説明

成膜用原料粉、膜構造体及びそれらの製造方法、並びに、圧電素子

【課題】AD法による成膜に用いられる成膜用原料粉の製造において、粒成長助剤を母材粒子の表面に均一に固着させることにより、AD法によって形成される膜のアニール時の粒成長や特性改善を促進する。
【解決手段】この成膜用原料粉の製造方法は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成するために用いられる原料粉を製造する方法であって、所定の元素の硝酸塩又は硫酸塩を用いて、所定の組成を含む粒成長助剤を、鉛系圧電材料を含む母材粒子の表面に固着させる工程(a)と、母材粒子の表面に固着した粒成長助剤にエネルギーを加えることによって、残留する硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンを分解する工程(b)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の粉体を分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付けることによって基板上に原料を堆積させるエアロゾルデポジション(Aerosol Deposition:AD)法において用いられる原料粉、そのような原料粉を用いて製造される膜構造体、及び、それらの製造方法に関する。さらに、本発明は、そのような原料粉を用いて製造される圧電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の分野においては、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電圧を印加することにより所定の機能を発現する電子セラミック等の機能性材料を含む素子を、成膜技術を用いて製造する研究が盛んに進められている。
【0003】
一般に、基板の表面に脆性材料の膜を形成する方法として、エアロゾルデポジション法(以下、「AD法」ともいう)が知られている。AD法とは、原料の微小な粉体をガスに分散させることにより生成されたエアロゾルを基板に向けて噴射することによって、原料を基板上に堆積させる成膜方法である。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。なお、AD法は、噴射堆積法又はガスデポジション法とも呼ばれている。
【0004】
AD法においては、高速で噴射された成膜用原料粉が、基板や先に形成された堆積物等の下層に衝突して食い込み、衝突の際に粉体が破砕して生成された破砕面が下層に付着するメカノケミカル反応によって成膜される。そのようなAD法を用いることにより、不純物を含まない、緻密で強固な厚膜を形成することができる。そのため、例えば、圧電アクチュエータ、圧電ポンプ、インクジェットプリンタヘッド、超音波トランスデューサ等の圧電素子に用いられる圧電膜をAD法によって形成することにより、それらの機器の性能を向上させることができると期待されている。
【0005】
また、近年においては、AD法において用いられる成膜用原料粉の改良が進められており、これによって、AD法における幾つかの問題点を解決することができると考えられている。それらの問題点の内の1つとして、エアロゾル中に含まれている成膜用原料粉が凝集し、成膜装置を構成しているノズルや配管の内壁に付着して、その結果、基板上に成膜される厚さにむらが生じてしまうという問題点がある。この問題点に対しては、成膜用原料粉の組成材料を工夫することによって、成膜用原料粉の流動性を向上させるという対策が考えられている。さらに、成膜用原料粉の改良は、基板上に成膜される構造物の特性を向上させることにも大きく関係するので、AD法に用いられる成膜用原料粉の製造方法については、様々な技術が開発されている。
【0006】
関連する技術として、下記の特許文献1及び特許文献2には、1種類以上の延性材料を脆性材料微粒子表面にコーティングさせる工程を経て複合微粒子を形成した後、該複合微粒子を基材表面に高速で衝突させる複合構造物の作成方法が記載されている。この複合構造物の作成方法によれば、低い比誘電率を有し、緻密な組織構造を有する複合構造物が生成されることができると記載されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、具体例として、延性材料の粉体と脆性材料の粉体とを混ぜ合わせてAD法による成膜を行ったことしか記載されておらず、脆性材料微粒子表面にコーティングされる延性材料を均一に分散させた場合の効果等については記載されていない。
【0007】
