説明

押釦スイッチ構造

【課題】 本発明は、押釦操作部材の押圧部の操作性を良好に保ちつつ、外部の振動などの影響による異音の発生等を抑えることが可能な押釦スイッチ構造を提供すること。
【解決手段】 押釦スイッチ40と対向してケース10に設けられる開口部123と、開口部123に挿通され押圧部61を押圧操作することによって回路基板20上の押釦スイッチ40を押圧作動する操作軸部62を備えた押釦操作部材60と、押圧部61先端側に設けられ、開口部123から押釦操作部材60を抜け止め保持するフランジ部63とを備えた押釦スイッチ構造において、フランジ部63の外周壁面部63Aは奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として設けられ、開口部123の内壁面部123A箇所には、フランジ部63の外周壁面部63Aの傾斜に倣ってテーパー状接触面部を設けてなることを特徴とする押釦スイッチ構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの内部に収納されるプリント基板上に実装された押釦スイッチに対し、ケースの外部から押釦(押釦操作部材)を指先にて押圧操作することによって機器を操作するようにした押釦スイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の押釦スイッチ構造として、たとえば特許文献1などが知られている。この場合、一般的には、ケース内に収容される回路基板(プリント基板)と、この回路基板(プリント基板)上に実装される押釦スイッチ(スイッチ)と、この押釦スイッチ(スイッチ)と対向して前記ケースに設けられる筒状からなる開口部(開口穴)と、この開口部(開口穴)に挿通され押圧部(シャフト部)を押圧操作することによって前記回路基板(プリント基板)上の前記押釦スイッチ(スイッチ)を押圧作動する操作軸部(フランジ部)を備えた押釦操作部材(操作部材)と、この押釦操作部材(操作部材)の押圧部(シャフト部)先端側に設けられたフランジ部と、このフランジ部の端面と突き当て配置され、前記押釦操作部材(操作部材)を抜け止め保持する前記開口部(開口穴)の押圧操作側の周縁に設けられた当接部(上壁部)と、によって押釦スイッチ構造を構成している。
【0003】
ところで、前記押釦スイッチ構造においては、押圧部(シャフト部)の先端側に外形寸法が大きく形成されたフランジ部によってケースの開口部(開口穴)から抜け出ることがないように形成されているため、押圧作動(復帰作動を含む)を安定した状態にて行うことができるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−145570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケースに設けた開口部から押釦操作部材を挿通して押圧部(シャフト部)を突出するように設けているため、各部品のバラツキなどによって隙間が大きくなって押釦操作部材が傾いたり、外部の振動などの影響などによって押釦操作部材がケースに対して接触することで軋み音などが発生してしまうという問題がある。
【0006】
また、隙間がほとんどない場合にあっては、押釦操作部材の押圧操作においてスムーズに動かないことがあり、ケースとの摩擦により押釦操作部材やケースとが擦れあって粉が発生してしまうことがある。
【0007】
本発明は前述した問題点に着目し、キートップ箇所となる押釦操作部材の押圧部の操作性を良好に保ちつつ、外部の振動などの影響による異音の発生などを抑えることが可能な押釦スイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
本発明は前述した課題を解決するため、請求項1に記載の押釦スイッチ構造では、ケースと、このケース内に収容される回路基板と、この回路基板上に実装される押釦スイッチと、この押釦スイッチと対向して前記ケースに設けられる筒状からなる開口部と、この開口部に挿通され押圧部を押圧操作することによって前記回路基板上の前記押釦スイッチを押圧作動する操作軸部を備えた押釦操作部材と、この押釦操作部材の押圧部先端側に設けられたフランジ部と、このフランジ部の端面と突き当て配置され、前記押釦操作部材を抜け止め保持する前記開口部の押圧操作側の周縁に設けられた当接部と、からなる押釦スイッチ構造において、前記フランジ部の外周壁面部は奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として設けられ、前記開口部の内壁面部箇所には、前記フランジ部の外周壁面部の傾斜に倣ってテーパー状接触面部を設けてなることを特徴とする押釦スイッチ構造である。
【0010】
上述の構成によれば、押釦操作部材に設けられたフランジ部の外周壁面部を奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として設け、このテーパー部の傾斜に倣って、前記開口部の内壁面部箇所にテーパ状接触面部を設けることによって、押釦操作部材をケース内にセットした状態、すなわち押釦操作部材を操作していない状態において、押釦操作部材に設けられたフランジ部のテーパー部と、ケース側のテーパ状接触面部箇所とが均一に接触状態を保つことによって外部の振動などの影響に作用されることなく維持することが可能となり、軋み音などの異音の発生を抑制することができる。
