説明

掃除機及びホース

掃除機のホース(2)は外側の可撓セクション(20)の中を摺動可能な内側の可撓セクション(25)を有する。内側セクションにある後端接続具(28)は、完全に伸ばした際に、これが外側セクションから引き抜かれるのを妨ぎ、外側セクション(20)の前端において継手(24)で密閉する。内側セクション(25)は本来の伸ばした長さを有し、ホース(2)の前端の弁を閉じることにより保管のために収縮され、その結果、掃除機(1)からの吸引が、ホースの中に、内側セクションを収縮するのに十分な減圧を引き起こす。内側セクション(25)は、内側セクションの前端の継手(33)を外側セクションの前端の継手(24)と係合することによって、外側セクション(20)の中に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引ユニット及び可撓性ホースアセンブリを含む種類の掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリンダ型掃除機はホースと共に用いられる。直立(アップライト)型の掃除機も、届きにくい位置を掃除する必要がある場合には、ホースと共に用いることができる。ホースは、中央集中式真空掃除機においても用いられ、この場合には、吸引ユニットおよびダクト系統は建物に組み込まれる。長いホースは一部の状況には役立つが、保管及び操作に関する問題が生じる。ホースの全長は通常、使いやすい長さと保管しやすい短さの間の妥協点である。長くても保管が容易なホースの1つの形状は、伸長可能または伸縮性ホースであり、それは当初は短いが、引っ張って長く伸ばすことができる。 ホースは、本来の収縮した全長の螺旋状の補強材を有するが、この補強材は弾性的に伸長可能である。これらのホースは満足して使われているが、ホースを伸ばしその伸びを維持するために必要な力によりクリーニングヘッドの操作がより困難となることから、これらのホースには不都合がある。さらにまた、その力は、掃除機を止めたり、又は動かしたり、ホースの進む周辺にある家具を動かしたりするおそれがある。これに対する1つの解決策は収縮式ホースであり、このホースは本来の伸展した全長を有し、吸引により収縮可能である。これは、ホースの遠端が塞がれた際に掃除機によって生ずる吸引力が、収縮長さにまでホースを引きつけるのに十分となるように、ホースの螺旋状補強材の弾性を選択することによって成し遂げられる。次いで、掃除機を停止した際にホースが伸びないように、収縮した状態でホースを保持する。収縮式ホースのこの形状は、特許文献1に記載されている。ホースのこの形状には多くの利点があるが、収縮時の全長を増やすことなく、更に長く伸ばすことのできるホースが望まれる状況、ホースの構造により吸引力によってホースを収縮することができない状況、または非収縮式のホースが好まれる状況があり得る。
【特許文献1】国際公開第03/024294号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、代替的な掃除機及びホースを提供することである。
【0004】
本発明の1つの形態によれば、上記の種の掃除機において、ホースアセンブリが少なくとも2つの可撓セクションを有し、その一方は他方よりも小さい外径を有し、かつ他方の中で摺動可能であり、これら2つのセクションは、少なくともこれら2つのセクションを互いに対して伸ばした際に、互いを密閉するように配置されることを特徴とする掃除機が提供される。
【0005】
可撓セクションは波形であることが好ましい。直径の小さいセクションは、軸方向の力を加えることにより、本来の短い全長から長い全長に伸長可能とすることができる。あるいは、直径の小さいセクションは、ホースアセンブリの端部が塞がれた際に吸引ユニットによって得られる吸引力等によって、本来の伸びた全長から短い全長に収縮可能とすることができる。直径の小さいセクションの全長は、直径の大きいセクションの全長と実質的に等しくしてもよい。ホースアセンブリの2つのセクションに協働継手を設けてもよく、これらの継手は、互いに係合して、保管のために一方を他方の中に入れたコンパクトな構成に2つのセクションを保持することができる。ホースアセンブリの直径の大きいセクションは、軸方向の力を加えることにより、本来の短い全長から長い全長に伸長可能とすることができる。
【0006】