また、下記の特許文献3及び特許文献4には、脆性材料微粒子表面に別の脆性材料をコーティングさせる工程を経て複合微粒子を形成した後、該複合微粒子を基材表面に高速で衝突させる複合構造物の作成方法が記載されている。しかしながら、特許文献3及び特許文献4においても、具体例として、脆性材料の粉体と別の脆性材料の粉体とを混ぜ合わせてAD法による成膜を行ったことしか記載されておらず、脆性材料微粒子表面にコーティングされる別の脆性材料を均一に分散させた場合の効果等については記載されていない。
【0008】
さらに、下記の特許文献5には、エアロゾルの生成における原料粉の凝縮を抑制するために、母材となる第1の粒子と、該第1の粒子よりも小さい粒径を有し、該第1の粒子の表面を覆うように固着している第2の粒子とを含む成膜用原料粉を用意する工程(a)と、工程(a)において用意された成膜用原料粉を基板に向けて噴射することにより、基板上に成膜用原料粉の組成材料を堆積させる工程(b)とを具備する成膜方法が記載されている。しかしながら、特許文献5には、形成された膜における第2の粒子の組成材料の偏析を防止して特性を改善するための方策は記載されていない。
【特許文献1】特開2003−277948号公報(第7、10頁、図4)
【特許文献2】国際公開2002/36855(第5頁、図4)
【特許文献3】特開2003−277949号公報(第8、10頁、図4)
【特許文献4】国際公開2002/34966(第5頁、図4)
【特許文献5】特開2005−344171号公報(第5、7頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、AD法による成膜に用いられる成膜用原料粉の製造において、粒成長助剤を母材粒子の表面に均一に固着させることにより、AD法によって形成される膜のアニール時の粒成長や特性改善を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る成膜用原料粉の製造方法は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成するために用いられる原料粉を製造する方法であって、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、イッテルビウム(Yb)、ジスプロシウム(Dy)、及び、ニッケル(Ni)の内から選択された少なくとも1種の元素の硝酸塩又は硫酸塩を用いて、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤を、鉛系圧電材料を含む母材粒子の表面に固着させる工程(a)と、母材粒子の表面に固着した粒成長助剤にエネルギーを加えることによって、残留する硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンを分解する工程(b)とを具備する。
【0011】
本発明の1つの観点に係る膜構造体の製造方法は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成する膜構造体の製造方法であって、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、イッテルビウム(Yb)、ジスプロシウム(Dy)、及び、ニッケル(Ni)の内から選択された少なくとも1種の元素の硝酸塩又は硫酸塩を用いて、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤を、鉛系圧電材料を含む母材粒子の表面に固着させる工程(a)と、母材粒子の表面に固着した粒成長助剤にエネルギーを加えることによって、残留する硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンを分解する工程(b)と、工程(b)において得られた原料粉をエアロゾル状態にして基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を基板上に直接又は間接的に形成する工程(c)と、膜構造体に対して熱処理を施すことにより、膜中の結晶粒を成長させる工程(d)とを具備する。
【0012】
また、本発明の1つの観点に係る成膜用原料粉は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成するために用いられる原料粉であって、鉛系圧電材料を含む母材粒子と、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含み、母材粒子の表面を覆うように固着している粒成長助剤とを具備する。
【0013】