【0011】
また請求項2では、請求項1に記載の押釦スイッチ構造において、前記フランジ部の外周壁面部の一部に前記押釦操作部材の押動方向に沿ってガイド部を設け、前記開口部の内壁面箇所には、前記ガイド部と対向する前記筒状からなる開口部の内壁面部箇所にガイド受部を設けてなることを特徴とするものである。
【0012】
このように構成することにより、押釦操作部材のフランジの外周壁面部の一部に押釦操作部材の押動方向に沿ってガイド部を設け、このガイド部と対向する筒状の開口部の内壁面部箇所にガイド受部を設けることによって、押釦操作部材の押動操作(押圧操作)に合わせて奥行き方向に沿ってスムーズに往復動作することができる。
【0013】
また請求項3では、請求項1または請求項2に記載の押釦スイッチ構造において、前記ガイド部および前記ガイド受部は、前記押釦操作部材の往復動する奥行き方向と平行となるように形成してなることを特徴とするものである。
【0014】
このように構成することにより、押釦操作部材の押動往復動作をスムースにしてガイド部とガイド受部との係合状態を良好に保つことができる。
【0015】
また請求項4では、請求項1から請求項3に記載の押釦スイッチ構造において、前記フランジ部の外周壁面部または前記開口部の内壁面部箇所の少なくとも一方側に前記押釦操作部材の押動方向に沿って押圧操作時における摩擦を軽減するための線接触部を設けてなることを特徴とするものである。
【0016】
このように構成することにより、押釦操作部材の操作時において、押釦操作部材とケース側との接触面積を抑えることができ、部分的な引っかかりもなく円滑なる作動が可能となるものである。
【0017】
また請求項5では、請求項1から請求項4のいずれかに記載の押釦スイッチ構造において、前記押釦操作部材から一体に前記操作軸部の押圧作動ストロークを設定するストローク設定部を前記回路基板側に向けて突出してなることを特徴とするものである。
【0018】
このように構成することにより、押釦操作部材の押圧操作時において押釦スイッチに過負荷を加えることなく安定した押圧動作を実現することができ、押釦スイッチを傷めてしまうという問題も軽減することができる。
【0019】
また請求項6では、請求項1から請求項5のいずれに記載の押釦スイッチ構造において、複数個の前記押釦操作部材がそれぞれ隣接して配置される押釦スイッチ構造において、押釦操作部材の境目(境界)となる前記押釦操作部材の仕切り部箇所には、前記押釦操作部材の押圧部の上面より盛り上がった仕切り用突部を設けてなることを特徴とするものである。
【0020】
このように構成することにより、押釦スイッチを押圧操作するに際し、仕切り用突部によって指先にて感覚的に把握することができ、操作の過ちなどを未然に防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、ケースと、このケース内に収容される回路基板と、この回路基板上に実装される押釦スイッチと、この押釦スイッチと対向して前記ケースに設けられる筒状からなる開口部と、この開口部に挿通され押圧部を押圧操作することによって前記回路基板上の前記押釦スイッチを押圧作動する操作軸部を備えた押釦操作部材と、この押釦操作部材の押圧部先端側に設けられたフランジ部と、このフランジ部の端面と突き当て配置され、前記押釦操作部材を抜け止め保持する前記開口部の押圧操作側の周縁に設けられた当接部と、からなる押釦スイッチ構造において、前記フランジ部の外周壁面部は奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として設けられ、前記開口部の内壁面部箇所には、前記フランジ部の外周壁面部の傾斜に倣ってテーパー状接触面部を設けてなることを特徴とする押釦スイッチ構造であるため、押釦操作部材をケース内にセットした状態、すなわち押釦操作部材を操作していない状態において、押釦操作部材に設けられたフランジ部のテーパー部と、ケース側のテーパ状接触面部箇所とが均一に接触状態を保つことによって外部の振動などの影響に作用されることなく維持することが可能となり、軋み音などの異音の発生を抑制することができるものであり、これにより初期の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態である計器装置を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の押釦スイッチ構造の一部を切り欠いて表した要部の正面図である。
【図3】図1のA−A線箇所の要部を示す断面図である。
【図4】図4は、図3の要部を示す拡大断面図である。
【図5】図5は、図1のB−B線箇所の概略を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態である押釦スイッチ構造の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の対象とする押釦スイッチ構造として、自動車の計器装置などにおいて、計器装置のメータケース内に組み付けられる表示器、たとえば時計や走行距離を表示するオドメータ、トリップメータなどの表示器の表示状態である時計の表示修正やオド・トリップなどの切り換え表示などを行う押釦スイッチ構造を例にして詳述する。
