説明

抗炎症性組成物および組み合わせ

本発明は、炎症性疾患の症候の防止、予防、治療または改善のための広域スペクトルケモカイン阻害剤(BSCI)、特に、アシルアミノラクタムクラスの医薬品のメンバーの使用に関する。特に、副作用プロフィール低減を伴って抗炎症効能改善を達成するために、1または複数のさらなる活性医薬品と組み合わされるBSCI薬からなる改良型組成物が記載され、特許請求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患の症候の防止、予防、治療または改善のための広域スペクトルケモカイン阻害剤(BSCI)、特に、アシルアミノラクタムクラスの医薬品のメンバーの使用に関する。特に、副作用プロフィール低減を伴って抗炎症効能改善を達成するために、1または複数のさらなる活性医薬品と組み合わされるBSCI薬からなる改良型組成物が記載され、特許請求される。
【背景技術】
【0002】
炎症は、生理学的な宿主防御の重要な構成成分である。種々の刺激(例えば感染または組織損傷)に応答して、免疫系は白血球細胞(白血球(leukocyte)としても知られている)を罹患部位に送り出す。これらの白血球は、その後、種々のメカニズム、例えば食作用、毒性中間体(例えばスーパーオキシドラジカル)の放出、ならびに特定細胞媒介性殺害を介して、侵襲中の病原体を攻撃する。ヒトを含めた哺乳類において、これらの防御メカニズムは生存に不可欠である。(HIVウイルスの感染後に起こるような)宿主防御の病理学的な崩壊は、最終的に致命的となる無数の日和見感染を引き起こす。
【0003】
しかしながら、時間的または空間的に不適当な炎症性応答が広範囲の疾患、例えば明白な白血球構成成分を伴う疾患(例えば、自己免疫疾患、喘息またはアテローム硬化症)において一役を果たすが、白血球が関与するとは伝統的に考えられていない疾患(例えば、骨粗鬆症またはアルツハイマー病)においても一役を果たすことが次第に明らかになっている。これらの疾患においては、白血球は、不適当なトリガー(例えば、自己免疫反応(この場合、抗体は、宿主タンパク質、あるいは蓄積された組織損傷、例えば持続的アポトーシス小体、細胞外コレステロール沈着または肺中の粒状物質をうかつにも認識する))により組織に補充される。補充された白血球はトリガーに対処できず(それらは、例えば、自己抗原を発現する全ての宿主細胞を除去または殺害できず、あるいは細胞のためには大きすぎる粒子を飲み込むことができない)、そしてさらに白血球を無益な仕事に補充する前炎症性サイトカインを継続的に放出するため、このような疾患はしばしば慢性になる。
【0004】
このような疾患の炎症性構成成分を処置することは、何十年もの間、全世界の製薬産業の主要な目標であり、広範な種々の有用な治療が開発されてきた。例としては、コルチコステロイド(コルチゾールの作用を模倣するよう意図された一連の天然、半合成および合成作用物質、例えばプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン等)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(非選択的またはcox−1選択的の両方、例えばインドメタシン、スルファサラジンおよびアスピリン、ならびにさらに近年では、cox−2選択的、例えばセレコキシブ)、ロイコトリエン遮断薬(例えばモンテルカスト)および抗TNF(例えば、修飾モノクローナル中和抗体、例えばインフリキシマブ(レミケードTM)およびアダリムマブ(フミラTM)、TNF受容体融合タンパク質、例えばエタネルセプト(エンブレルTM)、ならびに小分子TNF−α合成阻害剤、例えばサリドマイド)が挙げられる。
【0005】
しかしながら、不可避的に、このような作用物質は、病理学的炎症に及ぼす有益な作用を宿主防御に及ぼす望ましくない免疫抑制作用で相殺する。概して、薬剤の抗炎症作用が強いほど、意図せぬ免疫抑制副作用は大きい。例えばコルチコステロイドは、一般的に、シクロオキシゲナーゼ阻害剤のような他の薬剤より大きい抗炎症効能を示し、多数の重度の炎症性症状(例えば喘息、乾癬、湿疹、刺激性腸症候群等)のための第一選択療法である。しかしながら、この優れた抗炎症効能は、より大きな副作用負荷および用量と注意深く比較検討されなければならないし、患者に対する正味の利益を達成するために治療の持続期間が注意深く監視されなければならない。
【0006】
強力な抗炎症性薬剤、例えばコルチコステロイドによる副作用は、宿主防御メカニズムの免疫抑制に限定されない(長期高用量ステロイド療法を受けている患者におけるカンジダ症のような日和見感染増大を生じる)。免疫系の細胞は、宿主防御に直接関連しない多数のプロセスに補充されている:例えば、破骨細胞のような特殊化単球由来細胞が、種々の組織、例えば骨の組織恒常性において重要な役割を果たす。その結果、免疫細胞機能を妨げる作用物質は、このような組織に及ぼす望ましくない作用も有する。その結果、長期コルチコステロイド療法は、骨損失増大と、そして最終的には骨粗鬆症と関連づけられる。
【0007】
コルチコステロイドは、リガンド依存性転写因子活性を有する細胞内受容体である核ホルモン受容体ファミリーのタンパク質のメンバーを介してそれらの作用を媒介する。これらの受容体は、免疫系の細胞に限定されず、肝臓および膵臓を含めた組織の宿主における重要な遺伝子発現パターンを制御する。その結果、コルチコステロイド療法は、非免疫細胞に及ぼすそれらの作用に関連した副作用も有する。例えば、小児においては、長期コルチコステロイド療法(例えば、重症喘息の治療のため)は、下垂体からの成長ホルモン分泌抑制の結果としての成長遅滞と関連する。同様に、長期ステロイド療法は、膵臓からのインスリンおよびグルカゴン放出を妨害することにより、ならびにアルドステロンのような副腎ホルモンにより調節される電解質平衡を崩壊することにより、グルコース恒常性に影響を及ぼす。ステロイドのこれらの非免疫作用は、集合的に、HPA軸(視床下部、下垂体および副腎系の頭字語。これら3つの重要内分泌器官を結び付ける連結シグナル伝達ネットワークを反映する)の不安定化として言及される。HPA系の混乱状態は、通常は、ステロイド療法の用量および持続期間に関する制限因子であり、そうでなければ高度に有効であるクラスの抗炎症剤の臨床的有用性を有意に低減する。
【0008】
しかしながら、その他のより低刺激性の抗炎症剤が、副作用をいずれも完全に有さないというわけではない。白血球機能に及ぼす強力な作用がステロイドより低いシクロオキシゲナーゼ阻害剤のような作用物質は宿主防御に及ぼす免疫抑制作用を有さない(少なくとも、急性感染の危険が増大される程度ではない)が、それらは非免疫細胞により媒介される望ましくない作用を有する。非選択的またはcox−1選択的シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えばインドメタシン、スルファサラジンまたはアスピリンは腸粘膜に望ましくない作用を及ぼし、そしてステロイドと同様に、それは、関節リウマチのような疾患におけるこれらの薬剤の長期使用に関する制限因子である副作用である。初期の分子と比較して消化管性副作用低減を示すセレコキシブのようなより新しいcox−2選択的シクロオキシゲナーゼ阻害剤でさえ、目下、心臓発作およびその他の心臓血管性合併症の危険増大を生じるオフターゲット作用を有すると思われる。
【0009】
現存する抗炎症性薬剤は一般的に、効能と副作用との間に相殺作用を呈すると考えられるため、病理学的炎症に対してより大きい選択性を有し、それゆえ宿主防御に及ぼす低免疫抑制作用または非免疫細胞型に及ぼす望ましくない作用を有する異なる分子標的を用いて、より新規の作用物質を同定するための多数の試みがなされてきた。このような一アプローチは、ケモカインを標的にしてきた。
【0010】
ケモカインは、生理学的および病理学的状態の両方において白血球移動を調節するのに関連するインターロイキン8と同族であるシグナル伝達分子の大型ファミリーである。ケモカインシグナル伝達に関与する50より多くのリガンドおよび20の受容体を用いる場合、当該系は、骨髄から末梢に、次に二次リンパ系器官に戻る複雑な免疫調節プロセスを通して、白血球を向けるのに必要な情報密度を有する。しかしながら、ケモカイン系のこの複雑性が、最初に、ケモカイン受容体遮断により炎症性応答を変調する薬理学的アプローチの妨げとなった。それは、所定の炎症性疾患において治療的利益を生じるためにケモカイン受容体(単数または複数)が抑制されるべきであるか否かを確定することが困難であることを立証している。
【0011】
さらに近年、広域スペクトルのケモカインによるシグナル伝達を遮断する作用物質の一ファミリーが、同時に記載されている:Reckless et al., Biochem J. (1999) 340: 803-811。第一のこのような作用物質(「ペプチド3」と呼ばれるペプチド)は、他の化学誘引物質(例えば、fMLPまたはTGF−β)に応答した移動が変更されないままで、5つの異なるケモカインにより誘導される白血球移動を抑制することが見出された。このペプチド、ならびにその類似体、例えばNR58−3.14.3(すなわち配列番号1 c(DCys−DGln−DIle−DTrp−DLys−DGln−DLys−DPro−DAsp−DL−eu−DCys)−NH2)は、集合的に、「広域スペクトルケモカイン阻害剤」(BSCI)と呼ばれる。Grainger et al., Biochem. Pharm. 65 (2003) 1027-1034は、その後、BSCIが疾患の一連の動物モデルにおいて潜在的に有用な抗炎症活性を有することを示した。興味深いことに、多数のケモカインの同時遮断は急性または慢性毒性に明らかに関連するというわけではなく、このことは、このアプローチが、ステロイドと同様の利益を有するが、低減された副作用を伴う新規の抗炎症性薬剤を開発するための有用な戦略であり得ることを示唆する。
