説明

感覚的きっかけ剤を有する、口で崩壊する薬用組成物

【課題】口腔内で即時に感知できる治療効果を与え、即時に感知できる鎮静感を与える薬用組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る薬用組成物は、口中で崩壊する薬用組成物であって、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、感覚的上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明分野〕
本発明は、感覚的きっかけ剤を有する薬用組成物、およびそのような組成物を使用する方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分、および、感覚を与える上で有効な量の感覚的きっかけ剤を有する、口で急速に崩壊する薬用組成物に関するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
口中で崩壊する薬用組成物が有益であることには多くの理由がある。これら組成物の、どこでもいつでも液体なしの投与ができるというような特徴的な利点により、これらの薬用組成物は、子供の患者、年輩の患者、神経疾患を有する患者、精神障害のある患者、寝たきりの患者、歯のない患者および、液体に容易にアクセスできない患者等の、患者が飲みこむのに苦労を覚える臨床的状況に適している。これらの薬用組成物は、年輩の患者や夜間多尿症の問題のある患者の就寝前、または手術前のように、液体の摂取が制限されている患者にも適している。更に、液体を用いて錠剤を摂取するニーズによって生じる、不便さ、離散性の欠如および患者の服薬遵守への影響は、水が手に入らず、あるいは、のどの痛みまたはアレルギーの発作により患者が飲み込むことができないときに問題である。
【0003】
口で崩壊する薬用組成物は、一般的に、全身活性を有する薬用成分(systemically active pharmaceutical ingredient)(API)を含む。APIの薬理効果は、APIが全身に放出されるまで達成されず、それによって作用開始が遅れることになるので、全身性剤は、一般的に、患者に影響を及ぼすのに30分以上を要する。
【0004】
感覚剤は、液体薬用組成物、および糖菓タイプの固形物(例えばトローチ剤またはガム)に使用されることが知られている。しかしながら、口内の空洞(すなわち口腔または舌下)で急速に崩壊するように調合された薬用組成物のためには、感覚剤と全身性APIとの組合せはなされていなかった。
【0005】
したがって、口腔内で即時に感知できる治療効果を与え、即時に感知できる鎮静感を与える感覚上有効な量の感覚的きっかけ剤(a sensory cue agent)と治療上有効な量の全身性APIとを与える、全身性APIを有する急速崩壊性薬用組成物が提供されることが望まれている。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の一実施形態によれば、薬用組成物であって、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤とを含み、その薬用組成物が、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている薬用組成物が提供される。
【0007】
本発明の他の一実施形態によれば、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分であって、この活性薬用成分が、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれたものである活性薬用成分と、感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤であって、この感覚的きっかけ剤が、メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドおよびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである感覚的きっかけ剤と、を含む薬用組成物であって、その薬用組成物が、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている錠剤である薬用組成物が提供される。
【0008】
更なる実施形態によれば、これらの組成物を患者に投与するステップを含む、ヒトおよび動物の上気道疾患等の疾患の治療方法が提供される。
【0009】
なお更なる実施形態によれば、パッケージ化された患者用のキットであって、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤とを含み、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている薬用組成物を含む複数の経口剤形のハウジングおよびこの薬用組成物を用いて薬の投与を実行するための指示書を含むキットが提供される。
【0010】
〔発明の詳細な説明〕
驚くべきことに、少なくとも一つの感覚的きっかけ剤(sensory cue agent)を、治療上有効な量の少なくとも一つの全身性APIと共に投与すると、二股の相乗的治療効果を与えるようになることが見出された。感覚的きっかけ剤は、薬用組成物が直ちに作用して疾患を軽減するものとして患者に感知され得るように、口、のど、鼻および/または副鼻洞の通路に感覚的きっかけを与える。更に、感覚的きっかけ剤は、口あたりを改善し、感覚刺激的に気持ちよく、それによって患者の服薬遵守を改善する。このようにして、即時の鎮静感(relief)と、疾患の原因である容態を全身的に軽減する全身性APIとが患者に与えられる。
【0011】
本発明の種々の実施形態により、治療上有効な量の少なくとも一つの全身性API、および感覚を与える上で有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤を含む、口で崩壊する剤形等の薬用組成物が与えられる。口で崩壊する剤形として有用なものは、急速崩壊剤形である。本発明のいくつかの実施形態によれば、口/口腔内で急速に崩壊する、急速崩壊剤形(以下に「FDDF」と称する)等の薬用組成物が提供される。ここで用いられる用語、急速崩壊剤形、は、37℃の水中で、約3分後に、剤形の約95%を超える部分が崩壊するものとして考えられるべきことを意味する。ある種の実施形態では、剤形の約90%が約1分後に崩壊してしまう。FDDFの崩壊時間は、錠剤を口中に置き、口領域に液体を追加せず、唾液によってこの錠剤が完全に崩壊するのに要する時間を測定することにより決定し得る。種々の実施形態において、得られた口洞中における崩壊時間は、約0〜約300秒の間、約0〜約60秒の間、約30秒未満または約15秒未満であり得る。
【0012】
全身的に作用する薬用成分は、口から服用され得、種々の容態を治療するように全身的に作用する化合物である。全身性剤は、摂取の後、患者に作用するのに約30分以上を要し得る。
【0013】
本明細書では、「感覚的きっかけ」は、ちくちく痛む感覚、ひりひりする感覚、クールな感覚、しびれるような感覚、熱くなるような感覚、蒸気の作用等の感知し得る感覚であって、患者がそのような感覚を不愉快なものと感じないものとして定義される。感覚的きっかけ剤は、感覚上有効な量で存在することが好ましい。この量は、直ちに感知し得る効果を与える量である。感覚剤(Sensory agents)は、口腔/口の空洞および鼻の通路中にあるような粘膜空洞中の温度受容器に影響を与え得る。感覚剤は、口またはのどの領域の痛覚受容器に対する影響も与え得る。所望の効果に応じて、揮発性および不揮発性の感覚剤を使用し得る。揮発性の感覚的きっかけ剤は、揮発性という特性を持ち、神経系の温度受容器を刺激して、冷たい感覚または熱い感覚を与え得る任意の化合物と定義される。