【0024】
以下本発明の第1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1から図6は本発明の第1実施形態を示すもので、自動車などのメータなどを収容する合成樹脂製のケース10内に硬質材料からなる回路基板20が配設され、この回路基板20に液晶などからなる表示器30や指針の指示によるアナログ式指示計器31、そして図示はしないが回路部品などが組み付けられている。この回路基板20にはさらに前記表示器30の表示切り替え、表示器30の表示値の修正などを行う複数のタクトスイッチなどからなる押釦スイッチ40やLEDなどの光源50とが組み付けられている。
【0025】
また、ケース10としては、前記回路基板20や表示器30、アナログ式指示計器31などを収容する下ケース11と表示器30やアナログ式指示計器31などが視認可能な上ケース12とから形成されており、この上ケース12は、少なくとも前面が透視可能な樹脂材料からなる透視パネル部材120と、表示器30やアナログ式指示計器31などの表示領域を仕切る黒色の合成樹脂材料からなる見返しパネル部材121とによって形成されている。この場合、ケース10の一部を構成する見返しパネル部材121には、前記表示器30やアナログ式指示計器31などを視認するための開口窓部122が設けられるとともに、複数設けられた前記押釦スイッチ40のそれぞれの位置に対向する見返しパネル部材121箇所には筒状からなる開口部123がそれぞれ設けられている。なお、本実施形態にあっては、4つの開口部123が設けられており、この開口部123には、走行距離を表示するオドメータ、トリップメータ、時計の表示修正や例えば照明輝度のオン・オフの切り換え表示を行う押釦スイッチ40として回路基板20上に設けられている。
【0026】
また、見返しパネル部材121に設けられた複数個の開口部123(4箇所)の位置にそれぞれ対応して合成樹脂製からなる押釦操作部材60が配置されるものであり、押釦操作部材60の押圧部61を押圧操作することによって回路基板20上に取り付け固定された押釦スイッチ40が押釦操作部材60に備え付けられた操作軸部62を介して押圧作動されるように形成されている。
【0027】
この場合、押釦操作部材60には、押釦スイッチ40を押圧作動するための操作軸部62が設けられるとともに、押圧部61の周縁から一体にフランジ部63が設けられている。
【0028】
本実施形態にあっては、フランジ部63の外周壁面部63Aは奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として形成されている。この際、横一列に並んでいる中央2個の押釦操作部材60にあっては、フランジ部63の外周壁面部63Aの前側と手前側との2面が奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として形成されており、両側部に位置したフランジ部63の外周壁面部63Aは垂直壁からなる外周壁面部63Aとして形成している。また左サイドに位置した押釦操作部材60にあっては、前側と手前側および左側部の3方の面(フランジ部63の外周壁面部63A)が奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として形成されている。また右サイドに位置した押釦操作部材60にあっては、前側と手前側および右側部の3方の面(フランジ部63の外周壁面部63A)が奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として形成されている。
【0029】
また、フランジ部63の外周壁面部63Aの箇所の適所には、押釦操作部材60の押動方向に沿って凹溝形状からなるガイド部64が設けられている。本実施形態においては、押釦操作部材60の操作部61の前側と手前側とに位置したフランジ部63の外周壁面部63Aにガイド部64が一つずつ設けられている。この場合、凹溝形状からなるガイド部64は、押釦操作部材60の往復動する奥行き方向と平行となるように凹形状の溝部を形成している。
【0030】
また、上ケース12の見返しパネル部材121に設けられる筒状からなる開口部123の内壁面部123A箇所には、それぞれの押釦操作部材60に設けられたテーパー部からなるフランジ部63の外周壁面部63Aの傾斜に倣ってテーパー状接触面部を設けている。また、開口部123の内壁面部123A箇所には、押釦操作部材60のフランジ部63箇所に設けられた凹溝形状からなるガイド部64(2箇所)に合わせるように凸形状のリブからなるガイド受部124が2箇所に設けられている。この場合、凸形状のリブからなるガイド受部124は、押釦操作部材60の往復動する奥行き方向と平行となるように同じ外形寸法にてリブが突出形成されている。
【0031】
また押釦操作部材60の押圧部61先端側にフランジ部63が形成され、このフランジ部63による段部からなる端面63Bと、開口部123の押圧操作側に設けられた内側壁面からなる当接部123Bとが押圧操作の復帰作動時において接触(当接)するように設けられるために、押釦操作部材60がケース10側である見返しパネル部材121に対して抜け止め保持される。
【0032】
