説明

抗生物質および除草剤を開発するための標的としての6量体ポルホビリノゲンシンターゼ

多量体タンパク質の結合部位に結合し、それによってユニットの平衡状態に影響を与えて多量体タンパク質に影響を与えるように適合された作用物質を有する組成物であって、該多量体タンパク質は複数の前記ユニットを有する集合体を有し、該ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を有し、かつ1つのユニットの第1の相補的表面は別のユニットの第2の相補的表面に結合しており、ただし、その集合体は、多量体タンパク質中で(1)ユニットの各々の構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)それらユニットが平衡状態にあり、および(3)4次構造の異なるアイソフォームの構造が多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラピロール、より詳細にはポルホビリノゲンシンターゼの活性化を阻害するための機序に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラピロール生合成は、細菌、古細菌、真菌、原生生物、およびウイルスを含めて、動物、植物、および微生物において極めて重要な経路である。最初の共通の中間体は、5−アミノレブリン酸(ALA)である。ALAからプロトポルフィリンIXへの酵素反応は、すべての生物のテトラピロール生合成に共通である。
【0003】
5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)としても知られている酵素ポルホビリノゲンシンターゼ(PBGS)は、ヘム、クロロフィル、ビタミンB12、およびコファクターF430を含むテトラピロールの生合成の最初の共通段階を触媒し、古くから存在して高度に保存されたタンパク質である(1、2)。PBGSは、2分子の5−アミノレブリン酸分子の縮合を触媒して、テトラピロール前駆物質のポルホビリノゲンを形成させる。
【0004】
これまでPBGSは、触媒部位およびアロステリック部位で、様々な2価および1価の陽イオンを利用するホモ8量体の金属酵素であると理解されていた。哺乳動物および酵母の酵素は一般にZn(II)を必要とし、一部の原核生物の酵素は最大活性を示すためにMg(II)もしくはZn(II)またはその双方を必要とし、植物酵素は酵素活性を示すためにMg(II)のみを必要とすると考えられる。Zn(II)もMg(II)も必要としないPBGS酵素を有する生物は少数である。金属イオンの使用の違いは、少なくとも2つの金属結合領域の1次構造の残基の変化が原因で生じている。
【0005】
いくつかの供給源から得られたPBGSの比活性は、タンパク質濃度に依存していることが分かっている。例えば、ダイズ根粒菌(B.ジャポニカム(B.japonicum))、緑膿菌(P.アエルギノーサ(P.aeruginosa))、およびエンドウマメのPBGSでは、比活性のタンパク質濃度依存性が認められているが、大腸菌(E.coli)、酵母、または哺乳動物供給源から得られてPBGSについては記録されていない(22)。
【0006】
活性部位から金属を取り除くことによって、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)で処理することによって、PBGSが阻害されることが知られている。
PBGSに関する追加の情報は、参考文献(3〜5)および(7)に開示されている。
【0007】
現在、多くの消費者は、おしぼり、おむつなどの個人の健康管理用の製品が、所期の機能を提供するだけでなく、例えば細菌、古細菌、および/または真核生物に接触することによって引き起こされる疾患または損傷を治療または予防する能力を有し、同時にそれらが消費者の健康を害さないことを要求している。この要求を満たすため、皮膚上の一過性細菌にも常在細菌にも対抗するために、ウェおしぼりなどの様々な消費財に抗菌薬が混ぜられている。抗菌薬を含有する製品は、ローション、消臭石鹸、硬質表面洗浄剤、おしぼり、および外科用消毒剤など多くの形態で現在販売されている。
【0008】
しかし、抗菌薬を含有する多くの製品は、抗菌効果を加えるために利用される化学物質の性質が原因となって、皮膚に対して刺激性または炎症性である。例えば、一部の硬質表面洗浄剤および外科用消毒剤は、皮膚組織を乾燥させて炎症を引き起こすことが繰り返し示されているアルコールおよび/または界面活性剤を高濃度で使用している。現在入手可能な他のおしぼりは、酸が添加されることなく刺激性の陽イオン界面活性剤を使用している。界面活性剤は、多くのタイプの細菌に浸透してそれらを殺すことができるが、皮膚に対して極めて炎症性かつ刺激性である。
【0009】
多くの抗菌薬含有製品は、抗菌薬としての陰イオンまたは陽イオン界面活性剤とともに有機酸を使用している。一部の有機酸は、界面活性剤を使わずに微生物を抑制する製品に安全に使用され得るが、有機酸のみを含む製品の大半は、極めて高濃度で使用しない場合は細菌に対する有効性が低い。極めて高濃度でこれらの酸が使用されると、最終製品が不経済になることがあり、皮膚炎症の懸念を引き起こすことすらあり得る。
【0010】
さらに、一部の表面では、バイオフィルムが問題となり得る。バイオフィルムは、十分な水分が存在するほぼすべての環境表面上に存在し得る。その発達は、適切な栄養物が利用可能な流動系で最も速くなる。バイオフィルムは、環境表面に付着した微生物の集団または群集から構成されており、細胞および多糖類の複合的な集合体である。これらの微生物は通常、それらが合成する細胞外多糖類に覆われている。バイオフィルムは、例えば、緑膿菌(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、蛍光菌(P.フルオレセンス(P.fluorescens))、および肺炎桿菌(クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae))の混合培養物から形成され得る。バイオフィルムは、水分と接触した固体状の基層上、生物の軟部組織表面上、および気液界面で形成され得る。バイオフィルム産生の典型的な場所としては、海洋環境または淡水環境の岩および他の基層表面が挙げられる。バイオフィルムは一般に、生物、すなわち植物および動物にも結合している。豊富に水を含む媒体に常に浸されている歯および腸粘膜などの組織表面は、微生物自体が産生する細胞外多糖類に覆われた微生物の複合集団を急速に発達させる。ヨード可染性の多糖類またはグリコーゲン様分子を細胞内部に貯蔵する口腔細菌の能力は、これらの貯蔵化合物が乳酸形成の起こり得る時間を延ばすことがあることから、虫歯を伴う。このように乳酸に長期にさらされることにより、歯のエナメル質の脱灰が起こる。
【0011】
微生物バイオフィルムは、主に居住環境改善の技術分野で使用されてきた。民間住宅につながる浄水場、下水処理場、および汚水処理システムは、バイオフィルムとの相互作用を通して、病原菌を除去し、水または下水中の有機物質の量を低減させている。一方、バイオフィルムは、特に人工基材が導入されている患者の健康に対して大きな脅威になり得る。また、バイオフィルムは、フジツボを発生させるとともにオイルポンプ又は除湿器などのパイプの表面または内表面を腐食させることがあり、船の底部にとっても脅威である。
【0012】
前述の発展にもかかわらず、汎用性を有する抗菌薬組成物を提供することが望まれている。多量体タンパク質のユニットの平衡状態を乱すことができる作用物質、例えば、植物および/または細菌のテトラピロール生合成を阻害することができる阻害物質を提供することがさらに望まれている。ヒトおよび動物には適用されない機序によってこのような阻害を実現し、それにより静菌活性、抗菌活性、または除草活性に関する新規で特異性の高い方法を作り出すことがさらに望まれている。
【0013】
本願で引用されるすべての参考文献は、その全体が本願に援用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、多量体タンパク質の結合部位に結合し、それによってユニットの平衡状態に影響を与えて多量体タンパク質に影響を与えるように適合された作用物質を含む組成物であって、前記多量体タンパク質は複数の前記ユニットを有する集合体を含み、前記ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ1つのユニットの第1の相補的表面は別のユニットの第2の相補的表面に結合しており、ただし、その集合体は、前記多量体タンパク質中で(1)前記ユニットの各々の構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)4次構造の異なるアイソフォームの構造が多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である組成物を提供する。いくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質に影響を与えることは、4次構造のアイソフォームの形成に影響を与えることを含む。
【課題を解決するための手段】
【0015】
いくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質に影響を与えることは、前記多量体タンパク質の機能に影響を与えることを含む。前記多量体タンパク質の機能の非限定的な例は活性であり、この場合、影響を与えることは、阻害または活性化の少なくとも1つである。
【0016】
いくつかの実施形態では、作用物質は、より低い活性を有する4次構造のアイソフォーム、またはより高い活性を有する4次構造のアイソフォームの少なくとも1つに結合する。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記ユニットの各々は、単量体、2量体、3量体、4量体、6量体、および8量体からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質は、ポルホビリノゲンシンターゼおよびクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼからなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質は、8個のポルホビリノゲンシンターゼ単量体からなるポルホビリノゲンシンターゼである。別の実施形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の有する単量体は8個未満である。
【0019】
いくつかの実施形態では、より低い活性を有する前記4次構造のアイソフォームに結合する阻害物質であり、該4次構造のアイソフォームは8個未満のポルホビリノゲンシンターゼの単量体を含む。いくつかの実施形態では、この阻害物質は、ロスマリン酸またはその誘導体である。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質は、クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼであり、作用物質は、より低い活性を有する4次構造のアイソフォームに特有の結合部位に選択的に結合することによって、クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼを阻害する。
【0021】
また、第2の数の単量体を有する多量体ポルホビリノゲンシンターゼのより低い活性型に結合することによって、第1の数の単量体を有する多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合された阻害物質を含む組成物であって、単量体の第1の数が単量体の第2の数より多い組成物も提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、細菌、古細菌、または真核生物に由来し、ただし、8量体のポルホビリノゲンシンターゼはアロステリックなマグネシウム結合部位を含んでいる。この実施形態の1変形では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは触媒作用の亜鉛結合部位を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、アロステリックなマグネシウム結合部位および触媒作用の亜鉛結合部位を含まない。
いくつかの実施形態では、前記より低い活性型は6量体である。いくつかの実施形態では、前記より低い活性型は2量体である。いくつかの実施形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型は8量体である。
【0024】
いくつかの実施形態では、阻害物質は金属イオンを置換し、それによって金属イオン結合部位で結合する。いくつかの実施形態では、この金属イオンは亜鉛および/またはマグネシウムである。
【0025】
いくつかの実施形態では、阻害物質は活性部位で結合する。
いくつかの実施形態では、阻害物質は金属陽イオンではない。
いくつかの実施形態では、阻害物質は、前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合され、該活性型は、8個未満の単量体を含むポルホビリノゲンシンターゼのより低い活性型の会合を不可能にする(hug−disabling)ドメインに結合することによる8量体ポルホビリノゲンシンターゼである。
【0026】
いくつかの実施形態では、阻害物質は、活性部位および/または金属イオン結合部位以外の部位で結合することによって、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合される。
【0027】
いくつかの実施形態では、阻害物質は、金属イオンを除去する以外の機序によって、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合される。
いくつかの実施形態では、組成物は、製薬上許容される媒体、口腔に許容される担体、抗菌性の媒体、および除草効果のある媒体からなる群から選択される送達媒体をさらに含む。
【0028】
好都合なことに、この組成物は、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害または防止し、それによって細菌、古細菌、および/または真核生物の発生または成長を阻害または防止するのに有効であり、ただし、この多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型はアロステリックなマグネシウム結合部位を含む。この実施形態の1変形では、この組成物は、細菌、古細菌、および/または真核生物に接触することによって引き起こされる疾患を治療または予防するのに有効である。この実施形態の1変形では、この組成物は、薬物、練り歯磨き、石鹸、消毒剤(desinfectant)、抗バイオフィルム組成物、および除草剤の少なくとも1種である。
【0029】
いくつかの実施形態では、この組成物は、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害または防止し、それによって細菌、古細菌、および/または真核生物の発生または成長を阻害または防止するのに有効であり、ただし、この多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型は、アロステリックなマグネシウム結合部位および触媒作用の亜鉛を含まない。この実施形態の1変形では、この組成物は、細菌、古細菌、および/または真核生物に接触することによって引き起こされる疾患を治療または予防するのに有効である。この実施形態の1変形では、この組成物は、薬物、練り歯磨き、石鹸、および消毒剤の少なくとも1種である。
【0030】
さらに、会合した2量体からなる多量体中に実質的に存在する多量体ポルホビリノゲンシンターゼの形質転換に適合された除草剤耐性植物が提供される。いくつかの実施形態では、この多量体ポルホビリノゲンシンターゼはヒト由来である。いくつかの実施形態では、この多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、アロステリックなマグネシウム結合部位を含まない。
【0031】
さらに、触媒機能のために亜鉛を必要としない多量体ポルホビリノゲンシンターゼに結合するように適合された阻害物質を含む組成物が提供される。
また、多量体タンパク質に影響を与える方法も提供され、該方法は、複数のユニットを有する集合体を含み、前記ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ1つのユニットの第1の相補的表面は別のユニットの第2の相補的表面に結合しており、ただし、その集合体は、(1)前記ユニットの構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)4次構造の異なるアイソフォームの構造が前記多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である前記多量体タンパク質を準備する工程と、前記集合体の結合部位に結合することによって平衡状態に影響を与えるように適合された作用物質を含む本発明の組成物を準備する工程と、結合部位に結合することによって平衡状態に影響を与える作用物質に集合体を接触させ、それによって多量体タンパク質に影響を与える工程とを備える。この方法のいくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質に影響を与える工程は、4次構造のアイソフォームの形成に影響を与える工程を含む。この方法のいくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質に影響を与える工程は、前記多量体タンパク質の機能に影響を与える工程を含む。
【0032】
この方法のいくつかの実施形態では、ユニットは、単量体、2量体、3量体、4量体、6量体、および8量体からなる群から選択される。
この方法のいくつかの実施形態では、作用物質は、前記多量体タンパク質の機能に影響を与えるように適合される。
【0033】
この方法のいくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質の機能は活性であり、この場合、影響を与える工程は、阻害する工程または活性化させる工程の少なくとも1つである。
【0034】
この方法のいくつかの実施形態では、作用物質は、より低い活性を有する4次構造のアイソフォーム、またはより高い活性を有する4次構造のアイソフォームの少なくとも1つに結合する。
【0035】
この方法のいくつかの実施形態では、作用物質は、より高い活性を有する4次構造のアイソフォームに結合する。
この方法のいくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質は、ポルホビリノゲンシンターゼおよびクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼからなる群から選択される。
【0036】
この方法のいくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質は、8個のポルホビリノゲンシンターゼ単量体からなるポルホビリノゲンシンターゼである。
この方法のいくつかの実施形態では、前記多量体タンパク質はクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼであり、作用物質は、より低い活性を有する4次構造のアイソフォームに特有の結合部位に選択的に結合することによって、クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼを阻害する。
【0037】
さらに、細胞、組織、または生物の生理活性の調節方法も提供され、該方法は、複数のユニットを有する集合体を含む多量体タンパク質であって、ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ1つのユニットの第1の相補的表面は別のユニットの第2の相補的表面に結合しており、ただし、その集合体は、(1)前記ユニットの構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)4次構造の異なるアイソフォームの構造が多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である多量体タンパク質を含む細胞、組織、または生物を準備する工程と、ユニットの結合部位に結合することによって平衡状態に影響を与え、それによって4次構造のアイソフォームの形成に影響を与えて前記生理活性を調節するように適合された作用物質を含む本発明の組成物を、前記細胞、組織、または生物に与える工程とを備える。
【0038】
さらに、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型形成の阻害方法も提供され、該方法は、本発明の組成物を多量体ポルホビリノゲンシンターゼに適用する工程と、前記組成物をより低い活性型と結合させる工程と、より低い活性型が集合して活性型になるのを阻害し、それによって多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型形成を阻害する工程とを備える。
【0039】
さらに、除草剤に耐性であり、かつ会合した2量体からなる多量体中に実質的に存在する多量体ポルホビリノゲンシンターゼの形質転換に適合された植物に、除草剤である本発明の組成物を適用する工程を備える、植物の成長または発育の操作方法も提供される。この方法の1変形では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、アロステリックなマグネシウム結合部位を含まない。
