説明

扇風機

【課題】 複数の使用者にそれぞれ適合した時間で送風を行なうことが可能な扇風機を提供する。
【解決手段】送風部4を首振り運動させる首振り装置6を備えた扇風機において、この首振り装置6の駆動源として第1のステッピングモータ26と第2のステッピングモータ27を搭載し、使用者が動かした任意の方向を中心として、送風部4の首振りの速度と角度をそれぞれ設定できるように制御部41を構成している。首振り装置6の駆動源として、従来の同期モータに代わり第1のステッピングモータ26や第2のステッピングモータ27を用いているので、これらの第1のステッピングモータ26や第2のステッピングモータ27に適切なパルス駆動信号を与えるだけで、送風部4の首振り速度や首振り角度を簡単に設定した状態にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風を行なう扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の扇風機として、例えば特許文献1には、首振り装置によって送風部を首振り運動させるものが知られている。また別な特許文献2には、リモコン操作により運転モードを切り替えることができる扇風機が開示されている。
【0003】
また、図12や図13に示すように、従来のリモコン送信機では、複数の電子部品(図示せず)を実装する基板101が内蔵され、ボタン電池102の側面部を保持して導通するための端子部品103が、基板101の表面に半田付けで設置されるのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−173888号公報
【特許文献2】特開2005−380459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上述した従来の扇風機は、首振り装置の駆動源として同期モータを使用しているため、首振り速度および首振り角度の設定ができず、一定の動作しか行えない不満があった。
【0006】
また、基板101にボタン電池102の側面部を保持するのに、独立した端子部品103を必要とするため、コストの増加を来たしていた。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、複数の使用者にそれぞれ適合した時間で送風を行なうことが可能な扇風機を提供することを、第1の目的とする。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、端子部品を廃止してコストの削減を図ることが可能な扇風機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明では、首振り装置の駆動源として、従来の同期モータに代わりステッピングモータを用いているので、このステッピングモータに適切なパルス駆動信号を与えるだけで、送風部の首振り速度や首振り角度を簡単に設定した状態にすることができる。そのため、送風部の首振り速度や首振り角度を任意に設定して、送風部から複数の使用者にそれぞれ適合した時間で送風を行なうことが可能になる。
【0010】
請求項2の発明では、設定された送風部の首振り速度と首振り角度から、送風部が所望の首振り方向に到達するまでの時間を予測し、その時間に対応して送風部からの風量を任意に可変できるので、扇風機として送風部から複数の使用者にそれぞれ適合した風量を提供することができる。
【0011】
請求項3の発明では、制御部によりDCファンモータをパルス幅制御して、その回転数を変化させることで、DCファンモータの通電を停止させることなく、送風部からリズム風を発生させることができる。そのため、扇風機として使用者による誤認識を無くすと共に、使用者に対してリズミカルな風を提供できる。
【0012】
請求項4の発明では、基板にわざわざ端子部品を設置しなくても、基板に形成したスルーホールに電池を収容すれば、その電池の側面部をスルーホールで保持することができ、端子部品を廃止してコストの削減を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、複数の使用者にそれぞれ適合した時間で送風を行なうことが可能な扇風機を提供することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、扇風機として複数の使用者にそれぞれ適合した風量を提供することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、扇風機として使用者による誤認識を無くすと共に、使用者に対してリズミカルな風を提供することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、端子部品を廃止してコストの削減を図ることが可能な扇風機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例を示す扇風機本体の全体斜視図である。
