説明

成形用樹脂組成物、成形品および半導体パッケージ

【課題】熱硬化性樹脂をベースとして、高寸法精度、低反り、低熱膨張、高耐熱の樹脂パッケージを提供する。
【解決手段】(A)所定の構造を有するナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂と、(B)所定の構造を有するフェノールアラルキル樹脂硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)重量平均粒径10〜30μmの溶融シリカ粉末と、を必須成分とし、(D)溶融シリカ粉末が成形用樹脂組成物中に80〜90質量%の割合で含有されており、かつ成形用樹脂組成物中にハロゲン原子を含有していない成形用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子などの電子部品の成形、封止材料として使用される成形用樹脂組成物、これを用いた成形品および半導体パッケージに係り、さらに詳しくは、高寸法精度、高耐熱性が要求される半導体パッケージの成形用樹脂組成物および半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子などの電子部品をエポキシ樹脂組成物を用いて封止することが広く行われている。なかでも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂を主剤とし、フェノール樹脂を硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物が、安価であるうえに、成形性、耐湿性などにも優れることから多用されている。
【0003】
しかしながら、このようなノボラック型エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は、安価で、成形性、耐湿性などにも優れる反面、高寸法精度、高耐熱を要求される半導体パッケージ用途には使用が難しいという問題があった。
【0004】
一般に高寸法精度、低反り、低熱膨張、高耐熱を要求されるパッケージ、例えば、固体撮像素子用パッケージ等の用途においてはセラミックパッケージが用いられている。しかしながらセラミックパッケージを使用したパッケージは材料費が高く、加工しづらい為、価格が高価であるという問題があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
これに対して、最近、廉価な樹脂製パッケージが用いられるようになった。熱硬化性樹脂パッケージは耐熱性、成形性、信頼性などから好ましく用いられているが、高寸法精度、低反り、低熱膨張、高耐熱を要求される固体撮像用パッケージ等の用途には不十分であった(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
一方、耐熱性樹脂として多くの分野で用いられているポリイミド樹脂を使用すれば、高耐熱性の成形物を得ることができるが、樹脂の成形性が悪く、フレームや充填剤などとの密着性が不十分なため信頼性も不十分であり前述の半導体用途には不向きであった。
【特許文献1】特開平10−84509号公報
【特許文献2】特開平11−31751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、現状においては、高寸法精度、低反り、低熱膨張、高耐熱を要求される固体撮像用パッケージ等の用途にはセラミックパッケージに代わり安価で成形性の良い樹脂パッケージが種々検討されてはいるものの、上記セラミックパッケージに代わるような樹脂製パッケージの技術は未だ見出されていない。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、熱硬化性樹脂をベースとして、高寸法精度、低反り、低熱膨張、高耐熱の樹脂製パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定の耐熱性樹脂と特定の充填材とを併用する樹脂組成物を用いることにより、優れた特性を有する半導体パッケージを得ることができることを見出し本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の成形用樹脂組成物は、(A)次の一般式(I)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂
【化1】

(j,k,lおよびmはそれぞれ0または1であり、j+kおよびl+mはそれぞれ1または2を表す。)と、(B)次の一般式(II)で表されるフェノールアラルキル樹脂硬化剤
【化2】

(RおよびRはそれぞれ水素原子またはアルキル基を表し、nは0または1以上の整数を表す。)と、(C)硬化促進剤と、(D)重量平均粒径10〜30μmの溶融シリカ粉末と、を必須成分とする成形用樹脂組成物であって、(D)溶融シリカ粉末が、成形用樹脂組成物中に80〜90質量%の割合で含有されており、かつ成形用樹脂組成物中にハロゲン原子を含有していないことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の成形品は、本発明の成形用樹脂組成物を加熱硬化させてなることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明の半導体パッケージは、本発明の成形用樹脂組成物を加熱硬化させて半導体素子を封止成形した成形品であって、該成形品の平行度が20μm/10mm以内および平面度が10μm/10mm以内であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱硬化性樹脂をベースとして、高寸法精度、低反り、低熱膨張、高耐熱の樹脂製パッケージを提供することができる成形用樹脂組成物を得ることができる。また、この樹脂組成物は上記特性を有するため固体撮像用に特に適した半導体パッケージに適用でき、セラミックパッケージに代わり安価で成形性の良い樹脂製の半導体パッケージとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明で使用する(A)ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、次の一般式(I)で表される熱硬化性樹脂
【化3】

