説明

折り畳み型携帯電話機

【課題】
様々な使用シーンにおける視認性や操作性を向上させることができる折り畳み型携帯電話機の提供。
【解決手段】ヒンジ部により開閉可能に接続されている一対の筐体を持つ折り畳み型携帯電話機において、表示部やキー操作部を固定的に形成するのではなく、一方の筐体に第1のLCD4とその前面に配置した第1のタッチパネル5とを設け、他方の筐体に第2のLCD6とその前面に配置した第2のタッチパネル7とを設け、使用する機能や携帯電話機の向きに合わせて、画像や文字などの情報を表示する情報表示領域として使用したり、キーを配列したキー操作領域として使用するなど、第1のLCD4及び第2のLCD6の表示レイアウトを制御すると共に、タッチパネルの有効/無効を制御する。これにより、情報表示領域を大きくして視認性を向上させたり、キー操作領域を大きくして操作性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み型携帯電話機に関し、特に、折り畳み型携帯電話機の表示構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折り畳み型携帯電話機では、表示部とキー操作部とはそれぞれ異なる筐体に配置されており、表示部やキー操作部のレイアウトも予め決められていたため、使用シーンによっては表示部の視認性が悪くなったり、キー操作部の操作性が悪くなるという問題があった。
【0003】
例えば、TV電話機能を用いて通話を行う場合、相手側のカメラ画像と自分側のカメラ画像とを表示する必要があるため、従来の折り畳み型携帯電話機では、一方の筐体に設けられた表示部の画面を2つに区切り、その一方に相手側のカメラ画像を表示し、他方に自分側のカメラ画像を表示する方法が用いられていたが、この方法では、必然的にそれぞれのカメラ画像が小さく表示されてしまうために、視認性が悪いという問題があった。
【0004】
また、携帯電話機はサイズの制限が厳しく、キー操作部に配置可能なキーの数が限られることから、文字入力を行う場合に、キーを押す回数によって「あ・い・う・え・お」などの複数の文字を割り当てる方法が用いられていたが、この方法では長い文章を入力する場合に大変な手間がかかってしまい、操作性が悪いという問題があった。
【0005】
このような問題を解決する一つの方法として、予め設けられている表示部やキー操作部に加えて補助的な表示部やキー操作部を設ける方法が考えられる。例えば、下記特許文献1には、携帯情報端末の筐体背面に展開可能な蓋状の可動表示部を設け、可動表示部を筐体に設けられた軸を中心として展開することによって表示部の面積を大きくし、操作者が一度に視認可能な情報量を多くする構造が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−244301号公報(第3−7頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されているように、各々の筐体に予め設けられている表示部やキー操作部に加えて補助的な表示部を設けることによって表示可能な情報量を増やして視認性を向上させることができ、また、この構造をキー操作部に応用して補助的なキー操作部を設けることによって操作性を向上させることは可能であるが、このような方法では携帯電話機の構造が複雑になってしまい、また、使用の度に補助的な表示部やキー操作部を展開しなければならないため、操作が煩雑になってしまう。
【0008】
また、従来の携帯電話機では、通常、表示部が上側の筐体に配置され、キー操作部が下側の筐体に配置されており、上下の向きが予め規定されているため、上下の向きを逆にしたり、横向きにすると視認性や操作性が著しく悪くなってしまうという問題もあった。
【0009】
また、このような問題は、上述したTV電話で通話する場合や文字を入力する場合に限らず、カメラ機能を用いて写真を撮影する場合や、ゲームをする場合などにおいても同様に生じる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、様々な使用シーンにおける視認性や操作性を向上させることができる折り畳み型携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の折り畳み型携帯電話機は、一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置される透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段では、TV電話機能が選択された場合に、該TV電話機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、一方の前記表示手段に通信相手のカメラ画像を表示すると共に、他方の前記表示手段に自身のカメラ画像と所定の処理を指示するためのキーとを表示し、かつ、前記他方の表示手段前面の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うものである。
【0012】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置された透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段では、特定の機能が選択された場合に、該特定の機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、一方の前記表示手段に前記特定の機能により得られる情報を表示すると共に、他方の前記表示手段に前記特定の機能に応じた処理を指示するためのキーを表示し、かつ、前記他方の表示手段前面の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うものである。
