の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
【化25】

【0081】
【化26】

【0082】
【化27】

【0083】
【化28】

【0084】
【化29】

【0085】
酸発生剤(B')は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組みあわせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤(B')の組成物中の含量は、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0086】
[3]有機塩基性化合物(C)
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は有機塩基性化合物を含有することが好ましい。有機塩基性化合物は、好ましくはフェノールよりも塩基性の強い化合物である。有機塩基性化合物の分子量は通常100〜900、好ましくは150〜800、より好ましくは200〜700である。また、特に含窒素塩基性化合物が好ましい。
【0087】
好ましい含窒素塩基性化合物は、好ましい化学的環境として、下記式(CI)〜(CV)の構造を有する化合物である。式(CII)〜(CV)は、環構造の一部であってもよい。
【化30】

【0088】
ここで、R250、R251及びR252は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0089】
上記アルキル基は無置換であっても置換基を有するものであってもよく、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0090】
253、R254、R255及びR256は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
【0091】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0092】
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。
【0093】
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0094】
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0095】
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート等が挙げられるが、中でもハロゲン原子、スルホネートが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
【0096】
フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2〜6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1〜5の範囲で何れであってもよい。
【0097】
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CHCHO−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−もしくは−CHCHCHO−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。フェノキシ基を有するアミン化合物の例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミンや、US2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)などが挙げられる。
【0098】
好ましい有機塩基性化合物としては、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン、アミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基などが挙げられる。
【0099】
特に好ましい有機塩基性化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0100】
また、テトラアルキルアンモニウム塩型の含窒素塩基性化合物も用いることができる。これらの中では、特に炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-(n-ブチル)アンモニウムヒドロキシド等)が好ましい。これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。
【0101】
光カルボン酸発生剤(B)及びその他の酸発生剤(B’)を含む活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物と、有機塩基性化合物(C)との組成物中の使用割合は、有機塩基性化合物/酸発生剤(モル比)=0.01〜10であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が10以下が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から0.01以上が好ましい。有機塩基性化合物/酸発生剤(モル比)は、より好ましくは0.05〜5、更に好ましくは0.1〜3である。
【0102】
[4]界面活性剤(D)
本発明においては、界面活性剤類を用いることができ、製膜性、パターンの密着性、現像欠陥低減等の観点から好ましい。
【0103】
界面活性剤の具体的としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラ−ドFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100質量部当たり、通常、2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
【0104】
これらの界面活性剤は1種または2種以上添加することができる。
【0105】
尚、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0106】
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同 5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0107】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0108】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0109】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0110】
界面活性剤の使用量は、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0111】
[5]溶剤
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は、上記各成分を溶解する溶剤に溶かして支持体上に塗布する。全レジスト成分の固形分濃度として、通常2〜30質量%とすることが好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
【0112】
ここで使用し得る溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、3−メトキシプロピオン酸メチル、等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用しても良い。
【0113】
溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有することが好ましい。また、さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、を含有することがより好ましい。
【0114】
[6]その他添加剤
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物には必要に応じて、さらに、光塩基発生剤などを含有させることができる。
1.光塩基発生剤