【0040】
さらに、抗菌性表面の製造方法も提供され、該方法は、
(1)多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型形成を阻害または防止し、それによって細菌、古細菌、および/または真核生物の発生または成長を阻害または防止するのに有効であり、ただし、多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型はアロステリックなマグネシウム結合部位を含み、かつ組成物は薬剤、練り歯磨き、石鹸、消毒剤、抗バイオフィルム組成物、および除草剤の少なくとも1種である本発明の組成物を準備する工程と、(2)表面を形成するマトリックスを準備する工程と、(3)表面を形成するマトリックスに組成物を結合させ、それによって抗菌性の表面を製造する工程とを備える。この方法の1変形では、抗菌性表面は、バイオフィルムの形成を防止または阻害するように適合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下の図面と共に本発明を記述する。図面中の同じ参照番号は、同じ要素を示す。
本発明は、本発明者によるテトラピロール生合成の基礎科学に関する研究によって促進された。本発明は、シグナル伝達および細胞周期制御に関与する様々なオリゴマー形成状態が経路をいかにアップレギュレートまたはダウンレギュレートすることができるかについて考察するための新たな方法を提供する。本発明によって、任意のタンパク質におけるアロステリック調節が複数の「モルフェイン(morphein)」間の平衡によって規定され得るというタンパク質活性は、これらのモルフェインのいずれかに固有の表面特徴に結合することで4次構造形態における平衡を変化させる作用物質(例えば小分子)によって調節され得る。
【0042】
本発明の特定の実施形態によると、テトラピロール生合成は、PBGSのモルフェイン間の平衡を調節することによって調節され得る。本発明の特定の実施形態によると、PBGS6量体に固有の表面成分に優先的に相互作用し、モルフェインの分布を6量体形態(植物および一部の細菌が有するPBGSの場合に不活性型であると考えられる)の方に転位させることが可能な阻害剤分子が発見され得る。
【0043】
有利なことに、本発明は、多量体タンパク質の結合部位に結合し、それによってユニットの平衡状態に影響を与えることにより多量体タンパク質に影響を与えるように適合された作用物質を含む組成物であって、前記多量体タンパク質が複数の前記ユニットを有する集合体を含み、前記ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ、1つのユニットの第1の相補的表面は別のユニットの第2の相補的表面に結合しており、ただし、その集合体は、前記多量体タンパク質中で(1)前記ユニットの各々の構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)4次構造の異なるアイソフォームの構造が多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である組成物を提供する。本発明の組成物は、ヒトもしくは動物の宿主の中での細菌、古細菌、および/または真核生物の発生または成長を阻害あるいは防止するのに利用され得る。例えば、本発明の組成物は、薬物、練り歯磨き粉、石鹸、消毒薬、抗バイオフィルム組成物、および除草剤の形態で利用され得る。本発明は、標的生物の選択における、かつそれに作用することで所望の効果を得るための指針を提供する。
【0044】
多量体タンパク質のユニットは、例えば単量体、2量体、3量体、4量体、6量体、8量体などでありうる。特定の実施形態では、前記多量体タンパク質に影響を与えることは、4次構造のアイソフォームの形成に影響を与えることを含む。特定の実施形態では、前記多量体タンパク質に影響を与えることは、前記多量体タンパク質の機能に影響を与えることを含む。前記多量体タンパク質の機能例として活性が挙げられるが、これに限定されることなく、またこの場合、影響を与えることは阻害すること、または活性化することの少なくとも一方である。後述するように、適用に依存して、作用物質は、低下した活性を示す4次構造のアイソフォームもしくは亢進した活性を示す4次構造のアイソフォームの少なくとも一方に結合することができ、多量体タンパク質の阻害または活性化が生じる。
【0045】
典型的な多量体タンパク質は、ポルホビリノゲンシンターゼおよびクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼである。このように、特定の実施形態では、作用物質は、低い活性を有する4次構造のアイソフォームに結合する阻害剤であり、この場合、4次構造のアイソフォームは8個未満のポルホビリノゲンシンターゼ単量体を含有する。同様に、多量体タンパク質がクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼである場合、作用物質は、活性がより低い4次構造のアイソフォームに固有の結合部位に対する選択的結合を介して、クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼを阻害する。
【0046】
ところで本発明は、多量体タンパク質の1例としてPBGSを用いて説明される。したがって、本発明は、2番目の単量体を有する活性の低い形態の多量体ポルホビリノゲンシンターゼに結合することによって、1番目の単量体を有するある活性を有する形態の多量体ポルホビリノゲンシンターゼの形成を阻害するのに適する阻害剤を含む組成物を提供する。この場合、1番目の単量体は2番目の単量体よりも高い。
【0047】
発明者は、PBGSが8量体と6量体という少なくとも2種類の代替4次構造で存在する可能性があることを見出している。PBGSの単量体の数が低下した多量体PBGSも、本発明に包含される。以前は、8量体形態のみが存在することが知られていた。両方の形態において、単量体はバレルのC末端300アミノ酸からなるα8β8を含有し、この場合、α8β8バレルの中心は活性部位を含有する。サブユニットにおいて長さが可変であるN末端部は、オリゴマー形態、すなわち8量体と6量体の両方においてサブユニット間の大規模な相互作用に関与する延長されたアーム構造を形成する。2種類の4次構造間の主な差異はN末端アームの立体配座である。
【0048】
特定の実施形態では、8量体のポルホビリノゲンシンターゼがアロステリックなマグネシウム結合部位を含有するという条件で、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、細菌、古細菌、または真核生物を由来とする。本実施形態の1種類の変異体では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、触媒性を有する亜鉛結合部位を含有する。
【0049】
以下に示す概念および定義は、発明の詳細な説明を理解するにあたり当該技術を援助するために提供される。
モルフェインの概念
現代生化学の1つの定説では、タンパク質の3次元構造はタンパク質のアミノ酸配列の直接的な結果である。それ故に、1つのタンパク質配列が1つの天然構造を構成することを我々は教示される。プリオンの発見はその1つの構造に関する概念に異議を唱えるが、プリオンが「ミスフォールドされた」ものと考えられる場合にはそのようなことはない。本発明は、新発見である単量体ユニットにおける立体構造変化の生理的に妥当な結果に相当する代替のタンパク質4次構造を有するモルフェインの発見を利用する。モルフェインの場合、代替の天然状態はエネルギー面で互いに近いが、図17〜20で概略的に示されるように、各状態は種々の有限な4次構造の多重度を決定づける。モルフェインに関する第1の実施例は、4次構造の平衡がアロステリズム現象における構造的基盤を形成する場であるポルホビリノゲンシンターゼ(PBGS)系についてである。
【0050】
図17〜20において、基本構造ユニットは単量体であり、任意の2つのユニットの結合は太線に隣接して点線を配置することによって促進される。これは集合体の規則である。図19は、集合体の多重度が基本構造ユニット(単量体として示される)の形状および集合体の規則によって決定されるという概念に関する2次元図面である。図19によると、基本ユニットには4つの異なる形状が存在する。すなわち、左隅におけるパックマン(pac−man)様形状の単量体は、太線に点線を隣接配置する方法においてそれ自体で会合することができず、この単量体はオリゴマーを形成することができない。半楕円形状の単量体はそれ自体で会合することができ、2量体を形成する。一旦2量体が形成されると、すべての点線がすべての太線に隣接し、オリゴマー形成が2量体状態で停止する。すべての点線をすべての太線に隣接させるために、パイウェッジ(pie−wedge)形状は同様の方法で、それ自体で会合することができるが、3つのユニットが必要である。このパイウェッジ単量体は、3量体へと多量体化ことになる。最後に、同じ論理に従うと、正方形の単量体形態は、4量体の集合体を形成することになる。モルフェインの概念の範囲内で機能すると、各多量体は、異なるKm値およびVmax値などの異なる生理的に適切な機能特性を有する。例えば、多量体には高い酵素活性を有するアロステリックが「オン状態」のものもあれば、低い活性を有するアロステリックが「オフ状態」のものもありうると考えられる。あるいは、異なるオリゴマーの機能はオリゴマーの分子表面に違いがある結果であるかもしれないと考えられる。例えば、図17〜20における3量体の表面が丸いことから、楕円表面の2量体または点表面の4量体とは異なる受容体または結合パートナーと相互作用すると思われる。これらの分子表面の違いは、複合体における細胞の局在化を決定づけることができると考えられる。
【0051】
アロステリズムは、アロステリック調節物質分子を触媒部位ではないタンパク質上の結合部位に結合させることによって酵素活性が影響を受けるという一般的概念である。アロステリック調節のモデルの大半は、活性および不活性状態が同じ多重度を有するオリゴマーであり、これら2つの形態が互いに平衡状態であり、そしてアロステリック調節物質分子の結合がこの平衡をシフト可能であるということを提示する。一般に、アロステリック調節物質が結合するのはどこか、いかに2つの形態が互いに異なるか、なぜ一方の形態が他方よりも活性があるのかに関する理解を可能にするための構造情報(例えば、3次元X線結晶構造)は不十分である。筆者らは最近、酵素ポルホビリノゲンシンターゼ(PBGS)における2つの異なる4次構造形態を発見した。これにより、これらの形態について検討し、マグネシウムによる一部の生物のPBGSのアロステリック調節について合理的な仮説を立てることは可能である。この発見は、モルフェインに関する第1の具体的な例であり、本願の本文中に詳細に説明される。しかしながら、PBGSの代替の4次構造の形態を観察すると、タンパク質機能における調節機構としてのモルフェインの概念の概要およびモルフェイン形態のいずれかを捕捉することができる作用物質の説明が導かれ、例えばタンパク質の機能が決定される。図17は、例えば図19に示される4量体および3量体を用いてこの概念を図示するが、スプリンター(splinter)を付加することで専ら4量体に結合することができるアロステリック調節物質が図示される。スプリンターの結合によって4次構造の平衡が乱れ、系を4量体形態の方に引き寄せる。図20は、タンパク質の所望の4次状態を捕捉してから平衡をその状態に引き寄せるように作用可能な作用物質(ウェッジとして示される)の概念について図示する。したがって、モルフェインの4次構造の平衡を乱すことができるこれらの作用物質は、タンパク質を阻害することができるか、または活性化することができる。本発明の一つの実施形態では、作用物質は、不活性型を捕捉することによって活性型の形成を防止する阻害剤である。一つの実施形態では、タンパク質がPBGSであり、不活性型が6量体であり、そして活性型が8量体である。阻害剤の例として、ローズマリー酸またはその誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の別の実施形態では、作用物質は、タンパク質の活性型を捕捉する活性化因子である。
【0052】
「プロモーター」または「プロモーター領域」という用語は、正確な部位での転写の開始に必要なRNAポリメラーゼなどの因子に対する認識部位の供与によるメッセンジャーRNA(mRNA)産生の制御によってコード配列の発現を制御する、通常はコード配列に対して認められる上流(5’)における核酸配列を示す。本願において検討されているように、プロモーターまたはプロモーター領域は、ライゲーションを介して様々な調節配列、ランダムな、もしくは制御された突然変異誘発、およびエンハンサー配列の付加もしくは複製に対して派生されるプロモーターのバリエーションを含む。本願において開示されるプロモーター領域およびその生物学的な機能的等価物は、適切な組み換えベクターの一部として宿主に導入される際、そのmRNA産生能によって実証されるように、それらの制御下でコード配列の転写を促進する役割を担う。
【0053】
「再生」は、植物を植物細胞(例えば、植物プロトプラストまたは外植片)から成長させる工程を意味する。
「形質転換」は、外因性核酸が染色体内に組み込まれる、もしくは自律的な複製能を有する細胞またはプロトプラストの内部に外因性核酸配列(例えば、ベクター、組み換え核酸分子)を導入する工程を意味する。
【0054】
「形質転換細胞」は、外因性核酸分子を細胞内に導入することによって内在するDNAが改変されている細胞である。
「遺伝子」という用語は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質もしくはRNA分子をコードする、染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNAなどのDNA、および発現調節に関与するコード配列に隣接する領域を意味する。
【0055】
「プロモーター領域とは異種のDNAセグメント」という句は、現在付着されている対象のプロモーターと同一の遺伝子において天然には存在しないコーディングDNAセグメントを意味する。
【0056】
「コードするDNA」という用語は、本願において考察される酵素のいずれかをコードする染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、または合成DNAを意味する。
「ゲノム」という用語は、細菌に適用される場合、細菌宿主細胞内に存在する染色体とプラスミドとの両方を包含する。それ故、細菌宿主細胞内に導入される本発明のコードするDNAは、染色体として組み込まれるか、もしくはプラスミドとして局在化される。「ゲノム」という用語は、植物細胞に適用される場合、核内に認められる染色体DNAだけでなく、細胞の細胞成分内に認められるオルガネラDNAも包含する。したがって、植物細胞内に導入される本発明のDNAは、染色体として組み込まれるか、もしくはオルガネラとして局在化される。
【0057】
「除草剤」という用語は、植物、植物細胞、植物の種、もしくは植物組織を殺す、またはその成長を抑制するのに用いられる化学物質を意味する。
「阻害剤」という用語は、生物の成長もしくは生存に必須である生合成酵素、受容体、シグナル形質導入タンパク質、構造遺伝子産物、または輸送タンパク質などのタンパク質の酵素活性を不活化する化学物質を意味する。本発明の文脈において、阻害剤は、ポルホビリノゲンシンターゼの酵素活性を不活化する化学物質である。「除草剤」という用語が本願において用いられることで、阻害剤は植物、植物細胞、植物の種、もしくは植物組織に適用される場合に定義される。
【0058】
「微生物」という用語は、藻類、細菌、古細菌、真菌、原虫などを意味する。
「過剰発現」は、宿主細胞に導入されるDNAによってコードされるポリペプチドまたはタンパク質の発現を意味する。この場合、前記ポリペプチドまたはタンパク質は通常、宿主細胞内に存在しない、あるいは前記ポリペプチドまたはタンパク質は、前記ポリペプチドもしくはタンパク質をコードする内因性遺伝子から通常発現されるものより高レベルで該宿主細胞内に存在する。
【0059】
「植物」という用語は、任意の発生段階にある任意の植物または植物の一部を意味する。これらにおいては、切片、細胞もしくは組織培養物、種なども含まれる。本発明と関連して用いられる場合には、「植物組織」という用語は、植物全体、植物細胞、植物器官、植物の種、プロトプラスト、カルス、細胞培養物、構造および/または機能ユニットとして組織される植物細胞の任意のグループなどを含むがこれらに限定されない。
【0060】
「色素体」という用語は、アミロプラスト、葉緑体、有色体、エライオプラスト、エオプラスト、エチオプラスト、白色体、原色素体などを含む植物細胞器官のクラスを意味する。これらの器官は自己複製し、植物種に依存して大きさが約120kbから約217kbの範囲である環状DNA分子であり、通常は逆位反復領域を含有する「葉緑体ゲノム」として一般に称されるものを含有する。
【0061】
「固体」という用語は、主にデンプンおよび他の多糖類、単炭水化物、非構造性炭水化物、アミノ酸、ならびに他の有機分子からなる塊茎(ポテト内など)または実(トマト内など)の非水成分を意味する。
【0062】
「耐性/抵抗性」という用語は、阻害剤もしくは除草剤に暴露される場合に正常な成長または機能を持続する能力を意味する。
「形質転換」という用語は、異種DNAを細胞、組織、または植物に導入するための工程を意味する。形質転換された細胞、組織、または植物は、形質転換工程の最終産物だけでなく、同工程で遺伝子組み換えされた子孫を包含するものと理解される。
【0063】
「経口組成物」という用語は、通常の使用過程において、特定の治療薬の全身投与を目的に意図的に飲み込まれるのではなく、むしろ経口作用を目的に実質上すべての口腔表面および/または口腔組織に接触するのに十分な時間、口腔内に保持される産物である。経口組成物は、単相の経口組成物であるか、2種類以上の経口組成物の組合せでありうる。
【0064】
本願において用いられる「口腔に許容される担体」という用語は、本組成物を口腔に安全かつ効果的な方法で適用するのに利用され得る適切な賦形剤を意味する。上記賦形剤は、フッ化物イオン原、さらなる抗結石剤、緩衝液、他の研削材、過酸化剤、アルカリ金属重炭酸塩、増粘剤、保湿剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、芳香系、甘味剤、キシリトール、着色剤、これらの混合物などの材料を含む場合がある。
【0065】
「モルフェイン」という用語は、種々の機能特性(例えば、種々の触媒特性)を有するタンパク質の種々の4次構造のアイソフォームについて説明するために、発明者によって本開示において用いられる。これら4次構造のアイソフォームにおいて追加される用語として、「クアトレインズ(quatreins)」、「イソクアトマーズ(isoquatomers)」、「セルケインズ(selkeins)」などが挙げられる。後者の用語は、特異的刺激に応答して形態および機能を変化することができるミシックセルキー(mythic selkie)の次に選択される。植物および一部の細菌PBGSの場合、モルフェイン間の転位に対する刺激は、アロステリック調節物質すなわち作用物質の1種(例えばマグネシウム)である。
【0066】
所定のタンパク質のモルフェインは、2次および3次構造において部分的な差異を有し、これらの差異は4次構造における差異を決定する。特定の局面では、モルフェインは、改変された4次構造(凝集状態)に至る立体構造変化を受けることができる1種のタンパク質配列であるプリオンに類似する。しかしながら他の局面では、モルフェインは、オリゴマーが無限の多重度を有し、4次構造変化が可逆的であり、非病理学的であり、そして正常な生理的制御工程の一部であるという点でプリオンとは異なっている。
【0067】
したがって、本発明では、モルフェイン(4次構造のアイソフォーム)を用いたアロステリック調節における一般的機構が提案される。この機構では、単量体構造がそれらの2次/3次構造の一部の局面において異なることから、これらの差異は集合体をモルフェインのいずれか一方に決定づける。この機構が図17〜20で概略的に図示される。
【0068】
図17は、2種類の形態のタンパク質(モルフェイン)間における平衡の2次元表現である。一形態(本願において正方形として示される)のユニット(例えば単量体)は、線、太線、点線、および波線である4つの異なる表面を含む。自然に結合する相補的表面は本願において点線を伴う太線として図示される。この関連は、ユニット間の係合の規則を規定する。正方形のサブユニット結合の可能性が満足される場合(換言すればすべての太線がすべての点線に結合する場合)、得られる最適な集合体は4量体である。したがって、オリゴマー集合体は、単量体の構造および係合の規則によって決定される。図17に示されるように、正方形構造は作用物質(例えば、アロステリック調節物質分子)の略図である「スプリンター(splinter)」に結合することができる。スプリンターを含む正方形の単量体と正方形の4量体との結合は、多量体タンパク質の機能に影響を与える。例えば植物および一部の細菌のPBGSの場合、マグネシウムはタンパク質のこれらの形態に安定性をもたらす。
【0069】
正方形ユニットは、その2次および3次構造の一部を共有するものの全部を共有するわけではないことから、表面特性の一部だけを共有する別の構造と平衡状態にある。図17に代替ユニットをセグメントとして図示する。この単量体は太線および点線によって描かれる表面を含有し、これらの表面間の係合の規則は正方形ユニットの場合と同じである。したがって、この係合の規則に準じて、代替ユニットが3量体内部に集合する。3量体構造およびその個々の成分がアロステリック調節物質分子(スプリンター)における結合部位を含有しないことは重要である。スプリンターが正方形およびそのオリゴマーを安定化させるため、スプリンターの存在によって4次構造の平衡が正方形およびそのオリゴマーの方に引き寄せられることになる。
