説明

抗炎及び抗アレルギー活性を持つ文珠蘭抽出物を含有する組成物

本発明は、アレルギー及び炎症疾患を治療及び軽減するのに効果的な有効性分である文珠蘭抽出物(Crinum asiaticum LINNE)を含有する化粧料及び塗布性(topical)組成物に関する。
文珠蘭抽出物は、塗布性製剤、又は、化粧料組成物の剤形としてアレルギー及び炎症疾患の軽減又は治療において非常に効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎及び抗アレルギー活性を持つ文珠蘭抽出物(Crinum asiaticum Linne)を含有する化粧料及び塗布(topical)組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギーは、免疫不均衡による過敏反応の一種で、異物質(抗原)に対する特異な反応を表す生化学的現状であり、疾患としては、過敏症、アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、及び、じんましん、などがある。全世界人口の10〜40%が多様なアレルギー疾患を病んでおり、現在、該当疾患は、増加している。
【0003】
正常な人体の兔疫体系は、細胞性免疫を調節するTh1反応と、体液性免疫を調節するTh2反応とが均衡をなしているが、アレルギー患者では、Th2反応が過剰となりながら、このような均衡が崩れ、血中のIgE(グロブリンE)の過剰増加やヒスタミンの過剰分泌などの多様な異常反応を招く。抗原に露出されると、T-リンパ球に伝えられ、インターロイキン4、5、6のようなサイトカインと、顆粒区-マクロファージ群の刺激因子(GM-CSF)とを放出する。サイトカインは、リンパ線でB-リンパ球と反応し、B-リンパ球は、血漿細胞を自体変形して、IgE抗体を分泌する。IgE抗体は、肥満細胞及び好塩基性細胞に付着され、当該細胞が、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンB4、C4、D4、E4、血小板活性因子、プロスタグランジンD、インターロイキン1、3、4、5、6、GM-CSF、腫瘍怪死因子-a、ブラジキニン、などを放出させて、炎症反応を媒介する。
【0004】
アレルギーを治療又は予防するためには、過剰なTh2反応は抑制し、Th1反応は、効率的に誘導して、T免疫反応を安定化しなければならなく、IgEを過度に生産するB細胞に直間接的に作用して、IgEにより媒介される炎症反応を遮断しなければならないと知られている(J Allergy Clin ImmuNOl. 2005 Mar;115(3):459-65、J Allergy Clin Immunol. 2004 May;113(5):983-6)。
【0005】
紫外線(UV)や活性酸素、ガラスラジカルなどの酸化的ストレスなどは、炎症性因子を活性化し、活性化された炎症性因子は、各種疾病及び皮膚の老化を起こす。炎症の特徴の一つは、プロスタグランジンを生成するシクロオキシゲナーゼ(COX)及びロイコトリエンを生成する5-リポキシゲナーゼ経路により代謝されるアラキドン酸(Arachidonic acid)による酸素添加反応の増加である。したがって、シクロオキシゲナーゼとリポキシゲナーゼとは、抗炎症薬物の主要な標的であった。2つのシクロオキシゲナーゼ酵素の一つであるシクロオキシゲナーゼ-2酵素は、炎症進行に重要な役割を果たし、シクロオキシゲナーゼ-2酵素の抑制は、シクロオキシゲナーゼ-1の抑制による非可逆的である副作用なしに、抗炎症薬物を開発できる効果的な戦略である(Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2003 Nov;69(5):329-37、Neurosurgery. 2005 Mar;56(3):590-604)。
【0006】
強力な炎症媒介物であるナイトリックオキサイド(Nitric oxide、NO)は、NO合成酵素(NOS)によりL-アルギニンから生成され、UVのようなストレスやエンドトキシン、サイトカインにより、多くの種類の細胞で発生する。このような炎症刺激は、細胞内の誘導性NOS蛋白質の発現を増加させ、NOS蛋白質によってNOが生産されて大食細胞を活性化し、炎症反応を起こす(Biochem、Pharmacol, 42, pp1849-1857, 1991)。
【0007】
インターロイキン-8(IL-8)は、単核細胞、線維芽細胞、内皮細胞及び角質細胞をはじめとする幾つかの細胞類型により生成される走化性因子である。内皮細胞からのこれの生成は、インターロイキン-1、腫瘍怪死因子(Tumor Necrosis Factor)、又は、リポポリサッカライドにより誘導される。IL-8は、正常及びアトピー性個体両方の好塩基性細胞からのヒスタミン放出を誘導するだけでなく、好中球からリソソーム酵素放出及び呼吸爆発を誘導する。また、IL-8は、蛋白質の新生の合成無しに、好中球でMac-1(CD11b/CD18)の表面発現を増加させ、これは、血管の内皮細胞に対する好中球の付着を増加させるのに寄与できる。
【0008】
炎症及びアレルギー疾病を治療するための伝統的に有用な作用剤は、4つのカテゴリーに分類されるが、例えば、(1)ステロイド性抗炎症作用剤;(2)非-ステロイド性抗炎症作用剤(NSAID、non-steroidal anti-inflammatory drug);(3)抗ヒスタミン制;(4)抗ロイコトリエン(anti-leukotrienes)である。これらのうち、前者の(1)及び(2)の作用剤は、これらの強力な免疫抑制活性に関わらず、長期間治療時に、嘔吐、発育不振、及び、骨多孔症などの副作用が発生する。さらに、後者の(3)及び(4)の作用剤は、一時的な症状緩和の活性にも関わらず、眠気、目まいなどの多くの副作用を持つ。
したがって、これまで伝統的に使用された薬物と比べて、副作用の少ないアレルギー及び炎症疾患を軽減し、治療するのに効果的な薬物と化粧品とを開発するのは、依然として必要である。
【0009】
文珠蘭(Crinum asiaticum LINNE var. japonicum Baker)は、大韓民国、熱帯アジアの国、日本国、北アメリカなどの海岸等地に分布している。文珠蘭の根の抽出物は、アルカロイド(alkaloids)、アミノ酸などを含有していると報告されている(Chung B. Set al, Dohaehyangyakdaesajeon、youngrimsa、2nd Ed. P197-198, 199)。
しかしながら、前記従来技術と参考文献とに記載された公開内容のどこにも、強力な抗アレルギー及び抗炎症効果を表す文珠蘭抽出物の予防、又は、症状緩和の効果について開示も報告もされていない。
【0010】
済州道に分布した文珠蘭抽出物の抗アレルギー及び抗炎症効果を調べるために、本発明の発明者らは、iNOS及びCOX2遺伝子発現の抑制試験、PGE2、IL-6、及びIL-8蛋白質の生産試験、マスト細胞の脱顆粒のような試験管内の試験を実施したし、抗アレルギー試験、カラゲニン誘導ラット足浮腫抑制試験(carageenan-induced rat-paw-edema inhibition test)、及び、パッチテストのような臨床実験と共に、アラキドン酸誘導マウス-耳-浮腫(arachidonic acid induced mouse-ear-edema)試験などの動物モデル実験を集中的に行った。
本発明者らは、実験の結果、文珠蘭抽出物が、アレルギー及び炎症疾患の両方を強力に抑制することを確認し、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、これまでアレルギー及び炎症疾患を軽減し、予防し、治療するための効果的な薬物を開発すべき必要が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それで、本発明の目的は、アレルギー及び炎症疾患を軽減し、治療するのに効果的な抗炎及び抗アレルギー効果のある文珠蘭(Crinum asiaticum LINNE var. japonicum Baker)の抽出物を有効性分として含有する塗布性(topical)組成物を提供することにある。
【0013】
本発明で開示された用語“抽出物”は、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのような炭素数1から4の低級アルキルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチレングリコール、エーテル(ether)、又は、クロロホルムから選ばれた少なくとも一つの溶媒、望ましくは、水、メタノール、及びエタノール、より望ましくは、エタノールとして抽出され得る抽出物を含む。
