説明

抗腐食性コーティング組成物、抗腐食性フィルムおよび抗腐食性物品

コーティング組成物、この組成物によって形成された抗腐食フィルム、ならびに抗腐食物品が開示される。この組成物は、1〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと;1〜70質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と;5〜70質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと;0〜40質量%の、1つまたはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤と;上記成分の100質量部に基づき、100〜400質量部の溶媒とを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腐食性コーティング組成物、その組成物によって形成された抗腐食性フィルム、およびそのような抗腐食性フィルムによって保護された抗腐食性物品に関する。より詳しくは、本発明は、ナットやボルトなどの締め具用のフルオロポリマーコーティング組成物であって、従来のコーティングと比較して、良好なコーティング−基材間接着力および剥離(コーティング−コーティング間剥離)能力の双方を維持しながら、腐食耐性の改善をもたらすため、塩水環境への暴露後でもナットやボルトを緩めることができる組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
多くの基礎構造は、抗腐食処理を必要とする。例えば、海底油田掘削施設や浮きドックなどのいくつかの鋼製構造の設備は海水に長期間曝露されるため、そのような設備の腐食は海水中の塩分と日光暴露によって促進される。設備の耐用年数を延ばし、安全性を保証するために、そのような設備の鋼製構造には抗腐食処理を施す必要がある。
【0003】
現在は、ポリテトラフルオロエチレンをベースとする(PTEFをベースとする)コーティングが最も一般的な抗腐食性コーティングである。この抗腐食性コーティングは、大抵の場合は海水による腐食から金属構造および設備を保護する。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン樹脂をベースとするコーティングでは、高性能の抗腐食および高性能の抗浸食に関して、いくつかの要求が厳しい必要条件を満たすことができない。コーティングされた金属基材の腐食耐性を測定するために最も一般的に用いられる方法は、塩水噴霧耐性試験である。例えば、高規格鋼製構造(炭素鋼部品など)上の優れた抗腐食性コーティングは、塩水噴霧試験を受けた時に、より長い期間、金属をさびつきから保護する。このことは、使用時に海水中の塩分に暴露される構造の耐用年数が延びることや、維持費が削減されることに等しい。いかなる表面処理もせずに通常の炭素鋼構造上で調製された現在のポリテトラフルオロエチレンをベースとするコーティングは、ASTM B−117試験条件に従って、フィルムの厚さが25±5マイクロメートルである場合、約350時間の塩水噴霧試験を受けることのみが可能である。したがって、そのようなコーティングに関して、増大する抗腐食性能の必要条件を満たすことは非常に困難である。
【0004】
さらに、いくつかのボルトおよびナットでは、高性能の抗腐食が必要とされるだけでなく、ボルトおよびナット構造を締めたり緩めたりする間のコーティングの浸食/フレーキングを防止するために完全な抗浸食および他の機械的性能を有し、それによって抗腐食性能が影響されないような、ボルトおよびナット上で調製される抗腐食性コーティングも必要とされる。言い換えると、鋼製構造用抗腐食性コーティングは、より長い期間、腐食から、そして浸食/フレーキングから、構造を保護しなければならない。
【0005】
特許文献1には、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、少なくとも1種のイミド含有樹脂と、フルオロカーボンポリマーとを含むコーティング組成物が開示されている。しかしながら、現在まで、そのような系では、海水に暴露後の基材に対する腐食耐性および接着力に関して、まだ不十分である。したがって、より良好な抗腐食性能を有するだけでなく、より良好な抗浸食性能も有する、より良好な抗腐食性コーティング組成物を開発することがなお必要とされている。さらにまた、多くの用途で、コーティングを一回塗布しただけでも抗腐食性コーティングが有効であることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,139,576号明細書(ヨシムラら)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書に開示される本発明の一態様では、良好な抗腐食性能と良好な抗摩耗性能とを併せ持つコーティング組成物が提供される。
【0008】
本明細書に開示される本発明のもう1つの態様では、前記コーティング組成物から製造された抗腐食性フィルムが提供される。
【0009】
本明細書に開示される本発明のもう1つの態様では、前記抗腐食性フィルムによって保護された抗腐食性物品が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、(a)1〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、(b)1〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、(c)5〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドとを含んでなる抗腐食性フィルムを提供する。
【0011】
一実施形態において、抗腐食性フィルムはさらに、成分(d)として、1〜40重量%の、1種またはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤を含んでなる。
【0012】
抗腐食性フィルムを説明する各実施形態に関して、抗腐食性フィルムが単層コーティングである実施形態が存在する。
【0013】
もう1つの実施形態において、本発明は、
(a)基材と、(b)基材上にコーティングされた抗腐食性フィルムとを含んでなる抗腐食性物品であって、抗腐食性フィルムが、(a)1〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、(b)1〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、(c)5〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、場合により、(d)0〜40重量%、例えば、1〜40重量%の、1種またはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤とを含んでなる物品を提供する。
【0014】
もう1つの実施形態において、本発明は、(a)1〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、(b)1〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、(c)5〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、場合により、(d)0〜40重量%、例えば、1〜40重量%の、1種またはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤と、可溶性または分散性有効量の溶媒とを含んでなる液体コーティング組成物を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、基材上に抗腐食性フィルムを形成する方法であって、以下の工程、
i)基材を、
(a)1〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
(b)1〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
(c)5〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
(d)0〜40重量%、例えば、1〜40重量%の、1種またはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤と、
(e)有効量の溶媒と
を含んでなる液体コーティング組成物でコーティングする工程、および
ii)コーティングされた基材を加熱し、抗腐食性フィルムを形成する工程
からなる方法を提供する。
【0016】
一実施形態において、加熱工程は、180〜240℃で実施される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中、数値範囲が挙げられる部分では、特記されない限り、その範囲は、その終点、ならびに範囲内の全ての整数および分数を含むものとして意図される。範囲が定義される場合、挙げられた特定の値に本発明の範囲が限定されることは意図されない。さらに、本明細書に明らかにされた全ての範囲は、具体的に記載された特定の範囲のみならず、挙げられた最小および最大の値を含むその中の値のいかなる組み合わせも含むものとして意図される。
【0018】
「フルオロポリマー」は、少なくとも1個のフッ素原子を含んでなる少なくとも1種の重合したモノマーの繰り返し単位を含んでなる骨格を有するポリマーまたはコポリマーを意味する。「高度にフッ素化された」という用語は、ポリマー骨格および側鎖に結合したハロゲンおよび水素原子の総数の少なくとも90%がフッ素原子であることを意味する。ポリマーが「ペルフッ素化されている」場合、骨格および側鎖に結合したハロゲンおよび水素原子の総数の100%がフッ素原子であることを意味する。
【0019】
本明細書中の「ポリアミドイミド」(または「PAI」)という用語には、ポリアミドイミドが誘導され得るポリアミン酸およびポリアミン酸塩も含まれる。
【0020】
本明細書中、溶媒の量を指す場合を除き、「重量%」は、組成物中の非揮発性成分の全重量の百分率として表される非揮発性成分の重量百分率を意味する。溶媒の量を指す場合、「重量%」は、組成物中の非揮発性成分の全重量の百分率として表される溶媒の重量百分率を意味する。
【0021】
本明細書中、特記されない限り、「(コ)ポリマー」という用語は、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。
【0022】
本明細書中、特記されない限り、「(メタ)アクリレート」という用語には、アクリレートおよびメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせが含まれ、そして「(メタ)アクリル酸」という用語には、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0023】