【0070】
6量体PBGSの観察により、4次構造がいかにしてタンパク質機能のアロステリック調節に対する構造的基盤として寄与できるかということに関する第1の例が提供される。光合成生物および一部の細菌を由来とするPBGSでは、比活性のタンパク質濃度依存により、十分に活性がある(推定では8量体の)形態と不活性な(推定では6量体の)形態との間の平衡に対する証拠が提供される(図5A参照)。
【0071】
図17は、PBGSの挙動に関する一般的説明である。PBGSの場合、正方形は会合2量体であり、セグメントは分離した2量体である。各々の場合、これらの構造は、表面特性の一部を共有するが全部を共有せず、表面間の係合の規則は、2者の代替の構造間で共有される1次近似に対応する。PBGSの場合、オリゴマー構造における差異は機能特性の差異となって表現される。他のタンパク質の4次構造の差異が機能特性の差異となって表現されると仮定することは理にかなっている。受容体の二量化がシグナル形質導入に関連することは周知である。本発明に先立って認識されていることは、2量体構造内部の単量体構造が2量体構造と同じではない場合、単量体構造と同じでないことがある点である。
【0072】
モルフェインを含有するタンパク質に関する別の例として、クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼが挙げられるがこれに限定されない。クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼのアロステリック調節について提示された最近のモデルは、4量体と6量体との間の平衡について説明している(クーパーマン(Cooperman)およびカシュラン(Kashlan)、2003年、Adv.In Enzyme Regulation、第43巻:167〜187ページ)。この場合、モデルは略図のみで筆者らは推定上のモルフェインにおける差異を規定するタンパク質構造を把握していない。しかしながら、リボヌクレオチドレダクターゼは新規のDNA生合成にとって必須であり、クラスIa酵素がすべての真核生物内に認められ、そして新規のDNA生合成の阻害は癌の化学療法における合理的なアプローチである。したがって、クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼの機能(例えば阻害)への作用は活性がより低いモルフェインに固有の表面に対するエフェクターの選択的結合を介して実現することができる。
【0073】
本発明の多量体タンパク質は、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、天然ゲル電気泳動;分析用超遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー(大きさに基づく)によるタンパク質濃度に依存する比活性または異なる集合体内に分離する能力などの少なくとも1つの特性を有する必要がある。
【0074】
この平衡を実証するために、動態研究を行うことで、例えばKおよびVmaxやMM方程式に適合する基質濃度の関数としての活性を示すことができ、モルフェインは、双曲線にはあまりよく適合せずにむしろ2次双曲線に適合することになる(Nature Structure Biology参照)。
【0075】
多量体タンパク質の機能の例として、酵素活性や例えば種々のタンパク質に対する結合能などの他の分子との相互作用能が挙げられるがこれらに限定されない。同機能は阻害または亢進可能である。同機能における変化の監視は、当該技術分野の専門家であれば認識すると思われるように、例えば動的パラメータKおよびVmaxを監視することによって実施できる。本発明の特定の実施形態では、活性がより低いモルフェインの安定化を介するタンパク質機能の阻害。
【0076】
特定の実施形態では、作用物質は多量体タンパク質の機能に影響を与えるのに適応される。多量体タンパク質の機能例は活性に限定されることはなく、またこの場合の作用とは阻害または活性化の少なくとも一方である。特定の実施形態では、作用物質は、低下した活性を有する4次構造のアイソフォームに結合する。特定の実施形態では、作用物質は、亢進した活性を有する4次構造のアイソフォームに結合する。8量体のPBGSを阻害する作用物質例は後述されるがそれに限定されない。
【0077】
8量体形態を有するPBGSは、生理的に適切な濃度範囲における基質に結合し、生理pHで活性を有する。8量体は4種類の会合2量体からなり、この場合、1つのサブユニットのアームは、バレル間の強い相互作用がある場合の多数の隣接するサブユニットと会合する。
【0078】
新たに発見された6量体形態を有するPBGSは、植物および一部の病原菌を含むがヒト、動物もしくは真菌を含まない生物のサブセットにおけるテトラピロール生合成の調節における必須成分である。6量体形態は、生理的条件下で実質上不活性である。特に、6量体は、そのK値が少なくとも8量体のKよりも2桁大きいことから、生理的に適切な濃度範囲で基質に結合することができない。6量体は3つの分離した2量体からなり、ここでのN末端アームは隣接するサブユニットと相互作用せず、同サブユニットがあるとバレル間の連結が強い。
【0079】
6量体形態と8量体形態との間の転位は、タンパク質構造における顕著な変化に関与している。例えば、図5Aを参照のこと。本発明の特定の実施形態は、6量体から8量体への構造変化の阻害に関し、植物および/または細菌におけるPBGSの活性化およびテトラピロール生合成を阻害する。阻害機構が植物および細菌に有効であり、かつ動物には有効でないことから、本発明は、静菌性、抗生物質および除草剤の用途に対する新規のアプローチを提供する。
【0080】
したがって、特定の実施形態では、本発明は、マグネシウムによって生理的に調節されるこれらのPBGSにおける6量体から8量体への転位に関する阻害剤を含む。阻害剤は、既知または新規の化合物でありうる。阻害剤は、植物および病原菌内でのテトラピロール生合成を、それらの成長および発生における時点で阻害するのに有効である。ここで6量体から8量体への転位は生理的に重要である。6量体PBGSから8量体のPBGSへの4次構造上の転位の阻害は、抗生物質および除草剤の開発においては新規の標的である。
【0081】
一部ではアロステリックなマグネシウムを含み、それら以外では含まないPBGSタンパク質においては系統発生上のバリエーションがある。アロステリックなマグネシウムを有するPBGSは、古細菌、ロドバクター(Rhodobacter)属を除くすべての細菌およびすべての光合成真核生物(例えば緑色植物)からなる(24)。より最近になって現れた別の例外として、マラリア原虫Plasmodium falciparumがある。発明者が予め決定した大腸菌PBGSにおける結晶構造および本願において開示される6量体PBGSの構造に基づき、アロステリックなマグネシウムの役割は、活性がより低い6量体と活性がより高い8量体の間の構造変化を誘発することであるように見える。PBGSへのMgの作用に対する6量体−8量体の転位は、タンパク質機能のアロステリック調節における新規の構造上のパラダイムである。
【0082】
大腸菌PBGSの構造について図14A〜図15に示し、これはPBGS構造において一般的な金属結合バリエーションを図示するのに有用である。各大腸菌PBGS単量体は2種類の金属イオンを含有し、これらはいずれも系統発生的に保存されない。活性部位は大腸菌のPBGS活性に必須の亜鉛イオンを含有するが、その3種類のシステインリガンドは多くのPBGS内に存在しない。この亜鉛は、その第2の基質分子の結合および応答性において機能する(33)。亜鉛部位の詳細については図14Bに図示する。加えて、近隣サブユニットのN末端アームを含む各α、β−バレルの界面で結合すると認められるアロステリックなマグネシウムが存在するが、構造上の詳細を図15に示す。アロステリックなマグネシウムへの結合に対する配列決定基はすべてのPBGS内に存在しない。
【0083】
図6は、亜鉛の活性部位を用いるか否かや、アロステリックなマグネシウムを用いるか否かに基づいてPBGSを4つのグループに分類するための概略を図示する(24)。第1のマトリックス(中央より左)は、(a)左側の亜鉛の活性部位(影付き)と(b)右側の亜鉛の非活性部位(影なし)という2つのクラスに分かれる。第2のマトリックスは、(a)上部の非アロステリックなマグネシウム(ひし形)と(b)下部のアロステリックなマグネシウム(正方形)という2つのクラスに分かれる。これら2つのマトリックスを結合させると、4象限からなるマトリックス(中央より右)が提供される。ここで北西の象限(QNW)は+Zn/−Mgを示し、北東の象限(QNE)は−Zn/−Mgを示し、南西の象限(QSW)は+Zn/+Mgを示し、そして南東の象限(QSE)は−Zn/+Mgを示す。
【0084】
発明者は、既知の配列の4象限への以下の分布について予め定量化している:QNW=9;QNE=2;QSW=55およびQSE=63内(24)。したがって、ここで得られる配列の約半分は、要求される亜鉛の活性部位をコードし、残り半分はコードしていない(すなわち、QNW+QSW〜QNE+QSE)。金属の活性部位パターン分布と対照的に、90%を超えるPBGS配列は、アロステリックなマグネシウム結合に対する決定基を含有する(すなわち、QSW+QSE>>QNW+QNE)。
【0085】
阻害剤は、アロステリックなマグネシウムを含有するが亜鉛の活性部位(すなわちQSE内のPBGS)を含有しないPBGSのサブセットに対して極めて有効になろう。これらは光合成真核生物およびPseudomonas aeruginosaなどの病原体を含む細菌のサブセットである。これらのPBGSタンパク質は、タンパク質濃度に依存する比活性の特性を引き出し、このことは大きく活性のある4次構造の形態とより小さく活性がより低い4次構造の形態の間の相互交換について示唆する。さらにNE象限に見られるように、予備的証拠から活性型が6量体であることが示唆される。
【0086】
したがって、特定の好ましい実施形態では、8量体のPGBSがアロステリックなマグネシウム結合部位を含有するという条件で、本発明の阻害剤は、細菌、古細菌、もしくは真核生物由来の8量体PGBSの形成を阻害するのに有効である。本発明の組成物によって阻害できる8量体PGBSの供給原のリストを図13に示すがこれらに限定されない。これは細菌、古細菌および真核生物を含む生物の分類である。図7〜図10は、GenBankおよび他の2002年4月現在で利用され得るウェブ検索が可能なゲノムから得られたPBGS配列における活性部位の金属結合残基に関するアラインメントを示す。図6における4象限の1つへの生物の割り当ては、図7〜図12に示される配列情報に基づいている。亜鉛の活性部位である結合部位の存在は、活性部位リッド(ヒトPBGSの位置221)上のアルギニン残基と関連するシステインに富むクラスタ(ヒトPBGSの位置122、124、および132)によって示される。クラスタと結合するシステインに富む亜鉛の活性部位を有しない種は、代わりにアスパラギン酸に富む領域を含有し、かつ活性部位リッド残基はリジンである。
【0087】
本発明の特定の実施形態では、阻害剤は金属イオンを置換することによって金属イオン結合部位で結合し、また好ましくは、金属イオンは亜鉛またはマグネシウムである。本発明の特定の実施形態では、阻害剤は活性部位で結合する。阻害剤はどこかで結合することができるが、結合部位は1種類の4次構造を安定化させなけらばならない。一方の多量体に存在するが他方には存在しない部位に対して結合することが好ましい。
【0088】
本発明の阻害剤は、以下のプロトコルを用いて同定され得る。第1に、アロステリックなマグネシウムを含有するが亜鉛の活性部位を含有しないPBGSの6量体形態に対して1つのモデルが提供される。最初のモデルは、例えばエンドウ豆PBGSの1種でありうる。第2に、小分子データベースは、サブユニットのN末端部の隣接する会合を不可能にするドメインに適合することができる分子に対しコンピュータ内でスクリーニングされる。会合を不可能にするドメインは分離した2量体の少なくとも1つの領域であり、その上では、阻害剤の結合により、2量体のアームと、別の2量体を形成することで活性のある8量体を形成するのに必要な2量体のバレルとの会合が阻害される。丸印が阻害剤を示す図16を参照のこと。会合を不可能にするドメインの有望な部位は、会合アームがサブユニットのボディ(すなわち「アーム−ピット(arm−pit)」部)に結合する結合部の下に存在する。理論的には、適切な分子は、人工遺伝子コンストラクトの利用によって得られるエンドウ豆PBGSのタンパク質濃度に依存する比活性に対するそれらの効果を測定することにより、生体外において実験的に試験されることになる。タンパク質濃度による方法でタンパク質の比活性を阻害するこれらの分子は、適切な阻害剤の候補である。
【0089】
以下の方法によって、必ずしもPBGS上の会合を不可能にするドメイン内ではないどこかに結合することで8量体の形成を阻害することができる阻害剤を同定することが可能になろう。PBGSの比活性に対する機能アッセイを用いることで、まず有望な阻害剤が例えばヒトに対して無害な物質といったコンピュータによるスクリーニングにおいて同定されて得られる分子から選択されることになる。有望な阻害剤は、選択された後、さらにタンパク質濃度に基づく比活性への作用に対してスクリーニングされることになる。
【0090】
したがって、本発明は多量体タンパク質に影響を与える方法を提供する。その方法は、複数のユニットを有する集合体を含む前記多量体タンパク質を提供し、この場合、(1)前記ユニットの構造が前記相異なる4次構造のアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)前記相異なる4次構造のアイソフォームの構造が前記多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件を前提として集合体が相異なる4次構造のアイソフォームの少なくとも1つであるという条件で、前記ユニットのそれぞれが第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、1つのユニットの第1の相補的表面が別ユニットの前記第2の相補的表面に結合する;作用物質を含む本発明の組成物を提供し、この場合、作用物質が集合体上の結合部位に結合することを介して平衡に影響を与えるのに適する;ならびに集合体を作用物質に連結させ、この場合、作用物質が結合部位に結合することによって平衡に影響を与え、それによって前記多量体タンパク質に影響を与えるといった内容を含む。本方法の特定の実施形態では、前記多量体タンパク質への作用は、4次構造のアイソフォームの形成への作用を含む。本方法の特定の実施形態では、前記多量体タンパク質への作用は、前記多量体タンパク質の機能への作用を含む。
【0091】
さらに、多量体ポルホビリノゲンシンターゼを活性型の形成から阻害する方法が提供され、この方法は、本発明の組成物を多量体ポルホビリノゲンシンターゼに適用し、活性型が低下した組成物と結合させ、活性型の中に会合することから低下した活性型を阻害することによって多量体ポルホビリノゲンシンターゼを活性型の形成から阻害する。阻害剤の実施例は、ローズマリー酸またはその誘導体であるがこれらに限定されない。
【0092】
本発明の組成物の好ましい適用は、ヒトまたは動物の宿主内の細菌、古細菌、および/または真核生物の発生もしくは成長の阻害または予防である。本発明の組成物の他の適用として、細菌が誘発する損傷を認められ得る歯、管、船の管を含む様々な表面上、または水/空気の混合物中に含浸された一般的な任意の表面上のバイオフィルムの予防または阻害が挙げられる。したがって、例えば、本発明の組成物は、船の表面に付いたフジツボの成長を予防または阻害するのに有効である。
【0093】
標的化された生物に依存し、本発明の組成物を用いることで、特定の種によって誘発される損傷が予防または阻害され得る。これらの生物の如く表中のQSEにおける生物の例は、本発明の組成物の適用にとっての主な標的である。表1及び表2を指針として用いると、本発明の組成物の様々な適用として、例えば、薬物、練り歯磨き粉、石鹸、消毒薬、抗バイオフィルム組成物、除草剤などが想像され得る。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

有利なことに、本発明の組成物は、細菌、古細菌、および/または真核生物によって誘発される疾患を治癒または予防するのに有効である。組成物は、多量体PBGS(例えば、8量体PBGSまたは単量体の数が低下した別の活性型)の形態を予防することにより、細菌、古細菌、および/もしくは真核生物の発生または成長を阻害あるいは予防するのに有効である。特定の実施形態では、多量体PBGSは、アロステリックなマグネシウム結合部位を含む。本実施形態の1種類の変異体では、組成物は、細菌、古細菌、および/もしくは真核生物への接触によって誘発される疾患を治癒または予防するのに有効である。本実施形態のさらに別の変異体では、組成物は、薬物、練り歯磨き粉、石鹸、消毒薬、抗バイオフィルム組成物、および除草剤の少なくとも1つである。
【0096】
特定の実施形態では、組成物は、アロステリックなマグネシウム結合部位および亜鉛触媒を含有しない。本実施形態の1種類の変異体では、組成物は、細菌、古細菌、および/もしくは真核生物への接触によって誘発される疾患を治癒または予防するのに有効である。本実施形態のさらに別の変異体では、組成物は、薬物、練り歯磨き粉、石鹸、および消毒薬の少なくとも1つである。
【0097】
抗生物質、除草剤、および殺菌剤は、細菌、植物、もしくは真菌に特異的で、ヒト/動物内に存在しない必須経路の阻害に基づくことが多い。例えば、1)抗生物質のペニシリンクラスは細菌における細胞壁の生合成を標的とし、動物細胞は細胞壁をもたない、または2)除草剤グリホサートは芳香族アミノ酸生合成を標的とし、ヒトはこの経路をもたない、そして我々は芳香族アミノ酸を食しなければならない。様々なタンパク質/酵素における配列および構造上の差異についてさらに学ぶにつれて、動物、植物、細菌、および真菌に遍在する必須経路を標的にすることが可能になる。そのようなものとして、抗微生物剤または除草剤における基本であるPBGSの阻害を介してテトラピロール生合成経路を標的にする場合が挙げられる。様々な生物のPBGS間の金属の結合部位における系統発生上のバリエーションは、ヒトPBGSに対して阻害性を示すことのない阻害剤の開発にとっての十分な構造上の差異をもたらす。PBGSの場合、生物間にはモルフェイン形態間でかつモルフェイン表面のアミノ酸配列においてPBGSがもつ固有の平衡化能力に関する有意な差異が存在する。モルフェインの一形態の選択的安定化を介するタンパク質機能のより全体的な阻害の場合、標的がヒト内に存在しない経路である場合か、または標的が、モルフェイン表面が極めて異なる活性部位の外部で単に十分な系統発生上のバリエーションを有する場合でありうる。
【0098】
特定の実施形態では、組成物は、作用物質に加えて医薬品として許容される媒体を含む。「医薬品として許容される媒体」という表現は、組成物における阻害剤および任意の他の作用物質を比較的安全かつ有効な方法で標的生物に送達することができる溶媒などの媒体を意味する。媒体自体は、いかなる医薬品活性も備える必要はない。
【0099】
本願において用いられるように、「医薬品として許容される媒体」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。医薬品活性物質に対する上記媒体および作用物質の使用については、当該技術において周知である。任意の従来の媒体または作用物質が本発明の阻害剤と相いれない場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が検討される。補助活性成分は、本組成物内に組み込みれ得る。
【0100】
遊離塩基または医薬品として許容される塩としての活性成分の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適度に混合された水中で調製され得る。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、これらの混合物およびオイルの中で調製され得る。これらの製剤は、保存および使用における通常の条件下ですべての微生物の成長を防止するための保存剤を含有する。
【0101】
本発明の組成物は、従来の医薬品を含む場合がある。本発明によるこれら組成物の投与は、標的組織が任意の共通の経路を介して利用できる限り、同経路を介することになる。これは、口、鼻、ほお、直腸、膣、局所のいずれかを含む。あるいは、投与は、同所、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内のいずれかへの注射を含む。かかる組成物は、通常は上記のようにして医薬品として許容できる組成物として投与されると考えられる。
【0102】
本発明の組成物は、溶液もしくは懸濁液として注射可能な組成物の形態で有利に投与される。また、注射に先立ち、液体内の溶液もしくは懸濁液に適する固形もまた調製され得る。これらの製剤はさらに乳化される場合がある。上記目的に対する典型的な組成物は、リン酸緩衝生理食塩水1ml当たり50mgまたは最大で約100mgのヒト血清アルブミンを含む。他の医薬品として許容可能な担体として、塩、保存剤、緩衝液などを含む水溶液、毒性のない賦形剤などが挙げられる。非水溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、エチルオレアートなどの注射可能な有機エステルなどが挙げられる。水性担体として、水、アルコール/水溶液、食塩水、塩化ナトリウムなどの非経口媒体、リンゲル・デキストロースなどが挙げられる。静脈内媒体には、流体や栄養補給器が含まれる。保存剤として、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどが挙げられる。周知のパラメータにより、医薬品におけるpHおよび様々な成分の正確な濃度が調整される。
