折り曲げ保持機能を備えたリジッドフレックスプリント配線板
【課題】容易にフレキシブル領域の折り曲げ状態を保持させることができるリジッドフレックスプリント配線板の提供。
【解決手段】一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を備えたリジッドフレックスプリント配線板であって、少なくとも、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板上に形成された配線パターンと、当該配線パターンを保護するカバーレイとからなるフレキシブルプリント配線板と;当該フレキシブルプリント配線板における当該フレキシブル領域の外層に設けられた島状のリジッドなダミー板とを有するリジッドフレックスプリント配線板。
【解決手段】一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を備えたリジッドフレックスプリント配線板であって、少なくとも、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板上に形成された配線パターンと、当該配線パターンを保護するカバーレイとからなるフレキシブルプリント配線板と;当該フレキシブルプリント配線板における当該フレキシブル領域の外層に設けられた島状のリジッドなダミー板とを有するリジッドフレックスプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を有するリジッドフレックスプリント配線板に関し、特に、当該フレキシブル領域を所望の折り曲げ状態に保持することができるリジッドフレックスプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機器の小型化が進む近年において、当該機器内に設置されるプリント配線板の設置スペースも益々小スペース化及び複雑化されてきており、このようなことから、機器内に設置されるリジッドなプリント配線板(以後これを単に「プリント配線板」と表記する)を機能毎に分割し、当該分割した複数のプリント配線板間を設置自由度の高いフレキシブルプリント配線板で接続することによって、上記小スペース化などに対応している。
【0003】
また、プリント配線板とフレキシブルプリント配線板の端子接続手段においても、主流であったコネクタ接続から、はんだ接続あるいはACF(anisotropic conductive film:異方性導電膜)接続に切り替えて、機器の小型化を更に促進することも行なわれている。
【0004】
ところで、フレキシブルプリント配線板は、自由に折り曲げられるという利便性があると同時に、非常に高い弾性も併せ持っている。従って、図11(a)に示したように、非直線上に配置されたプリント配線板P1、P2の図示しない接続端子間を、フレキシブルプリント配線板FPで接続した場合、折り曲げ部23が元の位置に戻ろうとする反発力(これを「スプリングバック」と呼ぶこともある)が常に働く状態となり、その応力が、はんだやACFを介して接続されている端子接続部22(例えば、プリント配線板とフレキシブルプリント配線板に設けられた接続端子間の接続部)を引き剥がそうとする方向(図中に示した矢印の示す方向)に作用し続ける結果、最終的に接続不良を引き起こしてしまうということが極まれにあった(フレキシブルプリント配線板FPの接続端子2bが端子接続部22から剥離した状態を示した図11(b)参照)。
【0005】
そこで、このような反発力を抑制し、フレキシブルプリント配線板の折り曲げ状態を保持する手段が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0006】
図12は、特許文献1に開示されているフレキシブルプリント配線板FPの概略断面図を示したものであり、帯状または線状のはんだ付け可能な金属材からなる配線パターン2と、当該配線パターン2の両面を覆うカバーレイ5と、一方のカバーレイ5の中間部に設けられたカバーレイ除去部5aと、当該カバーレイ除去部5aから露出した配線パターン2上に付着されたはんだ24とを有する構成からなり、当該はんだ24が付着された部分で当該フレキシブルプリント配線板FPを折り曲げることによって、折り曲げ部23の戻りを抑制する(即ち、折り曲げ状態を保持する)というものである。
【0007】
図13は、特許文献2に開示されているフレキシブルプリント配線板FPの構成を示したものであり、フレキシブル基板1と、当該フレキシブル基板1の表面に形成された配線パターン2と、当該配線パターン2を保護する第1のカバーレイ5bと、当該第1のカバーレイ5b上に配置された金属板25と、当該金属板25を保持する第2のカバーレイ5cを有する構成からなり、当該フレキシブルプリント配線板FPを図13(b)に示した折り曲げ線26で折り曲げ、当該金属板25を塑性変形させることで折り曲げ状態を保持させるというものである。
【0008】
図14は、特許文献3に開示されているフレキシブルプリント配線板FPの形状保持方法を説明するための概略断面図を示したものであり、まず、プリント配線板P1、P2間をフレキシブルプリント配線板FPで接続した基板アセンブリ27を、止め具29を利用して、当該プリント配線板P1、P2が実際の製品内に取り付けらたときと同じ角度となるように設置し、次いで、フレキシブルプリント配線板FPを曲面28aを有する曲げ型28に嵌めて加熱フォーミングすることにより、当該フレキシブルプリント配線板FPの折り曲げ状態を保持させるというものである。
【0009】
しかし、特許文献1〜3の構成においては、以下に示すような問題点があった。
即ち、特許文献1の構成は、折り曲げ部23に設けるカバーレイ5の除去部5aを、配線パターン2の形状に合わせて除去する必要があるため製造工程が非常に煩雑であり、また、当該除去部5aの形成位置がズレてしまった場合、隣接する配線パターン2間でショート不良が発生する懸念もあった。
【0010】
また、特許文献2の構成においては、折り曲げ部分に1枚ずつ金属板25を配置するという非常に手間のかかる工程を要し(フレキシブルプリント配線板FPが小型の場合には、金属板25を所望の位置に配置することさえ困難である)、また、本来必要としない金属板25と、当該金属板25を保持する高価な第二のカバーレイ5cを余分に設ける必要があるため、コスト的にも不利な構成であった。
【0011】
特許文献3の構成は、フレキシブルプリント配線板FPの折り曲げ状態を保持させるために、専用の止め具29や曲げ型28を製品毎に用意する必要があるため、非常に手間やコストのかかる工法であった。
【0012】
また、特許文献1〜3の共通の問題点として、何れの構成においても、ある程度の長さを有しているにもかかわらず、軟質なフレキシブル材(フレキシブル基板、カバーレイ)をガードするものが何も設けられていないため、例えば、携帯機器等のように、非常に狭いスペースへの設置が求められ、尚且つ振動が頻繁に加えられる製品用途では、フレキシブルプリント配線板FPが、筐体の内側や機器内に設置されたプリント配線板、あるいは電子部品などと擦れるなどして損傷してしまうという懸念もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−128525号公報
【特許文献2】特開2006−165079号公報
【特許文献3】特開2006−319097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、フレキシブル領域(フレキシブルプリント配線板の折り曲げ領域)を所望の折り曲げ状態に保持する手段として、はんだや金属板などの構成材料、あるいは曲げ型といった装置を新たに必要とせず、容易にフレキシブル領域の折り曲げ状態を保持させることができ、更に、頻繁に加わる振動により、フレキシブル領域が筐体の内側などに擦れる環境に設置された場合においても、当該フレキシブル領域が損傷する懸念のないリジッドフレックスプリント配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を備えたリジッドフレックスプリント配線板であって、少なくとも、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板上に形成された配線パターンと、当該配線パターンを保護するカバーレイとからなるフレキシブルプリント配線板と、当該フレキシブルプリント配線板における当該フレキシブル領域の外層に設けられた島状のリジッドなダミー板とを有することを特徴とするリジッドフレックスプリント配線板により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のリジッドフレックスプリント配線板は、そのフレキシブル領域の外層に、島状のリジッドなダミー板が配置されているので、当該フレキシブル領域におけるフレキシブルプリント配線板の露出エリアが断続的かつ小さくなるため、折り曲げ部に発生する反発力が分散される結果、フレキシブル領域の折り曲げ状態を保持することができる。しかも、当該フレキシブルプリント配線板の露出エリアを断続的かつ小さくする手段として、通常のリジッドフレックスプリント配線板の構成材料からなる島状のリジッドなダミー板を配置するだけなので、容易にフレキシブル領域の折り曲げ状態を保持させることができる。
また、フレキシブル領域にリジッドなダミー板を設ける構成としたため、振動により、フレキシブル領域が筐体の内側などに擦れる場所に設置されたとしても、当該ダミー板がガードとなり、軟質なフレキシブルプリント配線板を損傷から守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明リジッドフレックスプリント配線板の第一の実施の形態を示す概略断面説明図。