【0014】
有用な感覚剤には、メントール油およびメントールの結晶等を含むメントール、マンニトール、ユーカリ油(またはユーカリプトール)、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミドおよびそれらの組合せが含まれるが、これらに限られるわけではない。有用なカルボキサミドには、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミドおよび非環式カルボキサミド、ならびにそれらの組合せが含まれ、米国特許第4,136,163号、同第4,230,688号、および同第4,459,425号に開示されている。これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に包含される。好ましい揮発性の芳香剤には、ウィルキンソン・ソード・リミテッド(Wilkinson Sword Limited)社からWS−3として市販されているN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、および、WS−23として市販されているN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミドが含まれる。
【0015】
感覚的きっかけ剤は、薬用組成物の約0.001〜約15重量%のレベルで存在し得る。薬用組成物の約0.001〜約5重量%のレベルで存在するのが好ましく、薬用組成物の約0.001〜約0.5重量%のレベルで存在するのがより好ましい。感覚剤の有用な量には、1剤形につき約2〜約15mgの間、約4〜約10mgの間、約5〜約10mgの間、が含まれる。しかしながら、使用される感覚剤を正確にどの程度の量にするかは、所望の感覚上の効果の程度等の因子に従う好みの問題である。したがって、感覚剤の量は、最終製品で所望の結果を得るために変更し得る。このような変更は、当業者の能力の範囲内にあり、過度の実験を必要としない
【0016】
メントール油およびメントールの結晶といった供給源から得られるメントール等を含むメントールは有用な感覚剤である。メントールは、口、鼻のおよび副鼻洞の通路に、直ちに感知できる「感覚的きっかけ」効果を生み出し得る揮発性の感覚剤である。メントールは、鼻詰まり除去効果(a nasal decongestion effect)、咳の抑制、経口麻酔作用および/または鎮咳作用を示し得る。メントールは、身体の粘膜、特に、口、鼻、のどおよび胃腸管の粘膜上に、生理的冷却効果を生じ得る。メントールは、一般に安全と認められ(Generally Recognized as Safe)(GRAS)、かつ、一般に安全で効果的と認められる(Generally Recognized as Safe and Effective)(GRAS/E)成分であり、咳抑制剤または鎮咳剤として「カテゴリーI」と表示される。鼻腔鬱血除去剤としてのメントールの使用についての裏付けはいくつかの臨床研究によって得られている。以下を参照されたい。米国食品医薬品局(U.S. Food & Drug Administration) (FDA),1976年,9月9日。OTC(一般用医薬品)用の風邪薬、咳薬、アレルギー薬、気管支拡張薬および抗喘息剤のためのモノグラフ制度(Establishment of a monograph for OTC cold, cough, allergy, bronchodilator and antiasthmatic products)。連邦官報41(Fed. Reg. 41):38312-38424; 米国食品医薬品局、1988年8月12日。一般用医薬品用途のための、風邪薬、咳薬、アレルギー薬、気管支拡張薬および抗喘息剤(Cold, cough, allergy, bronchodilator and antiasthmatic products for over-the-counter human use)。組み合わせ薬品についての暫定的最終モノグラフ(Tentative Final Monograph for Combination Drug Products)。連邦官報53(Fed. Reg. 53):30522-30564; シーエル・ブランチャード(CL Blanchard)等,鼻腔鬱血除去薬の評価(Evaluation of nasal decongestant drugs)。1964年,ディ アイ,イヤー,ノーズ・アンド・スロート マンスリー(The Eye, Ear, Nose & Throat Monthly) 43:76-82; ブイ・シュルツ(V Schulz), アール・ヘンゼル(R Hansel),ブイ・イー・タイラー(VE Tyler)。レショナル・フィトセラピー(Rational Phytotherapy),第3版,ベルリン(Berlin)、スプリンガー出版社(Springer Verlag),1998年,146−7頁。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に包含される。メントールの有用な量には、FDDF当たり、約2〜約15mgの間、約4〜約10mgの間、約5mg、または約10mg、が含まれる。
【0017】
一実施形態によれば、これらの少なくとも一つの感覚的きっかけ剤に、メントールとユーカリ油との組合せが含まれる。ユーカリ油は、鼻腔鬱血除去活性を与える。
【0018】
本発明の種々の形態により、少なくとも一つの全身性APIを有する組成物が提供される。しかしながら、他の実施形態では、少なくとも二つの全身性APIを有する組成物、および少なくとも三つの全身性APIさえ有する組成物が含まれる。
【0019】
有用な全身性APIには、治療上有効な量の、抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、気管支拡張剤、去痰剤、鎮咳薬、鎮痛剤、粘滑薬、麻酔薬、抗ウィルス剤、消毒剤、抗生物質、免疫強化成分、ビタミンおよびそれらの組合せが含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0020】
有用な全身性APIには、
(a)トリクロサン、塩化セチルピリジウム(cetylpyridium chloride)、臭化ドミフェン、第四級アンモニウム塩、亜鉛化合物、サンギナリン、フッ化物、アレキシジン(alexidine)、オクトニジン(octonidine)、EDTA等の抗菌剤;
(b)アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェンナトリウム、ナプロキセン、トルメチンナトリウム、インドメタシン、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ等の非ステロイド性抗炎症剤および痛み減少剤;
(c)ベンゾナテート、カラミフェンエジシレート(caramiphen edisylate)、メントール、臭化水素酸デキストロメトルファン、クロフェダノール、カルベタペンタン、ノスカピン、コデイン、塩酸クロフェジアノール等の鎮咳薬;