【0103】
添加製剤は経口投与に適している。経口製剤として、上記の典型的な賦形剤、例えば、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの医薬品グレードが挙げられる。組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、持続放出製剤、パウダーのいずれかの形態をとる。経路が局所的である場合、その形態は、クリーム、膏薬、軟膏またはスプレーでありうる。
【0104】
治療薬の有効量は、所望の目標に基づいて決定される。「単位用量」という用語は、被験者に対する使用に適した物理的に独立した単位を示し、各単位はその投与すなわち適切な経路および治療計画に関連して所望の応答を引き起こすように計算された治療用組成物の所定量を含む。多くの治療および単位用量の両方により、投与されるべき量は、治療されるべき被験者、被験者の状態および所望される予防に依存する。治療用組成物の正確な量は、施術者の判断にも依存し、各個人に特有である。
【0105】
本発明の組成物の別用途は除草剤であり、その組成物が除草効果のある媒体をさらに含む。「除草効果のある媒体」という表現は、阻害剤および組成物中の任意の他の作用物質を標的生物に送達することができる溶媒などの媒体を意味する。媒体自体は、いかなる除草効果も含む必要はない。
【0106】
抗菌組成物を作物に適用するための指針は以下のように提供される。すべての光合成真核生物は図6のQSE象限に該当することから、それら自体が本発明において提案される阻害剤にとっての標的である。しかしながら、図16に示されるアーム−ピット阻害剤結合部位は、植物と細菌の間の顕著な系統発生上のバリエーションを有する。
【0107】
故に、作物に対する抗菌スプレーの機能を果たす作用物質は、細菌PBGS内にあって植物PBGS内にはない、この部位に結合する物質である必要があると考えられる。
本発明の組成物は、通常は水による、いつでも即時使用され得る希釈組成物と使用前に希釈される必要がある濃縮された組成物との両方を含む。
【0108】
固体組成物は、顆粒、または活性成分が、例えばカオリン、ベントナイト、珪藻土、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク、粉末状マグネシア、フラー土、ギプス、これらの組合せのいずれかといった微粉化した固体希釈剤と混合された粉剤の形態でありうる。それらは液体中で粉末または粒子の分散を促進するための浸潤剤を含む、分散粉末または粒子の形態の状態でありうる。粉末の形態における固体組成物は、粉末として適用され得る。
【0109】
液体組成物は、溶液、懸濁液、または場合によって表面活性物質を含有する水中の活性成分の分散液を含む場合があり、あるいは溶液、または水中で液滴として分散される、水と混和しない有機溶媒中の活性成分の分散液を含みうる。除草剤組成物は、いつでも即時利用され得る希釈組成物を生成するためのタンク混合か、または濃縮の形態に対して適切である。
【0110】
溶液または分散液は、活性成分を場合によって湿潤剤もしくは分散剤(1種もしくは複数種)を含有する水または有機溶媒に溶解させ、次いで有機溶媒が用いられる際には、このようにして得られた混合物を場合によって湿潤剤もしくは分散剤(1種もしくは複数種)を含有する水に添加することによって調製され得る。適切な有機溶媒として、例えば、二塩化エチレン、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール、トルエン、ケロシン、メチルナフタレン、キシレン、トリクロロエチレン、これらの組合せのいずれかが挙げられる。
【0111】
他の添加剤およびアジュバントは、さらに本発明の組成物中に存在する場合がある。例として、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどの不凍剤、色素、分散剤、レオロジー剤、シリコーンベース物質などの消泡剤、エチレングリコールなどの保湿剤などが挙げられる。
【0112】
これに基づく除草剤の開発により、これらの耐性作物における図6の四象限の上半分である、例えばヒトPBGSといったPBGSに対して遺伝子組み換え(例えば別種から人工的に移された遺伝物質を含有)を行うことによって除草剤に耐性のある作物の開発が可能になる。
【0113】
除草剤耐性植物
さらに、実質的に会合2量体の多重結合の形態で存在する多量体ポルホビリノゲンシンターゼに対する遺伝子組み換えに適合した除草剤に耐性のある植物が提供される。特定の実施形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼはヒト由来である。特定の実施形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、アロステリックなマグネシウム結合部位を1つも含有しない。以下に、除草耐性植物を多量体ポルホビリノゲンシンターゼに対する遺伝子組み換えに適合させるための指針が提供される。
【0114】
2本鎖DNAの形態で存在する遺伝子の植物における発現は、RNAポリメラーゼ酵素によるDNAの1本鎖からのメッセンジャーRNA(mRNA)の転写および続いて起こる核内でのmRNA1次転写物のプロセシングに関与する。このプロセシングは、ポリアデニル酸ヌクレオチドをRNAの3’末端に付加させる3’非翻訳領域に関与する。DNAのmRNA内への転写は、通常プロモーターと称されるDNA領域によって調節される。プロモーター領域は、RNAポリメラーゼにシグナルを送ることでDNAと連携し、DNAの1本鎖を鋳型として用いてそれに対応するmRNAの相補鎖を作製することでmRNAの転写を開始させる塩基配列を含有する。次いでこのmRNAは、細胞におけるタンパク質生合成機構によってその中でコードされるタンパク質の産生に対する鋳型として用いられる。
【0115】
本発明では、選択されたプロモーターは、所望の組織および発生段階における特異性を有することになる。したがって、プロモーター機能は、所望の組織発現能力およびおおよそのプロモーター強度を有するプロモーターを選択し、所望のPBGS活性を産生させる形質転換細胞を選択することによって最適化される必要がある。植物ゲノム(一般に「位置効果」と称される)内部の遺伝子挿入部位に起因して同一の異種遺伝子を含有する形質転換細胞間にはバリエーションが存在することから、形質転換細胞のプールに端を発するこの選択的アプローチは通常、植物における異種の構造遺伝子の発現において用いられる。植物細胞内で(構成的または組織特異的)DNA転写を誘発することで知られるプロモーターに加えて、他のプロモーターは、対象時間内での選択的もしくは優先的に発現される遺伝子に対する植物cDNAライブラリのスクリーニングを行ってから当該技術で既知の方法によってプロモーター領域を単離することにより、本発明における利用に際して同定され得る。
【0116】
本発明の好ましい実施形態では、PBGSトランスジーンは、光に応答して葉緑体内で発現されるべきものである。より詳細には、PBGSトランスジーンは核内mRNA内に転写され、mRNAは細胞質内のポリペプチド前駆体(葉緑体輸送ペプチド(CTP)/PBGS)内に翻訳される。次いでポリペプチド前駆体は葉緑体内に輸送される(インポートされる)。植物細胞内で活性のある数種類の葉緑体における光による誘導プロモーターは、文献に記載されている。該プロモーターの例として、極めて豊富にある植物ポリペプチドであるリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ(ssRUBISCO)の小サブユニット由来の光による誘導プロモーター、クロロフィルla/b結合タンパク質遺伝子プロモーターおよび光スイッチング可能なプロモーター系において最近利用されているフィトクロムプロモーターが挙げられる(シミズ(Shimizu)−サトウ(Sato)ら、2002年)。これらのプロモーターの一部を用いることで、植物内で発現されている様々なタイプのDNAコンストラクトが作製されている。例えば国際公開第84/02913号パンフレットを参照のこと。
【0117】
光に応答して植物細胞内でDNAの転写を誘発することで知られ、またはそのように認められる他のプロモーターは、本発明において使用され得る。かかるプロモーターは、植物および植物ウイルスなどの種々のソースから取得され、機能強化されたCaMV35Sプロモーターやリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ(ssRUBISCO)遺伝子の小サブユニットなどの植物遺伝子から単離されたプロモーターを含むが、これらに限定されない。後述するように、選択された特定プロモーターは、成長を持続するのに十分なテトラピロールを産生するための有効量のPBGS酵素の産生を招く十分な発現を誘発可能である必要があることが好ましい。一つの実施形態では、該プロモーターは、植物の非光合成機能にとって必要なテトラピロールを提供するためにリーキー(leaky)である。
【0118】
色素体を標的とするPBGS活性の発現
本発明の好ましい実施形態では、PBGS遺伝子は、PBGSタンパク質を色素体に標的化するために、CTPに融合される。以下、葉緑体および色素体は、アミロプラストを含む様々な形態の色素体を含むように設けられている。多くの色素体が局在化されたタンパク質は、前駆体として核遺伝子から発現され、インポート段階の最中に除去されるCTPによって色素体に標的化される。上記葉緑体タンパク質の例として、リブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ(ssRUBISCO、SSU)の小サブユニット、5−エノールピルビン酸塩とシキミ酸−3−リン酸塩シンターゼ(EPSPS)、フェレドキシン、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、光捕集複合体のタンパク質Iおよびタンパク質II、チオレドキシンFなどが挙げられる。グリホサート耐性EPSPシンターゼ植物遺伝子は、CTPを含有するポリペプチドをさらにコードすることで、EPSPシンターゼポリペプチドの植物細胞内部の葉緑体内への輸送が可能になる(米国特許第5310667号明細書)。非色素体タンパク質は、CTPとのタンパク質融合を利用することによって葉緑体に標的化されることができ、CTP配列はタンパク質を色素体に標的化するのに十分であることが実証されている。特定の色素体トランジットペプチドの機能性を利用してPBGS酵素を植物細胞色素体内にインポートする様々な他のキメラコンストラクトが作成され得ることについて、当該技術ではさらに認識されることになる。PBGS遺伝子は、遺伝子の葉緑体ゲノムへの形質転換によって色素体にさらに標的化され得る(ダニエルら(Daniell et al.)、1998年)。一般にCTPなどの葉緑体の取り込みシグナルは、Ser、Thrおよび小さい疎水性アミノ酸残基内に豊富に存在する。
【0119】
本発明のDNAコンストラクトによって産生されるRNAは、5’非翻訳リーダー配列をさらに含有する場合がある。この配列は、遺伝子を発現するのに選択されるプロモーターから派生される可能性があり、mRNAの翻訳を亢進させるように特異的に修飾され得る。5’非翻訳領域は、適切な真核細胞遺伝子または合成遺伝子配列由来のウイルスRNAからさらに取得され得る。本発明はコンストラクトに限定されず、その中における非翻訳領域はプロモーター配列に伴う5’非翻訳配列由来である。それどころか非翻訳リーダー配列は、関連のないプロモーターまたはコード配列から派生される可能性がある。
【0120】
単子葉植物では、イントロンはコード配列の発現を促進し、亢進させるための遺伝子コンストラクトに含まれることが好ましい。適切なイントロンの例として、HSP70イントロン、イネアクチンイントロンなどが挙げられ、これら両者は当該技術で既知である。別の適切なイントロンはトウゴマの実のカタラーゼイントロンである(スズキら(Suzuki et al.)、1994年)。
【0121】
ポリアデニル化シグナル
キメラ植物遺伝子の3’非翻訳領域は、植物内で機能するポリアデニル化シグナルを含有することで、ポリアデニル酸ヌクレオチドのRNAの3’末端への付加を誘発する。適切な3’領域の例として、(1)ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子などのアグロバクテリウム腫瘍が誘発する(Ti)プラスミド遺伝子のポリアデニル化シグナルを含有する3’が転写された非翻訳領域、(2)大豆貯蔵タンパク質遺伝子およびリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ(ssRUBISCO)遺伝子の小サブユニットに類似する植物遺伝子などが挙げられる。
【0122】
植物形質転換/再生
本発明の核酸コンストラクトを発現させるために、コンストラクトまたはその断片の種々の成分は通常、例えば大腸菌といった細菌宿主内で複製可能なプラスミドを例とする利便性のあるクローニングベクター内に挿入されることになる。文献において説明されているベクターは極めて多く存在し、その多くは商用利用され得る。各クローニングの後に、所望の挿入を伴うクローニングベクターは、単離されることができ、所望の配列の成分に調整するために制限消化、新たな断片もしくはヌクレオチドの挿入、ライゲーション、欠失、突然変異、切除などのさらなる操作を実施することができる。コンストラクトは、一旦完成してしまうと、宿主細胞の形質転換の方法に従い、さらなる操作に適するベクターに移動することができる。
【0123】
本発明の組み換えDNA分子は通常、選択可能な遺伝マーカーを含むことで、形質転換細胞が非形質転換細胞から容易に同定されることができ、かつ選択され得る。上記の例として、カナマイシン耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(nptII)遺伝子(ポトリクスら(Potrykus et al.)、1985年)が挙げられるがこれに限定されない。nptII遺伝子を発現する細胞は、カナマイシンまたはG418などの適切な抗生物質を用いて選択され得る。他の一般に用いられる選択可能なマーカーとして、ビアラホス耐性を付与するbar遺伝子;グリホサート耐性を付与する突然変異体EPSPシンターゼ遺伝子(ヒンチーら(Hinchee et al.)、1988年);ブロモキシニルに耐性を付与するニトリラーゼ遺伝子(ストーカーら(Stalker et al.)、1988年);イミダゾリノンもしくはスルホニル尿素耐性を付与する突然変異体アセト乳酸シンターゼ遺伝子(ALS)(欧州特許出願第154204号明細書、1985年);メトトレキセイト耐性DHFR遺伝子(シレら(Thillet et al.)、1988年)などが挙げられる。
【0124】
PBGSトランスジーンを発現するように作製可能な植物として、アカシア、ムラサキウマゴヤシ、アネット、リンゴ、アプリコット、朝鮮アザミ、キバナスズシロ、アスパラガス、アボカド、バナナ、オオムギ、豆、ビート、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カノーラ、カンタロープ、ニンジン、キャッサバ、カリフラワー、セロリ、サクランボ、シラントロ、シトリス、クレメンタイン、コーヒー、トウモロコシ、綿、キュウリ、ダグラスファー、ナスビ、エンダイブ、キクヂシャ、ユーカリ、フェンネル、イチジク、ヘチマ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツのしずく、葛芋、キウイフルーツ、レタス、リーキ、レモン、ライム、テーダマツ、マンゴ、メロン、マッシュルーム、ナッツ、オートムギ、カブ、オクラ、オニオン、オレンジ、観賞植物、パパイヤ、パセリ、エンドウ豆、ピーチ、ピーナッツ、西洋ナシ、コショウ、柿、マツ、パイナップル、プランタン、プラム、ザクロ、ポプラ、ポテト、カボチャ、マルメロ、ラジアータパイン、赤チコリー、ダイコン、ラズベリー、米、ライムギ、モロコシ、サザンパイン、大豆、ホウレンソウ、スカッシュ、ストロベリー、サトウダイコン、サトウキビ、ヒマワリ、サツマイモ、アメリカフウ、タンジェリン、茶、タバコ、トマト、ライ小麦、ターフ、ブドウ、スイカ、小麦、ヤムイモ、ズッキーニなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0125】
PBGS遺伝子は、任意の適切な方法によって植物ゲノム内に挿入され得る。適切な植物形質転換ベクターとして、Agrobacterium tumefaciensのTiプラスミド由来のものや、例えばヘレーラ(Herrera)−エストレーリャ(Estrella)ら(1983年)、ベバン(Bevan)(1984年)、クリーら(Klee et al.)(1985年)および欧州特許出願公開第120516号明細書によって開示されたものが挙げられる。アグロバクテリウムのTiまたは根誘発(Ri)プラスミド由来の植物形質転換ベクターに加え、代替方法を用いることで本発明のDNAコンストラクトが植物細胞内に挿入され得る。上記方法は、例えば、リポソーム、エレクトロポレーション、遊離DNAの取り込みを亢進させる化学物質、微粒子銃を介した遊離DNAの送達、ウイルスもしくは花粉を用いた形質転換などの利用に関与する場合がある。DNAは葉緑体ゲノム(ダニエルら(Daniell et al.)、1998年)内にさらに挿入され得る。微粒子銃を用いた単子葉植物中のPBGS遺伝子の導入に適するプラスミド発現ベクターは、CTP;光による誘導プロモーター;PBGS遺伝子;Hsp70イントロン(国際公開第93/19189号パンフレット)などの遺伝子の発現を促進するスプライス部位を提供するイントロン;ノパリンシンターゼ3”配列(NOS3’;フラリーら(Fraley et al.)、1983年)などの3’ポリアデニル化配列などからなる。この発現カセットは、植物内部に挿入されるべき大量のDNA産生に適する高複製用レプリコン上でアセンブルすることがえきる。
【0126】
双子葉植物の形質転換における使用に特に有用なアグロバクテリウムに基づく植物形質転換ベクターは、プラスミドベクターpMON530(ロジャーズら(Rogers et al.)、1987年)である。プラスミドpMON530は、pMON316の2.3kbのStuI−HindIII断片をpMON526内に移動することによって調製されるpMON505の誘導体である(ロジャーズら(Rogers et al.)、1987年)。プラスミドpMON526は、SmaI部位がXmaIによる消化、すなわちKlenowポリメラーゼおよびライゲーションによる処理によって除去されるpMON505の単一の誘導体である。プラスミドpMON530は、pMON505およびCaMV35S−NOS発現カセットのすべての特性を保持することから、プロモーターとポリアデニル化シグナルの間のSmaIにおける固有の切断部位を含有する。
【0127】
バイナリーベクターpMON505は、Tiプラスミド相同領域のLIHが3.8kb HindIIIを用いてミニRK2プラスミドであるpTJS75のSmaIセグメントに置換されている、pMON200(ロジャーズら(Rogers et al.)、1987年)の誘導体である(シュミットホイザー(Schmidhauser)およびヘリンスキ(Helinski)、1985年)。このセグメントは、3親交配法を用いてアグロバクテリウム内にコンジュゲートするためのRK2複製起点であるoriV、および転写起点であるoriTを含有する(ホルシュ(Horsch)およびクリー(Klee)、1986年)。プラスミドpMON505は、所望のDNA断片の挿入に対する合成マルチリンカー、植物細胞内のカナマイシン耐性に対するキメラNOS/NPTII’/NOS遺伝子、大腸菌およびA.tumefaciensにおける選択に対するスペクチノマイシン/ストレプトマイシン耐性決定因子、子孫における形質転換細胞および遺伝的形質の容易なスコアリングに対するインタクトノパリンシンターゼ遺伝子、大腸菌内での大量のベクターの作製を容易にするためのpBR322複製起点を含む、pMON200に関するすべての重要な特徴を保持する。プラスミドpMON505は、pTiT37ノパリン型T−DNAの右末端由来の単一T−DNAボーダーを含有する。サザンブロット解析は、プラスミドpMON505およびそれが運ぶ任意のDNAが植物ゲノム内に組み込まれること、すなわちプラスミド全体が植物ゲノム内に挿入されるT−DNAであることを示している。組み込まれたDNAの一方の末端は右ボーダー配列とノパリンシンターゼ遺伝子との間に位置し、もう一方の末端はボーダー配列とpBR322配列との間に位置する。
【0128】
別の特に有用なTiプラスミドカセットベクターはpMON17227である。このベクターは、国際公開第92/04449号パンフレットに記載され、ポテトやトマトを含む多くの植物に対する優れた選択マーカー遺伝子である、グリホサート耐性(CP4と命名)を付与する酵素をコードする遺伝子を含有する。同遺伝子は、シロイヌナズナEPSPS葉緑体トランジットペプチド(CTP2)と融合され、同文献に記載されたFMVプロモーターから発現される。
【0129】