【図2】本発明リジッドフレックスプリント配線板の第二の実施の形態を示す概略断面説明図。
【図3】第一の実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板の製造例を示す概略断面製造工程図。
【図4】第二の実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板の製造例を示す概略断面製造工程図。
【図5】本発明リジッドフレックスプリント配線板の折り曲げ保持状態を示す概略斜視説明図。
【図6】(a)は折り曲げ部が一箇所の場合のダミー板の配置構成例を示す概略断面図説明、(b)はS字状に折り曲げる場合のダミー板の配置構成例を示す概略断面説明図。
【図7】図1のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設ける場合の製造例を示す要部拡大断面製造工程図。
【図8】図2のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設けた場合の要部拡大断面説明図。
【図9】図1のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設ける構成において、当該シールドパターンがダミー板の側面から露出しない構成とする場合の製造例を示す要部拡大断面製造工程図。
【図10】(a)は、図2のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設けた構成において、当該シールドパターンがダミー板の側面から露出しない構成とした場合の要部拡大断面説明図、(b)は当該ダミー板における残留パターンを上から見た場合の要部拡大平面説明図。
【図11】(a)は2枚のプリント配線板間を、従来のフレキシブルプリント配線板を折り曲げて接続した状態を示した概略断面説明図、(b)はフレキシブルプリント配線板の反発力により一方の接続端子が端子接続部から剥離した状態を示した概略断面説明図。
【図12】従来のフレキシブルプリント配線板の構成を示す概略断面説明図。
【図13】(a)は従来の他のフレキシブルプリント配線板の構成を示す概略断面説明図、(b)は同概略平面説明図。
【図14】従来のフレキシブルプリント配線板の曲げ状態保持方法を示す概略断面説明図。
【図15】絶縁層として、予めフレキシブルプリント配線板の露出エリアに相当する部分に開口部を設けたものを積層した場合の不具合を示す概略断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第一の実施の形態を図1及び図3を用いて説明する。
図1は、本発明リジッドフレックスプリント配線板の概略断面図を示したもので、当該リジッドフレックスプリント配線板RFPは、柔軟性を有するフレキシブル基板1と、当該フレキシブル基板1の一方の面に形成された配線パターン2と、当該配線パターン2を保護するカバーレイ5と、当該配線パターン2とカバーレイ5の間に形成された低弾性率材料層4と、後にリジッドフレックスプリント配線板RFPとなった際の端子領域Tに相当する部分に設けられた接続端子2bとからなるフレキシブルプリント配線板FPと;当該フレキシブルプリント配線板FPにおける折り曲げ可能なフレキシブル領域Fの外層に設けられた島状のリジッドなダミー板9とを有する構成からなる。本実施の形態においては、ダミー板9がフレキシブル領域Fの外層に島状に配置されているので、フレキシブル領域Fにおけるフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10が断続的かつ小さくなるため、フレキシブル領域Fの折り曲げ部に発生する反発力が分散される結果、フレキシブル領域Fの折り曲げ状態を所望の折り曲げ状態に保持でき、他のプリント配線板等に設けられた接続端子と接続した際の接続信頼性を確保することができる。
【0019】
因みに、図中に示した低弾性率材料層4は、図3に示した製造工程で本実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板RFPを製造した際に残る残留物で、本発明の必須構成材料ではない。この低弾性率材料層4は、この後の製造工程の中でも説明するように、エポキシ樹脂にエラストマーを含有させた熱硬化性樹脂からなり、元々、非常に薄くて配線パターン間への追従性が良く、当該配線パターンとこの上に積層される絶縁層との密着性を上げる目的で過去からよく利用されていたものである。
従って、副産物的ではあるものの、接続端子2bに金めっき処理を施した際に、カバーレイ5と当該接続端子2bの境界部に、金めっきの処理液が染み込むなどの不具合を防止できるという効果も得られるため、リジッドフレックスプリント配線板RFP内に存在していても特に邪魔になるものではない。
【0020】
続いて、図1のリジッドフレックスプリント配線板RFPを得るための製造例を、図3に示した概略断面製造工程図を用いて説明する。
まず、図3(a)に示したように、フレキシブル基板1(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等からなる屈曲性を有する絶縁基板で、例えば、新日鉄化学社製「SB、MB」、宇部日東化成社製「BE、BR」、三井化学社製「NFX、NEX」等が挙げられる)の片面に金属箔2a(一般的には「銅箔」が用いられ、例えば、三井金属鉱業社製「3EC−III」、JX日鉱日石金属社製「JTC」、古川電気工業社製「GTS」などが挙げられる)が積層された片面フレキシブル基板3を用意し、次いで、当該金属箔2aに回路形成(周知の「サブトラクティブ法」による回路形成)を施すことによって、配線パターン2を形成する(図3(b)参照)。
【0021】
次に、ソフトエッチング処理(例えば、蟻酸やアミン系錯化剤を主成分とする、例えば「メック社製:CZ8100」によるソフトエッチング処理など)を行うことによって、当該配線パターン2の露出面を粗化した後、図3(b)に示したように、配線パターン2が形成された片面フレキシブル基板3の配線パターン2形成面側に、低弾性率材料層4と、当該配線パターン2を保護するカバーレイ5(例えば、上記「フレキシブル基板1」の説明で挙げたポリイミド等の絶縁基板の接着面側にエポキシ系の接着剤を備えたものを使用)を順次配置し、次いで、加熱・加圧処理(温度:160〜190℃、圧力:3MPa、時間:60〜90分)により各構成材料を一体化形成することによって、図3(c)のフレキシブルプリント配線板FPを得る。
【0022】
ここで、低弾性率材料層4としては、後に行なわれるブラスト処理の際に、接続端子2bとなる配線パターン2へのダメージを防止できるものであればどのようなものでもよく、例えば、エポキシ樹脂とエラストマー(「エラストマー」とは、シリコンゴムのような合成ゴムなどの弾性重合体のことで、エポキシ等の樹脂に弾力性を付与する効果がある)からなる熱硬化性樹脂(例えば、三井金属社製の「プライマーレジン」等)などが好適に挙げられ、特に、3GPa以下の弾性率を有するものであれば、ブラスト処理による過剰切削を確実に防止できるため、当該低弾性率材料層4の薄型化を図る上で好ましい。尚、低弾性率材料層4は、本来製品内には不要なものであるため、なるべく薄くするのがプリント配線板の薄型化とデスミア処理(ブラスト緩和層4のデスミア除去)の容易化の観点から好ましい。
【0023】
次に、図3(c)に示したフレキシブルプリント配線板FPの両面に、ガラス織布やガラス不織布などの補強繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた半硬化状態の絶縁接着剤層(当該「絶縁接着剤層」を硬化した「絶縁層6」に相当。尚、当該絶縁接着剤層(プリプレグ)としては、パナソニック電工社製「R−1661、R−1551」、日立化成工業社製「GEA−67N、GEA−67BE」等が挙げられる)を介して金属箔2aを積層する(温度:180〜190℃、圧力:3MPa、時間:60〜90分の積層条件で積層する)、あるいは予め両者を一体化した樹脂付き金属箔7を積層し(図3(d)参照)、次いで、後にフレキシブル領域Fの外層に設けるダミー板9の形成予定部に、エッチングレジスト及びブラストレジストを兼ね備えたレジスト層8を、例えば、金属箔2a上にラミネートされたドライフィルムレジストを露光・現像するなどして形成する(図3(e)参照)。
【0024】
次に、当該レジスト層8から露出している金属箔2aをエッチング処理(例えば、「塩化第二鉄溶液」、「塩化第二銅溶液」などのエッチャントを用いたエッチング処理)により除去し(図3(f)参照)、次いで、当該エッチング処理により露出した絶縁層6をサンドブラストやウェットブラスト処理(図3(g)に示した矢印BL参照)にて除去することによって、図3(h)の状態の基板を得る。
尚、フレキシブル基板1やカバーレイ5は、レジスト層8や低弾性率材料層4で保護されてはいないが、これらに用いるポリイミド等は、元々低弾性率の材料であるため、保護層がなくともブラスト処理に対して十分に耐えられる。
【0025】
次に、レジスト層8を水酸化ナトリウム溶液などで剥離した後(図3(i)参照)、当該レジスト層8の除去により露出した金属箔2aをエッチング除去し(図3(j)参照)、次いで、露出しているブラスト緩和層4をデスミア処理(例えば、過マンガン酸ナトリウム系、過マンガン酸カリウム系などのデスミア処理)で除去した後、外形加工を施すことによって、両端の端子領域Tに接続端子2bを有し、且つ、折り曲げ可能なフレキシブル領域Fの両外層に、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を断続的かつ小さくする島状のリジッドなダミー板9(絶縁層6の残留絶縁層6aからなるダミー板9)が配置されたリジッドフレックスプリント配線板RFPを得る(図3(k)参照)。
