説明

排水処理方法および排水処理装置

【課題】排水中の窒素を微生物の作用によって除去するための排水処理方法であって、簡単な設備で、低コストで実施でき、しかも処理槽中の微生物濃度を直接的に制御でき、設備の調整や管理が容易な排水処理方法を提供すること。
【解決手段】処理すべき被処理水90とマイクロナノバブル含有水を水槽22に導入して、水槽22で好気性微生物の作用によって硝化を行った後、水槽22で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水処理方法および排水処理装置に関し、より詳しくは、排水中の窒素を微生物の作用によって除去する排水処理方法および排水水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水中の窒素を微生物の作用によって除去するためには、大掛かりな設備を要し、イニシャルコストやランニングコストが高くつくという問題があった。
【0003】
また、処理槽中の微生物濃度を電気的制御により制御する方法が存在せず、設備の調整や管理が困難であった。具体的には、処理槽内の微生物濃度を増加させようとする場合は、栄養剤を添加するか、流入負荷を増加させて、微生物の繁殖を待つしかなかった。また、処理槽内の微生物濃度を減少させようとする場合は、返送用汚泥を沈殿させるための沈澱槽から微生物汚泥を取り去る以外に手段がなく、不便であった。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2003−334548号公報
【特許文献3】特開2004−321959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明の課題は、排水中の窒素を微生物の作用によって除去するための排水処理方法であって、簡単な設備で、低コストで実施でき、しかも処理槽中の微生物濃度を電気的制御により制御でき、設備の調整や管理が容易な排水処理方法を提供することにある。
【0005】
また、この発明の課題は、そのような排水処理方法を実施するのに適した排水処理を提供することにある。
【0006】
なお、特許文献1(特開2004−121962号公報)には、ナノバブルの利用方法および装置として、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を活用したものが記載されている。より具体的には、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることが記載されている。
【0007】
また、特許文献2(特開2003−334548号公報)には、ナノ気泡の生成方法として、液体中において、液体の一部を分解ガス化する工程、液体中で超音波を印加する工程又は、液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程からなるものが記載されている。
【0008】
また、特許文献3(特開2004−321959号公報)には、オゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置として、マイクロバブル発生装置にオゾン発生装置より生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液を加圧ポンプを介して供給しているものが記載されている。また、生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することも記載されている。
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1(特開2004−121962号公報)、特許文献2(特開2003−334548号公報)、特許文献3(特開2004−321959号公報)は、いずれも、本願発明の主題事項を開示するものではない。
【0010】
なお、「マイクロバブル」とは、「その発生時に、10〜数十μmの直径を有する気泡」と定義されている。マイクロバブルは、発生後に収縮して「マイクロナノバブル」に変化する。
【0011】
「マイクロナノバブル」とは、直径が数百nm〜10μmの気泡を意味する。
【0012】
「ナノバブル」とは、直径が数百nm以下の気泡を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の排水処理方法は、
処理すべき被処理水とマイクロナノバブル含有水とを1つの水槽に導入して、上記水槽で好気性微生物の作用によって硝化を行った後、上記水槽で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行うことを特徴とする。
【0014】
この発明の排水処理方法では、硝化と脱窒を同じ水槽(後述する硝化脱窒槽)で行うので、簡単な設備で、低コスト(特に、低イニシャルコスト)で実施可能となる。また、上記マイクロナノバブル含有水のマイクロナノバブルの量を調節することによって、上記水槽中の微生物濃度を電気的制御により制御できる。具体的には、マイクロナノバブルの量を多くすれば微生物濃度が高くなり、マイクロナノバブルの量を少なくすれば微生物濃度が低くなる。したがって、設備の調整や管理が容易になる。
【0015】
一実施形態の排水処理方法では、上記水槽に上記マイクロナノバブル含有水と微生物汚泥とを混合して導入することを特徴とする。
【0016】
ここで、「微生物汚泥」とは、微生物を含んだ汚泥を意味する。
【0017】
この一実施形態の排水処理方法では、まず上記マイクロナノバブル含有水と微生物汚泥とを混合しているので、マイクロナノバブルによって活性化された微生物が上記水槽に導入される。
【0018】
一実施形態の排水処理方法では、上記硝化を行うとき、曝気部によって上記水槽の内容物を曝気することを特徴とする。
【0019】
この一実施形態の排水処理方法では、上記硝化を行うとき、曝気部によって上記水槽の内容物を曝気すると、マイクロナノバブルによって活性化された好気性微生物(特に硝化菌)によって、被処理水中のアンモニア性窒素が硝酸性窒素まで容易に酸化される。したがって、硝化が確実に行われる。
【0020】
一実施形態の排水処理方法では、上記脱窒を行うとき、上記曝気部による曝気を停止し、攪拌部によって上記水槽の内容物を攪拌することを特徴とする。
【0021】
この一実施形態の排水処理方法では、上記脱窒を行うとき、上記曝気部による曝気を停止すると、上記水槽内へ酸素が供給されなくなる。上記水槽内の残留酸素が微生物によって消費されてしまうと、上記水槽内は無酸素状態か低酸素状態になる。すると、マイクロナノバブルによって活性化された嫌気性微生物(特に脱膣菌)によって、被処理水の脱膣が行われる。また、上記脱窒を行うとき、攪拌部によって上記水槽の内容物を攪拌するので、脱膣を効率的に進行させることができる。
【0022】
また、この排水処理方法では、上記脱窒を行うとき、上記曝気部による曝気を停止するので、省エネルギとなり、低ランニングコストとなる。
【0023】
一実施形態の排水処理方法では、上記水槽での上記硝化と上記脱窒とを交互に周期的に繰り返すことを特徴とする。
【0024】
この一実施形態の排水処理方法では、上記水槽での上記硝化と上記脱窒とを交互に周期的に繰り返すので、排水の連続式処理を行うことができる。
【0025】
一実施形態の排水処理方法では、
上記微生物汚泥を、上記水槽よりも下流に設けた沈澱槽における返送汚泥水にとして得て、上記水槽内の微生物濃度が所定範囲内になるように、上記返送汚泥水に上記マイクロナノバブル含有水を制御して混合することを特徴とする。
【0026】
この一実施形態の排水処理方法では、上記水槽内の微生物濃度が所定範囲内に制御される。したがって、上記硝化脱窒槽内での硝化と脱窒が確実に行われる。
【0027】
この発明の排水処理装置は、
処理すべき被処理水が導入される水槽と、