(j,k,lおよびmはそれぞれ0または1であり、j+kおよびl+mはそれぞれ1または2を表す。)であり、具体的には、HP−4700(大日本インキ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0016】
また、この(A)エポキシ樹脂の樹脂組成物中における配合量は、1〜15質量%の範囲であることが好ましく、3〜12質量%の範囲であることがより好ましい。
【0017】
次に、本発明で使用する(B)フェノールアラルキル樹脂硬化剤としては、上記エポキシ樹脂成分のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば、特に制限されることなく使用することができる。具体的には、フェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類とベンズアルデヒドなどとを反応させて得られる次の一般式(II)で表されるフェノールアラルキル樹脂硬化剤
【化4】

(RおよびRは、それぞれ水素原子またはアルキル基を表し、nは0または1以上の整数を表す。)が挙げられる。
【0018】
本発明においては、このフェノールアラルキル樹脂硬化剤の中でも、次の一般式(III)で表されるフェノールアラルキル樹脂硬化剤
【化5】

(nは0または1以上の整数を表す。)であることが、成形品の耐熱性に優れ、高寸法精度の成形品を得ることができる点で好ましいものである。
【0019】
この(B)フェノールアラルキル樹脂硬化剤の配合量は、本発明の樹脂組成物におけるエポキシ樹脂成分が有するエポキシ基数(a)と(B)成分のフェノール樹脂硬化剤が有するフェノール性水酸基数(b)との比(a)/(b)が0.5〜1.5となる範囲であることが好ましく、0.8〜1.2となる範囲であることがより好ましい。(a)/(b)が0.5未満では、硬化物の耐湿信頼性が低下し、逆に1.5を超えると、硬化物の強度が低下する。
【0020】
このとき、(B)フェノール樹脂硬化剤の樹脂組成物中における配合量は、例えば、1〜15質量%の範囲であることが好ましく、2〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
【0021】
本発明で使用する(C)硬化促進剤としては、一般に成形品用に使用されるものを使用することができる。例えば、2−フェニル−4−メチル−S−ヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、ウレア系硬化促進剤等が挙げられ、このうち80℃以上の融点を持つものであることが好ましく、イミダゾール化合物であることが特に好ましい。
【0022】
これら(C)硬化促進剤の樹脂組成物中における配合量は、それぞれの触媒活性が異なるため一概にその好適量は決められないが、例えば、0.02〜5質量%程度の範囲で加えることが好ましい。これは、0.02質量%未満では硬化性能が劣り、一方、5質量%を超えると耐湿信頼性が劣化する傾向があるためである。
【0023】
本発明で使用する(D)溶融シリカ粉末は、重量平均粒径10〜30μmのものが用いられる。平均粒径が10μm未満では、樹脂組成物の流動性が低下して成形性が損なわれてしまい、また、平均粒径が30μmを超えた場合には、フィラーの偏析により成形品に反りが生じて寸法精度が低下してしまう。
【0024】
この(D)溶融シリカ粉末としては、他の無機充填材を含んだ状態でもよく、このとき溶融シリカ粉末の割合が80〜100質量%のものが用いられる。80質量%以下では樹脂組成物の流動性が低下して成形性が損なわれてしまう。
【0025】
また、このとき用いることができる他の無機充填材としては、本発明の効果を阻害しない範囲で添加するものであり、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウムタルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニアなどの粉末、これらを球形化したビーズ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナなどの単結晶繊維、ガラス繊維などを併用成分とすることができる。これらの無機充填剤は単独または2種以上混合して使用することができる。
【0026】
さらに、樹脂組成物中における(D)溶融シリカ粉末の配合量は80〜90質量%である。シリカ粉末の配合量が樹脂組成物全体の80質量%未満では、成形品の寸法精度、反り、耐湿性、機械的強度などが低下してしまう。逆に、90質量%を越えると、樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が不良となって実用が困難になってしまう。
【0027】
本発明で使用する(E)低応力添加剤は、樹脂組成物中に配合することで応力を低下させて成形性を向上し、成形品の反りを低減させるものであればよく、例えば、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴムなどのゴム類、エポキシ変性ゴム類、シリコーンオイル類、コアシェルゴム類などの市販のものを使用することができる。このうち、エポキシ変性ポリブタジエンゴム(エポキシ当量200〜600)が好ましく使用できる。
【0028】
この(E)低応力添加剤を配合する場合における樹脂組成物中における配合量は、例えば、0.1〜1.5質量%の範囲であることが好ましく、0.3〜1.0質量%の範囲であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明の成形用樹脂組成物は、ハロゲンフリーであり、臭素化合物、塩素化合物などの難燃剤を含まない。ハロゲン元素が含まれると、高温放置時にハロゲン化物のガスが発生したり、また、吸湿性が高くなるため、固体画像素子などに使用される場合にはガラス封止面の曇りの原因になってしまう。
【0030】
さらに、本発明の成形用樹脂組成物中には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合される、難燃剤、カップリング剤、合成ワックス、天然ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩等の離型剤、カーボンブラック、コバルトブルーなどの着色剤、ハイドロタルサイト類などのイオン捕捉剤などを配合することができる。
【0031】
難燃剤としては、三酸化アンチモン、燐化合物、水酸化金属などが使用される。
【0032】
また、カップリング剤としては、エポキシシラン系、アミノシラン系、ウレイドシラン系、ビニルシラン系、アルキルシラン系、有機チタネート系、アルミニウムアルコレート系などのカップリング剤が使用される。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。難燃性および硬化性の観点からは、なかでも、アミノシラン系カップリング剤が好ましく、特に、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。
【0033】
なお、一般に知られる硬化促進剤も本発明の成形用樹脂組成物の併用成分として配合することができる。
【0034】
本発明の成形用樹脂組成物を調製するにあたっては、上記したような(A)ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、(B)フェノールアラルキル樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)質量平均粒径10〜30μmの溶融シリカ粉末、および、前述した必要に応じて配合される各種成分とを、ミキサーなどによって十分に混合した後、熱ロール、ニーダ等により加熱溶融混合処理を行い、ついで冷却固化させ適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。
