説明

扉又はゲートの開閉装置

【課題】従来、セキュリティゲートなどの扉又はゲートは停電など異常の際、開閉手段の誤作動で人など通過体を挟み込んだままの状態で停止するなど、充分な安全対策が確保されていなかった。
【解決手段】扉又はゲートの閉じ手段をスプリングなど安全性から所定の付勢力を利用し、人など通過体の挟み込みを検知する検知手段と、停電あるいは故障時に扉又はゲートの閉じ速度を減速及び停止する手段を設けた扉又はゲートの開閉装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人等の通過体が通行しそれを管理する事を目的とした自動改札や自動扉等に設置される扉等の開閉動作用として用いられる扉又はゲートの開閉装置に関し、特に閉じられる扉等の挟み込みに対して安全な扉又はゲートの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関して本願出願人は特許文献1及び2に記載のものを把握している。
【0003】
特許文献1は、自動ドアの開閉移動扉に人の挟み込みを防止する手段として、指向性のある非接触近接スイッチ扉の位置計測手段により、挟みこまれる検知物体の有無を判断して自動ドアでの挟み込みを防止するものである
【0004】
特許文献2は、セキュリティゲートの扉に人などが挟まった場合の制御装置に係るものであり、安全性向上のため駆動手段のトルクを相対的に低い値に設定して、挟まった場合の異常値を検出して駆動手段を停止させるものである。異常値が検出されない場合は、駆動手段の最大トルクでセキュリティゲートの閉止と、且つロックする制御装置に関するものである。
【特許文献1】特開平9−303042号公報
【特許文献2】特開平2006−9547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の自動ドアの開閉扉によれば、通常は挟みこまれる検知物体の有無を判断してドアを閉じるため挟み込みの防止をできるが、検知装置の異常や停電などでの対応が取られていないため、想定外の異常で人や物体が挟み込まれたときは強い力がかかり救出などに手間がかかり、充分に安全を担保できるものではなかった。
【0006】
また、特許文献2に記載の制御装置によれば、セキュリティゲートを開閉する駆動手段のトルクを相対的に低い値に設定して、人などの挟み込みの危険を防止しているが、駆動手段が電子制御装置の誤作動で挟み込みの検知が出来ない場合や、停電で人などがセキュリティゲートに挟み込まれた状態で停止する不具合があり、必ずしも安全性が確保されないという問題があった。
【問題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明による扉又はゲートの開閉装置は、スプリング等の付勢力により閉じられる扉又はゲートの速度を調整する減速機負荷及び/又はダンパーを設けたことを特徴としたものである。
【0008】
さらに請求項2に記載の本発明による扉又はゲートの開閉装置は,扉又はゲートでの通過体の挟み込み検知のための駆動部材と追従部材が離合する伝達機構部を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明による扉又はゲートの開閉装置は停電した場合でも付勢力により閉じられる扉又はゲートの速度を調整する減速機負荷が働き、扉又はゲートがゆっくり閉まり、人等の通過体に危険を及ぼすことが無い。更にダンパー等を組み合わせれば閉じられる扉又はゲートの速度を調整する働きが増す。
【0010】
又、扉又はゲートが閉まる動作を伸ばされたスプリングの縮力から発生する付勢力のみで行っているので人等の通過体を挟んだ場合、スプリングの縮力による付勢力以上の挟み込み力が発生しないことに特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0011】
図1と図2は本発明に成る扉又はゲート(以下単に扉と言う)の開閉装置の第一の実施例を示す。
【0012】
図において、扉の開閉動作を制御する駆動源である電動モータ10は、主として扉17を開ける動力として使用されるが、他方扉17を閉めるときの追従動力として働く。これは扉17に人等の通過体(以下単位に人と言う)が挟み込まれたときに、電動モータ10の動きと、扉17を閉める動力である引張バネ9の付勢力から発生する動きとが差異を生じ、その差異の検出をもって人が挟まれたことを認知する構造になっている。以下詳細に説明する。
【0013】
図において、本体18に設けられた主軸11、12に扉用アーム13、14が取り付けられ、その先に扉17がホルダー部18a、18bを介して取り付けられている。図2は扉17が閉じられた状態、つまり人が通れない状態である。
【0014】
扉17が開かれた状態からそれが閉じられた状態にするための動力源は引張バネ9の付勢力による。引張バネ9は、扉用アーム13に設けられたバネ係止用ピン9aaと本体18に設けられたバネ係止用ピン9bの間の引張バネとして係止される。扉用アーム13は実線で示され主軸11を中心に本体18の右方へ繰り出される。引張バネ9の長さは9aaと9bの間の長さに保たれる。点線で示す17cは扉17が開いた状態である。このとき扉用アーム13は点線で示される13cとなり、引張バネ9の長さはバネ係止用ピン9aaが移動して9abとなり、そのバネ係止用ピン9abと9bの間の長さになる。
【0015】
ここでバネ係止用ピン9bの位置が主軸11の右側にあることが重要である。つまり引張バネ9は、9abと9bの間の長さから9aaと9bの間の長さに変わる変位量がF1の力を起こさせ9bを中心とする回転力Fとなり、扉17を閉める力となる。
【0016】