上記水槽にマイクロナノバブル含有水と微生物汚泥とを混合して導入する混合物導入部と、
上記水槽の内容物を曝気する曝気部と、
上記水槽で好気性微生物の作用によって硝化を行うように上記曝気部を動作させた後、上記水槽で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行うように上記曝気部を非動作にする制御部とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明の排水処理装置では、混合物導入部によって上記水槽内に導入された微生物がマイクロナノバブルによって活性化された状態にある。ここで、制御部が上記曝気部を動作させて上記水槽の内容物を曝気すると、マイクロナノバブルによって活性化された好気性微生物(硝化菌)によって、被処理水中のアンモニア性窒素が硝酸性窒素まで容易に酸化される。したがって、硝化が確実に行われる。この後、制御部が上記曝気部を非動作にすると、上記水槽内へ酸素が供給されなくなる。上記水槽内の残留酸素が微生物によって消費されてしまうと、上記水槽内は無酸素状態か低酸素状態になる。すると、マイクロナノバブルによって活性化された嫌気性微生物(特に脱膣菌)によって、被処理水の脱膣が行われる。
【0029】
この排水処理装置では、硝化と脱窒を同じ水槽(後述する硝化脱窒槽)で行うので、簡単な設備で、低コスト(特に、低イニシャルコスト)で実施可能となる。また、上記脱窒を行うとき、制御部が上記曝気部を非動作にするので、省エネルギとなり、低ランニングコストとなる。また、この排水処理装置では、上記マイクロナノバブル含有水のマイクロナノバブルの量を調節することによって、上記水槽中の微生物濃度を電気的制御により制御できる。具体的には、マイクロナノバブルの量を多くすれば微生物濃度が高くなり、マイクロナノバブルの量を少なくすれば微生物濃度が低くなる。したがって、設備の調整や管理が容易になる。
【0030】
一実施形態の排水処理装置では、
上記水槽の内容物を攪拌する攪拌部を備え、
上記制御部は、上記水槽で好気性微生物の作用によって硝化を行うように上記曝気部を動作させ、かつ上記攪拌部を非動作にした後、上記水槽で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行うように上記曝気部を非動作にし、かつ上記攪拌部を動作させる制御を行うことを特徴とする。
【0031】
この一実施形態の排水処理装置では、上記脱窒を行うとき、制御部が上記攪拌部を動作させて上記水槽の内容物を攪拌する。これにより、脱膣を効率的に進行させることができる。
【0032】
一実施形態の排水処理装置では、
上記水槽の内容物を攪拌する攪拌部を備え、
上記制御部は、排水の連続式処理を行うように、上記曝気部を動作させ、かつ上記攪拌部を非動作にして上記硝化を行う期間と、上記曝気部を非動作にし、かつ上記攪拌部を動作させて上記脱窒を行う期間とを交互に周期的に繰り返す制御を行うことを特徴とする。
【0033】
この一実施形態の排水処理装置では、上記水槽での上記硝化と上記脱窒とを交互に周期的に繰り返すので、排水の連続式処理を行うことができる。
【0034】
一実施形態の排水処理装置では、
上記水槽よりも下流に設けられた脱窒槽を備え、
上記水槽での上記脱窒に続いて、上記脱窒槽でさらに脱窒を行うようになっていることを特徴とする。
【0035】
この一実施形態の排水処理装置では、上記水槽での上記脱窒に続いて、上記脱窒槽でさらに脱窒を行うようになっているので、被処理水の脱窒が確実に行われる。
【0036】
一実施形態の排水処理装置では、
上記水槽内の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計と、
上記酸化還元電位計の出力に基づいて、上記水槽内の酸化還元電位が所定範囲内になるように上記水槽に水素供与体を導入する水素供与体添加部とを備えたことを特徴とする。
【0037】
この一実施形態の排水処理装置では、上記水槽内の酸化還元電位が所定範囲内に制御される。ここで、硝化は酸化の一種であり、脱窒は還元の一種であるから、上記水槽内の酸化還元電位が所定範囲内に制御されていれば、上記水槽内での硝化と脱窒が円滑に行われる。なお、例えば上記硝化を行うとき上記水槽内の酸化状態が強すぎると、上記脱窒を行うために上記水槽内を還元状態にするのに長時間を要する。また、水素供与体添加部が上記水槽に水素供与体を導入するので、上記水槽で被処理水の脱窒が確実に行われる。
【0038】
一実施形態の排水処理装置では、
上記水槽内の微生物濃度を測定する微生物濃度計を備え、
上記微生物濃度計の出力に基づいて、上記水槽内の微生物濃度が所定範囲になるように上記水槽内への上記マイクロナノバブルの導入量を制御する微生物濃度制御部を備えたことを特徴とする。
【0039】
この一実施形態の排水処理装置では、上記水槽内の微生物濃度が所定範囲に制御される。したがって、上記水槽内での硝化と脱窒が確実に行われる。
【0040】
別の局面では、この発明の排水処理装置は、
処理すべき被処理水としての原水を溜める原水槽と、
上記原水槽から取り出された被処理水に対して硝化および第1次の脱窒を行う硝化脱窒槽と、
上記硝化脱窒槽からの被処理水に対して第2次の脱窒を行う脱窒槽と、
上記脱窒槽からの被処理水に対して曝気を行う再曝気槽と、
上記再曝気槽からの被処理水を溜めて上澄水と返送汚泥水とに分離する沈澱槽とを順に備えるとともに、
上記沈澱槽から取り出された上澄水に対してマイクロナノバブル発生機によってマイクロナノバブルを発生させてマイクロナノバブル含有水を調整するマイクロナノバブル発生槽と、
上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水と上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水との混合物を調整して上記硝化脱窒槽に導入する混合物導入部とを備え、
上記硝化脱窒槽に、この硝化脱窒槽の内容物を曝気する曝気部と、この硝化脱窒槽の内容物を攪拌する攪拌部とが設けられ、
上記硝化脱窒槽で好気性微生物の作用によって上記硝化を行うように上記曝気部を動作させ、かつ上記攪拌部を非動作にする期間と、上記硝化脱窒槽で上記第1次の脱窒を行うように上記曝気部を非動作にし、かつ上記攪拌部を動作させる期間とを交互に周期的に繰り返す制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0041】
この発明の排水処理装置では、混合物導入部によって上記硝化脱窒槽内に導入された微生物がマイクロナノバブルによって活性化された状態にある。ここで、制御部が上記曝気部を動作させて上記硝化脱窒槽の内容物を曝気すると、マイクロナノバブルによって活性化された好気性微生物(硝化菌)によって、被処理水中のアンモニア性窒素が硝酸性窒素まで容易に酸化される。したがって、硝化が確実に行われる。この後、制御部が上記曝気部を非動作にすると、上記硝化脱窒槽内へ酸素が供給されなくなる。上記硝化脱窒槽内の残留酸素が微生物によって消費されてしまうと、上記硝化脱窒槽内は無酸素状態か低酸素状態になる。すると、マイクロナノバブルによって活性化された嫌気性微生物(特に脱膣菌)によって、被処理水の脱膣が行われる。しかも、上記脱窒を行うとき、制御部が上記攪拌部を動作させて上記硝化脱窒槽の内容物を攪拌するので、脱膣を効率的に進行させることができる。
【0042】
この排水処理装置では、硝化と脱窒を同じ水槽(つまり、硝化脱窒槽)で行うので、簡単な設備で、低コスト(特に、低イニシャルコスト)で実施可能となる。また、上記脱窒を行うとき、制御部が上記曝気部を非動作にするので、省エネルギとなり、低ランニングコストとなる。また、この排水処理装置では、上記マイクロナノバブル含有水のマイクロナノバブルの量を調節することによって、上記水槽中の微生物濃度を電気的制御により制御できる。具体的には、マイクロナノバブルの量を多くすれば微生物濃度が高くなり、マイクロナノバブルの量を少なくすれば微生物濃度が低くなる。したがって、設備の調整や管理が容易になる。