【0035】
本発明の成形品は、上記の成形用樹脂組成物を用いて加熱硬化させることにより得ることができ、特に半導体素子の封止に適用して半導体パッケージを製造することができる。成形、封止を行う半導体素子としては、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオードなどが例示されるが、特に、高寸法精度、高耐熱性を要求される撮像素子用パッケージ、セラミックパッケージに接着して使用されるフレームなどに好適に使用できる。
【0036】
また、成形、封止方法としては、低圧トランスファー法が一般的であるが、射出成形、圧縮成形などによる封止も可能である。封止用樹脂組成物で封止後は、加熱して硬化させ、最終的にその硬化物によって封止された半導体装置が得られる。後硬化させる際の加熱温度は、150℃以上とすることが好ましい。
【0037】
ここで、図1(a)で示したような半導体パッケージを製造する際には、半導体パッケージの設計値からのずれを平行度、平面度として表し、平行度は20μm/10mm以内、平面度は10μm/10mm以内とした樹脂パッケージとすることができる樹脂で製造することが好ましい。ここで、図1(a)に示したように、パッケージの一辺10mm当りのA平面(上面)とB平面(底面)における、両平面の最大ずれ長さを平行度(図2(a))、パッケージ上面の任意の10点平均座標からなる仮想平面に対し最大の位置ずれ長さを平面度(図2(b))としたものであり、いずれのずれ長さも垂直方向のずれに対するものである。
【実施例】
【0038】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
平均粒径15μmの溶融シリカ粉末(電気化学工業株式会社製、商品名:FB−105) 87質量%、一般式(I)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(大日本インキ株式会社製、商品名:HP−4700;j=1,k=1,l=1、m=1) 5.65質量%、一般式(III)で表されるフェノールアラルキル樹脂(明和化成株式会社製、商品名:MEH−7800 SS;n=1〜8) 6.0質量%、イミダゾール系硬化促進剤C17Z(四国化成株式会社製、商品名;融点90℃) 0.1質量%、カルナバワックス 0.2質量%、カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名:MA−600) 0.15質量%およびN−アミノエチル−3−プロピルトリメトキシシラン 0.1質量%、シリコーンオイル 0.5質量%、エポキシ変性ポリブタジエン(E−1800−6.5) 0.3質量%を常温で混合し、次いで、90〜95℃で加熱混練した。冷却後、粉砕して成形用樹脂組成物を得た。
【0040】
なお、これらの配合量に関しては、表1中にも示した。また、表1中では、配合量の単位である質量%に関する記述は省略した。
【0041】
(実施例2〜4)
実施例1と同じ成分を用いるとともに、その配合量を表1に示すようにして変化させ、実施例1と同様にして成形用樹脂組成物を得た。
【0042】
(比較例1〜5)
実施例1と同じ成分を用いるとともに、その配合量を表1に示すようにして変化させ、実施例1と同様にして成形用樹脂組成物を得た。
【0043】
使用した原料は以下のとおりである。
配合成分 メーカー 商品名
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂 大日本インキ HP−4700
オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂 住友化学 ESCN−195
フェノールアラルキル樹脂 明和化成 MEH7800SS
多官能フェノール樹脂 明和化成 MEH−7500
ノボラックフェノール樹脂 昭和高分子 BRG−5575
結晶シリカ 龍森 MCC−4
溶融球状シリカ 電気化学工業 FB−105
イミダゾール硬化促進剤 四国化成工業 C17Z(融点90℃)
臭素化エポキシ樹脂 東都化成 YDB−400
カルナバワックス セラリカ野田 カルナバワックスno1
カーボンブラック 三菱化学 MA−600
シランカップリング剤 信越シリコーン KBM−603(N−アミノエチル−3−プロピルトリメトキシシラン)
シリコーンオイル 信越シリコーン X22−163C
エポキシ変性ポリブタジエン 日本石油化学 E−1800−6.5
【0044】
上記各実施例および各比較例で得られた封止用樹脂組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。なお、成形用樹脂組成物の成形は、トランスファー成形機により、金型温度 175℃、成形圧カ 6.9MPa、硬化時間2分間の条件で行い、その後、175℃で4時間の後硬化を行った。
【0045】
[最低溶融粘度]
高化式フロー測定装置(島津製作所製、名称:CFT−500C)を用いて樹脂組成物を175℃、剪断応力 1.23×10Paの環境下に配置し、最低溶融粘度(η1)を測定する。
[成形性]
トランジスタ半導体装置80個を、上記樹脂組成物を用いてトランスファー成形し、成形物の表面巣の発生を観察した。なお、評価は、以下のようにして実施した。
○:巣の発生なし、△:巣がわずかに発生、×:巣が多数発生
[硬化時間]
175℃に保たれた熱盤上で一定量の封止用樹脂組成物を直径4〜5cmの円状に広げ一定速度で練り合わせ、試料が増粘し最終的に粘りがなくなるまでの時間を計測した。
【0046】
[ガラス転移点][弾性率]
200℃で1時間加熱成形した硬化物からスティック状サンプルを作成し、DMAにて昇温10℃/minの条件で測定し、ガラス転移温度および弾性率を算出した。
[平行度][平面度]
上記成形用樹脂組成物を用い、上記条件で成形および後硬化を行って、12mm×12mm×1.6mmの試験片を作製し、設計値からのズレを測定した。平行度、平面度は樹脂パッケージの一辺が10mm当りのズレ長さとして表した。
[セラミック基板との接着性]
前述の試験片を厚さ3.2mmのセラミック基板に熱硬化接着剤で接着した後、1mの高さからコンクリート床に落下させて剥離強度を観察した。この操作を5個の試験片に対して行い、以下のようにして評価した。
○:剥離なし、△:1〜4個剥離、×:5個剥離
更に25℃から200℃の熱サイクルテストを行い、クラックの有無を観察した。なお、クラックの評価は、以下に示すようにして評価した。
○:剥離なし、×:剥離発生
【0047】
これらの結果を組成とともに表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1からも明らかなように、実施例の成形用樹脂組成物は、比較例の成形用樹脂組成物に比較して成形性に優れており、高寸法精度、低反り、高耐熱性の半導体パッケージが得られることが分かった。
【0050】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)半導体パッケージの断面、(b)樹脂パッケージの斜視図を示したものである。
【図2】(a)平行度と(b)平面度の概念を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)次の一般式(I)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂
【化1】

