説明

成膜装置および発光素子の製造方法

【課題】有機層へのダメージを抑制しながら膜厚のばらつきが小さくなるように有機層に電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、有機層へのダメージを抑制しながら、膜厚のばらつきが小さくなるように該有機層上に導電層を成膜する成膜装置を提供する。
【解決手段】被処理基板を保持する保持台を内部に備えた処理容器と、互いに対向する2つのターゲットと、プラズマ励起される処理ガスを前記処理容器内に供給するガス供給手段と、を有し、前記2つのターゲットに電圧を印加して前記処理ガスをプラズマ励起することで、前記被処理基板上の有機層上に導電層を成膜するよう構成されていることを特徴とする成膜装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光層を有する発光素子の製造方法および当該発光素子を製造するための成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来用いられてきたCRT(Cathode Ray Tube)に換わって、薄型にすることが可能な平面型表示装置の実用化が進んでおり、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は自発光、高速応答などの特徴を有するために、次世代の表示装置として着目されている。また、有機EL素子は、表示装置のほかに、面発光素子としても用いられる場合がある。
【0003】
有機EL素子は、陽電極(正電極)と陰電極(負電極)の間に有機EL層(発光層)を含む有機層が狭持された構造となっており、当該発光層に正極から正孔を、負極から電子を注入してそれらの再結合をさせることによって、当該発光層を発光させる構造になっている。
【0004】
また、前記有機層には、必要に応じて陽極と発光層の間、または陰極と発光層の間に、例えば正孔輸送層、または電子輸送層など発光効率を良好とするための層を付加することも可能である。
【0005】
上記の発光素子を形成する方法の一例としては、以下の方法を取ることが一般的であった。まず、ITOよりなる陽電極がパターニングされた基板上に、前記有機層を蒸着法により形成する。蒸着法とは、例えば蒸発あるいは昇華された蒸着原料を、被処理基板上に蒸着させることで薄膜を形成する方法である。次に、当該有機層上に、陰電極となるAl(アルミニウム)を、蒸着法により形成する。このような発光素子を、いわゆるトップカソード型発光素子と呼ぶ場合がある。
【0006】
例えばこのようにして、陽電極と陰電極の間に有機層が形成されてなる、発光素子が形成される。
【特許文献1】特開2004−225058号公報
【特許文献2】特開2001−140066号公報
【非特許文献1】「Novel facing targets sputtering apparatus with uniform magnetic field and plasma-free substrates」Vacuum/Volume 51/number 4/pages 687 to 690/1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のように、蒸着法を用いて陰電極を形成する場合、特に被処理基板が大きくなった場合には陰電極の膜厚の均一性が問題となる場合があった。このように、被処理基板面内で陰電極の膜厚の均一性が不十分となると、被処理基板面内での発光素子の品質が不均一となってしまう懸念がある。
【0008】
また、蒸着法による成膜は、被処理基板の成膜面を下に向けた、いわゆるフェースダウンの成膜方法により行う必要があり、被処理基板が大きくなった場合には基板の扱いが困難となる問題が生じていた。
【0009】
このような問題を解決するため、陰電極を形成する場合に、例えば蒸着法に比べて、被処理基板の面内での成膜速度の均一性が良好である、スパッタリング法を用いることが考えられる。しかし、スパッタリング法は、蒸着法に比べて成膜対象に対するダメージが大きくなってしまう問題があった。
【0010】
例えば上記の発光素子を形成する場合、陰電極は、比較的機械的な強度が小さい有機層上に形成されることになる。このため、例えばスパッタリング法などによってAlなどの硬い金属の粒子が高速度で有機層に衝突した場合、有機層がダメージを受け、発光素子の品質が低下してしまう場合がある。また、有機材料は、スパッタ時に生じる高いエネルギーを持った電子の衝突によって変質し、発光素子の品質が低下することがある。また、スパッタリングのためのプラズマ励起に伴う紫外線により、有機層がダメージを受ける懸念があった。このため、膜厚の均一性が良好であるスパッタリング法を陰電極の形成に用いることは困難となっていた。
【0011】
例えば、上記の特許文献2には、成膜される対象へのダメージを抑制するため、中空形状のターゲットを用い、該ターゲットの一端からスパッタガスを導入してスパッタリング法により薄膜を形成する方法が開示されている。しかし、中空形状のターゲットを用いた場合には、スパッタ粒子を拡散させるための処理室(真空室)の容量を充分に大きくとる必要がある。このため、スパッタリング装置を大型化せざるをえなくなり、また、大型基板に対する成膜が困難となってしまう問題があった。
【0012】
また、上記の非特許文献1には、対向するターゲットを用いた、スパッタリング法による成膜方法が開示されている。しかし、当該非特許文献1には、成膜する場合の成膜対象への磁場のダメージの影響については記載されているが、成膜対象への紫外線やイオン衝撃のダメージの低減についてはなんら記載されていない。また、成膜対象が有機層であった場合のダメージの影響についてはその記載がない。
