拡大撮像装置
【課題】 ピントの調整をほとんどする必要がなく、かつ、簡単に倍率の変更ができる拡大撮像装置を提供すること。
【解決手段】 受光面31を有する撮像素子3と、読取対象Dc側から進行してきた光を各々が受光面31に結像させる複数の光学系5a,5b,5c,5dと、撮像素子3に対し相対移動可能であり、且つ、複数の光学系5a,5b,5c,5dを保持する保持部材6と、を備え、複数の光学系5a,5b,5c,5dの読取対象Dc側における合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdはそれぞれ、互いに重なる。
【解決手段】 受光面31を有する撮像素子3と、読取対象Dc側から進行してきた光を各々が受光面31に結像させる複数の光学系5a,5b,5c,5dと、撮像素子3に対し相対移動可能であり、且つ、複数の光学系5a,5b,5c,5dを保持する保持部材6と、を備え、複数の光学系5a,5b,5c,5dの読取対象Dc側における合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdはそれぞれ、互いに重なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から読取対象を拡大して視認するための拡大撮像装置が知られている。このような拡大撮像装置としては、たとえば電子ルーペ、もしくは、マイクロスコープなどが挙げられる。拡大撮像装置は、ケースと、当該ケースに設けられた、一枚のレンズと撮像素子とを備える。読取対象から進行する光は、レンズにより撮像素子に結像される。撮像素子に入射した光に応じた電気信号を、ディスプレイ画面などに送ることにより、ディスプレイ画面に読取対象の拡大された映像を映すことができる。
【0003】
このような拡大撮像装置には通常、一組のレンズ群しか配置されていなかった。そのため、ディスプレイ画面に映し出される映像の倍率を変更するには、レンズと読取対象との距離を変化させるべく、ピントの合う位置まで拡大撮像装置自体を読取対象から離間させたり接近させたりする必要があった。このような拡大撮像装置を移動させる作業は面倒なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−52387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ピントの調整をほとんどする必要がなく、かつ、簡単に倍率の変更ができる拡大撮像装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される拡大撮像装置は、受光面を有する撮像素子と、読取対象側から進行してきた光を各々が上記受光面に結像させる複数の光学系と、上記撮像素子に対し相対移動可能であり、且つ、複数の上記光学系を保持する保持部材と、を備え、複数の上記光学系の上記読取対象側における合焦範囲はそれぞれ、互いに重なることを特徴とする。
【0007】
上記拡大撮像装置においては、複数の上記光学系のいずれが上記受光面に光を結像させる場合であっても、上記読取対象を同じ位置に配置したままでピントが合っている状態を維持できる。これにより、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させるものを切り替えても、ほとんどピント調整をする必要がなくなる。また、上記拡大撮像装置においては、複数の上記光学系はいずれも上記保持部材に保持されている。そのため、上記保持部材を移動させるだけで、複数の上記光学系のうち光を上記受光面に結像させるものを切り替えることができる。このように、複数の上記光学系のいずれもが上記保持部材に保持された構成は、複数の上記光学系の各々を別々に移動させる必要がなく、簡単に倍率を変更するのに適する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像素子を支持するケースを更に備え、
上記保持部材は、上記ケースに対し相対移動可能に上記ケースに保持されている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と異なる回転軸を中心に回転可能である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部を備え、上記保持部材は、上記回転軸に垂直な方向に上記胴部から露出している部位を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と交差する方向に沿ってスライド可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースには、上記読取対象側から進行してきた光を通過させ、且つ、当該光を上記光学系のいずれかに向かわせる光通過空間が形成され、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において、上記読取対象側の上記ケースの端部は、上記合焦範囲が互いに重なる範囲に位置する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部と、上記光通過空間を囲み、且つ、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において上記胴部に対し微小に接近および離間移動可能に上記胴部に取り付けられたキャップ部とを含む。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記キャップ部は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸上に位置し、且つ、上記読取対象を押しつける面を有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記胴部に配置され、且つ、上記読取対象に光を照射する面状光源を更に備える。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースに配置され、且つ、上記読取対象に赤外線を照射する光源を更に備え、上記撮像素子は、赤外線を受光可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材には、上記光通過空間を通過してきた光を上記光学系に至らせる光通過穴が形成され、上記光通過穴を塞ぐカバーを更に備える。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記光学系のいずれかは、その光軸方向に沿って上記保持部材に対し相対移動可能である。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各光学系について下記式により表わされる値Lが、複数の上記光学系のいずれについても互いに同一である。
L=S12/(S1−f)
S1は上記光を上記受光面に結像させる際の上記光学系の光軸方向における、上記光学系の主点と上記受光面との距離である。
fは上記光学系の焦点距離である。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置に用いられる撮像素子を模式的に示す斜視図および要部拡大図である。
【図10】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の一の姿勢を示す断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の他の姿勢を示す断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の他の姿勢を示す断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の他の姿勢を示す図である。
【図15】図11〜図14に示した撮像素子の受光面と、光学系と、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。
【図16】本発明の第1実施形態における光学系のに関する数値の一例を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態にかかる拡大撮像装置の要部断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態にかかる拡大撮像装置の使用状態を示す要部断面図である。
【図19】本発明の第2実施形態にかかる拡大撮像装置の要部断面図である。
【図20】本発明の第3実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図22】本発明の第3実施形態にかかる拡大撮像装置における、撮像素子の受光面と、光学系と、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。
【図23】本発明の第4実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図24】本発明の第5実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図25】本発明の第6実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図26】本発明の第7実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1〜図16を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の正面図である。図2は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の側面図である。図3は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の平面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図3のV−V線に沿う断面図である。図6は、図3のVI−VI線に沿う断面図である。図7は、図4のVII−VII線に沿う断面図である。図8は、図4のVIII−VIII線に沿う断面図である。図3、図7、図8においては一部透視化して示している。
【0024】