(j,k,lおよびmはそれぞれ0または1であり、j+kおよびl+mはそれぞれ1または2を表す。)と、
(B)次の一般式(II)で表されるフェノールアラルキル樹脂硬化剤
【化2】

(RおよびRは、それぞれ水素原子またはアルキル基を表し、nは0または1以上の整数を表す。)と、
(C)硬化促進剤と、
(D)重量平均粒径10〜30μmの溶融シリカ粉末と、を必須成分とする成形用樹脂組成物であって、
前記(D)溶融シリカ粉末が、前記成形用樹脂組成物中に80〜90質量%の割合で含有されており、かつ前記成形用樹脂組成物中にハロゲン原子を含有していないことを特徴とする成形用樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)フェノールアラルキル樹脂硬化剤が、次の一般式(III)で表されるフェノールアラルキル樹脂硬化剤
【化3】

(nは0または1以上の整数を表す。)であることを特徴とする請求項1記載の成形用樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)硬化促進剤が、80℃以上の融点を有し、分子中にイミダゾール基を有する化合物であって、その含有量が前記成形用樹脂組成物全体の0.02〜5質量%であることを特徴とする請求項1または2記載の成形用樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、(E)低応力剤を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の成形用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の成形用樹脂組成物を加熱硬化させてなることを特徴とする成形品。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の成形用樹脂組成物を加熱硬化させて半導体素子を封止成形した成形品であって、該成形品の平行度が20μm/10mm以内および平面度が10μm/10mm以内であることを特徴とする半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−96889(P2009−96889A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270281(P2007−270281)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】