説明

抑制治具付シート幅センサを備えた両面加飾射出成形装置

【課題】両面加飾用射出成形装置において、固定型用転写シートの幅方向マーク近傍が変形しても適切な固定型用転写シートの位置合わせを行う。
【解決手段】シート幅センサ60は発光体と受光体を有し、発光体と受光体の間に固定型用転写シートを位置付けるものである。シート幅センサ60は、一方面が発光側平板シート面64である発光側平板62と一方面が受光側平板シート面74である受光側平板72を有し、発光側平板シート面64と受光側平板シート面74は平行に保持され、発光側平板シート面と前記受光側平板シート面の間隔が0.1mm以上1.5mm以下に保持されていて、固定型用転写シートに形成された幅方向マークを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品に2枚の加飾シートを用いて樹脂成形品の両面に加飾を行うに好適な両面加飾射出成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形品に2枚の加飾シートを用いて樹脂成形品の両面に加飾を行う両面加飾成形法が用いられている(例えば、特許文献1参照)
図5は両面加飾成形法の概要を示す成形金型と2枚の加飾シートの断面説明図である。成形金型10は固定型11と可動型12からなり、固定型11と可動型12を型閉じしたときキャビティ13が形成される。キャビティ13は固定型のキャビティ面111と可動型のキャビティ面121に取り囲まれた空間である。通常、金型装置に固定型用入れ子と可動型用入れ子を配置して、固定型用入れ子に固定型のキャビティ面が形成され、可動型用入れ子に可動型のキャビティ面が形成されている。
【0003】
型開き状態で、固定型用転写シート30がその基体シート側をキャビティ面111に対面する向きでキャビティ空間に送り込まれ、可動型用加飾シート50がその基体シート側をキャビティ面121に対面する向きでキャビティ空間に送り込まれる。
【0004】
そして、成形金型10を型閉じして、溶融状態の成形樹脂をキャビティ13に射出し、樹脂の成形と加飾が行われる。
【0005】
しかし、上記両面加飾成形方法において、固定型キャビティ面と固定型用転写シートの位置合わせが困難となるため、成形品の固定型側で、成形品の形状に合わせて所望の転写を行うことが困難になるという問題点があった。以下に、固定型キャビティ面と固定型用転写シートの位置合わせが困難となる状況を説明する。
【0006】
図6はキャビティに樹脂を注入する時点での金型の断面図である。キャビティ13内で、固定型用転写シート30がキャビティ面111に密着するように配置され、可動型用加飾シート50がキャビティ面121に密着するように配置されている。
【0007】
図10は固定型用転写シート30の正面図である。固定型用転写シートは帯状(長尺形状)の基体シート31に複数の図柄層32が長手方向に並んで設けられている。また、固定型用転写シート30表面の地側に幅方向マーク34(フローラインと呼ばれることもある)が直線状に印されている。また、固定型用転写シート30表面の天側に送り方向マーク35(アイマークと呼ばれることもある)が印されている。
【0008】
図10中に、固定型用転写シート30の長手方向を矢印37で示し、天側を矢印38で示し、地側を矢印39で示している。
【0009】
図7はキャビティに樹脂を注入する時点での固定型を正面から見た説明図である。固定型用転写シート30とキャビティ面111の位置合わせを行うために、従来型シート幅センサ160とシート送りセンサ80が設置されている。従来型シート幅センサ160は発光体と受光体を有し、発光体の周りを円板が取り囲み、受光体の周りを円板が取り囲んでいる。当該2枚の円板の直径は20mm〜40mmであり、直径20mmの円板が多用されている。当該2枚の円板は平行に配置され、その間隔は4mm以上である。2枚の円板の間に固定型用転写シート30が位置付けられている。
【0010】
固定型10の表面にサイドゲート14が開口していて、サイドゲート14とキャビティの樹脂成形空間をランナ15が連絡している。ランナ15は、固定型用転写シート30の地側の輪郭線と交差し、さらに、幅方向マーク34を跨いでキャビティの樹脂成形空間に至っている。
【0011】
溶融樹脂をサイドゲート14から射出すると樹脂はランナ15を通過してキャビティに至る。ランナ15と幅方向マーク34は交差しているから、樹脂は幅方向マークの一部分(交差点)にも形成される。