【0013】
そこで、本発明では、上記の問題を解決した、新規で有用な発光素子の製造方法と、当該発光素子を製造する基板処理装置を提供することを統括的目的としている。
【0014】
本発明の具体的な課題は、有機層へのダメージを抑制しながら膜厚のばらつきが小さくなるように有機層に電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、有機層へのダメージを抑制しながら、膜厚のばらつきが小さくなるように該有機層上に導電層を成膜する成膜装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を、請求項1に記載したように、
被処理基板を保持する保持台を内部に備えた処理容器と、
互いに対向する2つのターゲットと、
プラズマ励起される処理ガスを前記処理容器内に供給するガス供給手段と、を有し、
前記2つのターゲットに電圧を印加して前記処理ガスをプラズマ励起することで、前記被処理基板上の有機層上に導電層を成膜するよう構成されていることを特徴とする成膜装置により、また、
請求項2に記載したように、
前記保持台が、成膜に対応して前記2つのターゲットが延伸する方向と直交する方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の成膜装置により、また、
請求項3に記載したように、
前記ガス供給手段と前記保持台が、前記2つのターゲットを挟んで対向するように設置されていることを特徴とする請求項1または2記載の成膜装置により、また、
請求項4に記載したように、
前記処理ガスは、前記ガス供給手段から前記2つのターゲットの間を介して前記被処理基板上に流れるように供給されることを特徴とする請求項3記載の成膜装置により、また、
請求項5に記載したように、
前記ガス供給手段は、前記2つのターゲットが延伸する方向に対応して延伸するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の成膜装置により、また、
請求項6に記載したように、
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って配列された、前記処理ガスを供給する複数のガス穴が形成されていることを特徴とする請求項5記載の成膜装置により、また、
請求項7に記載したように、
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って延伸する、前記処理ガスを供給するスリットが形成されていることを特徴とする請求項5記載の成膜装置により、また、
請求項8に記載したように、
前記有機層は、電圧の印加により発光する発光層を含み、前記導電層は該発光層に電圧を印加するための電極を構成することを特徴とする請求項1乃至7のうち、いずれか1項記載の成膜装置により、また、
請求項9に記載したように、
前記2つのターゲットの間隔をDmm、前記処理容器内の圧力をPtorrとする場合、P≧1/Dが成り立つように前記処理ガスが前記処理容器内に供給されることを特徴とする請求項1乃至8のうち、いずれか1項記載の成膜装置により、また、
請求項10に記載したように、
第1の電極と第2の電極の間に発光層を含む有機層が形成されてなる発光素子の製造方法であって、
前記第1の電極上に前記有機層を形成する有機層形成工程と、
前記有機層上に前記第2の電極を形成する電極形成工程と、を有し、
前記電極形成工程は、
互いに対向する2つのターゲットの間にプラズマを励起することで、前記有機層上に前記第2の電極を構成する導電層を成膜する工程を含むことを特徴とする発光素子の製造方法により、また、
請求項11に記載したように、
前記2つのターゲットの間でプラズマ励起される処理ガスは、前記2つのターゲットの第1の側から、前記発光素子が形成される被処理基板が設置される、前記第1の側の反対側の第2の側に流れるように供給されることを特徴とする請求項10記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項12に記載したように、
前記発光素子が形成される被処理基板が、前記導電層の成膜に対応して、前記2つのターゲットが延伸する方向と直交する方向に移動されることを特徴とする請求項10または11記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項13に記載したように、
前記2つのターゲットの間に供給される、プラズマ励起される処理ガスは、前記2つのターゲットが延伸する方向に対応して延伸する形状を有するガス供給手段により、供給されることを特徴とする請求項10乃至12のうち、いずれか1項記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項14に記載したように、
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って配列された、前記処理ガスを供給する複数のガス穴が形成されていることを特徴とする請求項13記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項15に記載したように、
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って延伸する、前記処理ガスを供給するスリットが形成されていることを特徴とする請求項13記載の発光素子の製造方法により、また、
