投影光学系の製造方法
【課題】 露光装置用の投影光学系において、各光学素子のもつ複屈折が補正され、偏光特性を有しない投影光学系を製造すること。同時に、各像高の寸法均一性を得るために、各像高において一定の瞳強度分布を持つ投影光学系を製造すること。
【解決手段】 投影光学系における、各像高における瞳強度分布を一定の分布にすると同時に、投影光学系の各光学素子が持つ複屈折によって生じる、異なる二偏光間の位相差をキャンセルするように、光学素子境界面に構成する光学薄膜の最適化を行う。
【解決手段】 投影光学系における、各像高における瞳強度分布を一定の分布にすると同時に、投影光学系の各光学素子が持つ複屈折によって生じる、異なる二偏光間の位相差をキャンセルするように、光学素子境界面に構成する光学薄膜の最適化を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ用の単結晶基板や液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を露光するのに使用される露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体素子または液晶表示素子を製造する際に、縮小投影露光装置が使用される。縮小投影露光装置においては、レチクルまたはマスク(原版)に描画された回路パターンを投影光学系によってウエハ等(基板)に投影して回路パターンを転写する。
【0003】
縮小投影露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。従って、波長を短くすればするほど、および、NAを上げれば上げるほど、解像度はよくなる。近年では、半導体素子の微細化への要請に伴い、解像度はより小さい値を要求されている。従って露光光の短波長化とともに、投影光学系の高NA化により解像度の向上を見込んでいる。
【0004】
一方、露光装置の光源は短波長化に伴いKrFレーザ(波長248nm)からArFレーザ(波長193nm)へと変化してきた。
このようななかで、波長250nmを下回る露光光を用いた投影光学系の透過部材には、主として合成石英およびフッ化物系結晶材料が使用されている。このような透過部材には、良好な光学性能を達成するために、非常に低い複屈折を持つことが要求されている。
【0005】
透過部材の複屈折は、透過部材の結晶配向性による真性複屈折と、透過部材の内部応力による応力複屈折とに大別される。フッ化物系結晶材料の1つである蛍石は、光学性能上無視し得ない真性複屈折を持つことが報告されている。
一方、紫外領域の光に対して広く用いられている合成石英のような非晶質材料は結晶配向性に拠る真性複屈折を実質的に持たない。しかし、合成石英においては不純物や熱応力に起因すると考えられる応力複屈折が実験的に観測され、その複屈折量は投影光学系の結像性能に与える影響が小さくない。
【0006】
露光装置用の高品質な石英ガラスの製造は、例えば、特許文献1に開示されている。石英ガラスの製造には、ダイレクト法(Direct Method)、VAD(vapor axial deposition)法、ゾルゲル(sol−gel)法、プラズマバーナー法等が用いられる。
しかし、いずれの方法においても高温の状態で形成された合成石英を冷却する際に、表面と中心部の冷え方が異なることにより発生する応力、即ち熱履歴による応力が発生する。この熱履歴による応力はアニール等の熱処理によりある程度緩和することができるが、原理的にゼロとすることが困難である。投影光学系の光学素子は円形軸対称であるため、合成石英は円柱状に成型され、この形状でアニールされる。そのため、複屈折の進相軸は軸対称性を有し、複屈折量も回転対称成分がほとんどを占める。
【0007】
また、投影光学系の高NA化に伴い、投影光学系の光学素子境界面への光線入射角度が増大し、反射膜または反射防止膜のすべての入射角度においての反射率を一様にすることが益々困難となってきている。例えば、合成石英表面に構成する反射防止膜の場合、波長193nmの真空紫外光に通常用いることのできる光学薄膜材料はフッ化物および酸化物の一部が知られている。しかし、これらの光学薄膜材料を用いて反射防止膜を構成した場合、最大光線入射角度が高い場合、特に55°以上の最大光線入射角を持つ面に対して、少なくともP偏光反射率またはS偏光反射率の一方が、1%を超えてしまう。一方、NAが0.85を超えるような高NAの投影光学系では、射出瞳面内の外周部を通過する光線において、光学素子境界面への入射角度が55°を超えてしまうことが一般的である。
【0008】
したがって、NAが0.85を超えるような高NAの投影光学系においては、射出瞳面内の周辺部を通過する光線の強度が、中心部を通過する光線の強度と異なる値をとることが避けられない。任意の一像高を通る光束の射出瞳面内での強度分布を、以降では単に瞳強度分布と呼ぶ。
【0009】
投影光学系が画面内で異なる瞳強度分布を持つ場合、画面内のOPE(光近接効果:Optical Proximity Effect)特性を変化させてしまうことが問題となる。OPEはパターンの疎密によって、露光時のマスク上のパターン寸法が同じでもウエハ上のパターン寸法が異なる事をいう。また、OPEをマスクで補正する事をOPC(Optical Proximity Correction)という。通常のOPCは、画面内一律に行われることが多く、画面内でのOPE特性が変化すると、画面内でのパターン寸法が異なってしまう。また同様に、通常のOPCは、露光装置ごとには行われず、一度OPCが行われたマスクは他の露光装置でも使用可能であることが求められる。このため、投影光学系の製造では、投影光学系の瞳強度分布に個体差がなく、所望の状態、例えば投影光学系の設計段階で計算される瞳強度分布状態、となるように行われなければならない。以上のように、OPE特性が良好な投影光学系を製造するためは、画面内一律で所望の瞳強度分布であることが重要となる。
【0010】
しかし、高NAの投影光学系では、前述のように反射率が1%を超えてしまうような高い入射角度の面を持ち、そのような高入射角度領域での反射率は、光学薄膜の製造誤差に対して非常に敏感である。従って、瞳強度分布を画面内一律に所望の値とすることが困難である。
【0011】
また、透過部材の製造誤差によって生じる、透過部材の内部透過率によっても、瞳強度分布は変化するため、内部透過率の製造誤差が無視できない場合、瞳強度分布を画面内一律に所望の値とすることは、さらに困難である。
【特許文献1】特開2000−331927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
透過部材の複屈折をゼロに抑えることは現実的に困難であるにも関わらず、露光装置用の投影光学系において二偏光間位相差を有しない偏光特性が必要となっている。
また、画面内の寸法均一性を得るため、各像高において所望の瞳強度分布を持つ投影光学系を製造しなければならない。
【0013】
さらに、複数装置間で等しい光学性能の投影光学系を安定して製造することを目標とした場合に、透過部材における透過率の製造誤差、反射膜や反射防止膜等の製造誤差によって、瞳透過率分布に画面内差および装置間差が生じてしまうことが問題となる。しかも、露光装置用の投影光学系の高NA化に伴い、瞳強度分布の製造敏感度は増大するにも関わらず、瞳強度分布の画面内均一性と機差に対する要求は益々厳しくなっている。