【0012】
さらに近年、ヒト製剤として用いるのにより適している一連の小分子BSCI、例えばアルカロイドヨヒンビン(参照:Grainger et al., Mini Rev Med Chem 5 (2005) 825-32;WO 00/42071)、ならびに一連のN置換3−アミノグルタルイミド(参照:Fox et al., J Med Chem 45 (2002) 360-370;WO 99/12968およびWO 00/42071)およびN置換アミノラクタム(参照:Fox et al., J Med Chem 48 (2005) 867-74;WO 05/053702)が開発された。
【0013】
安定な広域スペクトルケモカイン阻害剤(BSCI)のこのような一ファミリーは、7員モノラクタム環を有する3−アミノカプロラクタムである(例えば、WO 05/053702およびWO 06/134385参照)。しかしながら、さらなる有用な抗炎症性化合物も、異なる環サイズを有する他の3−アミノラクタムから生成されている(例えばWO 06/134385およびGB 07 15068.3参照)。ラクタム環に対する他の修飾、例えば異種原子およびビシクロラクタム環系の導入も、BSCI活性を有する化合物を生じる(例えばWO 06/018609およびWO 06/085096参照)。
【0014】
従来の開示は、任意の特有の用途のための適切なBSCIを選択することに関してかなりの情報を提供している。例えば、高い効力が必要とされる場合、(アシル−3−アミノラクタムのアシル側鎖中のα−または主要炭素原子での)2,2−二置換の導入は、2,2−二置換アシル基が開鎖(WO 05/053702参照)であれ、単環式(WO 06/134384参照)であれ、または多環式(WO 06/016152参照)であっても、急性炎症のin vitroおよびin vivoモデルの両方において、BSCIとしての効力のかなりの増大をもたらす。同様に、優れた薬物動態特性(in vivoでより高い曝露を生じる)が必要とされる場合、化合物3−(2’,2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンが、特に適していることが見出された(GB 07 15068.3)。
【0015】
BSCIは、抗炎症剤として用いるよう意図された他の薬剤と同様、副作用を有すると思われるが、しかし今まで、所定レベルの副作用に対して達成され得る抗炎症効力の程度は多数の他のクラスの薬剤に対するものより大きいようである。これは、少なくとも一部は、それらが一旦その標的組織に到達すると、白血球の活性化を弱めることに依るというよりむしろ、新生炎症の部位への白血球補充を標的にするBSCIの能力を反映していると思われる。
【0016】
BSCIは、炎症性構成成分を有する疾患を治療するために、少なくとも2つの別個の方法で用いられ得る、と想像される。以前に記載された(例えばGrainger & Reckless, Biochem Pharmacol 65 (2003) 1027-34;WO 05/053702;WO 06/134384;WO 06/016152;GB 07 15068.3参照)第一の適用では、その唯一の活性成分としてBSCI化合物を有する薬剤は、生理学的な炎症および免疫系プロセスとは対照的に、病理学的な炎症および免疫系プロセスに対するそれらの優れた選択性の結果として、現存する抗炎症性薬剤、例えばコルチコステロイドまたはシクロオキシゲナーゼ阻害剤の代替物として用いられる。
【発明の概要】
【0017】
本明細書中に記載され、特許請求される第二の適用では、BSCIは、第二の抗炎症性薬剤、例えばコルチコステロイドまたはシクロオキシゲナーゼ阻害剤と併用投与され、その結果、後者の薬剤は、より低い用量で送達されて、同一レベルの効能を達成するが、副作用プロフィールは大いに改善され得る。この第二のアプローチは、BSCI単独では効力が不十分である場合(アシルアミノラクタムBSCIは主に好中球およびマクロファージ補充に、ならびにB細胞に及ぼす作用をほとんどまたはまったく有さないある種のT細胞サブセットに影響を及ぼすため、アシルアミノラクタムBSCIは、高用量でさえ、コルチコステロイドより強力でない全身性抗炎症作用を有すると思われる)、あるいは第二の抗炎症剤がBSCIにより共有されない他の有益な特性を有する(例えば、シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、BSCIにより共有されない有用な抗侵害受容性作用を有する)場合、特に有用であり得る。
【0018】
薬剤設計および開発中に副作用の影響を制限するために採用され得る多数の一般的アプローチが存在する。一アプローチは、元の作用物質の意図された有益な作用を保持するが、より特異的であり、多様な分子相互作用および薬理学的影響が低い、完全に新規の組成物を設計しまたは同定することである。しかしながら、このアプローチは、いくつかの主な欠点を有する。第一に、一般的に、このような組成物を同定するための方法で成功したものはなく、副作用を伴う元の作用物質でさえ、同定することは難しく、時間を要し、そして経費がかかっていた。第二に、副作用のいくつかまたは全部が、標的有益作用に関与した同一分子相互作用(単数または複数)の直接または間接的な結果であり得る(白血球活性化の抑制という免疫抑制的結果は、このような作用の一例である)。これらの場合、副作用と関係なく有益作用のプロフィールを保持することはほとんど出来ない。
【0019】
従来、他の場合に首尾よく用いられてきた第二のアプローチは、1以上の活性成分を単一組成物中で組み合わせることであり、組み合わせは、単独で投与される構成成分より、または同一個体に、しかし異なる時点で投与される同じ2つの成分より優れた特性を有する。
【0020】
2つの異なる概念が、組み合わせアプローチの成功の基礎にある。1つの計画では、2つの成分が標的因子に及ぼす相乗的影響を示すよう、同様の作用を有するが作用の異なる分子メカニズムを有する2つの薬剤が組み合わされる。相乗的に作用する2つの成分を用いることにより、同一の有益作用を達成するために、顕著に低い用量の各成分を投与することが可能である。但し、副作用も相乗的増大を示さないならば(それらが標的作用とは異なる分子相互作用に依っているならば、それらは相乗的増大を示さないと思われる)、このような組成物は、副作用の負荷低減を伴って、同一の有益作用を生じると思われる。実際、たとえ2つの作用物質が付加的(相乗的とは対照的に)作用のみを示す場合でも、組み合わせ組成物は、依然として、同程度の有益作用に対して副作用低減を示す(しかし、2つの別個の治療というよりむしろ単一組成物としてそれらを投与することの利益は余り顕著でないと思われる)。単一調製物中に2つの活性成分を組み合わせるこのような組成物の多数の例が存在する。例えば、Plachetka等(米国特許第5,872,145号(1999年2月16日))は、片頭痛を治療するための、5−HT受容体アゴニストと、鎮痛薬、特にNSAIDとの組み合わせを発明した。最小有効用量より高い用量での望ましくない副作用をその各々が伴う高用量の単一作用物質を投与することに一般的に関連するレベルの効能を組み合わせが一緒になって達成するように、活性成分はともに、別々に各作用物質に関する最小有効用量と普通に考えられるものより低い用量で投与された。
【0021】
第二の計画では、併用が同時的に有効且つ安全であるよう、組成物中の第二の活性成分は、第一活性成分の副作用を阻止するよう意図される。このような組成物は余り一般的ではないが、しかし特徴的な例はある種の用途においては非常にうまくいっている。例えば、エストロゲンのみのホルモン置換療法の使用は、望ましくない子宮肥大をもたらすが、しかしエストロゲンとプロゲストーゲンとの組み合わせは、無傷子宮を有する女性において安全に用いられ得る混合型錠剤をもたらすが、しかし、子宮摘出を受けた女性に用いられる場合は、エストロゲン過剰状態が等しく有効である(この場合、副作用は、それ自体、症状発現し得ない)。この例では、副作用は十分に重症であり、(子宮内膜癌の場合)致命的でさえあり得るため、単一組成物中に2つの活性成分を組み合わせることが、かなりの臨床的利益を有することは明らかであり、したがって、単一組み合わせ組成物は、患者が一活性成分を摂取して他の活性成分を摂取しない可能性を除外する。
【0022】
ここで、2つの異なる抗炎症剤(その少なくとも一方はBSCIである)が組み合わされて炎症性構成成分で広範囲の疾患の治療のために有用な薬剤を生成する医薬組成物を、われわれは記載する。このような組み合わせは、意外にも、別の状況では必要とされるよりも顕著に低い用量で活性成分の一方または両方を使用させる相乗作用を示す、ということをわれわれは実証する。この予期せぬ相乗作用は、薬剤単独の使用または同一患者に別々に投与される2つの薬剤の使用より低い副作用で、同一またはより高い程度の抗炎症効果を達成し得る組み合わせ薬剤を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】皮下(三角印)または経口(四角印)経路のいずれかにより種々の用量で投与されたデキサメタゾン(DMX)を用いた成体雌CD−1マウスにおけるLPS誘導性亜致死性内毒素血症の治療に関する用量応答曲線を示す。LPS誘導性血清TNF-αレベルの抑制パーセンテージを測定することにより、抗炎症作用の程度を概算する。値は、同一に処置した6匹の動物の一群に関する平均抑制を表わす。誤差バーは標準誤差である。