(d)マレイン酸ブロムフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸デキスクロルフェニラアミン、塩酸ジフェニルヒドラミン(diphenylhydramine hydrochloride)、マレイン酸アザタジン、クエン酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、コハク酸ドキシラミン、塩酸プロメタジン、マレイン酸ピリラミン、トリペレナミンクエン酸塩(tripelennamine citrate)、塩酸トリプロリジン、アクリバスチン、ロラタジン、デスロラタジン、ブロムフェニルアミン、デキスブロフェニラミン(dexbropheniramine)、フェキソフェナジン、セチリジン、レボ−セチリジン(levo-cetirizine)、デキストロ−セチリジン(dextro-cetirizine)、クロルサイクリン(chlorcycline)、アリメマジン、ピリラミン、モンテルカストナトリウム等の抗ヒスタミン薬;
(e)グアイフェネシン、イペカック、ヨウ化カリウム、抱水テルピン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、カリウムグアイコルスルホネート(potassium guaicol sulfonate)等の去痰剤;
(f)サリチル酸塩、フェニルブタゾン、インドメタシン、フェナセチン等の鎮痛解熱薬;
(g)スミトリプタンサクシネート(sumitriptan succinate)、ゾルミトリプタン、バルプロ酸エレトリプタン臭酸塩(valproic acid eletriptan hydrobromide)等の抗片頭痛薬;
(h)亜鉛等の抗ウィルス薬;
(g)ペクチン、グリセリンまたは蜂蜜等の粘滑薬;
(h)ビタミンC、ビタミンE等のビタミン;
(i)メチルキサンチン、エピネフリン、ラセピネフリン(racepinephrine)等の気管支拡張剤;
(j)塩化セチルピリジニウム等の消毒剤;
(k)セファレキシンおよびアモキシシリン等の抗生物質;
(l)ベンゾカイン、セタカイン(cetacaine)、リドカイン等の麻酔薬;
(m)ハーブ(例えば、エキナシア、朝鮮人参、アストラガルス(astragalus)、チョウセンゴミシ(schisandra)およびアンドログラフィス(andrographis))およびプロポリス等の免疫強化成分;
(n)イプラトロピウムおよびこれらの組み合わせ等の抗コリン作用薬が含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0021】
製剤中の全身性APIの量は、通常4〜24時間に及び得る予め定められた期間に渡って、この活性剤の予め定められた服用量を送達するように調整し得る。特定のAPIを含む服用量の例を表1に示す。
【表1】

【0022】
他に別途記載されない限り、全身性APIの量は一剤形あたりの重量%として指定される。通常、使用される全身性APIの量は、約0.01〜約80重量%の範囲、または約0.1〜約40重量%の範囲、または約1〜約30重量%の範囲、または約1〜約10重量%の範囲であり得る。
【0023】
ある実施形態では、特に有用な全身性APIに、プソイドエフェドリン、フェニレフリン、エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、それらの異性体、それらのプロドラッグ、それらの薬用として許容できる塩、またはそれらプロドラッグの薬用として許容できる塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。プソイドエフェドリン、フェニレフリン、デキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミンは、その塩酸塩の形態で投与し得るが、その遊離塩基または任意の薬用として許容できる塩(例えば、クエン酸塩、マレイン酸塩、臭化水素酸塩、タンニン酸塩)の形態で存在し得る。プソイドエフェドリンの有用な量には、約15〜約360mgの間;約15〜約60mgの間;約30〜約60mgの間;または約30mg;または約60mg、が含まれる。フェニレフリンの有用な量には、約2.5〜約50mgの間、約5〜約25mgの間、約5〜約10mgの間、または約10mg、が含まれる。デキストロメトルファンの有用な量には、約2.5〜約60mgの間;約5〜約20mgの間;約7.5〜約15mgの間;または約7.5mg、または約15mg、が含まれる。ジフェンヒドラミンの有用な量には、約1〜約100mgの間;約5〜約50mgの間;約12.5〜約50mgの間;または約12.5mg、または約25mg、が含まれる。
【0024】
本発明の種々の実施形態は、鼻詰まりおよび咳、風邪、風邪に似た症状、上気道感染に関連する症状、インフルエンザ、喘息、アレルギーまたはアレルギー性反応、通年性アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、エウスタキオ管詰まり(Eustachian tube congestion)およびそれらの組合せを含むが、これらに限られるわけではない、上気道における症状等の疾患の減少、治療、管理または緩和のために投与し得る。
【0025】
活性成分の「有効な」量または「治療上有効な量」とは、無毒性であり、かつ、所望の効果を与えるのに十分な剤の量を意味する。「有効」である活性薬剤の量は、個人の年齢および一般的容態、特定の活性薬剤等に依存して、対象毎に異なる。したがって、「有効な量」を正確に特定することは必ずしも可能ではない。しかしながら、個々の任意のケースにおける適切な「有効な」量は、日常的な実験を用いて当業者が決定することができる。
【0026】
「薬理的に活性な」(または単に「活性な」)とは、薬理活性を有する化合物を意味し、活性薬剤の「薬理的に活性な」誘導体とは、親化合物と同じタイプの薬理活性をほぼ同じ程度有する誘導体を意味する。用語「薬用として許容できる」が、活性薬剤の誘導体(たとえば塩)を意味するものとして使用される場合、その化合物は、薬理的に活性でもあると理解される。用語「薬用として許容できる」が賦形剤を意味するものとして使用される場合、この賦形剤が毒物学的テストおよび製造テストの必要要件を満たしていること、または、食品医薬品局(FDA)によって作成されたインアクティブ・イングリディエント・ガイド(Inactive Ingredient Guide)に載っていることが暗示される。
【0027】
「薬用として許容できる賦形剤」または「薬用として許容できる添加物」の場合のような「薬用として許容できる」とは、生物学上またはその他の観点から好ましくないものではない材料であること、すなわち、この材料が、好ましくない生物学的影響を引き起こさずに、または、この材料を組み入れた組成物の任意の他の成分と有害な相互作用を起こさずに、患者に投与される薬用組成物に組み入れることができること、を意味する。
【0028】
本発明の種々の実施形態では、経口投与の剤形でもあり得る。経口投与には、全身性APIが胃腸管に入るような嚥下、および/または、APIが直接口から血流中に入る、口腔、舌あるいは舌下の投与が関与し得る。
【0029】