【0014】
本発明は、透過部材と光学薄膜の製造誤差によって生じる、投影光学系の瞳強度分布誤差と二偏光間位相差を補正する。そして、二偏光間位相差が小さく、所望の瞳強度分布を画面内で均一に持つ投影光学系を安定的に製造する方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための本発明の投影光学系製造方法は、前記光学系における、瞳強度分布あるいは瞳強度分布の画面内均一性と、前記光学系の各光学素子が持つ複屈折によって生じる、異なる二つの偏光の位相差を、前記光学素子の境界面に構成された光学薄膜によって補正することを特徴とする製造方法である。
【0016】
すなわち、本発明は、非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、前記投影光学系における各光学素子の各境界面に構成する光学薄膜の膜構成を、前記非晶質透過部材からなる光学素子の持つ複屈折によって生じる、前記投影光学系における異なる二つの偏光間の位相差を前記光学薄膜で生じる位相差によって補正するように、かつ前記投影光学系における射出瞳面内での強度分布が所定の分布を持つように選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、投影光学系を構成する透過部材の製造誤差、すなわち、応力複屈折分布と内部透過率のばらつきから生じる、投影光学系の瞳強度分布と二偏光間位相差を補正する。これにより、所望の瞳強度分布を画面内で均一に持つ投影光学系を安定的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記投影光学系を構成する透過部材の透過率および複屈折を測定する。そして、その測定値から予測される、投影光学系全系の瞳強度分布および二偏光間位相差を、前記光学部材の境界面に構成された光学薄膜によって補正する。
【0019】
また、前記投影光学系全系の瞳強度分布、二偏光間位相差を測定する。そして、その測定値から予測される、瞳透過率分布および二偏光間位相差を、前記光学素子の境界面に構成された光学薄膜によって補正する。
【0020】
また、前記投影光学系を構成する光学素子の製造誤差から生じる、光学系全系の瞳強度分布および、二偏光間位相差を、前記光学素子の境界面に構成された光学薄膜によって補正する。
【0021】
本実施形態をより具体的に説明すると、先ず、前記投影光学系における各光学素子境界面に構成する光学薄膜として透過特性の互いに異なる複数の光学薄膜候補を準備する工程を備える。次いで、前記透過部材の透過特性を測定する工程と、前記各光学素子境界面に前記光学薄膜候補の各々を構成した場合における前記投影光学系全系の透過特性を計算する工程とを備える。さらに、前記計算の結果に基づいて前記各光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を選択する工程と、前記各光学素子境界面に前記選択した光学薄膜を構成する工程と、を有する。
【0022】
また、本発明の他の実施形態では、前記選択工程の次の光学薄膜を構成する工程においては、一部の光学素子境界面にのみそれぞれに選択された光学薄膜をその膜設計値に基づいて構成する。次いで、前記光学素子境界面に構成された光学薄膜の製造実績値を測定する工程と、前記製造実績値の測定結果を元に、残りの光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を再選択する工程とを有する。さらに、この再選択した結果に基づいて前記残りの光学素子境界面に光学薄膜を構成する工程を有する。
【0023】
ここで、前記製造実績値としては、一例として、前記光学薄膜を構成された光学素子の透過特性を測定する。また、他の例としては、前記製造実績値として、前記光学薄膜を構成された光学素子を用いた投影光学系全系の透過特性を測定する。
【0024】
上述した実施の形態において、前記透過部材の透過特性を測定する工程は、前記透過部材の複屈折分布を測定する工程および/または前記透過部材の内部透過率を測定する工程である。また、前記投影光学系の全系の透過特性は、前記投影光学系における任意の物点からの異なる二つの偏光間の位相差および/または前記投影光学系における任意の一物点からの任意の偏光状態の光束が持つ射出瞳面内での強度分布である。さらに、前記光学薄膜の透過特性は二偏光間位相差の入射角依存性および/または透過率の入射角依存性である。
また、前記投影光学系は、すべての透過部材が非晶質材料で構成することが好ましい。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の実施例1に係る露光装置における投影光学系部分の要部断面図である。本実施例はステップアンドリピート方式、または、ステップアンドスキャン方式の露光装置に適用可能なものである。図1においてPLは投影光学系であり、高精度に収差が補正された通常、数十枚の光学素子によって構成されるが、それを簡略化して透過光学素子1〜3で代表させて示している。
【0026】
ここで透過光学素子1〜3は合成石英を切削、研磨することで形成されている。4は光学素子境界面に構成された光学薄膜である。紫外光に用いられる光学薄膜としては、低屈折率材料、高屈折率材料、および高反射材料等がある。通常、低屈折率材料はフッ化マグネシウム(MgF2)等からなり、高屈折率材料はフッ化ランタン(LaF3)、フッ化ネオジウム(NdF3)、フッ化ガドリニウム(GdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)等からなる。また、高反射材料はアルミニウム(Al)、銀(Ag)等からなる。
【0027】
図1において、5はレチクル、6はウエハである。7〜9はレチクル5およびウエハ6の光軸上を通る光線を、10〜12は軸外を通る光線を代表させて示している。本投影光学系はテレセントリックな光学系であり、8と11は光軸に平行な主光線である。
【0028】
図1では、投影光学系の二偏光間位相差を説明するために、7〜9の光線に対して偏光成分を図示してある。特に光線7に関して透過光学素子1に入射する前の偏光成分を13と14によって示す。次に透過光学素子2射出後の偏光成分を15と16によって示す。また、光学素子3射出後の偏光成分を17と18によって示す。ここで、偏光成分13と15と17は紙面に平行な偏光成分を表し、14と16と18は紙面と垂直な偏光成分を表す。図1のように透過光学素子1に入射する前は、偏光成分13と14は等しい波面を有する。しかし、2枚の透過部材(透過光学素子)1〜2を通過することによって、偏光成分15と16は波面のずれ、すなわち二偏光間位相差が生じる。この二偏光間位相差は透過光学素子内部の応力複屈折と、光学素子表面に構成された光学薄膜の二偏光間位相差によって生じる。二偏光位相差が生じた状態で、ウエハ面に達すると結像性能が劣化してしまう。
【0029】
