説明

投影装置

【課題】スクリーンの色を考慮して、投影される画像の色調整を自動で行える投影装置を提供する。
【解決手段】実際に画像を投影される投影面60に、照明光源10から照射された光を用いて、初期調整がなされた反射型液晶素子20で変調された基準画像を投影し、投影面60に投影された基準画像を撮像素子50で撮像し、撮像素子50から出力された実際のカラー信号値のバランスが所定値に近づくよう、照明光源10のカラーバランスを調整するので、使用スクリーンの色に関わらず、それに投影される画像の色調整を自動で行い、常に同じ色合いの画像を鑑賞することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を投影する投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の投影装置における問題点として、画像が投影されるスクリーンの状態により、投影画像の画質が変化するということである。より具体的には、例えばスクリーンが黄ばんでいたりすると、かかるスクリーン上に投影された画像の色が変化して、投影画像を鑑賞する者が違和感を覚える恐れがある。
【0003】
これに対し、特許文献1には、使用時間に基づいて、投射画像に関する経時的退色を減少させた補正画像を映像光学装置に形成させるプロジェクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-039957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、使用時間に応じて生じると予測される経時的退色としての画像の黄ばみを補償することはできるが、使用時間と無関係であるスクリーンの着色などは補償できないという問題がある。特に、持ち運び可能な小型のプロジェクタの場合、スクリーンを選ばず画像を投影したいという要求がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、スクリーンの色を考慮して、投影される画像の色調整を自動で行える投影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の投影装置は、
照明光源と、
前記照明光源から照射される光の照度を制御する照明制御部と、
前記照明光源からの光を画像信号に基づいて変調して反射させる反射型液晶素子と、
所定の偏光方向の光を反射させる偏光ビームスプリッタと、
光軸方向に移動可能となされ、前記反射型液晶素子により反射させられた変調光を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を介して投影された投影画像のカラー信号値を受光する撮像素子と、
前記照明光源のカラーバランスに関する値を記憶するメモリと、を有し、
初期状態で、前記照明光源から照射された光を用いて前記反射型液晶素子で変調された基準画像を基準スクリーンに投影し、前記基準スクリーンに投影された基準画像を前記撮像素子で撮像したときに、前記撮像素子から出力された初期のカラー信号値のバランスが所定値になるよう、前記照明光源のカラーバランスを初期調整し、
実際に画像を投影される使用スクリーンに、前記照明光源から照射された光を用いて、初期調整がなされた前記反射型液晶素子で変調された基準画像を投影し、前記使用スクリーンに投影された基準画像を前記撮像素子で撮像し、前記撮像素子から出力された実際のカラー信号値のバランスが前記所定値に近づくよう、前記照明光源のカラーバランスを調整することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、初期状態で、前記照明光源から照射された光を用いて前記反射型液晶素子で変調された基準画像を基準スクリーンに投影し、前記基準スクリーンに投影された基準画像を前記撮像素子で撮像したときに、前記撮像素子から出力された初期のカラー信号値のバランスが所定値になるよう、前記照明光源のカラーバランスを初期調整し、更に実際に画像を投影される使用スクリーンに、前記照明光源から照射された光を用いて、初期調整がなされた前記反射型液晶素子で変調された基準画像を投影し、前記使用スクリーンに投影された基準画像を前記撮像素子で撮像し、前記撮像素子から出力された実際のカラー信号値のバランスが前記所定値に近づくよう、前記照明光源のカラーバランスを調整するので、使用スクリーンの色に関わらず、それに投影される画像の色調整を自動で行い、常に同じ色合いの画像を鑑賞することができる。「照明光源のカラーバランス」とは、例えば照明光源が赤色発光部、青色発光部、緑色発光部を有する場合、各色の発光部の駆動電流値やデューティ比の割合を変更することにより各色光量比を変化させることをいう。かかる場合、「照明光源のカラーバランスに関する値」とは、駆動電流値やデューティ比となる。但し、これに限られることはなく、三色の光量比を変化できればよい。
【0009】