【図2】同上、扇風機本体の正面図である。
【図3】同上、扇風機本体の右側面図である。
【図4】同上、扇風機本体の右側面図である。
【図5】同上、送風部を傾けた状態の扇風機本体の右側面図である。
【図6】同上、図4のB−B線断面図である。
【図7】同上、図7の要部斜視図である。
【図8】同上、台座の平面図である。
【図9】同上、扇風機の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】同上、リモコン内部のボタン電池を装着していない状態の要部斜視図である。
【図11】同上、ボタン電池を装着した状態の要部斜視図である。
【図12】従来例におけるリモコン内部のボタン電池を装着していない状態の要部斜視図である。
【図13】同上、ボタン電池を装着した状態の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における扇風機の好ましい実施例を説明する。
【0019】
図1〜図5は扇風機本体1の外観を示しており、これらの各図において、2は室内の床面などに載置されるベースとしての台座、3は台座2から上方に向かう支柱、4は風を送り出す羽根部としての送風部で、支柱3の上端部と送風部4との間には、送風部4を任意の方向に首振り運動させるための首振り装置6が装備される。台座2は、その外形が平面視でほぼ円形をなす扁平状に形成され、前方上面には複数のキーやボタンからなる操作部8が設けられる。また支柱3は、首振り装置6を含めた送風部4を昇降させる昇降装置をなすもので、台座2の後方上面から垂直に延びる筒状の支柱基部11と、この支柱基部6の内側に上下摺動自在に組み付けられた摺動杆12とからなり、支柱基部11の上部後方に設けたロック釦13を、図示しない弾性体の付勢力に抗して押動することにより、支柱基部11と摺動杆12との係合が解除されて、送風部4や首振り装置6を支持する摺動杆12が、支柱基部11に対して上下に摺動するようになっている。なお、上記各図には示していないが、扇風機本体1には遠隔操作体としてのリモコン送信機51(図9を参照)を別体で備えており、これらの扇風機本体1とリモコン送信機51とにより、本実施例における扇風機が構成される。
【0020】
次に、送風部4や首振り装置6の構成を、図6や図7を参照しながら説明する。送風部4は、駆動源としてのDC(直流)ファンモータ15と、このDCファンモータ15により回転駆動されるファン16と、ファン16を覆う網状のファンガード17とからなる。ファン16は、DCファンモータ15の前方に突出した回転軸(図示せず)に固定され、複数の羽根18を放射状に配置して構成される。また、送風部4のDCファンモータ15と首振り装置6の全体は、前側を開口した駆動部カバー19により覆われており、この駆動部カバー19の開口周縁にファンガード17が取り付けられる。本実施例では、特に送風部4の駆動源としてAC(交流)モータではなく、DCファンモータ15を採用しているので、このDCファンモータ15に供給するパルス駆動信号のデューティを制御することで、ファン16の回転数を任意に可変することができる。
【0021】
首振り装置6は、前記支柱3の上端部に俯仰回動可能に設けられた支持台21上に支持され、送風部4を左右水平方向に揺動させる左右首振り部23と、送風部4を上下垂直方向に揺動させる上下首振り部24とをそれぞれ備えている。左右首振り部23は、支持台21に対して水平回動可能に設けられた受け台25に取り付けられ、送風部4を左右に揺動させる駆動源として、第1のステッピングモータ26を備えている。また、上下首振り部24は送風部4に取り付けられ、送風部4を上下に揺動させる駆動源として、第2のステッピングモータ27を備えている。送風部4を含めた上下首振り部24は、リンク片28によって左右首振り部23と俯仰回動可能に連結されており、これにより第2のステッピングモータ27だけでなく第1のステッピングモータ26の駆動力も、リンク片28を介して送風部4に伝達されるようになっている。また、首振り装置6による送風部4の首振り運動とは別に、俯仰回動可能な支持台21と、水平回動可能な受け台25とにより、送風部4を手動で上下と左右に動かすことができる。