薬用組成物の有用な剤形には、口中で急速に崩壊する系が含まれる。この剤形には、急速に崩壊するまたは急速に溶解する錠剤、ソフトカプセルまたはハードカプセル、ジェル、急速に分散する剤形、カプレット、フィルム、ウエハー(wafers)、腔坐剤(ovules)、顆粒、口腔/粘膜付着性パッチ、パウダー、フリーズドライ(凍結乾燥された)ウエハー、口腔/口洞中唾液で崩壊する咀嚼錠およびそれらの組合せを含む固形、半固形および液状の系が含まれるが、これらに限られるわけではない。有用なフィルムには、単層スタンドアローンフィルムおよびドライの多層スタンドアローンフィルムが含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0030】
液状の製剤には、サスペンジョン、溶液、シロップが含まれる。たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから造られたカプセルを含むソフトカプセルまたはハードカプセルのフィラー(fillers)としてエリキシル剤を使用し得る。エリキシル剤には、一般的に、キャリヤー(たとえば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油)および一以上の乳化剤および/または懸濁剤(suspending agents)が含まれる。
【0031】
一実施形態では、直接圧縮により本発明の成分の乾燥混合物から急速に崩壊する錠剤が得られる、急速に崩壊する剤形が考えられる。いくつかの実施形態では、米国特許第5,576,014号、ならびにエキスパート・オピニオン・イン・セラピューティック・パテンツ(Expert Opinion in Therapeutic Patents),リン(Liang)およびチェン(Chen),2001年, 第11巻(6),981〜986頁に開示されたような、急速に溶解し、急速に崩壊する剤形を使用することが有用である。これらの文献はその全体が本明細書に参照されて組み入れられる。
【0032】
有用な不活性成分には、バインダー(binding agents)、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、香味料および香味増進剤、味覚マスキング剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、抗酸化剤、着色剤または色素、薬用として許容できるキャリヤー、崩壊剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、pH調節剤、発泡剤、軟化剤、かさ高剤(bulking agents)、消泡剤、界面活性剤、可溶性有機塩、浸透剤、流動促進剤およびその他の賦形剤ならびにそれらの組合せがあるが、これらに限られるわけではない。これらの剤は、化学的および物理的にAPIと適合性を有することが好ましい。
【0033】
有用なpH調節剤には、フマル酸、クエン酸、酢酸ナトリウムが含まれる。有用な界面活性剤には、ソルビタンエステル、ドキュセートナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セトリリド(cetriride)が含まれる。有用な可溶性有機塩には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムが含まれる。
【0034】
有用なバインダーの例には、ポリエチレングリコール、可溶性ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、天然ゴム、種々のセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102等の微結晶性セルロースが含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0035】
実質的に水溶性のキャリヤーまたは充填剤の有用なものの例には、種々のデンプン、セルロース、炭水化物圧縮糖(carbohydrates compression sugars)または可溶性フィラーが含まれるが、それらに限られるわけではない。より具体的には、有用なフィラーには、ラクトース、ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、アミロース、デキストロース、マンニトール、イノシトール、マルトース、マルチトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、エリトリトール、フルクトース、マルトデキストリン;微結晶性セルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース;アルファ化デンプン、加工デンプン、ジャガイモデンプン、コーンスターチ(maize starch);カオリン等の粘土、PEG4000等のポリエチレングリコール(PEG);またはそれらの組合せが含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0036】
フィラーの有用な量には、本発明の組成物の、約1〜約99重量%の範囲または約25〜約95重量%の範囲または約40〜約95重量%の範囲が含まれる。微結晶性セルロースは、その特性のためにフィラーおよび可塑剤としても使用され得、また、それ故に実質的に水不溶性の賦形剤とも見なされ得る。
【0037】
本発明の組成物には甘味料が含まれ得る。有用な甘味料には、スクロース、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトースおよびそれらの混合物等の糖;酸性サッカリン(acid saccharin)およびその種々の塩類(例えばナトリウム塩またはカルシウム塩);シクラミン酸およびその種々の塩類(ナトリウム塩等);ジペプチド甘味料(例えばアスパルテームおよびアリテーム(alitame));ジヒドロカルコン化合物等の天然甘味料;グリシルリジン(glycyrrhizin);ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(ステビオサイド(Stevioside));ソルビトール、ソルビトールシロップ、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール、アセスルファム−Kならびにそのナトリウム塩およびカルシウム塩等の合成甘味料やその他の合成甘味料、水添デンプン加水分解物{リカシン(lycasin)};タリン(thaumaoccous danielli)等のタンパク質ベースの甘味料および/または、現技術水準で知られているその他任意の薬理学的に許容できる甘味料ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0038】
甘味料として有用な糖アルコールとして適切なものには、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、イソマルト(PALATINIT(商標))およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限られるわけではない。使用される糖アルコールの正確な量は、所望の冷却効果の程度等の因子によって変わり得る好みの問題である。したがって、糖アルコールの量は、最終製品で所望の結果を得るために変動し得、このような変動は、当業者の能力の範囲内にあり、過度の実験を必要としない。
【0039】
他の一実施形態では、本発明の製剤には糖が含まれない。糖を含まない製剤には、血糖障害のある消費者、または糖を含まない処方の必要な糖尿病の消費者に容易に投与できるという利点がある。このような甘味料には、苦みや金属的な後味の不在等の特性を共有する、スクラロース、アセスルファムカリウムおよびアスパルテームが含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0040】
