振動片および振動子
【課題】振動漏れおよび同相モード振動の発生を低減し、簡単な構造で振動片の小型化を可能にする。
【解決手段】基部15と、3以上の奇数本の振動腕11,12,13と、基部15と振動腕11,12,13との間に位置してそれぞれを連結する連結部14と、を備え、各振動腕11,12,13が厚み方向に振動し、かつ隣り合う振動腕が互いに反対方向に振動する振動片1であって、振動腕11,12,13の厚みをt1、連結部14の厚みをt2、基部15の厚みをt3、としたとき、t1≦t2<t3、となるように構成する。
【解決手段】基部15と、3以上の奇数本の振動腕11,12,13と、基部15と振動腕11,12,13との間に位置してそれぞれを連結する連結部14と、を備え、各振動腕11,12,13が厚み方向に振動し、かつ隣り合う振動腕が互いに反対方向に振動する振動片1であって、振動腕11,12,13の厚みをt1、連結部14の厚みをt2、基部15の厚みをt3、としたとき、t1≦t2<t3、となるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動腕を有する振動片およびその振動片を収容した振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
振動腕を有する振動子において、振動腕が屈曲振動のように面内で振動するのではなく、振動腕の厚み方向に振動する振動片が知られている。この振動片は、一般に複数本の振動腕を有し、隣り合う振動腕が反対方向の振動を交互に繰り返す、ウォークモード振動を行う振動片である。
特に、奇数本の振動腕を使った振動片では、振動の姿態が対称ではないため、振動腕に連結される基部に振動が漏れる問題がある。
この対策として、特許文献1には3本の腕(脚)を持つ振動片において、取り付け部と腕の間に棒状の支持部を設けて、支持部がトーションバーとして機能する構造とし、振動の漏れを減少させる振動片が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−196891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造では支持部を設けるために、振動片のサイズが大きくなり、振動片の小型化が困難である。
また、ウォークモード振動を利用した振動片では、全ての振動腕が同じ方向に振動してしまう同相モードの振動が生ずることがある。これは、主振動のウォークモード振動と同相モード振動の共振周波数が近いために生じており、同相モード振動を抑制した振動片が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる振動片は、基部と、3以上の奇数本の振動腕と、該基部と該振動腕との間に位置してそれぞれを連結する連結部と、を備え、各前記振動腕が厚み方向に振動し、かつ隣り合う前記振動腕が互いに反対方向に振動する振動片であって、前記振動腕の厚みをt1、前記連結部の厚みをt2、前記基部の厚みをt3、としたとき、t1≦t2<t3、であることを特徴とする。
【0007】
この構成の振動片は、連結部の厚みt2を振動腕の厚みt1と同等あるいは厚く形成し、基部の厚みt3を連結部の厚みt2よりも厚く形成している。
このように、振動腕の厚みより連結部、基部の厚みを厚く形成することで、振動腕の振動エネルギーを、これらの厚板化した部分で反射させて振動腕に振動エネルギーを閉じ込め、振動が基部に漏れることを防止できる。
また、振動腕の厚みと同等に形成した連結部を設けることで、振動片のスプリアスモードである同相モードの共振周波数を主振動の周波数から離すことが可能である。同相モードの共振周波数を主振動の共振周波数から離すことで、同相モードの振動が発生しにくくなる。
このように、本適用例の振動片は振動漏れおよび同相モード振動の発生を低減し、簡単な構造で振動片の小型化を可能にすることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の延びる方向に沿って隣り合う前記振動腕の間の距離を2等分する中心線を分割線として、前記連結部が分割されたとして、一方の端の前記振動腕から数えて、奇数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、偶数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、が等しいことが望ましい。
【0009】
この構成の振動片によれば、奇数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、が等しい。
この構成の振動片において、振動腕の振動に伴って連結部に歪みが生じるため、一方の方向に振動する各振動腕および連結部の体積と、他方の方向に振動する振動腕および連結部の体積とを等しくすることで振動の姿態が対称となり、振動漏れを低減することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる振動片において、前記連結部の両端に、前記振動腕が並ぶ方向に張り出す肩部が形成されていることが望ましい。
【0011】
この構成によれば、連結部の両端に、振動腕が並ぶ方向に張り出す肩部が形成されている。このような構造とすることで、隣り合う振動腕の間の距離を2等分する中心線を分割線として振動片を分割したと想定したとき、振動腕とそれに連なる連結部の形状が相似形となり、振動の対称性が高まり、振動漏れを低減することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の前記連結部に近い位置に圧電素子が設けられていることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、圧電材料を電極で挟んだ圧電素子が振動腕の連結部に近い位置に設けられている。
圧電素子の電極に交番電圧を印加することで圧電素子が伸縮し、そして振動腕が振動する。このように、振動腕に圧電素子を設けることで振動腕を容易に駆動することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる振動片において、厚みの差が生ずる前記振動腕と前記連結部との間及び前記連結部と前記基部との間の少なくともいずれか一方に斜面部が形成されていることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、厚みの差が生ずる振動腕と連結部との間及び連結部と基部との間の少なくともいずれか一方に斜面部が形成されている。このため厚みの差で生ずる段差部は形成されず、振動腕に備えられる電極に接続される配線がこの斜面部を通って配置でき、断線することなく確実に配線を配置することができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる振動子は、上記に記載の振動片と、前記振動片を収納する収容器を有し、前記振動片が前記収容器内に気密に収容されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上記の振動漏れが低減された振動片が収容器に収容されていることから、特性に優れ小型化された振動子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態における振動片の構成を示す概略平面図。
【図2】第1の実施形態における振動片の構成を示し、図1の裏面の概略平面図。
【図3】第1の実施形態における圧電素子の構成を示す概略断面図。
【図4】第1の実施形態における振動片の構成を示し、図1のB−B断線に沿う概略断面図。
【図5】第1の実施形態における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図6】第1の実施形態における下部電極に接続される配線の概略平面図。
【図7】第1の実施形態における下部電極に接続される裏面の配線の概略平面図。
【図8】第1の実施形態における上部電極に接続される配線の概略平面図。
【図9】第1の実施形態における上部電極に接続される裏面の配線の概略平面図。
【図10】第1の実施形態における振動片の動作を説明する模式図。
【図11】変形例1における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図12】変形例2における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図13】変形例3における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図14】第2の実施形態における振動子の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜変更している。