【0013】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置された透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段では、文字入力機能が選択された場合に、該文字入力機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、双方の前記表示手段に、所定の配列の一群のキーをその配列を維持した状態で分割して表示し、かつ、双方の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うものであり、前記所定の配列はキーボードの配列とすることができる。
【0014】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置された透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段では、特定の機能が選択された場合に、該特定の機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、各々の前記表示手段に、前記特定の機能により得られる情報と前記特定の機能に応じた処理を指示するためのキーとを表示し、かつ、双方の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うものであり、前記所定の機能は対戦型ゲーム機能とすることができる。
【0015】
本発明においては、前記携帯電話機に、該携帯電話機の向きを検出する方向検出手段を備え、前記記憶手段に、前記向きに応じた複数の表示レイアウトが記憶され、前記制御手段では、該方向検出手段により検出された向きに対応する前記表示レイアウトに基づいて、前記表示手段に表示する情報の配置及び向きを制御する構成とすることができる。
【0016】
また、本発明においては、更に、前記一対の筐体の各々に、音声入力手段と音声出力手段とを備え、上下の向きを逆にした状態での通話を可能とする構成とすることもできる。
【0017】
また、本発明においては、前記表示手段は液晶表示装置又は有機EL表示装置であり、前記スイッチ手段はタッチパネルであることが好ましい。
【0018】
このように、本発明の折り畳み型携帯電話機には、ヒンジ部により開閉可能に接続される一対の筐体の各々に、表示手段とスイッチ手段とが実装され、使用する機能や携帯電話機の向きに合わせて表示手段の表示レイアウトやスイッチ手段の有効/無効の切り替えが行われるため、様々な使用シーンにおける視認性や操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の折り畳み型携帯電話機によれば、様々な使用シーンにおける視認性や操作性を向上させることができる。
【0020】
その理由は、ヒンジ部により開閉可能に接続される一対の筐体の各々に、LCDなどの表示手段とタッチパネルなどのスイッチ手段とがセットになって実装され、使用する機能に合わせて、表示レイアウトの切り替えやスイッチ手段の有効/無効の切り替えが行われるからである。これにより、例えば、TV電話時においては、キー操作部を最低限の操作性が確保できるサイズにおさえ、自分側のカメラ画像および相手側のカメラ画像を残りのエリアに効率的に表示することができる。
【0021】
また、携帯電話機の向きを検出する方向検出部が設けられ、必要に応じて、各々の筐体に、マイクなどの音声入力手段とレシーバやスピーカなどの音声出力手段とがセットになって実装され、携帯電話機の向きに合わせて、表示レイアウトを切り替えやスイッチ手段の有効/無効の切り替えが行われるからである。これにより、例えば携帯電話機の上下を逆にしても視認性や操作性を損なうことなく使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
従来技術で示したように、従来の折り畳み式の携帯電話機では一方の筐体に表示部が設けられていたため、例えば、TV電話などで相手方のカメラ画像と自分側のカメラ画像とを表示させた場合に視認性が悪いという問題があった。また、従来の折り畳み式の携帯電話機では他方の筐体に一定の配列のキー操作部が設けられていたため、文字入力や特定の機能を使用する場合の操作性が悪いという問題があった。また、従来の折り畳み式の携帯電話機では表示部とキー操作部の配置が予め規定されているため、上下の向きを逆にしたり横向きにした場合に視認性や操作性が著しく悪くなるという問題があった。
【0023】
このような問題は、表示部やキー操作部のレイアウトが固定されていることに起因している。そこで、本発明では、ヒンジ部により開閉可能に接続されている一対の筐体を持つ折り畳み型携帯電話機において、表示部やキー操作部を固定的に形成するのではなく、LCDなどの表示手段とタッチパネルなどの透明なスイッチ手段とを各々の筐体に形成し、使用する機能や携帯電話機の向きに合わせて、各々の表示手段を、画像や文字などの情報を表示する情報表示領域として使用したり、キーを配列したキー操作領域として使用するなど、表示レイアウトを変更する。これにより、情報表示領域を大きくして視認性を向上させたり、キー操作領域を大きくして操作性を向上させることができる。以下、その具体的な構成について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0024】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る携帯電話機について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本実施例に係る携帯電話機を実現するための手段を示すブロック図であり、図2は本実施例の折り畳み型携帯電話機の外観構成を示す斜視図である。また、図3は、本実施例の携帯電話機における表示レイアウトを示す図であり、図4は、本実施例の携帯電話機を用いた操作の手順を示すフローチャート図である。