【0043】
また、仮に原水をマイクロナノバブル発生槽に導入すると、一般的にはマイクロナノバブル発生機のマイクロナノバブル吐出口(孔)が小さいため、原水に含まれている浮遊物質がマイクロナノバブル発生機の孔を詰まらせるおそれがある。これに対して、この発明の排水処理装置では、マイクロナノバブル発生槽で、上記沈澱槽から取り出された上澄水に対してマイクロナノバブル発生機によってマイクロナノバブルを含有させてマイクロナノバブル含有水を調整している。つまり、マイクロナノバブル発生機が原水に浸けられるわけではない。したがって、原水に含まれている浮遊物質がマイクロナノバブル発生機の孔を詰まらせることがない。
【0044】
一実施形態の排水処理装置では、上記マイクロナノバブル発生槽にマイクロナノバブル発生助剤を導入するマイクロナノバブル発生助剤添加部を備えたことを特徴とする。
【0045】
一般的に、沈澱槽から取り出された上澄水は水質が比較的良好であるから、マイクロナノバブルを発生させにくいと言われている。しかし、この一実施形態の排水処理装置では、マイクロナノバブル発生助剤添加部によって、上記マイクロナノバブル発生槽にマイクロナノバブル発生助剤が導入される。したがって、上記マイクロナノバブル発生槽で被処理水にマイクロナノバブルを良好に発生させることができる。
【0046】
一実施形態の排水処理装置では、上記混合物導入部は、上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水と上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水とを導入し、混合して上記混合物を調整する混合槽を備えたことを特徴とする。
【0047】
この一実施形態の排水処理装置では、上記混合物導入部は、上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水と上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水とを混合槽に導入し、その混合槽で混合して上記混合物を調整する。したがって、上記返送汚泥水とマイクロナノバブル含有水とが直に接触するので、マイクロナノバブルによって微生物が容易に活性化される。活性化された微生物を含む混合物は、上記混合槽から上記硝化脱窒槽に導入される。したがって、上記硝化脱窒槽内に導入された微生物はマイクロナノバブルによって活性化された状態にある。
【0048】
また、この排水処理装置では、返送汚泥水が混合槽を経由しているので、上記混合槽の内容物を採取でき、微生物が活性化した状態を顕微鏡で観察できる。
【0049】
一実施形態の排水処理装置では、
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記硝化脱窒槽、上記脱窒槽、上記再曝気槽、上記沈殿槽の少なくとも一つに、微生物を繁殖させる微生物担体が収容されていることを特徴とする。
【0050】
この一実施形態の排水処理装置では、上記硝化脱窒槽、上記脱窒槽、上記再曝気槽、上記沈殿槽の少なくとも一つに、微生物を繁殖させる微生物担体が収容されている。したがって、各微生物担体のところに微生物を高濃度に繁殖させることができ、微生物による処理の効率を高めることができる。例えば、上記脱窒槽では、微生物担体に脱窒菌を高濃度に繁殖できるので、脱窒効率を高めることができる。また、上記沈殿槽でも、微生物担体に脱窒菌を高濃度に繁殖できるので、さらに脱窒効率を高めることができる。
【0051】
一実施形態の排水処理装置では、上記微生物担体がひも状またはリング状のポリ塩化ビニリデン材であることを特徴とする。
【0052】
この一実施形態の排水処理装置では、上記微生物担体は、例えば市販のひも状またはリング状のポリ塩化ビニリデン材である。ひも状またはリング状のポリ塩化ビニリデン材は、比較的表面積が大きいので、微生物を繁殖させるのに適する。また、例えば上記沈殿槽の微生物担体がポリ塩化ビニリデン材であれば、被処理水中の微細な微生物粒子をそのポリ塩化ビニリデン材に捕捉できる。したがって、浮遊物質の項目における水質をより改善でき、沈澱槽20から放流される排水の水質を向上させることができる。
【0053】
一実施形態の排水処理装置では、
上記硝化脱窒槽内の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計と、
上記酸化還元電位計の出力に基づいて、上記硝化脱窒槽内の酸化還元電位が所定範囲内になるように上記硝化脱窒槽に水素供与体を導入する水素供与体添加部とを備えたことを特徴とする。
【0054】
この一実施形態の排水処理装置では、上記硝化脱窒槽内の酸化還元電位が所定範囲内に制御される。ここで、硝化は酸化の一種であり、脱窒は還元の一種であるから、上記硝化脱窒槽内の酸化還元電位が所定範囲内に制御されていれば、上記硝化脱窒槽内での硝化と(第1次の)脱窒が円滑に行われる。なお、例えば上記硝化を行うとき上記水槽内の酸化状態が強すぎると、上記脱窒を行うために上記硝化脱窒槽内を還元状態にするのに長時間を要する。また、水素供与体添加部が上記硝化脱窒槽に水素供与体を導入するので、上記硝化脱窒槽で被処理水に対する(第1次の)脱窒が確実に行われる。
【0055】
一実施形態の排水処理装置では、
上記マイクロナノバブル発生槽に、このマイクロナノバブル発生槽内の被処理水を循環させる循環ポンプが設けられ、
上記硝化脱窒槽内の微生物濃度を測定する微生物濃度計を備え、
上記微生物濃度計の出力に基づいて、上記硝化脱窒槽内の微生物濃度が所定範囲になるように上記循環ポンプの回転数または運転若しくは停止を制御する微生物濃度制御部を備えたことを特徴とする。
【0056】
本発明者は、マイクロナノバブル発生槽でのマイクロナノバブル発生量と硝化脱窒槽の微生物濃度との間に相関関係があることを発見した。循環ポンプの回転数を速くすれば、循環ポンプの吐出圧力が増加して、マイクロナノバブルの発生量が多くなる。マイクロナノバブルの発生量が多くなると、硝化脱窒槽内の微生物が活性化して増殖し、微生物濃度が上昇する。逆に、循環ポンプの回転数を遅くすれば、循環ポンプの吐出圧力が低下して、マイクロナノバブルの発生量が少なくなる。マイクロナノバブルの発生量が少なくなると、硝化脱窒槽内の微生物濃度が低下する。そこで、この一実施形態の排水処理装置では、微生物濃度計の出力に基づいて、微生物濃度制御部が上記マイクロナノバブル発生槽に設けられた上記循環ポンプの回転数または運転若しくは停止を制御する。これによって、上記硝化脱窒槽内の微生物濃度が所定範囲になる。したがって、上記硝化脱窒槽内での硝化と脱窒が確実に行われる。
【0057】
一実施形態の排水処理装置では、上記マイクロナノバブル発生槽に、このマイクロナノバブル発生槽内の被処理水を循環させる複数台の循環ポンプが設けられ、
上記硝化脱窒槽内の微生物濃度を測定する微生物濃度計を備え、
上記微生物濃度計の出力に基づいて、上記硝化脱窒槽内の微生物濃度が所定範囲になるように上記循環ポンプの運転台数を制御する微生物濃度制御部を備えたことを特徴とする。
【0058】
この一実施形態の排水処理装置では、微生物濃度計の出力に基づいて、微生物濃度制御部が上記マイクロナノバブル発生槽に設けられた上記循環ポンプの運転台数を制御する。これによって、上記硝化脱窒槽内の微生物濃度が所定範囲になる。したがって、上記硝化脱窒槽内での硝化と脱窒が確実に行われる。例えば、硝化脱窒槽内の微生物濃度を高める場合は2台運転とし、通常の微生物濃度に維持する場合は1台運転とし、硝化脱窒槽内の微生物濃度を減少させる場合は2台とも停止する制御が考えられる。
【0059】