他の一実施形態では、組成物にアセスルファムK、アスパルテーム、スクラロースおよびそれらの組合せが含まれ得る。アセスルファムKは、ニュートリノヴァ・ニュートリション・スペシャリティーズ・アンド・フード・イングリディエントGmbH(Nutrinova Nutrition Specialties & Food Ingredient GmbH)の商品である。一剤形中のスクラロースの有用な量は、FDDFの総重量の約0.002〜約10%の間である。しかしながら、この量は、甘み付けされる組成物の性質に依存して大きく変わり得る。好ましい一実施形態では、甘味料がアセスルファムKとスクラロースとの混合物である。
【0041】
錠剤はコーティングされていなくともよいが、所望に応じて、本技術分野で公知の任意の適切なコーティング剤でコーティングすることができる。適切なコーティング剤は、直ちに放出される目的のために使用され、唾液で崩壊するものである。そのようなコーティングには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメチルセルロース、またはOPADRY(商標)等およびそれらの組合せが含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0042】
オプションで、米国特許第6,596,298号に記載されたような一以上の香味料がある。この文献は本明細書に包含される。香味料の使用可能量は任意であり、活性薬用成分の特性に依存する。香味料の好ましい濃度は、組成物の約0.01〜約10重量%の間にある。
【0043】
錠剤崩壊剤は、そのウィッキング性(すなわち水を錠剤の多孔質ネットワークに引き入れる粒子の能力)および膨潤能力の故に直接圧縮プロセスに加えられ得る。崩壊剤のうちには、優れたバインダーとして働くものもあり、製剤の機械強度をかなり改善することができる。適切な崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスポビドン(crospovidone)、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、ポリアクリリン(polyacrylin)等の不溶性カチオン交換樹脂、微結晶性セルロース、クロスカルメロースである。崩壊剤は、約0.5〜約50%の範囲の濃度で添加し得る。クロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロース)は、約2〜約10%の濃度で存在し得る。
【0044】
有効量の一般的に受け入れられている任意の薬用錠剤用潤滑剤が、錠剤を圧縮するために添加され得る。約0.25〜約6重量%の範囲または0.5〜約3重量%の範囲の量を加え得る。有用な錠剤用潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミチン酸、タルク、カルナウバワックス、ステアリン酸カルシウムナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸マグネシウム、カルシウム石鹸、ステアリン酸亜鉛、ポリオキシエチレンモノステアレート、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、水添植物油および脂肪、ステアリン酸ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0045】
パウダーブレンドの流れを改善して、剤形の重量変化を最小にする一以上の流動促進剤を使用することができる。有用な流動促進剤には、二酸化ケイ素、タルクおよびそれらの組合せが含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、更に、全身的な活性を有する治療薬を適切なコーティング材料でコーティングまたはカプセル封入することを含む、味覚をマスキングした経口薬用組成物が提供され得る。味覚マスキングのための適切なコーティング材料の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メタクリレート等のポリマー、Eudragit(登録商標){ブチルメタクリレート−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−メチルメタクリレート−コポリマー(1:2:1)}等のメタクリレートコポリマー、KOLLICOAT(登録商標)、およびポリビニルピロリドンが含まれる。本薬用組成物には、この全身的な活性を有する治療薬の物理的、化学的または味覚上の特性を変更する目的のための他の機能性成分が含まれ得る。たとえば、全身的な活性を有する治療薬は、マイクロカプセル封入、スルホン化ポリマー等のイオン交換樹脂コンプレックス、電気化学的溶融物、超臨界液体、三ケイ酸マグネシウム、コアセルベーションまたはシクロデキストリン(環結合オリゴ糖)コンプレックスの形態であり得る。有用なスルホン化ポリマーには、Amberlite(登録商標)IRP-69およびIRP-64(ローム・アンド・ハス(Rohm and Haas)社から入手)、Dow XYS-40010.00(登録商標)、Dow XYS40013.00(登録商標)(ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)から入手)等の8%のジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンが含まれる。
【0047】
薬剤分子の服用量、pKaおよび溶解性は、製剤と味覚マスキングの方法に影響を与える。医薬の味覚をマスキングしてその経口投与を容易にするための、本技術分野における任意の方法を使用し得ると考えられる。たとえば、味覚マスキングは、薬剤の与えられた表面積を最小にするためのその他の賦形剤を用いて単純な湿式造粒またはローラー圧縮により達成することもできる。スプレードライ法を使用して全身的な活性を有する治療薬の味覚をマスキングすることもできる。
【0048】
更に、薬用活性成分をカプセル封入の形態で加える得ることが考えられる。カプセル封入は従来の手順を使用して達成でき、水不溶性の剤を用いても水溶性の剤を用いても実行し得る。あるいは、味をマスキングした経口薬用組成物の徐放のために、カプセル封入シェル中に、全身的な活性を有する治療薬と共に徐放性物質をカプセル封入することが可能である。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、錠剤製剤を調合するためのプロセスが提供される。錠剤ブレンド物を、直接またはローラーにより圧縮して錠剤を形成し得る。その代わりに、錠剤ブレンド物またはブレンド物の一部を、錠剤化前に、湿潤造粒、乾式造粒、溶融造粒、溶融凝結または押し出し処理することができる。最終的な製剤には、一以上の層が含まれ得る。また、コーティングまたは非コーティングであり得る。カプセル封入されていることもあり得る。フリーズドライ法やスプレードライ法も使用し得る。錠剤の製剤は、薬剤の投薬形態:錠剤(Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets),第1巻,エイチ.リーバーマン(H. Lieberman)、およびエル.ラクマン(L. Lachman)(マルセル デッカー(Marcel Dekker),ニューヨーク、1980年)に説明されている。