また、7〜9に代表されるレチクル上の一点(一物点)から射出する各光線は、投影光学系を通過した際に、レチクル上での強度から、それぞれ異なる強度へと減衰されてウエハ上へ至る。強度の減衰は、光学素子境界面での透過率や、透過光学素子内部の透過率等に起因し、光線ごとに光学素子境界面への入射角度および入射位置、光学素子の通過距離が異なるため、各光線で異なる強度となる。従って、レチクル上の一点を通るすべての光線による射出瞳面での強度の分布、すなわち、瞳強度分布を持つ。また、レチクル上の任意の点(物点)について個別の瞳強度分布をとり、瞳強度分布は光線の偏光状態によって異なる。これは、主に光学薄膜の透過率や反射率が、偏光方向によって差を持つことにより生じる。
【0030】
図2は上述の問題点を解決する、本実施例の投影光学系の製造方法を概略的に示すフローチャートである。本製造方法は、合成石英の応力複屈折分布を測定する工程F1、光学薄膜の最適化工程F2を含んでいる。また、最適化された光学薄膜のコーティング工程F3を含んでいる。
【0031】
ここで、工程F1より、各合成石英部材の複屈折測定の結果得られる、合成石英部材の複屈折測定値セットを便宜的にGmと定義する。Gmには各石英部材における複屈折の進相軸分布と、複屈折量分布を含んでいる。この、F1工程は石英部材の形状加工の前後どちらに行っても構わない。すなわち、石英部材を実際の光学素子形状で測定しても、ディスク形状やブロック形状等の形状加工前の状態で測っても構わない。
【0032】
次に、工程F2では、Gmから求められる投影光学系全系の位相差を補正し、かつ、画面内一律で所定の瞳強度分布を持つように、光学薄膜を後述のように最適化する。最適化工程では、石英部材の各境界面に構成する光学薄膜候補の設計値群として、表1に示される膜構成をもつ膜設計値A〜Eを用いる。
【0033】
【表1】
【0034】
膜設計値A〜Eは波長193nmにおける反射防止膜(光学薄膜A〜E)の膜設計値である。図3は光学薄膜A、B、CのS偏光反射率の入射角度依存性、図4は光学薄膜A、B、CのP偏光反射率の入射角度依存性、図5は光学薄膜A、B、CのP−S偏光間位相差の入射角度依存性、を示している。また、図6は光学薄膜A、D、EのS偏光反射率の入射角度依存性、図7は光学薄膜A、D、EのP偏光反射率の入射角度依存性、図8は光学薄膜A、D、EのP−S偏光間位相差の入射角度依存性、を示している。光学薄膜Aの特性は、入射角度55°以下の範囲において、S偏光透過率、P偏光透過率ともに99.85%以上となっており、P−S位相差Δは入射角度55°以下の範囲においてほぼ1°以下となっている。
【0035】
ここで、膜設計値B、Cの光学薄膜B、Cを光学素子境界面に構成すれば、光学素子表面での透過率の入射角度特性(入射角度依存性)を膜設計値Aのものから、変化させることができる。また、膜設計値D、Eの光学薄膜D、Eを構成すれば、光学素子表面での位相差の入射角度特性を変化させることができる。ここで、透過率の入射角度特性を変化させた膜設計値A、B、Cでは位相差の入射角度特性が変化していないことが分かる。また、位相差の入射角度特性を変化させた膜設計値A、D、Eでは透過率の入射角度特性がほとんど変化していないことが分かる。従って、瞳強度と二偏光間位相差はほぼ独立に制御することができる。
【0036】
この最適化は、それぞれの光学素子境界面について上述の膜設計値A〜Eの内、いずれかを選択し、各像高の瞳強度分布と全系位相差を計算することを総当りで繰り返すことで行う。この計算は本実施例の投影光学系の光線追跡データと、光学薄膜の入射角度特性およびGmを用いることで行える。本実施例のように事前に光学薄膜の膜設計値を準備しておき、それら膜設計値を選択する方式で最適化を行えば、簡便に行える。このようにして得られた計算結果のうち最も良い結果を与える、膜設計値A〜Eの各光学素子境界面における組み合わせが、最適化結果となる。この最適な膜設計値の組み合わせを、以下ではARdとする。
【0037】
この最適化は、準備する膜設計値数を増やすほど、よりよい最適化結果を得ることができる。さらに、任意の面の膜設計値を全層一律で膜厚±10%程度まで微小変化させることや、各層ごと膜厚±10%程度まで微小変化させて、よりよい最適化結果を得ることが当然可能である。
最後に、工程F3において、各光学素子境界面に、ARdに従って光学薄膜をコーティングする。
【実施例2】
【0038】
図9は本発明に係る実施例2の投影光学系製造方法を概略的に示すフローチャートである。本製造方法は、実施例1と同様に合成石英の応力複屈折分布を測定する工程F1、光学薄膜の最適化工程F2aを含んでいる。但し、本実施例では、光学薄膜のコーティング工程を工程F3aと工程F3bの二回に分けて実施する。また工程F3aのコーティング結果を測定する工程F4が含まれる。これは、一回目のコーティング工程F3aでの製造誤差(製造実績値)を測定し、その測定結果を元に再度工程F2bで最適化(再選択)を行って、二回目のコーティング工程F3bに、フィードバックさせるためである。以下では、一回目のコーティング工程F3aでコーティングされる光学素子を先行素子、二回目のコーティング工程でコーティングされる光学素子を補正素子と呼ぶこととする。
【0039】
工程F2aの最適化は実施例1と同等の方法で行われ、先行素子境界面の最適な膜設計値の組み合わせ(ARd)fix、および、補正素子境界面の最適な膜設計値の組み合わせ(ARd)compが得られる。工程F3aでは(ARd)fixに従って、先行素子のみのコーティングが行われる。次に、工程F4では工程F3aでのコーティング結果が測定される。工程F4での測定は、先行素子境界面の反射率の入射角度依存性、分光特性、また、P−S位相差(二偏光間位相差)の入射角度依存性などで行われる。この測定によって、実際のコーティング結果が(ARd)fixから、どのような誤差を持つかが測定される。このようにして得られた、各先行素子境界面のコーティング実績(製造実績)のセットを以下(ARm)fixとする。
【0040】
次に、工程F2bにて光学薄膜を再度最適化する。ここでは、(ARm)fixが得られているため先行素子の薄膜構成は固定し、残りの補正素子についてのみ最適化を行い、(ARd)compを更新する。ここでの最適化手法は、工程F2aと同様である。
【0041】
本実施例では、光学素子を先行素子と補正素子の2つに分けたが、これを3つ以上にして、コーティング誤差のフィードバック回数を増やすことが可能である。
【実施例3】
【0042】
図10は本発明に係る実施例3の投影光学系製造方法を概略的に示すフローチャートである。本製造方法は、実施例2と同様に合成石英の応力複屈折分布を測定する工程F1、光学薄膜の最適化工程F2aを含み、先行素子のコーティング工程F3aと補正素子のコーティング工程F3bが含まれる。また、投影光学系全系の瞳強度分布および位相差(製造実績値)を測定する工程F4aが含まれる。この工程F4aでの全系の測定値Umは、Gmと(ARm)fixの他に、合成石英の外部応力による応力複屈折の影響も含む。本実施例では、この全系測定値を指標として、最適化工程F2bを行う。
【0043】
本実施例のような高精度に収差が補正された投影光学系の製造方法には、全系の収差を測定し、その測定結果を指標として、複数の光学素子表面に微小量の追加工をするという収差補正工程が含まれることがしばしばある。この収差補正工程の収差測定と本実施例のF2b工程は同時に行うことが、製造効率上好ましい。また、収差補正のために微小量の追加研磨を与えられる面、または光学素子は、追加研磨の完了後に光学薄膜を構成することが、研磨工程の上で必要となる。したがって、追加研磨を与えられる面を含む光学素子と、本実施例の補正素子は一致していることが、製造効率上好ましい。