本発明の1つの観点に係る膜構造体は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成することによって製造される膜構造体であって、(a)基板と、(b)基板上に直接又は間接的に形成された膜であって、鉛系圧電材料を含み10nm以上500nm以下の平均粒径を有する結晶粒と、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤とを含む膜とを具備する。
【0014】
さらに、本発明の1つの観点に係る圧電素子は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成することによって製造される圧電素子であって、(a)第1の電極と、(b)第1の電極上に形成された圧電体膜であって、鉛系圧電材料を含む結晶粒と、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤とを含む圧電体膜と、(c)圧電体膜上に形成された第2の電極とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、母材粒子の表面に固着した粒成長助剤にエネルギーを加えて、粒成長助剤を母材粒子の表面に均一に固着させることにより、AD法によって形成される膜のアニール時の粒成長や特性改善を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る膜構造体の製造方法を示すフローチャートである。
まず、成膜用原料粉の製造について説明する。ステップS1において、母材粒子の材料である鉛系圧電材料(具体的には、フルウチ化学株式会社製のPNN−PZT)の粉末をIPA(イソプロピルアルコール)等の溶媒に分散させる。
【0017】
さらに、ステップS2において、所望の焼結助剤の原料を溶媒に溶解して溶液を作成する。焼結助剤の原料としては、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、イッテルビウム(Yb)、ジスプロシウム(Dy)、及び、ニッケル(Ni)の内から選択された少なくとも1種類の元素の硝酸塩又は硫酸塩が用いられる。なお、粉末の凝集を防ぐために、分散剤として界面活性剤を添加しても良い。
【0018】
ステップS3において、ロータリーエバポレータを用いて、溶液中の溶媒を蒸発させながら、溶液を母材粒子に付着させていく。この過程において、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の微粉末粒子が、焼結助剤の成分として母材粒子に固着してコーティングされる。ただし、硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン(NO)又は硫酸イオン(SO2+)の一部も、焼結助剤中に残留する。
【0019】
そこで、本実施形態においては、ステップS4において、成膜用原料粉に対して、所定の温度における熱処理(アニール処理)を施す。この熱処理は、成膜用原料粉にエネルギーを加えることによって、ポア(空隙)や膜割れの原因となる硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンを分解して、SO、NO等のガスとして排出することにより、成膜用原料粉を安定な前駆体とすることを目的としている。
【0020】
熱処理温度は、温度に対する重量変化を観察するために用いられる示差熱熱重量測定装置(TG/DTA)等を用いて、熱処理における成膜用原料粉の重量変化を測定することにより決定される。本実施形態においては、焼結助剤の原料である硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンが分解する温度に基づいて、アニール温度が、550℃〜650℃、さらに好ましくは600℃に決定されている。
【0021】
ステップS4において、成膜用原料粉に対して熱処理を施す替わりに、成膜用原料粉に電磁波を照射することによってエネルギーを加えるようにしても良い。本願においては、焼結助剤を安定化及び均一化するために、複合微粒子である成膜用原料粉に対してエネルギーを加える各種の処理を「安定化処理」ともいう。
【0022】
また、ステップS3において、ロータリーエバポレータを用いて焼結助剤を母材粒子にコーティングする実施例の替わりに、次のような方法を用いても良い。これらの方法によっても、実施例と同様の効果を確認できている。
第1の方法として、液化させた焼結助剤を、流動スプレードライ法を用いて母材粒子に吹き付けることにより、焼結助剤を母材粒子にコーティングすることができる。
【0023】
第2の方法として、焼結助剤を気化させ、それを母材粒子に付着させることにより、焼結助剤を母材粒子にコーティングすることができる。例えば、株式会社広築製のバッチ式ロータリーキルンやロータリーチューブ炉を用いて焼結助剤を加熱することにより気化させて、それを母材粒子にコーティングすることができる。あるいは、株式会社奈良機械製作所製のレーザアブレーションシステムを用いて、焼結助剤にレーザ光線を照射することにより気化させて、それを母材粒子にコーティングすることができる。