(第1の実施形態)
【0020】
図1は本実施形態の振動片の構成を示す概略平面図である。図2は本実施形態の振動片の構成を示し、図1の裏面の概略平面図である。図3は圧電素子の構成を示し図1のA−A断線に沿う概略断面図である。図4は図1のB−B断線に沿う概略断面図である。
図1、図2に示すように、振動片ブランク1aに圧電素子61,62,63が設けられ振動片1が形成されている。この振動片ブランク1aは水晶またはシリコンなどの基材を用いて形成されている。振動片1は直交座標系でXY平面に展開したときに、Z方向を厚みとする形態である。振動片1は3本の振動腕11,12,13を有し、振動腕11,12,13はX方向に並列されると共に、Y方向に互いに平行に延在している。
そして、振動腕11,12,13は連結部14に連結され、さらに連結部14は基部15に連結されている。また、振動腕11,12,13のZ方向に垂直な面である第1面16aと第2面16bとが対向し、この第1面16aと第2面16bの間の寸法が振動腕11,12,13の厚みを規定する。
【0021】
振動片ブランク1aは図4に示すように、振動腕11,12,13の厚みと連結部14の厚みとが同等に形成され、基部15は連結部14より厚みが厚く形成されている。そして振動腕の第2面16b側の基部15には、連結部14との厚みの差による段差部を形成せずに、連結部14側から厚みが徐々に増加する斜面部17が形成されている。
【0022】
各振動腕11,12,13の連結部14に近い位置にはそれぞれ圧電素子61,62,63が形成されている。
振動腕11に形成された圧電素子61は、図3に示すように、下部電極21、圧電膜31、上部電極51が積層されて形成されている。
下部電極21は、振動腕11の厚みを規定する対向する面のうちの第1面16a上に設けられている。また、この下部電極21は振動腕11の幅と同等の幅で形成されている。下部電極21の上には、下部電極21を覆い振動腕11の周囲を囲むように側面および第2面16bにかけて圧電膜31が形成されている。そして、圧電膜31の上には、圧電膜31を覆う上部電極51が形成されている。さらに、上部電極51に接続される配線58が、振動腕11を囲むように振動腕11の側面を経て第2面16bに引き出されている。
【0023】
このようにして、圧電膜31を挟んで下部電極21と上部電極51とが対向することで圧電素子61が形成され、各電極間に正負の電圧をかけることで圧電膜31が圧縮または伸長することが可能である。そして、圧電膜31が圧縮または伸長することで、振動腕11をZ方向に変位させることができる。このように、振動腕11に圧電素子61を設けることで振動腕11を容易に駆動することができる。
同様に、振動腕12,13に形成された圧電素子62,63は、下部電極22,23、圧電膜32,33、上部電極52,53が積層されて形成されている。さらに、上部電極52,53に接続される配線58が、振動腕12,13を囲むように振動腕12,13の側面を経て第2面16bに引き出されている。
【0024】
なお、下部電極21,22,23、上部電極51,52,53およびこれらの電極に接続される配線28,58は連続して形成されているため、本実施形態の説明では下部電極21,22,23および上部電極51,52,53は、これらの電極が圧電膜31,32,33を挟んで重なり合う部分を言い、それ以外はそれぞれの電極に接続する配線28,58と呼ぶ。
また、下部電極21,22,23と上部電極51,52,53との間にSiO2、Si2N3などの絶縁膜を設け、下部電極21,22,23と上部電極51,52,53の間の電気的短絡を確実に防止しても良い。
【0025】
次に図1、図2、図4に示すように、下部電極21,22,23に接続される配線28および上部電極51,52,53に接続される配線58は、振動片1の基部15に引き出され、パッケージなどの基台に固定されて電気的導通が図られるマウント電極65,66に接続されている。このとき、振動片の第2面16b側では斜面部17を通って配線58が配置される。また、下部電極22と上部電極51,53とを繋ぎ、圧電素子61,63と圧電素子62との極性が逆になるように接続部57が設けられている。
【0026】
なお、下部電極および上部電極はAu、Al、Tiなどの金属材料を利用できる。また、下部電極および上部電極は下地との密着強度を向上させるために下地との間にCr膜を備えても良い。圧電膜としては、ZnO、AlN、PZT、LiNbO3、KNbO3などの材料を使用することができるが、特にZnO、AlNがより良好な特性が得られ好ましい。
また、振動片ブランク1aの基材として水晶を用いる場合には、Xカット板、ATカット板、Zカット板などを利用することができる。
【0027】
<振動片ブランクの構成>
次に、振動片ブランクの構成について詳しく説明する。
図5は振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク1aは、振動腕11,12,13と、連結部14と、基部15を備えている。そして、振動腕11,12,13の厚みをt1、連結部14の厚みをt2、基部15の厚みをt3、としたときt1=t2、t2<t3、という関係にある。
また、振動腕11の腕幅をW1、振動腕12の腕幅をW2、振動腕13の腕幅をW3、とすると、W2=W1+W3、という関係に設定されている。
【0028】
さらに、振動腕11と振動腕12との間の距離をD1、振動腕12と振動腕13との間の距離をD2、とし、振動腕11,12の延びる方向に沿って、これらの距離D1,D2をそれぞれ2等分する中心線C1,C2を分割線として連結部14を分割したと想定する。
振動腕11に連なる、中心線C1により分割された連結部14の体積をVb1、振動腕12に連なる、中心線C1,C2により分割された連結部14の体積をVb2、振動腕13に連なる、中心線C2により分割された連結部14の体積をVb3、とする。また、振動腕11の体積をVa1、振動腕12の体積をVa2、振動腕13の体積をVa3、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)=Va2+Vb2、なる関係に設定されている。つまり、振動腕11から数えて奇数本目(1本目と3本目)の振動腕11,13とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目)の振動腕12とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0029】
<下部電極および上部電極に接続される配線の構成>
次に、上記のような振動片1の下部電極および上部電極に接続される配線について詳しく説明する。
図6は下部電極に接続される配線の概略平面図であり、図7は図6の裏面の概略平面図である。図8は上部電極に接続される配線の概略平面図であり、図9は図8の裏面の概略平面図である。
【0030】
まず、図6に示すように、下部電極21,22,23は振動腕11,12,13の厚みを規定する対向する面のうちの第1面16a上に設けられている。
中央に位置する振動腕12に形成された下部電極22からは、同一面の連結部14に配線28が引き出されて、接続部27に接続されている。振動腕12の両側に位置する振動腕11,13に形成された下部電極21,23からは、同一面の連結部14および基部15に配線28が引き出されて接続され、さらにこれらの配線28はマウント電極66に接続されている。また、図7に示すように、他方の面(裏面)には配線は形成しなくても良い。
【0031】
次に図8、図9に示すように、上部電極51,52,53は下部電極を覆う位置に形成される。そして、上部電極51,52,53に接続される配線58が、振動腕11,12,13を囲むように振動腕11,12,13の側面を経て第2面16bに引き出されている。
振動片の表面では、図8に示すように、振動腕12の両側に位置する振動腕11,13に形成された上部電極51,53からは、連結部14に配線58が引き出されて、接続部57に接続されている。
【0032】
一方、振動片の裏面では、図9に示すように、中央に位置する振動腕12に形成された上部電極52からは、連結部14および基部15に配線58が引き出されて、斜面部17を通ってマウント電極66に接続されている。このマウント電極66は基部15の側面に形成された配線により振動片の表面に引き回されて、表裏にマウント電極66が設けられている。