【0044】
[デバイス製造方法の実施例]
次に、図11および図12を参照して、上述の露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図11は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造方法を例に説明する。
ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンに基づいてマスク(原版またはレチクルともいう)を製作する。ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハ(基板ともいう)を製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組立)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ7)される。
【0045】
図12は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1に係る露光装置における投影光学系の要部断面図である。
【図2】実施例1に係る投影光学系の製造フローチャートである。
【図3】表1における膜設計値A、B、Cを有する光学薄膜A、B、CのS偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図4】表1における膜設計値A、B、Cを有する光学薄膜A、B、CのP偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図5】表1における膜設計値A、B、Cを有する光学薄膜A、B、CのP−S位相差の入射角度依存性を示すグラフである。
【図6】表1における膜設計値A、D、Eを有する光学薄膜A、D、EのS偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図7】表1における膜設計値A、D、Eを有する光学薄膜A、D、EのP偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図8】表1における膜設計値A、D、Eを有する光学薄膜A、D、EのP―S位相差の入射角度依存性を示すグラフである。
【図9】実施例2に係る投影光学系の製造フローチャートである。
【図10】実施例3に係る投影光学系の製造フローチャートである。
【図11】露光装置を使用したデバイスの製造を説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示すフローチャートにおけるステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1、2、3 光学素子
4 光学薄膜
5 マスク(レチクル)
6 ウエハ
7、8、9 第一物点からの光束を代表する光線
10、11、12 第二物点からの光束を代表する光線
13、14、15、16、17、18 偏光成分
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ用の単結晶基板や液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を露光するのに使用される露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体素子または液晶表示素子を製造する際に、縮小投影露光装置が使用される。縮小投影露光装置においては、レチクルまたはマスク(原版)に描画された回路パターンを投影光学系によってウエハ等(基板)に投影して回路パターンを転写する。
【0003】
縮小投影露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。従って、波長を短くすればするほど、および、NAを上げれば上げるほど、解像度はよくなる。近年では、半導体素子の微細化への要請に伴い、解像度はより小さい値を要求されている。従って露光光の短波長化とともに、投影光学系の高NA化により解像度の向上を見込んでいる。
【0004】
一方、露光装置の光源は短波長化に伴いKrFレーザ(波長248nm)からArFレーザ(波長193nm)へと変化してきた。
このようななかで、波長250nmを下回る露光光を用いた投影光学系の透過部材には、主として合成石英およびフッ化物系結晶材料が使用されている。このような透過部材には、良好な光学性能を達成するために、非常に低い複屈折を持つことが要求されている。
【0005】
透過部材の複屈折は、透過部材の結晶配向性による真性複屈折と、透過部材の内部応力による応力複屈折とに大別される。フッ化物系結晶材料の1つである蛍石は、光学性能上無視し得ない真性複屈折を持つことが報告されている。
一方、紫外領域の光に対して広く用いられている合成石英のような非晶質材料は結晶配向性に拠る真性複屈折を実質的に持たない。しかし、合成石英においては不純物や熱応力に起因すると考えられる応力複屈折が実験的に観測され、その複屈折量は投影光学系の結像性能に与える影響が小さくない。
【0006】
露光装置用の高品質な石英ガラスの製造は、例えば、特許文献1に開示されている。石英ガラスの製造には、ダイレクト法(Direct Method)、VAD(vapor axial deposition)法、ゾルゲル(sol−gel)法、プラズマバーナー法等が用いられる。
しかし、いずれの方法においても高温の状態で形成された合成石英を冷却する際に、表面と中心部の冷え方が異なることにより発生する応力、即ち熱履歴による応力が発生する。この熱履歴による応力はアニール等の熱処理によりある程度緩和することができるが、原理的にゼロとすることが困難である。投影光学系の光学素子は円形軸対称であるため、合成石英は円柱状に成型され、この形状でアニールされる。そのため、複屈折の進相軸は軸対称性を有し、複屈折量も回転対称成分がほとんどを占める。
【0007】
また、投影光学系の高NA化に伴い、投影光学系の光学素子境界面への光線入射角度が増大し、反射膜または反射防止膜のすべての入射角度においての反射率を一様にすることが益々困難となってきている。例えば、合成石英表面に構成する反射防止膜の場合、波長193nmの真空紫外光に通常用いることのできる光学薄膜材料はフッ化物および酸化物の一部が知られている。しかし、これらの光学薄膜材料を用いて反射防止膜を構成した場合、最大光線入射角度が高い場合、特に55°以上の最大光線入射角を持つ面に対して、少なくともP偏光反射率またはS偏光反射率の一方が、1%を超えてしまう。一方、NAが0.85を超えるような高NAの投影光学系では、射出瞳面内の外周部を通過する光線において、光学素子境界面への入射角度が55°を超えてしまうことが一般的である。
【0008】
したがって、NAが0.85を超えるような高NAの投影光学系においては、射出瞳面内の周辺部を通過する光線の強度が、中心部を通過する光線の強度と異なる値をとることが避けられない。任意の一像高を通る光束の射出瞳面内での強度分布を、以降では単に瞳強度分布と呼ぶ。