【0026】
本実施の形態における注目すべき点は、フレキシブル領域の外層に島状のリジッドなダミー板を設け、当該フレキシブル領域におけるフレキシブルプリント配線板の露出エリアを断続的かつ小さくすることによって、フレキシブル領域の折り曲げ状態の保持を可能ならしめたと共に、当該島状のリジッドなダミー板を通常のリジッドフレックスプリント配線板の構成材料で形成するようにした点にある。
【0027】
これにより、通常のリジッドフレックスプリント配線板の製造工程により当該ダミー板を形成することができるため、容易にフレキシブル領域の折り曲げ保持機能を備えたリジッドフレックスプリント配線板を得ることができる。また、当該フレキシブル領域がリジッドなダミー板でガードされるため、軟質なフレキシブルプリント配線板を損傷から守ることができる。
【0028】
因みに、フレキシブル領域Fを所望の折り曲げ状態に保持できる理由は定かではないが、図5に示したように、リジッドフレックスプリント配線板RFPのフレキシブル領域Fを折り曲げた際に、フレキシブルプリント配線板FPの各露出エリア10における凸状となる側の面Aで、フレキシブル材料(フレキシブル基板、あるいはカバーレイ)が僅かに延び、そのままの状態を維持し続けるためだと考えられる(図中に示した符号「B」は、上記「凸状となる側の面A」に対応する「凹状となる側の面」を示したものである)。
【0029】
続いて、本発明の第二の実施の形態を図2及び図4を用いて説明する。
図2は、本発明リジッドフレックスプリント配線板の概略断面図を示したもので、当該リジッドフレックスプリント配線板RFPは、柔軟性を有するフレキシブル基板1と、当該フレキシブル基板1の両面に形成された配線パターン2と、当該配線パターン2の形成面に、前記フレキシブル基板1と同じ材質からなるフレキシブル基板1aを介して積層された配線パターン2とからなる4層のフレキシブルプリント配線板FPと;当該フレキシブルプリント配線板FPにおける後にリジッドフレックスプリント配線板RFPとなった際のリジッド領域Rに相当する部分に、絶縁層6を介して積層された一部に接続端子2bを有する外層の配線パターン2と、上下方向に隣接する配線パターン2間を接続するブラインドバイアホール14(以後これを「BVH」と表記する)と、全層の配線パターン2間の接続に対応可能な貫通めっきスルーホール16と、外層の配線パターン2を部分的に保護するソルダーレジストパターン18と、フレキシブル領域Fに島状に形成されたリジッドなダミー板9a(残留パターン17と当該残留パターン17上に積層された残留絶縁層6aからなるダミー板9a)とを有する構成からなる。本実施の形態においては、ダミー板9aが島状に配置されているので、フレキシブル領域Fにおけるフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10が断続的かつ小さくなるため、フレキシブル領域Fの折り曲げ部に発生する反発力が分散される結果、フレキシブル領域Fの折り曲げ状態を所望の折り曲げ状態に保持できる。
【0030】
続いて、図2のリジッドフレックスプリント配線板RFPを得るための製造例を、図4に示した概略断面製造工程図を用いて説明する。尚、第一の実施の形態と共通する構成材料や処理条件については同じであるため、その説明を省略する。
【0031】
まず、図4(a)に示したように、フレキシブル基板1の両面に金属箔2aが積層された両面フレキシブル基板3aを用意し、次いで、当該金属箔2aに回路形成を施すことによって、配線パターン2を形成する(図4(b)参照)。
【0032】
次に、ソフトエッチング処理を行うことによって、当該配線パターン2の露出面を粗化した後、当該配線パターン2が粗化された状態の両面フレキシブル基板3aの表裏に、フレキシブル基板1と同じ材質からなるフレキシブル基板1aの一方の面に金属箔2a、他方の面に図示しない例えばエポキシ系の接着剤を備えた接着層付き片面フレキシブル基板3b(例えば、日立化成工業社製「MCF−5000I」、京セラケミカル社製「TFA―504」等が挙げられる)を、両面フレキシブル基板3aに設けられた配線パターン2と当該接着層付き片面フレキシブル基板3bの接着剤形成面とを対向させて加熱・加圧処理を行うことにより一体化形成する(図4(c)参照)。
【0033】
次に、図4(d)に示したように、BVH形成予定部の金属箔2aの一部をエッチング除去してウィンドウ部11を形成した後、当該ウィンドウ部11から露出するフレキシブル基板1aにレーザ(例えば、「炭酸ガスレーザ」)を照射することによって、下層の配線パターン2に達する非貫通孔12を穿孔し(図4(e)参照)、次いで、デスミア処理を行うことによって、当該非貫通孔12の内壁の整面およびレーザ照射により下層の配線パターン2上に残った樹脂残膜(炭化膜)を除去した後、無電解めっき処理(例えば「無電解銅めっき処理」)、電解めっき処理(例えば、「電解銅めっき処理」)を順次行うことによってめっき膜13を析出させ、当該非貫通孔12を導電化する(図4(f)参照)。
【0034】
次に、図4(f)の基板の外層に形成された導体(金属箔2aとめっき膜13からなる導体)に回路形成を施すことによって、後にリジッドフレックスプリント配線板RFPとなった際のフレキシブル領域Fに相当する部分にレーザ受けパターン2c(後に行なわれるレーザ加工の際に、下層のフレキシブル基板1aに孔が明くのを防止するための金属パターン)を形成するとともに配線パターン2を形成し(図4(g)に示した4層(配線パターンの層数)の「フレキシブルプリント配線板FP」参照)、次いで、図4(h)に示したように、フレキシブルプリント配線板FPの両面に、絶縁層6と金属箔2aを順次積層した後(あるいは両者が予め積層された状態の樹脂付き金属箔7を積層する)、エッチング処理により、BVH形成予定部にウィンドウ部11、フレキシブル領域Fに設けられた絶縁層6の座ぐり(spot facing)予定部にウインドウ部11aをそれぞれ形成する(図4(i)参照)。
【0035】
次に、各ウインドウ部11、11aから露出する絶縁層6にレーザ(例えば「炭酸ガスレーザ」)を照射することによって、非貫通孔12と座ぐり部12bを穿孔した後、貫通めっきスルーホール形成予定部にドリル加工を施すことによって、貫通孔15を穿孔し(図4(j)参照)、次いで、デスミア処理により各孔内のクリーニングを行なった後、当該各孔内を含む外層全面にめっき膜13(例えば「無電解銅めっき」と「電解銅めっき」からなるめっき膜)を析出させることによって、図4(k)の状態の基板を得る。
【0036】
次に、図4(l)に示したように、周知のサブトラクティブ法により回路形成を行うことによって、外層の配線パターン2、当該外層の配線パターン2と上下方向に隣接する内層の配線パターン2間を接続するBVH14、全層の配線パターン間の接続に対応する貫通めっきスルーホール16を形成するとともに、残留パターン17(レーザ受けパターン2cの残留物)と当該残留パターン17上に残された残留絶縁層6a(絶縁層6の残留物)からなる島状のリジッドなダミー板9aをフレキシブル領域Fの両外層に形成し、次いで、外層の配線パターン2を部分的に保護するソルダーレジストパターン18を形成した後、外形加工を施すことによって、両端のリジッド領域Rが4層のフレキシブルプリント配線板FPで接続され、且つ、折り曲げ可能なフレキシブル領域Fの両外層に、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を断続的かつ小さくする島状のリジッドなダミー板9aが配置されたリジッドフレックスプリント配線板RFPを得る(図4(m)参照)。
【0037】
本実施の形態における注目すべき点は、低弾性率材料層を用いたブラスト処理工程を必要とする第一の実施の形態と比較して、極く一般的なプリント配線板の製造工程により得られる構成とした点にある。
これにより、第一の実施の形態のものよりも容易に、且つ低コストで本発明のリジッドフレックスプリント配線板RFPを得ることができる。
【0038】
本発明を説明するに当たり、ダミー板9の配置例として、フレキシブル領域Fの表裏両外層に設けるとともにフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10が表裏面で重なるように配置する例を示したが、必ずしもフレキシブル領域Fの表裏両外層に設ける必要はなく、折り曲げ保持機能のみを考慮するのであれば、何れか一方の外層(好ましくは、他のプリント配線板などと接触する可能性の高い折り曲げ部が凸状となる側の面)にのみ配置しても、折り曲げ状態を保持させるには十分可能である。
しかし、製造過程で発生する反りを低減する、あるいは、S字状に折り曲げた際に、両面を損傷から守れるなどの観点から、第一、第二の実施の形態で説明したように、フレキシブル領域Fの表裏両外層に設けるのが好ましい。
【0039】
また、ダミー板9のサイズとして、表裏両外層で同じ大きさのものを配置する例を示したが、図6(a)に示したように、フレキシブル領域を折り曲げた際に凹状となる側の面Bに設けるダミー板9を、凸状となる側の面Aに設けるダミー板9よりも小さくすれば(即ち、凹状となる側の面Bのフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を大きくする)、当該フレキシブル領域を折り曲げた際のフレキシブルプリント配線板FPにかかる折り曲げ負荷を軽減でき(即ち、折り曲げ部の配線パターン2の断線不良を抑制することができる)、さらに、図6(b)に示したように、表裏両外層で同じ大きさのダミー板9を配置した箇所と、異なる大きさのダミー板9を配置した箇所とを組み合わせれば、フレキシブル領域を容易に(折り曲げ負荷を軽減しながら)S字状に保持することができる。