【0050】
直接圧縮は、薬剤の物理的および化学的特性を変えずに粉末物質が直接圧縮される、比較的急速なプロセスである。直接圧縮賦形剤の選択は、良好な流れと良好な圧縮特性とを有し、ホッパー中での粉体の分離を防止し、それによって直接圧縮の助けとなるように行われる。たとえば、錠剤は、APIおよび感覚的きっかけ剤、ならびにオプションの不活性成分およびオプションの他の治療的活性成分、ならびに均質混合物を形成するための賦形剤を一緒に混ぜ合わせ、この混合物を直接圧縮することによって得ることができる。
【0051】
他の一実施形態によれば、本剤形組成物は、レオン(Leung)等に与えられた米国特許第6,596,298号に記載されたような急速溶解フィルムを生産するための任意の適切な方法によって作製されたスタンドアローンのフィルムである。この文献は本明細書に包含される。ヒトまたは獣医学用の経口可食フィルム(Consumable oral films)は、急速溶解性または粘膜付着性であり得、一般的にAPI、フィルム形成性ポリマー、バインダー、溶媒、湿潤薬、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘性改質剤および溶媒を含有し得る、典型的には曲げやすく水溶性のまたは水膨潤性の薄膜剤形である。本製剤のいくつかの成分は、一以上の機能を発揮し得る。フィルムは、米国特許第3,784,390号、同第4,927,636号、同第6,177,096号に開示されたような従来プロセスによって製造し得る。これらの文献のそれぞれは本明細書に包含される。フィルム形成性ポリマーは、天然の多糖、タンパク質または合成ヒドロコロイドから選択し得、典型的には、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。有用な水溶性フィルム形成性ポリマーについては、レオン(Leung)等に与えられた米国特許第6,596,298号に記載されており、ポリビニルアルコール、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカントゴム、ガーゴム、アカシアゴム(acacia gum)、アラビアゴム(arabic gum)、ポリアクリル酸、メタアクリル酸メチルコポリマー(methylmethacrylate copolymer)、カルボキシビニルポリマー、アミロース、ハイアミロースデンプン(high amylose starch)、ヒドロキシプロピル化ハイアミロースデンプン(hydroxypropylated high amylose starch)、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン(elsinan)、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、ダイズタンパク質分離物、ホエータンパク質分離物、カゼインおよびそれらの混合物が含まれるが、それらに限られるわけではない。特に有用な水溶性ポリマーはプルランである。この乾燥フィルムを、単位投与量を小袋に入れるための適切なサイズおよび形状にカットすることができる。
【0052】
経口投与のための固形製剤は、即時放出性および/または改質された徐放性を持つように製剤し得る。徐放性製剤には、遅延放出、維持放出、パルス放出、調整放出、標的放出およびプログラム放出を含む改質放出性製剤が含まれる。
【0053】
本発明の目的のための適切な改質放出性製剤は、米国特許第6,106,864号に記述されている。この文献は本明細書に包含される。高エネルギー分散および浸透性および被覆された粒子等の他の適切な放出技術の詳細は、製薬技術オンライン(Pharmaceutical Technology On-line),25(2),1〜14,ヴェルマ(Verma)等(2001年)に記載されている。本文献は本明細書に包含される。徐放性を達成するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記述されている。本文献は本明細書に包含される。
【0054】
本発明の他の一実施形態によれば、全身性APIと感覚的きっかけ剤とを有する、二つ以上の別々の組成物および、容器、分割されたビンまたは分割されたホイル包み等の、当該組成物を別々に保持するための手段を持つキットが提供される。そのようなキットの一例は、錠剤、カプセルなどを包装するために使用される、よく知られたブリスターパックがある。他の実施形態では、単位投与量のブリスターパックからビンのような多数回投与パッケージまでに渡る種々の包装構成を含む製品が考えられている。服薬遵守を助けるため、キットには、投与の指示書が添付される場合もあり、いわゆる記憶補助が添付されることもある。他の一実施形態では、薬剤製品を押して、ブリスターパックのホイル背面を通して取り出すことにより、ブリスターパックから組成物を投薬する方法が考えられる。
【0055】
本発明のある好ましい実施形態やその代替的な実施形態は本発明を開示する目的のためのものであるが、開示された実施形態への修正は、当業者がなし得るものであり、本発明において考慮されており、本発明の範囲内に属するものである。
【0056】
以下の実施例は、本発明の更なる認識のために役立つものであり、如何なる意味においても本発明の有効な範囲を制限することを意味するものではない。
【0057】
〔実施例〕
表2に記載された製剤を含有する薬用組成物は、活性全身性薬用成分のドライな混合物を他の薬用として許容できる賦形剤とブレンドし、次いで、感覚的きっかけ剤をこの均質混合物に添加することで製造される。次いで、この薬用組成物の直接圧縮によって錠剤が造られる。得られた錠剤は口腔中で60秒以内に崩壊して、口腔および鼻腔に即時の感覚的きっかけを与える。本例の成分は、特に明記しない限りmg単位で表されている。
【表2】

【0058】
〔実施の態様〕
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
【0059】
(1) 薬用組成物において、
(a)治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、
(b)感覚的きっかけ上有効な量(a sensory cue effective amount)の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤と、
を含み、前記薬用組成物は、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている、
薬用組成物。
(2) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
(3) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、約2〜約15mgの量で存在する、組成物。
(4) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、前記薬用組成物の約0.001〜約15重量%の量で存在する、組成物。
(5) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記組成物は、前記口内で30秒未満で崩壊する、組成物。
(6) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントールである、組成物。