本発明の組成物に添加できる光塩基発生剤としては、特開平4−151156号公報、同4−162040号公報、同5−197148号公報、同5−5995号公報、同6−194834号公報、同8−146608号公報、同10−83079号公報、欧州特許622682号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカーバメート等が好適に用いることができる。これらの光塩基発生剤は、レジスト形状などの改善を目的とし添加される。
【0115】
2.酸化防止剤
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は酸化防止剤を含有することができる。
酸化防止剤とは、有機材料が酸素の存在下で酸化されることを防ぐためのものである。
【0116】
酸化防止剤としては、一般に使用されているプラスチック等の酸化防止に効果があるものであれば特に限定するものではなく、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン− アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤、アミン− ケトン縮合物からなる酸化防止剤等があげられる。なお、これらの酸化防止剤のうち、レジストの機能を低下させずに本発明の効果を発現させるためには、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤を用いることが好ましい。
【0117】
本発明で用い得る酸化防止剤の好ましい具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2、2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノン、2,4,5− トリヒドロキシブチロフェノン、ノルジヒドログアヤレチック酸、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル、クエン酸イソプロピルなどが挙げられる。これらのうち2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノンが好ましく、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールまたは4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールがより好ましい。
【0118】
酸化防止剤の含有量は、化学増幅型レジスト組成物中、全固形分質量に対して1ppm以上であることが好ましく、5ppm以上であることが更により好ましく、10ppm以上であることが更により好ましく、50ppm以上であることが更により好ましく、100ppm以上であることが更により好ましく、100〜10000ppmであることが特に好ましい。また、複数の酸化防止剤を混合して使用しても良い。
【0119】
[7]製膜
本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗布膜の膜厚は、0.05〜4.0μmが好ましい。
【0120】
感活性光線性または感放射線性樹脂組成物膜の下層に反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号公報記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号明細書記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号公報記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号公報記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号公報記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号公報記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
【0121】
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
また、必要に応じて、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物膜の上層に反射防止膜を用いることが出来る。
反射防止膜としては、たとえば、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 AQUATAR−II、AQUATAR-III、AQUATAR-VIIなどが挙げられる。
【0122】
精密集積回路素子の製造などにおいて感活性光線性または感放射線性樹脂組成物膜上へのパターン形成工程は、基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆基板、ガラス基板、ITO基板、石英/酸化クロム被覆基板等)上に、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布し、感活性光線性または感放射線性樹脂組成物膜を形成し、次にKrFエキシマレーザー光、電子線、EUV光などの活性光線又は放射線を照射し、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なパターンを形成することができる。
【0123】
現像において使用するアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液(通常0.1〜20質量%)を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0124】
これらの現像液の中で好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
アルカリ現像液のpHは通常10〜15である。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
(合成例1)ポリマー((A−1)−1)の合成
2Lフラスコにエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gをいれ、100mL/minの流量で一時間窒素置換した。また、4−アセトキシスチレン105.4g(0.65mol)、t−ブチルメタクリレート35.6g(0.25mol)、ベンジルメタクリレート17.6g(0.10mol)、重合開始剤剤V−601(和光純薬工業(株)製)2.30g(0.01mol)をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート200gに溶解し、得られた溶液を上記と同様に窒素置換した。
【0126】
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの入った2Lフラスコを、内温が80℃になるまで昇温した後、さらに重合開始剤剤V−601 2.30g(0.01mol)を添加し、5分間攪拌した。その後、上記モノマー混合溶液を攪拌しながら6時間かけて滴下した。滴下後、2時間さらに加熱攪拌した後、反応溶液を室温まで冷却し、ヘキサン3L中に滴下しポリマーを沈殿させた。ろ過した固体をアセトン500mlに溶解し、再度ヘキサン3L中に滴下、ろ過した固体を減圧乾燥して、4−アセトキシスチレン/t−ブチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体151gを得た。
【0127】
上記で得られた重合体40.00gをテトラヒドロフラン200mlに溶解させた後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液5mlを加え1時間室温下で攪拌した後、蒸留水を添加しポリマーを沈殿させた。沈殿物を蒸留水で洗浄したのち、減圧下乾燥させた。ポリマーを酢酸エチル100mlに溶解させた後、ヘキサンを加え沈殿したポリマーを減圧乾燥にて粉体として、ポリマー((A−1)−1)35.5gを得た。GPCによる質量平均分子量は14000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.50であった。
【0128】
用いるモノマーを変更する以外は、上記合成例1と同様の方法で表1に示す、先に構造を例示した樹脂を合成した。樹脂の組成比、質量平均分子量(Mw)、分子量分散度(Mw/Mn)を表1に示す。尚、樹脂(A−1)−1、(A−1)−2,(A−1)−3および(A−1)−4の構造は共にA−1であり、それぞれ互いに組成比や分子量、分散度が異なるものである。
【表1】