【0009】
投影光学系が画面内で異なる瞳強度分布を持つ場合、画面内のOPE(光近接効果:Optical Proximity Effect)特性を変化させてしまうことが問題となる。OPEはパターンの疎密によって、露光時のマスク上のパターン寸法が同じでもウエハ上のパターン寸法が異なる事をいう。また、OPEをマスクで補正する事をOPC(Optical Proximity Correction)という。通常のOPCは、画面内一律に行われることが多く、画面内でのOPE特性が変化すると、画面内でのパターン寸法が異なってしまう。また同様に、通常のOPCは、露光装置ごとには行われず、一度OPCが行われたマスクは他の露光装置でも使用可能であることが求められる。このため、投影光学系の製造では、投影光学系の瞳強度分布に個体差がなく、所望の状態、例えば投影光学系の設計段階で計算される瞳強度分布状態、となるように行われなければならない。以上のように、OPE特性が良好な投影光学系を製造するためは、画面内一律で所望の瞳強度分布であることが重要となる。
【0010】
しかし、高NAの投影光学系では、前述のように反射率が1%を超えてしまうような高い入射角度の面を持ち、そのような高入射角度領域での反射率は、光学薄膜の製造誤差に対して非常に敏感である。従って、瞳強度分布を画面内一律に所望の値とすることが困難である。
【0011】
また、透過部材の製造誤差によって生じる、透過部材の内部透過率によっても、瞳強度分布は変化するため、内部透過率の製造誤差が無視できない場合、瞳強度分布を画面内一律に所望の値とすることは、さらに困難である。
【特許文献1】特開2000−331927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
透過部材の複屈折をゼロに抑えることは現実的に困難であるにも関わらず、露光装置用の投影光学系において二偏光間位相差を有しない偏光特性が必要となっている。
また、画面内の寸法均一性を得るため、各像高において所望の瞳強度分布を持つ投影光学系を製造しなければならない。
【0013】
さらに、複数装置間で等しい光学性能の投影光学系を安定して製造することを目標とした場合に、透過部材における透過率の製造誤差、反射膜や反射防止膜等の製造誤差によって、瞳透過率分布に画面内差および装置間差が生じてしまうことが問題となる。しかも、露光装置用の投影光学系の高NA化に伴い、瞳強度分布の製造敏感度は増大するにも関わらず、瞳強度分布の画面内均一性と機差に対する要求は益々厳しくなっている。
【0014】
本発明は、透過部材と光学薄膜の製造誤差によって生じる、投影光学系の瞳強度分布誤差と二偏光間位相差を補正する。そして、二偏光間位相差が小さく、所望の瞳強度分布を画面内で均一に持つ投影光学系を安定的に製造する方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための本発明の投影光学系製造方法は、前記光学系における、瞳強度分布あるいは瞳強度分布の画面内均一性と、前記光学系の各光学素子が持つ複屈折によって生じる、異なる二つの偏光の位相差を、前記光学素子の境界面に構成された光学薄膜によって補正することを特徴とする製造方法である。
【0016】
すなわち、本発明は、非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、前記投影光学系における各光学素子の各境界面に構成する光学薄膜の膜構成を、前記非晶質透過部材からなる光学素子の持つ複屈折によって生じる、前記投影光学系における異なる二つの偏光間の位相差を前記光学薄膜で生じる位相差によって補正するように、かつ前記投影光学系における射出瞳面内での強度分布が所定の分布を持つように選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、投影光学系を構成する透過部材の製造誤差、すなわち、応力複屈折分布と内部透過率のばらつきから生じる、投影光学系の瞳強度分布と二偏光間位相差を補正する。これにより、所望の瞳強度分布を画面内で均一に持つ投影光学系を安定的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記投影光学系を構成する透過部材の透過率および複屈折を測定する。そして、その測定値から予測される、投影光学系全系の瞳強度分布および二偏光間位相差を、前記光学部材の境界面に構成された光学薄膜によって補正する。
【0019】
また、前記投影光学系全系の瞳強度分布、二偏光間位相差を測定する。そして、その測定値から予測される、瞳透過率分布および二偏光間位相差を、前記光学素子の境界面に構成された光学薄膜によって補正する。
【0020】
また、前記投影光学系を構成する光学素子の製造誤差から生じる、光学系全系の瞳強度分布および、二偏光間位相差を、前記光学素子の境界面に構成された光学薄膜によって補正する。
【0021】
本実施形態をより具体的に説明すると、先ず、前記投影光学系における各光学素子境界面に構成する光学薄膜として透過特性の互いに異なる複数の光学薄膜候補を準備する工程を備える。次いで、前記透過部材の透過特性を測定する工程と、前記各光学素子境界面に前記光学薄膜候補の各々を構成した場合における前記投影光学系全系の透過特性を計算する工程とを備える。さらに、前記計算の結果に基づいて前記各光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を選択する工程と、前記各光学素子境界面に前記選択した光学薄膜を構成する工程と、を有する。
【0022】
また、本発明の他の実施形態では、前記選択工程の次の光学薄膜を構成する工程においては、一部の光学素子境界面にのみそれぞれに選択された光学薄膜をその膜設計値に基づいて構成する。次いで、前記光学素子境界面に構成された光学薄膜の製造実績値を測定する工程と、前記製造実績値の測定結果を元に、残りの光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を再選択する工程とを有する。さらに、この再選択した結果に基づいて前記残りの光学素子境界面に光学薄膜を構成する工程を有する。
【0023】
ここで、前記製造実績値としては、一例として、前記光学薄膜を構成された光学素子の透過特性を測定する。また、他の例としては、前記製造実績値として、前記光学薄膜を構成された光学素子を用いた投影光学系全系の透過特性を測定する。
【0024】
上述した実施の形態において、前記透過部材の透過特性を測定する工程は、前記透過部材の複屈折分布を測定する工程および/または前記透過部材の内部透過率を測定する工程である。また、前記投影光学系の全系の透過特性は、前記投影光学系における任意の物点からの異なる二つの偏光間の位相差および/または前記投影光学系における任意の一物点からの任意の偏光状態の光束が持つ射出瞳面内での強度分布である。さらに、前記光学薄膜の透過特性は二偏光間位相差の入射角依存性および/または透過率の入射角依存性である。