(7) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントールおよびユーカリ油を含む、組成物。
(8) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記活性薬剤は、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、それらのプロドラッグ、それらの異性体、それらの立体異性体、それらの薬用として許容できる塩、またはそれらのプロドラッグの薬用として許容できる塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれたものである、組成物。
(9) 実施態様(8)に記載の組成物において、
前記プソイドエフェドリンは、約15〜約360mgの量で存在する、組成物。
(10) 実施態様(8)に記載の組成物において、
前記フェニルエフリンは、約2.5〜約50mgの量で存在する、組成物。
【0060】
(11) 実施態様(8)に記載の組成物において、
前記デキストロメトルファンは、約2.5〜約50mgの量で存在する、組成物。
(12) 実施態様(8)に記載の組成物において、
前記ジフェンヒドラミンは、約2.5〜約50mgの量で存在する、組成物。
(13) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記活性薬用成分は、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、それらのプロドラッグ、それらの異性体、それらの立体異性体、それらの薬用として許容できる塩、またはそれらのプロドラッグの薬用として許容できる塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、
前記感覚的きっかけ剤は、メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
(14) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記組成物は、錠剤、ソフトカプセルまたはハードカプセル、ジェル、カプレット、ウエハー、腔坐剤、顆粒、口腔/粘膜付着性パッチ、パウダー、フリーズドライ(凍結乾燥)ウエハー、咀嚼錠、単層スタンドアローンフィルム、乾燥多層スタンドアローンフィルム、およびそれらの組合せからなる群から選ばれた剤形である、組成物。
(15) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記全身活性を有する薬用成分は、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬、鎮咳薬、麻酔薬、去痰剤、粘滑薬、免疫刺激剤、ビタミン、抗生物質、消毒剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
(16) 実施態様(1)に記載の組成物において、
前記全身活性を有する薬用成分は、プソイドエフェドリン、フェニレフリン、デキストロメトルファン、ベンゾカイン、セタカイン、リドカイン、塩化セチルピリジニウム、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン、ナプロキセン、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、ブロムフェニルアミン、デキスブロムフェニラミン、トリポリジン(tripolidine)、デキスクロルフェニラミン、クロルシクリジン、トリプロリジン、ドキシラミン、カルビノキサミン、アザタジン、トリペレナミン、アリメマジン、ブロモジフェンヒドラミン、フェニンダミン、ピリラミン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、アクリバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、コデイン、カルベタペンタン、カラミフェン、ノスカピン、クロフェダノール、グアイフェネシン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、抱水テルピン、カリウムグアイコルスルホネート、亜鉛、グリセリン、蜂蜜、ビタミンC、ビタミンE、メチルキサンチン、エピネフリン、ラセピネフリン、セタピリジウム(cetapyridium)、セファレキシン、アモキシシリン、フェノールおよびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
(17) 薬用組成物において、
(a)フェニレフリン、プソイドエフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれた、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、
(b)メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの組合せからなる群から選ばれた、感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤と、
を含み、
前記薬用組成物は、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている錠剤である、薬用組成物。
(18) 実施態様(17)に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントールおよびユーカリプトール、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
(19) ヒトおよび動物の上気道疾患の治療方法において、
実施態様(17)に係る組成物を上気道疾患の治療が必要な患者に投与すること、
を含む、方法。
(20) パッケージされた患者用のキットにおいて、
薬用組成物を含む複数の経口剤形のハウジングであって、
当該薬用組成物が、
(a)治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分、および、
(b)感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤、
を含み、
前記薬用組成物は、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている、
ハウジングと、
前記薬用組成物を用いて薬の投与を実行するための指示書と、
を含む、キット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬用組成物において、
(a)治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、
(b)感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤と、
を含み、
前記薬用組成物は、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている、
薬用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、約2〜約15mgの量で存在する、組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、前記薬用組成物の約0.001〜約15重量%の量で存在する、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物において、