請求項2に記載の投影装置は、請求項1に記載の発明において、基準画像とは、一様な白色画像であることを特徴とする。但し、一様な灰色画像であっても良い。
【0010】
請求項3に記載の投影装置は、請求項1又は2に記載の発明において、前記撮像素子は、RGBフィルタを有し、前記カラー信号値とは、R値、G値、B値からなることを特徴とする。RGBフィルタとは、マトリクス状に配置された画素の物体側に配置され、画素毎に1つずつ配置された赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタからなるフィルタをいい、例えば、特開2002-176653号公報に記載されている。赤色フィルタの画素から出力される信号をR値、緑色フィルタの画素から出力される信号をG値、青色フィルタの画素から出力される信号をB値とする。
【0011】
請求項4に記載の投影装置は、請求項3に記載の発明において、前記所定値とは、R値とG値とB値とが略1:1:1であることを特徴とする。なお色バランスは厳密に1:1:1である必要はなく、実用上許容できる誤差範囲、例えば、それぞれ±3%以内のバラツキがあっても良い。よって、かかるバラツキを含んで略1:1:1とする。
【0012】
請求項5に記載の投影装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記撮像素子は、前記反射型液晶素子と共役の位置に配置され、前記投影された画像を前記投影光学系及び前記偏光ビームスプリッタを介して撮像することを特徴とする。これにより前記投影光学系を撮像光学系として共有でき、投影装置の小型化を図れる。尚、かかる構成では、画像投影前に、ピント合わせのため投影光学系を合焦位置に移動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクリーンの色を考慮して、投影される画像の色調整を自動で行える投影装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る投影装置の主要構成部材の配置構成の一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る投影装置の制御の関係を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る投影装置の出荷検査時における動作概略を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係る投影装置の実使用時における動作概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本実施の形態に係る投影装置1の主要構成部材の配置構成の一例を示す模式図である。なお、光学系及び主要構成部材を保持する保持部材や筐体及び電源等については省略してある。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態に係る投影装置1は、照明光源10、集光光学系11、偏光変換素子12、偏光ビームスプリッタPBS、反射型液晶素子20、λ/4波長板41、投影光学系30、アクチュエータ31、光学系位置検知部32、撮像素子50で構成されている。60は投影面である。
【0017】
照明光源10は、例えば三色LED(例えば、赤色LED、青色LED、緑色LED、但し、白色LEDの出射光を三色に分解しても良い)が用いられる。尚、初期状態では、赤色LED、青色LED、緑色LEDは1:1:1の光量比で発光するものとする。集光光学系11は、照明光源10から射出される光を略平行光に変換するものである。
【0018】
偏光変換素子12は、入射した光の光量を低下させずに特定の偏光に変換する光学素子である。例えば、図示のようにP偏光を透過する偏光分離膜12Pと、偏光分離膜12Pを透過したP偏光をS偏光に変換するλ/2波長板12aと、偏光分離膜12Pで反射したS偏光を、再度反射させて出射させるよう構成されたものである。
【0019】
偏光ビームスプリッタPBSは、所定の方向に直線偏光した光を反射させる反射面Rが斜面に形成された直角プリズムを貼り合わせたものである。これにより、偏光変換素子12を通過してきた所定の方向に直線偏光した光を反射させる。
【0020】
反射型液晶素子20は、LCOS(Liquid crystal on silicon)とも称されるマイクロディスプレイであり、シリコンチップの表面に直接液晶が載せられているものである。この反射型液晶素子20は、液晶層に対し駆動制御部から画像信号に応じた電圧が画素毎に印加され、液晶分子の配列を変化させること変調し、所望の画像を表示するものである。尚、反射型液晶素子20は、反転画像を表示し、短時間で赤色LED、青色LED、緑色LEDの出射光を順次切り換えながら、反射型液晶素子20に入射させることで、反転画像に対応した各色画像を時間軸上でずらせて反射させ、これによりスクリーン上でカラー画像を形成するものである。よって、赤色LED、青色LED、緑色LEDの駆動電流やデューティ比を変化させることで発光量又は発光時間を個々に調整すれば、色バランスを任意に変更できる(特開2007−79402号公報参照)。