請求項16に記載したように、
前記2つのターゲットの間隔をDmm、前記処理ガスがプラズマ励起される空間の圧力をPtorrとする場合、P≧1/Dが成り立つように前記処理ガスが当該空間に供給されることを特徴とする請求項10乃至15のうち、いずれか1項記載の発光素子の製造方法により、解決する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、有機層へのダメージを抑制しながら膜厚のばらつきが小さくなるように有機層に電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、有機層へのダメージを抑制しながら、膜厚のばらつきが小さくなるように該有機層上に導電層を成膜する成膜装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による発光素子の製造方法は、第1の電極と第2の電極の間に発光層を含む有機層が形成されてなる発光素子の製造方法であって、前記第1の電極上に前記有機層を形成する有機層形成工程と、前記有機層上に前記第2の電極を形成する電極形成工程と、を有し、前記電極形成工程は、互いに対向する2つのターゲットの間にプラズマを励起することで、前記有機層上に前記第2の電極を構成する導電層を成膜する工程を含むことを特徴としている。
【0018】
上記の方法によれば、従来のスパッタリング装置による成膜で問題となっていた、有機層への、プラズマ励起による紫外線の照射やイオン衝突などによるダメージの影響を低減することが可能である。
【0019】
このため、有機層へのダメージを抑制しながら膜厚のばらつきが小さくなるように有機層に電極を形成して、発光素子を製造することが可能となる。
【0020】
次に、上記の発光素子の製造方法に関る発明の実施の形態のさらなる詳細に関して、また、上記の電極に相当する導電層を成膜する成膜装置に係る発明の実施の形態のさらなる詳細に関して以下に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1による発光素子を模式的に示した断面図である。図1を参照するに、本実施例による発光素子100は、基板101上に形成された陽電極(第1の電極)102と、該陽電極102に対向する陰電極(第2の電極)104と、該陽電極102該陰電極104の間に形成された発光層(有機EL層)103Aを含む有機層103と、を有している。
【0022】
上記の発光素子100は、有機EL素子と呼ばれる場合があり、前記陽電極102と前記陰電極104の間に電圧を印加することで、当該発光層103Aに前記陽電極102から正孔を、前記陰電極104から電子を注入してそれらの再結合をさせることによって、当該発光層103Aを発光させる構造になっている。
【0023】
当該発光層103Aは、例えば、多環芳香族炭化水素、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体化合物等の材料を用いて形成することが可能であり、上記の材料は例えば蒸着法により、形成することが可能である。
【0024】
従来の発光素子では、陰電極を形成する場合に以下のような技術的な問題があった。例えば、陰電極を蒸着法で形成する場合には、陰電極の厚さの均一性が不十分となる場合があり、一方で陰電極をスパッタリング法で形成する場合には、陰電極の厚さの均一性は良好であるものの、有機層にダメージが入る懸念が生じていた。
【0025】
そこで、本実施例による上記の発光素子100では、互いに対向する2つのターゲットの間にプラズマを励起するスパッタリング法により、前記有機層103上に前記陰電極104を形成している。
【0026】
このため、前記有機層103が、プラズマ励起による紫外線の照射や、イオンの衝撃により受けるダメージが低減される。また、スパッタリング法による成膜は、従来の蒸着法などに比べて成膜の膜厚の均一性が良く、また成膜速度が大きい特徴を有している。また、いわゆるフェースアップによる成膜も容易であり、特に大型基板に対する成膜に有利である特徴を有している。
【0027】
このため、上記の発光素子100は、前記有機層103へのダメージの影響が抑制されているとともに、前記陰電極104の膜厚の、基板面内での均一性が良好であり、大型基板にも対応可能な、高品質な発光素子である特徴を有している。
【0028】
また、上記の構成において、前記2つのターゲットの間隔をD(mm)、前記処理ガスがプラズマ励起される空間の圧力をP(torr)とする場合、P≧1/Dが成り立つように前記処理ガスが当該空間に供給されると、スパッタ粒子の平均自由工程を短くすることが可能となり、有機層へのダメージを効果的に低減することが可能となり、好ましい。
【0029】
このような成膜装置(スパッタリング装置)の構成の例と、具体的な成膜方法については後述する。
【0030】
次に、上記の発光素子100を製造する製造方法について、図2A〜図2Cに基づき、手順を追って説明する。ただし、以降の図中では、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0031】
まず、図2Aに示す工程において、パターンニングされた、例えばITOよりなる前記陽電極102が形成された、例えばガラスよりなる前記基板101を用意する。この場合、前記基板101には、前記陽電極101に接続される、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を含む、アクティブマトリクス駆動回路などが形成されていてもよい。
【0032】