【0025】
本実施例の折り畳み型携帯電話機は、ヒンジ構造を介して開閉可能に接続される一対の筐体(ここでは筐体Aと筐体B)からなり、各々の筐体に、各種情報の表示を行うLCD(Liquid Crystal Display)などの表示手段と、LCDの前面に配置され、接触や押圧によりON/OFF制御を行う素子がマトリクス状に配列されたタッチパネルなどの透明なスイッチ手段とが実装されていることを特徴としている。
【0026】
具体的に説明すると、図1及び図2に示すように、本実施例の折り畳み型携帯電話機は、音声通話やTV電話通話、メール等を行う際の無線データの送受信処理を行う無線部2と、様々なシーンに適した複数の表示レイアウトを記憶すると共に、携帯電話機を動作させるための各種プログラムやID情報、電話番号等の携帯電話固有の情報を記憶する、任意に書き込み・読み出しが可能なメモリ3と、音声を入力するマイク10と、音声や着信音などを出力するレシーバ11及びスピーカ12と、携帯電話機の開閉状態を検出する開閉検出部13と、一方の筐体(ここでは筐体A)に設けられた第1のLCD4及び第1のタッチパネル5と、他方の筐体(ここでは筐体B)に設けられた第2のLCD6及び第2のタッチパネル7と、写真撮影を行うための背面カメラ8及び正面カメラ9と、これらの動作を制御するCPU1とを主な構成要素としている。
【0027】
なお、各々の筐体に設ける表示手段はLCDに限定されず、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)などを用いてもよい。また、LCDの前面に配置するタッチパネルは、圧力を感知する感圧式でもよいし、静電気を感知する静電式でもよく、タッチパネルと同様の機能を有する他のスイッチ手段を用いてもよい。
【0028】
開閉検出部13は携帯電話機の開閉状態を監視しており、開閉状態の変化に応じてCPU1に信号を送信することで、CPU1は開閉状態に応じた各種制御を行うことができる。CPU1は開閉検出部13からの信号により携帯電話機が開状態になったことを認識すると、メモリ3から所定の表示レイアウト(ここでは通常時の表示レイアウト)を読み出し、その表示レイアウトに基づいて、図3(a)に示すように、筐体B側の第2のLCD6にキーを表示するとともに第2のタッチパネル7を有効にする。そして、使用者により第2のLCD6に表示されている所定のキーが押されると、第2のタッチパネル7は押された箇所の座標を読み取り、その結果からどのキーが押されたのかを検出してCPU1に報告し、CPU1はそれに対応した制御を行うことで所望のキー操作を実現する。一方、筐体A側の第1のLCD4には待受画面などの通常画面を表示する。なお、筐体A側の第1のタッチパネル5の有効/無効は使用シーンに合わせて任意に設定することができるが、誤操作を防止するために、キーが表示されないLCDの前面に配置されるタッチパネルは無効にすることが好ましい。
【0029】
また、本実施例の携帯電話機には、通常の音声通話を行うために使用するマイク10とレシーバ11とが実装されると共に、TV電話時のハンズフリー通話に対応するためのスピーカ12も実装されている。そして、音声のみの通話かTV電話としての通話かによって、受話音声をレシーバ11に出力するかスピーカ12に出力するかの切り替えを行う。
【0030】
また、本実施例の携帯電話機には、TV電話時に使用するカメラとしては、正面カメラ8と背面カメラ9の2つを設けており、主に正面カメラ8は自分を撮影するため、背面カメラ9は周辺を撮影するために使用される。この2つのカメラの切り替えはCPU1により制御される。なお、これらのカメラはTV電話用としてだけでなく、通常のカメラとしても使用される。
【0031】
次に、本実施例の携帯電話機の動作について、図3の表示レイアウト例および図4のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
まず、S11において、CPU1が開閉検出部13からの信号により携帯電話機が閉状態から開状態へ変化したことを検出すると、図3(a)に示すように、第1のLCD4に通常の待受画面等の画像を表示するとともに(S12)、筐体B側の第2のLCD6の全面にキーを表示し、第2のタッチパネル7を有効にする(S13)。そして、発信または着信により通話を行う場合(S14のYES側)、S15において受信した無線情報からTV電話か通常の音声通話かの判別を行う。
【0033】
S15においてTV電話であった場合は、S16でCPU1はレイアウトの切り替えを行う。例えば、CPU1はメモリ3から所定の表示レイアウト(ここではTV電話時の表示レイアウト)を読み出し、その表示レイアウトに基づいて、図3(b)に示すように、第1のLCD4の全面に相手側のカメラ画像を表示すると共に、第2のLCD6の上側のエリアに自分側のカメラ画像を表示し、更に、第2のLCD6の下側のエリアに縮小されたキー操作部を表示して第2のタッチパネル7を有効にする。なお、図3(b)の表示レイアウトは例示であり、少なくとも図3(a)に示す通常時の表示レイアウトとは異なる表示レイアウトで画像やキーが表示されていればよい。
【0034】
そして、通話が終了すると(S17)、CPU1はメモリ3から通常時の表示レイアウトを読み出し、その表示レイアウトに基づいて、第1のLCD4に再び待受画面を表示し、第2のLCD7には全面にキー操作部を表示する(S18)。
【0035】