【0024】
次に、成膜工程について説明する。このようにして製造された成膜用原料粉を用いて、ステップS5において、AD法による成膜が行われる。成膜用原料粉の平均粒径は、AD法によって緻密な膜を形成するために適した粒径である0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは、0.3μm以上1μm以下にすることが望ましい。成膜用原料粉は、基板に衝突することによって破砕されるが、これによって形成されるAD膜の平均粒径は、10nm以上500nm以下となる。
【0025】
その後、ステップS6において、AD膜に対し、800℃の空気雰囲気中においてアニール処理(熱処理)が施される。これにより、AD膜中の結晶粒が成長して粒径が拡大する。本実施形態においては、安定化処理が施された焼結助剤を母材粒子にコーティングして製造された成膜用原料粉を用いることによって、アニール処理において粒界に液相を形成し、アニール温度を低温化して、結晶粒の成長を促進することができる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る膜構造体の製造方法において用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。図2に示すように、この成膜装置は、エアロゾルの生成が行われるエアロゾル生成部1〜4と、成膜部6〜9と、両者を接続しているエアロゾル搬送管5と、各部の動作を制御する制御部10とを含んでいる。
【0027】
エアロゾル生成部は、エアロゾル生成室1と、振動台2と、巻上げガスノズル3と、圧力調整ガスノズル4とを含んでいる。エアロゾル生成室1は、成膜用原料粉11が配置される容器であり、ここで、エアロゾルの生成が行われる。また、エアロゾル生成室1は、成膜用原料粉11を攪拌することにより効率的にエアロゾルを生成するために、所定の周波数で振動する振動台2の上に設置されている。
【0028】
巻上げガスノズル3は、外部のガスボンベから供給されるキャリアガスをエアロゾル生成室1内に導入することにより、サイクロン流を生成する。それにより、エアロゾル生成室1内に配置された成膜用原料粉11が巻き上げられて分散し、エアロゾルが生成される。
【0029】
圧力調整ガスノズル4は、外部のガスボンベから供給されるキャリアガスをエアロゾル生成室1内に導入することにより、エアロゾル生成室1内のガス圧を調整する。それにより、エアロゾル生成室1内の圧力と成膜室6内の圧力との差が調整される。
【0030】
巻上げガスノズル3及び圧力調整ガスノズル4によって導入されるガスの流量は、流量調整部3a及び4aによって調節される。また、巻上げガスノズル3及び圧力調整ガスノズル4によって供給されるキャリアガスとしては、He(ヘリウム)、O(酸素)、N(窒素)、Ar(アルゴン)、若しくは、それらの混合ガス、又は、乾燥空気等が用いられる。なお、図2に示すエアロゾル生成部において、粉体供給装置として一般に知られているパウダーフィーダが用いられても良い。
【0031】
エアロゾル搬送管5は、エアロゾル生成部から成膜部に向けてエアロゾルを搬送する経路である。成膜室6において、エアロゾル搬送管5は、エアロゾルを噴射するノズル7に接続されている。
【0032】
成膜部は、成膜室6と、噴射ノズル7と、基板ステージ8と、排気管9とを含んでいる。成膜室6の内部は、排気管9に接続されている排気ポンプによって排気されており、それによって所定の真空度に保たれている。噴射ノズル7は、所定の形状及び大きさの開口を有しており、エアロゾル生成室1からエアロゾル搬送管5を介して供給される成膜用原料粉のエアロゾルを、基板12に向けて噴射する。なお、噴射ノズル7から噴射されるエアロゾルの速度は、エアロゾル生成室1と成膜室6との間の圧力差によって決定される。
【0033】
基板12が固定されている基板ステージ8は、噴射ノズル7と基板12との相対位置及び相対速度を制御するための3次元的に移動可能なステージである。この相対速度を調節することにより、1往復あたりに形成される膜の厚さが制御される。また、基板ステージ8には、基板12を所定の温度に保つための加熱ヒータが搭載されていても良い。なお、本実施形態においては、基板ステージ8側を移動させることにより、ノズル7と基板ステージ8との相対位置を変化させているが、基板12の位置を固定してノズル7側を移動させるようにしても良い。
【0034】
次に、図2に示す成膜装置の基本的な動作について説明する。