本明細書中、「アクリルポリマー」という用語は、スチレン−アクリルポリマーを含み、そして(コ)ポリマーの固体の全重量の百分率で少なくとも50重量%の固体濃度で、(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリル酸またはスチレン、あるいはそれらの組み合わせの重合単位を含んでなるポリマーを意味する。「アクリルポリマー」という用語は、したがって、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を含む。
【0024】
本明細書中、「ガラス転移温度」(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)によって、熱転移の高さを半分にする方法によって、当該技術で知られているように測定される。
【0025】
本明細書中、逆に明示されていない限り、分子量は数平均分子量(Mw)を指す。
【0026】
本明細書中、「補助結合剤」という用語は、1種またはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーを指す。
【0027】
本明細書中、「硬質充填剤」という用語は、少なくとも1200のKnoop硬度を有する無機充填剤粒子を指す。Knoop硬度は、刻みまたは引掻きに対する材料の耐性を説明する尺度である。鉱物およびセラミックの硬度の値は、ShackelfordおよびAlexander,CRC Materials Science and Engineering Handbook,CRC Press,Boca Raton FL,1991からの参照材量に基づき、Handbook of Chemistry,第77版,第12〜186,187頁に記載されている。1200以上のKnoop硬度値を有する無機充填剤粒子の例は、酸化ジルコニウム(1200)、窒化アルミニウム(1225)、酸化ベリリウム(1300)、窒化ジルコニウム(1510)、ホウ化ジルコニウム(1560)、窒化チタン(1770)、炭化タンタル(1800)、炭化タングステン(1880)、酸化アルミニウム(2025)、炭化ジルコニウム(2150)、炭化チタン(2470)、炭化ケイ素(2500)、ホウ化アルミニウム(2500)、ホウ化チタン(2850)である。
【0028】
コーティング組成物、およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、1種またはそれ以上のフルオロポリマーを含んでなる。フルオロポリマーは、主に、自己潤滑性、非接着性、耐熱性および低摩擦係数を含む特性を有する乾燥コーティング層を提供する。
【0029】
本発明のフルオロポリマーは、フッ素化モノマーのみ、またはフッ素化モノマーと非フッ素化モノマーとの重合単位からなるホモポリマーまたはコポリマーであってよく、そして、例えば、ポリテトラフルオロエチレンポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ペルフッ素化アルキルビニルエーテルコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、エチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−フッ化ビニルコポリマーまたはそれらのいずれかの組み合わせなどのコーティング組成物で一般的に用いられるいかなるフルオロポリマーも含み得る。
【0030】
本発明に用いられるフルオロポリマーは、少なくとも1×10Pa・sの溶融粘度を有する、溶融加工性ではないフルオロポリマーであることが可能である。一実施形態は、380℃で少なくとも1×10Pa・sの溶融粘度を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。そのようなPTFEは、ペルフルオロオレフィン、特にヘキサフルオロプロピレン(HFP)、または特にアルキル基が1〜5個の炭素原子を含有するペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル、好ましくはペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などの焼成(融合)中のフィルム形成能を改善する少量のコモノマー変性剤を含むことも可能である。そのような変性剤の量は、PTFEに溶融加工性を付与するには不十分であり、一般に0.5モル%以下である。PTFEは、単純に単一の溶融粘度、通常、少なくとも1×10Pa・sの溶融粘度を有することができるが、異なる溶融粘度を有するPTFEの混合物を使用して、フルオロポリマー成分を形成することもできる。
【0031】
フルオロポリマーを、PTFEと組み合わせて(ブレンドして)、またはそれらと置き換えて、溶融加工性のフルオロポリマーとすることも可能である。そのような溶融加工性のフルオロポリマーの例には、TFEと、TFEホモポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の融点よりも実質的に低くなるように、例えば、315℃以下の溶融温度までコポリマーの融点を低下させるために十分な量でポリマーに存在する少なくとも1種のフッ素化共重合性モノマー(コモノマー)とのコポリマーが含まれる。TFEとの好ましいコモノマーには、3〜6個の炭素原子を有するペルフルオロオレフィン、およびアルキル基が1〜5個の炭素原子、特に1〜3個の炭素原子を含むペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)などのペルフッ素化モノマーが含まれる。特に好ましいコモノマーには、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)およびペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)が含まれる。好ましいTFEコポリマーには、FEP(TFE/HFPコポリマー)、PFA(TFE/PAVEコポリマー)、PAVEがPEVEおよび/またはPPVEであるTFE/HFP/PAVE、ならびにMFA(TFE/PMVE/アルキル基が少なくとも2個の炭素原子を有するPAVE)が含まれる。溶融加工性のテトラフルオロエチレンコポリマーの分子量は、コーティング塗布時に完全性を有するように、フィルムが形成され、そして成形された形状を支持することができるために十分であれば、重要ではない。典型的に、溶解粘度は、ASTM D−1238に従って、372℃で決定した場合、少なくとも1×10Pa・sであり、そして約60〜100×10Pa・sまで変動してよい。
【0032】
一実施形態において、フルオロポリマー成分は、1×10〜1×1011Pa・sの範囲の溶融粘度を有する溶融加工性ではないフルオロポリマーと、1×10〜1×10Pa・sの範囲の粘度を有する溶融加工性のフルオロポリマーとのブレンドである。
【0033】
フルオロポリマー成分は、一般に、粉末として、または水中でのポリマーの分散系として商業的に入手可能である。「分散」とは、フルオロポリマー粒子が水性媒体中で安定して分散し、分散系が使用される時間内で粒子の沈殿が生じないことを意味する。これは、典型的に0.2マイクロメートル程度の径の小さいフルオロポリマー粒子を利用することによって、そして分散系製造業者が水分散系中に界面活性剤を使用することによって達成してもよい。そのような分散系は、場合により界面活性剤の濃縮および/またはさらなる添加が続く分散重合として知られる方法によって直接得ることができる。
【0034】
有用なフルオロポリマーには、一般に、マイクロパウダーとして知られるものを含む。これらのフルオロポリマーは、一般に、372℃で1×10Pa・s〜1×10Pa・sの溶融粘度を有する。そのようなポリマーには、限定されないが、テトラフルオロエチレン(TFE)ポリマーとして知られるポリマーの群をベースとするものが含まれる。このポリマーは、直接重合することもできるが、より高分子量のPTFE樹脂の分解によって製造することもできる。TFEポリマーには、TFEのホモポリマー(PTFE)、およびTFEと、樹脂が非溶融加工性のままであるような低濃度の共重合性変性コモノマー(<1.0モル%)とのコポリマー(変性PTFE)が含まれる。変性モノマーは、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)、ペルフルオロブチルエチレン、クロロトリフルオロエチレンまたは側鎖基を分子中に導入する他のモノマーであることができる。
【0035】
フルオロポリマー成分は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンとエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーとの混合物、またはポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーとの混合物、またはポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン−ペルフッ素化アルキルビニルエーテルコポリマーとの混合物、またはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーとエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーとの混合物、またはポリテトラフルオロエチレンとポリフッ化ビニルとの混合物、またはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーとポリフッ化ビニルとの混合物、またはテトラフルオロエチレン−ペルフッ素化アルキルビニルエーテルコポリマーとエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーとの混合物、またはテトラフルオロエチレン−ペルフッ素化アルキルビニルエーテルコポリマーとポリフッ化ビニルとの混合物であってもよい。
【0036】
ポリフッ化ビニルおよびポリフッ化ビニリデンなどのフルオロ炭化水素モノマーの重合単位を含んでなるフルオロポリマー、またはポリエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーなどのペルフッ素化されていないモノマーと一緒にペルフッ素化モノマーの重合単位を含んでなるフルオロポリマーも、水性コーティング組成物での有用性が見い出され得る。しかしながら、ペルフッ素化フルオロポリマー、または2種以上のペルフッ素化ポリマーの混合物が好ましい。特に適切なフルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または2種以上のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーの混合物である。