【0021】
投影光学系30は、照明光源10で照明され、反射型液晶素子20から反射された画像を投影面60に結像させる機能と、投影面60に投影された画像を撮像素子上に結像させる。アクチュエータ31は、例えば、圧電素子、静電アクチュエータ等であり、投影光学系30を、ピントを合わせるために光軸方向に移動させるものである。光学系位置検知部32は、アクチュエータ31により移動させられた投影光学系30の位置を検出するものであり、アクチュエータ31の駆動と投影光学系30の移動量が1対1に対応する場合には省略してもよい。
【0022】
撮像素子50は、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子であり、RGBフィルタを備えている。この撮像素子50の撮像面は、反射型液晶素子20の画像表示面と、光学的に共役に位置に配置されている。
【0023】
以下、図1に示す投影装置1の作用を簡単に説明する。なお、以下の説明では、偏光変換素子12は上述のようにS偏光を出射するよう構成され、偏光ビームスプリッタPBSの反射面RはS偏光を反射するよう構成された例で説明する。
【0024】
照明光源10から射出された光束は、偏光変換素子12によりS偏光の光が透過され、偏光ビームスプリッタPBSに入射し、反射面Rで反射型液晶素子20の方向に反射させられ、反射型液晶素子20を照明する。
【0025】
反射型液晶素子20に入射した光は反射型液晶素子20で反射され、偏光ビームスプリッタPBSに再度入射する。反射型液晶素子20を構成する不図示の液晶層は、電圧が印加されると位相板として機能する。従って、反射型液晶素子20から射出する光のうち、電圧が印加された画素領域を透過した光はS偏光からP偏光に変換される。一方、反射型液晶素子20から射出する光のうち、電圧が印加されていない画素領域を透過した光はS偏光のままとなる。
【0026】
反射型液晶素子20で反射された光のうちP偏光の光は、偏光ビームスプリッタPBSに再度入射後、反射面Rを透過し投影光学系30によって投影面60に投影される。投影光学系30の前方にはλ/4波長板41が配置されており、P偏光の光は円偏光に変換されて投影される。なお、λ/4波長板41は偏光ビームスプリッタPBSと投影光学系30の間に配置されていてもよい。
【0027】
さらに、投影面60に投影された画像の反射光は、λ/4波長板41によりS偏光の光にされて投影光学系30を逆に通過した後、偏光ビームスプリッタPBSに入射し、反射面Rにより反射されて撮像素子50上にも画像が結像される。
【0028】
なお、照明光源10の光量が充分あるときは、偏光変換素子12を省略し、偏光ビームスプリッタPBSと撮像素子50の間にS偏光の光のみを透過させる偏光フィルタを配置した構成でもよい。又、光利用効率の向上や省電化を考慮すると、図1に示す構成が好ましい。また、照明光源10、偏光変換素子12については、照明光源側にλ/4波長板と反射面とを配置し、偏光変換素子を反射型偏光フィルムとして、反射型偏光フィルムを通過しないP偏光をリサイクルしてS偏光に変換して通過させるよう構成したものでもよい。
【0029】
図2は、本実施の形態に係る投影装置1の制御の関係を示すブロック図である。図2に示すように、投影装置1は各部を統括的に制御する制御部(CPU)70を有している。制御部70は、所定の動作プログラムを格納したメモリ(ROM)73から、動作プログラムを読み出し、制御部70内の作業領域に展開して各部の制御を行う。
【0030】
制御部70は、照明光源制御部15を介して照明光源10の光量等を制御する。制御部70と照明光源制御部15とで照明制御部を構成する。更に、制御部70は、反射型液晶素子駆動制御部25を介して反射型液晶素子20に画像信号に応じた電圧を画素毎に印加し画像を表示させ、また光学系位置検知部32からの情報を加味しつつ、アクチュエータ駆動制御部35を介しアクチュエータ31を駆動制御し、投影光学系30を光軸方向に移動させる。
【0031】
撮像素子制御部及び撮像信号処理部55では、制御部70からの信号に基づいて、撮像素子50の駆動及び撮像素子50で得られた画像に関するデータから投影像のピント状態の検出演算をおこなう。
【0032】
更に、制御部70にはユーザ操作のための操作キー部72が接続されており、該操作キー部72からの入力により動作の切り替え動作(後述する光量調整操作を含む)が行われる。また、外部インタフェース74は、外部機器との画像データの入出力に用いられる。
【0033】
リモコン制御部及び通信部75は、リモコン76との通信及びリモコン76からの入力を制御部70に伝達する。本願のような小型の投影装置は、小型のモバイル機器に搭載される場合が多いと考えられる。小型のモバイル機器では、操作キーで入力する際に、機器自体が振動する可能性が高く、振動すると投影像が大きく揺れるため、リモコン制御部及び通信部75とリモコン76を備えて、投影装置1の本体に触れずに操作できるよう構成されていることが好ましい。