また、振動腕11に形成された上部電極51からは、連結部14および基部15に配線58が引き出されて、斜面部17を通ってマウント電極65に接続されている。このマウント電極65は基部15の側面に形成された配線により振動片の表面に引き回されて、表裏にマウント電極65が設けられている。
このように、斜面部17を通って配線58を配置でき、段差部がないので配線58が断線することがない。
【0033】
このような、下部電極21,22,23に接続される配線28および上部電極51,52,53に接続される配線58が構成され、下部電極側の接続部27と上部電極側の接続部57が接続され、下部電極22と上部電極51,53が接続される。さらに、上部電極51を通って上部電極側のマウント電極65に接続される。このようにして、下部電極22と上部電極51,53がマウント電極65に接続された配線となる。
また、下部電極側のマウント電極66と上部電極側のマウント電極66とが接続され、下部電極21,23と上部電極52が接続される。このようにして、下部電極21,23と上部電極52がマウント電極66に接続された配線となる。
【0034】
図10は、第1の実施形態における振動片の動作を説明する模式図である。
上記のような構成の振動片1は、各圧電素子(図示せず)に電圧を加えることで振動腕はZ方向に変位する。そして、振動腕11と振動腕13は同じ極性の圧電素子が設けられていることから、中央の振動腕12とその両脇の振動腕11,13は逆方向に振動し、交番電圧を加えることで隣り合う振動腕が反対方向の振動を交互に繰り返す振動(ウォークモード振動)を行う。
【0035】
以上、本実施形態の振動片1は、連結部14の厚みt2を振動腕11,12,13の厚みt1と同等に形成し、基部15の厚みt3を連結部14の厚みt2よりも厚く形成している。
このように、振動腕11,12,13の厚みt1より基部15の厚みt3を厚く形成することで、これらの厚板化した部分で振動エネルギーを反射させて振動エネルギーを振動腕11,12,13に閉じ込め、振動が基部15に漏れることを防止できる。
さらに、振動腕11,12,13の厚みt1と同等に形成した連結部14を設けることで、振動片1のスプリアスモードである同相モードの共振周波数が低下し、主振動の共振周波数から離すことが可能である。同相モードの共振周波数を主振動の共振周波数から離すことで、同相モードの振動が発生しにくくなる。
このように、本実施形態の振動片1は、振動漏れおよび同相モード振動の発生を低減し簡単な構造で振動片1の小型化が可能である。
【0036】
また、本実施形態の振動片1は、奇数本目の振動腕11,13とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目の振動腕12とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、が等しい。
この構成の振動片1において、振動腕11,12,13の振動に伴って連結部14に歪みが生じるため、一方の方向に振動する各振動腕および連結部の体積と、他方の方向に振動する振動腕および連結部の体積とを等しくすることで、振動の姿態が対称となり、振動漏れを低減することができる。
(変形例1)
【0037】
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。以下の変形例では、振動片ブランクの形状が第1の実施形態と異なる。
図11は変形例1における振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク2aは、振動腕111,112,113と、連結部114と、基部115を備えている。そして、振動腕111,112,113の厚みをt1、連結部114の厚みをt2、基部115の厚みをt3、としたときt1=t2、t2<t3、という関係にある。基部115には、連結部114から厚みが増加する斜面部117が設けられ、厚みの差による段差を解消している。
また、振動腕111の腕幅をW11、振動腕112の腕幅をW12、振動腕113の腕幅をW13、とすると、W12>W11+W13、という関係に設定されている。
連結部114の両端には、振動腕111,112,113の並ぶ方向に張り出す肩部118が設けられている。
【0038】
さらに、振動腕111と振動腕112との間の距離をD1、振動腕112と振動腕113との間の距離をD2、とし、振動腕111,112,113の延びる方向に沿って、これらの距離D1,D2をそれぞれ2等分する中心線C1,C2を分割線として連結部114を分割したと想定する。
振動腕111に連なり、中心線C1により分割された連結部114の体積をVb1、振動腕112に連なり、中心線C1,C2により分割された連結部114の体積をVb2、振動腕113に連なり、中心線C2により分割された連結部114の体積をVb3、とする。また、振動腕111の体積をVa1、振動腕112の体積をVa2、振動腕113の体積をVa3、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)=Va2+Vb2、なる関係に設定されている。つまり、振動腕111から数えて奇数本目(1本目と3本目)の振動腕111,113とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目)の振動腕112とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0039】
そして、振動腕111,112,113の連結部114に近い位置に圧電素子161,162,163を設けて必要な配線(図示せず)を配置することで、振動片を得ることができる。
この変形例1のように、振動片ブランク2aにおける連結部114の両端に、振動腕111,112,113の並ぶ方向に張り出す肩部118を設けても良い。
この構成によれば、隣り合う振動腕の間の距離を2等分する中心線C1,C2を分割線として振動片を分割したと想定したとき、振動腕とそれに連なる連結部の形状が相似形となり、振動の対称性が高まり、振動漏れを低減することができる。
(変形例2)
【0040】
図12は変形例2における振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク3aは、振動腕121,122,123と、連結部124と、基部125を備えている。そして、振動腕121,122,123の厚みをt1、連結部124の厚みをt2、基部125の厚みをt3、としたときt1<t2<t3、という関係にある。
連結部124には、振動腕121,122,123から厚みが増加する斜面部128が設けられ、厚みの差による段差を解消している。同様に、基部125には、連結部124から厚みが増加する斜面部127が設けられ、厚みの差による段差を解消している。
また、振動腕121の腕幅をW21、振動腕122の腕幅をW22、振動腕123の腕幅をW23、とすると、W22=W21+W23、という関係に設定されている。
【0041】
さらに、振動腕121と振動腕122との間の距離をD1、振動腕122と振動腕123との間の距離をD2、とし、振動腕121,122,123の延びる方向に沿って、これらの距離D1,D2をそれぞれ2等分する中心線C1,C2を分割線として連結部124を分割したと想定する。
振動腕121に連なる、中心線C1により分割された連結部124の体積をVb1、振動腕122に連なる、中心線C1,C2により分割された連結部124の体積をVb2、振動腕123に連なる、中心線C2により分割された連結部124の体積をVb3、とする。また、振動腕121の体積をVa1、振動腕122の体積をVa2、振動腕123の体積をVa3、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)=Va2+Vb2、なる関係に設定されている。つまり、振動腕121から数えて奇数本目(1本目と3本目)の振動腕121,123とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目)の振動腕122とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0042】
そして、振動腕121,122,123の連結部124に近い位置に圧電素子161,162,163を設けて必要な配線(図示せず)を配置することで、振動片を得ることができる。
この変形例2のように、連結部124の厚みt2を振動腕121,122,123の厚みt1よりも厚く形成し、基部125の厚みt3を連結部124の厚みt2よりも厚く形成しても良い。
このように、振動腕121,122,123よりも厚板化した連結部124および基部125で振動エネルギーを反射させて振動エネルギーを振動腕121,122,123に閉じ込め、振動が基部125に漏れることを防止できる。