AD法においては、成膜用原料粉として、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やAl(アルミナ)等のセラミック粉が用いられる。図2に示すように、そのような成膜用原料粉11をエアロゾル生成室1に配置すると共に、基板12を基板ステージ8上に配置する。
【0035】
成膜装置を駆動すると、エアロゾル生成室1において生成されたエアロゾルが、エアロゾル搬送管5を通って成膜室6に導入され、ノズル7から噴射されて基板12に吹き付けられる。このエアロゾル中の成膜用原料粉11が、基板12に衝突してメカノケミカル反応を起こすことによって、基板12上に堆積する。その際に、制御部10の制御の下で、基板ステージ8を所定の速度で移動させることにより、ノズル7によって基板12が走査され、ノズル7と基板12との相対速度に応じたレートで、成膜用原料粉11と同じ組成を有する膜13が形成される。
【0036】
本実施形態においては、キャリアガスとして酸素ガスが用いられ、また、ガスの流量は、流量調整部3a及び4aによって毎分6リットルに調整される。また、基板12としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板上に、スパッタリング法によって50nmの酸化チタン(TiO)と500nmの白金(Pt)とを成膜することにより電極を形成したものが用いられる。そのような基板12上に、室温において、既に説明した成膜装置を用いて膜13が形成される。この場合には、YSZ基板上に電極を介して間接的にAD膜が形成されることになるが、YSZ基板上に直接的にAD膜を形成しても良い。あるいは、複数の電極とAD膜とを繰り返して形成することにより、積層構造体を構成するようにしても良い。
【0037】
ここで、本発明の一実施形態に係る成膜用原料粉について説明する。
本実施形態に係る成膜用原料粉は、脆性材料の粒子(母材粒子)の周りに、これとは異なる脆性材料又は延性材料の焼結助剤(粒成長助剤)がコーティングされている複合粒子である。焼結助剤(粒成長助剤)とは、AD法によって形成した膜(AD膜)をアニール処理する場合に、粒界に液相を形成することによりアニール温度を低温化して結晶粒の成長を促進するための材料であり、低融点であることを特徴としている。
【0038】
母材粒子の材料としては、鉛系圧電材料が用いられる。例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)や、一般式Pb(Ni,Nb)O−PbZrO−PbTiOで表される3成分系ジルコンチタン酸鉛(PNN−PZT)を用いることができる。さらに好ましくは、このPNN−PZTの組成に対して、(i)化学量論比よりも過剰な鉛(Pb)と、(ii)亜鉛(Zn)と、(iii)セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、ジスプロシウム(Dy)、及び、ニッケル(Ni)の内から選択された少なくとも1種の希土類元素とが添加されたものが用いられる。ここで、Pb(Ni,Nb)O成分中のNiのモル比は1/3、Nbのモル比は2/3であることが望ましい。(i)〜(iii)の添加により、形成されたAD膜をアニール処理する際の粒成長が促進され、700℃〜900℃の低温アニールで圧電特性が改善される。
【0039】
焼結助剤の材料としては、例えば、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成が用いられる。焼結助剤を母材粒子の表面に均一にコーティングすることにより、形成されたAD膜をアニール処理する際の粒成長がさらに促進される。
【0040】
図3は、実施例のAD膜のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す図であり、図4及び図5は、比較例1及び2のAD膜のSEM写真をそれぞれ示す図である。いずれも、800℃におけるアニール処理後のAD膜であるが、図4に示すAD膜においては、成膜用原料粉に対して安定化処理が施されておらず、また、図5に示すAD膜においては、成膜用原料粉に焼結助剤が添加されていない。
【0041】
図3に示すように、安定化処理が施された成膜用原料粉を用いた場合には、AD膜中の粒子が成長し、かつ、AD膜にポアが発生していない良好な状態であることが分かる。一方、図4に示すように、安定化処理が施されていない成膜用原料粉を用いた場合には、部分的に粒子が成長しているが、AD膜に柱状結晶成分が表れると共にポアが発生してしまい、さらに、SEM−EDX分析装置によれば、ZnO等の焼結助剤成分の析出が検出されている。
【0042】