【図2】経口経路により種々の用量で投与されたBSCI (S)−3−(アダマンチルアミノ)−カプロラクタム(B)を用いた成体雌CD−1マウスにおけるLPS誘導性亜致死性内毒素血症の治療に関する用量応答曲線を示す。LPS誘導性血清TNF-αレベルの抑制パーセンテージを測定することにより、抗炎症作用の程度を概算する。値は、同一に処置した6匹の動物の一群に関する平均抑制を表わす。誤差バーは標準誤差である。
【図3】単一経口治療としてのBSCI(B)およびコルチコステロイド(DMX)の組み合わせの投与の予期せぬ相乗作用を示す。各バーは、図示したように同一に処置した6匹のマウスの群におけるLPS誘導性血清TNF-αレベルの平均抑制を表わす。誤差バーは標準誤差である。示したデータは、2つの独立した実験からプールされている(表1参照)。
【図4】喘息の齧歯類モデルにおける単一経口治療としてのBSCI(S)−3−(2’,2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−カプロラクタム(B’)およびコルチコステロイド(DMX)の組み合わせの投与の予期せぬ相乗作用を示す。気管支肺胞洗浄(BAL)液中の白血球の数を示す。バーは、10匹のラットの群に関する平均±標準誤差である。別々に投与される低用量のDMXおよびB’は有効でないが、一方、本発明に従って組み合わせとして投与される場合、それらは、単独で、しかし10倍またはそれより高い用量で投与されるどちらかの化合物に匹敵する顕著な抗炎症作用を有する。
【図5】図4と同一動物におけるTh1/Th2軸極性化に及ぼすBSCI(B’)およびコルチコステロイド(DMX)治療の作用を示す。バーは、各条件によって処置した10匹のラットの群におけるTh1細胞(CD4+/IFN−γ+脾臓細胞)対Th2細胞(CD4+/IL4+脾臓細胞)の平均(±標準誤差)比を表す。
【図6】図4に示したものと同一動物の終末放血からの血清中の成長ホルモン(GH)のレベルに及ぼすBSCI(B’)およびコルチコステロイド(DMX)治療の作用を示す。バーは、各条件によって処置した10匹のラットの群からの血清中のGHの平均(±標準誤差)濃度を表す。低用量のDMXと低用量のBSCIの組み合わせは、本発明によるこの組み合わせが単独で投与される高用量のどちらかの化合物に匹敵する抗炎症作用を示す場合でも、如何に軽度に(高用量DMXの場合よりはるかに低度に)GHを抑制するだけであるかということに留意されたい。
【0024】
本発明は、少なくとも2つの活性成分(ならびに任意の賦形剤または担体)を含む組成物および治療薬の使用を提供するが、この場合、活性成分の少なくとも一方はBSCIであり、もう一つの活性成分は、その使用が普通は1または複数の望ましくない副作用と関連する抗炎症剤である。
【0025】
さらに具体的には、本発明は、少なくとも2つの活性成分を含む組成物および治療薬の使用を提供するが、この場合、活性成分の少なくとも一方は以下の式(I)の化合物であり、もう一つの活性成分は、その使用が普通は1または複数の望ましくない副作用と関連する抗炎症剤である。
【0026】
【化1】

(式中、zは、1〜4の整数であり、
Xは、−CO−Yk−(R1nまたはSO2−Yk−(R1nであり、
kは、0または1であり、
Yは、シクロアルキルまたはポリシクロアルキル基(例えば、アダマンチル、アダマンタンメチル、ビシクロオクチル、シクロヘキシル、シクロプロピル基)であるか、あるいは
Yは、シクロアルケニルまたはポリシクロアルケニル基であり、
1は、各々独立して、水素、あるいは炭素数1〜20(例えば、炭素数5〜20、炭素数8〜20、炭素数9〜20、炭素数10〜18、炭素数12〜18、炭素数13〜18、炭素数14〜18、炭素数13〜17)のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアルキルアミノラジカルから選択されるか、あるいは
1は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、オキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、またはアミノジアルキルラジカルから選択され、そして
nは、1〜mの任意の整数である(ここで、(k=0である場合はn=1であるよう、R1基がカルボニルまたはスルホニル基と直接結合されるよう)mはシクロ基Y上で許容される置換基の最大数である))。
【0027】
代替的には、R1は、例えば、ペプチド結合により一緒に連結される1〜4個のペプチド部分を有するペプチドラジカル(例えば、1〜4個のアミノ酸残基のペプチドラジカル)から選択され得る。
【0028】
好ましくは、本発明のこの態様に従って用いられる一般式(I)の化合物またはその塩は、一般式(I’)の化合物である:
【化2】

(式中、Xおよびzは、上記と同じ意味を有する)。
【0029】
さらに好ましくは、式(I)の化合物は、以下の化合物一覧から選択される:
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
【0030】
さらに好ましくは、式(I)の化合物は、−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンである。
【0031】
組成物中の第二の活性成分は、その使用が、炎症症状を治療するために典型的に用いられる用量において、1または複数の副作用を伴う抗炎症剤である。
【0032】
好ましくは、第二の活性成分は、コルチコステロイド、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)またはTNF阻害剤である。例えば、第二の活性成分は、好ましくは、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、アスピリン、インドメタシン、スルファサラジン、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ピロキシカム、テノキシカム、サリドマイド、エタネルセプト、インフリキシマブまたはアダリムマブからなる群から選択される。
【0033】
さらに好ましくは、第二活性成分は、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、コルチゾンおよびヒドロコルチゾンからなる群から選択されるが、それは、これらの抗炎症性コルチコステロイドが有意に用量制限性であるためである。
【0034】
第二の活性成分として選択される作用物質はBSCIでもあり得るし、あるいはBSCI活性を有し得る、と予想される(例えば、いくつかのBSCIは1または複数の望ましくない副作用を有し、それゆえ、本発明の組成物中の第二活性成分の定義下で適格性を得る)。このような場合、第二活性成分は、第一活性成分とは構造的に別個のBSCIである。本発明において予想されるこのような組み合わせの例は、ヨヒンバン−16−アミドと組み合わされる(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、または(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタムと組み合わされる(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンである。
【0035】
さらに、本発明の組成物は、2つより多くの活性成分の固定用量組み合わせ(その少なくとも1つはBSCIであり、その1つは、典型的には炎症性症状を治療するために用いられる用量で使用された場合に1または複数の望ましくない副作用に関連する抗炎症剤である)であり得る、と予想される。典型的には、このような組成物は、3つの活性成分を有する。典型的には、組成物は、BSCIならびに1または複数の望ましくない副作用と関連した抗炎症特性を有する第二活性成分のほかに、改善されるべき特定の炎症症状の症候を改善するよう意図された1つのさらなる活性成分を含有する。本発明で予想されるこのような組み合わせの一例は、フルチカゾンおよびサルブタモールと組み合わされる(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンである。この例では、コルチコステロイド(ここではフルチカゾン)の用量が、同程度の抗炎症活性を保持しながら低減され得るが、望ましくない副作用の程度の低減(この例では、HPA軸障害低減)を伴うよう、BSCIは喘息を治療するために用いられる作用物質の周知の組み合わせと併用されてきた。
【0036】
好ましくは、本発明の組み合わせは、混合物として患者に投与される。
【0037】
本発明は、好ましくは式(I)のBSCIである化合物またはその医薬として許容される塩を含めた混合物として少なくとも2つの活性成分を、炎症性症状の有効な治療のために典型的には必要とされる用量で用いられた場合に1または複数の望ましくない副作用に通用は関連する第二の抗炎症剤、ならびに少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤および/または担体とともに含む医薬組成物も提供する。本明細書の目的のために、「混合物」という用語は、任意に、本発明の2つの作用物質からなる化学物質組み合わせ、例えば塩を包含し得る。代替的には、化学物質組み合わせは、両構成成分にそれらの完全な薬学的活性を保持させるエステルまたはアミドまたは任意の類似の共有的化学結合であり得る。
【0038】