(変形例3)
【0043】
図13は変形例3における振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク4aは、5本の振動腕131〜135と、連結部144と、基部145を備えている。そして、振動腕131〜135の厚みをt1、連結部144の厚みをt2、基部145の厚みをt3、としたときt1=t2、t2<t3、という関係にある。基部145には、連結部144から厚みが増加する斜面部137が設けられ、厚みの差による段差を解消している。
また、振動腕131の腕幅をW31、振動腕132の腕幅をW32、振動腕133の腕幅をW33、振動腕134の腕幅をW34、振動腕135の腕幅をW35、とすると、W31+W33+W35=W32+W34、という関係に設定されている。
【0044】
さらに、振動腕131と振動腕132との間の距離をD1、振動腕132と振動腕133との間の距離をD2、振動腕133と振動腕134との間の距離をD3、振動腕134と振動腕135との間の距離をD4、とし、振動腕131〜135の延びる方向に沿って、これらの距離D1〜D4をそれぞれ2等分する中心線C1〜C4を分割線として連結部144を分割したと想定する。
振動腕131に連なる、中心線C1により分割された連結部144の体積をVb1、振動腕132に連なる、中心線C1,C2により分割された連結部144の体積をVb2、振動腕133に連なる、中心線C2,C3により分割された連結部144の体積をVb3、振動腕134に連なる、中心線C3,C4により分割された連結部144の体積をVb4、振動腕135に連なる、中心線C4により分割された連結部144の体積をVb5、とする。
また、振動腕131の体積をVa1、振動腕132の体積をVa2、振動腕133の体積をVa3、振動腕134の体積をVa4、振動腕135の体積をVa5、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)+(Va5+Vb5)=(Va2+Vb2)+(Va4+Vb4)、なる関係に設定されている。つまり、振動腕131から数えて奇数本目(1本目、3本目、5本目)の振動腕131,133,135とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目、4本目)の振動腕132,134とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0045】
そして、振動腕131〜135の連結部144に近い位置に圧電素子161〜165を設けて必要な配線(図示せず)を配置することで、振動片を得ることができる。
このように、振動腕の本数は3以上の奇数本であれば良く、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、上記の実施形態および変形例では奇数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にあるとしたが、それぞれの体積を質量と言い換えても同じである。
さらに、振動腕および連結部に形成される圧電素子、配線の質量を加味して、奇数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の質量の総和と、偶数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の質量の総和とが等しいとすれば、さらに振動の姿態が対称となる特性の良好な振動片を得ることができる。
(第2の実施形態)
【0047】
次に、第2の実施形態として、上記で説明した振動片を備えた振動子について説明する。
図14は振動子の構成を示し、図14(a)は概略平面図、図14(b)は(a)のG−G断線に沿う概略断面図である。
振動子5は、振動片1と、収容器としてのセラミックパッケージ81と、蓋体85を備えている。
セラミックパッケージ81は、振動片1を収納できるように凹部が形成され、その凹部には振動片1のマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。接続パッド88はセラミックパッケージ81内の配線に接続され、セラミックパッケージ81の外周部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
また、セラミックパッケージ81の凹部の周囲にはシームリング82が設けられている。さらに、セラミックパッケージ81の底部には貫通穴86が設けられている。
【0048】
振動片1は、セラミックパッケージ81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して接着固定され、セラミックパッケージ81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とがシーム溶接されている。セラミックパッケージ81の貫通穴86には金属材料の封止材87が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融させられ、セラミックパッケージ81内が減圧状態となるように気密に封止されている。
【0049】
このように、振動子5は第1の実施形態または第2の実施形態の振動片がセラミックパッケージ81に収容され、小型化が容易で特性に優れた振動子5を提供することができる。
なお、セラミックパッケージ81内に、発振回路を含むICなどの回路素子を収容して発振器として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…振動片、1a,2a,3a,4a…振動片ブランク、5…振動子、11,12,13…振動腕、14…連結部、15…基部、16a…振動腕の第1面、16b…振動腕の第2面、17…斜面部、21,22,23…下部電極、27…接続部、31,32,33…圧電膜、51,52,53…上部電極、57…接続部、61,62,63…圧電素子、65,66…マウント電極、81…セラミックパッケージ、82…シームリング、83…外部接続端子、84…導電性接着剤、85…蓋体、86…貫通穴、87…封止材、88…接続パッド、111,112,113…振動腕、114…連結部、115…基部、117…斜面部、118…肩部、121,122,123…振動腕、124…連結部、125…基部、127,128…斜面部、131,132,133,134,135…振動腕、137…斜面部、144…連結部、145…基部、161,162,163,164、165…圧電素子、C1,C2,C3,C4…中心線、t1…振動腕の厚み、t2…連結部の厚み、t3…基部の厚み、W1,W2,W3…振動腕の腕幅、D1,D2,D3,D4…隣り合う振動腕の間の距離、Va1,Va2,Va3,Va4,Va5…振動腕の体積、Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5…連結部の体積。
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動腕を有する振動片およびその振動片を収容した振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
振動腕を有する振動子において、振動腕が屈曲振動のように面内で振動するのではなく、振動腕の厚み方向に振動する振動片が知られている。この振動片は、一般に複数本の振動腕を有し、隣り合う振動腕が反対方向の振動を交互に繰り返す、ウォークモード振動を行う振動片である。
特に、奇数本の振動腕を使った振動片では、振動の姿態が対称ではないため、振動腕に連結される基部に振動が漏れる問題がある。
この対策として、特許文献1には3本の腕(脚)を持つ振動片において、取り付け部と腕の間に棒状の支持部を設けて、支持部がトーションバーとして機能する構造とし、振動の漏れを減少させる振動片が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−196891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造では支持部を設けるために、振動片のサイズが大きくなり、振動片の小型化が困難である。