【0014】
本発明で開示された用語“文珠蘭”は、大韓民国、熱帯アジアの国、日本国、北アメリカなどに、望ましくは、大韓民国に、より望ましくは、大韓民国の済州道に分布したり、裁培された全ての種を含む。
【0015】
本発明で開示された用語“アレルギー疾病”は、過敏症(anaphylaxis)、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)、喘息(asthma)、食品アレルギー、及び、じんましん(urticaria)を含み、望ましくは、じんましんを含み、用語“炎症疾患(inflammation disease)”は、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎(contact dermatitis)、新生児頭部皮膚炎(cradle cap)、おむつ皮膚炎(diaper rash)、風焼け(windburn)、にきび(pimple)、乾癬(psoriasis)、湿疹(eczema)から選ばれた皮膚疾患を含み、望ましくは、皮膚炎、乾癬、湿疹を含む。
【0016】
本発明の抽出物は、下記の望ましい具現例によって製造することができる。
【0017】
本発明において、当該抽出物は、次のように製造することができる;
例えば、文珠蘭の乾いた根又は幹を小さな断片に切断する。断片は、その重量の約1から30倍、望ましくは、約3から10倍の体積の蒸溜水、メタノール、又は、エタノールのようなアルコール、又は、その混合物、望ましくは、エタノールと混合され;10から120℃、望ましくは、15から80℃の抽出温度で、2から4回、約0.5時間から10日、望ましくは、3時間から7日間、超音波、還流、又は、伝統抽出方法により、望ましくは、還流抽出方法により抽出することができる。また、当該抽出液は、濃縮でき、その後、目的抽出物を得るために、凍結乾燥法、又は、真空乾燥法により乾燥することができる。
【0018】
本発明の他の目的は、当該文珠蘭の抽出物を製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の様態によれば、本発明は、文珠蘭抽出物及び薬学的に許容可能なその担体の有効量を哺乳動物に塗布して投与することを含む哺乳動物のアレルギー及び炎症疾患を軽減し、治療する方法を提供する。
【0020】
本発明の他の様態によれば、本発明は、有効な構成要素として人間を含む哺乳動物でアレルギー及び炎症疾患を軽減し、治療するのに使用される塗布性製剤の製造において、文珠蘭抽出物の用途を提供する。
【0021】
本発明の組成物は、使用方法によって、通常の担体、補助剤(adjuvant)、又は、希釈剤(diluent)を付加的に含むことができる。当該担体は、適用方法及び用法によって適切な材料を使用することが望ましいが、これに限定されない。適切な希釈剤は、レミングトン薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Science)テキストに羅列されている(Mack Publishing co、Easton PA)。
【0022】
以下、次の製剤化方法及び添加剤は、単純に例示的なものであり、本発明を制限するものではない。
【0023】
本発明に係る組成物は、薬学的に許容可能な担体、補助剤(adjuvant)、又は、希釈剤(diluent)、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール(erythritol)、マルチトール、澱粉、アカシアゴム(acacia rubber)、アルジネート、ゼラチン、カルシウムフォスフェイト、カルシウムシリケート(calcium silicate)、セルロース、メチルセルロース、ポリビニールピロリドン(polyvinyl pyrolidone)、水、メチルヒドロキシ安息香酸(methylhydroxy benzoate)、プロピルヒドロキシ安息香酸、タルク(talc)、マグネシウムステアレート(magnesium stearate)、又は、ミネラルオイルを含有する塗布性組成物として提供されることができる。また、当該製剤は、付加的に、フィルター、抗血液凝固薬剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、保湿剤、及び、その類似物質を含むことができる。本発明の組成物は、当業系によく知られている公知の技術を用いて患者に投与した後、活性成分の迅速、持続的、又は、遅れた排出を提供するために製剤化できる。
【0024】
塗布性投与のために、ボン発病の抽出物は、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、バルム、パッチ、ペースト、スプレー溶液、エアロゾル、又は、その類似物質を含む軟膏剤又はクリーム剤の形態で製剤化できる。
【0025】
本発明の組成物は、薬学的投与の形態において、その薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができ、単独に使用されたり、薬学的に活性を持つ他の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0026】
本発明の抽出物の望ましい投与量又は成分は、患者の体重と状態、症状、薬物形態、投与経路、及び投与期間によって変わることができ、当業者により適宜に選択されることができる。しかしながら、望ましい効果を得るために、本発明の抽出物を、0.01-10g/kg範囲の容量(weight/day)に塗布性投与することが一般的であり、望ましくは、1から5g/kg範囲の容量(weight/day)に塗布性投与することが良い。投与は、一日に一回、又は、何回かに分けて投与することができる。組成物と関連して、本発明の抽出物は、組成物の総重量に対して、当該抽出物を、0.01から80%重量百分率、望ましくは、0.5から50%重量百分率に存在することができる。
【0027】
本発明者らは、本発明の組成物の抗アレルギー及び抗炎症効果が強力であることを、iNOS及びCOX2遺伝子発現の抑制試験、PGE2、IL-6、及びIL-8蛋白質の生産試験、マスト細胞の脱顆粒のような試験管内試験、抗アレルギー試験、カラゲニン誘導ラット足浮腫抑制試験(carageenan-induced rat-paw-edema inhibition test)、及びアラキドン酸誘導マウス-耳-浮腫(arachinodonic acid induced mouse-ear-edema)試験などのような動物モデル試験、そして、パッチテスト(patch test)のような人間を対象とした臨床実験を通して証明した。これにより、前記本発明の組成物が、塗布性薬物、又は、化粧料組成物の形態で、アレルギー及び炎症疾患において非常に有用であることが確認できた。
【0028】
本発明の他の目的は、アレルギー及び炎症疾患を治療するために効果的な文珠蘭抽出物を有効性分として含む化粧料組成物を提供することにある。
【0029】
本発明の化粧料組成物は、組成物の総重量に対して、0.001-40%、より望ましくは、0.01-10%の重量を持つことが良い。他の成分は、当業系によく知られている通常の化粧料組成物の混合物であってもよい。
【0030】
当該組成物を含む化粧料剤形は、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、収斂剤(astringent)、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディークリーナー、トリートメント、ビューティーソリューション、及び、その類似剤形のような形態で製造することができる。
【0031】
以下、以下の剤形化方法及び添加剤は、単純な例示に過ぎず、本発明を制限しない。
【0032】
本発明の化粧料組成物は、水溶性ビタミンと、脂溶性ビタミンと、高分子ペプチドと、高分子多糖と、スフィンゴリピドと、海草エキスとからなる群から選ばれた付加的な添加物を含むことができる。
【0033】
水溶性ビタミンとしては、化粧品に配合できるものであれば、いずれのものであってもよいが、望ましくは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ビタミンB12、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、葉酸、ビタミンC、ビタミンHなどが挙げられ、チアミン塩酸塩(thiamin HCl salt)、アスコルビン酸ナトリウム塩(ascorbic acid Na salt)などのようなこれらの塩やアスコルビン酸-2-燐酸ナトリウム塩(ascorbic acid-2-phosphonic acid Na salt)、アスコルビン酸-2-燐酸マグネシウム塩(ascorbic acid-2-phosphonic acid Mg salt)などのような誘導体も本発明において使用可能な水溶性ビタミンに含まれる。水溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素法、又は、化学合成法などの通常の方法により収得できる。