以上扉17の動きを扉用アーム13と引張バネ9で説明したが、扉用アーム14と引張バネ9でも全く同じである。そして扉用アーム13はアーム状の追従部材4を、扉用アーム14は従動リンク8を同時に動かす。アーム状の追従部材4と従動リンク8の間には同期を取るためにジョイントロッド16が設けられている。
【0017】
引張バネ9の付勢力により扉17が閉まる場合、アーム状の追従部材4は主軸11の周りを半時計方向に回り、つまりジョイントロッド16を上方に突き上げる方向に動く。このとき電動モータ10により接続リンク2を介してアーム状の駆動部材3が主軸11の周りを半時計方向に回り、アーム状の追従部材4と同調するように動力を発生する。この駆動部材3と追従部材4で伝達機構部となっている。電動モータ10より発生する動力は扉17を閉める力としては働かないが、引張バネ9から発生する扉17を閉める速度をコントロールすることが可能である。つまり速く扉17を閉めたいときには電動モータ10の回転数を上げればよく、それをゆっくり閉めたいときには回転数を落とせば良い。
【0018】
アーム状の駆動部材3のシャフト又はローラ5が取り付けられた側と反対側には図3の要部拡大斜視図に示すようにセンサー6が取り付けられ、対応する側のアーム状の追従部材4には扇状の検出ドグ7が取り付けられており、センサー6の発光部(図示せず)と受光部(図示せず)の間にあるが通常は発光部からの光を遮らない位置にある。前述の如くアーム状の駆動部材3とアーム状の追従部材4は同調しているので一緒に回り、発光部からの光は遮られないのでセンサー6は動作しない。
【0019】
ここで扉17に人が挟まれたとき、それが途中で閉まらなくなるためアーム状の追従部材4が主軸11の周りを回らなくなり停止する、一方電動モータ10は動いているためアーム状の駆動部材3は主軸11の周りを半時計方向に回る。その場合、図4の要部拡大斜視図にも示すアーム状の駆動部材3に取り付けられたシャフト又はローラ5がアーム状の追従部材4から離れる。
【0020】
このときアーム状の駆動部材3のみが主軸11の周りを回るので、センサー6の発光部と受光部の間に停止している検出ドグ7が入る。そこでセンサーが働きその信号が電動モータ10に送られその信号で電動モータ10を停止して扉17が閉まるのを止めるか、電動モータ10を逆転して扉17を開く。
【0021】
又停電等で電動モータ10が停止した場合、アーム状の追従部材4は引張りバネ9の力のみで上方向に回転しようとするが、この力がアーム状の駆動部材3を介して電動モータ10に伝わる。そのとき電動モータ10と接続リンク2の間にある歯車などの伝達機構(図示せず)や電動モータ10自体がブレーキ(電動モータは回生ブレーキ)として働き、扉17を急激に閉めることが無いので人に対して安全である。
【実施例2】
【0022】
図5は本発明に成る扉又はゲートの開閉装置の第二の実施例を示す。
【0023】
本実施例はアーム状の駆動部材3と従動リンク8の一方の端の間にダンパー15が設けられている。このダンパー15は気体、液体或はスプリングなど任意のものが使える。
【0024】
もし、駆動部材3が不規則な動きをした場合、ダンパー15がその動きを吸収するので前記実施例1に比べてさらに安全である。また、本発明の前記実施例1と併用することで挟み込みに対する安全性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明になる扉又はゲートの開閉装置の第一の実施例を示す本体側から見た内部側面図である。
【図2】本発明になる扉又はゲートの開閉装置の第一の実施例を示す扉側から見た内部側面図である。
【図3】本発明になる扉又はゲートの開閉装置の第一の実施例のセンサー付近を示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明になる扉又はゲートの開閉装置の第一の実施例のローラ付近を示す要部拡大斜視図である。
【図5】本発明になる扉又はゲートの開閉装置の第二の実施例を示す内部側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 クランク軸
2 接続リンク
3 駆動部材
4 追従部材
5 シャフト又はローラ
6 検出センサー
7 検出ドグ
8 従動リンク
9 引張バネ
9aa バネ係止用ピン
9ab バネ係止用ピン
9b バネ係止用ピン
10 電動モータ
11 主軸
12 主軸
13 扉用アーム
13c 扉用アーム(扉又はゲートが開いたとき)
14 扉用アーム
15 ダンパー
16 ジョイントロッド
17 扉又はゲート
17c 扉又はゲート(開いたとき)
18 本体
18a ホルダー部
18b ホルダー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリング等の付勢力により閉方向に動作する扉又はゲート開閉装置において、付勢力により閉じられる扉又はゲートの速度を調整する減速機負荷及び/又はダンパーを設けたことを特徴とする扉又はゲート開閉装置。
【請求項2】
スプリング等の付勢力により閉方向に動作する扉又はゲート開閉装置において、扉又はゲートでの通過体の挟み込み検知のための駆動部材と追従部材が離合する伝達機構部を設けたことを特徴とする扉又はゲート開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−267101(P2008−267101A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132141(P2007−132141)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(394004996)日本ハルコン株式会社 (7)
【出願人】(506311068)三和工機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】