また、ウォークモード振動を利用した振動片では、全ての振動腕が同じ方向に振動してしまう同相モードの振動が生ずることがある。これは、主振動のウォークモード振動と同相モード振動の共振周波数が近いために生じており、同相モード振動を抑制した振動片が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる振動片は、基部と、3以上の奇数本の振動腕と、該基部と該振動腕との間に位置してそれぞれを連結する連結部と、を備え、各前記振動腕が厚み方向に振動し、かつ隣り合う前記振動腕が互いに反対方向に振動する振動片であって、前記振動腕の厚みをt1、前記連結部の厚みをt2、前記基部の厚みをt3、としたとき、t1≦t2<t3、であることを特徴とする。
【0007】
この構成の振動片は、連結部の厚みt2を振動腕の厚みt1と同等あるいは厚く形成し、基部の厚みt3を連結部の厚みt2よりも厚く形成している。
このように、振動腕の厚みより連結部、基部の厚みを厚く形成することで、振動腕の振動エネルギーを、これらの厚板化した部分で反射させて振動腕に振動エネルギーを閉じ込め、振動が基部に漏れることを防止できる。
また、振動腕の厚みと同等に形成した連結部を設けることで、振動片のスプリアスモードである同相モードの共振周波数を主振動の周波数から離すことが可能である。同相モードの共振周波数を主振動の共振周波数から離すことで、同相モードの振動が発生しにくくなる。
このように、本適用例の振動片は振動漏れおよび同相モード振動の発生を低減し、簡単な構造で振動片の小型化を可能にすることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の延びる方向に沿って隣り合う前記振動腕の間の距離を2等分する中心線を分割線として、前記連結部が分割されたとして、一方の端の前記振動腕から数えて、奇数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、偶数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、が等しいことが望ましい。
【0009】
この構成の振動片によれば、奇数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、が等しい。
この構成の振動片において、振動腕の振動に伴って連結部に歪みが生じるため、一方の方向に振動する各振動腕および連結部の体積と、他方の方向に振動する振動腕および連結部の体積とを等しくすることで振動の姿態が対称となり、振動漏れを低減することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる振動片において、前記連結部の両端に、前記振動腕が並ぶ方向に張り出す肩部が形成されていることが望ましい。
【0011】
この構成によれば、連結部の両端に、振動腕が並ぶ方向に張り出す肩部が形成されている。このような構造とすることで、隣り合う振動腕の間の距離を2等分する中心線を分割線として振動片を分割したと想定したとき、振動腕とそれに連なる連結部の形状が相似形となり、振動の対称性が高まり、振動漏れを低減することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の前記連結部に近い位置に圧電素子が設けられていることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、圧電材料を電極で挟んだ圧電素子が振動腕の連結部に近い位置に設けられている。
圧電素子の電極に交番電圧を印加することで圧電素子が伸縮し、そして振動腕が振動する。このように、振動腕に圧電素子を設けることで振動腕を容易に駆動することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる振動片において、厚みの差が生ずる前記振動腕と前記連結部との間及び前記連結部と前記基部との間の少なくともいずれか一方に斜面部が形成されていることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、厚みの差が生ずる振動腕と連結部との間及び連結部と基部との間の少なくともいずれか一方に斜面部が形成されている。このため厚みの差で生ずる段差部は形成されず、振動腕に備えられる電極に接続される配線がこの斜面部を通って配置でき、断線することなく確実に配線を配置することができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる振動子は、上記に記載の振動片と、前記振動片を収納する収容器を有し、前記振動片が前記収容器内に気密に収容されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上記の振動漏れが低減された振動片が収容器に収容されていることから、特性に優れ小型化された振動子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態における振動片の構成を示す概略平面図。
【図2】第1の実施形態における振動片の構成を示し、図1の裏面の概略平面図。
【図3】第1の実施形態における圧電素子の構成を示す概略断面図。
【図4】第1の実施形態における振動片の構成を示し、図1のB−B断線に沿う概略断面図。
【図5】第1の実施形態における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図6】第1の実施形態における下部電極に接続される配線の概略平面図。
【図7】第1の実施形態における下部電極に接続される裏面の配線の概略平面図。
【図8】第1の実施形態における上部電極に接続される配線の概略平面図。
【図9】第1の実施形態における上部電極に接続される裏面の配線の概略平面図。
【図10】第1の実施形態における振動片の動作を説明する模式図。
【図11】変形例1における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図12】変形例2における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図13】変形例3における振動片ブランクの構成を示す説明図。
【図14】第2の実施形態における振動子の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜変更している。
(第1の実施形態)
【0020】
図1は本実施形態の振動片の構成を示す概略平面図である。図2は本実施形態の振動片の構成を示し、図1の裏面の概略平面図である。図3は圧電素子の構成を示し図1のA−A断線に沿う概略断面図である。図4は図1のB−B断線に沿う概略断面図である。
図1、図2に示すように、振動片ブランク1aに圧電素子61,62,63が設けられ振動片1が形成されている。この振動片ブランク1aは水晶またはシリコンなどの基材を用いて形成されている。振動片1は直交座標系でXY平面に展開したときに、Z方向を厚みとする形態である。振動片1は3本の振動腕11,12,13を有し、振動腕11,12,13はX方向に並列されると共に、Y方向に互いに平行に延在している。
そして、振動腕11,12,13は連結部14に連結され、さらに連結部14は基部15に連結されている。また、振動腕11,12,13のZ方向に垂直な面である第1面16aと第2面16bとが対向し、この第1面16aと第2面16bの間の寸法が振動腕11,12,13の厚みを規定する。
【0021】
振動片ブランク1aは図4に示すように、振動腕11,12,13の厚みと連結部14の厚みとが同等に形成され、基部15は連結部14より厚みが厚く形成されている。そして振動腕の第2面16b側の基部15には、連結部14との厚みの差による段差部を形成せずに、連結部14側から厚みが徐々に増加する斜面部17が形成されている。
【0022】
各振動腕11,12,13の連結部14に近い位置にはそれぞれ圧電素子61,62,63が形成されている。
振動腕11に形成された圧電素子61は、図3に示すように、下部電極21、圧電膜31、上部電極51が積層されて形成されている。
下部電極21は、振動腕11の厚みを規定する対向する面のうちの第1面16a上に設けられている。また、この下部電極21は振動腕11の幅と同等の幅で形成されている。下部電極21の上には、下部電極21を覆い振動腕11の周囲を囲むように側面および第2面16bにかけて圧電膜31が形成されている。そして、圧電膜31の上には、圧電膜31を覆う上部電極51が形成されている。さらに、上部電極51に接続される配線58が、振動腕11を囲むように振動腕11の側面を経て第2面16bに引き出されている。
【0023】
このようにして、圧電膜31を挟んで下部電極21と上部電極51とが対向することで圧電素子61が形成され、各電極間に正負の電圧をかけることで圧電膜31が圧縮または伸長することが可能である。そして、圧電膜31が圧縮または伸長することで、振動腕11をZ方向に変位させることができる。このように、振動腕11に圧電素子61を設けることで振動腕11を容易に駆動することができる。