【0040】
また、ダミー板にシールドパターンを設け、当該シールドパターンとフレキシブルプリント配線板に形成されたグラウンドパターンとをBVHを介して接続すれば、フレキシブル領域の外層にシールドフィルム等のシールド材を新たに設けることなく、容易にノイズの侵入を抑制することができる。
【0041】
因みに、このようなシールドパターンは、以下のようにして形成することができる。
まず、第一の実施の形態に設ける例であるが、図7(a)の基板(図3(d)の要部拡大断面図に相当)における後にダミー板9を形成する位置に非貫通孔12aを穿孔する(例えば、レーザ加工により穿孔する)ことによって、フレキシブルプリント配線板FPに形成されたグラウンドパターン2dを露出させる(図7(b)参照)。
【0042】
次に、デスミア処理で非貫通孔12a内をクリーニングした後、無電解めっき処理、電解めっき処理を順次行うことによって、めっき膜13を析出させ(図7(c)参照)、次いで、図7(d)に示したようにレジストパターン8から露出している導体(金属箔2aとめっき膜13からなる導体)をエッチング除去する(図3(f)に相当)。
【0043】
次に、図7(e)に示したように、ブラスト処理を行うことによって、当該レジストパターン8から露出している絶縁層6を除去した後(図3(h)に相当)、当該レジストパターン8を剥離し、次いで、露出したシールドパターン19を保護するソルダーレジストパターン18を形成することによって(例えば、静電スプレーによりソルダーレジストを全面に塗布して仮乾燥(半硬化)させた後、露光・現像及び本硬化処理を順次行うことにより形成する)、ダミー板9の形成部に、グラウンドパターン2dとBVH14aを介して接続されたシールドパターン19を形成することができる(図7(f)参照)。
尚、本構成においては、ダミー板9の外層にシールドパターン19が形成される構成となるため、図1の構成とは異なり、シールドパターン19を保護するためのソルダーレジストパターン18の形成が必要となる。また、ダミー板9の側面からシールドパターン19が露出する形となるが、これについては、接続端子2bに施すニッケルー金めっき処理の際に、当該部分にも金めっき膜を析出させることで解決できる。
【0044】
この他、図9に示したように、ダミー板9の側面からシールドパターン19を露出させない構成とすることも可能である。
簡単に説明すると、図7(c)と同じ基板を用意した後(図9(a)参照)、最終的に得られるダミー板9の表面エリアの外形よりも内側にシールドパターン19が形成されるようにエッチングレジストパターン8aを形成し、次いで、当該エッチングレジストパターン8aから露出する導体(金属箔2aとめっき膜13からなる導体)をエッチング除去する(図9(b)参照)。
【0045】
次に、エッチングレジストパターン8aを剥離した後、露出したシールドパターン19の露出面(表面及び側面)とその周囲(最終的に得られるダミー板の大きさに相当)をレジストパターン8で被覆し(図9(c)参照)、次いで、当該レジストパターン8から露出した絶縁層6をブラスト処理により除去し(図9(d)参照)、次いで、当該レジストパターン8を剥離した後、露出したシールドパターン19をソルダーレジストパターン18で被覆することによって、当該シールドパターン19がダミー板9の側面から露出しない構成とすることができる(図9(e)参照)。
【0046】
次に、第二の実施の形態に設ける例であるが、こちらの場合は、図4(d)〜図4(g)の工程で、BVH14を形成するのと同時にレーザ受けパターン2cにおけるダミー板9aの形成予定部にもBVH14aを形成し、その後、図4(h)〜図4(m)と同じ工程を行うことによって、ダミー板9aの形成部に、グラウンドパターン2dとBVH14aを介して接続されたシールドパターン19を形成することができる(図8参照)。
こちらの構成も、ダミー板9aの側面からシールドパターン19が露出してしまうが、上記図7の構成と同様に、接続端子2bに施すニッケルー金めっき処理の際に金めっき膜を析出させればよい。
【0047】
この他、図10に示したように、ダミー板9aの側面からシールドパターン19を露出させない構成とすることも可能である。
この場合は、上記で説明したダミー板9aの形成予定部にBVH14aを形成した状態の基板(4層のフレキシブルプリント配線板FP)を回路形成する際に(図4(f)、(g)に相当)、ダミー板9aの表面エリアの外形よりも内側にスリット20を設け、残留パターン17をシールドバターン19と回路とは無関係な外周パターン21とに分離するだけで簡単に対応できる(図10(a)、(b)参照)。
【0048】
本発明を説明するに当たって、第一、第二の実施の形態を例にして説明をしてきたが、本発明の構成はこの限りでなく、本発明の構成から逸脱しない範囲であれば、他の構成に利用することももちろん可能である。
【0049】
また、各実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板を得るための製造方法においても、図3、図4で示した工程以外の方法、例えば、絶縁層6の積層方法として、予めフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10に対応する部分に開口部を設けた絶縁樹脂層(絶縁層6が硬化する前の半硬化状態のも:所謂プリプレグ)を積層する方法も可能である。
【0050】
しかし、この方法においては、図15に示したように、当該絶縁樹脂層を積層した際に、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10に当該絶縁樹脂層の樹脂が流れ込んでしまい、ダミー板9(9a)とフレキシブルプリント配線板FPの接着界面に樹脂の滲み部30が形成される結果、当該露出エリア10の折り曲げ状態が保持しにくくなる(ダミー板9aの場合は、当該滲み部30がエッチングレジストとなり、当該ダミー板9aの構成材である残留パターン17の裾野を広げてしまうため、折り曲げ状態を保持しにくくさせるだけでなく、当該残留パターン17の裾野部分が刃物的な存在となり、当該フレキシブル領域Fを折り曲げた際に、フレキシブルプリント配線板FPを切断させてしまうという懸念もある)、あるいは、絶縁樹脂層が半硬化状態のため、上記開口部をフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10の位置に合わせるのが困難になるなどの不具合が考えられるため、絶縁層6をブラスト加工やレーザ加工で座ぐる(これにより滲み部30の問題が発生しない)ことによって、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を形成する図3、図4の工程を選択するのが好ましいといえる。
【符号の説明】
【0051】
1、1a:フレキシブル基板
2:配線パターン
2a:金属箔
2b:接続端子
2c:レーザ受けパターン
2d:グラウンドパターン
3:片面フレキシブル基板
3a:両面フレキシブル基板
3b:接着層付き片面フレキシブル基板
4:低弾性率材料層
5:カバーレイ
5a:除去部
5b:第一のカバーレイ
5c:第二のカバーレイ
6:絶縁層
6a:残留絶縁層
7:樹脂付き金属箔
8:レジストパターン
8a:エッチングレジストパターン
9,9a:ダミー板
10:フレキシブルプリント配線板の露出エリア
11、11a:ウィンドウ部
12、12a:非貫通孔
12b:座ぐり部
13:金属めっき
14,14a:BVH
15:貫通孔
16:貫通めっきスルーホール
17:残留パターン
18:ソルダーレジストパターン
19:シールドパターン
20:スリット
21:外周パターン
22:端子接続部
23:折り曲げ部
24:はんだ
25:金属板
26:折り曲げ線
27:基板アセンブリ
28:曲げ型
28a:曲面
29:止め具
30:滲み部
FP:フレキシブルプリント配線板
RFP:リジッドフレックスプリント配線板
R:リジッド領域
F:フレキシブル領域
P1、P2:プリント配線板
A:凸状となる側の面
B:凹状となる側の面
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を有するリジッドフレックスプリント配線板に関し、特に、当該フレキシブル領域を所望の折り曲げ状態に保持することができるリジッドフレックスプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機器の小型化が進む近年において、当該機器内に設置されるプリント配線板の設置スペースも益々小スペース化及び複雑化されてきており、このようなことから、機器内に設置されるリジッドなプリント配線板(以後これを単に「プリント配線板」と表記する)を機能毎に分割し、当該分割した複数のプリント配線板間を設置自由度の高いフレキシブルプリント配線板で接続することによって、上記小スペース化などに対応している。
【0003】
また、プリント配線板とフレキシブルプリント配線板の端子接続手段においても、主流であったコネクタ接続から、はんだ接続あるいはACF(anisotropic conductive film:異方性導電膜)接続に切り替えて、機器の小型化を更に促進することも行なわれている。
【0004】