【0034】
また、投影する画像データはフラッシュメモリ78に格納され、制御部70の信号に基づき、選択された画像データを送出する。
【0035】
加速度センサ77は、投影装置1が移動させられた動きを検知し制御部70に加速度データを送出する。なお、80は電池であり、電源回路81を介して各部へ電力が供給される。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る投影装置1の出荷検査時に行う動作概略を示すフローチャートである。図4は、本実施の形態に係る投影装置1の実際の使用時に行う動作概略を示すフローチャートである。以下、フローに従い説明する。
【0037】
まず、図3を参照して、出荷検査時の動作を説明する。前処理として、操作キー部72のパワースイッチをオンにすることで、予めシステムの初期化を行っておく。システムの初期化とは、例えば、各部の通電及び動作可能状態(故障の有無)の確認及び、投影光学系30を最適なピント位置に移動させるものである。
【0038】
まず、ステップS101で、照明光源制御部15から所定の駆動電流(又はデューティ比)を照明光源10に供給し、所定光量(但し、赤、青、緑の光量比が略1:1:1のカラーバランス)で三色LEDを発光させる。すると、かかる照明光は、反射型液晶素子20で変調され、メモリ73に記憶された基準画像(ここでは一様な白色画像)が、基準スクリーン(ここでは一様な白色スクリーン)に投影される。
【0039】
ステップS102で、撮像素子50が基準スクリーンに投影された基準画像を撮像し、撮像信号に変換して出力する。かかる撮像信号を、撮像素子制御部及び撮像信号処理部55が処理して、カラー信号値としてR値、G値、B値を出力する。
【0040】
続くステップS103で、制御部70は、R値、G値、B値の強度が略1:1:1であるか否かを判断する。R値、G値、B値の強度が略1:1:1でないと判断した場合、ステップS104で、初期のカラー信号値の色バランスが1:1:1に近づくように、制御部70は各色LEDの光量バランス(駆動電流比又はデューティ比の割合)を変更するので、再びステップS102で、撮像素子50が基準スクリーンに投影された画像を撮像し、新たなR値、G値、B値を出力する。
【0041】
一方、ステップS103で、R値、G値、B値の強度が略1:1:1であると判断した場合、ステップS105で、制御部70は、最終的に設定された各色LEDの光量バランス(駆動電流比及びデューティ比の割合)又は個々の設定値を、不図示のEEPROMに記憶する。以上で、出荷検査時の動作が終了する。
【0042】
次に、図4を参照して、実際に使用する投影面60(使用スクリーン)に画像を投影する動作について説明する。まず、ステップS201で、操作キー部72のパワースイッチをオンにすることで、システムの初期化を行う。システムの初期化とは、上述した動作の他、EEPROMから記憶された各色LEDの光量バランス(駆動電流比及びデューティ比の割合)又は個々の設定値を読み出して、かかる光量バランスになるよう照明光源10を設定することを含む。
【0043】
続くステップS202で、照明光源制御部15から規定の駆動電流(又はデューティ比)を照明光源10に供給し、前記光量バランスで三色LEDを発光させる。すると、かかる照明光は、反射型液晶素子20で変調され、メモリ73に記憶された前記基準画像が投影面60に投影される。
【0044】
更にステップS203で、撮像素子50が投影面60に投影された基準画像を撮像し、撮像信号に変換して出力する。かかる撮像信号を、撮像素子制御部及び撮像信号処理部55が処理して、カラー信号値としてR値、G値、B値を出力する。
【0045】
続くステップS204で、制御部70は、R値、G値、B値の全画素の平均値をそれぞれ求める。例えば、ここでは8ビットの信号で、カラー信号としてのR値の平均値=220,カラー信号としてのG値の平均値=220,カラー信号としてのB値の平均値=202であったものとすると、そのトータル平均値AVEは214になる。これは投影面60が黄ばんでいる場合に得られる実際のカラー信号値の例である。
【0046】
ステップS205で、制御部70は、R値、G値、B値の最大値・最小値を求める。この例では、最大値MAXはR値、G値の平均値=220であり、最小値MINはB値の平均値=202である。更にステップS206で、制御部70は、(MAX−AVE)と(AVE−MIN)が、それぞれ(AVE±3%)の範囲内に収まるか否か判断する。この例の場合、(MAX−AVE)=6であるので、AVE=214に対して+2.8%となって+3%以内である。一方、(AVE−MIN)=12であるので、AVE=214に対し−5.6%となって−3%を超える。
【0047】