【0034】
有用性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれのものであってもよいが、望ましくは、ビタミンA、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE(d1-アルファトコフェロール、d-アルファトコフェロール、d-d-アルファトコフェロール)などが挙げられ、パルミチンアスコルビン、ステアリン酸アスコルビン、ジパルミチン酸アスコルビン、酢酸dl-アルファトコフェロール、ニコチン酸dl-アルファトコフェロールビタミンE、DL-パントテニルアルコール、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルのようなそれらの誘導体など、本発明の実施例で使用された有用性ビタミンに含まれる。有用性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素、又は、化学合成法などの通常の方法により取り得る。
【0035】
高分子ペプチドとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれのものであってもよいが、望ましくは、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン、ケラチンなど、本発明の実施例で使用されたペプチドが挙げられる。
【0036】
高分子多糖としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれのものであってもよいが、望ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、キサンチンガム(xanthin gum)、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、又は、その塩(ナトリウム塩等)などが挙げられる。例えば、コンドロイチン硫酸、又は、その塩などは、通常、哺乳動物や魚類から精製して使用することができる。
【0037】
スフィンゴ脂質としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれのものであってもよいが、望ましくは、セラミド、フィトスフィンゴシン(pit-sphingosin)、スフィンゴ糖脂質とその類似物質などが挙げられる。スフィンゴ脂質は、通常、哺乳類、魚類、貝類、酵母、又は、植物などより、通常の方法により精製したり、化学合成法により取り得る。
【0038】
海草エキスとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれのものであってもよいが、望ましくは、褐藻エキス、紅藻エキス、緑藻エキス、及びその類似物質などが挙げられ、また、これらの海草エキスから精製されたカラギナン(carrageenan)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなども、本発明において使用される海草エキスに含まれる。海草エキスは、海草から通常の方法により精製して取り得る。
【0039】
本発明の化粧料組成物には、当該必須成分と共に、必要によって、通常、化粧料に配合される他の成分を配合してもよい。
【0040】
他に添加しても良い配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷却剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0041】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコン系油脂、ふっ素系油脂、動物油脂、植物油脂などが挙げられる。
【0042】
エステル系油脂としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシルグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、マレイン酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルなどのエステル系などが挙げられる。
【0043】
炭化水素系油脂としては、スクアレン、流動パラフィン、アルファ-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブデン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどの炭化水素系油脂などが挙げられる。
【0044】
シリコン系油脂としては、ポリメチルシリコン、メチルフェニルシリコン、メチルシクロポリシロキ酸、オクタメチルポリシロキ酸、デカメチルポリシロキ酸、ドデカメチルシクロシロキ酸、ジメチルシロキ酸・メチルセチルオキシシロキ酸共重合体、ジメチルシロキ酸・メチルステアロキシシロキ酸共重合体、アルキル変性シリコン油、アミノ変性シリコン油などが挙げられる。
【0045】
ふっ素系油脂としては、パーフルオロポリエーテルなどが挙げられる。
【0046】
動物又は植物油脂としては、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、胡麻油、ぬか油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、油彩油、杏仁油、パーム核油、パーム油、蓖麻子油、ひまわり油、葡萄種子油、綿実油、ヤシ油、ククイナット油、小麦胚芽油、米胚芽油、シーアバター、月見草、マーカーデイミアネット油(marker daymia nut oil)、メドホーム油(medo home oil)、卵黄油、牛脂、麻油、ミンク油、オレンジ・ラッフィー油(orange roughy oil)、ホホバ油(Jojoba oil)、カルナバーワックス(carnawa wax)、液状ラノリン、硬化蓖麻子油などの動物、又は、植物油脂が挙げられる。
【0047】
保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性分子保湿剤、水溶性高分子、脂溶性高分子などが挙げられる。
【0048】
水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボキシル酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロフィレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸、乳酸塩などが挙げられる。
【0049】
脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステロールエステルなどが挙げられる。
【0050】
水溶性高分子としては、カルボキシビニールポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンチンガム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キット酸、デキストリンなどが挙げられる。
【0051】
脂溶性高分子としては、ポリビニールピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニールピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、高分子シリコンなどが挙げられる。
【0052】
エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステルなどが挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0053】
非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化蓖麻子油、POE蓖麻子油、POE・POP(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコン、ラウリン酸アルカノルアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆燐脂質などが挙げられる。