【0022】
次に、図8を参照しながら操作部8の構成を説明すると、扇風機本体1に搭載される送風部8は、押し釦式の操作キー31A〜31Lと、回転式および押し釦式を兼用する操作ボタン32とを備えている。操作キー31Aは、上下首振り部24による上下首振り角度を所定範囲に設定するキーで、この操作キー31Aを押動することにより、送風部4の上下首振り角度を例えば20°に設定できる。操作キー31B〜31Dは、左右首振り部23による左右首振り角度を所定範囲に段階的に設定するキーで、操作キー31Bを押動すると、送風部4の左右首振り角度を例えば90°に設定でき、操作キー31Cを押動すると、送風部4の左右首振り角度を例えば70°に設定でき、操作キー31Dを押動すると、送風部4の左右首振り角度を例えば50°に設定できるようになっている。操作キー31E〜31Gは、首振り装置6による送風部4の首振り速度を段階的に設定するキーで、押動した操作キー31E〜31Gに対応して、送風部4の首振り速度を例えば「高」,「中」,「低」の3段階に設定できるようになっている。
【0023】
その他、操作キー31Hは、上下首振り部24の起動と停止を切換える上下首振りキーであり、操作キー31Iは、左右首振り部23の起動と停止を切換える左右首振りキーであり、操作キー31J,31Kは、予め設定した時間に送風機4の動作を開始または停止させる入タイマーキーと切タイマーキーであり、操作キー31Lは、扇風機本体1としての運転開始と運転停止を切換える電源キーである。
【0024】
さらに、操作キー31A〜31Lの前方に配置された操作ボタン32は、押動操作により送風部4による連続送風運転とリズム送風運転を切換え、回転操作により送風部4からの風量の調節を行なうものである。
【0025】
図9は、本実施例における扇風機の電気的構成を示したものである。同図において、41は扇風機本体1の台座2に配設されたマイコンを含む制御部41であり、この制御部41の入力ポートには前述した操作部8の他に、リモコン送信機51からのリモコン操作信号を受信する受信部42が接続される一方で、制御部41の出力ポートには、送風部4を構成するDCファンモータ15と、左右首振り部23を構成する第1のステッピングモータ26と、上下首振り部24を構成する第2のステッピングモータ27がそれぞれ接続される。リモコン送信機51は、前記扇風機本体1の操作部8と同等の機能を有し、複数の操作キーや操作ボタンにより構成されるリモコン操作部52を備えており、リモコン操作部52を操作することに伴い、リモコン送信機51の内部で生成されるリモコン操作信号が、送信部(図示せず)を介して扇風機本体1の受信部42に無線で伝送されるようになっている。
【0026】
制御部41は、マイコンによるソフトウェア上の機能として、前記操作キー31A〜31Lや操作ボタン32を操作するのに伴い、操作部8から発生する操作信号や、或いはリモコン送信機51から受信部42で受信されるリモコン操作信号を受けて、DCファンモータ15の動作を制御する送風制御部44と、第1のステッピングモータ26の動作を制御する左右首振り制御部45と、第2のステッピングモータ27の動作を制御する上下首振り制御部46とをそれぞれ備えている。また制御部41は、扇風機本体1の運転中はもとより、操作キー31Lの押動操作により扇風機本体1の運転を停止した後も、送風部4からの風量や、首振り装置6による送風部4の左右の首振り角度や、送風部4の上下の首振り角度や、送風部4の首振り速度などの各種設定状態を記憶する記憶部47を備えている。この記憶部47に記憶される設定状態は、操作キー31Lを再度押動操作して扇風機本体1の運転を再開したときに読み出され、これにより運転停止直前と同じ状態で、送風部4や首振り装置6を動作させることが可能になる。
【0027】