一方、S15において、TV電話でなかった場合は、通常の音声通話が行われる(S19、S20)。なお、この場合に、特別な処理は行わずに図3(a)に示す通常時の表示レイアウトのままとしてもよいし、メモリ3に音声通話時の表示レイアウトを記憶しておき、その表示レイアウトに基づいて表示を切り替えてもよい。
【0036】
このように、本実施例に折り畳み型携帯電話機によれば、筐体Aに第1のLCD4及び第1のタッチパネル5が設けられ、筐体Bに第2のLCD6及び第2のタッチパネル7が設けられており、CPU1は使用している機能に応じてメモリ3から表示レイアウトを読み出し、その表示レイアウトに基づいて第1のLCD4及び第2のLCD6に表示する画面の設定及びタッチパネルの有効/無効を制御するため、例えば、TV電話の際に、一方のLCDに相手側のカメラ画像を表示し、他方のLCDに自分側のカメラ画像とキー操作部を表示するなどによって、視認性や操作性を向上させることができる。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明の第2の実施例に係る携帯電話機について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、本実施例の携帯電話機を用いてカメラ撮影を行う場合の表示レイアウトを示す図であり、図6は、本実施例の携帯電話機を用いて長い文章などを入力する場合の表示レイアウトを示す図である。また、図7は、本実施例の携帯電話機を用いて対戦型ゲームを行う場合の表示レイアウトを示す図である。なお、本実施例の携帯電話機の構成は第1の実施例と基本的に同じであるため、特に詳細な説明は行わない。
【0038】
前記した第1の実施例では、TV電話機能を用いる場合の表示レイアウトについて記載したが、近年の携帯電話機は様々な機能を備えており、各々の機能に適した表示レイアウトで表示することにより視認性や操作性を向上させることができる。そこで本実施例では、本発明の表示レイアウトを様々な機能に適用する場合について述べる。
【0039】
例えば、従来の携帯電話機のキー操作部は数字や文字を入力することを前提にしてキーが配列されているが、携帯電話機をデジタルカメラとして利用する場合、カメラ撮影時にはシャッターやズーム、ホワイトバランスの調整、露光の調整などができれば十分であり、これらの操作を行うためのキーのみを配列した方が操作性が良くなる。そこで、本実施例では、図5に示すように、カメラモードを起動すると、予め記憶された表示レイアウトに基づいて、一方のLCD(ここでは第1のLCD4)にはカメラで撮影している画像を表示し、他方のLCD(ここでは第2のLCD6)にはメモリ3にカメラ撮影に必要な処理を実行するためのキーを大きく表示すると共にその前面のタッチパネル(ここでは第2のタッチパネル7)を有効にする。これにより、カメラ機能のキー操作に関して使い勝手を向上させることができると共に誤操作を防止することができる。なお、この表示レイアウトはカメラ撮影時に限らず、ゲーム時やTVリモコン操作時などにも適用可能である。
【0040】
また、従来の携帯電話機では、キー操作部は一方の筐体に設けられていたため、キー操作部の面積を大きくすることができず、そのため、文字入力の際には各々のキーを押す回数によって異なる文字が選択されるようにしていたが、このような操作は煩雑であり、操作性が悪いという問題があった。そこで本実施例では、図6に示すように、第1のLCD4と第2のLCD6とを関連付け、メモリ3に予め記憶された表示レイアウトに基づいて、パーソナルコンピュータのキーボードのような配列の複数のキーを、その配列を維持した状態で第1のLCD4と第2のLCD6とに分割して表示する。これにより、各々のキーを何度も押す操作をする必要がなくなり、パーソナルコンピュータのように格段に早い文字入力が可能となり、操作性を格段に向上させることができる。また、その入力結果を第1のLCD4と第2のLCD6に連続して表示することにより多くの情報を一度に表示することができ、視認性や操作性を格段に向上させることができる。
【0041】
また、従来の携帯電話機では、一方の筐体に表示部を設け、他方の筐体にキー操作部を設けていたため、対戦型ゲームは自分とコンピュータという形式でしなければならなかった。そこで本実施例では、図7に示すように、メモリ3に予め記憶された表示レイアウトに基づいて、第1のLCD4と第2のLCD6の各々にゲーム画面とゲーム用操作ボタンをレイアウトし、第1のタッチパネル5及び第2のタッチパネルを有効にする。つまり、各々の筐体に独立して表示部とキー操作部がレイアウトされた状態にする。これにより、従来の携帯電話機ではできなかった2人での対戦が可能となる。また、本発明ではヒンジ構造により各々の筐体が接続されているため、図7(B)に示すように、お互いの画面が見えない状態にすることにより、トランプや麻雀などの対戦ゲームに対応することも出来る。
【0042】
なお、上記ではカメラ機能を使用する場合と、文字入力を行う場合と、ゲーム機能を使用する場合の3つについて説明したが、図5乃至図7に示す表示レイアウトは、他の機能を使用する場合にも同様に適用することができる。
【実施例3】
【0043】
次に、本発明の第3の実施例に係る携帯電話機について、図8乃至図10を参照して説明する。図8は、本実施例に係る携帯電話機を実現するための手段を示すブロック図であり、図9及び図10は、本発明の折り畳み型携帯電話機の表示レイアウトを示す図である。
【0044】
前記した第1及び第2の実施例では、携帯電話機は通常の向き(第1のLCD4が上側、第2のLCD6が下側)にして使用する場合を示したが、近年の携帯電話機の形状や構造は様々であり、一見して向きを判別することが難しい場合もあり、向きを間違ってしまう場合も考えられる。そこで本実施例では、どのような向きであっても使用できるように表示レイアウトを変更する。