ところで、フレキシブルプリント配線板は、自由に折り曲げられるという利便性があると同時に、非常に高い弾性も併せ持っている。従って、図11(a)に示したように、非直線上に配置されたプリント配線板P1、P2の図示しない接続端子間を、フレキシブルプリント配線板FPで接続した場合、折り曲げ部23が元の位置に戻ろうとする反発力(これを「スプリングバック」と呼ぶこともある)が常に働く状態となり、その応力が、はんだやACFを介して接続されている端子接続部22(例えば、プリント配線板とフレキシブルプリント配線板に設けられた接続端子間の接続部)を引き剥がそうとする方向(図中に示した矢印の示す方向)に作用し続ける結果、最終的に接続不良を引き起こしてしまうということが極まれにあった(フレキシブルプリント配線板FPの接続端子2bが端子接続部22から剥離した状態を示した図11(b)参照)。
【0005】
そこで、このような反発力を抑制し、フレキシブルプリント配線板の折り曲げ状態を保持する手段が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0006】
図12は、特許文献1に開示されているフレキシブルプリント配線板FPの概略断面図を示したものであり、帯状または線状のはんだ付け可能な金属材からなる配線パターン2と、当該配線パターン2の両面を覆うカバーレイ5と、一方のカバーレイ5の中間部に設けられたカバーレイ除去部5aと、当該カバーレイ除去部5aから露出した配線パターン2上に付着されたはんだ24とを有する構成からなり、当該はんだ24が付着された部分で当該フレキシブルプリント配線板FPを折り曲げることによって、折り曲げ部23の戻りを抑制する(即ち、折り曲げ状態を保持する)というものである。
【0007】
図13は、特許文献2に開示されているフレキシブルプリント配線板FPの構成を示したものであり、フレキシブル基板1と、当該フレキシブル基板1の表面に形成された配線パターン2と、当該配線パターン2を保護する第1のカバーレイ5bと、当該第1のカバーレイ5b上に配置された金属板25と、当該金属板25を保持する第2のカバーレイ5cを有する構成からなり、当該フレキシブルプリント配線板FPを図13(b)に示した折り曲げ線26で折り曲げ、当該金属板25を塑性変形させることで折り曲げ状態を保持させるというものである。
【0008】
図14は、特許文献3に開示されているフレキシブルプリント配線板FPの形状保持方法を説明するための概略断面図を示したものであり、まず、プリント配線板P1、P2間をフレキシブルプリント配線板FPで接続した基板アセンブリ27を、止め具29を利用して、当該プリント配線板P1、P2が実際の製品内に取り付けらたときと同じ角度となるように設置し、次いで、フレキシブルプリント配線板FPを曲面28aを有する曲げ型28に嵌めて加熱フォーミングすることにより、当該フレキシブルプリント配線板FPの折り曲げ状態を保持させるというものである。
【0009】
しかし、特許文献1〜3の構成においては、以下に示すような問題点があった。
即ち、特許文献1の構成は、折り曲げ部23に設けるカバーレイ5の除去部5aを、配線パターン2の形状に合わせて除去する必要があるため製造工程が非常に煩雑であり、また、当該除去部5aの形成位置がズレてしまった場合、隣接する配線パターン2間でショート不良が発生する懸念もあった。
【0010】
また、特許文献2の構成においては、折り曲げ部分に1枚ずつ金属板25を配置するという非常に手間のかかる工程を要し(フレキシブルプリント配線板FPが小型の場合には、金属板25を所望の位置に配置することさえ困難である)、また、本来必要としない金属板25と、当該金属板25を保持する高価な第二のカバーレイ5cを余分に設ける必要があるため、コスト的にも不利な構成であった。
【0011】
特許文献3の構成は、フレキシブルプリント配線板FPの折り曲げ状態を保持させるために、専用の止め具29や曲げ型28を製品毎に用意する必要があるため、非常に手間やコストのかかる工法であった。
【0012】
また、特許文献1〜3の共通の問題点として、何れの構成においても、ある程度の長さを有しているにもかかわらず、軟質なフレキシブル材(フレキシブル基板、カバーレイ)をガードするものが何も設けられていないため、例えば、携帯機器等のように、非常に狭いスペースへの設置が求められ、尚且つ振動が頻繁に加えられる製品用途では、フレキシブルプリント配線板FPが、筐体の内側や機器内に設置されたプリント配線板、あるいは電子部品などと擦れるなどして損傷してしまうという懸念もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−128525号公報
【特許文献2】特開2006−165079号公報
【特許文献3】特開2006−319097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、フレキシブル領域(フレキシブルプリント配線板の折り曲げ領域)を所望の折り曲げ状態に保持する手段として、はんだや金属板などの構成材料、あるいは曲げ型といった装置を新たに必要とせず、容易にフレキシブル領域の折り曲げ状態を保持させることができ、更に、頻繁に加わる振動により、フレキシブル領域が筐体の内側などに擦れる環境に設置された場合においても、当該フレキシブル領域が損傷する懸念のないリジッドフレックスプリント配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を備えたリジッドフレックスプリント配線板であって、少なくとも、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板上に形成された配線パターンと、当該配線パターンを保護するカバーレイとからなるフレキシブルプリント配線板と、当該フレキシブルプリント配線板における当該フレキシブル領域の外層に設けられた島状のリジッドなダミー板とを有することを特徴とするリジッドフレックスプリント配線板により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のリジッドフレックスプリント配線板は、そのフレキシブル領域の外層に、島状のリジッドなダミー板が配置されているので、当該フレキシブル領域におけるフレキシブルプリント配線板の露出エリアが断続的かつ小さくなるため、折り曲げ部に発生する反発力が分散される結果、フレキシブル領域の折り曲げ状態を保持することができる。しかも、当該フレキシブルプリント配線板の露出エリアを断続的かつ小さくする手段として、通常のリジッドフレックスプリント配線板の構成材料からなる島状のリジッドなダミー板を配置するだけなので、容易にフレキシブル領域の折り曲げ状態を保持させることができる。
また、フレキシブル領域にリジッドなダミー板を設ける構成としたため、振動により、フレキシブル領域が筐体の内側などに擦れる場所に設置されたとしても、当該ダミー板がガードとなり、軟質なフレキシブルプリント配線板を損傷から守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明リジッドフレックスプリント配線板の第一の実施の形態を示す概略断面説明図。
【図2】本発明リジッドフレックスプリント配線板の第二の実施の形態を示す概略断面説明図。
【図3】第一の実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板の製造例を示す概略断面製造工程図。
【図4】第二の実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板の製造例を示す概略断面製造工程図。
【図5】本発明リジッドフレックスプリント配線板の折り曲げ保持状態を示す概略斜視説明図。
【図6】(a)は折り曲げ部が一箇所の場合のダミー板の配置構成例を示す概略断面図説明、(b)はS字状に折り曲げる場合のダミー板の配置構成例を示す概略断面説明図。
【図7】図1のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設ける場合の製造例を示す要部拡大断面製造工程図。
【図8】図2のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設けた場合の要部拡大断面説明図。
【図9】図1のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設ける構成において、当該シールドパターンがダミー板の側面から露出しない構成とする場合の製造例を示す要部拡大断面製造工程図。
【図10】(a)は、図2のリジッドフレックスプリント配線板のダミー板にシールドパターンを設けた構成において、当該シールドパターンがダミー板の側面から露出しない構成とした場合の要部拡大断面説明図、(b)は当該ダミー板における残留パターンを上から見た場合の要部拡大平面説明図。
【図11】(a)は2枚のプリント配線板間を、従来のフレキシブルプリント配線板を折り曲げて接続した状態を示した概略断面説明図、(b)はフレキシブルプリント配線板の反発力により一方の接続端子が端子接続部から剥離した状態を示した概略断面説明図。
【図12】従来のフレキシブルプリント配線板の構成を示す概略断面説明図。
【図13】(a)は従来の他のフレキシブルプリント配線板の構成を示す概略断面説明図、(b)は同概略平面説明図。
【図14】従来のフレキシブルプリント配線板の曲げ状態保持方法を示す概略断面説明図。
【図15】絶縁層として、予めフレキシブルプリント配線板の露出エリアに相当する部分に開口部を設けたものを積層した場合の不具合を示す概略断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第一の実施の形態を図1及び図3を用いて説明する。