【0054】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルファ-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキル燐酸塩、POEアルキル燐酸塩、アルキルアミド燐酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボキシル酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキル燐酸エステルなどが挙げられる。
【0055】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ブロム化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ブロム化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウムなどが挙げられる。
【0056】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボキシル酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型などの両性界面活性剤などが挙げられる。
【0057】
有機及び無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青(ultramarine)、酸化クロム、水産化クロム、カラミン及びこれらの複合体などの無機顔料;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロフィレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニール樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ふっ素樹脂、硅素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニールベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジなどの有機顔料;及び、これらの無機顔料と有機顔料との複合顔料;などが挙げられる。
【0058】
有機粉体としては、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸;セチル酸亜鉛ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウムなどのアルキル燐酸金属塩;N-ラウロイル-ベータ-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-ベータ-アラニン亜鉛、N-ラウロイルグリシンカルシウムなどのアシルアミノ酸多値金属塩;N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウムなどのアミドスルホン酸多値金属塩;N-エブシロン-ラウロイル-L-リジン、N-エブシロン-パルミトイルリジン、N-アルファ-パルミトイルオルニチン、N-アルファ-ラウロイルアルギニン、N-アルファ-硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニンなどのN-アシル塩基性アミノ酸;N-ラウロイルグリシルグリシンなどのN-アシルポリペプチド;アルファ-アミノカプリル酸、アルファ-アミノラウリン酸などのアルファ-アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロフィレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニールベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレンなどが挙げられる。
【0059】
紫外線吸収剤としては、パラアミノベンゾ酸、パラアミノベンゾ酸エチル、パラアミノベンゾ酸アミル、パラアミノベンゾ酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、桂皮酸ベンジル、パラメトキシ桂皮酸-2-エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、ジパラメトキシ桂皮酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピル桂皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾルなどが挙げられる。
【0060】
殺菌剤としては、ヒノキチオル、トリクロ酸、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロフィルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム、ウンデシレン酸などが挙げられる。
【0061】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソル、ガリク酸プロピル、エリソルビン酸などが挙げられる。
【0062】
pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、マレイン酸、マレイン酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、燐酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0063】
アルコールとしては、セチルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
【0064】
また、以外に添加してもよい配合成分及びその量は、これに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的及び効果を損傷させない範囲内で配合可能であるが、総重量に対して、望ましくは、0.01〜5%重量百分率、より望ましくは、0.01〜3%重量百分率で配合される。
【0065】
本発明の化粧料は、溶液、硫化物、粘性型混合物などの形状を取ることができる。
【0066】
水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴリピド、海草エキス、及び、前記成分の他、必要によって、添加できる成分らは、当業系において公開された文献に開示された通常の方法により得ることができる(Matsumoto Mithio;Manual for the development o f transdermal applied preparation. Seisi Press、1st Ed., 1985)。
【0067】
本発明の組成物は、有毒性と副作用がないので、安全に使用できる。
【0068】
本発明の組成物とその用途、及び、本発明の製造に対する多様な加工と変形をするものは、本発明の範囲や思想を逸脱せず、本発明が属する技術分野の当業者に自明である。
【発明の効果】
【0069】
本発明は、アレルギー及び炎症疾患を軽減し、治療するための有効量の活性成分として文珠蘭抽出物を含む化粧料組成物及び塗布性組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
本発明の組成物とその用途、及び、本発明の製造に対する多様な加工と変形をするものは、本発明の範囲や思想を逸脱せず、本発明が属する技術分野の当業者に自明である。
本発明を、下記実施例により詳細に説明する。但し、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が、以下の実施例及び実験例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0071】
実施例1.多様な抽出溶媒による抽出物製造
1-1.抽出物(1)
乾燥された文珠蘭の根600gを小さな断片にカットし、30%関数ブチレングリコール2.5kgに混合し、混合物を攪拌して、常温で7日間抽出した。その後、破片を除去するために、400メッシュろ過布でろ過し、フィルターペーパー(気孔サイズ0.45μm)でろ過して、抽出液(1)2.26kgを収得した(17.5g乾燥粉末、収得率2.92%)。
【0072】
1-2.抽出物(2)から抽出物(9)
実施例1-1と異なり、下記表1の溶媒を使用したことを除いて、前記実施例1-1と同じ方法により抽出したし、本発明の多様な文珠蘭抽出物(2)から抽出液(9)を収得した。
【0073】
【表1】