次に、図2Bに示す工程において、前記陽電極102上(前記基板101上)に、前記有機層103を形成する。この場合、前記有機層103は、例えば蒸着法により形成され、前記陽電極102の側から順に、正孔注入層103C,正孔輸送層103B,発光層(有機EL層)103A,電子輸送層103D,電子注入層103Eが、積層されるようにして形成される。また、先に説明したように、必要に応じて前記正孔輸送層103B,および前記正孔注入層103Cは、そのいずれかの成膜を、またはその双方の成膜を省略してもよい。同様に、前記電子輸送層103D,電子注入層103Eは、そのいずれかの成膜を、またはその双方の成膜を省略してもよい。
【0033】
また、前記発光層103Aは、例えば、ホスト材料にアルミノキノリノール錯体(Alq3)、ドーピング材にはルブレンを用いて形成することができるが、これに限定されず、様々な材料を用いて形成することが可能である。
【0034】
次に、図2Cに示す工程において、前記有機層103(前記電子注入層103E)上に、該有機層103に接するように、導電性の、例えばAgよりなる陰電極104をスパッタリング法により成膜する。
【0035】
当該スパッタリング法においては、互いに対向する2つのターゲットの間にプラズマを励起することで、前記有機層103上に前記陰電極104を構成する導電層を成膜する。このため、前記有機層103が、プラズマ励起による紫外線の照射や、イオンの衝撃により受けるダメージを低減しつつ、形成される陰電極104の膜厚の均一性を良好にすることができる。また、このような成膜装置の構成の一例と、成膜方法の詳細については、図5以下で後述する。
【0036】
また、前記陰電極104を構成する材料は、発光層からの発光の反射率を良好とするために、例えばAgよりなることが好ましい。しかし、前記陰電極104を構成する材料は、Agに限定されるものではなく、例えば当該陰電極104は、Alや、Agに耐久性を向上させる添加物(例えば1重量%のPd)を添加した材料を用いて形成してもよい。このようにして、本実施例による発光素子100を製造することができる。
【0037】
例えば、前記陽電極102の厚さは100μm乃至200μm、前記有機層103の厚さは50μm乃至200μm、前記陰電極104の厚さは50μm乃至300μmに形成される。
【0038】
また、例えば、前記発光素子100は、表示装置(有機EL表示装置)や、面発光素子(照明・光源など)に適用することができるが、これらに限定されるものではなく、様々な電子機器に用いることが可能である。
【実施例2】
【0039】
次に、実施例1に記載した発光素子100を製造する基板処理装置の構成の一例について説明する。
【0040】
図3は、前記発光素子100を製造する基板処理装置1000の構成の一例を模式的に示した平面図である。
【0041】
図3を参照するに、本実施例による基板処理装置1000は、複数の成膜装置または処理室が、被処理基板が搬送される搬送室900A,900Bのいずれかに接続された構造を有している。前記搬送室900A,900Bは、処理室または成膜装置を接続するための4つの接続面それぞれ有している。また、前記搬送室900A,900Bは、被処理基板を搬送する搬送手段(搬送アーム)900a,900bが、それぞれ内部に設置された構造を有している。
【0042】
前記搬送室900A,900Bに接続される処理室、または成膜装置は、例えば、被処理基板の前処理(クリーニングなど)を行う前処理室500、被処理基板または被処理基板に装着するマスクのアライメント(位置決め)を行うアライメント処理室600、前記有機層103を蒸着法により形成する(図2Bに示した工程を実施する)成膜装置700、前記陰電極104を形成する(図2Cに示した工程を実施する)成膜装置350、ロードロック室400A、400Bである。
【0043】
前記搬送室900Aの4つの接続面には、前記ロードロック室400A、前記前処理室500、前記アライメント処理室600、および前記成膜装置700が接続されている。また、前記成膜装置700の、前記搬送室900Aに接続された側の反対側は、前記搬送室900Bの接続面に接続され、当該搬送室900Bの他の接続面には、前記成膜装置350が2つと、前記ロードロック室400Bとが接続されている。
【0044】
また、前記搬送室900A、900B、前記ロードロック室400A、400B、前記前処理室500、前記アライメント処理室600、前記成膜装置350、700には、それぞれ内部を減圧状態(真空状態)にするための、真空ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続されて、必要に応じて内部が減圧状態に維持されている。
【0045】
次に、前記基板処理装置1000により、実施例1に記載した前記発光素子100を製造する場合の手順の概略について説明する。まず、被処理基板W(図2Aに示した、陽電極102が形成された基板101に相当)は、前記ロードロック室400Aから前記基板処理装置1000に投入される。前記ロードロック室400Aに投入された被処理基板Wは、前記搬送手段900aにより、まず前記搬送室900Aを介して前記前処理室500に搬送され、被処理基板の前処理(クリーニングなど)が行われる。
【0046】
次に、当該被処理基板は、前記搬送手段900aにより、前記搬送室900Aを介して前記アライメント処理室600に搬送され、被処理基板上にマスクが設置される。次に、当該被処理基板は、前記搬送手段900aにより、前記搬送室900Aを介して前記成膜装置700に搬送され、当該成膜装置700において、前記発光素子100の、前記有機層103が、蒸着法により形成される(図2Bに示した工程が実施される)。