一実施形態の排水処理装置では、上記混合物導入部は、上記原水槽から取り出された被処理水、上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水、および上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水を導入し、混合して上記混合物を得る混合槽を備えたことを特徴とする。
【0060】
この一実施形態の排水処理装置では、上記混合槽で、上記被処理水、上記返送汚泥水、および上記マイクロナノバブル含有水を時間的に早い時点から馴染ませることができる。したがって、微生物の活性化を時間的に早い時点から達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0062】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示している。
【0063】
この排水処理装置は、概略、処理すべき被処理水としての原水(排水)90を溜める原水槽1と、この原水槽1から取り出された被処理水90Aに対して硝化および第1次の脱窒を行う硝化脱窒槽22と、この硝化脱窒槽22からの被処理水90Bに対して第2次の脱窒を行う脱窒槽31と、この脱窒槽31からの被処理水90Cに対して曝気を行う再曝気槽32と、この再曝気槽32からの被処理水90Dを溜めて上澄水と返送汚泥水とに分離する沈澱槽20とを順に備えている。基本的には、沈澱槽20での上澄水は、窒素が除去された処理済み排水として放流配管27を通して放流される。さらに、この排水処理装置は、マイクロナノバブル発生槽16と、混合物導入部としての混合槽17と、マイクロナノバブル発生助剤添加部の一部としてのマイクロナノバブル発生助剤タンク24と、水素供与体添加部の一部としての水素供与体タンク29と、装置全体の動作を制御する制御部70とを備えている。
【0064】
この排水処理装置では、具体的にはあらゆる産業の浮遊物質を含有する排水を処理対象とするが、浮遊物質を含有していない排水にも適合できる。
【0065】
原水槽1には、図示しない工場から流入配管2を通して、被処理水としての原水(排水)90が導入される。原水槽1に導入された原水90は、原水槽ポンプ3により揚水されて硝化脱窒槽22に移送される。
【0066】
硝化脱窒槽22内には、下部に、この硝化脱窒槽22の内容物を曝気する曝気部としての散気管5が設置されている。この散気管5は配管によって間欠運転ブロワー4と接続されている。間欠運転ブロワー4が動作すると、散気管5を通して空気が硝化脱窒槽22内に吐出され、硝化脱窒槽22内の溶存酸素が増加する。それに伴って、この硝化脱窒槽22の内容物が攪拌される。また、この硝化脱窒槽22内には、散気管5とは別に、この硝化脱窒槽22の内容物を攪拌する攪拌部としての水中攪拌機37が設けられている。硝化脱窒槽22内には、さらに、この硝化脱窒槽22内の微生物濃度を測定する微生物濃度計6と、この硝化脱窒槽22内の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計34とが設けられている。
【0067】
微生物濃度計6、酸化還元電位計34には、それぞれ微生物濃度調節計7、酸化還元電位調節計35が組み合わせられている。微生物濃度調節計7は、微生物濃度計6の出力に基づいて、後述する信号をマイクロナノバブル発生槽16の外部に設置されている循環ポンプ10と循環ポンプ11に送信する。微生物濃度計6、微生物濃度調節計7、循環ポンプ10および循環ポンプ11は、微生物濃度制御部を構成している。
【0068】
酸化還元電位調節計35は、酸化還元電位計34の出力に基づいて、硝化脱窒槽22内に水素供与体(この例では、メタノール)を導入するための信号を、水素供与体タンク29に設置された水素供与体タンク定量ポンプ36へ送る。これにより、硝化脱窒槽22内の酸化還元電位が所定範囲内に制御される。酸化還元電位の具体的運用範囲は−150mVから−350mVで運用する。ここで、硝化は酸化の一種であり、脱窒は還元の一種であるから、硝化脱窒槽22内の酸化還元電位が所定範囲内に制御されていれば、硝化脱窒槽22内での硝化と(第1次の)脱窒が円滑に行われる。なお、例えば上記硝化を行うとき硝化脱窒槽22内の酸化状態が強すぎると、上記脱窒を行うために硝化脱窒槽22内を還元状態にするのに長時間を要する。また、水素供与体添加部が上記水槽に水素供与体を導入するので、上記水槽で被処理水の脱窒が確実に行われる。酸化還元電位計34、酸化還元電位調節計35、水素供与体タンク定量ポンプ36、および水素供与体タンク29は、水素供与体添加部を構成している。
【0069】
この硝化脱窒槽22での硝化および第1次の脱窒については、後に詳述する。
【0070】
脱窒槽31内には、下部に、この脱窒槽31の内容物を常時攪拌する水中攪拌機39が設けられている。また、この脱窒槽31内には、この脱窒槽31内の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計34が設けられている。この酸化還元電位計34は、硝化脱窒槽22におけるのと同様に、酸化還元電位調節計35と組み合わされている。そして、脱窒槽31内に水素供与体を導入するための信号が、水素供与体タンク29に設置された水素供与体タンク定量ポンプ30に送られ、その結果、脱窒槽31内の酸化還元電位が所定範囲内に制御される。これにより、脱窒菌が被処理水90B中の硝酸性窒素を還元して窒素ガスとする。そのことにより、窒素が除去される。つまり、被処理水90Bに対する第2次の脱窒が確実に行われる。
【0071】
また、脱窒槽31内には、微生物を繁殖させる微生物担体としてのひも状ポリ塩化ビニリデン材23が収容されている。ひも状またはリング状のポリ塩化ビニリデン材23は、比較的表面積が大きいので、微生物を繁殖させるのに適する。この脱窒槽31では、ひも状ポリ塩化ビニリデン材23のところに脱窒菌を高濃度に繁殖できるので、脱窒効率を高めることができる。
【0072】
再曝気槽32内には、下部に、この再曝気槽32の内容物を曝気する散気管5が設置されている。この散気管5は配管によってブロワー38と接続されている。ブロワー38は常時動作し、散気管5を通して空気が再曝気槽32内に吐出される。これにより、再曝気槽32内の溶存酸素が増加する。それに伴って、この再曝気槽32の内容物が攪拌される。したがって、被処理水90C中に残存している過剰もしくは適量の水素供与体(この例では、メタノール)が容易に酸化されて分解される。なお、この再曝気槽32には、後に詳述するマイクロナノバブル発生槽16からバルブ33を介してマイクロナノバブル含有水が導入可能になっている。したがって、再曝気槽32の好気性微生物は活性化された状態にある。したがって、被処理水90C中に残存している過剰もしくは適量の水素供与体を好気性微生物によっても分解できる。
【0073】
沈澱槽20には、沈澱した汚泥を含む返送汚泥水を引き抜いて混合槽17へ返送するための汚泥返送ポンプ18と、上澄水を汲み上げてマイクロナノバブル発生槽16へ返送するための上澄水ポンプ21とが設置されている。汚泥返送ポンプは原水量の約3倍を1日当たり移送できる能力すなわち循環水量が1日当たり原水量の3倍で運転する。また、この沈澱槽20には、沈澱した汚泥を引き抜くときに用いられるかき寄せ機18が設置されている。硝化脱窒槽22、脱窒槽31、再曝気槽32および沈澱槽20における各槽の微生物量が多い場合は、かき寄せ機19を用いて沈澱槽20から余剰の微生物汚泥が引き抜かれる。なお、この沈殿槽20でも、被処理水90D中に存在する脱窒菌によって脱窒が行われる。
【0074】
マイクロナノバブル発生槽16には、沈澱槽20から上澄水ポンプ21によって取り出された上澄水が被処理水90Eとして溜められている。このマイクロナノバブル発生槽16内には、2台のマイクロナノバブル発生機8、9が被処理水90E中に浸漬された状態で設置されている。マイクロナノバブル発生機8、9は、被処理水90E中にマイクロナノバブルを発生させてマイクロナノバブル含有水を調整する。