【0074】
1-3.抽出物(10)
乾燥された文珠蘭の幹1Kgを小さな断片にカットし、70%エタノール3kgに混合し、混合物を攪拌して、常温で7日間抽出した。その後、破片を除去するために、400メッシュろ過布でろ過し、フィルターペーパー(気孔サイズ0.45μm)でろ過して、抽出液(10)2.81kgを収得した(22.7g乾燥粉末、収得率3.78%)。
【0075】
1-4.抽出物(11)
文珠蘭の根600gを小さな断片にカットし、30%関数ブチレングリコール2.5kgに入れた。80℃で還流しながら3時間抽出した後、室温まで徐々に冷却した。その後、破片を除去するために、400メッシュろ過布でろ過し、フィルターペーパー(気孔サイズ0.45μm)でろ過して、抽出液(11)2.38kgを収得した(20.7g乾燥粉末、収得率3.45%)。
【0076】
1-5.抽出物(12)から抽出物(19)
実施例1-4と異なり、下記表2に記載された溶媒を使用したことを除いて、前記実施例1-4と同じ方法により抽出したし、本発明の多様な文珠蘭抽出物(12)から抽出液(19)を収得した。
【0077】
【表2】

【0078】
1-6.抽出物(20)
乾燥された文珠蘭の幹1Kgを小さな断片にカットし、70%関数ブチレングリコール3kgに入れた。80℃で還流しながら3時間抽出した後、室温まで徐々に冷却した。その後、破片を除去するために、400メッシュろ過布でろ過し、フィルターペーパー(気孔サイズ0.45μm)でろ過して、抽出液(20)2.81kgを収得した(30.7g乾燥粉末、収得率5.12%)。
【0079】
1-7.抽出物(21)
乾燥された文珠蘭の根600gを小さな断片にカットし、100%エタノール2.5kgに入れて、70℃で還流しながら3時間抽出した後、室温まで徐々に冷却した。 冷却後、破片を除去するためにろ過し(Whatman No.5)、ろ過した液は、回転減圧濃縮器で濃縮し、凍結乾燥して、粉末状の抽出物(21)22.98g(収得率3.83%)を収得した。
【0080】
1-8.抽出物(22)から抽出物(24)
実施例1-7と異なり、下記表3に記載された溶媒を使用したことを除いて、前記実施例1-7と同じ方法により抽出したし、本発明の多様な文珠蘭抽出物(22)から抽出液(24)を収得した。
【0081】
【表3】