次に、前記扇風機本体1と独立して設けられるリモコン送信機51の内部構成について、図10と図11を参照して詳しく説明する。これらの各図において、101は複数の電子部品(図示せず)を実装する基板で、これはいわゆるプリント配線基板として、平板状の電気絶縁性基材に銅などの電気導電性に優れた配線パターンを形成して構成される。基板101の適所には、扁平円板状をなすボタン電池102の外形が収まる孔形状でスルーホール111が貫通形成される。スルーホール111の内壁面はメッキ処理による金属製の端子部112が形成され、この導通部112によって、前述した配線パターンを通じて任意の電子部品への導通を図るようになっている。メッキ処理されたスルーホール111の孔形状は、ボタン電池102よりも若干小さく、ボタン電池102をスルーホール111に収容したときに、その正極となる側面部が端子部112に確実に接触するようになっている。
【0028】
113は、ボタン電池102の負極となる底面部に当接する金属板状の端子部品である。この端子部品113の基端部は、前述した基板101の配線パターンに半田付け接続され、任意の電子部品への導通が図られる一方、端子部品113の先端部は、スルーホール111の一側開口面に臨んでおり、ボタン電池102をスルーホール111に収容したときに、ボタン電池102の底面部に弾発的に当接して、ボタン電池102がスルーホール111から脱落するのを防止するようになっている。
【0029】
そして本実施例では、ボタン電池102をスルーホール111に押し込むことにより、ボタン電池102の正極となる側面部が、スルーホール111の内壁面に形成した端子部112に接触すると共に、ボタン電池102の負極となる底面部が端子部品113の先端部に接触して、ボタン電池102からの電源電圧が基板101の配線パターンを通してリモコン送信機51の各部に供給される。ここで背景技術に示した図12や図13と比較すると、従来の端子部品103に代わってメッキ処理されたスルーホール111を用い、このスルーホール111によって基板101の断面部でボタン電池102の側面部を保持することで、ボタン電池102の側面部を保持して導通するための端子部品103を廃止して、端子部品103の必要のないリモコン送信機51を実現できる。
【0030】
次に、上記構成の扇風機について、その作用を説明する。先ず、送風部4の動作を説明すると、操作キー31Lを押動操作して扇風機本体1の運転を開始すると、送風制御部44は記憶部47に記憶される送風部4の設定風量を読み出し、当該設定風量に応じたデューティのパルス駆動信号をDCファンモータ15に送出する。これにより、DCファンモータ15ひいてはファン16は、扇風機本体1の運転停止直前と同じ回転数で動作し始め、その設定した風量が送風部4から連続的に発生する。
【0031】
表1に示すように、本実施例では操作部8の操作ボタン32を回転操作することにより、送風部4からの風量を7つのモードの何れか一つに設定できる。モード1では、DCファンモータ15の回転数が150rpmに設定され、以下、モード2〜7では、DCファンモータ15の回転数が450,670,830,990,1065,1140rpmにそれぞれ設定される。本実施例では送風制御部44がDCファンモータ15をパルス幅制御しているので、DCファンモータ15へのパルス駆動信号のデューティをさらに細かく可変すれば、表1に示すものよりも多くのモードで、送風部4から異なる風量の連続風を発生させることも容易に可能である。また、ここに示すDCファンモータ15の回転数はあくまでも一例に過ぎない。
【0032】
【表1】

【0033】
比較として、表1には従来の扇風機における風量の設定モードを並べているが、これは「ゆっくり」(回転数は450rpm),「弱」(回転数は675rpm),「中」(回転数は990rpm),「強」(回転数は1140rpm)の4つしか存在しない。その理由は、従来の扇風機では送風部の駆動源としてAC(交流)ファンモータを用いており、DCファンモータ15に比べて回転数を任意に可変するのが難しいからである。
【0034】
また本実施例では、同じ操作ボタン32を押動操作することで、上述した時間の経過に拘らず送風部4から一定の風量を連続的に発生させる連続送風運転に代わり、時間の経過と共に送風部4から可変した風量を周期的に発生させるリズム送風運転を行なうことが可能である。送風制御部44は、リズム送風運転に移行すると、次の表2に示す4つのパターンの何れか一つで、時間の経過と共に送風部4からの風量が周期的に滑らかに増減するように、パルス駆動信号のデューティを徐々に可変させ、このパルス駆動信号をDCファンモータ15に送出する。
【0035】
【表2】

【0036】
表2に示すパターン1,3,5,7は、リズム送風運転時に操作ボタン32を回転操作することで、その何れか一つが設定されるが、連続送風運転の場合と同様に、より多くのパターンのリズム風を送風部4で発生させることも可能である。