【0012】
図8は加飾成形後に固定型用転写シートから転写層を樹脂成形品と共に取り除いた状態の固定型を正面から見た説明図である。
【0013】
固定型用転写シート30の図柄層が樹脂に写し取られて消失し、図柄層抜け跡132となっている。また、固定型用転写シート30の幅方向マークの一部が樹脂に写し取られて消失し、マーク抜け跡134となっている。同時に図柄層抜け跡132は射出樹脂と一体化される過程で樹脂の形に成形されたため、成形樹脂の形状に沿った凹凸形状となっている。マーク抜け跡134も射出樹脂の影響を受け、凹凸形状となっている。
【0014】
図9は、単一の成形品の製造が終了し、固定型用転写シートが巻取りロール側に送られて新たな図柄層がキャビティ面に配置された固定型を正面から見た説明図である。
マーク抜け跡134が従来型シート幅センサ160の近傍に位置付けられている。そして、マーク抜け跡134を中心にして固定型用転写シートにカールが発生している。
【0015】
このため、幅方向マーク34がカールの影響を受け、従来型シート幅センサ160付近にある幅方向マーク34の形状が変形する。従来型シート幅センサ160は変形した幅方向マーク34を適切に検知することができず、その結果、固定型のキャビティ面と固定型用転写シートの位置合わせが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−343027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
解決しようとする問題点は、両面加飾用射出成形装置において、成形転写操作に起因して固定型用転写シートの幅方向マーク近傍が変形し、固定型のキャビティ面と固定型用転写シートの位置合わせが困難になる点である。
【0018】
本発明のその他の課題は、本発明の説明により明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下に課題を解決するための手段を述べる。理解を容易にするために、本発明の実施態様に対応する符号を付けて説明するが、本発明は当該実施態様に限定されるものではない。また、符号である数字は部品などを集合的に示す場合があり、後に説明する実施例において個別の部品などを示す場合に、当該数字のあとにアルファベットの添字を付けているものがある。
【0020】
本発明の一の態様にかかる両面加飾射出成形装置は、
成形金型、固定型用転写シート供給手段、可動型用加飾シート供給手段、固定型用転写シートのシート幅センサからなる両面加飾射出成形機であって、
成形金型は互いに型閉じと型開きが可能で、型閉じ状態でキャビティが形成される固定型と可動型からなり、キャビティに溶融状態の成形樹脂を注入するサイドゲートが固定型に設けられていて、
固定型用転写シート供給手段は、帯状の基体シート上に転写層である複数の図柄層が長手方向に並んで設けられ、また幅方向マークが形成された固定型用転写シートを供給ローラから固定型のキャビティ面に供給し、射出成形同時転写後の固定型用転写シートを巻取りローラに巻取るとともに、さらに幅方向位置移動手段を有し、
可動型用加飾シート供給手段は、加飾層である図柄層が形成された可動型用加飾シートを可動型のキャビティ面に供給し、
シート幅センサは発光体と受光体を有し、発光体と受光体の間に前記固定型用転写シートを位置付けて、固定型用転写シートに形成された幅方向マークを検出し、検出した信号を用いて幅方向位置移動手段が固定型キャビティ面と固定型用転写シート上の図柄層の幅方向との相対位置を調整する両面加飾射出成形装置において、
前記シート幅センサは、
一方面が発光側平板シート面である発光側平板、発光側平板に取付けられた前記発光体、
一方面が受光側平板シート面である受光側平板、受光側平板に取付けられた前記受光体からなり、
前記発光側平板シート面と前記受光側平板シート面は平行に保持され、前記発光側平板シート面と前記受光側平板シート面の間隔が0.1mm以上1.5mm以下に保持されていて、
前記発光側平板は、発光体の中心位置を前記発光側平板シート面に投影した点である発光体投影点から前記発光側平板の輪郭線上の点までの最短距離が3mm以上15mm以下であり、
前記受光側平板は、受光体の中心位置を前記受光側平板シート面に投影した点である受光体投影点から前記受光側平板の輪郭線上の点までの最短距離が3mm以上15mm以下である抑制治具付シート幅センサであり、