医薬として許容される塩とは、特に、無機酸の付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩および硝酸塩、あるいは有機酸の付加塩、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(palmoate)およびステアリン酸塩を意味する。それらが用いられ得る場合、水酸化ナトリウムまたはカリウムのような塩基から形成される塩も、本発明の範囲内である。医薬として許容される塩の他の例に関しては、”Salt selection for basic drugs”, Int. J. Pharm. (1986), 33, 201-217を参照されたい。
【0039】
医薬組成物は、固体、例えば粉剤、顆粒剤、錠剤、ゼラチンカプセル、リポソームまたは座薬の形態であり得る。適切な固体支持体は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリジンおよび蝋であり得る。他の適切な医薬として許容される賦形剤および/または担体は、当業者に知られている。
【0040】
本発明の医薬組成物は、液体形態で、例えば溶液、乳濁液、懸濁液またはシロップでも存在し得る。適切な液体支持体は、例えば水、有機溶媒、例えばグリセロールまたはグリコール、ならびに水中の、種々の割合での、それらの混合物であり得る。
【0041】
特に、本発明の好ましい組成物は、以下の一覧から選択される:
− (S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、およびデキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはヒドロコルチゾン;
− (S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、およびアスピリン、インドメタシン、スルファサラジン、セレコキシブまたはロフェコキシブ;
− (S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、およびサリドマイド、エタネルセプト、インフリキシマブまたはアダリムマブ;
− (S)−3−(3’−クロロ−1’アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム、およびデキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはヒドロコルチゾン;
− (S)−3−(3’−クロロ−1’アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム、およびアスピリン、インドメタシン、スルファサラジン、セレコキシブまたはロフェコキシブ;
− (S)−3−(3’−フルオロ−1’アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム、およびデキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはヒドロコルチゾン;
− (S)−3−(3’−クロロ−1’アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、およびデキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはヒドロコルチゾン;
− (S)−3−(3’−フルオロ−1’アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、およびデキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはヒドロコルチゾン;
ならびにその医薬として許容される塩。
【0042】
本発明は、上記のような化合物、組成物およびその使用を包含するが、この場合、化合物は水和または溶媒和形態である。
【0043】
BSCI活性を有する第一活性成分は、当該作用物質が抗炎症剤として単独で投与される場合に典型的に用いられる用量と同じかそれより低い用量で存在し得る、と予想される。例えば、第一活性成分が(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンである場合、このようなBSCIは、典型的には、0.1 mg〜250 mg/日の範囲で、さらに典型的には1 mg〜50 mg/日の範囲で、さらに典型的には20〜40 mg/日の範囲で用いられる。
【0044】
炎症症状の有効な治療のために典型的に必要とされる用量で用いられる場合に1または複数の望ましくない副作用と関連する抗炎症剤である第二活性成分は、(a)上記の症状の治療のためにBSCIと組み合わせずに当該作用物質が投与される場合に典型的に用いられる用量より低い用量で用いられる、と予想される。例えば、ヒドロコルチゾンは、典型的には、乾癬の治療のために、局所経路により、30 mg/日の用量で用いられる。本発明によるヒドロコルチゾンとBSCIとの組み合わせは、典型的には、30 mg/日より低い用量で、好ましくは0.1 mg〜25 mg、さらに好ましくは1 mg〜5 mgの用量で、ヒドロコルチゾンを含有する。
【0045】
本発明によれば、本発明の組成物またはその医薬として許容される塩、あるいは活性成分としてそれらを含有する医薬組成物または薬剤により予防されるかまたは治療されるよう意図された障害としては、以下のものが特筆される:
− 自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、グレーブス病、重症筋無力症、紅斑性狼瘡、強皮症、シェーグレン症候群、自己免疫性I型糖尿病、:
− 血管性障害、例えば卒中、冠動脈疾患、心筋梗塞、不安定型狭心症、アテローム硬化症または血管炎、例えばベーチェット症候群、巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、ウェーゲナー肉芽腫症、チャーグ・ストラウス症候群血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病および川崎病;
− 喘息、アレルギー性鼻炎または慢性閉塞性胚疾患(COPD);
− 骨粗鬆症(低骨無機質密度);
− 腫瘍増殖;
− 例えば移植患者における臓器移植片拒絶および/あるいは移植片または臓器機能遅延;
− 乾癬;
− アレルギー;
− アルツハイマー病、ならびに神経変性に起因するその他の特発性認知症;
− パーキンソン病;
− ハンチントン病;
− 外傷性脳損傷(例えば、交通事故に起因する頭部損傷)、ならびにこのような急性外傷性損傷に起因する慢性後遺症(例えば、記憶障害)。
【0046】
法的に許容可能である場合、本発明は、治療的有効量の本明細書中で特許請求されるような組成物または薬剤を患者に投与することによる炎症性疾患の症候の治療、改善または予防方法も提供する。
【0047】
本発明による薬剤の投与は、局所的、経口的、非経口的経路により、筋肉内注射等により実行され得る。
【0048】
本発明による薬剤に関して予想される投与用量は、用いられる活性成分の種類によって、0.1 mg〜10 gから成る。
【0049】
本発明の組成物は、当該技術分野でよく知られている方法を用いて容易に製造される。特に、個々の活性製剤成分は当該技術分野でよく知られた方法により合成され得るし、多くは市販されている。2以上の活性成分が化学的に組み合わされる場合を除いて、本発明の組成物を構成する2以上の活性製剤成分は、次いで、当該技術分野で周知の技法を用いて、均質混合物が達成されるよう、好ましくは微粉砕粉末として一緒に混合され、次に、適切な薬学的担体および/または賦形剤に付加される。混合物は、任意の担体および賦形剤とともに、次いで、当該技術分野で十分に確立された方法を用いて、ヒトへの投与に適した形態で、例えば錠剤、カプセル、液体懸濁液または坐薬として、調製される。
【0050】
本発明の組成物が、例えば塩として化学的に組み合わされる2以上の活性製剤成分を含む場合には、その組み合わせは、当該技術分野でよく知られた方法を用いて調製される。遊離酸、酸および塩基は一緒に反応して塩(+水)を形成するので、例えば、塩を調製するためには、適切な溶媒(例えばDMSOまたはエタノール)中の遊離塩基としての活性成分の1つが、等モル量の他の活性成分で処理される。適切な時間(例えば、一晩)の後、例えば真空ポンプの使用により、溶媒が除去され、そして固体塩は本発明の組成物として用いられ得る。対イオン交換の他の方法は当該技術分野でよく知られており、代替的出発物質からの本発明の塩、例えば一活性成分の塩化物ならびに第二活性成分のナトリウム塩を調製するために同様に用いられ得る。
【0051】
本発明の組成物が、単一共有結合化合物中に化学的に組み合わされる2以上の活性製剤成分を含む(例えば、ある活性成分を遊離カルボキシレート基と、そして第二の活性成分を遊離アルコール基と連結するエステル)場合、エステルは、当該技術分野でよく知られた方法により調製される。例えば、適切な溶媒(例えばトルエン)中の酸およびアルコールの混合物は、成分の安定性によって、酸触媒作用または塩基触媒作用によりエステルを形成するよう誘導され得る。代替的には、触媒作用を必要とせずに直接、ヒドロキシル化構成成分と反応する活性化型の酸構成成分(例えば酸塩化物または酸無水物)が先ず調製され得る。このような活性化酸中間体の調製のための一般的方法ならびにエステルを形成するためのそれらのその後の使用は、当該技術分野でよく知られている。
【0052】
以下の実施例は、上記の手法を例証するために提示されるが、如何なる点でも本発明の範囲を限定するとみなされるべきでない。
【実施例】
【0053】