【0037】
一実施形態において、1種またはそれ以上のフルオロポリマーは、1種またはそれ以上のペルフッ素化ポリマーを含んでなる。1つのそのような実施形態において、ペルフッ素化ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0038】
もう1つの実施形態において、1種またはそれ以上のフルオロポリマーは、ペルフッ素化ポリマーのみを含んでなる。1つのそのような実施形態において、1種またはそれ以上のフルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のみを含んでなる。1つのそのような実施形態において、1種またはそれ以上のフルオロポリマーは、2種以上のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーの混合物を含んでなる。
【0039】
もう1つの実施形態において、1種またはそれ以上のフルオロポリマーは、2種以上のペルフッ素化ポリマーの混合物を含んでなる。この種類の一実施形態において、2種以上のペルフッ素化ポリマーのうちの2種は、粒径が異なる。この種類の一実施形態において、2種以上のペルフッ素化ポリマーのうちの2種は、粒径が5〜20倍異なる。この種類のもう1つの実施形態において、2種以上のペルフッ素化ポリマーのうちの2種は、溶融粘度が異なる。一実施形態において、2種以上のペルフッ素化ポリマーのうちの2種は、溶融粘度が5〜10倍異なるか、または5〜200倍異なるか、または10〜100倍異なる。
【0040】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物、およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、40,000〜1,110,000の数平均分子量を有するフルオロポリマーを含んでなり、一実施形態において、フルオロポリマーは60,000〜700,000の分子量を有し、一実施形態において、フルオロポリマーは90,000〜500,000の分子量を有する。
【0041】
一実施形態において、フルオロポリマーは、1.0〜50g/10分の溶融流れ速度を有し、一実施形態において、フルオロポリマーは、2.3〜45g/10分の溶融流れ速度を有し、一実施形態において、フルオロポリマーは、5〜25g/10分の溶融流れ速度を有する。
【0042】
一実施形態において、フルオロポリマーは、3〜20マイクロメートルの平均粒径を有し、一実施形態において、フルオロポリマーは、5〜15マイクロメートルの平均粒径を有し、一実施形態において、フルオロポリマーは、8〜12マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0043】
本発明で使用されるフルオロポリマーを市販品として購入してもよい。例えば、DuPont Company(Wilmington,DE,USA)から、Teflon(登録商標)またはZonyl(登録商標)の商標名で購入してもよい。
【0044】
一実施形態において、本発明で使用されるフルオロポリマーがポリテトラフルオロエチレン樹脂を含んでなる場合、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の溶融流れ速度は2.3〜45g/10分であってもよく、その平均粒径d50は3〜12マイクロメートルであってもよい。
【0045】
コーティング組成物は、1〜35重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、例えば、一実施形態において、10〜35重量%、または10〜30重量%、または10〜26重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、あるいは17〜35重量%、または17〜30重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、あるいは一実施形態において、19〜31重量%または19〜26重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、あるいは一実施形態において、21〜31重量%のフルオロポリマーを含んでもよい。
【0046】
抗腐食性フィルムは、1〜35重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、例えば、一実施形態において、10〜35重量%、または10〜30重量%、または10〜26重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、あるいは17〜35重量%、または17〜30重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、あるいは一実施形態において、19〜31重量%、または19〜26重量%のフルオロポリマーを含んでもよく、あるいは一実施形態において、21〜31重量%のフルオロポリマーを含んでもよい。
【0047】
抗腐食性コーティング組成物、およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、少なくとも2種の結合剤ポリマーを含んでなる。ポリアミドイミドおよびエポキシ樹脂を含む結合剤ポリマーは、抗腐食性フィルム(抗腐食性コーティングとしても知られる)の基材への接着力および密度の改善、抗腐食性コーティングのバリア性能の変更、顔料の分散、最終製品の電気性能の調節、適切なコーティング方法の提供、ならびにコーティングフィルムの耐用年数の延長を含む特性のバランスを提供する。
【0048】
抗腐食性コーティング組成物、およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、1種またはそれ以上のポリアミドイミドまたはポリアミド酸もしくはそれらの塩を含んでなる。一実施形態において、添加を容易にするために、またフィルム形成を補助するために、分散する結合剤と一緒に少量の有機溶媒を添加してもよい。そのような溶媒には、使用される特定の分散ポリマー次第で、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよびクレゾール酸が含まれる。NMPは、その相対的な安全性と環境許容性のため、好ましい溶媒である。当業者は、溶媒の混合物を使用してもよいことを認識するであろう。
【0049】
一実施形態において、ポリアミドイミドは、約20,000以下、好ましくは15,000以下の数平均分子量を有する。
【0050】
ポリアミドイミドの粘度は、25℃で0.9〜5.9Pa・s、好ましくは1.0〜3.5Pa・s、より好ましくは1.1〜2.6Pa・sであってもよい。
【0051】
一実施形態において、ポリマーがフィルムの形状に形成された場合、ポリアミドイミドの引張強さ(ASTM D 638)は、30℃で95〜110MPa、好ましくは98〜105MPa、より好ましくは0.96〜0.98Pa・sである。
【0052】
一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)(ASTM E−1356)は、200〜300℃、好ましくは210〜290℃、より好ましくは220〜280℃である。
【0053】
ポリアミドイミドは、市販品として購入することができる。例えば、日立化成工業株式会社(日本)から、製品シリアル番号HPC−6000A−26D、HPC−6000A−28、HPC−1000−28およびHI−680のポリアミドイミド樹脂を購入することができる。Amoco(BP group,London,UK)のPolyamic Acid A−10などのポリアミド酸溶液も使用されてもよい。
【0054】
コーティング組成物中の全成分の固体の全重量に基づき、コーティング組成物は、5〜70重量%または10〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドを含んでもよく、あるいは一実施形態において、20〜70重量%または20〜60重量%、あるいは一実施形態において、25〜58重量%または25〜50重量%、あるいは一実施形態において、30〜51.5重量%または30〜40重量%のポリアミドイミドを含んでもよい。
【0055】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、6〜17重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミド樹脂、あるいは一実施形態において、7〜15重量%のポリアミドイミドを含んでなる。
【0056】
もう1つの実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、17重量%以上、例えば、17〜55重量%または20〜50重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミド樹脂を含んでなる。
【0057】
フィルム中の全成分の固体の全重量に基づき、抗腐食性フィルムは、5〜70重量%または10〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドを含んでもよく、あるいは一実施形態において、20〜70重量%または20〜60重量%、あるいは一実施形態において、25〜58重量%または25〜50重量%、あるいは一実施形態において、30〜51.5重量%または30〜40重量%のポリアミドイミドを含んでもよい。
【0058】
一実施形態において、抗腐食性フィルムは、6〜17重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミド樹脂、あるいは一実施形態において、7〜15重量%のポリアミドイミドを含んでなる。
【0059】
もう1つの実施形態において、抗腐食性フィルムは、17重量%以上、例えば、17〜55重量%または20〜50重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミド樹脂を含んでなる。
【0060】
抗腐食性コーティング組成物、およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、1種またはそれ以上のエポキシ樹脂を含んでなる。上述の抗腐食性コーティング組成物に使用可能なエポキシ樹脂には、特別な条件はあてはまらない。例えば、グリシジルエステル基を含有するポリマー(例えば、ポリアクリル酸グリシジルエステルおよびポリメタクリル酸グリシジルエステル)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂)、またはそれらの組み合わせなどの当該技術で既知のエポキシ基を含有するいかなるエポキシ樹脂でも適切であり得る。グリシジルエーテルエポキシ樹脂が一般的に用いられる。