また、前記投影光学系は、すべての透過部材が非晶質材料で構成することが好ましい。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の実施例1に係る露光装置における投影光学系部分の要部断面図である。本実施例はステップアンドリピート方式、または、ステップアンドスキャン方式の露光装置に適用可能なものである。図1においてPLは投影光学系であり、高精度に収差が補正された通常、数十枚の光学素子によって構成されるが、それを簡略化して透過光学素子1〜3で代表させて示している。
【0026】
ここで透過光学素子1〜3は合成石英を切削、研磨することで形成されている。4は光学素子境界面に構成された光学薄膜である。紫外光に用いられる光学薄膜としては、低屈折率材料、高屈折率材料、および高反射材料等がある。通常、低屈折率材料はフッ化マグネシウム(MgF2)等からなり、高屈折率材料はフッ化ランタン(LaF3)、フッ化ネオジウム(NdF3)、フッ化ガドリニウム(GdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)等からなる。また、高反射材料はアルミニウム(Al)、銀(Ag)等からなる。
【0027】
図1において、5はレチクル、6はウエハである。7〜9はレチクル5およびウエハ6の光軸上を通る光線を、10〜12は軸外を通る光線を代表させて示している。本投影光学系はテレセントリックな光学系であり、8と11は光軸に平行な主光線である。
【0028】
図1では、投影光学系の二偏光間位相差を説明するために、7〜9の光線に対して偏光成分を図示してある。特に光線7に関して透過光学素子1に入射する前の偏光成分を13と14によって示す。次に透過光学素子2射出後の偏光成分を15と16によって示す。また、光学素子3射出後の偏光成分を17と18によって示す。ここで、偏光成分13と15と17は紙面に平行な偏光成分を表し、14と16と18は紙面と垂直な偏光成分を表す。図1のように透過光学素子1に入射する前は、偏光成分13と14は等しい波面を有する。しかし、2枚の透過部材(透過光学素子)1〜2を通過することによって、偏光成分15と16は波面のずれ、すなわち二偏光間位相差が生じる。この二偏光間位相差は透過光学素子内部の応力複屈折と、光学素子表面に構成された光学薄膜の二偏光間位相差によって生じる。二偏光位相差が生じた状態で、ウエハ面に達すると結像性能が劣化してしまう。
【0029】
また、7〜9に代表されるレチクル上の一点(一物点)から射出する各光線は、投影光学系を通過した際に、レチクル上での強度から、それぞれ異なる強度へと減衰されてウエハ上へ至る。強度の減衰は、光学素子境界面での透過率や、透過光学素子内部の透過率等に起因し、光線ごとに光学素子境界面への入射角度および入射位置、光学素子の通過距離が異なるため、各光線で異なる強度となる。従って、レチクル上の一点を通るすべての光線による射出瞳面での強度の分布、すなわち、瞳強度分布を持つ。また、レチクル上の任意の点(物点)について個別の瞳強度分布をとり、瞳強度分布は光線の偏光状態によって異なる。これは、主に光学薄膜の透過率や反射率が、偏光方向によって差を持つことにより生じる。
【0030】
図2は上述の問題点を解決する、本実施例の投影光学系の製造方法を概略的に示すフローチャートである。本製造方法は、合成石英の応力複屈折分布を測定する工程F1、光学薄膜の最適化工程F2を含んでいる。また、最適化された光学薄膜のコーティング工程F3を含んでいる。
【0031】
ここで、工程F1より、各合成石英部材の複屈折測定の結果得られる、合成石英部材の複屈折測定値セットを便宜的にGmと定義する。Gmには各石英部材における複屈折の進相軸分布と、複屈折量分布を含んでいる。この、F1工程は石英部材の形状加工の前後どちらに行っても構わない。すなわち、石英部材を実際の光学素子形状で測定しても、ディスク形状やブロック形状等の形状加工前の状態で測っても構わない。
【0032】
次に、工程F2では、Gmから求められる投影光学系全系の位相差を補正し、かつ、画面内一律で所定の瞳強度分布を持つように、光学薄膜を後述のように最適化する。最適化工程では、石英部材の各境界面に構成する光学薄膜候補の設計値群として、表1に示される膜構成をもつ膜設計値A〜Eを用いる。
【0033】
【表1】
【0034】
膜設計値A〜Eは波長193nmにおける反射防止膜(光学薄膜A〜E)の膜設計値である。図3は光学薄膜A、B、CのS偏光反射率の入射角度依存性、図4は光学薄膜A、B、CのP偏光反射率の入射角度依存性、図5は光学薄膜A、B、CのP−S偏光間位相差の入射角度依存性、を示している。また、図6は光学薄膜A、D、EのS偏光反射率の入射角度依存性、図7は光学薄膜A、D、EのP偏光反射率の入射角度依存性、図8は光学薄膜A、D、EのP−S偏光間位相差の入射角度依存性、を示している。光学薄膜Aの特性は、入射角度55°以下の範囲において、S偏光透過率、P偏光透過率ともに99.85%以上となっており、P−S位相差Δは入射角度55°以下の範囲においてほぼ1°以下となっている。
【0035】
ここで、膜設計値B、Cの光学薄膜B、Cを光学素子境界面に構成すれば、光学素子表面での透過率の入射角度特性(入射角度依存性)を膜設計値Aのものから、変化させることができる。また、膜設計値D、Eの光学薄膜D、Eを構成すれば、光学素子表面での位相差の入射角度特性を変化させることができる。ここで、透過率の入射角度特性を変化させた膜設計値A、B、Cでは位相差の入射角度特性が変化していないことが分かる。また、位相差の入射角度特性を変化させた膜設計値A、D、Eでは透過率の入射角度特性がほとんど変化していないことが分かる。従って、瞳強度と二偏光間位相差はほぼ独立に制御することができる。
【0036】
この最適化は、それぞれの光学素子境界面について上述の膜設計値A〜Eの内、いずれかを選択し、各像高の瞳強度分布と全系位相差を計算することを総当りで繰り返すことで行う。この計算は本実施例の投影光学系の光線追跡データと、光学薄膜の入射角度特性およびGmを用いることで行える。本実施例のように事前に光学薄膜の膜設計値を準備しておき、それら膜設計値を選択する方式で最適化を行えば、簡便に行える。このようにして得られた計算結果のうち最も良い結果を与える、膜設計値A〜Eの各光学素子境界面における組み合わせが、最適化結果となる。この最適な膜設計値の組み合わせを、以下ではARdとする。
【0037】
この最適化は、準備する膜設計値数を増やすほど、よりよい最適化結果を得ることができる。さらに、任意の面の膜設計値を全層一律で膜厚±10%程度まで微小変化させることや、各層ごと膜厚±10%程度まで微小変化させて、よりよい最適化結果を得ることが当然可能である。
最後に、工程F3において、各光学素子境界面に、ARdに従って光学薄膜をコーティングする。
【実施例2】
【0038】
図9は本発明に係る実施例2の投影光学系製造方法を概略的に示すフローチャートである。本製造方法は、実施例1と同様に合成石英の応力複屈折分布を測定する工程F1、光学薄膜の最適化工程F2aを含んでいる。但し、本実施例では、光学薄膜のコーティング工程を工程F3aと工程F3bの二回に分けて実施する。また工程F3aのコーティング結果を測定する工程F4が含まれる。これは、一回目のコーティング工程F3aでの製造誤差(製造実績値)を測定し、その測定結果を元に再度工程F2bで最適化(再選択)を行って、二回目のコーティング工程F3bに、フィードバックさせるためである。以下では、一回目のコーティング工程F3aでコーティングされる光学素子を先行素子、二回目のコーティング工程でコーティングされる光学素子を補正素子と呼ぶこととする。