【0047】
次に、前記有機層103が形成された被処理基板は、前記搬送手段900bによって前記成膜装置350(2台接続された成膜装置350のうちのいずれか)に搬送される。
【0048】
前記成膜装置350に搬送された被処理基板の前記有機層103(前記電子注入層103E)上には、例えばAgよりなる陰電極104が、互いに対向する2つのターゲットの間にプラズマを励起するスパッタリング法により、成膜される。
【0049】
このようにして実施例1に記載した発光素子100が形成され、当該発光素子100は、前記ロードロック室400Bを介して、基板処理装置1000より搬出される。なお、前記基板処理装置1000が、例えば絶縁層よりなる保護層を前記発光素子100上に形成する成膜装置を、さらに有するように構成してもよい。
【0050】
次に、上記に示した成膜装置700および成膜装置350の構成の一例について、説明する。
【0051】
まず、成膜装置700について説明する。図4は、上記の基板処理装置1000に含まれる成膜装置(蒸着装置)700の構成の一例を模式的に示した図である。
【0052】
図4を参照するに、前記成膜装置700は、内部に内部空間700Aが画成される処理容器701を有し、当該内部空間700Aには、蒸着源702と、基板保持台705が設置された構造を有している。前記内部空間700Aは、排気ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続された排気ライン704より排気され、所定の減圧状態に保持される構造になっている。
【0053】
前記蒸着源702にはヒータ703が設置され、該ヒータ703によって内部に保持された原料702Aを加熱し、気化または昇華させて気体原料とすることが可能に構成されている。当該気体原料は、前記蒸着源702に対向するように設置された前記基板保持台705に保持された被処理基板W(前記陽電極102が形成された前記基板101)に蒸着されて、前記有機層103が形成される。
【0054】
前記基板保持台705は、前記処理容器701の上面(前記蒸着源702に対向する側)に設置された、移動レール706上を、平行に移動可能に構成されている。すなわち、成膜時に前記保持台705が移動されることによって、被処理基板の面内での蒸着膜の均一性が良好になるように構成されている。
【0055】
また、前記処理容器701の、前記搬送室900Aに接続される側に形成されたゲートバルブ707を開放することにより、前記被処理基板Wの前記内部空間700Aへの搬入・または前記内部空間700Aからの搬出が可能になる。
【0056】
上記の成膜装置700を用いて、実施例1に記載した図2Bに相当する工程を実施することにより、前記有機層103を形成することが可能となる。また、前記蒸着源702を複数設置することで、前記有機層103が、前記発光層103Aに加えて、正孔注入層103C,正孔輸送層103B,電子輸送層103D,電子注入層103Eなどを含む多層構造となるように形成することも可能である。
【0057】
次に、成膜装置350について説明する。図5は、前記陰電極104を前記有機層103上に成膜する(図2Cに示した工程を実施する)、成膜装置350を模式的に示した図であり、図6は、図5のA−A’断面図である。
【0058】
図5および図6を参照するに、成膜装置350は、内部に減圧空間が画成される処理容器351を有し、当該減圧空間には、互いに対向するように設置されるとともに、それぞれに電圧が印加されるターゲット354A,354Bと、基板保持台352とが設置されている。
【0059】
前記基板保持台352は、前記処理容器351の下面に設置された、移動レール353上を、平行に移動可能に構成されている。すなわち、成膜時に前記保持台352が移動されることによって、被処理基板の面内での成膜の均一性が良好になるように構成されている。前記処理容器350の減圧空間は、排気ポンプなどの排気手段(図示せず)が接続された排気ライン359より排気され、所定の減圧状態に保持される構造になっている。
【0060】
前記基板保持台352上に設置された、2つの前記ターゲット354A,354Bは、それぞれ、前記基板保持台352が移動する方向と略直交する方向に延伸した構造を有し、互いに対向するようにして設置されている。
【0061】
また、前記処理容器351内には、前記ターゲット354A,354Bの間の空間350Aに、例えばArなどの処理ガスを供給するガス供給手段355が設置されている。当該処理ガスは、当該圧印加ターゲット354A,354Bに電源361より電圧が印加されることでプラズマ励起される。
【0062】
また、上記のターゲット354A,355Bには、マグネット(図示せず)が設置されていてもよい。
【0063】
前記ガス供給手段355は、前記ターゲット354A,354Bと同様に、前記基板保持台352が移動する方向と略直交する方向に延伸した構造(前記2つのターゲット354A,354Bが延伸する方向に対応して延伸した構造)を有し、前記ターゲット354A,354Bを挟んで、前記基板保持台352と対向するように設置されている。
【0064】
また、前記ガス供給手段355は、内部にガス流路356が形成された管状の中空構造を有しており、該ガス流路356には、前記処理容器351の外部に設置されたガス供給源(図示せず)からガス供給路358を介して、例えばArなどの処理ガスが供給される。前記ガス流路356に供給された処理ガスは、前記ガス供給手段355に形成された複数のガス穴357から、記ターゲット354A,354Bの間の空間350Aに供給される構造になっている。