(MAX−AVE)と(AVE−MIN)が、それぞれ(AVE±3%)の範囲内に収まらないと判断すれば、ステップS207で、制御部70が、(MAX−AVE)と(AVE−MIN)が、それぞれ(AVE±3%)の範囲内に収まるように、照明光源10の各色の光量バランス(即ちカラーバランス)を調整する。上述の例では、平均より+3%以内である赤色光及び緑色光は調整しないが、平均より−3%を超える青色光は調整する。より具体的には、青色光の光量又はデューティ比(発光時間)を214/202×100=106%に調整するが、赤色光及び緑色光の光量及びデューティ比(発光時間)は100%のままとすることで、実際のカラー信号値のバランスが前記所定値に近づくようにする。尚、全色光についてAVEに近づくように調整しても良い。
【0048】
その後、再びステップS203で、撮像素子50が基準投影面に投影された基準画像を撮像し、新たなR値、G値、B値を出力し、ステップS204で、制御部70は、カラー信号としてのR値、G値、B値の平均値をそれぞれ求め、ステップS205で、カラー信号としてのR値、G値、B値の最大値・最小値を求め、ステップS206で、(MAX−AVE)と(AVE−MIN)が、それぞれ(AVE±3%)の範囲内に収まるか否か判断する。
【0049】
一方、(MAX−AVE)と(AVE−MIN)が、それぞれ(AVE±3%)の範囲内に収まると判断した場合、ステップS208で、反射型液晶素子20は、光量調整用画像表示を消去し、フラッシュメモリ78から選択して読み出した投影用画像の表示に切り替える。これにより、投影面60には、最初の投影から、投影面60の色に応じて調整された投影画像が得られる。
【0050】
その後、ステップS209で、操作キー部72のパワースイッチがオフの場合には、制御部70が投影を終了するが、そうでなければ、ステップS208へと戻り、画像を投影し続ける。
【符号の説明】
【0051】
1 投影装置
10 照明光源
11 集光光学系
12 偏光変換素子
15 照明光源制御部
20 反射型液晶素子
41 λ/4波長板
25 反射型液晶素子駆動制御部
30 投影光学系
31 アクチュエータ
32 光学系位置検知部
35 アクチュエータ駆動制御部
60 投影面
70 制御部(CPU)
72 操作キー部
73 メモリ
74 外部インタフェース
75 リモコン制御部及び通信部
76 リモコン
77 加速度センサ
78 フラッシュメモリ
80 電池
81 電源回路
PBS 偏光ビームスプリッタ
R 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源と、
前記照明光源から照射される光の照度を制御する照明制御部と、
前記照明光源からの光を画像信号に基づいて変調して反射させる反射型液晶素子と、
所定の偏光方向の光を反射させる偏光ビームスプリッタと、
光軸方向に移動可能となされ、前記反射型液晶素子により反射させられた変調光を投影する投影光学系と、
前記投影光学系を介して投影された投影画像のカラー信号値を受光する撮像素子と、
前記照明光源のカラーバランスに関する値を記憶するメモリと、を有し、
初期状態で、前記照明光源から照射された光を用いて前記反射型液晶素子で変調された基準画像を基準スクリーンに投影し、前記基準スクリーンに投影された基準画像を前記撮像素子で撮像したときに、前記撮像素子から出力された初期のカラー信号値のバランスが所定値になるよう、前記照明光源のカラーバランスを初期調整し、
実際に画像を投影される使用スクリーンに、前記照明光源から照射された光を用いて、初期調整がなされた前記反射型液晶素子で変調された基準画像を投影し、前記使用スクリーンに投影された基準画像を前記撮像素子で撮像し、前記撮像素子から出力された実際のカラー信号値のバランスが前記所定値に近づくよう、前記照明光源のカラーバランスを調整することを特徴とする投影装置。
【請求項2】
基準画像とは、一様な白色画像であることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記撮像素子は、RGBフィルタを有し、前記カラー信号値とは、R値、G値、B値からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記所定値とは、R値とG値とB値とが略1:1:1であることを特徴とする請求項3に記載の投影装置。
【請求項5】
前記撮像素子は、前記反射型液晶素子と共役の位置に配置され、前記投影された画像を前記投影光学系及び前記偏光ビームスプリッタを介して撮像することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の投影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−68364(P2012−68364A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211988(P2010−211988)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】