【0039】
工程F2aの最適化は実施例1と同等の方法で行われ、先行素子境界面の最適な膜設計値の組み合わせ(ARd)fix、および、補正素子境界面の最適な膜設計値の組み合わせ(ARd)compが得られる。工程F3aでは(ARd)fixに従って、先行素子のみのコーティングが行われる。次に、工程F4では工程F3aでのコーティング結果が測定される。工程F4での測定は、先行素子境界面の反射率の入射角度依存性、分光特性、また、P−S位相差(二偏光間位相差)の入射角度依存性などで行われる。この測定によって、実際のコーティング結果が(ARd)fixから、どのような誤差を持つかが測定される。このようにして得られた、各先行素子境界面のコーティング実績(製造実績)のセットを以下(ARm)fixとする。
【0040】
次に、工程F2bにて光学薄膜を再度最適化する。ここでは、(ARm)fixが得られているため先行素子の薄膜構成は固定し、残りの補正素子についてのみ最適化を行い、(ARd)compを更新する。ここでの最適化手法は、工程F2aと同様である。
【0041】
本実施例では、光学素子を先行素子と補正素子の2つに分けたが、これを3つ以上にして、コーティング誤差のフィードバック回数を増やすことが可能である。
【実施例3】
【0042】
図10は本発明に係る実施例3の投影光学系製造方法を概略的に示すフローチャートである。本製造方法は、実施例2と同様に合成石英の応力複屈折分布を測定する工程F1、光学薄膜の最適化工程F2aを含み、先行素子のコーティング工程F3aと補正素子のコーティング工程F3bが含まれる。また、投影光学系全系の瞳強度分布および位相差(製造実績値)を測定する工程F4aが含まれる。この工程F4aでの全系の測定値Umは、Gmと(ARm)fixの他に、合成石英の外部応力による応力複屈折の影響も含む。本実施例では、この全系測定値を指標として、最適化工程F2bを行う。
【0043】
本実施例のような高精度に収差が補正された投影光学系の製造方法には、全系の収差を測定し、その測定結果を指標として、複数の光学素子表面に微小量の追加工をするという収差補正工程が含まれることがしばしばある。この収差補正工程の収差測定と本実施例のF2b工程は同時に行うことが、製造効率上好ましい。また、収差補正のために微小量の追加研磨を与えられる面、または光学素子は、追加研磨の完了後に光学薄膜を構成することが、研磨工程の上で必要となる。したがって、追加研磨を与えられる面を含む光学素子と、本実施例の補正素子は一致していることが、製造効率上好ましい。
【0044】
[デバイス製造方法の実施例]
次に、図11および図12を参照して、上述の露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図11は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造方法を例に説明する。
ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンに基づいてマスク(原版またはレチクルともいう)を製作する。ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハ(基板ともいう)を製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組立)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ7)される。
【0045】
図12は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1に係る露光装置における投影光学系の要部断面図である。
【図2】実施例1に係る投影光学系の製造フローチャートである。
【図3】表1における膜設計値A、B、Cを有する光学薄膜A、B、CのS偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図4】表1における膜設計値A、B、Cを有する光学薄膜A、B、CのP偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図5】表1における膜設計値A、B、Cを有する光学薄膜A、B、CのP−S位相差の入射角度依存性を示すグラフである。
【図6】表1における膜設計値A、D、Eを有する光学薄膜A、D、EのS偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図7】表1における膜設計値A、D、Eを有する光学薄膜A、D、EのP偏光反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図8】表1における膜設計値A、D、Eを有する光学薄膜A、D、EのP―S位相差の入射角度依存性を示すグラフである。
【図9】実施例2に係る投影光学系の製造フローチャートである。
【図10】実施例3に係る投影光学系の製造フローチャートである。
【図11】露光装置を使用したデバイスの製造を説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示すフローチャートにおけるステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1、2、3 光学素子
4 光学薄膜
5 マスク(レチクル)
6 ウエハ
7、8、9 第一物点からの光束を代表する光線
10、11、12 第二物点からの光束を代表する光線
13、14、15、16、17、18 偏光成分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、
前記投影光学系における各光学素子の各境界面に構成する光学薄膜の膜構成を、前記非晶質透過部材からなる光学素子の持つ複屈折によって生じる、前記投影光学系における異なる二つの偏光間の位相差を前記光学薄膜で生じる位相差によって補正するように、かつ前記投影光学系における射出瞳面内での強度分布が所定の分布を持つように選択することを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項2】
非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、
前記投影光学系における各光学素子境界面に構成する光学薄膜として透過特性の互いに異なる複数の光学薄膜候補を準備する工程と、
前記透過部材の透過特性を測定する工程と、
前記各光学素子境界面に前記光学薄膜候補の各々を構成した場合における前記投影光学系全系の透過特性を計算する工程と、
前記計算の結果に基づいて前記各光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を選択する工程と、
前記各光学素子境界面に前記選択した光学薄膜を構成する工程と、
を有することを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項3】
非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、