【0082】
1-9.抽出物(25)
乾燥された文珠蘭の幹1kgを小さな断片にカットし、70%エタノール3kgに入れて、70℃で還流しながら3時間抽出した後、室温まで徐々に冷却した。冷却後、破片を除去するためにろ過し(Whatman No.5)、ろ過した液は、回転減圧濃縮器で濃縮して、粉末状の抽出物(25)32.1g(収得率3.21%)を収得した。
【0083】
1-10.抽出物(26)
乾燥された文珠蘭の根600gを小さな断片にカットし、塩酸でpH3.5にて調節した100%エタノール2.5kgに入れて、70℃で還流しながら3時間抽出した後、室温まで徐々に冷却した。冷却後、破片を除去するためにろ過し(Whatman No.5)、ろ過した液は、回転減圧濃縮器で濃縮して、粉末状の抽出物31.44g(収得率5.24%)を収得した。
【0084】
1-11.抽出物(27)から抽出物(29)
実施例1-10と異なり、下記表4に記載された溶媒を使用したことを除いて、前記実施例1-10と同じ方法により抽出したし、本発明の多様な文珠蘭抽出物(27)から抽出液(29)を収得した。
【0085】
【表4】

【0086】
実施例2.スキンローションの製造
前記実施例1-10の抽出物(26)を含む本発明のスキンローション組成物(実施例2)及びこれと比較するための本発明の抽出物を含まない比較組成物(比較実施例2)を、下記表5に開示された量により製造した。前記2つの組成物を、以下テストした。
【0087】
【表5】

【0088】
実施例3.栄養ローション組成物の製造
前記実施例1-10の抽出物(26)を含む本発明の栄養ローション組成物及びこれと比較するための本発明の抽出物を含まない比較栄養ローション組成物(比較実施例3)を、下記表6に開示された量により製造した。前記2つの組成物を、以下テストした。
【0089】
【表6】

【0090】
実施例4.栄養クリームの製造
前記実施例1-10の抽出物(26)を含む本発明の栄養クリーム組成物及びこれと比較するための本発明の抽出物を含まない比較栄養クリーム組成物(比較実施例4)を、記表7に開示された量により製造した。前記2つの組成物を、以下テストした。
【0091】
【表7】

【0092】
実施例5.マッサージクリームの製造
前記実施例1-10の抽出物(26)を含む本発明のマッサージクリーム組成物及びこれと比較するための本発明の抽出物を含まない比較マッサージクリーム組成物(比較実施例5)を、下記表8に開示された量により製造した。前記2つの組成物を、以下テストした。
【0093】
【表8】

【0094】
実施例6.栄養エッセンス
前記実施例1-10の抽出物(26)を含む本発明の栄養エッセンス組成物及びこれと比較するための本発明の抽出物を含まない比較栄養エッセンス組成物(比較実施例6)を、下記表9に開示された量により製造した。前記2つ組成物を、以下テストした。
【0095】
【表9】

【実施例2】
【0096】
実験例1.細胞毒性実験
本発明の抽出物に対する細胞毒性を調べるために、文献に公開された順序によって、下記実験を行った(J.Immunol. Methods、65(1-2), pp55-63、1983)。
人間の線維芽細胞(ATCC 2706)を、1×105cells/mlの濃度にして24ウエルプレートに接種した。培地は、胎児血10%を含有したDMEM(Dubelcco'S Modified Eagle Medium、BRL、USA)を使用した。接種から24時間後、血清のない培地に取り替えた。試験試料を濃度別に添加した後、1日間、37℃、5%CO2インキュベーターで培養した。培養が終わった後、上澄み液を除去し、さらに、5%PBS(phosphate buffered saline)200ulずつ加えて洗浄した。MTT溶液をウエル当たり1.0mlずつ加えた後、4時間後にMTTを除去した。DMSOをウエル当たり1.0mlずつ加えた後、570nmで吸光度を測定した。細胞生存率は、下記の数1により計算し、計算された結果を、下記表10に表した。
【0097】
[数1]
細胞生存率(%)=[試料OD570λ値/対照区OD570λ値]×100
【0098】
【表10】

【0099】
前記表10において、抽出物(26)は、100μg/mlまでは、細胞毒性が全くないし、むしろ、100μg/mlでは、細胞増殖効果が現れた。しかしながら、200μg/mlの濃度では、毒性が見られ始めた。
【0100】
実験例2.抗アレルギー実験
本発明の抽出物の抗アレルギー効果を決定するために、文献に公開された順序によって、下記実験を行った(Planta. Med. 64, pp-578, 1998)。
RBL-2H3肥満細胞(mast cell)を15%FBS-MEM(Fetal Bovine Serum、ウシ胎仔血清、Modified Eagle Mediu、ギブコ社<Givco Ltd.>)培地に1×105細胞を懸濁させ、24ウエルプレートに接種して、付着させた。0.5μg/mlのIgEを添加して、一日間反応させ、24時間培養した。その後、培地を捨てて、シラガニアン緩衝液I(siraganian buffer、pH7.2、119mM NaCl、5mM KCl、0.4mM MgCl2、25mM PIPES、40mM NaOH)0.5mlで洗浄した後、シラガニアン緩衝液II(pH7.2、シラガニアンIに5.6mMグルコース、1mM CaCl2、0.1%BSA添加)を160μl添加して、37℃で10分間反応させた。試料を20μl処理して、10分間37℃で反応させた。その後、1μg/mlDNP-BSAを20μl処理して、30分間37℃で反応させる。反応溶液をe-チューブに移して遠心分離を行った後、上澄み液20μlと、気質の1mMρ-ニトロフェニル-N-アセチル-β-D-グルコサミド20μlとを、96ウエルプレートに添加して、37℃で1時間反応させる。停止試薬(0.1M Na2CO3)200μlと処理して、405nmで吸光度を測定し、抗アレルギー効果は、下記数2により計算した後、その結果は、表11に表した。
【0101】
[数2]
抗アレルギー効果(%)=[試料OD405λ値-BlankOD405λ値-SpontaneousOD405λ値/対照区OD405λ値-BlankOD405λ値-SpontaneousOD405λ値]×100
(対照区:試料を添加していない実験群、Blank:試料と気質のみを添加した実験群、Spontaneous:DNP-IgEと試料とを添加していない実験群)
【0102】
【表11】