【0045】
具体的に説明すると、本実施例の折り畳み型携帯電話機は、図8に示すように、無線データの送受信処理を行う無線部2と、様々なシーンに適した複数の表示レイアウトなどを記憶するメモリ3と、携帯電話機の開閉状態を検出する開閉検出部13と、携帯電話機の向きを検出する方向検出部14と、一方の筐体(ここでは筐体A)に設けられた第1のLCD4、第1のタッチパネル5、第1のマイク10a及び第1のレシーバ11a(又は第1のスピーカ12a)と、他方の筐体(ここでは筐体B)に設けられた第2のLCD6、第2のタッチパネル7、第2のマイク10b及び第2のレシーバ11b(又は第2のスピーカ12b)と、写真撮影を行うための背面カメラ8及び正面カメラ9と、これらの動作を制御するCPU1とを主な構成要素としている。なお、ここでは双方の筐体にマイクとレシーバ(又はスピーカ)とを設けているが、第1の実施例と同様の構成にしてもよい。
【0046】
方向検出部14は携帯電話機の向きを監視しており、向きの変化に応じてCPU1に信号を送信することで、CPU1は向きに応じた各種制御を行うことができる。例えば、CPU1は方向検出部14からの信号により携帯電話機が通常の向きになったことを認識すると、メモリ3から表示レイアウト(通常向きの表示レイアウト)を読み出し、その表示レイアウトに基づいて、図9(a)に示すように、第1のLCD4に待受画面などの通常画像を表示すると共に、第2のLCD6にキーを表示して第2のタッチパネル7を有効にする。
【0047】
一方、携帯電話機の上下の向きを逆にした場合、CPU1は方向検出部14からの信号により携帯電話機の上下が逆になったことを認識すると、メモリ3から表示レイアウト(上下逆向きの表示レイアウト)を読み出し、その表示レイアウトに基づいて、図9(b)に示すように、第2のLCD6に待受画面などの通常画像を逆向きに表示すると共に、第1のLCD4にキーを逆向きに表示して第2のタッチパネル7を有効にする。これにより携帯電話機の向きが逆になった場合でも通常の向きと同様に操作することができる。また、双方の筐体にマイクとレシーバ(又はスピーカ)を設けておけば、逆向きの状態で電話機能を使用することもできる。
【0048】
また、携帯電話機を横向きにした場合、CPU1は方向検出部14からの信号により携帯電話機が横向きになったことを認識すると、メモリ3から表示レイアウト(横向きの表示レイアウト)を読み出し、その表示レイアウトに基づいて、図10に示すように、一方のLCD(ここでは第1のLCD4)に待受画面などの通常画像を横向きに表示すると共に、他方のLCD(ここでは第2のLCD6)にキーを横向きに表示して第2のタッチパネル7を有効にする。これにより携帯電話機の向きが横になった場合でも通常の向きと同様に操作することができる。
【0049】
このように、本実施例に折り畳み型携帯電話機によれば、方向検出部14で検出した向きに応じた表示レイアウトに基づいて、第1のLCD4及び第2のLCD6に表示する画面の設定及びタッチパネルの有効/無効を制御するため、どのような向きであっても携帯電話機を使用することができ、特に、双方の筐体にマイクとレシーバ(又はスピーカ)を設けた場合には、上下の向きが逆であっても電話機能を使用することができ、視認性や操作性を向上させることができる。
【0050】
なお、上記各実施例では、本発明の構造を折り畳み式の携帯電話機に適用する場合について示したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、一体型の携帯電話機に対しても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の構造は携帯電話機に限らず、PDAなどの携帯端末やゲーム機などの携帯機器全般に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施例に係る携帯電話機の手段を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る携帯電話機の外観構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る携帯電話機の表示レイアウトを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る携帯電話機を用いた操作の手順を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る携帯電話機の表示レイアウトを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る携帯電話機の他の表示レイアウトを示す図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係る携帯電話機の他の表示レイアウトを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係る携帯電話機の手段を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る携帯電話機の表示レイアウトを示す図である。
【図10】本発明の第3の実施例に係る携帯電話機の他の表示レイアウトを示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 CPU
2 無線部
3 メモリ
4 第1のLCD
5 第1のタッチパネル
6 第2のLDC
7 第2のタッチパネル
8 背面カメラ
9 正面カメラ
10 マイク
10a 第1のマイク
10b 第2のマイク
11 レシーバ
11a 第1のレシーバ
11b 第2のレシーバ
12 スピーカ
12a 第1のスピーカ
12b 第2のスピーカ