前記投影光学系における各光学素子境界面に構成する光学薄膜として透過特性の互いに異なる複数の光学薄膜候補を準備する工程と、
前記透過部材の透過特性を測定する工程と、
前記各光学素子境界面に前記光学薄膜候補の各々を構成した場合における前記投影光学系全系の透過特性を計算する工程と、
前記計算の結果に基づいて前記各光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を選択する工程と、
前記各光学素子境界面のうちの一部に前記選択した光学薄膜をその膜設計値に基づいて構成する工程と、
前記光学素子境界面に構成された光学薄膜の製造実績値を測定する工程と、
前記製造実績値の測定結果を元に、残りの光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を再選択する工程と、
前記残りの光学素子境界面に前記再選択した光学薄膜を構成する工程と、
を有することを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項4】
前記製造実績値として、前記光学薄膜を構成された光学素子の透過特性を測定することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記製造実績値として、前記光学薄膜を構成された光学素子を用いた投影光学系全系の透過特性を測定することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記透過部材の透過特性を測定する工程は、前記透過部材の複屈折分布を測定する工程および/または前記透過部材の内部透過率を測定する工程であり、前記投影光学系の全系の透過特性は、前記投影光学系における任意の物点からの異なる二つの偏光間の位相差および/または前記投影光学系における任意の一物点からの任意の偏光状態の光束が持つ射出瞳面内での強度分布であり、前記光学薄膜の透過特性は二偏光間位相差の入射角依存性および/または透過率の入射角依存性であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記投影光学系を構成するすべての透過部材が、非晶質材料からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の方法により製造された投影光学系を有することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、露光した前記基板を現像する工程とを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項1】
非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、
前記投影光学系における各光学素子の各境界面に構成する光学薄膜の膜構成を、前記非晶質透過部材からなる光学素子の持つ複屈折によって生じる、前記投影光学系における異なる二つの偏光間の位相差を前記光学薄膜で生じる位相差によって補正するように、かつ前記投影光学系における射出瞳面内での強度分布が所定の分布を持つように選択することを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項2】
非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、
前記投影光学系における各光学素子境界面に構成する光学薄膜として透過特性の互いに異なる複数の光学薄膜候補を準備する工程と、
前記透過部材の透過特性を測定する工程と、
前記各光学素子境界面に前記光学薄膜候補の各々を構成した場合における前記投影光学系全系の透過特性を計算する工程と、
前記計算の結果に基づいて前記各光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を選択する工程と、
前記各光学素子境界面に前記選択した光学薄膜を構成する工程と、
を有することを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項3】
非晶質透過部材からなる少なくとも一つの光学素子を含む投影光学系の製造方法であって、
前記投影光学系における各光学素子境界面に構成する光学薄膜として透過特性の互いに異なる複数の光学薄膜候補を準備する工程と、
前記透過部材の透過特性を測定する工程と、
前記各光学素子境界面に前記光学薄膜候補の各々を構成した場合における前記投影光学系全系の透過特性を計算する工程と、
前記計算の結果に基づいて前記各光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を選択する工程と、
前記各光学素子境界面のうちの一部に前記選択した光学薄膜をその膜設計値に基づいて構成する工程と、
前記光学素子境界面に構成された光学薄膜の製造実績値を測定する工程と、
前記製造実績値の測定結果を元に、残りの光学素子境界面に構成すべき光学薄膜を再選択する工程と、
前記残りの光学素子境界面に前記再選択した光学薄膜を構成する工程と、
を有することを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項4】
前記製造実績値として、前記光学薄膜を構成された光学素子の透過特性を測定することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記製造実績値として、前記光学薄膜を構成された光学素子を用いた投影光学系全系の透過特性を測定することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記透過部材の透過特性を測定する工程は、前記透過部材の複屈折分布を測定する工程および/または前記透過部材の内部透過率を測定する工程であり、前記投影光学系の全系の透過特性は、前記投影光学系における任意の物点からの異なる二つの偏光間の位相差および/または前記投影光学系における任意の一物点からの任意の偏光状態の光束が持つ射出瞳面内での強度分布であり、前記光学薄膜の透過特性は二偏光間位相差の入射角依存性および/または透過率の入射角依存性であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記投影光学系を構成するすべての透過部材が、非晶質材料からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の方法により製造された投影光学系を有することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、露光した前記基板を現像する工程とを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−43809(P2009−43809A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205181(P2007−205181)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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