【0061】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物を製造するために適切なエポキシ樹脂の粘度(25℃)は、5.0〜15500mPa・sであるか、または一実施形態において、6.0〜13500mPa・sであってもよい。
【0062】
コーティング組成物は、1〜70重量%のエポキシ樹脂、例えば、一実施形態において、1〜15重量%、または1〜12重量%、または2〜10重量%、または2〜6重量%のエポキシ樹脂を含んでなる。もう1つの実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、15重量%以上のエポキシ樹脂、例えば、15〜70重量%のエポキシ樹脂、または20〜60重量%、または20〜50重量%のエポキシ樹脂を含んでなる。
【0063】
抗腐食性フィルムは、1〜70重量%のエポキシ樹脂、例えば、一実施形態において、1〜15重量%、または1〜12重量%、または2〜10重量%、または2〜6重量%のエポキシ樹脂を含んでなる。もう1つの実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、15重量%以上のエポキシ樹脂、例えば、15〜70重量%のエポキシ樹脂、または20〜60重量%、または20〜50重量%のエポキシ樹脂を含んでなる。
【0064】
エポキシ樹脂は、市販品として購入することができる。例えば、日立化成工業株式会社(日本)から、シリアル番号HPC−6000B−26Dなどのエポキシ樹脂を購入することができる。あるいは、Cytec Specialty Chemicalから、例えば、シリアル番号EP 147Wのエポキシ樹脂乳濁液を購入することができる。
【0065】
抗腐食性コーティング組成物およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、場合により、本明細書中では補助結合剤ポリマーまたは補助結合剤と記載される第2の結合剤ポリマーも含んでもよい。補助結合剤は、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上であってもよい。
【0066】
一実施形態において、補助結合剤は、(メタ)アクリル酸、もしくはC1〜8アルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの組み合わせの重合単位を含んでなるアクリルポリマーを含んでなる。1つのそのような実施形態において、アクリルポリマーは、ホスホエチル(メタ)アクリレートなどのリン含有モノマーの重合単位を含んでなる。
【0067】
一実施形態において、補助結合剤のガラス転移温度(Tg)(ASTM E−1356)は、200〜240℃、または210〜230℃の範囲である。
【0068】
一実施形態において、補助結合剤は、ポリエーテルスルホン、またはポリエーテルスルホンと上記成分のいずれかとの混合物である。あるいは、補助結合剤は、ポリフェニレンスルフィド、またはポリフェニレンスルフィドと上記成分のいずれかとの混合物であってもよい。
【0069】
ポリエーテルスルホンは、市販品として購入することができる。例えば、Solvay Advanced Polymers L.L.C(Dusseldorf,Germany)から、Radel(商標)A−304PまたはRadel(商標)A−704Pの商標名で購入することができる。あるいは、ポリエーテルスルホン粉末を、住友化学株式会社(東京、日本)から、PES 4100mpの商標名で購入することもできる。ポリフェニレンスルフィドは、樹脂Ryton(商標)V−1(Conoco−Phillips,Houston,TX,USA)として入手可能である。アクリルポリマーは、例えば、Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)から、商標名Paraloid(商標)、Maincote(商標)、Rhoplex(商標)およびAvanse(商標)(例えば、Paraloid(商標)A−21またはXR−34、Maincote(商標)HG−54、Rhoplex(商標)WL−71、Avanse(商標)MV−100)で入手可能である。例えば、商標名Beckosol(商標)、Amberlac(商標)およびKelsol(商標)(例えば、Beckosol(商標)1271)のアルキド樹脂または溶液、ならびに例えば、商標名Urotuf(商標)(例えばUrotuf(商標)L−60−45)のウレタンは、Reichhold(Research Triangle Park,NC,USA)から入手可能である。
【0070】
抗腐食性コーティング組成物中の全成分の乾燥重量に基づき、この組成物は、0〜40重量%の1種またはそれ以上の補助結合剤、例えば、一実施形態において、1〜40重量%または5〜38重量%、または15〜35重量%、または19〜34重量%、または1〜10重量%の補助結合剤を含んでなる。
【0071】
抗腐食性フィルム中の全成分の乾燥重量に基づき、抗腐食性フィルムは、0〜40重量%の1種またはそれ以上の補助結合剤、例えば、一実施形態において、1〜40重量%または5〜38重量%、または15〜35重量%、または19〜34重量%、または1〜10重量%の補助結合剤を含んでなる。
【0072】
抗腐食性コーティング組成物は、1種またはそれ以上の非水溶媒、あるいは水および乳化剤、あるいは水および分散剤、あるいは1種またはそれ以上の非水溶媒と水との混合物からなる溶媒系も含んでなる。
【0073】
適切な非水溶媒は、コーティングに一般的に用いられるいかなる非水溶媒でもあってもよく、抗腐食性コーティング組成物中の全成分を均一に溶解または分散させることができる限り、特別な限定はない。さらに、これは、コーティングに適切でなければならない。
【0074】
適切であり得る溶媒の非限定的な例は、ベンゼン、C1〜6アルキル−置換ベンゼン(例えば、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、または上記成分のいずれか2種以上の混合物);ジ−(C1〜6アルキル)−置換ベンゼン(例えば、o−キシレン、メタ−キシレン、パラキシレン、o−ジエチル−ベンゼン、メタ−ジエチルベンゼン、パラ−ジエチルベンゼン、o−ジプロピル−ベンゼン、メタ−ジプロピルベンゼン、パラ−ジプロピルベンゼン、または上記成分のいずれか2種以上の混合物);1個または複数のC1〜4アルキルが置換されたピロリドン(例えば、N,N−ジメチル−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンまたは2つの混合物);エステル(例えば、γ−ブチロラクトン、酢酸n−ブチルまたは2つの混合物);エーテル(エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、または上記エーテルのいずれか2種以上の混合物);アルコール(例えば、フラノール、イソブチルアルコール、n−プロパノール、または上記アルコールのいずれか2種以上の混合物);酸(例えば、エタン酸、プロピオン酸または2つの酸の混合物);ハロ炭化水素(例えばクロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは2つの混合物);あるいは上記溶媒のいずれか2種以上の混合物である。
【0075】
非水溶媒と水との混合物は、水中に溶解された極性有機溶媒の溶液または分散系でもよく、さらに、分散剤または乳化剤による水中での極性または非極性有機溶媒の乳濁液でもあり得る。当業者は、技術的専門知識に基づき、適切な有機溶媒、乳化剤および/または分散剤、ならびにその量を、特定の目的に従って特定することができる。
【0076】
溶媒が、全てのフルオロポリマー成分、全ての結合剤成分、および全ての他の添加剤成分を溶解または分散させることができる限り、コーティング組成物を塗布するために適切であり、抗腐食性コーティング組成物に使用される溶媒(前記非水溶媒、水、乳化剤または分散剤のいずれかの混合物、ならびに非水溶媒と水との混合物を含む)の量に関する特別な限定はない。したがって、本明細書で使用される場合、「可溶性または分散性有効量の溶媒」または単に「有効量の溶媒」という用語は、全てのフルオロポリマー成分、全ての結合剤ポリマー成分、および全ての他の添加剤成分を溶解または分散(または乳化)させるために十分な量であり、コーティング組成物を塗布するのに適切であることを意味する。
【0077】
抗腐食性コーティング組成物に含まれる溶媒(前記非水溶媒、または前記非水溶媒と水との混合物を含む)を、溶解または分散された物質に含まれる溶媒および/またはコーティング組成物の配合に使用される添加溶媒から選択すること、あるいは部分的に選択することができる。
【0078】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物の配合に、フルオロポリマー溶液、エポキシ樹脂溶液、ポリアミドイミド溶液および補助結合剤溶液が使用される。上記溶液中の溶媒の全量が、抗腐食性コーティング組成物の全成分を溶解または分散させるのに十分である場合、配合にさらなる溶媒は必要ではない。
【0079】
一実施形態において、100重量%である組成物の乾燥重量に基づき、組成物は、100〜400重量%の1種またはそれ以上の溶媒を含んでなり、例えば、一実施形態において、130〜350重量%の溶媒または180〜300重量%の溶媒を含んでなる。
【0080】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、前記成分の全重量(乾燥重量)に基づき、
3〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜60重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
6〜55重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
7〜40重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
130〜350重量%の溶媒と
を含んでなる。
【0081】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、
10〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
1〜15重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
17〜55重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