これらの図に示された拡大撮像装置A1は、読取対象Dcを拡大し二次元データとして読み取るためのものである。拡大撮像装置A1により読み取られたデータは、ケーブルCbを介してディスプレイDpに送られ、拡大された読取対象Dcの映像がディスプレイDpに表示される。拡大撮像装置A1は、底面の半径がたとえば20mm、高さがたとえば60mmの略円柱状である。拡大撮像装置A1は、ケース1と、基板2と、撮像素子3と、光学系5a,5b,5c,5dと、保持部材6と、面状光源7とを備える。
【0025】
図4に示すように、ケース1は、胴部11と、蓋12と、キャップ部13とを含む。ケース1には、光通過空間1aと、収容空間1bと、光通過空間1cとが形成されている。収容空間1bは、光通過空間1aおよび光通過空間1cとつながる。胴部11は、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂よりなる。胴部11には、収容空間1bが形成されている。収容空間1bは、図6の右方に開口し、略円柱形状の内面により規定される。胴部11の外面には、雄ネジ11aが形成されている。なお、図1〜図3においては、雄ネジ11aの記載を省略している。なお、図1〜図3においては、後述の雌ネジ13aの記載も省略している。
【0026】
蓋12は、胴部11に取り付けられており、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂よりなる。蓋12には、光通過空間1cが形成されている。図5に示すように、蓋12には、円筒状の凹部121が形成されている。
【0027】
キャップ部13は、筒状であり、胴部11に取り付けられている。キャップ部13は、光通過空間1aを囲んでいる。キャップ部13は、たとえばアクリル系、エポキシ系、ポリカーボネート系の白色の半透明樹脂よりなる。そのため、キャップ部13は、外光を透過させるとともに散乱させうる。また、キャップ部13は、たとえば透明の樹脂よりなっていてもよい。キャップ部13の内面には、雌ネジ13aが形成されている。雌ネジ13aは、雄ネジ11aに螺合している。これにより、キャップ部13は、方向zにおいて、胴部11に対し、微小移動可能になっている。キャップ部13は、端縁131を有する。端縁131は、読取対象Dcまたはその周囲に押し当てる部分である。
【0028】
図4に示すように、面状光源7は、胴部11に配置されている。面状光源7は、読取対象Dcに光を照射するためのものである。面状光源7は、たとえば有機EL(Electro Luminescence)である。
【0029】
基板2は、蓋12に配置されている。基板2は、たとえば長矩形状のプリント配線基板である。基板2は、たとえば銅よりなる金属配線層と樹脂層とが積層された構造を有する。
【0030】
撮像素子3は、基板2に搭載されている。撮像素子3は、たとえばCCD型もしくはCMOS型のカメラ素子と呼ばれるものである。図9は、撮像素子3を模式的に示す斜視図および要部拡大図である。同図に示すように、撮像素子3は矩形状の受光面31を有する。受光面31の大きさは、たとえば、縦が3.6mmであり、横が約2.7mmである。受光面31には、複数の矩形状の単位受光領域311がマトリクス状に配置されている。各単位受光領域311は、受けた光の光量に応じた起電力を生じさせる、いわゆる光電変換機能を発揮する領域である。単位受光領域311の配列ピッチは、たとえば約2μmである。受光面31が光を受けると、各単位受光領域311ごとの受光量に対応した出力レベルの画像信号が撮像素子3から出力される。撮像素子3から出力された画像信号は、基板2に形成された金属配線、およびケーブルCbを介して、ディスプレイDp(ともに図1参照)に送られる。
【0031】
図5、図6、図8に示すように、光学系5a,5b,5c,5dはいずれも、進行してきた光を受光面31に結像させるために設けられている。光学系5a,5b,5c,5dはそれぞれ、本実施形態においては一枚のレンズであるが、複数のレンズを含むレンズユニットであってもよい。
【0032】
図10は、保持部材6のみを示す斜視図である。
【0033】
保持部材6は、複数の光学系5a,5b,5c,5dを保持するためのものである。保持部材6は、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂よりなる。図6に示すように、保持部材6は、収容空間1bに収容され、且つ、ケース1に対し回転可能にケース1に保持されている。保持部材6は、胴部11から露出している部位を有する。また本実施形態においては、保持部材6の一部は胴部11から突出している。保持部材6は、本体61と、軸部62とを含む。本体61は、円柱状である。本体61は、第1面611と、側面612と、第2面613とを有する。第1面611は、外郭形状が円である平面であり、且つ、光通過空間1cに臨む部位を有する。側面612は、第1面611とつながる。第2面613は、外郭形状が円である平面であり、且つ、側面612とつながる。第2面613は、光通過空間1aに臨む部位を有する。
【0034】
図5〜図8に示すように、本体61には、4つの穴611a,611b,611c,611dと、4つの穴621a,621b,621c,621dとが形成されている。穴611a,611b,611c,611dはいずれも、円柱状であり、第1面611側に開口する。一方、4つの穴621a,621b,621c,621dはいずれも、円錐台状であり、第2面613側に開口する。穴611aは穴621aと、穴611bは穴621bと、穴611cは穴621cと、穴611dは穴621dと、本体61の内部においてそれぞれつながっている。
【0035】
図6に示すように、穴611aには、光学系5aが配置されている。第2面613側から穴621aに進行してきた光は、光学系5aを通過し、第1面611側に向かう。図5に示すように、穴611bには、光学系5bが配置されている。第2面613側から穴221bに進行してきた光は、光学系5bおよび穴611bを通過し、第1面611側に向かう。図6に示すように、穴611cには、光学系5cが配置されている。第2面613側から穴221cに進行してきた光は、光学系5cおよび穴211cを通過し、第1面611側に向かう。図5に示すように、穴211dには光学系5dが配置されている。第2面613側から光学系5dを通過した光は、穴211dを通過し、第1面611側に向かう。
【0036】
なお、光学系5a,5b,5c,5dは、たとえば接着剤により保持部材6に固定されている。
【0037】
図6に示すように、軸部62は、本体61の第1面611の中央に設けられている。軸部62は、蓋12の凹部121にはめ込まれている。軸部62を回転軸として、保持部材6は、ケース1に対し図8の矢印方向に回転移動をする。保持部材6は、回転移動をすることにより、順に、図11〜図14に示す姿勢をとる。このように、保持部材6がケース1に対し回転移動することにより、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させるものが互いに入れ替わる。なお、保持部材6には、保持部材6が図11〜図14に示す姿勢からケース1に対し位置ずれをしないように、ケース1と係合する係止部(図示略)が形成されている。
【0038】
図11に示す場合、光学系5aが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5aの光軸pa上に位置している。図11に示すときの光軸pa方向における、光学系5aの主点と受光面31との距離は、距離S1aである。一方、図11に示すときの光軸pa方向における、光学系5aの主点と光学系5aの理想合焦位置との距離は、距離S2aである。また、距離S1aと距離S2aとの和は、距離Laである。
【0039】
図12に示すように、図11に示す状態から保持部材6がケース1に対し、図8の矢印方向に回転移動することにより、光学系5bが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5bの光軸pb上に位置している。図12に示すときの光軸pb方向における、光学系5bの主点と受光面31との距離は、距離S1bである。一方、図12に示すときの光軸pb方向における、光学系5bの主点と光学系5bの理想合焦位置との距離は、距離S2bである。また、距離S1bと距離S2bとの和は、距離Lbである。
【0040】
同様に、図13に示すように、図12に示す状態から保持部材6がケース1に対しさらに図8の矢印方向に回転移動することにより、光学系5cが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5cの光軸pc上に位置している。図13に示すときの光軸pc方向における、光学系5cの主点と受光面31との距離は、距離S1cである。一方、図13に示すときの光軸pc方向における、光学系5cの主点と光学系5cの理想合焦位置との距離は、距離S2cである。また、距離S1cと距離S2cとの和は、距離Lcである。
【0041】
同様に、図14に示すように、図13に示す状態から保持部材6がケース1に対しさら図8の矢印方向に回転移動することにより、光学系5dが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5dの光軸pd上に位置している。図14に示すときの光軸pd方向における、光学系5dの主点と受光面31との距離は、距離S1dである。一方、図14に示すときの光軸pd方向における、光学系5dの主点と光学系5dの理想合焦位置との距離は、距離S2dである。また、距離S1dと距離S2dとの和は、距離Ldである。
【0042】
図15は、図11〜図14に示した撮像素子3の受光面31と、光学系5a,5b,5c,5dと、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。
【0043】
S1k,S2k,fk(焦点距離),Lk(k=a,b,c,d)については、以下の関係が成立している。
1/S1k+1/S2k=1/fk (レンズの公式)・・・(1)
S1k+S2k=Lk ・・・(2)
(k=a,b,c,d)
【0044】
Lkを、(1)式と(2)式からS2kを消去してS1kとfkのみで表すと、
Lk=S1k2/(S1k−fk)・・・(3)
(k=a,b,c,d)
となる。
【0045】