前記抑制治具付シート幅センサが固定型のキャビティ面よりも巻取りローラ側に配置されていて、
前記発光側平板シート面と前記受光側平板シート面の間に、固定型用転写シートが位置付けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明の好ましい実施態様にかかる前記両面加飾射出成形装置は、
前記固定型用転写シートの前記図柄層に、金属蒸着膜層が含まれていてもよい。
【0022】
本発明の他の好ましい実施態様にかかる前記両面加飾射出成形装置は、
前記固定型に設けられた前記サイドゲートと前記キャビティを連絡するランナと前記固定型用転写シートに設けられた幅方向マークが交差する交差点から前記抑制治具付シート幅センサの前記発光体投影点までの距離をAとし、前記固定型用転写シートに設けられた一の図柄層の長手方向先端から隣接する図柄層の長手方向先端までの距離をBとして、AとBが式(1)を満足するものであってもよい。
式(1) A<B
【0023】
本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかる前記両面加飾射出成形装置は、
前記抑制治具付シート幅センサを固定型のキャビティ面よりも供給ローラ側にも配置し、
合計2個の前記抑制治具付シート幅センサが固定型用転写シートに形成された幅方向マークを検出し、検出した信号を用いて幅方向位置移動手段が固定型キャビティ面と固定型用転写シート上の図柄層の幅方向との相対位置を調整するものであってもよい。
【0024】
以上説明した本発明、本発明の好ましい実施態様、これらに含まれる構成要素は可能な限り組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の両面加飾射出成形装置は、その他の構成要素と共に、固定型用転写シートの幅方向マークを検出するために、発光側平板シート面と受光側平板シート面の間隔を狭くして固定型用転写シートをあたかも挟み付けるかのような形体の抑制治具付シート幅センサを採用したので、成形転写操作に起因して固定型用転写シートの幅方向マーク近傍が変形しても、幅方向マークを確実に検出することができるので、固定型のキャビティ面と固定型用転写シートの位置合わせが確実に行われる利点がある。
【0026】
また、固定型用転写シートの幅方向マークを従来よりも基体シートの輪郭線に近づけて形成しても、幅方向マークを検出可能であって、一定の基体シート面により面積の大きい図柄層を形成できる利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は第一の両面加飾射出成形装置を固定型の正面から見た説明図である。(実施例1)
【図2】図2は抑制治具付幅センサの説明図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は発光側平板をシート面から見た平面図、図2(c)は受光側平板をシート面からみた平面図である。
【図3】図3は第二の両面加飾射出成形装置を固定型の正面から見た説明図である。(実施例2)
【図4】図4は第三の両面加飾射出成形装置を固定型の正面から見た説明図である。(実施例3)
【図5】図5は両面加飾成形法の概要を示す成形金型と2枚の加飾シートの断面説明図である。
【図6】図6はキャビティに樹脂を注入する時点での金型の断面図である。
【図7】図7はキャビティに樹脂を注入する時点での固定型を正面から見た説明図である。
【図8】図8は加飾成形後に固定型用転写シートから転写層を樹脂成形品と共に取り除いた状態の固定型を正面から見た説明図である。
【図9】図9は、単一の成形品の製造が終了し、固定型用転写シートが巻取りロール側に送られて新たな図柄層がキャビティ面に配置された固定型を正面から見た説明図である。
【図10】図10は固定型用転写シート30の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施例にかかる両面加飾射出成形装置をさらに説明する。本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするため、一部の構成要素を誇張して表すなど模式的に表しているものがある。このため、構成要素間の寸法や比率などは実物と異なっている場合がある。また、本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0029】