【0129】
【化31】

【0130】
〔レジスト組成物の調製〕
樹脂、酸発生剤、有機塩基性化合物及び界面活性剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMEと略す)の混合溶剤または単独溶剤に溶解させ、固形分濃度10.0質量%の溶液を調製した後、得られた溶液を0.1μm口径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、レジスト溶液を得た。
以下、表2に評価に使用したレジスト溶液を示す。ここで、溶剤以外の各成分の添加量(質量%)は溶剤を除いた固形分に対する質量%を意味する。溶剤についてはPGMEAとPGMEとの混合比(質量%)を示す。
【表2】

【0131】
(有機塩基性化合物)
C1: ジシクロヘキシルメチルアミン
C2: テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド
(界面活性剤)
D1:フッ素系界面活性剤、メガファックF-176(大日本インキ化学工業(株)製)
D2:フッ素/シリコン系界面活性剤、メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
〔パターン作製および評価(KrF)〕
上記のように調製したポジ型レジスト液を東京エレクトロン製スピンコーターMark8を利用して、60nmの反射防止膜(ブリューワーサイセンス製DUV42)を塗布した基板上に均一に塗布し、130℃60秒間加熱乾燥を行い、膜厚0.4μmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、NA=0.68、σ=0.60の露光条件でパターン露光した。照射後に130℃、60秒ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0132】
(露光ラチチュード(EL))
上記と同様にして得られたレジストパターンについて、走査型電子顕微鏡(日立社製S−9220)により線幅を観察し、マスクサイズ150nm、ピッチ300nmのマスクパターンで150nmのレジストパターンが得られる露光量を実効感度とし、線幅が10%変化する露光量を実効露光量で割った値(百分率)をELとした。
【0133】
(プロファイル)
150nm幅のレジストパターンの断面形状を断面SEMにより観察し、側面がほぼ垂直に切り立ち、定在波 の効果が抑制されているものをAとし、その中でも、さらに良いものを2Aとし、ややテーパ状になっているが、定在波の効果が抑制されているものをBとし、また側面が波状になり、定在波の効果が現れているものをCとした。
【0134】
Depth Of Focus(DOF)
フォーカス=0.0μmの条件で、マスクサイズ150nm、ピッチ300nmのマスクパターンで、150nmのレジストパターンが得られる露光量を確認した。この露光量を用い、フォーカスを−0.5μmから0.5μmまで変動させたときに、レジストパターンのサイズが162nmから198nmに収まるフォーカスの範囲をDOF(μm)とした。
【表3】

【0135】
表3に示された結果から、本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物によれば、広い露光ラチチュード、広いデフォーカスラチチュード、良好なパターン形状を同時に満足するパターンを提供できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(I)、(II)及び(III)により表される各繰り返し単位を含有する、酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂、及び
(B)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、
を含有してなり、成分(B)の化合物として、少なくともカルボン酸を発生する非イオン性化合物を含む2種以上の化合物を含有する感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化1】

式(II)中、R1は水素原子またはメチル基を表す。
式(III)中、R1は水素原子またはメチル基を表す。R2はハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、複数のR2は同一でも異なってもよい。
【請求項2】
成分(A)の樹脂が、式(I)により表される繰り返し単位として、式(I−a)で表される構造及び式(I−b)で表される構造の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化2】

【請求項3】
成分(A)の樹脂が、式(I)により表される繰り返し単位として、式(I−a)で表される構造及び式(I−b)で表される構造を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化3】

【請求項4】
(A)成分の樹脂の質量平均分子量が15,000から25,000であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
式(I)、(II)及び(III)により表される繰り返し単位の含有率が、(A)成分の樹脂に含まれる全繰り返し単位に対し、各々、55〜75モル%、15〜35モル%、5〜20モル%であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
(B)成分のカルボン酸を発生する化合物として、一般式(IV)で表される化合物の少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物。
【化4】

式(IV)中、
1、R2は、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物を用いて膜を形成し、該膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2010−176089(P2010−176089A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21697(P2009−21697)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】