図1は、本発明リジッドフレックスプリント配線板の概略断面図を示したもので、当該リジッドフレックスプリント配線板RFPは、柔軟性を有するフレキシブル基板1と、当該フレキシブル基板1の一方の面に形成された配線パターン2と、当該配線パターン2を保護するカバーレイ5と、当該配線パターン2とカバーレイ5の間に形成された低弾性率材料層4と、後にリジッドフレックスプリント配線板RFPとなった際の端子領域Tに相当する部分に設けられた接続端子2bとからなるフレキシブルプリント配線板FPと;当該フレキシブルプリント配線板FPにおける折り曲げ可能なフレキシブル領域Fの外層に設けられた島状のリジッドなダミー板9とを有する構成からなる。本実施の形態においては、ダミー板9がフレキシブル領域Fの外層に島状に配置されているので、フレキシブル領域Fにおけるフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10が断続的かつ小さくなるため、フレキシブル領域Fの折り曲げ部に発生する反発力が分散される結果、フレキシブル領域Fの折り曲げ状態を所望の折り曲げ状態に保持でき、他のプリント配線板等に設けられた接続端子と接続した際の接続信頼性を確保することができる。
【0019】
因みに、図中に示した低弾性率材料層4は、図3に示した製造工程で本実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板RFPを製造した際に残る残留物で、本発明の必須構成材料ではない。この低弾性率材料層4は、この後の製造工程の中でも説明するように、エポキシ樹脂にエラストマーを含有させた熱硬化性樹脂からなり、元々、非常に薄くて配線パターン間への追従性が良く、当該配線パターンとこの上に積層される絶縁層との密着性を上げる目的で過去からよく利用されていたものである。
従って、副産物的ではあるものの、接続端子2bに金めっき処理を施した際に、カバーレイ5と当該接続端子2bの境界部に、金めっきの処理液が染み込むなどの不具合を防止できるという効果も得られるため、リジッドフレックスプリント配線板RFP内に存在していても特に邪魔になるものではない。
【0020】
続いて、図1のリジッドフレックスプリント配線板RFPを得るための製造例を、図3に示した概略断面製造工程図を用いて説明する。
まず、図3(a)に示したように、フレキシブル基板1(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等からなる屈曲性を有する絶縁基板で、例えば、新日鉄化学社製「SB、MB」、宇部日東化成社製「BE、BR」、三井化学社製「NFX、NEX」等が挙げられる)の片面に金属箔2a(一般的には「銅箔」が用いられ、例えば、三井金属鉱業社製「3EC−III」、JX日鉱日石金属社製「JTC」、古川電気工業社製「GTS」などが挙げられる)が積層された片面フレキシブル基板3を用意し、次いで、当該金属箔2aに回路形成(周知の「サブトラクティブ法」による回路形成)を施すことによって、配線パターン2を形成する(図3(b)参照)。
【0021】
次に、ソフトエッチング処理(例えば、蟻酸やアミン系錯化剤を主成分とする、例えば「メック社製:CZ8100」によるソフトエッチング処理など)を行うことによって、当該配線パターン2の露出面を粗化した後、図3(b)に示したように、配線パターン2が形成された片面フレキシブル基板3の配線パターン2形成面側に、低弾性率材料層4と、当該配線パターン2を保護するカバーレイ5(例えば、上記「フレキシブル基板1」の説明で挙げたポリイミド等の絶縁基板の接着面側にエポキシ系の接着剤を備えたものを使用)を順次配置し、次いで、加熱・加圧処理(温度:160〜190℃、圧力:3MPa、時間:60〜90分)により各構成材料を一体化形成することによって、図3(c)のフレキシブルプリント配線板FPを得る。
【0022】
ここで、低弾性率材料層4としては、後に行なわれるブラスト処理の際に、接続端子2bとなる配線パターン2へのダメージを防止できるものであればどのようなものでもよく、例えば、エポキシ樹脂とエラストマー(「エラストマー」とは、シリコンゴムのような合成ゴムなどの弾性重合体のことで、エポキシ等の樹脂に弾力性を付与する効果がある)からなる熱硬化性樹脂(例えば、三井金属社製の「プライマーレジン」等)などが好適に挙げられ、特に、3GPa以下の弾性率を有するものであれば、ブラスト処理による過剰切削を確実に防止できるため、当該低弾性率材料層4の薄型化を図る上で好ましい。尚、低弾性率材料層4は、本来製品内には不要なものであるため、なるべく薄くするのがプリント配線板の薄型化とデスミア処理(ブラスト緩和層4のデスミア除去)の容易化の観点から好ましい。
【0023】
次に、図3(c)に示したフレキシブルプリント配線板FPの両面に、ガラス織布やガラス不織布などの補強繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた半硬化状態の絶縁接着剤層(当該「絶縁接着剤層」を硬化した「絶縁層6」に相当。尚、当該絶縁接着剤層(プリプレグ)としては、パナソニック電工社製「R−1661、R−1551」、日立化成工業社製「GEA−67N、GEA−67BE」等が挙げられる)を介して金属箔2aを積層する(温度:180〜190℃、圧力:3MPa、時間:60〜90分の積層条件で積層する)、あるいは予め両者を一体化した樹脂付き金属箔7を積層し(図3(d)参照)、次いで、後にフレキシブル領域Fの外層に設けるダミー板9の形成予定部に、エッチングレジスト及びブラストレジストを兼ね備えたレジスト層8を、例えば、金属箔2a上にラミネートされたドライフィルムレジストを露光・現像するなどして形成する(図3(e)参照)。
【0024】
次に、当該レジスト層8から露出している金属箔2aをエッチング処理(例えば、「塩化第二鉄溶液」、「塩化第二銅溶液」などのエッチャントを用いたエッチング処理)により除去し(図3(f)参照)、次いで、当該エッチング処理により露出した絶縁層6をサンドブラストやウェットブラスト処理(図3(g)に示した矢印BL参照)にて除去することによって、図3(h)の状態の基板を得る。
尚、フレキシブル基板1やカバーレイ5は、レジスト層8や低弾性率材料層4で保護されてはいないが、これらに用いるポリイミド等は、元々低弾性率の材料であるため、保護層がなくともブラスト処理に対して十分に耐えられる。
【0025】
次に、レジスト層8を水酸化ナトリウム溶液などで剥離した後(図3(i)参照)、当該レジスト層8の除去により露出した金属箔2aをエッチング除去し(図3(j)参照)、次いで、露出しているブラスト緩和層4をデスミア処理(例えば、過マンガン酸ナトリウム系、過マンガン酸カリウム系などのデスミア処理)で除去した後、外形加工を施すことによって、両端の端子領域Tに接続端子2bを有し、且つ、折り曲げ可能なフレキシブル領域Fの両外層に、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を断続的かつ小さくする島状のリジッドなダミー板9(絶縁層6の残留絶縁層6aからなるダミー板9)が配置されたリジッドフレックスプリント配線板RFPを得る(図3(k)参照)。
【0026】
本実施の形態における注目すべき点は、フレキシブル領域の外層に島状のリジッドなダミー板を設け、当該フレキシブル領域におけるフレキシブルプリント配線板の露出エリアを断続的かつ小さくすることによって、フレキシブル領域の折り曲げ状態の保持を可能ならしめたと共に、当該島状のリジッドなダミー板を通常のリジッドフレックスプリント配線板の構成材料で形成するようにした点にある。
【0027】
これにより、通常のリジッドフレックスプリント配線板の製造工程により当該ダミー板を形成することができるため、容易にフレキシブル領域の折り曲げ保持機能を備えたリジッドフレックスプリント配線板を得ることができる。また、当該フレキシブル領域がリジッドなダミー板でガードされるため、軟質なフレキシブルプリント配線板を損傷から守ることができる。
【0028】
因みに、フレキシブル領域Fを所望の折り曲げ状態に保持できる理由は定かではないが、図5に示したように、リジッドフレックスプリント配線板RFPのフレキシブル領域Fを折り曲げた際に、フレキシブルプリント配線板FPの各露出エリア10における凸状となる側の面Aで、フレキシブル材料(フレキシブル基板、あるいはカバーレイ)が僅かに延び、そのままの状態を維持し続けるためだと考えられる(図中に示した符号「B」は、上記「凸状となる側の面A」に対応する「凹状となる側の面」を示したものである)。
【0029】
続いて、本発明の第二の実施の形態を図2及び図4を用いて説明する。
図2は、本発明リジッドフレックスプリント配線板の概略断面図を示したもので、当該リジッドフレックスプリント配線板RFPは、柔軟性を有するフレキシブル基板1と、当該フレキシブル基板1の両面に形成された配線パターン2と、当該配線パターン2の形成面に、前記フレキシブル基板1と同じ材質からなるフレキシブル基板1aを介して積層された配線パターン2とからなる4層のフレキシブルプリント配線板FPと;当該フレキシブルプリント配線板FPにおける後にリジッドフレックスプリント配線板RFPとなった際のリジッド領域Rに相当する部分に、絶縁層6を介して積層された一部に接続端子2bを有する外層の配線パターン2と、上下方向に隣接する配線パターン2間を接続するブラインドバイアホール14(以後これを「BVH」と表記する)と、全層の配線パターン2間の接続に対応可能な貫通めっきスルーホール16と、外層の配線パターン2を部分的に保護するソルダーレジストパターン18と、フレキシブル領域Fに島状に形成されたリジッドなダミー板9a(残留パターン17と当該残留パターン17上に積層された残留絶縁層6aからなるダミー板9a)とを有する構成からなる。本実施の形態においては、ダミー板9aが島状に配置されているので、フレキシブル領域Fにおけるフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10が断続的かつ小さくなるため、フレキシブル領域Fの折り曲げ部に発生する反発力が分散される結果、フレキシブル領域Fの折り曲げ状態を所望の折り曲げ状態に保持できる。