【0065】
また、前記処理容器351の、前記搬送室900Bに接続される側に形成されたゲートバルブ360を開放することにより、被処理基板Wの前記処理容器351内への搬入・または前記処理容器351内からの搬出が可能になる。
【0066】
前記基板保持台352に保持された被処理基板Wに前記陰電極104を形成する場合には、以下のようにする。
【0067】
まず、前記空間350A(前記処理容器351内)に、ガス供給手段355より、例えばArなどのプラズマ励起のための処理ガスが供給される。ここで、前記ターゲット354A,354Bに、それぞれ、電源361より電力が印加されることで、当該空間350Aにプラズマが励起され、Arイオンが生成される。
【0068】
このようにして生成されたArイオンにより、前記ターゲット354A,354Bがスパッタリングされることで、前記基板保持台352に保持された被処理基板W上(前記有機層103上)に、前記陰電極104が形成される。
【0069】
また、スパッタリング法による成膜は、例えば蒸着法による成膜に比べて成膜される膜厚の均一性が良好であり、成膜速度が大きい特徴がある。このため、上記の成膜装置350によって、膜厚の均一性が良好に、また良好な成膜速度で前記陰電極104を形成することが可能である。
【0070】
また、上記の成膜装置350においては、被処理基板Wが、プラズマが励起される空間(前記空間350A)から離間しており、被処理基板W上の有機層103が、プラズマ励起に伴う紫外線や、スパッタ粒子(Arイオン)の衝突によるダメージの影響を受けにくい特徴がある。
【0071】
すなわち、本実施例による成膜装置は、成膜の膜厚の均一性が良好であることや生産性が良好である特長を有するとともに、従来のスパッタリング法による成膜で問題になっていた、成膜時の成膜対象へのダメージを抑制することが可能になっている。
【0072】
このため、本実施例による成膜装置は、例えば無機材料よりなる層(例えば金属層、金属酸化物層、金属窒化物層、Si酸化膜層、Si窒化膜層など)に比べてダメージを受けやすい有機層(有機発光層など)に対して、導電層(電極)を形成する場合に好適な成膜装置である。また、本実施例による成膜装置は、例えば中空構造のターゲット(特開2001−140066号公報参照)を用いた成膜装置と比べて、小型化が容易であるととともに、大型基板への対応が容易である特徴がある。
【0073】
この場合、先に説明したように、前記保持台352が、成膜に対応して前記2つのターゲット354A、354Bが延伸する方向と直交する方向に移動するように構成されていることが好ましい。この場合に、成膜の膜厚の均一性を良好としつつ、成膜装置を小型化することが容易となる。
【0074】
また、上記の成膜においては、前記空間350Aの圧力(処理容器内351内の圧力)を所定の圧力以上とすると、当該空間350Aでのスパッタ粒子(例えばArイオンなど)の平均自由工程が小さくなり、スパッタ粒子が有機層に衝突する確率が減少して有機層へのダメージをさらに抑制することが可能となる。
【0075】
この場合、前記ガス供給手段355と前記保持台352が、前記2つのターゲット354A,354Bを挟んで対向するように設置されていることが好ましい。この場合、前記2つのターゲット354A,355Bの間でプラズマ励起される処理ガス(Ar)は、前記2つのターゲット354A,355Bの第1の側(前記ガス供給手段355の側)から、第2の側(前記被処理基板Wが保持される前記保持台352が設置される側)に、流れるように供給されることになる。
【0076】
すなわち、上記の構造とすることで、前記空間350Aで生成された、成膜のための粒子は、前記ガス供給手段355から前記基板保持台352に向かう方向に形成される処理ガスの流れにより輸送され、前記被処理基板W上(前記有機層103上)に到達する。このため、前記有機層103へのダメージを抑制しつつ、成膜速度を高く維持して、成膜装置の生産性を良好にすることが可能となる。
【0077】
また、上記の構成において、前記2つのターゲット354A,354Bの間隔をD(mm)、前記処理ガスがプラズマ励起される空間350Aの圧力をP(torr)とする場合、P≧1/Dが成り立つように前記処理ガスが当該空間350Aに供給されると、スパッタ粒子の平均自由工程を短くすることが可能となり、有機層へのダメージを効果的に低減することが可能となり、好ましい。
【0078】
また、本実施例による成膜装置350を構成する場合の寸法の一例としては、例えば以下のようにすればよい。また、これらの寸法はその構成の一例であり、これらに限定されるものではない。
【0079】
例えば、前記被処理基板Wの幅(前記ターゲット354A,354Bが延伸する方向の長さ)をL0とすると、前記ターゲット354A,354Bが延伸する方向の長さL1は、L0+100mm程度以上とする。
【0080】
また、前記ターゲット354A,354Bの間隔H2は、100mm程度、前記ターゲット354A,354Bの高さH1は、200mm程度とする。
【0081】
また、上記の図2Cに示した工程を実施する場合の条件の一例としては、例えば以下のようにすればよい。また、これらの数値はその条件の一例であり、これらに限定されるものではない。
【0082】
例えば、処理ガス(Ar)の流量は、前記長さL1の単位長さ(1mm)あたり8sccm(8sccm/mm)となるようにすればよい。また、処理容器352内の圧力は、100mTorr、前記前記ターゲット354A,354Bに印加する電力は、前記長さL1の単位長さ(1mm)あたり5W(5W/mm)となるようにすればよい。