【0075】
ここで、「マイクロナノバブル」とは、直径が数百nm〜10μmの気泡を意味する。なお、「マイクロバブル」とは、「その発生時に、10〜数十μmの直径を有する気泡」と定義されている。マイクロバブルは、発生後に収縮して「マイクロナノバブル」に変化する。一部は、水中で縮小していき、ついには消滅(完全溶解)してしまう。「ナノバブル」は、直径が数百nm以下(典型的には100〜200nm)の気泡を意味する。「マイクロナノバブル」とは、マイクロバブルとナノバブルとが混合したバブルと説明できる。
【0076】
マイクロナノバブル発生機8、マイクロナノバブル発生機9に対して必要な循環水の供給は、それぞれインバータ駆動式の循環ポンプ11、循環ポンプ12によって行われる。マイクロナノバブル発生機8に対して必要な空気は、空気吸い込み管13およびバルブ12を通して供給され、また、マイクロナノバブル発生機9に対して必要な空気は、空気吸い込み管15およびバルブ14を通して供給される。マイクロナノバブル発生量は排水処理水槽の全容量が300トン規模で2L/minのマイクロナノバブル発生量で効果がある。
【0077】
循環ポンプ10と循環ポンプ11の回転数は、微生物濃度調節計7からの信号に基づいてインバータによって制御される。これにより、循環ポンプ10と循環ポンプ11の吐出量が制御され、それに応じて、マイクロナノバブル発生機8とマイクロナノバブル発生機9のマイクロナノバブル発生量が制御される。
【0078】
なお、マイクロナノバブル発生槽16内でのマイクロナノバブル発生量は、循環ポンプ10、11の回転数によって制御されるのみならず、循環ポンプ10、11の運転若しくは停止によっても制御されるし、また、循環ポンプ10、11の運転台数(2台、1台、または0台)によっても制御される。
【0079】
マイクロナノバブル発生助剤タンク24に貯留されているマイクロナノバブル発生助剤を、発生助剤ポンプ25で、マイクロナノバブル発生槽16に添加している。具体的なマイクロナノバブル発生助剤としては、微生物分解性の良い界面活性剤が挙げられる。
【0080】
混合槽17には、沈澱槽20から取り出された返送汚泥水とマイクロナノバブル発生槽16から取り出されたマイクロナノバブル含有水とがバルブ33を介して導入されて、混合される。これにより生じた混合物は、硝化脱窒槽22に導入される。
【0081】
ここで、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を調整する方法について、記述する。この排水処理装置では、硝化脱窒槽22内の微生物濃度をマイクロナノバブルの量によって制御する。
【0082】
具体的には、先に触れたように、微生物濃度計6によって微生物濃度を測定する。そして、微生物濃度計の出力に基づく微生物濃度調節計7の信号によって、マイクロナノバブル発生槽16において、循環ポンプ10と循環ポンプ11の吐出量を制御し、それに応じて、マイクロナノバブル発生機8とマイクロナノバブル発生機9によるマイクロナノバブル発生量を制御する。これにより、マイクロナノバブル含有水中のマイクロナノバブルの量を制御する。例えば循環ポンプ10、11の回転数を速くすれば、循環ポンプ10、11の吐出圧力が増加して、マイクロナノバブルの発生量が多くなる。マイクロナノバブル発生槽16内でのマイクロナノバブルの発生量が多くなると、硝化脱窒槽22内の微生物が活性化して増殖し、微生物濃度が上昇する。逆に、循環ポンプ10、11の回転数を遅くすれば、循環ポンプ10、11の吐出圧力が低下して、マイクロナノバブルの発生量が少なくなる。マイクロナノバブル発生槽16内でのマイクロナノバブルの発生量が少なくなると、硝化脱窒槽22内の微生物濃度が低下する。この結果、微生物濃度計の出力に基づいて、硝化脱窒槽22内の微生物濃度が所定範囲になるように制御されることになる。尚、微生物濃度の具体的数値としてMLSS(Mixed Liquor Suspend Solid)濃度で約8,000〜10,000ppmを選定する。
【0083】
なお、硝化脱窒槽22内の微生物濃度は、循環ポンプ10、11の回転数によって制御されるのみならず、循環ポンプ10、11の運転若しくは停止によっても制御されるし、また、循環ポンプ10、11の運転台数(2台、1台、または0台)によっても制御される。例えば、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を高める場合は2台運転とし、通常の微生物濃度に維持する場合は1台運転とし、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を減少させる場合は2台とも停止する制御が考えられる。
【0084】
次に、硝化脱窒槽22内での硝化と(第1次の)脱窒について具体的に記述する。
【0085】
この排水処理装置では、混合槽17から硝化脱窒槽22内に導入された微生物がマイクロナノバブルによって活性化された状態にある。ここで、制御部70が間欠運転ブロワー4、散気管5を動作させて硝化脱窒槽22の内容物を曝気すると、マイクロナノバブルによって活性化された好気性微生物(硝化菌)によって、被処理水90A中のアンモニア性窒素が硝酸性窒素まで容易に酸化される。したがって、硝化が確実に行われる。この後、制御部70が間欠運転ブロワー4、散気管5を非動作にすると、硝化脱窒槽22内へ酸素が供給されなくなる。硝化脱窒槽22内の残留酸素が微生物によって消費されてしまうと、硝化脱窒槽22内は無酸素状態か低酸素状態になる。すると、マイクロナノバブルによって活性化された嫌気性微生物(特に脱膣菌)によって、被処理水90Aの脱膣が行われる。また、被処理水90A中には、水素供与体添加部34、35、36、29によって水素供与体(この例ではメタノール)が添加されて、還元状態が作られる。しかも、上記脱窒を行うとき、制御部70が水中攪拌機37を動作させて硝化脱窒槽22の内容物を攪拌するので、脱膣を効率的に進行させることができる。この硝化脱窒槽22における第1次の脱窒では、全窒素の除去率は少ないが、或る程度の脱窒は行われる。
【0086】
この排水処理装置では、硝化と脱窒を同じ水槽(つまり、硝化脱窒槽)で行うので、簡単な設備で、低コスト(特に、低イニシャルコスト)で実施可能となる。また、上記脱窒を行うとき、制御部70が間欠運転ブロワー4、散気管5を非動作にするので、省エネルギとなり、低ランニングコストとなる。また、この排水処理装置では、微生物濃度制御部6、7、10、11によってマイクロナノバブル含有水のマイクロナノバブルの量を調節することによって、硝化脱窒槽22中の微生物濃度を電気的制御により制御できる。具体的には、マイクロナノバブルの量を多くすれば微生物濃度が高くなり、マイクロナノバブルの量を少なくすれば微生物濃度が低くなる。したがって、設備の調整や管理が容易になる。
【0087】
また、仮に原水90をマイクロナノバブル発生槽16に導入すると、一般的にはマイクロナノバブル発生機8、9のマイクロナノバブル吐出口(孔)が小さいため、原水90に含まれている浮遊物質がマイクロナノバブル発生機8、9の孔を詰まらせるおそれがある。これに対して、この発明の排水処理装置では、マイクロナノバブル発生槽16で、沈澱槽20から取り出された上澄水に対してマイクロナノバブル発生機8、9によってマイクロナノバブルを含有させてマイクロナノバブル含有水を調整している。つまり、マイクロナノバブル発生機8、9が原水90に浸けられるわけではない。したがって、原水90に含まれている浮遊物質がマイクロナノバブル発生機8、9の孔を詰まらせることがない。
【0088】
なお、この実施形態では、マイクロナノバブル発生機8、9として、市販されている株式会社ナノプラネット研究所製のものと株式会社オーラテックのものとを採用した。しかしながら、マイクロナノバブル発生機のメーカーを限定するものではない。他社のマイクロナノバブル発生機としては、例えば、西華産業株式会社のマイクロバブル水製造装置や、資源開発株式会社のマイクロバブル水製造装置や、野村電子工業株式会社のマイクロバブル水製造装置などを採用できる。