【0037】
パターン1では、DCファンモータ15の回転数が最小の120rpmから0.2秒毎に30rpmの割合で増加し、1.2秒後に最大の300rpmになる。そして、1.4秒後からは0.2秒毎に30rpmの割合で減少し、3秒後には再び最小の120rpmになって、以後この1サイクルの動作が繰り返される。パターン3では、DCファンモータ15の回転数が最小の490rpmから0.2秒毎に30rpmの割合で増加し、1.2秒後に最大の670rpmになる。そして、1.4秒後からは0.2秒毎に30rpmの割合で減少し、3秒後には再び最小の490rpmになって、以後この1サイクルの動作が繰り返される。パターン5では、DCファンモータ15の回転数が最小の810rpmから0.2秒毎に30rpmの割合で増加し、1.2秒後に最大の990rpmになる。そして、1.4秒後からは0.2秒毎に30rpmの割合で減少し、3秒後には再び最小の810rpmになって、以後この1サイクルの動作が繰り返される。パターン7では、DCファンモータ15の回転数が最小の960rpmから0.2秒毎に30rpmの割合で増加し、1.2秒後に最大の1140rpmになる。そして、1.4秒後からは0.2秒毎に30rpmの割合で減少し、3秒後には再び最小の960rpmになって、以後この1サイクルの動作が繰り返される。なお、ここに示すパターンはあくまでも一例に過ぎず、DCファンモータ15の最小回転数,最高回転数,時間(秒数),回転数の増減の割合は、扇風機の仕様に合わせて適宜変更してよい。
【0038】
本実施例では、送風制御部44がDCファンモータ15をパルス幅制御することにより、DCファンモータ15の回転数を時間の経過と共に変化させて、どのパターン1,3,5,7であってもDCファンモータ15の通電を停止させることなく、送風部4からリズム風を発生させることができる。そのため、使用者による誤認識を無くすと共に、使用者に対してリズミカルな風を提供できる。また従来は、ACファンモータを例えば960rpmで4秒間回転させた後、600rpmで1秒間回転させるような、1つのパターンを繰り返すタップによる単純な切換制御しかできなかったが、本実施例では、時間の経過と共にDCファンモータ15の回転数を変化させるリズム風を、複数パターンの中から切換えて制御できることから、この点でも複数の使用者にそれぞれ適したリズミカルな風を提供できる。
【0039】
なお、上記操作ボタン32の機能は、リモコン送信機51のリモコン操作部52にも備えられており、このリモコン操作部52からの遠隔操作によっても、上述した送風制御部44による送風部4の動作が可能である。
【0040】
次に、首振り装置6の動作を説明すると、操作キー31Lを押動操作して扇風機本体1の運転を開始した状態で、操作部8の操作キー31Hを押動操作すると、上下首振り制御部46は記憶部47に記憶される送風部4の上下の首振り角度と首振り速度をそれぞれ読み出し、その首振り角度と首振り速度に対応するパルス駆動信号を、第2のステッピングモータ27に送出する。これにより、第2のステッピングモータ27による回転力が上下首振り部24に発生し、設定された上下の首振り角度と首振り速度で、送風部4を繰り返し上下に揺動させることができる。
【0041】
また、操作キー31Lを押動操作して扇風機本体1の運転を開始した状態で、操作部8の操作キー31Iを押動操作すると、左右首振り制御部45は記憶部47に記憶される送風部4の左右の首振り角度と首振り速度をそれぞれ読み出し、その首振り角度と首振り速度に対応するパルス駆動信号を、第1のステッピングモータ26に送出する。これにより、第1のステッピングモータ26による回転力が左右首振り部23に発生し、設定された上下の首振り角度と首振り速度で、送風部4を繰り返し上下に揺動させることができる。
【0042】
そして、左右首振り制御部45と上下首振り制御部46は、それぞれ対応する第1のステッピングモータ26と第2のステッピングモータ27を独立して制御できることから、上下と左右を組み合わせた立体的な動きに送風部4を繰り返し揺動させることが可能になる。
【0043】
ここで、送風部4の上下の首振り角度は、操作キー31Aを押動操作すると20°に設定され、その値が記憶部47に記憶保持される。また、送風部4の上下の首振り角度は、操作キー31Bを押動操作すると90°に設定され、操作キー31Cを押動操作すると70°に設定され、操作キー31Dを押動操作すると50°に設定され、それらの何れか一つの値が記憶部47に記憶保持される。さらに、送風部4の上下または左右の首振り速度についても、操作キー31Eを押動操作すると「高」に設定され、操作キー31Fを押動操作すると「中」に設定され、操作キー31Gを押動操作すると「低」に設定され、それらの何れか一つの値が記憶部47に記憶保持される。