PBGS遺伝子を含有する細胞(またはプロトプラスト)が十分な数得られる場合、細胞(またはプロトプラスト)が植物全体に再生される。適切なプロトコルがマメ科(ムラサキウマゴヤシ、大豆、クローバーなど)、セリ科(ニンジン、セロリ、アメリカボウフウ)、アブラナ科(キャベツ、大根、カノーラ/菜種など)、ウリ科(メロンおよびキュウリ)、イネ科(小麦、オオムギ、米、トウモロコシなど)、ナス科(ポテト、タバコ、トマト、コショウ)、ヒマワリなどの様々な花作物、ならびにアーモンド、カシュー、クルミ、ペカンなどのカヤの木を由来とする宿主に使用可能である場合、再生ステップに対する方法論の選択は重要ではない。例えば、アンミラートら(Ammirato et al.)(1984年);シマモトら(Shimamoto et al.)(1989年);フロム(Fromm)(1990年);バジルら(Vasil et al.)(1990年);バジルら(Vasil et al.)(1992年);ハヤシモト(Hayashimoto)(1990年);ダッタら(Datta et al.)(1990年)などを参照のこと。
【0130】
一つの実施形態では、PBGS遺伝子は、PBGS酵素がMg2+を含まないがZn2+を含む種から派生する。好ましい実施形態では、同種は酵母またはヒトである。別の実施形態では、突然変異体PBGS遺伝子を用いることで、トランスジェニック植物が生成される。さらなる実施形態では、PBGS遺伝子が相同組み換えによって植物ゲノムに導入される。野生型ヒトPBGSゲノムDNAおよびトランスジェニック植物を生成するのに利用できる完全長cDNAについて下記に示す。
【0131】
ヒトPBGS遺伝子(配列番号1):
cttacgcggtctgtgggagaccggagcgggagacagcggtgacaggagcagcggccgggagcccttagggaggcagacagagcctgcagccaatgccccaggagccctcggttccaaccaactgatgcccctgtgcccactggcccacgccatgcagccccagtccgttctgcacagcggctacttccacccactacttcgggcctggcagacagccaccaccaccctcaatgcctccaacctcatctaccccatctttgtcacggatgttcctgatgacatacagcctatcaccagcctcccaggagtggccaggtatggtgtgaagcggctggaagagatgctgaggcccttggtggaagagggcctacgctgtgtcttgatctttggcgtccccagcagagttcccaaggacgagcggggttccgcagctgactccgaggagtccccagctattgaggcaatccatctgttgaggaagaccttccccaacctcctggtggcctgtgatgtctgcctgtgtccctacacctcccatggtcactgcgggctcctgagtgaaaacggagcattccgggctgaggagagccgccagcggctggctgaggtggcattggcgtatgccaaggcaggatgtcaggtggtagccccgtcggacatgatggatggacgcgtggaagccatcaaagaggccctgatggcacatggacttggcaacagggtatcggtgatgagctacagtgccaaatttgcttcctgtttctatggccctttccgggatgcagctaagtcaagcccagcttttggggaccgccgctgctaccagctgccccctggagcacgaggcctggctctccgagctgtggaccgggatgtacgggaaggagctgacatgctcatggtgaagccgggaatgccctacctggacatcgtgcgggaggtaaaggacaagcaccctgacctccctctcgccgtgtaccacgtctctggagagtttgccatgctgtggcatggagcccaggccggggcatttgatctcaaggctgccgtactggaggccatgactgccttccgcagagcaggtgctgacatcatcatcacctactacacaccgcagctgctgcagtggctgaaggaggaatgatggagacagtgccaggcccaagaactagaactttaaaacgttcccggggcctcagacaagtgaaaaccaaagtaaatgctgcttttagaactgtgccctcatgccctcttcctgctcacatgctagcggggcccagcagccctgggtggttttgccagcatgctaactcttgtaactcgcagctgcatcctatgagctctcccaagcttccccgcccctcccctgggtcagccgtgaggcccacctttgccaccctcagctctttcctctggtgtggcttcagcttgaaagcaacctggagtcgggggcacagcctttggggcctggctgggagagggtcttggagcattaggggaagaagagagcagtgggatcttggggcctgagaagccttggaacgcttctggcagcagagctgggtgtgggaatgaggcctagatcgatatccctgggttagagttgaaatttgccgcaattccactggaaggcatttcccacgaggccagaggttgccaggctgcctgaggtctcctattctactctgaaccataaacccagagaagaattactcattaaccagcataaatactgcctgaggatcaaaactcagaggcaaagagggagttcctgactgctagaggtgccaccaccacaaacactttttattcaggagatactttttgagaatctctgctctgttcctaggttcagtgctgggtcctgggaatacagcaggacagacctcagcttatctcttcatagaaattatacaaagagaattggggagacagctaagaagaaaacaaagaaataaagcagttacaaattgtgataagtgctttgaaggaaagaaggggtctgagacaacaacagggaaggggcctctcttgaaacagtagttgggaaggaggcagacatgcaccagtgatgtggtgacaggtgctctgaaggaggtcaccaggacctgacctctttgaaggatcagaaaatacttccctgaaggactgacatttgagcctagacctgaagggtgagccatcaagctaagacaattggggaagagcattccagggagagggaggagttgtgcaaaggccctggggctccttctagctggaggaatgcaaggctagcttgtctggagcactgagaggatggcctgaactgagtggagagagacagaccaggaccaaaccatgcagaggtcaagggccacattcaccttttcagagtgactcaatcaaatttgtagtttgtaaaagtattttaacagctctgcggcaaagtgcaaatgaaaagtcttgatggcatggactggagcggggacagtggggatggagaaaggggaatggattgtggatgtgtttagaaggtagattcgatgtgaaggatgaatctggcttgaccttctgggtggctgatgggccatttactgagatggggcagcctggaagaggaacagaagcagggtcggggtggagggagaatactaaacttagcttgagacattttgcaataaggaagctatatctagagtgcttatgtgactcacctaaggccactcaacaagtttgtggcagaactggattagaactgcacagaaaacagccaagctgggatttgaacccatgtagtccaactccaaggcctctgcccctaaccactgtgccataccacctcccaataatcaacagcaaaattataggtctaacaatgttttatagacacccctccatttatgtgatgggtttgcatcctgataaacccatcataagttgaaaatatgatcataagttgaaaatatgatcataagtcaaaaatgtatttaatatacctaacctaccaaacatcatagcttagcctagcctgccttaaacatgctcagaacacttacattagcctacagtgggcaaaactatccaacacaaaatctatattgtaataaagttgtaaagaattttgaataaaaattcaatatttgaaaaaaaaaaaaaaaaa
ヒトPBGScDNA(配列番号2):
gcagccaaagccccaggagccctaggttccaaccaactgatgcccctgtgcccactggcccacgccatgcagccccagtccgttctgcacagcggctacttccacccactacttcgggcctggcagacagccaccaccaccctcaatgcctccaacctcatctaccccatctttgtcacggatgttcctgatgacatacagcctatcaccagcctcccaggagtggccaggtatggtgtgaagcggctggaagagatgctgaggcccttggtggaagagggcctacgctgtgtcttgatctttggcgtccccagcagagttcccaaggacgagcggggttccgcagctgactccgaggagtccccagctattgaggcaatccatctgttgaggaagaccttccccaacctcctggtggcctgtgatgtctgcctgtgtccctacacctcccatggtcactgcgggctcctgagtgaaaacggagcattccgggctgaggagagccgccagcggctggctgaggtggcattggcgtatgccaaggcaggatgtcaggtggtagccccgtcggacatgatggatggacgcgtggaagccatcaaagaggccctgatggcacatggacttggcaacagggtatcggtgatgagctacagtgccaaatttgcttcctgtttctatggccctttccgggatgcagctaagtcaagcccagcttttggggaccgccgctgctaccagctgccccctggagcacgaggcctggctctccgagctgtggaccgggatgtacgggaaggagctgacatgctcatggtgaagccgggaatgccctacctggacatcgtgcgggaggtaaaggacaagcaccctgacctccctctcgccgtgtaccacgtctctggagagtttgccatgctgtggcatggagcccaggccggggcatttgatctcaaggctgccgtactggaggccatgactgccttccgcagagca−ggtgctgacatcatcatcacctactacacaccgcagctgctgcagtggctgaaggaggaatgatggaggacagtgccaggcccaagaactagaactttcaaacgttcccggggcctcagacaagtgacaaccaaagtaaatgctgcttttagaactgt
ヒトPBGSアミノ酸配列(配列番号3):
MQPQSVLHSGYFHPLLRAWQTATTTLNASNLIYPIFVTDVPDDIQPITSLPGVARYGVKRLEEMLRPLVEEGLRCVLIFGVPSRVPKDERGSAADSEESPAIEAIHLLRKTFPNLLVACDVCLCPYTSHGHCGLLSENGAFRAEESRQRLAEVALAYAKAGCQVVAPSDMMDGRVEAIKEALMAHGLGNRVSVMSYSAKFASCFYGPFRDAAKSSPAFGDRRCYQLPPGARGLALRAVDRDVREGADMLMVKPGMPYLDIVREVKDKHPDLPLAVYHVSGEFAMLWHGAQAGAFDLKAAVLEAMTAFRRAGADIIITYYTPQLLQWLKEE
本発明の組成物は、例えばシャンプー、入浴添加剤、ヘアケア製品、液体および固体石鹸(合成界面活性剤や、飽和および/または不飽和脂肪酸の塩に基づく)、ローションおよびクリーム、デオドラント、他の水溶液またはアルコール溶液、例えば皮膚用洗浄溶液、湿ったクレンジングクロス、オイルもしくはパウダーといったパーソナルケア製剤中の抗微生物活性成分として適切である。したがって、本発明は、本発明の組成物および場合によって米国特許第6689372号明細書 ホルツルら(Holzl et al.)に記載された化粧品として許容可能な担体またはアジュバントを含むパーソナルケア製剤にさらに関する。組成物は、抗微生物効果を有するすなわち微生物活性を阻害または予防するのに有効な量で利用されるべきである。例えば金属イオン封鎖剤、着色剤、香油、増粘剤または凝固剤(粘度調節物質)、皮膚軟化剤、UV吸収剤、皮膚保護剤、抗酸化剤、ジカルボン酸および/または脂肪酸のAl、Zn、Ca、Mg塩などの機械特性を改善する添加剤、ならびに場合によって保存剤といった他の構成物質が利用され得る。さらに、本発明は、皮膚、粘膜、または毛髪における抗微生物処理方法を提供し、同方法は前記抗微生物処理を必要とするヒトの皮膚、粘膜、または毛髪の表面を、抗微生物剤として有効な量の本発明の化合物と接触させることを含む。
【0132】
本発明に係るパーソナルケア製剤は、油中水型または水中油型の乳剤、アルコールまたはアルコールを含有する製剤、イオン性または非イオン性の両親媒性脂質の小胞性分散液、ゲル、固体スティック、エアロゾル製剤のいずれかとして調製され得る。
【0133】
油中水型または水中油型の乳剤として、美容上許容可能なアジュバントは、例えば、5から50%の油相、5から20%の乳化剤および30から90%の水を含有する。油相は、例えば1種もしくは複数種の炭化水素油、ワックス、天然油、シリコーン油、脂肪酸エステル、脂肪アルコールのいずれかといった化粧用製剤に適する任意の油を含有する場合がある。好ましいモノ−もしくはポリ−オールは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロールおよびソルビトールである。
【0134】
本発明による化粧用製剤は、ホルツルら(Holzl et al.)の米国特許第6689372号明細書に記載されるように、多種多様な化粧用製剤中に含有される場合がある。特に以下の製剤、例えば、スキンケア製剤、例えば錠形もしくは液状石鹸の形態における皮膚洗浄剤、ソープレス洗浄剤もしくは洗浄ペースト;浴剤、例えば液体(フォームバス、ミルク、シャワー剤)もしくは固体浴剤、例えば入浴剤およびバスソルト;スキンケア製剤、例えば、スキンエマルジョン、マルチ−エマルジョンまたはスキンオイル;化粧品のパーソナルケア製剤、例えば、デイクリームもしくはパウダークリームの形態における顔のメイクアップ、フェースパウダー(ルースもしくはプレス)、ルージュまたはクリーム化粧、アイケア製剤、例えば、アイシャドウ用製剤、マスカラ、アイライナー、アイクリームもしくはアイフィックスクリーム;リップケア製剤、例えば、口紅、リップグロス、リップコンターペンシル(lip contour pencil)、マニキュア液、マニキュアリムーバー、ネイルハードナーもしくはキューティクル除去剤などのネイルケア製剤;インティメート(intimate)衛生剤、例えば、インティメート洗浄ローションもしくはインティメートスプレー;フットケア剤、例えば、フットバス、足パウダー、足クリームもしくはフットバルサム、特殊脱臭剤および制汗剤もしくは皮膚肥厚除去剤;サンミルク、ローション、クリームおよびオイル、サンブロックもしくはトロピカル、プレタンニング用製剤もしくはアフターサン用製剤などの光保護剤;例えば、セルフ・タンニングクリームといった日焼け剤;例えば、皮膚の脱色用製剤もしくはスキン・ライトニング用製剤といった脱色剤;防虫剤、例えば、防虫オイル、ローション、スプレーもしくはスティック;デオドラントスプレー、ポンプアクションスプレー、デオドラントゲル、スティックもしくはロールオンなどのデオドラント;例えば、制汗剤スティック、クリームもしくはロールオンといった制汗剤、;例えば、石鹸のいらない洗浄剤(固体もしくは液体)、ピーリングもしくはスクラブ用製剤もしくはピーリングマスクといった肌荒れのための洗浄および手入れ用製剤;例えば、脱毛パウダー、液体脱毛剤、クリームもしくはペースト−フォームの脱毛剤、ゲル型もしくはエアロゾルフォームの脱毛剤といった化学泡剤(脱毛)における脱毛剤;例えば、シェービングソープ、フォーミング・シェービングクリーム、ノンフォーミング・シェービングクリーム、フォームおよびゲル、ドライシェービングのためのプリシェーブ用製剤、アフターシェーブもしくはアフターシェーブローションといったシェービング剤;例えば、香料(オーデコロン、オーデトワレ、オードパフューム、パフュームデトワレ、香水)、香水オイルもしくはクリーム香水といった芳香剤;例えば、練り歯磨き粉、ゲル状練り歯磨き粉、歯磨き粉、濃縮うがい薬、抗プラーク用うがい薬、入れ歯洗浄剤もしくは入れ歯固定剤といったデンタルケア、義歯ケアおよび口腔ケア製剤;コスメティックヘア処理用製剤、例えば、シャンプーおよびコンディショナーの形態の洗髪剤、ヘアケア製剤、例えば、プレトリートメント用製剤、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘア・リンス、プレトリートメントパック、インテンシブ・ヘアトリートメント、毛髪を構造化する製剤、例えば、パーマネントウェーブ(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)のための毛髪用ウエーブ剤、ヘアー・ストレートニング用製剤、液体毛髪手入れ用製剤、フォーム、ヘアスプレー、脱色剤;例えば、過酸化水素溶液、ライトニングシャンプー、脱色クリーム、脱色パウダー、脱色ペーストもしくはオイル、一時、半永久もしくは永久毛髪染色剤、自己酸化染料を含有する製剤、またはヘナ染料もしくはカモミールなどの天然毛髪染色剤などが考慮されることになる。
【0135】
本発明による経口組成物は、例えば、ゲル、ペースト、クリーム、水性調製(うがい薬)のいずれかの形態でありうる。
本発明による経口組成物は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムもしくはフッ化カルシウムを例とする無機フッ化塩、または商標Olafluorの下で知られているフッ化アミンを例とする有機フッ化塩といった担体の製剤に対して有効なフッ化物イオンを放出する化合物をさらに含む場合がある。
【0136】
本発明の組成物は、織物繊維材料の処理にさらに適している。かかる材料は、例えば絹、羊毛、ポリアミド、ポリウレタンのいずれかといった繊維材料における着色されているものと着色されていないもの、または印刷されているもの、特にすべての種類のセルロース系繊維材料である。かかる繊維材料は、例えば、綿、リンネル、ジュート、麻などの天然セルロース繊維に加え、セルロースおよび再生されたセルロースである。好ましい適切な織物繊維材料は綿からなる。本発明の組成物は、例えば、液体もしくは粉末状の洗浄剤または軟化剤といった洗浄剤および洗濯剤にも使われている。
【0137】
本発明の組成物は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ラテックスなどのプラスチックに抗微生物特性を与える場合にさらに適している。したがって、利用領域は、例えば、床の敷物、プラスチック被覆剤、プラスチック容器および梱包材料、台所用品および浴室用品(例えば、ブラシ、シャワーカーテン、スポンジ、バスマット)、ラテックスフィルタ材料(空気および水フィルタ)、包帯材料、シリンジ、カテーテルなどのいわゆる「医学デバイス」を例とする医学分野において用いられるプラスチック物品、手袋およびマットレスである。
【0138】
紙、例えば衛生目的で使用される紙は、本発明による組成物を用いて抗微生物特性と共に提供される場合がある。
本発明に従い、例えば紙おむつ/おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、衛生および家事用衣服といった不織布に対して抗微生物特性を提供することも可能である。
【0139】
本組成物は、特に塗装面を洗浄し殺菌するための家事用およびあらゆる目的用の洗浄剤においても使用できる。
化粧品および家庭用品の保存に加え、紙処理液、デンプンもしくはセルロース誘導体の印刷用増粘剤、表面被覆剤および塗料などの技術製品は、抗微生物特性を備えた状態で保存でき、提供できる。
【0140】
本発明の組成物は木材の抗微生物処理および皮の抗微生物処理、ならびに抗微生物特性を備えた皮の供給にも適している。
本発明による化合物は、化粧品および家庭用品を微生物による傷害から保護する場合にも適している。
【0141】
さらに、本発明の組成物は、ホワイト、ジュニアら(White,Jr.et al.)の米国特許第6740311号明細書における記載のように、口腔に許容される担体と関連した歯磨剤組成物などの経口組成物として使用さえ得る。上記経口組成物の例として、ヒトおよび動物に適する練り歯磨き粉、歯磨き粉、予防粉、トローチ剤、ガムなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0142】
さらに、本発明の組成物を用いることで、抗微生物表面が調製され得る。さらに、抗菌表面を作製する方法が提供される。この方法は、(1)多量体ポルホビリノゲンシンターゼ活性形態がアロステリックなマグネシウム結合部位を含有し、組成物が薬物、歯磨き粉、石鹸、消毒薬、抗バイオフィルム組成物、および除草剤の少なくとも1種類であるという条件で、多量体ポルホビリノゲンシンターゼ活性形態の形成を阻害または予防することにより、細菌、古細菌、および/もしくは真核生物の発生または成長を阻害あるいは予防することに有効であるという本発明の組成物を提供すること、(2)表面形成用マトリックスを提供すること、ならびに(3)組成物を表面形成用マトリックスと結合させることによって抗菌表面を作製することを含む。この方法における1種類の変異体では、抗菌表面はバイオフィルムの形成を予防または阻害するのに適合する。