13 開閉検出部
14 方向検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置される透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、
機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、
前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段では、TV電話機能が選択された場合に、該TV電話機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、一方の前記表示手段に通信相手のカメラ画像を表示すると共に、他方の前記表示手段に自身のカメラ画像と所定の処理を指示するためのキーとを表示し、かつ、前記他方の表示手段前面の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うことを特徴とする折り畳み型携帯電話機。
【請求項2】
一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置された透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、
機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、
前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段では、特定の機能が選択された場合に、該特定の機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、一方の前記表示手段に前記特定の機能により得られる情報を表示すると共に、他方の前記表示手段に前記特定の機能に応じた処理を指示するためのキーを表示し、かつ、前記他方の表示手段前面の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うことを特徴とする折り畳み型携帯電話機。
【請求項3】
一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置された透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、
機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、
前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段では、文字入力機能が選択された場合に、該文字入力機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、双方の前記表示手段に、所定の配列の一群のキーをその配列を維持した状態で分割して表示し、かつ、双方の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うことを特徴とする折り畳み型携帯電話機。
【請求項4】
前記所定の配列はキーボードの配列であることを特徴とする請求項3記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項5】
一対の筐体がヒンジ機構により開閉可能に接続され、前記一対の筐体の各々に、表示手段と、前記表示手段の前面に配置された透明なスイッチ手段とを備える折り畳み型携帯電話機であって、
機能に応じた複数の表示レイアウトを記憶する記憶手段と、
前記表示手段の表示形態及び前記スイッチ手段の有効/無効を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段では、特定の機能が選択された場合に、該特定の機能に対応する前記表示レイアウトに基づいて、各々の前記表示手段に、前記特定の機能により得られる情報と前記特定の機能に応じた処理を指示するためのキーとを表示し、かつ、双方の前記スイッチ手段を有効にする制御を行うことを特徴とする折り畳み型携帯電話機。
【請求項6】
前記所定の機能は対戦型ゲーム機能であることを特徴とする請求項5記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項7】
前記携帯電話機に、該携帯電話機の向きを検出する方向検出手段を備え、
前記記憶手段に、前記向きに応じた複数の表示レイアウトが記憶され、
前記制御手段では、該方向検出手段により検出された向きに対応する前記表示レイアウトに基づいて、前記表示手段に表示する情報の配置及び向きを制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項8】
更に、前記一対の筐体の各々に、音声入力手段と音声出力手段とを備え、上下の向きを逆にした状態での通話を可能とすることを特徴とする請求項7記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項9】
前記表示手段は液晶表示装置又は有機EL表示装置であり、前記スイッチ手段はタッチパネルであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の折り畳み型携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−311224(P2006−311224A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131541(P2005−131541)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】