また、図5に示すように、焼結助剤が添加されていない成膜用原料粉を用いた場合は、ポアが発生することなく緻密なAD膜を実現しているが、結晶粒の成長が進展していないことが分かる。一般的に、結晶粒の成長が進展しないと、膜構造体の電気特性が良好とならないので、圧電素子等の工業製品に適用することは難しくなる。
【0043】
図6は、図3に示すAD膜について分極値Pのヒステリシス特性を示す図である。また、図7は、図5に示すAD膜について分極値Pのヒステリシス特性を示す図である。図6に示すように、焼結助剤が添加された成膜用原料粉を用いて生成したAD膜の残留分極値は、32μC/cmである。一方、図7に示すように、焼結助剤が添加されていない成膜用原料粉を用いて生成したAD膜の残留分極値は、14μC/cmであり、図6に示すよりも低いことが分かる。このように、図6及び図7に示す電気特性は、焼結助剤の有無による結晶粒の成長の進展における相違を反映している。
【0044】
図8は、図3〜図5に示すAD膜の電気特性を比較する図である。図8に示すように、成膜用原料粉に焼結助剤を添加し、さらに、安定化処理を施すことによって、圧電特性d31、比誘電率、及び、残留分極値の値が高くなることが分かる。一方、焼結助剤を添加して安定化処理を施さない場合には、図4に示すようにポアが多く発生してしまい、電気特性を測定できない場合も発生してしまう。しかしながら、安定化処理を施すことによって、電気特性が飛躍的に向上することが分かる。
【0045】
図9は、バルクセラミックのSEM写真を示す図である。このバルクセラミックは、本実施形態に係る成膜用原料粉を用いてプレス成形を行い、800℃で焼結を行うことにより製造したものである。しかしながら、図9に示すように、焼結が十分に進まないので、ポアが非常に多く発生してしまい、電気特性を測定することができなかった。
【0046】
図10は、図9に示すバルクセラミックと、図3及び図5にそれぞれ示す2種類のAD膜とにおいて密度を比較する図である。一般に、構造体における粒子の密度を比較するためのパラメータとして相対密度が用いられる。図10に示すように、バルクセラミックの相対密度が最も低くなっている。これは、AD法により成膜される場合には、衝突により粒子が破砕して平均粒径が数10nm程度まで小さくなるので緻密な膜ができるからである。また、粒子の体積に対する表面積が増加することにより自由エネルギーが増加するので、少量の焼結助剤の添加によっても、結晶粒の成長を大きく促進することができると考えられる。従って、本実施形態に係る成膜用原料粉は、AD法による成膜を行う場合に効果が大きいといえる。また、図3に示すAD膜の密度及び相対密度は、図5に示すAD膜よりも若干低い値となっているが、実用的には、ほぼ同等であるといえる。
【0047】
次に、本発明の一実施形態に係る成膜用原料粉を用いて製造された圧電素子について説明する。
図11は、本発明の一実施形態に係る成膜用原料粉を用いて製造された圧電素子を示す断面図である。図11に示すように、基板21上に第1の電極22が形成され、第1の電極22上に、本実施形態に係る成膜用原料粉を用いてAD法によって圧電体23が形成され、圧電体23上に第2の電極24が形成されている。ここで、第1の電極22、圧電体23、及び、第2の電極24が、圧電素子25を構成する。第1の電極22と第2の電極24との間に電圧を印加すると、圧電体23が圧電効果により伸縮する。図11に示すような圧電素子25は、圧電アクチュエータ、圧電ポンプ、インクジェットプリンタヘッド、及び、超音波トランスデューサ等、様々な用途に用いられる。
【0048】
図12は、図11に示す圧電素子を振動子として用いた超音波用探触子の内部構造を示す斜視図である。
図12に示すように、超音波用探触子30は、複数の振動子25と、音響整合層31と、バッキング材32とを含んでいる。図12においては、複数の振動子25が2次元アレイ化されているが、これらの振動子25は、図11に示すのと同じ構造を有している。ただし、図12においては、第2の電極24が、2次元アレイ化された複数の振動子25に共通な共通電極として形成されている。
【0049】
超音波用探触子30において、振動子25は、超音波診断装置本体から供給される駆動信号に従って圧電効果により超音波を発生して、被検体に超音波を送信する。一方、振動子25は、被検体によって反射された超音波エコーを受信して、圧電効果により超音波エコーを受信信号に変換する。音響整合層31は、振動子25と被検体との間で音響インピーダンスを整合させることにより、超音波の伝播効率を高める。また、バッキング材32は、振動子25から発生する不要な超音波を減衰させる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、原料の粉体を分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付けることによって基板上に原料を堆積させるエアロゾルデポジション法において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る膜構造体の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態に係る膜構造体の製造方法において用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。