また本実施態では、押釦操作部材60の押圧操作時において、押釦操作部材60と開口部123の内壁面部123A箇所との摩擦を軽減するために、フランジ部63の外周壁面部63Aに押釦操作部材60の押動方向に沿って帯状の突部からなる線接触突出部65を設けている。
【0033】
また押釦操作部材60には、フランジ部63の下端側から一体に操作軸部62の押圧作動ストロークを設定するストローク設定部66を回路基板20側に向けて突出している。
【0034】
また本実施形態のように、複数個の押釦操作部材60がそれぞれ隣接して配置される押釦スイッチ構造においては、押釦操作部材60の境目となる見返しパネル部材121箇所に押釦操作部材60を区切る仕切り部125が設けられ、この仕切り部125によって区切られた仕切り部125の表面箇所には、押釦操作部材60の押圧部61の上面より盛り上がった仕切り用突部125Aが形成されている。
【0035】
なお、回路基板20上には、押釦スイッチ40とともに、LEDからなる光源50が実装されているが、この実施形態では、各押釦スイッチ40の間に光源50を設置するように設定している。このため、光源50の数を押釦スイッチ40の数より少なく設定することが可能となり、部品コストを抑えることができる。この際、押釦操作部材60の押圧部61に印刷にて形成した文字や記号あるいは図形などからなる透過表示部を光源50によって透過照明することができるものであり、また仕切り部125によって光洩れも抑えることができる。
【0036】
このように構成された第1の実施形態における押釦スイッチ構造においては、押釦操作部材60の押圧部61を押圧操作することによって、回路基板20上に取付固定された押釦スイッチ40が押釦操作部材60に備え付けられた操作軸部62を介して押圧作動され、たとえば時計や走行距離を表示するオドメータ、トリップメータなどの表示器30の表示状態である表示修正やオド・トリップなどの切り換え表示が行われる。
【0037】
押釦操作部材60に設けられたフランジ部63の外周壁面部63Aを奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として設け、ケース10の一部を構成する見返しパネル部材121に設けられた開口部123の内壁面部123A箇所には、フランジ部63の外周壁面部63Aの傾斜に倣ってテーパー状接触面部(内壁面部123A)を設けることによって押釦操作部材60を見返しパネル部材121内にセットした状態、すなわち押釦操作部材60を押圧操作していない状態において、押釦操作部材60に設けられたフランジ部63のテーパー部(外周壁面部63A)と、見返しパネル部材12b側のテーパ状接触面部(内壁面部123A)箇所とが均一に接触状態を保つことによって外部の振動などの影響に作用されることなく維持することが可能となり、軋み音などの異音の発生を抑制することができる。
【0038】
また、押釦操作部材60のフランジ63の外周壁面部63Aの一部に押釦操作部材60の押動方向に沿って凹溝形状からなるガイド部64を設け、このガイド部64と対向する筒状からなる開口部123の内壁面部123A箇所に凸形状のリブからなるガイド受部124を設けることによって、押釦操作部材60の押動操作(押圧操作)に合わせて奥行き方向に沿ってスムーズに往復動作することができる。
【0039】
この際、本実施形態にあっては、ガイド部64として、押釦操作部材60の往復動する奥行き方向と平行となるように凹形状の溝部を形成し、この凹溝形状からなるガイド部64に合わせて凸形状のリブからなるガイド受部124を形成することによって、押釦操作部材60の押動往復動作をスムースにしてガイド部64とガイド受部124との係合状態を良好に保つことができる。
【0040】
また、フランジ部63の外周壁面部63Aに押釦操作部材60の押動方向に沿って押圧操作時における摩擦を軽減するための帯状突部からなる線接触突出部65を設けてなることにより、押釦操作部材60の操作時において、押釦操作部材60とケース10側である見返しパネル部材121との接触面積を抑えることができ、部分的な引っかかりもなく円滑なる作動が可能となるものである。この際、本実施形態ではフランジ部63の外周壁面部63A箇所に線接触突出部65を設けたが、ケース10側である見返しパネル部材12bの内壁面部123A箇所に線接触突出部を設けても同様の効果を得ることが可能である。
【0041】
また、押釦操作部材60から一体に操作軸部62の押圧作動ストロークを設定するストローク設定部66を回路基板20側に向けて突出してなることにより、押釦操作部材60の押圧操作時において、押釦操作部材60の押圧部61が奥行き方向に移動するストロークが制限されるため、結果として操作軸部61の押動ストロークが所定の移動量として設定されるため、これにより押釦スイッチ40を押圧してスイッチング作動する状態を最良な状態にセッティングすることができるものであり、押釦スイッチ40時自体に過負荷を加えることなく安定した押圧動作を実現することができ、押釦スイッチ40を傷めてしまうという問題も解決することができる。
【0042】
また、複数個の押釦操作部材60がそれぞれ隣接して配置される押釦スイッチ構造において、押釦操作部材60の境目(境界)となる押釦操作部材60の仕切り部125箇所には、押釦操作部材60の押圧部61の上面より盛り上がった仕切り用突部125Aを設けてなることにより、押釦スイッチ40を押圧操作するに際し、仕切り用突部125Aによって指先にて感覚的に把握することができ、操作の過ちなどを未然に防ぐことが可能となる。