本発明の他の形態によれば、掃除機用のホースアセンブリにおいて、ホースアセンブリは内側及び外側波形可撓セクションを有しており、内側セクションは外側セクション内に摺動可能に保持される第1端部を有しており、ホースアセンブリは、内側セクションの全長の大部分が外側セクションの中に伸び、かつ内側セクションの第1端部が外側セクションの第1端部に隣接して配置された状態の短い構成をホースアセンブリが有しており、ホースアセンブリは、内側セクションが外側セクションの第2端部を越えて伸ばされ、内側セクションの第1端部が外側セクションの第2端部に隣接して配置され、かつ2つのセクションの間が密閉された状態の長い構成を有することを特徴とするホースアセンブリが提供される。
【0007】
内側セクションは、外側セクションの全長に実質的に等しい短い全長から、外側セクションの全長よりも長い全長にまで伸長可能とすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明に従うホースアセンブリを含む掃除機及びその使用方法を、例として添付の図面を参照しつつ、説明する。
【0009】
まず図1を参照し、吸引ユニット1、ホースアセンブリ2、及び一方の端部にクリーニングヘッド4を備えるクリーニングワンド3を有する掃除機が示されている。
【0010】
ユニット1は従来通りであり、通常の種類のポンプ、集塵袋、制御装置及びフィルタ(図示せず)を有する持ち運び可能なシリンダ型掃除機である。ユニット1は吸引口10を有しており、ホースアセンブリ2がこの吸引口の一方の端部に接続されている。
【0011】
また、図2を参照し、ホースアセンブリ2は、吸引口10に接続された一方の端部に継手21を有する第1の外側セクション20を有する。第1セクション20の主要部分は 螺旋状のワイヤ23で補強されたプラスチック材料からなる波形の可撓性管状壁22によって得られる。また、本発明は、全部がプラスチック製のもの等の他の形状のホースにも適用できる。第1セクション20の、掃除機のハウジング1から遠い側の端部は、シーリング継手24によって終端される。ホースアセンブリ2の第1セクション20は、一般的に長さが約1.8mであり、軸方向には比較的に伸長しない。第1ホースセクション20は、代替的に伸縮性構造、すなわち、本来の短い収縮された全長を有するが、ホースの軸方向の弾性に抗して軸方向の力を加えることによって長い全長にまで引張ることのできる構造とすることもできる。
【0012】
ホースアセンブリ2も第2の、内側にある、直径の小さいセクション25を有する。このセクション25は可撓性及び波形であり、特許文献1に記載されるように、ばね金属ワイヤ27の形状の螺旋状補強部材の外側に支持される高度に可撓性のプラスチック材料からなるスリーブ26によって設けられる。
【0013】
螺旋状補強ワイヤ27は、本来は伸びた状態にあるが、外力を与えることによりその弾性に反して軸方向に縮み得る。スリーブ26は十分に可撓性であり、第2セクション25自体が補強ワイヤらせん体27の伸びた全長を当然に巻き取る。スリーブ26は補強ワイヤ27の巻きの間に外向きに延びる低い丘陵部を有する。それによって、ホースを収縮した際に、スリーブを外向きに折り曲げることができる。第2セクション25は、第1の、直径の大きいセクション20の中に位置する硬質で円形の端部接続具28により、一方の端部が終端され、それに沿って自由に摺動可能である。第1セクションにおける端部接続具28及び継手24の寸法は、例えば、端部接続具の引き抜けを防止する寸法とする。端部接続具28及び継手24は係合シール面29及び30を有し、これらの面は端部接続具が継手に対して引張られた際に、横方向に伸びて互いに当接して密閉する。第2セクション25の本来の伸ばした長さは約3.6mであり、第1セクションの長さとほぼ同じの長さ、すなわち約1.8mにまで収縮ことができる。これより、合計最大長は約5.4mとなる。一般に、ホースの両方のセクションが収縮不可能か圧縮不可能な場合、ホースの最小長は最大長の約50%となる。ホースのセクションのうち1つが上記のように収縮可能な場合、同じ最大長を達成することができるが、最小長を最大長のわずか約25%とすることができる。
【0014】
第2セクション25の反対側の端部は、例えば英国特許第2403403号明細書に記載されているようなハンドル32で終端する。ハンドル32の後端部は、第1セクション20の端部の継手24と係合するように適合された継手33で形成される。ハンドル32はトリガー34を有し、このトリガーをユーザが操作しハンドルの中の弁(図示せず)を閉じることで、ハンドルを通ってそれ故ホースアセンブリ2に沿った空気の流れを阻止または抑止することができる。クリーニングワンド3は、ハンドル32の前端部へ接続される。
【0015】