同様に、振動腕12,13に形成された圧電素子62,63は、下部電極22,23、圧電膜32,33、上部電極52,53が積層されて形成されている。さらに、上部電極52,53に接続される配線58が、振動腕12,13を囲むように振動腕12,13の側面を経て第2面16bに引き出されている。
【0024】
なお、下部電極21,22,23、上部電極51,52,53およびこれらの電極に接続される配線28,58は連続して形成されているため、本実施形態の説明では下部電極21,22,23および上部電極51,52,53は、これらの電極が圧電膜31,32,33を挟んで重なり合う部分を言い、それ以外はそれぞれの電極に接続する配線28,58と呼ぶ。
また、下部電極21,22,23と上部電極51,52,53との間にSiO2、Si2N3などの絶縁膜を設け、下部電極21,22,23と上部電極51,52,53の間の電気的短絡を確実に防止しても良い。
【0025】
次に図1、図2、図4に示すように、下部電極21,22,23に接続される配線28および上部電極51,52,53に接続される配線58は、振動片1の基部15に引き出され、パッケージなどの基台に固定されて電気的導通が図られるマウント電極65,66に接続されている。このとき、振動片の第2面16b側では斜面部17を通って配線58が配置される。また、下部電極22と上部電極51,53とを繋ぎ、圧電素子61,63と圧電素子62との極性が逆になるように接続部57が設けられている。
【0026】
なお、下部電極および上部電極はAu、Al、Tiなどの金属材料を利用できる。また、下部電極および上部電極は下地との密着強度を向上させるために下地との間にCr膜を備えても良い。圧電膜としては、ZnO、AlN、PZT、LiNbO3、KNbO3などの材料を使用することができるが、特にZnO、AlNがより良好な特性が得られ好ましい。
また、振動片ブランク1aの基材として水晶を用いる場合には、Xカット板、ATカット板、Zカット板などを利用することができる。
【0027】
<振動片ブランクの構成>
次に、振動片ブランクの構成について詳しく説明する。
図5は振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク1aは、振動腕11,12,13と、連結部14と、基部15を備えている。そして、振動腕11,12,13の厚みをt1、連結部14の厚みをt2、基部15の厚みをt3、としたときt1=t2、t2<t3、という関係にある。
また、振動腕11の腕幅をW1、振動腕12の腕幅をW2、振動腕13の腕幅をW3、とすると、W2=W1+W3、という関係に設定されている。
【0028】
さらに、振動腕11と振動腕12との間の距離をD1、振動腕12と振動腕13との間の距離をD2、とし、振動腕11,12の延びる方向に沿って、これらの距離D1,D2をそれぞれ2等分する中心線C1,C2を分割線として連結部14を分割したと想定する。
振動腕11に連なる、中心線C1により分割された連結部14の体積をVb1、振動腕12に連なる、中心線C1,C2により分割された連結部14の体積をVb2、振動腕13に連なる、中心線C2により分割された連結部14の体積をVb3、とする。また、振動腕11の体積をVa1、振動腕12の体積をVa2、振動腕13の体積をVa3、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)=Va2+Vb2、なる関係に設定されている。つまり、振動腕11から数えて奇数本目(1本目と3本目)の振動腕11,13とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目)の振動腕12とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0029】
<下部電極および上部電極に接続される配線の構成>
次に、上記のような振動片1の下部電極および上部電極に接続される配線について詳しく説明する。
図6は下部電極に接続される配線の概略平面図であり、図7は図6の裏面の概略平面図である。図8は上部電極に接続される配線の概略平面図であり、図9は図8の裏面の概略平面図である。
【0030】
まず、図6に示すように、下部電極21,22,23は振動腕11,12,13の厚みを規定する対向する面のうちの第1面16a上に設けられている。
中央に位置する振動腕12に形成された下部電極22からは、同一面の連結部14に配線28が引き出されて、接続部27に接続されている。振動腕12の両側に位置する振動腕11,13に形成された下部電極21,23からは、同一面の連結部14および基部15に配線28が引き出されて接続され、さらにこれらの配線28はマウント電極66に接続されている。また、図7に示すように、他方の面(裏面)には配線は形成しなくても良い。
【0031】
次に図8、図9に示すように、上部電極51,52,53は下部電極を覆う位置に形成される。そして、上部電極51,52,53に接続される配線58が、振動腕11,12,13を囲むように振動腕11,12,13の側面を経て第2面16bに引き出されている。
振動片の表面では、図8に示すように、振動腕12の両側に位置する振動腕11,13に形成された上部電極51,53からは、連結部14に配線58が引き出されて、接続部57に接続されている。
【0032】
一方、振動片の裏面では、図9に示すように、中央に位置する振動腕12に形成された上部電極52からは、連結部14および基部15に配線58が引き出されて、斜面部17を通ってマウント電極66に接続されている。このマウント電極66は基部15の側面に形成された配線により振動片の表面に引き回されて、表裏にマウント電極66が設けられている。
また、振動腕11に形成された上部電極51からは、連結部14および基部15に配線58が引き出されて、斜面部17を通ってマウント電極65に接続されている。このマウント電極65は基部15の側面に形成された配線により振動片の表面に引き回されて、表裏にマウント電極65が設けられている。
このように、斜面部17を通って配線58を配置でき、段差部がないので配線58が断線することがない。
【0033】
このような、下部電極21,22,23に接続される配線28および上部電極51,52,53に接続される配線58が構成され、下部電極側の接続部27と上部電極側の接続部57が接続され、下部電極22と上部電極51,53が接続される。さらに、上部電極51を通って上部電極側のマウント電極65に接続される。このようにして、下部電極22と上部電極51,53がマウント電極65に接続された配線となる。
また、下部電極側のマウント電極66と上部電極側のマウント電極66とが接続され、下部電極21,23と上部電極52が接続される。このようにして、下部電極21,23と上部電極52がマウント電極66に接続された配線となる。
【0034】
図10は、第1の実施形態における振動片の動作を説明する模式図である。
上記のような構成の振動片1は、各圧電素子(図示せず)に電圧を加えることで振動腕はZ方向に変位する。そして、振動腕11と振動腕13は同じ極性の圧電素子が設けられていることから、中央の振動腕12とその両脇の振動腕11,13は逆方向に振動し、交番電圧を加えることで隣り合う振動腕が反対方向の振動を交互に繰り返す振動(ウォークモード振動)を行う。
【0035】
以上、本実施形態の振動片1は、連結部14の厚みt2を振動腕11,12,13の厚みt1と同等に形成し、基部15の厚みt3を連結部14の厚みt2よりも厚く形成している。
このように、振動腕11,12,13の厚みt1より基部15の厚みt3を厚く形成することで、これらの厚板化した部分で振動エネルギーを反射させて振動エネルギーを振動腕11,12,13に閉じ込め、振動が基部15に漏れることを防止できる。
さらに、振動腕11,12,13の厚みt1と同等に形成した連結部14を設けることで、振動片1のスプリアスモードである同相モードの共振周波数が低下し、主振動の共振周波数から離すことが可能である。同相モードの共振周波数を主振動の共振周波数から離すことで、同相モードの振動が発生しにくくなる。
このように、本実施形態の振動片1は、振動漏れおよび同相モード振動の発生を低減し簡単な構造で振動片1の小型化が可能である。
【0036】
また、本実施形態の振動片1は、奇数本目の振動腕11,13とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目の振動腕12とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、が等しい。