【0043】
なお本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。たとえば、実施形態においては、複数個の押釦操作部材を並べて設けていたが、それぞれ独立した状態にてケースに対し配置するようにしても良いものであり、また実施形態にあっては押釦操作部材60の押動方向に沿って凹溝形状からなるガイド部64を設け、ケース側に凹溝形状からなるガイド部64に合わせるようにケース側に凸形状のリブからなるガイド受部124を設けていたが、凹凸によるガイド部の配置を変えて、押釦操作部材60側に凸形状のリブからなるガイド部を、ケース側に凹形状からなる溝状のガイド受け部を設けるように形成しても同様な効果を得ることが可能である。また、押釦スイッチ40としてタクトスイッチを例にして説明したが、導電ゴムからなる押釦スイッチであっても同様の効果を得ることが可能である。また、押圧部61の周縁から一体に設けられたフランジ部63の形状やフランジ部63のテーパー部の傾斜角度などは、押釦操作部材60の大きさや奥行きストロークなどの条件によって適宜設定すれば良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
また、前述した実施形態において詳述したように、自動車における計器装置において、押釦スイッチ構造を適用した例を説明したが、車両用に限らず船舶用計器あるいは農業用機械や建設機械などの表示装置においても押釦スイッチ構造を適用することが可能であり、同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 ケース
11 下ケース
12 上ケース
20 回路基板
30 表示器
31 アナログ式指示計器
40 押釦スイッチ
50 光源(LED)
60 押釦操作部材
61 押圧部
62 操作軸部
63 フランジ部
63A 外周壁面部
63B 端面(段部)
64 ガイド部
65 線接触部
66 ストローク設定部
120 透視パネル部材
121 見返しパネル部材
122 開口窓部
123 開口部
123A 内壁面部
123B 当接部
124 ガイド受部
125 仕切り部
125A 仕切り用突部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、このケース内に収容される回路基板と、この回路基板上に実装される押釦スイッチと、この押釦スイッチと対向して前記ケースに設けられる筒状からなる開口部と、この開口部に挿通され押圧部を押圧操作することによって前記回路基板上の前記押釦スイッチを押圧作動する操作軸部を備えた押釦操作部材と、この押釦操作部材の押圧部先端側に設けられたフランジ部と、このフランジ部の端面と突き当て配置され、前記押釦操作部材を抜け止め保持する前記開口部の押圧操作側の周縁に設けられた当接部と、からなる押釦スイッチ構造において、前記フランジ部の外周壁面部は奥行き方向に向けて外形寸法が大きくなるように傾斜したテーパー部として設けられ、前記開口部の内壁面部箇所には、前記フランジ部の外周壁面部の傾斜に倣ってテーパー状接触面部を設けてなることを特徴とする押釦スイッチ構造。
【請求項2】
前記フランジ部の外周壁面部の一部に前記押釦操作部材の押動方向に沿ってガイド部を設け、前記開口部の内壁面箇所には、前記ガイド部と対向する前記筒状からなる開口部の内壁面部箇所にガイド受部を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ構造
【請求項3】
前記ガイド部および前記ガイド受部は、前記押釦操作部材の往復動する奥行き方向と平行となるように形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の押釦スイッチ構造。
【請求項4】
前記フランジ部の外周壁面部または前記開口部の内壁面部箇所の少なくとも一方側に前記押釦操作部材の押動方向に沿って押圧操作時における摩擦を軽減するための線接触部を設けてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の押釦スイッチ構造。
【請求項5】
前記押釦操作部材から一体に前記操作軸部の押圧作動ストロークを設定するストローク設定部を前記回路基板側に向けて突出してなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の押釦スイッチ構造。
【請求項6】
複数個の前記押釦操作部材がそれぞれ隣接して配置される押釦スイッチ構造において、押釦操作部材の境目となる前記押釦操作部材の仕切り部箇所には、前記押釦操作部材の押圧部の上面より盛り上がった仕切り用突部を設けてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の押釦スイッチ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−33327(P2012−33327A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170434(P2010−170434)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】