使用前に、第2セクション25は、図2において破線で示すように、収縮され、第1の外側セクション20の中に入れられ、継手33及び24の係合によってこの収縮状態で保持される。これによって、保管のために比較的コンパクトな構成を提供する。長い全長を必要としないところを掃除するために、ホースアセンブリ2をこのコンパクトな構成で使うことができる。第1セクション20の伸長性構造は、このコンパクトな構造での使用を容易にする。しかしながら、通常は、ユーザは2つの継手33及び24を解放すると、第2セクション25の弾性がそれを本来の伸ばした長さまで伸ばす。次いで、ユーザは第2セクション25をわずかに引張り、入れ子状に、それを第1のセクション20から最大限引き出す。端部接続具28が引張られて継手24と密封係合となるまでは、第2セクション25の外側と第1セクション20上の継手との間を空気が流れることができるので、クリーニングヘッドの吸引作用は低下するであろう。端部接続具28が継手24に係合されると、面29と30との間が密閉され、クリーニングヘッド4を除いてホースアセンブリ2の中への漏気が防止される。従って、伸ばしたホースアセンブリ2の全長は、第1セクション20の全長と第2セクション25の伸ばした全長の和、すなわち約5.4mに等しい。第1の外側セクション20が伸長性構造を有する場合、全ホースアセンブリの全有効長は、アセンブリの遠端に軽い引張力を加えることによって更に伸ばすことができることは理解されよう。
【0016】
ユーザが清掃を終えて掃除機を保管したい時、ユーザはハンドル32上のトリガー34を閉じ、アセンブリ2に沿った空気の流れを抑止する。これはホースアセンブリ2の中に吸引圧力を生み、このことにより、第2のセクション25の全長を収縮する。吸引力は、第1セクション20に第2セクション25をピストンのように入れ子状に引っ込める効果も有する。端部接続具28が継手24から外れると、若干の空気が継手から第1セクション20内に流入するであろう。しかし、それでもユーザが、吸引力と若干の手動による案内及び押しつけを組み合わせて、第2セクション25を第1セクションの中に完全に収縮することは容易である。第2セクション25が第1セクション20に完全に引っ込められて、全長が収縮された際に、ハンドル32上の継手33は第1セクション上の継手24に係合される。掃除機は、ホースアセンブリ2の中の圧力を大気圧まで上げながら停止することができる。第2セクション25の伸びようとする傾向は、継手33及び24の係合によって抑制される。
【0017】
第2セクション25を第1セクション20の中で摺動するようにすることによって、ホースアセンブリの収縮された長さを全く増加させることなく、ホースアセンブリ2の全有効長を、特許文献1に記載されている配置を越えて更に延ばすことができる。すなわち、収縮時の長さを減少させたホースアセンブリで、伸長時に同じ長さを得ることができる。
【0018】
また、本発明は、長さの伸長または収縮のできない従来のホースにも用いることができる。最も単純な場合、掃除の際にユーザが直径の大きいホースから直径の小さいホースを最大限に引き出すだけのみであり、掃除機を収納すべき際には、2つのホースを入れ子状に一緒に押しつけるのである。これにより、ホースの有効使用可能長を収縮時の長さの2倍にまですることが可能となる。従来のホースセクションを使用しているこの構成の変形において、ホースアセンブリの遠端は、上記のものに類似した弁を有することができ、この弁をユーザが閉じることで、吸引力がホースアセンブリの中で生じる。吸引力は、直径の大きいホース内に直径の小さいホースを引っ込める入れ子状のピストン効果をもたらすのに役立つ。
【0019】
ホースアセンブリが種々の異なる構造を有することができることはいうまでもない。例えば、ホースアセンブリは、直径が異なり一方が他方の中に入れ子状に入った3つ以上のホースセクションを有することができる。その結果、ホースの伸長時の有効使用可能長は収縮時の長さの3倍以上となる。直径の大きいセクションは、ホースアセンブリの遠端に固定され、直径の小さいセクションは掃除機のハウジングに固定される。ホースは、補強ワイヤ構造を有する必要はなく、例えば、全部がプラスチック材料でできた低コストなホースとすることができる。
【0020】
ホースの異なるセクション間の密閉は、側面に当接させて得る必要はないが、その代わりに、1つ以上の滑動するシール、例えば、内方に向いている外側セクション上に設けられ、内側のセクションの外側とのワイピングシールをもたらすシール、又は、外方を向いている内側のセクション上に設けられ、外側のセクションの内側とのワイピングシールをもたらすシール、又はこれらの構成の双方によって得られる。
【0021】
本発明は、持ち運び可能なシリンダ型掃除機に限定されず、直立型の掃除機、中央集中式掃除機、固定式ガレージ前庭掃除機等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、掃除機及び伸ばした状態のホースアセンブリの簡略化された斜視図である。