【図3】実施例のAD膜のSEM写真を示す図である。
【図4】比較例1のAD膜のSEM写真を示す図である。
【図5】比較例2のAD膜のSEM写真を示す図である。
【図6】図3に示すAD膜について分極値Pのヒステリシス特性を示す図である。
【図7】図5に示すAD膜について分極値Pのヒステリシス特性を示す図である。
【図8】図3〜図5に示すAD膜の電気特性を比較する図である。
【図9】バルクセラミックのSEM写真を示す図である。
【図10】図9に示すバルクセラミックと、図3及び図5にそれぞれ示す2種類のAD膜とにおいて密度を比較する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る成膜用原料粉を用いて製造された圧電素子を示す断面図である。
【図12】図11に示す圧電素子を振動子として用いた超音波用探触子の内部構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 エアロゾル生成室
2 振動台
3 巻上げガスノズル
3a、4a 圧力調整部
4 圧力調整ノズル
5 エアロゾル搬送管
6 成膜室
7 ノズル
8 基板ステージ
9 排気管
10 制御部
11 成膜用原料粉
12、21 基板
13 膜
22、24 電極
23 圧電体
25 振動子
30 超音波用探触子
31 音響整合層
32 バッキング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成するために用いられる原料粉を製造する方法において、
鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、イッテルビウム(Yb)、ジスプロシウム(Dy)、及び、ニッケル(Ni)の内から選択された少なくとも1種の元素の硝酸塩又は硫酸塩を用いて、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤を、鉛系圧電材料を含む母材粒子の表面に固着させる工程(a)と、
前記母材粒子の表面に固着した前記粒成長助剤にエネルギーを加えることによって、残留する硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンを分解する工程(b)と、
を具備する成膜用原料粉の製造方法。
【請求項2】
工程(a)が、
一般式Pb(Ni,Nb)O−PbZrO−PbTiOで表される3成分系ジルコンチタン酸鉛と、
前記3成分系ジルコンチタン酸鉛の組成に対して化学量論比よりも過剰な鉛(Pb)と、
亜鉛(Zn)と、
セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、及び、ジスプロシウム(Dy)の内から選択された少なくとも1種の希土類元素と、
を含む母材粒子を用意することを含む、請求項1記載の成膜用原料粉の製造方法。
【請求項3】
工程(c)が、前記母材粒子の表面に固着した前記粒成長助剤を加熱することを含む、請求項1又は2記載の成膜用原料粉の製造方法。
【請求項4】
工程(c)が、前記母材粒子の表面に固着した前記粒成長助剤に電磁波を照射することを含む、請求項1又は2記載の成膜用原料粉の製造方法。
【請求項5】
原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成する膜構造体の製造方法において、
鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、銅(Cu)、イッテルビウム(Yb)、ジスプロシウム(Dy)、及び、ニッケル(Ni)の内から選択された少なくとも1種の元素の硝酸塩又は硫酸塩を用いて、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤を、鉛系圧電材料を含む母材粒子の表面に固着させる工程(a)と、
前記母材粒子の表面に固着した前記粒成長助剤にエネルギーを加えることによって、残留する硝酸塩又は硫酸塩又はそれらに含まれていた硝酸イオン又は硫酸イオンを分解する工程(b)と、
工程(b)において得られた原料粉をエアロゾル状態にして基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を前記基板上に直接又は間接的に形成する工程(c)と、