【0143】
本明細書において用いられる「表面形成用マトリックス」という用語は、マトリックスを含む組成物に関連する混合、層化もしくはそれら以外を意図した、ポリマー、生分解性および非生分解性、シリカ、セラミックスおよびこれらの組合せを含む。組成物は、さらにマトリックス表面の上面または下面に接触できる。
【0144】
本発明では、除草剤である本発明の組成物を植物に適用することを含む、植物の成長または発生を操作するための方法が提供される。この場合、植物は除草剤に耐性を有し、実質上会合2量体の多重結合の形態で存在する多量体ポルホビリノゲンシンターゼに対する遺伝子組み換えに適合する。本方法の1種類の変形形態では、多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、アロステリックなマグネシウム結合部位を1つも含まない。
【0145】
本発明は以下の実施例に関してより詳細に図示されることになるが、本発明がそれらに限定されると見なされないことは理解される必要がある。
【実施例】
【0146】
例としてのポルフィリノーゲンシンターゼまたはモルフェイン:
以下の実施例は、PBGSが代替の4次構造の状態において存在することができ、これらの状態の相互交換が一部の種においてこのPBGSのアロステリック調節における構造的基盤を形成するという発見について説明する。PBGSにおける周知の4次状態は、会合2量体からなる8量体である。さらに、一部のPBGS、特に図6のQSEにおけるPBGSは、比活性に依存するタンパク質濃度によって示される4次構造の形態の平衡として存在することが認識されている。比活性に依存するタンパク質濃度は、最大の活性を有するオリゴマーが解離再会合して、より小さい活性がより低い形態となることができることを示唆する。以前は、より小さい活性がより低い形態が会合2量体の多量体でもあると考えられた。おそらくはQNW中のPBGSが4次構造のアイソフォームの間で容易に平衡化しないという事実に基づいて、解離した2量体としての安定なオリゴマーの観察および特徴づけを行った。故に、ヒトPBGSのF12L突然変異によって筆者らは6量体の安定な形態について研究し、それは野生型ヒトPBGSと比べて顕著に異なるF12Lの機能特性を決定づける6量体の特性(であってF12Lの突然変異に特異的なものではない)であることを確証することができた。F12Lは、ヒトPBGS(3〜5)においてまれに自然発生する対立遺伝子である。以下に、ヒトPBGS(野生型および大腸菌内で異種発現され従来技術によって精製されたF12L0の両方)の研究について説明する。
【0147】
タンパク質発現
親ヒトPBGSは、明確な特徴をもつN59/C162Aである(6)。N59は、PBGSタンパク質をコードする2種類の相互優性の対立遺伝子の可溶性の高い方に相当する。C162Aは、異常なジスルフィド結合を緩徐に形成する可能性を除去する良性の突然変異である。以下のN59/C162Aに対する人工遺伝子をWtと称す。WtのF12L変異体へのQuikChange突然変異誘発に用いられるセンス鎖プライマーは、GGCTACCTCCACCCACTGCTTCGGGCCであった。大腸菌内でのWtおよびF12Lの共発現に対して、数種類のコンストラクトを調製した。遺伝子の順序およびプロモーターの数の両方を変化させたが、これらの変化は結果に影響しなかった。1種類のプロモーターの制御下でWtおよびF12Lを含有するコンストラクトについて説明する。Wt(pET3aWt)を含有するプラスミドDNAをBamHIおよびNdeIによって消化し、Wtを切り離した。pET17bベクターDNAを、BamHIおよびNdeIを用いた消化によって線形化し、WtのATG出発コドンがベクターによってコードされるリボソーム結合部位の6塩基対だけ下流であるようにWtを用いてライゲーションした。得られたプラスミドを大腸菌XL1 blueに形質転換した。プラスミドDNA(pET17bWt)を調製し、SpeIおよびBpul102Iによって線形化した。遺伝子F12L(pET3aF12L)を含有するプラスミドDNAをXbalおよびBpul102Iで消化し、リボソーム結合部位を含有する断片およびF12Lに対する遺伝子を生成した。F12L遺伝子のリボソーム結合部位がWtの停止コドンの35塩基対だけ下流であるように、F12Lに対する遺伝子および線形化したpET17Wtベクターをライゲーションし、ターミネーターはF12L遺伝子に対する停止コドンの52塩基対だけ下流であった。先に説明したように、タンパク質発現のためにプラスミドpET17bWtF12Lを大腸菌XLlblueに形質転換し、プラスミドDNAを調製し、大腸菌BLR(DE3)に形質転換した(6)。
【0148】
タンパク質精製
タンパク質精製法(細胞破壊、硫安分画、フェニル−セファローズ上の疎水性クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、およびセファクリルS−300上のゲルろ過クロマトグラフィー)の大半は、70ml Q−セファローズカラムをアニオン交換工程におけるDEAEアガロースカラムの代わりに用いたことを除けば、先に説明した方法(6)に従った。30mM カリウムリン酸塩、pH7.0、10mM 2−メルカプトエタノール、10μM Zn(II)と共に室温でQ−セファローズを稼動し、図3Aに示すようにKCl勾配を用いた。流速3ml/分で稼動したRainin HPLC系によって勾配を制御し10mlのフラクションを収集した。
【0149】
PBGS変異体の動的特性を用いることでWTおよびF12Lが異なる機能特性を有することを示す:
すべての動的測定を0.1M ビス−トリス・プロパン、10mM 2−メルカプトエタノール、10μM Zn内で実施した。pH速度特性において、10mM ALA−HClの添加後、報告されたpHはアッセイpHを示す。KおよびVmaxの測定において、ALAの濃度は10μM、30μM、100μM、300μM、1mM、3mM、および10mMであって、それぞれ2通りに行った。一定の容量をアッセイ混合物に添加することに先立って、ストック0.1M ALA−HCIを0.1M HCl内に希釈したことから、ALA−HCI濃度における変動は、最終pHにおける変動を招かなかった。エールリッヒ試薬を用い、すべてのアッセイを定期的に37℃で行い、形成されたポルホビリノゲンを測定した。
【0150】
分析的超遠心分離:
タンパク質試料を超遠心分離機内に投入する直前に、30mM リン酸カリウム、pH7.5、0.1mM DTT、および10μM ZnCl中に透析した。投入濃度は、野生型およびF12L突然変異体酵素に対してそれぞれ10.6μMおよび12.8μMであった。60Tiローターを備えたBeckman OptimaXL−A分析用超遠心分離機、および石英窓を用いた、6チャンネルで12mmのパス長で活性炭が充填されたEponセンターピースを用い、すべての沈降平衡実験を4℃で行った。データは3種類のローター速度(8,000、11,000、および14,000rpm)で収集し、走査ステップの大きさとして0.001cmを用いる20回の平均を表す。Sednterpプログラム(32)を用い、温度で補正された部分比容および溶液密度を計算した。、溶液密度は1.00191gm/mLであり、部分比容は、野生型および突然変異タンパク質に対してそれぞれ0.7394および0.7397mL/gmであった。コネチカット大学(ストーズ、コネチカット州)におけるAnalytical Ultracentrifugation FacilityからHIDプログラムを用いてデータを分析した。データのモデル分析では単一種を除外した。その際、フィットからの残留は明らかにランダムではなかった。
【0151】
F12に対する結晶構造を決定した:
F12Lを50mMビス−トリス プロパン、10mM βME、および10μμM ZnClに対して透析した。蒸気拡散法を用いて結晶を形成させ、F12L(4.0mg ml−1)に相当する容量を沈殿剤(0.4Mリン酸水素一アンモニウム)と混合した。ALAをタンパク質サブユニット濃度に等モル添加し、3〜5日以内に結晶を形成した。OSMIC光学式を備えたRU−200回転アノードジェネレータと一体のMAR345イメージプレート検出器上で、100Kで回折データを収集し、50kVおよび100maで操作した。12%、17%、23%および30%グリセロールを含有するリザーバ溶液において各溶液内で3分間それらを移すことによって凍結前に結晶を凍結防止させた。数種類のデータセットを収集したところ、高度の不規則性を示し、活性部位領域においていずれのリガンドも不足した。そのために、F12Lの結晶を第1の2種類の抗凍結剤溶液に添加させた2mM ALAに加えて最後の2種類の溶液に添加させた0.2mM ZnClの中に浸した。最終データセットを、暴露時間が1フレーム当たり3.5分で0.5°振動に対応する525枚のフレームから構成した。結晶は、6方晶系、空間群P63、単位格子パラメータa=b=89.6Å、c=153.2Åに属する。非対称ユニット内には2種類の分子が存在する。解像度範囲45〜2.2Åにおける反射33,615に対してプログラムパッケージHKL2000 Rmerge(I)=5.0%を用いて回折データを低下させた。
【0152】
開始モデルとしてヒトPBGS構造(pdbコード1E51)の分子Aの使用に基づき、AmoReプログラムパッケージを用いて分子置換によって構造を解明した。プログラムCNSによって微調整した。最終モデルは1種類の2量体のF12L−分子A(残基11〜82、97〜124、140〜169、172〜212、222〜330)およびB(残基3〜82、97〜122、140〜169、172〜212、226〜328)を含み、触媒反応の代謝産物の1分子は、分子A、241個の水分子および低い占有率を有するように見える2個の原子のZnの活性部位内に結合した。結晶ログラフィックR因子が19.9%、解像度2.2ÅのデータにおいてR(遊離)が28.6%、そして結合長および結合角に対するRMS偏差がそれぞれ0.18Åおよび2.0°である。すべての残基は、ラマチャンドランプロット上の許容される立体配座領域に属する。
【0153】
ヒトPBGS変異体F12Lの特性
ヒトPBGS変異体F12Lは、野生型タンパク質とは顕著に異なっている。精製F12Lの特性は、野生型ヒトPBGSが極めて活性がより高いという条件下で触媒活性が極めて低いことを確認した。しかしながら、F12Lは著しく変化したpH変化率特性を示し、かつ基本的なpH値での顕著な活性を示す(図1A)。F12LのK値とVmax値および野生型ヒトPBGSを野生型タンパク質にとって最適なpH7で、かつF12Lにとって最適なpH9で測定した。その結果を表1及び表2(下記)に示す。F12Lは、基質5−アミノレブリン酸(ALA)の生理的濃度を大幅に超える、異常に高いK値を伴う正常なミハエリス−メンテン速度論を示す。しかしながら、pH9でのF12LのVmaxは、野生型タンパク質の場合よりも極めて高い。最適pHの条件下および金属イオンの最適な立体配置の存在下で、特性化されたすべての種由来の野生型PBGSは、ここで、pH7で野生型ヒトPBGSにおいて認められるように、100μM(6、8〜10)の範囲内でK値を有するように報告される。pH9での野生型ヒトPBGSの動的挙動は、標準のミハエリス−メンテン速度論を示さず、その原理は一見したところ明らかではなかった。大まかな測定によると、野生型タンパク質は、0.35付近のヒル係数を有する極端な負の協同性を呈するように見えた。事実、データにおける適合度は、2種類の形態が極めて異なるK値を有する場合の4次構造のアイソフォーム(モルフェイン、8量体および6量体)の混合物によって後に触媒由来であることが認識された二階双曲型方程式に対するものであった。以下にこの現象をより詳細に説明する。
【0154】
F12L変異体と野生型タンパク質の間の異常な差異に対するさらなる証拠は、アニオン交換クロマトグラフィー(図1B)および天然ゲル電気泳動(図1C)の最中における移動度上のバリエーションに由来し、両者はオリゴマー構造上違いがあることを示唆する。アニオン交換カラムにおける分離は、一般に異なる表面変化を反映し、これは中性ロイシンの中性フェニルアラニンへの置換に起因する可能性がある。電気泳動によって等しい電荷/質量の比率を有する2つの種の分離は、異なる大きさもしくは異なる形状を示唆する。全体としてこれらの差異は、F12Lおよび野生型ヒトPBGSが異なるオリゴマー状態で存在することを示唆した。
【0155】
野生型および突然変異タンパク質が分析用超遠心分離機を用いて沈降平衡分析を受けた際に、野生型タンパク質およびF12Lにおける分子量がそれぞれ244,000±8,900および197,900±6,500ダルトンであることを認めた。前者は8量体における期待値と6量体における期待値の間の中間値である一方、後者は6量体における期待値と4量体における期待値の間の中間値である。データのモデル分析では、野生型タンパク質が2量体、6量体、および8量体がそれぞれ7.6%、51%、および42%である3つの状態モデルに最もよく適合する一方、F12Lは、8量体の非存在下で4量体および6量体がそれぞれ70%および30%の比率である2つの状態モデルに最もよく適合する。それ故に、発明者は、ヒトPBGS変異体F12Lの結晶構造の決定に取り組んだ。
【0156】
ヒトPBGSおよびF12L変異体の結晶構造は、新たな4次構造のアイソフォームを決定づけ、モルフェインの第1の例を示す単量体の構造において顕著な差異を示す:
17は以前に、4つの2量体同士が中心軸周りに90°回転させることによって関係する、共通のホモ8量体の構造を示す真菌、後生動物、および細菌を由来とするPBGS(1.1〜20)の結晶構造を決定した(図2A)。PBGSは、TIM α/βバレルタンパク質のアルドラーゼ・スーパーファミリーのメンバーである(21)。各サブユニットでは、触媒コアがバレルおよび20+アミノ酸N末端アームの内部に完全に存在するという点は、広範なサブユニットの相互作用に関与する。触媒コアの配列は、系統発生的に保存されるが、N末端アームの配列は保存されない。8量体において認められるPBGS2量体(図2A、上)は、高度に保存されたバレル間の連結に関与し、1つのサブユニットのN末端アームはシスター(sister)サブユニットのバレルに会合している。故に、これは会合2量体と称されている(2)。アミノ酸12の側鎖は、会合上の相互作用に関与しない。第2の会合2量体の付加によって中心軸周囲を90°回転されられる4量体の集合体は(図2A、中)、1つのサブユニットのアームと近隣の2量体由来のα/βバレルのベースの間の相互作用をさらに付加する。アミノ酸12の側鎖は、このサブユニット間の相互作用に関与する。さらに2つの2量体を付加することで、中心軸周囲を90°回転したそれぞれは8量体を生成する(図2A、下)。2量体および4量体の外観に対し、読者の周りに90°回転した8量体は風車の様相を呈する。F12Lの結晶構造の決定に先立ち、すべてのPBGSタンパク質が同一のホモ8量体構造を共有することを推定した(2)。しかしながら、緑色植物と一部の細菌由来のPBGSにおいて、活性が最大の8量体がより小さく活性がより低い構造ユニット内に解離できることを示唆する動的証拠が存在する(9、22)。この動的証拠は、エンドウ豆PBGSにおける図16に図示される比活性に対するタンパク質濃度である。
【0157】
注目すべきことに、新たに決定したF12LヒトPBGS対立遺伝子(PDBコード1PV8)の結晶構造は、α/βバレルに対するN末端アームの顕著な再配列に関与する4次構造について明らかにする(図2B)。この場合、2量体は前述のバレル間の連結を保持するが、N末端アームは会合するではなくむしろ分離される(図2B、上)。4量体の集合体は、前述した1つのサブユニットのアームと近隣の2量体由来のα/βバレルのベースの間の相互作用を保持する。しかしながら、アームは突き出ているためにこの結合は中心軸周囲の120°回転を指示する。故に、オリゴマー構造では、3種類の分離した2量体が存在し、それぞれが中心軸周囲を120°回転することで6量体を形成する(図2B、下、風車の様相を呈する外観)。野生型ヒトPBGSにおいて認められた8量体からF12Lにおいて認められた6量体への前例のない構造上の転位は、小規模な突然変異による変化がタンパク質の構造および機能に対していかに著しい効果を発揮できるかに関する顕著な例であり、そしてエネルギー的にこれら2種類の4次構造の形態がいかに近いかを示す。これらの構造を眺めると、8量体と6量体の間の任意の平衡が会合2量体と分離した2量体との相互交換を介して進行しなければならないことも明らかである。この相互交換工程について図5Aに図示する。
【0158】
F12Lの新たな構造(解像度2.2Å)は、先に沈殿させた野生型ヒトPBGS構造(PDBコード1E51、解像度2.83Å)に対して活性部位の構造比較を妨げる極めて不規則な領域を含有する。アミノ酸12は、いずれの構造でも活性部位残基とは直接に相互作用しない。さらに、両方の構造において認められるこれらのアミノ酸はほとんどが重複する。したがって、F12L(例えば、図1、表1及び表2)の異常な動的特性における基盤についてさらに精査するために、、発明者はF12Lおよび野生型ヒトPBGSの共発現に着手した。
【0159】
野生型ヒトPBGSおよびF12Lの共発現により、4次構造が動的差異における基礎であることが判明した:
共発現系を調製することで、野生型ヒトPBGSとF12L変異体の両方を同一のRNA情報から1:1の比率で産生した。WT+F12Lと呼ばれる同時発現したタンパク質の精製を認めることで、アニオン交換クロマトグラフィー上でPBGSタンパク質において2つの際立ったピークが発生した(図3A)。第1(プールI)を溶出させるピークが天然ゲル上のF12Lと同等に動く一方で、第2のピーク(プールII)が野生型ヒトPBGSと同等に動く(図3B)。プールIはpH9で活性の亢進を示し、プールIIはpH7で活性の亢進を示した(図3C)。両方のプールは、トリプシンで消化後、個々に質量分析による分析を受け、そしてそれぞれが相当量のN末端2010.2ダルトンPheが含有するペプチドと1976.2ダルトンLeuが含有するペプチドの両方を含有することを認め、両方のプールがヘテロメリック種を含有することを確認した。ヘテロメリックプールにおける各鎖の百分率をN末端の配列決定によって数値化することでプールIが48.5%Pheと51.5%Leuを含む一方で、プールIIが71.1%Pheと28.3%Leuを含むことを示した。これらの割合は、何がヘテロメリック種の4次構造を支配するかを明示する。プールIおよびIIをセファクリルS300上でゲルろ過によってさらに精製し、これによってヘテロマーの交差汚染を低下させた。S300で精製されたプールIおよびIIのpH変化率特性は、それぞれF12Lおよび野生型ヒトのPBGSに極めて酷似している(図3C)。クロマトグラフ、質量分析、および定量的なN末端の配列決定データに基づき、筆者らはプールIがヘテロ6量体からなり、プールIIがヘテロ8量体からなると結論づけた。pH変化率特性は、位置12でのアミノ酸組成の場合と比べて4次構造によってより支配されることを認めた。
【0160】
S300で精製したプールの動的パラメータのKおよびVmaxをpH7およびpH9で測定した(表3)。動的データは、単純なミハエリス−メンテン関係(双曲線に適合)に準ずることなく、異なるK値およびVmax値(二階双曲線に適合)を有する、2つの異なる形態を有する酵素による触媒作用に起因する可能性がある(23)。図3Dは、基質濃度の関数としての活性を示す。動的データは、酵素の6量体および8量体の形態がそれそれ高いK値および低いK値を示す場合のモデルに一様に適合する。この二階双曲線フィット(暗線)は、一階双曲線フィット(明線)よりはるかに優位である。pH9で検出されるプールIにおいて存在する微量の8量体を除いて、すべての動的な値は十分に決定される(表3参照)。pH9での野生型ヒトPBGSにおけるデータが8量体−6量体モデルよりも優れたものとしてさらに提供し、表3にこの溶液を挙げる。アッセイ条件下でのヒトPBGSヘテロマーの平衡を支配する因子はまだ解明されていない。
【0161】
【表3】

図3Aに示すように、プールIおよびプールIIはQ−セファローズカラムから溶出したPBGS活性を有する2種類のプールであり、以下にセファクリルS−300カラム上でさらなる精製を行う。Km1およびKm2(いずれもmM)はそれぞれ8量体および6量体に対するKとして解釈される。報告されたVmax値(単位μモルh−1mg−1)は、アッセイ条件下での4次構造種のモル分率を反映するが、このことはまだ未決定である。適合したK値は、4次構造の種の分布と独立している。
【0162】
野生型ヒトPBGS、F12L変異体、およびWT+F12Lヘテロマー上に認められたデータは、野生型タンパク質とF12L変異体の間の動的差異は、主に4次構造上の差異に起因することを確かに証明する。さらに、他の選択されたヒトPBGS突然変異体(R240A、T23P、およびT23P/F12L)に関する研究は、6量体の動態がF12Lの動態に類似し、8量体の動態が野生型タンパク質のそれに類似することを確認する。
【0163】
8量体に対する6量体のヒトPBGSの構造を踏まえ、PBGSのこれら2形態に対し、pH最適条件における顕著な差異に関して仮説は定式化できる。PBGSの触媒反応の化学は少なくとも2種類のシッフ塩基中間体(2、12、16、17、20)の形成を必要とする。これらのシッフ塩基に対するカルビノールアミン前駆体の形成は、関与するアミノ基が荷電されていない、または局所pHがアミノ基のpKaを超えることを必要とする。PBGSの6量体と8量体の間における1つの有意な構造上の差異は、活性部位リッド(lid)を含むアミノ酸内に認められる秩序度である。6量体PBGS F12Lの結晶構造は、活性部位リッドを構成するほとんどの残基由来の密度が十分でないことから、6量体構造が閉じたリッドの立体配置を不安定にすることが示唆される。閉じたリッドの非存在下でバルク溶媒から活性部位を単離するには、外部pHがシッフ塩基形成に関与するアミノ基のpKaを超えるまでPBGSの触媒反応が進行できない。それ故に、外部pHがシッフ塩基形成を促進するのに十分に塩基性を示す場合にのみ6量体構造が活性を示すように企てる。PBGS8量体の結晶構造がリッド上の残基とK値を決定する基質分子との間の相互作用の安定化を示すことから、Kが高い理由を活性部位リッドの不安定化に求めることができる。現行の結果は、PBGS機能の調節を理解する上での新たなアプローチを提供する。後述のように、PBGS6量体の同定から得られる洞察は、非ヒト種におけるPBGS活性のアロステリック調節を再考する上で極めて重要である。