【図2】図2は、伸ばした状態のホースアセンブリの一部の簡略化された拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引ユニット(1)及びこれに接続された可撓性ホースアセンブリ(2)を有する掃除機において、ホースアセンブリ(2)は少なくとも2つ可撓セクションを有し、一方の可撓セクション(25)は、他方の可撓セクション(20)より外径が小さく、かつ他方のセクション内で摺動可能であり、少なくとも2つのセクションを互いに対して伸ばした際に、2つのセクションが互いを密閉するよう配置されたことを特徴とする掃除機。
【請求項2】
請求項1に記載の掃除機において、可撓セクション(20及び25)が波形であることを特徴とする掃除機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の掃除機において、直径の小さいセクション(25)は、軸方向の力を加えることによって、本来の短い全長から長い全長に伸長可能であることを特徴とする掃除機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の掃除機において、直径の小さいセクション(25)は本来の伸びた全長から短い全長に収縮可能であることを特徴とする掃除機。
【請求項5】
請求項4に記載の掃除機において、ホースアセンブリ(2)の端部(32)を塞いだ際に、直径の小さいセクション(25)は、吸引ユニット(1)により加えられる吸引力によって収縮可能であることを特徴とする掃除機。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一つに記載の掃除機において、直径の小さいセクション(25)の短い全長は、直径の大きいセクション(20)の全長に実質的に等しいことを特徴とする掃除機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の掃除機において、ホースアセンブリ(2)の2つのセクション(20及び25)が、互いに係合して、保管のために一方のセクションを他方のセクションの中に入れるコンパクトな構成で2つのセクションを保持することのできる協働継手(24及び33)を具えることを特徴とする掃除機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の掃除機において、ホースアセンブリ(2)の直径の大きいセクション(20)は、軸方向の力を加えることによって、本来の短い全長から長い全長に伸長可能であることを特徴とする掃除機。
【請求項9】
掃除機用のホースアセンブリ(2)において、ホースアセンブリ(2)が内側及び外側の波形の可撓セクション(25及び20)を有しており、内側セクション(25)は外側セクション(20)の中で摺動可能に保持された第1端部(28)を有しており、ホースアセンブリ(2)は、内側セクション(25)の全長の大部分が外側セクション(20)の中に伸び、内側セクション(25)の第1端部(28)が外側セクション(20)の第1端部(21)に隣接して配置された短い構成を有しており、ホースアセンブリ(2)は、内側セクション(25)が外側セクション(20)の第2端部(24)を越えて延び、内側セクション(25)の第1端部(28)が外側セクション(20)の第2端部(24)に隣接して配置されており、シール(29、30)が2つのセクション(20及び25)の間に得られる長い構成を有していることを特徴とするホースアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のホースアセンブリにおいて、内側セクション(25)が、実質的に外側セクション(20)の長さに等しい短い全長から、外側セクション(20)より長い全長まで伸長可能であることを特徴とするホースアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−524485(P2007−524485A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553635(P2006−553635)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000196
【国際公開番号】WO2005/079651
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(501038551)スミスズ グループ ピーエルシー (26)
【氏名又は名称原語表記】SMITHS GROUP PLC
【Fターム(参考)】