【0089】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示している。
【0090】
この第2実施形態の排水処理装置は、第1実施形態と比較して、脱窒槽31だけでなく硝化脱窒槽22にも、微生物担体としてのひも状ポリ塩化ビニリデン材23が収容された点のみが異なっている。よって、図2では、図1中の要素と同じ要素については、同じ符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0091】
この排水処理装置は、硝化脱窒槽22内にポリ塩化ビニリデン充填材23が収容されているので、マイクロナノバブルで活性化された微生物が、ポリ塩化ビニリデン充填物23に付着して繁殖する。この結果、硝化脱窒槽22内の微生物濃度が高くなり、硝化および脱窒の処理が安定化する。したがって、流入する原水90の水質が変動する場合でも、安定に処理を行うことができる。
【0092】
なお、採水による測定により、硝化脱窒槽22の微生物濃度が上昇したことが判明した場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11のどちらかを停止して、マイクロナノバブル発生槽16でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を下げることができる。
【0093】
また、急激に微生物濃度をさげる場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11の両方を停止して、目的を達成できる。
【0094】
また、採水による測定により、逆に硝化脱窒槽22の微生物濃度が減少したことが判明した場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11の両方を運転して、マイクロナノバブル発生槽16でのマイクロナノバブル発生量を増加させ、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を上げることができる。
【0095】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示している。
【0096】
この第3実施形態の排水処理装置は、第1実施形態と比較して、脱窒槽31だけでなく再曝気槽32にも、微生物担体としてのひも状ポリ塩化ビニリデン材23が収容された点のみが異なっている。よって、図3では、図1中の要素と同じ要素については、同じ符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0097】
この排水処理装置は、再曝気槽32内にポリ塩化ビニリデン充填材23が収容されているので、マイクロナノバブルで活性化された微生物が、ポリ塩化ビニリデン充填物23に付着して繁殖する。この結果、再曝気槽32内の微生物濃度が高くなり、処理が安定化する。
【0098】
なお、採水による測定により、硝化脱窒槽22の微生物濃度が上昇したことが判明した場合は、第2実施形態に関して述べたのと同様に、循環ポンプ10と循環ポンプ11のどちらかを停止して、マイクロナノバブル発生槽16でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を下げることができる。
【0099】
また、急激に微生物濃度をさげる場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11の両方を停止して、目的を達成できる。
【0100】
また、採水による測定により、逆に硝化脱窒槽22の微生物濃度が減少したことが判明した場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11の両方を運転して、マイクロナノバブル発生槽16でのマイクロナノバブル発生量を増加させ、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を上げることができる。
【0101】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示している。
【0102】
この第4実施形態の排水処理装置は、第1実施形態と比較して、原水90を硝化脱窒槽22に直接導入するのではなく、原水90を混合槽17に一旦導入し、混合物として硝化脱窒槽22に導入する点のみが異なっている。よって、図4では、図1中の要素と同じ要素については、同じ符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0103】
この第4実施形態の排水処理装置では、原水槽1から取り出された被処理水を、沈澱槽20から取り出された返送汚泥水、マイクロナノバブル発生槽16から取り出されたマイクロナノバブル含有水とともに、混合槽17に導入している。そして、それら混合して混合物とした後、硝化脱窒槽22に導入している。
【0104】
これにより、混合槽17で、被処理水(原水)、返送汚泥水、およびマイクロナノバブル含有水を時間的に早い時点から馴染ませることができる。したがって、微生物の活性化を時間的に早い時点から達成できる。すなわち、マイクロナノバブルが豊富に存在する時点で、微生物濃度が高い返送汚泥水の微生物を効率的に活性化できる。それとともに、その活性化した微生物で、直ちに被処理水に含まれる成分の分解処理を開始することができる。
【0105】
なお、採水による測定により、硝化脱窒槽22の微生物濃度が上昇したことが判明した場合は、第2実施形態に関して述べたのと同様に、循環ポンプ10と循環ポンプ11のどちらかを停止して、マイクロナノバブル発生槽16でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を下げることができる。
【0106】
また、急激に微生物濃度をさげる場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11の両方を停止して、目的を達成できる。
【0107】
また、採水による測定により、逆に硝化脱窒槽22の微生物濃度が減少したことが判明した場合は、循環ポンプ10と循環ポンプ11の両方を運転して、マイクロナノバブル発生槽16でのマイクロナノバブル発生量を増加させ、硝化脱窒槽22内の微生物濃度を上げることができる。
【0108】
(第5実施形態)
図5は、本発明の第5実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示している。
【0109】
この第5実施形態の排水処理装置は、第3実施形態と比較して、脱窒槽31と再曝気槽32だけでなく沈澱槽20にも、微生物担体としてのひも状ポリ塩化ビニリデン材23が収容された点のみが異なっている。よって、図5では、図3中の要素と同じ要素については、同じ符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0110】
この排水処理装置は、沈澱槽20内にポリ塩化ビニリデン充填材23が収容されているので、マイクロナノバブルで活性化された微生物が、ポリ塩化ビニリデン材23に付着して繁殖する。この結果、沈澱槽20内の微生物濃度が高くなり、処理が安定化する。これにより、全体としての脱窒効率を高めることができる。また、沈殿槽20で、被処理水90D中の微細な微生物粒子(フロックなど)をそのポリ塩化ビニリデン材23に捕捉できる。したがって、浮遊物質の項目における水質をより改善でき、沈澱槽20から放流される排水の水質を向上させることができる。
【0111】
(第6実施形態)
図6は、本発明の第6実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示している。