実施例1:内毒素血症における(S)−3−(アダマンチルアミノ)−カプロラクタムおよびデキサメタゾンの予期せぬ相乗作用
本発明による一組成物は、第一活性成分としての(S)−3−(アダマンチルアミノ)−カプロラクタム(周知のBSCI;例えばWO 05/053702およびWO 06/018609参照)と、BSCIおよびステロイドの組み合わせが必要とされるステロイドの用量を低減し、これにより慢性高用量ステロイド使用に関連した副作用を低減するよう選択される第二活性成分としてのデキサメタゾンとで構成される混合物である。
【0054】
本発明の組成物の主要効力形態である組成物の抗炎症作用に及ぼす成分組み合わせの影響を試験するために、白血球補充を抑制し、したがってin vivoでの標準化内毒素攻撃誘発に応答する全身性TNF-α産生を抑制する組み合わせ組成物の能力をわれわれは調べて、別々に投与される2つの作用物質を用いた組み合わせと比較した。
方法
【0055】
以前に開示されたBSCIのin vivoでの一般化抗炎症特性を実証するために、亜致死的LPS誘導性内毒素血症検定をわれわれは用いた(例えばFox et al. J Med Chem. 2002 Jan 17; 45(2): 360-70;Fox et al. J Med Chem. 2005 Feb 10; 48(3): 867-74;WO 05/053702;WO 06/016152;WO 06/134385;およびWO 06/134384参照)。この検定では、細菌内毒素(LPS)を用いた非特異的前炎症性攻撃誘発ならびにその程度の全身性炎症応答をマウスに施す(正常条件下では血中には本質的に存在しないが、しかし広範囲の炎症性刺激に応答して急速に上昇する中心的前炎症性サイトカインTNF−αの血清レベルにより測定)。TNF−αは非常に多くの疾患(例えば、関節リウマチ、自己免疫障害、クローン病、アテローム硬化症、喘息等)において重要であることが知られているため、それ自体が任意のヒト炎症性疾患状態の特に類似したモデルでない場合でも、このモデルをわれわれは選択した。その結果として、TNF-α産生を抑制する作用物質は、広範囲のこのような疾患を治療するためにすでに臨床的に用いられている(例えば、エタネルセプト(エンブレルTM)ならびにその他の抗TNF−α抗体産物、例えばインフリキシマブ(レミケードTM)およびアダリムマブ(フミラTM))。したがって、このモデルにおけるTNF−α抑制活性の実証は、広範囲の疾患における臨床的に有用な抗炎症作用を高度に予示する。
【0056】
LPS攻撃誘発の30分前に皮下経路により、またはLPSの60分前に(胃管栄養補給を介しての)経口経路により、マウス(6匹の群の成体雌CD配布1マウス)を種々の用量の各化合物で前処理した。次に、750 μgの細菌LPSの腹腔内注入でマウスを攻撃誘発し、2時間後に屠殺した。心臓穿刺による終末放血から血清を調製し、TNF-αの濃度をELISA(R&D Systems)により確定した。各実験において、6匹のマウスの一群には陰性対照としての役割を果たさせるためにLPSを投与せず、第2群にはLPSのみを投与する(候補阻害剤を含まず)。薬剤前処理なしにLPSを投与されたこれらの動物からの血清中のTNF-αのレベルは、随意に100%まで設定される(そして、LPSを投与されていない陰性対照群の間の<10 pg/mlのレベルと比較して、典型的には、6,000 pg/mlのオーダーである)。
結果
【0057】
第一シリーズの実験では、化合物を別々に投与した場合、LPS誘導性TNF−αを抑制するために必要とされるBSCI (S)−3−(アダマンチルアミノ)−カプロラクタム(「B」)の濃度および合成コルチコステロイドであるデキサメタゾン(「DMX」)の濃度を確定した。組み合わせ中の2つの作用物質が予期せぬ相乗的利益を示すか否かを確定しようとする場合、2つの作用物質に関する別々の用量応答曲線を先ず作成して、亜最大用量の各作用物質が、その後、併用されることを確証することが重要である。炎症が完全に抑制されるよう、間違って最大有効用量の一方(または両方)の化合物を用いた場合には、組み合わせから任意の予期せぬ優れた効力を検出することはできない。
【0058】
皮下(三角印)および経口(四角印)投与経路の両方によるDMXに関する用量応答曲線を、図1に示す。経口経路によるBに関する用量応答曲線を、図2に示す。両化合物は、別々に投与される場合、強力な抗炎症剤であり、1 μg/マウス(〜33 μg/体重1 kg、または60 kgヒトにおける2 mg用量と等価)という低い用量で投与される場合、TNF−αを有意に低減する、ということが、これらのグラフから明らかである。両化合物は強力な抗炎症剤でもあり、LPS注射に対して応答して、試験した高用量で少なくとも80%、TNF−αを低減する。
【0059】
2つの作用物質が相乗的抗炎症作用を示したか否かを確定するために、単独で投与された場合にTNF−α応答に極わずかの作用を及ぼす用量で2つの作用物質を組み合わせる単回経口胃管栄養補給を用いて同一実験モデルでマウス群を処理した。0.3 μg/マウスのDMXおよび0.1 μg/マウスのBの同時処理(別々に投与された場合、小さな抗炎症作用を引き起こすが、これは全ての実験において統計学的に有意でなかった;表1)は、LPS誘導性TNF-αレベルにおける再現可能な50〜75%低減を生じた(表1;図3)。
【0060】
【表1】

表1.LPS亜致死的内毒素血症ネズミモデルにおける低用量のBSCI(「B」)およびデキサメタゾン(DMX)の組み合わせの相乗作用。各処理条件(全て経口経路による)下で、マウス6匹の一群に関してLPS誘導性血清TNF-αの平均抑制パーセンテージを報告する(標準誤差;SEMとともに)。2つの完全に独立した実験からの結果を示す。
【0061】
より高い(しかし依然として亜最大)用量のB(3 μg/マウス)を用いて、同様の結果を得た。再度、非有効用量のDMX(0.3 μg/マウス)の存在下で、組み合わせは、別々に投与されたどちらかの化合物より実質的に大きい抗炎症作用を生じた(表1;図3)。
【0062】
これらの実験を2回反復して、一致する結果を得た(表1)が、これは、相乗作用の再現可能性を確証した。
結論
【0063】
総合すれば、これらの実験は、BSCI (S)−3−(アダマンチルアミノ)−カプロラクタムおよびデキサメタゾンが予期せぬ相乗作用を示し、その組み合わせが、別々に投与されるどちらかの化合物よりin vivoで抗炎症剤としてかなり効能がありで且つ強力で、実際、それらの作用の単一付加的組み合わせから予測されたものより強力で且つ効能がある、ということを示す。
【0064】
実施例2:喘息における(S)−3−(2’,2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンおよびデキサメタゾンの予期せぬ相乗作用
BSCIと別の抗炎症剤(この場合、喘息のラットモデルにおける抗炎症作用に及ぼす混合物としてのコルチコステロイド デキサメタゾン)との組み合わせの影響を検査するために、卵白アルブミン感作動物を、(S)−3−(2’,2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン、デキサメタゾンおよび本発明による2つの作用物質の混合物で処置した。
【0065】
齧歯類における喘息の最も一般的に用いられるモデルであるため、卵白アルブミン感作ラットを選択する。さらに、このモデルにおけるデキサメタゾンおよびBSCIの両方の作用は、十分に特性化されている(GB 07 15068.3)。卵白アルブミンによる気管内攻撃誘発後の肺への白血球補充の程度は治療効能の指標として用いられるが、一方、Th1/Th2極性化軸の有益な変化は、作用物質の一般的抗炎症効能を実証するために用いられる。最後に、コルチコステロイド療法の十分に確立された副作用である血清成長ホルモン(GH)レベルの抑制を測定して、用いられる異なる治療レジメンの副作用との比較を可能にする。
方法
【0066】
要するに、0日目に0.1 mgの卵白アルブミンを腹腔内に1回注射することにより、成体Brown Norwayラット(体重200〜300 g;n=10/群)を感作する。次に、8日目に1%卵白アルブミン(w/v)の、15、18および21日目に2%卵白アルブミン(w/v)の溶液による気管内攻撃誘発を、各ラットに施す。次に、21日目の最終攻撃誘発の3時間後に動物を屠殺する。卵白アルブミン(Sigma;最高純度利用可能等級)はEndo Trap Redカラム(Cambrexから購入;メーカーの使用説明書に従って用いる)上を通すことにより無内毒素にし得るし、内毒素レベルはLAL検定(QCL-1000;Cambrex;メーカーの使用説明書に従って実施;1 mgの標準内毒素は〜900,000 EU/mgを含有する)を用いて<5 EU/タンパク質1 mgとして確証され得る、ということに留意されたい。これは、肺炎症応答が、最高純度等級の市販の卵白アルブミン製剤を用いた場合でさえ生じる意図せぬLPS刺激に起因するというよりむしろ、卵白アルブミンタンパク質に対するアレルギー応答に起因する、ということを保証し、したがって、当該モデルはヒト喘息の基礎を成す分子病態をより厳密に表す。
【0067】