8〜34重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の非水溶媒と
を含んでなる。
【0082】
一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物は、
8〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
15〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
6〜17重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
5〜35重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の水と非水溶媒との混合物と
を含んでなる。
【0083】
抗腐食性コーティング組成物は、様々な着色剤、顔料および/または染料を含んでもよい。これらは、当該分野で既知の様々な従来の無機または有機着色剤、顔料および/または染料を含んでもよい。本明細書に開示された内容を読んだ後、当業者は、特定の必要条件に従って、正しい着色剤、顔料および/または染料を容易に特定し得る。
【0084】
水性コーティング組成物は、1種またはそれ以上の無機充填剤、あるいは1種またはそれ以上の無機顔料、あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。この無機充填剤および顔料粒子は、1種またはそれ以上の充填剤もしくは顔料の種類の材料であって、組成物の他の成分に対して不活性であり、そしてフルオロポリマーおよび結合剤を溶解させるその硬化温度において熱的に安定な材料である。充填剤は溶媒中で不溶性であり、典型的に均一に分散可能であるが、本発明の組成物の分散系においては溶解しない。
【0085】
当該技術で既知の適切な充填剤および顔料が利用されてもよく、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、焼成酸化アルミニウム、炭化ケイ素などの粒子、ならびにガラスフレーク、ガラス玉、ガラス繊維、ケイ酸アルミニウムまたはケイ酸ジルコニウム、マイカ、金属フレーク、金属繊維、微細セラミック粉末、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、タルクなどが含まれる。好ましい充填剤/顔料には、二酸化チタン、ならびに亜鉛ホスフェート、亜鉛アルミニウムホスフェートおよびカルシウム亜鉛ホスフェートなどの金属ホスフェートおよび混合金属ホスフェートが含まれる。当該技術で既知の表面を前処理された顔料は、製造業者から一般に入手可能であり、これらも一般に適切である。充填剤および顔料の濃度は、特に限定されないが、高濃度、例えば、組み合わせると全固体の50重量%より高い濃度は通常、腐食耐性コーティング用には不適当である。好ましくは組成物の固体の全重量の百分率としての顔料および充填剤の組み合わせた重量百分率は、30%未満であり、より好ましくは25%未満である。一実施形態において、10%〜25%である。一実施形態において、有機または無機液体着色剤は、固体顔料に加えて、または固体顔料と置き換えて使用されてもよい。多くの製造業者は海洋用締め具のコーティングが青いことを必要とするため、色受容性は、海洋用締め具の重要な特性である。本明細書に記載される本発明の組成物は、良好な色受容性を示す。もう1つの実施形態において、コーティング組成物は、固体顔料または着色剤を含まない。
【0086】
組成物によって形成された最終的なコーティングが適切に着色され、かつ最終的なコーティングフィルムがその抗腐食特性に関して悪影響を受けない限り、抗腐食性コーティング組成物に添加されてもよい着色剤、顔料および/または染料の量に関して、特別な限定は適用されない。一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物の全重量(乾燥重量)に基づき、この組成物およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、0〜15重量%の着色剤、顔料および/または染料、例えば、一実施形態において、1〜10重量%の着色剤、顔料および/または染料、あるいは1.5〜8重量%の着色剤、顔料および/または染料を含んでもよい。
【0087】
好ましい顔料は二酸化チタンである。
【0088】
フッ素化コーティングの硬度および抗摩耗特性をさらに向上させるため、抗腐食性コーティング組成物は、様々な硬質充填剤粒子を含有してもよい。通常、充填剤粒子の平均直径は、硬質充填剤粒子に関して、1〜100マイクロメートル、例えば、一実施形態において、5〜50マイクロメートル、または5〜25マイクロメートルである。硬質充填剤粒子の非限定的な例は、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、ならびにアルミニウムスクラップ、亜鉛スクラップおよび銀スクラップなどのスクラップ金属が挙げられる。最終的なコーティングの特性が悪影響を受けない限り、抗腐食性コーティング組成物に添加されてもよい硬質充填剤の量に関して、特別な限定は適用されない。一実施形態において、抗腐食性コーティング組成物の全重量(乾燥重量)に基づき、この組成物およびそれから誘導された抗腐食性フィルムは、0〜4重量%の硬質充填剤、例えば、0.5〜2.5重量%の硬質充填剤、あるいは0.8〜1.2重量%の硬質充填剤を含んでなる。
【0089】
一実施形態において、硬質充填剤は、1〜100ミクロンの平均粒径を有する粒状充填剤であって、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび板金からなる群から選択される。炭化ケイ素が、最も好ましい硬質充填剤である。
【0090】
その上、抗腐食性コーティング組成物は、例えば、界面活性剤、消泡剤、湿潤剤、さび抑制剤、難燃剤、紫外線安定剤、耐候性剤、剥離剤、殺生物剤、防カビ剤などの他の従来のコーティング添加剤製品を含有してもよい。
【0091】
そのような組成物の配合方法は、当該技術で周知である。合体剤が使用されてもよいが、組成物を乾燥および硬化させる際に使用される高温が、主要なポリマー結合剤の適切なフィルム形成を達成するために十分であり得るため、それらは必要とされない。配合物の成分は、当該技術で既知の機械的撹拌器を使用して組み合わせてもよく、そして顔料および充填剤の添加は、例えば、Cowles混合機などの既知の高速および/または高剪断技術を使用する高剪断撹拌器を使用して、より効果的に達成してもよい。
【0092】
本発明の組成物は、従来の手段によって基材に塗布することができる。スプレー塗布が、最も都合がいい塗布方法である。浸漬およびコイルコーティングを含む他の周知のコーティング方法も適切である。
【0093】
基材は、好ましくは、本発明のコーティング組成物の塗布によって、コーティングされた基材の腐食耐性が増加する金属である。有用な基材の例には、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、炭素鋼およびステンレス鋼が含まれる。上記したように、本発明は、冷延鋼などの鋼に、特に鋼製締め具に対して、特定の適用性を有する。好ましくは、基材は、例えば、当該技術で既知のホスフェート、リン酸亜鉛またはリン酸マンガン処理などのコーティングの硬化温度に耐える方法によって前処理される。
【0094】
コーティング組成物を塗布する前に、接着力を妨害する恐れのある汚染物質および油脂を除去するために、好ましくは基材をクリーニングする。クリーニングには、従来の石鹸およびクレンザーを使用することができる。空気中高温で、800°F(427℃)以上の温度で焼成することによって、基材をさらにクリーニングすることができる。好ましくは、次いで、例えば、好ましくは、1〜4マイクロメートルまたは3〜4マイクロメートルの表面粗度が得られるように、基材にグリットブラスト(grit−blast)する。クリーニングおよび/またはグリットブラスト工程によって、コーティングを基材により良好に接着させることができる。
【0095】
好ましい実施形態において、コーティングは噴霧によって塗布されられる。コーティングは、約10マイクロメートルより厚い、好ましくは約12マイクロメートルより厚い乾燥膜厚(DFT)に塗布され、他の実施形態において、約10〜約30マイクロメートル、好ましくは、約18〜約25マイクロメートルの範囲で塗布される。コーティング組成物は、単層コーティングとして使用されてもよい。しかしながら、コーティングの厚さは、腐食耐性に影響を及ぼす。コーティングが薄すぎる場合、基材は完全には被覆されず、腐食耐性の低下がもたらされる。コーティングが厚すぎる場合、コーティングにひびが入るか、または気泡が形成して、塩イオン攻撃を受け、したがって、腐食耐性が低下した領域がもたらされる。水性組成物を塗布し、次いで乾燥させ、コーティングを形成する。乾燥および硬化温度は、組成物に基づき、例えば、110℃〜250℃で異なるが、例えば、典型的に、15分間、120℃の乾燥温度、それに続いて、25分間、230℃での硬化であってもよい。さらなるコーティング層が塗布されてもよく、これにはさらなる熱/硬化サイクルが伴うが、単層コーティングの硬化と同様(25分間230℃)であってもよい最終的な硬化の前、コーティング塗布の間に、各コーティング層を15分間、120℃で乾燥してもよく、基材を冷却してもよい。
【0096】
抗腐食性コーティング組成物は、様々な金属または非金属基材を、海水および酸性霧などの様々な腐食性液体または気体から保護するために適切である。基材の非限定的な例には、例えば、炭素鋼(例えば、鋼製のナット、ボルト、弁、パイプ、圧力制御弁、石油採掘プラットホームおよびドック)、ステンレス鋼、アルミニウムなどが含まれる。この組成物は、特に、海洋環境で使用されるナットおよびボルトなどの締め具に有用である。
【0097】
一実施形態において、本発明は、組成物中の固体の全重量の百分率として表される固体の重量百分率に基づき、
(a)1〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
(b)1〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
(c)5〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
(d)1〜40重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の溶媒と
を含んでなるコーティング組成物を提供する。
【0098】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