前記膜構造体に対して熱処理を施すことにより、前記膜中の結晶粒を成長させる工程(d)と、
を具備する膜構造体の製造方法。
【請求項6】
工程(a)が、
一般式Pb(Ni,Nb)O−PbZrO−PbTiOで表される3成分系ジルコンチタン酸鉛と、
前記3成分系ジルコンチタン酸鉛の組成に対して化学量論比よりも過剰な鉛(Pb)と、
亜鉛(Zn)と、
セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、及び、ジスプロシウム(Dy)の内から選択された少なくとも1種の希土類元素と、
を含む母材粒子を用意することを含む、請求項5記載の膜構造体の製造方法。
【請求項7】
工程(c)が、10nm以上500nm以下の平均粒径を有する結晶粒を含む膜を形成することを含む、請求項5又は6記載の膜構造体の製造方法。
【請求項8】
原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成するために用いられる原料粉において、
鉛系圧電材料を含む母材粒子と、
酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含み、前記母材粒子の表面を覆うように固着している粒成長助剤と、
を具備する成膜用原料粉。
【請求項9】
前記母材粒子が、
一般式Pb(Ni,Nb)O−PbZrO−PbTiOで表される3成分系ジルコンチタン酸鉛と、
前記3成分系ジルコンチタン酸鉛の組成に対して化学量論比よりも過剰な鉛(Pb)と、
亜鉛(Zn)と、
セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、及び、ジスプロシウム(Dy)の内から選択された少なくとも1種の希土類元素と、
を含む、請求項8記載の成膜用原料粉。
【請求項10】
0.1μm以上10μm以下の平均粒径を有する請求項8又は9記載の成膜用原料粉。
【請求項11】
原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成することによって製造される膜構造体において、
(a)基板と、
(b)前記基板上に直接又は間接的に形成された膜であって、鉛系圧電材料を含み10nm以上500nm以下の平均粒径を有する結晶粒と、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤とを含む前記膜と、
を具備する膜構造体。
【請求項12】
前記膜の結晶粒が、
一般式Pb(Ni,Nb)O−PbZrO−PbTiOで表される3成分系ジルコンチタン酸鉛と、
前記3成分系ジルコンチタン酸鉛の組成に対して化学量論比よりも過剰な鉛(Pb)と、
亜鉛(Zn)と、
セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、及び、ジスプロシウム(Dy)の内から選択された少なくとも1種の希土類元素と、
を含む、請求項11記載の膜構造体。
【請求項13】
原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成することによって製造される圧電素子において、
(a)第1の電極と、
(b)前記第1の電極上に形成された圧電体膜であって、鉛系圧電材料を含む結晶粒と、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化銅(CuO)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化ジスプロシウム(Dy)、及び、酸化ニッケル(NiO)の内から選択された少なくとも1つの組成を含む粒成長助剤とを含む前記圧電体膜と、
(c)前記圧電体膜上に形成された第2の電極と、
を具備する圧電素子。
【請求項14】
前記圧電体膜の結晶粒が、
一般式Pb(Ni,Nb)O−PbZrO−PbTiOで表される3成分系ジルコンチタン酸鉛と、
前記3成分系ジルコンチタン酸鉛の組成に対して化学量論比よりも過剰な鉛(Pb)と、
亜鉛(Zn)と、
セリウム(Ce)、イッテルビウム(Yb)、及び、ジスプロシウム(Dy)の内から選択された少なくとも1種の希土類元素と、
を含む、請求項13記載の圧電素子。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−100887(P2008−100887A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286327(P2006−286327)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】