前記組成物は、前記口内で30秒未満で崩壊する、組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントールである、組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントールおよびユーカリ油を含む、組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物において、
前記活性薬剤は、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、それらのプロドラッグ、それらの異性体、それらの立体異性体、それらの薬用として許容できる塩、またはそれらのプロドラッグの薬用として許容できる塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれたものである、組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物において、
前記プソイドエフェドリンは、約15〜約360mgの量で存在する、組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の組成物において、
前記フェニレフリンは、約2.5〜約50mgの量で存在する、組成物。
【請求項11】
請求項8に記載の組成物において、
前記デキストロメトルファンは、約2.5〜約50mgの量で存在する、組成物。
【請求項12】
請求項8に記載の組成物において、
前記ジフェンヒドラミンは、約2.5〜約50mgの量で存在する、組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物において、
前記活性薬用成分は、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、それらのプロドラッグ、それらの異性体、それらの立体異性体、それらの薬用として許容できる塩、またはそれらのプロドラッグの薬用として許容できる塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ、
前記感覚的きっかけ剤は、メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物において、
前記組成物は、錠剤、ソフトカプセルまたはハードカプセル、ジェル、カプレット、ウエハー、腔坐剤、顆粒、口腔/粘膜付着性パッチ、パウダー、フリーズドライ(凍結乾燥)ウエハー、咀嚼錠、単層スタンドアローンフィルム、乾燥多層スタンドアローンフィルム、およびそれらの組合せからなる群から選ばれた剤形である、組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物において、
前記全身活性を有する薬用成分は、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬、鎮咳薬、麻酔薬、去痰剤、粘滑薬、免疫刺激剤、ビタミン、抗生物質、消毒剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物において、
前記全身活性を有する薬用成分は、プソイドエフェドリン、フェニレフリン、デキストロメトルファン、ベンゾカイン、セタカイン、リドカイン、塩化セチルピリジニウム、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン、ナプロキセン、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、ブロムフェニルアミン、デキスブロムフェニラミン、トリポリジン、デキスクロルフェニラミン、クロルシクリジン、トリプロリジン、ドキシラミン、カルビノキサミン、アザタジン、トリペレナミン、アリメマジン、ブロモジフェンヒドラミン、フェニンダミン、ピリラミン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、アクリバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、コデイン、カルベタペンタン、カラミフェン、ノスカピン、クロフェダノール、グアイフェネシン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、抱水テルピン、カリウムグアイコルスルホネート、亜鉛、グリセリン、蜂蜜、ビタミンC、ビタミンE、メチルキサンチン、エピネフリン、ラセピネフリン、セタピリジウム、セファレキシン、アモキシシリン、フェノールおよびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
【請求項17】
薬用組成物において、
(a)フェニレフリン、プソイドエフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれた、治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分と、
(b)メントール油、メントールの結晶、マンニトール、ユーカリ油、ユーカリプトール、チモール、樟脳、スペアミント、シナモン、ミント、ジンジャー、ウインターグリーン(サリチル酸メチル)、ペパーミント、カルボキサミド、非環式カルボキサミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、およびそれらの組合せからなる群から選ばれた、感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤と、
を含み、
前記薬用組成物は、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている錠剤である、薬用組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の組成物において、
前記感覚的きっかけ剤は、メントールおよびユーカリプトール、およびそれらの組合せからなる群から選ばれたものである、組成物。
【請求項19】
ヒトおよび動物の上気道疾患の治療方法において、
請求項17に係る組成物を上気道疾患の治療が必要な患者に投与すること、
を含む、方法。
【請求項20】
パッケージされた患者用のキットにおいて、
薬用組成物を含む複数の経口剤形のハウジングであって、
当該薬用組成物が、
(a)治療上有効な量の少なくとも一つの全身活性を有する薬用成分、および、
(b)感覚的きっかけ上有効な量の少なくとも一つの感覚的きっかけ剤、
を含み、
前記薬用組成物は、口腔内で約60秒未満で崩壊するように設計されている、
ハウジングと、
前記薬用組成物を用いて薬の投与を実行するための指示書と、
を含む、キット。

【公表番号】特表2008−525420(P2008−525420A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547696(P2007−547696)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003839
【国際公開番号】WO2006/067593
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【Fターム(参考)】