(a)1〜35重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
(b)1〜70重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
(c)5〜70重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
(d)1〜40重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
を含んでなる抗腐食性フィルムを提供する。
【0099】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
10〜30重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
20〜60重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
7〜15重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
5〜30重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の水と非水溶媒との溶媒混合物と
を含んでなるコーティング組成物を提供する。
【0100】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
10〜30重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
20〜60重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
7〜15重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
5〜30重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と
を含んでなる抗腐食性フィルムを提供する。
【0101】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
12〜34重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜10重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
20〜50重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
10〜25重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の非水溶媒と
を含んでなるコーティング組成物を提供する。
【0102】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
12〜34重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜10重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
20〜50重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
10〜25重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と
を含んでなる抗腐食性フィルムを提供する。
【0103】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
20〜30重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜10重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
30〜40重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
10〜25重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の非水溶媒と
を含んでなるコーティング組成物を提供する。
【0104】
一実施形態において、本発明は、固体の全重量に基づく固体の重量百分率で、
20〜30重量%の1種またはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜10重量%の1種またはそれ以上のエポキシ樹脂と、
30〜40重量%の1種またはそれ以上のポリアミドイミドと、
10〜25重量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1種またはそれ以上からなる補助結合剤と
を含んでなる抗腐食性フィルムを提供する。
【0105】
また本発明は、基材と;基材上に配置された抗腐食性フィルムであって、前記抗腐食性コーティング組成物のいずれか1つの塗布から得られた抗腐食性フィルムとを含んでなる物品を提供する。
【0106】
一実施形態において、基材は鋼製である。一実施形態において、基材は、ナットまたはボルトなどの鋼製の締め具である。
【0107】
また本発明は、基材上に前記抗腐食性コーティング組成物を塗布する工程を含む基材上に抗腐食性フィルムを形成する方法を提供する。組成物を基材に塗布する方法に関して、特別な限定は適用されない。限定されないが、ブラシコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、カーテンコーティングまたはそれらの組み合わせを含む既知の方法が適切である。
【0108】
抗腐食性コーティング組成物および組成物でコーティングされた物品を実施例でさらに詳しく説明する。これらの実施例は、例証となるように意図され、限定するためのものではない。
【実施例】
【0109】
実施例および試験方法
試料調製
コーティング組成物でコーティングされた金属パネルは、以下の通りに調製される。十分に接着されて、欠陥がないコーティングを製造するために、基材はクリーンであり、油がなく、いかなる汚れも付着していてはならない。したがって、表面上の油および汚れは、グリットブラスティングによって(3〜4μの表面粗度まで)クリーニングされる。炭素鋼またはアルミニウムプレートを、抗腐食性コーティング組成物でコーティングし、15〜20分間、115〜130℃で乾燥する。次いで、25分間230℃でさらに硬化し、炭素鋼またはアルミニウムプレート上に厚さ25±3マイクロメートルの抗腐食性コーティングが得られる(塗布されたコーティングの乾燥コーティング厚さ(DFT)は、膜厚器具、例えば、Isoscopeで、渦電流の原則、ASTM B244に基づき測定される)。
【0110】
1.腐食耐性試験
1−1.塩水噴霧:塩水噴霧試験は、ASTM B−117規格に従う。コーティングされた試料(上記のように調製される)を、35±1.1℃の一定温度で塩水ミスト箱(「Q−FOG」、Q−Panel Laboratory Products,(26200 First Street,Cleveland,OH,USA))に水平に置く。1.0〜2.0mlの塩化ナトリウム溶液が試料上で濃縮されるまで、(毎時80cmの速度で)5%塩化ナトリウム溶液を箱中に噴霧する。抗腐食性コーティング上の腐食の程度は、コーティング上のブリスター形成またはさびの斑点の量によって判断することができる。さびで染色した領域が15%以上を占めた場合、試験を停止し、この試験に関して記録した時間を、塩水噴霧試験の結果として処理する。試験を400時間まで実施し、その後、さびの斑点またはブリスター形成がコーティング表面の15%未満を占める場合、試験を停止し、塩水噴霧腐食試験の結果を>400時間とする。
【0111】
1−2.アトラス試験:試料調製は、塩水噴霧試験に関して上述されたものと同様である。コーティングされたパネルを100時間、100℃で5%塩化ナトリウム溶液に浸漬し、次いで、浸漬の後、さび形成の範囲と基材からのフィルムの剥離しやすさに関して試験する。さびで染色した領域が15%以上であるか、またはコーティングが基材から容易に剥離される場合、試験試料は不合格であると考えられる。
【0112】
2.鉛筆硬度試験
この試験は、ASTM D−3363−05規格に従って行われる。試料調製は、上記されたものと同様である。塗料フィルムの硬度を、鉛筆硬度、標準工業試験によって評価した。様々な硬度(軟質から硬質まで:4B、3B、2B、HB、F、H、2H、3H、4H;鉛筆:Uni、三菱鉛筆株式会社)の鉛筆を、鉛筆の芯が約3mm暴露した状態で調製する。
【0113】
試験パネルを試験コーティングで調製する。最も軟質の鉛筆から始めて、鉛筆の先を45°の角度で、コーティング表面上で前方に移動させる。痕跡を虫めがねまたは顕微鏡で検査し、鉛筆の芯がフィルムに食い込んだかどうか観察する。鉛筆がフィルムに食い込んだことが最初に確認されるまで、鉛筆の硬度を増やして、この手順を続ける。直前の鉛筆の硬度評価が、フィルムの硬度として評価される。
【0114】
3.耐摩擦性試験
耐摩擦性験は、ASTM D 4060規格に従って実施される。試料調製は、上記されたものと同様である。1kgのCS17砥石車2個で抗腐食性コーティング試料の表面上を4〜250サイクル研磨し、試料重量を測定する。研磨前後の試料の重量の差を耐摩擦性試験の結果とみなす。
【0115】
4.熱湯による接着力試験−クロスハッチ法
この試験手順は、ASTM D3359に従う。この試験を2回実施した。コーティングされた鋼パネルを上記のように調製して、試料を15分間熱湯中に置く。その直後、ASTM D 3359−97規格に従って試験を実行する。1mm間隔を有するグリッドテンプレートを用いて、コーティングを通して乾燥塗料フィルムに刃で刻み目をつける。刻み目をつけた領域上で各コーティング表面上に粘着テープ(Scotch Tape,3M,(St.Paul,MN,USA))を均一に押しつけ、次いで、90°の角度で均一に剥がす。基材への接着力を、テープによって剥がされた塗料フィルムの量(百分率として表される)で評価する。
【0116】
実施例1
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、順々に、13.49:6.29:1.08の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)、エポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)およびポリフェニレンスルフィドを、63.48:1.46:11.70の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、1:1.13:0.38の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0117】
【表1】