【0083】
また、図7Aには、前記ガス供給手段355の断面図と、該ガス供給手段355を前記ガス穴357が形成された方向から見た平面図を示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0084】
図7Aを参照するに、前記処理ガス(Ar)を前記空間350A(処理容器内)に供給する前記ガス穴357は、前記ガス供給手段355が延伸する方向に沿って複数が、例えば等間隔に、配列されるようにして形成されている。
【0085】
このため、前記処理ガスを前記空間350A内に均一に供給することが可能になっており、成膜速度の、前記ガス供給手段355が延伸する方向(前記ターゲット354A,354Bが延伸する方向)での均一性を良好とすることが可能になっている。
【0086】
上記のガス供給手段355では、例えば、ガス供給手段355のパイプ径を25.4mm、前記ガス穴357の穴径を0.3mm、該ガス穴357のピッチを10mmとして構成する。
【0087】
また、ガス供給手段は、図7Aに示した構成に限定されるものではなく、例えば、以下の図7B〜図7Dに示すように、様々に変形・変更して用いることが可能である。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0088】
まず、図7Bを参照するに、本図に示す場合、前記ガス供給手段355には、前記処理ガスを前記空間350A(処理容器内)に供給するために、当該ガス供給手段355が延伸する方向に沿って延伸する、スリット357Aが形成されている。この場合、当該スリット357Aは、前記ガス供給手段355が延伸する方向するように形成されているため、前記処理ガスを前記空間350A内に均一に供給することが可能になっており、成膜速度の均一性を良好とすることが可能になっている。この場合、スリット幅は、例えば、0.15mm程度する。
【0089】
また、図7Cを参照するに、本図に示す場合、前記ガス供給手段355には、スリット357Bが、前記ガス供給手段355が延伸する方向に沿って複数が、例えば等間隔に、配列されるようにして形成されている。このように処理ガスを供給するための穴部(ガス穴、スリットなど)は様々な構造で形成することができる。
【0090】
また、上記の図7A〜図7Cは、ガス供給手段355をパイプ状の構造体で構成しているが、これに限定されず、例えば図7Dに示すように、筐体形状のものを用いてもよい。
【0091】
図7Dを参照するに、本図に示すガス供給手段355Cは、略筐体形状を有し、断面形状が四角形となる構造を有している。該ガス供給手段355Cの、被処理基板に面する側には、例えば格子状にガス穴357Cが配列されている。このため、本図に示すガス供給手段では、例えば図7Aに示したガス供給手段と比べて、処理ガスの流量を増大させることが容易である特徴を有している。
【0092】
このように、前記成膜装置350の構造は、必要に応じて、様々に変形・変更することが可能である。
【0093】
また、上記の成膜装置は、例えば発光素子の製造工程に限定されず、成膜対象へのダメージを抑制しながら、良好な成膜の均一性が要求される様々な成膜に用いることが可能である。
【0094】
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、有機層へのダメージを抑制しながら膜厚のばらつきが小さくなるように有機層に電極を形成して発光素子を製造する発光素子の製造方法と、有機層へのダメージを抑制しながら、膜厚のばらつきが小さくなるように該有機層上に導電層を成膜する成膜装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例1による発光素子を模式的に示す図である。
【図2A】図1の発光素子の製造方法を示す図(その1)である。
【図2B】図1の発光素子の製造方法を示す図(その2)である。
【図2C】図1の発光素子の製造方法を示す図(その3)である。
【図3】図1の発光素子を製造する基板処理装置の構成例である。
【図4】図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その1)である。
【図5】図3の基板処理装置に用いる成膜装置の構成例(その2)である。
【図6】図5の成膜装置の断面図である。
【図7A】図5の成膜装置に用いるガス供給手段を示す図(その1)である。
【図7B】図5の成膜装置に用いるガス供給手段を示す図(その2)である。
【図7C】図5の成膜装置に用いるガス供給手段を示す図(その3)である。
【図7D】図5の成膜装置に用いるガス供給手段を示す図(その4)である。
【符号の説明】
【0097】
100 発光素子
101 基板
102 陽電極
103 有機層
103A 発光層
103B 正孔輸送層
103C 正孔注入層
103D 電子輸送層
103E 電子注入層
104 陰電極
350 成膜装置
351 処理容器
352 基板保持台
353 移動レール
354A,354B 電圧印加ターゲット
355 ガス供給手段
356 ガス流路
357 ガス穴
358 ガス供給路
359 排気ライン
360 ゲートバルブ
361 電源
400A,400B ロードロック室
500 前処理室
600 アライメント処理室
700 成膜装置
700A 内部空間
701 処理容器
702 蒸着源
702A 原料
703 ヒータ
704 排気ライン
705 基板保持台
706 移動レール
707 ゲートバルブ
900A,900B 搬送室