【0164】
PBGSのアロステリック調節は8量体から6量体への平衡に起因する:
PBGSの8量体と6量体を比較すると、PBGSのアロステリック調節における基盤が明確になる。PBGS活性部位におけるすべての明白な成分が単量体に含まれるという事実にもかかわらず、大半のPBGSタンパク質は、会合2量体のアーム−バレル界面に位置するアロステリックなマグネシウムに対する結合部位を含有する(14、24)。図4Aの後方に図示されるように、アロステリックなマグネシウムの位置は、Pseudomonas aeruginosa(14)と大腸菌のPBGS(16)の両方の結晶構造において認められる。図4Aは、黒玉としてアロステリックなマグネシウムを含む会合2量体(薄いリボン、黒いストランド)を示し、その一方は大きな黒地に白の矢印を用いて図示される。酵母およびヒトのPBGSの構造は、先に(2)で図示したように、アルギニンのグアニジニウムがアロステリックなマグネシウムの場所に存在することを示す。これはヒトPBGSのArg240である。すべてのPBGSが適切な条件下で6量体の状態で存在できると仮定する場合、その際アロステリックなマグネシウムの位置は、この金属結合部位が8量体(会合2量体からなる)内に存在し、6量体(分離した2量体からなる)には存在しないことから、6量体−8量体の転位に関連する。図4Bは、PBGS8量体における3つのサブユニット間の界面について示す。白地に黒の矢印は、PBGS集合体の8量体および6量体の両方に共通なバレル間の界面について示す。黒地に点状である矢印は、PBGS集合体の8量体および6量体の両方にさらに共通なアームとバレルのベース間の相互作用について示す。アロステリックなマグネシウム結合部位に類似の黒地に白の矢印は、8量体(会合2量体)内に存在し、6量体(分離した2量体)内に存在しないアームとバレルの間の相互作用について示す。マグネシウムの大腸菌PBGSの動的パラメータに対する効果は、アロステリックなマグネシウムが6量体−8量体の平衡に介在するという概念に一致する。この場合、アロステリックなマグネシウムの付加が原因でK値が2mM以下から200Mm以下へ低下するが(8)、このことはヒトPBGSにおける6量体および8量体の形態のK値間の差異について思い起こさせる面が大きい(表1及び表2)さらに筆者らが予め観察したところによると、均質的に純粋な大腸菌PBGSが天然ゲル電気泳動の間に複数のバンドを示し、これらのバンドの移動度が8量体、6量体、および2量体の分子の大きさと矛盾がなく、そしてマグネシウムの付加にとっては最大の(8量体の)形態が好ましいということは注目すべきである(8)。さらに、最近の知見によると、ヒトPBGS変異体R240Aが6量体として80%以下、8量体として20%を精製し、そして後者のオリゴマーが不安定であり、時間と共に6量体に再配置することは注目すべきである
タンパク質濃度に依存する比活性の観察は、モルフェインの平衡の存在に対する最も直接的な診断ツールである:
6量体と8量体の間のPBGSの相互交換を、一部の種由来のPBGSにおけるタンパク質濃度に依存する比活性を担う機構として提起する。これまで筆者らはアロステリックなマグネシウムを含有する4つの異なるPBGSについて特徴づけを行っている。酵素は、大腸菌(γ−proteobacter)、B.japonicum(α−proteobacter)、P.aeruginosa(γ−proteobacter)、Pisum sativum(緑色植物)などの種由来である。後の3者は、亜鉛の触媒活性部位を用いないという点でヒトPBGSとは異なり(24)、そしてタンパク質濃度に依存する比活性の異常な特性をさらに共有する(9、22、25)。後者の特性は、活性が最大のオリゴマーは活性がより低いもしくは不活性な小さな形態の中に解離できるということを示唆する。公開された数学モデルは、活性が最大の8量体が、活性がより低いもしくは不活性な4量体および/または2量体の中に解離することを考慮している(9、22)。
【0165】
ヒトPBGS変異体F12Lの6量体構造が原因で、筆者らは、図5Aに図示されるように、植物および特定の細菌のPBGSにおけるタンパク質濃度依存性が活性がより低い6量体形態と活性が亢進した8量体形態の間の平衡にむしろ起因することを提起することになる。上記の平衡の存在はエンドウ豆PBGSに関する沈降平衡の研究によって支持される(データは非公開)。マグネシウムは会合する2量体と互い違いの分離した2量体の間の差異に対して不可欠であるため、このイオンが会合する2量体ひいては8量体の形成を好むようにしむける。図5Bは、エンドウ豆PBGSからマグネシウムを除去することが、より小さい形態にとっては都合がよいものの最大の形態にとっては都合が悪いということを図示する。この場合2つの形態の移動度が8量体および6量体の移動度と一致する。このモデルでは、6量体は生理pHでは活性がより低く、ALAの生理的濃度をはるかに超えるK値によって特徴づけられることからタンパク質の推定される保存形態である。対照的に、8量体は、活性のあるテトラピロール生合成の過程で、生理pHで活性があり、適切なALA濃度範囲にあるK値を有する。
【0166】
総合すると、これらの研究は、クロロフィル生合成(26〜28)の複合体制御においてPBGSにはある役割があるという考えを支持する。筆者らが注目することは、植物緑化の期間中に記録した事象として、葉緑体ではマグネシウム濃度の著明な上昇があるという点である(29)。不活性な6量体の保存形態が緑化過程に伴う生化学変化のカスケードの一部としてPBGSの迅速な活性化が可能であることは想像できる。植物および藻類のPBGSの4次構造に関するいくつかのゲルろ過の研究によってオリゴマーは6量体であるという結論が出たことに着目することは興味深い(30およびその中で言及される参考文献)。Chlorella regulars由来のPBGSに関する先行報告において、アニオン交換クロマトグラフィーによって分離できるPBGSの相互交換可能な4次構造の形態の存在に対して支持する文献を認めることができる(31)。
【0167】
6量体ヒトPBGSは、タンパク質機能のアロステリック調節に対する新規の構造上のパラダイムを示し、モルフェインとして存在できるタンパク質に関する最初の例である:
ヒトPBGS変異体F12Lの特性は、この点突然変異がPBGSの構造および機能において劇的な変化を引き起こすことを示す。この突然変異は、進化の過程でタンパク質の挙動における有意な変化を招く単一アミノ酸の変化にとっての先例として寄与できる。F12L突然変異は、PBGS8量体を不安定にし、6量体の形成を引き起こす。8量体と6量体の間の構造転位は、2種類の2量体構造を含有する前例のない平衡を介して進行する必要がある。大半のPBGSに存在するアロステリックなマグネシウムは、8量体では結合部位を含むが、6量体では含まない。天然ゲルのデータは、アロステリックなマグネシウムの除去にとっては8量体よりも6量体の形成の方が好ましいことを示す。8量体−6量体の転位は、タンパク質機能の金属イオンに依存するアロステリック調節における新規の機構を規定する。
【0168】
本発明は、モルフェインの相互交換によって調節の可能性があると思われるPBGSの不活性なモルフェインおよび/または任意の他のタンパク質の安定化を介したタンパク質機能の阻害について説明する。PBGSの6量体形態に選択的に結合してこれを安定化できる分子を解明するために、発明者は以下のアプローチをとっている。QSE内にあるPBGSが8量体として活性があることが判明しているものの、タンパク質濃度に依存する比活性現象を呈するために、これらのPBGSのみが標的として現在検討中である。標的分子は、図16で円によって図示されるように、6量体の「アームピット」に選択的に結合可能な分子である。発明者は、標的生物からPBGSの6量体形態に結合できる分子を対象に分子ライブラリを探索する「in silico」アプローチをとっている。
【0169】
標的6量体PBGSを構築するホモロジーモデル
発明者が標的6量体PBGSの1モデルの基礎を築くための前提となる唯一存在する結晶構造は、臨床上のヒトPBGS変異体F12L、PDBコード1PV8のものである(ブレイニグら(Breinig et al.)、(2003年)Nat.Struct.Biol 10、757〜763ページ)。残念なことに、F12Lの結晶構造は極めて不規則な様相を呈し、ホモロジーモデル構築における唯一の基礎としてそれを用いるには限界がある。しかしながら、ヒトPBGSの8量体構造と6量体構造(PDBコード1E51と1PV8)の比較によって、TIM様α、β−バレルドメインを含む約300個のアミノ酸とほぼ一致することが示される。ヒトPBGSにおいて、8量体と6量体の間の差異は、24個のアミノ末端のアミノ酸の構造や6量体においてはより不規則である様々な領域の中に存在する(ブレイニグら(Breinig et al.)を参照)。それ故に、誰もが標的PBGSのα、β−バレルドメインを構築するホモロジーモデルに対するより高次の結晶構造を有するPBGS8量体を用いることができる。選択された構造は、PDBコード1GZGであり(フレール、エフ(Frere,F.)、シューベルト、ダブリュ ディ(Schubert,W.D.)、スタウファー、エフ(Stauffer,F.)、フランケンベルク、エヌ(Frankenberg,N.)、ネイアー、アール(Neier,R.)、ジャン、ディ(Jahn,D.)、およびハインツ、ディ ダブリュ(Heinz,D.W.)(2002年)J Mol Biol第320巻、237〜247ページ)Reference(20)、これはPseudomonas aeruginosa PBGSの高度に規則的で高解像度を有する結晶構造であり、それ自体がPBGS6量体を「捕捉する」と考えられる阻害剤における標的である。6量体形態を有するP.aeruginosa PBGSをSwiss−PDBViewer(www.expasy.ch/spdbv/mainpage.html)および他のプログラムの様々な能力を駆使して構築した。P.aeruginosa PBGS6量体を構築するのに、N末端アームを1GZG2量体における構造ファイルから除去した。得られたα、β−バレルドメイン(残基32〜335)を6量体1PV8の3つの2量体上でうまくオーバーレイさせることで、P.aeruginosa PBGS α、β−バレルの6量体集合体を作製した。N末端アームにおけるヒトとP.aeruginosa PBGSの間の配列の中身には何も違いがないが、N末端アームの構造には保存されたα−らせんが存在する。したがって、ヒトPBGSおよびP.aeruginosa PBGSの8量体形態の構造アラインメントを用いることで、このα−らせんセグメントに対する適切な配列アラインメントを決定した。この情報を用いることで、6量体におけるP.aeruginosa PBGSのアミノ酸22〜29を空間的に位置づけた。N末端α−らせんを各サブユニットのα、β−バレルドメインに接続するように、プログラムLoopy(シアン、ゼット(Xiang,Z.)、ソト、シー エス(Soto,C.S.)、およびホーニグ、ビー(Honig,B.)(2002年)Proc Natl Acad Sci USA99、7432〜7437ページ)をアミノ酸29〜32のモデルに対して用いた。最後に、6量体ヒトPBGSに対応するアミノ酸のΦ、Ψ、およびΩといった角度情報を用いて、ファイル1PV8内に存在する、残存するN末端アミノ酸をP.aeruginosa PBGS構造に組み込んだ。ヒトPBGS6量体(lPV8)のN末端の一部における不規則性によって、P.aeruginosa PBGSに対する6量体モデルは、サブユニットA、C、およびEの残基1〜9ならびにサブユニットB、D、およびFの残基1〜11を失っている。6量体P.aeruginosa PBGSは、筆者らが以前に実施してきたように十分に確立した公開モデルを用いた、6量体のエンドウ豆PBGSモデルを構築するための構造の基盤であった。(クンドラト、エル(Kundrat,L.)、マーティンズ、ジェイ(Martins,J.)、スティス、エル(Stith,L.)、ダンブラック、アール エル、ジュニア(Dunbrack,R.L.,Jr.)、およびジャッフェ、イー ケイ(Jaffe,E.K.)(2003年)J BiolChem 第278巻、31325〜31330ページ)。
【0170】
6量体PBGSに優先的に結合することになる分子を探索して、以下のことが発見された。PBGSの6量体の分析は、推定上の「阻害剤」結合部位(アーム−ピットとしても参照)が3つのサブユニットA、B、およびEの因子を含有することを示している。サブユニットAおよびBは、既に定義した「分離した2量体」を含む。ここで読者がα、β−バレルの中心における活性部位を直接探しているように、筆者らは下方サブユニットについて想起する(サブユニットA、図21)。サブユニットBは、サブユニットAとバレル間の界面を共有する。サブユニットEは、サブユニットBと突然変異の相互作用を共有し、サブユニットBでは1つのサブユニットのN末端アームが他のサブユニットのα−β−バレルの塩基にネスト化される。図21は、後に説明するドッキングされた阻害剤であるローズマリー酸を示す。このドッキング結果では、ローズマリー酸は、図に示す3つのすべてのサブユニットと直接相互作用をする。
【0171】
筆者らの共同研究者であるジョージ・マーカム(George Markham)が組み入れている種々の「小分子」の分子ライブラリを用いた。そしてドッキング工程は、6量体形態においてPBGSを捕捉できる分子を発見することを意図した商用のドッキングプログラムGlideを用いる。大自然がモルフェインの捕捉方法を用いているという推定に基づいて検討し、1回目のライブラリスクリーニングは代謝産物および天然産物に焦点を当てた。これまで、1,000,000個以下の分子の分子ライブラリから、エンドウ豆PBGSの6量体モデルの「アーム−ピット」に結合可能な分子に対して30,000個以下をスクリーニングしている。これまで最高の結果は、天然産物であるローズマリー酸によるものである。
【0172】
ローズマリー酸を含む実験データ
ローズマリー酸(ベンゼンプロパン酸,□−[[(2E)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−オキソ−2−プロペニル]オキシ]−3,4−ジヒドロキシ−,(□R)−(9CI))による阻害データは、ローズマリー酸が8量体よりも小さい4次構造の形態のエンドウ豆PBGSに優先的に結合する緩徐で強い結合阻害モデルと合致する。図22Aの白丸は、PBGSが3.5μg/mlで半値を示す、エンドウ豆PBGSの比活性におけるタンパク質濃度依存性を図示する。これは、アッセイ条件下、3.5μg/mlで、4次構造のアイソフォーム(モルフェイン)の平衡が約50%の8量体および約50%のより小さく活性がより低いアイソフォーム(例えば6量体)を含有することを意味する。阻害剤がこれらのより小さい形態への優先的結合を介して作用した場合、モルフェイン平衡がこれらのより小さい形態を含有するという条件下でより顕著な阻害が期待されると考えられる。換言すると、阻害剤は図22Aでローズマリー酸において示されるより高いタンパク質濃度へのタンパク質濃度依存性をシフトさせることが期待されるであろう(下記参照)。図22Bおよび図23は、タンパク質濃度依存性におけるこのシフトを実証するための最適な方法を決めるために行った実験を示す。図22Bは、エンドウ豆PBGSにおける用量反応性曲線を示し、基質の添加に先立って阻害剤を30分投与することでタンパク質に作用する際、ローズマリー酸におけるIC50が63μM以下であることを示す。阻害の予備インキュベーション時間に対する依存性は示さない。この場合、ローズマリー酸のいずれか1種類の濃度による阻害が予備インキュベーション時間の上昇と共に亢進するが、これはローズマリー酸が緩徐で強い阻害剤として作用することを示す。図23は、タンパク質は、一旦阻害が生じるとアッセイ時間の30分以内に回復しない。以下のように図22A、22B、および23で得られるデータを用いることで、エンドウ豆PBGSに関するタンパク質濃度依存性に基づいてローズマリー酸の効果を実証するのに必要な適切な条件を選択する。図22Aの黒丸は、ローズマリー酸30μMを用いて30分処理した後のエンドウ豆PBGSの比活性のタンパク質濃度依存性について示し、この結果、13.5μg/mlのPBGSにおいて半分の活性を示した。故にローズマリー酸を用いたこの処理の後、4次構造の形態の平衡は3.5μMから13.5μMにシフトしている。これらの条件下で、50%の8量体との平衡を得るのにPBGSは13.5μg/ml要する。図16でのボールによって略図として図示されるように、これはローズマリー酸がPBGSの小さく活性がより低い形態を安定化するという解釈に合致する。図24は、天然ゲルの電気泳動データによるこの結論を支持する。レーン2は、エンドウ豆PBGS少なくとも2種類の4次構造の形態内に分離できる。ゲル上の移動度は、8量体および6量体の平衡として存在するエンドウ豆PBGSと一致する(図5Bも参照)。レーン1および3は、ローズマリー酸による処理後、平衡がより小さい形態にシフトすることを示す。レーン1は、142μg/mlにおけるエンドウ豆PBGS上でのローズマリー酸250μMの30分間のインキュベーションの効果について示し、レーン3は、10mMの基質のこの平衡状態の4次構造上への添加に関する効果について示す。
【0173】
筆者らのモデリングの結果に基づき、このビフェニル化合物のエンドウ豆PBGS6量体の「アームピット」との相互作用は、主にタンパク質サブユニットA、B、およびE間の水素結合およびローズマリー酸の極性部の全体に及ぶ。タンパク質は、ローズマリー酸の4.0オングストローム以内にさらなる水素結合ポテンシャルを含む。それ故、ローズマリー酸の誘導体を作ることで、ローズマリー酸分子へのさらなる水素結合ポテンシャルの付加を介して改善された結合が得られる。例えば、任意のフェニル部分の5位置で水酸基を付加でき、タンパク質への水素結合を改善できると考えられる。分子のプロパン酸部分の2位置でフェニル基もしくはベンジル基を置換することによってタンパク質とのさらなる疎水性相互作用が得られると考えられる。
【0174】
本発明が詳細にかつその特定の実施例に関連させて説明されている一方、様々な変化や変更が、それらの技術的思想や範囲から逸脱することなくその中で起こりうるということは当該技術分野では明らかであろう。
【0175】
参考
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93. PCT Publication WO 84/02913
94. PCT PublicationW093/19189
95. PCT Publication WO 92/04449
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1A】F12L変異体と比較した野生型ヒトPBGSのpH速度プロファイルを示す図。
【図1B】monoQ(商標)カラムによる野生型ヒト(Wt)PBGSおよびF12Lのクロマトグラフィー分離を示す図。
【図1C】12.5%ポリアクリルアミドネイティブゲル電気泳動による、野生型(Wt)ヒトPEGSおよびF12Lの移動度の差を示す図。
【図2A】野生型ヒトPBGSの2量体、4量体、および8量体の概略図。
【図2B】ヒトPBGS変異体F12Lの2量体、4量体、および6量体の概略図。
【図3A】Q Sepharose(商標)を用いたPBGSタンパク質のクロマトグラフィー分離における2つのピークを示す図(KCl勾配(破線)、A280(実線))。
【図3B】ネイティブゲル電気泳動により、野生型(Wt)ヒトPBGSおよびF12Lと比較したWtおよびF12Lの2つのプールの移動度の差を示す図。
【図3C】Sephacryl(商標)S300でさらに精製した後の、WtおよびF12LのプールI(●)およびプールII(■)のpH速度プロファイルを示す図。
【図3D】pH7(黒)およびpH9(灰色)で、S300で精製されたプールI(丸)およびプールII(四角)のKおよびVmaxの値を決定するための、ALAの濃度に対する活性のプロットを示す図。
【図4A】アロステリックなマグネシウムの位置を含む大腸菌(E.coli)PBGSの結晶構造の概略図。
【図4B】6量体(右)と比較したヒトPBGS8量体(左)のサブユニット境界を示す概略図。
【図5A】2量体、6量体、および8量体のPBGSの間に存在する平衡状態を示す概略図。
【図5B】EDTA濃度を段階的に高め、分析条件下、マグネシウムの存在下で単離されたエンドウマメPBGSのネイティブゲル電気泳動を示す図。
【図6】アロステリックマグネシウム(Mg)が存在する場合(チェック模様の部分)、アロステリックMgが存在しない場合(白色の部分)、亜鉛活性部位が存在する場合(濃い灰色の部分)、およびZn活性部位が存在しない場合(白色の部分)という独立に分かれた基準に従って分類されたPBGSの分類を示す図。得られたマトリクス(一番右)は4つの象限からなり、北西の象限(NW象限)は+Zn/−Mgを示し、北東の象限(NE象限)は−Zn/−Mgを示し、南西の象限(SW象限)は+Zn/+Mgを示し、南東の象限(SE象限)は−Zn/+Mgを示す。