この構成の振動片1において、振動腕11,12,13の振動に伴って連結部14に歪みが生じるため、一方の方向に振動する各振動腕および連結部の体積と、他方の方向に振動する振動腕および連結部の体積とを等しくすることで、振動の姿態が対称となり、振動漏れを低減することができる。
(変形例1)
【0037】
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。以下の変形例では、振動片ブランクの形状が第1の実施形態と異なる。
図11は変形例1における振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク2aは、振動腕111,112,113と、連結部114と、基部115を備えている。そして、振動腕111,112,113の厚みをt1、連結部114の厚みをt2、基部115の厚みをt3、としたときt1=t2、t2<t3、という関係にある。基部115には、連結部114から厚みが増加する斜面部117が設けられ、厚みの差による段差を解消している。
また、振動腕111の腕幅をW11、振動腕112の腕幅をW12、振動腕113の腕幅をW13、とすると、W12>W11+W13、という関係に設定されている。
連結部114の両端には、振動腕111,112,113の並ぶ方向に張り出す肩部118が設けられている。
【0038】
さらに、振動腕111と振動腕112との間の距離をD1、振動腕112と振動腕113との間の距離をD2、とし、振動腕111,112,113の延びる方向に沿って、これらの距離D1,D2をそれぞれ2等分する中心線C1,C2を分割線として連結部114を分割したと想定する。
振動腕111に連なり、中心線C1により分割された連結部114の体積をVb1、振動腕112に連なり、中心線C1,C2により分割された連結部114の体積をVb2、振動腕113に連なり、中心線C2により分割された連結部114の体積をVb3、とする。また、振動腕111の体積をVa1、振動腕112の体積をVa2、振動腕113の体積をVa3、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)=Va2+Vb2、なる関係に設定されている。つまり、振動腕111から数えて奇数本目(1本目と3本目)の振動腕111,113とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目)の振動腕112とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0039】
そして、振動腕111,112,113の連結部114に近い位置に圧電素子161,162,163を設けて必要な配線(図示せず)を配置することで、振動片を得ることができる。
この変形例1のように、振動片ブランク2aにおける連結部114の両端に、振動腕111,112,113の並ぶ方向に張り出す肩部118を設けても良い。
この構成によれば、隣り合う振動腕の間の距離を2等分する中心線C1,C2を分割線として振動片を分割したと想定したとき、振動腕とそれに連なる連結部の形状が相似形となり、振動の対称性が高まり、振動漏れを低減することができる。
(変形例2)
【0040】
図12は変形例2における振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク3aは、振動腕121,122,123と、連結部124と、基部125を備えている。そして、振動腕121,122,123の厚みをt1、連結部124の厚みをt2、基部125の厚みをt3、としたときt1<t2<t3、という関係にある。
連結部124には、振動腕121,122,123から厚みが増加する斜面部128が設けられ、厚みの差による段差を解消している。同様に、基部125には、連結部124から厚みが増加する斜面部127が設けられ、厚みの差による段差を解消している。
また、振動腕121の腕幅をW21、振動腕122の腕幅をW22、振動腕123の腕幅をW23、とすると、W22=W21+W23、という関係に設定されている。
【0041】
さらに、振動腕121と振動腕122との間の距離をD1、振動腕122と振動腕123との間の距離をD2、とし、振動腕121,122,123の延びる方向に沿って、これらの距離D1,D2をそれぞれ2等分する中心線C1,C2を分割線として連結部124を分割したと想定する。
振動腕121に連なる、中心線C1により分割された連結部124の体積をVb1、振動腕122に連なる、中心線C1,C2により分割された連結部124の体積をVb2、振動腕123に連なる、中心線C2により分割された連結部124の体積をVb3、とする。また、振動腕121の体積をVa1、振動腕122の体積をVa2、振動腕123の体積をVa3、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)=Va2+Vb2、なる関係に設定されている。つまり、振動腕121から数えて奇数本目(1本目と3本目)の振動腕121,123とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目)の振動腕122とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0042】
そして、振動腕121,122,123の連結部124に近い位置に圧電素子161,162,163を設けて必要な配線(図示せず)を配置することで、振動片を得ることができる。
この変形例2のように、連結部124の厚みt2を振動腕121,122,123の厚みt1よりも厚く形成し、基部125の厚みt3を連結部124の厚みt2よりも厚く形成しても良い。
このように、振動腕121,122,123よりも厚板化した連結部124および基部125で振動エネルギーを反射させて振動エネルギーを振動腕121,122,123に閉じ込め、振動が基部125に漏れることを防止できる。
(変形例3)
【0043】
図13は変形例3における振動片ブランクの構成を示す説明図である。この図では、平面図と断面図とを用いて、それぞれの位置関係を対応して表示している。
振動片ブランク4aは、5本の振動腕131〜135と、連結部144と、基部145を備えている。そして、振動腕131〜135の厚みをt1、連結部144の厚みをt2、基部145の厚みをt3、としたときt1=t2、t2<t3、という関係にある。基部145には、連結部144から厚みが増加する斜面部137が設けられ、厚みの差による段差を解消している。
また、振動腕131の腕幅をW31、振動腕132の腕幅をW32、振動腕133の腕幅をW33、振動腕134の腕幅をW34、振動腕135の腕幅をW35、とすると、W31+W33+W35=W32+W34、という関係に設定されている。
【0044】
さらに、振動腕131と振動腕132との間の距離をD1、振動腕132と振動腕133との間の距離をD2、振動腕133と振動腕134との間の距離をD3、振動腕134と振動腕135との間の距離をD4、とし、振動腕131〜135の延びる方向に沿って、これらの距離D1〜D4をそれぞれ2等分する中心線C1〜C4を分割線として連結部144を分割したと想定する。
振動腕131に連なる、中心線C1により分割された連結部144の体積をVb1、振動腕132に連なる、中心線C1,C2により分割された連結部144の体積をVb2、振動腕133に連なる、中心線C2,C3により分割された連結部144の体積をVb3、振動腕134に連なる、中心線C3,C4により分割された連結部144の体積をVb4、振動腕135に連なる、中心線C4により分割された連結部144の体積をVb5、とする。
また、振動腕131の体積をVa1、振動腕132の体積をVa2、振動腕133の体積をVa3、振動腕134の体積をVa4、振動腕135の体積をVa5、とする。このとき、(Va1+Vb1)+(Va3+Vb3)+(Va5+Vb5)=(Va2+Vb2)+(Va4+Vb4)、なる関係に設定されている。つまり、振動腕131から数えて奇数本目(1本目、3本目、5本目)の振動腕131,133,135とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目(2本目、4本目)の振動腕132,134とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にある。
【0045】
そして、振動腕131〜135の連結部144に近い位置に圧電素子161〜165を設けて必要な配線(図示せず)を配置することで、振動片を得ることができる。