【0030】
続いて、図2のリジッドフレックスプリント配線板RFPを得るための製造例を、図4に示した概略断面製造工程図を用いて説明する。尚、第一の実施の形態と共通する構成材料や処理条件については同じであるため、その説明を省略する。
【0031】
まず、図4(a)に示したように、フレキシブル基板1の両面に金属箔2aが積層された両面フレキシブル基板3aを用意し、次いで、当該金属箔2aに回路形成を施すことによって、配線パターン2を形成する(図4(b)参照)。
【0032】
次に、ソフトエッチング処理を行うことによって、当該配線パターン2の露出面を粗化した後、当該配線パターン2が粗化された状態の両面フレキシブル基板3aの表裏に、フレキシブル基板1と同じ材質からなるフレキシブル基板1aの一方の面に金属箔2a、他方の面に図示しない例えばエポキシ系の接着剤を備えた接着層付き片面フレキシブル基板3b(例えば、日立化成工業社製「MCF−5000I」、京セラケミカル社製「TFA―504」等が挙げられる)を、両面フレキシブル基板3aに設けられた配線パターン2と当該接着層付き片面フレキシブル基板3bの接着剤形成面とを対向させて加熱・加圧処理を行うことにより一体化形成する(図4(c)参照)。
【0033】
次に、図4(d)に示したように、BVH形成予定部の金属箔2aの一部をエッチング除去してウィンドウ部11を形成した後、当該ウィンドウ部11から露出するフレキシブル基板1aにレーザ(例えば、「炭酸ガスレーザ」)を照射することによって、下層の配線パターン2に達する非貫通孔12を穿孔し(図4(e)参照)、次いで、デスミア処理を行うことによって、当該非貫通孔12の内壁の整面およびレーザ照射により下層の配線パターン2上に残った樹脂残膜(炭化膜)を除去した後、無電解めっき処理(例えば「無電解銅めっき処理」)、電解めっき処理(例えば、「電解銅めっき処理」)を順次行うことによってめっき膜13を析出させ、当該非貫通孔12を導電化する(図4(f)参照)。
【0034】
次に、図4(f)の基板の外層に形成された導体(金属箔2aとめっき膜13からなる導体)に回路形成を施すことによって、後にリジッドフレックスプリント配線板RFPとなった際のフレキシブル領域Fに相当する部分にレーザ受けパターン2c(後に行なわれるレーザ加工の際に、下層のフレキシブル基板1aに孔が明くのを防止するための金属パターン)を形成するとともに配線パターン2を形成し(図4(g)に示した4層(配線パターンの層数)の「フレキシブルプリント配線板FP」参照)、次いで、図4(h)に示したように、フレキシブルプリント配線板FPの両面に、絶縁層6と金属箔2aを順次積層した後(あるいは両者が予め積層された状態の樹脂付き金属箔7を積層する)、エッチング処理により、BVH形成予定部にウィンドウ部11、フレキシブル領域Fに設けられた絶縁層6の座ぐり(spot facing)予定部にウインドウ部11aをそれぞれ形成する(図4(i)参照)。
【0035】
次に、各ウインドウ部11、11aから露出する絶縁層6にレーザ(例えば「炭酸ガスレーザ」)を照射することによって、非貫通孔12と座ぐり部12bを穿孔した後、貫通めっきスルーホール形成予定部にドリル加工を施すことによって、貫通孔15を穿孔し(図4(j)参照)、次いで、デスミア処理により各孔内のクリーニングを行なった後、当該各孔内を含む外層全面にめっき膜13(例えば「無電解銅めっき」と「電解銅めっき」からなるめっき膜)を析出させることによって、図4(k)の状態の基板を得る。
【0036】
次に、図4(l)に示したように、周知のサブトラクティブ法により回路形成を行うことによって、外層の配線パターン2、当該外層の配線パターン2と上下方向に隣接する内層の配線パターン2間を接続するBVH14、全層の配線パターン間の接続に対応する貫通めっきスルーホール16を形成するとともに、残留パターン17(レーザ受けパターン2cの残留物)と当該残留パターン17上に残された残留絶縁層6a(絶縁層6の残留物)からなる島状のリジッドなダミー板9aをフレキシブル領域Fの両外層に形成し、次いで、外層の配線パターン2を部分的に保護するソルダーレジストパターン18を形成した後、外形加工を施すことによって、両端のリジッド領域Rが4層のフレキシブルプリント配線板FPで接続され、且つ、折り曲げ可能なフレキシブル領域Fの両外層に、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を断続的かつ小さくする島状のリジッドなダミー板9aが配置されたリジッドフレックスプリント配線板RFPを得る(図4(m)参照)。
【0037】
本実施の形態における注目すべき点は、低弾性率材料層を用いたブラスト処理工程を必要とする第一の実施の形態と比較して、極く一般的なプリント配線板の製造工程により得られる構成とした点にある。
これにより、第一の実施の形態のものよりも容易に、且つ低コストで本発明のリジッドフレックスプリント配線板RFPを得ることができる。
【0038】
本発明を説明するに当たり、ダミー板9の配置例として、フレキシブル領域Fの表裏両外層に設けるとともにフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10が表裏面で重なるように配置する例を示したが、必ずしもフレキシブル領域Fの表裏両外層に設ける必要はなく、折り曲げ保持機能のみを考慮するのであれば、何れか一方の外層(好ましくは、他のプリント配線板などと接触する可能性の高い折り曲げ部が凸状となる側の面)にのみ配置しても、折り曲げ状態を保持させるには十分可能である。
しかし、製造過程で発生する反りを低減する、あるいは、S字状に折り曲げた際に、両面を損傷から守れるなどの観点から、第一、第二の実施の形態で説明したように、フレキシブル領域Fの表裏両外層に設けるのが好ましい。
【0039】
また、ダミー板9のサイズとして、表裏両外層で同じ大きさのものを配置する例を示したが、図6(a)に示したように、フレキシブル領域を折り曲げた際に凹状となる側の面Bに設けるダミー板9を、凸状となる側の面Aに設けるダミー板9よりも小さくすれば(即ち、凹状となる側の面Bのフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を大きくする)、当該フレキシブル領域を折り曲げた際のフレキシブルプリント配線板FPにかかる折り曲げ負荷を軽減でき(即ち、折り曲げ部の配線パターン2の断線不良を抑制することができる)、さらに、図6(b)に示したように、表裏両外層で同じ大きさのダミー板9を配置した箇所と、異なる大きさのダミー板9を配置した箇所とを組み合わせれば、フレキシブル領域を容易に(折り曲げ負荷を軽減しながら)S字状に保持することができる。
【0040】
また、ダミー板にシールドパターンを設け、当該シールドパターンとフレキシブルプリント配線板に形成されたグラウンドパターンとをBVHを介して接続すれば、フレキシブル領域の外層にシールドフィルム等のシールド材を新たに設けることなく、容易にノイズの侵入を抑制することができる。
【0041】
因みに、このようなシールドパターンは、以下のようにして形成することができる。
まず、第一の実施の形態に設ける例であるが、図7(a)の基板(図3(d)の要部拡大断面図に相当)における後にダミー板9を形成する位置に非貫通孔12aを穿孔する(例えば、レーザ加工により穿孔する)ことによって、フレキシブルプリント配線板FPに形成されたグラウンドパターン2dを露出させる(図7(b)参照)。
【0042】
次に、デスミア処理で非貫通孔12a内をクリーニングした後、無電解めっき処理、電解めっき処理を順次行うことによって、めっき膜13を析出させ(図7(c)参照)、次いで、図7(d)に示したようにレジストパターン8から露出している導体(金属箔2aとめっき膜13からなる導体)をエッチング除去する(図3(f)に相当)。
【0043】
次に、図7(e)に示したように、ブラスト処理を行うことによって、当該レジストパターン8から露出している絶縁層6を除去した後(図3(h)に相当)、当該レジストパターン8を剥離し、次いで、露出したシールドパターン19を保護するソルダーレジストパターン18を形成することによって(例えば、静電スプレーによりソルダーレジストを全面に塗布して仮乾燥(半硬化)させた後、露光・現像及び本硬化処理を順次行うことにより形成する)、ダミー板9の形成部に、グラウンドパターン2dとBVH14aを介して接続されたシールドパターン19を形成することができる(図7(f)参照)。
尚、本構成においては、ダミー板9の外層にシールドパターン19が形成される構成となるため、図1の構成とは異なり、シールドパターン19を保護するためのソルダーレジストパターン18の形成が必要となる。また、ダミー板9の側面からシールドパターン19が露出する形となるが、これについては、接続端子2bに施すニッケルー金めっき処理の際に、当該部分にも金めっき膜を析出させることで解決できる。