マウスの一群(ベースライン対照として働く)は卵白アルブミン攻撃誘発を施されないが、しかし他の点では同一に処理される。第二群(陽性対照)は、攻撃誘発を施されるが、しかし薬剤治療は施されない。さらなる群は、同一に処置されるが、しかし以下のものを毎日投与される:(a)8日目から21日目まで、経口胃管栄養法による0.3 mg/kgまたは0.03 mg/kgの用量での(S)−3−(2’,2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン(B’)。投与は、同一日になされる卵白アルブミンに夜任意のその後の攻撃誘発の1時間前に施される。B’は、内毒素無含有リン酸緩衝生理食塩水中の滅菌溶液として投与される;あるいは、(b)BSCIと同一治療スケジュールでの経口経路による1 mg/kgまたは0.01 mg/kgのデキサメタゾン(DMX);あるいは(c)同一治療スケジュールであるが、しかし本発明に従って混合物として0.01 mg/kgDMXおよび0.03 mg/kgB’を含有する溶液を用いる。
【0068】
屠殺時に、気管カニューレを通して導入される3 mlの滅菌リン酸緩衝生理食塩水の4つのロットを用いて気管支肺胞洗浄を実施することにより、総肺白血球補充を査定する。各動物に関して、BAL洗浄液を併合し、総細胞集団を計数する(血球計を使用)。
【0069】
脾臓も各マウスから取り出し、RPMI+10%FCS+抗生物質中に入れた。次に脾臓を各々、滅菌ペトリ皿中に入れた滅菌篩カップ中の微細メッシュ(100 μm)ナイロンスクリーンを通して搾り出して、単細胞懸濁液をうる。次に、その結果生じた細胞懸濁液を遠心分離(328 g;5分)し、RPMI+10%FCS+抗生物質中で洗浄した後、新鮮な培地中に懸濁して、血球計を用いて計数する。
【0070】
次に、全体で4×106個の総脾細胞を、各マウスからの96ウエルプレートの4つのウエル中の2U/ML(10 ng/ml)ネズミIL−2(100 μ容積/ウエル/1×106細胞/ウエル)の存在下でRPMI+10%FCS+抗生物質中で一晩培養する(37℃;5%CO2)。約24時間後、4つのウエルを2つのウエルの2群に分ける。一方の群は未処置のままであるが、一方、第二の群は、37℃で4時間、500 ng/mlイノマイシンおよび50 ng/mlPMAで刺激する。このインキュベーションの最後の2時間の間に、ブレフェルジンA(EtOH中のストック(1 mg/ml))を各組からの1つのウエルに付加する。ブレフェルジンAはゴルジへのタンパク質輸送を遮断し、したがって、ER中のタンパク質の蓄積を可能にする。
【0071】
ブレフェルジンAを含入しないウエルを、37℃でさらに48時間インキュベートする。インキュベーション終了時に、細胞懸濁液を遠心分離(328 g;5分)し、上清を、ネズミIL−4(Th2細胞のマーカー)およびネズミインターフェロン−γ(IFN−ガンマ;Th1細胞のマーカー)に関してELISA検定(R&D Systems;メーカーの使用説明書に従って実施)に付す。
【0072】
4時間のインキュベーションの終了時に、直ちに、細胞内IL−4およびIFN−ガンマに関して、ブレフェルジンAを含入するウエルを、以下のように染色する:氷上で30分間、抗CD4-FITC抗体(eBioscienceラットIgG2b、カタログコード11-0041)で細胞を染色し、次に、ダルベッコのPBS中で洗浄し、ダルベッコのPBS中で20分間、2%パラホルムアルデヒド(最終濃度)で固定する。固定後、細胞を、室温で10分間、ダルベッコのPBS/1%BSA/0.5%サポニン(Sigma S7900)で透過性にする。次に、各ウエルからの細胞を3つの別々のFACS管中に分けて、以下のものとともに、室温で30分間、インキュベートする:
・IFN−γ−PE(eBioscienceラットIgG1、カタログコード12-7311-82、100 μg);または
・Il−4−PE(eBioscienceラットIgG1、カタログコード12-7041-82、100 μg);または
・アイソタイプ対照(ラットIgG2b−FITCの混合物、eBioscience カタログコード11-4031およびラットIgG1−PE、カタログコード12-4301)。
次に、細胞を洗浄(PBS/BSA/サポニンで、次に、サポニンを含有しないPBS/BSAで2回洗浄して、膜閉鎖させる)し、フローサイトメトリー分析のために準備されたダルベッコのPBS中に再懸濁する。
【0073】
FITCチャンネル上のCD4に対する特異的染色を有する細胞(T−ヘルパー細胞として同定する)を、PEチャンネル上のIL−4またはIFN−ガンマに対する特異的染色の存在に関して分析する。次に、IFN−γに関して陽性であるCD4+細胞染色対IL−4に関して陽性であるCD4+細胞染色の割合を、Th1/Th2比として報告する。非処置Brown Norwayラットは、脾臓中で約2.7のTh1/Th2比を有する(すなわち、脾臓中ではCD4+細胞は、IL−4より約2.7倍多くのINF−γを合成している)。卵白アルブミンを用いた感作および反復攻撃誘発の後、その比は1.5未満に下がるが、これは、齧歯類およびヒトの両方において喘息性変化を伴う顕著なTh2極性化を実証している(より低いTh1/Th2比は相対Th2極性化を示し、一方、Th1/Th2比増大は相対Th1極性化を示す)。
【0074】
血清をさらにまた終末放血から調製し、メーカーの使用説明書に従って、市販のELISA(Diagnostic Systems Laboratories;DSLabs)を用いて、GHのレベルを測定する。
結果
【0075】
高用量B(0.3 mg/kg)および高用量DMX(1 mg/kg)はともに、喘息におけるこれらの予期される臨床的に有益な作用と一致して、肺中の白血球蓄積を80%より多く抑制する(図4)。大きく異なるのは、化合物は、単独で投与される場合、非常に低い用量(0.03 mg/kgB’または0.01 mg/kgDMX;図4)で投与されると、肺中の白血球蓄積に統計学的に有意の作用を及ぼす。
【0076】
しかしながら、意外にも、本発明に従った組み合わせとしての低用量のB’およびDMXの投与は、少なくとも10倍高い用量で投与された場合のいずれかの化合物で観察される作用と匹敵する大きさである肺白血球補充の顕著で且つ統計学的に有意の低減を生じる。
【0077】
肺白血球補充はより臨床的に関連する終点と考えられるが、それにもかかわらず、BSCI治療の主な効果であるTh1/Th2軸の「再平衡」を検査することにより免疫系に及ぼす有益な全身作用が観察され得る(GB 07 15068.3)。DMXは、高用量であっても、免疫系の再平衡では、B’による処置よりもその有効性は有意に低い(図5)。低用量でも、B’はこのモデルにおいて統計学的に有意のTh1シフトを引き起こすが、しかし本発明に従ったB’およびDMXの組み合わせは意外にも勝っている(図5)。
【0078】
最後に、成長ホルモン(GH)のレベルに及ぼす種々の処置の作用を検査し、コルチコステロイド処置の副作用の程度の一測定値として、終末放血から血清を調製する。予期されたとおり、DMXは、ヒトにおけるHPA軸に及ぼす既知の作用と一致して、GHレベルを有意に低減した(高用量群では80%)(しかしB’はそうではない)。低用量のDMXはGHを抑制下が、しかしかなり低い程度(約10%)であった。興味深いことに、本発明に従った低用量のB’およびDMXの組み合わせは、低用量のDMX単独と同様のレベルにGHレベルを抑制しただけであった(図6)。
結論
【0079】
総合すれば、これらの実験は、BSCI (S)−3−(2’,2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−カプロラクタムおよびデキサメタゾンが予期せぬ相乗作用を示し、その組み合わせが、別々に投与されるどちらかの化合物よりin vivoで抗炎症剤としてかなり効能がありで且つ強力で、実際、それらの作用の単一付加的組み合わせから予測されたものより強力で且つ効能がある、ということを示す。この相乗効力は、肺白血球補充の臨床的に関連する終点に関して、そして免疫系に及ぼすBSCI作用を代表するTh1/Th2再平衡に関しても観察された。
【0080】
さらに、これらの結果は、本発明による組み合わせとしての低用量のBSCIおよびコルチコステロイドの併用投与が、より高い用量のコルチコステロイド使用に伴う副作用を回避しながら、臨床的に関連した且つ抗炎症性の終点に及ぼす有意の効力を可能にする(単独で投与されるはるかに高用量のどちらかの化合物で達成されるものに匹敵する)、ということを実証する。
定義
【0081】
「約」という用語は、考慮される値を中心にした区間を指す。本特許出願で用いられる場合、「約X」は、X−Xの10%からX+Xの10%までの区間、好ましくはX−Xの5%からX+Xの5%までの区間を意味する。
【0082】
この記述における数的範囲の使用は、当該範囲内の全ての個々の整数を、ならびに所定範囲の最も広い範囲内の上限および下限数の全ての組み合わせを、本発明の範囲内に含むよう明白に意図される。それゆえ、例えば、(特に)式Iに関連して特定される1〜6個の炭素原子の範囲は、1〜6の全ての整数、ならびに明白に例示されているにせよ、そうでないにせよ、より大きいおよびより小さい数の各々の組み合わせの全ての亜範囲を含むよう意図される。
【0083】
本明細書中で用いる場合、「〜を含む」という用語は、当該構成成分が製造工程の一部として一緒に混合されて、本質的に均質な混合物を形成するよう、記述される作用物質の固定用量組み合わせが本発明の組成物を含むことを意味すると理解されるべきものである。疑念を無くすために、本発明の組成物を含む2つの作用物質の併用投与は、同時的である場合でさえ、本明細書中で定義されるような「混合物」を構成しない。しかしながら、上記のように、混合物(例えば塩)を含む構成成分の化学的組み合わせが予見され、この定義に従った混合物(あるいは3つまたはそれより多くの構成成分の混合物中の2つの構成成分)を構成する。
【0084】