また、以下に説明する図面において、上記で説明した従来の両面加飾射出成形装置と同じ部材や部分には、同一の符号を付している。
【実施例1】
【0030】
図1は第一の両面加飾射出成形装置を固定型の正面から見た説明図である。図2は抑制治具付幅センサの説明図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は発光側平板をシート面から見た平面図、図2(c)は受光側平板をシート面からみた平面図である。
【0031】
図1を参照して、固定型11のキャビティ面111に固定型用転写シート供給手段によって、固定型用転写シート30が位置付けられている。固定型用転写シート30は帯状の基体シート31上に転写層である複数の図柄層32が長手方向に並んで設けられ、また幅方向マーク34が形成されている。幅方向マーク34は基体シートの地側の輪郭線に沿って直線状に形成されている。
【0032】
固定型用転写シート供給手段は、供給ローラ21、巻取りローラ22などからなり、幅方向位置可動手段23を有している。幅方向位置可動手段23は、固定型用転写シートを天地方向に移動して、固定型用転写シート30とキャビティ面111の相対位置を調整するものである。幅方向位置可動手段は、供給ローラ21や巻取りローラ22などは静止したままで、キャビティ面111の直上にある単一の図柄層とその周辺のみ(単一フレーム)を移動させる手段であってもよく、供給ローラ21や巻取りローラ22などと共に固定型用転写シート全体を移動させる手段であってもよい。
【0033】
キャビティ面111よりも巻取りローラ22側に抑制治具付シート幅センサ60が設置されている。
【0034】
図2を参照して、抑制治具付シート幅センサ60は、発光側平板62に取付けられた発光体61と受光側平板72に取付けられた受光体71からなる。発光側平板72の一方面である発光側平板シート面64と受光側平板72の一方面である受光側平板シート面74は一定間隔を保持して平行に保持されている。
【0035】
発光側平板シート面64と受光側平板シート面74の一定間隔は、上限が通常1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下であり、下限が通常0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上である。
【0036】
発光側平板シート面64と受光側平板シート面74の平行配置は、幾何学で定義された厳密な平行を含み、微小な角度で交差する面であってもよい。微小な角度で交差する場合には、面間の最長間隔と最短間隔が上記の値範囲にあればよい。
【0037】
発光側平板の大きさは、発光体の中心位置を発光側平板シート面に投影した点である発光体投影点65から発光側平板の輪郭線63上の点までの最短距離が3mm以上である。図2(b)中に当該距離を矢印66a、66bで示している。なお、発光体投影点65側の矢は図示を省略した。上記距離の最長値は通常15mm、好ましくは10mmである。この範囲にあれば、発光側平板シート面64と受光側平板シート面74で固定型用転写シートを適切にあたかも挟み込むように保持することができ、また、図柄層を傷付けることもない。さらに、両面加飾用射出成形装置がいたずらに大きくならず、また、抑制治具付シート幅センサの取付け位置の自由度を高める観点からも好都合である。
【0038】
受光側平板の大きさは、受光体の中心位置を受光側平板シート面に投影した点である受光体投影点75から受光側平板の輪郭線上の点までの最短距離が3mm以上である。図2(c)中に当該距離を矢印76a、76bで示している。なお、受光体投影点75側の矢は図示を省略した。発光側平板と同様に、上記距離の最長値は、同様な観点から、通常15mm、好ましくは10mmである。
【0039】
発光体平板と受光体平板の形状に特に制限は無く、長方形、円形、楕円形などにすることができる。好ましくは長方形であり、長方形の長辺を固定型用転写シートの長手輪郭線と平行に配置することがより好ましい。カールをより一層効果的に抑制できるからである。
【0040】