【0044】
この他、図9に示したように、ダミー板9の側面からシールドパターン19を露出させない構成とすることも可能である。
簡単に説明すると、図7(c)と同じ基板を用意した後(図9(a)参照)、最終的に得られるダミー板9の表面エリアの外形よりも内側にシールドパターン19が形成されるようにエッチングレジストパターン8aを形成し、次いで、当該エッチングレジストパターン8aから露出する導体(金属箔2aとめっき膜13からなる導体)をエッチング除去する(図9(b)参照)。
【0045】
次に、エッチングレジストパターン8aを剥離した後、露出したシールドパターン19の露出面(表面及び側面)とその周囲(最終的に得られるダミー板の大きさに相当)をレジストパターン8で被覆し(図9(c)参照)、次いで、当該レジストパターン8から露出した絶縁層6をブラスト処理により除去し(図9(d)参照)、次いで、当該レジストパターン8を剥離した後、露出したシールドパターン19をソルダーレジストパターン18で被覆することによって、当該シールドパターン19がダミー板9の側面から露出しない構成とすることができる(図9(e)参照)。
【0046】
次に、第二の実施の形態に設ける例であるが、こちらの場合は、図4(d)〜図4(g)の工程で、BVH14を形成するのと同時にレーザ受けパターン2cにおけるダミー板9aの形成予定部にもBVH14aを形成し、その後、図4(h)〜図4(m)と同じ工程を行うことによって、ダミー板9aの形成部に、グラウンドパターン2dとBVH14aを介して接続されたシールドパターン19を形成することができる(図8参照)。
こちらの構成も、ダミー板9aの側面からシールドパターン19が露出してしまうが、上記図7の構成と同様に、接続端子2bに施すニッケルー金めっき処理の際に金めっき膜を析出させればよい。
【0047】
この他、図10に示したように、ダミー板9aの側面からシールドパターン19を露出させない構成とすることも可能である。
この場合は、上記で説明したダミー板9aの形成予定部にBVH14aを形成した状態の基板(4層のフレキシブルプリント配線板FP)を回路形成する際に(図4(f)、(g)に相当)、ダミー板9aの表面エリアの外形よりも内側にスリット20を設け、残留パターン17をシールドバターン19と回路とは無関係な外周パターン21とに分離するだけで簡単に対応できる(図10(a)、(b)参照)。
【0048】
本発明を説明するに当たって、第一、第二の実施の形態を例にして説明をしてきたが、本発明の構成はこの限りでなく、本発明の構成から逸脱しない範囲であれば、他の構成に利用することももちろん可能である。
【0049】
また、各実施の形態のリジッドフレックスプリント配線板を得るための製造方法においても、図3、図4で示した工程以外の方法、例えば、絶縁層6の積層方法として、予めフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10に対応する部分に開口部を設けた絶縁樹脂層(絶縁層6が硬化する前の半硬化状態のも:所謂プリプレグ)を積層する方法も可能である。
【0050】
しかし、この方法においては、図15に示したように、当該絶縁樹脂層を積層した際に、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10に当該絶縁樹脂層の樹脂が流れ込んでしまい、ダミー板9(9a)とフレキシブルプリント配線板FPの接着界面に樹脂の滲み部30が形成される結果、当該露出エリア10の折り曲げ状態が保持しにくくなる(ダミー板9aの場合は、当該滲み部30がエッチングレジストとなり、当該ダミー板9aの構成材である残留パターン17の裾野を広げてしまうため、折り曲げ状態を保持しにくくさせるだけでなく、当該残留パターン17の裾野部分が刃物的な存在となり、当該フレキシブル領域Fを折り曲げた際に、フレキシブルプリント配線板FPを切断させてしまうという懸念もある)、あるいは、絶縁樹脂層が半硬化状態のため、上記開口部をフレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10の位置に合わせるのが困難になるなどの不具合が考えられるため、絶縁層6をブラスト加工やレーザ加工で座ぐる(これにより滲み部30の問題が発生しない)ことによって、フレキシブルプリント配線板FPの露出エリア10を形成する図3、図4の工程を選択するのが好ましいといえる。
【符号の説明】
【0051】
1、1a:フレキシブル基板
2:配線パターン
2a:金属箔
2b:接続端子
2c:レーザ受けパターン
2d:グラウンドパターン
3:片面フレキシブル基板
3a:両面フレキシブル基板
3b:接着層付き片面フレキシブル基板
4:低弾性率材料層
5:カバーレイ
5a:除去部
5b:第一のカバーレイ
5c:第二のカバーレイ
6:絶縁層
6a:残留絶縁層
7:樹脂付き金属箔
8:レジストパターン
8a:エッチングレジストパターン
9,9a:ダミー板
10:フレキシブルプリント配線板の露出エリア
11、11a:ウィンドウ部
12、12a:非貫通孔
12b:座ぐり部
13:金属めっき
14,14a:BVH
15:貫通孔
16:貫通めっきスルーホール
17:残留パターン
18:ソルダーレジストパターン
19:シールドパターン
20:スリット
21:外周パターン
22:端子接続部
23:折り曲げ部
24:はんだ
25:金属板
26:折り曲げ線
27:基板アセンブリ
28:曲げ型
28a:曲面
29:止め具
30:滲み部
FP:フレキシブルプリント配線板
RFP:リジッドフレックスプリント配線板
R:リジッド領域
F:フレキシブル領域
P1、P2:プリント配線板
A:凸状となる側の面
B:凹状となる側の面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を備えたリジッドフレックスプリント配線板であって、少なくとも、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板上に形成された配線パターンと、当該配線パターンを保護するカバーレイとからなるフレキシブルプリント配線板と;当該フレキシブルプリント配線板における当該フレキシブル領域の外層に設けられた島状のリジッドなダミー板とを有することを特徴とするリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項2】
当該ダミー板が、当該フレキシブル領域の表裏両外層に設けられており、且つ、フレキシブルプリント配線板の露出エリアが表裏両外層で重なるように設けられていることを特徴とする請求項1のリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項3】
当該表裏両外層で重なるフレキシブルプリント配線板の露出エリアは、フレキシブル領域を折り曲げた際に凹状となる側が凸状となる側よりも広い面積で露出していることを特徴とする請求項2のリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項4】
当該ダミー板が、フレキシブルプリント配線板に形成されているグラウンドパターンに接続されたシールドパターンを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項1】
一部に折り曲げ可能なフレキシブル領域を備えたリジッドフレックスプリント配線板であって、少なくとも、フレキシブル基板と、当該フレキシブル基板上に形成された配線パターンと、当該配線パターンを保護するカバーレイとからなるフレキシブルプリント配線板と;当該フレキシブルプリント配線板における当該フレキシブル領域の外層に設けられた島状のリジッドなダミー板とを有することを特徴とするリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項2】
当該ダミー板が、当該フレキシブル領域の表裏両外層に設けられており、且つ、フレキシブルプリント配線板の露出エリアが表裏両外層で重なるように設けられていることを特徴とする請求項1のリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項3】
当該表裏両外層で重なるフレキシブルプリント配線板の露出エリアは、フレキシブル領域を折り曲げた際に凹状となる側が凸状となる側よりも広い面積で露出していることを特徴とする請求項2のリジッドフレックスプリント配線板。
【請求項4】
当該ダミー板が、フレキシブルプリント配線板に形成されているグラウンドパターンに接続されたシールドパターンを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のリジッドフレックスプリント配線板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−45823(P2013−45823A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181263(P2011−181263)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000228833)日本シイエムケイ株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000228833)日本シイエムケイ株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
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