【0112】
この第6実施形態の排水処理装置は、第1実施形態と比較して、硝化脱窒槽22の内容物を攪拌する攪拌部として、水中攪拌機37に代えて、水面の上方に配置されたモータによって駆動される攪拌機40(この例では2台)を備えた点のみが異なっている。よって、図6では、図1中の要素と同じ要素については、同じ符号を付けて、詳細な説明を省略する。
【0113】
この第6実施形態の排水処理装置では、最も多く使用されている攪拌機40を備えているので、低コスト(特にイニシャルコスト)に構成される。また、攪拌機40のモータが水中に没していないので、水中攪拌機で良く発生する腐蝕による漏電も、皆無である。
【0114】
硝化脱窒槽22の内容物を攪拌する攪拌部としては、水中攪拌機に限定するのではなく、攪拌ができればどのタイプの攪拌部でも構わない。
【0115】
(第7実施形態)
図7は、この発明の第7実施形態の微生物反応槽(バイオリアクタ)の構成を模式的に示している。
【0116】
この微生物反応槽は、微生物の作用を利用して、醸造、発酵、医薬品製造等を行うための反応槽である。醸造、発酵、医薬品製造等を行う微生物反応槽の分野においても、マイクロナノバブルによって微生物を活性化して、活性化された微生物の作用によって製品を製造することができる。
【0117】
この微生物反応槽の反応槽26には、2台のマイクロナノバブル発生機8、9が設置されている。また、反応槽26内の下部には、酸化還元電位計34と、微生物濃度計6とが収容されている。なお、当然ながら、この微生物反応槽には、反応槽26の内容物を攪拌するための攪拌機(図示せず)や温度計(図示せず)等の付属品が設置されている。この微生物反応槽全体の動作は、制御部71によって制御される。
【0118】
反応槽26内には、この例では、処理対象80として、ビール醸造のための原材料である麦、ホップ、コーンスターチ等を含有する水が、反応槽26の上部に設けられた原材料導入配管27を通して導入される。
【0119】
マイクロナノバブル発生機8、9は、反応槽26内の酸化還元電位が所定範囲内になるように、酸化還元電位計34の出力(測定値)に基づいて、酸化還元電位計35が循環ポンプ10と循環ポンプ11のオン、オフを制御する。これにより、反応槽26内の嫌気性微生物の繁殖条件を維持するようになっている。
【0120】
これとともに、マイクロナノバブル発生機8、9は、反応槽26内の微生物濃度が所定範囲になるように、反応槽26内へのマイクロナノバブルの導入量を制御するようになっている。
【0121】
マイクロナノバブル発生機8、マイクロナノバブル発生機9に対して必要な循環水の供給は、それぞれインバータ駆動式の循環ポンプ11、循環ポンプ12によって行われる。マイクロナノバブル発生機8に対して必要な空気は、空気吸い込み管13およびバルブ12を通して供給され、また、マイクロナノバブル発生機9に対して必要な空気は、空気吸い込み管15およびバルブ14を通して供給される。
【0122】
循環ポンプ10と循環ポンプ11の回転数は、微生物濃度調節計7からの信号に基づいてインバータによって制御される。これにより、循環ポンプ10と循環ポンプ11の吐出量が制御され、それに応じて、マイクロナノバブル発生機8とマイクロナノバブル発生機9のマイクロナノバブル発生量が制御される。これにより、反応槽26内の微生物濃度が所定範囲内に制御される。
【0123】
このように、この微生物反応槽では、微生物濃度計6の出力と酸化還元電位計34の出力との両方に基づいて、マイクロナノバブル発生機8、マイクロナノバブル発生機9の運転が制御される。これにより、反応槽26内の微生物濃度、酸化還元電位を所定範囲内に制御でき、反応槽26内を好気状態又は嫌気状態で運転して、目的とする物質を目的とする品質で生産できる。
【0124】
目的とした微生物濃度の培養と酸化還元電位での培養によって得られた製品は、反応槽26の下部に設けられた配管29を通して取り出される。
【実施例1】
【0125】
図1に示した第1実施形態の排水処理装置を実際に製作して、効果の確認試験を行った。
【0126】
その排水処理装置では、原水槽1の容量は約1m、硝化脱窒槽22の容量は8m、脱窒槽31の容量は4m、再曝気槽32の容量は2m、沈澱槽20の容量は3m、マイクロナノバブル発生槽16の容量は0.2m、混合槽17の容量は0.2mにそれぞれ設定した。そして、工場からの排水を導入して、約3ケ月試運転をおこなった。
【0127】
試運転後、原水槽1への入口におけるTOC〔トータル・オーガニック・カーボン〕濃度と、沈澱槽20の出口におけるTOCの濃度を測定して比較したところ、TOCの除去率は88%であった。このように、本発明によれば、好ましい結果が得られた。

【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】この発明の第1実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】この発明の第2実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】この発明の第3実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】この発明の第4実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】この発明の第5実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図6】この発明の第6実施形態の排水処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図7】この発明の第7実施形態の微生物反応槽の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0129】
1 原水槽 2 流入配管
4 間欠運転ブロワー
5 散気管
6 微生物濃度計
7 微生物濃度調節計
8、9 マイクロナノバブル発生機
10、11 循環ポンプ
16 マイクロナノバブル発生槽
17 混合槽
20 沈澱槽
22 曝気槽
24 マイクロナノバブル発生助剤タンク
29 水素供与体タンク
31 脱窒槽
32 再曝気槽
34 酸化還元電位計
37、39 水中攪拌機
40 攪拌機



【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき被処理水とマイクロナノバブル含有水とを1つの水槽に導入して、上記水槽で好気性微生物の作用によって硝化を行った後、上記水槽で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行うことを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理方法において、
上記水槽に上記マイクロナノバブル含有水と微生物汚泥とを混合して導入することを特徴とする排水処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の排水処理方法において、
上記硝化を行うとき、曝気部によって上記水槽の内容物を曝気することを特徴とする排水処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の排水処理方法において、
上記脱窒を行うとき、上記曝気部による曝気を停止し、攪拌部によって上記水槽の内容物を攪拌することを特徴とする排水処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の排水処理方法において、
上記水槽での上記硝化と上記脱窒とを交互に周期的に繰り返すことを特徴とする排水処理方法。
【請求項6】
請求項2に記載の排水処理方法において、
上記微生物汚泥を、上記水槽よりも下流に設けた沈澱槽における返送汚泥水にとして得て、上記水槽内の微生物濃度が所定範囲内になるように、上記返送汚泥水に上記マイクロナノバブル含有水を制御して混合することを特徴とする排水処理方法。