【図7】2002年4月現在で入手可能なジェンバンク(Genbank)および他のウェブで検索可能なゲノムから得られた真核生物および古細菌のPBGS配列の活性部位の金属結合残基の配列を示す図。
【図8】2002年4月現在で入手可能なジェンバンク(Genbank)および他のウェブで検索可能なゲノムから得られた真核生物および古細菌のPBGS配列の活性部位の金属結合残基の配列を示す図。
【図9】2002年4月現在で入手可能なジェンバンク(Genbank)および他のウェブで検索可能なゲノムから得られた真正細菌のPBGS配列の活性部位の金属結合残基の配列を示す図。
【図10】2002年4月現在で入手可能なジェンバンク(Genbank)および他のウェブで検索可能なゲノムから得られた真正細菌のPBGS配列の活性部位の金属結合残基の配列を示す図。
【図11】2002年4月現在で入手可能なジェンバンク(Genbank)および他のウェブで検索可能なゲノムから得られた真正細菌のPBGS配列の活性部位の金属結合残基の配列を示す図。
【図12】2002年4月現在で入手可能なジェンバンク(Genbank)および他のウェブで検索可能なゲノムから得られた真正細菌のPBGS配列の活性部位の金属結合残基の配列を示す図。
【図13】細菌、古細菌、および真核生物を含むPBGS供給源の分類を示す図であり、図中、PBGSの金属結合特性の分布が図6に従って記号化されている。。
【図14A】大腸菌(E.coli)PBGSの1つの2量体の立体図であり、図中、タンパク質のサブユニットがリボンとして示されている。活性部位の亜鉛イオンが薄い灰色の球として示され、アロステリックなマグネシウムイオンが黒の球として示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多量体タンパク質の結合部位に結合し、それによってユニットの平衡状態に影響を与えて多量体タンパク質に影響を与えるように適合された作用物質を含む組成物であって、前記多量体タンパク質は複数の前記ユニットを有する集合体を含み、前記ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ1つのユニットの前記第1の相補的表面は別のユニットの前記第2の相補的表面に結合しており、ただし、前記集合体は、前記多量体タンパク質中で(1)前記ユニットの各々の構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)前記4次構造の異なるアイソフォームの構造が前記多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である組成物。
【請求項2】
前記多量体タンパク質に影響を与えることは、4次構造のアイソフォームの形成に影響を与えることを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多量体タンパク質に影響を与えることは、前記多量体タンパク質の機能に影響を与えることを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記多量体タンパク質の機能は活性であり、影響を与えることは、阻害または活性化の少なくとも1つである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記作用物質が、より低い活性を有する4次構造のアイソフォーム、またはより高い活性を有する4次構造のアイソフォームの少なくとも1つに結合する請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ユニットの各々は、単量体、2量体、3量体、4量体、6量体、および8量体からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記多量体タンパク質は、ポルホビリノゲンシンターゼおよびクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記多量体タンパク質は、8個のポルホビリノゲンシンターゼ単量体からなるポルホビリノゲンシンターゼである請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記作用物質は、より低い活性を有する前記4次構造のアイソフォームに結合する阻害物質であり、該4次構造のアイソフォームは8個未満のポルホビリノゲンシンターゼの単量体を含む請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記多量体タンパク質は前記クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼであり、前記作用物質は、より低い活性を有する前記4次構造のアイソフォームに特有の結合部位に選択的に結合することによって、該クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼを阻害する請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
第2の数の単量体を有する多量体ポルホビリノゲンシンターゼのより低い活性型に結合することによって、第1の数の単量体を有する多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合された阻害物質を含む組成物であって、単量体の該第1の数が単量体の該第2の数より多い組成物。
【請求項12】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、細菌、古細菌、または真核生物に由来し、ただし、該8量体のポルホビリノゲンシンターゼはアロステリックなマグネシウム結合部位を含んでいる請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼは触媒作用の亜鉛結合部位を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、前記アロステリックなマグネシウム結合部位および前記触媒作用の亜鉛結合部位を含まない請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記より低い活性型は6量体である請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記より低い活性型が2量体である請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記阻害物質は金属イオンを置換し、それによって金属イオン結合部位で結合する請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記金属イオンは亜鉛および/またはマグネシウムである請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記阻害物質は活性部位で結合する請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
前記阻害物質は金属陽イオンではない請求項11に記載の組成物。
【請求項21】
前記阻害物質は、前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合され、前記活性型は、8個未満の単量体を含む前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼのより低い活性型の会合を不可能にするドメインに結合することによる8量体ポルホビリノゲンシンターゼである請求項11に記載の組成物。
【請求項22】
前記阻害物質は、活性部位および/または金属イオン結合部位以外の部位で結合することによって、前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合される請求項11に記載の組成物。
【請求項23】
前記阻害物質は、金属イオンを除去する以外の機序によって、前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害するように適合される請求項11に記載の組成物。
【請求項24】
製薬上許容される媒体、口腔に許容される担体、抗菌性の媒体、および除草効果のある媒体からなる群から選択される送達媒体をさらに含む請求項11に記載の組成物。
【請求項25】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害または防止し、それによって細菌、古細菌、および/または真核生物の発生または成長を阻害または防止するのに有効であり、ただし、前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型はアロステリックなマグネシウム結合部位を含む請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
細菌、古細菌、および/または真核生物に接触することによって引き起こされる疾患を治療または予防するのに有効である請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
薬物、練り歯磨き、石鹸、消毒剤、抗バイオフィルム組成物、および除草剤の少なくとも1種である請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型の形成を阻害または防止し、それによって細菌、古細菌、および/または真核生物の発生または成長を阻害または防止するのに有効であり、ただし、前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型は、前記アロステリックなマグネシウム結合部位および前記触媒作用の亜鉛結合部位を含まない請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
細菌、古細菌、および/または真核生物に接触することによって引き起こされる疾患を治療または予防するのに有効である請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
薬物、練り歯磨き、石鹸、および消毒剤の少なくとも1種である請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
会合した2量体からなる多量体中に実質的に存在する多量体ポルホビリノゲンシンターゼの形質転換に適合された除草剤耐性植物。
【請求項32】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼはヒト由来である請求項31に記載の除草剤耐性植物。
【請求項33】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼは、アロステリックなマグネシウム結合部位を含まない請求項31に記載の除草剤耐性植物。
【請求項34】
触媒機能のために亜鉛を必要としない多量体ポルホビリノゲンシンターゼに結合するように適合された阻害物質を含む組成物。
【請求項35】
多量体タンパク質に影響を与える方法であって、該方法は、複数のユニットを有する集合体を含み、該ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ1つのユニットの該第1の相補的表面は別のユニットの該第2の相補的表面に結合しており、ただし、該集合体は、(1)前記ユニットの構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)前記4次構造の異なるアイソフォームの構造が前記多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である多量体タンパク質を準備する工程と、
該集合体の結合部位に結合することによって平衡状態に影響を与えるように適合された前記作用物質を含む請求項1に記載の組成物を準備する工程と、
結合部位に結合することによって平衡状態に影響を与える該作用物質に該集合体を接触させ、それによって前記多量体タンパク質に影響を与える工程とを備える方法。
【請求項36】
前記多量体タンパク質に影響を与える工程は、4次構造のアイソフォームの形成に影響を与える工程を含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記多量体タンパク質に影響を与える工程は、前記多量体タンパク質の機能に影響を与える工程を含む請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ユニットは、単量体、2量体、3量体、4量体、6量体、および8量体からなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記作用物質は、前記多量体タンパク質の機能に影響を与えるように前記作用物質を適合される請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記多量体タンパク質の機能は活性であり、影響を与える工程は、阻害する工程または活性化させる工程の少なくとも1つである請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記作用物質は、より低い活性を有する4次構造のアイソフォーム、またはより高い活性を有する4次構造のアイソフォームの少なくとも1つに結合する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記作用物質は、より高い活性を有する4次構造のアイソフォームに結合する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記多量体タンパク質は、ポルホビリノゲンシンターゼおよびクラスIaリボヌクレオチドレダクターゼからなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記多量体タンパク質は、8個のポルホビリノゲンシンターゼ単量体からなるポルホビリノゲンシンターゼである請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記多量体タンパク質は前記クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼであり、前記作用物質は、より低い活性を有する前記4次構造のアイソフォームに特有の結合部位に選択的に結合することによって、該クラスIaリボヌクレオチドレダクターゼを阻害する請求項43に記載の方法。
【請求項46】
細胞、組織、または生物の生理活性の調節方法であって、該方法は、複数のユニットを有する集合体を含む多量体タンパク質であって、該ユニットの各々が第1の相補的表面および第2の相補的表面を含み、かつ1つのユニットの該第1の相補的表面は別のユニットの該第2の相補的表面に結合しており、ただし、該集合体は、(1)前記ユニットの構造が4次構造の異なるアイソフォームの構造を決定し、(2)前記ユニットが平衡状態にあり、および(3)4次構造の異なるアイソフォームの構造が多量体タンパク質の機能に影響を与えるという条件で、4次構造の異なるアイソフォームの少なくとも1種である多量体タンパク質を含む細胞、組織、または生物を準備する工程と、
該ユニットの結合部位に結合することによって平衡状態に影響を与え、それによって4次構造のアイソフォームの形成に影響を与えて該生理活性を調節するように適合された該作用物質を含む請求項1に記載の組成物を、該細胞、該組織、または該生物に与える工程とを備える方法。
【請求項47】
多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型形成の阻害方法であって、該方法は、請求項11に記載の組成物を多量体ポルホビリノゲンシンターゼに適用する工程と、
該組成物を前記より低い活性型と結合させる工程と、
該より低い活性型が集合して活性型になるのを阻害し、それによって該多量体ポルホビリノゲンシンターゼの活性型形成を阻害する工程とを備える方法。
【請求項48】
除草剤に耐性であり、かつ会合した2量体からなる多量体中に実質的に存在する多量体ポルホビリノゲンシンターゼの形質転換に適合された植物に、請求項27に記載の組成物を適用する工程を備える、植物の成長または発育の操作方法。
【請求項49】
前記多量体ポルホビリノゲンシンターゼはアロステリックなマグネシウム結合部位を含まない請求項48に記載の方法。
【請求項50】
抗菌性表面の製造方法であって、該方法は、請求項27に記載の組成物を準備する工程と、
表面を形成するマトリックスを準備する工程と、
該表面を形成するマトリックスに該組成物を結合させ、それによって抗菌性の表面を製造する工程とを備える方法。
【請求項51】
前記抗菌性表面は、バイオフィルムの形成を防止または阻害するように前記抗菌性表面を適合される請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記阻害物質は、ロスマリン酸またはその誘導体である請求項11に記載の組成物。

【図14A】大腸菌(E.coli)PBGSの1つの2量体の立体図であり、図中、タンパク質のサブユニットはリボンとして示され、黒と薄い灰色に着色されている。活性部位の亜鉛イオンが薄い灰色の球として示され、アロステリックなマグネシウムイオンが黒の球として示されている。活性部位のリガンドは図示されていない。
【図14B】活性部位の亜鉛の詳細な構造を示す立体図。システインリガンドに標識が付され、システイン硫黄原子が白い球として示されている。水に標識が付されている。活性部位のリガンドである4,7−DOSAが灰色で示され、酸素原子が球として示されている。
【図15】アロステリックなマグネシウム結合部位の詳細な構造を示す立体図。白球は、マグネシウムと、隣接残基の酸素および窒素原子との広い連結網を形成する水分子を示している。この連結網に関与しているアミノ酸が棒として示され、図9Aの鎖に従って、炭素が薄い色または濃い色に着色されている。連結網に含まれる酸素または窒素原子が濃淡の影で示されている。標識が付されたアミノ酸E231は、マグネシウムの第1配位領域中にある唯一のアミノ酸である。R11は、会合している2量体の隣接したサブユニットのN末端のアームに由来している。
【図16】本発明の阻害方法の実施形態の概略図。(円で示された)本発明の阻害物質は、2量体または6量体PBGSの1種以上のドメインに結合して8量体の形成を阻害し、結合型を安定させて平衡状態を移動させる。
【図17】タンパク質の2種のアイソフォームの間の平衡状態を示す2次元の概略図であり、タンパク質の機能に影響を与えることができる作用物質は、ユニットの1つの型上には結合部位を有するが、別の型上には結合部位を有さないことを示している。各事例において、多量体化の方法は、1本の太い線を1本の点線のそばに並べるものである。
【図18】タンパク質の2種のアイソフォームの間の平衡状態を示す2次元の概略図であり、平衡状態は様々なユニットの相互変換を経由しなければならないことを示している。
【図19】4次構造の異なるアイソフォーム、およびユニットとオリゴマーとの間の平衡状態を示す2次元の概略図。タンパク質サブユニット(多量体タンパク質)の異なる4種の立体配置を示している。多量体タンパク質は、2量体(図中、楕円で示されている)、3量体(図中、球形で示されている)、および4量体(図中、四角で示されている)になり得る。ユニットの形状が、多量体タンパク質の形状を制御しており、例えば、2量体、3量体、および4量体を形成することができるユニットがあり、オリゴマーを形成できないユニットもある。この図は、いくつかの形状のオリゴマー(アイソフォーム)を形成するために、ユニットは特異的な変換を経なければならないことを示している。各事例において、単量体の構造がオリゴマー状態を決定し、オリゴマー状態が機能的特徴を決定する。各事例において、多量体間の平衡を保つためには、ユニットの異なる2種の構造が使用されなければならない。
【図20】アロステリック調節因子(作用物質)を含む、ユニットとオリゴマーとの間の平衡状態を示す2次元の概略図。アロステリック調節因子は、ユニットまたは多量体タンパク質に結合した灰色に着色された形として示されている。アロステリック調節因子は、複数のオリゴマー状態の間の平衡状態を乱し得る。
【図21】6量体の緑膿菌(P.アエルギノーサ(P.aeruginosa))PBGSのモデルに適切である構造体S756393を示す図(空間充填)。
【図22A】様々な分析時間に測定されたA555の値を示すグラフであり、グラフ中、白丸で形成された曲線は、阻害物質が使用されなかった場合(Kd=3.5μg/ml)であり、黒丸で形成された曲線は、ロスマリン酸が使用された場合(Kd=13.5μg/ml)である。
【図22B】阻害物質の濃度に対する比活性の特徴を示したグラフであり、グラフ中、白丸で形成された曲線は、ロスマリン酸が使用されなかった場合であり、黒丸で形成された曲線は、ロスマリン酸が62.5mMで使用された場合である。
【図23】阻害作用がエンドウマメPBGSの小型のオリゴマーの安定化に関連していることを示す図(エンドウマメPBGS濃度は10mg/ml、ロスマリン酸を加えて30分間プレインキュベーション、IC50=62.5mM)。
【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2007−529995(P2007−529995A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518868(P2006−518868)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/021722
【国際公開番号】WO2005/007817
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506010013)
【氏名又は名称原語表記】FOX CHASE CANCER CENTER
【Fターム(参考)】