900a,900b 搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を保持する保持台を内部に備えた処理容器と、
互いに対向する2つのターゲットと、
プラズマ励起される処理ガスを前記処理容器内に供給するガス供給手段と、を有し、
前記2つのターゲットに電圧を印加して前記処理ガスをプラズマ励起することで、前記被処理基板上の有機層上に導電層を成膜するよう構成されていることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記保持台が、成膜に対応して前記2つのターゲットが延伸する方向と直交する方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記ガス供給手段と前記保持台が、前記2つのターゲットを挟んで対向するように設置されていることを特徴とする請求項1または2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記処理ガスは、前記ガス供給手段から前記2つのターゲットの間を介して前記被処理基板上に流れるように供給されることを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
【請求項5】
前記ガス供給手段は、前記2つのターゲットが延伸する方向に対応して延伸するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち、いずれか1項記載の成膜装置。
【請求項6】
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って配列された、前記処理ガスを供給する複数のガス穴が形成されていることを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
【請求項7】
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って延伸する、前記処理ガスを供給するスリットが形成されていることを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
【請求項8】
前記有機層は、電圧の印加により発光する発光層を含み、前記導電層は該発光層に電圧を印加するための電極を構成することを特徴とする請求項1乃至7のうち、いずれか1項記載の成膜装置。
【請求項9】
前記2つのターゲットの間隔をDmm、前記処理容器内の圧力をPtorrとする場合、P≧1/Dが成り立つように前記処理ガスが前記処理容器内に供給されることを特徴とする請求項1乃至8のうち、いずれか1項記載の成膜装置。
【請求項10】
第1の電極と第2の電極の間に発光層を含む有機層が形成されてなる発光素子の製造方法であって、
前記第1の電極上に前記有機層を形成する有機層形成工程と、
前記有機層上に前記第2の電極を形成する電極形成工程と、を有し、
前記電極形成工程は、
互いに対向する2つのターゲットの間にプラズマを励起することで、前記有機層上に前記第2の電極を構成する導電層を成膜する工程を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記2つのターゲットの間でプラズマ励起される処理ガスは、前記2つのターゲットの第1の側から、前記発光素子が形成される被処理基板が設置される、前記第1の側の反対側の第2の側に流れるように供給されることを特徴とする請求項10記載の発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記発光素子が形成される被処理基板が、前記導電層の成膜に対応して、前記2つのターゲットが延伸する方向と直交する方向に移動されることを特徴とする請求項10または11記載の発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記2つのターゲットの間に供給される、プラズマ励起される処理ガスは、前記2つのターゲットが延伸する方向に対応して延伸する形状を有するガス供給手段により、供給されることを特徴とする請求項10乃至12のうち、いずれか1項記載の発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って配列された、前記処理ガスを供給する複数のガス穴が形成されていることを特徴とする請求項13記載の発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記ガス供給手段には、当該ガス供給手段が延伸する方向に沿って延伸する、前記処理ガスを供給するスリットが形成されていることを特徴とする請求項13記載の発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記2つのターゲットの間隔をDmm、前記処理ガスがプラズマ励起される空間の圧力をPtorrとする場合、P≧1/Dが成り立つように前記処理ガスが当該空間に供給されることを特徴とする請求項10乃至15のうち、いずれか1項記載の発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公開番号】特開2007−179797(P2007−179797A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374976(P2005−374976)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】