【0103】
前記表11でのように、抽出物(26)は、25μg/mlの濃度で、既に50%以上抑制したし、200μg/mlの濃度で完壁に肥満細胞の脱顆粒を阻害した。
【0104】
実験例3.iNOS活性阻害実験
本発明の抽出物の抗炎症活性を決定するために、文献に公開された順序によって、iNOS抑制テストをRaw264.7細胞を用いて行った(Anal.Biochem. 126, pp131-138, 1982)。
フェノール-レッド(phenol-red)が入っていない10%FBS-DMEM(Fetal Bovine Seru、ウシ胎仔血清、Dulbecco's Modified Eagle Medium, ギブコ社)培地に8×105のRaw264.7細胞を懸濁させ、24ウエルプレートに接種して付着させた。接種から一日後、試料を濃度別に処理して、18時間培養した後、1μg/mlのリポ多糖体(LPS、lipopolysaccharide、シグマ社)を処理して、24時間培養した。その後、上澄み液を回収して、96ウエルプレートに入れて、グリース試薬(Griess reagent、シグマ社)を同量添加して、常温で10分間軽く振って、570nmで吸光度を測定した。ソジウムナイトリートを標準品として検量線を作成し、各試料を培養中のナイトリックオキサイド生成量を求めた。リポ多糖体を処理した群のナイトリックオキサイドの生成量を100%にして、各試料の%収得率を求め、その結果は、表12に表した。
【0105】
【表12】

前記表12でのように、本発明の抽出物(26)は、iNOSの活性を濃度依存的に阻害させたし、200μg/mlの濃度では、対照区(培地だけ処理)レベルに落ちることが観察できた。
【0106】
実験例4.iNOS及びCOX2遺伝子発現阻害実験
本発明の抽出物の抗炎症活性を決定するために、文献に公開された順序によって、iNOS抑制テスト及びCOX2遺伝子発現を、Raw264.7細胞を用いて行った(J.Agri. Food Chem., 52、pp71-78, 2004)。
マウスの大食細胞であるRaw264.7細胞にリポ多糖体を処理して、人為的にCOX2(Cyclooxygenase2)遺伝子及びiNOS遺伝子の発現を増加させた後、試料による阻害能を、RT-PCR方法を用いて測定した。
10%FBS-DMEM(Fetal Bovine Serum、ウシ胎仔血清、Dulbecco's Modified Eagle Medium、ギブコ社)培地に8×105細胞を懸濁させ、100mmディッシュ(dish)に接種して付着させた。一日後、試料を濃度別に処理して、18時間培養した後、1μg/mlのリポ多糖体(LPS、lipopolysaccharide、シグマ社)を処理して、8時間培養した。細胞の培地を除去し、トライゾル(Trizol、インビトロジェン社)1mlを添加して、 インビトロジェン社のRNA分離法によってRNAを分離し、260nmで精良で逆転写重合反応(Reverse transcription-polymerase chain reaction)を施した。逆転写重合反応は、次の条件で行った:
a)キット:オール・イン・ワン逆転写重合反応キット(All-in-one RT-PCR kit、スーパーバイオ社)
b)iNOSプリマー
センス:5'-CAGTTCTGCGCCTTTGCTCAT-3'
アンチセンス:5'-GGTGGTGCGGCTGGACTTT-3'
(反応条件:50℃で30分間逆転写後、96℃で3分間逆転写酵素を不活性化、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分間、32回(cycle)でPCR反応/分繰り返し条件、例えば、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分間)
c)COX2プリマー
センス: 5'-CTGAAGCCCACCCCAAAC-3'
アンチセンス: 5'-AACCCAGGTCCTCGCTTATG-3'
(反応条件:50℃で30分間逆転写後、96℃で3分間逆転写酵素を不活性化、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分間、32回(cycle)で重合反応/分繰り返し条件、例えば、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分間)
d)アクチン(Actin)プリマー
センス: 5'-GAGACCTTCAACACCCCAGCC-3'
アンチセンス: 5'-GGCCATCTCTTGCTCGAAGTC-3'
(反応条件:50℃で30分間逆転写後、96℃で3分間逆転写酵素を不活性化、94℃で1分、62℃で1分、72℃で1分間、22回(cycle)で重合反応/分繰り返し条件、例えば、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分間);
【0107】
【表13】