このように、振動腕の本数は3以上の奇数本であれば良く、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、上記の実施形態および変形例では奇数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和と、偶数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の体積の総和とが等しい関係にあるとしたが、それぞれの体積を質量と言い換えても同じである。
さらに、振動腕および連結部に形成される圧電素子、配線の質量を加味して、奇数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の質量の総和と、偶数本目の振動腕とそれに連なる分割された連結部の質量の総和とが等しいとすれば、さらに振動の姿態が対称となる特性の良好な振動片を得ることができる。
(第2の実施形態)
【0047】
次に、第2の実施形態として、上記で説明した振動片を備えた振動子について説明する。
図14は振動子の構成を示し、図14(a)は概略平面図、図14(b)は(a)のG−G断線に沿う概略断面図である。
振動子5は、振動片1と、収容器としてのセラミックパッケージ81と、蓋体85を備えている。
セラミックパッケージ81は、振動片1を収納できるように凹部が形成され、その凹部には振動片1のマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。接続パッド88はセラミックパッケージ81内の配線に接続され、セラミックパッケージ81の外周部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
また、セラミックパッケージ81の凹部の周囲にはシームリング82が設けられている。さらに、セラミックパッケージ81の底部には貫通穴86が設けられている。
【0048】
振動片1は、セラミックパッケージ81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して接着固定され、セラミックパッケージ81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とがシーム溶接されている。セラミックパッケージ81の貫通穴86には金属材料の封止材87が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融させられ、セラミックパッケージ81内が減圧状態となるように気密に封止されている。
【0049】
このように、振動子5は第1の実施形態または第2の実施形態の振動片がセラミックパッケージ81に収容され、小型化が容易で特性に優れた振動子5を提供することができる。
なお、セラミックパッケージ81内に、発振回路を含むICなどの回路素子を収容して発振器として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…振動片、1a,2a,3a,4a…振動片ブランク、5…振動子、11,12,13…振動腕、14…連結部、15…基部、16a…振動腕の第1面、16b…振動腕の第2面、17…斜面部、21,22,23…下部電極、27…接続部、31,32,33…圧電膜、51,52,53…上部電極、57…接続部、61,62,63…圧電素子、65,66…マウント電極、81…セラミックパッケージ、82…シームリング、83…外部接続端子、84…導電性接着剤、85…蓋体、86…貫通穴、87…封止材、88…接続パッド、111,112,113…振動腕、114…連結部、115…基部、117…斜面部、118…肩部、121,122,123…振動腕、124…連結部、125…基部、127,128…斜面部、131,132,133,134,135…振動腕、137…斜面部、144…連結部、145…基部、161,162,163,164、165…圧電素子、C1,C2,C3,C4…中心線、t1…振動腕の厚み、t2…連結部の厚み、t3…基部の厚み、W1,W2,W3…振動腕の腕幅、D1,D2,D3,D4…隣り合う振動腕の間の距離、Va1,Va2,Va3,Va4,Va5…振動腕の体積、Vb1,Vb2,Vb3,Vb4,Vb5…連結部の体積。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、3以上の奇数本の振動腕と、該基部と該振動腕との間に位置してそれぞれを連結する連結部と、を備え、各前記振動腕が厚み方向に振動し、かつ隣り合う前記振動腕が互いに反対方向に振動する振動片であって、
前記振動腕の厚みをt1、前記連結部の厚みをt2、前記基部の厚みをt3、としたとき、t1≦t2<t3、であることを特徴とする振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の振動片において、
前記振動腕の延びる方向に沿って隣り合う前記振動腕の間の距離を2等分する中心線を分割線として、前記連結部が分割されたとして、
一方の端の前記振動腕から数えて、奇数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、偶数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、が等しいことを特徴とする振動片。
【請求項3】
請求項2に記載の振動片において、
前記連結部の両端に、前記振動腕が並ぶ方向に張り出す肩部が形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動片において、
前記振動腕の前記連結部に近い位置に圧電素子が設けられていることを特徴とする振動片。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の振動片において、
厚みの差が生ずる前記振動腕と前記連結部との間及び前記連結部と前記基部との間の少なくともいずれか一方に斜面部が形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の振動片と、前記振動片を収納する収容器を有し、
前記振動片が前記収容器内に気密に収容されていることを特徴とする振動子。
【請求項1】
基部と、3以上の奇数本の振動腕と、該基部と該振動腕との間に位置してそれぞれを連結する連結部と、を備え、各前記振動腕が厚み方向に振動し、かつ隣り合う前記振動腕が互いに反対方向に振動する振動片であって、
前記振動腕の厚みをt1、前記連結部の厚みをt2、前記基部の厚みをt3、としたとき、t1≦t2<t3、であることを特徴とする振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の振動片において、
前記振動腕の延びる方向に沿って隣り合う前記振動腕の間の距離を2等分する中心線を分割線として、前記連結部が分割されたとして、
一方の端の前記振動腕から数えて、奇数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、偶数本目の前記振動腕とそれに連なる分割された前記連結部の体積の総和と、が等しいことを特徴とする振動片。
【請求項3】
請求項2に記載の振動片において、
前記連結部の両端に、前記振動腕が並ぶ方向に張り出す肩部が形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動片において、
前記振動腕の前記連結部に近い位置に圧電素子が設けられていることを特徴とする振動片。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の振動片において、
厚みの差が生ずる前記振動腕と前記連結部との間及び前記連結部と前記基部との間の少なくともいずれか一方に斜面部が形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の振動片と、前記振動片を収納する収容器を有し、
前記振動片が前記収容器内に気密に収容されていることを特徴とする振動子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−193331(P2010−193331A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37387(P2009−37387)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
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