【0044】
また、これらの操作キー31A〜31Iと同等のものが、リモコン送信機51のリモコン操作部52にも備えられており、対応するリモコン操作部52を操作することにより、扇風機本体1から離れた位置から、送風部4の首振り角度や方向を指定できる。例として、リモコン操作部52を操作して、送風部4の左右首振り角度を例えば100°に設定するリモコン操作信号をリモコン送信機51から送信したとする。このリモコン操作信号を、扇風機本体1の受信部42が受信して制御部41に取り込むと、制御部41の左右首振り制御部45は第1のステッピングモータ26にパルス駆動信号を送出して、(1)最初に送風部4を時計回りに50°回動させ、(2)その後で送風部4を反時計周りに100°回動させ、(3)その後で送風部4を時計回りに100°回動させ、以後、上記(2)と(3)の動作を繰り返し行わせる。その他に同様の手法で、リモコン送信機51の遠隔操作により、送風部4の上下首振り角度や、上下と左右の首振り速度をそれぞれ指定することもできる。
【0045】
送風部4は上述した制御部41(左右首振り制御部45や上下首振り制御部46)により首振り動作される他に、俯仰回動可能な支持台21と水平回動可能な受け台25とを利用して、手動で上下および左右に動かされる。制御部41は、手動で動かされた送風部4の位置(送風方向)を中心として、操作キー31A〜31Dの押動操作により設定される首振り角度と、操作キー31E〜31Gの押動操作により設定される首振り速度で、送風部4を上下と左右に首振り動作させることができる。
【0046】
また、本実施例の左右首振り制御部45や上下首振り制御部46は、送風部4の任意の方向を位置検出するために、上記設定された首振り角度や首振り速度に基づき、どの程度の時間で送風部4の首振り方向を逆にするのかを算出する機能を備えており、送風制御部44は、この左右首振り制御部45や上下首振り制御部46で算出された時間の結果に基づき、送風部4の首振り方向が反転する頃の時間範囲を見計らって、設定した送風運転や風量が得られるように、DCファンモータ15を制御するようになっている。これにより、例えば上記リズム風を生成する場合に、例えば送風部4の首振り方向が反転する頃にDCファンモータ15の回転数を最小にする一方で、首振りの中心位置付近ではDCファンモータ15の回転数を最大するなど、送風部4の上下または左右の首振り位置に応じて、送風制御部44からDCファンモータ15に与えられるパルス駆動信号のデューティを変えることで、送風部4からの風量を適切に可変することが可能になる。
【0047】
以上のように本実施例では、送風部4を首振り運動させる首振り装置6を備えた扇風機において、この首振り装置6の駆動源としてステッピングモータとなる第1のステッピングモータ26と第2のステッピングモータ27を搭載し、使用者が動かした任意の方向を中心として、送風部4の首振りの速度と角度を、操作部8やリモコン操作部52からそれぞれ設定できるように制御部41を構成している。
【0048】
この場合、首振り装置6の駆動源として、従来の同期モータに代わり第1のステッピングモータ26や第2のステッピングモータ27を用いているので、これらの第1のステッピングモータ26や第2のステッピングモータ27に適切なパルス駆動信号を与えるだけで、送風部4の首振り速度や首振り角度を簡単に設定した状態にすることができる。そのため、送風部4の首振り速度や首振り角度を任意に設定して、送風部4から複数の使用者にそれぞれ適合した時間で送風を行なうことが可能になる。
【0049】
また本実施例では、送風部4の方向を位置検出して、その位置により送風部4からの風量を可変する構成を、制御部41に備えている。
【0050】
従来の扇風機は、送風部の首振り位置がどこであるのかが判らず、任意の首振り位置での風量可変ができなかったため、この点でも一定の動作しか行えない不満があった。しかし本実施例では、設定された送風部4の首振り速度と首振り角度から、送風部4が所望の首振り方向に到達するまでの時間を予測し、その時間に対応して送風部4からの風量を任意に可変できるので、扇風機として送風部4から複数の使用者にそれぞれ適合した風量を提供することができる。