図15において、合焦範囲Raに読取対象Dcが位置している場合、光学系5aが読取対象Dcから進行する光を受光面31に結像するときに、ピントが合っているように認識される。合焦範囲Raは、図15における光軸paにおいて、理想合焦位置より前方被写界深度Dnaだけ光学系5aに近接する位置から、理想合焦位置より後方被写界深度Dfaだけ光学系5aから離間する位置までの範囲である。図15においては、合焦範囲Raは、実際の大きさに比して誇張して記載している。以下同様である。
【0046】
同様に、光学系5bに関しても、合焦範囲Rb、前方被写界深度Dnb、および後方被写界深度Dfbが規定される。同様に、光学系5cに関しても合焦範囲Rc、前方被写界深度Dnc、および後方被写界深度Dfcが規定される。同様に、光学系5dに関しても合焦範囲Rd、前方被写界深度Dnd、および後方被写界深度Dfdが規定される。
【0047】
図15に示すように、各光学系5a,5b,5c,5dが読取対象Dcから進行する光を受光面31に結像する場合における、合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdはいずれも、互いに重なっている。そのため、光学系5a,5b,5c,5dのいずれが受光面31に光を結像させる場合であっても、読取対象Dcを合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdが互いに重なった範囲に配置すれば、ピントが合った状態で読取対象Dcを撮像できる。本実施形態においては、当該範囲には、光学系5a,5b,5c,5dの各光軸方向において、端縁131が位置している。そのため、端縁131を読取対象Dcに押し当てて読取対象Dcを撮像すると、ピントが合った映像を得ることができる。また本実施形態ではさらに、Lk(k=a,b,c,d)のいずれもが一定の値Lである場合を示している。
【0048】
次に、S1k、S2k、fkの値の決定方法の一例について説明する。
【0049】
ここでは、値Lkと、実倍率mk(k=a,b,c,d)と、ディスプレイ倍率Dの値とが既に決定されている場合について述べる。実倍率mkとは、ディスプレイDpの一次元の大きさに対する、ディスプレイDpに表示される部分の実際の撮像対象Dcの一次元の大きさの割合である。ディスプレイ倍率Dとは、受光面31の一次元の大きさに対するディスプレイDpの一次元の大きさの割合である。
【0050】
実倍率mkは、S1k、S2k、Dを用いて以下のように表わされる。
mk=S1k/S2k×D (k=a,b,c,d)・・・(4)
【0051】
(1)式〜(4)式により、S1k、S2k、およびfkは、値Lk、実倍率mk、およびディスプレイ倍率Dを用いて、
S1k=mkLk/(D+mk)
S2k=DLk/(D+mk)
fk=DmkLk/(D+mk)2
(k=a,b,c,d)
と表わされる。
【0052】
たとえば、Lk(=L)=50mm、mk=20、D=74としたい場合には、拡大撮像装置A1において、たとえば光学系5bを、
S1b=10.64
S2b=39.36
となる位置に配置し、
fb=8.37
となるものを用いればよい。
【0053】
同様に、光学系5bと異なる他の光学系5a,5c,5dに関する値を求めることができる。
【0054】
上述の前方被写界深度Dnkは、
Dnk=S2k2εkFk/(fk2+S2kεkFk)
(k=a,b,c,d)
と表わされる。
また、上述の後方被写界深度Dfkは、
Dfk=S2k2εkFk/(fk2−S2kεkFk)
(k=a,b,c,d)
と表わされる。
【0055】
ここで、εkは、各光学系の許容錯乱円直径であり、
εk=0.012×D/mk
(k=a,b,c,d)
で表わされる。
また、Fkは、各光学系のFナンバーであり、
Fk=fK/(有効径)
(k=a,b,c,d)
で表わされる。
【0056】
図16には、本実施形態における上述の各パラメータの数値の一例を示している。同図(a)は、実倍率mk、ディスプレイ倍率D、距離Lkの各値を予め設定してその他の各数値を求めた場合の例である。同図(b)は、ディスプレイ倍率mk、距離Lk、焦点距離fkの各値を予め設定してその他の各数値を求めた場合の例である。
【0057】
次に、拡大撮像装置A1の使用方法について説明する。
【0058】
図11に示したように、このような拡大撮像装置A1を使用する場合、読取対象Dcもしくは読取対象Dcの周囲に端縁131を押し当てる。この状態においては、読取対象Dcから進行する光は、光学系5aによって受光面31に結像される。このとき、読取対象Dcの映像が、実際の読取対象Dcを比較的低倍率で拡大した状態でディスプレイDpに表示される。このとき、上述のように既にピントがあった状態となっている。なお、より鮮明な画像を得たい場合には、キャップ部13を胴部11に対し回転させ、ピントの微調整をするとよい。たとえば、読取対象Dcがキャップ部13の内径より小さい物体であり且つ厚みhを有する場合に、キャップ部13が当該物体を収容するようにキャップ部13の端縁131を当該物体を載置している面に押し当て、その後、キャップ部13を胴部13に対し回転させることにより胴部11をこの面から厚みh分だけ離間させるとよい。
【0059】
次に、図12に示したように、読取対象Dcもしくは読取対象Dcの周囲に端縁131を押し当てた状態のまま、保持部材6をケース1に対し(図8の反時計周りに)回転移動させる。すると、読取対象Dcから進行する光が、光学系5bによって受光面31に結像されることとなる。このとき、読取対象Dcの映像が、図11に示したよりも高い倍率で実際の読取対象Dcを拡大された状態でディスプレイDpに表示される。このときも、上述のように既にピントがあった状態となっている。なお、より鮮明な画像を得たい場合には、キャップ部13を胴部11に対し回転させ、ピントの微調整をするとよい。
【0060】
同様に、保持部材6をケース1に対しさらに(図8の反時計周りに)回転移動させることにより、図11、図12に示したよりもより高い倍率で拡大された読取対象Dcを、ディスプレイDpに表示できる。
【0061】
次に、拡大撮像装置A1の作用について説明する。
【0062】
拡大撮像装置A1においては、図15に示したように、合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdが、互いに重なっている。そのため、光学系5a,5b,5c,5dのいずれが受光面31に光を結像させる場合であっても、読取対象Dcを同じ位置に配置したままでピントが合っている状態を維持できる。これにより、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させるものを切り替えても、ほとんどピント調整をする必要がなくなる。
【0063】
キャップ部13は、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させているものの光軸方向において、胴部11に対し微小に移動可能である。そのため、ピントの微調整をすることができ、読取対象Dcのより鮮明な画像を得ることができる。
【0064】
拡大撮像装置A1においては、光学系5a,5b,5c,5dはいずれも保持部材6に保持されている。そのため、保持部材6をケース1に対し移動させるだけで、光学系5a,5b,5c,5dのうち光を受光面31に結像させるものを切り替えることができる。このように、光学系5a,5b,5c,5dのいずれもが保持部材6に保持された構成は、光学系5a,5b,5c,5dの各々を別々に移動させる必要がなく、簡単に倍率を変更するのに適する。
【0065】
図1〜図3に示したように、拡大撮像装置A1においては、保持部材6は、胴部11に収容され、且つ、胴部11から露出している部位を有する。そのため、拡大撮像装置A1を使用する者は、たとえば、右手の人差し指および中指を胴部11に添え、同じく右手の親指を保持部材6の露出している部位に添えて、片手のみで、保持部材6を胴部11に対し回転させることができる。片手のみで保持部材6をケース1に対し回転させることができるこのような構成は、操作性に優れている。
【0066】
また拡大撮像装置A1においては、保持部材6は、胴部11から突出している部位を有する。そのため、保持部材6が胴部11から露出しているが胴部11に完全に収容されているものに比べ、保持部材6を操作する指が胴部11に触れにくい。このような拡大撮像装置A1は、さらに操作性に優れているといえる。
【0067】
拡大撮像装置A1は、胴部11に配置された面状光源7を備えている。LED等の点光源を用いた場合と比較して、面状光源7はより均一な光を読取対象Dcに照射する。そのため、LED等の点光源を用いた場合に比べ、方向zにおいて、面状光源7を端縁131寄りの位置に配置できる。そのため、面状光源7が配置された胴部11を、方向zにおいて、より端縁131に接近させることができる。これにより、読取対象Dcと光学系5a,5b,5c,5dとの距離がより小さくなる。その結果、より小型で且つ高倍率の拡大撮像装置A1を得ることができる。
【0068】
図17〜図19を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図17は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の要部断面図である。同図に示す拡大撮像装置A2は、光学系5dを保持する保持部41と、保持部41に設けられたつまみ部42と、をさらに備えている点において、第1実施形態にかかる拡大撮像装置A1と主に相違する。
【0069】
保持部41は、方向zにおいて移動可能に収容されている。つまみ部42は、保持部材6における側面612から露出している。第1実施形態では、光学系5dの主点が受光面31からS1dの距離だけ離間した位置に、光学系5dは固定されていた。だが、第2実施形態においては、図19に示すように、光学系5dは、保持部41とともに、光学系5dの主点が受光面31からS2dだけ離間した位置に移動可能になっている。
【0070】
光学系5dを方向zにおいて移動させるには、図18に示す姿勢となるように保持部材6をケース1に対し回転する。そして、つまみ部42を指で操作することにより、保持部41とともに光学系5dを移動させる。
【0071】
拡大撮像装置A2においては、図19に示したように、光学系5dが光学系5dの主点が受光面31からS2dだけ離間した位置に移動した場合であっても、ピントが合った状態で読取対象Dcを読み取ることができる。そのため、光学系5a,5b,5c,5dの数を増加させずに、拡大撮像装置A2における拡大倍率の種類を増加させることができる。