【0108】
前記表13でのように、抽出物(26)を含んでいる試料は、iNOSとCOX2遺伝子の発現を、100μg/mlの濃度で対照区レベルに減少させた。沿って本発明の抽出物は、強力な抗炎症活性を持つことを確認した。
【0109】
実験例5.PGE2、IL-6、IL-8生成抑制効果
本発明の抽出物の抗炎症活性を決定するために、PGE2、IL-6、及びIL-8の生産を線維芽細胞を使用して、アッセイキット生産者マニュアルに従って行った(PGE2:Assay Design Co. Ltd;ILs:Endogen Co. Lt)。
人間の線維芽細胞(ATCC 2706)を6ウエルプレートに1×105細胞の密度に接種して、24時間、37℃、5%CO2インキュベーターで培養した。培養後、H22 500uMをウエルに処理して、24時間、刺激を与えた後、試料を濃度別に処理して、48時間培養させた。培養液を回収してイライザ分析(ELISA assay)を施した。PGE2及びILsをエッセーキットの製作社のマニュアルに従って実験した。試料は、前記実施例1-5により製造された抽出物(17)を使用した。抑制効果は、下記数3によって計算し、結果は、表14に表した。
【0110】
[数3]
抑制効果={1-(試料-対照区)/(H22-対照区)}×100
【0111】
【表14】


前記表14でのように、本発明の抽出物(17)が、PGE2、IL-6、IL-8の生成量を強力に抑制した。IL-6の場合、100μg/mlの濃度で約90%の抑制効果を表したが、IL-8の場合は、既に25μg/mlの濃度で対照区より低い生成量を表して、完壁に抑制させることが確認できた。
【0112】
実験例6.人体貼布試験
皮膚刺激(skin irradiation)に対して、前記実施例2から6の比較組成物(2)-(6)と比較して、本発明の組成物(2)-(6)の軽減及び治療効果を決定するために、皮膚刺激成試験を以下のように行った。
健康な成人男、女100人を2つの群に分けて、背部位に各試料の一定量(0.2g)及び剤形及びソジウムラウリル硫酸塩(SLS)0.08%水溶液を24時間パッチした後、パッチを除去し、4時間経過した後、肉眼で皮膚状態変化を読み取って、刺激度を下記数5によって計算し、その結果を表15に表した。
【0113】
[数4]
刺激度={(+-)数×1}+{(+)数×2}+{(++)数×3}/被試験者数
【0114】
【表15】

【0115】
表15から分かるように、本発明の抽出物(26)を含む組成物は、添加されていない比較実施例と比べて、強力な刺激緩和効果を奏する。
【0116】
上述したように、本発明は、アレルギー及び炎症を軽減し、治療するのに有用な活性成分である文珠蘭の抽出物を含む塗布性組成物及び化粧料組成物を提供する。前記文珠蘭抽出物は、iNOS及びCOX2遺伝子発現の阻害効果、肥満細胞での脱顆粒の阻害効果、カラゲニン誘導ラット足浮腫抑制効果、アラキドン酸誘導マウス-耳-浮腫抑制効果、人間の線維芽細胞でのPGE2、IL-6、IL-8生成抑制効果及び皮膚刺激抑制効果が優れているので、前記抽出物は、炎症及びアレルギー誘発を予防したり、緩和させる塗布性及び化粧料組成物において非常に有用であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー及び炎症疾患を治療及び軽減するのに効果的な有効性分である文珠蘭抽出物(Crinum asiaticum LINNE)を含む塗布性組成物。
【請求項2】
前記抽出物は、水、炭素数1から4の低級アルキルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチレングリコール、エーテル(ether)、又は、クロロホルムから選ばれた少なくとも一つの溶媒で抽出されたことを特徴とする請求項1に記載の塗布性組成物。
【請求項3】
前記アレルギー疾患は、アトピー性皮膚炎、過敏症(anaphylaxis)、アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)、喘息(asthma)、食品アレルギー、又は、じんましん(urticaria)から選ばれたことを特徴とする請求項1に記載の塗布性組成物。
【請求項4】
前記炎症疾患は、皮膚炎(dermatitis)、にきび(pimple)、乾癬(psoriasis)、又は、湿疹(eczema)から選ばれたことを特徴とする請求項1に記載の塗布性組成物。
【請求項5】
有効な構成要素として人間を含む哺乳動物において、アレルギー及び炎症疾患を軽減し、治療するのに使用される塗布性製剤の製造における文珠蘭抽出物の用途。
【請求項6】
アレルギー及び炎症疾患を治療及び軽減するのに効果的な有効性分である文珠蘭抽出物(Crinum asiaticum LINNE)を含む化粧料組成物。
【請求項7】
前記抽出物は、水、炭素数1から4の低級アルキルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチレングリコール、エーテル(ether)、又は、クロロホルムから選ばれた少なくとも一つの溶媒で抽出されたことを特徴とする請求項6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記組成物は、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、収斂剤(astringent)、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディークリーナー、トリートメント、又は、ビューティーソリューションから選ばれたいずれかの剤形であることを特徴とする請求項6に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記組成物は、組成物の総重量に対し、0.01から10%の本発明の組成物を含むことを特徴とする請求項6に記載の化粧料組成物。

【公表番号】特表2008−544981(P2008−544981A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519182(P2008−519182)
【出願日】平成18年7月1日(2006.7.1)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002582
【国際公開番号】WO2007/004832
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(507422792)バイオランド エルティディ (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOLAND LTD.
【出願人】(507422806)チャームゾーン シーオー エルティディ (1)
【氏名又は名称原語表記】CHARMZONE CO., LTD
【Fターム(参考)】