【0118】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0119】
実施例2
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、20.30:16.70:0.76の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)、エポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンスルフィドを、41.20:5.46:3.67:1.80の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、7.12:2.33:0.68の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0120】
【表2】

【0121】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0122】
実施例3
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、24.28:16.68:0.78の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)、エポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)およびポリエーテルスルホンを、41.86:3.45:2.00の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、7.93:2.33:0.68の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0123】
【表3】

【0124】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0125】
実施例4
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、8.36:3.19:0.67の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)、エポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)およびポリエーテルスルホンを、75.58:3.42:2.01の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、3.30:1.80:0.67の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。次いで、半仕上げされた粉砕物に、1.00重量%の炭化ケイ素製品(Microgrit(商標)SiC Dark F1000−D,Micro Abrasives Corp.,)を添加し、10分間撹拌を続ける。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0126】
【表4】

【0127】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0128】
実施例5
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、29.28:10.68:0.78の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)、エポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)およびポリエーテルスルホンを、44.37:3.45:3.00の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマーとの混合物、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、6.34:1.29:0.63:0.18の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0129】
【表5】

【0130】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0131】
実施例6
脱イオン水、氷酢酸(9%)、N−メチル−ピロリジノン、非イオン性界面活性剤(Tergitol(商標)TMN−6、90%水性、界面活性剤、Dow Chemical,(Midland,MI,USA))、消泡剤(Surfynol(商標)440,Air Products,(Allentown,PA,USA))およびエチレングリコールモノブチルエーテルを、17.45:5.87:16.81:1.98:0.47:1.77の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリテトラフルオロエチレン粉末およびポリエーテルスルホン粉末を、6.48:5の重量で、この容器に連続的に添加し、30分間撹拌する。その後、フルフリルアルコールおよびポリアミドイミド溶液(28%固体含有量)を、1.47:20.02の重量比で、この容器に添加し、30分間連続的に撹拌する。次いで、二酸化チタンおよびフタロシアニン青色顔料を、0.59:1.53の重量比で、この容器にゆっくり添加し、30分間連続的に撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。このように、この方法から半仕上げされた抗腐食性コーティングが製造される。次いで、水性エポキシ樹脂乳濁液および炭化ケイ素を、20.06:0.5の重量比で、半仕上げされた生成物に添加し、20分間撹拌する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティング組成物が製造される。
【0132】
【表6】

【0133】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0134】
実施例7
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、11.09:9.40:1.08の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)およびエポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)を、67.11:2.90の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間連続的に撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、7.07:1.22:0.13の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間連続的に撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0135】
【表7】