【0072】
図20〜図22を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図20、図21は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。これらの図に示された拡大撮像装置A3は、保持部材6が略直方体状であり、且つ、ケース1にスライド可能にケース1に保持されている点において、上述の拡大撮像装置A1と主に相違する。
【0073】
図21に示すように、保持部材6において、穴611a,611b,611c,611dは、第1面611の面内方向視において同一直線上に配置されている。
【0074】
図22は、拡大撮像装置A3における、受光面31と、光学系5a,5b,5c,5dと、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。光学系5a,5b,5c,5dは、これらの光軸上に受光面31が位置するときの、受光面31と光学系の主点との距離S1kと,光学系の主点と理想合焦位置との距離S2kとが第1実施形態と同一となるように配置されている。よって、拡大撮像装置A3においても、合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdが、互いに重なっている。そのため、光学系5a,5b,5c,5dのいずれが受光面31に光を結像させる場合であっても、読取対象Dcを同じ位置に配置したままでピントが合っている状態を維持できる。これにより、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させるものを切り替えても、ほとんどピント調整をする必要がなくなる。
【0075】
キャップ部13は、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させているものの光軸方向において、胴部11に対し微小に移動可能である。そのため、ピントの微調整をすることができ、読取対象Dcのより鮮明な画像を得ることができる。
【0076】
拡大撮像装置A3は、胴部11に配置された面状光源7を備えている。LED等の点光源を用いた場合と比較して、面状光源7はより均一な光を読取対象Dcに照射する。そのため、LED等の点光源を用いた場合に比べ、方向zにおいて、面状光源7を端縁131寄りの位置に配置できる。そのため、面状光源7が配置された胴部11を、方向zにおいて、より端縁131に接近させることができる。これにより、読取対象Dcと光学系5a,5b,5c,5dとの距離がより小さくなる。その結果、より小型で且つ高倍率の拡大撮像装置A3を得ることができる。
【0077】
なお、第3実施形態においても、第2実施形態で示した光学系5dが方向zに移動可能な構成を採用してもよい。
【0078】
図23を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。図23は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示す拡大撮像装置A4は、キャップ部13が押しつけ面132を備える点において、第1実施形態にかかる拡大撮像装置A1と相違する。このような構成は、第2、第3の各実施形態にかかる拡大撮像装置にも適用できる。
【0079】
拡大撮像装置A4によると、押しつけ面132により読取対象Dcを押しつけた状態で、読取対象Dcを読み取ることができる。そのため、読取対象Dcが凹凸形状を有する場合でも、ディスプレイDpに表示される読取対象Dcの映像の全体を、ピントの合ったものにすることができる。
【0080】
図24を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。図24は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示した拡大撮像装置A5は、赤外線を照射可能な光源71を備え、撮像素子3が赤外線を受光可能なCIGS(CuInGaSe2)系イメージセンサである点において、上述の実施形態にかかる拡大撮像装置と相違する。このような構成によると、拡大撮像装置A5をたとえば暗室で用いることができる。もしくは、拡大撮像装置A5を偽札を発見する用途に用いることができる。このような構成は、第2、第3、第4の各実施形態にかかる拡大撮像装置にも適用できる。
【0081】
図25を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。図25は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示した拡大撮像装置A6は、カバー8を備える点において、第1実施形態にかかる拡大撮像装置A1と相違する。カバー8は、保持部材6の第2面613側に配置されている。カバー8は、穴621a,621b,621c,621dを塞いでいる。これにより、穴621a,621b,621c,621dに埃などの異物が侵入することを防止できる。このような構成は、第2、第4、第5の各実施形態にかかる拡大撮像装置にも適用できる。
【0082】
図26を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。図26は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示した拡大撮像装置A7は、カバー81,82を更に備える点において、第2実施形態にかかる拡大撮像装置A2と相違する。カバー81は、保持部材6に対し、第1面611側に配置されている。カバー82は、保持部材6に対し、第2面613側に配置されている。このような構成によると、光学系5a,5b,5c,5dに埃が付着するのを防止できる。
【0083】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、キャップ部で読取対象もしくはその周囲を押しつけない顕微鏡などの光学機器においても、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0084】
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7 拡大撮像装置
1 ケース
1a,1c 光通過空間
1b 収容空間
11 胴部
11a 雄ネジ
12 蓋
121 凹部
13 キャップ部
13a 雌ネジ
131 端縁
132 押しつけ面
2 基板
3 撮像素子
31 受光面
311 単位受光領域
41 保持部
42 つまみ部
5a,5b,5c,5d 光学系
6 保持部材
61 本体
611 第1面
612 側面
613 第2面
62 軸部
611a,611b,611c,611d 穴
621a,621b,621c,621d 穴
7 面状光源
8,81,82 カバー
Dc 読取対象
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から読取対象を拡大して視認するための拡大撮像装置が知られている。このような拡大撮像装置としては、たとえば電子ルーペ、もしくは、マイクロスコープなどが挙げられる。拡大撮像装置は、ケースと、当該ケースに設けられた、一枚のレンズと撮像素子とを備える。読取対象から進行する光は、レンズにより撮像素子に結像される。撮像素子に入射した光に応じた電気信号を、ディスプレイ画面などに送ることにより、ディスプレイ画面に読取対象の拡大された映像を映すことができる。
【0003】
このような拡大撮像装置には通常、一組のレンズ群しか配置されていなかった。そのため、ディスプレイ画面に映し出される映像の倍率を変更するには、レンズと読取対象との距離を変化させるべく、ピントの合う位置まで拡大撮像装置自体を読取対象から離間させたり接近させたりする必要があった。このような拡大撮像装置を移動させる作業は面倒なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−52387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ピントの調整をほとんどする必要がなく、かつ、簡単に倍率の変更ができる拡大撮像装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される拡大撮像装置は、受光面を有する撮像素子と、読取対象側から進行してきた光を各々が上記受光面に結像させる複数の光学系と、上記撮像素子に対し相対移動可能であり、且つ、複数の上記光学系を保持する保持部材と、を備え、複数の上記光学系の上記読取対象側における合焦範囲はそれぞれ、互いに重なることを特徴とする。
【0007】
上記拡大撮像装置においては、複数の上記光学系のいずれが上記受光面に光を結像させる場合であっても、上記読取対象を同じ位置に配置したままでピントが合っている状態を維持できる。これにより、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させるものを切り替えても、ほとんどピント調整をする必要がなくなる。また、上記拡大撮像装置においては、複数の上記光学系はいずれも上記保持部材に保持されている。そのため、上記保持部材を移動させるだけで、複数の上記光学系のうち光を上記受光面に結像させるものを切り替えることができる。このように、複数の上記光学系のいずれもが上記保持部材に保持された構成は、複数の上記光学系の各々を別々に移動させる必要がなく、簡単に倍率を変更するのに適する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記撮像素子を支持するケースを更に備え、