本明細書中で用いる場合、「広域スペクトルケモカイン阻害剤」(または「BSCI」)という用語は、同時的に異なるケモカイン受容体を介して作用する多数の異なるケモカインに対する白血球移動(必ずしも全てというわけではない、または任意の、他の応答)を抑制する化合物または作用物質を指す。それゆえ、BSCIという用語は、以下のような操作的定義を有する:すなわち、それは、適切な白血球型または細胞株(例えば、ヒト骨髄単球性細胞株THP−1)が、適切な濃度の候補阻害剤の存在下または非存在下で、いくつかのケモカイン(例えば、MCP−1、MIP−1α、RANTES、IL‐8およびSDF−1α)、ならびに非ケモカイン化学誘引物質(例えば、fMLPおよびC5a)に応答する適切な検定設定(例えば、ChemoTxTMプレート;NeuroProbe)で移動するよう誘導される。BSCIは、多数のまたはほぼ全ての試験ケモカインに応答する白血球移動を抑制するが、非ケモカイン化学誘引物質に応答する移動を抑制しない化合物である。必要とされる適切な対照を含めてBSCIを定義するために必要な手順は、当該技術分野でよく知られている(例えば、Frow EK, Reckless J, Grainger DJ. Tools for anti-inflammatory drug design: in vitro models of leukocyte migration. Med Res Rev. (2004) 24(3): 276-9;Grainger DJ, Reckless J, Fox DJ. Broad spectrum chemokine inhibitors related to NR58-3.14.3. Mini Rev Med Chem. (2005) 5(9): 825-3参照)。このような定義は、ペプチドBSCI(ペプチド3;NR58−3.14.3および関連構造)の(化合物構造に基づいた)ファミリー、アシルアミノグルタルイミド(例えば、NR58,4)、ヨヒンバン−16−アミドおよびアシルアミノラクタムを包含するが、これらに限定されない。しかしながら、定義は、一般に既知であってもなくても、当該技術分野で既知の適切な試験の適用によりBSCIと明白に定義され得る他の化合物および作用物質も包含する。
【0085】
別記しない限り、本明細書中で用いられる技術および科学用語は全て、本発明が属する当該技術分野の当業者により通常理解されているのと同じ意味を有する。同様に、全ての出版物、特許出願、全ての特許、ならびに本明細書中で言及される全ての他の参考文献は、(法的に許容可能である場合)参照により本明細書中で援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性疾患を治療するための薬剤の製造のための、少なくとも2つの活性成分またはその医薬として許容される塩を含む組成物の使用であって、ここで:
(a)第一活性成分が、広域スペクトルケモカイン阻害剤であり;そして
(b)第二活性成分が、炎症性障害を治療するために通常用いられる用量において、1または複数の副作用と関連する抗炎症剤である、使用。
【請求項2】
炎症性障害を治療するかまたは予防するための薬剤として用いるための、少なくとも2つの活性成分またはその医薬として許容される塩の混合物を含む医薬組成物であって、ここで:
(a)第一活性成分が、広域スペクトルケモカイン阻害剤であり;そして
(b)第二活性成分が、炎症性障害を治療するために通常用いられる用量において、1または複数の副作用と関連する抗炎症剤である、医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも2つの活性成分またはその医薬として許容される塩の混合物が本質的に均質な混合物である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項4】
少なくとも2つの活性成分またはその医薬として許容される塩の混合物が本質的に均質な混合物である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
活性成分のうちの少なくとも1つが、単独で投与される場合の同一活性成分の最適用量よりも低い用量で混合物中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
活性成分のうちの少なくとも1つが、単独で投与される場合の同一活性成分の最適用量よりも低い用量で混合物中に存在する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
広域スペクトルケモカイン阻害剤が、式(I):
【化1】

(式中、zは、1〜4の整数であり;
Xは、−CO−Yk−(R1nまたはSO2−Yk−(R1nであり;
kは、0または1であり;
Yは、シクロアルキルまたはポリシクロアルキル基(例えば、アダマンチル、アダマンテンメチル、ビシクロオクチル、シクロヘキシル、シクロプロピル基)であるか;あるいは
Yは、シクロアルケニルまたはポリシクロアルケニル基であり;
1は、各々独立して、水素、あるいは1〜20個の炭素原子(例えば、5〜20個の炭素原子、8〜20個の炭素原子、9〜20個の炭素原子、10〜18個の炭素原子、12〜18個の炭素原子、13〜18個の炭素原子、14〜18個の炭素原子、13〜17個の炭素原子)を有するアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアルキルアミノラジカルから選択されるか;あるいは
1は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、オキシアルキル、アミノ、アミノアルキルまたはアミノジアルキルラジカルから選択され;そして
nは、1〜mの任意の整数であって、ここで、mは、(k=0である場合にはn=1であるよう、R1基がカルボニルまたはスルホニル基と直接的に結合されるよう)シクロ基Yに関して許容される置換基の最大数であり;
代替的には、R1は、例えば、ペプチド結合により一緒に連結される1〜4個のペプチド部分を有するペプチドラジカル(例えば、1〜4個のアミノ酸残基のペプチドラジカル)から選択され得る)
の化合物、またはその医薬として許容される塩である、請求項1、3または5に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
広域スペクトルケモカイン阻害剤が、式(I):
【化2】

(式中、zは、1〜4の整数であり;
Xは、−CO−Yk−(R1nまたはSO2−Yk−(R1nであり;
kは、0または1であり;
Yは、シクロアルキルまたはポリシクロアルキル基(例えば、アダマンチル、アダマンテンメチル、ビシクロオクチル、シクロヘキシル、シクロプロピル基)であるか;あるいは
Yは、シクロアルケニルまたはポリシクロアルケニル基であり;
1は、各々独立して、水素、あるいは1〜20個の炭素原子(例えば、5〜20個の炭素原子、8〜20個の炭素原子、9〜20個の炭素原子、10〜18個の炭素原子、12〜18個の炭素原子、13〜18個の炭素原子、14〜18個の炭素原子、13〜17個の炭素原子)を有するアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアルキルアミノラジカルから選択されるか;あるいは
1は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、オキシアルキル、アミノ、アミノアルキルまたはアミノジアルキルラジカルから選択され;そして
nは、1〜mの任意の整数であって、ここで、mは、(k=0である場合にはn=1であるよう、R1基がカルボニルまたはスルホニル基と直接的に結合されるよう)シクロ基Yに関して許容される置換基の最大数であり;
代替的には、R1は、例えば、ペプチド結合により一緒に連結される1〜4個のペプチド部分を有するペプチドラジカル(例えば、1〜4個のアミノ酸残基のペプチドラジカル)から選択され得る)
の化合物、またはその医薬として許容される塩である、請求項2、4または6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式Iの化合物が、式(I’):
【化3】

(式中、zは、1〜4の整数であり;
Xは、−CO−Yk−(R1nまたはSO2−Yk−(R1nであり;
kは、0または1であり;
Yは、シクロアルキルまたはポリシクロアルキル基(例えば、アダマンチル、アダマンテンメチル、ビシクロオクチル、シクロヘキシル、シクロプロピル基)であるか;あるいは
Yは、シクロアルケニルまたはポリシクロアルケニル基であり;
1は、各々独立して、水素、あるいは1〜20個の炭素原子(例えば、5〜20個の炭素原子、8〜20個の炭素原子、9〜20個の炭素原子、10〜18個の炭素原子、12〜18個の炭素原子、13〜18個の炭素原子、14〜18個の炭素原子、13〜17個の炭素原子)を有するアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアルキルアミノラジカルから選択されるか;あるいは
1は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、オキシアルキル、アミノ、アミノアルキルまたはアミノジアルキルラジカルから選択され;そして
nは、1〜mの任意の整数であって、ここで、mは、(k=0である場合にはn=1であるよう、R1基がカルボニルまたはスルホニル基と直接的に結合されるよう)シクロ基Yに関して許容される置換基の最大数であり;
代替的には、R1は、例えば、ペプチド結合により一緒に連結される1〜4個のペプチド部分を有するペプチドラジカル(例えば、1〜4個のアミノ酸残基のペプチドラジカル)から選択され得る)