【0051】
また本実施例では、送風部4の駆動源としてDCファンモータ15を搭載し、制御部41の特に送風制御部44によりDCファンモータ15の回転数を時間の経過と共に周期的に変化させて、リズム風を生成する構成を採用している。
【0052】
従来のAC(交流)ファンモータを用いたリズム風の制御では、決められた回転数と時間によるタップによる切換または通電を停止した操作を繰り返すような、一定の動作しか行えなかった。そのため、扇風機の運転が停止して故障の原因であると使用者が誤認識する場合があった。しかし本実施例では、送風制御部44によりDCファンモータ15をパルス幅制御して、その回転数を変化させることで、DCファンモータ15の通電を停止させることなく、送風部4からリズム風を発生させることができる。そのため、扇風機として使用者による誤認識を無くすと共に、使用者に対して送風部4からリズミカルな風を提供できる。
【0053】
また本実施例では、前記図10や図11で示すように、基板101を内蔵するリモコン送信機51を備えた扇風機において、基板101に電池としてのボタン電池102を収容するメッキ処理されたスルーホール111を形成し、このスルーホール111によりボタン電池102の側面部を保持する構成を採用している。
【0054】
この場合、基板101にわざわざ端子部品103を設置しなくても、基板101に形成したスルーホール111にボタン電池102を収容すれば、そのボタン電池102の側面部をスルーホール111で保持することができ、端子部品103を廃止してコストの削減を図ることが可能な扇風機を提供できる。
【0055】
さらに実施例上の効果として、従来の扇風機の首振り装置は、ファンモータまたはギヤモータを駆動源にし、クランプ機構を利用して送風部を首振り動作させていたが、この方法では首振りの角度や方向をリモコン送信機で自由に変更できず、使用者がわざわざ扇風機本体の所に行って手で調整する必要があって、リモコン送信機としてのメリットが生かされていなかった。しかし、本実施例の扇風機は、首振り装置の駆動源として第1のステッピングモータ26と第2のステッピングモータ27を使用し、リモコン送信機51からのリモコン操作信号を扇風機本体1内のマイコンである制御部41が受けたときに、当該制御部41が現在の送風部4の位置を中心として、第1のステッピングモータ26と第2のステッピングモータ27を各々駆動させることで、扇風機本体1から離れた位置で、使用者が送風部4の首振り角度や方向を指定でき、リモコン送信機51の使い勝手を向上させることができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
4 送風部
6 首振り装置
15 DCファンモータ
26 第1のステッピングモータ(ステッピングモータ)
27 第2のステッピングモータ(ステッピングモータ)
41 制御部
51 リモコン送信機
101 基板
102 ボタン電池(電池)
111 スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風部を首振り運動させる首振り装置を備えた扇風機において、
前記首振り装置の駆動源としてステッピングモータを搭載し、任意の方向を中心として前記首振りの速度と角度をそれぞれ設定可能に構成したことを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記送風部の方向を位置検出して、その位置により当該送風部からの風量を可変する構成としたことを特徴とする請求項1記載の扇風機。
【請求項3】
前記送風部の駆動源として直流ファンモータを搭載し、制御部により前記直流ファンモータの回転数を変化させて、リズム風を生成する構成としたことを特徴とする請求項2記載の扇風機。
【請求項4】
基板を内蔵するリモコン送信機を備えた扇風機において、
前記基板に電池を収容するスルーホールを形成し、このスルーホールにより前記電池の側面部を保持する構成としたことを特徴とする扇風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−237238(P2012−237238A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106447(P2011−106447)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】