上記保持部材は、上記ケースに対し相対移動可能に上記ケースに保持されている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と異なる回転軸を中心に回転可能である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部を備え、上記保持部材は、上記回転軸に垂直な方向に上記胴部から露出している部位を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と交差する方向に沿ってスライド可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースには、上記読取対象側から進行してきた光を通過させ、且つ、当該光を上記光学系のいずれかに向かわせる光通過空間が形成され、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において、上記読取対象側の上記ケースの端部は、上記合焦範囲が互いに重なる範囲に位置する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部と、上記光通過空間を囲み、且つ、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において上記胴部に対し微小に接近および離間移動可能に上記胴部に取り付けられたキャップ部とを含む。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記キャップ部は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸上に位置し、且つ、上記読取対象を押しつける面を有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記胴部に配置され、且つ、上記読取対象に光を照射する面状光源を更に備える。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースに配置され、且つ、上記読取対象に赤外線を照射する光源を更に備え、上記撮像素子は、赤外線を受光可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材には、上記光通過空間を通過してきた光を上記光学系に至らせる光通過穴が形成され、上記光通過穴を塞ぐカバーを更に備える。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記光学系のいずれかは、その光軸方向に沿って上記保持部材に対し相対移動可能である。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各光学系について下記式により表わされる値Lが、複数の上記光学系のいずれについても互いに同一である。
L=S12/(S1−f)
S1は上記光を上記受光面に結像させる際の上記光学系の光軸方向における、上記光学系の主点と上記受光面との距離である。
fは上記光学系の焦点距離である。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置の側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置に用いられる撮像素子を模式的に示す斜視図および要部拡大図である。
【図10】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の一の姿勢を示す断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の他の姿勢を示す断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の他の姿勢を示す断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態にかかる拡大撮像装置における保持部材の他の姿勢を示す図である。
【図15】図11〜図14に示した撮像素子の受光面と、光学系と、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。
【図16】本発明の第1実施形態における光学系のに関する数値の一例を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態にかかる拡大撮像装置の要部断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態にかかる拡大撮像装置の使用状態を示す要部断面図である。
【図19】本発明の第2実施形態にかかる拡大撮像装置の要部断面図である。
【図20】本発明の第3実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図22】本発明の第3実施形態にかかる拡大撮像装置における、撮像素子の受光面と、光学系と、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。
【図23】本発明の第4実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図24】本発明の第5実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図25】本発明の第6実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【図26】本発明の第7実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1〜図16を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の正面図である。図2は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の側面図である。図3は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の平面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図3のV−V線に沿う断面図である。図6は、図3のVI−VI線に沿う断面図である。図7は、図4のVII−VII線に沿う断面図である。図8は、図4のVIII−VIII線に沿う断面図である。図3、図7、図8においては一部透視化して示している。
【0024】
これらの図に示された拡大撮像装置A1は、読取対象Dcを拡大し二次元データとして読み取るためのものである。拡大撮像装置A1により読み取られたデータは、ケーブルCbを介してディスプレイDpに送られ、拡大された読取対象Dcの映像がディスプレイDpに表示される。拡大撮像装置A1は、底面の半径がたとえば20mm、高さがたとえば60mmの略円柱状である。拡大撮像装置A1は、ケース1と、基板2と、撮像素子3と、光学系5a,5b,5c,5dと、保持部材6と、面状光源7とを備える。
【0025】
図4に示すように、ケース1は、胴部11と、蓋12と、キャップ部13とを含む。ケース1には、光通過空間1aと、収容空間1bと、光通過空間1cとが形成されている。収容空間1bは、光通過空間1aおよび光通過空間1cとつながる。胴部11は、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂よりなる。胴部11には、収容空間1bが形成されている。収容空間1bは、図6の右方に開口し、略円柱形状の内面により規定される。胴部11の外面には、雄ネジ11aが形成されている。なお、図1〜図3においては、雄ネジ11aの記載を省略している。なお、図1〜図3においては、後述の雌ネジ13aの記載も省略している。
【0026】
蓋12は、胴部11に取り付けられており、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂よりなる。蓋12には、光通過空間1cが形成されている。図5に示すように、蓋12には、円筒状の凹部121が形成されている。
【0027】
キャップ部13は、筒状であり、胴部11に取り付けられている。キャップ部13は、光通過空間1aを囲んでいる。キャップ部13は、たとえばアクリル系、エポキシ系、ポリカーボネート系の白色の半透明樹脂よりなる。そのため、キャップ部13は、外光を透過させるとともに散乱させうる。また、キャップ部13は、たとえば透明の樹脂よりなっていてもよい。キャップ部13の内面には、雌ネジ13aが形成されている。雌ネジ13aは、雄ネジ11aに螺合している。これにより、キャップ部13は、方向zにおいて、胴部11に対し、微小移動可能になっている。キャップ部13は、端縁131を有する。端縁131は、読取対象Dcまたはその周囲に押し当てる部分である。
【0028】
図4に示すように、面状光源7は、胴部11に配置されている。面状光源7は、読取対象Dcに光を照射するためのものである。面状光源7は、たとえば有機EL(Electro Luminescence)である。
【0029】
基板2は、蓋12に配置されている。基板2は、たとえば長矩形状のプリント配線基板である。基板2は、たとえば銅よりなる金属配線層と樹脂層とが積層された構造を有する。
【0030】
撮像素子3は、基板2に搭載されている。撮像素子3は、たとえばCCD型もしくはCMOS型のカメラ素子と呼ばれるものである。図9は、撮像素子3を模式的に示す斜視図および要部拡大図である。同図に示すように、撮像素子3は矩形状の受光面31を有する。受光面31の大きさは、たとえば、縦が3.6mmであり、横が約2.7mmである。受光面31には、複数の矩形状の単位受光領域311がマトリクス状に配置されている。各単位受光領域311は、受けた光の光量に応じた起電力を生じさせる、いわゆる光電変換機能を発揮する領域である。単位受光領域311の配列ピッチは、たとえば約2μmである。受光面31が光を受けると、各単位受光領域311ごとの受光量に対応した出力レベルの画像信号が撮像素子3から出力される。撮像素子3から出力された画像信号は、基板2に形成された金属配線、およびケーブルCbを介して、ディスプレイDp(ともに図1参照)に送られる。
【0031】
図5、図6、図8に示すように、光学系5a,5b,5c,5dはいずれも、進行してきた光を受光面31に結像させるために設けられている。光学系5a,5b,5c,5dはそれぞれ、本実施形態においては一枚のレンズであるが、複数のレンズを含むレンズユニットであってもよい。
【0032】
図10は、保持部材6のみを示す斜視図である。
【0033】
保持部材6は、複数の光学系5a,5b,5c,5dを保持するためのものである。保持部材6は、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂よりなる。図6に示すように、保持部材6は、収容空間1bに収容され、且つ、ケース1に対し回転可能にケース1に保持されている。保持部材6は、胴部11から露出している部位を有する。また本実施形態においては、保持部材6の一部は胴部11から突出している。保持部材6は、本体61と、軸部62とを含む。本体61は、円柱状である。本体61は、第1面611と、側面612と、第2面613とを有する。第1面611は、外郭形状が円である平面であり、且つ、光通過空間1cに臨む部位を有する。側面612は、第1面611とつながる。第2面613は、外郭形状が円である平面であり、且つ、側面612とつながる。第2面613は、光通過空間1aに臨む部位を有する。