発光側平板シート面64と受光側平板シート面74の間に、固定型用転写シート30が位置付けられる。抑制治具付シート幅センサ60は、従来の幅センサにおける相互間隔の大きい2つの円板に比較して、相互間隔の狭い発光側平板と受光側平板により、固定型用転写シート30をあたかも挟み付けて保持するに類似する状態に置くものである。このため、固定型用転写シートは、抑制治具付シート幅センサ60の内部でカールすることなく、平面に保持される。よって、幅方向マークは、固定型用転写シートの設計に当たり意図した位置を示し、当該意図した位置が、抑制治具付シート幅センサ60に読み取られることになる。
【0041】
抑制治具付シート幅センサ60で検出する幅方向マーク検出信号によって、幅方向位置可動手段23を動作させる操作を説明する。
【0042】
幅方向位置可動手段23によって、固定型側転写シート30を幅方向(天地方向)に移動させる。幅方向マーク34の一端が抑制治具付シート幅センサ60および従来型シート幅センサ160により検出されると、固定型側転写シート30の移動速度を小さくし、幅方向マーク34の他方端部が検出されると移動を停止させる。上記の操作により、キャビティ面111と固定型用転写シートの幅方向相対位置が好ましい位置となる。
【0043】
また、シート送りセンサ80が送り方向マーク35を検出することにより、キャビティ面111と固定型用転写シートの長手方向相対位置が好ましい位置となる。
【0044】
本発明にかかる両面加飾射出成形装置と共に用いる可動型用加飾シートは、転写シートであってもよく、インサートシートであってもよい。また、帯状の基体シート上に長手方向に複数の加飾層を設けた連続加飾シートであってもよく、枚葉の加飾シートであってもよい。好ましくは転写層を設けた連続転写シートである。
【0045】
固定型側転写シート30は、金属蒸着により形成した膜を含む転写シートであってもよく、インキを使って形成したカラー転写シートであってもよい。本発明にかかる両面加飾射出成形装置と共に用いる固定型側転写シート30は、金属蒸着膜を含む転写シートがより好ましい。金属蒸着膜を含む転写シートは、カラー転写シートに比較してカールが発生しやすいからであり、また、金属蒸着転写シートはカラー転写シートと異なり透明箇所が無いので、センサ(例えばシート幅センサ)による検出が難しいからである。
【実施例2】
【0046】
図3は第二の両面加飾射出成形装置を固定型の正面から見た説明図である。
【0047】
第二の両面加飾射出成形装置は、矢印17で示した距離Aと矢印33で示した距離Bが下式(1)の関係を満足する。
式(1) A<B
ここで、距離Aはランナ15と固定型用転写シートに設けられた幅方向マーク34が交差する交差点16から抑制治具付シート幅センサ60の発光体投影点までの距離である。距離Bは固定型用転写シートに設けられた一の図柄層の長手方向先端から隣接する図柄層の長手方向先端までの距離である。
【0048】
式(1)を満足する状態とは、新規に図柄層がキャビティ面111に位置付けられた状態で、抑制治具付シート幅センサとキャビティ面111の間に図柄層抜け跡132やマーク抜け跡134が配置されることがなくなる。このため、抑制治具付シート幅センサ内に位置付けられる幅方向マークがカールせず、より一層、幅方向マークの検出が容易となる利点がある。
【0049】
その他の点は、第一の両面加飾射出成形装置と同一であり、説明を省略する。
【実施例3】
【0050】
図4は第三の両面加飾射出成形装置を固定型の正面から見た説明図である。
【0051】
キャビティ面111よりも供給ロール側に配置されるシート幅センサを従来型から、抑制治具付シート幅センサ60bに変更したものである。
【0052】
供給ロールにセットされる固定型用転写シートがカールしている場合であっても、抑制治具付シート幅センサ60bが、正確に幅方向マークを検出することができる利点がある。
【0053】
その他の点は、第一の両面加飾射出成形装置と同一であり、説明を省略する。
【符号の説明】
【0054】
10 成形金型
11 固定型、111 キャビティ面
12 可動型、121 キャビティ面
13 キャビティ
14 サイドゲート
15 ランナ
16 交差点
17 距離Aを示す矢印
21 供給ローラ
22 巻取りローラ
23 幅方向位置可動手段
30 固定型用転写シート
31 基体シート
32 図柄層
33 距離Bを示す矢印
34 幅方向マーク
35 送り方向マーク
41 供給ローラ
42 巻取りローラ
50 可動型用加飾シート
60 抑制治具付シート幅センサ
61 発光体