【0136】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0137】
比較例1
N−メチル−ピロリジノン、メチルイソブチルケトンおよびキシレンを、18.42:9.30:0.78の重量比で容器に連続的に加え、次いで、10分間撹拌する。次に、ポリアミドイミド溶液(25重量%のポリアミドイミドがN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)およびエポキシ樹脂溶液(25重量%のビスフェノールA−エピクロルヒドリンエポキシ樹脂がN−メチル−2−ピロリジノン中に溶解された溶液)を、56.63:2.83の重量比で、この容器に連続的に添加し、30分間連続的に撹拌する。その後、ポリテトラフルオロエチレン粉末、フタロシアニン青色顔料および二酸化チタンを、9.03:2.33:0.68の重量比で、この容器にゆっくり添加し、さらに30分間連続的に撹拌し、ドイツ製Netzsch製粉機で2回粉砕する。最終的に、この方法から抗腐食性コーティングが製造される。
【0138】
【表8】

【0139】
次いで、このコーティング組成物で金属パネルをコーティングし、前述のように試験する。結果を表9に示す。
【0140】
【表9】

【0141】
上記の試験データに加えて、基材(関連する規格に従ってコーティングされたプレート試料に製造された、クリーンな未処理のアルミニウムプレート)への接着力に関して、上記の接着力試験手順を使用して、全て試料を試験する(15分間熱湯中に浸漬後、爪による引掻き接着力試験およびクロスハッチグリッド接着力試験)。全ての試料が接着力試験を合格する。
【0142】
実施例8〜11
表10〜13に示される配合で、前述のように実施例8〜11を配合する。比較例2〜5は、それぞれ、実施例8〜11と同様に配合し、そして各ケースにおいて、比較例は、エポキシ樹脂成分を用いずに配合されることを除き、実施例8〜11と組成が同一である。
【0143】
【表10】

【0144】
【表11】

【0145】
【表12】

【0146】
【表13】

【0147】
各ケースにおいて、次いで、金属パネルをコーティング組成物でコーティングして、前述のように試験する。結果を表14に示す。
【0148】
比較例2〜5
比較例2〜5は、実施例8〜11に関して上記されたように配合され、かつエポキシ樹脂成分を含まないことを除き、実施例8〜11と組成が同一である。コーティングされた試料を腐食耐性に関して評価する。表14に示す。
【0149】
【表14】

【0150】
実施例8〜11および比較例2〜5では、鉛筆硬度に関して類似の結果が得られる。しかしながら、比較例は、アトラス腐食耐性試験が不合格であり、100℃の塩化ナトリウム溶液に浸漬後、コーティングは基材から容易に剥がれ、そしてパネルにさびが形成する。実施例8〜11は、アトラス試験を合格し、100℃の塩化ナトリウム溶液に浸漬後、コーティングを基材から剥がすことができず、そしてパネルにはさび形成が見られない。
【0151】
この結果は、適切な比率で、ポリアミドイミドおよびエポキシ結合剤がフルオロポリマーと一緒に使用される場合、良好な抗腐食特性およびフィルム強度を達成することができることを示す。1種またはそれ以上の補助結合剤が使用される場合、コーティングの抗腐食特性をさらに向上させることができる。そのうえ、この試験結果は、本発明のコーティング組成物が、その優れた抗腐食特性と良好な摩耗耐性特性とを併せ持つことを示す。本発明のコーティング組成物は、特に炭素鋼、ステンレス鋼および他の金属基材を海水暴露から保護するために適切である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
(a)1〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
(b)1〜70質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
(c)5〜70質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと
を含んでなる、耐食性フィルム。
【請求項2】
(d)1〜40質量%の、1つまたはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤
をさらに含んでなる、請求項1に記載の耐食性フィルム。
【請求項3】
フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、エチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−フッ化ビニルコポリマーまたはそれらのいずれかの組み合わせの1つである、請求項1又は2に記載の耐食性フィルム。
【請求項4】
アクリルポリマーが、(メタ)アクリル酸、もしくはC1-8アルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの組み合わせの重合単位を含んでなる、請求項2に記載の耐食性フィルム。
【請求項5】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
3〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜60質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
6〜55質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
7〜40質量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1つまたはそれ以上からなる補助結合剤と
を含んでなる、請求項2に記載の耐食性フィルム。
【請求項6】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
8〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
15〜70質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
6〜17質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
5〜35質量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1つまたはそれ以上からなる補助結合剤と
を含んでなる、請求項2に記載の耐食性フィルム。
【請求項7】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
10〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
1〜15質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
17〜55質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
8〜34質量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1つまたはそれ以上からなる補助結合剤と
を含んでなる、請求項2に記載の耐食性フィルム。
【請求項8】
1〜15質量%の1つまたはそれ以上の着色剤、顔料または染料と、
0.5〜4質量%の1つまたはそれ以上の硬質充填剤と
をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の耐食性フィルム。
【請求項9】
硬質充填剤が、1〜100ミクロンの平均粒径を有する微粒子充填剤であって、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニアおよびシート金属からなる群から選択される請求項8に記載の耐食性フィルム。
【請求項10】
(a)基材と、
(b)基材上に配置された、請求項1〜9のいずれか一項に記載の耐食性フィルムと
を含んでなる、物品。
【請求項11】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
(a)1〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
(b)1〜70質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
(c)5〜70質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
可溶性または分散性有効量の溶媒と
を含んでなる、コーティング組成物。
【請求項12】
(d)1〜40質量%の、1つまたはそれ以上のポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーからなる補助結合剤
をさらに含んでなる、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、エチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−フッ化ビニルコポリマーまたはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項11又は12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
3〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
2〜60質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
6〜55質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
7〜40質量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1つまたはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の溶媒と
を含んでなる、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
8〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
15〜70質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
6〜17質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
5〜35質量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1つまたはそれ以上からなる補助結合剤と
可溶性または分散性有効量の、水と非水溶媒とを含んでなる溶媒混合物と
を含んでなる、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
固体の全質量に基づく固体の質量百分率で、
10〜35質量%の1つまたはそれ以上のフルオロポリマーと、
1〜15質量%の1つまたはそれ以上のエポキシ樹脂と、
17〜55質量%の1つまたはそれ以上のポリアミドイミドと、
8〜34質量%の、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、アルキド樹脂、ポリエステルまたはアクリルポリマーの1つまたはそれ以上からなる補助結合剤と、
可溶性または分散性有効量の非水溶媒と
を含んでなる、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
1〜15質量%の1つまたはそれ以上の着色剤、顔料または染料と、
0.5〜4質量%の1つまたはそれ以上の硬質充填剤と
をさらに含んでなる、請求項11〜16のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
硬質充填剤が、1〜100ミクロンの平均粒径を有する微粒子充填剤であって、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニアおよびシート金属からなる群から選択される、請求項17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
海水による腐食から金属基材を保護するための、請求項11〜18のいずれか一項に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項20】
基材上に耐食性フィルムを形成する方法であって、以下:
i)請求項11〜18のいずれか一項に記載の液体コーティング組成物で、基材をコーティングする工程と
ii)コーティングされた基材を加熱して、耐食性フィルムを形成する工程と
からなる、上記方法。
【請求項21】
加熱工程が180〜240℃で行なわれる、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2013−506739(P2013−506739A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532312(P2012−532312)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050884
【国際公開番号】WO2011/041527
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】