【0034】
図5〜図8に示すように、本体61には、4つの穴611a,611b,611c,611dと、4つの穴621a,621b,621c,621dとが形成されている。穴611a,611b,611c,611dはいずれも、円柱状であり、第1面611側に開口する。一方、4つの穴621a,621b,621c,621dはいずれも、円錐台状であり、第2面613側に開口する。穴611aは穴621aと、穴611bは穴621bと、穴611cは穴621cと、穴611dは穴621dと、本体61の内部においてそれぞれつながっている。
【0035】
図6に示すように、穴611aには、光学系5aが配置されている。第2面613側から穴621aに進行してきた光は、光学系5aを通過し、第1面611側に向かう。図5に示すように、穴611bには、光学系5bが配置されている。第2面613側から穴221bに進行してきた光は、光学系5bおよび穴611bを通過し、第1面611側に向かう。図6に示すように、穴611cには、光学系5cが配置されている。第2面613側から穴221cに進行してきた光は、光学系5cおよび穴211cを通過し、第1面611側に向かう。図5に示すように、穴211dには光学系5dが配置されている。第2面613側から光学系5dを通過した光は、穴211dを通過し、第1面611側に向かう。
【0036】
なお、光学系5a,5b,5c,5dは、たとえば接着剤により保持部材6に固定されている。
【0037】
図6に示すように、軸部62は、本体61の第1面611の中央に設けられている。軸部62は、蓋12の凹部121にはめ込まれている。軸部62を回転軸として、保持部材6は、ケース1に対し図8の矢印方向に回転移動をする。保持部材6は、回転移動をすることにより、順に、図11〜図14に示す姿勢をとる。このように、保持部材6がケース1に対し回転移動することにより、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させるものが互いに入れ替わる。なお、保持部材6には、保持部材6が図11〜図14に示す姿勢からケース1に対し位置ずれをしないように、ケース1と係合する係止部(図示略)が形成されている。
【0038】
図11に示す場合、光学系5aが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5aの光軸pa上に位置している。図11に示すときの光軸pa方向における、光学系5aの主点と受光面31との距離は、距離S1aである。一方、図11に示すときの光軸pa方向における、光学系5aの主点と光学系5aの理想合焦位置との距離は、距離S2aである。また、距離S1aと距離S2aとの和は、距離Laである。
【0039】
図12に示すように、図11に示す状態から保持部材6がケース1に対し、図8の矢印方向に回転移動することにより、光学系5bが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5bの光軸pb上に位置している。図12に示すときの光軸pb方向における、光学系5bの主点と受光面31との距離は、距離S1bである。一方、図12に示すときの光軸pb方向における、光学系5bの主点と光学系5bの理想合焦位置との距離は、距離S2bである。また、距離S1bと距離S2bとの和は、距離Lbである。
【0040】
同様に、図13に示すように、図12に示す状態から保持部材6がケース1に対しさらに図8の矢印方向に回転移動することにより、光学系5cが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5cの光軸pc上に位置している。図13に示すときの光軸pc方向における、光学系5cの主点と受光面31との距離は、距離S1cである。一方、図13に示すときの光軸pc方向における、光学系5cの主点と光学系5cの理想合焦位置との距離は、距離S2cである。また、距離S1cと距離S2cとの和は、距離Lcである。
【0041】
同様に、図14に示すように、図13に示す状態から保持部材6がケース1に対しさら図8の矢印方向に回転移動することにより、光学系5dが光を受光面31に結像させる。このとき、受光面31は、光学系5dの光軸pd上に位置している。図14に示すときの光軸pd方向における、光学系5dの主点と受光面31との距離は、距離S1dである。一方、図14に示すときの光軸pd方向における、光学系5dの主点と光学系5dの理想合焦位置との距離は、距離S2dである。また、距離S1dと距離S2dとの和は、距離Ldである。
【0042】
図15は、図11〜図14に示した撮像素子3の受光面31と、光学系5a,5b,5c,5dと、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。
【0043】
S1k,S2k,fk(焦点距離),Lk(k=a,b,c,d)については、以下の関係が成立している。
1/S1k+1/S2k=1/fk (レンズの公式)・・・(1)
S1k+S2k=Lk ・・・(2)
(k=a,b,c,d)
【0044】
Lkを、(1)式と(2)式からS2kを消去してS1kとfkのみで表すと、
Lk=S1k2/(S1k−fk)・・・(3)
(k=a,b,c,d)
となる。
【0045】
図15において、合焦範囲Raに読取対象Dcが位置している場合、光学系5aが読取対象Dcから進行する光を受光面31に結像するときに、ピントが合っているように認識される。合焦範囲Raは、図15における光軸paにおいて、理想合焦位置より前方被写界深度Dnaだけ光学系5aに近接する位置から、理想合焦位置より後方被写界深度Dfaだけ光学系5aから離間する位置までの範囲である。図15においては、合焦範囲Raは、実際の大きさに比して誇張して記載している。以下同様である。
【0046】
同様に、光学系5bに関しても、合焦範囲Rb、前方被写界深度Dnb、および後方被写界深度Dfbが規定される。同様に、光学系5cに関しても合焦範囲Rc、前方被写界深度Dnc、および後方被写界深度Dfcが規定される。同様に、光学系5dに関しても合焦範囲Rd、前方被写界深度Dnd、および後方被写界深度Dfdが規定される。
【0047】
図15に示すように、各光学系5a,5b,5c,5dが読取対象Dcから進行する光を受光面31に結像する場合における、合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdはいずれも、互いに重なっている。そのため、光学系5a,5b,5c,5dのいずれが受光面31に光を結像させる場合であっても、読取対象Dcを合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdが互いに重なった範囲に配置すれば、ピントが合った状態で読取対象Dcを撮像できる。本実施形態においては、当該範囲には、光学系5a,5b,5c,5dの各光軸方向において、端縁131が位置している。そのため、端縁131を読取対象Dcに押し当てて読取対象Dcを撮像すると、ピントが合った映像を得ることができる。また本実施形態ではさらに、Lk(k=a,b,c,d)のいずれもが一定の値Lである場合を示している。
【0048】
次に、S1k、S2k、fkの値の決定方法の一例について説明する。
【0049】
ここでは、値Lkと、実倍率mk(k=a,b,c,d)と、ディスプレイ倍率Dの値とが既に決定されている場合について述べる。実倍率mkとは、ディスプレイDpの一次元の大きさに対する、ディスプレイDpに表示される部分の実際の撮像対象Dcの一次元の大きさの割合である。ディスプレイ倍率Dとは、受光面31の一次元の大きさに対するディスプレイDpの一次元の大きさの割合である。
【0050】
実倍率mkは、S1k、S2k、Dを用いて以下のように表わされる。
mk=S1k/S2k×D (k=a,b,c,d)・・・(4)
【0051】
(1)式〜(4)式により、S1k、S2k、およびfkは、値Lk、実倍率mk、およびディスプレイ倍率Dを用いて、
S1k=mkLk/(D+mk)
S2k=DLk/(D+mk)
fk=DmkLk/(D+mk)2
(k=a,b,c,d)
と表わされる。
【0052】
たとえば、Lk(=L)=50mm、mk=20、D=74としたい場合には、拡大撮像装置A1において、たとえば光学系5bを、
S1b=10.64
S2b=39.36
となる位置に配置し、
fb=8.37
となるものを用いればよい。
【0053】
同様に、光学系5bと異なる他の光学系5a,5c,5dに関する値を求めることができる。
【0054】
上述の前方被写界深度Dnkは、
Dnk=S2k2εkFk/(fk2+S2kεkFk)
(k=a,b,c,d)
と表わされる。
また、上述の後方被写界深度Dfkは、
Dfk=S2k2εkFk/(fk2−S2kεkFk)
(k=a,b,c,d)
と表わされる。
【0055】
ここで、εkは、各光学系の許容錯乱円直径であり、
εk=0.012×D/mk
(k=a,b,c,d)
で表わされる。
また、Fkは、各光学系のFナンバーであり、
Fk=fK/(有効径)
(k=a,b,c,d)
で表わされる。
【0056】
図16には、本実施形態における上述の各パラメータの数値の一例を示している。同図(a)は、実倍率mk、ディスプレイ倍率D、距離Lkの各値を予め設定してその他の各数値を求めた場合の例である。同図(b)は、ディスプレイ倍率mk、距離Lk、焦点距離fkの各値を予め設定してその他の各数値を求めた場合の例である。
【0057】
次に、拡大撮像装置A1の使用方法について説明する。
【0058】