62 発光側平板
63 輪郭線
64 発光側平板シート面
65 発光体投影面
66 距離を示す矢印
71 受光体
72 受光側平板
73 輪郭線
74 受光側平板シート面
75 受光体投影点
76 距離を示す矢印
80 シート送りセンサ
132 図柄層抜け跡
134 マーク抜け跡
160 従来型シート幅センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形金型、固定型用転写シート供給手段、可動型用加飾シート供給手段、固定型用転写シートのシート幅センサからなる両面加飾射出成形機であって、
成形金型は互いに型閉じと型開きが可能で、型閉じ状態でキャビティが形成される固定型と可動型からなり、キャビティに溶融状態の成形樹脂を注入するサイドゲートが固定型に設けられていて、
固定型用転写シート供給手段は、帯状の基体シート上に転写層である複数の図柄層が長手方向に並んで設けられ、また幅方向マークが形成された固定型用転写シートを供給ローラから固定型のキャビティ面に供給し、射出成形同時転写後の固定型用転写シートを巻取りローラに巻取るとともに、さらに幅方向位置移動手段を有し、
可動型用加飾シート供給手段は、加飾層である図柄層が形成された可動型用加飾シートを可動型のキャビティ面に供給し、
シート幅センサは発光体と受光体を有し、発光体と受光体の間に前記固定型用転写シートを位置付けて、固定型用転写シートに形成された幅方向マークを検出し、検出した信号を用いて幅方向位置移動手段が固定型キャビティ面と固定型用転写シート上の図柄層の幅方向との相対位置を調整する両面加飾射出成形装置において、
前記シート幅センサは、
一方面が発光側平板シート面である発光側平板、発光側平板に取付けられた前記発光体、
一方面が受光側平板シート面である受光側平板、受光側平板に取付けられた前記受光体からなり、
前記発光側平板シート面と前記受光側平板シート面は平行に保持され、前記発光側平板シート面と前記受光側平板シート面の間隔が0.1mm以上1.5mm以下に保持されていて、
前記発光側平板は、発光体の中心位置を前記発光側平板シート面に投影した点である発光体投影点から前記発光側平板の輪郭線上の点までの最短距離が3mm以上15mm以下であり、
前記受光側平板は、受光体の中心位置を前記受光側平板シート面に投影した点である受光体投影点から前記受光側平板の輪郭線上の点までの最短距離が3mm以上15mm以下である抑制治具付シート幅センサであり、
前記抑制治具付シート幅センサが固定型のキャビティ面よりも巻取りローラ側に配置されていて、
前記発光側平板シート面と前記受光側平板シート面の間に、固定型用転写シートが位置付けられていることを特徴とする両面加飾射出成形装置。
【請求項2】
前記固定型用転写シートの前記図柄層に、金属蒸着膜層が含まれていることを特徴とする請求項1に記載した両面加飾射出成形装置。
【請求項3】
前記固定型に設けられた前記サイドゲートと前記キャビティを連絡するランナと前記固定型用転写シートに設けられた幅方向マークが交差する交差点から前記抑制治具付シート幅センサの前記発光体投影点までの距離をAとし、前記固定型用転写シートに設けられた一の図柄層の長手方向先端から隣接する図柄層の長手方向先端までの距離をBとして、AとBが式(1)を満足することを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載した両面加飾射出成形装置。
式(1) A<B
【請求項4】
前記抑制治具付シート幅センサを固定型のキャビティ面よりも供給ローラ側にも配置し、
合計2個の前記抑制治具付シート幅センサが固定型用転写シートに形成された幅方向マークを検出し、検出した信号を用いて幅方向位置移動手段が固定型キャビティ面と固定型用転写シート上の図柄層の幅方向との相対位置を調整することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載した両面加飾射出成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−212956(P2011−212956A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82734(P2010−82734)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】