の構造を有するか、またはその医薬として許容される塩である、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
式Iの化合物が、式(I’):
【化4】

(式中、zは、1〜4の整数であり;
Xは、−CO−Yk−(R1nまたはSO2−Yk−(R1nであり;
kは、0または1であり;
Yは、シクロアルキルまたはポリシクロアルキル基(例えば、アダマンチル、アダマンテンメチル、ビシクロオクチル、シクロヘキシル、シクロプロピル基)であるか;あるいは
Yは、シクロアルケニルまたはポリシクロアルケニル基であり;
1は、各々独立して、水素、あるいは1〜20個の炭素原子(例えば、5〜20個の炭素原子、8〜20個の炭素原子、9〜20個の炭素原子、10〜18個の炭素原子、12〜18個の炭素原子、13〜18個の炭素原子、14〜18個の炭素原子、13〜17個の炭素原子)を有するアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニルまたはアルキルアミノラジカルから選択されるか;あるいは
1は、各々独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、オキシアルキル、アミノ、アミノアルキルまたはアミノジアルキルラジカルから選択され;そして
nは、1〜mの任意の整数であって、ここで、mは、(k=0である場合にはn=1であるよう、R1基がカルボニルまたはスルホニル基と直接的に結合されるよう)シクロ基Yに関して許容される置換基の最大数であり;
代替的には、R1は、例えば、ペプチド結合により一緒に連結される1〜4個のペプチド部分を有するペプチドラジカル(例えば、1〜4個のアミノ酸残基のペプチドラジカル)から選択され得る)
の構造を有するか、またはその医薬として許容される塩である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
構造式I’の化合物が、以下の一覧から選択される請求項9記載の医薬組成物の使用:
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
またはその医薬として許容される塩。
【請求項12】
構造式I’の化合物が、以下の一覧から選択される請求項9記載の医薬組成物:
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−ヒドロキシ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−クロロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−カプロラクタム
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オン
−(S)−3−(3’−フルオロ−1’−アダマンタンカルボニルアミノ)−ピロリジン−2−オン
またはその医薬として許容される塩。
【請求項13】
第二活性成分が、天然、半合成または合成コルチコステロイドまたはコルチコステロイド模倣物である、請求項1、5、9または11のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
第二活性成分が、天然、半合成または合成コルチコステロイドまたはコルチコステロイド模倣物である、請求項2、6、10または12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
コルチコステロイドが、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、コルチゾンまたはヒドロコルチゾンである、請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
コルチコステロイドが、デキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、コルチゾンまたはヒドロコルチゾンである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
第二活性成分が非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)である、請求項1、5、9または11のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
第二活性成分が非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)である、請求項2、6、10または12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
NSAIDが、インドメタシン、スルファサラジン、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ピロキシカムまたはテノキシカムあるいはその類似体である、請求項17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
NSAIDが、インドメタシン、スルファサラジン、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ピロキシカムまたはテノキシカムあるいはその類似体である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
第二活性成分が、TNF−α産生、生物学的利用能または生物学的作用を低減する作用物質である、請求項1、7、9または11のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項22】
第二活性成分が、TNF−α産生、生物学的利用能または生物学的作用を低減する作用物質である、請求項2、8、10または12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
TNF−α産生、生物学的利用能または生物学的作用を低減する作用物質が、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブおよびサリドマイドまたはその類似体からなる群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物の使用。
【請求項24】
TNF−α産生、生物学的利用能または生物学的作用を低減する作用物質が、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブおよびサリドマイドまたはその類似体からなる群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
活性成分が、(S)−3−(2’2’−ジメチルプロパノイルアミノ)−テトラヒドロピリジン−2−オンおよびコルチコステロイドまたはコルチコステロイド模倣物、例えばデキサメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンまたはメチルプレドニゾロンである、請求項1から24のいずれかに記載の医薬組成物またはその使用。
【請求項26】
炎症により直接引き起こされない疾患の1または複数の症候を治療する、1または複数のさらなる活性成分が添加される、請求項1から25のいずれかに記載の医薬組成物またはその使用。
【請求項27】
活性成分が、任意の賦形剤および/または担体と一緒に、単一錠剤として処方される、請求項1から26のいずれかに記載の医薬組成物またはその使用。
【請求項28】
活性成分のうちの2つが、単離された場合に各々保有される活性をともに保持するような方法で化学的に組み合わされる、請求項1から27のいずれかに記載の医薬組成物またはその使用。
【請求項29】
活性成分のうちの2つ以上が一緒に塩を形成する、請求項28に記載の医薬組成物またはその使用。
【請求項30】
炎症性障害が、自己免疫疾患、血管性障害、骨粗鬆症(低骨密度)、腫瘍増殖、関節リウマチ、多発性硬化症、臓器移植片拒絶および/または移植片または臓器機能遅延、乾癬、湿疹、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、刺激性腸症候群または潰瘍性結腸炎からなる群から選択される、請求項1、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25〜29のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。
【請求項31】
請求項2、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および25〜29のいずれかに記載の組成物の治療的有効量を投与することを包含する、炎症性疾患の症候の治療、改善または予防のための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−506412(P2011−506412A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537508(P2010−537508)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004074
【国際公開番号】WO2009/074794
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(503372842)ケンブリッジ エンタープライズ リミティド (32)
【Fターム(参考)】