図11に示したように、このような拡大撮像装置A1を使用する場合、読取対象Dcもしくは読取対象Dcの周囲に端縁131を押し当てる。この状態においては、読取対象Dcから進行する光は、光学系5aによって受光面31に結像される。このとき、読取対象Dcの映像が、実際の読取対象Dcを比較的低倍率で拡大した状態でディスプレイDpに表示される。このとき、上述のように既にピントがあった状態となっている。なお、より鮮明な画像を得たい場合には、キャップ部13を胴部11に対し回転させ、ピントの微調整をするとよい。たとえば、読取対象Dcがキャップ部13の内径より小さい物体であり且つ厚みhを有する場合に、キャップ部13が当該物体を収容するようにキャップ部13の端縁131を当該物体を載置している面に押し当て、その後、キャップ部13を胴部13に対し回転させることにより胴部11をこの面から厚みh分だけ離間させるとよい。
【0059】
次に、図12に示したように、読取対象Dcもしくは読取対象Dcの周囲に端縁131を押し当てた状態のまま、保持部材6をケース1に対し(図8の反時計周りに)回転移動させる。すると、読取対象Dcから進行する光が、光学系5bによって受光面31に結像されることとなる。このとき、読取対象Dcの映像が、図11に示したよりも高い倍率で実際の読取対象Dcを拡大された状態でディスプレイDpに表示される。このときも、上述のように既にピントがあった状態となっている。なお、より鮮明な画像を得たい場合には、キャップ部13を胴部11に対し回転させ、ピントの微調整をするとよい。
【0060】
同様に、保持部材6をケース1に対しさらに(図8の反時計周りに)回転移動させることにより、図11、図12に示したよりもより高い倍率で拡大された読取対象Dcを、ディスプレイDpに表示できる。
【0061】
次に、拡大撮像装置A1の作用について説明する。
【0062】
拡大撮像装置A1においては、図15に示したように、合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdが、互いに重なっている。そのため、光学系5a,5b,5c,5dのいずれが受光面31に光を結像させる場合であっても、読取対象Dcを同じ位置に配置したままでピントが合っている状態を維持できる。これにより、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させるものを切り替えても、ほとんどピント調整をする必要がなくなる。
【0063】
キャップ部13は、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させているものの光軸方向において、胴部11に対し微小に移動可能である。そのため、ピントの微調整をすることができ、読取対象Dcのより鮮明な画像を得ることができる。
【0064】
拡大撮像装置A1においては、光学系5a,5b,5c,5dはいずれも保持部材6に保持されている。そのため、保持部材6をケース1に対し移動させるだけで、光学系5a,5b,5c,5dのうち光を受光面31に結像させるものを切り替えることができる。このように、光学系5a,5b,5c,5dのいずれもが保持部材6に保持された構成は、光学系5a,5b,5c,5dの各々を別々に移動させる必要がなく、簡単に倍率を変更するのに適する。
【0065】
図1〜図3に示したように、拡大撮像装置A1においては、保持部材6は、胴部11に収容され、且つ、胴部11から露出している部位を有する。そのため、拡大撮像装置A1を使用する者は、たとえば、右手の人差し指および中指を胴部11に添え、同じく右手の親指を保持部材6の露出している部位に添えて、片手のみで、保持部材6を胴部11に対し回転させることができる。片手のみで保持部材6をケース1に対し回転させることができるこのような構成は、操作性に優れている。
【0066】
また拡大撮像装置A1においては、保持部材6は、胴部11から突出している部位を有する。そのため、保持部材6が胴部11から露出しているが胴部11に完全に収容されているものに比べ、保持部材6を操作する指が胴部11に触れにくい。このような拡大撮像装置A1は、さらに操作性に優れているといえる。
【0067】
拡大撮像装置A1は、胴部11に配置された面状光源7を備えている。LED等の点光源を用いた場合と比較して、面状光源7はより均一な光を読取対象Dcに照射する。そのため、LED等の点光源を用いた場合に比べ、方向zにおいて、面状光源7を端縁131寄りの位置に配置できる。そのため、面状光源7が配置された胴部11を、方向zにおいて、より端縁131に接近させることができる。これにより、読取対象Dcと光学系5a,5b,5c,5dとの距離がより小さくなる。その結果、より小型で且つ高倍率の拡大撮像装置A1を得ることができる。
【0068】
図17〜図19を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図17は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の要部断面図である。同図に示す拡大撮像装置A2は、光学系5dを保持する保持部41と、保持部41に設けられたつまみ部42と、をさらに備えている点において、第1実施形態にかかる拡大撮像装置A1と主に相違する。
【0069】
保持部41は、方向zにおいて移動可能に収容されている。つまみ部42は、保持部材6における側面612から露出している。第1実施形態では、光学系5dの主点が受光面31からS1dの距離だけ離間した位置に、光学系5dは固定されていた。だが、第2実施形態においては、図19に示すように、光学系5dは、保持部41とともに、光学系5dの主点が受光面31からS2dだけ離間した位置に移動可能になっている。
【0070】
光学系5dを方向zにおいて移動させるには、図18に示す姿勢となるように保持部材6をケース1に対し回転する。そして、つまみ部42を指で操作することにより、保持部41とともに光学系5dを移動させる。
【0071】
拡大撮像装置A2においては、図19に示したように、光学系5dが光学系5dの主点が受光面31からS2dだけ離間した位置に移動した場合であっても、ピントが合った状態で読取対象Dcを読み取ることができる。そのため、光学系5a,5b,5c,5dの数を増加させずに、拡大撮像装置A2における拡大倍率の種類を増加させることができる。
【0072】
図20〜図22を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図20、図21は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。これらの図に示された拡大撮像装置A3は、保持部材6が略直方体状であり、且つ、ケース1にスライド可能にケース1に保持されている点において、上述の拡大撮像装置A1と主に相違する。
【0073】
図21に示すように、保持部材6において、穴611a,611b,611c,611dは、第1面611の面内方向視において同一直線上に配置されている。
【0074】
図22は、拡大撮像装置A3における、受光面31と、光学系5a,5b,5c,5dと、これらの光学系の理想合焦位置と、の位置関係についてまとめて示す図である。光学系5a,5b,5c,5dは、これらの光軸上に受光面31が位置するときの、受光面31と光学系の主点との距離S1kと,光学系の主点と理想合焦位置との距離S2kとが第1実施形態と同一となるように配置されている。よって、拡大撮像装置A3においても、合焦範囲Ra,Rb,Rc,Rdが、互いに重なっている。そのため、光学系5a,5b,5c,5dのいずれが受光面31に光を結像させる場合であっても、読取対象Dcを同じ位置に配置したままでピントが合っている状態を維持できる。これにより、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させるものを切り替えても、ほとんどピント調整をする必要がなくなる。
【0075】
キャップ部13は、光学系5a,5b,5c,5dのうち受光面31に光を結像させているものの光軸方向において、胴部11に対し微小に移動可能である。そのため、ピントの微調整をすることができ、読取対象Dcのより鮮明な画像を得ることができる。
【0076】
拡大撮像装置A3は、胴部11に配置された面状光源7を備えている。LED等の点光源を用いた場合と比較して、面状光源7はより均一な光を読取対象Dcに照射する。そのため、LED等の点光源を用いた場合に比べ、方向zにおいて、面状光源7を端縁131寄りの位置に配置できる。そのため、面状光源7が配置された胴部11を、方向zにおいて、より端縁131に接近させることができる。これにより、読取対象Dcと光学系5a,5b,5c,5dとの距離がより小さくなる。その結果、より小型で且つ高倍率の拡大撮像装置A3を得ることができる。
【0077】
なお、第3実施形態においても、第2実施形態で示した光学系5dが方向zに移動可能な構成を採用してもよい。
【0078】
図23を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。図23は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示す拡大撮像装置A4は、キャップ部13が押しつけ面132を備える点において、第1実施形態にかかる拡大撮像装置A1と相違する。このような構成は、第2、第3の各実施形態にかかる拡大撮像装置にも適用できる。
【0079】
拡大撮像装置A4によると、押しつけ面132により読取対象Dcを押しつけた状態で、読取対象Dcを読み取ることができる。そのため、読取対象Dcが凹凸形状を有する場合でも、ディスプレイDpに表示される読取対象Dcの映像の全体を、ピントの合ったものにすることができる。
【0080】
図24を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。図24は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示した拡大撮像装置A5は、赤外線を照射可能な光源71を備え、撮像素子3が赤外線を受光可能なCIGS(CuInGaSe2)系イメージセンサである点において、上述の実施形態にかかる拡大撮像装置と相違する。このような構成によると、拡大撮像装置A5をたとえば暗室で用いることができる。もしくは、拡大撮像装置A5を偽札を発見する用途に用いることができる。このような構成は、第2、第3、第4の各実施形態にかかる拡大撮像装置にも適用できる。
【0081】