【請求項7】
処理すべき被処理水が導入される水槽と、
上記水槽にマイクロナノバブル含有水と微生物汚泥とを混合して導入する混合物導入部と、
上記水槽の内容物を曝気する曝気部と、
上記水槽で好気性微生物の作用によって硝化を行うように上記曝気部を動作させた後、上記水槽で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行うように上記曝気部を非動作にする制御部とを備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の排水処理装置において、
上記水槽の内容物を攪拌する攪拌部を備え、
上記制御部は、上記水槽で好気性微生物の作用によって硝化を行うように上記曝気部を動作させ、かつ上記攪拌部を非動作にした後、上記水槽で嫌気性微生物の作用によって脱窒を行うように上記曝気部を非動作にし、かつ上記攪拌部を動作させる制御を行うことを特徴とする排水処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の排水処理装置において、
上記水槽の内容物を攪拌する攪拌部を備え、
上記制御部は、排水の連続式処理を行うように、上記曝気部を動作させ、かつ上記攪拌部を非動作にして上記硝化を行う期間と、上記曝気部を非動作にし、かつ上記攪拌部を動作させて上記脱窒を行う期間とを交互に周期的に繰り返す制御を行うことを特徴とする排水処理装置。
【請求項10】
請求項7に記載の排水処理装置において、
上記水槽よりも下流に設けられた脱窒槽を備え、
上記水槽での上記脱窒に続いて、上記脱窒槽でさらに脱窒を行うようになっていることを特徴とする排水処理装置。
【請求項11】
請求項7に記載の排水処理装置において、
上記水槽内の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計と、
上記酸化還元電位計の出力に基づいて、上記水槽内の酸化還元電位が所定範囲内になるように上記水槽に水素供与体を導入する水素供与体添加部とを備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項12】
請求項7に記載の排水処理装置において、
上記水槽内の微生物濃度を測定する微生物濃度計を備え、
上記微生物濃度計の出力に基づいて、上記水槽内の微生物濃度が所定範囲になるように上記水槽内への上記マイクロナノバブルの導入量を制御する微生物濃度制御部を備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項13】
処理すべき被処理水としての原水を溜める原水槽と、
上記原水槽から取り出された被処理水に対して硝化および第1次の脱窒を行う硝化脱窒槽と、
上記硝化脱窒槽からの被処理水に対して第2次の脱窒を行う脱窒槽と、
上記脱窒槽からの被処理水に対して曝気を行う再曝気槽と、
上記再曝気槽からの被処理水を溜めて上澄水と返送汚泥水とに分離する沈澱槽とを順に備えるとともに、
上記沈澱槽から取り出された上澄水に対してマイクロナノバブル発生機によってマイクロナノバブルを発生させてマイクロナノバブル含有水を調整するマイクロナノバブル発生槽と、
上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水と上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水との混合物を調整して上記硝化脱窒槽に導入する混合物導入部とを備え、
上記硝化脱窒槽に、この硝化脱窒槽の内容物を曝気する曝気部と、この硝化脱窒槽の内容物を攪拌する攪拌部とが設けられ、
上記硝化脱窒槽で好気性微生物の作用によって上記硝化を行うように上記曝気部を動作させ、かつ上記攪拌部を非動作にする期間と、上記硝化脱窒槽で上記第1次の脱窒を行うように上記曝気部を非動作にし、かつ上記攪拌部を動作させる期間とを交互に周期的に繰り返す制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽にマイクロナノバブル発生助剤を導入するマイクロナノバブル発生助剤添加部を備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項15】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記混合物導入部は、上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水と上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水とを導入し、混合して上記混合物を調整する混合槽を備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項16】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記硝化脱窒槽、上記脱窒槽、上記再曝気槽、上記沈殿槽の少なくとも一つに、微生物を繁殖させる微生物担体が収容されていることを特徴とする排水処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の排水処理装置において、
上記微生物担体がひも状またはリング状のポリ塩化ビニリデン材であることを特徴とする排水処理装置。
【請求項18】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記硝化脱窒槽内の酸化還元電位を測定する酸化還元電位計と、
上記酸化還元電位計の出力に基づいて、上記硝化脱窒槽内の酸化還元電位が所定範囲内になるように上記硝化脱窒槽に水素供与体を導入する水素供与体添加部とを備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項19】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽に、このマイクロナノバブル発生槽内の被処理水を循環させる循環ポンプが設けられ、
上記硝化脱窒槽内の微生物濃度を測定する微生物濃度計を備え、
上記微生物濃度計の出力に基づいて、上記硝化脱窒槽内の微生物濃度が所定範囲になるように上記循環ポンプの回転数または運転若しくは停止を制御する微生物濃度制御部を備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項20】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽に、このマイクロナノバブル発生槽内の被処理水を循環させる複数台の循環ポンプが設けられ、
上記硝化脱窒槽内の微生物濃度を測定する微生物濃度計を備え、
上記微生物濃度計の出力に基づいて、上記硝化脱窒槽内の微生物濃度が所定範囲になるように上記循環ポンプの運転台数を制御する微生物濃度制御部を備えたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項21】
請求項13に記載の排水処理装置において、
上記混合物導入部は、上記原水槽から取り出された被処理水、上記沈澱槽から取り出された返送汚泥水、および上記マイクロナノバブル発生槽から取り出されたマイクロナノバブル含有水を導入し、混合して上記混合物を得る混合槽を備えたことを特徴とする排水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−326075(P2007−326075A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160877(P2006−160877)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】