図25を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。図25は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示した拡大撮像装置A6は、カバー8を備える点において、第1実施形態にかかる拡大撮像装置A1と相違する。カバー8は、保持部材6の第2面613側に配置されている。カバー8は、穴621a,621b,621c,621dを塞いでいる。これにより、穴621a,621b,621c,621dに埃などの異物が侵入することを防止できる。このような構成は、第2、第4、第5の各実施形態にかかる拡大撮像装置にも適用できる。
【0082】
図26を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。図26は、本実施形態にかかる拡大撮像装置の断面図である。同図に示した拡大撮像装置A7は、カバー81,82を更に備える点において、第2実施形態にかかる拡大撮像装置A2と相違する。カバー81は、保持部材6に対し、第1面611側に配置されている。カバー82は、保持部材6に対し、第2面613側に配置されている。このような構成によると、光学系5a,5b,5c,5dに埃が付着するのを防止できる。
【0083】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、キャップ部で読取対象もしくはその周囲を押しつけない顕微鏡などの光学機器においても、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0084】
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7 拡大撮像装置
1 ケース
1a,1c 光通過空間
1b 収容空間
11 胴部
11a 雄ネジ
12 蓋
121 凹部
13 キャップ部
13a 雌ネジ
131 端縁
132 押しつけ面
2 基板
3 撮像素子
31 受光面
311 単位受光領域
41 保持部
42 つまみ部
5a,5b,5c,5d 光学系
6 保持部材
61 本体
611 第1面
612 側面
613 第2面
62 軸部
611a,611b,611c,611d 穴
621a,621b,621c,621d 穴
7 面状光源
8,81,82 カバー
Dc 読取対象
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面を有する撮像素子と、
読取対象側から進行してきた光を各々が上記受光面に結像させる複数の光学系と、
上記撮像素子に対し相対移動可能であり、且つ、複数の上記光学系を保持する保持部材と、を備え、
複数の上記光学系の上記読取対象側における合焦範囲はそれぞれ、互いに重なることを特徴とする、拡大撮像装置。
【請求項2】
上記撮像素子を支持するケースを更に備え、
上記保持部材は、上記ケースに対し相対移動可能に上記ケースに保持されている、請求項1に記載の拡大撮像装置。
【請求項3】
上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と異なる回転軸を中心に回転可能である、請求項2に記載の拡大撮像装置。
【請求項4】
上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部を備え、
上記保持部材は、上記回転軸に垂直な方向に上記胴部から露出している部位を有する、請求項3に記載の拡大撮像装置。
【請求項5】
上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と交差する方向に沿ってスライド可能である、請求項2に記載の拡大撮像装置。
【請求項6】
上記ケースには、上記読取対象側から進行してきた光を通過させ、且つ、当該光を上記光学系のいずれかに向かわせる光通過空間が形成され、
複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において、上記読取対象側の上記ケースの端部は、上記合焦範囲が互いに重なる範囲に位置する、請求項2ないし5のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項7】
上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部と、上記光通過空間を囲み、且つ、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において上記胴部に対し微小に接近および離間移動可能に上記胴部に取り付けられたキャップ部とを含む、請求項2ないし6のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項8】
上記キャップ部は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸上に位置し、且つ、上記読取対象を押しつける面を有する、請求項7に記載の拡大撮像装置。
【請求項9】
上記胴部に配置され、且つ、上記読取対象に光を照射する面状光源を更に備える、請求項7に記載の拡大撮像装置。
【請求項10】
上記ケースに配置され、且つ、上記読取対象に赤外線を照射する光源を更に備え、
上記撮像素子は、赤外線を受光可能である、請求項2ないし9のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項11】
上記保持部材には、上記光通過空間を通過してきた光を上記光学系に至らせる光通過穴が形成され、
上記光通過穴を塞ぐカバーを更に備える、請求項2ないし9のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項12】
複数の上記光学系のいずれかは、その光軸方向に沿って上記保持部材に対し相対移動可能である、請求項1ないし11のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項13】
上記各光学系について下記式により表わされる値Lが、複数の上記光学系のいずれについても互いに同一である、請求項1ないし12のいずれかに記載の拡大撮像装置。
L=S12/(S1−f)
S1は上記光を上記受光面に結像させる際の上記光学系の光軸方向における、上記光学系の主点と上記受光面との距離である。
fは上記光学系の焦点距離である。
【請求項1】
受光面を有する撮像素子と、
読取対象側から進行してきた光を各々が上記受光面に結像させる複数の光学系と、
上記撮像素子に対し相対移動可能であり、且つ、複数の上記光学系を保持する保持部材と、を備え、
複数の上記光学系の上記読取対象側における合焦範囲はそれぞれ、互いに重なることを特徴とする、拡大撮像装置。
【請求項2】
上記撮像素子を支持するケースを更に備え、
上記保持部材は、上記ケースに対し相対移動可能に上記ケースに保持されている、請求項1に記載の拡大撮像装置。
【請求項3】
上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と異なる回転軸を中心に回転可能である、請求項2に記載の拡大撮像装置。
【請求項4】
上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部を備え、
上記保持部材は、上記回転軸に垂直な方向に上記胴部から露出している部位を有する、請求項3に記載の拡大撮像装置。
【請求項5】
上記保持部材は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸と交差する方向に沿ってスライド可能である、請求項2に記載の拡大撮像装置。
【請求項6】
上記ケースには、上記読取対象側から進行してきた光を通過させ、且つ、当該光を上記光学系のいずれかに向かわせる光通過空間が形成され、
複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において、上記読取対象側の上記ケースの端部は、上記合焦範囲が互いに重なる範囲に位置する、請求項2ないし5のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項7】
上記ケースは、上記保持部材を収容する胴部と、上記光通過空間を囲み、且つ、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸方向において上記胴部に対し微小に接近および離間移動可能に上記胴部に取り付けられたキャップ部とを含む、請求項2ないし6のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項8】
上記キャップ部は、複数の上記光学系のうち上記受光面に光を結像させているものの光軸上に位置し、且つ、上記読取対象を押しつける面を有する、請求項7に記載の拡大撮像装置。
【請求項9】
上記胴部に配置され、且つ、上記読取対象に光を照射する面状光源を更に備える、請求項7に記載の拡大撮像装置。
【請求項10】
上記ケースに配置され、且つ、上記読取対象に赤外線を照射する光源を更に備え、
上記撮像素子は、赤外線を受光可能である、請求項2ないし9のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項11】
上記保持部材には、上記光通過空間を通過してきた光を上記光学系に至らせる光通過穴が形成され、
上記光通過穴を塞ぐカバーを更に備える、請求項2ないし9のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項12】
複数の上記光学系のいずれかは、その光軸方向に沿って上記保持部材に対し相対移動可能である、請求項1ないし11のいずれかに記載の拡大撮像装置。
【請求項13】
上記各光学系について下記式により表わされる値Lが、複数の上記光学系のいずれについても互いに同一である、請求項1ないし12のいずれかに記載の拡大撮像装置。
L=S12/(S1−f)
S1は上記光を上記受光面に結像させる際の上記光学系の光軸方向における、上記光学系の主点と上記受光面との距離である。
fは上記光学系の焦点距離である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2011−150045(P2011−150045A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9744(P2010−9744)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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